JP7402032B2 - 既設管更生用帯状部材、並びにその製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
本発明は、かかる考察に鑑み、平常時は流下能力を担保し、かつ耐震性能を確実に発現し得る既設管更生用帯状部材を提供することを目的とする。
前記主帯部の前記中間部にウェルドラインが形成されるように、前記帯状部材を押出成形する工程と、
前記主帯部を前記ウェルドラインにおいて割断する工程と
を備えたことを特徴とする。
これによって、脆弱部であるウェルドラインに曲げ応力が集中する。したがって、帯状部材を前記ウェルドラインにおいて確実に割断できる。かつ帯状部材のウェルドライン以外の部分が割れたり塑性変形を来したりするのを防止できる。
割断後、主帯部を非屈曲状態に戻すと、一対の割断面がぴったり合わさる。
これによって、主帯部がウェルドラインに沿って切り裂かれるように割断される。
前記主帯部の前記中間部にウェルドラインが形成されるように、前記帯状部材を押出成形する押出成形部と、
前記主帯部を前記ウェルドラインにおいて割断する割断機構と
を備えたことを特徴とする。
これによって、帯状部材の製造時に主帯部の中間部を割断しておくことができる。脆弱部であるウェルドラインにおいて割断することで、一対の割断面どうし間に隙間が形成されるのを防止でき、製管後の流下能力を確保できる。かつ地震時には、伸縮帯部の伸縮によって耐震性能を確実に発現し得る。
これによって、帯状部材の溶融樹脂原料を押しだす押出流路が、ブリッジを挟んで2つの流路部に分かれる。この結果、主帯部の中間部にウェルドラインが形成される。
これによって、帯状部材を主帯部の中間部ひいてはウェルドラインにおいて屈曲させることができる。
これによって、主帯部をウェルドラインに沿って切り裂くように割断できる。
カッターは、回転式でもよく固定式でもよい。
これによって、主帯部をウェルドラインにおいて確実に割断できる。
帯幅方向の両端部に製管のための嵌合部が設けられた主帯部と、
前記主帯部の帯幅方向の中間部を跨ぐとともに両端部が前記主帯部と一体に連なり前記帯幅方向へ伸縮可能な伸縮帯部と、
を備え、前記主帯部の前記中間部には互いに対向する一対の割断面が形成され、自然状態においてこれら割断面どうしが合わさっていることを特徴とする。
前記割断面は、当該帯状部材の押出成形によって出来たウェルドラインが割断されて形成されたものであることが好ましい。割断によって生成された一対の割断面は、凹凸などが形成された粗面であるが、ぴったりと合わさる。
自然状態とは、帯状部材に対して特に帯幅方向への引張、圧縮、曲げなどの変形を引き起こし得る外力が加えられていない状態を言う。
<第1実施形態(図1~図9)>
図1は、例えば老朽化した下水道管等の既設管を更生するための更生帯材9を示したものである。更生帯材9は、帯状部材10と、補強帯材18を備え、一定の断面を有して、図1の紙面と直交する帯長方向へ延びている
既設管1としては、下水道管の他、農業用水管、上水道管、水力発電導水管、トンネルなどが挙げられる。トンネルは、地山に穴が掘られただけの構造でもよく、穴の内面をセグメントやモルタルで補強した構造であってもよい。
更生帯材9の帯状部材10は、樹脂の押出成形品である。帯状部材10の樹脂材質として、ポリ塩化ビニルが挙げられるが、これに限らず、ポリエチレン、ポリプロピレンなどであってもよい。
図1に示すように、帯状部材10の外周側部(製管されたとき外周側を向く側部、図1において上側部)には、概略M字断面の鋼製の補強帯材18が嵌め込まれている。補強帯材18によって帯状部材10が補強されている。
図9(b)に示すように、更生管3においては、螺旋状に巻回された帯状部材10の帯幅方向の両端部における互いに一周ずれて対向する嵌合部13,14どうしが凹凸嵌合によって接合されている。
帯状部材10に帯幅方向への引っ張りや曲げなどの外力が作用していない自然状態においては、一対の割断面16a,16aどうしがぴったり合わさって当接されている。一対の割断面16a,16a間には隙間が形成されていない。
図4に示すように、帯状部材10の製造装置20は、押出成形部21と、冷却部29と、割断処理部30を含む。押出成形部21は、ホッパー等の原料投入部22と、ヒータ及びスクリューを含む加熱混錬部23と、押出成形金型24を含む。押出成形部21によって、原料樹脂19から帯状部材10が押出成形される。
