JP7418671B1 - 直流遮断器 - Google Patents

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Abstract

電線路(30)に対して直流リアクトル(25)と直列に接続された直流遮断器(100)は、直列接続されたN個(Nは2以上の整数)の遮断器ユニット(101~10N)と、コントローラ(105)とを備える。各遮断器ユニット(101~10N)は、並列接続された遮断器及び避雷器を含む。コントローラ(105)は、直流遮断器(100)に対する遮断指令(Strp)を検知したときに、N個の遮断器ユニット(101~10N)のうちのM個(Mは1以上N以下の整数)の遮断器ユニットに対して開放指令(S1~SN)を生成する。Mの値は、直流リアクトル(25)及びN個の遮断器ユニット(101~10N)の直列回路(150)の電線路側及び母線側の電圧の少なくとも一方に基づいて可変に設定される。

Description

本開示は、直流遮断器に関する。
世界的な洋上風力発電の急拡大、発電地域から需要地への長距離電力輸送等のニーズ等より、多端子高電圧直流(HVDC)送電の注目が高まっている。多端子HVDC送電では、系統事故が発生した際、大規模な停電を防ぐために、直流遮断器(DCCB)によって、事故が発生した線路を健全な線路から切り離す必要がある。
例えば、特開昭62-113326号公報(特許文献1)には、複数の転流スイッチ(遮断器)を直列接続するとともに、各転流スイッチと並列に酸化亜鉛等を主成分とする非線形抵抗を接続した直流遮断器の構成が記載されている。
特許文献1の直流遮断器によれば、転流スイッチを複数個直列接続することで、遮断可能な電圧(耐圧)を増大させて、HVDC送電等の高電圧用途への適性を高めることができる。
特開昭62-113326号公報
特許文献1では、直流遮断器の遮断動作時には、複数個の転流スイッチの各々をほぼ同時に開放することが記載されている。そして、並列接続された非線形抵抗によって、開放された各転流スイッチの極間に発生する過電圧が制限されることで、絶縁破壊を生じさせることなく遮断可能な直流遮断器が構成できることが記載されている。
しかしながら、多端子HVDCシステムでは、地絡・短絡事故において急激に立上る事故電流の傾きを緩和させる目的で直流リアクトルが直流遮断器に対して直列に接続される構成が採用されることがある。直流遮断器による遮断動作時に、直流遮断器の構成部品である避雷器によって抑制される電圧に起因して、直流遮断器及び直流リアクトルを含む周辺機器に高電圧が発生する虞がある。これにより、対地絶縁距離の確保によって機器が大型化することや構成機器の高耐圧化のためにコストが上昇することが懸念される。
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本開示の目的は、複数個の遮断器ユニットが直列接続される構成を有する直流遮断器において、遮断動作時における直流遮断器の対地電圧やその周辺機器に発生する過電圧を抑制することである。
本発明のある局面では、直流遮断器が提供される。電線路に対して直流リアクトルと直列に接続された直流遮断器は、直列接続されたN個(Nは2以上の整数)の遮断器ユニットと、第1及び第2の電圧検出器と、制御器とを備える。各遮断器ユニットは、並列接続された遮断器及び避雷器を含む。第1及び第2の電圧検出器は、直流リアクトル及びN個の遮断器ユニットの直列回路の母線側及び電線路側の電圧を測定する。制御器は、N個の遮断器ユニットの遮断器の開放指令を生成する。制御器は、直流遮断器に対する遮断指令を検知したときに、直列回路の母線側電圧及び電線路側電圧の少なくとも一方に基づいて、N個の遮断器ユニットのうちの可変に設定されるM個(Mは1以上N以下の整数)の遮断器ユニットの前記遮断器を開放する。
本開示によれば、複数個の遮断器ユニットが直列接続される構成を有する直流遮断器において、複数個の遮断器ユニットのうちの開放される個数を可変に制御することで、遮断動作時における直流遮断器の対地電圧やその周辺機器に発生する過電圧を抑制することができる。
本実施の形態に係る直流遮断器の適用例として示される多端子HVDC送電システムの構成例を説明する概念図である。 図1と対比されるHVDC送電システムの構成例を説明する概念図である。 直流遮断器の基本構成を示す概略的な回路図である。 図3に示された直流遮断器の動作波形図の一例である。 図3に避雷器の電流-電圧特性の一例を説明する概念図である。 高電圧化された直流遮断器の構成を示す概略的な回路図である。 図6に示された直流遮断器の閉状態の回路図である。 図6に示された直流遮断器の全数開放状態の回路図である。 図6に示された直流遮断器の一部開放状態の回路図である。 比較例に係る遮断動作の動作波形図の一例である。 本実施の形態に係る遮断動作の動作波形図の一例である。 本実施の形態に係る直流遮断器の構成を説明するブロック図である。 本実施の形態に係る直流遮断器の遮断動作を説明するフローチャートである。 図10に示された直流遮断器の正極遮断時における遮断器の開放個数の設定例を説明する第1の概念図である。 図10に示された直流遮断器の正極遮断時における遮断器の開放個数の設定例を説明する第2の概念図である。 図10に示された直流遮断器の負極遮断時における遮断器の開放個数の設定例を説明する概念図である。 本実施の形態に係る直流遮断器のバリエーションを説明する第1の図である。 本実施の形態に係る直流遮断器のバリエーションを説明する第2の図である。 本実施の形態に係る直流遮断器のバリエーションを説明する第3の図である。 本実施の形態に係る直流遮断器のバリエーションを説明する第4の図である。 図15Cでの遮断器の開放個数の設定例を説明する概念図である。 図15Dでの遮断器の開放個数の設定例を説明する第1の概念図である。 図15Dでの遮断器の開放個数の設定例を説明する第2の概念図である。 遮断動作時における通電方向の検出処理の詳細を説明する概念図である。
以下に、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
(直流遮断器の適用例)
図1は、本実施の形態に係る直流遮断器の適用例として示される多端子送電システムの構成例を説明する概念図である。
図1を参照して、多端子HVDC送電システム1Aは、送受電するHVAC系統10A~10D、電力変換するAC/DC変換器20A~20Dと、DC電力を伝送する電線路31~34とを備える。電線路31~34の各々は、ケーブル又は架空送電線によって構成することができる。
電線路31は、AC/DC変換器20A及び20Bの間を接続し、電線路32は、AC/DC変換器20A及び20Cの間を接続する。同様に、電線路33は、AC/DC変換器20C及び20Dの間を接続し、電線路34は、AC/DC変換器20B及び20Dの間を接続する。
多端子HVDC送電システム1Aでは、事故発生時に電力を遮断するための交流遮断器(ACCB)15A~15Dと、直流遮断器100A~100Hとが設けられる。交流遮断器15A~15Dは、HVAC系統10A~10DとAC/DC変換器20A~20Dとの間にそれぞれ接続される。
