JP7410607B1 - 飼養管理システム、および飼養管理方法 - Google Patents

飼養管理システム、および飼養管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】家畜の通常の行動様式を発現する自由に貢献する態様で家畜を飼養しつつ、他の自由についても貢献することで、アニマルウェルフェアの5つの自由全体に貢献すること【解決手段】飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理システム1であって、撮像装置30と、複数の家畜を個体ごとに識別し位置情報を測定する位置測定装置40と、飼養エリアのエリアマップを記憶する記憶部110と、家畜の活動状態を推定する活動状態推定装置10と、を備え、活動状態推定装置10は、位置情報と、エリアマップとを用いて、個体の飼養エリア内におけるエリア内位置を算出可能なエリア内位置算出部123と、画像に撮像された個体を特定する家畜特定部124と、画像を用いて個体の姿勢を推定する姿勢推定部125と、個体の姿勢とエリア内位置とを用いて、個体の活動状態を推定する活動状態推定部126と、を備える。【選択図】図7

Description

本開示は、家畜の飼養管理システム、飼養管理方法に関する。
近年、畜産業における人手不足の解消策として畜産業務を効率化したり、家畜の飼養環境を監視・制御したりする目的で、コンピュータや監視カメラを導入してデジタルトランスフォーメーションが進められている。
特許文献1には、ストールで飼育されている雌豚の単位時間あたりの起臥の頻度を計測し、設定された一定期間における頻度に基づいて雌豚の発情を判定する判定装置が記載されている。
国際公開第2021/045033号
しかし、近年家畜におけるアニマルウェルフェア(動物福祉、AWともいう)の必要性が叫ばれている。例えば、家畜が豚である場合には、母豚は上記特許文献1にも記載されているように妊娠ストールと呼ばれる柵の中でほとんど身動きができない状態で飼養されることが多い。このような飼養態様は家畜の自由を阻害するものとして廃止する動きもある。
一方で、妊娠ストールの中で飼養されていた母豚が、豚房内で自由に動き回れるようになると、その追跡と管理は容易ではない。
そのため、本開示の一つの課題は、家畜の通常の行動様式を発現する自由に貢献する態様で家畜を飼養しつつ、他の自由についても貢献することで、アニマルウェルフェアの5つの自由全体にも貢献することである。なお、本開示の明細書、図面等に記載の、本開示に特徴のある実施形態やその説明から読み取ることができる当業者にとって自明な課題は、本開示を基礎とする分割出願を行った場合に、分割された発明が解決すべき課題ともなり得る。
上記した目的を達成するため、本開示の飼養管理システムは、特定の飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理システムであって、飼養エリア内の画像を撮影する撮像装置と、飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し位置情報を測定する位置測定装置と、飼養エリアのエリアマップを記憶する記憶部と、家畜の活動状態を推定する活動状態推定装置と、を備え、活動状態推定装置は、位置情報と、エリアマップ情報とを用いて、個体の飼養エリア内におけるエリア内位置を算出可能なエリア内位置算出部と、画像に撮像された個体を特定する家畜特定部と、画像を用いて個体の姿勢を推定する姿勢推定部と、個体の姿勢とエリア内位置情報とを用いて、個体の活動状態を推定する活動状態推定部と、を備える。
また、本開示の飼養管理方法は、飼養管理システムを用いて特定の飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理方法であって、撮像装置が飼養エリア内の画像を撮影する撮像ステップと、位置測定装置が飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し、位置情報を測定する位置測定ステップと、活動状態推定装置のセンシングデータ取得部が、画像と位置情報を取得するセンシングデータ取得ステップと、家畜特定部が画像に撮像された個体を特定する家畜特定ステップと、姿勢推定部が画像を用いて個体の姿勢を推定する姿勢推定ステップと、位置算出部が、位置情報と、記憶部に記憶されたエリアマップ情報とを用いて、個体の飼養エリア内におけるエリア内位置を算出する可能なエリア内位置算出ステップと、活動状態推定部が、個体の姿勢とエリア内位置情報とを用いて、個体の活動状態を推定する活動状態推定ステップと、を含む。
本開示によれば、家畜の通常の行動様式を発現する自由に貢献する態様で家畜を飼養しつつ、他の自由についても貢献することで、アニマルウェルフェアの5つの自由全体に貢献することができる。
本開示の飼養管理システムのネットワーク構成および概要を示す図である 活動状態推定装置の構成を示すブロック図である 家畜画像およびこれを用いた家畜検出・家畜特定方法を説明する図である 家畜画像の一例を模した図である インスタンスセグメンテーションを模した図である 家畜の位置測定の一例を示す図である 家畜の活動状態推定の一例を示す図である 家畜の活動状態推定の一例を示す図である 本開示の使用方法を示すシーケンスチャート図である 家畜の活動状態推定の一例を示す図である
本開示に係る発明の理解および円滑な審査を受けるために先行して概要を示す。ストールによる従来の飼養方法、特に「妊娠ストール」による単飼方式では、母豚は1頭ごとに分けられた、ほとんど身動きのできない狭い区画に飼われていた。この場合、母豚の位置は変化せず、妊娠ストールを用いることでそこで飼養される個体を特定することも容易であり、それぞれの母豚の状態に応じた管理、例えば自動餌供給機を介した給餌量の把握や、体調の把握、定点カメラによる画像の取得は容易であった。
しかし、アニマルウェルフェアにおいては、OIE(国際獣疫事務局)のガイドラインの序論において、5つの自由として、(1)飢え、渇き及び栄養不良からの自由、(2)恐怖及び苦悩からの自由、(3)物理的及び熱の不快からの自由、(4)苦痛、傷害及び疾病からの自由、(5)通常の行動様式を発現する自由、が指針として示されている。
これらの5つの自由のうちの1つである「通常の行動様式を発現する自由」の一部を担保するものとして、フリーストールによる母豚の群飼が提案されている。フリーストール方式は、比較的大きな区画で複数の豚を飼う方法である。フリーストール方式等の群飼を行うことによって、母豚のストレスが軽減する、足腰が鍛えられて出産に良い影響がある等の知見もある。一方で、飼養者の監視負担は増大する。複数の豚が入り乱れて自由に動き回るために個体の追跡と識別が困難になり、単飼されていたときのように個々の豚についての詳細なデータの取得や管理を行うことは容易ではない。
そうすると、個々の豚についての給餌、給水量や体調の把握なども難しくなり、家畜が十分な栄養を得ることができているのか、傷病などの問題は発生していないのか把握することは困難となる。そうすると、5つの自由のうちの他の自由を保障することができず、かえってアニマルウェルフェア全体の実現が困難になる。そのため、本開示は、家畜の通常の行動様式を発現する自由に貢献する態様で家畜を飼養しつつ、他の自由についても貢献することで、アニマルウェルフェアの5つの自由全体に貢献することを目的とする。
具体的には本開示の飼養管理システムが適用可能な飼養態様は例えば上記のフリーストール等の群飼方式である。フリーストール等の群飼方式には、フリーストールエリア内に家畜が一頭ごとに自由に出入りでき、居場所を確保することができる開放された個別ストールも設置されているフリーアクセスストール方式や、一頭の家畜のみがアクセスでき給餌管理されるESF(エレクトリック・サウ・フィーディング)方式が含まれていてもよい。一般に仔豚などは群飼されていることが多いが、母豚について従来は上記の妊娠ストールによる単飼が行われていることが多かった。しかし、豚は社会的な動物であり、群で生活することを好むことから、母豚であっても一定の広さの飼養エリア内を自由に行動可能とすることで、「通常の行動様式を発現する自由」に貢献するものである。
そのうえで、特定の飼養エリア内で自由に動き回る母豚がどのように、食事、飲水を行っているのかを、後述する位置測定装置で追尾しながら、撮像装置によって画像解析し、それらから得られる位置と姿勢、飼養エリアのエリアマップ内の設備との関係からその個体の活動状態を推定し把握する。ここでいう「活動状態」とは、例えば飲水、食事等の家畜の行動を表す、本開示における質的パラメータを指し、それらについては、発生する、頻度、間隔や回数、類型時間、またはこれらを組み合わせた統計量を算出可能である。個体ごとの飲水や食事の回数を把握することができれば、飼養者はこれをもとに飼養環境の改善を行うことができる。また、撮像した家畜画像は、解析を行うことで体重やボディコンディションスコアについても把握することができる。なお、体重の推定については、日本の特開2021-132634号公報等に開示された技術を用いることができ、ここでは詳述しない。これによって、本開示の飼養管理システムが得る活動状態は、「飢え、渇き及び栄養不良からの自由」に貢献する側面を有する。
さらに、特定の飼養エリア内で自由に動き回る母豚を、後述する撮像装置と位置測定装置より得られた位置と姿勢から活動状態を解析する。ここでいう活動状態の例としては、まどろんでいる状態、ルーティングをしている状態などが挙げられる。これらはリラックスした状態であり、肯定的なものとして捉えられ、恐怖や苦痛を感じていないことを示すデータである。一方で、否定的なものとしては、喧嘩をしている状態、甲高い鳴き声を発している状態、異常な姿勢をしている状態などが挙げられ、これらの活動状態にある豚は恐怖、ストレスや苦痛を感じている可能性がある。母豚は出産時期等に応じて群の再編成が行われるが、再編成時に家畜同士での闘争が生じることがある。このような状態は異常やその予兆として検知される必要があるが、人間の飼養者による監視が必要であった。飼養管理システムによれば、これらの状態は、装置によって自動的に取得したデータをもとに推定された位置と姿勢、または、必要に応じて付加的データを取得しさらに推定し、個体を特定し、恐怖や苦痛を感じている豚や、傷病にかかっている豚を隔離したり、保護したりするなどの対処が可能になる。これによって、本開示の飼養管理システムによって得られる活動状態は、「通常の行動様式を発現する自由」、「恐怖及び苦悩からの自由」、「苦痛、傷害及び疾病からの自由」に貢献する側面を有する。
