以下に、実施の形態にかかる情報提供装置、電子商取引システム、情報提供方法、および情報提供プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
ここで、実施の形態の説明の前に、従来における産業用モータの発注の流れについて説明する。ここでは、産業用モータを新規に購入する際における発注の流れの例を第1の例とし、既設品である産業用モータの交換のために産業用モータを購入する際における発注の流れの例を第2の例とする。
第1の例において、産業用モータのカタログには、種々の機種の製品が用意されている場合がある。ただし、カタログに用意されている製品は標準仕様の製品である一方、購入者が選択できる仕様には、標準仕様とは異なる仕様である特殊仕様が数多く存在している。通常、購入者の希望により、特殊仕様を含む各種の仕様を組み合わせることができる。購入者は、産業用モータを含む設備のメーカー、または、産業用モータを含むプラントのメーカーなどである。設備のメーカーは、ユーザからの設備の発注を受けて設備を設計し、産業用モータの仕様を決定する。プラントのメーカーは、ユーザからのプラントの発注を受けてプラントを設計し、産業用モータの仕様を決定する。
購入者へ産業用モータを販売する販売者は、購入者からの発注を受けて、購入者が希望した仕様をまとめた要求仕様の産業用モータの製造を産業用モータのメーカーへ発注する。販売者は、産業用モータの販売を担う業者であって、代理店、販売会社、またはメーカーの支社などである。産業用モータのメーカーにおける産業用モータの設計者は、要求仕様を基に産業用モータを設計する。また、設計者は、発注された産業用モータの納期を販売者へ回答する。販売者は、発注された産業用モータの納期を購入者へ回答する。
産業用モータのメーカーにおける産業用モータの製造部門は、設計者により設計された産業用モータを製造する。製造された産業用モータは、産業用モータのメーカーから、販売者を経て購入者へ納入される。購入者は、納入された産業用モータを組み入れた設備またはプラントを製造する。特殊仕様を含む全ての仕様は購入仕様書に明記される。購入仕様書は、購入者からユーザへ渡される。通常、産業用モータの本体に付される名板には全ての仕様を記載することはできないため、名板のみから全ての仕様を把握することはできない。
第2の例において、既設品である産業用モータの交換を検討するユーザは、既設品を購入した際の購入仕様書を確認する。ユーザとは、産業用モータを含む設備のユーザ、または、産業用モータを含むプラントのユーザである。産業用モータはライフサイクルが比較的長く、1つの産業用モータが数十年稼働し続けることが普通であるため、ユーザが購入仕様書を確認できない場合がある。既設品が購入された時から長い年月が経過しているために、例えば、既設品を購入した担当者が異動または退職したために購入仕様書の所在を知る者がいないというケース、または、購入仕様書が紛失するケースなどがあり得る。このため、既設品が存在するのみで既設品の購入仕様書の所在が不明であるというケースは少なからずある。
ユーザが購入仕様書を確認できた場合、ユーザは、購入仕様書の内容を基に販売者へ産業用モータを発注し得る。一方、ユーザにおいて既設品の購入仕様書が不明である場合、ユーザは、購入者であった設備またはプラントのメーカーに、購入仕様書の内容を問い合わせる。設備またはプラントのメーカーが購入仕様書を所持していなければ、設備またはプラントのメーカーが、さらに、販売者であった、代理店、販売会社、またはメーカーの支社などに購入仕様書の内容を問い合わせる。代理店、販売会社、またはメーカーの支社などが購入仕様書を所持していなければ、代理店、販売会社、またはメーカーの支社などが、さらに、設計者に購入仕様書の内容を問い合わせる。購入仕様書の内容が設計者に問い合わせられると、設計者は、過去に設計された産業用モータの仕様を調査する。購入者であった設備またはプラントのメーカーと、販売者であった、代理店、販売会社、またはメーカーの支社などと、設計者の各々は、購入仕様書の内容が確認できると、問い合わせ元へ購入仕様書の内容を連絡する。このようにして、ユーザは購入仕様書を確認することができる。このように、従来における産業用モータの発注の流れでは、ユーザが購入仕様書の内容を確認するために、多くの人手を要するとともに長い時間を要することがあった。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる情報提供装置10を備える電子商取引システム1の構成例を示す図である。電子商取引システム1は、販売品目に産業用モータ2が含まれる電子商取引システムである。電子商取引システム1は、例えば、産業用モータ2を販売する販売者によって運用される。実施の形態1において、産業用モータ2は、汎用モータであって、例えば、主に工場等における動力源に使用される誘導モータである。実施の形態1において、ユーザは、既設品である産業用モータ2を含む設備のユーザである。または、ユーザは、既設品である産業用モータ2を含むプラントのユーザであっても良い。
電子商取引システム1は、ユーザ端末と情報提供装置10とを備える。ユーザ端末は、ユーザによって使用される情報処理装置であって、PC(Personal Computer)5または携帯端末6である。携帯端末6は、通信機能と撮影機能とを有する携帯可能な情報処理端末であって、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末といった移動体通信端末である。以下の説明では、PC5と携帯端末6との各々を区別せずにユーザ端末と称する。
情報提供装置10は、例えば、1つ以上のクラウドサーバによって構成される。クラウドサーバは、クラウドサービスプラットフォームにおいて提供されるコンピュータ資源を含むクラウド環境に構築されるサーバである。なお、情報提供装置10は、クラウドサーバ以外のサーバであってもよく、例えば、オンプレミスのサーバであっても良い。
情報提供装置10とユーザ端末とは、ネットワークを介して接続される。情報提供装置10とユーザ端末とは、ネットワークを介して互いに通信を行う。ネットワークは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)であるが、LAN(Local Area Network)であっても良い。
