JP7412229B2 - 眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラム - Google Patents

眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラム Download PDF

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Description

この発明は、眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムに関する。
近年、レーザー光源等からの光ビームを用いて被測定物体の表面形態や内部形態を表す画像を形成するための光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)が注目を集めている。OCTは、X線CT(Computed Tomography)のような人体に対する侵襲性を持たないことから、特に医療分野や生物学分野における応用の展開が期待されている。例えば眼科分野においては、眼底や角膜等の画像を形成する装置が実用化されている。
このような被測定物体としての被検眼に対してOCT計測を行う場合、光ファイバやレンズ等の光学系に起因した波長分散の影響を受けることが知られている。例えば、特許文献1及び非特許文献1には、光学系の分散補償を行うことで、OCTに用いられる測定光と参照光との波長分散を補償する手法が開示されている。特に、特許文献1及び非特許文献1には、変更可能な係数を用いて演算処理により分散補償を行う手法が開示されている。例えば、非特許文献1には、所定の関数により得られるピーク強度が高くなるように係数を決定する手法が開示されている。
特開2017-185342号公報
M.Wojtkowski et al., "Ultrahigh-resolution, high-speed, Fourier domain optical coherence tomography and methods for dispersion compensation", OPTICS EXPRESS, 2004年5月31日, Vol.12(No.11), pp.2404-2422
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1に開示された手法では、演算処理の負荷が重くなるという問題がある。従って、OCT計測の度に、非特許文献1に開示された演算処理を行って係数を更新することは実質的に難しい。すなわち、波長依存性が異なる測定対象毎に演算処理を行って分散補償を行うことは実質的に困難である。
また、特許文献1及び非特許文献1に開示された手法では、OCT計測の度に、光学系の経年変化に起因した波長依存性の変化に対応した分散補償を行うことも実質的に困難である。
以上のように、特許文献1及び非特許文献1に開示された手法では、測定対象毎に異なる分散補償を行うことは困難であり、簡素な処理で高精度なOCT計測結果を取得することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、簡素な処理で高精度なOCT計測結果を取得することが可能な眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
いくつかの実施形態の第1態様は、被検眼における所定の部位に対するOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定する特定部と、前記所定の部位に対するOCT計測により得られた干渉信号に対し、前記波長分散量に基づいて分散補償を行う分散補償部と、を含む、眼科情報処理装置である。
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、前記特定部は、前記干渉信号に対してヒルベルト変換を行うヒルベルト変換部を含み、前記ヒルベルト変換を行うことにより得られた前記干渉信号の位相成分に基づいて前記波長分散量を特定する。
いくつかの実施形態の第3態様では、第2態様において、前記特定部は、前記位相成分を1次関数でフィッティングする第1フィッティング部と、前記位相成分から前記第1フィッティング部により得られた1次関数を減算する差分算出部と、を含み、前記差分算出部により算出された差分に基づいて前記波長分散量を特定する。
いくつかの実施形態の第4態様では、第3態様において、前記特定部は、前記差分を2次以上の高次の関数でフィッティングする第2フィッティング部を含み、前記第2フィッティング部により得られた関数に基づいて前記波長分散量を特定する。
いくつかの実施形態の第5態様では、第1態様~第4態様のいずれかにおいて、前記特定部は、Aスキャン毎に前記波長分散量を特定し、前記分散補償部は、Aスキャン毎に前記分散補償を行う。
いくつかの実施形態の第6態様は、第1態様~第5態様のいずれかにおいて、前記分散補償部により分散補償が行われた干渉信号に基づいて前記所定の部位の画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成された前記画像を表示手段に表示させる表示制御部と、を含む。
いくつかの実施形態の第7態様は、第1態様~第6態様のいずれかにおいて、前記分散補償部により分散補償が行われた干渉信号に基づいて眼内距離を特定する解析部を含む。
いくつかの実施形態の第8態様では、第1態様~第7態様のいずれかにおいて、前記所定の部位は、網膜を含む。
いくつかの実施形態の第9態様は、第1態様~第8態様のいずれかにおいて、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記被検眼に照射し、前記被検眼からの戻り光と前記参照光との干渉光を検出する干渉光学系と、第1態様~第8態様のいずれかの眼科情報処理装置と、を含む、眼科装置である。
いくつかの実施形態の第10態様は、被検眼における所定の部位に対するOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定する特定ステップと、前記所定の部位に対するOCT計測により得られた干渉信号に対し、前記波長分散量に基づいて分散補償を行う分散補償ステップと、を含む、眼科情報処理方法である。
いくつかの実施形態の第11態様では、第10態様において、前記特定ステップは、前記干渉信号に対してヒルベルト変換を行うヒルベルト変換ステップを含み、前記ヒルベルト変換を行うことにより得られた前記干渉信号の位相成分に基づいて前記波長分散量を特定する。
いくつかの実施形態の第12態様では、第11態様において、前記特定ステップは、前記位相成分を1次関数でフィッティングする第1フィッティングステップと、前記位相成分から前記第1フィッティングステップにおいて得られた1次関数を減算する差分算出ステップと、を含み、前記差分算出ステップにおいて算出された差分に基づいて前記波長分散量を特定する。
いくつかの実施形態の第13態様では、第12態様において、前記特定ステップは、前記差分を2次以上の高次の関数でフィッティングする第2フィッティングステップを含み、前記第2フィッティングステップにおいて得られた関数に基づいて前記波長分散量を特定する。
いくつかの実施形態の第14態様では、第10態様~第13態様のいずれかにおいて、前記特定ステップは、Aスキャン毎に前記波長分散量を特定し、前記分散補償ステップは、Aスキャン毎に前記分散補償を行う。
いくつかの実施形態の第15態様は、第10態様~第14態様のいずれかにおいて、前記分散補償ステップにおいて分散補償が行われた干渉信号に基づいて前記所定の部位の画像を形成する画像形成ステップと、前記画像形成ステップにおいて形成された前記画像を表示手段に表示させる表示制御ステップと、を含む。
