JP4120618B2 - 直流給電回路網の保護システム - Google Patents
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Description
このような電気システムには、短絡事故が発生したときの対策が施されている。従来方式では、回路網に配置した気中遮断器(ACB)或いはヒューズ等の保護装置により短絡事故時の保護が行われている(例えば特許文献1参照)。
また、低インピーダンス電路であるため、保護装置相互間で協調動作して個々が選択的に遮断動作することが困難である。これを図17乃至図19を用いて説明する。
図17に示すように、直流電源をなす蓄電池101を備える回路(主回路)に、動力系102が接続されており、その動力系102の前後には動力系保護装置として第1及び第2遮断器(気中遮断器又は超限流遮断器)111,112が配置されている。また、図17に示すように、主回路上に主回路保護装置として第3及び第4遮断器(気中遮断器又は超限流遮断器)113,114が配置されている。これら遮断器111〜114は、動力系回路の定格電流I1や主回路の定格電流I2に応じて選定されている。
一般的には、遮断器の過電流設定値は、定格電流を100%としたときの電流倍率で決定される。例えば、定格電流を100%としたとき、過電流検出開始電流が125%程度となり、過電流瞬時動作電流が500%程度となるように設定する。図18に示す保護動作特性は、動力系回路の定格電流I1が1kAであり、主回路の定格電流I2が10kAである場合の保護動作特性を示す。
この場合、図19に示すように、短絡発生直後に急峻な上昇を示す推定短絡電流が発生する。ここで、推定短絡電流とは、回路電圧を回路抵抗で除した流れるであろう短絡電流の最大値である。この推定短絡電流は、回路インピーダンスが小さいほど大きくなる。また、短絡発生直後の短絡電流の上昇は電流突進率(di/dt)で示され、この電流突進率は、回路インダクタンスLを回路抵抗Rで除した値(L/R)で決定される。よって、回路インダクタンスLが小さければ、短絡電流は急峻な上昇を示すことになる。
さらに、近年の電源容量増大に伴い、保護装置の遮断容量向上が望まれる。しかし、保護装置の遮断容量向上が技術的に限界である状況となっている。
これにより、短絡事故が発生しても直流給電回路網の全ての遮断装置が遮断動作してしまうことを防止できるので、直流給電回路網の短絡事故時の保護を図りつつ、システム全体が停電してしまうことを防止できる。
また、遮断装置のうち、少なくとも主回路と発電機との間に介装される遮断装置については、逆方向遮断動作電流値を正方向遮断動作電流値より小さい電流値としたことで、発電機の出力端の異常による僅かな逆方向電流の発生を速やかに検出して、速やかに回路を遮断することができる。
(1)構成の説明
図1は本発明が適用される直流給電回路網の電路系統図を示す。図2は図1の電路系統図に対応するインピーダンスマップを示す。
また、この回路網では、第1及び第2接続点a1,a2により第1動力3が接続されており、第3及び第4接続点a3,a4により第2動力4が接続されており、第5及び第6接続点a5,a6により第1発電機5が接続されており、第7及び第8接続点a7,a8により第2発電機6が接続されており、第9及び第10接続点a9,a10により電動機7が接続されている。これにより直流給電回路網が構成されている。
(B1又はB2)>M>(G1又はG2)>(MA1又はMA2)
これにより、各構成機器要素1〜7の電流規模の関係は次のような関係になる。
(B1又はB2)>M>(G1又はG2)>(MA1又はMA2)
そして、この回路網では、第1及び第2動力3,4並びに第1及び第2発電機5,6それぞれの前後に、第1乃至第8遮断器(気中遮断器)11〜18及び第1乃至第8超限流遮断器31〜38が設置されている。また、前記第1及び第2蓄電池1,2を備える回路上、第1接続点a1と第5接続点a5との間に、第9遮断器19及び第9超限流遮断器39を備え、第2接続点a2と第6接続点a6との間に、第10遮断器20及び第10超限流遮断器40を備え、第3接続点a3と第7接続点a7との間に、第11遮断器21及び第11超限流遮断器41を備え、第4接続点a4と第8接続点a8との間に、第12遮断器22及び第12超限流遮断器42を備え、第5接続点a5と第9接続点a9との間に、第13超限流遮断器43を備え、第6接続点a6と第10接続点a10との間に、第14超限流遮断器44を備え、第7接続点a7と第9接続点a9との間に、第15超限流遮断器45を備え、第8接続点a8と第10接続点a10との間に、第16超限流遮断器46を備えている。