直流遮断器100A及び100Bは、電線路31の両端に配置される。具体的には、直流遮断器100Aは、AC/DC変換器20Aと電線路31との間に配置され、直流遮断器100Bは、AC/DC変換器20Bと電線路31との間に配置される。同様に、直流遮断器100C及び100Dは、電線路32の両端に配置され、直流遮断器100E及び100Fは、電線路33の両端に配置され、直流遮断器100G及び100Hは、電線路34の両端に配置される。
この様に、多端子HVDC送電システム1Aは、三カ所以上の電力変換器20(AC/DC変換器20A~20Dを総称するもの)の間を複数の電線路で接続することで、送電網を形成する。又、DC電力を伝送する各電線路31~34には、システム内で地絡・短絡事故発生時における事故電流の急激な立上りを緩和させる目的で、図示しない直流リアクトルが介挿接続されるケースが多い。この場合には、直流リアクトルは、各直流遮断器100(100A~100Gを総称するもの)に対して直列に接続される。
図2には、図1の多端子HVDC送電システム1Aと対比される二端子HVDC送電システム1Bの構成例が示される。
図2を参照して、二端子HVDC送電システム1Bは、二カ所のAC/DC変換器20A及び20Bの間を電線路30Xによって接続することで送電網を形成する。HVAC系統10AからのAC電力をHVAC系統10Bへ送電する場合、AC/DC変換器20Aは、電線路30Xへ出力されたDC電力をAC電力へ変換してHVAC系統10Bへ送電出力する。
二端子HVDC送電システム1Bでは、HVAC系統10A及び10Bと、AC/DC変換器20A及び20Bとの間に、交流遮断器15A及び15Bがそれぞれ配置される。事故時における事故電流遮断、又は、メンテナンス時における負荷電流遮断においては、交流遮断器15A及び15Bによって電流遮断して、AC/DC変換器20A及び20Bも停止させる。例えば、二端子HVDC送電システム1Bでは、電線路30Xに地絡等の事故が発生すると、交流遮断器15A,15Bが開放されて電線路30Xによる送電が停止されるので、完全に停電することになる。
再び図1を参照して、多端子HVDC送電システム1Aでは、各電線路31~34の両端に直流遮断器100が配置されているので、事故が発生した電線路のみを送電網から切り離すことができる。
例えば、電線路32に事故が発生した場合には、直流遮断器100C及び100Dを開放することで、電線路32を送電網から切り離すことができる。これにより、電線路31,33,34は正常送電できるので、図2の様な、システム全体に波及する大規模停電を回避することができる。一方で、直流遮断器100には、HVDC送電に対応する高電圧の遮断能力が求められることになる。
(直流遮断器の基本構成及び動作)
図3には、直流遮断器の基本構成を示す概略的な回路図が示され、図4には、図3に示された直流遮断器の動作波形図の一例が示される。
直流遮断器100は、図3に示される遮断器ユニット100Uを基本要素とする。遮断器ユニット100Uは、並列接続された、遮断器110及び避雷器120を含む。
図3を参照して、遮断器110が閉状態である定常時には、遮断対象であるライン電流Ilineは、経路P1に流れる。直流電流は交流電流と異なり、時間経過に応じた周期的な電流零点が形成されないため、他励発振方式や半導体方式等の方式で電流零点を遮断部に形成する必要がある。
図4の例では、時刻taにおいて遮断指令が発せられると、当該何れかの方式で電流ゼロ点が形成された時刻tbにおいて、遮断器110が開放される。時刻ta以前、及び、時刻ta~tb間では、図3の経路P1にライン電流Ilineが流れる。
遮断器110の開放による電流遮断後は、回路に残留する電磁エネルギーが過渡遮断電圧(TIV:Transient Interruption Voltage)として、開状態の遮断器110の極間に印加される。図4には、同じ時間軸上に、遮断器110の極間電圧に相当するVunit、及び、避雷器120で消散されたエネルギーWmrの概略的な波形図が示されている。
尚、以下では、遮断器110の閉状態を、遮断器ユニット100Uの閉状態とも称し、遮断器110の開状態及び開放を、遮断器ユニット100Uの開状態及び開放とも称することとする。
図5には、避雷器120の電流-電圧特性の一例が示される。避雷器120は、特許文献1での非線形抵抗に相当する。図4中のVunitは、図5に示された避雷器120の電流-電圧特性に従って、開状態の遮断器110の極間に印加される。
そして、遮断器110の極間に印加される電圧が、予め定められた制限電圧Vlimに達すると、回路電流は、図3の経路P2に転流されることになる。遮断器110開放後のTIVの最大値に相当する制限電圧Vlimは、一般的には、多端子HVDCシステム電圧の1.5倍程度に設定される。例えば、多端子HVDCシステム電圧(系統電圧)が1.0[pu]=320「kV]とすると、制限電圧Vlimは、一般的には、1.5[pu]=480「kV]程度に設定される。
これにより、遮断器110の極間電圧を系統電圧よりも高くすることで、避雷器120を介して流れるライン電流Ilineが限流されて、直流遮断器100の開放による電流遮断が完了する。
直流遮断器100が開放されるケースには、代表的には、事故時における事故電流遮断と、メンテナンス時における負荷電流遮断とが含まれる。図5中には、負荷電流遮断の際の避雷器120の動作点Aと、事故電流遮断の際の避雷器120の動作点Bとが併せて示される。負荷電流遮断時と事故電流遮断時との間で、遮断電流は異なるものの避雷器120に発生するTIVに大きな差は無いことが理解される。
図6には、直流遮断器を高電圧化するための構成例が示される。
例えば、直流遮断器100は、直列接続されたN個(N:2以上の整数)の遮断器ユニット101~10Nを含む様に構成されることにより、高電圧化が可能になる。遮断器ユニット101~10Nの各々は、図3に示された遮断器ユニット100Uと同等に構成される。
例えば、80[kV]定格の遮断器ユニットを4個直列接続することで(N=4)、定格320[kV]のHVDCシステムへ適用可能な直流遮断器100を構成することができる。以下、本実施の形態では、直流遮断器100は、N個の遮断器ユニット101~10Nの直列接続体を具備している。更に、遮断器ユニット101~10Nの各々の定格電圧のN倍が、系統電圧、即ち、1.0[pu]に相当し、遮断器ユニット101~10Nの各々の制限電圧VlimのN倍が、系統電圧の1.5[pu]に相当するものとして説明を進める。
図7Aには、図6の直流遮断器100の閉状態、即ち、遮断指令生成前の定常状態での回路図が示される。
図7Aを参照して、N個の遮断器ユニット101~10Nと、電力変換器20との間には、直流リアクトル25が接続される。即ち、電力変換器20間を接続する電線路30(図1の電線路31~34を総称するもの)に対して、直流遮断器100は、直流リアクトル25と直列に介挿接続されている。
定常時には、遮断器ユニット101~10Nの各々は閉状態である。従って、電線路30の電流は遮断されておらず、電線路30を流れるライン電流Ilineが発生している。図7Aの例では、電力変換器20から電線路30へ流れる電流方向を正方向(Iline>0)としている。