また、上記の活動状態を推定することにより、寒くて体が震えている豚や、異常な呼吸をしている豚を特定することにも援用できる。例えば付加的データとして温度計で測定した温度データを付加することで、個々の家畜がそのような活動状態にある理由を温度から説明することにより推定することができる。さらに付加的データとしての画像を用いることで、異常な脱毛や皮膚の変色等も検知し、より推定精度を高めることができる。アンモニア等のガスセンサにより検知したガス濃度データを付加することにより、糞尿から発生する悪臭に起因した不快な環境をより精度よく検知することもできる。このような環境を改善したり、異常な状態にある豚を特定し隔離したりすることにより、本開示の飼養管理システムによって得られる活動状態は、「物理的、熱の不快さからの自由」に貢献する側面を有する。
以上は、本開示の概要であり、具体的な構成及び各実施形態については、以下に図面を用いて説明する。なお、以下で説明する本開示の実施形態は、主にこれまで単飼されることの多かった母豚(雌豚)を例として説明を行うが、雄豚や、従来から群飼されている仔豚(肉豚・肥育豚)に対しても適用可能であり、牛、羊、山羊、一部の馬等の群飼の可能性のある動物に対しても、当業者が設計変更程度の通常の創作能力を発揮して必要な範囲の変更を加えることで適用可能である。
本開示における飼養管理システム1は、ユーザが行う家畜飼養業務において、家畜飼養情報の管理を支援する家畜飼養管理サービスを提供する情報処理システムである。
ユーザは主に家畜の飼養者である。飼養者は、家畜を飼養する農場の経営者である個人、又は法人、農場の従業員等であり、家畜農家、畜産農家、畜産家ともいう。家畜が豚である場合は、養豚業を行う者であり、養豚家ともいう。また、ユーザは飼養者に対してサービスを提供する企業、団体等の第三者であってもよい。
実施形態において、家畜全般に対する用語と、家畜が特に豚である場合の用語は以下のように読み替えることができる。農場において畜産物が飼養される施設である畜舎は、家畜が豚の場合は豚舎ともいう。畜舎内の仕切られた区画の単位である畜房は、家畜が豚の場合は豚房ともいう。なお、本開示における母豚との呼称は、実施形態の理解のしやすさのために当業者の習慣に合わせて便宜的に用いているに過ぎない。時期によって、分娩から子豚の離乳までの期間の雌豚を子豚との対比として母豚といい、未経産の時期及び子豚の離乳から次の分娩までの期間の雌豚を繁殖雌豚ともいう。
図1は、本開示の実施形態に係る家畜飼養管理システムのシステム構成図である。飼養管理システム1は、ネットワークNWを介して接続された、活動状態推定装置10、ユーザ端末20、撮像装置30、位置測定装置40、その他の各種付加的センサ50を備える。ここで、活動状態推定装置10、ユーザ端末20が設置される場所は必ずしも農場/豚舎/豚房のような現場でなくてよい。一方で、撮像装置30、位置測定装置40、付加的センサ50は、農場/豚舎/豚房等である飼養現場に設置され、特定の飼養エリア内の家畜を識別し、データを取得するためのものである。
活動状態推定装置10は、管理サーバ等によって実現されてよい。管理サーバ、ユーザ端末20は情報処理装置であり、演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。また、撮像装置30、位置測定装置40もマイクロコンピュータ等の情報処理装置を内部に備えていてもよい。コンピュータの基本ハードウェア構成及び、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は、CPU、GPU、TPU等のプロセッサ、メインメモリ等の主記憶装置、SSD、HDD等の補助記憶装置を含むものであってよい。計算資源はローカル又はオンプレミスに限定されることなく、他社が提供するクラウド環境を利用するものでもよい。
ネットワークNWは、例えばインターネット、VPN(VirtualPrivateNetwork)、イントラネット、近距離無線通信等のネットワークである。説明の簡略化のため、図1では、活動状態推定装置10を実現する1の管理サーバ、ユーザ端末20、撮像装置30、位置測定装置40、その他の各種付加的センサ50を示しているが、それぞれ2以上の装置とも接続可能である。また、1のユーザ端末20を複数のユーザが使用しても構わない。家畜飼養管理サービスの運営業者は、飼養管理システム1を用いてユーザに家畜飼養の管理を支援するためのサービスを提供することができる。
活動状態推定装置10が実装される管理サーバ等が、飼養エリアを有する農場および撮像装置30、位置測定装置40と異なる国に設けられていても構わない。サーバがどの国に存在するかは、ネットワーク型システムの利用に当たっては障害とならない。飼養管理システム1によって利益を得ることができるのは、あくまで飼養エリアを有する農場および撮像装置30、位置測定装置40の存在する地であり、その地で畜産業を営む飼養者である。
家畜画像を撮像する撮像装置30は、例えば、可視光カメラであり、被写体から反射される光を検出して画像(静止画又は動画)情報を生成する機能を有する装置の総称である。なお、カメラは、夜間撮像も可能なように、上記可視光カメラに加えて、赤外線カメラと赤外線ライトの組み合わせを併用してもよい。また、撮像している対象家畜との距離情報を取得可能とするため、デプスカメラやToFカメラであってもよい。また、後述するが、1つの農場に複数のカメラ、1つの飼養エリアに複数のカメラを設置してよい。
位置測定装置40は、飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し、位置情報を測定する機能を有する。例として、RFIDタグと、RFIDリーダによる位置測定を挙げるが、位置測定装置40の具体的実現手段はこれに限定されない。例えば、上記したように、撮像装置30としてデプスカメラやToFカメラを用いることで、撮像機能に、位置測定装置40の機能も備え、撮像装置30と位置測定装置40とを兼ねていても構わない。
デプスカメラはステレオビジョンを用いるものであり、2つのカメラの視差を利用して、物体までの距離を測定可能である。ToFカメラは光の速度と光が物体で反射して戻るまでの時間を利用して距離を測定可能である。ただし、後述する耳標等の別途の方法によって家畜の個体を特定する必要がある。
RFIDタグと、RFIDリーダによる位置測定として、具体的な運用は後述するが、RFIDリーダは、RFIDタグから受信した信号の強度(RSSI)を測定することで距離を測定可能である。RFIDタグは比較的安価であり、しかも特定の周波数を選択することで、通信を行っている家畜の個体を識別可能である。
その他の位置測定手段として、GPSやBLEビーコン等の利用を排除するものではないが、これらは上記の手段との比較で運用において劣る場合がある。例えばGPSは広大な牧場の屋外で放牧される牛や馬等なら好適かもしれないが、屋内の限られたエリアで飼養される豚の場合は、精度的な課題や汚損や破壊のリスクがある。そのため、本開示の位置測定装置としてGPSやBLEビーコン等の利用を除外するオプションがあってもよい。
図2は、活動状態推定装置10の機能構成を示すブロック図である。活動状態推定装置10は、家畜飼養管理サービスを提供する情報処理装置である。活動状態推定装置10は、記憶部110と処理部120とを備えていてよい。
この図2において、記憶部110は、活動状態推定装置10と一体に記載しているが、活動状態推定装置10と物理的に独立した補助記憶装置であっても構わない。物理的に独立するとは、異なる場所にあっても実施に影響がないということであり、記憶部110のみ異なる場所のサーバにおいて存在する構成でも構わない。
記憶部110は、アプリケーションプログラム111、家畜基本データ112、家畜画像データ113、エリアマップデータ114、活動状態データ115、家畜検出用データ116、家畜特定用データ117、姿勢推定用データ118、付加的センシングデータ119を備えていてよい。また、記憶部110は、その他の情報についても記憶していてよい。各データはデータテーブル形式等、所定の形式または規格により対応付けられて整理されデータベースとして記憶されていてもよい。
記憶部110に格納される上記の情報について説明する。家畜基本データ112は、家畜飼養管理サービスにおいて管理対象となる家畜の基本情報であり、例えば家畜IDである個体識別符号を主キーとして、所属農場、所属豚舎、所属フリーストール、所属豚房、個体画像、耳標コード、品種、系統、性別、日齢、警報条件、警報履歴等の項目のデータを有していてよい。家畜基本情報は、家畜ごとに生成されるものであり、予め入力され、記憶部110に記憶されていてよい。
例えば、家畜IDは、飼養される家畜を識別するための符号であり、個体ごとにユニークな値が設定されうる。所属農場、所属豚舎、所属豚房は、所属フリーストール、それぞれ家畜が所属する飼養エリアを管理するためのIDである。
ここで、飼養エリアである農場、豚舎、豚房、フリーストールの定義は地域や個々の農場の設計により異なるものであるが、可能な限り一般的な意味での説明を試みる。農場(Farm)は一番広い範囲を示し、土地全体や畜産事業体の名称を示すことがある。豚舎(Pigsty)/豚房(Pig House)これらは場合によっては同じ意味で使われ、養豚を行う特定の建物やエリアを指すことがある。例えば一つの農場に複数の豚舎や豚房があることがある。フリーストール(Free Stall)は、家畜が自由に動き回ることができる個別のエリアを指す。基本的には豚舎や豚房の内部に柵などを設けることで、家畜が自由に動き回れるスペースを構造的に確保する。その規模は通常、豚舎や豚房全体よりも小さい。
家畜基本データとして、撮像装置30によって撮像された家畜の個体と、位置測定装置40によって個別に識別され、位置情報を測定される家畜とを照合し、特定するための特定コードが家畜IDと対応付けられて記憶されていてよい。ここで、特定コードは、例えば耳標の色の組み合わせごとに異なる耳標コード、または耳刻等のコードである。