いくつかの実施形態の第16態様は、第10態様~第15態様のいずれかにおいて、前記分散補償ステップにおいて分散補償が行われた干渉信号に基づいて眼内距離を特定する解析ステップを含む。
いくつかの実施形態の第17態様では、第10態様~第16態様のいずれかにおいて、前記所定の部位は、網膜を含む。
いくつかの実施形態の第18態様は、コンピュータに、第10態様~第17態様のいずれかの眼科情報処理方法の各ステップを実行させるプログラムである。
なお、上記した複数の態様に係る構成を任意に組み合わせることが可能である。
本発明に係る実施形態によれば、簡素な処理で分散補償を行うことが可能な眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムを提供することができるようになる。
実施形態に係る眼科システムの構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の制御系の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の制御系の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の制御系の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の制御系の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作説明図である。 実施形態に係る眼科装置の動作説明図である。 実施形態に係る眼科装置の動作説明図である。 実施形態に係る眼科装置の動作説明図である。 実施形態に係る眼科装置の動作例のフロー図である。 実施形態に係る眼科装置の動作例のフロー図である。
この発明に係る眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムの実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
実施形態に係る眼科情報処理装置は、眼科装置により被検眼の所定部位に対して行われたOCT計測により得られた干渉信号を取得する。干渉信号は、OCT光源からの光を測定光と参照光とに分割し、測定光を被検眼に照射し、被検眼からの戻り光と参照光との干渉光を検出することにより得られる。眼科情報処理装置は、取得された干渉信号から、被検眼における所定の部位に対するOCT計測における測定光路と参照光路との差(経路差、光路差)に対応する波長分散量を特定し、特定された波長分散量に基づいて干渉信号に対して分散補償を行うことが可能である。このとき、波長分散量の特定と分散補償とを簡素な処理で実現することが可能である。
OCT計測対象である眼もまた、屈折率及び波長依存性が異なる複数の層領域を備えた媒質である。従って、実施形態によれば、眼内の組織を含むOCT計測の経路に対応した分散補償を行うことが可能になり、OCT計測結果の精度を向上させることができる。
更に、OCT計測を行うための光学系は、経年変化等による光源の中心波長の変化に起因して波長依存性が変化する。実施形態によれば、光学系の経年変化等に起因した波長依存性の変化に対して分散補償を行うことが可能になり、OCT計測結果の精度を向上させることができる。
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置は、分散補償が行われたOCT計測結果に基づいて、OCT画像を形成することが可能である。それにより、OCT画像の画質を向上させることができる。
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置は、分散補償が行われたOCT計測結果を用いて所定の解析処理を行うことが可能である。それにより、OCT計測により得られる解析結果の精度を向上させることができる。
以下の実施形態では、被測定物体として被検眼を例に説明するが、実施形態に係る眼科装置は、被検眼以外の被測定物体に対してOCTを実行するものであってよい。実施形態に係る眼科装置は、例えば眼底や前眼部など、被検眼の任意の部位に対してOCTを実行することが可能である。この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。
以下、実施形態では、OCTを用いた計測又は撮影においてスペクトラルドメインタイプのOCTの手法を用いる場合について特に詳しく説明する。しかしながら、他のタイプ(例えば、スウェプトソースタイプ又はタイムドメインタイプ)のOCTを用いる眼科装置に対して、実施形態に係る構成を適用することも可能である。
[眼科システム]
図1に、実施形態に係る眼科システムの構成例のブロック図を示す。実施形態に係る眼科システム1000は、眼科装置1と、眼科情報処理装置(眼科画像処理装置、眼科解析装置)500と、操作装置510と、表示装置520とを含む。
眼科装置1は、被検眼に対してOCTを実行することにより被検眼のデータを光学的に収集する。眼科装置1は、被検眼の所定の部位(眼底(網膜)又は前眼部)をスキャンすることにより被検眼の所定の部位のOCTデータ(干渉信号)を光学的に収集する。眼科装置1は、取得されたOCTデータから被検眼の所定の部位の画像を取得することが可能である。画像には、断層像及び正面画像が含まれる。断層像には、Bスキャン画像などがある。正面画像には、Cスキャン画像、en-face画像、シャドウグラム、又はプロジェクション画像などがある。眼科装置1は、取得された被検眼のデータ又は取得された画像のデータを眼科情報処理装置500に送信する。
いくつかの実施形態では、眼科装置1と眼科情報処理装置500とは、データ通信ネットワークを介して接続される。いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置500は、データ通信ネットワークを介して選択的に接続された複数の眼科装置1の1つから上記のデータを受信する。
操作装置510及び表示装置520は、ユーザインターフェイス部として情報の表示、情報の入力、操作指示の入力など、眼科情報処理装置500とそのユーザとの間で情報をやりとりするための機能を提供する。操作装置510は、レバー、ボタン、キー、ポインティングデバイス等の操作デバイスを含む。いくつかの実施形態に係る操作装置510は、音で情報を入力するためのマイクロフォンを含む。表示装置520は、フラットパネルディスプレイ等の表示デバイスを含む。いくつかの実施形態では、操作装置510及び表示装置520の機能は、タッチパネルディスプレイのような入力機能を有するデバイスと表示機能を有するデバイスとが一体化されたデバイスにより実現される。いくつかの実施形態では、操作装置510及び表示装置520は、情報の入出力を行うためのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を含む。
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、眼科情報処理装置500、操作装置510、及び表示装置520の少なくとも1つの機能を有する。以下、眼科装置1が、眼科情報処理装置500、操作装置510、及び表示装置520の機能を有する場合について説明する。
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、上記のOCT計測を実行する機能に加えて、眼底カメラ、走査型レーザー検眼鏡、スリットランプ顕微鏡、及び手術用顕微鏡の少なくとも1つの機能を備える。いくつかの実施形態に係る眼科装置は、被検眼の光学的な特性を測定する機能を備える。被検眼の光学的な特性を測定する機能を備えた眼科装置には、レフラクトメーター、ケラトメーター、眼圧計、ウェーブフロントアナライザー、スペキュラーマイクロスコープ、視野計などがある。いくつかの実施形態に係る眼科装置は、レーザー治療に用いられるレーザー治療装置の機能を備える。
