JP7419410B2 - 導電性複合糸 - Google Patents

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Description

本発明は、金属繊維と有機繊維を含む導電性複合糸、及びこれを用いた織編物に関する。
近年、織編物の一部に導電性繊維を含有させた導電性織編物がウェアラブルデバイスや静電気防止衣料などの用途に幅広く用いられている。導電性繊維としては、カーボンなどの微粒子を配合した繊維や、銅などの金属を繊維表面にコーティングした金属皮膜繊維、アルミニウムやタングステンなどからなる金属糸を複数本撚り合わせたものや、それらの金属糸と有機繊維を複合したものが知られている。
しかしながら、金属糸を用いた従来の導電性繊維は太くて硬いため、製織編が困難であったり、得られた織編物の風合いが硬く、また、織編物を染色した際に金属糸が染色されず、金属糸以外の繊維から浮き出て外観上目立つものとなってしまうという問題があった。そこで、特許文献1には直径の細い金属糸を芯部に配置し、有機繊維を鞘部にした、全体としてストレート状のカバーリングヤーンとすることで、製織編にした際にも風合いが柔らかく、染色が可能な織編物を得ることが提案されている。しかしながら、特許文献1の導電性繊維は芯部に無撚状態の金属糸を配置しているため、この導電性繊維を縫い込み、織編物として用いる際には、織編物の伸長時に前記金属糸が伸長方向に追随できず、切断する可能性が考えられる。そのため、一般的な組織の織編物や一般的な用途の織編物に用いることができたとしても、複雑な織組織や編組織とする場合や、電気が流れることが必須であるウェアラブルデバイス等の用途に用いることは困難であった。
特開2019-131900号公報
そこで、本発明は、導電性を有し、また、製織編をする際にも糸切れを生じにくく、ウェアラブルデバイス用途、中でもウェアラブル衣料用途の織編物に好適に用いることのできる導電性複合糸を得ることを技術的な課題とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、芯鞘構造の複合糸において、芯糸の外周を金属糸と有機繊維が巻回する構成とすることで、製織編した際にも金属糸の糸切れが生じにくく、導電性に優れるとともに適度な柔軟性を有する織編物が得られる導電性複合糸となることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)~()を要旨とするものである。
(1)芯糸と芯糸の外周を巻回する鞘糸からなる複合糸であって、前記芯糸が有機繊維A、前記鞘糸は金属繊維と有機繊維Bであり、金属繊維は金属のみから構成される繊維であり、鞘糸の金属繊維と有機繊維Bとは合撚されておらず、芯糸の有機繊維Aに対して鞘糸の金属繊維と有機繊維Bがそれぞれ同じ撚り方向に巻回し、かつ芯糸1mに対して金属繊維を250~600回、有機繊維Bを250~900回巻回するものであり、鞘糸の金属繊維と有機繊維Bの長さの比が、金属繊維/有機繊維B=1/1~1/1.5である導電性複合糸。
(2)前記金属繊維の直径が5~100μmである、(1)の導電性複合糸。
(3)初期とJIS L 0217(1995)103法に規定の洗濯方法に準じて10洗後の電気抵抗値の変化率が30%以下(絶対値)である、(1)又は(2)の導電性複合糸。
(4)(1)に記載の導電性複合糸を含有する導電性織編物。
本発明の導電性複合糸(以下、本発明複合糸と称することがある)は、製織編をした時にも糸切れが生じにくく、導電性に優れ、また、本発明複合糸を一部又は全部に用いた織編物は金属繊維が織編物の伸長に追随するため適度な柔軟性を有する。そのため、該織編物を伸長させた場合であっても金属繊維の切断による電気的導通の遮断が抑えられる。また、本発明複合糸は鞘糸に金属繊維と有機繊維の2種類を用い、金属繊維の露出部分が少ないため、製織編や、製織編後の染色加工によって得られた織編物の表面は、金属繊維による外観上の目立ちが少ないものとなる。そのため、本発明複合糸はウェアラブルデバイス用途、中でもウェアラブル衣料用途への素材として好適に使用できる。
本発明の導電性複合糸の形態の一実施態様を示す図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明複合糸は芯糸と芯糸の外周を巻回する2種の鞘糸からなる。芯糸としては、有機繊維(有機繊維A)を用いる。鞘糸としては、金属繊維と有機繊維(有機繊維B)の2種類の繊維を用いる。
