本開示の一態様に係る入力装置は、第一電極と、第一電極を支持する支持体と、支持体に固定された固定体と、第二電極と、第二電極を第一電極に所定の間隔をあけて対向させた状態で保持し、回転または移動することで、第一電極に対して第二電極を移動方向で近付けるまたは遠退かせる移動体と、移動体に係合した状態で固定体に対して相対移動自在に固定体に保持された操作体であって、ユーザにより操作されることで、移動体を回転または移動させる操作体と、移動体と固定体との間に配置されて、支持体側への付勢力を移動体に付与する付勢部と、を備え、移動体は、移動体が移動する移動方向に直交する方向に凹んだ複数の凹部と当該方向に突出した複数の凸部とが移動方向に沿って連続的に交互に配列された凹凸構造を有し、付勢部は、付勢力を付与するための弾性体と、凹凸構造と弾性体との間に配置されて、移動体の移動に連動して弾性体を弾性変形させる押圧体と、固定体に固定され、弾性体及び押圧体を変動自在に保持する保持体と、を有し、支持体と、固定体と、移動体と、操作体と、弾性体と、押圧体と、保持体とは、透光性を有している。
これによれば、操作体に対してクリック感を付与するための構造である弾性体、押圧体及び保持体が透光性を有しているので、金属製のクリックバネを用いなくても、クリック感を実現しつつ、入力装置内部の透光性を高めることができる。
特に、入力装置をなす支持体、固定体、移動体、操作体、弾性体、押圧体及び保持体が透光性を有しているので、入力装置10全体として光学的な演出が可能となる。
また、保持体には、弾性体の弾性変形を受ける凹形状の逃げ部が形成されており、逃げ部は、弾性体を基準として押圧体とは反対側の部位に形成されている。
これによれば、弾性体の弾性変形を受ける凹形状の逃げ部が保持体に設けられているので、逃げ部の内部空間は弾性体が逃げるスペースとなる。このため、弾性体の弾性変形を促すことができ、厚みの薄い弾性体であってもスムーズに弾性変形及び弾性復帰をさせることができる。したがって、弾性体を薄型にすることが可能となる。
また、凹凸構造は、保持体によりも支持体により近く配置されており、凹凸構造上には、押圧体と弾性体とがこの順で並んでいる。
これによれば、凹凸構造上に押圧体と弾性体とがこの順で並んでいるために、弾性体を起因とした支持体へ向かう付勢力を、押圧体及び凹凸構造を介して移動体に付与することができる。したがって、移動体に対して、支持体に向かう付勢力を確実に付与することができる。
また、移動する凹凸構造に連動して押圧体は昇降することとなる。押圧体に対して光が照射されると、その昇降動作によって乱反射してチラツキが生じるおそれがある。本実施の形態では、弾性体の方が押圧体よりも外方に配置されているので、押圧体を起因としたチラツキも目立ちにくくなる。これにより、光学的な演出効果を高めることができる。
また、押圧体において凹凸構造と接する部位は凹凸構造に向かって膨らむように湾曲している。
これによれば、押圧体における凹凸構造に接する部位が凹凸構造側へ突出するように湾曲する形状であるので、押圧体を凹凸構造上で転動させることができる。
また、押圧体は、球体である。
これによれば押圧体が球体であるので、凹凸構造上で球体をスムーズに移動させることができ、スムーズな操作性を実現することが可能である。
また、第一電極は、基準電位電極と二組以上の送信電極及び受信電極とを有し、基準電位電極は、二組以上の送信電極及び受信電極のうちの少なくとも一組の送信電極及び受信電極に対して第二電極が近づいた結果、第二電極の少なくとも一部に対向し、二組以上の送信電極及び受信電極は、第一領域に配置された第一組の送信電極及び受信電極と、第二領域に配置された第二組の送信電極及び受信電極と、を含み、第一組の送信電極及び受信電極が第二電極に対して近付くまたは遠退く際の位相は、第二組の送信電極及び受信電極が、第二電極に対して近付くまたは遠退く際の位相と異なっている。
これによれば、第二電極は、第一電極に対して所定の間隔をあけて対向した状態で、回転または移動することで、少なくとも二組の送信電極及び受信電極に対して、移動方向で近付くまたは遠退く。このため、回転時または移動時には、第一電極と第二電極との間の電気的状態が変化する。この電気的状態の変化を検出すれば、第三電極がなくとも、第一電極と第二電極との相対的な移動量を検出することが可能となる。第一電極と第二電極とは、相対的な移動時においても所定の間隔をあけて対向しているので、摩擦が生じない。このため、第一電極と第二電極との損傷を抑制することができ、品質を長期的に維持することができる。
また、第一領域に配置された組の送信電極及び受信電極と、第二領域に配置された組の送信電極及び受信電極とが、第二電極に対して近付くまたは遠退く際の位相が異なっている。このため、第一組を起因とした電気的状態の変化と、第二組を起因とした電気的状態の変化とも異なる位相となる。この位相差を検出することで、回転の方向も検出することが可能である。
また、基準電位電極は、少なくとも一組の送信電極及び受信電極に対して第二電極が近付かない場合、第二電極の一部に対向していなくてもよい。
また、基準電位電極は、少なくとも一組の送信電極及び受信電極に対して第二電極が近付かない場合でも、第二電極の一部に対向してもよい。
また、少なくとも一組の送信電極及び受信電極に対して第二電極が近付くと、基準電位電極の第二電極に対向する部分の面積が増加してもよい。
[実施の形態]
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
[入力装置の構造]
図1は、実施の形態に係る入力装置10の概略構成を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る入力装置10の分解斜視図である。図3は、実施の形態に係る入力装置10を図2とは異なる方向から見た分解斜視図である。図4は、実施の形態に係る入力装置10の断面図である。具体的には、図4は、図1におけるIV-IV線を含む切断面を見た断面図である。以降の説明では、説明の便宜上、操作体50側を上方、タッチセンサ200側を下方として説明しているが、これはあくまで一例であり、入力装置10の設置態様(姿勢)によっては前述した位置関係とならない場合もあり得る。
図1~図4に示すように、入力装置10は、タッチセンサ200上に設置されており、ユーザにより回転操作されることでその回転移動の移動量を検出する装置である。具体的には、入力装置10は、支持体20と、固定体30と、移動体40と、操作体50と、付勢部60と、第一電極70と、第二電極80とを有している。
支持体20は、透光性を有した樹脂からなる基板である。本実施の形態では、支持体20は、タッチセンサ200の基板と共通化されている。このため、支持体20の一対の主面のうち、少なくとも一方の主面には、多点検出用の電極パターン(図示省略)と、入力装置10用の第一電極70とが形成され、支持されている。電極パターン及び第一電極70は、例えばITOからなる透明電極である。このように、第一電極70はタッチセンサ200の電極である。支持体20の主面は、例えばガラスなどの透光性部材からなるカバーレンズ21によって覆われている。第二電極80は、カバーレンズ21を挟んで第一電極70に対向する位置に配置されている。各層間においては、透光性を有する接着層(図示省略)が介在しており、各部材は接着層により接着されている。
ここで、タッチセンサ200の裏側には、画像を表示する画像表示部としての表示パネル300が配置されている。表示パネル300は、液晶パネルまたは有機ELパネルなどである。この表示パネル300とタッチセンサ200との間には、電気的な遮蔽層400が配置されている。つまり、遮蔽層400は、第一電極70における第二電極80とは反対側に配置されているとも言える。遮蔽層400は、入力装置10の裏側に配置された表示パネル300からの電気的なノイズを遮ることができる。このため、遮蔽層400は、少なくとも第一電極70の全体に重なる領域に配置されていればよい。しかし遮蔽層400は、第一電極70よりも広範囲に配置されていれば、より高いノイズ低減効果を発揮することが可能である。遮蔽層400は、例えばITOからなる透明電極である。