以下、眼科装置1は、OCT計測機能と、眼底カメラの機能とを備える場合について説明する。
[眼科装置]
<光学系>
図2に、実施形態に係る眼科装置1の光学系の構成例を示す。
図2に示すように、眼科装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100、及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
〔眼底カメラユニット〕
図2に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、例えば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、例えば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、又は近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、例えばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30とが設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38、撮像装置は、CMOSイメージセンサ(単に、CMOSと呼ぶことがある)であってもよい)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を被検眼Eに導くとともに、被検眼Eを経由した測定光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、例えばハロゲンランプ又はLED(Light Emitting Diode)により構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、例えば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、例えばキセノンランプ又はLEDにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32により反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60とが設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、被検眼Eに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー33Aを透過する。ハーフミラー33Aを透過した光は、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過する。二孔絞り64を通過した光は、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21により反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、光スキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。合焦レンズ43は、OCT用の光路に沿って移動可能である。
光路長変更部41は、図2に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、例えばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
光スキャナ42は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置されている。光スキャナ42は、OCT用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、被検眼Eを測定光LSでスキャンすることができる。光スキャナ42は、例えば、測定光LSをx方向にスキャンするガルバノミラーと、y方向にスキャンするガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向にスキャンすることができる。
〔OCTユニット〕
OCTユニット100の構成の一例を図3に示す。OCTユニット100には、被検眼Eの所定の部位に対するOCT計測を行うための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、広帯域光源からの光(低コヒーレンス光)を参照光と測定光とに分割し、被検眼Eの眼底Efを経由した測定光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号、干渉信号)は演算制御ユニット200に送られる。
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、例えば、近赤外領域の波長帯(約800nm~900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、例えば1040~1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバ104により導かれてアッテネータ(光減衰器)105に到達する。アッテネータ105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104により導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。アッテネータ105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波コントローラ(偏波調整器)106に到達する。偏波コントローラ106は、例えば、ループ状にされた光ファイバ104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏波状態を調整する装置である。なお、偏波コントローラ106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波コントローラ106により偏波状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ103により生成された測定光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。更に、測定光LSは、光路長変更部41、光スキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。ダイクロイックミラー46に到達した測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる測定光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ109は、測定光LSの後方散乱光と、アッテネータ105等を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子(分光器)113により分光(スペクトル分解)され、ズーム光学系114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図3に示す回折格子113は透過型であるが、例えば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
CCDイメージセンサ115は、例えばラインセンサ又は2次元センサであり、2以上の受光素子(検出素子)が配列され、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、例えばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
