JP7423138B2 - 装置及びシステム - Google Patents

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Description

本発明は、装置及びシステムに関する。
従来より、プラントに複数のセンサを設置して、センサから取得されるセンサデータに基づいてプラントの稼働状況を監視することが行われている。例えば、特許文献1には、ボイラチューブリーク(以下、ボイラチューブリークのように、ボイラを構成するチューブ及びパイプ等の金属材料が損傷して破孔し、内部の蒸気が外部に漏洩する状態を「噴破」という。)の早期検出と噴破位置の早期特定を実現するための検出装置が記載されている。この検出装置によれば、過去の噴破事例を蓄積したデータベースを利用して、容易に噴破の検出及び噴破位置の特定を行うことが可能となる。同文献の図12には、検出装置に接続される画像表示装置に、三次過熱器において噴破が発生している情報と、三次過熱器における噴破検出前後のメタル温度情報と、メタル温度変化幅が最大になる位置情報とを表示させた表示画面が示されている。
特開2015-7509号公報
しかしながら、本出願の発明者らは、噴破のようなプラントの停止に直結し得る重大な異常の検出のみがプラントの稼働において重要な監視対象ではない点に着目した。具体的には、プラントの運転効率がプラントの稼働において重要な監視対象となり得る点に着目した。プラントの運転効率が低下すると、安定操業が困難になるため、プラントの操業利益が損われるだけでなく、所定の電力量を維持するために、ボイラ等の機器が過負荷運転となったり、あるいは、そのプラントから供給される電力が減少するため、電力系統の安定性という社会的要請に応えることが困難になる。
そこで、本発明は、噴破のような重大な異常と運転効率の低下に関連する異常の双方を容易に認識することが可能となる装置及びシステムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る装置は、プラントの状態を表示するための表示画面を備える。そして、表示画面の第1領域に、プラントの停止可能性を有する異常の発生を表示可能に構成し、表示画面の第2領域に、プラントの運転効率に影響を与える異常の発生履歴を表示可能に構成されている。
この態様によれば、噴破のような重大な異常と運転効率の低下に関連する異常の双方を容易に認識することが可能となる。
なお、「異常の発生」を表示可能に構成するとは、異常が発生していると判断されたことの他、将来に異常が発生する可能性が高いと判断されたことを表示可能に構成する場合を含む。
また、「異常の発生履歴」を表示可能に構成するとは、異常が発生していると判断されたことの履歴の他、将来に異常が発生する可能性が高いと判断されたことの履歴を表示可能に構成する場合を含む。
また、第2領域に表示される異常の発生履歴は、この異常の発生時を示す時間情報とこの異常の内容を示す情報とを発生時の順番に配列された態様で表示されてもよい。異常の発生時とは、異常が発生していると判断された時の他、将来に異常が発生する可能性が高いと判断された時を含む。
この態様によれば、プラントの運転効率と安定操業に影響を与える異常の発生時を示す時間情報とこの異常の内容を示す情報とを発生時の順番に配列された状態で表示されるから、運転効率の低下に影響を与える複数の異常の発生時間を認識することが可能になる。
また、プラントは、複数のセンサを備え、第2領域に表示される異常の発生履歴は、これらセンサにより取得されたデータが異常値を示した回数をセンサごとに配列された態様で表示されてもよい。
この態様によれば、センサが異常値を示した回数を、センサごとに表示可能に構成されるから、問題となるセンサを容易に特定することが可能になる。
また、第2領域に表示される異常の発生履歴は、少なくとも2つのセンサから取得されたデータに基づいて発生したと判断された異常の発生履歴と、単一のセンサから取得されたデータに基づいて発生したと判断された異常の発生履歴と、を含んでもよい。
この態様によれば、少なくとも2つのセンサから取得されたデータに基づいて発生したと判断された異常の発生履歴を表示可能に構成されるから、異常の検出精度を高めることが可能になる。
また、プラントは、複数のコンポーネントから構成されており、装置は、表示画面の第4領域に、運転効率と安定操業に影響を与える異常が発生した可能性がある少なくとも一つのコンポーネントを、他のコンポーネントと異なる態様で表示可能に構成されていてもよい。
この態様によれば、運転効率に影響を与える異常が発生した可能性がある少なくとも一つのコンポーネントを、他のコンポーネントと異なる態様で表示可能に構成されるから、容易に問題となるコンポーネントを特定することが可能になる。