[有機繊維]
本発明複合糸に用いる有機繊維(有機繊維A、Bともに)としては、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、パラ系アラミド、メタ系アラミド、ポリアリレート、ポリベンズオキサゾール等の合成繊維、水溶性ビニロンなどの水溶解性繊維、レーヨン等の再生繊維などが挙げられる。中でも肌触り性やソフトな風合いの観点から、天然繊維や水溶解性繊維を用いることが好ましく、天然繊維としては綿などのセルロース系繊維を用いた紡績糸を用いることが特に好ましく、水溶解性繊維としては水溶性ビニロンを用いることが特に好ましい。
水溶解性繊維は水または熱水を用いて溶解することができるものである。そのため、金属繊維と水溶性ビニロンを使用して複合糸にした場合、該複合糸を少なくとも一部に用いて製織編した後に水または熱湯を用いて水溶性ビニロンを(完全に、または一部)溶出除去することによって、金属繊維を外側に露出させ、金属繊維同士の接触面積を増やすことで、電気抵抗値をより低くすることができる。また、織編物を柔らかい風合いのものとすることができる。このような観点から、有機繊維として水溶解性繊維を用いる場合、鞘糸の有機繊維(有機繊維B)に使用することがより好ましい。
また、汎用性が高く機械的強度にも優れるという観点から、ポリエステルを用いることも好ましい。
また、複合糸とする際には、芯糸に用いる有機繊維Aと、鞘糸に用いる有機繊維Bは同じ種類のものであっても良いし、異なる種類のものであっても良い。
有機繊維の形態としては紡績糸、フィラメント糸、複合糸及びそれらを組み合わせた合糸などのいずれであってもよい。また、有機繊維は、仮撚加工が施されていない原糸であってもよく、仮撚加工糸であってもよい。また、原糸や仮撚加工糸を撚糸したものであってもよい。
有機繊維の横断面形状については特に限定されず、円形断面や異形断面、中空断面などのいずれであってもよい。
有機繊維には、付与すべき特性等に応じて、二酸化チタン、二酸化ケイ素、顔料等が含まれていてもよい。
有機繊維は、紡績糸やマルチフィラメントであることが好ましい。紡績糸である場合は、太さが10~100番手であることが好ましく、15~80番手がより好ましく、20~70番手がさらに好ましい。マルチフィラメントである場合は、単繊維繊度が0.3~10dtex、単繊維数が10~150本、総繊度が20~330dtexであることが好ましく、総繊度が20~170dtexであることがより好ましく、30~100dtexであることが特に好ましい。
芯糸に用いる有機繊維Aと鞘糸に用いる有機繊維Bの太さは、有機繊維Aが有機繊維Bの0.5~5倍程度であることが好ましい。
[金属繊維]
本発明複合糸に用いる金属繊維としては、銅、ニッケル、銀などの金属を繊維表面にコーティング、メッキ、金属蒸着又はスパッタリングすることによって得られる金属皮膜繊維や、アルミニウムやタングステンなどの金属(単体)からなる金属繊維、カーボンや導電性セラミック、金属などの微粒子を配合した繊維などの導電性を有する繊維が挙げられる。中でも本発明においては、導電性を高くする観点から金属単体からなる金属繊維を用いることが好ましい。
金属単体からなる金属繊維の材質として、金、銀、銅、黄銅、白金、鉄、鋼、亜鉛、錫、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、タングステン及びモリブデンを例示できる。中でも、耐食性及び強度に優れることから、タングステン、モリブデン及びステンレスから選ばれる少なくとも一つのフィラメントであることが好ましい。これらの金属は、単独または2種以上組み合わせて使用してもよい。また、2種類以上の金属からなる合金であってもよい。
また、本発明で用いる金属繊維としては、前述の金属繊維のモノフィラメント糸(例えば、金属単体からなる金属繊維のモノフィラメント糸(金属糸)や金属皮膜繊維のモノフィラメント糸など)を用いてもよく、金属繊維を複数種類、複数本撚りまたは引き揃えたマルチフィラメント糸を用いてもよい。
金属繊維のモノフィラメント糸1本を用いる場合は、モノフィラメント糸に撚り(片撚り)がかかっていないことが好ましい。金属繊維を複数種類、複数本組み合わせて用いる場合は、金属繊維を複数種類、複数本撚り合わせた(片撚りが施された)マルチフィラメント糸であることが好ましい。