<制御系>
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について図4~図7を参照しつつ説明する。なお、図4~図7においては、眼科装置1のいくつかの構成要素が省略されており、この実施形態を説明するために特に必要な構成要素が選択的に示されている。
演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して被検眼EのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様である。また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。例えば演算制御ユニット200は、被検眼EのOCT画像を表示装置3に表示させる。演算制御ユニット200は、制御部210と、画像形成部220と、データ処理部230とを含む。
演算制御ユニット200は、例えば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含む。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、例えばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
(制御部)
眼科装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、例えば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、図4に示すように、主制御部211は、眼底カメラユニット2に対し、合焦駆動部31A及び43A、CCDイメージセンサ35及び38、LCD39、光路長変更部41、及び光スキャナ42等を制御する。また、主制御部211は、OCTユニット100に対し、光源ユニット101、アッテネータ105、偏波コントローラ106、ズーム光学系114、及びCCDイメージセンサ115等を制御する。
合焦駆動部31Aは、主制御部211の制御の下、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることができる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、被検眼Eを動画撮影して得られる画像に基づき被検眼Eの位置や向きに合わせて装置光学系をリアルタイムで移動させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
合焦駆動部43Aは、主制御部211の制御の下、測定光LSの光路に沿って合焦レンズ43を移動させる。それにより、測定光LSの合焦位置が変更される。測定光LSの合焦位置は、測定光LSのビームウェストの深さ位置(z位置)に相当する。
光源ユニット101は、主制御部211の制御の下、点灯と非点灯とを切り換えたり、光源ユニット101から出力される光L0の光量を変更したりする。
ズーム光学系114は、2以上のレンズ(例えば、2つの凸レンズと、2つの凸レンズの間に配置された1つの凹レンズ)を含み、主制御部211の制御の下、レンズ間隔の変更が可能に構成されている。レンズ間隔を変更することにより、画角が変更され、CCDイメージセンサ115の検出面における1検出素子あたりのスペクトルの波長幅を変更することが可能である。
主制御部211は、図4に示すように、表示制御部211Aを含む。表示制御部211Aは、画像形成部220により形成されたOCT画像や、データ処理部230によるデータ処理後の情報などを表示装置3に表示させる。例えば、表示制御部211Aは、後述するように分散補償が行われた干渉信号に基づいて形成された被検眼Eの所定の部位の画像を表示装置3に表示させることが可能である。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼科装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データを形成する。すなわち、画像形成部220は、干渉光学系による干渉光LCの検出結果に基づいて被検眼Eの画像データを形成する。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプのOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。このようにして取得される画像データは、複数のAライン(被検眼E内における各測定光LSの経路)における反射強度プロファイルを画像化することにより形成された一群の画像データを含むデータセットである。
画質を向上させるために、同じパターンでのスキャンを複数回繰り返して収集された複数のデータセットを重ね合わせる(加算平均する)ことができる。
画像形成部220は、例えば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。また、被検眼Eの部位とその画像とを同一視することもある。
以上のように機能する画像形成部220は、例えば、1以上のプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。例えば、画像形成部220の機能は、1以上のプロセッサにより実現される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
(データ処理部)
データ処理部230は、画像形成部220により形成されたOCT画像に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施す。例えば、データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
データ処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼Eのボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
データ処理部230は、眼底像とOCT画像との位置合わせを行うことができる。眼底像とOCT画像とが並行して取得される場合には、双方の光学系が同軸であることから、(ほぼ)同時に取得された眼底像とOCT画像とを、撮影光学系30の光軸を基準として位置合わせすることができる。また、眼底像とOCT画像との取得タイミングに関わらず、OCT画像のうち眼底Efの相当する画像領域の少なくとも一部をxy平面に投影して得られる正面画像と、眼底像との位置合わせをすることにより、そのOCT画像とその眼底像とを位置合わせすることも可能である。この位置合わせ手法は、眼底像取得用の光学系とOCT用の光学系とが同軸でない場合においても適用可能である。また、双方の光学系が同軸でない場合であっても、双方の光学系の相対的な位置関係が既知であれば、この相対位置関係を参照して同軸の場合と同様の位置合わせを実行することが可能である。
データ処理部230は、図5に示すように、分散補償処理部231と、解析部232とを含む。
分散補償処理部231は、被検眼Eに対するOCT計測により得られた干渉信号から、測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定し、特定された波長分散量に基づいて当該干渉信号に対して分散補償処理を施す。この実施形態では、OCT計測の経路は、例えば、光源ユニット101を始点として、測定光LSの光路、参照光LRの光路、及び干渉光LCの光路を経由して検出素子としてのCCDイメージセンサ115に至るまでの光路に相当する。