また、装置は、表示画面の第5領域に、プラントの運転効率を示す情報を表示可能に構成されていてもよい。
この態様によれば、プラントの運転効率を示す情報を表示可能に構成されるから、異常に伴う運転効率の低下を容易に認識することが可能になる。
また、本発明の一態様に係るシステムは、プラントの状態を表示するための表示画面を備えた装置であって、表示画面の第1領域に、プラントの停止可能性を有する異常の発生を表示可能に構成し、表示画面の第2領域に、プラントの運転効率に影響を与える異常の発生履歴を表示可能に構成されている、装置と、装置を制御する制御装置と、を備える。
この態様によれば、プラントの運用にとって重要な2つの情報を同時に表示画面に表示させることが可能になるため、噴破のような重大な異常と運転効率の低下に関連する異常の双方を容易に認識することが可能となる。
本発明によれば、プラントの運用にとって重要な2つの情報を同時に表示画面に表示させることが可能になるため、噴破のような重大な異常と運転効率の低下に関連する異常の双方を容易に認識することが可能となる装置及びシステムを提供することができる。
本発明の実施形態に係るプラントの全体構成を示す概略図である。 本実施形態に係る表示システムの機能ブロックを示す図である。 本実施形態に係る装置の物理的構成を示す図である。 本実施形態に係る装置に表示される第1画面の一例を示す図である。
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
まず、本発明の実施形態が対象とするプラントは、任意のプラントであってよいが、例えば、ボイラを含む発電プラントや焼却プラント、化学プラント、排水処理プラント等、プロセスデータが取得できるものを対象としている。図1は、本発明の実施形態に係るプラント1の全体構成を示す概略図である。本実施形態に係るプラント1は、例えば、循環流動層ボイラ(Circulating Fluidized Bed型)であって、高温で流動する珪砂等の循環材を循環させながら燃料を燃焼して、蒸気を発生させるボイラを備えるものである。プラント1の燃料としては、石炭の他、例えば非化石燃料(木質バイオマス、廃タイヤ、廃プラスチック、スラッジ等)を使用することができる。プラント1で発生した蒸気は、タービン100の駆動に用いられる。
プラント1は、火炉2内で燃料を燃焼させ、固気分離装置として機能するサイクロン3によって排ガスから循環材を分離し、分離された循環材を火炉2内に戻して循環させるように構成されている。分離された循環材は、サイクロン3の下方に接続された循環材回収管4を経由して火炉2の下部に返送される。なお、循環材回収管4の下部と火炉2の下部とは、流路が絞られたループシール部4aを介して接続されている。これにより、循環材回収管4の下部には所定量の循環材が貯められた状態となる。サイクロン3によって循環材が取り除かれた排ガスは、排ガス流路3aを経由して後部煙道5に供給される。
ボイラは、燃料を燃焼させるための火炉2と、燃焼により得られた熱を用いて水蒸気等を発生させるための熱交換器を備える。火炉2の中間部には、燃料を供給する燃料供給口2aが設けられており、火炉2の上部には、燃焼ガスを排出するガス出口2bが設けられている。図示されていない燃料供給装置から火炉2に供給される燃料は、燃料供給口2aを介して火炉2の内部に供給される。また、火炉2の炉壁には、ボイラ給水を加熱するための炉壁管6が設けられている。炉壁管6を流れるボイラ給水は、火炉2での燃焼によって加熱される。
火炉2内では、下部の給気ライン2cから導入される燃焼・流動用の空気により、燃料供給口2aから供給された燃料を含む固形物が流動し、燃料は流動しながら例えば約800~900℃で燃焼する。サイクロン3には、火炉2で発生した燃焼ガスが循環材を同伴しながら導入される。サイクロン3は、遠心分離作用により循環材と気体とを分離し、循環材回収管4を介して分離された循環材を火炉2に戻すとともに、循環材が除かれた燃焼ガスを排ガス流路3aから後部煙道5へと送出する。
火炉2では、底部に炉内ベッド材と呼ばれる循環材の一部が滞留する。このベッド材には、循環流動に不適な粗い粒径を有するベッド材や排燃夾雑物が含まれることがあり、これらの循環材として不適なベッド材によって流動不良が発生することがある。そのため、流動不良を抑制するために、火炉2では、底部の排出口2dから炉内ベッド材が連続的又は断続的に外部に排出されている。排出されたベッド材は、図示されていない循環ライン上で金属や粗大粒径等の不適物を取り除いた後、再び火炉2に供給されるか、若しくはそのまま廃棄される。火炉2の循環材は、火炉2、サイクロン3及び循環材回収管4で構成される循環系内を循環する。