このとき、直流遮断器100の全体での極間電圧Vcbはゼロである。極間電圧Vcbは、N個の遮断器ユニット101~10Nのそれぞれの遮断器110における極間電圧の総和に相当する。
後程詳細に説明する様に、本実施の形態に係る直流遮断器100では、遮断指令の生成に応じた遮断動作において、N個の遮断器ユニット101~10Nのうちの、可変に設定されるM個(M:1≦M≦Nの整数)の遮断器ユニットが開放される。
図7Bには、直流遮断器100の遮断指令に応じた遮断動作による全数遮断状態を示す回路状態が示される。即ち、図7Bでは、M=Nの状態が示される。
M=Nの状態では、直流遮断器100の遮断指令に応じて、N個の遮断器ユニット101~10Nの全てが開放される。この結果、直流遮断器100極間電圧Vcbは、遮断器ユニット100U(図3)の制限電圧Vlim(図4)のN倍となる。
図7Cには、直流遮断器100の遮断動作による一部遮断状態を示す回路状態が示される。図7Cでは、特に、M=1の状態が示される。
M=1の状態では、直流遮断器100の遮断指令に応じて、1個の遮断器ユニット101のみが開放され、遮断器ユニット102~10Nは閉状態に維持される。この結果、直流遮断器100の極間電圧Vcbは、遮断器ユニット100U(図3)の制限電圧Vlim(図4)の1倍となる。
図7A~図7Cに共通に示される様に、以下では、各部の電圧として、直流遮断器100(N個の遮断器ユニット101~10N)と直流リアクトル25との直列回路150の両端について、電線路30側の第1端の対地電圧をライン電圧Vlと称するとともに、電力変換器20側、即ち、母線側の第2端の対地電圧を母線電圧Vbと称する。
更に、直流遮断器100(N個の遮断器ユニット101~10N)の両端のうち、直流リアクトル25と接続される第1端(ノードNx)の対地電圧を電圧Vxと称する。
(直流遮断器の遮断動作の比較例)
次に、直流遮断器100の遮断動作の比較例を説明する。当該比較例は、特許文献1に記載された様に、遮断指令に応じて、N個の遮断器ユニット101~10Nの全てを同時に開放するものである。即ち、直流遮断器100は、遮断指令を検知すると、どの様なケースであっても、図7Bに示された全数開放状態が形成される様に遮断動作を実行する。
図8には、比較例に係る遮断動作の動作波形図の一例が示される。図8(a)には、事故電流遮断時の動作波形図の一例が示される。
図8(a)を参照して、定常状態である時刻t0では、母線電圧Vb及びライン電圧Vlは、電線路30によって伝送される系統電圧の定格値相当の1.0[pu]であり、かつ、直流遮断器100は図7Aに示した定常状態であるので、N個の遮断器ユニット101~10Nの全てが閉状態である。従って、直流遮断器100の極間電圧Vcb=0であり、電圧Vx=1.0[pu]である。更に、ライン電流Ilineは、定常値に収束しており、直流リアクトル25の両端間に生じるリアクトル電圧Vdcr=0である。
時刻t0よりも後の時刻txにおいて、電線路30に地絡事故が発生する。これに応じて、事故の非発生側である母線電圧Vbは1.0[pu]に維持される一方で、事故側のライン電圧Vlは低下する。又、ライン電流Ilineが定常時から上昇する。
このとき、直流遮断器100は図7Aの状態のままであるので、電圧Vxについても、ライン電圧Vlと同様に低下する。これに応じて、直流リアクトル25の両端には、母線電圧Vbと、ライン電圧Vl(電圧Vx)との電圧差が印加されるので、リアクトル電圧Vdcrは1.0[pu]に上昇する。
時刻txで発生した地絡事故が図示しない過電流検出リレー等によって検知されると、直流遮断器100の遮断指令が生成される。直流遮断器100では、時刻t1において、当該遮断指令に応答して、図7Bに示した全数開放状態が形成される。即ち、N個の遮断器ユニット101~10Nの全数が開放される。
これに応じて、直流遮断器100の極間電圧Vcbが、各遮断器ユニット101~10Nの制限電圧Vlim(定格値の約1.5倍)の総和である1.5[pu]程度まで上昇することで、回路電圧が系統電圧よりも高くなる。即ち、Vlim・Nは約1.5[pu]である。これにより、ライン電流Ilineは、避雷器120に転流されることで徐々に減少し、最終的には、事故電流が遮断される(Iline=0)。この際に、Vl=0に対して、Vx=1.5[pu]程度まで上昇する(Vx=Vl+Vcb)ので、リアクトル電圧Vdcrは-0.5[pu]程度となる。
図8(b)には、比較例に係る遮断動作による負荷電流遮断時の動作波形図の一例が示される。例えば、事故が発生していない状況において、直流遮断器100に対してメンテナンスのための遮断指令が生成されることによって、負荷電流遮断のケースが発生する。
図8(b)を参照して、負荷電流遮断時には、地絡事故が発生していないため、母線電圧Vb及びライン電圧Vlの両方が1.0[pu]程度であり、両者の電圧差が小さい状態から、直流遮断器100に対して遮断指令が入力される。比較例では、直流遮断器100は、負荷電流遮断時にも、図7Bに示された全数開放状態が形成される遮断動作を実行する。
従って、時刻t1において、図8(a)と同様に、遮断指令に応答して、N個の遮断器ユニット101~10Nの全数が開放される(図7B)。これにより、直流遮断器100の極間電圧Vcbは、図8(a)と同様にVlim・N=1.5[pu]程度に上昇するので、ライン電圧Vlが約1.0[pu]であるのに対して、Vx=2.5[pu]程度に上昇する(Vx=Vl+Vcb)。この結果、リアクトル電圧Vdcrは、電圧Vx及び母線電圧Vbの電圧差に従って-1.5[pu]程度となる。
この様に、比較例では、負荷電流遮断の際に全数開放状態(図7B)を形成することで、電圧Vxが事故電流遮断時の1.5[pu]よりも高い、2,5[pu]程度まで上昇する。更に、直流リアクトル25の両端に印加される電圧差についても、0.5[pu]から1,5[pu]まで上昇する。
電圧Vxは、電流遮断時における直流遮断器100の対地電圧に相当するので、電圧Vx(対地電圧)の上昇に対応するための対地絶縁距離の確保、及び、直流リアクトル25の耐圧上昇に対応するために、機器の大型化及び高コスト化が懸念される。
(本実施の形態に係る直流遮断器の遮断動作)
上記の点を解消するために、本実施の形態に係る直流遮断器の遮断動作では、N個の遮断器ユニット101~10Nのうちの開放される遮断器ユニットの個数(開放個数M)が可変に制御される。具体的には、遮断指令の生成時において、直列回路150の両端に印加されている電圧が大きいときにはMを大きく制御する一方で、当該電圧が小さいときにはMは小さく制御される。
図9には、本実施の形態に係る遮断動作の動作波形図の一例が示される。図9(a)には、図8(a)と同様の事故電流遮断時における動作波形図が示される。事故遮断時時には、時刻txでの事故発生に応答した遮断指令の発生時において、ライン電圧Vlが低下しているので、直列回路150の両端の電圧、即ち、母線電圧Vb及びライン電圧Vlの電圧差が大きい。