なお、遮断器11〜18や超限流遮断器31〜46を備える一方で、個々の構成機器要素1〜7は、個別に保護装置を備えており、その保護装置によって独自に保護されている。
次に、第1乃至第16超限流遮断器31〜46(具体的には変流器31a〜46a)の過電流設定値を説明する。
第1乃至第16超限流遮断器31〜46に設定される過電流設定値は、第1乃至第16超限流遮断器31〜46に流れる正方向電流に対応する正方向過電流設定値と、第1乃至第16超限流遮断器31〜46に流れる逆方向電流に対応する逆方向過電流設定値とがあり、それら正方向過電流設定値及び逆方向過電流設定値の大きさが各回路の定格電流等の条件に応じて個別に設定されている。下記表1及び図3は、各回路の定格電流と、第1乃至第16超限流遮断器31〜46に設定される正方向過電流設定値(正方向設定値)及び逆方向過電流設定値(逆方向設定値)との関係を示す。
図1に示す正方向電流+Ib1,+Ib2は、蓄電池1,2の放電電流であり、正方向電流+Ig1,+Ig2は、発電機5,6の出力電流であり、正方向電流値Imは、電動機7の動力用電流であり、正方向電流+Ima1,+Ima2は、動力3,4の動力用電流である。また、逆方向電流−Ib1,−Ib2,−Ig1,−Ig2,−Ima1,−Ima2は、正方向電流+Ib1,+Ib2,+Ig1,+Ig2,+Ima1,+Ima2とは逆方向に流れる電流になる。例えば、逆方向電流−Ib1,−Ib2は、蓄電池1,2の充電電流又は回生電流である。ここで、充電電流は、発電機5,6により蓄電池1,2を充電する場合の電流であり、回生電流は、電動機7が減速やブレーキ動作時に発生して、蓄電池1,2に流れる電流である。
+I1aΣ=+Ib1−(+Ima1)=+I1bΣ
+I1cΣ=+I1bΣ+(+Ig1)
+I2aΣ=+Ib2−(+Ima2)=+I2bΣ
+I2cΣ=+I2bΣ+(+Ig2)
+Im=+I1cΣ+I2cΣ
また、逆方向電流−Im,−I1aΣ,−I2aΣ,−I1bΣ,−I2bΣ,−I1cΣ,−I2cΣは、前記正方向電流+Im,+I1aΣ,+I2aΣ,+I1bΣ,+I2bΣ,+I1cΣ,+I2cΣとは逆方向に流れる電流になる。例えば、逆方向電流−Im,−I1cΣ,−I2cΣは、蓄電池1,2への回生電流であり、逆方向電流−I1aΣ(−I1bΣ),−I2aΣ(−I2bΣ)は、充電電流や回生電流になる。
(2−1)第9乃至第12超限流遮断器39〜42の過電流設定値
第9乃至第12超限流遮断器39〜42は、蓄電池1,2から最大負荷電力の電動機7へ電力を供給する推進母線に設置した短絡保護用のものである。そして、この第9乃至第12超限流遮断器39〜42が設置されている回路の定格電流(I1a,I2a)を+12とすれば、第9乃至第12超限流遮断器39〜42の正方向過電流設定値I1aoc,I2aocを+15(=+12×1.2)程度に設定し、第9乃至第12超限流遮断器39〜42の逆方向過電流設定値I1aR,I2aRを−6(=+12×(−0.5))程度に設定する。
第13乃至第16超限流遮断器43〜46は、電動機7への電力供給回路の短絡保護用のものである。そして、この第13乃至第16超限流遮断器43〜46が設定されている回路の定格電流(I1c,I2c)を+9とすれば、第13乃至第16超限流遮断器43〜46の正方向過電流設定値I1coc,I2cocを+11(=+9×1.2)程度に設定し、第13乃至第16超限流遮断器43〜46の逆方向過電流設定値I1cR,I2cRを前記第9乃至第12超限流遮断器39〜42の逆方向過電流設定値I1aR,I2aRと同様に、−6程度に設定する。
(2−3)第5乃至第8超限流遮断器35〜38の過電流設定値
第5乃至第8超限流遮断器35〜38は、発電機5,6用の回路の短絡保護用のものである。そして、この第5乃至第8超限流遮断器35〜38が設定されている回路の定格電流(Ig1,Ig2)を+4とすれば、第5乃至第8超限流遮断器35〜38の正方向過電流設定値Ig1oc,Ig2ocを+6(=+4×1.5)程度に設定し、第5乃至第8超限流遮断器35〜38の逆方向過電流設定値Ig1R,Ig2Rを−0.4(=+4×(−0.1))程度に設定する。