後部煙道5は、サイクロン3から排出されたガスを後段へ流す流路を有している。後部煙道5は、排ガスの熱を回収する排熱回収部として、過熱蒸気を発生させる過熱器10と、ボイラ給水を予熱する節炭器12と、を有している。後部煙道5を流れる排ガスは、過熱器10及び節炭器12を流通する蒸気やボイラ給水と熱交換されて冷却される。また、節炭器12を通過したボイラ給水が貯留される蒸気ドラム8を有し、蒸気ドラム8は火炉壁6にも接続されている。
節炭器12は、排ガスの熱をボイラ給水に伝熱して、ボイラ給水を予熱するものである。節炭器12は、管21によってポンプ7と接続される一方、管22によって蒸気ドラム8と接続されている。ポンプ7から管21を経由して節炭器12に供給され、節炭器12によって予熱されたボイラ給水は、管22を経由して蒸気ドラム8に供給される。
蒸気ドラム8には、降水管8a及び炉壁管6が接続されている。蒸気ドラム8内のボイラ給水は、降水管8aを下降し、火炉2の下部側で炉壁管6に導入されて蒸気ドラム8へ向かって流通する。炉壁管6内のボイラ給水は、火炉2内で発生する燃焼熱によって加熱されて、蒸気ドラム8内で蒸発し蒸気となる。
蒸気ドラム8には、内部の蒸気を排出する飽和蒸気管8bが接続されている。飽和蒸気管8bは、蒸気ドラム8と過熱器10とを接続している。蒸気ドラム8内の蒸気は、飽和蒸気管8bを経由して過熱器10に供給される。過熱器10は、排ガスの熱を用いて蒸気を過熱して過熱蒸気を生成するものである。過熱蒸気は、管10aを通り、プラント1外のタービン100に供給されて発電に利用される。
タービン100から排出された蒸気の圧力と温度は、過熱器10から排出される蒸気の圧力と温度よりも低い。特に限定されるものではないが、タービン100へ供給される蒸気の圧力は、約10~17MPa程度であり、温度は約530~570℃程度となる。タービン100から排出される蒸気の圧力は、約3~5MPa程度であり、温度は約350~400℃程度となる。
タービン100の下流には復水器102が設けられている。タービン100から排出された蒸気は復水器102に供給され、復水器102において凝縮して飽和水に戻された上でポンプ7へと供給される。タービン100には、タービン100の回転により得られる運動エネルギーを電気エネルギーに変換するジェネレータが接続される。
ポンプ7aは、復水器102の水位を一定に保つように、補給水を供給する。図1では、ポンプ7aにより補給される補給水流量u1を示している。
本実施形態で取り扱うプロセスデータは、プラント1に関する任意のデータであってよいが、例えば、プラント1の状態をセンサで測定したデータであってよく、より具体的には、プラント1の温度、圧力及び流量等の測定値を含んでよい。図1では、ポンプ7から節炭器12に供給されるボイラ給水流量u2を示している。さらに、図1では、過熱器10からタービン100に供給されるボイラ出口蒸気流量u3を示し、蒸気ドラム8から過熱器10に供給される飽和蒸気流量u4を示している。なお、補給水流量u1は、飽和蒸気流量u4に追従するように制御されてよい。また、ボイラ出口蒸気流量u3(又は過熱蒸気流量)と、蒸気ドラム8の液面レベルの双方を監視しながら、ボイラ給水流量u2を調整するように制御されてよい。
プラント1に破孔が生じた場合、補給水流量u1が上昇したり、ボイラ給水流量u2とボイラ出口蒸気流量u3の流量差が増大したりする。DCS(Distributed Control System)20は、補給水流量u1、ボイラ給水流量u2、ボイラ出口蒸気流量u3及び飽和蒸気流量u4等のプラント1のプロセスデータについて異常が生じていないか監視する。
なお、プロセスデータとして補給水流量u1、ボイラ給水流量u2、ボイラ出口蒸気流量u3及び飽和蒸気流量u4を例示したが、プラント1に関するプロセスデータは、他のデータであってもよい。プラント1に関するプロセスデータは、温度、圧力等の他のデータであってもよい。
図2は、本実施形態に係る表示システム30の機能ブロックを示す図である。
DCS20は、プラント1を制御するための分散制御システムであり、プラント1に設けられるセンサ等からプロセスデータを取得し、これに基づいてプラント1を制御するための制御信号をプラント1に供給する。
表示システム30は、制御部31及び装置32を備える。制御部31は、DCS20からプロセスデータを取得し、プロセスデータに基づいて装置32が有する表示画面にプラントの状態を表示するための制御信号を生成し、装置32に供給する。