このため、事故遮断時には、M=N、即ち、N個の遮断器ユニット101~10Nの全てを開放する様に、遮断指令に応じた制御が実行される。従って、図9(a)の時刻tx以降での波形図は、図8(a)と同様である。図8(a)で説明した様に、N個の遮断器ユニット101~10Nの全てを開放しても、Vxの最大値は1.5[pu]程度であり、リアクトル電圧Vdcrの絶対値も1.0[pu]より大きくならない。
図9(b)には、図8(b)と同様の負荷電流遮断時における動作波形図が示される。負荷電流遮断時時には、メンテナンス等のための遮断指令の発生時において、ライン電圧Vlは殆ど低下していないので、直列回路150の両端の電圧、即ち、母線電圧Vb及びライン電圧Vlの電圧差が小さい。この様なケースで、M=Nとして制御を行うと、図8(b)に示した様に、事故遮断時と比較して、電圧Vxが上昇するとともに、リアクトル電圧Vdcrの絶対値が増大してしまう。
このため、負荷電流遮断時には、M<Nとして、N個の遮断器ユニット101~10Nのうちの一部のみを開放する様に、遮断指令に応じた遮断動作が実行される。図9(b)には、M=1としたとき、即ち、遮断指令に応じて図7Cに示された回路状態が形成されたときの波形図が示される。
従って、図9(b)では、時刻t1において、1個の遮断器ユニット101のみが開放されるので(M=1)、直流遮断器100の極間電圧Vcbは、遮断器ユニット100Uの1個分の制限電圧Vlimとなり、図8(a)及び図9(a)でのVcbは、Vlim・Nとなる。即ち、図9(b)でのVcb=Vlimは、1.5[pu」に相当するVlim・Nの(1/N)倍に抑制される。
従って、時刻t1において、電圧Vxは、Vlim・M(ここではM=1)程度しか上昇しない。又、リアクトル電圧Vdcrについても、Vlim・M(ここではM=1)程度しか低下しない。
この結果、図9(b)では、図8(b)と比較すると、電圧Vxの上昇、及び、直流リアクトル25の両端に印加される電圧差の増大が抑制されることが理解される。これにより、対地絶縁距離の確保、及び、直流リアクトル25の耐圧上昇に対応するための、機器の大型化及び高コスト化を抑制することができる。
図10には、本実施の形態に係る直流遮断器の構成例を説明するブロック図が示される。
図10を参照して、本実施の形態に係る直流遮断器100は、直列接続されたN個の遮断器ユニット101~10Nと、コントローラ105と、電圧検出器116b、116x、116lと、電流検出器117とを備える。
上述の様に、N個の遮断器ユニット101~10Nは、直流リアクトル25と直列接続されて、直列回路150を構成する。直列回路150の両端のライン電圧Vl及び母線電圧Vbは、電圧検出器116l及び116bによってそれぞれ測定される。更に、N個の遮断器ユニット101~10Nと、直流リアクトル25との接続ノードの電圧Vxは、電圧検出器116xによって測定される。電圧Vxを測定することで、母線電圧Vbとの電圧差からリアクトル電圧Vdcrを測定することができる。
電圧検出器116b,116x,116lの各々は、例えば、分圧比が既知の分圧回路によって構成される。コントローラ105は、電圧検出器116b,116x,116lによる分圧電圧(測定値)Vb♯,Vx♯,Vl♯と、上記分圧比とを用いて、母線電圧Vb、ライン電圧Vl、及び、電圧Vxを取得することができる。即ち、電圧検出器116b,116lは、「第1の電圧検出器」及び「第2の電圧検出器」の一実施例に対応する。
電流検出器117は、ライン電流Ilineの大きさ及び方向を検出できる。例えば、電流検出器117は、シャント抵抗等によって構成することができる。
コントローラ105は、遮断器ユニット101~10Nの開放指令S1~SNを生成することができる。遮断器ユニット101~10Nは、開放指令S1~SNが生成されていないときには閉状態に維持される一方で、開放指令S1~SNの生成に応じて開放される。直流遮断器100に対する遮断指令Strpを受けると、当該遮断指令の検知時における、電圧及び電流情報を用いて、開放指令S1~SNの生成を制御する。即ち、開放指令S1~SNのうちの何個を生成するかによって、開放個数Mを可変に制御することができる。直流遮断器100の遮断時の極間電圧Vcbは、Vcb=M・Vlimで示されるので、開放個数Mによって、極間電圧Vcbが可変に制御される。
図11は、本実施の形態に係る直流遮断器の遮断動作を説明するフローチャートである。図11に示された制御処理は、コントローラ105によって実行される。
コントローラ105は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)100では、遮断指令が検知されたか否かを判定する。例えば、外部の過電流リレー(図示せず)によって事故の発生が検知されたとき、或いは、メンテナンスのための遮断指令がマニュアル入力されたときに、遮断指令Strpがコントローラ105に入力されることによって、S100はYES判定とされる。或いは、遮断指令は、コントローラ105が、ライン電流Iline等に基づいて自己生成することも可能である。遮断指令が検知されないときには、S110以降の処理は開始されない。
コントローラ105は、遮断指令が検知されると(S100のYES判定時)、S110により、各部の電流・電圧情報を取得する。例えば、図10に示された電圧検出器116b,116x,116l及び電流検出器117の測定値から、母線電圧Vb、ライン電圧Vl、電圧Vx、及び、ライン電流Ilineが取得される。
尚、S110では、母線電圧Vb、ライン電圧Vl、電圧Vx、及び、ライン電流Ilineのそれぞれについて、フィルタリングされた平滑値が取得されてもよい。
コントローラ105は、S120では、S110で取得されたライン電流Ilineの方向に基づいて、遮断する電流方向(即ち、遮断動作時の通電方向)を検出する。ステップS120では、ライン電流Ilineの方向が、電力変換器20から電線路30へ向かう場合には(Iline>0)、通電方向が線路方向であると検出される。例えば、電線路30に事故が発生した場合には、通電方向が線路方向であると検出される。
反対に、ライン電流Ilineの方向が、電線路30から電力変換器20へ向かう場合には(Iline<0)、通電方向が母線方向であると検出される。例えば、母線側(電力変換器20側)に事故が発生した場合には、通電方向が母線方向であると検出される。
又、図8(b)及び図9(b)で説明した負荷電流遮断時には、潮流及び逆潮流のいずれが生じているかによってライン電流Ilineの方向が変化する。このため、S120により、ライン電流Ilineの方向に応じて、通電方向が線路方向及び母線方向のいずれであるかが検出される。
更に、コントローラ105は、S200により、母線電圧Vb及びライン電圧Vlに基づいて、遮断動作における開放個数Nを設定する。この際に、遮断動作時の通電方向に応じて、開放個数Mを決定するためのロジックが切り換えられる。S200は、S210、S220、及び、S230を有する。
コントローラ105は、S210により、S120で検出された、遮断動作時の通電方向に応じて処理を分岐させる。具体的には、通電方向が線路方向のときには、S210をYES判定として、処理は、電線路30側へ向かう電流を遮断する正極遮断のためのS220に進められる。これに対して、通電方向が母線方向のときには、S210をYES判定として、処理は、母線側へ向かう電流を遮断する負極遮断のためのS230に進められる。
