JP7415667B2 - 積層構造体、複積層構造体、レンズ、及び積層構造体の製造方法 - Google Patents

積層構造体、複積層構造体、レンズ、及び積層構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層構造体、複積層構造体、レンズ、及び積層構造体の製造方法に関する。
プラスチック製品の表面をデコレーションする技術として、加飾フィルムを用いたインサート成形技術が知られている。この技術においては、あらかじめ形成した加飾フィルムを射出成型金型にセットし、当該加飾フィルム裏面に樹脂を射出して溶着させることで、加飾フィルムを表面に有するプラスチック製品を一体成型する。
インサート成形技術においては、加飾フィルムを製品の表面に貼り付ける方式に比べ、製品の生産性を高くすることができるため、車の内装部品やスマートフォンカバーなどの製造に応用されている。
近年では、加飾フィルムに相当するインサートシートとして、導電層を有するものを用いてインサート成形を行うことにより、ウェアラブル用途のタッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスを製造する試みもなされている。このような電子デバイスにおいては、その電子デバイスの用途によっては、導電層として、透光性(透明性)の高いものを用いることが好ましい場合がある。
このような透光性を有する導電層の材料としては、例えば、インジウム酸化物等の透明無機酸化物、カーボン(CNT,グラフェン)、メタルナノワーヤー、メタルグリッド、導電性高分子などが挙げられる。
導電層として用いることができる無機酸化物としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているものなどが知られている。
さらに、金属ナノ材料及びカーボンナノチューブなどを含む導電層を形成する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、ウェアラブル用途においては、電子デバイスが、軽量で割れにくく、デザイン性や装着性に優れる曲面形状などの立体形状を有することが好ましい場合がある。
インサート成形技術を用いて、曲面形状などの立体形状を有する製品を形成する際におけるインサートシートの基板(支持体)としては、賦形性に優れた加熱成形時の延伸性が高いものを用いる技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。
本発明は、高温環境における導電層の損傷を抑制できる積層構造体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段としての本発明の積層構造体は、導電層と、第一の樹脂及び無機粒子を含有する下地層と、第二の樹脂を含有する支持体と、前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有する樹脂層と、をこの順に有する。
本発明によれば、高温環境における導電層の損傷を抑制できる積層構造体を提供することができる。
図1Aは、第1の実施形態に係る透明導電基板の一例を示す概略側面図である。 図1Bは、第1の実施形態に係る透明導電基板の他の一例を示す概略側面図である。 図1Cは、第1の実施形態に係る透明導電基板の他の一例を示す概略側面図である。 図2Aは、第2の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略側面図である。 図2Bは、第2の実施形態に係る電子デバイス基板の他の一例を示す概略側面図である。 図2Cは、第2の実施形態に係る電子デバイス基板の他の一例を示す概略側面図である。 図3は、第3の実施形態に係る導電基板の一例を示す概略側面図である。 図4は、第4の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略側面図である。 図5は、第3の実施形態に係る導電基板における支持体としての樹脂基板の一例を示す概略上面図である。 図6Aは、第4の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略上面図である。 図6Bは、第4の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略上面図である。 図6Cは、第4の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略上面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る曲面形成装置の一例を示す概略側面図である。 図8Aは、本発明の一実施形態に係る曲面形成装置を用いた立体曲面形成方法の一例を工程順に示す図である。 図8Bは、本発明の一実施形態に係る曲面形成装置を用いた立体曲面形成方法の一例を工程順に示す図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る曲面形成装置を用いた立体曲面形成方法の他の一例を工程順に示す図である。 図10は、本発明の積層構造体の一例である球面成型体を作製するインサート射出成型装置の一実施形態を示す説明図である。 図11Aは、インサート射出成型装置を用いたインサートシートの一体化成型方法の一例を工程順に示す図である。 図11Bは、インサート射出成型装置を用いたインサートシートの一体化成型方法の一例を工程順に示す図である。 図11Cは、インサート射出成型装置を用いたインサートシートの一体化成型方法の一例を工程順に示す図である。 図12は、インサート射出成型装置を用いた本発明の積層構造体の形状の一例を示す概略側面図である。 図13は、比較例1における積層構造体に生じたクラックを撮影した顕微鏡写真と、その撮影位置を示す図である。 図14は、TMA(Thermo Mechanical Analysis)装置を用いた熱膨張率の測定の一例を示す図である。
(積層構造体)
本発明の積層構造体は、導電層と、下地層と、支持体と、樹脂層とを有し、粘着層、電子材料層、及びシール部材の少なくともいずれかを有することが好ましく、更に必要に応じてその他の部材を有する。
また、本発明の積層構造体は、従来技術の積層構造体では、高温環境において導電層が損傷しまう場合があるという知見に基づくものである。
インサート成形に用いる加飾フィルムにおける塗工は、平板形状フィルムに対して実施されるため、曲面形状などの立体形状を有する製品の表面に塗工する場合に比べ、専用設備が不要であることから低コストである。さらに、段差部に対する塗工の対応としてディッピング塗工を必要としないため、塗工溶剤の使用量が少ないという利点もある。
このように、電子デバイスをインサート成形で製造することにより、低コストかつ高い生産性での量産が可能となる。
しかしながら、従来のインサート成形技術においては、例えば、導電層が形成されている樹脂基板(支持体)に対して、当該樹脂基板を形成する樹脂材料と同じ樹脂材料を、当該樹脂基板に対して高温(例えば、200℃程度)の状態で射出溶着させるため、熱や射出した樹脂のせん断応力により、電子デバイスが破壊されやすいという問題がある。より具体的には、従来のインサート成形技術においては、樹脂基板の熱による変形によって、樹脂基板上に形成した導電層にクラック(亀裂)が生じるなどの問題があり、導電層が損傷してしまう場合があった。
ここで、従来技術の一例として、特許文献4に記載されているような賦形性に優れた加熱成形時の延伸性が高い樹脂基板上に、特許文献1及び特許文献2に記載されているような無機酸化物の導電層を形成したインサートシートを用いて、インサート成形を行う場合を考える。この場合、無機酸化物で形成される導電層は、ヤング率が大きく靭性がないため、脆く破壊されやすいので、成形時の樹脂基板の熱膨張に追従できず、クラックダメージなしで成形加工することは難しい。
さらに、無機酸化物の導電層上に有機電子材料層等の機能層などを成形加工する場合には、導電層に生じた歪みが機能層に伝播し、機能層に大きな歪みが生じやすい。また、導電層を複数に分割配置する場合、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)がマトリクス状に配置され、その上に機能層を有している場合など、導電層内で機械的特性が不均一になっているときは、機能層の歪みのばらつきが大きくなりやすく、機能層の性能のばらつきが大きくなりやすい。
加えて、従来技術の積層構造体では、インサート成形で積層構造体を製造する際だけではなく、製造後に積層構造体が高温環境にさらされた際においても、樹脂基板の熱膨張などにより、導電層にクラック(損傷)が生じてしまう場合があるという問題があった。
また、特許文献3などに記載されている、金属ナノ材料及びカーボンナノチューブなどで形成された導電層は、透明性(光透過率やヘイズ)、導電性、及び耐久性を総合的に判断すると、導電層としての性能は無機酸化物の導電層に及ばず、十分なものではなかった。
したがって、上述したように、従来技術における積層構造体は、透明性及び導電性に優れる導電層を用いる場合などにおいて、インサート成形による製造時などの高温環境にさらされるときに、樹脂基板などの支持体の熱膨張等の変形により、導電層が損傷してしまうという問題があった。
ここで、本発明の積層構造体は、導電層と、第一の樹脂及び無機粒子を含有する下地層と、第二の樹脂を含有する支持体と、前記第二の樹脂と同種の樹脂及び第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有する樹脂層とをこの順に有する。
本発明においては、例えば、導電層、下地層、及び支持体を有するインサートシートに対して、樹脂層となる第三の樹脂を射出してインサート成形する際において、当該第三の樹脂が、第二の樹脂と同種の樹脂及び第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかであるため、高温環境下において支持体が樹脂層よりも軟化しにくくなっている。また、本発明においては、下地層は第一の樹脂及び無機粒子を含有するため、支持体よりも熱膨張しにくくなっている。こうすることにより、導電層に接する下地層は、樹脂層を形成する第三の樹脂が射出される際に高温環境にさらされる場合であっても、温度変化による熱変形が抑制される。このため、本発明では、下地層の変形により導電層に加わる応力(例えば、せん断応力)を小さくできるので、導電層におけるクラックの発生などの損傷を抑制することができる。
さらに、本発明の積層構造体は、第三の樹脂が第二の樹脂と同種の樹脂及び第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかであり、導電層に接する下地層が第一の樹脂及び無機粒子を含有するため熱膨張しにくくなっている。このため、高温環境で使用する際においても、下地層の変形を小さくし、導電層に加わる応力を小さくできる。
したがって、本発明においては、製造時及び使用時において、透明性及び導電性に優れる導電層を用いる場合であっても、高温環境における導電層の損傷を抑制することができる。
<導電層>
導電層としては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。導電層は、例えば、電圧が印加されることにより、電子デバイスを駆動できるものであってもよいし、抵抗値を調整して発熱可能とし、ヒーターの一部として機能するものであってもよい。
また、導電層は、複数に分割されていてもよい。導電層を複数に分割する際の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2分割としてもよいし、公知のディスプレイのように複数のTFT(薄膜トランジスタ)をマトリクス状に配置した形態であってもよい。
導電層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、不透明な材料であってもよいし、透明な材料であってもよいが、透明な材料であることが好ましい。
不透明な材料としては、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Mo等のメタル材料(金属材料)などが挙げられる。
透明な材料としては、例えば、無機酸化物、カーボン(CNT,グラフェン)、メタルナノワーヤー、メタルグリッド、導電性高分子などが挙げられる。これらの中でも、無機酸化物であることが、緻密膜として導電性を有しており、導電性と透明性(透過率およびヘイズ)さらに信頼性の点で優れることから好ましい。
無機酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、In、Sn、Zn、Alなどの酸化物材料を含む材料を用いることができる。また、無機酸化物を含む導電層における添加材料としては、例えば、W、Ti、Zr、Zn、Sb、Ga、Ge、Fなどが挙げられる。
無機酸化物を含む導電層としては、酸化インジウムを含むことが好ましい。酸化インジウムは結晶性を制御することで加熱加工時にクラックなどのダメージが生じにくい透明導電層が得られる。
具体的には、無機酸化物を含む導電層としては、(222)面の結晶ピークが5.7以下のH/W値を有する酸化インジウムを含有するものであることが好ましい。
XRD(X-ray diffraction;X線回折)において、酸化インジウムの(222)面の結晶ピークは2θ≒32(deg.)付近に検出される。(222)面の結晶ピークが5.7以下のH/W値を有している場合、結晶性が高すぎず、導電層の結晶粒界を起点とするクラックの発生を抑制することができる。
なお、前記H/W値の測定条件としては、例えば、線源:Cu管球、50kV、1000μm、入射角:3°、スリット幅:1mm、コリメータ径:1mmなどが好ましい。
また、酸化インジウムに、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)及びフッ素(F)等の他の酸化物が、単一で又は混合して導電層に含まれていてもよい。このような他の酸化物が含まれていることにより、酸化インジウムのキャリア密度及び移動度を向上することができる。
この場合、導電層としては、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)を含むものが特に好ましい。
他の酸化物の導電層中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80質量%以下であることが好ましい。また、他の酸化物としては、特に導電性の点から酸化スズ及び酸化ジルコニウムが好ましく、これらの導電層中の含有量としては、例えば、15質量%以下であることが特に好ましい。
導電層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子デバイスに求められる電流量に合わせて調整されることが好ましい。具体的には、例えば、50nm以上500nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。導電層が平均厚みを上記の好ましい範囲とすることにより、曲面形成加工時におけるクラックなどのダメージの発生を抑制することができる。
また、例えば、導電層のシート抵抗としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300Ω/□以下であることが好ましい。
