JP7410707B2 - 流動検知装置およびポンプシステム - Google Patents

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Description

本発明は、流体が通過する流路の流動を検知する流動検知装置および流動検知装置を含むポンプシステムに関する。
管状部材によって形成される流路を通過する流体の流量を測定する流量計が用いられている。特許文献1には、流体に非接触で流量異常を迅速に検知することができる流量異常検知装置が記載されている。特許文献1に記載された流量異常検知装置は、外側から測定した管状部材の形状変化に基づいて流体の流量異常を検知することで、流体に非接触で流量異常を迅速に検知することができる。
特開2018-132364号公報
しがしながら、特許文献1に記載された流量異常検知装置は、流路を溝部底面に設けられた測定部に押し当て、流路の外形形状変化を測定しており、流体の圧力変化に伴う流路の形状変化を妨げる場合があった。
上記事情を踏まえ、本発明は、流体の圧力変化に伴う流路の形状変化を妨げずに流体の
流動を検知する流動検知装置およびポンプシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る流動検知装置は、流体が通過する外周に曲面を有する流路の流動を検知する流動検知装置であって、第一空気室と、前記第一空気室と連通孔を介して連通する第二空気室と、前記流路の外周面に直接接触し、前記第二空気室の側壁の一部を形成する可撓体と、前記第一空気室と前記第二空気室との圧力差を検出するセンサと、を備え、前記第二空気室は、前記第一空気室と連通する前記連通孔を除いて気密である。
本発明の第二の態様に係るポンプシステムは、上記流動検知装置と、前記流路に前記流体を吐出するポンプと、を備える。
本発明の流動検知装置およびポンプシステムは、流体の圧力変化に伴う流路の形状変化を妨げずに流体の流動を検知できる。
本発明の第一実施形態に係る流動検知装置を備えたポンプシステムの全体構成図である。 同流動検知装置の斜視図である。 図2に示すA-A線に沿う同流動検知装置の断面図である。 同流動検知装置のセンサの構成例を示す図である。 同センサのアナログ回路部の一例を示すブロック図である。 同アナログ回路部の出力信号の一例を示す図である。 同センサの動作の一例を示す図であり、カンチレバーの動作の一例を模式的に示す断面図である。 流体の圧力が上昇した際の流動検知装置の断面図である。 ポンプが動作していないときのデジタル処理部の出力波形である。 初期状態から流路に詰まりが発生した異常状態に第二流路が変化したときのデジタル処理部の出力波形である。 第二流路に詰まりが発生した異常状態におけるデジタル処理部の出力波形である。 同流動検知装置の変形例である流動検知装置の断面図である。 第二実施形態に係る流動検知装置の断面図である。 同流動検知装置の変形例である流動検知装置の断面図である。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る流動検知装置100を備えたポンプシステム200の全体構成図である。
[ポンプシステム200]
ポンプシステム200は、ポンプ80と、第一流路81と、第二流路82と、給水タンク83と、排水タンク84と、流動検知装置100と、を備えている。
ポンプ80は、給水タンク83から第一流路81を経由して液体(流体)を吸い込み、第二流路82に吐出する。第二流路82に吐出された液体は、排水タンク84に排出される。本実施形態において、ポンプ80は、例えばチューブ式ローラポンプや容積式ポンプのように、吐出する液体に一定周期の脈動が発生する脈動ポンプである。ここで、流動検知とは、流量変化や圧力変化など、流体の流れの有無やその変化を検知することをいう。
[流動検知装置100]
図2は、流動検知装置100の斜視図である。図3は、図2に示すA-A線に沿う流動検知装置100の断面図である。流動検知装置100は、第二流路82に取り付けられ、液体(流体)が通過する第二流路(流路)82の流動を検知する。流動検知装置100は、センサ基板1と、キャビティ筐体2と、センサ3と、可撓体4と、検出部6と、を有する。
なお、本実施形態では、センサ基板1の厚み方向をZ軸方向とし、センサ基板1のセンサ3が実装されている主面F1(表面、第1の主面)側を上方、その反対側の主面F2(裏面、第2の主面)側を下方という。また、後述するカンチレバー30の平面視で長手方向をX軸方向、カンチレバー30の平面視で長手方向(X軸方向)に直交する短手方向をY軸方向として説明する。