本発明で用いる金属繊維としては金属を90%以上含有していることが好ましく、金属糸と金属糸以外の繊維(例えば化学繊維)とを含む複合繊維であってもよいが、中でも金属繊維の100%が金属から構成されることがより好ましい。
金属繊維の直径は5~100μmであることが好ましく、8~70μmであることがより好ましく、12~60μmであることがさらに好ましく、25~60μmであることが特に好ましい。5μm未満であると、本発明複合糸は導電性や強度に劣るものとなる。また、100μmを超えると、本発明複合糸を用いて製織編をするときに不良が生じやすいものとなる。さらに、得られた織編物の表面も金属繊維による外観上の目立ちが多く、柔軟性や風合いにも劣るものとなる。
金属性繊維(金属糸)の電気抵抗値としては、例えば、1×10-4~1×1010Ω/mであることが好ましく、1×10-3~1×10Ω/mがより好ましく、1×10-2~1×10Ω/mであることがさらに好ましい。
[複合糸]
本発明の導電性複合糸は芯糸と芯糸の外周を巻回する鞘糸からなるものである。
より具体的な本発明複合糸の形態としては、有機繊維Aからなる芯糸の外周に、金属繊維と有機繊維Bの2種類の鞘糸がS又はZ撚方向に巻回している。本発明複合糸は金属繊維と有機繊維の2種類を鞘糸に用いることを特徴とする。金属繊維と有機繊維の2種類が鞘糸として、有機繊維からなる芯糸に巻き付いている形態とすることで、本発明複合糸を用いた織編物に伸長が加わった場合にも、金属繊維が伸長方向に追随することが可能となる。その結果、該織編物は適度な柔軟性を有し、また、金属繊維の切断による電気的導通の遮断が抑えられるものとなる。
次に、巻回の好ましい形態について図面を用いて説明する。図1は1本の芯糸(有機繊維1)に対し、鞘糸として金属繊維2と有機繊維3が同じ撚方向に巻き付けられている複合糸の一実施態様である。具体的には、芯糸の有機繊維1に対して、S撚方向に金属繊維を巻き付け、さらにその上から同じくS撚方向に、金属繊維2を押さえつけるように有機繊維3を巻いている。すなわち、本発明複合糸は芯糸を中心として、芯糸の周りに鞘糸が同じ撚方向に巻き付けられているものであり、複合糸全体としては撚りがかかっていないものである。なお、有機繊維(AおよびB)にはS又はZ方向に片撚りがかかっていることが好ましく、また、前述したように金属繊維はモノフィラメント糸を用いる場合は片撚りがかかっていないことが好ましく、マルチフィラメント糸を用いる場合はS又はZ方向に片撚りがかかっていることが好ましい。
本発明においては、複合糸表面への金属繊維の飛び出しや、使用時の糸切れ、金属繊維の複合糸表面への過度の露出による外観上の審美性の低下を防ぐために、図1のように芯糸に巻き付けた金属繊維2を有機繊維3で押さえつける形態とすることが好ましい。なお、本発明複合糸において、2種類の鞘糸を芯糸に巻き付ける方法は後述する。
本発明複合糸は、鞘糸の金属繊維と有機繊維Bの長さの比を金属繊維/有機繊維B=1/1~1/1.5とするものである。有機繊維Bの長さの比は、中でも好ましくは1/1.02~1/1.2であり、より好ましくは1/1.04~1/1.15である。
鞘糸に金属繊維と有機繊維の2種類の繊維を用い、かつ、鞘糸の金属繊維と有機繊維Bの長さの比が上記範囲を満たすことにより、金属繊維の複合糸表面への飛び出しや、過度の露出による外観の審美性の低下を防ぐことができる。金属繊維と有機繊維Bの長さの比を上記範囲とするには、芯糸に対して、金属繊維よりも有機繊維Bの巻き付け回数を多くすることが挙げられる。芯糸に対して鞘糸を巻き付ける回数は、特に限定されないが、複合糸の繊度や伸度、目的とする導電性能に応じて適宜変更をすればよい。例えば芯糸1mに対して金属繊維を250~600回程度、有機繊維Bを250~900回程度巻き付けることが好ましい。
次に、本発明複合糸の芯糸への鞘糸の巻き付け方の一実施態様を説明する。
本発明複合糸は前述したように、芯糸に巻回する2種類の鞘糸として、図1のような有機繊維3で金属繊維2を押さえつける形態とすることが好ましい。そのため、巻き付け方としては、芯糸の有機繊維1に対して、先に金属繊維2を巻き付け、さらにその上から有機繊維3を金属繊維2を押さえつけるように巻くことが好ましい。