導電層における可視光の透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、導電層の平均厚みや酸化インジウム等の無機酸化物の酸素比率を変更することにより適宜調整することができる。導電層における可視光の透過率としては、70%以上であることが好ましい。
ここで、導電層は、伸縮性に優れたカーボン(カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン)、メタルナノワーヤー、メタルグリッド、導電性高分子等の透明導電材料を含んでいてもよく、また、これら透明導電材料の層と無機酸化物層との複合層が用いられてもよい。
導電層は、例えば、真空成膜方法で形成することができ、酸化インジウム層の結晶性、すなわち結晶ピークのH/W値は、真空成膜時の基板温度、成膜速度、ガス圧等で調整することができる。また、成膜後の加熱処理もH/W値の調整に有効である。真空成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法等が挙げられる。これらの中では、高速成膜が可能なスパッタ法が好ましい。スパッタ法の場合はスパッタパワーを調整することで結晶ピークのH/W値を制御しやすい。
<下地層>
下地層は、第一の樹脂及び無機粒子を含有する層である。
下地層は無機粒子を含有することにより、樹脂単体からなる一般的な下地層よりも熱膨張率を抑制することができる。これにより、導電層の形成面(導電層と接する面)における下地層の加熱加工時の熱膨張を抑えることができるため、導電層にクラックが生じて損傷することを抑制することができる。
より具体的には、例えば、加熱時の下地層の熱膨張率が後述する支持体及び樹脂層を形成する第二の樹脂及び第三の樹脂の加熱時の熱膨張率よりも小さいことが好ましい。このようにすることにより、加熱加工時に導電層の形成面における熱変形が抑えられるため、無機酸化物などのヤング率が大きな材料で形成された導電層を形成した場合にもクラックが生じにくい。
ここで、下地層が含有する第一の樹脂の軟化温度が、100℃以上であることが好ましい。下地層が含有する第一の樹脂の軟化温度が100℃以上であることにより、導電層の形成面(導電層と接する面)における加熱時の熱膨張を抑えることができるため、導電層にクラックが生じて損傷することをより抑制することができる。
また、下地層が含有する第一の樹脂の軟化温度が、樹脂層が含有する第三の樹脂の軟化温度以上であることが特に好ましい。下地層が含有する第一の樹脂の軟化温度が、樹脂層が含有する第三の樹脂の軟化温度以上であることにより、製造時において、高温環境における導電層の損傷をより抑制することができる。
下地層が含有する第一の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線(UltraViolet:UV)硬化樹脂材料、熱硬化樹脂材料などが挙げられる。下地層が含有する第一の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。これらの材料は、成形性、透明性、及びコストの点で好ましい。すなわち、第一の樹脂が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂から選択される少なくとも1種を含有すると、成形性、透明性、及びコストの点で好ましい。下地層が含有する第一の樹脂としては、反応基に対して複数の単位構造を有するオリゴマーの硬化物であることがより好ましい。下地層が含有する第一の樹脂が、反応基に対して単一の単位構造であるモノマーであると、その硬化物は加熱加工時に下地層にクラックが生じる場合がある。下地層が含有する第一の樹脂としては、反応基に対して複数の単位構造を有するオリゴマーであると、その硬化物はモノマーの硬化物よりも柔軟性が高く、クラックを生じにくくなるため好ましい。
-無機粒子-
下地層における無機粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的に用いられている無機フィラーを用いることができる。より具体的には、無機粒子としては、例えば、シリコン酸化物、ジルコニア酸化物、アルミ酸化物、スズ酸化物、各種マイカ、Ag、Cu、Au、Niなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
無機粒子の一次粒子径の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1nm以上50μm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。無機粒子の一次粒子径の個数平均粒径が1nm以上100nm以下であると下地層の透明性を担保することができる。
下地層における無機粒子の含有量としては、特に制限はなく、下地層の特性(透明性、膜厚、熱膨張率など)に合せて適宜選択することができ、例えば、第一の樹脂の全量に対して10質量%以上であることが好ましく、10質量%以上200質量%以下であることがより好ましい。下地層における無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して10質量%以上であると、熱膨張を抑える効果を向上させることができ、10質量%以上200質量%以下であると、平滑な下地層を得ることができるため好ましい。
下地層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上50μm以下とすることができる。
下地層における可視光の透過率としては、70%以上であることが好ましい。
下地層における軟化温度及び熱膨張率は、下地層に用いる第一の樹脂の種類及び無機材料の種類並びにそれらの含有量、架橋密度、反応開始剤量などを変更することにより調整することができる。
ここで、第一の樹脂の軟化温度は、例えば、熱機械分析(Thermo Mechanical Analysis:TMA、Dynamic Mechanical Analysis:DMA、Differential scanning calorimetry:DSC)などを用いて測定することができる。第一の樹脂の熱膨張率は、熱機械分析(Thermo Mechanical Analysis:TMA)を用いて測定することができる。熱機械分析を行う装置としては、例えば、TMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)などが挙げられる。
なお、本発明において、「軟化温度」は以下の条件により測定される温度を意味する。
本発明における軟化温度の測定条件は、昇温速度が5~20℃/minにおける昇温時の特性変化(重さ、熱量、伸縮量、動的粘弾性、温度)を測定し変曲点を用いることがより好ましい。DSC測定では、JIS K7121に準拠する。
また、後述する第二の樹脂、及び第三の樹脂の軟化温度についても同様の方法で測定することができる。以降、軟化温度の測定条件は上述したものと同様である。
本発明における熱膨張率は、TMA装置において、以下の条件で測定する。
・引張荷重:20mN
・温度範囲:室温~160℃
・昇温速度:5℃/min
・測定サンプル形状:幅5mm×長さ20mm×奥行0.3mm
ここで、上記条件におけるTMA装置を用いた熱膨張率の測定について、第二の樹脂(支持体)として用いることができるポリカーボネイトの測定例を図14に示す。
下地層は薄膜であるため、測定が困難な場合は、下地層を形成した第二の樹脂(支持体、図14においては下地層としてエポキシアクリレート硬化物とSiO、(平均粒子径10nm-15nm)含有する層を測定し、第二の樹脂層(支持体)単独との比較で熱膨張抑制効果を確認することができる。
下地層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくとも反応基を有する有機モノマー材料及び開始剤を混合した材料と無機材料を混合したものを支持体上に塗工し、UV照射、熱処理、脱水処理等の硬化処理を行うことにより形成することができる。
塗工方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
なお、下地層は、導電層と支持体との間にのみ形成されることに限られるものではなく、例えば、支持体と樹脂層との間に、更に他の下地層を設けることも好ましい。すなわち、本発明の積層構造体は、支持体と樹脂層との間に、更に他の下地層を有することが好ましい。こうすることにより、加熱加工時における導電層のダメージをより抑制することができる。また、支持体と樹脂層との間に下地層を設ける場合に、樹脂層との密着性を向上させるという観点からは、下地層と樹脂層との間に接着層を形成することが好ましい。なお、導電層と支持体の間の下地層と、支持体と樹脂層との間の下地層と、は同一である必要はなく、用途に合わせてそれぞれの材料、組成、及び厚みなどを調整することが好ましい。
<支持体>
支持体は、第二の樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。
支持体における第二の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル(ポリメチルメタクリレート)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレンブタジエンアクリロ二トリル共重合体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリアセタール、酢酸セルロース、ポリアミド(ナイロン)、ポリウレタン、フッ素系(テフロン(登録商標))などが挙げられる。
支持体における第二の樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン及びウレタンから選択される少なくとも1種を含む材料、並びに、これらの共重合材料のいずれかで形成されることが成型性の点で好ましい。さらに、これらの材料は、後述する射出成型材料として好適であることから、樹脂層を形成する樹脂との溶着性に優れる。さらに、これらの中でも、ポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
なお、樹脂同士の関係を表す際に、同じ分類に分けられる樹脂同士を「同種」の樹脂と称することがある。分類としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、ポリアセタール、ポリオレフィン、ウレタン樹脂などが挙げられる。
第二の樹脂の軟化温度としては、後述する第三の樹脂の軟化温度以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、80℃以上300℃以下が好ましく、100℃以上200℃以下がより好ましい。
支持体における可視光の透過率としては、70%以上であることが好ましい。
また、複数の支持体を設け、積層構造体を片側から視認する用途で用いる場合には、例えば、一支持体における可視光の透過率を70%以上とし、他の支持体を不透明なものとしてもよい。
なお、支持体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.03mm以上5.0mm以下とすることが、曲面の形成が容易となるため好ましい。
<樹脂層>
樹脂層としては、第二の樹脂と同種の樹脂及び第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。
樹脂層と支持体の界面は射出成型、超音波溶着、レーザー溶着、熱溶着、振動溶着、キャスト成型などの各種方法で溶着又は接着することができるが、製品を一体成型する射出成型、及びキャスト成型が生産性の点で好ましい。より具体的には、例えば、導電層、下地層、及び支持体を有するインサートシートとしての導電基板を成形金型に設置して、樹脂を射出又はキャスト(注型)インサート成形することにより、樹脂層を形成して、積層構造体を製造することが好ましい。なお、キャスト成型では成型金型内にインサートシートを設置した後、硬化樹脂を金型に注入し、加熱硬化または光硬化することで一体成型する。
樹脂層の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平面部品、曲面形状部品、光学レンズなどとすることができる。これらの中でも、光学レンズであることが好ましい。すなわち、樹脂層が光学レンズであることが好ましい。樹脂層を光学レンズとすることにより、例えば、本発明の積層構造体を眼鏡型のウェアラブルデバイスのレンズとして用いることが可能となる。この場合、積層構造体が電子材料層としてのエレクトロクロミック層を有することにより、本発明の積層構造体を調光眼鏡(調光サングラス)のレンズとして用いることができるため、特に好ましい。
樹脂層における第三の樹脂としては、第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかであれば、特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができる。なお、「同種」の樹脂については、第二の樹脂において説明したとおりである。こうすることにより、支持体と樹脂層の溶着強度を向上できるとともに、支持体と樹脂層の屈折率を揃えることができ、積層構造体の透明性(視認性)を向上させることができる。
さらに、樹脂層における第三の樹脂としては、支持体の材料と同様に、成形性、透明性、及びコストの点で、ポリカーボネート及びポリカーボネート共重合体から選択される少なくとも一種がより好ましい。
ポリカーボネート共重合体材料としては、ポリカーボネートの屈折率向上、複屈折低減、難燃性付与などの目的で、種々の異種モノマー成分を含有する共重合体材料が開発されており、これら、市販のポリカーボネート、ポリカーボネート共重合体、UV硬化型樹脂を用いることができる。市販のポリカーボネートとしては、例えば、ユーピロン CLS3400S(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)、ユーピロン H-4000(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)、AD5503(帝人株式会社製)、L-1225LM(帝人株式会社製)、TR-0601A(住化ポリカーボネイトSD)などが挙げられる。市販のポリカーボネート共重合体としては、例えば、SH1126Z(帝人株式会社製)、ユーピロン KH3310UR(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)、SP5570(帝人株式会社製)、SP5580(帝人株式会社製)、SP1516(帝人株式会社製)などが挙げられる。市販のUV硬化型樹脂としては、例えば、SK6500、SK3200(デクセリアルズ社製)などが挙げられる。市販の熱硬化樹脂としては、例えば、MR8、MR7、MR10など(三井化学株式会社製)などが挙げられる。