センサ基板1は、例えばプリント回路基板である。センサ基板1の主面F1側には、センサ3と、検出部6とが実装(配置)されている。センサ基板1は、センサ基板1を厚み方向に貫通する貫通孔10を有する。
キャビティ筐体2は、内部にキャビティ20を有する有底箱状に形成された筐体である。キャビティ筐体2は、センサ基板1によりキャビティ筐体2の開口面(キャビティ20の開口面)を覆うように、センサ基板1の主面F1側に配置されている。センサ3は、キャビティ20内に配置されている。
キャビティ20は、センサ3によって、第一空気室21と第二空気室22とに区画される。第一空気室21と第二空気室22とは、センサ3に設けられた連通孔31を介して連通している。センサ基板1の貫通孔10は、図3に示すように、第二空気室22に連通している。
第一空気室21は、図3に示すように、センサ3の上方側に形成された空間である。第一空気室21は、センサ3の連通孔31を除いて気密に形成されている。第一空気室21は、第二空気室22よりも広い。
第二空気室22は、図3に示すように、センサ3の下方側に形成された空間である。センサ基板1の貫通孔10は、後述する可撓体4によって塞がれている。そのため、第二空気室22は、センサ3の連通孔31を除いて気密に形成されている。第二空気室22の容積をより小さくすることで、後述する流動の検出精度が高くなる。
図4は、本実施形態によるセンサ3の構成例を示す図である。
センサ3は、例えばSOI基板など半導体基板3B上に形成されている。センサ3は、センサ基板1の主面F1側に配置されている。センサ3は、カンチレバー30と、第一空気室21と第二空気室22とを連通する連通孔31(ギャップG1およびギャップG2)と、を備えている。
カンチレバー30は、基端部3bが片持ち支持されており、基端部3bが半導体基板に接続され、先端部3aが自由端とされた片持ち梁構造である。カンチレバー30は第一空気室21と第二空気室22との間に配置されている。カンチレバー30は、基端部3bから先端部3aに向けて一方向に延びる板状であり、キャビティ20の第一空気室21と第二空気室22との圧力差に応じて撓み変形する。カンチレバー30は、レバー本体32と、レバー本体32を片持ち状態で支持するレバー支持部34と、を有する。
ギャップG1は、半導体基板3Bとレバー本体32の外周縁との間に形成された、半導体基板3Bを厚さ方向(Z軸方向)に貫通する平面視コ形状(C形状)の溝である。ギャップG1は、空気を第一空気室21と第二空気室22とに流通させる連通孔として機能する。
ギャップG2は、レバー本体32の基端部3bにおいて形成された、レバー本体32を厚さ方向(Z軸方向)に貫通する平面視コ形状(C形状)の溝である。ギャップG2は、レバー本体32の基端部3bにおいてセンサ3の短手方向(Y軸方向)の中央部に配置されている。これにより、レバー本体32は基端部3bを中心として撓み変形し易い構造とされている。
レバー支持部34は、例えばギャップG2を挟んで短手方向(Y軸方向)に並ぶように二個配置され、レバー本体32と半導体基板3Bとを接続するとともにレバー本体32を片持ち状態で支持している。したがって、カンチレバー30は、レバー支持部34を中心に撓み変形する。なお、2つのレバー支持部34の短手方向(Y軸方向)に沿った支持幅は、同等とされている。したがって、カンチレバー30が撓み変形した際、一方のレバー支持部34に作用する単位面積当たりの応力と、他方のレバー支持部34に作用する単位面積当たりの応力とは同等とされている。
カンチレバー30には、ピエゾ抵抗(抵抗素子)であるドープ層36(不純物半導体層)が全面に亘って形成されている。このドープ層36は、例えばリン等のドープ材(不純物)がイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成されている。
ドープ層36のうち、カンチレバー30が形成された部分(レバー支持部34に形成されている部分を含む)は、上述した抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)として機能する。抵抗R1は、レバー支持部34の撓み量に応じて抵抗値が変化する。また、図示を省略するが、ドープ層36の上面には、ドープ層36よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えば、Au(金)等)からなる電極が形成されている。この電極は、抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)の第1端および第2端として機能する。