第1乃至第4超限流遮断器31〜34は、動力(補機動力)3,4用の回路の短絡保護用のものである。そして、この第1乃至第4超限流遮断器31〜34が設定されている回路の定格電流(Ima1,Ima2)を+1.5とすれば、第1乃至第4超限流遮断器31〜34の正方向過電流設定値Ima1oc,Ima2ocを+2.2(=+1.5×1.5)程度に設定し、第1乃至第4超限流遮断器31〜34の逆方向過電流設定値Ima1R,Ima2Rを当該正方向過電流設定値Ima1oc,Ima2ocと絶対値で同値の−2.2程度に設定する。
次に短絡事故が発生した時の第1乃至第16超限流遮断器31〜46の遮断動作を説明する。
先ず、図4は、正常運転状態での電流の流れ方向(正方向の流れ方向)を示す。この図4中にて、実線として示す電流の矢印の方向(正方向の流れ方向)は正常運転状態での電流の流れ方向となる。また、点線として示す電流の矢印の方向(逆方向の流れ方向)は充電や回生時の電流の流れ方向となる。
ここで、点1BPは、第9超限流遮断器39と第5接続点a5との間の点であり、点1BNは、第10超限流遮断器40と第6接続点a6との間の点であり、点CPは第9接続点a9であり、点CNは第10接続点a10であり、点1APは、第1超限流遮断器31と第1動力3との間にある点であり、点1ANは、第2超限流遮断器32と第1動力3との間にある点であり、点1GPは、第5超限流遮断器35と第1発電機5との間にあり、点1GNは、第6超限流遮断器36と第1発電機5との間にある点である。以下の説明では、これら点1BP,1BN,CP,CN,1AP,1AN,1GP,1GNを短絡点1BP,1BN,CP,CN,1AP,1AN,1GP,1GNと言うことにする。
図5は、短絡点1BPと短絡点1BNとの間で短絡事故発生時の短絡電流の流れを電路系統図をベースに記載したものを示し、図6は、その電路系統図に対応するインピーダンスマップを示す。また、図7は、短絡点1BPと短絡点1BNとの間で短絡事故発生時の超限流遮断器での検出電流及び保護動作を示す。
IΣ=I1aΣ+I1bΣ
I1aΣ=Ib1+Ima1
I1bΣ=Ig1+I1cΣ
I1cΣ=Im+I2cΣ
I2cΣ=Ig2+I2bΣ
I2bΣ=Ib2+Ima2(=I2aΣ)
ここで、電流Ib1,Ib2は、正方向電流であり、それぞれ第1及び第2蓄電池1,2から短絡点1BP,1BNに向かう短絡電流となり、電流Ima1,Ima2は、逆方向電流であり、それぞれ第1及び第2動力3,4の電動機負荷等に起因して、短絡点1BP,1BNに向かう短絡電流となり、電流Ig1,Ig2は、正方向電流であり、それぞれ第1及び第2発電機5,6から短絡点1BP,1BNに向かう短絡電流であり、電流Imは、逆方向電流であり、電動機7から短絡点1BP,1BNに向かう短絡電流となる。例えば、短絡電流I1aΣは、第9遮断器19及び第9超限流遮断器39を通って短絡点1BP,1BNに流れる電流であり、或いは短絡点1BP,1BNから第10遮断器20及び第10超限流遮断器40に流れ込む電流である。
一方、第15及び第16超限流遮断器45,46の動作点、すなわち正方向短絡電流I2cΣ(正I2cΣ又は+I2cΣ)が当該第15及び第16超限流遮断器45,46の正方向過電流設定値I2cocである+11(同図の点f2)に達するまでの時間が、短絡発生から前記時間t1及びt2よりも後の時間t3となっている。
(3−2)短絡点CPと短絡点CNとの間で短絡事故が発生した場合(図8、図9、図10)
図8は、短絡点CPと短絡点CNとの間で短絡事故発生時の短絡電流の流れを電路系統図をベースに記載したものを示し、図9は、その電路系統図に対応するインピーダンスマップを示す。また、図10は、短絡点CPと短絡点CNとの間で短絡事故発生時の超限流遮断器での検出電流及び保護動作を示す。
IΣ=I1cΣ+I2cΣ
ここで、1号系の回路と2号系の回路の電気的定数及びインピーダンスが左右対称で同値であると仮定すれば、短絡電流I1cΣと短絡電流I2cΣとの関係は
I1cΣ=I2cΣ
となる。例えば、I1cΣについては下記式のようになる。
I1bΣ=Ib1+Ima1(=I1aΣ)
ここで、電流Ib1は、正方向電流であり、第1蓄電池1から短絡点CP,CNに向かう短絡電流となり、電流Ima1は、逆方向電流であり、第1動力3の電動機負荷等に起因して、短絡点CP,CNに向かう短絡電流となる。