樹脂層における第三の樹脂の性質としては、製造時の支持体に接触する時の流動性が高いことが好ましい。たとえば、射出成型用樹脂では、ISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトが大きい方が好ましい。より具体的には、樹脂層を形成する樹脂における、ISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトが14(cm/10min)以上であることが好ましい。ここで、射出成型においては、射出する樹脂の流動性が高いほど、せん断応力によるインサートシート(特に導電層)のダメージを低減することができる。このため、樹脂層における第三の樹脂におけるメルトボリュームフローレイトを14(cm/10min)以上とすることにより、導電層におけるクラックの発生などの損傷をより抑制することができる。
樹脂のISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトを測定する装置としては、例えば、メルトインデックサ F-F01(株式会社東洋精機製作所製)、メルトインデクサー D4003(日本ダイニスコ株式会社製)などが挙げられる。ポリカーボネートにおけるメルトボリュームフローレイトは、一般に、測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgfの条件で測定する。
なお、溶着又は接着する際に、支持体と樹脂層との溶着強度が得られにくい場合などにおいては、支持体と樹脂層の間に接着層を設けてもよい。
<粘着層>
本発明の積層構造体は、更に粘着層を有することが好ましい。
粘着層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)テープ、公知の接着剤(光硬化型や熱硬化型)などが挙げられる。これらの中でも、OCAテープが好ましい。
粘着層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上200μm以下であることが好ましい。
また、本発明の積層構造体においては、粘着層の表面に、更に導電層を有することが好ましい。より具体的には、例えば、導電層、下地層、及び支持体を有する導電基板を2つ用意し、導電層どうしが向き合うように粘着層を介して貼り合わせ、一方の支持体と樹脂層を溶着又は接着加工した積層構造体とすることが好ましい。こうすることにより、2層の導電層を有する積層構造体を容易に作製することができる。さらに、2層の導電層間の一部に後述する電子材料層を形成することにより、電子デバイス積層構造体を容易に作製することができる。
<電子材料層>
本発明の積層構造体としては、導電層に接して設けられた電子材料層と、電子材料層に接して設けられた他の導電層と、を更に有することが好ましい。すなわち、上述した積層構造体と、当該積層構造体における導電層に接して設けられた電子材料層と、電子材料層に接して設けられた他の導電層とを有する形態も、本発明においては好ましい。こうすることにより、電子材料層の機能に応じて、より様々な用途に本発明の積層構造体を応用することが可能となる。
なお、他の導電層としては、上述した本発明の積層構造体における導電層と同様のものを用いることができる。
電子材料層としては、電気(電圧)が印加されることにより、例えば、発色、発光、偏光、変形などの機能を発現するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
電子材料層に含まれる電子材料としては、例えば、エレクトロクロミック材料、エレクトロルミネッセンス材料、ケミカルルミネッセンス材料、エレクトロフォレティック材料、エレクトロウエッティング材料、液晶材料、圧電材料、蓄電材料、電解質などが挙げられる。これらの中でも、エレクトロクロミック材料が好ましい。すなわち、電子材料層がエレクトロクロミック層であることが好ましい。こうすることにより、本発明の積層構造体を、例えば、調光眼鏡(調光サングラス)として用いることが可能となり、特に好ましい。
また、電子材料層には、無機ナノ粒子等の無機材料が混合されていてもよい。
電子材料層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm以下とすることが好ましい。
電子材料層は、加工成形に対する耐性を有する柔軟性に優れる有機材料で形成される層であることが好ましい。
電子材料層を作製する際の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
<<エレクトロクロミック層>>
エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック材料を含み、必要に応じてその他の成分を含む。
エレクトロクロミック材料としては、エレクトロクロミズムを示す材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機エレクトロクロミック化合物、有機エレクトロクロミック化合物、導電性ポリマーなどが挙げられる。
無機エレクトロクロミック化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられる。
有機エレクトロクロミック化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
エレクトロクロミック層としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を有することが好ましい。具体的には、電極表面に粒径5nm~50nm程度の微粒子を結着し、微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造であることが好ましい。この構造は、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック装置と比較して応答性を向上できる。さらに、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック化合物の高い発色濃度を得ることができる。
また、エレクトロクロミック層としては、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。さらに、導電性粒子は、電極層としての導電性を兼ねることができる。
ポリマー系及び色素系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、ベンジジン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、エレクトロクロミック層が、2つのエレクトロクロミック部を有し、一のエレクトロクロミック部が、酸化状態において発色可能なエレクトロクロミック材料を含む第一のエレクトロクロミック部であり、他のエレクトロクロミック部が、還元状態において発色可能なエレクトロクロミック材料を含む第二のエレクトロクロミック部であることが好ましい。この形態についての詳細は後述する。
エレクトロクロミック層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm以上5.0μm以下が好ましい。エレクトロクロミック層の平均厚みが、0.2μm以上であると、発色濃度を向上することができ、5.0μm以下であると、製造コストを抑制できるとともに、消色状態における透明性を高くできるため視認性を向上させることができる。
エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック材料を溶媒に溶解して塗布製膜した後、光や熱により重合させて形成されることが好ましい。塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法などが挙げられる。
<<<固体電解質部>>>
本発明の積層構造体におけるエレクトロクロミック層は、上述したように、2つのエレクトロクロミック部を有することが好ましい。この場合においては、エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック部及び固体電解質部を有することが好ましく、2つのエレクトロクロミック部の間に固体電解質部を有することが好ましい。
ここで、エレクトロクロミック部とは、エレクトロクロミック材料を含む部分を意味し、固体電解質部とは、固体の電解質で形成された部分を意味する。
固体電解質部は、光又は熱硬化樹脂中に電解質を保持した膜として形成されることが好ましい。さらに、電解質部の層厚を制御する無機粒子を混合していることが好ましい。
固体電解質部は、無機微粒子、硬化型樹脂及び電解質を混合した溶液としてエレクトロクロミック部上に塗布した後、光又は熱で硬化した膜とすることが好ましいが、あらかじめ多孔質の無機微粒子層を形成した後、無機微粒子層に浸透するように、硬化型樹脂及び電解質を混合した溶液として塗布した後、光又は熱で硬化した膜として形成することもできる。
さらに、エレクトロクロミック部が導電性又は半導体性ナノ粒子にエレクトロクロミック化合物が担持された層である場合は、エレクトロクロミック部に浸透するように、硬化型樹脂及び電解質を混合した溶液を塗布した後、光又は熱で硬化した膜として形成することもできる。
固体電解質部における電解質としては、イオン性液体等の液体電解質、固体電解質を溶媒に溶解した溶液などが用いられる。固体電解質部にはエレクトロクロミック材料を混合することもできる。
固体電解質部の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることがより好ましい。固体電解質部の平均厚みが、上記の好ましい範囲内であることにより、電流の短絡を防止しつつ、製造コストを抑制することができる。
<シール部材>
本発明の積層構造体は、更にシール部材を有することが好ましい。
シール部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
シール部材は、例えば、積層構造体の表面や側面部を物理的及び化学的に保護するように形成される。また、2つの積層構造体を張り合わせて複積層構造体を形成する場合においては、2つの積層構造体の間にもシール部材を有することが好ましい。なお、2つの積層構造体の間にシール部材を形成する場合においては、シール部材はシール部材により封止される被封止層を積層構造体と一緒になって被封止層の表面(外周)を封止する。
シール部材は、例えば、光硬化性又は熱硬化性の絶縁性樹脂を、積層構造体の側面及び上面の少なくともいずれかを覆うように塗布し、その後、絶縁性樹脂を硬化させることにより形成できる。また、加熱加工時によるシール部材の損傷を抑制するために、シール部材が支持体よりも熱膨張しにくいことが好ましく、下地層と同様に第一の樹脂及び無機粒子を含有することが好ましい。
シール部材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
[積層構造体の用途]
本発明の積層構造体の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の積層構造体を完成品として用いてもよいし、他の電子機器等の部品として用いてもよい。
本発明の積層構造体は、例えば、エレクトロクロミック現象を利用した調光装置(エレクトロクロミック調光装置)に好適に用いることができる。調光装置としては、例えば、調光眼鏡、防眩ミラー、調光ガラスなどが挙げられる。このため、本発明の積層構造体としては、透光性を有するものが好ましい。
(複積層構造体)
本発明の複積層構造体は、本発明の積層構造体を2つ有し、2つの積層構造体における導電層が被封止層を介して対向し、第一の樹脂及び無機粒子を含有するシール部材を、2つの積層構造体の間及び2つの積層構造体の側面部の少なくともいずれかに有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
積層構造体としては、本発明の積層構造体と同様であるため、説明を省略する。
被封止層としては、2つの積層構造体における導電層を対向するように配したときに、2つの積層構造体の間に位置する層を意味する。即ち、被封止層としては、例えば、粘着層、電子材料層、導電層、下地層などが挙げられる。
(レンズ)
また、本発明の積層構造体は、上述したように、眼鏡やカメラなどに用いられるレンズとして好適に用いることができる。特に、電子材料層としてエレクトロクロミック層を有し、樹脂層が光学レンズとなっている積層構造体を調光眼鏡のレンズや調光カメラレンズとして用いることが好ましい。
(積層構造体の製造方法)
本発明の積層構造体の製造方法は、導電層、第一の樹脂及び無機粒子を含有する下地層、及び第二の樹脂を含有する支持体をこの順に有する導電基板を、導電層側が金型に接するようにして金型に配し、露出する支持体上に、第二の樹脂と同種の樹脂及び第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を射出して樹脂層を一体形成することを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の積層構造体の製造方法は、例えば、後述する積層構造体の製造装置(インサート射出成形装置)により、好適に行うことができる。本発明の積層構造体の製造方法についての詳細については、後述する。
また、本発明の積層構造体の製造方法においては、金型の温度が、第二の樹脂の軟化温度以下の温度であることが好ましい。こうすることにより、支持体の軟化を抑制して、導電層の損傷を抑制できる。
また、本発明の積層構造体の製造方法においては、露出する支持体上に、第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する第三の樹脂を、支持体の表面と略平行な方向から射出して樹脂層を一体形成することが好ましい。こうすることにより、成型体の面精度が向上するとともに、吐出する樹脂の流動性及び充填速度が向上することができ、射出する樹脂のせん断応力による導電層、下地層、及び支持体を有するインサートシートにおけるダメージを抑制することができる。
さらに、本発明の積層構造体の製造方法においては、第三の樹脂における、ISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトが14(cm/10min)以上であることが好ましい。射出成型においては、射出する第三の樹脂の流動性が高いほど、せん断応力によるインサートシートの特に導電層のダメージを低減することができる。このため、第三の樹脂におけるメルトボリュームフローレイトを14(cm/10min)以上とすることにより、導電層におけるクラックの発生などの損傷をより抑制することができる。
特に、樹脂層の厚さが薄い場合は、インサートシートが射出樹脂によるせん断応力の影響を受けやすい。このため、例えば、樹脂層の平均厚みが2mm以下の場合などは、メルトボリュームフローレイトを24(cm/10min)以上とすることがより好ましい。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態に係る積層構造体について説明する。第1の実施形態に係る積層構造体は、透明導電基板に関する実施形態である。図1Aから1Cは、第1の実施形態に係る透明導電基板の一例を示す概略側面図である。図1Aは、平面形状の透明導電基板の一例を示し、図1Bは、凸面形状の透明導電基板の一例を示し、図1Cは、凹面形状の透明導電基板の一例を示す。