可撓体4は、ゲルやシリコン樹脂や両面テープ等の可撓性を有する材質で薄膜状に形成されている。可撓体4は、図3に示すように、センサ基板1の主面F2側に配置されている。可撓体4は、貫通孔10を塞いでおり、第二空気室22の側壁の一部を形成する。また、可撓体4は、第二流路82の外周面82eに接触している。本実施形態においては、第二流路82の外周面82eと第二空気室22とは、可撓体4によって完全に分離されている。貫通孔10と第二流路82とは、可撓体4を挟んで両側に配置されることが望ましい。
可撓体4は、可撓性を有しているため、第二流路82の外形が流体の圧力変化により膨張または収縮した場合であっても、可撓体4が貫通孔10を塞いた状態が維持される。そのため、第二空気室22は、第二流路82の外形が膨張または収縮した場合であっても、センサ3の連通孔31を除いて気密である。また、第一空気室21は、センサ3の連通孔31を除いて気密に形成されているため、キャビティ20(第一空気室21および第二空気室22)は、外気と遮断されている。
検出部6は、カンチレバー30の撓み変形に応じた圧力変動を検出する。ここで、検出部6は、例えば、圧力伝達媒体(例えば、液体などの流体)の圧力(測定対象圧力)の変化を検出する検出回路である。検出部6は、第一空気室21と第二空気室22との差圧に応じた差圧検出値(圧力変動値)を検出する。検出部6は、アナログ回路部60と、デジタル処理部65と、を備えている。
アナログ回路部60は、例えば、AFE(アナログフロントエンド)である。アナログ回路部60は、カンチレバー30の撓み変形に応じた変位を検出するアナログ処理を行う回路であり、例えば、センサ基板1の主面F1側に実装(配置)されている。また、アナログ回路部60は、キャビティ筐体2の内部、すなわち、キャビティ20内に配置されている。
図5は、アナログ回路部60の一例を示すブロック図である。
アナログ回路部60は、ホイートストンブリッジ回路61と、差動増幅回路62と、ADC(Analog to Digital Converter)63と、を備えている。
ホイートストンブリッジ回路61は、センサ3が有する抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)と、抵抗R2と、抵抗R3と、抵抗R4とを備えている。
抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)は、第1端が電圧Vccの供給線に、第2端がノードN1に接続されており、キャビティ20内外の差圧に応じて抵抗が変化する。抵抗R1は、例えば、ピエゾ抵抗(ドープ層36)である。また、抵抗R2は、第1端がノードN1に、第2端が電源GNDに接続されている。
抵抗R3は、第1端が電圧Vccの供給線に、第2端がノードN2に接続され、抵抗R4は、第1端がノードN2に、第2端が電源GNDに接続されている。抵抗R1は、センサ3内に構成されており、抵抗R3および抵抗R4は、センサ3の外部に備えられた外付け抵抗である。また、抵抗R2(参照抵抗Rref1)は、例えば、抵抗R1と温度特性が同一になるように形成された抵抗であり、センサ3内に構成されてもよいし、センサ3の近傍の外部に備えられてもよい。なお、抵抗R1と抵抗R2との温度特性を一致させることにより、アナログ回路部60は、温度変動による検出結果への影響を低減することができる。
差動増幅回路62は、例えば、計測アンプ(インスツルメンテーションアンプ)であり、ノードN1とノードN2との電位差を増幅して出力信号として出力する。差動増幅回路62は、反転入力端子(-端子)がノードN1に接続され、非反転入力端子(+端子)がノードN2に接続されている。
ADC63は、差動増幅回路62の出力信号(アナログ信号)を、デジタル変換して、デジタル変換された出力信号データ(出力波形データ)を出力する。
デジタル処理部65は、例えば、マイクロコントローラなどのデジタル処理回路であり、アナログ回路部60が検出した差圧に対応した出力波形データを、圧力変動情報に変換する。デジタル処理部65は、例えば、センサ基板1の主面F1側に実装(配置)されており、キャビティ筐体2の外部に配置されている。
[流動検知装置100の動作]
次に、流動検知装置100の動作について説明する。第二流路82を通過する流体の圧力が変化した場合のカンチレバー30の動作とアナログ回路部60の出力特性について説明する。なお、以下の説明において、外圧Poutは、第二空気室22の圧力である。また、内圧Pinは、第一空気室21の圧力である。
図6は、アナログ回路部60の出力信号の一例を示す図である。図6(a)は、外圧Poutおよび内圧Pinの経時変化を示しており、図6(b)は、アナログ回路部60(差動増幅回路62)の出力信号の経時変化を示している。