産業用モータ2には、名板3が取り付けられている。名板3には、産業用モータ2の主な仕様を示す情報が記載されている。名板3に記載される仕様の項目は任意であって、例えば、メーカー名、製品名、モータ容量、定格電圧、周波数、定格電流、回転速度、効率、力率、効率クラス、枠番、定格仕様、耐熱クラス、適用規格、ベアリング番号、製造年月、または製造番号などである。名板3には、1つの項目につき単一の仕様を示す情報が記載されるか、または、1つの項目につき複数の仕様を示す情報が記載されても良い。1つの項目につき複数の仕様を示す情報が記載されるとは、例えば、電圧と周波数との組という項目について複数の組が記載される場合などである。名板3には、符号化された情報を示すコードが付与されていても良い。コードの一例は、2次元コードである。名板3には、2次元コード以外のコードが付与されても良い。名板3には、産業用モータ2の特性を示す特性情報が記載されても良い。産業用モータ2の特性情報には、例えば、始動トルク、始動電流、または停動トルクなどの情報が含まれる。
ユーザ端末がPC5である場合、ユーザは、撮影機能を有する機器により名板3を撮影する。撮影機能を有する機器の例は、カメラ4である。カメラ4は、PC5へ画像を転送する。PC5は、カメラ4から転送された画像を情報提供装置10へ送信する。ユーザ端末が携帯端末6である場合、ユーザは、携帯端末6により名板3を撮影する。携帯端末6は、携帯端末6により撮影された画像を情報提供装置10へ送信する。このように、ユーザ端末は、既設品の名板3を撮影した画像を情報提供装置10へ送信する。情報提供装置10は、ユーザ端末によって撮影された画像を受信する。なお、名板3にコードが付されている場合、ユーザ端末は、コードを復号化し、復号化された情報を画像とともに情報提供装置10へ送信しても良い。
情報提供装置10は、ユーザ端末から送信された画像を受信する。情報提供装置10は、受信された画像の解析によって、名板3に記載されている情報である名板情報を取得する。復号化された情報が画像とともに情報提供装置10へ送信された場合、情報提供装置10は、画像の解析によって取得された情報に復号化された情報を加えた名板情報を取得する。
情報提供装置10は、情報提供装置10に格納されている仕様情報と名板情報とを照合し、既設品である産業用モータ2の仕様を示す仕様情報をユーザ端末へ送信する。産業用モータ2の仕様情報には、例えば、メーカー名、製品名、モータ容量、定格電圧、周波数、定格電流、回転速度、効率、力率、効率クラス、枠番、定格仕様、耐熱クラス、適用規格、ベアリング番号、製造年月、または製造番号などの情報が含まれる。ユーザ端末は、情報提供装置10から送信された仕様情報を受信する。このようにして、情報提供装置10は、既設品である産業用モータ2の仕様情報をユーザへ提供する。
ユーザ端末がPC5である場合、PC5は、例えば、電子商取引システム1の運用者によって運用されるwebサイトを介して画像の送信と仕様情報の受信とを行う。ユーザ端末が携帯端末6である場合、携帯端末6は、例えば、アプリを使用して画像の送信と仕様情報の受信とを行う。かかるアプリは、電子商取引システム1の運用者によって配布され、携帯端末6にあらかじめインストールされる。
また、情報提供装置10は、既設品の仕様情報を基に、既設品との交換が可能な現行品である産業用モータ2を選定して、選定された現行品についての情報をユーザ端末へ送信する。ユーザ端末がPC5である場合、PC5は、例えば上記のwebサイトを介して、選定された現行品についての情報を受信する。ユーザ端末が携帯端末6である場合、携帯端末6は、例えば、上記のアプリを使用して、選定された現行品についての情報を受信する。
ユーザは、購入サイト7を利用して、現行品を購入する。購入サイト7は、電子商取引システム1の運用者によって運用される電子商取引(Electronic Commerce:EC)サイトである。ユーザ端末がPC5である場合、PC5は、webサイトである購入サイト7へアクセスする。ユーザ端末が携帯端末6である場合、携帯端末6には、購入サイト7のアプリがあらかじめインストールされ、携帯端末6で購入サイト7のアプリが開かれる。
次に、情報提供装置10の構成について説明する。図2は、実施の形態1にかかる情報提供装置10の構成例を示す図である。情報提供装置10は、情報提供装置10の外部の装置との通信を行う通信部11と、各種処理を実行する処理部12と、情報を記憶する記憶部13とを備える。処理部12は、取得部14と、解析部15と、仕様情報提供処理部16と、購入支援処理部17とを備える。
記憶部13は、特性情報が格納される特性データベースと、仕様情報が格納される仕様データベースと、販売情報が格納される販売データベースとを記憶する。特性データベースには、複数の産業用モータ2の各々についての特性情報が格納される。仕様データベースには、複数の産業用モータ2の各々についての仕様情報が格納される。なお、記憶部13に特性情報と仕様情報とが記憶される対象である複数の産業用モータ2には、現行機種の産業用モータ2と過去の機種の産業用モータ2とが含まれる。現行機種とは、現在販売されている機種とする。過去の機種とは、過去に製造され現在は製造されていない機種とする。
販売データベースには、現在販売されている種々の現行機種の産業用モータ2についての販売情報が格納される。販売情報には、産業用モータ2の価格を示す価格情報と、産業用モータ2の納期を示す納期情報とが含まれる。
通信部11は、ユーザ端末から送信される情報を受信する。取得部14は、通信部11によって受信された情報を通信部11から取得する。取得部14は、ユーザ端末から情報提供装置10へ送信された画像を取得する。取得部14は、取得された画像を解析部15へ出力する。ユーザ端末によって復号化された情報が情報提供装置10へ送信される場合、取得部14は、復号化された情報を取得する。取得部14は、復号化された情報を解析部15へ出力する。
解析部15は、解析部15へ入力された画像を解析することによって、名板3に記載されている情報を読み取る。解析部15は、名板3から読み取られた情報である名板情報を仕様情報提供処理部16へ出力する。復号化された情報が解析部15へ入力された場合、解析部15は、復号化された情報を含めた名板情報を仕様情報提供処理部16へ出力する。