第1の実施形態に係る透明導電基板10は、図1Aから1Cに示すように、支持体としての熱可塑性樹脂の樹脂基板(支持体)11、及びこの樹脂基板11上に、下地層13と導電層12を有する。さらに、樹脂基板11の背面には、溶着又は接着され一体化した樹脂層14が形成されている。また、本実施形態においては、下地層13が第一の樹脂及び無機粒子を含有し、樹脂層14が、支持体が含有する前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有している。
第1の実施形態に係る透明導電基板10は、樹脂基板11上に、下地層13と導電層12を形成した後、樹脂層14を樹脂基板11背面と溶着又は接着加工により一体化することで作製される。
溶着又は接着加工としてインサート成形を行う方法としては、樹脂基板11上に、下地層13と導電層12を形成した積層シートをインサートシートとして成型金型にセットし、インサートシート背面(樹脂基板11側)に、樹脂層14を形成する樹脂を射出成型又は注型成型した後硬化することで一体成型する。
図1Bと図1Cに示す3D(立体)曲面状の透明導電基板10は、インサート成型時に用いる金型形状を調整することにより作製することができる。この加工の方法については後述する。
ここで、導電層12は樹脂基板11の全面または一部に形成される。また、図1B及び図1Cでは、透明導電基板10の全体が曲面状に加工されているが、透明導電基板10の一部のみが曲面加工されていてもよい。
第1の実施形態によれば、下地層13が第一の樹脂及び無機粒子を含有し、樹脂層14が支持体が含有する前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有していることにより、加熱加工時の導電層12の形成面における変形を抑えることで、導電層12におけるクラックの発生が抑制できる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る積層構造体について説明する。第2の実施形態に係る積層構造体は電子デバイス基板に関する。図2Aから2Cは、第2の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略側面図である。図2Aは、平面形状の電子デバイス基板の一例を示し、図2Bは、凸面形状の電子デバイス基板の一例を示し、図2Cは、凹面形状の電子デバイス基板の一例を示す。
第2の実施形態に係る電子デバイス基板20は、導電層12上に、電子材料層15を有する。他の部材(層)に関しては、透明導電基板10と同様である。
第2の実施形態に係る電子デバイス基板20は、樹脂基板11上に、下地層13と、導電層12と、電子材料層15とを形成した後、樹脂層14を、樹脂基板11背面と溶着又は接着加工により一体化することで作製される。
溶着又は接着加工としてインサート成形を行う方法としては、樹脂基板11上に、下地層13と導電層12と、電子材料層とを形成した積層シートをインサートシートとして成型金型にセットし、インサートシート背面(樹脂基板11側)に、樹脂層14を形成する樹脂を射出成型又は注型成型した後硬化することで一体成型する方法などが挙げられる。
図2B又は図2Cに示す3D曲面状の電子デバイス基板20は、インサート成型時に用いる金型形状を調整することにより作製することができる。この加工の方法については後述する。
第2の実施形態によれば、下地層13が第一の樹脂及び無機粒子を含有し、樹脂層14が支持体が含有する前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有していることにより、加熱加工時の導電層12の形成面における変形を抑えることで、導電層12におけるクラックの発生が抑制できる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る積層体について説明する。第3の実施形態に係る積層構造体は導電基板に関する。図3は、第3の実施形態に係る導電基板の一例を示す概略側面図である。図3には、平面形状の導電基板の一例を示す。凸面形状及び凹面形状の導電基板は図示していないが、図1B及び1Cと同様の曲面形状とすることもできる。
第3の実施形態に係る導電基板30は、透明導電基板10と同様の構成を有する透明導電基板10a及び透明導電基板10bを備える。透明導電基板10aは、樹脂基板11a、下地層13a、及び導電層12aを有し、導電基板10bは、樹脂基板11b、下地層13b、及び導電層12bを有する。
導電基板30は、導電層12a及び導電層12bを互いに接着する粘着層としての両面接着層16を有する。つまり、導電基板30は、導電基板10a及び導電基板10bが両面接着層16により互いに貼り合わされた構造を有する。樹脂基板11a及び11b、導電層12a及び12b、下地層13a及び13bは、それぞれ樹脂基板11、導電層12及び下地層13と同様のものを用いることができる。両面接着層16には、OCAテープを用いることができる。
図5は、第3の実施形態に係る導電基板における支持体としての樹脂基板の一例を示す概略上面図である。図5に示すように、樹脂基板11aの輪郭50aは、互いに略平行な2本の直線を含む直線部及び直線部の両端を繋ぐ2本の円弧状の曲線を含む曲線部で形成される。図5に示した例においては、下地層13a、導電層12a、両面接着層16、導電層12b、下地層13b、及び樹脂基板11bも図5に示すような同様の輪郭を有する。
図3に示す平板状の導電基板30は、例えば、両面接着層16を用い透明導電基板10aと透明導電基板10bとを貼り合わせた後、樹脂層14を樹脂基板11背面(樹脂基板11a側)と溶着加工により一体化することで作製される。
溶着又は接着加工としてインサート成形する方法としては、透明導電基板10aと透明導電基板10bと貼り合わせた積層シートをインサートシートとして成型金型にセットした後、インサートシート背面(樹脂基板11a側)に樹脂層14を形成する樹脂材料を射出成型又は注型成型した後硬化することで一体成型する。
さらに、2層の導電層間の一部領域に電子材料層を形成することにより、電子デバイス積層体を作製することも可能である。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係る積層構造体について説明する。第4の実施形態に係る積層構造体は電子デバイス基板に関する。図4は、第4の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略側面図である。図4は平面形状の電子デバイス基板の一例を示す。凸面形状及び凹面形状の電子デバイス基板は図示していないが、図2B及び2Cと同様の曲面形状とすることもできる。
第4の実施形態に係る電子デバイス基板40は、電子デバイス基板20と同様の構成の電子デバイス基板20a及び電子デバイス基板20bを有する。電子デバイス基板20aは、樹脂基板11a、下地層13a、導電層12a、及び電子材料層15aを有し、電子デバイス基板20bは、樹脂基板11b、下地層13b、導電層12b、及び電子材料層15bを有する。
さらに、電子デバイス基板40は、電子材料層15a及び電子材料層15bに挟まれる電子材料層15cを有する。つまり、電子デバイス基板40は、電子デバイス基板20a及び電子デバイス基板20bが電子材料層15cを挟み込んだ構造を有する。樹脂基板11a及び11b、導電層12a及び12b、下地層13a及び13bは、それぞれ樹脂基板11、導電層12及び下地層13と同様のものを用いることができる。
また、本実施形態においては、電子材料層15は、電子材料層15aとして酸化エレクトロクロミック(EC)部、電子材料層15bとして還元EC部であり、電子材料層15cとして固体電解質部を有する。
加えて、電子デバイス基板40は、導電層12a、電子材料層15a、電子材料層15c、電子材料層15b、及び導電層12bを、側方から覆って保護するシール部材17を有する。導電層12aの一部及び導電層12bの一部が、引き出し部として、シール部材17から露出している。
図6Aから6Cは、第4の実施形態に係る電子デバイス基板の一例を示す概略上面図である。図6Aは、シール部材17aと導電層12bとの位置関係の一例を示し、図6Bは、シール部材17bと導電層12aとの位置関係の一例を示し、図6Cは、シール部材17cと電子材料層15a、15b、及び15cとの位置関係の一例を示す。なお、図6Cにおける矢印は、電子材料層の寸法(mm)の一例を示すものである。
図4に示す平板状の電子デバイス基板40は、例えば、電子デバイス基板20aと電子デバイス基板20bとを、これらの間に電子材料層15cを挟んで貼り合わせ、次いでシール部材17を形成した後、樹脂層14を樹脂基板11a背面と溶着又は接着加工により一体化することで作製される。なお、シール部材17は貼り合わせ層として貼り合わせ時に形成することもできる。
溶着又は接着加工としてインサート成形する方法としては、電子デバイス基板20aと電子デバイス基板20bとを、これらの間に電子材料層15cを挟んで貼り合わせた後にシール部材を形成して作製した積層シートを、インサートシートとして成型金型にセットした後、インサートシート背面(樹脂基板11a側)に樹脂層14を形成する樹脂材料を射出成型又は注型成型した後硬化することで一体成型する。
なお、電子材料層15a及び15cの発色や色彩変化が、樹脂基板11a又は11bの一方のみから視認される用途では、視認される側の樹脂基板は透明であるが、他方の樹脂基板は透明でなくてもよい。
<積層構造体の製造方法における実施形態>
溶着加工としてインサート成形する場合、加工精度の向上、シートダメージの抑制、加工歩留まりを向上するなどの目的で、インサートシートのプレフォーミング(予備成形)が実施される。ここで、本発明に好適なプレフォーミングの曲面形成方法について説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る曲面形成装置の一例を示す概略側面図である。図8A及び図8Bは、本発明の一実施形態に係る曲面形成装置を用いた立体曲面形成方法の一例を工程順に示す図である。
図7に示すように、曲面形成装置100は、凹金型111及びこの凹金型111の温度を調整する温調部116を含む。凹金型111には、3次元(3D)曲面状の、例えば球面状の凹面112の底と裏面とを結ぶ孔115が形成されており、孔115に吸排気ポンプ117が繋げられる。曲面形成装置100は、凹金型111の凹面112の周囲の平面113上に凹面112を塞ぐように配置される弾性シート131を含む。弾性シート131には、その表裏を貫通する孔132が形成されている。
曲面形成装置100を用いてインサートシートとして積層シートを3D曲面状に加工する場合、まず、図8Aに示すように、インサートシート151を準備する。また、温調部116によりインサートシートの樹脂基板の軟化温度(Tg)付近に凹金型111を加熱温調する。そして、孔132を塞ぐようにしてインサートシート151を弾性シート131上に載置する。例えば、温調の温度は軟化温度(Tg)より低くする。
次いで、吸排気ポンプ117を稼働させて、凹面112と弾性シート131との間の空間の排気を行う。この結果、弾性シート131が伸展しながら凹面112に密着する。また、インサートシート151が弾性シート131に密着し、弾性シート131の変形に伴って凹金型111に近づくため、凹金型111からインサートシート151に熱が伝達され、インサートシート151に含まれる樹脂基板が軟化する。そして、図8Bに示すように、凹金型111にインサートシート151が密着し、インサートシート151が凹面112に倣うように塑性変形する。
その後、吸排気ポンプ117の稼働を停止し、孔115を大気開放することで、弾性シート131が元の形状に戻ると共に、インサートシート151を凹金型111から離型できるようになる。樹脂基板が塑性変形しているため、インサートシート151は凹金型111から離型しても凹面112に倣った形状を恒久的に維持する。
このようにしてインサートシート151を3D曲面状に加工することができる。
この加工方法では、加工中に弾性シート131が等方的に伸縮するため、インサートシート151が凹金型111に均一に加圧されて密着する。また、インサートシート151に含まれる樹脂基板は、あらかじめ加熱軟化されることなく、温調した凹金型111に密着して、徐々に熱を受けて軟化する。
したがって、本加工方法によれば、曲面に沿った方向の歪み及びクラックを抑制しながら、インサートシート151に含まれる導電層を変形させることができ、導電層上の機能層が含まれる場合には機能層の歪み及びクラックも抑制することができる。導電層が分割されている場合や複数のTFTがマトリクス状に配置されている場合等、導電層内で機械的特性が不均一になっている場合でも、機能層の歪みのばらつきを抑制し、均一な性能を得ることができる。
図9は、本発明の一実施形態に係る曲面形成装置を用いた立体曲面形成方法の他の一例を工程順に示す図である。
曲面形成装置100が、図9に示すように、凹金型111に嵌まる凸金型121及びこの凸金型121の温度を調整する温調部126を含んでもよい。この曲面形成装置100を用いる場合、インサートシート(積層シート)151が凹金型111に密着した後に、温調部126で加熱温調した凸金型121でインサートシート151をプレスすることにより、面精度をより向上することが可能である。
本加工方法において、凹金型の凹面の範囲は、平面視で加工対象の積層シートよりも広いことが好ましい。この場合、拘束することなく積層シートの全体を凹面に密着することが可能となり、歪みをより一層抑制しながら3D曲面状に加工することができる。
凹金型及び凸金型の温度としては、例えば、樹脂基板の軟化温度(Tg)よりも低く調節され、凹金型に密着させる前の平板状の積層シートの温度は室温または軟化温度よりも20℃以上低い温度に調節されることが好ましい。
ここで、曲面形成装置100が有する部材について更に詳細に説明する。
[弾性シート131]
弾性シート131は減圧又は加圧されることにより伸縮し、積層シートを金型に密着させる機能を有する。また、弾性シート131は金型の熱を積層シートに伝達する機能も有する。
弾性シートの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の弾性ゴム材料を用いることができる。弾性ゴム材料としては、例えば、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(イソブチエン・イソプレンゴム(IIR))、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(シリコーンゴム(Si,Q))、フッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。
弾性シートの材料としては、特に、シリコーンゴム及びフッ素ゴムが好ましい。
また、弾性シートの材料としては、例えば、スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系、ポリ塩化ビニル(PVC)系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーなどを用いることもできる。弾性シートの材料は、積層シートに曲面を形成する際の温度や圧力等の条件に応じて選択することが好ましい。例えば条件に応じて、耐熱性、弾性等を考慮して材料を選択することが好ましい。
