第5世代(5th generation、5G)通信ネットワークのグローバル通信カバレッジを実現するために、第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd generation partnership project、3GPP)組織は、ニューラジオ(new radio、NR)プロトコルの非地上ネットワーク(non-terrestrial network、NTN)への適応を研究している。NTN通信は、衛星通信、空対地(air to ground、ATG)通信などを含む。地上通信と比較して、NTN通信は、たとえば、長い伝送遅延および大きなドップラー(Doppler)周波数シフトといった、異なるチャネル特徴を有する。たとえば、静止地球軌道(geostationary earth orbit、GEO)衛星通信(再生モード)の往復遅延は238msから270msである。低地球軌道(LEO)衛星通信(軌道高度1200km、再生モード)の往復遅延は8msから20msである。ATG通信シナリオでは、最大往復遅延はやはり1msに達する可能性がある。
長い往復遅延は、上りリンク信号間のシンボル間干渉(inter-symbol interference、ISI)を引き起こし、ネットワーク側の復号性能に影響を与える。端末は初期のランダムアクセスフェーズでランダムアクセスプリアンブル(preamble)を送信し、ネットワーク装置はランダムアクセス応答(random access response、RAR)を返す。ISIを低減するために、ある可能な解決策では、異なる端末の上りリンク信号間の直交性を保証するために、ランダムアクセスプリアンブルは長い周期的プレフィックス(往復遅延より短くない)を持つ必要がある。しかしながら、NTN通信シナリオにおける往復遅延は非常に長く、CPが要求を満たすことは困難である。別の可能な解決策では、端末がTAに基づいてタイミング先行を実行し、ネットワーク装置と各端末との間のタイミング差が小さくなるように、端末にランダムアクセス応答(random access response、RAR)を返す際、ネットワーク装置がRARにおいてタイミング先行(timing advance、TA)値を示してもよい。しかしながら、RARにおいてネットワーク装置によって示されるTA調整値の現在の範囲は0msから2msであり、RAR内のTAの指示範囲はサブキャリア間隔が増加するにつれて指数関数的に減少する。衛星通信シナリオについては、NTN通信シナリオにおける往復遅延を示すために、2msの最大指示範囲では不十分である。RARにおけるTA指示範囲が拡大されると、より多くの信号伝達オーバーヘッドが占有される。ATG通信シナリオについては、サブキャリア間隔が30kHzを超えるときは、RARにおけるTAの指示範囲は1ms未満であり、やはり、ATG通信シナリオにおける往復遅延を示すには不十分である。
よって、従来技術では、端末がランダムアクセスプリアンブルを送信する前に、ネットワーク装置がまず、共通のタイミング先行値を端末に通知し、端末は、共通のタイミング先行値に基づいてランダムアクセスプリアンブルを送信する。これにより、ネットワーク装置と各端末との間のタイミング差を小さくすることができ、各端末の上りリンク信号がネットワーク装置に到達するタイミング範囲を小さくすることができる。また、プリアンブルの周期的プレフィックスの長さの要件およびRARにおけるTA指示範囲の要件が緩和される。
現在、ネットワーク装置が端末に共通タイミング先行値を通知する解決策には、以下の2つがある。
解決策1:ネットワーク装置は、共通のタイミング先行値をブロードキャストし、端末は、ランダムアクセスプリアンブルを送信するために、共通のタイミング先行値を直接使用する。透明伝送モード(衛星は基地局の処理能力をもたない)では、ネットワーク装置がゲートウェイであり、共通タイミング先行値は基準点‐衛星‐ゲートウェイ間の往復遅延に基づいて計算されうる。再生モード(衛星は基地局の処理能力を有する)では、ネットワーク装置は衛星であり、共通タイミング先行値は、基準点‐衛星間の往復遅延に基づいて計算されうる。
この解決策は実装が容易であり、端末は受信後に共通のタイミング先行値を直接使用してもよい。しかしながら、実際の応用では、ネットワーク装置は、通例、端末によって送信された信号について部分的な遅延補償を行い、端末によって実際に補償される必要がある遅延は、共通タイミング先行値の一部でしかない。測位機能をもつ端末は、端末と衛星の間の往復遅延を計算することができるが、衛星とゲートウェイの間の補償されない往復遅延を得ることはできない。測位機能をもつ端末は、共通のタイミング先行値に基づいてTAを正確に計算することができず、端末が信号を送信した後もISIは存在する。
解決策2:ネットワーク装置は、2つの共通タイミング先行値をブロードキャストする。一方はサービス・リンク(service link)に対応する共通タイミング先行値であり、他方はフィーダー・リンク(feeder link)に対応する共通タイミング先行値である。端末は、サービス・リンクに対応する共通タイミング先行値に基づいてサービス・リンク上でタイミング先行を実行し、フィーダー・リンクに対応する共通タイミング先行値に基づいてフィーダー・リンク上でタイミング先行を実行する。
この解決策では、サービス・リンクとフィーダー・リンクの両方について、共通のタイミング先行が指定される。しかしながら、ネットワーク装置が端末によって送信された信号について遅延補償を行い、遅延補償がすべてのフィーダー・リンクおよび一部のサービス・リンクの往復遅延である場合には、測位機能を有する端末も、TAを正確に計算することができない。
本願のある実施形態は、端末によるTAの計算精度を改善し、ISIを低減するためのTA決定方法を提供する。本方法は、第4世代(4th Generation、4G)通信システム、第5世代(5th Generation、5G)通信システム、デバイス間(Device-to-Device、D2D)通信、マシン間通信、またはさまざまな将来の通信システム、たとえば第6世代(6th Generation、6G)通信システムに適用することができる。
本願のこの実施形態において提供される方法は、非地上ネットワーク(NTN)通信システムに適用されうる。図1は、本願のある実施形態が適用可能な、可能な地上ネットワーク通信システムのアーキテクチャーの概略図を示す。通信システムは、端末(またはユーザー端末もしくはユーザー装置と呼ばれる)、第1のネットワーク装置、および第2のネットワーク装置を含んでいてもよい。第1のネットワーク装置と第2のネットワーク装置との間の通信リンクは、フィードバックリンク(またはフィーダー・リンク)(feeder link)であり、第2のネットワーク装置と端末との間の通信リンクは、サービス・リンク(service link)である。
端末は、ネットワーク装置からスケジューリングおよび指示情報を受信することができる無線端末装置、たとえば、ユーザーに音声および/またはデータ接続を提供するように構成された装置、無線接続機能を有するハンドヘルド装置、または無線モデムに接続された別の処理装置であってもよい。無線端末装置は、無線アクセスネットワーク(たとえば、radio access network(無線アクセスネットワーク)、RAN)を通じて、一つまたは複数のコアネットワークまたはインターネットと通信することができる。無線端末装置は、モバイル端末装置、たとえば、携帯電話(「セルラー」電話またはモバイル電話(mobile phone)とも呼ばれる)、コンピュータ、および通信チップであってもよい。たとえば、無線端末装置は、無線アクセスネットワークとの間で言語および/またはデータを交換することができる、ポータブル、ポケットサイズ、ハンドヘルド、コンピュータ内蔵、または車載のモバイル装置であってもよい。端末は、具体的には、パーソナル通信サービス(personal communication service、PCS)電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(SIP)電話、無線ローカルループ(wireless local loop、WLL)ステーション、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant、PDA)、タブレットコンピュータ(パッド)、または無線トランシーバ機能を有するコンピュータのような装置であってもよい。端末はまた、加入者ユニット(subscriber unit)、加入者局(subscriber station)、移動局(mobile station)、移動コンソール(mobile station、MS)、リモート局(remote station)、アクセスポイント(access point、AP)、リモート端末装置(remote terminal)、アクセス端末装置(access terminal)、ユーザー端末装置(user terminal)、ユーザーエージェント(user agent)、加入者局(subscriber station、SS)、顧客構内設備(customer premises equipment、CPE)、端末(terminal)、移動端末(mobile terminal、MT)などを含んでいてもよい。あるいはまた、端末装置は、ウェアラブル装置、5Gネットワークのような次世代通信システムにおける端末装置、将来発展する公衆陸上移動ネットワーク(public land mobile network、PLMN)における端末装置、NR通信システムにおける端末装置等であってもよい。
第1のネットワーク装置は、ゲートウェイ(または地上局、地球局、またはゲートウェイと呼ばれる)(gateway)であってもよく、第1のネットワーク装置をコアネットワークに接続するように構成されてもよい。
第2のネットワーク装置は、衛星(または衛星基地局と呼ばれる)、静止地球軌道(geostationary earth orbit、GEO)衛星、非静止軌道(none-geostationary earth orbit、NGEO)における中地球軌道(medium earth orbit、MEO)衛星および低地球軌道(low earth orbit、LEO)衛星、高高度通信プラットフォーム(high altitude platform station、HAPS)などであってもよい。これは、本明細書において限定されない。
本願のこの実施形態では、第2のネットワーク装置の通信モードは、再生(regenerative)モードおよび透明(transparent)モードを含んでいてもよい。
第2のネットワーク装置が通信のための再生モードにある場合、第2のネットワーク装置は、無線通信用の基地局、たとえば、進化型ノードB(eNB)、5G基地局(gNB)などのはたらきをする、人工地球衛星、高高度飛行体などであってもよい。第1のネットワーク装置は、第2のネットワーク装置とコアネットワークとの間で信号を透明に伝送することができる。
第2のネットワーク装置が通信のための透明伝送モードにある場合、第1のネットワーク装置が無線通信のための基地局のはたらきをし、第2のネットワーク装置は、基地局のリレーのはたらきをしてもよく、第1のネットワーク装置と端末との間で信号を透明に伝送することができる。
図1は、1つの第1のネットワーク装置と1つの第2のネットワーク装置だけを示していることを理解されたい。実際の使用においては、要件に応じて、複数の第1のネットワーク装置および/または複数の第2のネットワーク装置を備えたアーキテクチャーを使用してもよい。各第2のネットワーク装置は、一つまたは複数の端末についてサービスを提供することができ、各第2のネットワーク装置は、一つまたは複数の第1のネットワーク装置に対応することができ、各第1のネットワーク装置は、一つまたは複数の第2のネットワーク装置に対応することができる。これは、本願において特に限定されない。
図2は、本願のある実施形態によるTA決定方法を示す図である。この方法は、図1に示される通信システムに適用することができ、第2のネットワーク装置は、通信のための透明伝送モードにある。
S201:第1のネットワーク装置が、第1の遅延補償値に基づいて第1のパラメータを決定する。
第1の遅延補償値は、端末によって送信された信号を受信するために第1のネットワーク装置によって行われる遅延補償である。換言すれば、第1の遅延補償値は、サービス・リンクの往復遅延およびフィーダー・リンクの往復遅延に起因するタイミング差を補償するために、第1のネットワーク装置が端末によって送信された信号を受信するときに、第1のネットワーク装置によって行う遅延補償である。本明細書における遅延補償は、第1のネットワーク装置が端末によって送信された信号を受信するときに、第1のネットワーク装置によって受信窓上で実行される後方遅延動作として理解できる。受信窓の後方遅延の値が、第1の遅延補償値である。サービス・リンクの往復遅延とフィーダー・リンクの往復遅延の和は、第1の遅延補償値以上であるべきである。信号は、端末によって第1のネットワーク装置に送られる任意の信号であってよく、ランダムアクセスプリアンブルを含むが、これに限定されない。
第1のパラメータは、NTNにおけるフィーダー・リンクの往復遅延と第1の遅延補償値との間の差を示す。ある可能な指示態様では、第1のパラメータは、フィーダー・リンクの往復遅延と遅延補償値との差である。別の可能な指示態様では、第1のパラメータは、NTNにおけるフィーダー・リンクの往復遅延と遅延補償値との間の差を決定するために使用される。この差は、信号送信のために端末によって使用されるTAを決定するために使用されうる。
S202:第1のネットワーク装置が第1のパラメータを送信し、端末が第1のパラメータを受信する。
具体的には、第1のネットワーク装置が、まず第1のパラメータを第2のネットワーク装置に送信し、次いで、第2のネットワーク装置が、第1のパラメータを端末に転送する。
S203:端末が、第1のパラメータに基づいて信号送信のためのTAを決定する。
第1のパラメータが前記差である場合、端末は、前記差と、サービス・リンクの往復遅延とに基づいて、信号送信のためのTAを直接決定してもよい。たとえば、サービス・リンクの往復遅延から前記差を引いて得られる値が、信号送信のためのTAとして使用される。
第1のパラメータが信号送信のために端末によって使用されるTAを決定するために使用される場合、端末はまず、第1のパラメータに基づいて前記差を決定し、次いで、決定された差とサービス・リンクの往復遅延とに基づいて信号送信のためのTAを決定する必要がある。
任意的な実装では、第1のパラメータが、NTNにおけるフィーダー・リンクの往復遅延と遅延補償値との間の差を決定するために使用される場合、第1のパラメータは、補償基準点の位置座標であってもよい。前記差は、補償基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延に等しい。端末装置は、補償基準点と第2のネットワーク装置との間の距離を、補償基準点の位置座標および第2のネットワーク装置の位置座標に基づいて決定し、次いで、補償基準点と第2のネットワーク装置との間の距離に基づいて、補償基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延を決定することができる。
任意的な実装では、解決策の柔軟性を改善するために、第1のパラメータは前記差であってもよく、または特定の実装の間の補償基準点の位置座標であってもよい。第1のネットワーク装置は、第1のパラメータが前記差または補償基準点の位置座標であることを示すために、端末に第1の指示情報を送信してもよい。
このようにして、端末装置は、第1の指示情報に基づいて、第1のパラメータが前記差であるか、補償基準点の位置座標であるかを決定し、対応するアルゴリズムを用いて信号送信のためのTAを計算してもよい。
任意的な実装では、第1のネットワーク装置は、さらに、第2の指示情報を端末に送信することができる。第2の指示情報は、前記差が正の値または負の値であることを示す。
第1のパラメータが前記差である場合は、第1のネットワーク装置が第1のパラメータを送達するたびに、第1のネットワーク装置は、送達された第1のパラメータが正であるか負の値であるかを示すために、1つの第2の指示情報を送信する。第1の遅延補償値がフィーダー・リンクの往復遅延より小さい場合は前記差は正の値であり、または第1の遅延補償値がフィーダー・リンクの往復遅延より大きい場合は前記差は負の値である。
第1のパラメータが補償基準点座標である場合も、第1のネットワーク装置は、前記差が正の値であるか負の値であるかを示すために、第2の指示情報を送信してもよい。あるいはまた、前記差が正の値であるか負の値であるかは、座標が正であるか負の値であるかに反映されてもよい。第1の遅延補償値がフィーダー・リンクの往復遅延より小さい場合、または補償基準点がフィーダー・リンク上に位置する場合、前記差は正の値である;または、第1の遅延補償値がフィーダー・リンクの往復遅延より大きい場合、または、補償基準点がNTNにおいてサービス・リンク上に位置する場合、前記差は負の値である。第1の遅延補償値がフィーダー・リンクの往復遅延に等しい場合、または補償基準点が第2のネットワーク装置上に位置する場合、前記差は0である。この場合は、前記差が正または負の値の場合に分類されてもよい。
たとえば、図3Aは、補償基準点がフィーダー・リンク上に位置する概略図である。Aはサービス・リンクの往復遅延値を表し、Dは第1の遅延補償値を表し、Bはフィーダー・リンクの往復遅延と第1の遅延補償値との差を表す。図3Aに示される場合では、この差は正の値である。
たとえば、図3Bは、補償基準点がサービス・リンク上に位置する概略図である。Aはサービス・リンクの往復遅延を表し、第1の遅延補償値D=D1+D2であり、D1はフィーダー・リンクの往復遅延を表し、D2は補償基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延を表す。Bは、フィーダー・リンクの往復遅延と第1の遅延補償値との差を表す。図3Bに示される場合では、B=-D2であり、差は負の値である。
任意的な実装では、第1の指示情報および第2の指示情報は、1つの指示情報に含まれる。たとえば、第1の指示情報と第2の指示情報は、1つの指示情報内の2つの異なるフィールドである。
任意的な実装では、第1のネットワーク装置は、差が正の値であるか負の値であるかを示さなくてもよい。その代わりに、端末とネットワーク装置は、前記差が、フィーダー・リンクの往復遅延から第1の遅延補償値を引いた値、または第1の遅延補償値からフィーダー・リンクの往復遅延を引いた値と等しいことをあらかじめ合意し、端末が、前記差を受信した後に、受信した差に対して加算または減算を行うことを合意する。
任意的な実装では、TAは、以下の3つの態様を含むがそれに限定されない態様で計算される。態様1:TAは、サービス・リンクの往復遅延と前記差の和に等しい;態様2:TAは、NTNにおけるサービス・リンクの往復遅延とオフセットの和に等しい;態様3:TAは、NTNにおけるサービス・リンクの往復遅延と前記差とオフセットの和に等しい。態様2と態様3におけるオフセットは、時分割二重(TDD)モードまたは周波数分割二重(FDD)モードに関連する。