固定体30は、支持体20の主面上に固定された部材である。固定体30は、例えば透光性を有した樹脂によって円筒状に形成されている。固定体30における上端部には、一対の切り欠き31が互いに対向する位置に形成されている。固定体30における外周面の下部には、全周にわたって連続した環状凸部32が形成されている。
移動体40は、固定体30に対して回転をする部材である。移動体40は、例えば透光性を有した樹脂によって有底円筒状に形成されている。移動体40は、固定体30と同心となるように配置されている。つまり、移動体40の回転中心と、固定体30の中心とが同軸上に配置されている。
移動体40の上端部には、一対の切り欠き45が回転中心を挟んで互いに対向する位置に形成されている。移動体40の底側の外周には、全周にわたって外方に突出した鍔部41が設けられている。鍔部41の上面には、凹凸構造42が形成されている。凹凸構造42は、移動体40の移動方向(回転方向)に直交する方向に凹んだ凹部43と、当該方向に突出した凸部44とが複数、移動方向に沿って交互に連続的に配列されている。具体的には、凹部43は下方に向けて凹曲面状に凹んでおり、凸部44は上方に向けて凸曲面状に突出している。凹凸構造42の上面、つまり鍔部41の上面は、滑らかに波打った形状となっている。
移動体40の下面には、第二電極80が取り付けられている。第二電極80は、例えばITOからなる透明電極である。第二電極80と第一電極70との間にはカバーレンズ21が介在しており、第二電極80と第一電極70とが所定の間隔をあけて対向した状態となっている。つまり、移動体40は、第二電極80を第一電極70に対して所定の間隔をあけて対向させた状態で保持している。
移動体40は、操作体50がユーザによって操作されることに連動して回転をするが、この回転移動時においても、第二電極80と第一電極70とが所定の間隔をあけて対向した状態となっている。この移動体40の回転移動によって、第二電極80の一部が第一電極70に対して移動方向で近付くことまたは遠退くことを繰り返すこととなる。
操作体50は、移動体40に係合した状態で固定体30に対して相対移動自在に保持された部材である。操作体50は、ユーザにより操作されることで、移動体40を回転させる部材である。具体的には、操作体50は、例えば透光性を有する樹脂によって円筒状に形成されている。操作体50は、移動体40と同心となるように配置されている。つまり、操作体50の回転中心と、移動体40の回転中心と、移動体40の回転中心とが同軸上に配置されている。操作体50の上端部には、全周にわたって内方へと延設された円環状の天板部51が形成されている。
図5は、実施の形態に係る入力装置10の一部を拡大して示す断面図である。図5に示すように、天板部51は、固定体30と移動体40との間の空間を閉塞する蓋部である。天板部51の内周面は、移動体40の内周面に対して面一に配置されている。天板部51の下面は、内周部分511が外周部分512よりも上方となるような段差形状となっている。天板部51の外周部分512は、固定体30の上面に対して当接しており、これにより、操作体50における下方への移動が規制されている。一方、天板部51の内周部分511は、移動体40の上面から離間している。これにより、操作体50から移動体40に対して軸方向の力が付与されないようになっている。
天板部51の内周面には、固定体30の環状凸部32に係合する複数の爪部53が周方向に所定の間隔をあけて配置されている。爪部53は、天板部51の内周面から内方に向けて突出した部位である。爪部53は、固定体30の環状凸部32に対して軸方向視で重なるように、環状凸部32の下方に配置されている。操作体50が上昇して固定体30から離間しそうになったとしても、爪部53が環状凸部32に当接することで係止される。つまり、操作体50が固定体30から外れない構造となっている。また、爪部53と環状凸部32とは周方向には相互に規制しないために、操作体50は、固定体30に対して相対移動自在に保持されている。爪部53の下面は、下方に向かうにつれて外方へと傾斜した傾斜面であるので、操作体50を固定体30に組み付ける際には、当該傾斜面が環状凸部32によってガイドされることで操作体50がスムーズに弾性変形することとなる。爪部53が環状凸部32を通過すると、操作体50は元の形状に復帰する。
図4に示すように、天板部51の下面には、下方へと突出した一対の凸片52が互いに対向する位置に配置されている。凸片52は、移動体40の切り欠き45に嵌合している。これにより、操作体50の回転運動が凸片52及び切り欠き45を介して移動体40に伝達されて、当該移動体40が回転するようになっている。移動体40の切り欠き45は、操作体50の移動時に当該操作体50から作用力が付与される部位である。
図2~図5に示すように、付勢部60は、移動体40と固定体30との間に配置されて、移動体40に対して支持体20側への付勢力を付与する部位である。付勢部60は、切り欠き45とは異なる箇所に配置されている。これにより、操作体50からの作用力と、付勢部60からの付勢力とは、それぞれ異なる場所で独立して移動体40に付与されている。
具体的には、付勢部60は、保持体61と、弾性体62と、球体63とを有している。
保持体61は、固定体30に対して固定され、弾性体62及び球体63を変動自在に保持する部材である。具体的には、保持体61は、例えば透光性を有する樹脂によって円形状に形成された部材である。保持体61は、移動体40と同心となるように配置されている。つまり、保持体61の中心と、移動体40の回転中心が同軸上に配置されている。
保持体61の上端部には、固定体30の各切り欠き31に嵌合される一対の突起611が、回転中心を挟んで互いに対向する位置に形成されている。一対の突起611は、保持体61の外周面から外方に向けて突出している。この一対の突起611が固定体30の各切り欠き31に嵌合することで、保持体61が固定体30に対して固定される。
また、保持体61の下面には、下方が開放された一対のスリット612が形成されている。一対のスリット612は、一対の突起611とは異なる位置であって、回転中心を挟んで互いに対向する位置に配置されている。各スリット612内には、それぞれ弾性体62と球体63とが収容されている。つまり、弾性体62と球体63とは一対設けられている。各スリット612は、移動体40の鍔部41に重なる位置に配置されている。つまり、各スリット612は、移動体40の外周部分に重なっているために、各スリット612に収容された弾性体62及び球体63も移動体40の外周部分に重なっている。
図5に示すように、スリット612の上部は、上方に向かうほど先細りになる円錐台状に形成されている。この円錐台状の部分よりも下方には、弾性体62が取り付けられている。スリット612における弾性体62よりも上方の部分は、弾性体62が上方に向けて押圧された際の弾性変形を受ける逃げ部64である。逃げ部64は、上述した円錐台状に形成されているが、換言すると上方に向けて凹んだ凹形状に形成されている。この逃げ部64の内部空間は、弾性体62が逃げるスペースとなる。このようなスペースがあるために、弾性体62の弾性変形が促されて、弾性体62はスムーズに弾性変形及び弾性復帰することができる。また、逃げ部64が先細りの形状であるために、弾性体62の弾性変形を受けつつも、逃げ部64の周囲の肉厚を確保することができる。これにより、スリット612を起因とした保持体61の脆弱性を抑制することが可能である。
弾性体62は、例えば透光性を有する樹脂により形成された板体である。弾性体62は、他の部材(支持体20、固定体30、移動体40、操作体50、保持体61及び球体63)と比べて剛性が低い部材である。具体的には、弾性体62は、透光性を有するシリコン樹脂によって形成されている。なお、弾性体62は、弾性を有する透光性材料で形成されていてもよいし、透光性材料を用いて弾性を発揮する形状に形成されていてもよい。スリット612内において、弾性体62の下方には球体63が回転自在に配置されている。
球体63は、移動体40の移動に連動して弾性体62を弾性変形させる押圧体の一例である。球体63は、例えば透光性を有する樹脂により形成された球体である。球体63は、移動体40における凹凸構造42の上面に対して載置されている。このように、凹凸構造42上には、球体63、弾性体62及び保持体61がこの順で上方に並んでいる。この順で並んでいるために、弾性体62を起因とした支持体20へ向かう付勢力を、球体63及び凹凸構造42を介して移動体40に付与することができる。