装置32は、表示画面を備える。装置32は、制御部31から取得した制御信号に基づいて表示画面にプラントの状態を表示する。装置32の表示画面については後述する。
図3は、本実施形態に係る表示システム30の物理的構成を示す図である。表示システム30は、演算部に相当するCPU(Central Processing Unit)30aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)30bと、記憶部に相当するROM(Read only Memory)30cと、通信部30dと、入力部30eと、表示部30fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では表示システム30が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、表示システム30は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。例えば、表示部30fの他に、他の情報を表示するための異なる表示部を構成するディスプレイが設けられてもよい。また、図3で示す構成は一例であり、表示システム30はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。また、構成の一部が遠隔地に設けられてもよい。例えば、制御部31を遠隔地に設けてもよい。この場合、装置32は、遠隔地に設けられた制御部31において生成された制御信号をネットワークを介して取得するように構成されてもよい。
CPU30aは、RAM30b又はROM30cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う演算部である。CPU30aは、プラント1のプロセスデータのグラフと説明文を表示するプログラム(監視プログラム)を実行する演算部である。CPU30aは、入力部30eや通信部30dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部30fに表示したり、RAM30bに格納したりする。
RAM30bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えばDRAM又はSRAM等の半導体記憶素子で構成されてよい。RAM30bは、CPU30aが実行するプログラム、プラント1のプロセスデータといったデータを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM30bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
ROM30cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えばフラッシュメモリ等の半導体記憶素子又はHDDで構成されてよい。ROM30cは、例えば、本実施形態に示される各種処理を実行するためのコンピュータ・プログラム及び書き換えが行われないデータ、を記憶してよい。書き換えが行われないデータとは、例えば、プラント1、プラント1のコンポーネントの仕様等に関する情報を含む。
通信部30dは、表示システム30を他の機器に接続するインターフェースである。通信部30dは、インターネット等の通信ネットワークに接続されてよい。
入力部30eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。
表示部30fは、CPU30aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部30fは、プロセスデータのグラフや説明文を表示してよい。複数のディスプレイを連ねることによって、一画面を構成するように、表示部30fを設けてもよい。また、表示システム30は、タブレット端末で構成されてもよい。タブレット端末で表示システム30を構成することで、表示システム30を持ち歩くことができ、例えばプラント1を巡回しながら表示システム30を利用することができる。
本実施形態に示される各種処理を実行するためのコンピュータ・プログラムは、ROM30c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部30dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。表示システム30では、CPU30aが監視プログラムを実行することにより、本実施形態に含まれる様々な動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、表示システム30は、CPU30aとRAM30b又はROM30cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