従来の技術では、端末によって使用されるタイミング先行は、TA=(NTA+NTAoffset)*16*Ts/2μTである。NTA(これは本明細書においてNTAと書かれることもある)は、第1のネットワーク装置によって示されるパラメータに基づいて端末が取得するTA調整値、たとえば、本願で第1のネットワーク装置によって送信された第1のパラメータに基づいて端末が計算したTAである。NTAoffset(これは本明細書においてNTAoffsetと書かれることもある)は、上りリンク送信から下りリンク送信までのタイミング間隔を表し、SIB情報において端末に送信される。FDDモードについては、NTAoffset=0であり;TDDモードについてはNTAoffset=624である。この時間間隔は、基地局が、上りリンク信号の受信と下りリンク信号の送信とを切り換えるのに十分な時間を有することを可能にしうる。Tsは1/(15e3×2048)秒を表す。μはサブキャリア間隔に関係する、すなわちサブキャリア間隔は2μ・15kHzである。したがって、この解決策では、代替的に、第1のネットワーク装置によって送信された第1のパラメータに基づく計算を通じて端末によって得られるTAが固定値(たとえば、NTAoffset)に加算されてもよく、次いで、その和が信号送信のために端末によって使用されるTAとして使用される。
本願のこの実施形態において、端末は、測位機能を有する端末であっても有さない端末であってもよい。これは、本願において限定されない。
測位機能を有する端末については、そのような端末は、測位機能に基づいて端末と第2のネットワーク装置との間の距離を計算して端末と第2のネットワーク装置との間の往復遅延を計算し、その往復遅延を、サービス・リンクの往復遅延として用いることができる。
測位機能をもたない端末については、ネットワーク装置は、第2のパラメータを送達してもよい。第2のパラメータは、第2のネットワーク装置によってカバーされるセルまたはビームのサービス・リンク共通往復遅延を示す。ある可能な指示態様では、第2のパラメータは、第2のネットワーク装置によってカバーされるセルまたはビームのサービス・リンク共通往復遅延である。別の可能な指示態様では、第2のパラメータは、第2のネットワーク装置によってカバーされるセルまたはビームのサービス・リンク共通往復遅延を決定するために使用される。さらに、そのような端末は、該サービス・リンク共通往復遅延を、端末と第2のネットワーク装置との間のサービス・リンクの往復遅延として使用してもよい。たとえば、図4を参照されたい。第2のネットワーク装置と、第2のネットワーク装置によってカバーされるセルまたはビーム内にあり、第2のネットワーク装置に最も近い基準点との間の往復遅延が、サービス・リンク共通往復遅延として選択されうる。
任意的な実装では、第2のパラメータが、第2のネットワーク装置によってカバーされるセルまたはビームのサービス・リンク共通往復遅延を決定するために使用される場合、第2のパラメータは、サービス・リンク基準点の位置座標である。サービス・リンクの共通往復遅延は、サービス・リンク基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延に基づいて決定され、サービス・リンク基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延は、サービス・リンク基準点の位置座標と第2のネットワーク装置の位置座標に基づいて決定される。
第2のパラメータは、サービス・リンク共通往復遅延であってもよいし、または特定の実装の間のサービス・リンク基準点の位置座標であってもよく、解決策の柔軟性を改善する。たとえば、衛星通信の非注視モード〔ノン・ゲイズ・モード〕では、衛星のビーム/セルのカバレッジ領域は衛星の動きとともに移動し、サービス・リンク基準点も衛星とともに動く。この場合、衛星とサービス・リンク基準点との距離は変わらないままであり、往復遅延は変わらないままである。サービス・リンク共通往復遅延をUEに送信することにより、サービス・リンク基準点の送信された位置座標の頻繁な変更を回避し、システムの複雑さを低減することができる。しかしながら、衛星通信の注視モード〔ゲイズ・モード〕では、サービス・リンク基準点は、ビーム/セルが連続的にあるエリアをカバーする時間期間内には変化しないままである。よって、サービス・リンク基準点の位置座標をUEに送信することが、信号伝送のためのシステムの複雑さを低減することをより容易にする。
任意的な実装では、第1のネットワーク装置は、第2のパラメータがサービス・リンク共通往復遅延であるかサービス・リンク基準点の位置座標であるかを示すために、第3の指示情報を端末に送信してもよい。このようにして、端末装置は、第3の指示情報に基づいて、第2のパラメータがサービス・リンク共通往復遅延であるかサービス・リンク基準点の位置座標であるかを判定し、次いで、サービス・リンクの決定された共通往復遅延またはサービス・リンク基準点の決定された位置座標に対応するアルゴリズムを用いて、信号送信のTAを計算することができる。
任意的な実装では、第1の指示情報および/または第2の指示情報、および第3の指示情報は、1つの指示情報に含まれる。たとえば、第1の指示情報、第2の指示情報、および第3の指示情報は、1つの指示情報内の3つの異なるフィールドである。本願のこの実施形態では、第1のネットワーク装置は、上記のパラメータ(第1のパラメータ/第2のパラメータを含む)および/または指示情報(第1の指示情報/第2の指示情報/第3の指示情報を含む)を、以下のいくつかの態様で端末に送信することができる。
態様1:システム情報ブロック(system information block、SIB)1、その他のシステム情報(other system information、OSI)、マスター情報ブロック(master information block、MIB)などのブロードキャスト情報において搬送され、端末には、ユニキャスト、ブロードキャスト、またはマルチキャスト式に送信される。
態様2:第1のネットワーク装置が、無線資源制御(radio resource control、RRC)接続フェーズにおいてRRC情報、RRC再構成メッセージ、下りリンク制御情報(downlink control information、DCI)、グループDCI、媒体アクセス制御(media access control、MAC)要素(element)、またはタイミング先行コマンド(timing advance command、TAC)において、パラメータおよび指示情報を端末に送信するか、または、パラメータおよび指示情報をデータ伝送とともに、または別途割り当てられたPDSCHベアラー上でUEに送信する。
態様3:端末がセル・ハンドオーバー/ビーム・スイッチ/帯域幅部分(bandwidth part、BWP)スイッチを実行するとき、第1のネットワーク装置が、RRC再構成メッセージまたはBWP関連信号伝達においてパラメータおよび指示情報を送信してもよい。
上記は、第2のネットワーク装置が透明伝送モードにある場合の技術的解決策を記述している。下記は、第2のネットワーク装置が再生モードにある場合の技術的解決策を記述する。
上記の解決策では、第1のパラメータは、フィーダー・リンクの往復遅延と遅延補償値との差であるか、または第1のパラメータは、フィーダー・リンクの往復遅延と遅延補償値との差を決定するために使用されうる。したがって、端末が第1のパラメータに基づいて信号送信のためのTAを決定する際に、端末によって送信された信号について第1のネットワーク装置が部分的な遅延補償を行う場合が考えられる。したがって、端末はより正確にTAを計算することができる。これはISIを低下させることができる。
図5は、本願のある実施形態による別のTA決定方法を示す。この方法は、図1に示される通信システムに適用されてもよく、第2のネットワーク装置は、通信のための再生モードにある。
S501:第2のネットワーク装置が、第2の遅延補償値に基づいて補償基準点の位置座標を決定する。
第2の遅延補償値は、端末によって送信された信号を受信するために第2のネットワーク装置によって行われる遅延補償の値であり、補償基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延に等しくてもよい。換言すれば、第2の遅延補償値は、サービス・リンクの往復遅延に起因するタイミング差を補償するために、第2のネットワーク装置が端末によって送信された信号を受信したときに第2のネットワーク装置によって行われる遅延補償である。本明細書における遅延補償は、第2のネットワーク装置が端末によって送信された信号を受信したときに、第2のネットワーク装置によって受信窓上で実行される後方遅延動作として理解されてもよく、受信窓の後方遅延の値は第2の遅延補償値である。サービス・リンクの往復遅延は、第2の遅延補償値以上であるべきである。信号は、端末によって第2のネットワーク装置に送られる任意の信号であってよく、ランダムアクセスプリアンブルを含むが、これに限定されない。
S502:第2のネットワーク装置が、補償基準点の位置座標を送信し、端末は補償基準点の位置座標を受信する。
S503:端末が、補償基準点の位置座標に基づいて信号送信のためのTAを決定する。
具体的には、端末は、補償基準点の位置座標に基づいて補償基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延を計算して第2の遅延補償値を得て、次いで、サービス・リンクの往復遅延と第2の遅延補償値に基づいて信号送信のためのTAを決定する。たとえば、図6を参照されたい。補償基準点はサービス・リンク上に位置し、補償基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延Bは、端末によって送信された信号を受信するために第2のネットワーク装置によって行われる遅延補償の値を表す。この場合、信号送信のために端末によって使用されるTAは、サービス・リンクの往復遅延から第2の遅延補償値を引いたもの、すなわちA-Bに等しくてもよい。
上記の透明伝送モードと同様に、再生モードにおいて、端末は、測位機能を有する、または有しない端末であってもよい。これは、本願において限定されない。測位機能を有する端末については、そのような端末は、測位機能に基づいて端末と第2のネットワーク装置との間の距離を計算して端末と第2のネットワーク装置との間の往復遅延を計算し、該往復遅延を、サービス・リンクの往復遅延として用いることができる。測位機能をもたない端末については、ネットワーク装置は、第2のパラメータを送達してもよい。第2のパラメータは、第2のネットワーク装置によってカバーされるビームまたはセルのサービス・リンク共通往復遅延である、または第2のパラメータは、第2のネットワーク装置によってカバーされるビームまたはセルのサービス・リンク共通往復遅延を決定するために使用される。そのような端末は、サービス・リンク共通往復遅延を、端末と第2のネットワーク装置との間のサービス・リンクの往復遅延として使用することができる。第2のパラメータの具体的な実装については、透明伝送モードにおける第2のパラメータの具体的な実装を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
同様に、再生モードにおいて、第2のネットワーク装置は、端末に第3の指示情報をも送信してもよい。第3の指示情報は、第2のパラメータがサービス・リンク共通往復遅延またはサービス・リンク基準点の位置座標であることを示す。
同様に、再生モードにおいて、第2のネットワーク装置は、透明伝送モードにおける上記の3つの態様でパラメータまたは情報を送達することができる。たとえば、第2のネットワーク装置は、SIB1、OSIまたはMIBにおいて端末に補償基準点の位置座標を送信する;第2のネットワーク装置は、RRC接続フェーズにおいてRRC情報、RRC再構成メッセージ、DCI、グループDCI、MAC要素またはTACにおいて端末に補償基準点の位置座標を送信する;または、第2のネットワーク装置は、端末がセル・ハンドオーバー/ビーム・スイッチ/BWPスイッチを実行するときに、RRC再構成メッセージまたはBWP関連信号伝達において端末に補償基準点の位置座標を送信する。
代替的な実装では、第2のネットワーク装置は、第2の遅延補償値を端末に直接送信して、端末が第2の遅延補償値に基づいて信号送信のためのTAを直接計算するようにしてもよい。
上述した解決策においては、第2のネットワーク装置は、補償基準点の位置座標を送達し、端末は、補償基準点の位置座標に基づいて補償基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延を計算して、第2の遅延補償値を得ることができる。このように、端末が補償基準点の位置座標に基づいて信号送信のためのTAを計算する際に、端末によって送信された信号についてネットワーク側が部分的な遅延補償を行う場合が考えられる。したがって、端末は、ISIを低減するために、より正確にTAを計算することができる。
本願のこの実施形態では、端末にとって再生モードと透明伝送モードを区別されなくてもよく、あるいは端末は、第1のネットワーク装置と第2のネットワーク装置を全体(ネットワーク側)として考える。ネットワーク側からパラメータ(たとえば、補償基準点の位置座標、前記差、第2の遅延補償値、第1の指示情報、または第2の指示情報)を受信した後、端末は、受信したパラメータに基づいて信号送信のためのTAを直接決定する。換言すれば、図5および図2に示される2つの解決策は、実装のために1つの解決策に組み合わされてもよい。
たとえば、図7は、本願のある実施形態による、さらに別のTA決定方法を示す。この方法は、図1に示される通信システムに適用されうる。
S701:端末は、第3のパラメータおよび第2の指示情報を受信する。
たとえば、第3のパラメータは、補償基準点の位置座標(再生モードまたは透明伝送モードにおいて)、差(透明伝送モードにおいて)、または第2の遅延補償値(再生モードにおいて)であってもよい。第2の指示情報は、第3のパラメータ(前記差または第2の遅延補償値)が正の値であるか負の値であるかを示してもよく、または第3のパラメータに基づいて決定される前記差または第2の遅延補償値が正の値であるか負の値であるかを示してもよい。
S702:端末は、第3のパラメータと第2の指示情報に基づいて、信号送信のためのTAを決定する。
たとえば、第3のパラメータが前記差である場合、第2の指示情報に基づいて前記差の前に正符号または負符号が加えられた後、前記差およびサービス・リンク往復遅延に対して加算または減算が実行されて、信号送信のためのTAを決定する。第3のパラメータが第2の遅延補償値である場合、第2の指示情報に基づいて第2の遅延補償値の前に正符号または負符号が加えられた後、第2の遅延補償値とサービス・リンクの往復遅延に対して加算または減算が実行されて、信号送信のためのTAを決定する。第3のパラメータが補償基準点の位置座標である場合、補償基準点の位置座標に基づいて前記差または第2の遅延補償値が決定された後、第2の指示情報に基づいて前記差または第2の遅延補償値の前に負符号または正符号が加えられ、次いで、前記差または第2の遅延補償値およびサービス・リンクの往復遅延に対して加算または減算が実行されて、信号送信のためのTAが決定される。
図2または図5に示される方法実施形態におけるさまざまな可能な実装が、この方法実施形態において参照されうることが理解されるべきである。たとえば、測位機能のない端末については、サービス・リンク基準点の位置座標がネットワーク側からさらに受信されてもよく、次いで、サービス・リンク基準点と第2のネットワーク装置との間の往復遅延、すなわちサービス・リンクの共通往復遅延が、サービス・リンク基準点の位置座標と第2のネットワーク装置の位置座標とに基づいて決定される。そのような端末は、該サービス・リンク共通往復遅延を、端末と第2のネットワーク装置との間のサービス・リンク往復遅延として使用することができる。測位機能のある端末については、端末と第2のネットワーク装置との間の距離が測位機能に基づいて計算され、端末と第2のネットワーク装置との間の往復遅延を計算し、該往復遅延を、サービス・リンクの往復遅延として用いることができる。具体的な方法については、前述の関連部分を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
本願のこの実施形態では、端末は、第2のネットワーク装置が透明伝送モードにあるか再生モードにあるかを区別することなく(すなわち、知ることなく)、TAを正確に計算することができる。具体的には、前記パラメータを受信した後、端末は前記パラメータを直接計算し、信号送信のためのTAを決定する。これは、端末側での実装の困難さを低減する。
従来技術では、ネットワーク装置が共通のタイミング先行値をブロードキャストする解決策は、一般に、衛星通信システムに適用される。ATG通信システムについては、ATGネットワーク装置は大きなエリア(高度約6~12km、直径約100~300km)をカバーするので、ATGネットワーク装置のカバレッジエリア内の異なる位置にある端末は、該端末とATGネットワーク装置との間の差が、互いと大きく異なる。したがって、共通タイミング先行値をブロードキャストする解決策は、ATG通信には適用可能でない。
この観点から、本願のある実施形態は、さらに、ATGネットワーク内の端末が信号送信のためのTAを決定するようなTA決定方法を提供する。
この解決策は、ATG通信システムに適用されてもよい。たとえば、図8は、本願のある実施形態が適用可能なATG通信システムのネットワークアーキテクチャーの概略図である。ATG通信システムは、空対地ATGネットワーク装置および端末を含む。ATGネットワーク装置は、地上基地局を含み、端末は、たとえば、高高度航空機のような高高度移動端末を含む。図9を参照されたい。この方法は、以下のステップを含む。
S901:ATGネットワーク装置がATG基準点位置座標を決定する。
ATG基準点の位置座標は、ATGネットワーク装置の仮想位置座標として理解されうる。ATG基準点の位置座標とATGネットワーク装置の位置座標との間の距離は、事前設定された範囲を満たす、たとえば、事前設定された距離値より小さい。
S902:ATGネットワーク装置が、ATG基準点の位置座標を端末に送信する。
ATGネットワーク装置がATG基準点を送達する特定の実装については、第1のネットワーク装置または第2のネットワーク装置が補償基準点またはサービス・リンク基準点の位置座標を送達する、上記の特定の実装を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
S903:端末が、ATG基準点の位置座標に基づいて、ATGネットワーク装置に信号を送信するためのTAを決定する。
具体的には、端末は、端末の位置座標およびATG基準点の位置座標に基づいて、ATG基準点と端末との間の往復遅延を計算し、該往復遅延を、ATGネットワーク装置に前記信号を送信するためのTAとして決定するか、または、該往復遅延にオフセットを加算し、該往復遅延を、ATGネットワーク装置に前記信号を送信するためのTAとして使用する。
上記の解決策では、ATGネットワーク装置は、ATG基準点の位置座標を端末に送達し、それにより端末は、ATG基準点の位置座標に基づいて信号送信のためのTAを計算できる。また、ATGネットワーク装置は、ATGネットワーク装置の位置座標ではなく、ATG基準点の位置座標を端末に通知するので、ATGネットワーク装置の位置プライバシーが保護されることができ、ATG通信セキュリティが改善できる。
具体的な実装では、ATGシステムと衛星システムの両方がNTN通信システムに属する。よって、ATG通信シナリオにおける技術的解決策と衛星通信シナリオにおける技術的解決策が、実装のために組み合わされてもよい。