本発明複合糸の電気抵抗値は、ウェアラブルデバイス用途への素材として好適に使用するためには、1×10-4~1×1010Ω/mであることが好ましく、1×10-3~1×10Ω/mがより好ましく、1×10-2~7×10Ω/mであることがさらに好ましい。
本発明複合糸は、初期と、日本産業規格JIS L 0217(1995)の付表1の番号103に規定の洗濯方法(JIS L 0217(1995)103法)に準じて10洗後の電気抵抗値の変化率が絶対値で30%以内であることが好ましく、20%以内であることがより好ましく、特に10%以内であることが好ましい。初期と10洗後の電気抵抗値の変化率が30%以内であることにより、洗濯耐久性に優れた導電性を有することができる。本発明複合糸のような導電性能を有する糸は、例えばウェアラブル衣料の少なくとも一部に含有させて用いた際には、着用と洗濯を繰り返すことが多くなるため、繰り返し洗濯を行ったとしても導電性が安定していること、つまり洗濯による糸切れや金属繊維の損傷による導電性の低下が生じないことが要求される。
そして、本発明複合糸の電気抵抗値の変化率は、初期(洗濯前)と上記の洗濯・乾燥操作を10回行った後(10洗後)の複合糸の電気抵抗値を測定し、下記の計算式によって求めることができる。
電気抵抗値の変化率(%)=(洗濯前の電気抵抗値-10洗後の電気抵抗値)/洗濯前の電気抵抗値×100
本発明複合糸は、導電性に優れ、また洗濯耐久性に優れるものであるため、衣料、資材、電極、導電線などに有用であり、例えば織物や編物の一部として使用したり、組み紐や刺繍糸として用いることができる。組み紐として用いる場合には、圧電素子としても用いることができる。
[織編物]
本発明の導電性織編物(以下、本発明織編物と称することがある)は、本発明複合糸を少なくとも一部に含有する織物、または編物である。本発明織編物中に含まれる本発明複合糸の含有量は特に限定されず、使用用途に合わせて適宜選択すればよい。例えばウェアラブル衣料用途に使用する際は、導電性織編物中に本発明複合糸を5質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
本発明織編物は、特に組織など限定されない。織物としては、平、綾、朱子、パイル及びこれらの変化組織等が挙げられる。編物としては、経編物又は緯編物のいずれであってもよい。経編物としては、例えば、デンビー編、コード編、アトラス編等が挙げられ、具体的にはトリコットハーフ、トリコットサテン等が挙げられる。また、緯編物としては、例えば、平編、ゴム編、パール編、スムース編等が挙げられ、具体的には、天竺、鹿の子、スムース等が挙げられる。
本発明織編物を、本発明複合糸とその他の繊維とを組み合わせて製織や製編して得る場合、その他の繊維としては上記と同様の有機繊維が利用できる。また、その他の繊維としては、上記複合繊維の芯糸や鞘糸に用いた有機繊維と同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよいが、製織編や染色加工処理の際の工程を簡易なものとするために、同じ種類のものであることが好ましい。その他の繊維として用いる有機繊維の繊維形態、横断面形状、総繊度などは、特に限定されるものではなく、上記の複合糸の項において記載した有機繊維の繊維形態、横断面形状、総繊度などであればよい。
本発明織編物は通常の染色加工が可能である。本発明複合糸は、上記のような形態を有しており、織編物に含有させた場合であっても、金属繊維の飛び出しや露出が少ないものである。そのため、織編物に通常通りの染色を行った場合であっても、金属繊維による外観上の目立ちが少ないものとなる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)鞘糸の金属繊維と有機繊維Bのフィラメント長さ
得られた導電性複合糸30cmを試料として採集し、採取した試料を解撚後、鞘糸を構成する金属繊維及び有機繊維Bのフィラメント長さをJIS L 1095(2010)9.1に準じて計測した。
(b)導電性複合糸の電気抵抗値
初期(洗濯前)とJIS L 0217(1995)103法に規定の洗濯方法に準じて10回洗濯処理した後の導電性複合糸(20cm)に対し、抵抗値測定器(OHMデジタルマルチテスター TDB-401、オーム電機社製)を用いて、電気抵抗値を測定した。