解析部232は、分散補償処理部231により分散補償処理が施された干渉信号を用いて所定の解析処理を行う。いくつかの実施形態では、解析部232は、分散補償処理が施された干渉信号に基づいて形成されたOCT画像に対して所定の解析処理を行う。
所定の解析処理には、被検眼Eにおける所定の部位(組織、病変部)の特定;指定された部位間の距離、面積、角度、比率、密度の算出;指定された計算式による演算;所定の部位の形状の特定;これらの統計値の算出;計測値、統計値の分布の算出;これら解析処理結果に基づく画像処理などがある。所定の組織には、血管、視神経乳頭、中心窩、黄斑などがある。所定の病変部には、白斑、出血、剥離部、浮腫、腫瘍、ドルーゼンなどがある。
部位間の距離には、網膜における層領域の層厚、眼内距離が含まれる。網膜における層領域には、内境界膜、神経繊維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、RPEがある。部位間の距離には、ブルッフ膜、脈絡膜、強膜などが含まれてよい。眼内距離には、眼軸長、角膜厚、前房深度、水晶体厚、硝子体厚などがある。
(分散補償処理部)
図6に示すように、分散補償処理部231は、リスケーリング部231Aと、分散特定部231Bと、分散補償部231Cとを含む。
(リスケーリング部)
リスケーリング部231Aは、図8Aに示すように、CCDイメージセンサ115により得られた干渉光の検出結果である干渉信号Sgに対してリスケーリング処理を施す。リスケーリング処理は、波長等間隔軸で測定された干渉信号を波数等間隔軸に設定し直す処理である。
(分散特定部)
分散特定部231Bは、リスケーリング部231Aによりリスケーリング処理が施された干渉信号から、OCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定する。
ここで、リスケーリング部231Aによりリスケーリング処理が施された干渉信号I(k)は、式(1)に示すように表すことができる。
Figure 0007412229000001
式(1)において、kは波数を表し、S(k)は光源ユニット101から出力される光のスペクトルを示す関数を表し、Rrは参照光路の反射率を表し、Rsは測定光路の反射率を表し、φは位相を表す。
様々な屈折率を有する媒質を通る光の位相φ(k)は、式(1)に示す干渉信号に対してヒルベルト変換(Hilbert Transform)を施すことにより得られる。得られた位相φ(k)は、式(2)に示すようにTaylor展開することができる。
Figure 0007412229000002
式(2)において、kは光源ユニット101から出力される光の中心波数を表す。式(2)の2(n=2)次以上の項は、スペクトルの幅を広げてしまい、ピーク強度を下げる。分散特定部231Bは、式(2)に示す2次以上の高次の項の少なくとも一部をOCT計測の経路(OCT計測における経路差)に対応した波長分散量として特定する。
このような分散特定部231Bは、図7に示すように、ヒルベルト変換部233と、第1フィッティング部234と、差分算出部235と、第2フィッティング部236とを含む。
(ヒルベルト変換部)
ヒルベルト変換部233は、上記のように、リスケーリング部231Aによりリスケーリング処理が施された干渉信号に対してヒルベルト変換処理を施す。それにより、式(2)に示す位相φ(k)が得られる。ヒルベルト変換処理を行うことにより、例えば、図8Bに示すように、干渉信号Sgの振幅成分Apと位相成分Phを抽出される。位相成分Phは、式(2)に示す1次以上の項に相当する。
いくつかの実施形態では、ヒルベルト変換部233によるヒルベルト変換処理により得られた位相成分Phから、OCT計測の経路に対応した波長分散量が特定される。この場合、後述の分散補償部231Cは、干渉信号Sgに対して、特定された波長分散量に基づいて分散補償を行う。
(第1フィッティング部)
第1フィッティング部234は、図8Cに示すように、ヒルベルト変換部233によるヒルベルト変換処理により得られた位相成分Phを公知の手法で1次関数でフィッティングし、得られた1次関数Ph1を出力する。1次関数Ph1は、式(2)に示す1次の項に相当する。
(差分算出部)
差分算出部235は、ヒルベルト変換部233によるヒルベルト変換処理により得られた干渉信号の位相成分phから、第1フィッティング部234によるフィッティング処理により得られた1次関数Ph1を減算する。差分算出部235により得られた差分は、式(2)に示す2次以上の高次の項に相当する。
いくつかの実施形態では、差分算出部235により得られた差分から、OCT計測の経路に対応した波長分散量が特定される。この場合、後述の分散補償部231Cは、干渉信号Sgに対して、特定された波長分散量に基づいて分散補償を行う。
(第2フィッティング部)
第2フィッティング部236は、図8Dに示すように、差分算出部235により得られた差分Ph3を公知の手法で3次以上の高次の関数(例えば、4次関数)でフィッティングし、得られた高次の関数Ph4を出力する。関数Ph4は、分散補償関数である。
(分散補償部)
分散補償部231Cは、分散特定部231Bにより特定されたOCT計測の経路に対応した波長分散量に基づいて、干渉信号Sgに対して分散補償処理を施す。具体的には、分散補償部231Cは、第2フィッティング部236によるフィッティング処理により得られた高次の関数Ph4を用いて干渉信号Sgに対して分散補償処理を施す。
例えば、分散補償前の干渉信号をI(k)と表し、分散補償後の干渉信号をI´(k)と表すと、分散補償部231Cは、式(3)に示すような演算処理を行うことにより分散補償処理を行う。
Figure 0007412229000003
以上のような分散補償を行うことにより、OCT計測の経路に対応した波長分散量を補償(キャンセル)することができるようになる。OCT計測の経路に対応した波長分散量には、OCT計測の経路上に配置された光学素子の波長分散量、OCT計測対象の被検眼Eの波長分散量、リスケーリング処理による波長分散量が含まれる。
特に、光源ユニット101から出力される光の中心波数kは、製造ばらつきによる個体差や経年変化によって必ずしも一定ではない。しかしながら、実施形態では、OCT計測の経路に対応した波長分散量には、OCT計測時に光源ユニット101から出力される光の中心波数kのバラツキに起因した波長分散量も含まれる。それにより、簡素な処理で、OCT計測時点での波長分散量(OCT計測時点での光学系の状態、及び被検眼に応じた波長分散量)を補償することができるようになる。
以上のように機能するデータ処理部230は、例えば、1以上のプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。例えば、データ処理部230の機能は、1以上のプロセッサにより実現される。いくつかの実施形態では、データ処理部230の各部の機能は、各部に対応して設けられた1以上のプロセッサにより実現される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
(ユーザインターフェイス)
図4に示すように、ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部242には、眼科装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。また、表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部241と操作部242は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部242は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部242に対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部241に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部242とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