コントローラ105は、S220では、正極遮断の際のロジックに従って、開放個数Mを決定する。ここで、図12及び図13を用いて、正極遮断時の開放個数(M)の設定例を説明する。図10の直流遮断器の正極遮断では、直流リアクトル25から直流遮断器へ向かう方向の、直流リアクトル25を上流側とする電流(Iline)を遮断するので、電圧Vxの上昇に加えて、直流リアクトル25の端子間に印加されるリアクトル電圧Vdcr(Vdcr=Vb-Vx)の上昇についても考慮に入れて、開放個数Mを決定することが好ましい。
図12は、図10に示された直流遮断器の正極遮断時の開放個数(M)の設定例を説明する第1の概念図である。図12には、電圧Vxの過上昇を抑制するための開放個数(M)の設定例が示される。
図12の横軸には、ライン電圧Vlが示され、縦軸には、電圧VxのM個の遮断器ユニット開放後における上昇後の値が示される。図12の縦軸の電圧Vxは、図8(a)、図8(b)、図9(a)、及び、図9(b)内での時刻t1での電圧Vx(最大値)に相当する。
直流遮断器100において、直流リアクトル25のリアクトル電圧Vdcrと、ライン電圧Vl、母線電圧Vb、及び、遮断動作で生じる極間電圧Vcb(絶対値)との間には、正極遮断時の電流方向を考慮すると、Vx=Vl+Vcbの関係がある。
図12には、N=4の場合において、開放個数M=1~4のときの電圧Vxを示す特性線CLA1~CLA4がプロットされる。特性線CLA1~CLA4の各々は、遮断器ユニット1個分の制限電圧Vlim(図4)と開放個数Mとの積を切片とする、ライン電圧Vlの一次関数で示される。即ち、開放個数Mのときの電圧Vx(M)は、Vcbの大きさがM・Vlimであることを考慮して、下記の式(1)で示される。
Vx(M)=Vl+Vcb=Vl+M・Vlim …(1)
従って、電圧Vxの設計上限電圧Vmaxと、特性線CLA1~CLA4との交点に従って、Vx(M)<Vmaxを満たす範囲内で、Mが最大値となる様に、開放個数Mを決定することができる。設計上限電圧Vmaxは、例えば、1.5[pu]程度である。従って、以下では、Vlim=(1.5/4)[pu]とした、概略的な特性線が示される。設計上限電圧Vmaxは、「第1の許容上限電圧」の一実施例に対応する。
図12に示される様に、Vx=Vmaxと、式(1)に従う特性線CLA4~CLA1とのそれぞれの交点のx座標、即ちライン電圧Vlの値をそれぞれV0、V1、V2、及びV3とすると、0≦Vres≦V0の電圧範囲ではM=4に設定し、V0<Vl≦V1の電圧範囲ではM=3に設定することができる。同様に、V1<Vl≦V2の電圧範囲ではM=2に設定し、V2<Vresの電圧範囲ではM=1に設定することができる。
図13は、図10に示された直流遮断器の正極遮断時の開放個数(M)の設定例を説明する第2の概念図である。図13には、電圧Vdcrの過上昇を抑制するための開放個数(M)の設定例が示される。
図13の横軸には、図12と同様に、ライン電圧Vlが示され、縦軸には、リアクトル2VdcrのM個の遮断器ユニット開放後における上昇後の値が示される。図13の縦軸の電圧Vxは、図8(a)、図8(b)、図9(a)、及び、図9(b)内での時刻t1での電圧Vdcr(最大値)に相当する。図10において、Vdcr=Vb-Vxとして、これに上述のVx=Vl+Vcbを代入すると、リアクトル電圧Vdcrについては、下記の式(2)が成立する。
Vdcr=Vb-Vx=Vb-Vl-Vcb …(2)
図10における正極遮断時は、電力変換器20(母線側)を上流側とする電流方向であるので、遮断動作時の母線電圧Vbは定格値Vb*(例えば、1.0[pu])とみなすことができる。
従って、図13に示される様に、図12と同様のN=4の場合において、開放個数M=1~4のときのリアクトル電圧Vdcrを示す特性線CLB1~CLB4がプロットされる。
特性線CLB1~CLB4の各々は、上記式(2)において、母線電圧Vbの定格値に相当する定数Vb*(例えば、1.0[pu])と、Vcb=M・Vlimとによって定められる切片を有する、ライン電圧Vlの一次関数で示される。即ち、開放個数Mのときのリアクトル電圧Vdcr(M)は、下記の式(3)で示される。
Vdcr(M)=-Vl+(Vb*-M・Vlim) …(3)
従って、リアクトル電圧Vdcrの設計限界電圧±VXmaxと、特性線CLC1~CLC4との交点に従って、-VXmax<Vdcr(M)<VXmaxを満たす範囲内で、Mが最大値となる様に、開放個数Mを決定することができる。VXmaxは、例えば、1.0[pu」程度である。VXmaxは、「許容上限電圧」又は「第2の許容上限電圧」の一実施例に対応する。
例えば、リアクトル電圧Vdcrの設計限界電圧±VXmaxと、特性線CLB1~CLB4との交点に従って、-VXmax<Vdcr(M)<VXmaxを満たす範囲内で、Mが最大値となる様に、開放個数Mを決定することができる。図13に示されている、特性線CLC1及びCLC2のそれぞれと、設計限界電圧-VXmaxとの交点のx座標(即ち、ライン電圧Vl)の値をそれぞれVx及びVyとすると、Vl≦Vxの電圧範囲ではM=4に設定し、Vx<Vl≦Vyの電圧範囲ではM=3に設定することができる。又、Vl>Vyの電圧範囲ではM=2(又は、M=1)に設定することができる。
この様に、正極遮断時には、遮断する電流の下流側の電圧情報であるライン電圧Vlに基づいて、開放個数Mが求められる。概略的には、図12及び図13に共通する様に、ライン電圧Vlが低く、直列回路150の両端の電圧差が大きい状態から遮断するときには、開放個数Mを多くして電圧遮断能力を確保することができる(図9(a))。一方で、ライン電圧Vlが高く、直列回路150の両端の電圧差が小さい状態から遮断するときには、開放個数Mを少なくして直流リアクトルとN個の遮断器ユニット101~10Nとの接続ノードの電圧Vx、及び、直流リアクトル25の印加電圧の上昇を抑制することができる(図9(b))。
但し、図10の直流遮断器100の正極遮断は、直流リアクトル25を上流側とする電流を遮断するため、リアクトル電圧Vdcrが上昇する方向の電流遮断となる。このため、ライン電圧Vlと電圧Vxとの関係(図12)及びライン電圧VlとリアクトルVdcrの関係(図13)の両方に照らして、ライン電圧Vlに基づいて開放個数Mが設定されている。
具体的には、S220では、ライン電圧Vlに基づいて、図12を用いて、Vx<Vmaxを満たすN1が求められるとともに、図13を用いて、-VXmax<Vdcr<VXmaxを満たすN2が求められる。更に、これらの最小値を求めるための、N=min(N1,N2)の演算によって、正極遮断時の開放個数Nを設定することができる。
コントローラ105は、S230では、負極遮断の際のロジックに従って、開放個数Mを決定する。
図14には、図10に示された直流遮断器の負極遮断時の開放個数(M)の設定例を説明する概念図が示される。