これら各短絡電流の短絡事故発生時からの変化は図10に示すようになる。この図10に示すように各短絡電流が変化するとき、第13乃至第16超限流遮断器43〜46に流れる正方向短絡電流I1cΣ,I2cΣ(正I1cΣ又は+I1cΣ,正I2cΣ又は+I2cΣ)はともに、短絡発生から時間t1後にその第13乃至第16超限流遮断器43〜46の正方向過電流設定値I1coc,I2cocである+11に達し(同図の動作点f1に達し)、この時に第13乃至第16超限流遮断器43〜46が遮断動作を開始する。
また、第1乃至第4超限流遮断器31〜34の動作点、すなわち逆方向短絡電流Ima1,Ima2(逆Ima1又は−Ima1,逆Ima2又は−Ima2)が当該第1乃至第4超限流遮断器31〜34の逆方向過電流設定値Ima1R,Ima2Rである−2.2(同図の点r1)に達するまでの時間が、短絡発生から前記時間t1よりも後の時間t3となっている。
(3−3)短絡点1APと短絡点1ANとの間で短絡事故が発生した場合(図11、図12、図13)
図11は、短絡点1APと短絡点1ANとの間で短絡事故発生時の短絡電流の流れを電路系統図をベースに記載したものを示し、図12は、その電路系統図に対応するインピーダンスマップを示す。また、図13は、短絡点1APと短絡点1ANとの間で短絡事故発生時の超限流遮断器での検出電流及び保護動作を示す。
IΣ=Ib1+I1aΣ
I1aΣ=Ig1+I1cΣ(=I1bΣ)
I1cΣ=Im+I2cΣ
I2cΣ=Ig2+I2bΣ
I2bΣ=Ib2+Ima2(=I2aΣ)
ここで、電流Ib1,Ib2は、正方向電流であり、それぞれ第1及び第2蓄電池1,2から短絡点1AP,1ANに向かう短絡電流となり、電流Ima2は、逆方向電流であり、第2動力4の電動機負荷等に起因して、短絡点1AP,1ANに向かう短絡電流となり、電流Ig1,Ig2は、正方向電流であり、それぞれ第1及び第2発電機5,6から短絡点1AP,1ANに向かう短絡電流であり、電流Imは、逆方向電流であり、電動機7から短絡点1AP,1ANに向かう短絡電流となる。また、短絡電流I1aΣは、逆方向電流(逆I1aΣ又は−I1aΣ)である。
そして、このときの各短絡電流の短絡事故発生時からの変化は図13に示すようになる。この図13に示すように各短絡電流が変化するとき、第1及び第2超限流遮断器31,32に短絡電流IΣが流れ、その短絡電流IΣは、短絡発生から時間t1後にその第1及び第2超限流遮断器31,32の正方向過電流設定値Ima1ocである+2.2に達し(同図の動作点f1に達し)、この時に第1及び第2超限流遮断器31,32が遮断動作を開始する。
また、第15及び第16超限流遮断器45,46の動作点、すなわち正方向短絡電流I2cΣ(正I2cΣ又は+I2cΣ)が当該第15及び第16超限流遮断器45,46の正方向過電流設定値I2cocである+11(同図の点f2)に達するまでの時間が、短絡発生から前記時間t1よりも後の時間t4となっている。
以上のように、短絡点1APと短絡点1ANとの間で短絡事故発生時に、第1及び第2超限流遮断器31,32以外の第3乃至第16限流遮断器33〜46に先行して、当該第1及び第2超限流遮断器31,32が遮断動作を開始することで、第3乃至第16超限流遮断器33〜46が遮断動作する前に短絡点1AP,1ANが切り離される。これにより、短絡点1APと短絡点1ANとの間で短絡事故が発生しても、第3乃至第16超限流遮断器33〜46が遮断動作(保護動作)しないので、それら超限流遮断器に保護されている他の健全回路への給電を継続させることができ、システムの安全を確保することができる。
(3−4)短絡点1GPと短絡点1GNとの間で短絡事故が発生した場合(図14、図15、図16)
図14は、短絡点1GPと短絡点1GNとの間で短絡事故発生時の短絡電流の流れを電路系統図をベースに記載したものを示し、図15は、その電路系統図に対応するインピーダンスマップを示す。また、図16は、短絡点1GPと短絡点1GNとの間で短絡事故発生時の超限流遮断器での検出電流及び保護動作を示す。
IΣ=I1bΣ+I1cΣ
I1bΣ=Ib1+Ima1(=I1aΣ)
I1cΣ=Im+I2cΣ
I2cΣ=Ig2+I2bΣ
I2bΣ=Ib2+Ima2(=I2aΣ)