図6に示すように、ブリッジ27は、押出口28eへ向かって先細りになっている。ブリッジ27における押出口28e(押出方向)を向く先端27eが、主帯部11の中間部11cを形成する位置に配置されている。
一方の位置ずれ防止ローラ32aは、搬送中の帯状部材10の第1嵌合部13と伸縮帯部12との間の溝部17aに挿し入れられる。他方の位置ずれ防止ローラ32bは、帯状部材10の伸縮帯部12と第2嵌合部14との間の溝部17bに挿し入れられる。
図8に示すように、屈曲ローラ35は、搬送中の帯状部材10の主帯部11の内周側面に面するように、前記搬送ラインの下方に配置されている。屈曲ローラ35は、一対のテーパローラ37を含む。一対のテーパローラ37は、幅方向TDに沿う同一軸線上に並んで配置され、かつ支持フレーム31に回転可能に支持されている(詳細図省略)。これらテーパローラ37の外周面は、互いに相手側との対向面37bへ向かうにしたがって縮径するテーパ面37aとなっている。これらテーパローラ37の対向面37bどうしが、互いに近接又は当接されている。2つのテーパローラ37のテーパ面37aによって、V字環状溝35cが形成されている。
V字環状溝35cの谷部35d(すなわち一対のテーパローラ37どうしの中間位置)の真上に、押さえローラ36の中央部が配置されている。
帯状部材10は、次のようにして製造される。
<押出成形工程>
図4に示すように、帯状部材10の原料樹脂19が、原料投入部22に投入され、加熱混錬部23で加熱溶融及び混錬されて溶融原料樹脂19Aとなり、金型24において帯状部材10の形状に成形される。
図6の白抜き矢印に示すように、溶融原料樹脂19Aは、押出流路28の2つの流路部28a,28bに分かれて流れ、ブリッジ27の先端27eの延長線27L上で合流しながら、押出口28eから帯状部材10となって押し出される。これによって、図2(a)に示すように、帯状部材10における主帯部11の中間部11cには前記合流によるウェルドライン15(脆弱部)が形成される。
図4に示すように、前記押出成形された帯状部材10は、冷却部29において冷却されて硬化される。
<割断工程>
その後、割断処理部30へ導入される。
割断処理部30においては、位置決め機構32,34によって、帯状部材10が、幅方向TDへの位置ずれを防止される。
図8に示すように、該帯状部材10が、屈曲ローラ35と押さえローラ36の間に通される。このとき、帯状部材10の主帯部11の帯幅方向の両側部分11a,11bが、屈曲ローラ35の一対のテーパ面37aにそれぞれ当たって、各テーパ面37aに倣うように傾けられる。同時に、伸縮帯部12が、押さえローラ36によって、V字環状溝35cの谷部35d(一対のテーパローラ37どうしの中間部)へ向かって押え付けられる。これによって、帯状部材10が、ちょうどウェルドライン15においてV字状に屈曲される。このため、ウェルドライン15に局所的に曲げ応力が発生する。この結果、主帯部11が、ウェルドライン15において割断されて割断部16が形成される。
ウェルドライン15は帯状部材10における脆弱部であるから、そこに応力を集中させることで、ウェルドライン15においてきれいに割断できる。かつ帯状部材10におけるウェルドライン15以外の部分で割れが起きたり、ウェルドライン15から周りの部分に割れが伝搬したりするのを回避できる。さらに、帯状部材10におけるウェルドライン15すなわち割断部16以外の部分が塑性変形を引き起こすことがなく、白化等が発生することがない。
加えて、位置決め機構32,34によって、帯状部材10を割断機構33に対して幅方向TDに正確に位置決めすることができる。送り方向MDに沿って割断機構33の上流側だけでなく、割断機構33を挟んで送り方向MDの両側に位置決め機構32,34を設けることによって、帯状部材10を割断機構33に対して幅方向TDに一層正確に位置決めできる。したがって、ウェルドライン15に確実に応力集中が起きるようにでき、帯状部材10をウェルドライン15において確実に屈曲させて割断できる。
図7(b)に示すように、割断機構33を通過した帯状部材10は、主帯部11が平らな非屈曲状態に戻され、一対の割断面16a,16bどうしがぴったりと合わさる。割断部16に隙間が形成されることは殆ど無い。
このようにして、帯状部材10の製造工程において、割断部16が形成される。更生管施工現場ではなく帯状部材の製造工場で割断を行うことで、例えば検査機(図示せず)などを用いて、割断がなされているか否かを容易に点検できる。したがって、品質管理が容易である。
