JP7424619B2 - ベンゾピランチアジン化合物及びそれを用いた化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、ベンゾピランチアジン化合物及び前記ベンゾピランチアジン化合物を含有する化粧料に関する。
加齢に伴って皮膚はシミ、シワ等の外見の変化が起きる。このような変化に対して、特に女性は悩みを抱えている人は多く、その美容効果のある薬剤の実現が強く望まれている。シミ、シワ等の皮膚の加齢変化の発生メカニズムは、解明されつつあるが、十分に解明されているとはいえない状況である。
皮膚は表皮、真皮、及び皮下脂肪で構成されている。このうち真皮については、コラーゲンやエラスチン等の線維性成分のほか、プロテオグリカンやグリコサミノグリカン等の間質成分からなっている。
グリコサミノグリカンは多糖類の一種であり、ヒアルロン酸に代表される成分である。このグリコサミノグリカンは、水を捉まえる力が非常に強く、真皮の水分や肌の柔らかさを保つために無くてはならない成分である。またプロテオグリカンは、保水性や弾性に優れていることから、肌のハリやうるおいを保つ役割をはたしていると考えられる。プロテオグリカンは、グリコサミノグリカンとタンパク質との共有結合化合物の総称である。
加齢した皮膚では、線維芽細胞の活性低下により、真皮のコラーゲン、ヒアルロン酸の量的な低下がみられる。その結果、皮膚はシワを形成する。
このため、シワの改善には、線維芽細胞の活性化、コラーゲンの産生促進、コラーゲンの分解の抑制、ヒアルロン酸の産生促進を図ることが必要であるとされ、その効果も確認されている(例えば、特許文献1~3)。
シミについては、永年に亘る皮膚への紫外線刺激により、メラノサイトがメラニン色素の産生を促進するため、皮膚への過剰沈着が要因と考えられている。メラニン色素産生のメカニズムは、チロシンにチロシナーゼが作用し、ドーパ、ドーバクロムへと酸化され、最終的にメラニン色素を産生する。このため、メラニン色素の産生を抑制するためにチロシナーゼの阻害が必要である(例えば、特許文献4)。
一方、柑橘類や陳皮は、化粧品における加齢皮膚の改善成分として利用されている。柑橘類果皮や陳皮には、リモネン、リナロール、テルピネオール等を主成分とする精油類や、カロチン等のカロチノイド類、ヘスペリジン、ナリンギン、ノビレチン等のフラボノイド類などが含まれている。化粧品の使用目的は、保湿作用、チロシナーゼ阻害、酸化防止、メイラード反応阻害が報告され、加齢肌に対しての効果が提案されている(例えば、特許文献1、5~7)。
また加齢肌の改善には、アミノ酸の配合が有効であることも提案されている。例えば、特許文献8には、L-システイン及び/又はL-シスチンとコエンザイムQ10、及び、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤が提案されている。
特開2000-319122号公報 特開2016-44160号公報 特開2007-51091号公報 特開2017-132694号公報 特許第3010210号公報 特開2010-155838号公報 特開2004-189718号公報 特開2006-1903号公報
本発明は、従来の化粧料が有する問題点に鑑み、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用のいずれにも優れたベンゾピランチアジン化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、このベンゾピランチアジン化合物を含有する化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らは、漢方で行われている「煎じる」という操作について鋭意検討した。「煎じる」とは土瓶、陶器の容器で生薬配合処方を加熱し煮詰めていく手法である。この「煎じる」という方法について鋭意検討した結果、密閉した容器中で加熱することにより漢方での通常の「煎じる」という手法ではない「密閉」という条件で操作をすることにより本発明に至った。
上記課題を解決するため柑橘類、陳皮に含まれているナリンギンとアミノ酸の一種であるシスチンを密閉した条件で加熱することにより、ベンゾピランチアジン化合物が生成することを見出した。このベンゾピランチアジン化合物が優れた線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用を有することを明らかにした。
本発明に係る一態様は、下記式(1)で表されるベンゾピランチアジン化合物である。
Figure 0007424619000001
また、本発明に係る他の一態様は、前記ベンゾピランチアジン化合物を含有する化粧料である。
本発明によれば、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用に優れたベンゾピランチアジン化合物を提供することができる。また、本発明によれば、このベンゾピランチアジン化合物を含有させ、美容効果に優れた化粧料を提供することができる。
図1は、実施例において得られた化合物の構造を示す化学式である。
本実施形態のベンゾピランチアジン化合物は、下記式(1)で表される化合物であり、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用に優れている。このことから、ベンゾピランチアジン化合物を含有する化粧料は、皮膚への美容効果に優れている。
Figure 0007424619000002
このベンゾピランチアジン化合物の正式名称は、下記のようになる。
(正式名称)
10-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-8-ラムノグルコシルオキシ-2,3-ジヒドロクロメノ[3,4-b][1,4]チアジン-2-カルボン酸
[10-Hydroxy-5-(4-hydroxyphenyl)-8-rhamnoglucosyloxy-2,3-dihydrochromeno[3,4-b][1,4]thiazine-2-carboxylic acid.]