図4は、本実施形態に係る装置32に表示される第1画面DP1(「表示画面」の一例)を示している。
第1画面DP1の左上の第1領域AR1には、プラント1の停止可能性を有する異常の発生を示す情報と、その異常が発生した時間情報とが表示される。図4では、プラント1の停止可能性を有する異常の発生を示す情報の一例として、「噴破」という情報が大きなサイズの文字で表示される。その下には、現在の時間情報として、「2019/08/07 14:00」という文字情報が表示される。この現在の時間情報は、例えば所定時間ごと(例えば1分ごと)に自動更新される。あるいは操作者の操作によって手動更新が可能であってもよい。この第1領域AR1に表示される情報によって、プラント1の運転員は、噴破という、プラント1の停止可能性を有する重大な異常が、2019年8月7日午後2時現在に発生していることを認識することができる。なお、変形例として、「噴破」という情報の直下の時間情報は、異常が発生した時刻としてもよい。
本実施形態において「噴破」という情報は、噴破が発生していると判断された場合(将来、例えば、所定時間以内に、噴破が発生する可能性が高いと判断され、噴破の兆候が現れたと判断された場合を含む。以下同じ)に表示される。噴破の有無は、単一のセンサから取得されるプロセスデータを所定の閾値と比較して判断することができる。更に、噴破の有無は、所定のアルゴリズムに従って、複数のセンサから取得されたプロセスデータに基づいて判断することができる。センサとは、例えば、ボイラ管に設けられた複数のAE(Acoustic Emission)センサの他、プラント1の各所に設けられ、温度、圧力、流量、バルブ開度、ダンパ開度、液面レベル、振動、音響その他のプラント1の状態量を検出するための各種センサを含む。本実施形態において「噴破」という情報が表示されるのは、例えば、単一のAEセンサから取得されたプロセスデータが所定の閾値を超える異常値を示した場合のみではない。単一のAEセンサから取得されたプロセスデータが所定の閾値を超えない場合であっても、複数のAEセンサ、又は、AEセンサと他の種類のセンサなど、複数種類のセンサから取得されたプロセスデータを所定のアルゴリズムに従って処理して所定の条件式に従って噴破が発生して可能性が高いと判断された場合を含む。従って、各センサから得られたプロセスデータを運転員の知識と経験に依拠して判断する場合と比較して、噴破の早期検出を安定的に精度良く実現することが可能になる。
なお、所定のアルゴリズムは、所定の異常に影響を与える複数のセンサをノウハウ、経験則等に基づいて選択し、所定の異常が発生したときの複数のセンサのプロセスデータ(異常発生前のプロセスデータを含んでもよい)を多変量解析等することにより導かれる数式又は数理モデルに基づくものであってもよい。また、所定のアルゴリズムは、後述するように、機械学習によって所定の学習モデルに従って動的に生成されるアルゴリズムであってもよい。
なお、噴破が発生していないと判断された場合(将来、例えば、所定時間以内に、噴破が発生する可能性が無いと判断され、噴破の兆候が現れていないと判断された場合を含む。以下同じ)又は過去に噴破が発生したと判断されたものの、その後所定の処置を取ること等により噴破が発生していないと判断される状態に至った場合、例えば、「噴破」の文字が表示されたまま背景色が変更されてもよいし(例えば背景色が赤色から緑色へ変更されてもよい)、あるいは、「噴破」の文字が非表示に変更されてもよい。従って、プラント1の運転員は、第1領域AR1に「噴破」という情報が表示されている場合又はその背景色が例えば赤色のままとなっている場合、その直下に表示された現在時間に至るまでプラント1に噴破が継続している、又は、噴破が近い将来に発生する可能性が高い状態が継続している、ことを容易に認識することができる。
なお、噴破が発生していると判断された場合にその表示を点滅させる等の手段により強調し、噴破が発生していないと判断された場合にその表示を抑制するようにしてもよい。また、噴破が発生していると判断された場合に警告音などの効果音又は音声を出力するようにしてもよい。また、第1領域AR1に、プラント1の停止可能性を有する異常が発生している確率を示す情報を同時に表示するようにしてもよい。例えば、確率が高い場合は、赤色を第1領域AR1の背景色に使用し、確率が低い場合は、緑色を第1領域AR1の背景色に使用してもよい。また、複数種類の異常を識別可能に表示するために、発生した異常名を示す文字情報を表示するようにしてもよい。また、異常が発生していないと判断された場合に、「なし」等、異常が発生していないことを示す文字情報を表示するようにしてもよい。