仕様情報提供処理部16は、既設品である産業用モータ2の名板3から読み取られた情報である名板情報を基に既設品の仕様情報を記憶部13から読み出して既設品の仕様情報をユーザへ提供する処理を実行する。仕様情報提供処理部16は、仕様情報提供処理部16へ入力された名板情報と仕様データベースに格納されている仕様情報とを照合する。仕様情報提供処理部16は、名板情報と仕様情報とを照合した結果を基に、仕様データベースに格納されている仕様情報の中から、既設品である産業用モータ2の仕様を示す仕様情報を特定する。このように、仕様情報提供処理部16は、画像に写された名板3から読み取られた名板情報を基に、既設品の仕様情報を記憶部13から読み出す。仕様情報提供処理部16は、特定された仕様情報を通信部11へ出力する。通信部11は、特定された仕様情報をユーザ端末へ送信する。このようにして、情報提供装置10は、既設品の仕様情報をユーザへ提供する。また、仕様情報提供処理部16は、特定された仕様情報を購入支援処理部17へ出力する。
購入支援処理部17は、既設品の仕様情報を基に、既設品との交換が可能な現行品を複数の産業用モータ2の中から選定して、選定された現行品についての情報をユーザへ提供する処理を、ユーザによる産業用モータ2の購入を支援する処理として実行する。購入支援処理部17は、購入支援処理部17へ入力された仕様情報である既設品の仕様情報を基に、現行品を選定する。
選定された現行品について購入支援処理部17によってユーザへ提供される情報は、仕様情報、価格情報、および納期情報である。購入支援処理部17は、選定された現行品の仕様情報を仕様データベースから読み出す。購入支援処理部17は、選定された現行品の価格情報と選定された現行品の納期情報とを販売データベースから読み出す。仕様情報提供処理部16は、記憶部13から読み出された情報である、仕様情報、価格情報、および納期情報を、通信部11へ出力する。通信部11は、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末へ送信する。このようにして、情報提供装置10は、選定された現行品についての情報である、仕様情報、価格情報、および納期情報を、ユーザへ提供する。
購入支援処理部17は、既設品と同機種であってかつ現行機種の産業用モータ2が複数の産業用モータ2の中に存在する場合、既設品と同機種かつ現行機種の産業用モータ2を現行品として選定する。同機種とは、機種が同じであることを指すものとする。購入支援処理部17は、既設品と同機種であってかつ現行機種の産業用モータ2が複数の産業用モータ2の中に存在しない場合、既設品の機種との代替が可能な機種であってかつ現行機種の産業用モータ2を現行品として選定する。購入支援処理部17は、既設品の仕様および特性と現行機種の複数の産業用モータ2の各々の仕様および特性とを比較することによって、現行機種の複数の産業用モータ2の中から、既設品との代替が可能な現行品である代替品を選定する。購入支援処理部17は、選定された現行品を購入可能な購入サイト7への案内をユーザに提示する処理を、ユーザによる産業用モータ2の購入を支援する処理としてさらに実行する。
ユーザ端末がPC5である場合、購入支援処理部17は、例えば、選定された現行品を購入可能な購入サイト7のリンク先をPC5に表示させることによって、購入サイト7への案内をユーザに提示する。ユーザ端末が携帯端末6である場合、購入支援処理部17は、例えば、選定された現行品を購入可能な購入サイト7のアプリ名を携帯端末6に表示させることによって、購入サイト7への案内をユーザに提示する。このように、購入支援処理部17は、選定された現行品を購入可能な購入サイト7への案内をユーザ端末に表示させる。
また、購入支援処理部17は、既設品の仕様情報に示される仕様の中に特殊仕様が含まれる場合、代替品を複数の産業用モータ2の中から選定して、選定された代替品についての情報をユーザへ提供する処理を、ユーザによる産業用モータ2の購入を支援する処理としてさらに実行する。購入支援処理部17によって選定される代替品は、特殊仕様が標準仕様に置き換えられた機種であってかつ現行機種の産業用モータ2である。選定された代替品について購入支援処理部17によってユーザへ提供される情報は、現行品の場合と同様に、仕様情報、価格情報、および納期情報である。
購入支援処理部17は、選定された代替品を購入可能な購入サイト7への案内をユーザに提示する処理を、ユーザによる産業用モータ2の購入を支援する処理としてさらに実行する。ユーザ端末がPC5である場合、現行品についての案内の場合と同様に、購入支援処理部17は、選定された代替品を購入可能な購入サイト7のリンク先をPC5に表示させるか、または、選定された代替品を購入可能な購入サイト7のアプリ名を携帯端末6に表示させることによって、購入サイト7への案内をユーザに提示する。
次に、情報提供装置10の動作手順について説明する。図3および図4は、実施の形態1にかかる情報提供装置10の動作手順の例を示すフローチャートである。
ユーザ端末は、名板3を撮影した画像を情報提供装置10へ送信する。または、ユーザ端末は、名板3に付されているコードを復号化し、名板3を撮影した画像と復号化された情報とを情報提供装置10へ送信する。通信部11は、画像、または、画像および復号化された情報を受信する。図3に示すステップS1において、取得部14は、画像、または、画像および復号化された情報を取得する。取得部14は、画像を解析部15へ出力する。または、取得部14は、画像および復号化された情報を解析部15へ出力する。
ステップS2において、解析部15は、解析部15へ入力された画像を解析する。解析部15は、名板3に記載されている情報を読み取り、名板情報を仕様情報提供処理部16へ出力する。復号化された情報が解析部15へ入力された場合、解析部15は、復号化された情報を含めた名板情報を仕様情報提供処理部16へ出力する。
ステップS3において、仕様情報提供処理部16は、名板情報と仕様データベースの情報とに基づいて既設品の仕様情報を取得する。仕様情報提供処理部16は、例えば、名板情報に示される製造番号と一致する製造番号を含む仕様情報を仕様データベースから抽出することによって、既設品である産業用モータ2の仕様情報を取得する。仕様情報提供処理部16は、ステップS3において取得された仕様情報を通信部11と購入支援処理部17との各々へ出力する。
ステップS4において、通信部11は、仕様情報をユーザ端末へ送信する。ユーザ端末は、仕様情報を受信し、ユーザ端末の画面に仕様情報を表示する。
ステップS5において、購入支援処理部17は、購入支援処理部17へ入力された仕様情報を基に、既設品が現行機種であるか否かを判断する。購入支援処理部17は、仕様情報のうち、例えば、メーカー名、製品名、製造年月、または製造番号などに基づいて、既設品が現行機種であるか否かを判断する。既設品が現行機種であると判断した場合(ステップS5,Yes)、情報提供装置10は、ステップS6へ手順を進める。一方、既設品が現行機種ではないと判断した場合(ステップS5,No)、情報提供装置10は、図4に示すステップS14へ手順を進める。