図10は、本願のある実施形態が適用可能なNTNのネットワークアーキテクチャーの概略図である。通信システムは、衛星通信システムにおける装置(衛星、ゲートウェイ、および端末など)およびATG通信システムにおける装置(基地局および端末など)を含む。
図11は、本願のある実施形態による、さらに別のTA決定方法を示す。この方法は、図10に示される通信システムに適用されうる。
S1101:ネットワーク側が、サービス・リンク基準点の位置座標(略してサービス・リンク基準点座標)、補償基準点の位置座標(補償基準点座標)、および位置ATG基準点座標(ATG基準点位置座標)のうちの少なくとも1つのパラメータを端末に送信し、端末は該少なくとも1つのパラメータを受信する。
ネットワーク側は、NTNシステム内の任意の一つまたは複数のネットワーク装置、たとえば、衛星、ゲートウェイ、または基地局であってもよい。端末は、地上ユーザー端末(たとえば、携帯電話、コンピュータ、または車載装置)であってもよく、または高高度ユーザー端末(たとえば、高高度の航空機)であってもよい。
サービス・リンク基準点は、測位機能のない端末のために意図されており、衛星とサービス・リンク基準点との間の往復遅延を計算してサービス・リンク共通往復遅延(またはサービス・リンクのタイミング先行調整値)を得るために、そのような端末によって使用される。共通往復遅延は、サービス・リンクの往復遅延として使用されうる。サービス・リンク基準点は、ビーム/セルのカバレッジ領域内の点であってもよく、または、要件に応じて水平面上の点または水平面よりも高い一定高度における点であってもよく、ネットワーク展開要求に従って決定されてもよい。
補償基準点:(1)補償基準点がフィーダー・リンク上にある場合は、ゲートウェイと補償基準点との間の往復遅延は、上りリンク信号に対してネットワーク側が行う遅延補償の値(すなわち、前述の第1の遅延補償値)である。(2)補償基準点がサービス・リンク上にある場合は、透明伝送モードについては、ゲートウェイ‐衛星‐補償基準点の間の往復遅延は、ネットワーク側によって上りリンク信号に対して行われる遅延補償の値(すなわち、上記の第1の遅延補償値)であり;再生モードについては、衛星‐補償基準点の間の往復遅延は、ネットワーク側によって上りリンク信号に対して行われる遅延補償の値(すなわち、上記の第2の遅延補償値)である。補償基準点は、サービス・リンクまたはフィーダー・リンク上にあってもよく、端末によって送信された信号についてネットワーク側によって行われた遅延補償の値に基づいて決定されてもよい。
ATG基準点:端末は、端末位置とATG基準点の往復遅延に基づいて、端末によって使用されるTAを得る。ATGビームまたはセルのカバレッジエリア内の任意の位置(これは基地局の位置座標を含んでいてもよい)が、システム要件に応じて、ATG基準点として選択されうる。
S1102:端末が、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、信号送信のためのTAを決定する。
ある可能な実装では、端末(たとえば、飛行機または地上移動端末)は、受信された基準点座標に基づいて以下の計算を実行してもよい。
(1)サービス・リンクの往復遅延値A(またはサービス・リンクのタイミング先行調整値)が、衛星位置(これは、軌道情報〔エフェメリス〕または衛星座標から得られる)とサービス・リンク基準点に基づいて計算される。ここで、Aは正の数である。説明を容易にするために、Aは、下記では、サービス・リンク共通タイミング先行値と称されることがある。
(2)衛星の位置と補償基準点に基づいて、衛星と補償基準点の間の往復遅延値Bが計算される。補償基準点がフィーダー・リンカー上にある場合、Bは正の値である。補償基準点がサービス・リンク上にある場合、Bは負の値である。Bが正の値であるか負の値であるかは、前記第2の指示情報を用いてUEに対して示されてもよい。
衛星が透明伝送モードにある場合、Bは、フィーダー・リンクの往復遅延と、端末によって送信された信号について衛星によって行われる遅延補償の値との差である。衛星が再生モードにある場合、Bは、端末によって送信された信号について衛星によって行われる遅延補償の値であり、値の前に負号が加えられる。
簡単に説明するために、Bは、以下では、共通補償タイミング先行値と呼ばれることがある。
(3)端末とATG基準点の間の往復遅延値Cは、端末位置とATG基準点に基づいて計算される。ここで、Cは正の数である。
別の可能な実装では、ネットワーク側は、A、B、またはCを直接送信してもよい。すなわち、前記少なくとも1つのパラメータは、A、B、またはCを含みうる。たとえば、ネットワーク側は、Bを送達するが、補償基準点座標を送達しない。
さらに、端末は、異なる通信シナリオ(ATG通信および衛星通信など)に基づいて、A、B、およびCからの異なるパラメータを、信号(ランダムアクセスプリアンブルなど)送信のためのTAを計算するために選択してもよい。
一例では、端末は衛星通信シナリオにある。
(1)端末が測位機能を有する場合、端末は、軌道情報に基づいてサービス・リンクのタイミング先行TA_calを計算し、次いで、該TA_calとBに基づいてTAを計算することができる。たとえば、TA=TA_cal+Bである。
(2)端末が測位機能をもたない場合、端末は、AおよびBに基づいてTAを計算してもよい。たとえば、TA=A+Bである。
一例では、端末は衛星通信シナリオにある。
端末は、Cに基づいてTAを計算してもよい。たとえば、TA=Cである。
以下は、いくつかの特定の実施形態を使用することによって、図11に示される方法の特定の実装を詳細に説明する。
実施形態1
基地局は、ブロードキャスト、マルチキャスト、またはユニキャスト方式で端末に基準点座標を送信してもよい。図12は、本願のある実施形態による、基準点座標の可能な信号伝達の概略図である。
基準点座標は、衛星と同じ座標系であってもよいし、または相対座標であってもよい。たとえば、サービス・リンク基準点座標および補償基準点座標は、衛星座標に対する座標であってもよく、すなわち、衛星が座標の原点として使用される。
補償基準点座標のパラメータは、正符号/負符号インジケータ・ビットを搬送して、計算を通じて得られる、第2のネットワーク装置と補償基準点との間の往復遅延が正の値であるか負の値であるかを示すことができる。たとえば、正符号/負符号インジケータ・ビットの0は負の値を表し、1は正の値を表す。補償基準点座標と衛星座標を用いて計算された往復遅延がx秒であり、正/負符号インジケータ・ビットが0である場合、本解決策において計算しるBは-xである。
衛星通信シナリオにおいて、ネットワーク側は、さらに、以下の動作を実行してもよい。
(1)ATG基準点座標がゼロに設定されてもよく、あるいはATG基準点座標が送信されなくてもよい。
(2)補償基準点の座標が送信されるか、ゼロに設定されるかは、ネットワーク側が端末によって送信された信号について補償するかどうかに基づいて選択されうる。たとえば、ネットワーク側が遅延補償を行わない場合、補償基準点座標が送信されなくてもよく、または補償基準点座標がゼロに設定されて送信されてもよい。
(3)補償基準点座標が送信されるかどうかは、衛星が透明伝送モードにあるか再生通信モードにあるかに基づいて選択されてもよい。たとえば、衛星が透明伝送モードにある場合、ネットワーク側が端末によって送信された信号に対して遅延補償を行わなくても、補償基準点座標は送信される必要がある。フィーダー・リンクの往復遅延値を端末に示すためである。この場合、補償基準点座標はゲートウェイの位置座標であってもよい。端末は、補償基準点座標および衛星座標に基づいてフィーダー・リンクの往復遅延値を計算してもよい。また、サービス・リンクの往復遅延値と組み合わせて、通信リンクの完全な往復遅延を得ることができ、信号送信のために端末によって使用されるタイミング先行調整値として使用される。衛星が再生モードで機能する場合は、ネットワーク側が端末によって送信された信号に対して遅延補償を行わないときは、補償基準点座標は送信されなくてもよい。
ATG通信シナリオにおいては、ネットワーク側は、さらに、以下の動作を実行してもよい。
(1)サービス・リンク基準点座標と補償基準点座標がゼロに設定されてもよい、またはサービス・リンク基準点座標と補償基準点座標は送信されない。
(2)ATG通信シナリオでは、ネットワーク側が端末によって送信された信号に対して遅延補償を行う場合には、端末によって送信された信号についてネットワーク側によって行われる遅延補償の値を端末に通知するために、補償基準点が送信される必要がある。この場合、サービス・リンク基準点座標はゼロに設定されるか、またはサービス・リンク基準点座標は送信されない。
むろん、衛星通信シナリオとATG通信シナリオが共存してもよい。衛星通信シナリオとATG通信シナリオの両方が存在する場合、ネットワーク側と端末は、衛星通信シナリオおよびATG通信シナリオにおいて、ネットワーク側と端末によって実行される動作を同時に実行してもよい。具体的な実施方法については、衛星通信シナリオとATG通信シナリオをそれぞれ参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
ある可能な設計では、サービス・リンク基準点座標、補償基準点座標、およびATG基準点座標の最小座標粒度または座標単位はmである。別の可能な設計では、いくつかの長さ単位の組み合わせ、たとえばkmとmの組み合わせが合同して使用されて、信号伝達オーバーヘッドを低減してもよい。サービス・リンク基準点の三次元座標を表すのに単一の長さの単位のみが使用する場合(10300m,9600m,10070m)、3つの数字10030、9600、10070を表すには42ビットが必要とされる。長さ単位kmとmの組み合わせを用いると、座標は(10km+300m、9km+600m、10km+70m)として表すことができる。10、300、9、600、10、70が送信される必要があり、39ビットが占有される。信号伝達オーバーヘッドは、複数の長さの単位の組み合わせを使用することによって低減できる。
ある可能な設計では、信号オーバーヘッドをさらに低減するために、衛星軌道高度Hが基準点座標を送信するための基準長として使用されてもよい。たとえば、ネットワーク側から端末に送信される基準点座標は(a,b,c)であり、端末は(a+H,b+H,c+H)に従った計算を通じて、使用される基準点座標を得ることができる。ある可能な設計では、衛星座標は、基準点座標を送信するための基準点として使用されてもよい。たとえば、衛星の座標は(x,y,z)であり、ネットワーク側から端末に送信される基準点の座標は(a,b,c)である。この場合、端末は、(x+a,y+b,z+c)に従う計算を通じて、使用される基準点座標を得ることができる。
この実施形態において提供される基準点座標の信号伝達フォーマットは、衛星通信およびATG通信のシナリオと両立でき、測位機能のある端末および測位機能のない端末の両方によるTA決定をサポートする。これは、信号伝達ビットを節約する。
実施形態2
図13は、本願のある実施形態による、基準点座標の別の可能な信号伝達の概略図である。実施携帯1とは異なり、図13に示される信号伝達に衛星通信/ATG通信シナリオ・インジケータ・ビットが追加され、ネットワーク側によって送信される基準点座標が適用可能なシナリオを示す。たとえば、送信される信号伝達がサービス・リンク基準点座標、補償基準点座標、ATG基準点座標、または他の組み合わせであることが、端末に対して示される。
この実施形態によれば、衛星通信およびATG通信は、同じ座標信号伝達ビットを再利用することができる。これは、信号伝達オーバーヘッドを減少させる。
実施形態3
実施形態1および実施形態2とは異なり、本実施形態では、一つまたは複数の基準点の座標が共通のタイミング先行値で置き換えられる。すなわち、共通のタイミング先行と基準点座標が合同して使用される。(簡単に説明するために、サービス・リンク共通タイミング先行値、共通補償タイミング先行値、ATG共通タイミング先行値はまとめて共通タイミング先行値と称されることがあり、サービス・リンク基準点座標、補償基準点座標、ATG基準点座標は基準点座標と称される)。
たとえば、図14Aおよび図14Bを参照されたい。ネットワーク側は、サービス・リンク基準点座標を、サービス・リンクの共通のタイミング先行値(すなわち、サービス・リンクの往復遅延)で置き換える。
たとえば、図14Aおよび図14Cを参照すると、補償基準点座標は、共通の補償タイミング先行値(すなわち、補償基準点と衛星との間の往復遅延)で置き換えられる。
たとえば、図14Dを参照されたい。ATG基準点座標は、ATG共通タイミング先行値(すなわち、ATGサービスエリアにおける共通往復遅延)で置き換えられる。
共通補償タイミング先行値と補償基準点との関係は、共通補償タイミング先行値が、衛星位置と補償基準点位置との間の往復遅延値に等しいというものであってもよい。(1)補償基準点がフィーダー・リンク上にある場合、共通補償タイミング先行値は、値の前に正符号が加えられた後に使用される。対応して、図14Dの正/負符号インジケータ・ビットは正である。(2)補償基準点がサービス・リンク上にある場合、共通補償タイミング先行値は、値の前に負符号が加えられた後に使用される。対応して、図14Dの正/負符号インジケータ・ビットは負である。
なお、補償基準点が常時フィーダー・リンク上にある場合や、端末によって送信された信号についてネットワーク側が行う遅延補償がフィーダー・リンクの往復遅延より大きくない場合には、使用される補償基準点または共通補償タイミング先行値を用いて計算した往復遅延は常に正の値となる。したがって、補償基準点の正/負符号インジケータ・ビットまたは共通補償タイミング先行値も省略されてもよく、すなわち、該値はデフォルトで正である。あるいはまた、補償基準点が常時サービス・リンク上にある場合、または、端末によって送信する信号についてネットワーク側によって行われる遅延補償がフィーダー・リンクの往復遅延より小さくない場合には、ネットワーク側と端末は、端末によって使用される補償基準点または共通補償タイミング先行値を用いて計算した往復遅延が常に負の値であることに同意する。したがって、補償基準点または共通補償タイミング先行値の正/負符号インジケータ・ビットも省略されてもよい。すなわち、該値はデフォルトで負である。この実施形態の方法は、本明細書のすべての実施形態に適用可能である。
任意的な実装では、ATG基準点が送信される必要がないシナリオについては、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標と、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標とが、使用のために組み合わされてもよい。
図14Eを参照されたい。非注視通信では、サービス・リンク共通タイミング先行値と共通補償タイミング先行値/補償基準点座標との組み合わせは、信号伝送のためのシステムの複雑さを低減するのにより寄与する。しかしながら、注視モードでは、サービス・リンク基準点座標と共通補償タイミング先行値/補償基準点座標との組み合わせは、信号伝送のためのシステムの複雑さを低減させることにより寄与する。これは、注視モードでは、ビーム/セルがあるエリアを連続的にカバーする時間期間内にサービス・リンク基準点が変化しないままであるためである。ネットワーク側によって端末に送信されるサービス・リンク基準点座標も変化しない。共通補償タイミング先行値または補償基準点座標のどちらを使用するかは、端末によって送信された信号についてネットワーク側が遅延補償を行うかどうか、および補償値が固定されているかどうかに依存する。詳細は、ここでは再度説明しない。
結論として、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標と共通補償タイミング先行値/補償基準点座標の合理的な組み合わせは、信号送信のためのシステムの複雑さを低減する可能性がある。
任意的な実装では、衛星通信シナリオにおいて、ATG基準点座標/ATG共通タイミング先行値がゼロに設定されてもよいし、送信されなくてもよい。ATG通信シナリオでは、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標および/または共通補償タイミング先行値/補償基準点座標がゼロに設定されてもよいし、送信されなくてもよい。
任意的な実装では、ネットワーク側が補償基準点座標/サービス・リンク基準点座標を送信しない場合、デフォルト座標へのロールバック、たとえば、衛星の座標であるデフォルト座標へのロールバックが想定されてもよい。すなわち、共通補償タイミング先行値は0である。
任意的な実装では、サービス・リンク共通タイミング先行値と共通補償タイミング先行値は、異なる時間単位の組み合わせを使用して表現されてもよい。たとえば、サービス・リンク共通タイミング先行値は20.77msであると想定される。msの単位のみの次元では、表現には12ビットが必要である。フレーム長(10ms)とサブフレーム長(1ms)を組み合わせた次元では、2×フレーム長+0.77×サブフレーム長。ネットワーク側での表現に必要なのは9ビットのみである。これにより、信号伝達オーバーヘッドを低減することができる。同様に、LTEにおける基本時間単位TsとTsの倍数が、たとえばa×Ts+b×Ts×10^3のように、表現のために合同して使用されてもよい。端末に送られる必要があるのはaとbだけである。
この実施形態では、端末は、基準点座標ではなく、共通のタイミング先行値を送信する。シナリオによっては、基準点座標を共通タイミング先行値で置き換えることで、信号送信や更新の複雑さを減らすことができる。たとえば、衛星通信の非注視モードでは、ビーム/セルのカバレッジエリアは衛星の移動とともに移動し、サービス・リンク基準点も衛星とともに移動する。この場合、衛星と基準点との距離は変わらないままであり、往復遅延は変わらないままである。この場合、サービス・リンク共通タイミング先行値が、サービス・リンク基準点座標を置き換えるために使用され、端末に送信する。これにより、サービス・リンク基準点の送信された位置座標の頻繁な変更を避け、システムの複雑さを軽減することができる。
実施形態4
この実施形態では、実施形態3に基づいて衛星通信/ATG通信シナリオ・インジケータ・ビットが追加され、ネットワーク側によって送信された基準点座標が適用可能であるシナリオを示す。
たとえば、図15Aおよび図15Bを参照されたい。通信シナリオ・インジケータ・ビットは、端末に対して、送信された信号伝達がサービス・リンク基準点座標、共通補償タイミング先行値、ATG基準点座標、または他の組み合わせであることを示す。
この実施形態によれば、衛星通信およびATG通信は、同じ信号伝達ビットを再利用してもよい。これにより、NTNシステム全体の信号伝達オーバーヘッドを削減することができる。
実施形態5
図15Cを参照されたい。本実施形態では、実施形態3に基づくサービス・リンク共通タイミング先行値/基準点座標の信号伝達に、インジケータ・ビットが追加されて、信号伝達がサービス・リンク共通タイミング先行値を示すかサービス・リンク基準点座標を示すかを示してもよい。このようにして、システムは、衛星が注視モードにあるかどうか、およびネットワーク側が端末によって送信された信号について遅延補償を行うかどうかに基づいて、端末に共通タイミング先行値の形で通知するか、または基準点座標の形で通知するかを決定することができる。これは、システムの柔軟性を改善する。
同様に、信号伝達が共通補償タイミング先行値を示すか、補償基準点座標を示すかを示すために、インジケータ・ビットがさらに、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標の信号伝達に追加されてもよい。これは、ネットワーク側での信号伝達構成の柔軟性を提供する。