このベンゾピランチアジン化合物は、ナリンギンとシスチンとの反応によって得られる。ベンゾピランチアジン化合物の製造方法は、具体的には、以下のような製造方法が挙げられる。
(ベンゾピランチアジン化合物の製造方法)
ベンゾピランチアジン化合物の原料であるナリンギンとシスチンはシグマ アルドリッチ(Sigma Aldrich社:米国)から購入し使用する。
ナリンギンとシスチンの水溶液を、特定の反応条件で密閉下加熱する。ここでの加熱条件は、加熱温度110℃、加熱時間は6~10時間程度、pHは6~8程度であることが好ましい。このような加熱条件で反応させ、反応液(以下、「加熱反応生成物」と呼ぶことがある)を得る。得られた加熱反応生成物は、更にベンゾピランチアジン化合物を精製するために次の処理を行う。
(ベンゾピランチアジン化合物の精製処理)
上記加熱反応生成物を濃縮し、酢酸エチルで抽出する。残液を吸着剤(「アンバーライト XAD4」商品名 オルガノ社製)に吸着し、メタノールで抽出する。メタノール抽出液を濃縮し、蒸留水を加え酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル可溶部を除去して、酢酸エチル不溶部を濾過により取り出し、ベンゾピランチアジン化合物が得られる。
(化粧料)
本実施形態の化粧料には、上記ベンゾピランチアジン化合物が使用できる。化粧料のその他の構成成分としては、その効果を損なわない範囲内で通常の化粧料に使用される成分を含有させてもよい。このような成分としては、例えば油脂類、炭化水素類、脂肪酸類、界面活性剤、保湿剤、アルコール類、保存剤、香料等が挙げられる。
ここで、油脂類としては、例えば、オリーブ油、アボカド油、ミリスチン酸グリセリル、及び2-エチルヘキサン酸トリグリセリド等、炭化水素類としては、スクワラン、セレシン及びワセリン等、ロウ類としては、カルナバロウ及びミツロウ等、脂肪酸類としては、ラウリン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、石鹸用素地、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、及びヒアルロン酸等が挙げられる。
化粧料の形態は、特には限定されず、例えば、化粧水、クリーム、乳液、パック、洗浄剤が挙げられる。
また、化粧料中における前記ベンゾピランチアジン化合物の含有量は、化粧料全体に対して、0.0001~10質量%であることが好ましく、0.001~1質量%であることがより好ましい。更に好ましくは、0.01~0.1質量%程度である。
本実施形態のベンゾピランチアジン化合物は、化粧料等に含有させることができ優れた美容効果を示す。また、前記加熱反応生成物についても、ベンゾピランチアジン化合物を含んでいることから化粧料に含有させることによって、優れた美容効果を発揮させることができる。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下にまとめる。
上述したように、本発明の一局面は、下記式(1)で表されるベンゾピランチアジン化合物であり、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用に優れている。
Figure 0007424619000003
本実施形態のベンゾピランチアジン化合物を含有させることによって、優れた美容効果を発揮する化粧料が得られる。