耳標による家畜の特定方法の実施例については後述するが、より簡易かつ安価で現実的な個体の特定のために、個体の身体に装着される物理的な被識別子を用いて、個体を特定する。具体的には物理的な被識別子は耳標であってよい。
耳標は、可視光又は赤外光を含む光によって撮像された画像において抽出される、例えば1つ以上の色領域、例えば2つの色領域を有していてよい。さらには家畜の相対的位置を把握するために所定の固有の周波数の電波を反射するRFIDタグ等の電波反射体を備えていてよい。なお、ここで反射とは直接の反射のみならず、発信元のRFIDリーダから放射された電波により電磁誘導されて再発信することを含む。なお、耳標以外の物理的な識別子として、耳刻、その他のICタグ、入墨等による個体の特定を排除するものではない。
家畜基本データには家畜の性別データが、記憶されていてもよい。性別は、雌、雄、去勢雄、等を含む。家畜タイプデータが、養豚の繁殖管理における豚の分類として記憶されていてよい。分類は、例えば、母豚、雄豚、等である。系統とは、いわゆる三元交配する際のランドレース、大ヨークシャー、デュロック等の大別されるいずれの系統に属するかを示すものである。これらの性別データ、家畜タイプデータ、系統データは、後述する活動状態を推定する際に補助的な説明変数として活用することもできる。
また、日齢のデータは、家畜の日齢情報又は週齢情報が記憶される項目である。日齢データは、家畜の出生日と、家畜の出生日を0日として起算した経過日数である日齢を含む。週齢データは、同様に肉豚の出生日を基準日として起算した経過週数である週数を含む。なお、出生日の代わりに離乳日を基準日とした日齢又は週齢としてもよい。これらの個体の日齢等の齢は、後述する活動状態を推定する際に補助的な説明変数として活用することができる。
警報条件は、飼養管理システム1の異常検知部127が異常を検知した際に、各種警報を出力する条件が記憶される項目である。警報条件の詳細は後述する。そして、警報履歴は、警報条件に基づいて出力された警報に関する警報履歴が記憶されていてよい。
また、家畜基本データは、個体ごとに後述する活動状態の履歴を含んでいてよい。
家畜画像データは、撮像装置30によって撮像された飼養エリア内の画像であり、家畜が撮像された画像である。家畜画像は、静止画であっても動画であってもよい。家畜画像に撮像されている豚は、1頭のみでも複数頭の家畜のいずれであってもよい。家畜画像は様々な用途に用いられてよい。例えば、個体の家畜を特定するための画像、家畜の活動状態を推定するための画像、傷病や異常などを推定するための画像を含んでいてよい。
家畜画像には撮像装置30が撮像した飼養エリアを特定するための情報が付随されていてよい。農場が大きければ全ての飼養エリア内の画像を撮像するためには撮像装置30を構成するカメラ等が1台では必要数に満たないことが通常である。そのため、撮像装置30は複数台のカメラ、あるいは移動式のカメラであることは十分に考えられる。この場合の付随情報としては、例えば、カメラID、豚舎ID、豚房ID、フリーストールID、撮像位置IDなどが含まれていてよい。
撮像装置30が固定式のカメラの場合には、撮像位置が移動しないので、カメラID、豚舎ID、豚房ID、フリーストールID等を用いて、どの飼養エリア内を撮像するものなのか特定することができる。一方で、撮像装置30が移動式のカメラの場合には、エンコーダーやビーコン等のカメラ位置測定装置を別途設け、撮像位置を特定して、どの飼養エリアを撮像するものなのか特定することができる。
撮像装置30を設置する位置等については特に図示しないが、豚舎/豚房を構成する建物の梁等、天井と飼養エリアとの間の高さに設置されることが好適である。例えば梁から飼養エリアを真下に見下ろすような画角で設けてもよいし、柵よりも高い位置から、やや水平に家畜を見下ろしながら飼養エリア全体を観察できるように配置してもよい。
移動式の場合は、撮像装置30は、豚舎/豚房の屋内の上部に設けられたレール等に沿って移動できるように構成し、そこから真下に見下ろすような画角で撮像するようにしてもよい。例えば、アプリケーションプログラムであらかじめ設定された制御プログラムが生成する制御信号に基づいて、又は、活動状態推定装置10からの制御信号に基づいて、撮像装置30の駆動装置の動作を制御させてもよい。また、撮像装置30のカメラの向きを変更する機構が設けられている場、カメラの移動方向、移動量、移動速度、レンズの向きや方角等を制御するようにしてもよい。
その他、家畜画像データは、撮像日時を含み、動画の場合は撮像開始の日時と撮像終了の日時を含んでいてよい。撮像日時は後述する家畜のエリア内位置の軌跡を算出する際に活用することができる。
上記の画像データに付随する情報は画像データ内にメタ情報として含められていても、データベース上でそれぞれ対応付けられて記憶されていても、どちらでもよい。
家畜画像データ113には、家畜画像に複数の家畜が撮像されていた場合に、後述する家畜検出部122を用いて個別に抽出された個体ごとの家畜画像である個体家畜画像を含んでいてもよい。個体ごとの家畜画像を抽出する方法については後述する。
エリアマップデータ114は、特定の飼養エリアのマップを示すデータである。飼養エリアの面積、レイアウト、設置されている飼養設備の種類、属性、それらの位置情報等の電子データが含まれている。エリアマップ内に設置される飼養設備としては、飼養エリアを規定する柵、家畜に対して給水を行う給水器、給餌を行う給餌器、遊具などのエンリッチメント資材を含む。
飼養エリアのマップ情報は2次元又は3次元形式の様々なデータで表現可能である。例えば、豚舎を上から見下ろした状態での2次元マップに座標が付されたものに限られず、3次元の空間的なマップでもよい。例えば、撮像装置30となるカメラの位置や、位置測定装置40となる各種装置が飼養エリア内であって家畜の頭上に設置される場合、それらの3次元座標を含んでいてもよい。その他に各種の付加的センサ50や、給水器、給餌器、遊具、送風機等の飼養設備の位置情報を含んでいてよい。
後述するが、飼養エリア内の特定の飼養設備は、個体の活動状態の推定に用いられる。例えば、給水器、給餌器等の飼養設備は、家畜の食事行動との間で関係性がある。柵等の飼養設備は、家畜が異常行動をする際に、柵に激突する、自傷行為を起こす等、家畜の異常行動との間で関係性がある。また、遊具等のエンリッチメント資材は、家畜が遊んでいる、リラックスしている等の活動との間で関係性がある。
活動状態データ115は、主に家畜の姿勢から推定される活動状態を規定し記憶しているものである。例えば、胸臥、横臥、起立、座位などの姿勢と家畜のエリア内位置から活動状態は推定される。これらには、休憩、給水、まどろむ、佇む、歩行、などの正常な活動状態から、闘争、乗駕(じょうが)、犬座姿勢等の常同行動を含む異常な活動状態も含まれる。活動状態推定部126による活動状態の推定については後述する。
また、活動状態データ115には、複数の活動状態の状況からさらに推定される活動パターンについて記憶されていてもよい。少なくとも第1の活動状態から、第1の活動状態とは異なる第2の活動状態への遷移をひとつの活動パターンの発現として定義し記憶してよい。活動パターンとしては、給水パターン、休憩パターン、闘争パターン等適宜設定して記憶しておくことができる。活動状態推定部126による活動パターンの推定については後述する。
家畜検出用データ116は、後述する家畜検出部122が家畜画像をもとに家畜を検出するためのデータである。例えば物体検出のための学習済みモデル等が含まれる。家畜検出部122が画像から家畜を検出する方法については後述する。
家畜特定用データ117は、後述する家畜特定部124が画像をもとに家畜を検出するためのデータである。例えば、家畜ID、耳標コード等が含まれる。
姿勢推定用データ118は、後述する姿勢推定部125が画像をもとに家畜の姿勢を推定するためのデータである。例えば、動物の姿勢推定のための学習済みモデル等が含まれる。姿勢推定部125が画像から家畜の姿勢を推定する方法については後述する。
付加的センシングデータ119は、飼養管理システム1における撮像装置30、位置測定装置40以外の、温度計、湿度計、気圧計、ガスセンサ、給餌量計、給水量計、音センサ、アネモメータ等の風量計、パーティクルカウンタやダストモニタ等の粉塵量計等である付加的センサ50によって測定され取得したデータを示す。例えば、飼養エリアの温度、湿度、気圧、風量、特定のガスの濃度、給餌量計による餌の供給量、給水量計による水の供給量、飼養エリア内の音声データ、飼養エリア内の粉塵量等である。これらの付加的データの補助的活用については後述する。
活動状態推定装置10の処理部120は、センシングデータ取得部121、家畜検出部122、エリア内位置算出部123、家畜特定部124、姿勢推定部125、活動状態推定部126、異常検知部127を備える。処理部120による処理は、記憶部110に記憶されたアプリケーションプログラム111を実行することにより、各機能が実現される。
センシングデータ取得部121は、ネットワークNWを介して活動状態推定装置10に接続されている撮像装置30から家畜画像を取得して、記憶部110に記憶する。また、センシングデータ取得部121は、ネットワークNWを介して管理サーバに接続されている位置測定装置40や付加的センサ50からもセンシングデータを取得し、記憶部110に記憶する。
家畜画像やセンシングデータをどの程度の頻度、および長さで取得するかは飼養者が適宜設定すべき事項である。家畜を管理する目的や、設置できる撮像装置30、位置測定装置40、付加的センサ50の台数、性能、また、管理サーバ等の計算資源が取り扱い可能なデータの量に応じて、サンプリングレートや画像の解像度、撮像(取得)頻度、撮像(取得)回数が設定されうる。
家畜検出部122は、撮像装置30が撮像した家畜画像から個体を検出する機能を有する。例えば、家畜検出部122では、画像から物体を検出する学習済みのディープラーニングモデル等の学習済みモデルを使用した、機械学習による物体検出を用いてよい。例として、Faster R-CNNが挙げられる。