図15Dを参照されたい。ATG基準点を送信する必要がないシナリオについては、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標と、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標との組み合わせが別々に送信されてもよい。
実施形態6
この実施形態では、実施形態5に基づいて、衛星通信/ATG通信シナリオ・インジケータ・ビットが追加され、ネットワーク側によって送信された基準点座標が適用可能なシナリオを示す。
たとえば、図16を参照されたい。通信シナリオ・インジケータ・ビットは、端末に対して、送信される信号伝達が、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標、ATG基準点座標、または他の組み合わせでありうることを示す。
この実施形態によれば、衛星通信およびATG通信は、同じ信号ビットを再利用することができる。これは、信号伝達オーバーヘッドを低減することができる。
実施形態7
この実施形態では、ネットワーク側は、端末に対して、暗黙的な指示態様で、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標が正であるか負であるかを示す(すなわち、この部分の値が正の値であるか負の値であるかを示す)。
任意的な実装では、補償基準点座標は相対座標によって表される。たとえば、補償基準点座標を表すために、衛星位置に対する座標が使用される。すなわち、衛星が座標系の原点として使用される。補償基準点座標が衛星の上方にある場合は、それは正の値を表し、補償基準点座標が衛星の下方にある場合はそれは負の値を表す。
別の任意的な実装では、補償基準点の三次元座標におけるある次元の正または負の値は、補償基準点を使用して計算された往復遅延が正の値であるか負の値であるかを示す。たとえば、ネットワーク側によって端末に送信される補償基準点座標は(-501km,580km,520km)であり、ネットワーク側と端末側は、座標の第1次元の値の正または負の値が、計算を通じて得られる往復遅延が正の値であるか負の値であるかを示すことに合意する。よって、基準点座標(-501km,580km,520km)に基づく計算を通じて端末によって得られる往復遅延は負の値である。
本実施形態によれば、ネットワーク側は、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標が正であるか負であるかを、追加の信号伝達を加えることなく、示すことができる。これは、信号伝達オーバーヘッドを減少させる。
実施形態8
NTNシステムにおける測位機能を有する端末については、ネットワーク側によって端末に送信される信号伝達は、サービス・リンク共通(補償)タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標を含まなくてもよく、不必要な信号伝達オーバーヘッドを節約することができる。
たとえば、ネットワーク側によって端末に送信される信号伝達が含む必要があるのは、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標のパラメータのみである(正/負符号インジケータ・ビットを含む)。あるいはまた、ネットワーク側によって端末に送信される信号伝達が含む必要があるのは、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標(正/負符号インジケータ・ビットを含む)およびATG基準点座標のパラメータのみである。
測位機能のある端末は、端末位置および衛星位置に基づくサービス・リンクの往復遅延を計算により得ることができる(端末は、軌道情報から衛星位置を取得してもよい)。したがって、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標によって示されるサービス・リンクの共通往復遅延値は必要とされない。しかしながら、測位機能のある端末または衛星は、軌道情報に基づいてフィーダー・リンクの往復遅延を得ることはできない。端末によって送信された信号に対してネットワーク側が伝搬遅延補償を行う場合、端末は、ネットワーク側での遅延補償値を取ることができない。よって、測位機能のある端末は、端末の位置情報および衛星の位置情報のみに基づいて、完全な伝搬遅延情報、たとえばフィーダー・リンクの伝搬遅延やネットワーク側の伝搬遅延補償値を得ることができない。
図17に示されるように、端末によって送信された信号についてネットワーク側によって行われる伝搬遅延補償の値がフィーダー・リンクの往復遅延より小さい場合や、補償基準点がフィーダー・リンク上にある場合には、ネットワーク側によって行われた遅延補償を差し引いた後に得られるフィーダー・リンクの残りの伝搬遅延値を表すために、共通補償タイミング先行値が使用されてもよい。たとえば、フィーダー・リンクの伝搬往復遅延がaであり(すなわち、衛星とゲートウェイとの間の信号伝搬往復遅延がaである)、フィーダー・リンクについてネットワーク側によって行われる伝搬遅延補償の値がbである(すなわち、ゲートウェイと補償基準点との間の往復遅延がbである)場合、ネットワーク側によって端末に送信される共通補償タイミング先行値はa-bに等しい(すなわち、衛星と補償基準点との間の往復遅延がa-bである)。任意的に、ネットワーク側は、端末に、(a-b)/2の共通補償タイミング先行値を送信してもよい(これは信号伝達オーバーヘッドを節約することができる)、すなわち、フィーダー・リンクの一方向伝搬遅延からネットワーク側によって補償される一方向遅延を差し引くことによって得られる残りの伝搬遅延値を送信してもよい。端末が共通補償タイミング先行値(a-b)/2を受信すると、共通補償タイミング先行値は2倍されて、使用される。この場合、共通補償タイミング先行値の正/負符号インジケータ・ビットは正符号を示す。つまり、後続の動作が加算演算であることを示す。次いで、端末は、該共通補償タイミング先行値(すなわちa-bに等しい値)と、計算を通じて端末によって得られたサービス・リンクの往復遅延値とを加算して、端末によって送信された信号に対してタイミング先行調整を実行するためのTAを得る。同様に、ネットワーク側は補償基準点座標を送信してもよく、正/負符号インジケータ・ビットは正符号を示す。端末は、衛星位置と基準点位置との間の往復遅延を、衛星位置と基準点位置とに基づいて計算し、正/負符号インジケータ・ビットによって示される正符号に基づいて、サービス・リンクの計算された往復遅延値と共通補償タイミング先行値とを加算して、端末が使用できるTAを得る。
図18に示されるように、端末によって送信された信号についてネットワーク側によって行われる伝搬遅延補償の値がフィーダー・リンクの往復遅延より大きい場合や、補償基準点がサービス・リンク上にある場合、すなわち、ネットワーク側がフィーダー・リンクの往復遅延を補償し、サービス・リンクの往復遅延(ゲートウェイ‐衛星‐補償基準点の間の往復遅延)の部分的な補償を行う場合には、共通補償タイミング先行値は、ネットワーク側がサービス・リンクの往復伝搬遅延(すなわち、衛星と補償基準点との間の信号の往復伝搬遅延値)の部分的な補償を行うことを表すために使用されてもよい。たとえば、衛星と補償基準点の間の往復遅延はdである、すなわち、共通補償タイミング先行値はdである。あるいはまた、信号伝達オーバーヘッドを低減するために、共通補償タイミング先行値はd/2に設定され、d/2を受信した後、端末はd/2を2倍し、その後の演算を行う。この場合、共通補償タイミング先行値の正/負符号インジケータ・ビットは負符号を示す。すなわち、そのことは、その後の動作が減算演算であることを示す。そして、端末によって送信された信号に対してタイミング先行調整を実行するためのTAを得るために、計算を通じて端末によって得られたサービス・リンクの往復遅延値から、共通補償タイミング先行値(すなわちdに等しい値)を減算する。同様に、ネットワーク側は補償基準点座標を送信してもよく、正/負符号インジケータ・ビットは負符号を示す。端末は、衛星位置と基準点位置との間の往復遅延を、衛星位置と基準点位置とに基づいて計算し、次いで、正/負符号インジケータ・ビットによって示される負符号に基づいて、サービス・リンクの計算された往復遅延値と共通補償タイミング先行値とを加算して、端末が使用できるTAを得る。
実施形態9
実施形態2、4、6で説明したように、信号伝達に含まれる情報がサービス・リンク基準点座標、サービス・リンク共通タイミング先行値、補償基準点座標、共通補償タイミング先行値、またはATG基準点座標であることを示すためにネットワーク側がインジケータ・ビットを用いる場合、ネットワーク側は、テーブル探索によって、基準点座標とタイミング先行の信号伝達の合成を端末に通知してもよい。
一例として、表1は、異なるインデックス番号に対応する、異なる基準点座標およびタイミング先行信号の信号伝達の合成を示す。ネットワーク側は、端末にインデックス番号を送信してもよく、端末は、インデックス番号に応じて基準点座標とタイミング先行信号信号伝達の合成を問い合わせ、該信号伝達をデコードして、対応するデータを得る。たとえば、端末がインデックス番号2を受信した場合、それは、端末が受信した信号伝達は、サービス・リンク共通タイミング先行値、補償基準点座標、およびATG基準点座標を含むことを示す。たとえば、端末がインデックス番号14を受信した場合、それは、端末が受信した信号伝達は、サービス・リンク共通タイミング先行値および補償基準点座標を含むことを示す。
一例として、表2を参照されたい。端末がATG基準点座標を必要としない場合、表は、インデックス番号伝送のための信号伝達オーバーヘッドを減らすために、さらに単純化されてもよい。たとえば、端末がインデックス番号3を受信した場合、それは、端末が受信した信号伝達は、サービス・リンク基準点座標と共通補償タイミング先行値を含むことを示す。
なお、補償基準点が常にフィーダー・リンク上にある場合や、端末によって送信される信号についてネットワーク側によって行われる遅延補償がフィーダー・リンクの往復遅延より大きくない場合には、補償基準点を用いて計算した往復遅延や共通補償タイミング先行値は常に正の値となる。したがって、補償基準点の正/負符号インジケータ・ビットや共通補償タイミング先行値も省略されてもよい。すなわち、その値は、デフォルトで正である。あるいはまた、補償基準点が常にサービス・リンク上にある場合や、端末によって送信される信号についてネットワーク側によって行われる遅延補償がフィーダー・リンクの往復遅延より小さくない場合には、ネットワーク側と端末側は、補償基準点または共通補償タイミング先行値を用いて計算した、端末によって使用される往復遅延が常に負の値であることに合意する。したがって、補償基準点の正/負符号インジケータ・ビットや共通補償タイミング先行値も省略されてもよい。すなわち、その値は、デフォルトでは負である。
なお、実施形態8において説明したように、測位機能をもつ端末については、共通補償タイミング先行値や補償基準点座標のパラメータのみが端末に送信されればよい。対応して、表3を参照し、端末がインデックス番号1を受信した場合、それは、端末が受信した信号伝達が補償基準点座標であることを示す。
任意的な実装では、前述の表1、表2、または表3におけるインデックス番号は、SIB信号伝達またはRRC信号伝達を使用することによって端末に送信されてもよく、すなわち、基準点またはタイミング先行値の合成は、SIB信号伝達またはRRC信号伝達を使用することによって端末のために構成されてもよい。
この実施形態において、ネットワーク側は、テーブル探索により、基準点座標およびタイミング先行の信号伝達の合成を端末に通知することができる。これは、信号伝達オーバーヘッドを節約できる。
実施形態10
この実施形態は、前述の実施形態1~9においてパラメータ(基準点座標や共通タイミング先行値など)を搬送する信号伝達のタイプについて説明する。
態様1:ネットワーク装置は、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標、およびターゲット・セル/ビームのATG基準点座標といったパラメータを、SIB1、OSI、MIB等のブロードキャスト情報において搬送してもよく、ネットワーク装置は、該ブロードキャスト情報を、ユニキャスト、ブロードキャスト、マルチキャスト方式で端末に送信する。
態様2:パラメータがRRC接続フェーズにおいて送信される場合、ネットワーク装置は、RRC情報、RRC再構成メッセージ、DCI、グループDCI、MAC要素、およびTACのうちの少なくとも1つにおいて前記パラメータを搬送してもよく、または、前記パラメータをデータ伝送とともに、または別個に割り当てられたPDSCHベアラー上で端末に送信してもよい。
態様3:端末がセル・ハンドオーバー/ビーム・スイッチ/BWPスイッチを実行するとき、ネットワーク装置は、RRC再構成メッセージおよびBWP関連信号伝達において端末に前記パラメータを送信してもよい。
たとえば、ビーム/BWPスイッチの場合:
初期BWPフェーズでは、初期BWPに対応するRRC信号伝達においてパラメータが送達される。
送達される信号伝達のフォーマットは、以下の通りでありうる:
「ReferencePointCoordinateGroup」〔基準点座標グループ〕フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等を含む実施携帯1~9のパラメータのために使用されてもよい。「ReferencePointCoordinateGroupList」〔基準点座標グループ・リスト〕フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等の特定の値を示す。
初期でないBWPフェーズでは、パラメータは、BWP下りリンク共通(BWP-DownlinkCommon)信号伝達またはBWP上りリンク共通(BWP-UplinkCommon)信号伝達において送達される。初期でないBWPフェーズにおいて送達される信号伝達のフォーマットは、以下の通りでありうる:
「ReferencePointCoordinateGroup」フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等を含む実施携帯1~9のパラメータについて使用されてもよい。「ReferencePointCoordinateGroupList」フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等の特定の値を示す。
前述の信号伝達における「ReferencePointCoordinateGroupList」フィールドの特定のフォーマットは、以下の通りである(以下は、限定ではなく単に例であり、本願のこの実施形態においてリストされる異なる信号伝達の組み合わせに基づく異なるフィールド・フォーマットが存在しうることが理解されるべきである):
「ServiceLinkReferencePoint」〔サービス・リンク基準点〕フィールドは、サービス・リンク基準点座標の値を示し、「CompensatedReferencePoint」〔補償された基準点〕フィールドは、補償基準点座標の値を示す。
あるいはまた、
「ATGReferencePoint」〔ATG基準点〕フィールドはATG基準点座標の値を示す。
あるいはまた、
「ServiceLinkCommonTimingAdvance」〔サービス・リンク共通タイミング先行〕フィールドは、サービス・リンク共通タイミング先行値を示す。
あるいはまた、
「ServiceLinkTimingValue」〔サービス・リンク・タイミング値〕フィールドは、タイミング先行値または基準点座標を示す。「ServiceLinkTimingValue」は、前記パラメータがサービス・リンク共通タイミング先行値であるかサービス・リンク基準点座標であるかを示す1ビットをもち、対応するサービス・リンクの共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点の座標を伝達する。同様に、「CompensatedTimingValue」〔補償されたタイミング値〕フィールドは、共通補償タイミング先行値または補償基準点座標を示す。「CompensatedTimingValue」は、前記パラメータが共通補償タイミング先行値であるか補償基準点座標であるかを示す1ビットをもち、対応する共通補償タイミング先行値/補償基準点座標を伝達する。
異なるビームまたはセルが、BWP、伝送構成指示(transmission configuration indicator、TCI)、または同期信号ブロック(synchronization signal block、SSB)に基づいてプロトコルにおいて区別されうることが理解されるべきである。換言すれば、ビームまたはセルは、BWP、TCI、またはSSBに基づいて示されてもよい。たとえば、端末およびネットワーク装置について、ビームまたはセル間のスイッチングは、BWP、TCIまたはSSB間のスイッチングによって示されてもよい。よって、端末および/またはネットワーク装置について、実際に実行されることは、BWP、TCI、またはSSB間のスイッチングである可能性がある。さらに、本願におけるビームまたはセルは、BWP、TCI、またはSSBで置き換えられてもよい。
実施形態11
この実施形態は、異なるビームまたはBWP間のスイッチングのシナリオにおいて、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標の値、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標の値、およびターゲット・セル/ビームのATG基準点座標の値が、BWP下りリンク専用(BWP-DownlinkDedicated)信号伝達およびBWP上りリンク専用(BWP-UplinkDedicated)信号伝達を使用することによって、端末に送信されることを記載する。
送達される信号伝達のフォーマットは、以下の通りでありうる:
「ReferencePointCoordinateGroup」フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等を含む実施形態1~9のパラメータのために使用されてもよい。「ReferencePointCoordinateGroupList」フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等の特定の値を示す。
実施形態12
BWPスイッチ、ビーム・スイッチ、またはセル・ハンドオーバーが開始される前に、測定手順がトリガーされてもよい。したがって、この実施形態では、ターゲットBWP、ビーム、またはセルのネットワーク側での遅延補償値が、スイッチング中に、隣接セル測定構成および対応するRRC信号伝達において送達される。
たとえば、ネットワーク側は、RRCにおける測定信号伝達「MeasConfig」を用いて、ターゲットBWP、ビーム、またはセルのネットワーク側遅延補償値を送達する。送達される信号伝達のフォーマットは、以下の通りでありうる:
「ReferencePointCoordinateGroup」フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等を含む実施形態1~9のパラメータのために使用されてもよい。「ReferencePointCoordinateGroupList」フィールドは、基準点座標、共通タイミング先行値等の特定の値を示す。