なお、鞘糸に水溶性ビニロン(水溶解性繊維)を用いない導電性複合糸の10洗後の電気抵抗値は、導電性複合糸を布帛に縫い付けた状態で10洗したあと、布帛から取り外した導電性複合糸を試料として用いて、測定を行った。
また、鞘糸に水溶性ビニロン(水溶解性繊維)を用いた導電性複合糸の10洗後の電気抵抗値は、下記実施例3の記載に従い該導電性複合糸のみを使用して得られた編地を10洗した後に、編地から抜き出した導電性複合糸を試料として用いて、測定を行った。
(c)導電性複合糸の電気抵抗値の変化率
上記で測定した初期(洗濯前)と10洗後の導電性複合糸の電気抵抗値を用いて、下記の計算式より算出した。
変化率(%)=(洗濯前の電気抵抗値-10洗後の電気抵抗値)/洗濯前の電気抵抗値×100
(d)強度、伸度および切断伸度
得られた導電性複合糸を試料とし、島津製作所製オートグラフAGS-5kNGを用い、JIS L1013 (引張強さ及び伸び率)に準じて測定した。
(e)ヤング率
JIS-L-1013化学繊維フィラメント糸試験方法8.10「初期引張抵抗度」に従って、島津製作所製オートグラフAGS-5kNGを用い、試料長200mm、引張速度200mm/分にて測定した。
(f)布帛の染色性
実施例で得られた染色後の編物を用い、金属繊維による外観上の目立ちについて、以下の基準で目視による評価を行った。
〇:金属繊維による外観上の目立ちが少ない
×:金属繊維による外観上の目立ちが多い
(g)布帛の風合い
実施例で得られた染色後の編物を用い、以下の基準で官能評価を行った。
〇:肌触りが柔らかく、風合が良い
×:肌触りが硬く、風合に劣る
<実施例1>
下記の糸構成で芯糸と鞘糸を用意し、カバーリング撚糸機を用い、300回/m(S撚り)の条件で撚糸を行い、芯糸(1本)に鞘糸(2本)がカバーリングされた導電性複合糸(図1に示す形態のもの)を得た。
(糸構成)
芯糸
有機繊維A:綿(コットン)紡績糸 番手30/1×1本
鞘糸
金属繊維:タングステン 33μm×1本
有機繊維B:綿(コットン)紡績糸 番手30/1×1本
次に、得られた導電性複合糸を用いて、下記の構成で編物を得た。
得られた導電性複合糸のみを使用し、丸編機にてスムース組織として25ウェール/2.54cm、16コース/2.54cmの編地を得た後、常法により精練し、下記処方にて温度60℃で45分間染色を行った。染色後、常法によりソーピングを行った。
染料 Sumifix supra blue BRF:3%omf
助剤 ソーダ灰:20g/l
無水芒硝:60g/l
ソーピング後、編物を得た。
<実施例2>
糸構成として、金属繊維を、タングステン 50μm×1本に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性複合糸を得た。
次に、実施例1と同様にして編物を得た。
<実施例3>
糸構成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして導電性複合糸を得た。
(糸構成)
芯糸
有機繊維A:綿(コットン)紡績糸 番手20/2×1本
鞘糸
金属繊維:タングステン 13μm×1本
有機繊維B:水溶性ビニロン 31dtex/12f×1本
次に、得られた導電性複合糸を用いて、下記の構成で編物を得た。
得られた導電性複合糸のみを使用し、丸編機にてスムース組織として25ウェール/2.54cm、16コース/2.54cmの編地を得た後、常法により精練および水溶性ビニロンを溶解し、下記処方にて温度60℃で45分間染色を行った。染色後、常法によりソーピングを行った。
染料 Sumifix supra blue BRF:3%omf
助剤 ソーダ灰:20g/l
無水芒硝:60g/l
ソーピング後、編物を得た。
<実施例4>
糸構成として、芯糸の有機繊維Aを綿(コットン)紡績糸 番手60/2×1本に変更した以外は、実施例3と同様にして導電性複合糸を得た。
次に、実施例3と同様にして水溶性ビニロンが溶解した状態の編物を得た。
<実施例5>
糸構成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして導電性複合糸を得た。
(糸構成)
芯糸
有機繊維A:ポリエステルマルチフィラメント 84dtex/36f ×1本
鞘糸
金属繊維:タングステン 13μm×1本
有機繊維B:水溶性ビニロン 31dtex/12f×1本
次に、得られた導電性複合糸を用いて、下記の構成で編物を得た。