弾性シートの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上2.0mm以下であることが、曲面の形成がより容易となる点で好ましい。
なお、弾性シートに粘着性がある場合は、孔を形成せずにインサートシートを保持することもできる。
インサートシートの変形の均一性の観点から、弾性シートは積層シート及び金型に固着しにくく、弾性シートの積層シート又は金型と接する面が滑りやすくなっていることが好ましい。また、曲面形成後には、弾性シートを金型から剥離し、インサートシートを弾性シートから外すため、弾性シートの表面には摩擦を低減する表面加工等が施されていることが好ましい。
弾性シート131の孔132はインサートシート151を弾性シート131に吸着保持するために設けられており、孔132の数は1でも複数でもよい。孔132の位置はインサートシート151の形状に合わせて任意に設定することができる。
[金型111、121]
凹金型及び凸金型は、積層シートに形成する3D曲面形状、例えば、球面形状に合わせた曲面及び加工に好適な熱容量を有するものであれば、一般的な金型を用いることができる。
金型の材料としては、例えばアルミニウム(Al)及びニッケル(Ni)等のメタル材料、ガラス、セラミックス等を用いることができる。
温調部は、金型の内部又は金型の外面に付された温度調節ヒーターを有する。金型の表面に一般的な耐熱処理若しくは離型処理又はこれらの両方が施されていてもよい。
凹金型111の孔115の個数および位置はインサートシート151の形状に合わせて任意に設定することができる。
続いて、本発明の積層構造体の製造方法の一例としてのインサート成形の方法について説明する。
本発明では開閉可能な金型の片面に、インサートシート151を設置し、金型を閉じた後に樹脂基板背面に溶融した樹脂を射出充填後、冷却固化して溶着樹脂部(樹脂層)を形成する。
本発明では電動式、油圧式、ハイブリッド式油圧式などの射出成型機を用いることができる。
図10は、本発明の積層構造体の一例である球面成型体を作製するインサート射出成型装置の一実施形態を示す説明図である。図11A~11Cは、インサート射出成型装置を用いたインサートシートの一体化成型方法を工程順に示す図である。
図10に示すようにインサート射出成型装置200は、射出ユニット230と型締めユニット240を有する。インサート射出成型装置200は、射出ユニット230により加熱溶解した樹脂材料を噴射ノズルなどで型締めユニット240の金型に注入し、金型の開閉を行うことで樹脂成型体(積層構造体)を作製する。
型締めユニット240は、可動金型221と固定金型211を有し、それぞれの金型は温調部226及び温調部216により温度制御される。
一方の金型には必要によりインサートシート151を設置するため、シート吸着孔212、位置決め用段差が設けられている。シート吸着孔212は、吸排気ポンプ217に接続され、インサートシート151を固定する場合は吸着し、インサートシート151を取り外す場合はエアーなどのガスを噴射させる。シート吸着孔212、位置決め用段差はインサートシートの位置精度を高めるため形成されており、高い位置決め精度が要求されない場合は不要である。
インサート射出成型装置200を用いてインサートシート151を、樹脂層を形成する樹脂(溶着樹脂)と一体成型加工する場合、まず、図11Aに示すように、インサートシート151を準備する。また、温調部216、226により金型を溶着樹脂の軟化温度軟化温度(Tg)以下に加温調節することで加熱条件を制御する。
そして、吸着孔212を塞ぐようにしてインサートシート151を金型211にセットし、吸排気ポンプ217で排気することによりインサートシート151を固定する。なお、吸着によるインサートシート151の固定は溶着樹脂の射出までに実施していればよい。
インサートシート151は、前述のようにプレフォーミングしておくことが好ましいが、インサートシートの固定が十分であれば、プレフォーミングなしでも構わない。なお、インサートシート151は固定金型にセットしたが、金型構造を変更して可動金型221にセットしても構わない。
次に、図11Bに示すように、可動金型211を移動させて金型を閉め、射出ユニット230から樹脂注入部213に溶融した溶着樹脂を射出し、樹脂を充填する。
樹脂が冷却固化した後、図11Cに示すように、可動金型221を移動させて金型を開き、図12に示すような一体化した積層体(積層構造体)を取り出す。
このようにしてインサートシート151と樹脂層(溶着樹脂)を一体成型した積層構造体を作製することができる。
可動金型221及び固定金型212は、平面、曲面、球面などの積層体形状に合わせ、加工に好適な熱容量を有するものであれば、一般的な金型を用いることができる。
具体的には、金型の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)等のメタル材料、NAK80、STAVAXなどの金型専用鋼材、ガラス、セラミックス等を用いることができる。温調部は金型の内部又は金型の外面に付された温度調節ヒーターを有する。金型の表面に一般的な耐熱処理若しくは離型処理又はこれらの両方が施されていてもよい。
さらに、可動金型221及び固定金型212には、成型体を金型から取り出すための押出ピンなどのイジェクト機構が施されていてもよい。
また、本実施形態においては、可動金型221及び固定金型212の温度が、樹脂基板(支持体)11の軟化温度よりも低い温度となっている。こうすることにより、支持体の軟化を抑制して、導電層の損傷を抑制できる。なお、可動金型221及び固定金型212の温度としては、例えば、40℃以上150℃以下の範囲で設定することができる。
さらに、本実施形態においては、図11Aから11Cに示すように、露出する樹脂基板11上に、露出する支持体上に、第二の樹脂と同種の樹脂及び第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を、当該樹脂基板11の表面と略平行な方向から射出して樹脂層14を一体形成している。これにより、吐出する樹脂の流動性及び充填速度が向上することができ、成型体の面精度が向上するとともに、射出する樹脂のせん断応力による導電層12、下地層13、及び支持体(樹脂基板)11を有するインサートシート151におけるダメージを抑制することができる。
本実施形態においては、樹脂層14を形成する際に射出する樹脂における、ISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトが14(cm/10min)以上である。射出成型においては、射出する樹脂の流動性が高いほど、せん断応力によるインサートシート151(特に導電層12)のダメージを低減することができる。このため、樹脂層14を形成する樹脂におけるメルトボリュームフローレイトを14(cm/10min)以上とすることにより、導電層12におけるクラックの発生などの損傷をより抑制することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、第1の実施形態で説明した導電層形成基板(透明導電基板)10の一例を作製した。実施例1で作製した導電層形成基板は、電子デバイスの構成部品として有用である。
樹脂基板(支持体)として、平均厚みが0.3mmであり、図5に示すような平面形状を有するポリカーボネイトシート(PC2151、帝人株式会社製、第二の樹脂)を準備した。
樹脂基板における25℃(室温)から146℃までの温度範囲における熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ、「1.7%」であった。
なお、熱膨張率の測定は以下の条件で行った。
・引張荷重:20mN
・温度範囲:室温~160℃
・昇温速度:5℃/min
・測定サンプル形状:幅5mm×長さ20mm×奥行0.3mm
続いて、樹脂基板上に、下地層を形成した。下地層の材料としては、無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-AC4130Y、日産化学株式会社製、メタクリル表面処理SiO、平均粒子径40nm-50nm)と、第一の樹脂としてウレタンアクリレート樹脂(UX5000日本化薬株式会社製 硬化後の軟化温度97℃)を用いた。無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して80質量%となるように調整し、光開始材としてOmnirad TPO H(IGM Resins B.V.社製)を第一の樹脂の全量に対して4質量%添加し、2エトキシエタノールで希釈した塗工液をバーコーターで塗工し、80℃で180sec乾燥した後、UV照射により硬化させて平均厚さ4μmの下地層を形成した。
下地層を形成した樹脂基板における25℃(室温)から146℃までの温度範囲の熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ「1.1%」であった。これは下地層の熱膨張率が、樹脂基板(支持体)の熱膨張率よりも小さいことにより、熱膨張率を低下させたと考えられる。
次に、下地層上に導電層を形成し、導電層形成基板1(インサートシート1)を作製した。
導電層の形成では、株式会社フルヤ金属製のAgPdCu合金(APC)ターゲットを用いた。製膜時のスパッタパワーは3kWに設定し、製膜時間を調整して導電層の平均厚みを100nmとした。スパッタ装置にはOerlikon社製のソラリスを用いた。導電層の厚さはKLA-Tenchore社製のαステップD-500で測定した。
また、4端子抵抗測定機として株式会社三菱化学アナリテック製のロレスタ-GPを用いて、形成した導電層のシート抵抗を測定したところ、導電層のシート抵抗は10mΩ/□以下であった。
その後、曲面形成装置100を用いて、導電層形成基板を3D曲面状に加工した。この加工では、曲率半径が131mmで直径が200mmの球面凹金型を準備し、弾性シートとして、平均厚さが0.3mmのシリコーンゴムシートを用いた。
用いた球面凹金型は、JIS A7075のアルミニウム合金製である。凹金型を140℃で温調した後、弾性シートの上にインサートシートとして導電層形成基板1を載せ、ポンプ吸引により、凹金型に弾性シートと導電層形成基板1を90秒密着させて塑性変形させた。
続いて、吸排気ポンプの稼働を停止し、孔を大気開放することで、弾性シートと導電層形成基板1が金型から離型して、球面状の3D曲面を形成した導電層形成基板1を得た。曲げ加工としては、凸加工及び凹加工の両方を行い、プレフォーミングしたインサートシート1を準備した。
次に、インサート射出成型装置200を用いて、導電層形成基板1を固定金型にセットし、型締め後にポリカーボネート樹脂を射出することにより、樹脂層を一体成型し、図1B及び図1Cに示すような形状の導電層形成基板1を作製した。
なお、射出成型機としては、α100iA(FANUC社製:型締め100t、射出50t)を使用した。固定金型、可動金型としては、金型鋼材STAVAXを鏡面加工して作製し、導電層形成基板1の形状を、直径75.5mm、曲率半径131mm、平均厚み2mmの光学レンズとした。
射出する第三の樹脂(樹脂層を形成する樹脂)としては、ポリカーボネート1(ユーピロン CLS3400S 三菱エンジニアリングプラスチック社製)を用い、射出前に120℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂における、メルトボリュームフローレイトは14.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は145℃であった。
射出成型条件は以下に設定した。また、射出速度は17cm/secとした。
・金型温度:100℃/100℃ (固定金型/可動金型)
・樹脂温度:280℃
・保圧:100kg/cm
導電層形成基板1における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工及び凹加工のいずれにおいても、クラックは発生していなかった。実施例1における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例2では、第1の実施形態で説明した導電層形成基板(透明導電基板)10の他の一例を作製した。実施例2で作製した導電層形成基板は、電子デバイスの構成部品及び透明ヒーターの構成部品として有用である。
実施例2では、下地層の第一の樹脂として、ウレタンアクリレート樹脂(UX5102D_P20、日本化薬株式会社製 硬化後の軟化温度140℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下地層を形成した。下地層を形成した支持体の熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ「1.0%」であった。これは下地層の熱膨張率が、樹脂基板(支持体)の熱膨張率よりも小さいことにより、熱膨張率を低下させたと考えられる。
また、下地層上に、In:90質量%、SnO:10質量%のITOターゲットを用いて、スパッタ法により無機酸化物の導電層を形成した。製膜時のスパッタパワーは6.5kWに設定し、酸素/アルゴン(Ar)流量比は3.6%に設定し、製膜時間で導電層の平均厚みを調整した。スパッタ装置にはOerlikon社のソラリスを用いた。
導電層の平均厚みは、KLA-Tenchore社製のαステップD-500で測定した。4端子抵抗測定機として株式会社三菱化学アナリテック製のロレスタ-GPを用いて導電層のシート抵抗を測定した。さらに、分光光度計として日立ハイテクサイエンス株式会社製のUH4150を用いて、550nmにおける透過率を測定した。
導電層のシート抵抗は50Ω/□、透過率は83%であった。なお、導電層形成基板を透明ヒーターとして使用する場合には、膜厚調整により導電層のシート抵抗を500Ω/□以上に設定することが好ましい。
その後、実施例1と同様にして、曲面形成装置100に示す装置を用いて、プレフォーミングした後、インサート射出成型装置200に示す装置を用いて、樹脂層を一体成型し、図1B及び1Cに示すような形状の導電層形成基板2を作製した。第三の樹脂の射出速度は28cm/secとした。
導電層形成基板2における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、図1Cに示すような凹加工ではクラックは発生していなかった。一方、図1Bに示すような凸加工では積層体の外周端部5mm以内に軽微なクラックが確認された。実施例2における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例3では、第1の実施形態で説明した導電層形成基板(透明導電基板)10の他の一例を作製した。実施例3で作製した導電層形成基板は、電子デバイスの構成部品及び透明ヒーターの構成部品として有用である。
実施例3では下地層の無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-ST、日産化学株式会社製、SiO、平均粒子径10nm-15nm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして下地層を形成した。下地層を形成した支持体における25℃(室温)から146℃までの温度範囲の熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ「1.0%」であった。これは下地層の熱膨張率が、樹脂基板(支持体)の熱膨張率よりも小さいことにより、熱膨張率を低下させたと考えられる。