図7は、センサ3の動作の一例を示す図であり、カンチレバー30の動作の一例を模式的に示す断面図である。図7(a)は、初期状態のカンチレバー30の断面図を示し、図7(b)は、外圧Poutが内圧Pinより高い状態のカンチレバー30の断面図を示している。また、図7(c)は、キャビティ20の第一空気室21と第二空気室22の圧力が同じに戻った状態のカンチレバー30の断面図を示している。
初期状態の期間Aにおいて、図6(a)に示すように、外圧Poutと内圧Pinとが等しい。図7(a)に示すように、カンチレバー30は、差圧ΔPがゼロであるため、撓み変形しない。
図8は、流体の圧力が上昇した際の流動検知装置100の断面図である。
第二流路82の流体の圧力が上昇した場合、第二流路82の外形が膨張する。可撓体4は、第二流路82の外形の膨張に伴って、第二空気室22側に移動する。その結果、第二空気室22の外圧Poutが上昇する。
時刻t1以降の期間Bにおいて、図6(a)に示すように、例えば、外圧Poutがステップ状に上昇すると、内圧Pinは急激に変化できず、差圧ΔPが生じる。図7(b)に示すように、カンチレバー30は、第一空気室21に向けて撓み変形する。すると、カンチレバー30の撓み変形に応じて抵抗R1(ドープ層36)に応力が加わり、電気抵抗値が変化するので、図6(b)に示すように、アナログ回路部60の出力信号が増大する。
外圧Poutの上昇以降(時刻t1以降)において、ギャップG1を介してキャビティ20の第一空気室21から第二空気室22へと空気が徐々に流動する。このため、図6(a)に示すように、内圧Pinは、時間の経過とともに、外圧Poutに遅れながら、かつ外圧Poutの変動よりも緩やかな応答で上昇する。その結果、内圧Pinが外圧Poutに徐々に近づくので、カンチレバー30の撓みが徐々に小さくなり、時刻t2以降において、図6(b)に示すように、上述の出力信号が、徐々に低下する(期間C)。
時刻t3以降の期間Dにおいて、図6(a)に示すように、内圧Pinが外圧Poutと同じになると、図7(c)に示すように、カンチレバー30の撓み変形が解消され、初期状態に復帰する。さらに、図6(b)に示すように、アナログ回路部60の出力信号も期間Aの初期状態と同値に戻る。このような仕組みにより、アナログ回路部60の出力信号には、差圧ΔPに応じた電圧ΔVが出力される。
なお、アナログ回路部60の出力信号は、初期状態における基準電圧と、抵抗R1(ドープ層36)の抵抗変化に基づいて増幅された信号との加算となる。初期状態における基準電圧は、カンチレバー30に加わる差圧ΔPがゼロの場合における、図5に図示したホイートストンブリッジ回路61のノードN1とノードN2との電圧差を差動増幅回路62で増幅した電圧値となる。
なお、カンチレバー30はSOI基板のシリコン活性層を利用して半導体プロセス技術により形成可能であるため、センサ3は非常に薄型化(例えば数十から数百nm厚)しやすい。したがって、センサ3は、微小な圧力変動の検出を精度よく行うことができる。
さらに、センサ3では、外圧Poutが非常に緩やかに変化する場合、ギャップG1による空気の流動制限機能が作用せず、内圧Pinは外圧Poutに対して時間遅れせず、ほぼ同じ圧力値となり、差圧ΔPが発生しない。センサ3では、これを逆に利用し、外圧Poutが非常に遅い変化速度の場合(例えば、気象変化のような気圧変化の場合)、外圧Poutの変化を無視することが可能となる。よって、センサ3は、気象変化のような気圧変化をノイズとして除去することが可能になる。
デジタル処理部65は、アナログ回路部60が検出した差圧に対応した上述した出力波形データを、圧力変動情報に変換して出力する。
図9は、ポンプが動作していないときのデジタル処理部65の出力波形である。多少のノイズがあるが、出力波形の変動はない。
図10は、初期状態から流路に詰まりが発生した異常状態に第二流路82が変化したときのデジタル処理部65の出力波形である。初期状態においては、出力波形は所定の振幅で脈動している。ポンプ80が吐出する流体の脈動をセンサ3が検出できていることを示している。出力波形が所定の振幅で脈動していることを確認することで、ポンプ80が正常に動作していることを確認できる。
図11は、第二流路82に詰まりが発生した異常状態におけるデジタル処理部65の出力波形である。異常状態においては、出力波形は初期状態の振幅より大きな振幅で脈動している。流動検知装置100は、例えばベースラインが所定の閾値を超過もしくは低下した場合に、異常状態となったと検出する。