具体的には、移動体40が固定体30及び保持体61に対して回転すると、球体63の直下においては、凹凸構造42の凹部43及び凸部44が交互に通過する。このため、球体63は、上下に変動する。
例えば、球体63の直下に凹部43がある状態では、図5に示すように、球体63は下降しており、弾性体62を押し上げていない。弾性体62は元の形状のままである。一方、球体63の直下から凹部43が離れていくと、球体63は、凹凸構造42の上面の波打ち形状に追従して徐々に上昇する。この上昇に伴って球体63は弾性体62を押し上げるため、弾性体62は弾性変形する。弾性体62が弾性変形すると、弾性体62が弾性復帰しようとするため、その復元力(付勢力)が球体63に対して作用する。これにより、球体63は、凹凸構造42を押し下げる。つまり、移動体40は、付勢部60から支持体20側への付勢力が付与されている。
図5の二点鎖線部は、球体63が凸部44の頂点上に載置された場合の球体63及び弾性体62を示している。この状態は、弾性体62が最も弾性変形した状態であり、移動体40が付勢部60から受ける付勢力が最も大きい状態である。移動体40の回転によって、凹部43の頂点から凸部44の頂点が球体63を通過するまでの間は、付勢力が増加する。一方、凸部44の頂点から凹部43の頂点が球体63を通過するまでの間は、付勢力が減少する。つまり、凸部44の頂点が球体63を通過する際には、付勢力が増加から減少に転じるため、この切替がクリック感として操作体50を介しユーザに伝達される。
ここで、付勢部60が移動体40に付与する付勢力は、各スリット612内の弾性体62及び球体63を起因としている。つまり、付勢部60は、移動体40の回転中心を挟む位置であって、移動体40の外周部分に重なる一対の位置のそれぞれから移動体40に対して付勢力を付与している。このため、移動体40に対してバランスよく付勢力を付与することができる。
なお、球体63の直下に凹部43がある状態においても、球体63が弾性体62を押し上げていてもよい。この場合、球体63は常に弾性体62からの付勢力を受けることとなる。つまり、移動体40は、付勢部60から常に支持体20側への付勢力が付与されている。
[第一電極及び第二電極]
次に、第一電極70及び第二電極80について詳細に説明する。図6は、実施の形態に係る第一電極70及び第二電極80を示す平面図である。図6では、第一電極70には、ドットハッチングを付しており、第二電極80は外形を破線で示している。前述したように、第一電極70は支持体20の主面に対して設けられており、第二電極80は移動体40の下面に対して設けられている。これら第一電極70と第二電極80とはカバーレンズ21を介することで所定の間隔をあけて対向した状態となっている。
図6に示すように、第一電極70は、グラウンド電極71と少なくとも二組の送信電極72及び受信電極73を有している。
グラウンド電極71は、基準電位電極の一例であり、第一グラウンド電極74(第一基準電極電位)と、第二グラウンド電極75(第二基準電位電極)とを有している。なお、基準電位電極は、グラウンド電位以外を基準電位とした電極であってもよい。第一グラウンド電極74は略円形状に形成されている。第二グラウンド電極75は、第一グラウンド電極74に対して所定の間隔をあけて囲むように形成されている。第一グラウンド電極74と第二グラウンド電極75との間の領域Rは、略環状に形成されている。この領域Rは、第一領域R1と、第二領域R2とに区画されている。第一領域R1は領域Rの左側略半分の領域であり、第二領域R2は領域Rの右側略半分の領域である。このように第一領域R1と第二領域R2とは同等の面積となっている。第一領域R1と第二領域R2の境界部分には、グラウンド電極71の一部が配置されている。具体的には、図6において上側の境界部分には、第二グラウンド電極75の一部が配置されている。図6において下側の境界部分には、第一グラウンド電極74の一部が配置されている。
また、領域Rには、複数組の送信電極72及び受信電極73が配置されている。具体的には、各組の送信電極72をなす送信導電パターン77は、領域R内で第一グラウンド電極74の外周に沿って配置されている。送信導電パターン77には、周方向に沿って複数の送信電極72が放射状に配列されている。各送信電極72は、外方に向けて延設された棒形状に形成されている。以降、複数の送信電極72のうち、第一領域R1に配置された送信電極72を第一送信電極721と称し、第二領域R2に配置された送信電極72を第二送信電極722と称す場合がある。
複数の第一送信電極721は、周方向に一定の間隔Hで配置されている。同様に、複数の第二送信電極722も周方向に一定の間隔Hで配置されているが、第二送信電極722は第一送信電極721と位相が異なっている。例えば、複数の第一送信電極721は、上側の境界部分を基準として左方向へ角度αだけずれた位置を起点に周方向に等間隔で配置されているとする。一方、複数の第二送信電極722は、上側の境界部分を基準として右方向へ、角度αよりも大きな角度βだけずれた位置を起点に周方向に等間隔で配置されている。
各組の受信電極73をなす一対の受信導電パターン781、782は、領域R内で第二グラウンド電極75の内周に沿って配置されている。一対の受信導電パターン781、782のうち、一方の受信導電パターン781は第一領域R1に配置されており、他方の受信導電パターン782は第二領域R2に配置されている。一方の受信導電パターン781及び他方の受信導電パターン782には、周方向に沿って複数の受信電極73が放射状に配列されている。各受信電極73は、内方に向けて延設された棒形状に形成されている。
以降、複数の受信電極73のうち、第一領域R1に配置された受信電極73を第一受信電極731と称し、第二領域R2に配置された受信電極73を第二受信電極732と称す場合がある。本実施の形態では、第一領域R1に第一送信電極721と第一受信電極731とが14組設けられ、第二領域R2には、第二送信電極722と第二受信電極732とが14組設けられている。
各第一受信電極731は、対となる第一送信電極721に対して周方向に一定の間隔Wで対向している。各第二受信電極732は、対となる第二送信電極722に対して周方向に一定の間隔Wで対向している。前述したように、第一送信電極721と第二送信電極722とは位相が異なっているために、第一受信電極731と第二受信電極732とにおいても位相が異なっている。なお、本実施の形態では、送信電極72が内方、受信電極73が外方に配置されている場合を例示したが、送信電極と受信電極との位置関係は逆でもよい。
第二電極80は、円状部81と、外輪部82と、複数の連結部83とを有している。円状部81は、円形の部位であり、平面視において第一グラウンド電極74に対して略全体的に重なっている。外輪部82は、円状部81に対して所定の間隔をあけて全周にわたって囲む、当該円状部81と同心円状の部位である。外輪部82は、平面視において第二グラウンド電極75に対して略全体的に重なっている。複数の連結部83は、本実施の形態では32本設けられている。複数の連結部83は、円状部81と外輪部82との間に配置されており、周方向に沿って等間隔で配列されている。具体的には、各連結部83は、周方向に間隔Hで配列されている。各連結部83は、径方向に沿った棒形状であり、円状部81と外輪部82とに対して連結されている。
第二電極80は、移動体40が回転に伴って回転する。この際、第二電極80は、第一電極70とは所定の間隔をあけたままで回転をする。回転時においては、各連結部83は、各送信電極72及び受信電極73に対して周方向で近付くことまたは遠退くことを繰り返す。このとき、第一領域R1に配置された各連結部83は、第一送信電極721と第一受信電極731との各組に対して均一な位置関係となる。第二領域R2に配置された各連結部83は、第二送信電極722と第二受信電極732との各組に対して均一な位置関係となる。しかしながら、前述したように第一送信電極721と第一受信電極731との各組と、第二送信電極722と第二受信電極732の各組とは位相が異なっている。このため、これらに対する各連結部83の近づきまたは遠退き時の位相も異なる。