表示部241は、図1に示す表示装置520の機能を実現する。操作部242は、図1に示す操作装置510の機能を実現する。
OCTユニット100から対物レンズ22までの光学系は、実施形態に係る「干渉光学系」の一例である。表示装置3又は表示部241は、実施形態に係る「表示手段」の一例である。分散特定部231Bは、実施形態に係る「特定部」の一例である。演算制御ユニット200は、実施形態に係る「眼科情報処理装置」の一例である。
[動作例]
眼科装置1の動作について説明する。以下では、被検眼Eの眼底Efに対してOCT計測を行う場合について説明する。
図9及び図10に、実施形態に係る眼科装置1の動作例のフロー図を示す。図9及び図10は、実施形態に係る眼科装置1の動作例のフローチャートを表す。図10は、図9のステップS3の動作例のフローチャートを表す。記憶部212には、図9及び図10に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部211は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図9及び図10に示す処理を実行する。
(S1:アライメント)
まず、主制御部211は、アライメントを実行する。
すなわち、主制御部211は、アライメント光学系50を制御して、被検眼Eにアライメント指標を投影させる。このとき、被検眼Eには、LCD39による固視標も投影される。主制御部211は、例えばCCDイメージセンサ35により取得された受光像に基づいて特定された光学系の移動量に基づいて図示しない移動機構を制御し、被検眼Eに対して光学系を当該移動量だけ相対的に移動させる。主制御部211は、この処理を繰り返し実行させる。いくつかの実施形態では、ステップS1におけるアライメント完了後に、フォーカス光学系60を用いたフォーカス調整が行われる。
(S2:OCT計測)
続いて、主制御部211は、OCTユニット100等を制御して被検眼Eの眼底Efに対してOCT計測を実行する。これにより、眼底EfをOCT計測対象とする干渉信号が取得される。
例えば、ステップS1からステップS2に移行したとき、まず、主制御部211は、LCD39の所定位置にOCT計測用の固視標を表示させる。主制御部211は、眼底Efにおける光学系の光軸の位置に対応するLCD39の表示位置に固視標を表示させることが可能である。その後、主制御部211は、OCTユニット100等を制御して、事前に設定されたスキャンエリアに対して測定光LSを用いたスキャンを開始させる。いくつかの実施形態では、スキャンエリアは、眼底Efの形態に応じて自動で設定される。いくつかの実施形態では、ユーザが表示部241に表示された眼底Efの画像を見ながら操作部242を用いて眼底Efに対してスキャンエリアを設定する。
ステップS2において、スキャンエリア内の複数の測定位置(入射位置)における干渉信号(Aスキャン方向)が得られる。ステップS2において得られた干渉信号は、例えば、記憶部212に保存される。
(S3:分散補償)
次に、主制御部211は、ステップS2において得られた干渉信号に対する分散補償を分散補償処理部231に行わせる。これにより、ステップS2におけるスキャンエリア内の複数の測定位置における、分散補償処理後の干渉信号が得られる。ステップS3の詳細は、後述する。
(S4:解析処理)
続いて、主制御部211は、ステップS3において得られた分散補償処理後の干渉信号を用いて所定の解析処理を解析部232に実行させる。解析部232は、上記の解析処理を行う。
例えば、主制御部211は、ステップS3において得られた分散補償処理後の干渉信号に基づいてOCT画像を画像形成部220に形成させ、形成されたOCT画像を用いて上記の解析処理を解析部232に実行させる。
また、例えば、主制御部211は、ステップS3において得られた分散補償処理後の干渉信号に基づいてOCT画像を画像形成部220に形成させ、形成されたOCT画像を表示部241に表示させる。
以上で、眼科装置1の処理は終了である(エンド)。
図9のステップS3では、図10に示すように処理が実行される。
(S11:干渉信号を取得)
まず、主制御部211は、ステップS2において得られた干渉信号を取得する。例えば、主制御部211は、ステップS2において記憶部212に保存された1つのAスキャンに対応した干渉信号を読み出す。
(S12:リスケ-リング)
次に、主制御部211は、ステップS11において取得された干渉信号に対してリスケ-リング処理をリスケーリング部231Aに実行させる。
例えば、リスケーリング部231Aは、図8Aに示すように、干渉信号に対してリスケ-リング処理を実行する。
(S13:ヒルベルト変換)
次に、主制御部211は、ステップS12において得られたリスケ-リング処理後の干渉信号に対してヒルベルト変換処理をヒルベルト変換部233に実行させる。
例えば、ヒルベルト変換部233は、図8Bに示すように、リスケ-リング処理後の干渉信号に対して公知のヒルベルト変換を実行する。これにより、リスケ-リング処理後の干渉信号の位相成分が抽出される。
(S14:第1フィッティング処理)
次に、主制御部211は、ステップS13において得られた干渉信号の位相成分を1次関数でフィッティングする第1フィッティング処理を第1フィッティング部234に実行させる。
例えば、第1フィッティング部234は、図8Cに示すように、干渉信号の位相成分を1次関数でフィッティングする。
(S15:差分を算出)
次に、主制御部211は、ステップS13において得られた干渉信号の位相成分から、ステップS14において得られた1次関数を差分算出部235に減算させる。
例えば、差分算出部235は、上記のように、式(2)に示す2次以上の高次の項を算出する。
(S16:第2フィッティング処理)
次に、主制御部211は、ステップS15において得られた差分を4次関数でフィッティングする第2フィッティング処理を第2フィッティング部236に実行させる。
例えば、第2フィッティング部236は、図8Dに示すように、ステップS15において得られた差分を4次関数でフィッティングする。
(S17:分散補償)
続いて、主制御部211は、ステップS16において得られた4次関数を用いて、ステップS11において得られた干渉信号に対して分散補償処理を分散補償部231Cに実行させる。
例えば、分散補償部231Cは、式(3)に示す演算処理を行うことで、当該Aスキャンにより得られた干渉信号に対して分散補償処理を行う。
(S18:次?)
次に、主制御部211は、次に分散補償を行うべき干渉信号あるか否かを判定する。例えば、主制御部211は、スキャンエリア内の複数の測定位置に対してあらかじめ決められた順序でステップS11~ステップS17が実行されたか否かを判定することにより、次に分散補償を行うべき干渉信号があるか否かを判定することが可能である。或いは、例えば、主制御部211は、ステップS11~ステップS17の一連の処理の実行回数があらかじめ決められた回数であるか否かを判定することにより、次に分散補償を行うべき干渉信号があるか否かを判定することが可能である。
次に分散補償を行うべき干渉信号があると判定されたとき(S18:Y)、眼科装置1の動作はステップS11に移行する。次に分散補償を行うべき干渉信号があると判定されなかったとき(S18:N)、眼科装置1の動作は終了である(エンド)。