スイッチ信号伝達の手順によれば、サービス・リンク共通タイミング先行値/サービス・リンク基準点座標、共通補償タイミング先行値/補償基準点座標、およびターゲットBWP、ビーム、またはセルのATG基準点座標は、RRC登録メッセージ(RRCReconfiguration)を用いて、サービスするBWP、ビーム、またはセルにおいて送達される。特定の信号伝達フォーマットの例は次の通り:
「rrcReconfiguration」フィールドはRRC登録信号伝達を示す。「RRCReconfiguration-IEs」フィールドの特定のフォーマットは次のようなものでありうる:
実施形態13
この実施形態では、ATG基準点座標が送信される必要があるときに、ATG基準点座標が、衛星位置座標(または部分的な軌道情報)を置き換えるために使用されてもよい。これは、信号伝達オーバーヘッドを低減できる。
NTNの衛星通信において、ネットワーク側は、端末に対して衛星位置座標または軌道情報を送信する。したがって、端末がATG通信シナリオに切り替わるとき、衛星位置座標または軌道情報がATG基準点座標で置き換えられてもよい。
図19に示されるように、座標またはATG基準点/衛星位置座標は、同じまたは部分的に同じ信号伝達ビットを占有し、基準点座標、共通タイミング先行値(サービス・リンク基準点座標、サービス・リンク共通タイミング先行値、補償基準点座標、または共通補償タイミング先行値)などと一緒に、またはこれらとは別個に送信されうる。
このようにして、測位機能をもつ端末はいまだに、ATG基準点座標と端末の位置座標を用いて、端末と基地局との間の往復遅延を計算し、タイミング先行調整値を決定することができる。
さらに、図20に示されるように、ネットワーク側から端末にATG基準点座標に関する情報が送られるか、衛星位置座標/軌道情報に関する情報が送られるかを端末に対して示すために、1ビットが使用されてもよい。
実施形態14
この実施形態では、TA計算方法について説明する。
従来の技術では、端末によって使用されるタイミング先行はTA=(NTA+NTAoffset)*16*Ts/2μである。NTAは、ネットワーク側によって示されるパラメータに基づいて端末が取得するTA調整値、たとえば、本発明のための特許においてネットワーク側によって送信された共通タイミング先行値および/または基準点座標および/または端末の位置情報に基づいて端末が計算したTA調整値である。NTAoffsetは、上りリンク送信から下りリンク送信までのタイミング間隔を表し、SIB情報を使って端末に送信される。FDDモードについては、NTAoffset=0であり;TDDモードについてはNTAoffset=624である。この時間間隔は、基地局が、上りリンク信号の受信と下りリンク信号の送信とを切り換えるのに十分な時間を有することを可能にしうる。Tsは1/(15e3×2048)秒を表す。μはサブキャリア間隔に関係する、すなわちサブキャリア間隔は2μ・15kHzである。
この実施形態では、端末によって使用されることができるタイミング先行を得るために、ネットワーク側によって送信された共通タイミング先行値および/または基準点座標および/または端末の位置情報に基づいて端末によって計算されたTA調整値が固定値(たとえば、NTAoffset)に加算されてもよい。
本願のこの実施形態では、固定値の実装は、以下の3つの態様を含むが、これらに限定されない。
態様1:固定値はオフセットである。
オフセットは、具体的には、以下の因子のうちの一つまたは複数に関係していてもよい。
(1)時分割二重(TDD)モードおよび周波数分割二重(FDD)モードを含む二重モード。
(2)第2のネットワーク装置(たとえば、衛星)の位置誤差または測位誤差。
なお、測位誤差と位置誤差は単に異なる記載であり、同じ意味を有することを理解すべきである。
(3)端末の位置誤差または測位誤差。
むろん、前述の3つの因子は、限定ではなく単に例であり、オフセットは、実際の適用においては、別の因子に関連することがありうる。
ある可能な設計では、ネットワーク側がUEにオフセット(たとえば、時間オフセット)を送って、第2のネットワーク装置の位置誤差または測位誤差の光速に対する商、すなわち、測位誤差/光速を示してもよい。または、前記オフセットは、第2のネットワーク装置の位置誤差または測位誤差の光速に対する商の2倍、すなわち、2×測位誤差/光速である。
光速は、空気中または宇宙空間における光波の伝搬速度を指すことを理解されたい。たとえば、光速=3×108がよく用いられる。
任意的に、前記オフセットは、正の値、負の値、または0であってもよく、すなわち、ネットワーク側によって端末に送られるオフセットは、+(測位誤差/光速)、-(測位誤差/光速)、+(2×測位誤差/光速度)、または-(2×測位誤差/光速)であってもよい。
端末によって取得されるTA値が大きすぎることによるISIの生成を避けるために、オフセットは負の値であってもよい。TA値が小さすぎるため端末の信号がネットワーク装置に到達するのが遅すぎることを避けるため、オフセットは正の値であってもよい。あるいはまた、ネットワーク側と端末は、送信されたオフセットが正の値であることを合意してもよい。オフセットを受信した後、端末は、オフセットの前に負符号を加えた後、オフセットを使用する。
オフセットの単位は、ナノ秒(ns)、マイクロ秒(us)、ミリ秒(ms)、16×Ts/2μなどでありうる。これは、本願のこの実施形態において限定されない。
第2のネットワーク装置の位置誤差または測位誤差は、第2のネットワーク装置の位置座標(位置座標は、軌道情報または3次元座標によって表されてもよい)と摂動による第2のネットワーク装置の実際の位置との間のオフセット距離として理解されうることが理解されうる。上記の位置誤差または測位誤差は、第2のネットワーク装置の位置座標と第2のネットワーク装置の実際の位置との間の可能な最大オフセット距離であってもよい。上記の位置誤差または測位誤差は、軌道情報誤差と称されることもある。
端末の位置誤差または測位誤差は、端末が測位システムまたは測位方法を用いて自らを測位するときに生じる位置ずれ、すなわち、測位を通じて得られる端末の位置座標と実際の位置座標との間のオフセット距離または可能な最大オフセット距離を示すことが理解されうる。
ネットワーク側と端末は、ネットワーク側が端末に正のオフセットを送信し、端末は、計算されたTA調整値からそのオフセットを減算して、端末が使用できるタイミングの先行を得ることを合意してもよいことが理解されうる。これは、ネットワーク側が端末に負のオフセットを送信し、端末が、計算されたTA調整値を該オフセットに加算して、端末が使用できるタイミング先行を得ることと等価である。
結論として、固定値はオフセットであってもよい。ネットワーク側は、端末にオフセットを送信/構成することができ、端末は、計算されたTA調整値とオフセットとの間の加算または減算を実行して、端末が使用できるタイミング先行を得てもよい。計算を通じて端末が得たTA調整値は、サービス・リンクの往復遅延と共通の補償タイミング先行値との和(または差)であってもよい。
別の可能な設計では、ネットワーク側は、オフセットを決定しうる位置誤差または測位誤差の値を、UEに送信してもよい。
本明細書における位置誤差または測位誤差値は、第2のネットワーク装置(たとえば、衛星)の位置誤差および/または端末の位置誤差であってもよい。以下では、位置誤差または測位誤差の値を表すためにposition_errを用いる。position_errの単位は、メートルであってもよく、position_errは、第2のネットワーク装置の可能な位置誤差を示す。
position_errを受信した後、端末はposition_errに基づいて上記のオフセットを計算する。
たとえば、端末装置は、以下の態様のいずれかで、端末が使用するオフセットの値を計算により得ることができる。
(1)-2×position_err/光速、すなわち、-2×position_errの光速に対する商。
(2)+2×position_err/光速、すなわち、+2×position_errの光速に対する商。
(3)position_err/光速、すなわち、position_errの光速に対する商。
(4)-position_err/光速、すなわち、-position_errの光速に対する商。
同様に、ISIの生成を回避するために、オフセットは負の値であってもよい。オフセットは、極端に小さなTAの値を回避するために、正の値であってもよい。最後に、端末は、計算されたTA調整値とオフセット(たとえば、-2×position_err/光速)との加算または減算を実行して、端末が使用できるタイミング先行を得ることができる。計算を通じて端末によって得られたTA調整値は、サービス・リンクの往復遅延と共通補償タイミング先行値の和(または差)であってもよい。
オフセットは、TDDモードまたはFDDモードに関連するオフセット、第2のネットワーク装置の位置誤差に関連するオフセット、および端末の位置誤差に関連するオフセットのうちの一つまたは複数を含んでいてもよいことに留意されたい。オフセットが、TDDモードまたはFDDモードに関連する部分だけでなく、第2のネットワーク装置の位置誤差部分および/または端末の位置誤差部分も含む場合、ネットワーク側は、これらの部分を(たとえば加算または減算を通じて)組み合わせ、次いで端末に送るか、またはこれらの部分を別個に端末に送ることができる。対応して、組み合わされたオフセットを受信した後、端末は、該オフセットを直接使用してもよく;または、上記の部分を受信した後、端末は、上記の部分を(加算または減算を通じて)組み合わせて、組み合わされたオフセットを最終的なオフセットとして使用してもよい。オフセットの値は、プロトコルを使用することによって合意されてもよく、またはネットワーク側によって端末に送信/構成されてもよい。
態様2:固定値は数値ドリフトである。
上述したように(たとえば、実施形態3)、ネットワーク側は、補償基準点の位置座標を置き換えるために、共通補償タイミング先行値(すなわち、衛星と補償基準点との間の往復遅延値)を端末に送信する。補償基準点がフィーダー・リンク上にある場合は、共通補償タイミング先行値は、値の前に正符号が加えられた後に使用される必要がある。補償基準点がサービス・リンク上にある場合は、共通補償タイミング先行値は、値の前に負符号が加えられた後に使用される必要がある。
解決策の柔軟性を改善するために、本願のこの実施形態では、端末側は、補償基準点がフィーダー・リンク上にあるかサービス・リンク上にあるのかを知らなくてもよく、ネットワーク側が、端末に、共通補償タイミング先行値を決定するために端末が使用する共通タイミング・パラメータを送る。ネットワーク側は、端末に数値ドリフトを送信/構成してもよい。共通タイミング・パラメータを受信した後、端末は、共通タイミング・パラメータと数値ドリフトとの間の減算または加算を実行して、端末が使用する共通補償タイミング先行値を得る。すなわち:
共通補償タイミング先行値=共通タイミング・パラメータ+数値ドリフト;または
共通補償タイミング先行値=共通タイミング・パラメータ-数値ドリフト。
共通タイミング・パラメータ±数値ドリフトを通じて得られる本明細書における共通補償タイミング先行値は、正であってもよく、または負であってもよい。
対応して、端末は、サービス・リンクの往復遅延、共通タイミング・パラメータ、およびNTNにおける±数値ドリフトを加算して、使用されるべきTAを得てもよい。±は+または-を表す。すなわち:
TA=サービス・リンクの往復遅延(またはサービス・リンクのタイミング先行調整値)
+共通補償タイミング先行値
=サービス・リンクの往復遅延+共通タイミング・パラメータ±数値ドリフト。
たとえば、数値ドリフトが正の値である場合、端末によって使用される共通補償タイミング先行値は、次の公式を使った計算を通じて得ることができる:共通補償タイミング先行値=共通タイミング・パラメータ-数値ドリフト。数値ドリフトの値は、プロトコルを使用することによって合意されてもよく、または、ネットワーク側によって端末に送信/構成されてもよい。たとえば、送信端によって送信される共通タイミング・パラメータは、0から10の範囲である。共通タイミング・パラメータを受信した後、受信端は、共通タイミング・パラメータから数値ドリフト(5と想定される)を減算し、-5から5までの範囲の共通補償タイミング先行値を得る。この方法は、使用されるべき共通補償タイミング先行値の表現範囲を得るために、数値ドリフトの長さについて送信端によって送信される共通タイミング・パラメータを受信端で変換することと等価である。
この方法は、別の数値パラメータを送信するために使用されてもよいことが理解されうる。それにより、送信端が正の値または負の値を送信し、受信端が数値範囲を並進させて、正/負の値をもつ範囲表現を達成することができる。これは、解決策の柔軟性を改善するだけでなく、送信端の複雑さを低減する。
態様3:固定値は、オフセットと数値ドリフトを含む。
ネットワーク側は、端末にオフセットを送信するだけでなく、端末と数値ドリフトについて合意する(またはネットワーク側が端末に数値ドリフトを送信する)。それにより、端末側は、サービス・リンクの往復遅延、共通タイミング・パラメータ、±数値ドリフト、およびNTNにおける±オフセットを加算して、使用されるべきTAを得ることができる。すなわち:
TA=サービス・リンクの往復遅延+共通補償タイミング先行値±オフセット
=サービス・リンクの往復遅延+共通タイミング・パラメータ±数値ドリフト±オフセット。
なお、上記3つの態様は、固定値に対する限定ではなく、単に例であると理解すべきである。実際の適用では、他の実装の可能性が除外されない。
また、オフセット、共通タイミング・パラメータ、または数値ドリフト等の固定値は、システム情報ブロック(system information block、SIB)1、他のシステム情報(other system information、OSI)、およびマスター情報ブロック(master information block、MIB)といった少なくとも1つのタイプのブロードキャスト情報において搬送されてもよく、ネットワーク装置によって端末に、ブロードキャストまたはマルチキャスト式に送信される。さらに、オフセット、共通タイミング・パラメータ、数値ドリフト等が無線資源制御(radio resource control、RRC)接続フェーズにおいて送信される場合、ネットワーク側は、該情報を、RRC情報、RRC再構成メッセージ、下りリンク制御情報(downlink control information、DCI)、グループDCI、媒体アクセス制御(media access control、MAC)制御要素(control element)、およびタイミング先行コマンド(timing advance command、TAC)のうちの少なくとも1つにおいて搬送してもよい。あるいはまた、該情報は、データ伝送とともに、または別途割り当てられたPDSCHベアラー上でUEに送信される。
以下は、オフセット、共通タイミング・パラメータ、数値ドリフトといった信号伝達の設計について、具体例を用いて説明する。
例1:ネットワーク側は、オフセットを示すために、ランダムアクセス汎用構成(RACH-ConfigGeneric)パラメータに、新しい変数フィールド、たとえばT-offsetを追加してもよい。RACH-ConfigGenericパラメータは、一般に、ブロードキャスト・メッセージまたはRRCメッセージとしてUEに送信され、ランダムアクセス手順で使用される汎用パラメータをUEに提供する。たとえば:
任意的に、ネットワーク側は、軌道情報誤差、衛星位置誤差、または衛星測位誤差の可能な最大距離値に基づいて、T-offsetの表現範囲を決定してもよい。軌道情報誤差または衛星位置誤差の最大値が10kmである例では、T-offsetは16×Ts/2μを寸法単位として用い、T-offsetは0~511の範囲で表現され、表現には9ビットの信号伝達が必要である。
異なる最大衛星測位誤差範囲および時間寸法単位が想定される場合、T-offsetは異なる表現範囲を有しうることが理解されうる。たとえば、T-offsetを受信した後、端末は、端末によって取得されたTA調整値からT-offset値を減算して、最終的に、端末によって使用されるタイミング先行TA値を得る、すなわちTA=(NTA-T-offset)×16×Ts/2μとする、または、端末によって取得されたTA調整値からT-offset値とタイミング間隔NTAoffsetを減算して、最終的に、端末によって使用されるタイミング先行TA値を得る、すなわちTA=(NTA+NTAoffset-T-offset)×16×Ts/2μとする。NTAは、ネットワーク側によって示されるパラメータに基づいて端末が取得するTA調整値、たとえば、本願のこの実施形態においてネットワーク側によって送信された共通タイミング先行値、共通補償タイミング先行値、基準点座標および端末の位置情報のうちの少なくとも1つに基づいて端末が計算したTA調整値である。
任意的に、RACH-ConfigGenericパラメータは、SIB1、RRCセットアップ信号伝達(RRCSetup)、RRC再構成信号伝達(RRCReconfiguration)、またはRRC再開信号伝達(RRCResume)のようなメッセージにおいて伝送されてもよく、それにより、端末が、オフセット、共通タイミング・パラメータ、および数値ドリフトといった値を、初期アクセス・フェーズにおいて、および接続状態切り換え中において受信することができ、正確な上りリンク時間同期を確立することができることが保証できる。
例2:ネットワーク側は、ランダムアクセス汎用構成(RACH-ConfigGeneric)パラメータを使用して、オフセットを決定することができる軌道情報誤差、位置誤差、または測位誤差の距離値を端末に送信してもよい。オフセットの軌道情報誤差、位置誤差、または測位誤差の距離値を表すためにD-offsetが使用される。
この例では、新しい変数フィールド、すなわちD-offsetがRACH-ConfigGenericパラメータに追加され、オフセットの軌道情報誤差、位置誤差、または測位誤差を決定できる距離値を示す。
この例では、ネットワーク側は、軌道情報誤差、衛星位置誤差、または衛星測位誤差の最大可能な距離値に基づいて、D-offsetの表現範囲を決定してもよい。軌道情報誤差または衛星位置誤差の最大値が10kmである例では、D-offsetは寸法単位としてメートルを使用し、D-offsetは0~1000の範囲で表現され、表現のために10ビットの信号伝達が必要とされる。10ビットは0~1023の範囲を表すことができ、ここで、1001~1023はリザーブ(reserved)として設定され、または別の指示目的のためにリザーブされてもよい。
異なる最大衛星測位誤差範囲および時間寸法単位が想定される場合、D-offsetは異なる表現範囲を有しうることが理解されうる。
たとえば、D-offsetを受信した後、端末は、端末が取得したTA調整値から D-offset/光速 を引くか、該TA調整値から
を引いて、端末が使用するタイミング先行TA値を取得することができる。
は小数点以下の切り上げを表す。すなわち、
Tcは時間単位Tc=1/(Δfmax・Nf)を表す。ここで、Δfmax=480×103Hz、Nf=4096である。Tsの上記の定義から、K=Ts/Tc=64、すなわちTs=1/(Δfref・Nf,ref)であることがわかる。ここで、Δfrefは15・103Hzであり、Nf,ref=2048である。