図7は、実施の形態に係る第一電極70と第二電極80との位置関係を側方から見た模式図である。図7では、第一電極70の一組の第一送信電極721及び第一受信電極731を一括して図示し、一組の第二送信電極722及び第二受信電極732を一括して図示している。
図7の(a)では、第一状態を示している。第一状態とは、第一送信電極721及び第一受信電極731が第二電極80の連結部83に対して重畳する面積(重畳面積S1)と、第二送信電極722及び第二受信電極732が連結部83に対して重畳する面積(重畳面積S2)とが均等になる状態のことである。ここで、各組の送信電極72及び受信電極73は周方向に離れて配置されているが、この間の領域においても送信電極72及び受信電極73をなす領域とする。このため、当該領域も連結部83に対して重なっている場合は、重畳面積S1、S2に含まれるものとする。
図7の(b)では、第二状態を示している。第二状態とは、第一送信電極721及び第一受信電極731が連結部83から離間した距離L1と、第二送信電極722及び第二受信電極732が連結部83から離間した距離L2とが均等になる状態のことである。なお、「均等」とは完全に一致しているだけでなく、数%程度の微差を含んでいるものも含むものとする。つまり、実質的に均等であればよい。これは同等においても同様である。
第二電極80は、第一電極70に対して相対的に回転する。このため、第一状態から第二状態までの遷移と、第二状態から第一状態までの遷移とが繰り返し行われる。また、回転時においては、第二電極80の円状部81は、第一グラウンド電極74に対して常に対向しており、第二電極80の外輪部82も、第二グラウンド電極75に対して常に対向している。このため、第二電極80が回転している最中においても、円状部81と第一グラウンド電極74との電気的結合が強固となり、外輪部82と第二グラウンド電極75との電気的結合が強固となる。
ここで、送信電極72及び受信電極73と連結部83との間の電気容量は、重畳面積が最も大きい場合に小さくなる。逆に、送信電極72及び受信電極73と連結部83とが最も離れている場合には電気容量は大きくなる。各受信電極73からは、その時点での電気容量の変化量が電気信号として出力される。
[制御構成]
次に、入力装置10の制御構成について説明する。図8は、実施の形態に係る入力装置10の制御構成を示すブロック図である。図8に示すように、入力装置10は、第一電極70、タッチセンサ200及び表示パネル300に電気的に接続された制御部90を備えている。制御部90は、CPU、RAM、ROMを備えており、CPUがROM中に格納されたプログラムをRAMに展開して実行することで、各種処理を実行するようになっている。制御部90は、第一電極70の送信電極72に対して電力を付与し、受信電極73から受信した電気信号に基づいて、第一電極70に対する第二電極80の相対的な移動量を検出する。移動量の検出については、後述する。制御部90は、タッチセンサ200からの入力信号も受信しており、当該入力信号と、検出した移動量とに基づいて、表示パネル300の表示内容を制御する。
例えば制御部90は、表示パネル300における支持体20に重なる画素群の発光色を制御する。これにより、表示パネル300は、支持体20に向けて光を照射する。前述したように、入力装置10の各部材(支持体20、固定体30、移動体40、操作体50、付勢部60、第一電極70及び第二電極80)は透光性を有しているので、表示パネル300から照射された光は、各部材を導光する。このため、表示パネル300からの光により各部材に対して光学的な演出を施すことができる。
[移動量の検出]
次に、移動量の検出について説明する。図9は、実施の形態に係る入力装置10の移動量の検出を説明するための説明図である。図9の(a)は、回転時における第一電極70と第二電極80との容量変化を示している。具体的には、第一送信電極721及び第一受信電極731と連結部83とがなす容量変化を第一容量変化Q1とし、第二送信電極722及び第二受信電極732と連結部83とがなす容量変化を第二容量変化Q2としている。第一容量変化Q1と第二容量変化Q2とは、互いに位相が異なる波形となっている。第一容量変化Q1の点P11では、第一送信電極721及び第一受信電極731と連結部83との重畳面積が最も大きくなっており、点P12では、第一送信電極721及び第一受信電極731と連結部83とが離間した距離が最も大きくなっている。同様に、第一容量変化Q1の点P21では、第二送信電極722及び第二受信電極732と連結部83との重畳面積が最も大きくなっており、点P22では、第二送信電極722及び第二受信電極732と連結部83とが離間した距離が最も大きくなっている。
ここで、図9の(a)においては、点P10を入力装置10の機械的な動作原点としている。点P10は、第二状態に対応する箇所であり、第一容量変化Q1と第二容量変化Q2との交点の近傍である。なお、点P10において、第一容量変化Q1と第二容量変化Q2とが交差するように、第一容量変化Q1と第二容量変化Q2との少なくとも一方を較正してもよい。
図9の(b)は、回転時における電気的状態の変化を示している。ここで、電気的状態とは、第一容量変化Q1及び第二容量変化Q2のそれぞれの変化量である。この変化量を、制御部90内で電気信号として検出する。図9の(b)では、第一容量変化Q1の容量変化率(Δc/c)の波形を第一波形W1とし、第二容量変化Q2の容量変化率の波形を第二波形W2としている。制御部90は、第一波形W1及び第二波形W2のそれぞれにおいて所定の閾値以上の部分をON信号とし、所定の閾値未満の部分をOFF信号として区別する。その区別結果を示したのが図9の(c)である。図9の(c)では、第一波形W1に対する区別結果T1と、第二波形W2に対する区別結果T2とを示している。
動作原点(点P10)では、第一波形W1及び第二波形W2のそれぞれが、所定の閾値を基準として負側で発生しているために、これらの区別結果T1、T2も動作原点ではOFF信号で共通化されている。なお、仮に点P19を動作原点とした場合には、動作原点ではON信号とOFF信号とが混在し好ましくない。
制御部90は、第一波形W1及び第二波形W2のそれぞれがON信号となる部分を1単位あたりの移動量とする。本実施の形態では、この1単位あたりの移動量を1クリック分の移動量としている。
また、制御部90は、1単位あたりの移動量内において、第一波形W1が先にON信号を出力し、第二波形W2が後にON信号を出力する場合を「正転」と判断し、第二波形W2が先にON信号を出力し、第一波形W1が後にON信号を出力する場合を「逆転」と判断する。
なお、本実施の形態では、第二状態に対応する箇所を動作原点としている場合を例示したが、第一状態に対応する箇所を動作原点としてもよい。この場合においては、制御部90が、第一波形及び第二波形のそれぞれの正負で反転させて、ON信号及びOFF信号に区別すればよい。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る入力装置10は、第一電極70と、第一電極70を支持する支持体20と、支持体20に固定された固定体30と、第二電極80と、第二電極80を第一電極70に所定の間隔をあけて対向させた状態で保持し、回転することで、第一電極70に対して第二電極80を近付けるまたは遠退かせる移動体40と、移動体40に係合した状態で固定体30に対して相対移動自在に固定体30に保持された操作体50であって、ユーザにより操作されることで、移動体40を回転させる操作体50と、移動体40と固定体30との間に配置されて、支持体20側への付勢力を移動体40に付与する付勢部60と、を有し、移動体40は、移動体40が移動する移動方向に直交する方向に凹んだ複数の凹部43と当該方向に突出した複数の凸部44とが、移動方向に沿って連続的に交互に配列された凹凸構造42を有し、付勢部60は、付勢力を付与するための弾性体62と、凹凸構造42と弾性体62との間に配置されて、移動体40の移動に連動して弾性体62を弾性変形させる球体63と、固定体30に固定され、弾性体62及び球体63を変動自在に保持する保持体61と、を有し、支持体20と、固定体30と、移動体40と、操作体50と、弾性体62と、球体63と、保持体61とは、透光性を有している。