ステップS6において、購入支援処理部17は、既設品の仕様が標準仕様であるか否かを判断する。購入支援処理部17は、仕様情報の内容を基に、既設品の仕様が標準仕様であるか否かを判断する。既設品の仕様が標準仕様であると判断した場合(ステップS6,Yes)、情報提供装置10は、ステップS7へ手順を進める。一方、既設品の仕様が標準仕様ではないと判断した場合、すなわち、既設品の仕様が特殊仕様であると判断した場合(ステップS6,No)、情報提供装置10は、ステップS9へ手順を進める。
ステップS7およびステップS8は、既設品が現行機種かつ標準仕様である場合の手順である。ステップS7において、購入支援処理部17は、標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。すなわち、購入支援処理部17は、既設品と同じ標準仕様の現行品である産業用モータ2についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。購入支援処理部17は、仕様データベースから標準仕様の現行品の仕様情報を読み出すことによって、標準仕様の現行品の仕様情報を取得する。購入支援処理部17は、販売データベースから標準仕様の現行品の価格情報と標準仕様の現行品の納期情報とを読み出すことによって、標準仕様の現行品の価格情報と標準仕様の現行品の納期情報とを取得する。
ステップS8において、購入支援処理部17は、標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。購入支援処理部17は、ステップS7において取得された、仕様情報、価格情報、および納期情報を、通信部11へ出力する。通信部11は、標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、ユーザ端末へ送信する。ユーザ端末は、標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を受信し、標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末の画面に表示する。このようにして、標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報がユーザに提示される。ステップS8の手順を終えると、ステップS13において、購入支援処理部17は、標準仕様の現行品を購入可能な購入サイト7を案内する。購入サイト7を案内するとは、購入サイト7への案内を提示することを指すものとする。
ユーザは、標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を確認することで、標準仕様の現行品の購入を検討する。標準仕様の現行品を購入する場合、ユーザは、ユーザ端末の画面に示される案内に従って購入サイト7へ進み、標準仕様の現行品の購入手続きを行う。これにより、ユーザは、既設品と同じ標準仕様の産業用モータ2を購入することができる。ユーザが購入する産業用モータ2は現行機種かつ標準仕様であるため、比較的安価で、かつ、比較的短い納期で産業用モータ2を手配することができる。
ステップS9からステップS12は、既設品が現行機種かつ特殊仕様である場合の手順である。ステップS9において、購入支援処理部17は、仕様データベースの仕様情報を参照し、既設品の特殊仕様の内容を解析する。ステップS10において、購入支援処理部17は、ステップS9において解析された特殊仕様の内容を基に、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。すなわち、購入支援処理部17は、既設品と同じ特殊仕様の現行品である産業用モータ2についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。購入支援処理部17は、仕様データベースから特殊仕様の現行品の仕様情報を読み出すことによって、特殊仕様の現行品の仕様情報を取得する。購入支援処理部17は、販売データベースから特殊仕様の現行品の価格情報と特殊仕様の現行品の納期情報とを読み出すことによって、特殊仕様の現行品の価格情報と特殊仕様の現行品の納期情報とを取得する。
ステップS11において、購入支援処理部17は、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。購入支援処理部17は、ステップS10において取得された、仕様情報、価格情報、および納期情報を、通信部11へ出力する。通信部11は、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、ユーザ端末へ送信する。ユーザ端末は、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を受信し、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末の画面に表示する。このようにして、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報がユーザに提示される。
ステップS12において、購入支援処理部17は、代替機種の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。ステップS12における代替機種の現行品は、ステップS9において解析された特殊仕様を標準仕様に代替した代替品である。購入支援処理部17は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。購入支援処理部17は、仕様データベースから代替品の仕様情報を読み出すことによって、代替品の仕様情報を取得する。購入支援処理部17は、販売データベースから代替品の価格情報と代替品の納期情報とを読み出すことによって、代替品の価格情報と代替品の納期情報とを取得する。