以下に、本発明をさらに具体的に説明するため、ベンゾピランチアジン化合物、加熱反応生成物の製造例、試験例を下記実施例で示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[製造例]
(加熱反応生成物)
耐熱ネジ口瓶に、100mMのリン酸緩衝液(pH7.0)100mLを入れ、さらに、ナリンギン及びシスチンをそれぞれ、濃度が2mMとなるように入れた。その後、耐熱ネジ口瓶を密閉し、8時間、耐熱ネジ口瓶内の液体の温度が110℃になるように加熱した。そうすることによって、加熱反応生成物が得られた。この加熱反応生成物は、後述の方法により、上記式(1)で表されるベンゾピランチアジン化合物を含むことが確認できる。すなわち、この加熱反応生成物は、前記ベンゾピランチアジン化合物を含む。
(ベンゾピランチアジン化合物)
次いで、加熱反応生成物を濃縮し酢酸エチルで抽出した。残液を吸着剤(「アンバーライト XAD4」商品名 オルガノ社製)に吸着し、メタノールで抽出した。メタノール抽出液を濃縮し、蒸留水を加え酢酸エチルで抽出した。不溶部を濾過により取り出し、ベンゾピランチアジン化合物が得られた。
(精製ベンゾピランチアジン化合物)
上記で得られたベンゾピランチアジン化合物をさらに精製するために次の処理を行った。ベンゾピランチアジン化合物は50%ジメチルスルホキシドの水溶液に溶解し、オクタデシルシリカゲルを担体とする逆相系カラム、溶離液としてアセトニトリル:(酢酸:水=1:40)=5:95~65:35)を用い、紫外線吸収検出器(波長:340nm)でモニターし、12~13分付近を分取した。得られた分画を濃縮乾固することで精製ベンゾピランチアジン化合物を得た。精製ベンゾピランチアジン化合物は、赤外線吸収スペクトル(IR)測定、紫外線吸収スペクトル(UV)測定、質量分析(高分解能質量分析、LCMS-IT-TOF)測定、及び核磁気共鳴スペクトル(NMR:H NMR、13C-NMR、HMQC、HMBC)測定で確認した。
まず、IR測定の結果を、以下に示す。
IR νmax(KBr)cm-1:3402,1628,1553,1498,1181,1132,1074,840
次に、UV測定の結果を、以下に示す。
UV λmax(MeOH) nm(ε):300(18600)
次に、質量分析測定の結果を、以下に示す。
LCMS-IT-TOF:C3033NO15S(M+H)+ m/z:680.1648[(計算値)680.1644]の分子式が示された。
次に、NMR測定の結果、及び帰属を下記表1、図1に示す。なお、表1は、実施例で得られた化合物の、H NMRスペクトル(600MHz、DMSO-d)、13C-NMRスペクトル(150MHz、DMSO-d)を示したものである。表1におけるposition(位置)は、図1に示す化学式における位置である。また、表1中、「mult」は、多重度を示し、「J」は、カップリング定数を示す。図1は、実施例で得られた化合物の構造を示す化学式であり、この化合物の正式名称は、下記のようになる。
(正式名称)
10-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-8-ラムノグルコシルオキシ-2,3-ジヒドロクロメノ[3,4-b][1,4]チアジン-2-カルボン酸
[10-Hydroxy-5-(4-hydroxyphenyl)-8-rhamnoglucosyloxy-2,3-dihydrochromeno[3,4-b][1,4]thiazine-2-carboxylic acid.]