図11に示す出力波形は、ポンプ80が吐出する流体が、流動検知装置100よりも下流で詰まっていることをセンサ3が検出できていることを示している。流体が第二流路82において流動検知装置100よりも下流で詰まっている場合、ポンプ80は流体を押し出そうするが、詰まり箇所より下流には流体は流れず、図11に示すように、流動検知装置100付近において、ポンプ80の能力すべてが圧力変化に変換され、大きな脈動を発生させる。仮に、流体が第二流路82において流動検知装置100よりも上流で詰まっている場合、ポンプが発生させる圧力変化は詰まり箇所で遮断されるため、詰まり箇所より下流にある流動検知装置100付近において流体が脈動しない。その結果、センサ3は流体の脈動を検出せず、図9のような出力波形を出力する。複数の流動検知装置100を第二流路82に設置すれば、デジタル処理部65の出力波形を確認することで、第二流路82の詰まりが発生した場所を特定しやすくなる。ここで「詰まり」とは流路の流量異常をいい、異物や泡の混入により流量に異常が発生した場合も含む。
なお、ポンプ80の上流の第一流路81において流体が詰まっている場合、第二流路82に流体は流れないが、上記同様にポンプ80が圧力変化を発生させる。その結果、センサ3は流体の脈動を検出し、図11のような出力波形を出力する。
本実施形態の流動検知装置100によれば、流体に非接触で、流体の圧力変化に伴う流路の形状変化を妨げずに流体の流動を検出できる。第二流路82には可撓体4のみが接触しているため、流体の圧力変化に伴う第二流路82の形状変化を妨げない。また、第二流路82の外形が流体の圧力変化により膨張または収縮した場合であっても、可撓体4が貫通孔10を塞いた状態が維持される。そのため、キャビティ20(第一空気室21および第二空気室22)は外気と遮断された状態が維持される。その結果、流動検知装置100は、第二流路82の外周面82eの外形の変化をキャビティ20内の気圧変化に変換でき、高感度に流体の流動を検出できる。
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例1)
例えば、上記実施形態において、第一空気室21はセンサ3の連通孔31を除いて気密に形成されていたが、第一空気室の態様はこれに限定されない。図12は、流動検知装置100の変形例である流動検知装置100Bの断面図である。流動検知装置100Bは、キャビティ筐体2を有しておらず、第一空気室21はキャビティ筐体2に覆われていない。すなわち、第一空気室21は大気圧空間である。流動検知装置100Bは、流動検知装置100と比較すると検出精度は落ちるが、流体の流動を検出できる。
(変形例2)
例えば、上記実施形態においてポンプ80は脈動ポンプであったが、ポンプ80の態様はこれに限定されない。ポンプ80は、シリンジポンプ等の吐出する流体に脈動が発生しないポンプであってもよい。流動検知装置100は、第二流路82の外周面82eの外形の変化をキャビティ20内の気圧変化に変換でき、流体の流動を検出できる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、図13から図14を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図13は、第二実施形態に係る流動検知装置100Cの断面図である。
流動検知装置100Cは、センサ基板1と、キャビティ筐体2と、センサ3と、可撓体4Cと、検出部6と、クランプ7、を有する。
クランプ7は、第二流路82を固定するクランプ部材である。クランプ7は、第二流路82に外力が加わった場合でも、第二流路82を固定できる。クランプ7は、ベース70と、ベース70に取り付けられた固定部71と、を有している。
ベース70は、板状の部材であり、センサ基板1の主面F2に接触可能な底面70aを有している。ベース70は、厚み方向に貫通する貫通孔70bを有している。センサ基板1の主面F2と底面70aとは両面テープ(図示せず)で固定されている。
固定部71は、ベルト状に形成されており、第二流路82を取り外し可能に固定できる。固定部71の両端部には、互いに係合する係合部71aが形成されている。固定部71は、流体の圧力変化に伴う第二流路82の形状変化を妨げない程度に第二流路82を固定する。
センサ基板1は、センサ基板1の主面F2が上側を向いて配置される。そのため、キャビティ筐体2やセンサ3は、第一実施形態と比較して、上下逆になっている。