尚、図10の直流遮断器の負極遮断では、直流遮断器100から直流リアクトル25へ向かう方向の、直流リアクトル25を下流側とする電流(Iline)を遮断するので、電圧Vxは低下する方向となる。従って、負極遮断時には、電圧Vxの上昇については考慮せず、リアクトル電圧Vdcrの上昇のみを考慮に入れて、開放個数Mを決定すればよい。
図14の横軸には、母線電圧Vbが示され、縦軸には、直流リアクトル25の両端間に生じるリアクトル電圧Vdcrが示される。
負極遮断時には、遮断する電流(Ilne)の方向が正極遮断時とは反対であるので、直流遮断器100の遮断時に生じる極間電圧Vcbの極性が、正極遮断時から反転される。従って、負極遮断時には、Vx=Vl-Vcbとなるので、これを上述のVdcr=Vb-Vxに代入すると、リアクトル電圧Vdcrについて、下記の式(4)が成立する。
Vdcr=Vb+Vcb-Vl …(4)
ここで、上述の様に、Vcb=M・Vlimである。更に、電線路30を上流側とする電流方向であるので、遮断動作時のライン電圧Vlは定格値Vl*(例えば、1.0[pu])と見なすことができる。
従って、図14に示される様に、図12及び図13と同様のN=4の場合において、開放個数M=1~4のときのリアクトル電圧Vdcrを示す特性線CLC1~CLC4がプロットされる。
特性線CLC1~CLC4の各々は、上記式(4)において、ライン電圧Vlを定格値に相当する定数Vl*と、Vcb=M・Vlimとによって定められる切片を有する、母線電圧Vbの一次関数で示される。即ち、開放個数Mのときのリアクトル電圧Vdcr(M)は、下記の式(5)で示される。
Vdcr(M)=Vb+(M・Vlim-Vl*) …(5)
従って、上述したリアクトル電圧Vdcrの設計限界電圧±VXmaxと、特性線CLC1~CLC4との交点に従って、-VXmax<Vdcr(M)<VXmaxを満たす範囲内で、Mが最大値となる様に、開放個数Mを決定することができる。
図14に示されている、式(5)に従う特性線CLC4及びCLC3のそれぞれと、設計上限電圧VXmaxとの交点のx座標(即ち、母線電圧Vb)の値をそれぞれVx′及びVy′とすると、Vb≦Vx′の電圧範囲ではM=4に設定し、Vx′<Vb≦Vy′の電圧範囲ではM=3に設定することができる。又、Vb>Vy′の電圧範囲ではM=2(又は、M=1)に設定することができる。
従って、負極遮断時においても、遮断する電流の下流側の電圧情報である母線電圧Vbに基づいて、開放個数Mが求められる。概略的には、図14に示される様に、母線電圧Vbが低く、直列回路150の両端の電圧差が大きい状態から遮断するときには、開放個数Mを多くして電圧遮断能力を確保することができる。一方で、母線電圧Vbが高く、直列回路150の両端の電圧差が小さい状態から遮断するときには、開放個数Mを少なくしてリアクトル電圧Vdcrの上昇を抑制することができる。この様に、負極遮断時には、母線電圧Vbとリアクトル電圧Vdcrとの関係に照らして、母線電圧Vbに基づいて開放個数Mが設定される。
再び図11を参照して、コントローラ105は、S220又はS230により、図12及び図13、又は、図14で説明した様に、遮断指令に応答する遮断器ユニットの開放個数Mを決定すると、当該決定に応じて、開放指令S1~SNの一部又は全部(即ち、M個分)を生成する。この様に、遮断動作時の通電方向に応じて選択された、遮断される電流の下流側の母線電圧Vb(正極遮断時)又はライン電圧Vl(負極遮断時)が低い程開放個数Mが多く設定される一方で、母線電圧Vb又はライン電圧Vlが高い程開放個数Mが少なく設定される。
この結果、本実施の形態に係る直流遮断器によれば、複数(N個)の遮断器110(図3)が直列接続される構成で、直流リアクトル25と直列接続されて用いられる場合に、開放される遮断器の個数(M)を可変制御することで、遮断動作時における電圧Vx(直流遮断器100の対地電圧)及びリアクトル電圧Vdcrの上昇を抑制することができる。この結果、遮断動作時における直流遮断器100の対地電圧やその周辺機器に発生する過電圧を抑制することができる。
この様に、遮断指令検知時の実際のライン電圧Vl及び母線電圧Vbの測定値を用いることにより、事故の発生状況、例えば、事故地点と直流遮断器100の配置地点との位置関係に応じて変わってくる電線路30上の電圧分布状態に対応して、直流遮断器100での開放個数Nを実際の状況に応じて適切に設定することができる。
次に、図15A~図15Dを用いて、本実施の形態に係る直流遮断器のバリエーションを説明する。
図15Aは、図8(a)、図9(a)、及び、図10と同様に、N個の遮断器ユニット101~10Nの電力変換器20側に直流リアクトル25が接続された構成において、電線路30に事故が発生したときの回路図が示される。このときは、電線路30に向かって流れる電流が遮断されるので、ライン電流Ilineの方向から遮断動作時の通電方向が線路方向と検出される。これにより、正極遮断時(S220)のロジック(図12及び図13)によって、ライン電圧Vlと電圧Vxとの関係、及び、ライン電圧VlとリアクトルVdcrの関係の両方に照らして、ライン電圧Vlに基づいて開放個数Mが設定される。
図15Bには、図15Aと同様の構成において、電力変換器20側で事故が発生したケースが示される。図15Bのケースにおいては、電力変換器20側に向かって流れる電流が遮断されるので、ライン電流Ilineの方向から遮断動作時の通電方向が線路方向と検出される。これにより、負極遮断時(S230)のロジック(図14)によって、母線電圧Vbとリアクトル電圧Vdcrとの関係に照らして、母線電圧Vbに基づいて開放個数Mが設定される。
図15C及び図15Dには、図15A及び図15Bとは反対に、N個の遮断器ユニット101~10Nの電線路30側に直流リアクトル25が接続された構成が示される。
図15Cには、電線路30に事故が発生したときの回路図が示される。図15Cでは、図15Aと同様に、電線路30側に向かって流れる電流が遮断される。従って、遮断動作時の通電方向が線路方向と検出されることにより、正極遮断時(S220)のロジックによって開放個数Mが設定される。
但し、図15Cの正極遮断では、図15Aの正極遮断とは異なり、直流リアクトル25を下流側とする電流(Iline)が遮断される。従って、図15Bの負極遮断と同様に、電圧Vxの上昇については考慮せず、リアクトル電圧Vdcrの上昇のみを考慮に入れて、開放個数Mを決定すればよい。
図16には、正極遮断となる図15Cでの遮断器の開放個数の設定例を説明する概念図である。
図15Cでは、通電方向により、リアクトル電圧Vdcrと、ライン電圧Vl、母線電圧Vb、及び、遮断動作で生じる極間電圧Vcbとの間の関係は、Vx=Vl+Vdcr、かつ、Vb=Vx+Vcbで示される。従って、リアクトル電圧Vdcrについては、下記の式(6)が成立する。
Vdcr=Vx-Vl=(Vb-Vcb)-Vl=-Vl+Vb-Vcb …(6)
従って、図16に示される様に、図12~図14と同様のN=4の場合において、開放個数M=1~4のときのリアクトル電圧Vdcrを示す特性線CLD1~CLD4がプロットされる。