Faster R-CNNでは、学習済みモデルの使用段階では関心領域を入力する必要はなく、画像を入力すれば物体の位置とクラスを得ることができる。例えば図3に示すように、検出された物体の位置は家畜画像LP1中のx,y座標中に境界ボックスBBとして囲われた領域であり、例えば豚であれば、豚の体全体が入る枠体の座標が示される。そして、クラスCとしては豚などの枠体で示された対象の分類が示される。この図はあくまで理解のために示したものであり、実際は内部処理がなされるので検出した画像を表示する必要はない。その他の手法として、YOLOなどが知られており、現時点では最新のYOLOv7等を用いることができる。その他にも様々な物体検出モデルが知られており、必要な計算資源とデータセットを勘案してこれらの中から適宜選択されうる。
また、画像の中に複数の家畜が撮像されている場合には、インスタンスセグメンテーションを用いて複数のセグメントに分割し、それぞれをクラスに分類することが可能である。例えば図4はフリーストールの上方から下方に向けて豚を撮像した画像を模したものであり、この時点では個々の豚の区別がついていない。
そこで、インスタンスセグメンテーションを行うと、図5に示すようにクラスが同じ豚であっても、個別に分割されて識別可能となる。このような手法として、例えば一般物体検出とインスタンスセグメンテーションを同時に行うMask R-CNNなどが知られている。この図において異なるハッチングが示されたインスタンスには、それぞれに豚というクラスが付与されて、かつ、各インスタンスにはテンポラリーなIDが付与される。ただしこの時点においても、単に画像から複数の豚が検出されたに過ぎず、個々の個体を特定するには後述する家畜特定部124による処理が必要である。
なお、機械学習による物体検出以外にも、以下の方法を用いてもよい。例えば、背景差分法により家畜を検出してもよい。オールインオールアウト等の家畜が不在の際に基準となる背景画像を撮像しておき、背景画像と撮像画像との輝度の差が所定以上ある画素の領域を家畜として検出してもよい。また、Canny法によるエッジ検出も広く用いられている。これらの方法により検出されたエッジと、テンプレートとなる家畜画像との類似度によるマッチングや、特徴抽出アルゴリズムによって家畜を検出してもよい。
エリア内位置算出部123は、位置測定装置40によって個体ごとに識別された位置情報と、エリアマップ情報とを用いて、各個体が飼養エリア内のどこに位置するかを示すエリア内位置を算出する機能を有する。
まず、位置測定装置40による個体の位置情報の取得を、上記のRFIDタグと、RFIDリーダによる例を用いて説明する。図6において、飼養エリアFS1が示されており、FS1は例えば四方を柵によって囲まれることで規定されたフリーストールである。FS1内に飼養されている家畜P1~P5はそれぞれ耳に耳標を装着しており、耳標は固有の周波数に応答するRFIDタグが内蔵されている。
図6では位置測定装置40をRFIDリーダ41、42によって構成した例を示す。RFIDリーダ41、42は例えばフリーストール等の飼養エリアの上方、天井より下に位置する梁などに設置し、下方に向けて所定の周波数の電波を放射することができる。ただし、この図においては上方から見た平面図的に示している。
ここで、RFIDリーダ41、42の位置が既知であり、RFIDリーダ41から家畜P2までの距離L1と、RFIDリーダ42から家畜P2までの距離L2とを取得することができれば、L1とL2から家畜P2の位置を測定することができる。これは、RFIDリーダ41、42から家畜P2までの相対的位置である。
ここで、RFIDリーダが電波を放射する方向を自ら測定できる機能を有している場合には、リーダの台数は1台でもよい。例えば回転駆動機構などを有しており、回転方向に電波を走査し、エンコーダー等により測角して電波を放射した方向を取得することができれば、家畜との相対的位置を取得可能である。
また、撮像装置30と、位置測定装置40を兼ねるものとして、デプスカメラやToFカメラを用いた場合についても簡単に説明する。
デプスカメラやステレオカメラでは複数枚の画像を撮像し、それらの画像をもとに各画素が物体までの距離を表すデプスマップを生成する。そしてデプスマップから物体を検出する。物体の検出は深度勾配に基づく手法により可能である。そして、検出した物体の位置の基準となる中心等の位置を決定する。ここでは仮に物体の全てのピクセルの平均位置を物体の中心とする。そして、物体の中心とカメラの中心と、カメラの視野角とを用いて物体の中心と、カメラの中心との相対的な位置を計算する。これにより、物体すなわち家畜を検出するとともに、家畜の相対的位置も測定可能である。
ToFカメラは、距離画像センサであって構わない。よく知られているように物体までの行きと帰りの飛行時間の差を測定することで物体までの距離を測定することが可能であり、3D-ToFカメラ等の距離画像センサであれば撮像する全画素についてカメラと物体との相対的位置関係を測定可能である。距離画像センサによって撮像された画像を、位置測定用と、物体(家畜)検出用の両方の用途に用いて構わない。
実際、飼養エリアに設置される撮像装置30と家畜との距離は数m程度であると考慮され、デプスカメラやToFカメラによる家畜との相対的位置の測定は性能的に十分許容範囲内である。
エリア内位置算出部123は、エリアマップデータと、個体の家畜の飼養エリアにおける相対的位置を用いてエリア内位置を算出する。エリア内位置は座標によって表してよく、XY平面上の二次元座標であってよい。この図6においてはエリアマップをグリッド上に示しており、その最小エリアは横軸の1~9と縦軸のA~Hからなり、例えばP2のエリア内位置は座標「F7」のように表している。ここで座標は、1つの区画内に家畜が位置していることを表している。エリア内位置の解像度については目的に応じて密なものから粗いものまで適宜設定すべきである。フリーストールのサイズにもよるが、50cm四方単位を区画とするエリア内位置が測定できれば十分である場合もある。
というのも、RFID-RSSIによって距離を測定する際に、パッシブRFIDタグを用いると距離の測定精度は高いものではない。その代わり、タグに電源が不要であるという利点がある。一方で、アクティブRFIDタグを用いると距離の測定精度は向上するが、電池等の電源が必要になり、耳標に搭載する電池交換作業等が必要になる。そのため、これらの運用態様に合わせて区画や位置測定の解像度は適宜設定されるべきである。
このようなエリアマップと、家畜との相対的位置を用いて、エリア内位置算出部123は各家畜の個体のエリア内位置を算出することができる。例えばこの図6においては、家畜P1の位置はA9、家畜P3の位置はC3、家畜P4の位置はG4、家畜P5の位置はF4と算出することができる。
家畜特定部124は、前記画像に撮像された個体を特定し、位置測定装置40によって位置を測定し、エリア内位置算出部123によってエリア内位置を算出した個体と照合して特定する機能を有している。
図3に戻り、家畜画像LP1を参照しながら説明する。家畜P1は耳に耳標t11と、耳標t12との2つの耳標を装着している。これらの耳標はいずれかがRFIDリーダに応答するRFIDタグを内蔵するものであってよい。そして、耳標t11と、耳標t12は、基本的幾何学形状を有し、彩度の高い色により着色されている。
基本的幾何学形状とは、正円、正三角形、正方形、正五角形、正六角形等の幾何学上基本的な形状である。これらの形状は、中心から等距離、各辺が同一などの画像認識しやすい形状的特徴を持ち、機械学習する際に特徴点として利用することが容易である。
また、彩度の高い色とは、基本的に赤色、青色、緑色、黄色等の原色であり、そこに虹色の7色として数えられる紫色、橙色、藍色、さらに、黒色、白色等の画像処理した際に判別しやすい9色程度の種類の色をいう。そのため、彩度の高い色が何であるかは明確である。何を彩度の高い色とするかは色空間モデルによって異なる。例えば、一般的なものとしてRGB(赤、緑、青)、CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)、そしてHSBまたはHSV(色相、彩度、明度または値)がある。このうち、HSB/HSVモデルは彩度を直接的に表現するものである。このような彩度の高い色は淡い色と比べて検出しやすく、特に豚の肌の色と異なる色は検出に優位である。
これらの耳標の色と形状は耳標コードとしてコード化されており、各個体の家畜IDと対応付けられて記憶されている。耳標コードだけでなく、豚舎ID、豚房ID、フリーストールIDと組み合わせることで相当数の家畜の管理が可能となる。つまり、耳標コードは所定の基本的幾何学形状を有する耳標の色、または複数の色の組み合わせのコードと、豚舎ID、豚房ID、フリーストールID等の飼養エリアを識別可能な符号、コードとを組み合わせたものであってよい。
例えば、図3においては、耳標t11と、耳標t12は、いずれも円形であり、耳標t11が青色、耳標t12が赤色であることにより、青色と赤色の組み合わせに応じた耳標コードと対応する家畜IDを有する豚であると特定することができる。
また、耳標以外に画像から個体を特定可能な識別子として、耳刻がある。耳刻は、家畜の耳に特定のパターンの切れ込みや穴を開けることで、個体を特定する方法である。耳刻パターンをコード化し、撮像した耳の画像から耳刻パターンを検出することでも個体の特定は可能である。ただし、家畜が痛みを伴う可能性や、感染症のリスクもあるため、苦痛、傷病からの自由に反する側面がある。そのため、本開示においては、アニマルウェルフェアの5つの自由全体との兼ね合いにおいて必要な場合にのみ、訓練を受けた獣医師等による麻酔や鎮痛剤の処置の下で耳刻が行われることを前提に、これを排除するものではない。
家畜特定部124は、家畜画像LP1を解析して得られる色と形状のパターン認識により耳標の色の組み合わせを認識する。そして、耳標の色の組み合わせより耳標コードを識別し、家畜IDを特定することができる。
家畜IDを特定することができれば、RFIDタグのタグIDと対応付けられた家畜IDと照合し、エリア内位置が算出された家畜の個体を特定することができる。
姿勢推定部125は、家畜画像を用いて個体の姿勢を推定する機能を有する。例として図3を用いて説明する。個体の姿勢の推定は、少なくとも家畜画像の姿勢推定によって行われる。
動物の姿勢推定モデルとしては、例えばDeepLabCutを用いることができ、画像をデータセットとして少量のラベリングにより学習が可能である。それ以外にも、LEAPや、複数の動物の姿勢を推定するSLEAP、また、DPKなども知られており、これらを用いることができる。これらは訓練された学習済みモデルを得た後の使用段階では、画像を入力することにより出力として推定された姿勢(データ)を得ることができる。より具体的には画像から抽出される複数の特徴点とその座標が姿勢を構成する。