これによれば、操作体50に対してクリック感を付与するための構造である弾性体62、球体63及び保持体61が透光性を有しているので、金属製のクリックバネを用いなくても、クリック感を実現しつつ、入力装置10内部の透光性を高めることができる。
特に、入力装置10をなす支持体20と、固定体30と、移動体40と、操作体50と、弾性体62と、球体63と、保持体61とが透光性を有しているので、入力装置10全体として光学的な演出が可能となる。
また、凹凸構造42は、保持体61よりも支持体20により近く配置されており、凹凸構造42上には、球体63と弾性体62とがこの順で並んでいる。
これによれば、凹凸構造42上に球体63と弾性体62とがこの順で並んでいるために、弾性体62を起因とした支持体20へ向かう付勢力を、球体63及び凹凸構造42を介して移動体40に付与することができる。したがって、移動体40に対して、支持体20に向かう付勢力を確実に付与することができる。
また、移動する凹凸構造42に連動して球体63は昇降することとなる。球体63に対して光が照射されると、その昇降動作によって乱反射してチラツキが生じるおそれがある。本実施の形態では、弾性体62の方が球体63よりも外方に配置されているので、球体63を起因としたチラツキも目立ちにくくなる。これにより、光学的な演出効果を高めることができる。
また、移動体40の移動に連動して弾性体62を弾性変形させる押圧体は、球体63である。これによれば押圧体が球体63であるので、凹凸構造42上で球体63をスムーズに移動させることができ、スムーズな操作性を実現することが可能である。
また、入力装置10は、第一電極70と、第一電極70を支持する支持体20と、支持体20に固定された固定体30と、第二電極80と、第二電極80を第一電極70に所定の間隔をあけて対向した状態で保持し、回転することで、第一電極70に対して第二電極80を移動方向で近付けるまたは遠退かせる移動体40と、移動体40に係合した状態で固定体30に対して相対移動自在に保持された操作体50であって、ユーザにより操作されることで、移動体40を回転させる操作体50と、移動体40と固定体30との間に配置されて、支持体20に向かう付勢力を移動体40に付与する付勢部60と、を有する。
これによれば、付勢部60が支持体20に向かう付勢力を移動体40に付与しているので、支持体20に支持された第一電極70を、移動体40に保持された第二電極80に向けて押し付けることができる。これにより、移動体40の移動時においても、第二電極80が第一電極70に押し付けられて、これらの間隔が一定に保たれる。このため、第一電極70と第二電極80との間の電気的状態の変化を確実に検出することができる。したがって、入力装置10における電気的状態の変化の感度を維持することができる。
また、移動体40には、移動時に操作体50から付与される作用力と、付勢部60から付与される付勢力とが独立して付与されている。
これによれば、移動時に操作体50から付与される作用力と、付勢部60から付与される付勢力とが独立して移動体40に付与されているので、作用力と付勢力とを移動体40の異なる場所に作用させることができる。したがって、スムーズに移動体40を移動させることができる。移動体40の移動がスムーズになるので、第一電極70及び第二電極80に対する摩擦も抑制することができる。
また、移動体40は、当該移動体40が移動する移動方向に直交する方向に凹んだ複数の凹部43と当該方向に突出した複数の凸部44とが移動方向に沿って連続的に交互に配列された凹凸構造42を有し、付勢部60は、付勢力を付与するための弾性体62と、凹凸構造42と弾性体62との間に配置されて、移動体40の移動に連動して弾性体62を弾性変形させる球体63と、固定体30に固定され、弾性体62及び球体63を変動自在に保持する保持体61と、を有する。
ここで、移動体40の移動によって、凹凸構造42の凹部43の頂点から凸部44の頂点が球体63を通過するまでの間は、弾性体62から受ける付勢力が増加する。一方、凸部44の頂点から凹部43の頂点が球体63を通過するまでの間は、弾性体62から受ける付勢力が減少する。つまり、凸部44の頂点が球体63を通過する際には、付勢力が増加から減少に転じるため、この切替をクリック感としてユーザに伝達することができる。
また、保持体61には、弾性体62の弾性変形を受ける凹形状の逃げ部64が形成されており、逃げ部64は、保持体61において弾性体62を基準として球体63とは反対側の部位に形成されている。
これによれば、弾性体62の弾性変形を受ける凹形状の逃げ部64が保持体61に設けられているので、逃げ部64の内部空間は弾性体62が逃げるスペースとなる。このため、弾性体62の弾性変形を促すことができ、厚みの薄い弾性体62であってもスムーズに弾性変形及び弾性復帰をさせることができる。したがって、弾性体62を薄型にすることが可能となる。
また、移動体40及び操作体50は、回転中心を中心に回転し、付勢部60は、移動体40の回転中心を挟み、かつ、移動体40の外周部分に重なる一対の位置から移動体40に付勢力を付与する。
これによれば、一対の付勢部60が、移動体40の回転中心を挟む位置であって、移動体40の外周部分に重なる一対の位置から移動体40に対して付勢力を付与しているので、移動体40に対してバランスよく付勢力を付与することができる。したがって、第二電極80を第一電極70に対して安定して押し付けることができる。
また、本実施の形態に係る入力装置10は、グラウンド電極71と少なくとも二組の送信電極72及び受信電極73を有する第一電極70と、第一電極70に所定の間隔をあけて対向した状態で、回転することで、少なくとも二組の送信電極72及び受信電極73に対して、移動方向で近付けるまたは遠退かせる第二電極80と、を備え、グラウンド電極71は、二組以上の送信電極72及び受信電極73のうち、少なくとも一組の送信電極72及び受信電極73に対して第二電極80が近づいた結果、第二電極80の少なくとも一部に対向しており、二組以上の送信電極72及び受信電極73は、第一領域R1に配置された第一組の送信電極72及び受信電極73と、第二領域R2に配置された第二組の送信電極72及び受信電極73とを含み、第一組の第一送信電極721及び第一受信電極731が第二電極80に対して近付くまたは遠退く際の位相は、第二組の第二送信電極722及び第二受信電極732が、第二電極80に対して近付くまたは遠退く際の位相と異なっている。
これによれば、第二電極80は、第一電極70に対して所定の間隔をあけて対向した状態で、回転することで、少なくとも二組の送信電極72及び受信電極73に対して、移動方向で近付くまたは遠退く。このため、回転時には、第一電極70と第二電極80との間の電気的状態が変化する。この電気的状態の変化を検出すれば、第三電極がなくとも、第一電極70と第二電極80との相対的な移動量を検出することが可能となる。第一電極70と第二電極80とは、相対的な移動時においても所定の間隔をあけて対向しているので、摩擦が生じない。このため、第一電極70と第二電極80との損傷を抑制することができ、品質を長期的に維持することができる。
また、第一領域R1に配置された第一組の第一送信電極721及び第一受信電極731と、第二領域R2に配置された第二組の第二送信電極722及び第二受信電極732とが、第二電極80に対して近付くまたは遠退く際の位相が異なっている。このため、第一領域R1に配置された組を起因とした電気的状態の変化と、第二領域R2に配置された組を起因とした電気的状態の変化とも異なる位相となる。この位相差を検出することで、回転移動の方向も検出することが可能である。
また、1つ以上の基準電位電極はグラウンド電極71である。
これによれば、基準電位電極がグラウンド電極71であるので、電源を追加する必要がなく、回路構成を簡素化することが可能である。
また、入力装置10の動作原点は、第一組の第一送信電極721及び第一受信電極731が第二電極80に重畳する重畳面積S1と、第二組の第二送信電極722及び第二受信電極732が第二電極80に重畳する重畳面積S2とが実質的に均等になる状態(第一状態)である。
または、入力装置10の動作原点は、第一組の第一送信電極721及び第一受信電極731が第二電極80から離れている距離L1と、第二組の第二送信電極722及び第二受信電極732が第二電極80から離れている距離L2とが実質的に均等になる状態(第二状態)である。