運転員は、第1領域AR1を見ることにより、噴破等、プラント1の停止可能性を有する異常の発生(近い将来に噴破が発生する可能性が高い状態を含む)を容易に認識することが可能になる。なお、プラント1の停止可能性を有する異常は、噴破に限られるものではない。例えば、管内に堆積が進んだスケール(給水等によって管内に持ち込まれる無機物)により管内部が閉塞する異常を、プラント1の停止可能性を有する異常として検出できるように構成してもよい。
第1画面DP1の左下の第2領域AR2には、「最新アラーム情報」として、プラント1の運転効率に影響を与える異常の発生履歴が表示される。運転効率に影響を与える異常とは、噴破のようなプラント1の停止可能性を有する異常ではないが、プラント1の運転効率を低下させる異常である。本実施形態において、異常の発生履歴は、プラント1の運転効率に影響を与える異常の発生時を示す時間情報と、その異常の内容を示す情報とを前記発生時の順番に配列された状態で表示される。図4では、プラント1の運転効率に影響を与える異常の発生時を示す時間情報とその異常の内容を示す情報の一例として、「2019/08/07 13:15:00」という時間情報と、「ボイラ効率(損失法)」という異常の内容を示す情報が同列に表示される。この第2領域AR2に表示される情報によって、プラント1の運転員は、熱損失法の下、ボイラ効率の低下という、プラント1の運転効率に影響を与える異常が2019年8月7日午後1時15分0秒に発生したことを認識することができる。同様にプラント1の運転員は、プラント1の運転効率に影響を与える他の異常の発生時を示す時間情報とその異常の内容を示す情報の履歴を認識することができる。
第2領域AR2のアラームは、プラント1の運転効率に影響を与える異常が発生したと判断された場合(将来、例えば、所定時間以内に、運転効率に影響を与える異常が発生すると判断された場合を含んでもよい。)に表示される。プラント1の運転効率に影響を与える異常は、噴破と同様に、単一のセンサから取得されるプロセスデータに基づいて異常と判断される場合と、所定のアルゴリズム(機械学習によって所定のモデルに従って動的に生成されるアルゴリズムを含む。)に従って複数のセンサから取得されるプロセスデータに基づいて異常と判断される場合を含む。なお、現時点において、異常が継続しているアラームを、例えば、赤字で表示し、異常が終了したアラームを、例えば、黒字で表示してもよい。
以上のとおりであるから、装置32は、プラント1の停止可能性を有する重大な異常と、プラント1の運転効率に影響を与える異常とを、異なる領域に異なる態様で同時に表示可能に構成されている。従って、運転員は、プラント1の停止可能性を有する重大な異常と、運転効率に影響を与える異常の双方を容易に認識することが可能となる。また、プラント1の停止可能性を有する重大な異常については、現在、そのような異常が生じているか否かを表示する一方で、運転効率に影響を与える異常については、異常の発生履歴を表示するように構成されている。従って、運転員は、第1領域を見ることによって、現在、重大な異常が生じているか否かを容易に認識することができる。また、第2領域を見ることによって、運転効率に影響を与える異常が複数回にわたって発生しているか否かを容易に認識することができる。運転効率に影響を与える異常については、異常の発生時を示す時間情報とこの異常の内容を示す情報とを発生時の順番に配列された状態で表示されるから、運転効率に影響を与える異常の発生頻度と、運転効率に影響を与える多様な異常(ボイラ以外のコンポーネントにおいて発生する異常を含む)の内容を、容易に把握することができる。なお、第1領域AR1には、プラント1の運転効率に影響を与える異常の履歴及びプラント1の停止可能性を有する重大な異常の履歴を表示しないことが好ましい。一般に運転員は、プラント1を含むプラントを適正に稼働させるために、極めて多数の事象及びパラメータを監視しなければならない。このため、効率的かつ迅速に、運転員にとって重要性の高い情報を伝え、重要性の低い情報を伝えないように、情報を表示することが好ましい。重要性の低い情報をあえて表示させないように構成することにより、運転員は、第1領域を見ることによって、現在、重大な異常が生じているか否かを容易に認識することが可能になる。