図3に示す姿勢推定はあくまで例示であり、豚の身体の特徴点を抽出したものである。特徴点どうしを骨格的に結ぶ必要はない。特徴点の位置から姿勢の推定が可能である。画像は動画であってもよく、動画に追随した特徴点の移動により歩様の確認なども可能である。
なお、姿勢推定部125による個体の姿勢推定は、直接的に家畜の体にモーションセンサ等のセンサを装着させて姿勢を推定する方法を付加した学習データを取得することを通じ、推定精度を向上させることを排除するものではない。
活動状態推定部126は、個体の姿勢とエリア内位置情報とを用いて、個体の活動状態を推定する機能を有する。上記したように家畜特定部124によって、家畜IDを介し、エリア内位置が算出されている個体と、姿勢が推定されている個体とを照合し、結びつけることができる。これによって、各個体の活動状態を、エリア内位置と姿勢から推定することが可能になる。
活動状態推定部126による活動状態の推定には、様々な手法を用いることができる。例えば古典的なルールベースの手法により、エリア内位置と姿勢から活動状態を推定してもよい。例えば、特定のエリア内位置と特定の姿勢が特定の活動状態に対応するというルールを作成してそれに当てはめればよい。例えば、図6において、家畜P3は、エリア内位置である座標D3に位置する給水器である給水設備から1区画近傍であるC2~E4の区画に位置している。そして、P3の姿勢が複数の特徴点から「起立頭下」であると推定されたとする。この姿勢は四肢で直立しつつ頭は下げた状態であるとする。そうすると、そのエリア内位置においてその姿勢をとっている活動状態は「給水」であると推定することができる。どのような姿勢とどのようなエリア内位置がどのような活動状態として推定され得るかは、ここで全て説明する必要はなく、設計された飼養エリア、家畜の種類、性別、齢、飼養設備、飼養頭数等に応じて飼養管理システム1のユーザが適宜設定すべき事項である。例えば、給水器が頭を上げて給水するタイプのものであれば、対応する姿勢はそれに応じて変更すべきである。
上記したように、活動状態はエリア内位置と姿勢に加えて飼養設備との関係性も用いて推定されてよい。例えば図6において、給水器の配置された区画に隣接する1区画近傍であるC2~E4の区画は、給水器とは近傍であるという関係にあり、この区画における特定の姿勢は、特定の活動状態と関係性がある。この関係性を用いて活動状態の推定を補助してもよい。特定の活動状態と飼養設備との関係性については、どの飼養設備とどの程度近接し、どのような姿勢であった場合に、どのような活動状態と推定するべきであるかを導くために、飼養設備と、飼養設備からの距離と、姿勢と、活動状態とを対応付けた関係性データを記憶部110が有していてよい。
活動状態の推定には、古典的な機械学習であるSVMやランダムフォレストを用いて訓練した学習済みモデルを用いてもよい。また、ニューラルネットワークを用いて深層学習した学習済みモデルを用いてもよい。また、弱学習器によるアンサンブルの結果を用いてもよい。これらの機械学習を学習段階で用いて、その出力を元にルールベースの分類を行ってもよい。
推定される活動状態は、検出したい状況に応じたものだけでよい。例えば「給水」については特徴的な位置や姿勢で推定されるのに対し、飼養エリア内の不特定の場所で正常な姿勢でいる場合に、それが検出したい状況でなければ、その活動状態を特に推定する必要はないということである。ただし、常時活動状態を推定することを排除するものではない。
また、活動状態については、それらを時系列で観察した概念として活動パターンというものを推定してもよい。活動パターンは、第1の活動状態から、第1の活動状態とは異なる第2の活動状態への遷移を最小限の単位として発現する家畜の行動様式である。
図7、図8を用いて活動状態と活動パターンについて説明する。図7においては、家畜P1が所定の時間内での飼養エリア内におけるエリア内位置及び姿勢について示されている。なお、図7、図8ではでは便宜的に位置と姿勢との組み合わせデータをそれぞれ4例のみ示しているが、実運用上はさらに細かくデータを取得してさらに多くの活動状態を推定してよい。
図7において、位置s1~s4までのエリア内位置の時系列変化が示されている。ここで、エリア内位置の絶対的位置は便宜的に「座標」という表現で示している。また、エリア内位置の時系列変化は軌跡R1によって示されている。この軌跡は理解のために連続線的に示されているが、実際のエリア内位置の軌跡は断続的なものでよい。この軌跡R1において、それぞれの時系列的位置s1~s4における座標、軌跡、画像、画像から推定される姿勢、座標と姿勢から推定される活動状態、活動状態の属性、活動状態の遷移により推定される推定活動パターン、活動パターンの属性が示されている。ここで時系列的位置と座標とはやや意味合いが重複するが、時系列的位置s1~s4は、軌跡R1における時間的に変化する位置を表現するものであり、座標は時間によらずエリアマップ上の絶対的位置を表現するものである。以下でこの例における活動状態と活動パターンの推定について説明する。
例えば、活動状態推定部126は取得したデータを用いて以下のように推定することができる。軌跡R1の開始位置s1において、家畜P1は胸臥の姿勢にあり、座標については周囲に飼養設備はなく、特徴のある座標ではないから、活動状態としては休憩しているものであると推定される。そして、位置s2においては、給水設備の近傍座標に位置し、かつ、起立頭下という姿勢にあるから、給水を行っているものと推定される。次に、位置s3においては、s1と同様に座標に特記事項はなく、起立した姿勢から足を前に踏み出している、踏み出しという姿勢にあることから、歩行をしていると推定される。最後に、軌跡R1の終了位置s4においては、座標に特記事項はなく、足も踏み出さずに起立していることから、佇んでいる状態にあると推定される。以上は一例であり、エリア内位置、姿勢、活動状態の関係性は養豚専門家の知見や機械学習を取り入れて適宜修正可能である。
そして、このような休憩、給水、歩行、佇むといった活動状態の遷移を、給水・給餌活動パターンとして分類してもよい。このような活動状態の遷移が一つの連続した系列として表現できるなら、遷移する確率も定義し、HMM(隠れマルコフモデル)としてモデル化してもよい。上記の休憩、給水、歩行、佇むといった一連の行動は1つのHMMでモデル化可能である。逆に、活動状態の遷移履歴をもとにして、家畜の活動パターンをHMMでモデル化することも可能である。
本開示のように、姿勢とエリア内位置とを用いて、家畜の行動を表す質的パラメータとしての活動状態の情報を取得できることは有用である。例えば、給餌量や給餌のタイミングを個体ごとに測定可能な手段としては従来からESF方式が知られているが、ESF方式ではその前後の家畜の活動を把握することができない。つまり、個々の家畜の位置を検出するものではなく、給餌装置に接近した家畜のみを検出するに過ぎないからである。また、複数の家畜が同時に食事をすることができず、仮に同時に食事をさせるためにはESFに対応した給餌装置が複数必要であるといった問題がある。
図8では、活動状態、活動パターンの推定例として他の例を示す。この例においては、家畜P2の軌跡R2のみが、エリアマップ上に示されている。この例が示す家畜の典型的な活動パターンはストレスによる自傷行動である。
位置s5~s8において、家畜P2は飼養エリアを規定する柵設備の1区画近傍または2区画近傍の周囲のみを周回している。位置s5は柵設備の1区画近傍であり姿勢は後ろ脚立ち、すなわち前足を持ち上げているような姿勢であることから、活動状態は乗駕(じょうが)であると推定される。乗駕は他の家畜に対しても行われ得るが、柵に対しても行われ得る。そして、その後の活動状態にも、威嚇や乗駕などの活動状態にあることから、活動パターンとしても自傷・攻撃パターンであると推定される。このような状態にある家畜は、何らかのストレスや傷病を抱えている可能性があり、速やかに隔離又は保護等の対処を行う必要性が検討される。
異常検知部127は、個体の活動状態の発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量を算出し、飼養エリア内で飼養されている複数の家畜の活動状態の発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量と比較し、個体に異常またはその予兆があることを判定する機能を有していてよい。
上記のように、個体が異常行動を起こしている場合に、同じ飼養エリアで飼養されている家畜全体もそのような傾向にあるのか、その個体だけが異常なのかは、人間である飼養者の経験によって判断されることが多い。例えば、空調設備が故障してしまい、気温が過度に上昇する暑熱の問題が生じたときに、その飼養エリア内で飼養されている家畜全体が異常な呼吸をしたりすることは当然である。一方で、空調設備の故障もなく、室内温度も安定しているのに、特定の個体だけが震えていたり、異常な呼吸をしたりする場合は、その個体が傷病などの異常な状態にある可能性が高い。
そこで、異常検知部127は、特定の個体の活動状態について、発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量を算出し、飼養エリア内で飼養されている複数の家畜の活動状態の発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量と比較することで、その他の環境要因を相殺して、精度よく異常な個体を特定することができる。比較対象とする他の家畜は、同一の農場、豚舎/豚房、飼養エリアの同じ日時、時間帯等である家畜とすることで、より精度よく異常を検出することができる。
例えば異常検知部127は、ある家畜が歩行の活動状態にある累計時間又は頻度が、他の複数の家畜の、歩行の活動状態にある累計時間又は頻度の平均値または中央値等の統計量と比較して、著しく高い、または著しく低いなどの諸条件に該当することにより、その家畜の異常を検出することができる。