特性線CLD1~CLD4の各々は、上記式(6)において、母線電圧Vbの定格値に相当する定数Vb*と、Vcb=M・Vlimとによって定められる切片を有する、ライン電圧Vlの一次関数で示される。即ち、開放個数Mのときのリアクトル電圧Vdcr(M)は、下記の式(7)で示される。
Vdcr(M)=-Vl+(Vb*-M・Vlim) …(7)
式(7)は、式(3)と同じであるので、図16の特性線CLD1~CLD4は、図13の特性線CLB1~CLB4と同様である。この様に、図15C(正極遮断時)では、S220(図11)では、図15A(正極遮断時)でのライン電圧Vlとリアクトル電圧Vdcrの関係のみに照らして、ライン電圧Vlに基づいて開放個数Mを設定することができる。
従って、図15Cでは、S220(図11)において、ライン電圧Vlに基づいて、図16を用いて、-VXmax<Vdcr<VXmaxを満たすNを求めることにより、正極遮断時の開放個数Nを設定することができる。
図15Dには、図15Cとは反対に、電力変換器20側に事故が発生したときの回路図が示される。図15Dでは、図15Bと同様に、電力変換器20側に向かって流れる電流が遮断される。従って、遮断動作時の通電方向が母線方向と検出されることにより、負極遮断時(S230)のロジックによって開放個数Mが設定される。
但し、図15Dの負極遮断では、図15Bの負極遮断とは異なり、直流リアクトル25を上流側とする電流(Iline)が遮断される。従って、図15Aの正極遮断と同様に、電圧Vxの上昇に加えて、直流リアクトル25の端子間に印加されるリアクトル電圧Vdcrの上昇についても考慮に入れて、開放個数Mを決定することが好ましい。
図17は、図15Dでの遮断器の開放個数の設定例を説明する第1の概念図である。図17には、電圧Vxの過上昇を抑制するための開放個数(M)の設定例が示される。
図15Dでは、電流方向を考慮すると、遮断動作で生じる極間電圧Vcbの向きが、図15Cから反転するので、Vdcr=Vb-Vl+Vcbで示される。これをVx=Vl+Vdcrに代入して、電圧Vxは、下記の式(8)で示すことができる。
Vx=Vl+Vdcr=Vb+Vcb …(8)
図17には、N=4の場合において、開放個数M=1~4のときの電圧Vxを示す特性線CLE1~CLE4がプロットされる。特性線CLE1~CLE4の各々は、遮断器ユニット1個分の制限電圧Vlim(図4)と開放個数Mとの積を切片とする、ライン電圧Vlの一次関数で示される。即ち、開放個数Mのときの電圧Vx(M)は、下記の式(9)で示される。
Vx(M)=Vb+M・Vlim …(9)
式(9)と式(1)との比較から、図17の特性線CLE1~CLE4は、図12の特性線CLA1~CLA4について、横軸をライン電圧Vlから母線電圧Vbに変更したものに相当することが理解される。
図18は、図15Dでの遮断器の開放個数の設定例を説明する第2の概念図である。図18には、電圧Vdcrの過上昇を抑制するための開放個数(M)の設定例が示されており、特に、図18には、N=4の場合において、開放個数M=1~4のときのリアクトル電圧Vdcrを示す特性線CLF1~CLF4がプロットされる。
上述の様に、図15Dでは、Vdcr=Vb-Vl+Vcbの関係があるので、特性線CLE1~CLE4の各々は、遮断器ユニット1個分の制限電圧Vlim(図4)と開放個数Mとの積を切片とする、母線電圧Vbの一次関数で示される。即ち、開放個数Mのときのリアクトル電圧Vdcrは、下記の式(10)で示される。
Vdcr(M)=Vb+(M・Vlim-Vl*) …(10)
式(9)は、式(5)と同じであるので、図18の特性線CLF1~CLF4は、図14の特性線CLC1~CLC4と同様である。
従って、図15Dでは、S230(図11)において、母線電圧Vbに基づいて、図17を用いて、Vx<Vmaxを満たすN1が求められるとともに、図18を用いて,-VXmax<Vdcr<VXmaxを満たすN2が求められる。更に、これらの最小値を求めるための、N=min(N1,N2)の演算によって、負極遮断時の開放個数Nを設定することができる。
この様に、図15C及び図15Dにおいても、遮断される電流の方向に基づいて、電流の下流側の電圧情報である、ライン電圧Vl(正極遮断時)又は母線電圧Vb(負極遮断時)を用いて、N個の遮断器ユニットのうちの開放個数M(M≦N)を適切に設定することができる。更に、遮断する電流が、直流リアクトル25を上流側及び下流側のいずれとする方向であるかに応じて、リアクトル電圧Vdcr及び直流遮断器100の対地電圧(電圧Vx)の過上昇を抑制することができる。
この様に、本実施の形態では、遮断する電流方向が、線路方向(電線路30側を下流とする正極遮断)及び母線方向(電力変換器20側を下流とする負極遮断)のいずれを下流側とするかの第1の情報と、直流リアクトル25を上流側及び下流側のいずれであるかを示す第2の情報と組み合わせに応じて、通電方向の下流側の電圧からMの値を決定するロジックを切換えることで、遮断動作時における電圧Vx(直流遮断器100の対地電圧)及びリアクトル電圧Vdcrの上昇を抑制することができる。
尚、開放個数Mの設定は、上述した図12~図14及び図16~図18の例に限定されるものではない。例えば、S110で取得されたライン電圧Vl及び母線電圧Vbに基づいて、直列回路150の両端の電圧差が大きいときにMを多くする一方で、小さいときにMを少なくする様に、電圧差と開放個数Mとの対応関係を予め規定してもよい。
(通電方向の検出処理)
又、図3及び図4で説明した様に、遮断指令の生成時点から実際に遮断器110(図2)が開放されるまでには時間遅れが発生する一方で、本実施の形態では、遮断する電流の方向に応じて開放個数Mを決定するためのロジック(S220,S230)が切換えられる。このため、遮断指令を検知した時点でのライン電流Ilineをそのまま用いて、図12のS120において通電方向(電流方向)を検出すると、実際に遮断器110が開放されるときとは反対に、通電方向を検出すること懸念される。
従って、S120では、図19を用いて説明する様に、実際の遮断時における電流予測値を用いて通電方向を検出することが好ましい。
図19は、遮断動作時における通電方向の検出処理の詳細を説明する概念図である。
図19を参照して、時刻taよりも前では、電力需給等により負のライン電流Iline、即ち、電線路30側から電力変換器20側の定常電流が生じている。この状態で、電線路30側に事故が発生したことに応じて、コントローラ105に入力される遮断指令Strpがローレベル(Lレベル)からハイレベル(Hレベル)に変化する。これにより、コントローラ105は、時刻taにおいて、遮断指令を検知する。
このケースでは、電線路30側に向かって流れる電流を遮断するので、時刻ta以降では、ライン電流Ilineは、正方向へ向かって変化して、時刻tcにおいて、方向が逆転する。この結果、実際に遮断器110が開放される時刻tdでは、通電方向は線路方向であるので、図12では、S210をYES判定として、正極遮断のロジック(S220)に従って開放個数Mを決定することが好ましい。
しかしながら、遮断指令Strpが発生される時刻taでのライン電流Ilineをそのまま用いてS120(図12)の検出処理を行うと、通電方向を母線方向と検出することにより、負極遮断のロジック(S230)に従って開放個数Mを決定することが懸念される。