さらに、図1に示すように、帯状部材10の外周側部に補強帯材18を嵌め込むことによって、更生帯材9が形成される。割断面16a,16bどうしがぴったり合わさっているため、補強帯材18の嵌め込み操作に支障を来すことがない。
その後、更生帯材9は、ドラム(図示せず)に巻き取られて保管される。
図9(a)に示すように、前記更生帯材9が既設管1の更生施工現場に搬入されて、ドラムから引き出されて更生管3に製管される。帯状部材10の製造時に割断部16が形成済であるため、更生管の製管時には割断部16の形成工程を省くことができる。
更に、図9(c)に示すように、帯状部材10の全長ひいては更生管の全域にわたって予め割断部16が形成されているために、地震の際は、伸縮帯部12が地震動に確実に追従して伸縮できる。これによって、地震エネルギーを吸収できる。
<第2実施形態(図10)>
図10に示すように、第2実施形態の帯状部材製造装置20Bにおいては、割断機構33が、屈曲ローラ35と押さえローラ36からなる2組(複数組)の割断ローラユニット33a,33bを備えている。2組の割断ローラユニット33a,33bは、送り方向MDに沿って並べられている。これによって、前段の割断ローラユニット33aで割断されなかった場合、後段(予備)の割断ローラユニット33bで割断することができる。これによって、割断漏れを無くすことができる。
図11に示すように、第3実施形態の帯状部材製造装置20Cにおいては、割断機構33の屈曲ローラ35が帯状部材10の外周側部(製管されたとき外周側を向く側部)に面している。屈曲ローラ35の一対のテーパローラ37は、それぞれ嵌合部13,14に当たって、これら嵌合部13,14を斜め下方へ押している。これらテーパローラ37の対向面37b間に伸縮帯部12が配置されている。
図12に示すように、第4実施形態の帯状部材製造装置20Dにおいては、割断機構33が、回転式の円盤形状のカッター38を備えている。カッター38の中心軸38cは、幅方向TDに向けられるとともに支持フレーム31に回転可能に支持されている。カッター38における刃部分の最大厚みは、好ましくは0.5mm~2mm程度である。
切削ではなく、切り裂くような割断であるため、カッター通過後の帯状部材10は、割断面16a,16b(図3)どうしが隙間無くぴったりと合わさる。
図13に示すように、第5実施形態の帯状部材製造装置20Eにおいては、割断機構33が、固定の板状のカッター39を備えている。カッター39は、鉛直に立てられ、下端部が支持フレーム31に固定されている。カッター39における刃部分の最大厚みは、好ましくは0.5mm~2mm程度である。
第4実施形態(図12)と同様に、カッター39が、帯状部材10のウェルドライン15に当てられるとともに、帯状部材10が送り方向すなわち帯長方向(図13の紙面と直交する方向)へ引き取られることによって、帯状部材10がウェルドライン15において裂かれるように割断される。カッター通過後の帯状部材10は、割断面16a,16b(図3)どうしが隙間無くぴったりと合わさる。
例えば、前段位置ずれ防止ローラ32a,32bが、図7(b)の後段位置ずれ防止ローラ34a,34bと同様に、幅方向TDの外側から帯状部材10に宛がわれるように配置されていてもよい。
後段位置ずれ防止ローラ34a,34bが、図7(a)の前段位置ずれ防止ローラ32a,32bと同様に溝部17a,17bに嵌るように配置されていてもよい。
割断工程は、帯状部材10の冷却工程後、補強帯材18の嵌め込み工程等の二次加工までの間であれば、どのタイミングで行ってもよい。後述するように、補強帯材19を省略する場合、割断工程は、帯状部材の製造時に限らず、製管前であれば、更生施工現場でドラムから引き出すときなどに行ってもよい。補強帯材19が有る場合でも、更生施工現場などで割断工程を行なってもよい。
帯状部材の断面形状は、実施形態のものに限らず種々改変できる。補強帯材18を省略してもよく、更生帯材9が帯状部材10だけで構成されていてもよい。
更生管が、第1の帯状部材(ストリップ)と第2の帯状部材(ジョイナー)との二重螺旋状になっていてもよい。
更生管が、管軸方向に延びる帯状部材を複数、管周方向に環状に並べた構造であってもよい。
TD 幅方向
1 既設管
3 更生管
9 更生帯材
10 帯状部材
10c 主帯材の中間部と伸縮帯部とで囲まれた空間部
11 主帯部