下地層の平均厚みは、5μmとした。なお、導電層は実施例2と同様に形成した。
その後、実施例1と同様にして曲面形成装置100に示す装置を用いて、プレフォーミングした後、インサート射出成型装置200に示す装置を用いて、樹脂層を一体成型し、図1B及び図1Cに示すような形状の導電層形成基板3を作製した。
導電層形成基板3における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凹加工ではクラックは発生していなかった。凸加工では導電層形成基板3の外周端部5mm以内に軽微なクラックが確認された。実施例3における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例4では、第2の実施形態で説明した電子デバイス基板20の一例を作製した。実施例4で作製した電子デバイス基板は、透明エレクトロクロミックデバイス構成部品として有用である。
実施例4では、下地層における第一の樹脂として、酸変性エポキシアクリレートオリゴマー樹脂(ZCR6002H、日本化薬株式会社製、硬化後の軟化温度:205℃)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして下地層を形成した。下地層を形成した支持体の熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ「1.0%」であった。これは下地層の熱膨張率が、樹脂基板(支持体)の熱膨張率よりも小さいことにより、熱膨張率を低下させたと考えられる。
次に、実施例3と同様に導電層を形成し、導電層上に、電子材料層として、(a)下記構造式Aで示されるトリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物、(b)ポリエチレングリコールジアクリレート、(c)光重合開始剤、及び(d)テトラヒドロフランを、a:b:c:d=10:5:0.15:85(質量比)となるように混合した溶液を塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させることで、平均膜厚が1.5μmである酸化反応性のエレクトロクロミック層を形成した。
<<構造式A>>
Figure 0007415667000001
ポリエチレングリコールジアクリレートとしては、日本化薬株式会社製のKAYARAD PEG400DAを用いた。光重合開始剤としては、IRGACURE 184(IGM Resins B.V.社製)を用いた。なお、第2の実施形態においては、導電層12及び電子材料層15が樹脂基板11及び下地層13より狭く形成されているが、実施例4では、樹脂基板の上面上の全体に下地層、導電層及び電子材料層を形成した。
実施例4では、第三の樹脂としては、ポリカーボネート2(AD5503、帝人株式会社製)を用い、射出前に120℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂のメルトボリュームフローレイトは59.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は145℃であった。射出速度は28cm/secとした。
他の条件は実施例3と同様にして、樹脂層を一体成型し、図2B及び図2Cに示すような形状の電子デバイス基板4を作製した。
電子デバイス基板4における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工及び凹加工のいずれにおいても、クラックは発生していなかった。実施例4における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例5では、第3の実施形態で説明した導電基板30の一例を作製した。実施例5で作製した導電基板は、電子デバイス構成部品および透明ヒーター構成部品として有用である。
実施例5では、下地層の無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-AC2140Y、日産化学株式会社製、メタクリル表面処理SiO、平均粒子径10nm-15nm)と、第一の樹脂として酸変性エポキシウレタンアクリレートオリゴマー樹脂(ZCR6002H、日本化薬株式会社製 硬化後の軟化温度軟化温度205℃)を用いた。無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して150質量%となるように調整したこと以外は、実施例2と同様にして平均厚さ4μmの下地層を形成した。下地層を形成した支持体の熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ「0.8%」であった。これは下地層の熱膨張率が、樹脂基板(支持体)の熱膨張率よりも小さいことにより、熱膨張率を低下させたと考えられる。
次に、実施例2と同様にして導電層を形成したプレフォーミング前の導電層形成基板を2つ準備し、これらを平均厚み50μmの両面接着層で貼り合せた。両面接着層としては、日東電工製のLA50(OCAテープ)を用いた。
他の条件は実施例2と同様にして樹脂層を一体成型した導電基板5を作製した。
なお、第三の樹脂はポリカーボネート2(AD5503、帝人株式会社製)を用い、射出前に120℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂における、メルトボリュームフローレイトは59.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は145℃であった。射出速度は28cm/secとした。樹脂温度は280℃に設定した。
導電基板5における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後もクラックは発生していなかった。実施例5における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例6では、第3の実施形態で説明した導電基板30の他の一例を作製した。実施例6で作製した導電基板は、電子デバイス構成部品および透明ヒーター構成部品として有用である。
実施例6では、下地層の材料としては、無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-AC2140Y、日産化学株式会社製、メタクリル表面処理、平均粒子径10nm-15nm、SiO)と、第一の樹脂として酸変性エポキシウレタンアクリレートオリゴマー樹脂(ZCR6001H、日本化薬株式会社製、硬化後の軟化温度:198℃)を用いた。無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して150質量%となるように調整したこと以外は、実施例5と同様にして、平均厚さ4μmの下地層を形成した。
下地層を形成した支持体の熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ「0.9%」であった。これは下地層の熱膨張率が、樹脂基板(支持体)の熱膨張率よりも小さいことにより、熱膨張率を低下させたと考えられる。
他の条件は実施例5と同様にして樹脂層を一体成型した導電基板6を作製した。
なお、第三の樹脂はポリカーボネート共重合体材料3(SP5570、帝人株式会社製)を用い、射出前に120℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂における、メルトボリュームフローレイトは59.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は142℃であった。射出速度は28cm/secとした。樹脂温度は280℃に設定した。
導電基板6における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後もクラックは発生していなかった。実施例6における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例7では、第3の実施形態で説明した導電基板30の他の一例を作製した。実施例7で作製した導電基板は、電子デバイス構成部品および透明ヒーター構成部品として有用である。
実施例7では、支持体における第二の樹脂としてポリカーボネイト材料(AD5503、帝人株式会社製、軟化温度:145℃)を用いて平均厚みが0.35mmの射出成型シートを用いたこと以外は、実施例6と同様にして樹脂層を一体成型した導電基板7を作製した。
導電基板7における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後もクラックは発生していなかった。実施例7における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例8では、第3の実施形態で説明した導電基板30の他の一例を作製した。実施例8で作製した導電基板は、電子デバイス構成部品および透明ヒーター構成部品として有用である。
実施例8では、支持体における第二の樹脂としてポリカーボネイト材料(SH1126Z、帝人株式会社製、軟化温度:131℃)を用いて平均厚みが0.35mmの射出成型シートを準備し、下地層上に、In:99質量%、SnO:1質量%のITOターゲットを用いて、スパッタ法により無機酸化物の導電層を形成した。製膜時のスパッタパワーは6.5kWに設定し、酸素/アルゴン(Ar)流量比は2.5%に設定し、製膜時間で導電層の平均厚みを調整した。スパッタ装置にはOerlikon社のソラリスを用いた。なお、支持体の25℃(室温)から軟化温度131℃までの温度範囲における熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ、「0.8%」であった。
導電層の平均厚みは、KLA-Tenchore社製のαステップD-500で測定した。4端子抵抗測定機として株式会社三菱化学アナリテック製のロレスタ-GPを用いて導電層のシート抵抗を測定した。更に、分光光度計として日立ハイテクサイエンス株式会社製のUH4150を用いて550nmの透過率を測定した。
導電層のシート抵抗は75Ω/□、透過率は80%であった。なお透明ヒーターとして使用する場合には、膜厚調整により導電層のシート抵抗は500Ω/□以上に設定することが好ましい。他の条件は実施例7と同様にして樹脂層を一体成型した導電基板8を作製した。
なお、樹脂層における第三の樹脂としてはポリカーボネート材料4(SH1126Z、帝人株式会社製)を用い、射出前に120℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂における、メルトボリュームフローレイトは26.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は131℃であった。射出速度は28cm/secとした。樹脂温度は280℃に設定した。実施例8において、上述した変更点以外は、実施例7と同様にして実施例8の導電基板8を作製した。
導電基板8における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後もクラックは発生していなかった。実施例8における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例9では、第3の実施形態で説明した導電基板30の他の一例を作製した。実施例9で作製した導電基板は、電子デバイス構成部品および透明ヒーター構成部品として有用である。
実施例9では、樹脂基板(支持体)における第二の樹脂として、平均厚みが0.2mmのポリカーボネイトシート(PC2151、帝人社製)を準備した。
下地層の材料としては、無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-ST、日産化学社製、平均粒子径10nm-15nm、SiO)と、第一の樹脂として酸変性エポキシアクリレートオリゴマー樹脂(ZCR6002H、日本化薬株式会社製)を用いた。製造した下地層の材料を用いて、下地層を支持体の両面に平均膜厚4μmで形成した(表1中*)。他の条件は実施例8と同様にして樹脂層を一体成型した導電基板9を作製した。
導電基板9における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後もクラックは発生していなかった。実施例9における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例10では、第4の実施形態で説明した電子デバイス基板40の一例を作製した。実施例10で作製した電子デバイス基板は、エレクトロクロミックデバイス構成部品として有用である。
実施例10では、樹脂基板(支持体)における第二の樹脂として、ポリカーボネイトシート(PC2151、帝人社製、平均厚み:0.2mm)を準備した。
下地層の材料としては、無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-AC4130Y、日産化学社製、メタクリル表面処理、平均粒子径40nm-50nm、SiO)と、第一の樹脂としてウレタンアクリレート樹脂(UX5102D_P20、日本化薬株式会社製、硬化後の軟化温度:140℃)を用いた。無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して80質量%となるように調整し、光開始材としてOmnirad TPO H(IGM Resins B.V.社製)を第一の樹脂の全量に対して4質量%添加し、2エトキシエタノールで希釈した塗工液をバーコーターで塗工し、80℃で180sec乾燥した後UV照射により硬化させて平均厚さ3μmの下地層を形成した。
次いで、下地層上に、In:90質量%、SnO:10質量%のITOターゲットを用いて、スパッタ法により無機酸化物の導電層を形成した。製膜時のスパッタパワーは6.5kWに設定し、酸素/アルゴン流量比(O流量比)は3.6%に設定し、製膜時間で導電層の平均厚さを110nmに調整した。スパッタ装置にはOerlikon社製のソラリスを用いた。
導電層は、一方の樹脂基板(支持体)については、図6Aに示す領域に、他方の樹脂基板(支持体)については図6Bに示す領域に、マスクを用いて形成した。導電層の平均厚みは、KLA-Tenchore社製のαステップD-500で測定した。
次いで、図6Bに示す領域に導電層を形成した樹脂基板(支持体)において、図6Cに示す領域に、酸化反応性のエレクトロクロミック層を塗布法により形成した。エレクトロクロミック層は実施例4と同様の条件で形成した。
また、図6Aに示す領域に導電層を形成した樹脂基板(支持体)において、図6Cに示す領域に、還元反応性のエレクトロクロミック層を形成した。還元反応性のエレクトロクロミック層の形成では、酸化スズのメタノール分散液にポリビニルブチラールを1質量%添加した溶液を塗布し、120℃で5分間アニールすることにより、厚さ3μmのナノ粒子酸化スズ層を形成した。
次に、下記構造式Bで表される化合物を2,2,3,3-テトラフロロプロパノールに2質量%溶解した溶液を、ナノ粒子酸化スズ層の表面に塗布吸着処理した後、120℃で5分間アニールした。酸化スズのメタノール分散液としては、日産化学株式会社製のセルナックスを用いた。