これによれば、入力装置10の動作原点が第一状態または第二状態であるので、第一領域R1に配置された組を起因とした電気的状態の変化と、第二領域R2に配置された組を起因とした電気的状態の変化との交点近傍が動作原点となる。これにより、動作原点では、第一領域R1に配置された組を起因とした電気的状態の変化と、第二領域R2に配置された組を起因とした電気的状態の変化とのそれぞれが、所定の閾値を基準として正側または負側の同じ側で発生するので、これらの区別結果も動作原点でON信号またはOFF信号の一方で共通化される。これにより、第一電極70と第二電極80との相対的な移動量をより正確に検出することが可能である。したがって、第三電極を用いなくとも、入力装置10の品質を高めることができる。
また、第一領域R1の面積及び第二領域R2の面積は、実質的に同等である。
これにより、第一領域R1に配置された組を起因とした電気的状態の変化と、第二領域R2に配置された組を起因とした電気的状態の変化とを均等にすることができ、これらの電気的状態の変化の位相差をより確実に検出することができる。したがって、第三電極を用いなくとも、入力装置10の品質を高めることができる。
また、少なくとも二組の送信電極72及び受信電極73は、環状に沿って並んで配置されており、1つ以上のグラウンド電極71は、前記環状の内方に配置された第一グラウンド電極74と、前記環状の外方に配置された第二グラウンド電極75とを有する。
これによれば、グラウンド電極71が第一グラウンド電極74と第二グラウンド電極75とを有しているので、グラウンド電位の電気的結合を強くすることができ、第一電極70の電気的状態の変化を大きくすることができる。第一電極70の電気的状態の変化を大きくできれば、検出精度を高めることができる。
また、第一電極70及び第二電極80は透明電極である。
これによれば、第一電極70及び第二電極80が透明電極であるので、入力装置10の裏側にある情報を第一電極70及び第二電極80で透過することができる。したがって、意匠性の高い入力装置10を実現することができる。
また、第一電極70は、タッチセンサ200の電極である。
これによれば、タッチセンサ200の電極が第一電極70として用いられるので、タッチセンサ200上に入力装置10を設置した場合に、タッチセンサ200の電極と入力装置10の第一電極70とを兼用することができる。したがって、部品点数を削減することが可能である。
また、入力装置10は、第一電極70における第二電極80の反対側に配置された電気的な遮蔽層400をさらに備えている。
これによれば、第一電極70における第二電極80とは反対側に電気的な遮蔽層400が配置されているので、入力装置10の裏側に配置された電気機器からのノイズを遮蔽層400で遮ることができる。したがって、第一電極70と第二電極80との相対的な移動量をより正確に検出することが可能である。
また、入力装置10は、表示パネル300(画像表示部)と、表示パネル300上に配置され、第一電極70を支持する透光性の支持体20と、第二電極80を保持し、支持体20に対して回転移動する透光性の移動体40とを備え、表示パネル300は、支持体20及び移動体40の少なくとも一方に対して光を照射し、当該光を支持体20及び移動体40の少なくとも一方に導光させる。
これによれば、表示パネル300が支持体20及び移動体40の少なくとも一方に対して光を照射し、当該光を支持体20及び移動体40の少なくとも一方に導光させるので、入力装置10に対して光学的な演出を施すことができる。
また、第一領域R1と第二領域R2の境界部分には、グラウンド電極71の一部が配置されているので、第一領域R1と第二領域R2との間で電気的な干渉が生じにくくなる。これにより、第一送信電極721及び第一受信電極731間の電気的状態の変化と、第二送信電極722及び第二受信電極732間の電気的状態の変化とを正確に検出することが可能となる。
[変形例]
次に、変形例について説明する。なお、以下の説明では、上記実施の形態と同一部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。図10は、本開示に係る第一電極のレイアウト例を模式的に示した説明図である。図10の(a)では、上記実施の形態に係る第一電極70に対応するレイアウトを示しており、第一領域R1と第二領域R2とがそれぞれ半円弧状をなしている。このレイアウトを第一レイアウトと称す。
図10の(b)では、第一電極70Bの第一領域R1bと、第二領域R2bとが同心円状をなしている。このレイアウトを第二レイアウトと称す。
図10の(c)では、第一電極70Cの第一領域R1c及び第二領域R2cがそれぞれ半円弧状をなしており、さらに第一領域R1c及び第二領域R2cがそれぞれ周方向で均等に2分割されている。第一領域R1cの各分割領域を第一分割領域c11、第二分割領域c12とし、第二領域R2cの各分割領域を第三分割領域c23、第四分割領域c24とする。第一分割領域c11、第二分割領域c12、第三分割領域c23及び第四分割領域c24は、それぞれ1/4円弧状をなしている。このレイアウトを第三レイアウトと称す。
図10の(d)では、第一電極70Dの第一領域R1d及び第二領域R2dがそれぞれ同心円状をなしており、さらに第一領域R1d及び第二領域R2dがそれぞれ周方向で均等に2分割されている。第一領域R1dの各分割領域を第一分割領域d11、第二分割領域d12とし、第二領域R2dの各分割領域を第三分割領域d23、第四分割領域d24とする。第一分割領域d11、第二分割領域d12、第三分割領域d23及び第四分割領域d24は、それぞれ半円弧状をなしている。このレイアウトを第四レイアウトと称す。以降、第二レイアウト~第四レイアウトまでの具体例について説明する。
(変形例1)
変形例1では、第一レイアウトの他の例について説明する。図11は、変形例1に係る第一電極70A1及び第二電極80A1を示す平面図である。図11では、第二電極80A1の外形を破線で示している。
上記実施の形態では、第一電極70の送信電極72及び受信電極73が棒形状に形成されている場合を例示した。この変形例1では、第一電極70A1の送信電極72a1及び受信電極73a1が櫛歯状に形成されている場合を例示する。送信電極72a1は、対となる受信電極73a1に向けて突出した複数の歯部725aを有している。一方、受信電極73a1は、対となる送信電極72a1に向けて突出した複数の歯部735aを有している。複数の歯部725aと、複数の歯部725aとは、離間した状態で径方向に沿って交互に並んでいる。
このように、送信電極72a1及び受信電極73a1は櫛歯形状である。
これによれば、送信電極72a1及び受信電極73a1が櫛歯形状であるので、送信電極72a1及び受信電極73a1の間隔を広げて感度を高めつつも、棒形状の場合よりも面積を大きくして容量を確保することができる。
また、上記実施の形態では、グラウンド電極71が、第二電極80の一部に常に対向している場合を例示した。しかし、変形例1のように、グラウンド電極71a1は、少なくとも一組の送信電極72a1及び受信電極73a1に対して第二電極80A1が近付いた場合に、第二電極80A1の一部に対向していればよい。
具体的に説明すると、変形例1では、グラウンド電極71a1の第一グラウンド電極74a1は、内輪部741aと、複数の延設部742aとを備えている。複数の延設部742aは、内輪部741aの外周縁から放射状に延設されている。各延設部742aは、周方向に均等に配置されており、略扇状に形成されている。各延設部742aは、各組の送信電極72a1と受信電極73a1とに周方向で対応する位置に配置されている。
第二電極80A1は、外輪部82a1と、複数の連結部83a1とを備えている。外輪部82a1は、略環状に形成された部位であり、平面視において第一電極70A1を囲むように設けられている。複数の連結部83a1は、外輪部82a1の内周縁に連結された部位であり、周方向に沿って等間隔で配列されている。連結部83a1は、先端部が第一グラウンド電極74a1の内輪部741aの近傍に配置されるまで、径方向に沿って延設されている。連結部83a1は、延設部742aと同数設けられている。連結部83a1における周方向の幅は、延設部742aの幅よりも小さい。延設部742aの周方向の幅は、組をなす送信電極72a1と受信電極73a1との一部に連結部83a1が平面視で重なっている際に、延設部742aに重なる幅に設定されている。これにより、回転移動時においてグラウンド電極71a1は、少なくとも一組の送信電極72a1及び受信電極73a1に対して第二電極80A1の連結部83a1が近付いた場合に、第二電極80A1の一部に対向することとなる。