購入支援処理部17は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、通信部11へ出力する。通信部11は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、ユーザ端末へ送信する。ユーザ端末は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を受信し、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末の画面に表示する。このようにして、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報がユーザに提示される。なお、購入支援処理部17により仕様情報、価格情報、および納期情報が提示される代替品の数は任意であるものとする。
ステップS12の手順を終えると、ステップS13において、購入支援処理部17は、特殊仕様の現行品を購入可能な購入サイト7と、代替品を購入可能な購入サイト7とを案内する。
ユーザは、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を確認することで、特殊仕様の現行品の購入を検討する。特殊仕様の現行品を購入する場合、ユーザは、ユーザ端末の画面に示される案内に従って購入サイト7へ進み、特殊仕様の現行品の購入手続きを行う。これにより、ユーザは、既設品と同じ特殊仕様の全てを満たす産業用モータ2を購入することができる。
特殊仕様の産業用モータ2は、特殊仕様の内容によって、価格が高いことがあり、または、納期が長くなることがある。例えば、端子箱の向きが標準仕様とは異なるという特殊仕様の場合、産業用モータ2の最終の組立工程において端子箱の向きを標準仕様の場合とは変えて端子箱を取り付ければ良いため、価格および納期は、いずれも、標準仕様の場合と変わらない可能性が高い。これに対し、負荷である装置が取り付けられる軸端の形状が標準仕様とは異なるという特殊仕様の場合、製造の初期段階において取り付けられる部品の1つであるシャフトの加工内容が標準仕様の場合とは異なるため、加工工数の増加により価格が高くなる可能性が高い。また、あらかじめ用意された部品を使えず部品の製造が必要となるため、納期が長くなる可能性が高くなる。
ユーザは、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報のみならず、代替品についても、仕様情報、価格情報、および納期情報を確認することができる。ユーザは、情報提供装置10によって提供されるこれらの情報を基に、特殊仕様の現行品と代替品とのいずれを購入するかを決めることができる。代替品を購入する場合、ユーザは、ユーザ端末の画面に示される案内に従って購入サイト7へ進み、代替品の購入手続きを行う。代替品を購入する場合、価格を安くできる、または、納期を早めることができるという利点がある。情報提供装置10は、特殊仕様から標準仕様への変更により価格を安くできる、または納期を早めるというように購入条件を有利にできるような産業用モータ2の購入をユーザに提案することができる。
ステップS14において、購入支援処理部17は、特性データベースの特性情報を参照し、名板3の特性値を解析する。ステップS15において、購入支援処理部17は、仕様データベースの仕様情報を参照し、既設品の仕様における特殊仕様の有無を解析する。ステップS16において、購入支援処理部17は、ステップS14およびステップS15における解析の結果を基に、既設品が標準仕様の現行品で代替可能であるか否かを判断する。既設品が標準仕様の現行品で代替可能と判断した場合(ステップS16,Yes)、情報提供装置10は、ステップS17へ手順を進める。一方、既設品が標準仕様の現行品で代替可能ではないと判断した場合(ステップS16,No)、情報提供装置10は、ステップS19へ手順を進める。
ステップS17およびステップS18は、既設品が過去の機種であって、かつ、既設品が標準仕様の現行品で代替可能である場合の手順である。ステップS17において、購入支援処理部17は、代替可能な現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。すなわち、購入支援処理部17は、既設品と代替可能な標準仕様の現行品である産業用モータ2についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。購入支援処理部17は、既設品の仕様および特性と現行機種の複数の産業用モータ2の各々の仕様および特性とを比較し、現行機種の複数の産業用モータ2の中から既設品の仕様および特性と最も近い仕様および特性の現行品を、代替可能な現行品として選定する。すなわち、購入支援処理部17は、既設品の仕様および特性と現行機種の複数の産業用モータ2の各々の仕様および特性とを比較することによって、現行機種の複数の産業用モータ2の中から、既設品との代替が可能な現行品である代替品を選定する。購入支援処理部17は、仕様データベースから代替品の仕様情報を読み出すことによって、代替品の仕様情報を取得する。購入支援処理部17は、販売データベースから代替品の価格情報と代替品の納期情報とを読み出すことによって、代替品の価格情報と代替品の納期情報とを取得する。
ステップS18において、購入支援処理部17は、代替可能な現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。購入支援処理部17は、ステップS17において取得された、仕様情報、価格情報、および納期情報を、通信部11へ出力する。通信部11は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、ユーザ端末へ送信する。ユーザ端末は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を受信し、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末の画面に表示する。このようにして、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報がユーザに提示される。ステップS18の手順を終えると、ステップS13において、購入支援処理部17は、代替品を購入可能な購入サイト7を案内する。
ユーザは、既設品と代替可能な標準仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を確認することで、標準仕様の現行品の購入を検討する。標準仕様の現行品を購入する場合、ユーザは、ユーザ端末の画面に示される案内に従って購入サイト7へ進み、標準仕様の現行品の購入手続きを行う。これにより、ユーザは、既設品と代替可能な産業用モータ2を購入することができる。ユーザが購入する産業用モータ2は現行機種かつ標準仕様であるため、比較的安価で、かつ、比較的短い納期で産業用モータ2を手配することができる。