可撓体4Cは、ゲルやシリコン樹脂や両面テープ等の可撓性を有する材質で薄膜状に形成されている。可撓体4Cは、固定部71の内周面71iと第二流路82の外周面82eとの間に配置されている。可撓体4Cは、固定部71の内周面71iと第二流路82の外周面82eとに接触している。本実施形態においては、可撓体4Cは貫通孔4hが設けられている。貫通孔4hは、貫通孔70bを経由して貫通孔10に連通している。そのため、可撓体4Cおよび第二流路82の外周面82eの一部は、第二空気室22の側壁の一部を形成する。
可撓体4Cは、可撓性を有しているため、第二流路82の外形が流体の圧力変化により膨張または収縮した場合であっても、可撓体4が固定部71の内周面71iと第二流路82の外周面82eとの間を塞いた状態が維持される。そのため、第二空気室22は、第二流路82の外形が膨張または収縮した場合であっても、センサ3の連通孔31を除いて気密である。
本実施形態の流動検知装置100Cによれば、第一実施形態の流動検知装置100と同様、流体に非接触で、流体の圧力変化に伴う流路の形状変化を妨げずに流体の流動を検出できる。流動検知装置100Cは、第二流路82を固定できるため、流動検知装置100と比較して、第二流路82の外周面82eの外形の変化をキャビティ20内の気圧変化により正確に変換でき、より高精度に流体の流動を検出できる。
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例3)
例えば、上記実施形態において、クランプ7はベルト状の固定部71を有する部材であったが、クランプ7の形状はこれに限定されない。図14は、クランプ7の変形例であるクランプ7Dを有する流動検知装置100Dの断面図である。クランプ7Dは、いわゆるフラットケーブルクランプである。クランプ7の形状は、第二流路82を固定できればどのような形状であってもよい。
本発明は、流体が通過する流路の流動を検知する装置に適用することができる。
200 ポンプシステム
100,100B,100C,100D 流動検知装置
1 センサ基板
10 貫通孔
2 キャビティ筐体
20 キャビティ
21 第一空気室
22 第二空気室
3 センサ
30 カンチレバー
31 連通孔
32 レバー本体
34 レバー支持部
4,4C 可撓体
4h 貫通孔
6 検出部
7,7D クランプ
82 第二流路(流路)
82e 外周面

Claims (9)

  1. 流体が通過する外周に曲面を有する流路の流動を検知する流動検知装置であって、
    第一空気室と、
    前記第一空気室と連通孔を介して連通する第二空気室と、
    前記流路の外周面に直接接触し、前記第二空気室の側壁の一部を形成する可撓体と、
    前記第一空気室と前記第二空気室との圧力差を検出するセンサと、
    を備え、
    前記第二空気室は、前記第一空気室と連通する前記連通孔を除いて気密である、
    流動検知装置。
  2. 前記流路の前記外周面と前記第二空気室とは、前記可撓体によって分離されている、
    請求項1に記載の流動検知装置。
  3. 前記流路の前記外周面の一部は、前記第二空気室の側壁の一部を形成する、
    請求項1に記載の流動検知装置。
  4. 前記センサは、前記圧力差によって撓み変形するカンチレバーを有する、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流動検知装置。
  5. 前記第一空気室は、前記第二空気室よりも広い、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の流動検知装置。
  6. 前記第一空気室は、大気圧空間である、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の流動検知装置。
  7. 流体が通過する流路の流動を検知する流動検知装置であって、
    第一空気室と、
    前記第一空気室と連通孔を介して連通する第二空気室と、
    前記流路の外周面に接触し、前記第二空気室の側壁の一部を形成する可撓体と、
    前記第一空気室と前記第二空気室との圧力差を検出するセンサと、
    を備え、
    前記第二空気室は、前記第一空気室と連通する前記連通孔を除いて気密であり、
    前記第一空気室は、前記第二空気室よりも広い、
    流動検知装置。
  8. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の流動検知装置と、
    前記流路に前記流体を吐出するポンプと、を備える、
    ポンプシステム。
  9. 前記ポンプは、脈動ポンプである、
    請求項に記載のポンプシステム。
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