(変形例2)
変形例2では、第一レイアウトの他の例について説明する。図12は、変形例2に係る第一電極70A2及び第二電極80A2を示す平面図である。図12では、第二電極80A2の外形を破線で示している。
上記実施の形態では、第一電極70の第一グラウンド電極74が略円形状に形成されている場合を例示した。この変形例2では、第一電極70A2の第一グラウンド電極74a2が略円環状に形成されている場合を例示している。この場合、第二電極80A2は、円状部81a2も略円環状に形成している。第一グラウンド電極74a2の内径は、円状部81a2の内径よりも小さい。また、第二電極80A2は、外輪部を有していない。
(変形例3)
変形例3では、第二レイアウトの具体例について説明する。図13は、変形例3に係る第一電極70B及び第二電極80Bを示す平面図である。図13では、第二電極80Bの外形を破線で示している。
図13に示すように、第一電極70Bは、グラウンド電極71bと、少なくとも二組の送信電極72b及び受信電極73bを有している。
グラウンド電極71bは、各組の送信電極72b及び受信電極73bを囲むように、略円形状に形成されている。グラウンド電極71bの内方において、外周部分の環状部が第一領域R1bであり、内周部分の環状部が第二領域R2bである。
各組の送信電極72bをなす送信導電パターン77bは、第一領域R1b及び第二領域R2b内で、グラウンド電極71bの内周に沿って配置されている。送信導電パターン77bには、周方向に沿って複数の送信電極72bが放射状に配列されている。各送信電極72bは、周方向に均等に配置されている。各送信電極72bは、径方向に沿って延設された棒形状であり、その両端部が周方向に屈折されている。各送信電極72bのうち、第一領域R1bに配置された部位が第一送信電極721bであり、第二領域R2bに配置された部位が第二送信電極722bである。
各組の受信電極73bをなす一対の受信導電パターン781b、782bは、それぞれグラウンド電極71bの内周に沿って配置されている。一対の受信導電パターン781b、782bのうち、一方の受信導電パターン781bは第一領域R1bに配置されており、他方の受信導電パターン782bは第二領域R2bに配置されている。一方の受信導電パターン781b及び他方の受信導電パターン782bには、周方向に沿って複数の受信電極73bが放射状に配列されている。各受信電極73bは、径方向に沿って延設された棒形状に形成されており、その先端部が周方向に屈折されている。以降、複数の受信電極73bのうち、第一領域R1bに配置された受信電極73bを第一受信電極731bと称し、第二領域R2bに配置された受信電極73bを第二受信電極732bと称す場合がある。各第一受信電極731b及び各第二受信電極732bは、周方向で同位置に配置されている。これにより、第一受信電極731b及び各第二受信電極732bは、対となる第一送信電極721b及び第二送信電極722bに対して周方向に一定の間隔で対向している。
第二電極80Bは、外輪部82bと、複数の連結部83bとを備えている。外輪部82bは、略環状に形成された部位であり、平面視においてグラウンド電極71bに対し略全体的に重なっている。複数の連結部83bは、外輪部82bの内周縁に連結された部位であり、周方向に沿って等間隔で配列されている。連結部83bは、第一領域R1bに対応する箇所と、第二領域R2bに対応する箇所とが周方向に位置ずれするように、段差形状を有している。これにより、回転移動時において、連結部83bは、第一送信電極721bと第一受信電極731bとの各組に対する位相と、第二送信電極722bと第二受信電極732bとの各組に対する位相とが異なることとなる。
(変形例4)
変形例4では、第三レイアウトの具体例について説明する。図14は、変形例4に係る第一電極70C1及び第二電極80C1を示す平面図である。図14では、第二電極80C1の外形を破線で示している。第二電極80C1は、実施の形態に係る第二電極80よりも連結部83の設置個数が少ない点で異なる。具体的には、第二電極80C1では、実施の形態に係る第二電極80よりも連結部83の設置個数が半減されている。具体的には、第二電極80C1の連結部83の設置個数は16である。このため、第二電極80C1の各連結部83の周方向における間隔は、実施の形態に係る第二電極80よりも広くなっている。
第一電極70C1は、グラウンド電極71c1と少なくとも二組の送信電極72c1及び受信電極73c1を有している。
グラウンド電極71c1は、第一グラウンド電極74c1と、第二グラウンド電極75c1とを有している。第一グラウンド電極74c1は略円形状に形成されている。第一グラウンド電極74c1を囲む円環状の領域は、領域Rcである。この領域Rcは、第一領域R1cと、第二領域R2cとに区画されている。さらに、第一領域R1cは、周方向で均等に二分割されて、第一分割領域c11と第二分割領域c12とに区画されている。第二領域R2cは、周方向で均等に二分割されて、第三分割領域c23と第四分割領域c24とに区画されている。
また、第二グラウンド電極75c1は、複数の分割グラウンド電極を備えている。複数の分割グラウンド電極は、第一分割グラウンド電極76c1、第二分割グラウンド電極77c1、第三分割グラウンド電極78c1、第四分割グラウンド電極79c1である。
第一分割グラウンド電極76c1は、一部が平面視で第二電極80C1の外輪部82に重なるように延設されており、その先端部が第一分割領域c11と第二分割領域c12との境界に配置されている。
第二分割グラウンド電極77c1は、一部が平面視で第二電極80C1の外輪部82に重なるように延設されており、その先端部が第三分割領域c23と第四分割領域c24との境界に配置されている。
第三分割グラウンド電極78c1は、一部が平面視で第二電極80C1の外輪部82に重なるように延設されており、その先端部が第一分割領域c11と、第三分割領域c23との境界に配置されている。
第四分割グラウンド電極79c1は、その先端部が第二分割領域c12と、第四分割領域c24との境界に配置されている。
このように、各境界部分には、グラウンド電極71c1の一部が配置されているので、各分割領域間で電気的な干渉が生じにくくなる。
また、領域Rcには、複数組の送信電極72c1及び受信電極73c1が配置されている。具体的には、各組の送信電極72c1をなす送信導電パターン77cは、領域Rc内で第一グラウンド電極74c1の外周に沿って配置されている。送信導電パターン77cには、周方向に沿って複数の送信電極72c1が放射状に配列されている。各送信電極72c1は、外方に向けて延設された棒形状に形成されている。
また、各組の受信電極73c1をなす4つの受信導電パターン781c1、782c1、783c1、784c1は、領域Rc内で送信導電パターン77cの外方に配置されている。受信導電パターン781c1は、第一分割領域c11内に配置された複数の受信電極73c1が設けられている。受信導電パターン782c1は、第二分割領域c12内に配置された複数の受信電極73c1が設けられている。受信導電パターン783c1は、第三分割領域c23内に配置された複数の受信電極73c1が設けられている。受信導電パターン784c1は、第四分割領域c24内に配置された複数の受信電極73c1が設けられている。
各分割領域内において、送信電極72c1及び受信電極73c1は3組ずつ設けられている。上記実施の形態と比べると、送信電極72c1及び受信電極73c1は間引かれているために、各組の周方向の間隔が広げられている。また、各分割領域内において複数組の送信電極72c1及び受信電極73c1は、他の分割領域内の複数の組の送信電極72c1及び受信電極73c1とは周方向に位相が異なるように配置されている。このため、回転時における各分割領域内の送信電極72c1及び受信電極73c1と、第二電極80C1の連結部83との間での容量変化に位相差が生じることとなる。