また、異常検知部127は、少なくとも個体の第1の活動状態から、第1の活動状態とは異なる第2の活動状態への遷移を活動パターンとして検出し、活動パターンが発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量を算出し、飼養エリア内で飼養されている複数の家畜の前記生活動パターンが発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量と比較し、前記特定された個体に異常またはその予兆があることを判定するようにしてもよい。上記と同様に比較対象とする他の家畜は、同一の農場、豚舎/豚房、飼養エリアの同じ日時、時間帯等である家畜とすることで、より精度よく異常を検出することができ、同様の方法で比較することができる。
例えば異常検知部127は、ある家畜が所定の異常行動パターンを発現する累計時間又は頻度が、他の複数の家畜の、所定の異常行動パターンを発現する累計時間又は頻度の平均値または中央値等の統計量と比較して、著しく高い、または著しく低いなどの諸条件に該当することにより、その家畜の異常を検出することができる。
帳票作成部128は、活動状態推定部126が推定した活動状態を用いて、アニマルウェルフェアが適切に実施されているか確認することができる帳票を出力する機能を有する。これについては後述する。
本開示の活動状態の推定において、付加的センシングデータの補助的活用例についても説明する。推定したい活動状態によっては、上記のエリア内位置と姿勢だけでは情報として不十分なケースも存在する。
例えば、飼養エリア内の温度が高く、家畜が暑熱ストレスに曝されていることによって、呼吸が粗くなっている場合や、ストレスによって異常な鳴き声が発生している場合などは、画像や姿勢だけではその活動状態を推定することが困難である。その場合は、付加的センサ50の1つである音センサによって収音した音データを、エリア内位置と姿勢に対して加えることで活動状態の推定精度を向上させてもよい。具体的には、特定の周波数、特定の音の大きさ、音が発生したタイミングなどを用いて、咳や喧嘩の発生や、ストレス状態とみなせる活動状態を推定してもよい。
次に、図9は、本開示の飼養管理方法の手順を示すシーケンスチャート図であり、撮像装置30、活動状態推定装置10、位置測定装置40、記憶部110、付加的センサ50の基本的な処理の流れを示している。
ステップS301において、撮像装置30が飼養エリア内の画像を撮影する(撮像ステップ)。
ステップS401において、位置測定装置40が飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し、位置情報を取得する(位置情報取得ステップ)。
また、必要に応じて、ステップS501において、付加的センサ50が付加的センシングデータを取得する。
これらのステップS301、S401、S501は設定された頻度に応じて都度実行され、各ステップ間の順番の異同は問わないものである。
次に、ステップS101において、活動状態推定装置10のセンシングデータ取得部121が、画像と位置情報を取得する(センシングデータ取得ステップ)。
また、ステップS111において、活動状態推定装置10のエリア内位置算出部123は、ステップS102においてエリア内位置を算出する前に、記憶部110からエリアマップ情報を取得しておいてよい。
ステップS102において、家畜特定部124が画像に撮像された個体を特定する(家畜特定ステップ)。
ステップS103において、姿勢推定部125が画像を用いて個体の姿勢を推定する(姿勢推定ステップ)。
ステップS104において、エリア内位置算出部123が、位置情報と、記憶部110に記憶されたエリアマップ情報とを用いて、個体の飼養エリア内におけるエリア内位置を算出する(エリア内位置算出ステップ)。
なお、ステップS102、S103、S104については、ステップS105の前に実行されていればよく、これらの順番の異同は問わない。
ステップS105において、活動状態推定部126が、個体の姿勢とエリア内位置情報とを用いて、個体の活動状態を推定する(活動状態推定ステップ)。
また、ステップS106において、異常検知部127が、活動状態推定部126によって推定された、個体又は複数の家畜の活動状態、活動パターンについて、それらの発生する頻度もしくは累計時間、またはこれらの割合を用いて、個体に異常またはその予兆があることを判定する(異常検知ステップ)。
これらのステップを経て、異常またはその予兆があることが判定されれば、飼養管理システム1は、ユーザ端末20を介して飼養者にその情報をアラートとして通知し、飼養者は適切な対処をとることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。以下にその一例を示す。
図10には、他の実施形態として用いることができる活動状態の推定例を示すための図である。この図においては、家畜P1~P6が座標D3に設置されている給水器の1区画近傍内に全て位置している。
この場合において、活動状態の推定精度の多少の低下を許容するのであれば、活動状態推定部126は、画像から推定される姿勢を用いずに、飼養設備である給水器と、エリア内位置との関係性のみから、家畜の活動状態を推定してもよい。例えばこの状況では、家畜P1~P6は給水器との位置関係から、活動状態は給水にあると推定されてよい。
さらに、異常検知部127が個体の活動状態を用いて異常またはその予兆を検知することもできる。この図10において、図面左上の給水器付近に家畜が集合しているが、飼養設備である給水器を中心として、例えば1区画近傍以内である所定の区画内に、例えば5頭以上など所定数以上の家畜が、例えば1時間以上など所定時間以上滞在し、滞在している家畜が所定の活動状態にあるときに、異常またはその予兆があると判断することもできる。
例えば、給水器を同時に使用できる最大頭数が4頭であるのに、その近傍に6頭以上終結し、また所定時間以上滞在しているときは、家畜同士の闘争や、給水器の故障が生じている可能性がある。このような家畜の活動状態を用いて、異常検知部127は、異常またはその予兆があると判断することもできる。飼養者はこれに対処することによって、渇き及び栄養不良からの自由や、に資することができる。
また、図10の右下において、何らの飼養設備も設置されていない座標F6~G8からなる区画に、所定数以上の家畜P7~P12が集結し、所定時間以上滞在している。この場合においては、家畜同士の闘争が生じている、または頓死した家畜がいて他の家畜が集結している、等の状況が考えられる。そのため、所定の区画の範囲と、家畜の数と、滞在時間等を閾値として設定することで、闘争や傷病などの異常またはその予兆が発生していないか判断することもできる。
また、図10の右上において、例えば座標B9に送風機が設置してあるとする。ただし、この場合送風機は家畜の滞在できる高さではなく、頭上に配置されているものとする。このB9の周囲、例えばこの図に示すようにA8~C9の区画内に家畜が立ち寄る頻度・確率が低い場合には、何らかの理由により家畜がこの場所に立ち入ることを忌避していることが推定される。経験のある飼養者であれば、これが、家畜が送風機によって起こされる風や音を嫌がっていると推測することもできる。これについて、異常検知部127が家畜のエリア内位置の時間的経過、軌跡を用いることで自動的に検知することができる。このような場所が発生していることを、「位置的な異常」として観測してもよい。
位置的な異常の観測方法の具体的な一例を検討する。異常検知部127は、その飼養エリア内で飼養されている全ての、又は一部の家畜のエリア内位置の時間的経過、軌跡について、エリア内位置算出部123より取得する。そして、家畜の移動軌跡についてエリアマップ上でマッピングすることで、その家畜がどの区画を通過、または滞在したかを特定する。そして、家畜が通過又は滞在していない区画、あるいは通過又は滞在する頻度が他の区画よりも低い区画を不滞在区画として特定することができる。これによって特定された不滞在区画を、位置的な異常のある区画として検出することもできる。
位置的な異常が検出される区画を可視化することで、実質的に家畜が滞在できない区画が存在し、豚舎/豚房の面積の有効な活用ができていないこと等を飼養者が改善することができる。このように、位置的な異常については、家畜の活動状態とは独立した質的パラメータとして、同じくアニマルウェルフェアへの貢献のために、飼養者がこれを用いて飼養を改善することができる。
上記した実施形態の異常の検知には、家畜の姿勢や、付加的センサのセンシングデータを付加して推定精度を向上させることもできる。
以上、本開示のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態のアニマルウェルフェアの5つの自由への貢献との関係と、それを確認することができる帳票を作成する帳票作成部128の機能についても説明しておく。
帳票作成部128は、活動状態推定部126が推定した活動状態を用いて、各飼養者が農場において適切にアニマルウェルフェアを実施しているか確認することができる帳票を作成する機能を有する。
まず、「飢え、渇き及び栄養不良からの自由」、これに対しては、例えば、「給餌・給水」等の家畜の栄養状態に影響のある活動状態を設定することで、個体ごとの当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量(前月・前年対比などを含む)や、飼養エリアごとの複数の家畜群における当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間を計算して、帳票としてユーザ端末20に表示させたり、印刷したりすることができる。また、当該活動状態の発生する頻度等の正常範囲、異常範囲の条件を設定しておけば、当該条件に該当する現象を帳票として出力することも可能である。これによって問題を認識した飼養者は、家畜に対して新鮮な餌及び水の提供が可能となる。
次に、「恐怖及び苦悩からの自由」、これに対しては、例えば「攻撃行動」や、「常同行動」等の、家畜が恐怖や苦悩を感じている際に発現する、異常な行動に関連する活動状態を設定することで、個体ごとの当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量や、飼養エリアごとの複数の家畜群における当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間を計算して、帳票としてユーザ端末20に表示させたり、印刷したりすることができる。また、当該活動状態の発生する頻度等の正常範囲、異常範囲の条件を設定しておけば、当該条件に該当する現象を帳票として出力することも可能である。これによって問題を認識した飼養者は、家畜の心理的苦悩を避ける状況を確保することが可能となる。