例3:ネットワーク側は、ランダムアクセス汎用構成(RACH-ConfigGeneric)パラメータを用いて、共通補償タイミング先行値を端末に送信し、端末が正確なTA値を取得し、通信システムへのアクセスに適用できるようにする。共通補償タイミング先行値を表すためにTA-commonが使用される。
この例では、ネットワーク側がRACH-ConfigGenericパラメータに新しい変数フィールド、たとえばTA-commonを加えて、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を決定するために使用されるパラメータ値を示す。
任意的に、ネットワーク側は、衛星の可能な最大軌道高度および可能な最小通信仰角に基づいて、TA-commonの表現範囲を決定してもよい。
たとえば、軌道はGEO軌道であり、最小通信仰角は10度、寸法単位としては16・64・Tc/2uが使用される想定する。TA-commonは、-4155513から+4155513の範囲を表す必要があり、23ビットの信号伝達が表現のために必要である。23ビットは-4194303から+4194303の範囲を表しうる。-4194303から-4155513までの範囲と、4194303から4155513までの範囲は、リザーブされている(reserved)か、または別の指示目的のためにリザーブされていてもよい。異なる衛星軌道高度、最小仰角、および時間寸法単位が想定される場合、TA-common表現の範囲は異なる可能性があることが理解されうる。
TA-commonを受信した後、端末は、端末位置と衛星位置に基づいて、サービス・リンクの往復遅延を計算し、該往復遅延をTA-commonによって表される時間長に加算して、TA調整値を得てもよい。
TA-commonは、共通の補償タイミング先行値を表してもよく、あるいは端末が補償する必要のある共通伝搬遅延を表してもよいことを理解されたい。
TA-commonは、正の値、負の値、およびゼロを表しうることを理解されたい。正の値は、あらかじめ上りリンク信号が送信されることを示し、負の値は遅延後に上りリンク信号が送信されることを示す。
例4:ネットワーク側は、信号ビットを節約するために、軌道高度の範囲に基づいた共通補償タイミング先行信号伝達を、組み合わせて示すことができる。たとえば:
この例では、ネットワーク側は、RACH-ConfigGenericパラメータに2つの新しい変数フィールド、すなわち、低軌道共通タイミング先行TA-common-LEOおよび共通タイミング先行補完TA-common-complementを追加し、共通補償タイミング先行値を決定するために使用される、または端末によって補償される必要がある共通伝搬遅延を表現する。TA-common-complementは任意的に(optional)送信されてもよい。すなわち、ネットワーク側は、TA-common-complementパラメータを送信する、または送信しないことを選択することができる。ネットワーク側は、第2のネットワーク装置の軌道高度に基づいて、TA-common-complementパラメータを送信するかどうかを決定することができる。詳細については、以下の例を参照されたい。
任意的に、ネットワーク側は、衛星の軌道高度の範囲および可能な最小通信仰角に基づいて、TA-common-LEOおよびTA-common-complementの表現範囲およびビット量を決定してもよい。
たとえば、軌道高度が1200km以下のシナリオでは、ネットワーク側はTA-common-LEO信号伝達(20ビット)のみを送信することができる。すなわち、TA-common-complementは送信されない。この場合、共通補償タイミング先行値を表すためには、-320609から+320609の範囲を表すために20ビットの信号伝達が送信されるだけでよい。20ビットは-524287から+524287の範囲を表しうる。-524287から-320609の範囲と320609から524287の範囲は、リザーブされている(reserved)か、または別の指示目的のためにリザーブされてもよい。
たとえば、軌道高度が1200kmより高いシナリオでは、ネットワーク側はTA-common-LEOとTA-common-complement信号伝達(3ビット)をUEに送信してもよい。TA-common-LEOは上位ビットを表し、TA-common-complement信号は下位ビットを表す。TA-common-LEOおよびTA-common-complementは、-4155513から4155513の範囲を表す23ビットの信号伝達を構成する。23ビットは-4194303から+4194303の範囲を表しうる。-4194303から-4155513までの範囲と、4194303から4155513までの範囲は、リザーブされている(reserved)か、または別の指示目的のためにリザーブされてもよい。
端末は、TA-common-LEOおよびTA-common-complementで表される共通補償タイミング先行値を受信した後、端末装置は、端末位置および衛星位置に基づいてサービス・リンクの往復遅延を計算し、該往復遅延を共通補償タイミング先行値によって表される時間長に加算して、TA調整値を得ることができる。そのような信号伝達伝送方法は、柔軟性を提供するだけでなく、軌道高度が高くないシナリオにおいていくらかの信号伝達ビットを節約することにもなる。
例5:ネットワーク側は、異なる軌道高度のシナリオにおいて信号伝達ビットを節約するために、ある範囲の軌道高度に基づいて共通補償タイミング先行信号伝達を別々に示すことができる。たとえば、
この例では、ネットワーク側は、RACH-ConfigGenericパラメータに3つの新しい変数フィールド、すなわち、低軌道600共通タイミング先行TA-common-LEO-600、低軌道1200共通タイミング先行TA-common-LEO-1200、静止軌道共通タイミング先行TA-common-GEOを追加し、共通補償タイミング先行値を決定するために使用される、または端末が補償する必要がある共通伝搬遅延のパラメータ値を表す。送信することができる。すなわち、ネットワーク側は、3つのパラメータのうち1つのみ、2つのみ、またはすべてを送信することを選ぶことができる。
任意的に、ネットワーク側は、衛星の軌道高度の範囲および可能な最小通信仰角に基づいて、TA-common-LEO-600、TA-common-LEO-1200、およびTA-common-GEOの表現範囲およびビット量を決定してもよい。TA-common-LEO-600は600km以下の軌道高度における共通補償タイミング先行値に関するパラメータを表し、TA-common-LEO-1200は1200km以下の軌道高度における共通補償タイミング先行値に関するパラメータを表し、TA-common-GEOは36000km以下の軌道高度における共通補償タイミング先行値に関するパラメータを表す。
たとえば、軌道高度が600km以下のシナリオでは、ネットワーク側はTA-common-LEO-600信号伝達(19ビット)を送信してもよい、すなわちTA-common-LEO-1200およびTA-common-GEOは送信されない。この場合、共通補償タイミング先行値を決定するために、端末のために送る必要があるのは、-197800から+197800の範囲を表すための19ビットの信号伝達だけである。19ビットは-262143から+262143の範囲を表しうる。-262143から-197800までの範囲および197800から262143までの範囲は、リザーブされている(reserved)、または別の指示目的のためにリザーブされてもよい。
たとえば、軌道高度が600kmより高いが1200kmよりは高くないシナリオでは、ネットワーク側はTA-common-LEO-1200信号伝達(20ビット)をUEに送信してもよい。すなわち、TA-common-LEO-600およびTA-common-GEOは送信されない。この場合、共通補償タイミング先行値を決定するために、端末のために送る必要があるのは、-320609から+320609の範囲を表す20ビット信号伝達だけである。20ビットは-524287から+524287の範囲を表しうる。-524287から-320609の範囲と320609から524287の範囲は、リザーブされている(reserved)か、または別の指示目的のためにリザーブされてもよい。
たとえば、軌道高度が1200kmを超えるシナリオでは、ネットワーク側はTA-common-GEO信号伝達(23ビット)を送信する必要があり、すなわち、TA-common-LEO-600およびTA-common-LEO-1200は送信されない。この場合、共通補償タイミング先行値を決定するために、-4155513から+4155513の範囲を表す23ビット信号伝達が端末に送信される必要がある。23ビットは-4194303から+4194303の範囲を表しうる。-4194303から-4155513までの範囲と、4194303から4155513までの範囲は、リザーブされている(reserved)か、または別の指示目的のためにリザーブされてもよい。
TA-common-LEO-600、TA-common-LEO-1200、またはTA-common-GEOのいずれか一つまたは複数で表される共通補償タイミング先行値を受信した後、端末は、端末位置および衛星位置に基づいてサービス・リンクの往復遅延を計算し、共通補償タイミング先行値によって表される時間長に往復遅延を加算して、TA調整値を得ることができる。
例6:ネットワーク側は、ランダムアクセス共通構成(RACH-ConfigGeneric)パラメータを用いて、端末に、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を決定するために用いられるパラメータ値(すなわち、共通タイミング・パラメータ;ここで、TA-common-timingが該共通タイミング・パラメータを表す)を送信してもよい。
この例では、ネットワーク側は、新たな変数フィールドとしての共通タイミング・パラメータ、すなわちTA-common-timingをRACH-ConfigGenericパラメータに加えて、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を決定するために使用されるパラメータ値を示す。
任意的に、ネットワーク側は、衛星の可能な最大軌道高度および可能な最小通信仰角に基づいて、TA-common-timingの表現範囲を決定してもよい。
たとえば、軌道はGEO軌道であり、最小通信仰角は10度であり、16・64・Tc/2uが寸法単位として使用されると想定される。TA-common-timingは、0から8311026の範囲を表す必要があり、表現には23ビットの信号伝達が必要とされる。23ビットは、0から8388607の範囲を表すことができる。8311027~8388607の範囲は、リザーブされている(reserved)か、または別の指示目的のためにリザーブされてもよい。
異なる衛星軌道高度、最小仰角、および時間寸法単位が想定される場合、TA-common-timing表現の範囲は異なる可能性があることが理解されうる。
共通タイミング・パラメータTA-common-timingを受信した後、端末は、共通タイミング・パラメータTA-common-timingから数値ドリフトを減算して、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を取得する。
たとえば、数値ドリフトは、4155513(数値ドリフトの値は、プロトコルを使用することによって合意されてもよく、または、端末に対してネットワーク側によって構成されてもよい)であると想定される。TA-common-timingを受信した後、端末はTA-common-timing-4155513を通じて共通補償タイミング先行値を取得し、共通補償タイミング先行値の表現範囲は-4155513から+4155513である。この方法は、受信したTA-common-timing値、すなわちTA-common-timing-数値ドリフトに対してオフセット処理を行うことと等価である。数値ドリフトが4155513に等しいことはここでは例として用いられており、実際の使用はこの値に限定されない。別の例として、TA-common-timingを受信した後、端末は、計算を通じて共通補償タイミング先行値を取得し、次いで、端末位置および衛星位置に基づいてサービス・リンクの往復遅延を計算し、該往復遅延を共通補償タイミング先行値によって表される時間長に加算して、TA調整値を得てもよい。
さらに、上記のいくつかの例における信号伝達伝送態様が使用のために組み合わされてもよい。
たとえば、ネットワーク側は、RACH-ConfigGenericパラメータに3つの新しい変数フィールド、すなわち、低軌道600共通タイミング・パラメータTA-common-timing-LEO-600、低軌道1200共通タイミング・パラメータTA-common-timing-LEO-1200、および静止軌道共通タイミング・パラメータTA-common-timing-GEOを追加して、共通補償タイミング先行値を決定するために使用される、または端末によって補償される必要がある共通伝搬遅延の共通タイミング・パラメータ値を示すことができる:
任意的に、TA-common-timing-LEO-600、TA-common-timing-LEO-1200、およびTA-common-timing-GEOの表現範囲とビット量は、衛星の軌道高度の範囲および可能な最小通信仰角に基づいて決定されてもよい。TA-common-timing-LEO-600は、600km以下の軌道高度における共通補償タイミング先行値に関する共通タイミング・パラメータを表し、TA-common-timing-LEO-1200は1200km以下の軌道高度における共通補償タイミング先行値に関する共通タイミング・パラメータを表し、TA-common-timing-GEOは36000km以下の軌道高度における共通補償タイミング先行値に関する共通タイミング・パラメータである。TA-common-timing-LEO-600、TA-common-timing-LEO-1200およびTA-common-timing-GEOは、いずれも任意的に(optional)送信されてもよい。すなわち、ネットワーク側は、3つのパラメータの1つを送信することを選択することができる。
たとえば、軌道高度が600km以下のシナリオで、最小通信仰角は10度であり、16・64・Tc/2uが寸法単位として使用されるとする。ネットワーク側はTA-common-timing-LEO-600信号伝達(19ビット)を送信することができる。すなわち、TA-common-timing-LEO-1200およびTA-common-timing-GEOは送信されない。この場合、共通補償タイミング先行値を決定するために端末のために送信される必要があるのは、0~395600の範囲を表すための、19ビットの共通タイミング・パラメータ信号伝達のみである。19ビットは0から524287の範囲を表しうる。395601から524287の範囲はリザーブされている(reserved)か、あるいは別の指示目的のためにリザーブされていてもよい。同様に、TA-common-timing-LEO-1200信号伝達およびTA-common-timing-GEO信号伝達は、それぞれ0~641218および0~8311026の範囲を表すために20ビットおよび23ビットを使用する。
たとえば、異なる軌道パラメータ範囲の共通タイミング・パラメータについて異なる数値ドリフトがあると想定される。TA-common-timing-LEO-600に対応する数値ドリフト値は197800であり、TA-common-timing-LEO-1200に対応する数値ドリフト値は320609であり、TA-common-timing-GEOに対応する数値ドリフト値は4155513である。TA-common-timing-LEO-600を受信した後、端末は、TA-common-timing-LEO-600-197800により共通補償タイミング先行値を取得し、共通補償タイミング先行値の表現範囲は、-197800から197800である。
別の例では、異なる衛星軌道高度、最小仰角、および時間寸法単位については、TA-common-timing-LEO-600、TA-common-timing-LEO-1200、またはTA-common-timing-GEOの表現範囲が異なっていてもよい。共通タイミング・パラメータTA-common-timing-LEO-600、TA-common-timing-LEO-1200、またはTA-common-timing-GEOを受信した後、端末は、共通タイミング・パラメータから対応する数値ドリフトを減算して、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を得る。端末は、端末位置および衛星位置に基づいてサービス・リンクの往復遅延を計算し、サービス・リンクの往復遅延を共通補償タイミング先行値によって表される時間長に加算して、TA調整値を得ることができる。
以下では、いくつかの詳細な例を用いて、端末位置、衛星位置、共通補償タイミング先行値等に基づいて、端末が、使用するためのTA値をどのように計算するかを記述する。
寸法単位は16・64・T
c/2
uであり、サービス・リンクの往復遅延の量子化された値は次の通りであると想定される:
RTD
serviceは、端末と衛星との間の往復遅延を表し、端末と衛星との間の距離を光度で割った商の2倍に等しい。
は小数点以下を切り下げることを表す。
端末が取得した共通補償タイミング先行値がNT
commonである場合、ランダムアクセスプリアンブルまたは上りリンク・データを送信するために使用される、端末が取得したTA値は次のようになる:
オフセットT-offset、共通タイミング・パラメータ、数値ドリフトを考慮する場合、端末によって使用されるTA値は次のようになる:
位置誤差D-offset、共通タイミング・パラメータ、数値ドリフトを考慮する場合、端末によって使用されるTA値は次のようになる:
式(3)のT-offsetが、式(4)では
で置き換えられており、端末によって使用されるタイミング先行値から、衛星測位誤差によって引き起こされるタイミングの不確かさが減算されることがわかる。すなわち、タイミングの不確かさは、可能な衛星測位誤差を光速で割ったものの2倍であり、時間単位(16・64・T
c/2
u)に基づいて切り上げによる量子化が行われている。
あるいはまた、端末によって使用されるTA値は次のようなものであってもよい:
TA-common-timing-数値ドリフトが、共通補償タイミング先行値NTcommonを置き換えるために使用される。
あるいはまた、端末によって使用されるTA値は次のようなものであってもよい:
あるいはまた、端末によって使用されるTA値は次のようなものであってもよい:
なお、TA値が別の時間単位での計算を通じて得られる場合には、上記(1)~(7)式の時間単位(16・64・Tc/2u)を新しい時間単位に置き換えるだけでよい。たとえば、64・Tc/2uが寸法単位として使用される場合は、式(1)~(7)の時間単位(16・64・Tc/2u)を時間単位64・Tc/2uで置き換える。
NT
serviceが計算されるときに時間単位として64・T
c/2
uが使用され、共通補償タイミング先行値NT
common、共通タイミング・パラメータ、数値ドリフトなどが得られるときに時間単位として16・64・T
c/2
uが使用される場合、
である。