Figure 0007424619000004
得られた加熱反応生成物、ベンゾピランチアジン化合物を試験試料として、下記の試験例で示した方法で、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用を試験した。
[試験例]
(加熱反応生成物の試験例)
加熱反応生成物について、ナリンギン及びシスチンの濃度が0.05mM、0.1mM及び0.2mMに相当する濃度になるように、ジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈した。得られた希釈液を試験試料液とした。ナリンギン及びシスチンの濃度が、0.05mM、0.1mM、及び0.2mMは、2.5質量%、5質量%、及び10質量%に相当する。
(試験1)線維芽細胞賦活作用
[準備]
MTT標準液:2-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-3,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(4,5-dimethy1-2-thiazoly1)-2,5-dipheny1-2H tetrazoliumbromide)(シグマ アルドリッチ社製)
(線維芽細胞賦活作用試験)
正常ヒト線維芽細胞(NHDF:倉敷紡績(株)製)を5%牛胎児血清(FBS)含有DMEM培地(コスモ・バイオ社製品)で前培養した(細胞培養条件:COインキュベーター5%COで3日間培養した。)。培養後、細胞を回収し、5%FBS含有DMEM培地で細胞数を2.5×10個/mLに調整し、35mmシャーレに2mLずつ播種した。24時間後、表2に示した濃度の試験試料液を含む0.5%FBS含有DMEM培地(2mL)に交換して、48時間培養した。
培養終了後、MTTを2mg/mLの濃度で含む0.5%FBS含有DMEM培地(2mL)に交換して、2時間培養した。2時間後テトラゾリウム環の開環によるフォルマザンを2-プロパノール(2mL)で抽出した。
抽出液の吸光度を波長570nmで測定し、線維芽細胞賦活の指標とした。別に、試験試料液を含まない培地で培養したときの抽出液の線維芽細胞賦活作用を基準(100)として、表2に示した濃度の試験試料液を用いて得られた値を指数表示した。
その結果を表2に示す。表2に示す結果より、前記ベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物は、その原料であるナリンギンやシスチンの各々の加熱反応処理物よりも線維芽細胞賦活作用が高い。このことから、ナリンギンとシスチンとの反応によるベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物は線維芽細胞賦活作用を高めていることがわかる。
Figure 0007424619000005
(試験2)コラーゲン産生促進作用
正常ヒト線維芽細胞(NHDF:倉敷紡績(株)製)を5%FBS含有DMEM培地(コスモ・バイオ社製品)で前培養した(細胞培養条件:COインキュベーター5%COで3日間培養した。)。培養後、細胞を回収し、5%FBS含有DMEM培地で細胞数を2.5×10個/mLに調整し、35mmシャーレに2mLずつ播種した。24時間後、表3に示した濃度の試験試料液を含む0.5%FBS含有DMEM培地(2mL)に交換して、48時間培養した。
培養終了後、培養上清中のI型プロコラーゲン量をProcollagen Type IC-peptide EIA Kit(タカラバイオ(株)製)を用いてELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)法にて測定した。I型プロコラーゲンは、I型コラーゲンの前駆体であり、I型プロコラーゲン量を測定することによってコラーゲン産生量の指標とした。試験試料液を含まない培地で培養したときの培養上清中のI型プロコラーゲン量を基準(100)として、表3に示した濃度の試験試料液を用いて得られた値を指数表示した。
その結果を表3に示す。表3に示す結果より、前記ベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物は、その原料であるナリンギンやシスチンの各々の加熱反応処理物よりもコラーゲン産生促進作用が高い。このことから、ナリンギンとシスチンとの反応によるベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物はコラーゲン産生促進作用を高めていることがわかる。
Figure 0007424619000006
(試験3)ヒアルロン酸産生促進作用
正常ヒト線維芽細胞(NHDF:倉敷紡績(株)製)を5%FBS含有DMEM培地(コスモ・バイオ社製品)で前培養した(細胞培養条件:COインキュベーター5%COで3日間培養した。)。培養後、細胞を回収し、5%FBS含有DMEM培地で細胞数を2.5×10個/mLに調整し、35mmシャーレに2mLずつ播種した。24時間後、表4に示した濃度の試験試料液を含む0.5%FBS含有DMEM培地(2mL)に交換して、48時間培養した。
培養終了後、培養上清中のヒアルロン酸量をヒアルロン酸測定キット(生化学工業(株)製)を用いてELISA法にて測定した。試験試料液を含まない培地で培養したときの培養上清中のヒアルロン酸量を基準(100)として、表4に示した濃度の試験試料液を用いて得られた値を指数表示した。
その結果を表4に示す。表4に示す結果より、前記ベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物は、その原料であるナリンギンやシスチンの各々の加熱反応処理物よりもヒアルロン酸産生促進作用が高い。このことから、ナリンギンとシスチンとの反応によるベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物はヒアルロン酸産生促進作用を高めていることがわかる。