次に、「物理的及び熱の不快からの自由」、これに対しては、例えば暑さで異常な呼吸をしている、寒さで体が震えている、一か所にずっと集まっている、皮膚の変色がみられる等、エリア内位置と姿勢に加えて音声データや、温度データ、画像データ等の付加的データも加えて推定することで推定された活動状態を設定することで、個体ごとの当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量や、飼養エリアごとの複数の家畜群における当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間を計算して、帳票としてユーザ端末20に表示させたり、印刷したりすることができる。また、当該活動状態の発生する頻度等の正常範囲、異常範囲の条件を設定しておけば、当該条件に該当する現象を帳票として出力することも可能である。これによって問題を認識した飼養者は、適切な飼養環境を提供することができる。
次に、「苦痛、傷病及び疾病からの自由」、これに対しては、例えば「犬座」や「跛行」等の家畜が疾病を抱えていたり、損傷を受けていたりすることに起因して生じる異常な姿勢や、正常な歩行ができない活動状態を設定することで、個体ごとの当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量や、飼養エリアごとの複数の家畜群における当該活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間を計算して、帳票としてユーザ端末20に表示させたり、印刷したりすることができる。また、当該活動状態の発生する頻度等の正常範囲、異常範囲の条件を設定しておけば、当該条件に該当する現象を帳票として出力することも可能である。これによって問題を認識した飼養者は、疾病等の予防及び的確な診断と迅速な処置を行うことができる。
最後に、「通常の行動様式を発現する自由」、これに対しては、フリーストール等の群飼により家畜が本来の行動をとれる機会を提供することができる。
なお、本開示は5つの自由全てを同時かつ完全に保証しなければならないわけではなく、「通常の行動様式を発現する自由」に貢献する態様で家畜を飼養した際に、実現が困難となる他の自由のうち、少なくともいずれか1つについて貢献するものである。
以上、本開示に記載した実施形態は、上記した例に限定されず、上記に記載された構成を各々組み合わせた形態で用いてもよい。
活動状態を推定するためには、少なくとも個体のエリア内位置と、その姿勢が既知であればよく、場合によっては、エリア内位置と、飼養エリアに配置された飼養設備との関係から活動状態を推定してもよく、さらに場合によっては、姿勢のみを用いて活動状態を推定してもよい。
エリア内位置と姿勢とは、撮像装置30と位置測定装置40によって得られればよく、撮像装置30と位置測定装置40はそれぞれの機能を兼ね備えた装置でも構わない。位置測定装置40は家畜の位置を特定できればよく、本開示に記載した手段に限定されない。
活動状態推定部126が推定する質的パラメータである活動状態についても、本開示に列挙したものに限定されず、飼養者が認識したい状態に応じて、エリア内位置と姿勢等を勘案して適宜設定可能である。
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
特定の飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理システムであって、
前記飼養エリア内の画像を撮影する撮像装置と、
前記飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し位置情報を測定する位置測定装置と、
前記飼養エリアのエリアマップを記憶する記憶部と、
前記家畜の活動状態を推定する活動状態推定装置と、を備え、
前記活動状態推定装置は、
前記位置情報と、前記エリアマップ情報とを用いて、前記個体の前記飼養エリア内におけるエリア内位置を算出可能なエリア内位置算出部と、
前記画像に撮像された個体を特定する家畜特定部と、
前記画像を用いて前記個体の姿勢を推定する姿勢推定部と、
前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置情報とを用いて、前記個体の活動状態を推定する活動状態推定部と、を備える飼養管理システム。
これにより、フリーストール方式のような家畜の通常の行動様式を発現する自由に貢献する態様で家畜を飼養しつつ、他の自由についても貢献することで、アニマルウェルフェアの5つの自由全体に貢献することができる。
(付記2)
前記エリアマップは、前記飼養エリア内に設置された飼養設備の種類とそのエリア内位置をさらに含み、
前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置と、前記飼養設備のエリア内位置とを用いて、前記姿勢と前記飼養設備との関係性から前記個体の活動状態を推定する、付記1に記載の飼養管理システム。
これにより、家畜の活動状態を飼養エリア内の飼養設備との関係で推定することができ、特に5つの自由のうちの飢え、渇き及び栄養不良からの自由に貢献することができる。
(付記3)
前記活動状態推定装置は、
前記個体の活動状態の発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量を算出し、前記飼養エリア内で飼養されている複数の家畜の活動状態の発生する頻度、間隔、回数もしくは累計時間、またはこれらの統計量と比較し、前記個体に異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、付記1または2に記載の飼養管理システム。
これにより、個体の活動状態を飼養エリア内で飼養されている他の個体と比較することで、その他の環境要因を相殺して、精度よく異常な個体を特定することができる。
(付記4)
前記活動状態推定装置は、
少なくとも前記個体の第1の活動状態から、前記第1の活動状態とは異なる第2の活動状態への遷移を活動パターンとして検出し、前記活動パターンが発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量を算出し、前記飼養エリア内で飼養されている複数の家畜の前記活動パターンが発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量と比較し、前記特定された個体に異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、付記3に記載の飼養管理システム。
これにより、個体の活動パターンを飼養エリア内で飼養されている他の個体と比較することで、その他の環境要因を相殺して、精度よく異常な個体を特定することができる。
(付記5)
前記活動状態推定装置は、
前記飼養エリア内で飼養されている複数の家畜のエリア内位置に基づき、前記飼養エリア内の所定の区画内に所定数以上の家畜が所定時間以上滞在しているときに、異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、付記1に記載の飼養管理システム。
これにより、特に苦痛、傷害及び疾病からの自由に貢献することができる。
(付記6)
前記エリアマップは、前記飼養エリア内に設置された給餌または給水を行う飼養設備とそのエリア内位置をさらに含み、
前記複数の家畜の前記姿勢と前記エリア内位置と、前記飼養設備の位置情報を用いて、前記姿勢と前記飼養設備との関係性から前記複数の家畜の活動状態を推定し、
前記飼養設備を中心として所定の区画内に、所定数以上の家畜が所定時間以上滞在し、前記滞在している家畜が所定の活動状態にあるときに、異常またはその予兆があることを判定する区画異常検知部を備える、付記5に記載の飼養管理システム。
これにより、特に飢え、渇き及び栄養不良からの自由に貢献することができる。
(付記7)
特定の飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理システムであって、
前記飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し、位置情報を取得可能な位置測定装置と、
前記飼養エリアのエリアマップと、を記憶する記憶部と、
前記家畜の活動状態を推定する活動状態推定装置と、を備え、
前記エリアマップは、前記飼養エリア内に設置された飼養設備の種類とそのエリア内位置をさらに含み、
前記活動状態推定装置は、
前記位置情報と、前記エリアマップ情報とを用いて、前記個体の前記飼養エリア内におけるエリア内位置を算出可能なエリア内位置算出部と、
前記飼養エリア内で飼養されている複数の家畜のエリア内位置に基づき、前記飼養エリア内の所定の区画内に所定数以上の家畜が所定時間以上滞在しているときに、異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、飼養管理システム。
これにより、特に飢え、渇き及び栄養不良からの自由に貢献することができる。
(付記8)
特定の飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理システムであって、
前記飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し位置情報を測定する位置測定装置と、
前記飼養エリアのエリアマップと、を記憶する記憶部と、
前記家畜の活動状態を推定する活動状態推定装置と、を備え、
前記活動状態推定装置は、
前記位置情報と、前記エリアマップ情報とを用いて、前記個体の前記飼養エリア内におけるエリア内位置を算出可能なエリア内位置算出部と、
前記家畜の前記エリア内位置を用いて、前記姿勢と前記飼養設備との関係性から、異常またはその予兆があることを判定する個体異常検知部を備える、飼養管理システム。
これにより、特に飢え、渇き及び栄養不良からの自由に貢献することができる。
(付記9)