<<構造式B>>
Figure 0007415667000002
次いで、(a)1-エチル-3-メチルイミダゾリウムの(FSO)2N-塩、(b)ポリエチレングリコールジアクリレート、及び(c)光重合開始剤を、a:b:c=2:1:0.01(質量比)となるように混合した電解質溶液を調製した。そして、この電解質溶液を、酸化反応性エレクトロクロミック層と還元反応性エレクトロクロミック層との間に充填した後、60℃のアニール処理を1分間行い、紫外線照射により硬化させて貼り合せて、貼り合わせ体を作製した。このとき、固体電解質層の平均厚みが30μmとなるように電解質溶液の充填量を調整した。
ポリエチレングリコールジアクリレートとしては、日本化薬株式会社製のKAYARAD PEG400DAを用いた。光重合開始剤としては、IRGACURE 184(IGM Resins B.V.社製)を用いた。さらに、電子材料層の周囲に、無機粒子(酸化物)を添加したUV硬化性のアクリル材料を充填してUV硬化させてシール部(保護層)を形成した。無機粒子含有UV硬化性のアクリル材料としては、スリーボンド社製のTB3050Bを用いた。
その後、実施例5と同様にして樹脂層を一体成型した電子デバイス基板10を作製した。
なお、第三の樹脂はポリカーボネート共重合材料4(SH1126Z、帝人株式会社製)を準備し、射出前に100℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂における、メルトボリュームフローレイトは26.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は131℃であった。射出速度は28cm/secとした。樹脂温度は280℃に設定した。
そして、電子デバイス基板10における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凹加工ではクラックは発生していなかった。凸加工では積層体の外周端部5mm以内に軽微なクラックが確認された。
さらに、電子デバイス基板10の発消色評価を行った。この評価では、保護層(シール部材)から露出した電子材料層の一方の引き出し部がプラス極、他方の引き出し部がマイナス極となるように2.0Vの電圧を印加して7mC/cmの電荷を注入した。この結果、酸化反応性のエレクトロクロミック層が青緑色に、還元反応性のエレクトロクロミック層が青色に発色することが確認された。また、-0.6Vを印加することで透明に消色し、正常に発消色動作することも確認された。なお、光透過率は、光透過率を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(日立ハイテクサイエンス株式会社製)で測定した。実施例8における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例11では、第4の実施形態で説明した電子デバイス基板40の一例を作製した。実施例11で作製した電子デバイス基板は、エレクトロクロミックデバイス構成部品として有用である。
実施例11では、樹脂基板(支持体)における第二の樹脂として、ポリカーボネイトシート(PC2151、帝人社製、平均厚み:0.3mm)を準備した。
下地層の材料としては、無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-ST、日産化学社製、平均粒子径10nm-15nm、SiO)と、第一の樹脂として酸変性エポキシアクリレートオリゴマー樹脂(ZCR6002H、日本化薬株式会社製)を用いた。無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して150質量%となるように調整し、下地層を平均膜厚3μmで形成した。
他の条件は実施例10と同様にして樹脂層を一体成型した電子デバイス基板11を作製した。
なお、実施例11では、第三の樹脂は、ポリカーボネート共重合材料4(SP5580、帝人株式会社製)を用い、射出前に110℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂のメルトボリュームフローレイトは54.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は131℃であった。射出速度は28cm/secとした。
そして、電子デバイス基板11における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工及び凹加工のいずれにおいてもクラックは発生していなかった。
さらに、電子デバイス基板11の発消色評価を行った。この評価では、保護層(シール部材)から露出した電子材料層の一方の引き出し部がプラス極、他方の引き出し部がマイナス極となるように2.0Vの電圧を印加して7mC/cmの電荷を注入した。この結果、酸化反応性のエレクトロクロミック層が青緑色に、還元反応性のエレクトロクロミック層が青色に発色することが確認された。また、-0.6Vを印加することで透明に消色し、正常に発消色動作することも確認された。なお、光透過率は、光透過率を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(日立ハイテクサイエンス株式会社製)で測定した。実施例11における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例12では、第4の実施形態で説明した電子デバイス基板40の一例を作製した。実施例12で作製した電子デバイス基板は、エレクトロクロミックデバイス構成部品として有用である。
実施例12では、下地層の材料としては、無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-AC2140Y、日産化学社製、メタクリル表面処理、平均粒子径10nm-15nm、SiO)と、第一の樹脂として酸変性エポキシアクリレートオリゴマー樹脂(ZCR6002H、日本化薬株式会社製)を用いた。無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して150質量%となるように調整し、平均膜厚3μmで形成した。
他の条件は実施例11と同様にして、樹脂層を一体成型した電子デバイス基板12を作製した。
また、実施例12では、第三の樹脂として、ポリカーボネート材料5(ユーピロン KH3310UR、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)を用い、射出前に100℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂のメルトボリュームフローレイトは33.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は127℃であった。射出速度は28cm/secとした。樹脂温度は270℃、金型温度は100℃/100℃(固定金型/可動金型)、保圧は100kg/cmに設定し、2mm厚さのレンズを成型した。
なお、実施例12においては、シール部材(保護層)として平均粒子径0.3μmのSiO無機粒子(KE-S S30、株式会社日本触媒製)とUV硬化樹脂(SK3200、デクセリアルズ株式会社製、硬化後の軟化温度:106℃)を用いて、無機粒子の含有量が、UV硬化樹脂の全量に対して100質量%となるように調整したペーストを用いて電子材料層の周囲に塗工した。
そして、電子デバイス基板12における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工及び凹加工のいずれにおいてもクラックは発生していなかった。
さらに、電子デバイス基板12の発消色評価を行った。この評価では、保護層(シール部材)から露出した電子材料層の一方の引き出し部がプラス極、他方の引き出し部がマイナス極となるように2.0Vの電圧を印加して7mC/cm2の電荷を注入した。この結果、酸化反応性のエレクトロクロミック層が青緑色に、還元反応性のエレクトロクロミック層が青色に発色することが確認された。また、-0.6Vを印加することで透明に消色し、正常に発消色動作することも確認された。なお、光透過率は、光透過率を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(日立ハイテクサイエンス株式会社製)で測定した。実施例12における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例13では、第4の実施形態で説明した電子デバイス基板40の一例を作製した。実施例13で作製した電子デバイス基板は、エレクトロクロミック電子調光レンズとして使用できる。
実施例13では、実施例12と同様にして、樹脂層を一体成型した電子デバイス基板13を作製した。なお、実施例13では、プレフォーミングを実施せず、第三の樹脂として、ポリカーボネート材料5(ユーピロン KH3310UR、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)を準備し、射出前に100℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂のメルトボリュームフローレイトは33.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は127℃であった。射出速度は2.8cm/secとした。樹脂温度は260℃、金型温度は100℃/100℃ (固定金型/可動金型)、保圧は900kg/cmに設定し、10mm厚さのレンズを成型した。
実施例13では、インサート成形した円形基板裏面の溶着樹脂を切削研磨して、-1ディオプタの度数加工を実施した後、さらに、有機電子材料層形成エリア(15a、15b、15c)の外側2mmまでがメガネ用レンズとなるようにして、外径加工することで、度付きエレクトロクロミック電子調光レンズ(電子デバイス基板9)を得た。なお、裏面切削研磨時の度数の中心位置は円形基板の中心ではなく、レンズ内の目の位置に合わせて調整加工した。
そして、電子デバイス基板13における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工及び凹加工のいずれにおいてもクラックは発生していなかった。
また、電子デバイス基板13(電子調子光レンズ)の発消色評価を行った。この評価では、保護層(シール部材)から露出した電子材料層の一方の引き出し部がプラス極、他方の引き出し部がマイナス極となるように2.0Vの電圧を印加して7mC/cmの電荷を注入した。
この結果、酸化反応性のエレクトロクロミック層が青緑色に、還元反応性のエレクトロクロミック層が青色に発色することが確認された。また、-0.6Vを印加することで透明に消色し、正常に発消色調光動作することが確認された。なお、光透過率は、光透過率を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(日立ハイテクサイエンス株式会社製)で測定した。実施例9における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例14では、第4の実施形態で説明した電子デバイス基板40の一例を作製した。実施例14で作製した電子デバイス基板は、エレクトロクロミック電子調光レンズとして使用できる。
実施例14では、プレフォーミングを実施せず、第三の樹脂としてポリカーボネート材料4(SH1126Z、帝人株式会社製)を用い、射出前に120℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂における、メルトボリュームフローレイトは26.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は131℃であった。
射出速度は2.8cm/secとした。樹脂温度は260℃、金型温度は100℃/100℃ (固定金型/可動金型)、保圧は900kg/cmに設定し、10mm厚さのレンズを成型した。
なお、実施例14では実施例13と同様にインサート成形した円形基板裏面の樹脂層を切削研磨して2mm厚レンズをとした。
そして、電子デバイス基板14における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工及び凹加工のいずれにおいてもクラックは発生していなかった。
さらに、電子デバイス基板14の発消色評価を行った。この評価では、保護層(シール部材)から露出した電子材料層の一方の引き出し部がプラス極、他方の引き出し部がマイナス極となるように2.0Vの電圧を印加して7mC/cmの電荷を注入した。この結果、酸化反応性のエレクトロクロミック層が青緑色に、還元反応性のエレクトロクロミック層が青色に発色することが確認された。また、-0.6Vを印加することで透明に消色し、正常に発消色動作することも確認された。なお、光透過率は、光透過率を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(日立ハイテクサイエンス株式会社製)で測定した。実施例14における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例15)
実施例15では、第4の実施形態で説明した電子デバイス基板40の一例を作製した。実施例15で作製した電子デバイス基板は、エレクトロクロミックデバイス構成部品として有用である。
実施例15では、樹脂基板(支持体)として、平均厚みが0.3mmのポリエチレンテレフタレート(ルミラー 東レ社製、 支持体の軟化温度150℃以上)を準備した。
下地層の材料としては、無機粒子として無機粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(PGM-AC4130Y、日産化学社製、メタクリル表面処理、平均粒子径40nm-50nm、SiO)と、第一の樹脂としてウレタンアクリレート樹脂(UX5102D_P20、日本化薬株式会社製、硬化後の軟化温度:140℃)を用いた。無機粒子の含有量が、第一の樹脂の全量に対して150質量%となるように調整し、下地層を平均膜厚3μmで形成した。
他の条件は実施例12と同様にして、樹脂層を一体成型した電子デバイス基板15を作製した。
なお、実施例15では、第三の樹脂は、ポリカーボネート材料4(SH1126Z、帝人株式会社製)を用い、射出前に120℃で5時間アニールして使用した。
第三の樹脂における、メルトボリュームフローレイトは26.0(cm/10min)(測定温度 300℃、測定荷重 1.20kgf)、軟化温度は131℃であった。射出速度は28cm/secとした。樹脂温度は280℃に設定した。
そして、電子デバイス基板15における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、この結果、凹加工ではクラックは発生していなかった。凸加工では積層体の外周端部5mm以内に軽微なクラックが確認された。