第1画面DP1の右下の第3領域AR3には、センサにより取得されたデータが異常値を示した回数を、センサごとに配列された態様で、異常の発生履歴が表示される。具体的には、「DCSアラーム集計」情報として、所定時間内、例えば、過去24時間以内に、DCS20により判断された異常の回数を、センサごとに集計し、降順に並べたパレート図が示されている。なお、図4における「アラーム1」、「アラーム2」等は、具体的なセンサの識別情報が表示されるように構成してもよい。例えば、アラーム1として、特定の位置に設けられたAEセンサの識別情報が表示されてもよい。また、アラーム1として、特定のセンサにより検出される項目名が表示されてもよい。例えば、アラーム1として、補給水流量u1を識別する情報が表示されてもよい。
DCS20は、単一のセンサから取得されるプロセスデータを所定の閾値と比較して、プロセスデータが閾値を超える異常値を示したときに、異常が発生したと判断するように構成されている。なお、DCS20は、所定のアルゴリズムに従って、複数のセンサから取得されたプロセスデータに基づいて異常の有無を判断するように構成されていない。
運転員は、第3領域AR3を見ることによって、異常の頻度が高いため、不具合に発展するリスクが大きい項目を認識することができる。
なお、運転員は、第2領域AR2に表示される「最新アラーム情報」又は第1領域AR1に表示される情報と、第3領域AR3に表示される「DCSアラーム集計」とを比較することにより、運転効率の異常の原因に関する情報を推測することが可能になる。例えば、第1領域AR1に「噴破」と表示されているときに、第3領域AR3に、ボイラに設置され噴破に影響を与える所定のセンサが多数回の異常を示していれば、そのセンサ付近で噴破の原因となる異常が発生したと推測することも可能になる。また、第2領域AR2に複数回に亘って「SH収熱量」の異常が発生しているときに、第3領域AR3に、火炉に設置され運転効率に影響を与える所定のセンサが多数回の異常を示していれば、そのセンサ付近で運転効率の低下原因となる異常が発生したとも推測することが可能になる。
第1画面DP1の左側中央であり、第1領域AR1と第2領域AR2の間のスペースには、第4領域AR4が設けられる。第4領域AR4には、「機器・コンポーネント別」情報として、プラント1を構成する複数のコンポーネントが表示される。また、運転効率に影響を与える異常が発生した可能性があるコンポーネントは、他のコンポーネントと異なる態様で表示される。
具体的には、プラント1のコンポーネントとして、「プラント」、「ボイラ」、「タービン」、「ジェネレータ」及び「補機」が表示される。「ボイラ」は、火炉2等、ボイラを構成する部品に相当する。「タービン」は、タービン100等、タービンを構成する部品に相当する。「補機」は、ポンプ7及びポンプ7a等、ボイラ等の主要部品には該当しない部品に相当する。また、「ジェネレータ」等、プラント1を構成し異常が発生する可能性が高い部品を適宜コンポーネントとして設定してもよい。また、運転効率に影響を与える異常の原因となるプロセスデータを特定し、これに基づいて、現時点において、異常が発生しているコンポーネント(例えば「ボイラ」及び「ジェネレータ」)を、例えば、赤色の背景色で表示し、異常が発生していないコンポーネント(例えば「プラント」及び「タービン」)を、例えば、緑色の背景色で表示し、稼働していないコンポーネント(例えば「補機」)を灰色で表示するように構成されている。更に、第2領域AR2に異常が継続しているアラームを赤字で表示し、第4領域AR4にそのアラームに対応するコンポーネントを赤の背景色で表示するようにして、運転効率に影響を与える異常の原因となるコンポーネントを容易に特定可能に構成してもよい。
運転員は、第4領域AR4を見ることによって、プラント1を構成するどのコンポーネントにおいて、運転効率に影響を与える異常が発生した可能性があるコンポーネントを容易に認識することができる。また、第2領域AR2と第4領域AR4を見ることによって、第2領域AR2に基づいて複数回の異常が発生しているにもかかわらず、現時点において、異常が継続しているコンポーネントを特定することができる。また、第2領域AR2のみでは、運転効率に影響を与える異常が発生した可能性があるコンポーネントを推測できない運転員であっても、第4領域AR4を見ることによって、そのようなコンポーネントを認識することが可能になる。
第1画面DP1の右上の第5領域AR5には、プラント1の運転実績を示す情報が表示される。例えば、第5領域AR5には、安定操業のために重要な指標を縦軸とし、横軸を時間とする一又は複数のトレンドグラフが表示される。図4においては、「ボイラ効率(損失法)[%-LHV]」、「発電端効率[%]」(「運転効率を示す情報」の一例)、「発電機電力[MW]」及び「送電電力[MW]」の4つのトレンドグラフが示されている。なお、第5領域AR5に表示する指標は、運転員によって、任意に選択されることができる。