ここで、電流Ib1,Ib2は、正方向電流であり、それぞれ第1及び第2蓄電池1,2から短絡点1GP,1GNに向かう短絡電流となり、電流Ima1,Ima2は、逆方向電流であり、それぞれ第1及び第2動力3,4の電動機負荷等に起因して、短絡点1GP,1GNに向かう短絡電流となり、電流Ig2は、正方向電流であり、第2発電機6から短絡点1GP,1GNに向かう短絡電流であり、電流Imは、逆方向電流であり、電動機7から短絡点1GP,1GNに向かう短絡電流となる。
この図16に示すように各短絡電流が変化するとき、第5及び第6超限流遮断器35,36に短絡電流(合計電流)IΣが流れ、その短絡電流(合計電流)IΣは、短絡発生から時間t1後にその第5及び第6超限流遮断器35,36の逆方向過電流設定値Ig1である−0.4に達し(同図の動作点r1に達し)、この時に第5及び第6超限流遮断器35,36が遮断動作を開始する。
また、第15及び第16超限流遮断器45,46の動作点、すなわち正方向短絡電流I2cΣ(正I2cΣ又は+I2cΣ)が当該第15及び第16超限流遮断器45,46の正方向過電流設定値I2cocである+11(同図の点f2)に達するまでの時間が、短絡発生から前記時間t1よりも後の時間t4となっている。
また、第9乃至第12超限流遮断器39〜42の動作点、すなわち正方向短絡電流I1aΣ又はI1bΣ(正I1aΣ若しくは+I1aΣ又は正I1bΣ若しくは+I1bΣ),I2aΣ又はI2bΣ(正I2aΣ若しくは+I2aΣ又は正I2bΣ若しくは+I2bΣ)が当該第9乃至第12超限流遮断器39〜42の正方向過電流設定値I1aoc,I2aocである+15(同図の点f1,f3)に達するまでの時間が、短絡発生から前記時間t1よりも後の時間t3及びt5となっている。
(4)効果の説明
次に本実施形態における効果を説明する。
前述したように、回路網の要所に第1乃至第16超限流遮断器31〜46を配置し、その第1乃至第16超限流遮断器31〜46(具体的には変流器31a〜46a)の過電流設定値を正方向及び逆方向それぞれについて個別に設定(その値の大きさも含めて設定)している。具体的には、正常動作運転状態に回路網を流れる定格電流、充電電流又は回生電流で第1乃至第16超限流遮断器31〜46が遮断動作しないように、正方向過電流設定値及び逆方向過電流設定値を設定している。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前記実施形態では、短絡点1BP,1BN,CP,CN,1AP,1AN,1GP,1GNを特定して、その短絡点について短絡事故が発生した場合を説明した。しかし、これに限定されないことはいうまでもない。本発明は、他の部分で短絡事故が発生した場合にも適用できる。
3,4 動力
5,6 発電機
7 電動機
11〜22 遮断器(気中遮断器)
31〜46 超限流遮断器
31a〜46a 変流器(電流検出器)
31c〜46c 限流ヒューズ
Claims (1)
- 主回路に接続された、少なくとも蓄電池、発電機及び推進電動機を含む複数の電気機器と、当該複数の電気機器に対応させて配置され、かつ過電流を検出して遮断動作する遮断装置とを備えた電気推進船舶用の直流給電回路網を保護する直流給電回路網の保護システムにおいて、
前記遮断装置が設置されている回路における電流方向として推進電動機へ電力を供給する電流が流れる方向を正方向とするとともに、
前記遮断装置が過電流を検出して遮断動作するための遮断動作電流値の大きさを、当該遮断装置内を流れる正方向電流及び逆方向電流毎にそれぞれ正方向遮断動作電流値及び逆方向遮断動作電流値として個別に設定し、かつ、
前記正方向遮断動作電流値は、正常動作運転状態で、正方向に流れる定格電流によって前記遮断装置が遮断動作しないように設定するとともに、
前記逆方向遮断動作電流値は、正常動作運転状態で、発電機から蓄電池への充電電流又は推進電動機からの回生電流により前記定格電流とは逆の方向に流れる電流によって前記遮断装置が遮断動作しないように設定し、さらに、
前記遮断装置のうち、少なくとも前記主回路と前記発電機との間に介装される遮断装置については、逆方向遮断動作電流値を正方向遮断動作電流値より小さい電流値とした
ことを特徴とする直流給電回路網の保護システム。
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