実施形態に係る眼科情報処理方法は、実施形態に係る眼科情報処理装置によって実現される。いくつかの実施形態では、上記の眼科情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。このようなプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な非一時的な(non-transitory)任意の記録媒体に記憶させることができる。記録媒体は、磁気、光、光磁気、半導体などを利用した電子媒体であってよい。典型的には、記録媒体は、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブなどである。また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
[作用・効果]
実施形態に係る眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムの作用及び効果について説明する。
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置(500、演算制御ユニット200)は、特定部(分散特定部231B)と、分散補償部(231C)とを含む。特定部は、被検眼(E)における所定の部位(例えば、眼底(網膜))に対するOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定する。分散補償部は、所定の部位に対するOCT計測により得られた干渉信号に対し、波長分散量に基づいて分散補償を行う。
このような構成によれば、干渉信号からOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定し、特定された波長分散量に基づいて干渉信号に対して分散補償を行うようにしたので、光学系の経年変化やOCT計測対象の被検眼にかかわらず、簡素な処理で、高精度なOCT計測結果を取得することができるようになる。
いくつかの実施形態では、特定部は、干渉信号に対してヒルベルト変換を行うヒルベルト変換部(233)を含み、ヒルベルト変換を行うことにより得られた干渉信号の位相成分に基づいて波長分散量を特定する。
このような構成によれば、干渉信号から位相成分を抽出し、抽出された位相成分に基づいて波長分散量を特定するようにしたので、簡素な処理で分散補償を行うことが可能になる。
いくつかの実施形態では、特定部は、位相成分を1次関数でフィッティングする第1フィッティング部(234)と、位相成分から第1フィッティング部により得られた1次関数を減算する差分算出部(235)と、を含み、差分算出部により算出された差分に基づいて波長分散量を特定する。
このような構成によれば、干渉信号の位相成分をフィッティングすることにより得られた1次関数を位相成分から減算することで波長分散量を特定するようにしたので、簡素な処理で分散補償を行うことが可能になる。
いくつかの実施形態では、特定部は、差分を2次以上の高次の関数でフィッティングする第2フィッティング部(236)を含み、第2フィッティング部により得られた関数に基づいて波長分散量を特定する。
このような構成によれば、上記の差分をフィッティングすることにより得られた2次以上の高次の関数に基づいて波長分散量を特定するようにしたので、簡素な処理で分散補償を行うことが可能になる。
いくつかの実施形態では、特定部は、Aスキャン毎に波長分散量を特定し、分散補償部は、Aスキャン毎に分散補償を行う。
このような構成によれば、Aスキャン毎に、波長分散量を特定し、特定された波長分散量に基づいて干渉信号に対して分散補償を行うようにしたので、簡素な処理で、高精度なOCT計測結果を取得することが可能になる。
いくつかの実施形態は、分散補償部により分散補償が行われた干渉信号に基づいて所定の部位の画像を形成する画像形成部(220)と、画像形成部により形成された画像を表示手段(表示装置520、表示部241)に表示させる表示制御部(211A)と、を含む。
このような構成によれば、OCT計測により得られた干渉信号に基づいて形成される画像の画質を向上させることが可能になる。
いくつかの実施形態は、分散補償部により分散補償が行われた干渉信号に基づいて眼内距離を特定する解析部(232)を含む。
このような構成によれば、OCT計測により得られた干渉信号に基づいて特定される眼内距離の精度を向上させることが可能になる。
いくつかの実施形態では、所定の部位は、網膜を含む。
このような構成によれば、装置光学系から網膜までのOCT計測の経路における波長分散量を補償することが可能になる。
いくつかの実施形態に係る眼科装置(1)は、光源(光源ユニット101)からの光(L0)を測定光(LS)と参照光(LR)とに分割し、測定光を被検眼に照射し、被検眼からの戻り光と参照光との干渉光(LC)を検出する干渉光学系(OCTユニット100から対物レンズ22までの光学系)と、上記のいずれかに記載の眼科情報処理装置と、を含む。
このような構成によれば、光学系の経年変化やOCT計測対象の被検眼にかかわらず、簡素な処理で、高精度なOCT計測結果を取得することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理方法は、被検眼(E)における所定の部位(例えば、眼底(網膜))に対するOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定する特定ステップと、所定の部位に対するOCT計測により得られた干渉信号に対し、波長分散量に基づいて分散補償を行う分散補償ステップと、を含む。
このような方法によれば、干渉信号からOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定し、特定された波長分散量に基づいて干渉信号に対して分散補償を行うようにしたので、光学系の経年変化やOCT計測対象の被検眼にかかわらず、簡素な処理で、高精度なOCT計測結果を取得することができるようになる。
いくつかの実施形態では、特定ステップは、干渉信号に対してヒルベルト変換を行うヒルベルト変換ステップを含み、ヒルベルト変換を行うことにより得られた干渉信号の位相成分に基づいて波長分散量を特定する。
このような方法によれば、干渉信号から位相成分を抽出し、抽出された位相成分に基づいて波長分散量を特定するようにしたので、簡素な処理で分散補償を行うことが可能になる。
いくつかの実施形態では、特定ステップは、位相成分を1次関数でフィッティングする第1フィッティングステップと、位相成分から第1フィッティングステップにおいて得られた1次関数を減算する差分算出ステップと、を含み、差分算出ステップにおいて算出された差分に基づいて波長分散量を特定する。
このような方法によれば、干渉信号の位相成分をフィッティングすることにより得られた1次関数を位相成分から減算することで波長分散量を特定するようにしたので、簡素な処理で分散補償を行うことが可能になる。
いくつかの実施形態では、特定ステップは、差分を2次以上の高次の関数でフィッティングする第2フィッティングステップを含み、第2フィッティングステップにおいて得られた関数に基づいて波長分散量を特定する。
このような方法によれば、上記の差分をフィッティングすることにより得られた2次以上の高次の関数に基づいて波長分散量を特定するようにしたので、簡素な処理で分散補償を行うことが可能になる。
いくつかの実施形態では、特定ステップは、Aスキャン毎に波長分散量を特定し、分散補償ステップは、Aスキャン毎に分散補償を行う。
このような方法によれば、Aスキャン毎に、波長分散量を特定し、特定された波長分散量に基づいて干渉信号に対して分散補償を行うようにしたので、簡素な処理で、高精度なOCT計測結果を取得することが可能になる。