以上のとおりであるから、第1画面DP1という限られた領域に、プラント1を操業するための情報を表示する際、プラント1に発生し得る様々な異常のうち、プラント1の停止可能性を有する異常については、他の異常を表示するための領域とは独立した領域である第1領域AR1に表示し、プラント1の運転効率に影響を与える異常については、第1領域AR1とは異なる第2領域AR2に表示するように構成した。運転効率については、発生履歴を表示するから、運転効率の全体傾向を把握することが可能になる。運転員は、停止可能性を有する異常の発生の有無と、運転効率に影響を与える異常の有無を、容易に認識することが可能になる。また、第3領域AR3には、各センサにより取得されたデータが異常値を示した回数を各センサごとに表示するため、停止可能性を有する異常及び運転効率に影響を与える異常の原因を推測することが可能になる。また、第4領域AR4に表示される情報によって、運転効率に影響を与える異常が発生した可能性があるコンポーネントを容易に認識することが可能になる。
また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。たとえば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、一部の構成要素を他の構成要素と置換することができる。また、本実施形態に示された装置32に、他の構成要素を追加してもよい。例えば、各領域AR1乃至AR4に表示される情報を入力部30eで選択することにより、その詳細情報を説明する画面に遷移できるように構成してもよい。
1 プラント、2 火炉、2a 燃料供給口、2b ガス出口、2c 給気ライン、2d 排出口、3 サイクロン、3a 排ガス流路、4 循環材回収管、4a ループシール部、5 後部煙道、6 炉壁管、7 ポンプ、7a ポンプ、8 蒸気ドラム、8a 降水管、8b 飽和蒸気管、10 過熱器、10a 管、12 節炭器、21 管、22 管、30 表示システム、30d 通信部、30e 入力部、30f 表示部、31 制御部、32 装置、100 タービン、102 復水器

Claims (6)

  1. プラントの状態を表示するための表示画面を備えた装置であって、
    前記表示画面の第1領域に、前記プラントの停止可能性を有する異常の発生を表示可能に構成し、
    前記表示画面の第2領域に、前記プラントの運転効率に影響を与える異常の発生履歴を表示可能に構成されており
    前記表示画面の第5領域に、前記プラントの運転効率を示す情報を表示可能に構成されている、
    装置。
  2. 前記第2領域に表示される前記異常の発生履歴は、この異常の発生時を示す時間情報とこの異常の内容を示す情報とを前記発生時の順番に配列された態様で表示される、
    請求項1に記載の装置。
  3. 前記プラントは、複数のセンサを備え、
    前記第2領域に表示される前記異常の発生履歴は、前記センサにより取得されたデータが異常値を示した回数を前記センサごとに配列された態様で表示される、
    請求項1に記載の装置。
  4. 前記プラントは、複数のセンサを備え、
    前記第2領域に表示される前記異常の発生履歴は、少なくとも2つの前記センサから取得されたデータに基づいて発生したと判断された異常の発生履歴と、単一の前記センサから取得されたデータに基づいて発生したと判断された異常の発生履歴と、を含む、
    請求項2に記載の装置。
  5. 前記プラントは、複数のコンポーネントから構成されており、
    前記装置は、
    前記表示画面の第4領域に、前記運転効率に影響を与える異常が発生した可能性がある少なくとも一つの前記コンポーネントを、他の前記コンポーネントと異なる態様で表示可能に構成されている、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の装置。
  6. プラントの状態を表示するための表示画面を備えた装置と、
    前記装置を制御する制御装置と、
    を備えるシステムであって、
    前記装置は、
    前記表示画面の第1領域に、前記プラントの停止可能性を有する異常の発生を表示可能に構成し、
    前記表示画面の第2領域に、前記プラントの運転効率に影響を与える異常の発生履歴を表示可能に構成し、
    前記表示画面の第5領域に、前記プラントの運転効率を示す情報を表示可能に構成されている、
    システム。
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