ステップS19からステップS22は、既設品が過去の機種であって、かつ、既設品が標準仕様の現行品で代替可能ではない場合の手順である。ステップS19において、購入支援処理部17は、仕様データベースの仕様情報を参照し、既設品の特殊仕様の内容を解析する。ステップS20において、購入支援処理部17は、ステップS19において解析された特殊仕様の内容を基に、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。購入支援処理部17は、既設品の仕様および特性と最も近い仕様および特性の現行品をベースとして特殊仕様を設定する。購入支援処理部17は、設定された特殊仕様を満たす現行品の仕様情報を仕様データベースから読み出すことによって、特殊仕様の現行品の仕様情報を取得する。購入支援処理部17は、設定された特殊仕様を満たす現行品の価格情報と、設定された特殊仕様を満たす現行品の納期情報とを販売データベースから読み出すことによって、特殊仕様の現行品の価格情報と特殊仕様の現行品の納期情報とを取得する。
ステップS21において、購入支援処理部17は、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。購入支援処理部17は、ステップS20において取得された、仕様情報、価格情報、および納期情報を、通信部11へ出力する。通信部11は、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、ユーザ端末へ送信する。ユーザ端末は、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を受信し、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末の画面に表示する。このようにして、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報がユーザに提示される。
ステップS22において、購入支援処理部17は、代替機種の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。ステップS22における代替機種の現行品は、上記の設定された特殊仕様を標準仕様に代替した代替品である。購入支援処理部17は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を取得する。購入支援処理部17は、仕様データベースから代替品の仕様情報を読み出すことによって、代替品の仕様情報を取得する。購入支援処理部17は、販売データベースから代替品の価格情報と代替品の納期情報とを読み出すことによって、代替品の価格情報と代替品の納期情報とを取得する。購入支援処理部17は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、通信部11へ出力する。通信部11は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を、ユーザ端末へ送信する。ユーザ端末は、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を受信し、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末の画面に表示する。このようにして、代替品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報がユーザに提示される。なお、購入支援処理部17により仕様情報、価格情報、および納期情報が提示される代替品の数は任意であるものとする。
ステップS22の手順を終えると、ステップS13において、購入支援処理部17は、特殊仕様の現行品を購入可能な購入サイト7と、代替品を購入可能な購入サイト7とを案内する。ステップS13を終えると、情報提供装置10は、図3および図4に示す手順による動作を終了する。
ユーザは、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報を確認することで、特殊仕様の現行品の購入を検討する。特殊仕様の現行品を購入する場合、ユーザは、ユーザ端末の画面に示される案内に従って購入サイト7へ進み、特殊仕様の現行品の購入手続きを行う。これにより、ユーザは、既設品の仕様および特性と最も近い仕様および特性の現行品をベースとして設定された特殊仕様を全て満たす産業用モータ2を購入することができる。
ユーザは、特殊仕様の現行品についての、仕様情報、価格情報、および納期情報のみならず、代替品についても、仕様情報、価格情報、および納期情報を確認することができる。ユーザは、情報提供装置10によって提供されるこれらの情報を基に、特殊仕様の現行品と代替品とのいずれを購入するかを決めることができる。代替品を購入する場合、ユーザは、ユーザ端末の画面に示される案内に従って購入サイト7へ進み、代替品の購入手続きを行う。代替品を購入する場合、価格を安くできる、または、納期を早めることができるという利点がある。情報提供装置10は、特殊仕様から標準仕様への変更により価格を安くできる、または納期を早めるというように購入条件を有利にできるような産業用モータ2の購入をユーザに提案することができる。
ここで、産業用モータ2の特殊仕様の例について説明する。特殊仕様の例としては、回転方向、塗装、端子箱の取付向き、特殊端子箱、軸端の形状、プレロードスプリングの位置、保護装置、ベアリング、軸仕様、巻線仕様、耐熱クラス、防食処理、および熱帯処理などが挙げられる。これらの仕様が採用される場合における、価格および納期への影響の例について説明する。
回転方向については、最終の組立工程において配線を変えることで対応可能であるため、価格および納期への影響は小さいと考えられる。塗装については、部品の塗装の場合と最終の組立工程での塗装の場合とがあるため、価格および納期への影響は場合により異なる。端子箱の取付位置については、最終の組立工程において仕込み品である部品の向きを変えることで対応可能であるため、価格および納期への影響は小さいと考えられる。特殊端子箱については、最終の組立工程において部品を変更することで対応可能であるが、価格および納期への影響は場合により異なる。プレロードスプリングの位置については、最終の組立工程において仕込み品である部品の向きを変えることで対応可能であるため、価格および納期への影響は小さいと考えられる。