得られた導電性複合糸のみを使用し、丸編機にてスムース組織として25ウェール/2.54cm、16コース/2.54cmの編地を得た後、常法により精練および水溶性ビニロンを溶解し、下記処方にて温度130℃で30分間染色を行った。
染料 Dianix Blue UN―SE:1%omf
助剤 ニッカサンソルト:0.5g/l
酢酸:0.2cc/l
染色後、下記処方にて温度80℃で20分間還元洗浄を行った。
助剤 ハイドロサルファイト:1g/l
水酸化ナトリウム:1g/l
サンモールFL:1cc/l
還元洗浄後、編物を得た。
<実施例6>
糸構成として、金属繊維を、タングステン 33μm×1本に変更した以外は、実施例5と同様にして導電性複合糸を得た。
次に、実施例5と同様にして水溶性ビニロンが溶解した状態の編物を得た。
<実施例7>
糸構成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして導電性複合糸を得た。
(糸構成)
芯糸
有機繊維A:ポリエステルマルチフィラメント 84dtex/36f×1本
鞘糸
金属繊維:タングステン 13μm×1本
有機繊維B:ポリエステルマルチフィラメント 55dtex/144f×1本
次に、得られた導電性複合糸を用いて、下記の構成で編物を得た。
得られた導電性複合糸のみを使用し、丸編機にてスムース組織として25ウェール/2.54cm、16コース/2.54cmの編地を得た後、常法により精練し、下記処方にて温度130℃で30分間染色を行った。
染料 Dianix Blue UN―SE:1%omf
助剤 ニッカサンソルト:0.5g/l
酢酸:0.2cc/l
染色後、下記処方にて温度80℃で20分間還元洗浄を行った。
助剤 ハイドロサルファイト:1g/l
水酸化ナトリウム:1g/l
サンモールFL:1cc/l
還元洗浄後、編物を得た。
<実施例8>
糸構成として、鞘糸の有機繊維Bをポリエステル 84dtex/36f×1本に変更した以外は、実施例7と同様にして導電性複合糸を得た。
次に、実施例7と同様にして編物を得た。
<比較例1>
以下の導電糸を用いた。
(糸構成)
Agメッキ糸(大阪電気工業株式会社が販売する「ODEX」78dtex×1本)
次に、Agメッキ糸のみを使用し、丸編機にてスムース組織として25ウェール/2.54cm、16コース/2.54cmの編地を得た後、常法により精練して編物を得た。
実施例1~8で得られた導電性複合糸と編物、及び比較例1の導電糸と編物の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1~8で得られた導電性複合繊維は、本発明で規定する形態を有し、鞘糸の金属繊維と有機繊維Bの長さの比を満足するものであるため、導電性に優れており、洗濯による導電性の変化率も小さいものであった。また、得られた導電性織編物は通常の染色ができ、金属繊維の目立ちが少なく、風合いにも優れるものであった。
一方、比較例1の糸は、洗濯による導電性の変化率が大きいものであった。
1 有機繊維A
2 金属繊維
3 有機繊維B

Claims (4)

  1. 芯糸と芯糸の外周を巻回する鞘糸からなる複合糸であって、前記芯糸が有機繊維A、前記鞘糸は金属繊維と有機繊維Bであり、
    金属繊維は金属のみから構成される繊維であり、
    鞘糸の金属繊維と有機繊維Bとは合撚されておらず、
    芯糸の有機繊維Aに対して鞘糸の金属繊維と有機繊維Bがそれぞれ同じ撚り方向に巻回し、かつ芯糸1mに対して金属繊維を250~600回、有機繊維Bを250~900回巻回するものであり、
    鞘糸の金属繊維と有機繊維Bの長さの比が、金属繊維/有機繊維B=1/1~1/1.5である導電性複合糸。
  2. 前記金属繊維の直径が5~100μmである、請求項1に記載の導電性複合糸。
  3. 初期とJIS L 0217(1995)103法に規定の洗濯方法に準じて10洗後の電気抵抗値の変化率が30%以下(絶対値)である、請求項1又は2のいずれかに記載の導電性複合糸。
  4. 請求項1に記載の導電性複合糸を含有する導電性織編物。

JP2022004424A 2021-01-15 2022-01-14 導電性複合糸 Active JP7419410B2 (ja)

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