従って、S120での通電方向の検出処理は、遮断指令Strpの検知後におけるライン電流Ilineの変化レートを算出し、時刻tdにおけるライン電流Ilineに相当する電流予測値Ishtの正/負に基づいて実行されることが好ましい。
例えば、時刻ta及びtbにおける電流検出器117による検出値Iline(ta)及びIline(tb)から電流変化レートKilnを下記の式(11)によって算出し、式(12)によって電流予測値Ishtを求めることができる。式(12)中のTdは、遮断指令Strpを検知してから実際に遮断器110が開放されるまでの時間遅れであり、遮断器ユニットのスペック値として予め定めることができる。
Kiln=Iline(tb)-Iline(ta)/(tb-ta) …(11)
Isht=Td・Kiln+Iline(ta) …(12)
S120では、式(5)で得られた電流予測値Ishtが正のとき(Isht>0)のときには、通電方向が線路方向であると検出する一方で、電流予測値Ishtが負のとき(Isht<0)のときには、通電方向が母線方向であると検出することができる。
図19に従って検出された通電方向を用いて、S200の処理を実行することで、遮断器110が実際に開放されるタイミングでの通電方向に従って開放個数Mを決定することができる。これにより、更に確実に過電圧を抑制することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1A,1B 送電システム、10A~10D HVAC系統、100U,101~10N 遮断器ユニット、15A~15D 交流遮断器、20 電力変換器、20A~20D AC/DC変換器、25 直流リアクトル、30,30X,31~34 電線路、100,100A~100H 直流遮断器、105 コントローラ、110 遮断器、116b,116l,116x 電圧検出器、117 電流検出器、120 避雷器、150 直列回路、CL1~CL4,CLX1~CLX4 特性線、Iline ライン電流、P1,P2 経路、S1~SN 開放指令(遮断器)、Strp 遮断指令(直流遮断器)、Vb 母線電圧、Vcb 極間電圧(直流遮断器)、Vdcr リアクトル電圧、Vl ライン電圧、Vlim 制限電圧、Vmax 設計上限電圧。

Claims (9)

  1. 電線路に対して直流リアクトルと直列に接続された直流遮断器であって、
    直列接続されたN個の遮断器ユニットを備え、
    前記Nは、2以上の整数であり、
    前記N個の遮断器ユニットの各々は、並列接続された遮断器及び避雷器を含み、
    前記直流遮断器は、
    前記直流リアクトル及び前記N個の遮断器ユニットの直列回路の母線側及び電線路側の電圧を測定するための第1及び第2の電圧検出器と、
    前記N個の遮断器ユニットの前記遮断器の開放指令を生成する制御器とを更に備え、
    前記制御器は、前記直流遮断器に対する遮断指令を検知したときに、前記直列回路の母線側電圧及び電線路側電圧の少なくとも一方に基づいて、前記N個の遮断器ユニットのうちの可変に設定されるM個の遮断器ユニットの前記遮断器を開放し、
    前記Mは、前記直流遮断器に対する遮断指令を検知したときの前記N個の遮断器ユニットの各々の前記遮断器が閉状態の下での前記母線側電圧及び前記電線路側電圧の少なくとも一方に応じて、1以上N以下の整数に決定される、直流遮断器。
  2. 前記電線路に流れる電流を測定するための電流検出器を更に備え、
    前記制御器は、前記遮断指令を検知したときに、前記電流検出器によって検出されたライン電流に基づいて遮断動作時の通電方向を検出するとともに、前記母線側電圧及び前記電線路側電圧のうちの、検出した前記通電方向の下流側となる一方の電圧に基づいて、前記一方の電圧が低い程前記Mの値を大きい値に設定するととともに、前記一方の電圧が高い程前記Mを小さい値に設定する、請求項1記載の直流遮断器。
  3. 前記制御器は、前記通電方向が前記直流リアクトルから前記直流遮断器へ向かう方向である場合には、前記M個の遮断器ユニットを開放したときの、前記直流リアクトルと前記N個の遮断器ユニットとの接続ノードの電圧が第1の許容上限電圧以下となり、かつ、前記M個の遮断器ユニットを開放したときの前記直流リアクトルの両端間のリアクトル電圧の絶対値が第2の許容上限電圧以下となる範囲内での前記Mの最大値となる様に、前記一方の電圧に基づいて前記Mの値を決定する、請求項2記載の直流遮断器。
  4. 前記制御器は、前記通電方向が、前記直流リアクトルから前記直流遮断器へ向かう方向である場合には、前記M個の遮断器ユニットを開放したときに、前記接続ノードの電圧が前記第1の許容上限電圧以下となる範囲内での前記Mの最大値である第1の数と、前記M個の遮断器ユニットを開放したときに、前記リアクトル電圧の絶対値が前記第2の許容上限電圧以下となる範囲内での前記Mの最大値である第2の数との最小値に、前記一方の電圧に基づいて前記Mの値を決定する、請求項3記載の直流遮断器。
  5. 前記制御器は、前記通電方向が前記直流遮断器から前記直流リアクトルへ向かう方向である場合には、前記M個の遮断器ユニットを開放したときの前記直流リアクトルの両端間のリアクトル電圧の絶対値が許容上限電圧以下となる範囲内での前記Mの最大値となる様に、前記一方の電圧に基づいて前記Mの値を決定する、請求項2記載の直流遮断器。
  6. 前記制御器は、前記遮断指令を検知したときに、前記電流検出器によって検出された前記ライン電流の方向に基づいて遮断動作時の通電方向を検出するとともに、前記通電方向が前記母線及び前記電線路のいずれを下流側とするかの第1の情報と、前記通電方向が、前記直流遮断器から前記直流リアクトルへ向かう方向及び前記直流リアクトルから前記直流遮断器へ向かう方向のいずれであるかを示す第2の情報と組み合わせに応じて、前記一方の電圧から前記Mの値を決定するロジックを切換える、請求項2記載の直流遮断器。
  7. 前記制御器は、前記遮断指令の検知時点での前記電流検出器による第1の検出値と、前記検知時点より後での前記電流検出器による第2の検出値とを用いて前記ライン電流の変化レートを算出するとともに、前記第1の検出値及び前記変化レートに基づいて前記遮断指令に応答して前記遮断器が実際に開放される時点での電流予測値を算出し、算出した前記電流予測値に従って前記通電方向を検出する、請求項2~6のいずれか1項に記載の直流遮断器。
  8. 前記制御器は、前記遮断指令の検知時における、前記第1及び第2の電圧検出器によって検出された、前記直列回路の前記母線側及び前記電線路側の電圧差が大きい程前記Mを大きい値に設定し、前記電圧差が小さい程前記Mを小さい値に設定する、請求項1記載の直流遮断器。
  9. 前記制御器は、事故電流を遮断するために前記遮断指令が生成されたときには、事故の非発生時の電流を遮断するために前記遮断指令が生成されたときと比較して、前記Mを大きい値に設定する、請求項1~6および8のいずれか1項記載の直流遮断器。
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