いくつかの実施形態は、分散補償ステップにおいて分散補償が行われた干渉信号に基づいて所定の部位の画像を形成する画像形成ステップと、画像形成ステップにおいて形成された画像を表示手段(表示装置520、表示部241)に表示させる表示制御ステップと、を含む。
このような方法によれば、OCT計測により得られた干渉信号に基づいて形成される画像の画質を向上させることが可能になる。
いくつかの実施形態は、分散補償ステップにおいて分散補償が行われた干渉信号に基づいて眼内距離を特定する解析ステップを含む。
このような方法によれば、OCT計測により得られた干渉信号に基づいて特定される眼内距離の精度を向上させることが可能になる。
いくつかの実施形態では、所定の部位は、網膜を含む。
このような方法によれば、装置光学系から網膜までのOCT計測の経路における波長分散量を補償することが可能になる。
いくつかの実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、上記のいずれかに記載の眼科情報処理方法の各ステップを実行させる。
このようなプログラムによれば、干渉信号からOCT計測の経路に対応した波長分散量を特定し、特定された波長分散量に基づいて干渉信号に対して分散補償を行うようにしたので、光学系の経年変化やOCT計測対象の被検眼にかかわらず、簡素な処理で、高精度なOCT計測結果を取得することができるようになる。
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。適用される構成は、例えば目的に応じて選択される。また、適用される構成に応じ、当業者にとって自明の作用効果や、本明細書において説明された作用効果が得られる。
1 眼科装置
2 眼底カメラユニット
3、520 表示装置
100 OCTユニット
200 演算制御ユニット
210 制御部
211 主制御部
211A 表示制御部
212 記憶部
220 画像形成部
230 データ処理部
231 分散補償処理部
231A リスケーリング部
231B 分散特定部
231C 分散補償部
232 解析部
233 ヒルベルト変換部
234 第1フィッティング部
235 差分算出部
236 第2フィッティング部
240 ユーザインターフェイス
241 表示部
242 操作部
500 眼科情報処理装置
510 操作装置
1000 眼科システム
E 被検眼

Claims (14)

  1. 被検眼における所定の部位に対するOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定する特定部と、
    前記所定の部位に対するOCT計測により得られた干渉信号に対し、前記波長分散量に基づいて分散補償を行う分散補償部と、
    を含み、
    前記特定部は、
    前記干渉信号に対してヒルベルト変換を行うヒルベルト変換部と、
    前記ヒルベルト変換を行うことにより得られた前記干渉信号の位相成分を1次関数でフィッティングする第1フィッティング部と、
    前記位相成分から前記第1フィッティング部により得られた1次関数を減算する差分算出部と、
    を含み、
    前記差分算出部により算出された差分に基づいて前記波長分散量を特定する、眼科情報処理装置。
  2. 前記特定部は、
    前記差分を2次以上の高次の関数でフィッティングする第2フィッティング部
    を含み、
    前記第2フィッティング部により得られた関数に基づいて前記波長分散量を特定する
    ことを特徴とする請求項に記載の眼科情報処理装置。
  3. 前記特定部は、Aスキャン毎に前記波長分散量を特定し、
    前記分散補償部は、Aスキャン毎に前記分散補償を行う
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科情報処理装置。
  4. 前記分散補償部により分散補償が行われた干渉信号に基づいて前記所定の部位の画像を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部により形成された前記画像を表示手段に表示させる表示制御部と、
    を含む
    ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
  5. 前記分散補償部により分散補償が行われた干渉信号に基づいて眼内距離を特定する解析部を含む
    ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
  6. 前記所定の部位は、網膜を含む
    ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
  7. 光源からの光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記被検眼に照射し、前記被検眼からの戻り光と前記参照光との干渉光を検出する干渉光学系と、
    請求項1~請求項のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置と、
    を含む、眼科装置。
  8. 被検眼における所定の部位に対するOCT計測における測定光路と参照光路との差に対応した波長分散量を特定する特定ステップと、
    前記所定の部位に対するOCT計測により得られた干渉信号に対し、前記波長分散量に基づいて分散補償を行う分散補償ステップと、
    を含み、
    前記特定ステップは、
    前記干渉信号に対してヒルベルト変換を行うヒルベルト変換ステップと、
    前記ヒルベルト変換を行うことにより得られた前記干渉信号の位相成分を1次関数でフィッティングする第1フィッティングステップと、
    前記位相成分から前記第1フィッティングステップにおいて得られた1次関数を減算する差分算出ステップと、
    を含み、
    前記差分算出ステップにおいて算出された差分に基づいて前記波長分散量を特定する、眼科情報処理方法。
  9. 前記特定ステップは、
    前記差分を2次以上の高次の関数でフィッティングする第2フィッティングステップ
    を含み、
    前記第2フィッティングステップにおいて得られた関数に基づいて前記波長分散量を特定する
    ことを特徴とする請求項に記載の眼科情報処理方法。
  10. 前記特定ステップは、Aスキャン毎に前記波長分散量を特定し、
    前記分散補償ステップは、Aスキャン毎に前記分散補償を行う
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の眼科情報処理方法。
  11. 前記分散補償ステップにおいて分散補償が行われた干渉信号に基づいて前記所定の部位の画像を形成する画像形成ステップと、
    前記画像形成ステップにおいて形成された前記画像を表示手段に表示させる表示制御ステップと、
    を含む
    ことを特徴とする請求項~請求項10のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
  12. 前記分散補償ステップにおいて分散補償が行われた干渉信号に基づいて眼内距離を特定する解析ステップを含む
    ことを特徴とする請求項~請求項11のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
  13. 前記所定の部位は、網膜を含む
    ことを特徴とする請求項~請求項12のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
  14. コンピュータに、請求項~請求項13のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラム。
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