保護装置については、組立段階での部品の追加が必要であって、部品の増加および組立工程の増加により費用が高くなる。また、組立順によっては納期が長くなると考えられる。ベアリングについては、ロータの組立段階において変更されるため、価格および納期への影響は中程度と考えられる。軸仕様についての特殊仕様とは、軸の長さ、軸端の径、またはキー溝の形状が特殊である場合、あるいは、軸端加工が特殊である場合などがある。仕様によりシャフトの加工が変わることとなるため、価格および納期への影響は大きいと考えられる。巻線仕様については、コアの製造における巻線機の設定を変更することにより特殊品を製造する必要があるため、価格および納期への影響は大きいと考えられる。耐熱クラス、防食処理、および熱帯処理の各々については、巻線に特殊な処理を施すこととなるため、価格および納期への影響は大きいと考えられる。
このように、特殊仕様が採用される場合における価格および納期への影響は、仕様によってさまざまである。ユーザは、特殊仕様を標準仕様に変更することによるこのような影響を考慮して、特殊仕様の現行品を購入するか、または標準仕様の代替品を購入するかを選択することができる。
実施の形態1によると、購入支援処理部17は、既設品の仕様情報を基に、既設品との交換が可能な現行品を複数の産業用モータ2の中から選定して、選定された現行品についての情報をユーザへ提供する処理を、ユーザによる産業用モータ2の購入を支援する処理として実行する。ユーザは、購入支援処理部17によって提供される情報を基に、既設品と交換可能な現行品を購入するための確認を容易に行うことができる。以上により、実施の形態1にかかる情報提供装置10は、既設品と交換可能な現行品についての情報をユーザへ提供することができる、という効果を奏する。実施の形態1にかかる情報提供装置10により、ユーザは、既設品と交換可能な現行品を購入するための確認を容易に行うことが可能となる。
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1にて図3および図4を参照して説明した手順に追加される手順の例について説明する。実施の形態2において、購入支援処理部17は、複数の産業用モータ2の中から選定された産業用モータ2についての、始動トルク、始動電流、および停動トルクの各情報をユーザへ提供する処理を、ユーザによる産業用モータ2の購入を支援する処理としてさらに実行する。
図5は、実施の形態2において情報提供装置10の動作手順に追加される動作手順の例を示すフローチャートである。ステップS31において、購入支援処理部17は、始動トルク、始動電流、および停動トルクの各情報をユーザ端末に提示させる。購入支援処理部17は、上記のステップS8、ステップS11、ステップS12、ステップS18、ステップS21、またはステップS22における仕様情報、価格情報、および納期情報を提示させる際に、始動トルク、始動電流、および停動トルクの各々を提示させる。ステップS31を終えることにより、情報提供装置10は、図5に示す手順による動作を終了する。
産業用モータ2、特に商用電源駆動の産業用モータ2では、始動トルク、始動電流、および停動トルクは、重要な特性である。近年において産業用モータ2には高効率化が要求されていることから、新機種の産業用モータ2の効率は、旧機種の産業用モータ2に比べて高い。高効率の誘導モータは、誘導モータの特性上、始動トルクと停動トルクとの各々が低く、かつ、始動電流が高い傾向がある。このため、旧機種の産業用モータ2を新機種の産業用モータ2と交換する場合、旧機種と同じ容量、同じ電圧、かつ同じ周波数の新機種を選択すると、新機種では、始動トルクと停動トルクとの各々が旧機種よりも低く、かつ、始動電流が旧機種よりも高くなる。
産業用モータ2の始動トルクが下がると、産業用モータ2に接続されている負荷である装置にもよるが、始動に要する時間が長くなる。始動に要する時間が長くなるとともに、さらに始動電流が旧機種に比べて大きいことから、産業用モータ2のオーバーヒートが発生する可能性がある。また、始動電流が旧機種に比べて大きいことから、電源設備または電磁接触器などに負荷をかけることとなるため、産業用モータ2を交換しても電源設備または電磁接触器の使用が可能であるか否かを検討する必要がある。
実施の形態2において、情報提供装置10は、仕様情報、価格情報、および納期情報が提示される産業用モータ2について、始動トルク、始動電流、および停動トルクの各情報を提示する。上記した事情から、始動トルク、始動電流、および停動トルクの各情報は、ユーザが産業用モータ2を購入する際に有用な情報である。ユーザは、始動トルク、始動電流、および停動トルクを確認することで、産業用モータ2の購入を検討し易くなる。これにより、情報提供装置10は、ユーザの利便性を向上させることができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1にて図3および図4を参照して説明した手順に追加される手順の例について説明する。実施の形態3において、購入支援処理部17は、複数の産業用モータ2の中から選定された産業用モータ2の使用形態の選択を受け付け、選択された使用形態において産業用モータ2とともに使用される機器についての情報をユーザへ提供する処理を、ユーザによる産業用モータ2の購入を支援する処理としてさらに実行する。
図6は、実施の形態3において情報提供装置10の動作手順に追加される動作手順の例を示すフローチャートである。購入支援処理部17は、複数の産業用モータ2の中から選定された産業用モータ2の使用形態の選択をユーザ端末において受け付ける。ユーザは、ユーザ端末を操作することによって、産業用モータ2の使用形態を選択する。使用形態の選択肢には、商用電源駆動とインバータ駆動とが含まれるものとする。
ステップS41において、購入支援処理部17は、産業用モータ2の使用形態には商用電源駆動が選択されたか否かを判断する。商用電源駆動が選択された場合(ステップS41,Yes)、ステップS42において、購入支援処理部17は、商用電源駆動に使用される機器についての、カタログ情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。カタログ情報とは、カタログに記載されている情報であるものとする。購入支援処理部17は、上記のステップS8、ステップS11、ステップS12、ステップS18、ステップS21、またはステップS22における仕様情報、価格情報、および納期情報を提示させる際に、商用電源駆動に使用される機器についての、カタログ情報、価格情報、および納期情報を提示させる。