11c 中間部
12 伸縮帯部
13,14 嵌合部
15 ウェルドライン
16 割断部
16a,16b 割断面
18 補強帯材
19A 溶融原料樹脂
20 帯状部材製造装置
20B,20C,20D,20E 帯状部材製造装置
21 押出成形部
24 押出成形金型
25 第1ダイ
26 第2ダイ
27 ブリッジ
27e 先端
27L 延長線
28 押出流路
28a,28b 流路部
28e 押出口
29 冷却部
30 割断処理部
32,34 位置決め機構
33 割断機構
33a,33b 割断ローラユニット
35 屈曲ローラ
35c V字環状溝
35d 谷部
36 押さえローラ
37 テーパローラ
37a テーパ面
37b 対向面
38 回転式のカッター
39 固定式のカッター
Claims (9)
- 帯幅方向の両端部に製管のための嵌合部が設けられた主帯部と、前記主帯部の帯幅方向の中間部を跨ぐとともに両端部が前記主帯部と一体に連なり前記帯幅方向へ伸縮可能な伸縮帯部とを含み、既設管を更生する更生管となる帯状部材を製造する方法であって、
前記主帯部の前記中間部にウェルドラインが形成されるように、前記帯状部材を押出成形する工程と、
前記主帯部を前記ウェルドラインにおいて割断する工程と
を備えたことを特徴とする既設管更生用の帯状部材の製造方法。 - 前記割断工程においては、前記帯状部材を前記ウェルドラインにおいて屈曲させることを特徴とする請求項1に記載の帯状部材の製造方法。
- 前記割断工程においては、前記ウェルドラインにカッターを当てるとともに前記帯状部材を前記カッターに対して帯長方向へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の帯状部材の製造方法。
- 帯幅方向の両端部に製管のための嵌合部が設けられた主帯部と、前記主帯部の帯幅方向の中間部を跨ぐとともに両端部が前記主帯部と一体に連なり前記帯幅方向へ伸縮可能な伸縮帯部とを含み、既設管を更生する更生管となる帯状部材を製造する製造装置であって、
前記主帯部の前記中間部にウェルドラインが形成されるように、前記帯状部材を押出成形する押出成形部と、
前記主帯部を前記ウェルドラインにおいて割断する割断機構と
を備えたことを特徴とする既設管更生用の帯状部材の製造装置。 - 前記押出成形部が、前記主帯部を成形する第1ダイと、前記主帯部の中間部と前記伸縮帯部とで囲まれた空間部を形成する第2ダイと、前記第2ダイを前記第1ダイに連結するブリッジとを含み、前記ブリッジの押出方向を向く先端が、前記主帯部の前記中間部を形成する位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の製造装置。
- 前記割断機構が、互いに対向するように同一軸線上に配置されるとともに対向面へ向かって縮径するテーパ状の一対のテーパローラを含む屈曲ローラと、前記帯状部材を前記屈曲ローラとの間に挟み、かつ前記一対のテーパローラどうしの間に向けて押す押さえローラとを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の製造装置。
- 前記割断機構が、前記ウェルドラインに当てられるカッターを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の製造装置。
- 前記割断機構に対して前記帯状部材を前記帯幅方向へ位置決めする位置決め機構を、更に備えたことを特徴とする請求項4~7の何れか1項に記載の製造装置。
- 既設管を更生する更生管となる帯状部材であって、
帯幅方向の両端部に製管のための嵌合部が設けられた主帯部と、
前記主帯部の帯幅方向の中間部を跨ぐとともに両端部が前記主帯部と一体に連なり前記帯幅方向へ伸縮可能な伸縮帯部と、
を備え、前記主帯部の前記中間部には互いに対向する一対の割断面が、前記主帯部を厚み方向に貫いて前記主帯部の内周側面から外周側面に達するように形成され、各割断面は、前記主帯部の内周側面と比べ表面粗さが大きい粗面になっており、自然状態においてこれら割断面の前記粗面どうしが合わさって当接されていることを特徴とする既設管更生用の帯状部材。
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JP2021091157A (ja) | 2021-06-17 |
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