前記家畜特定部は、前記個体が装着した基本的幾何学形状を有する複数の耳標の彩度の高い色の組み合わせに応じてコード化された識別符号により、前記画像に撮像された個体を特定する、請求項1、2、5、6のいずれか1項に記載の飼養管理システム。
これにより、個体の家畜を簡便な手段により、精度よく特定することができる。
(付記10)
特定の飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理システムであって、
前記飼養エリア内の画像を撮影する撮像装置と、
前記家畜の活動状態を推定する活動状態推定装置と、を備え、
前記活動状態推定装置は、
前記個体が装着した基本的幾何学形状を有する複数の耳標の彩度の高い色の組み合わせに応じてコード化された識別符号により、前記画像に撮像された個体を特定する家畜特定部と、
前記画像を用いて前記個体の姿勢を推定する姿勢推定部と、
前記個体の前記姿勢を用いて、前記個体の活動状態を推定する活動状態推定部と、を備える飼養管理システム。
これにより、フリーストール方式のような家畜の通常の行動様式を発現する自由に貢献する態様で家畜を飼養しつつ、他の自由についても貢献することで、アニマルウェルフェアの5つの自由全体に貢献することができる。
(付記11)
飼養管理システムを用いて特定の飼養エリア内で移動可能な状態で飼養される複数の家畜の飼養管理方法であって、
撮像装置が前記飼養エリア内の画像を撮影する撮像ステップと、
位置測定装置が前記飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し位置情報を測定する位置測定ステップと、
活動状態推定装置のセンシングデータ取得部が、前記画像と前記位置情報を取得するセンシングデータ取得ステップと、
家畜特定部が前記画像に撮像された前記個体を特定する家畜特定ステップと、
姿勢推定部が前記画像を用いて前記個体の姿勢を推定する姿勢推定ステップと、
位置算出部が、前記位置情報と、記憶部に記憶されたエリアマップ情報とを用いて、前記個体の前記飼養エリア内におけるエリア内位置を算出する可能なエリア内位置算出ステップと、
活動状態推定部が、前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置情報とを用いて、前記個体の活動状態を推定する活動状態推定ステップと、を含む、飼養管理方法。
これにより、フリーストール方式のような家畜の通常の行動様式を発現する自由を実現する態様で家畜を飼養しつつ、他の自由についても実現することで、アニマルウェルフェアの5つの自由全体を実現することができる。
1 飼養管理システム
10 活動状態推定装置
20 ユーザ端末
30 撮像装置
40 位置測定装置
50 付加的センサ
110 記憶部
111 アプリケーションプログラム
112 家畜基本データ
113 家畜画像データ
114 エリアマップデータ
115 活動状態データ
116 家畜検出用データ
117 家畜特定用データ
118 姿勢推定用データ
119 付加的センシングデータ
120 処理部
121 センシングデータ取得部
122 家畜検出部
123 エリア内位置検出部
124 家畜特定部
125 姿勢推定部
126 活動状態推定部
127 異常検知部



Claims (11)

  1. 豚房の内部に設けられたフリーストールである特定の飼養エリア内で自由に移動可能な状態で飼養される豚である複数の家畜のアニマルウェルフェアのための飼養管理システムであって、
    前記飼養エリア内全体の画像を撮影する撮像装置と、
    前記飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し、前記個体との相対的位置情報を測定する位置測定装置と、
    前記飼養エリアのエリアマップを記憶する記憶部と、
    前記家畜の活動状態を推定する活動状態推定装置と、を備え、
    前記活動状態推定装置は、
    前記相対的位置情報と、前記エリアマップとを用いて、前記個体の前記飼養エリア内における絶対的位置であるエリア内位置を算出可能なエリア内位置算出部と、
    前記家畜の画像を学習した学習済みの物体検出モデルを用いて前記画像から前記家畜を検出する家畜検出部と、
    前記画像に撮像された個体を特定する家畜特定部と、
    前記画像を用いて前記個体の姿勢を推定する姿勢推定部と、
    前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置とを用いて、前記個体の活動状態を推定する活動状態推定部と、
    を備える飼養管理システム。
  2. 前記エリアマップは、前記飼養エリア内に設置された飼養設備の種類とその飼養エリアの二次元の絶対的位置であるエリア内位置をさらに含み、
    前記活動状態推定装置は、前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置と、前記飼養設備のエリア内位置とを用いて、前記姿勢と前記飼養設備との関係性から前記個体の活動状態を推定する、請求項1に記載の飼養管理システム。
  3. 前記活動状態推定装置は、
    前記個体の活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量を算出し、同一の前記飼養エリア内で飼養されている複数の家畜の活動状態の発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量と比較し、前記個体に異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、請求項1または2に記載の飼養管理システム。
  4. 前記活動状態推定装置は、
    少なくとも前記個体の第1の活動状態から、前記第1の活動状態とは異なる第2の活動状態への遷移を活動パターンとして検出し、前記活動パターンが発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量を算出し、同一の前記飼養エリア内で飼養されている複数の家畜の前記活動パターンが発生する頻度、間隔、回数、もしくは累計時間、またはこれらの統計量と比較し、前記特定された個体に異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、請求項3に記載の飼養管理システム。
  5. 前記活動状態推定装置は、
    前記飼養エリア内で飼養されている複数の家畜のエリア内位置に基づき、前記飼養エリア内の、前記飼養設備が設置されていない所定の区画内に所定数以上の家畜が所定時間以上滞在しているときに、異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、請求項に記載の飼養管理システム。
  6. 前記エリアマップは、前記飼養エリア内に設置された給餌または給水を行う飼養設備とそのエリア内位置をさらに含み、
    前記複数の家畜の前記姿勢と前記エリア内位置と、前記飼養設備のエリア内位置を用いて、前記姿勢と前記飼養設備との関係性から前記複数の家畜の活動状態を推定し、
    前記飼養設備を中心として所定の区画内に、前記飼養設備を同時に使用できる頭数以上の家畜が所定時間以上滞在し、前記滞在している家畜が所定の活動状態にあるときに、異常またはその予兆があることを判定する異常検知部を備える、請求項に記載の飼養管理システム。
  7. 前記家畜は複数の耳標を装着し、前記耳標には前記位置測定装置として固有の周波数に応答するRFIDタグが内蔵されるとともに、基本的幾何学形状と彩度の高い色を有し、
    前記家畜特定部は、前記撮像装置が撮像した画像に含まれる前記複数の耳標の色の組み合わせと対応する耳標コードと対応する家畜IDと、前記位置測定装置が識別するRFIDタグのタグIDとを用いて、前記エリア内位置が算出された個体を特定する、請求項1に記載の飼養管理システム。
  8. 前記姿勢推定部は、豚の身体の特徴点を含む画像を用いて姿勢を学習した学習済みの姿勢推定モデルを用いて、前記画像から抽出される複数の特徴点から前記個体の姿勢を推定する、請求項7に記載の飼養管理システム。
  9. 前記飼養設備は、前記フリーストールを規定する柵であり、
    前記活動状態推定装置は、前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置と、前記飼養設備のエリア内位置とを用いて、
    前記姿勢と前記飼養設備との関係性から前記個体の自傷・攻撃に関する活動状態を推定する、請求項に記載の飼養管理システム。
  10. 前記飼養管理システムは、前記飼養エリア内のデータを取得する付加的センサとして、温度センサとをさらに備え、
    前記異常検知部は、前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置と、前記飼養エリアの温度とを用いて、異常な個体を推定する、請求項3に記載の飼養管理システム。
  11. 飼養管理システムを用いて豚房の内部に設けられたフリーストールである特定の飼養エリア内で自由に移動可能な状態で飼養される豚である複数の家畜のアニマルウェルフェアのための飼養管理方法であって、
    撮像装置が前記飼養エリア内全体の画像を撮影する撮像ステップと、
    家畜検出部が豚の画像を学習した学習済みの物体検出モデルを用いて前記画像から前記家畜を検出する家畜検出ステップと、
    位置測定装置が前記飼養エリア内で飼養される複数の家畜を個体ごとに識別し、前記個体との相対的位置情報を測定する位置測定ステップと、
    活動状態推定装置のセンシングデータ取得部が、前記画像と前記位置情報を取得するセンシングデータ取得ステップと、
    家畜特定部が前記画像に撮像された前記個体を特定する家畜特定ステップと、
    姿勢推定部が前記画像を用いて前記個体の姿勢を推定する姿勢推定ステップと、
    位置算出部が、前記相対的位置情報と、記憶部に記憶されたエリアマップ情報とを用いて、前記個体の前記飼養エリア内における絶対的位置であるエリア内位置を算出する可能なエリア内位置算出ステップと、
    活動状態推定部が、前記個体の前記姿勢と前記エリア内位置情報とを用いて、前記個体の活動状態を推定する活動状態推定ステップと、
    を含む、飼養管理方法。
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