さらに、電子デバイス基板15の発消色評価を行った。この評価では、保護層(シール部材)から露出した電子材料層の一方の引き出し部がプラス極、他方の引き出し部がマイナス極となるように2.0Vの電圧を印加して7mC/cmの電荷を注入した。この結果、酸化反応性のエレクトロクロミック層が青緑色に、還元反応性のエレクトロクロミック層が青色に発色することが確認された。また、-0.6Vを印加することで透明に消色し、正常に発消色動作することも確認された。なお、光透過率は、光透過率を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(日立ハイテクサイエンス株式会社製)で測定した。実施例15における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(実施例16)
実施例16では、第4の実施形態で説明した電子デバイス基板40の一例を作製した。実施例16で作製した電子デバイス基板は、エレクトロクロミックデバイス構成部品として有用である。
実施例16では、実施例12におけるインサートシート(導電層、下地層、及び支持体)を75mmφ、厚さ2mm、曲率131mmのガラス製金型にセットして、第三の樹脂としてUV硬化樹脂(SK3200、デクセリアルズ社製、硬化後の軟化温度:106℃)を流し込んだ後、UV硬化することで、樹脂層を形成したこと以外、他の条件は実施例12と同様にして、樹脂層を一体成型した電子デバイス基板16を作製した。
そして、電子デバイス基板16における成形加工後の導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工及び凹加工のいずれにおいてもクラックは発生していなかった。
さらに、電子デバイス基板16の発消色評価を行った。この評価では、保護層(シール部材)から露出した電子材料層の一方の引き出し部がプラス極、他方の引き出し部がマイナス極となるように2.0Vの電圧を印加して7mC/cmの電荷を注入した。この結果、酸化反応性のエレクトロクロミック層が青緑色に、還元反応性のエレクトロクロミック層が青色に発色することが確認された。また、-0.6Vを印加することで透明に消色し、正常に発消色動作することも確認された。なお、光透過率は、光透過率を紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(日立ハイテクサイエンス株式会社製)で測定した。実施例16における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1では、実施例5において、下地層を形成しないこと以外は、実施例5同様にして、導電基板17を作製した。
導電基板17における導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後にクラックが発生していた。比較例1における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
また、比較例1における導電基板17にクラックが生じている様子を撮影した顕微鏡を図13に示す。なお、図13における左下の図は、導電基板17における撮影位置を示すものである。
(比較例2)
比較例2では、実施例5において、支持体における第二の樹脂としてシクロオレフィンコポリマー(APL5013VH、三井化学社製、軟化温度:129℃)を用いて、平均厚みが0.35mmの射出成型シートを用いたこと以外は、実施例5同様にして、導電基板18を作製した。
導電基板18における導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後にクラックが発生していた。比較例2における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
また、比較例2でも比較例1の導電層形成基板17と同様のクラックが生じた。
(比較例3)
実施例3において、下地層の材料として、無機粒子分散液を用いないこと以外は、実施例3と同様にして、導電層形成基板19を作製した。
下地層を形成した支持体における25℃(室温)から146℃までの温度範囲の熱膨張率をTMA装置(株式会社リガク製、Thermo plus EVO II)を用いて測定したところ「1.7%」であった。
導電層形成基板19における導電層について、LED反射光および透過光による観察により、損傷(クラック)の有無の確認を行った。この結果、凸加工後、凹加工後ともにクラックが発生していた。比較例3における材料の種類及び評価結果を表1に示す。
また、比較例3でも比較例1の導電層形成基板17と同様のクラックが生じた。
Figure 0007415667000003
ここで、表1における「加工結果」の評価基準を以下に示す。
「◎」:導電層にクラックが生じなかった
「○」:導電層端部5mm以内に軽微なクラックが確認された(実用上問題なし)
「×」:導電層の中央近傍にも大きなクラックが確認された
以上、説明したように、本発明の積層構造体は、導電層と、樹脂で形成された下地層と、支持体と、前記樹脂の軟化温度よりも低い軟化温度を有する樹脂で形成された樹脂層とをこの順に有する。
これにより、本発明の積層構造体は、高温環境における導電層の損傷を抑制できる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 導電層と、
第一の樹脂及び無機粒子を含有する下地層と、
第二の樹脂を含有する支持体と、
前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有する樹脂層と、をこの順に有することを特徴とする積層構造体である。
<2> 前記支持体と前記樹脂層との間に、更に他の前記下地層を有する、前記<1>に記載の積層構造体である。
<3> 前記下地層の熱膨張率が、前記支持体の熱膨張率よりも小さい、前記<1>から<2>のいずれかに記載の積層構造体である。
<4> 前記導電層が複数に分割された、前記<1>から<3>のいずれかに記載の積層構造体である。
<5> 前記導電層が無機酸化物を含有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の積層構造体である。
<6> 前記第二の樹脂の軟化温度と前記第三の樹脂の軟化温度との差が、50℃以下である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の積層構造体である。
<7> 透光性である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の積層構造体である。
<8> 前記樹脂層が光学レンズである、前記<1>から<7>のいずれかに記載の積層構造体である。
<9> 前記第二の樹脂が、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリオキシメチレン、及びウレタンから選択される少なくとも1種、並びに、これらの共重合材料のいずれかを含有する、前記<1>から<8>のいずれかに記載の積層構造体である。
<10> 前記第一の樹脂が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂から選択される少なくとも1種を含有する、前記<1>から<9>のいずれかに記載の積層構造体である。
<11> 前記下地層における前記無機粒子の含有量が、前記第一の樹脂の全量に対して10質量%以上である、前記<1>から<10>のいずれかに記載の積層構造体である。
<12> 前記第三の樹脂が、ポリカーボネート及びポリカーボネート共重合体から選択される少なくとも1種を含有する、前記<1>から<11>のいずれかに記載の積層構造体である。
<13> 前記第三の樹脂における、ISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトが14(cm/10min)以上である、前記<1>から<12>のいずれかに記載の積層構造体である。
<14> 前記導電層に接して設けられた電子材料層と、
前記電子材料層に接して設けられた他の導電層と、を更に有する、前記<1>から<13>のいずれかに記載の積層構造体である。
<15> 前記電子材料層が、エレクトロクロミック層である、前記<14>に記載の積層構造体である。
<16> 前記エレクトロクロミック層が、エレクトロクロミック部及び固体電解質部を有する、前記<15>に記載の積層構造体である。
<17> 前記<1>から<16>のいずれかに記載の積層構造体を2つ有し、
2つの前記積層構造体における前記導電層が被封止層を介して対向し、
前記第一の樹脂及び前記無機粒子を含有するシール部材を、2つの前記積層構造体の間及び2つの前記積層構造体の側面部の少なくともいずれかに有する、ことを特徴とする複積層構造体である。
<18> 前記<1>から<17>のいずれかに記載の積層構造体を有することを特徴とするレンズである。
<19> 導電層、第一の樹脂及び無機粒子を含有する下地層、及び第二の樹脂を含有する支持体をこの順に有する導電基板を、前記導電層側が金型に接するようにして前記金型に配し、
露出する前記支持体上に、前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を射出して樹脂層を一体形成することを含む、ことを特徴とする積層構造体の製造方法である。
<20> 前記金型の温度が、前記第二の樹脂の軟化温度以下の温度である、前記<19>に記載の積層構造体の製造方法である。
<21> 露出する前記支持体上に、前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する前記第三の樹脂を、前記支持体の表面と略平行な方向から射出して前記樹脂層を一体形成する、前記<19>から<20>のいずれかに記載の積層構造体の製造方法である。
<22> 前記第三の樹脂における、ISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトが14(cm/10min)以上である、前記<19>から<21>のいずれかに記載の積層構造体の製造方法である。
前記<1>から<16>のいずれかに記載の積層構造体、前記<17>に記載の複積層構造体、前記<18>に記載のレンズ、及び前記<19>から<22>のいずれかに記載の積層構造体の製造方法によれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
特開昭63-906号公報 特開平2-276630号公報 特許第5409094号公報 特開2013-226815号公報
10 透明導電基板(積層構造体の一例)
11 樹脂基板(支持体)
12 導電層
13 下地層
14 樹脂層(溶着樹脂)
15 電子材料層
15a エレクトロクロミック層(エレクトロクロミック部)
15b エレクトロクロミック層(エレクトロクロミック部)
15c 固体電解質層(固体電解質部)
16 粘着層(両面接着層)
17 シール部材
18 第一の補助電極
20 電子デバイス基板(積層構造体の一例)
30 透明導電基板(積層構造体の一例)
40 電子デバイス基板(積層構造体の一例)
100 曲面形成装置
200 インサート射出成型装置
211 固定金型
221 可動金型
230 射出ユニット

Claims (20)

  1. 導電層と、
    第一の樹脂及び無機粒子を含有する下地層と、
    第二の樹脂を含有する支持体と、
    前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を含有する樹脂層と、をこの順に有することを特徴とする積層構造体。
  2. 前記支持体と前記樹脂層との間に、更に他の前記下地層を有する、請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記下地層の熱膨張率が、前記支持体の熱膨張率よりも小さい、請求項1から2のいずれかに記載の積層構造体。
  4. 前記導電層が複数に分割された、請求項1から3のいずれかに記載の積層構造体。
  5. 前記導電層が無機酸化物を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の積層構造体。
  6. 透光性である、請求項1から5のいずれかに記載の積層構造体。
  7. 前記樹脂層が光学レンズである、請求項1から6のいずれかに記載の積層構造体。
  8. 前記第二の樹脂が、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリオキシメチレン、及びウレタンから選択される少なくとも1種、並びに、これらの共重合材料のいずれかを含有する、請求項1から7のいずれかに記載の積層構造体。
  9. 前記第一の樹脂が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1から8のいずれかに記載の積層構造体。
  10. 前記下地層における前記無機粒子の含有量が、前記第一の樹脂の全量に対して10質量%以上である、請求項1から9のいずれかに記載の積層構造体。
  11. 前記第三の樹脂が、ポリカーボネート及びポリカーボネート共重合体から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1から10のいずれかに記載の積層構造体。
  12. 前記第三の樹脂における、ISO 1133に準拠するメルトボリュームフローレイトが14(cm/10min)以上である、請求項1から11のいずれかに記載の積層構造体。
  13. 前記導電層に接して設けられた電子材料層と、
    前記電子材料層に接して設けられた他の導電層と、を更に有する、請求項1から12のいずれかに記載の積層構造体。
  14. 前記電子材料層が、エレクトロクロミック層である、請求項13に記載の積層構造体。
  15. 前記エレクトロクロミック層が、エレクトロクロミック部及び固体電解質部を有する、請求項14に記載の積層構造体。
  16. 請求項1から15のいずれかに記載の積層構造体を2つ有し、
    2つの前記積層構造体における前記導電層が被封止層を介して対向し、
    前記第一の樹脂及び前記無機粒子を含有するシール部材を、2つの前記積層構造体の間及び2つの前記積層構造体の側面部の少なくともいずれかに有する、ことを特徴とする複積層構造体。
  17. 請求項1から15のいずれかに記載の積層構造体、及び請求項16に記載の複製層構造体の少なくともいずれかを有することを特徴とするレンズ。
  18. 導電層、第一の樹脂及び無機粒子を含有する下地層、及び第二の樹脂を含有する支持体をこの順に有する導電基板を、前記導電層側が金型に接するようにして前記金型に配し、
    露出する前記支持体上に、前記第二の樹脂と同種の樹脂及び前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する樹脂の少なくともいずれかである第三の樹脂を射出して樹脂層を一体形成することを含む、ことを特徴とする積層構造体の製造方法。
  19. 前記金型の温度が、前記第二の樹脂の軟化温度以下の温度である、請求項18に記載の積層構造体の製造方法。
  20. 露出する前記支持体上に、前記第二の樹脂の軟化温度以下の軟化温度を有する前記第三の樹脂を、前記支持体の表面と略平行な方向から射出して前記樹脂層を一体形成する、請求項18から19のいずれかに記載の積層構造体の製造方法。

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