この場合、端末によって使用されるTA値は次の通りである:
オフセットT-offsetまたは位置誤差D-offset、共通タイミング・パラメータ、数値ドリフトを考慮する場合は、端末によって使用されるTA値は次のようになる:
同様に、式(9)におけるT-offsetは式(10)では
で置き換えられ、端末によって使用されるタイミング先行値から、衛星測位誤差によって引き起こされるタイミングの不確かさが減算されることを示している。すなわち、タイミングの不確かさは、可能な衛星測位誤差を光速で割ったものの2倍であり、次いで時間単位(16・64・T
c/2
u)に基づいて切り上げによる量子化が行われる。
あるいはまた、端末によって使用されるTA値は次のようなものであってもよい:
(TA-common-timing-数値ドリフト)が、共通補償タイミング先行値NTcommonを置き換えるために使用される。
あるいはまた、端末によって使用するTA値は次のようなものであってもよい:
あるいはまた、端末によって使用するTA値は次のようなものであってもよい:
以下は、セル・ハンドオーバー(Cell handover)、ビーム・スイッチ(beam switch)、ゲートウェイ・スイッチ(gateway switch)、衛星スイッチ(satellite switch)が、共通補償タイミング先行または共通タイミング先行に与える影響について説明する。
1. セル・ハンドオーバー
(1)セル・ハンドオーバー手順において、UEは、ネットワーク側からの命令に基づいて、近傍セルのチャネル品質を測定し、報告する。次いで、ソース・セルが位置するgNB(これは略してソースgNBと呼ばれ、ターゲット・セルが位置するgNBと同じであっても、異なっていてもよい)が、RRCReconfiguration信号伝達をUEに送信する。上記の信号伝達から、共通補償タイミング先行または共通タイミング先行信号伝達がRRCReconfigurationに存在することがわかる。よって、ターゲット・セルの共通補償タイミング先行または共通タイミング先行は、RRCReconfigurationにおいて搬送されうる。非ランダム・アクセス・ハンドオーバー(RACHレス・ハンドオーバー)について、ソースgNBはまた、RRCReconfiguration信号伝達をUEに送信してもよく、または、ターゲットgNBの共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値をUEに送信してもよい。
(2)UEは、ターゲット・セルのSIB1を受信し、ターゲット・セルの共通補償タイミング先行または共通タイミング先行をも得ることができる。
2. 衛星スイッチ:セル・ハンドオーバー手順を参照。本明細書には、詳細は記載しない。
3. ビーム・スイッチ:ソース・ビームとターゲット・ビームが同じセルに属する場合、共通補償タイミング先行または共通タイミング先行がSIB1においてブロードキャストされ、セル・レベル信号伝達である。したがって、ビーム・スイッチが実行される場合、2つのビームは同じ共通補償タイミング先行または同じ共通タイミング先行を使用し、ジャンプされるタイミングは発生しない。(共通補償タイミング先行または共通タイミング先行がビーム・レベルである場合、異なるビームについてネットワーク側が行う遅延補償の値が異なることがあり、その結果ジャンプされるタイミングが発生する。この場合、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値は、BWPスイッチ信号伝達において搬送される、たとえばBWP-UplinkDedicated信号伝達において搬送される必要がある。)
4. ゲートウェイ・スイッチ
ソフト・ゲートウェイ・スイッチ(soft gateway switch)が発生するとき、すなわち、UEが同時に2つのゲートウェイへの接続を確立でき、該2つのゲートウェイからメッセージを受信できるとき、ゲートウェイ・スイッチ・シナリオは、セル・ハンドオーバー手順と等価でありうる。具体的には、RRCReconfiguration信号伝達において、ターゲット・ゲートウェイの共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値がUEに送信されてもよい。
ハード・ゲートウェイ・スイッチ(hard gateway switch)が発生するとき、具体的には、UEは一時に1つのゲートウェイにのみ接続を確立できる。UEがゲートウェイから切断され、別のゲートウェイに接続されるとき、すなわちハード・スイッチが発生するとき、フィーダー・リンクの遅延が変化する。ゲートウェイ・スイッチの前には、gNBは、ターゲット・ゲートウェイにおいてUEが使用する共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値、またはターゲット・ゲートウェイにおいてUEが使用する共通補償タイミング先行値と現在使用している共通補償タイミング先行値との差、またはターゲット・ゲートウェイにおいてUEが使用する共通タイミング先行値と現在使用している共通タイミング先行値との差をUEに送信することができる。たとえば、ビームまたはセル全体の諸UEが、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を更新する必要がある。よって、RRCReconfiguration信号伝達は、該更新のために前述のパラメータを搬送するために使用されてもよい。
また、ソフト・ゲートウェイ・スイッチまたはハード・ゲートウェイ・スイッチが発生したとき、gNBは、MAC CE信号伝達を通じて、ターゲット・ゲートウェイにおいてUEが使用する共通補償タイミング先行値もしくは共通タイミング先行値、またはターゲット・ゲートウェイにおいてUEが使用する共通補償タイミング先行値と現在使用している共通補償タイミング先行値との差、またはターゲット・ゲートウェイにおいてUEが使用する共通タイミング先行値と現在使用している共通タイミング先行値との差をUEに送信する。
いくつかの特殊なシナリオでは、共通補償タイミング先行値の差または共通タイミング先行値の差を送ることも、完全な共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を送るのと同じビット数を使用する必要がある。たとえば、スイッチの前にネットワーク側が上りリンク信号についてのタイミング補償を行い、該スイッチの後に上りリンク信号についてのタイミング補償を行わない場合、フィーダー・リンクの完全な往復遅延が表現される必要がある。この場合、共通補償タイミング先行値の差分に必要とされるビット数は、完全な共通補償タイミング先行値を表すために必要とされるビット数と同じである。プロトコルがこれらの特殊なシナリオをサポートしない場合は、共通補償タイミング先行値の差を送信することにより、完全な共通補償タイミング先行値を送信することと比較して、信号伝達オーバーヘッドを節約することができる。
以下は、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値の有効性を示す。
SIB1が共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値を伝達する場合、SIB1の更新サイクルが、共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値の最大誤差を決定する。この誤差は、衛星とゲートウェイの間の相対的な動きによって引き起こされる。
システム情報(SIB1を含む)は、修正期間(modification period)の開始フレームにおいてのみ更新され、修正期間は次の条件を満たす:
SFN mod m=0
ここで、mは修正期間の長さに含まれるシステム・フレームの数を表し、SFNはシステム・フレーム番号を表し、modはモジュロを表し、
m=modificationPeriodCoeff×defaultPagingCycle、 単位:フレーム(frame);
modificationPeriodCoeff=2/4/8/16;
defaultPagingCycle=32/64/128/256.
modificationPeriodCoeffおよびdefaultPagingCycleは、SIB1を使用して構成されてもよい。
最小の修正期間は64フレーム=640msであることがわかる。
共通補償タイミング先行値は、フィーダー・リンクの往復遅延と、上りリンク・データについてネットワーク側によってなされるタイミング補償の値との差を示すものとする。衛星がゲートウェイに近づくと、共通補償タイミング先行によって示される値が大きくなることがあり、プリアンブルまたは上りリンク・データがより早く到着することがある。これはシンボル間干渉ISIを生成する。
ISIを回避するために、次の更新サイクルの開始時点に対応する共通補償タイミング先行値または共通タイミング先行値が、更新サイクルの開始時点で送信されてもよい。このようにして、ISIを回避するために、送信された共通補償タイミング先行値または送信された共通タイミング先行値は小さく、UEによって送信されたプリアンブルまたは上りリンク・データは、ネットワーク側に遅く到着する。たとえば、更新サイクルが640msである場合、遅延は33.28μsを超えない。
実施形態15
本発明の技術的解決策の発想は、タイミング先行レート(TAレート)基準点およびドップラー事前補償基準点/ドップラー事後補償基準点の送信にも適用可能でありうる。
具体的には、TAレート基準点は、サービス・リンクTAレート基準点とフィーダー・リンクTAレート基準点に分類されてもよい。ここでいうサービス・リンクTAレートとは、サービス・リンクの共通TAレートを指す。
サービス・リンク・タイミング先行レート(TAレート)基準点:端末は、衛星(端末は、軌道情報を通じて、衛星の位置および速度に関する情報を得ることができる)とサービス・リンクTAレート基準点との間の相対移動速度または距離変化率に基づいて、ビームまたはセルのサービス・リンク共通タイミング先行レートを計算することができる。たとえば、端末は、衛星の移動方向、衛星の位置、基準点位置に基づいて、衛星と基準点の間の相対速度Vを計算により求めることができる(衛星と基準点が互いに近づくときはVは負の値になり、衛星と基準点が互いから遠ざかるときはVは正の値になる)。TAレートは2×V/cに等しく、cは3×108m/sの光速度である。このようにして、時間間隔ΔTの後のTAの変化値が、TAレートに基づく計算を通じて求めることができる。ここで、変化値はΔT×2×V/cである。補正されたTAはTA_original+ΔT×2×V/cであり、TA_originalは以前に使用されたTAである。したがって、端末は、共通タイミング先行レートに基づいて、端末による信号送信についてのタイミング先行を補正してもよい(フィーダー・リンクの共通タイミング先行レートが存在する場合には、サービス・リンクの共通タイミング先行レートとフィーダー・リンクの共通タイミング先行レートとの組み合わせ、すなわち、両者の和が、最終的なTAレートを計算して、上りリンクのタイミング先行調整値を補正するために使用されてもよい)。
フィーダー・リンク・タイミング先行レート(TAレート)基準点:衛星(端末は、軌道情報を通じて、衛星の位置および速度に関する情報を得ることができる)とフィーダー・リンクTAレート基準点との間の相対移動速度または距離変化率に基づいて、ビームまたはセルのフィーダー・リンク共通タイミング先行レートを計算することができる(上記と同様)。端末は、共通タイミング先行レートに基づいて、送信側端末による信号送信のタイミング先行調整値を補正してもよい(サービス・リンクの共通タイミング先行レートが存在する場合には、サービス・リンクの共通タイミング先行レートとフィーダー・リンクの共通タイミング先行レートとの組み合わせ、すなわち、両者の和が、最終的なTAレートを計算して、上りリンクのタイミング先行調整値を補正するために使用されてもよい)。フィーダー・リンク・タイミング先行レート基準点は、ゲートウェイの位置座標であってもよい。
ドップラー事前/事後補償基準点:端末は、衛星(端末は、軌道情報を通じて衛星の位置および速度に関する情報を得ることができる)とドップラー事前/事後補償基準点との間の相対移動速度に基づいて、ビームまたはセルのドップラー事前/事後補償の値を計算することができる。ドップラー事前/事後補償値は、端末によって送信され、対応するビーム/セル内で受信される信号について衛星によって行われるドップラー事後補償の値、および対応するビーム/セル内で送信される下りリンク信号について衛星によって行われるドップラー事前補償の値を表すことができる。あるいはまた、ドップラー事前/事後補償値は、端末が信号を送信するときに端末が行う必要があるドップラー事前補償の値、および端末が下りリンク信号を受信するときに端末が信号に対して行うドップラー事後補償の値を表すことができる。ドップラー事前補償/事後補償基準点は、システム要件に基づいて、ビーム/セルのカバレッジ内の任意の位置、たとえばビーム/セルの中心点にあってもよい。
ドップラー事前補償/事後補償基準点、衛星位置、および移動方向に基づいて計算されたドップラー値が、下りリンク信号についてネットワーク側によって行われるドップラー事前補償の値を表す場合、グローバルナビゲーション衛星システム(global navigation satellite system、GNSS)機能を有する端末は、下りリンク信号の周波数オフセット値およびドップラー事前補償値に基づく計算を通じて、水晶発振器の周波数オフセットを得ることができる。同様に、GNSS機能を有する端末は、端末位置、衛星位置、衛星の移動方向に基づく計算を通じて、上りリンクチャネルによって引き起こされるドップラー周波数シフト値を得ることができる。上りリンクチャネルのドップラー周波数シフト値から、端末によって送信された信号について衛星側によって行われるドップラー事後補償の値を減算することにより、端末によって送信された信号についてGNSS機能をもつ端末によって行われる事前補償の値を得ることができる。
図21Aを参照されたい。ある可能な設計では、サービス・リンク基準点座標、補償基準点座標、ATG基準点座標、サービス・リンクTAレート基準点座標、フィーダー・リンクTAレート基準点座標、ドップラー事前/事後補償基準点座標を含む基準点グループが定義されてもよい。図21Bを参照されたい。別の可能な設計では、ネットワーク側は、サービス・リンクTAレート基準点の座標、フィーダー・リンクTAレート基準点座標、およびドップラー事前補償/事後補償基準点座標を別々に送ることができる。
前述の複数の基準点(たとえば、サービス・リンクTAレート基準点、フィーダー・リンクTAレート基準点座標、およびドップラー事前補償/事後補償基準点)は、同じ基準点であってもよく、または、前記複数の基準点が同じ位置にあってもよいことを理解されたい。たとえば、サービス・リンク基準点座標、サービス・リンクTAレート基準点座標、ドップラー事前補償/事後補償基準点座標の2または3つが同じ基準点座標である場合には、システムは1つの基準点座標のみを送信すればよく、基準点を使う仕方は、前もって端末との間で合意される。たとえば、サービス・リンクTAレート基準点座標とサービス・リンク基準点座標が同じ基準点である場合、システムと端末は、基準点を受信した後、端末がビームまたはセルのサービス・リンクの共通タイミング先行レートを、衛星(端末は、軌道情報を通じて衛星の位置および速度に関する情報を取得することができる)と基準点との間の相対移動速度または距離変化率に基づいて計算し、端末がサービス・リンクの共通タイミング先行調整値を、衛星位置と基準点との間の往復遅延に基づいて得ることに合意する。
基準点グループは、位置を送信するために、前述の諸実施形態における信号伝達を使用してもよい。
ある可能な実装では、サービス・リンクTAレート基準点座標、フィーダー・リンクTAレート基準点座標、ドップラー事前補償/事後補償基準点座標は、それぞれサービス・リンクTAレート値(正/負符号指示付き)、フィーダー・リンクTAレート値(正/負符号指示付き)、ドップラー事前補償/事後補償値(正/負符号指示付き)で置き換えられてもよい。実施形態3と同様に、基準点座標、TAレート値、およびドップラー事前補償/事後補償値が使用のために組み合わされてもよい。たとえば、図22に示されるように、サービス・リンクTAレート基準点座標は、フィーダー・リンクTAレート値およびドップラー事前補償/事後補償値と組み合わせて使用されてもよい。
別の可能な実装では、図23に示されるように、送信された信号伝達が、サービス・リンクTAレート基準点座標またはサービス・リンクTAレート値(正/負符号指示付き)、フィーダー・リンクTAレート基準点座標またはフィーダー・リンクTAレート値(正/負符号指示付き)、またはドップラー事前補償/事後補償基準点座標またはドップラー事前補償/事後補償値であることを示すために、インジケータ・ビットが信号伝達の各片に付加されてもよい。非注視モードについては、ビーム/セルのサービス・リンク共通TAレートは変化しない。よって、サービス・リンクTAレート値(正符号または負符号付き)を用いて端末に信号伝達を送ることは、信号伝達変化の頻度を減らし、システムの複雑さを減らすことができる。よって、図23に示される柔軟な信号伝達態様は、信号伝達送信のためのシステム複雑さを低減することができる。
ネットワーク側がTAレート基準点座標やドップラー補償基準点座標を端末に送信しない場合、または無効な座標点(たとえば、座標値がすべてゼロ)を送信する場合、端末はデフォルトの基準点座標値を使用してもよい。たとえば、デフォルト基準点座標値は、ゲートウェイの座標値であってもよい。すなわち、ネットワーク側がTAレート基準点座標またはドップラー補償基準点座標を端末に送信しない、または無効な座標点(たとえば、座標値がすべてゼロ)を送信する場合、TAレート基準点座標またはドップラー補償基準点はデフォルトの基準点に戻る。
実施形態16
この実施形態では、サービス・リンク/フィーダー・リンクのTAレート基準点座標および/またはサービス・リンク/フィーダー・リンクのTAレート値は、実施形態14に基づいてサービス・リンク/フィーダー・リンクのTAレート角度で置き換えられる。
図24を参照されたい。ネットワーク側は、サービス・リンクTAレート角度および/またはフィーダー・リンクTAレート角度を端末に送信し、ある移動方向における衛星の速度がAであるとする。TAレート角度を受信した後、端末は、公式[-2×cos(α)×A/c]に従って、サービス・リンクに対応するTAレート値を計算し、公式[-2×cos(β)×A/c]に従って、フィーダー・リンクに対応するTAレート値を計算してもよい。次いで、時間間隔ΔTの後のTAの変化値が、TAレートに基づく計算を通じて得られてもよく、変化値は[-2×cos(α)×A/c]+[-2×cos(β)×A/c]となる。補正されたTAはTA_original+[-2×cos(α)×A/c]+[-2×cos(β)×A/c]である。ただし、TA_originalは前に使用されたTAである。ネットワーク側がサービス・リンクTAレート角度αまたはフィーダー・リンクTAレート角度βのみを端末に送信する場合、端末はTA_original+[-2×cos(α)×A/c]またはTA_original+[-2×cos(β)×A/c]に基づいて、更新されたTAのみを計算すればよい。
実施形態17