図15は、変形例4に係る入力装置の移動量の検出を説明するための説明図である。図15の(a)は、回転移動時における第一電極70C1と第二電極80C1との容量変化を示している。具体的には、第一分割領域c11における複数組の送信電極72c1及び受信電極73c1と連結部83とがなす容量変化を第一容量変化Q11とする。第二分割領域c12における複数組の送信電極72c1及び受信電極73c1と連結部83とがなす容量変化を第二容量変化Q12とする。第三分割領域c23における複数組の送信電極72c1及び受信電極73c1と連結部83とがなす容量変化を第三容量変化Q13とする。第四分割領域c24における複数組の送信電極72c1及び受信電極73c1と連結部83とがなす容量変化を第四容量変化Q14とする。
ここで、図15の(a)においては、点P20、P30を入力装置10の機械的な動作原点としている。点P20、P30は、第二状態に対応する箇所であり、第一容量変化Q11と第三容量変化Q13との交点の近傍であり、第二容量変化Q12と第四容量変化14との交点の近傍である。
図15の(b)は、回転時における電気的状態の変化を示している。ここで、電気的状態とは、第一容量変化Q11~第四容量変化Q14のそれぞれの変化量である。この変化量が、制御部90に対して電気信号として入力される。図15の(b)では、第一容量変化Q11の容量変化率の波形を第一波形W11とし、第二容量変化Q12の容量変化率の波形を第二波形W12とし、第三容量変化Q13の容量変化率の波形を第三波形W13とし、第四容量変化Q14の容量変化率の波形を第四波形W14としている。前述したように、上記実施の形態と比べると、各組の周方向の間隔が広げられていので、変化量を大きくすることができる。これにより、位置検出の精度が高められる。
制御部90は、第一波形W11~第四波形W14のそれぞれにおいて所定の閾値以上の部分をON信号とし、所定の閾値未満の部分をOFF信号として区別する。その区別結果を示したのが図15の(c)である。図15の(c)では、第一波形W11に対する区別結果T11と、第二波形W12に対する区別結果T12と、第三波形W13に対する区別結果T13と、第四波形W14に対する区別結果T14とを示している。
動作原点(点P20)では、第一波形W11~第四波形W14のそれぞれが、所定の閾値を基準として負側で発生しているために、これらの区別結果T11~T14も点P20ではOFF信号で共通化されている。制御部90は、第一波形W11及び第三波形W13のそれぞれがON信号となる部分を1単位あたりの移動量とする。本実施の形態では、この1単位あたりの移動量を1クリック分の移動量としている。
動作原点(点P30)では、第一波形W11~第四波形W14のそれぞれが、所定の閾値を基準として負側で発生しているために、これらの区別結果T11~T14も点P20ではOFF信号で共通化されている。制御部90は、第二波形W12及び第四波形W14のそれぞれがON信号となる部分を1クリック分の移動量としている。
この場合においても、制御部90は、1単位あたりの移動量内において、各波形の出現順序に基づいて、「正転」、「反転」を判断することが可能である。
(変形例5)
変形例5では、第三レイアウトの他の例について説明する。図16は、変形例5に係る第一電極70C2及び第二電極80C2を示す平面図である。図16では、第一電極70C2のグラウンド電極の図示を省略している。図16では、第二電極80C2の外形を破線で示している。第二電極80C2は、中央部に開口を有している点で、変形例4に係る第二電極80C1と異なる。また、変形例4に係る送信電極72c2及び受信電極73c2とは、それぞれ櫛歯状に形成されている。具体的には、送信電極72c2は、対となる受信電極73c2に向けて突出した複数の歯部725cを有している。一方、受信電極73c2は、対となる送信電極72c2に向けて突出した複数の歯部735cを有している。複数の歯部725cと、複数の歯部725cとは、離間した状態で径方向に沿って交互に並んでいる。このように、送信電極72c2及び受信電極73c2が櫛歯形状であるので、送信電極72c2及び受信電極73c2の間隔を広げて感度を高めつつも、棒形状の場合よりも面積を大きくして容量を確保することができる。
(変形例6)
変形例6では、第四レイアウトの具体例について説明する。図17は、変形例6に係る第一電極70D及び第二電極80C2を示す平面図である。図17では、第一電極70Dのグラウンド電極の図示を省略している。図17では、第二電極80C2の外形を破線で示している。
図17に示すように、第一電極70Dは、少なくとも二組の送信電極72d及び受信電極73dを有している。
各組の送信電極72dをなす送信導電パターン77dは、第一領域R1d及び第二領域R2d内で、略環状に配置されている。送信導電パターン77dには、複数の送信電極72dが周方向に沿って二重環状に配列されている。
また、各組の受信電極73dをなす4つの受信導電パターン781d、782d、783d、784dは、それぞれ周方向に沿って配置されている。具体的には、受信導電パターン781dは第一分割領域d11に配置されており、受信導電パターン782dは第二分割領域d12に配置されており、受信導電パターン783dは第三分割領域d23に配置されており、受信導電パターン784dは第四分割領域d24に配置されている。
各分割領域内において複数組の送信電極72d及び受信電極73dは、他の分割領域内の複数の組の送信電極72d及び受信電極73dとは周方向に位相が異なるように配置されている。このため、回転移動時における各分割領域内の送信電極72d及び受信電極73dと、第二電極80C2の連結部83との間での容量変化に位相差が生じることとなる。
[その他]
以上、本開示に係る入力装置について、上記実施の形態及び各変形例に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態及び各変形例に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、回転式の入力装置10を例示したが、直進運動式の入力装置10であってもよい。この場合、少なくとも二組の送信電極及び受信電極が直線上に配列され、第二電極は、直進的に移動することで少なくとも二組の送信電極及び受信電極に対して近付くまたは遠退く。この場合、操作体及び移動体も直進的にスライド移動する。
また、上記実施の形態では、移動体40の移動に連動して弾性体62を弾性変形させる押圧体として球体63を例示した。しかしながら、押圧体は、凹凸構造上で転動あるいは摺動するのであればその形状は如何様でもよい。押圧体のその他の形状としては、円柱状、長円柱状、楕円柱状、ラグビーボール状などが挙げられる。なお、押圧体において凹凸構造と接する箇所は、凹凸構造に向って突出する方向で、膨らむように湾曲していることが好ましい。押圧体において凹凸構造と接する部位の形状は、例えば球面状である。
また、上記実施の形態では、支持体20、固定体30、移動体40、操作体50、付勢部60、第一電極70及び第二電極80の全てが透光性を有している場合を例示したが、これらの部材の少なくとも一つが透光性を有していればよい。特に、入力装置に対する光学的な演出が不要である場合には、当該部材の全てが透光性を有していなくてもよい。例えば、付勢部を金属平板状のクリックバネとすることが可能である。この場合であっても、支持体に支持された第一電極を、移動体に保持された第二電極に向けて押し付けることができる。
また、グラウンド電極(基準電位電極)は、少なくとも一組の送信電極及び受信電極に対して第二電極が近付かない場合、第二電極の一部に対向していなくてもよい。
また、グラウンド電極(基準電位電極)は、少なくとも一組の送信電極及び受信電極に対して第二電極が近付かない場合でも、第二電極の一部に対向してもよい。
また、少なくとも一組の送信電極及び受信電極に対して第二電極が近付くと、グラウンド電極(基準電位電極)の第二電極に対向する部分の面積が増加してもよい。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び各変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。