Figure 0007424619000007
(試験4)コラゲナーゼ活性阻害作用
[準備]
(a)緩衝液:0.1M トリス塩酸緩衝液(20mM塩化カルシウム含有),pH7.1
(b)試料溶液:表5に示した濃度の試験試料液
(c)基質溶液:PZ-ペプチド(PZ-Pro-Leu-Gly-Pro-D-Arg-OH:BACHEM Feinchemiklien AG社製)を緩衝液にて0.39mg/mLの濃度とする。
(d)酵素液:コラゲナーゼType1(Worthington Biochemical社製)を緩衝液にて、50U/mLに調整する。
(e)反応停止液:25mMクエン酸溶液
(コラゲナーゼ活性阻害作用の測定)
表5に示した濃度の試験試料液を蓋付き試験管に50μL、酵素液50μL、基質溶液400μLを混合した。37℃で30分間反応させた。反応停止液を1mL加え、酵素反応を停止した。酢酸エチル5mLを加え、激しく振とう後、遠心分離(1600×g,10分間)した。酢酸エチル層を波長320nmにおける吸光度を測定した。同様の方法により空試験を行い、次式に基づきコラゲナーゼ活性阻害率を算出した。
試験試料液を含まない区分(コラゲナーゼの活性を阻害していないもの)の吸光度をA、表5に示した濃度の試験試料液を含む(コラゲナーゼの活性を阻害したもの)の吸光度をBとし、コラゲナーゼ活性阻害率を算出した。
コラゲナーゼ活性阻害率(%)={(A-B)/A}×100
その結果を表5に示す。表5に示す結果より、前記ベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物は、その原料であるナリンギンやシスチンの各々の加熱反応処理物よりもコラゲナーゼ活性阻害作用が高い。このことから、ナリンギンとシスチンとの反応によるベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物はコラゲナーゼ活性阻害作用を高めていることがわかる。
Figure 0007424619000008
(試験5)チロシナーゼ活性阻害作用
マッシュルーム由来チロシナーゼ(シグマ アルドリッチ社製)を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)に溶解して酵素溶液(40U/mL)とした。基質はL-DOPA(3,4-Dihydroxy-L-phenylalanine,シグマ アルドリッチ社製)を用い、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)に溶解して2mMの基質溶液とした。表6に示した濃度の各試験試料液を用いた。
酵素反応は、96穴マイクロプレートにて行った。マイクロプレートの各ウェルに酵素溶液50μLと試験試料液50μLを加え、充分混合攪拌した。室温で2分間プレインキュベートした後、基質であるL-DOPA溶液を50μL添加し、37℃で10分間インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダー(TriStar LB941、ベルトールドジャパン社製)を用いて、波長450nmにおける吸光度を測定した。チロシナーゼ活性阻害剤を含まない区分(チロシナーゼの活性を阻害していないもの)の吸光度をA、表6に示した濃度の試験試料液を含む(チロシナーゼの活性を阻害したもの)の吸光度をBとし、チロシナーゼ活性阻害率を算出した。
チロシナーゼ活性阻害率(%)={(A-B)/A}×100として計算した。
その結果を表6に示す。表6に示す結果より、前記ベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物は、その原料であるナリンギンやシスチンの各々の加熱反応処理物よりもチロシナーゼ活性阻害作用が高い。このことから、ナリンギンとシスチンとの反応によるベンゾピランチアジン化合物を含む加熱反応生成物はチロシナーゼ活性阻害作用を高めていることがわかる。
Figure 0007424619000009
(ベンゾピランチアジン化合物の試験例)
ベンゾピランチアジン化合物を0.001mM、0.002mM、及び0.004mMに相当する濃度になるように、ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶解した。得られた溶解液を、試験試料液として、加熱反応生成物の試験例と同様に実施した。線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用の結果を、それぞれ表7~11に示す。
Figure 0007424619000010
Figure 0007424619000011
Figure 0007424619000012
Figure 0007424619000013
Figure 0007424619000014
これらの結果から分かるように、ベンゾピランチアジン化合物は低濃度であるにもかかわらず、高い線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用を示している。
本実施形態のベンゾピランチアジン化合物は、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ活性阻害作用に優れ、化粧料に含有して皮膚への美容効果に優れている。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で表されるベンゾピランチアジン化合物。
    Figure 0007424619000015
  2. 請求項1に記載のベンゾピランチアジン化合物を含有する化粧料。
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