一方、商用電源駆動が選択されていない場合(ステップS41,No)、ステップS43において、購入支援処理部17は、産業用モータ2の使用形態にはインバータ駆動が選択されたか否かを判断する。インバータ駆動が選択された場合(ステップS43,Yes)、ステップS44において、購入支援処理部17は、インバータ駆動に使用される機器についての、カタログ情報、価格情報、および納期情報をユーザ端末に提示させる。購入支援処理部17は、上記のステップS8、ステップS11、ステップS12、ステップS18、ステップS21、またはステップS22における仕様情報、価格情報、および納期情報を提示させる際に、インバータ駆動に使用される機器についての、カタログ情報、価格情報、および納期情報を提示させる。
ステップS42またはステップS44を終えることにより、情報提供装置10は、図6に示す手順による動作を終了する。または、インバータ駆動が選択されていない場合(ステップS43,No)、すなわち、商用電源駆動およびインバータ駆動のいずれも選択されていない場合も、情報提供装置10は、図6に示す手順による動作を終了する。
産業用モータ2の商用電源駆動に必要な周辺機器としては、漏電遮断器、電磁接触器、配線用遮断器、サーマルリレー、またはモータベースなどといった機器がある。サーマルリレーおよび電磁接触器の各々には、産業用モータ2の電圧または容量といった仕様、あるいは産業用モータ2の制御回路に合わせたさまざまな種類がある。
産業用モータ2のインバータ駆動に必要な周辺機器としては、駆動に必要なインバータ、回生コンバータ、漏電遮断器、電磁接触器、配線用遮断器、リアクトル、ノイズフィルタ、ブレーキ抵抗器などといった機器がある。インバータおよび配線用遮断器の各々には、産業用モータ2の電圧または容量といった仕様に合わせたさまざまな種類がある。
実施の形態3において、情報提供装置10は、選択された使用形態において産業用モータ2とともに使用される機器についての情報をユーザへ提供する。情報提供装置10は、ユーザによって選択された使用形態に合わせた周辺機器について、カタログ情報、価格情報、および納期情報といった情報をユーザに提供する。ユーザは、産業用モータ2についての購入の検討と併せて、産業用モータ2とともに使用される周辺機器についても購入を検討することができる。これにより、情報提供装置10は、ユーザの利便性を向上させることができる。電子商取引システム1は、情報提供装置10によりユーザへ情報が提供された周辺機器について、産業用モータ2とまとめて購入手続きを受け付けることとしても良い。これにより、ユーザは、産業用モータ2と周辺機器とをまとめて購入することができる。
なお、情報提供装置10は、実施の形態3で説明する動作手順と、実施の形態2で説明する動作手順とを併せて実行することとしても良い。産業用モータ2の使用形態にインバータ駆動が選択された場合、購入支援処理部17は、始動トルク、始動電流、および停動トルクといった、商用電源駆動の特性についての情報を提示する代わりに、インバータ駆動の特性についての情報を提示しても良い。インバータ駆動の特性についての情報とは、例えば、回転速度およびトルクの特性についての情報、または、回転速度およびトルクの特性に対応する電流の情報などである。インバータ駆動が選択された場合でも、非常時には商用電源駆動により産業用モータ2を駆動することが想定されることから、購入支援処理部17は、商用電源駆動の特性についての情報にインバータ駆動の特性についての情報を追加して提示しても良い。ユーザは、商用電源駆動とインバータ駆動とのそれぞれについて、産業用モータ2の選定に必要な特性情報を確認できることで、用途に応じた産業用モータ2の購入を検討し易くなる。これにより、情報提供装置10は、ユーザの利便性を向上させることができる。
次に、実施の形態1から3にかかる情報提供装置10のハードウェア構成について説明する。図7は、実施の形態1から3にかかる情報提供装置10のハードウェア構成例を示す図である。情報提供装置10は、処理回路20と通信装置21とを備えるコンピュータシステムにより実現される。処理回路20は、プロセッサ22およびメモリ23を備える。処理回路20は、プロセッサ22がソフトウェアを実行する回路である。
情報提供装置10の処理部12は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ23に格納される。処理回路20では、メモリ23に記憶されたプログラムである情報提供プログラムをプロセッサ22が読み出して実行することにより、処理部12の各機能を実現する。すなわち、処理回路20は、情報提供装置10の処理が結果的に実行されることになる情報提供プログラムを格納するためのメモリ23を備える。また、情報提供プログラムは、情報提供装置10の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
プロセッサ22は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSP(Digital Signal Processor)である。メモリ23は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。情報提供装置10の記憶部13は、メモリ23により実現される。情報提供装置10の通信部11は、通信装置21により実現される。なお、情報提供装置10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいても良い。情報提供プログラムは、CD(Compact Disc)-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体に格納され、各実施の形態を実現させるために記録媒体が提供されても良い。
情報提供装置10は、2つ以上の装置、例えば、2つ以上のサーバで構成されてもよい。情報提供装置10は、処理サーバと、データサーバとで構成されても良い。情報提供装置10が2以上の装置で構成される場合、2つ以上の装置の各々は、例えば、図7に示すハードウェア構成を有する。なお、2つ以上の装置間の通信は、通信装置21を介して行われる。
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。