本実施形態において端末に送信されるパラメータ、たとえばリンク基準点座標、補償基準点座標、TAレート基準点座標については、そのパラメータに対応する有効性期間が同時に端末に送信されてもよい。これは、LEO衛星が常時移動し、端末と衛星の間の位置関係が変化し続けるため、ネットワークによって端末に送信される共通タイミング先行値や基準点座標などは使用のための有効性期限を有し、有効性期間が満了した後はもはや適用可能ではない。
たとえば、ネットワーク側が補償基準点座標を端末に送信するとき、基準点座標の有効性期間ΔTが同時に端末に送信される。ΔTは、スロットの単位での大きさ、またはTsの単位での大きさでありうる。スロットが単位として使用される場合、ΔT/2μms以降は、端末が基準点座標を受信するので、補償基準点はもはや適用可能ではない。Tsが単位として使用される場合、ΔT×Ts秒以降は、端末が基準点座標を受信するので、補償基準点はもはや適用可能ではない。
ネットワーク側がリンク基準点座標、補償基準点座標、TAレート基準点座標等を周期的ブロードキャストにより端末に送信する場合、前記パラメータの有効期限が切れると、端末は、前記パラメータを再受信することを通じて、デコードにより、新たなパラメータ値を得ることができる。ネットワーク側がリンク基準点座標、補償基準点座標、TAレート基準点座標等を非周期的ブロードキャストにより端末に送信する場合、前記パラメータの有効期限が切れると、端末は、ネットワーク側に前記パラメータを再申請することにより、新しいパラメータ値を得ることができる。
この実施形態では、ネットワーク側によって端末に送信されるパラメータについて、対応する有効性期間が構成される。これは、通信の信頼性をさらに改善できる。
本願のこの実施形態では、衛星通信シナリオとATG通信シナリオが共存しうることに留意されたい。衛星通信シナリオとATG通信シナリオの両方が存在する場合、ネットワーク側と端末は、衛星通信シナリオとATG通信シナリオにおいて、ネットワーク側と端末によって実行される動作を同時に実行してもよい。この場合における具体的な実施方法については、それぞれ衛星通信シナリオおよびATG通信シナリオを参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
上記の実施形態は、互いに組み合わされて、異なる技術的効果を達成することができる。
本願において提供される前述の実施形態において、本願の実施形態において提供される方法は、ネットワーク装置(たとえば、衛星、ゲートウェイ、またはATGネットワーク装置)と端末との間の相互作用の観点から記述されている。本願の実施形態において提供される前述の方法において機能を実現するために、端末およびネットワーク装置は、ハードウェア構造および/またはソフトウェアモジュールを含み、ハードウェア構造、ソフトウェアモジュール、またはハードウェア構造およびソフトウェアモジュールの組み合わせの形で前述の機能を実現することができる。前述の機能における特定の機能が、ハードウェア構造、ソフトウェアモジュール、またはハードウェア構造とソフトウェアモジュールの組み合わせのいずれで実行されるは、技術的解決策の具体的な用途および設計制約条件に依存する。以下は、本願の諸実施形態における通信装置を記載する。
本願のある実施形態は、通信装置2500をさらに提供する。装置2500は、前述の方法実施形態における第1のネットワーク装置、第1のネットワーク装置内の装置(たとえば、チップ、チップ・システム、または回路)、または第1のネットワーク装置と一緒に使用できる装置であってもよい。装置2500は、方法実施形態における第1のネットワーク装置によって実行される方法/動作/ステップ/アクションと1対1で対応するモジュールを含んでいてもよい。モジュールは、ハードウェア回路またはソフトウェアであってもよく、またはソフトウェアと組み合わせてハードウェア回路によって実装されてもよい。
たとえば、図25を参照されたい。装置2500は:第1の遅延補償値に基づいて第1のパラメータを決定するように構成された処理ユニット2501であって、第1の遅延補償値は、端末によって送信された信号を受信するために第1のネットワーク装置によって行われる遅延補償であり、第1のパラメータは、非地上ネットワークNTNにおけるフィーダー・リンクの往復遅延と前記第1の遅延補償値との間の差を示し、前記差が、信号送信のために端末によって使用されるTAを決定するために使用される、処理ユニットと;
第1のパラメータを送信するように構成された送信ユニット2502と
を含む。
上記のユニットによって実行される動作の具体的実装については、上記の方法実施形態において第1のネットワーク装置によって実行される動作の具体的実装を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
本願のある実施形態は、さらに通信装置2600を提供する。装置2600は、上記の方法実施形態における第2のネットワーク装置、前記第2のネットワーク装置内の装置(たとえば、チップ、チップ・システム、または回路)、または前記第2のネットワーク装置と一緒に使用できる装置であってもよい。装置2600は、方法実施形態において第2のネットワーク装置によって実行される方法/動作/ステップ/アクションと1対1で対応するモジュールを含んでいてもよい。モジュールは、ハードウェア回路またはソフトウェアであってもよく、またはソフトウェアと組み合わせてハードウェア回路によって実装されてもよい。
たとえば、図26を参照されたい。装置2600は:
第2の遅延補償値に基づいて補償基準点の位置座標を決定するように構成された処理ユニット2601であって、第2の遅延補償値は、端末によって送信された信号を受信するために第2のネットワーク装置によって行われる遅延補償であり、第2の遅延補償値は、信号送信のために端末によって使用されるTAを決定するために使用され、前記TAは、NTNにおけるサービス・リンク往復遅延から第2の遅延補償値を引いたものに等しい、処理ユニットと;
補償基準点の位置座標を送信するように構成された送信ユニットと
を含む。
上記のユニットによって実行される動作の具体的実装については、上記の方法実施形態において第2のネットワーク装置によって実行される動作の具体的実装を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
本願のある実施形態は、さらに通信装置2700を提供する。装置2700は、上記の方法実施形態におけるATGネットワーク装置、前記ATGネットワーク装置内の装置(たとえば、チップ、チップ・システム、または回路)、または前記ATGネットワーク装置と一緒に使用できる装置であってもよい。装置2700は、方法実施形態においてATGネットワーク装置によって実行される方法/動作/ステップ/アクションと1対1で対応するモジュールを含んでいてもよい。モジュールは、ハードウェア回路またはソフトウェアであってもよく、またはソフトウェアと組み合わせてハードウェア回路によって実装されてもよい。
たとえば、図27を参照されたい。装置2700は:
ATG基準点座標を決定するように構成された処理ユニット2701であって、ATG基準点の位置座標は、ATGネットワーク装置に信号を送信するために端末によって使用されるTAを決定するために使用される、処理ユニットと;
ATG基準点の位置座標を送信するように構成された送信ユニット2702とを含んでいてもよい。
上記のユニットによって実行される動作の具体的実装については、上記の方法実施形態においてATGネットワーク装置によって実行される動作の具体的実装を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
本願のある実施形態は、さらに通信装置2800を提供する。装置2800は、上記の方法実施形態における端末、前記端末内の装置(たとえば、チップ、チップ・システム、または回路)、または前記端末と一緒に使用できる装置であってもよい。装置2800は、方法実施形態において端末によって実行される方法/動作/ステップ/アクションと1対1で対応するモジュールを含んでいてもよい。モジュールは、ハードウェア回路またはソフトウェアであってもよく、またはソフトウェアと組み合わせてハードウェア回路によって実装されてもよい。
たとえば、図28を参照されたい。装置2800は:
第1のパラメータを受信するように構成された受信ユニット2801であって、第1のパラメータは、非地上ネットワークNTNにおけるフィーダー・リンクの往復遅延と第1の遅延補償値との間の差を示すために使用され、第1の遅延補償値は、端末によって送信された信号を受信するために第1のネットワーク装置によって行われる遅延補償であり、前記差は、信号送信のために端末によって使用されるTAを決定するために使用される、受信ユニットと;
第1のパラメータに基づいて、信号送信のためのTAを決定するように構成された処理ユニット2802;
または
補償基準点の位置座標を受信するように構成された受信ユニット2801であって、第2の遅延補償値は、端末によって送信された信号を受信するために第2のネットワーク装置によって行われる遅延補償の値であり、第2の遅延補償値は、信号送信のために端末によって使用されるTAを決定するために使用され、TAは、NTNにおけるサービス・リンク往復遅延から第2の遅延補償値を引いたものに等しい、受信ユニットと;
補償基準点の位置座標に基づいて、信号送信のためのTAを決定するように構成された処理ユニット2802;
または
空対地ATG基準点の位置座標を受信するように構成された受信ユニット2801と;
ATG基準点の位置座標に基づいて信号送信のためのTAを決定するように構成された処理ユニット2802
を含む。
上記のユニットによって実行される動作の具体的実装については、上記の方法実施形態において端末によって実行される動作の具体的実装を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
上記は、本願の実施形態における通信装置を記述している。下記は、通信装置の可能な製品形態について記述する。図25から図28に記載される通信装置の機能を有する任意の形態の任意の製品が、本願の実施形態の保護範囲内にはいることを理解されたい。さらに、下記の説明は単に例であり、本願の実施形態における通信装置の製品形態を限定するものではないことを理解されたい。
図29は、本願のある実施形態による通信装置2900を示す。通信装置2900は、前述の第1のネットワーク装置、第2のネットワーク装置、ATG装置、または端末によって実行される方法を実行するように構成されてもよい。装置2900は、プロセッサ2901および通信インターフェースを含んでいてもよい。通信インターフェースは、他の通信装置と通信するように構成される。プロセッサ2901は、プログラムのグループを実行するように構成され、それにより、装置は、前述の方法実施形態における方法のステップを実施する。
プロセッサ2901は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは他のプログラマブル論理デバイス、離散的ゲートまたはトランジスタ論理デバイス、または離散的ハードウェアコンポーネントであってもよく、本願の実施形態において開示される方法、ステップ、および論理ブロック図を実装または実行してもよい。汎用プロセッサ2901は、マイクロプロセッサ、任意の従来のプロセッサなどであってもよい。本願の実施形態を参照して開示される方法のステップは、ハードウェアプロセッサによって直接的に実行されてもよく、またはプロセッサ内のハードウェアとソフトウェアモジュールとの組み合わせを使用して実行されてもよい。
通信インターフェース2902は、トランシーバ、回路、バス、モジュール、または別のタイプの通信インターフェースであってもよく、伝送媒体を介して別の装置と通信するように構成される。たとえば、装置が端末である場合、前記別の装置は、衛星、ゲートウェイ、またはATGネットワーク装置であってもよい。装置が衛星、ゲートウェイ、またはATGネットワーク装置である場合、前記別の装置は端末であってもよい。
任意的に、装置2900は、プログラム命令および/またはデータを格納するように構成されたメモリ2903をさらに含んでいてもよい。メモリ2903は、不揮発性メモリ、たとえば、ハードディスク(hard disk drive、HDD)またはソリッドステートドライブ(solid-state drive、SSD)であってもよく、または揮発性メモリ(volatile memory)、たとえば、ランダムアクセスメモリ2903(random-access memory、RAM)であってもよい。メモリは、命令構造またはデータ構造の形で期待されるプログラムコードを担持または記憶することができ、コンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体であるが、これに限定されない、任意の他の媒体である。本願の実施形態におけるメモリは、代替的に、記憶機能を実装することができ、プログラム命令および/またはデータを記憶するように構成された回路または任意の他の装置であってもよい。
メモリ2903は、プロセッサ2901に結合されてもよい。本願の実施形態における結合は、装置、ユニット、またはモジュール間の間接結合または通信接続であり、電気的、機械的、または他の形であってよく、装置、ユニット、またはモジュール間の情報交換のためである。プロセッサ2901は、メモリ2903と協働して動作してもよい。プロセッサ2901は、メモリ2903に記憶されたプログラム命令を実行してもよい。前記少なくとも1つのメモリ2903のうちの少なくとも1つは、プロセッサ2901に含まれてもよい。
通信インターフェース2902、プロセッサ2901、およびメモリ2903の間の特定の接続媒体は、本願のこの実施形態では限定されないことを理解されたい。本願のこの実施形態では、メモリ2903、通信インターフェース2902、およびプロセッサ2901は、図29のバスを通じて接続され、バスは、図29では太線で表される。他の構成要素間の接続態様は、単に概略的に記載されており、これに限定されない。バスは、アドレスバス、データバス、制御バスなどに分類することができる。表現の簡単のため、図29での表現のためには、1つの太線のみが使用される。しかしながら、これは、バスが1つしかない、バスの種類が1つしかないということを意味するものではない。
図30は、本願のある実施形態による装置3000を示す。装置3000は、前述の第1のネットワーク装置、第2のネットワーク装置、ATG装置、または端末によって実行される方法を実行するように構成されてもよい。装置3000は、通信装置または通信装置内のチップであってもよい。図30に示されるように、装置3000は、少なくとも1つの入力インターフェース(Input/Inputs)3001と、論理回路3002と、少なくとも1つの出力インターフェース(Output/Outputs)3003とを含む。
任意的に、論理回路3002は、チップ、エンコーダ、エンコード回路、または本願においてこの方法を実装することができる別の集積回路であってもよい。
具体的な方法および実施形態が上述されているので、入力インターフェース3001、論理回路3002、または出力インターフェース3003の機能については、対応する実施形態の関連部分を参照されたい。詳細はここでは再度説明しない。
本願のある実施形態は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令を記憶する。コンピュータ読み取り可能命令が通信装置上で実行されると、通信装置は、前記第1のネットワーク装置、第2のネットワーク装置、ATG装置、または端末によって実行される方法を実行できるようにされる。
本願のある実施形態は、命令を含むコンピュータ・プログラム・プロダクトを提供する。該プロダクトがコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、前記第1のネットワーク装置、第2のネットワーク装置、ATG装置、または端末によって実行される方法を実行できるようにされる。
本願の実施形態は、本願の実施形態による方法、デバイス(システム)、およびコンピュータ・プログラム・プロダクトのフローチャートおよび/またはブロック図を参照して記載されている。コンピュータ・プログラム命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の各プロセスおよび/または各ブロック、およびフローチャートおよび/またはブロック図のプロセスおよび/またはブロックの組み合わせを実施するために使用されうることが理解されるべきである。これらのコンピュータ・プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、または別のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサのために提供され、機械を生成する。こうして、該命令がコンピュータまたは前記別のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行されることにより、フローチャートにおける一つまたは複数のプロセスおよび/またはブロック図における一つまたは複数のブロックにおける特定の機能を実現するための装置が生成される。
前述の実施形態の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって実施されうる。実施形態を実施するためにソフトウェアが使用される場合、実施形態の全部または一部は、コンピュータ・プログラム・プロダクトの形で実装されてもよい。コンピュータ・プログラム・プロダクトは、一つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータ・プログラム命令がロードされ、コンピュータ上で実行される場合、本願の実施形態による手順または機能は、全部または部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラム可能な装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から別の読み取り可能な記憶媒体に伝送されてもよい。たとえば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバー、またはデータセンターから、有線(たとえば、同軸ケーブル、光ファイバー、またはデジタル加入者線(digital subscriber line、DSL))または無線(たとえば、赤外線、電波、またはマイクロ波)方式で、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバー、またはデータセンターに伝送されてもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能媒体、または一つまたは複数の使用可能媒体を統合するサーバーまたはデータセンターのようなデータ記憶装置であってもよい。使用可能媒体は、磁気媒体(たとえば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光媒体(たとえば、デジタル多用途ディスク(digital versatile disc、DVD))、半導体媒体(たとえば、固体ドライブ(solid state disk、SSD))などでありうる。
本願の精神および範囲から逸脱することなく、当業者が本願の実施形態に対してさまざまな修正および変形を行うことができることは明らかである。この場合、本願は、以下の特許請求の範囲およびそれらの同等の技術によって定義される保護の範囲内にはいる限り、本願の実施形態に対するこれらの修正および変形をカバーすることが意図されている。