JP7393744B2 - 発振器、温度補償回路、及び温度補償方法 - Google Patents

発振器、温度補償回路、及び温度補償方法 Download PDF

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Description

本発明は、発振器、温度補償回路、及び温度補償方法に関する。
引用文献1には、温度検出回路からの温度情報に対応して関数発生回路により温度補償電圧を電圧制御発振回路に加えて得られる温度補償水晶発振器において、温度補償水晶発振器で得られない温度補償誤差を補正するため、該温度検出回路からの温度情報をA/D変換器の情報に応じて、予め温度補償水晶発振器で得られなかった温度補償誤差のデータを記憶したメモリ回路の出力をD/A変換器でアナログ信号に変換した出力電圧と、温度補償水晶発振器の該関数発生回路の出力電圧と、を加算回路に入力して得られた補償電圧を該電圧制御発振回路に入力して補償する温度補償水晶発振器が開示されている。この温度補償水晶発振器は、高精度の温度補償を実現しながら発振器自体を小型化している。
特開2000-341040号公報
引用文献1に記載された水晶振動素子は、周波数温度特性を有しており、その勾配(傾き)、つまり、単位温度あたりの発振周波数についても変化する性質を有している。近年、単位温度あたりの発振周波数が変化する率又は割合を低減させ、発振周波数の精度を向上させることが求められている。
従来の発振器は、周波数温度特性を補正した結果として、単位温度あたりの発振周波数の変化率についても低減させていた。しかしながら、このような間接的な補正方法では、単位温度あたりの発振周波数の変化率の大小にかかわらず、平均して又は全体的に、周波数温度特性を補正しているので、単位温度あたりの周波数の変化率の低減はわずかであり、単位温度当たりの発振周波数の精度は低かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的の1つは単位温度あたりの発振周波数の精度を向上させることのできる発振器、温度補償回路、及び温度補償方法を提供することである。
本発明の一側面に係る発振器は、振動素子と、振動素子の温度を検出する温度検出回路と、温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、振動素子の周波数温度配特性を補正する第1温度補償部であって、次数mは、補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される、第1温度補償部と、温度と次数n(nは正の整数)の多項式近位関数とを用い、補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償部であって、次数nは、さらに補正された周波数温度特性における、第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される、第2温度補償部と、を備える。
本発明の他の側面に係る温度補償回路は、振動素子を含む発振器の温度補償回路であって、振動素子の温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、振動素子の周波数温度配特性を補正する第1温度補償部であって、次数mは、補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される、第1温度補償部と、振動素子の温度と次数n(nは正の整数)の多項式近位関数とを用い、補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償部であって、次数nは、さらに補正された周波数温度特性における、第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される、第2温度補償部と、を備える。
本発明の他の側面に係る温度補償方法は、振動素子を含む発振器の温度補償方法であって、振動素子の温度を検出するステップと、温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、振動素子の周波数温度配特性を補正する第1温度補償ステップであって、次数mは、補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される、第1温度補償ステップと、温度と次数n(nは正の整数)の多項式近位関数とを用い、補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償ステップであって、次数nは、さらに補正された周波数温度特性における、第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される、第2温度補償ステップと、を含む。
本発明によれば、単位温度あたりの発振周波数の精度を向上させることができる。
図1は、一実施形態における発振器の概略構成を例示するブロック図である。 図2は、振動素子の周波数温度特性を例示するグラフである。 図3は、振動素子の周波数温度特性における変動成分を例示するグラフである。 図4は、多項式近似関数を用いて補正した周波数温度特性を例示するグラフである。 図5は、図4に示す周波数温度特性の一部を拡大するグラフである。 図6は、多項式近似関数を用いて補正した周波数温度勾配特性を例示するグラフである。 図7は、図6に示す周波数温度勾配特性の一部を拡大するグラフである。 図8は、3次及び5次の多項式近似関数を用いて補正した周波数温度特性を例示するグラフである。 図9は、図8に示す周波数温度特性の一部を拡大するグラフである。 図10は、多項式近似関数を用いてさらに補正した周波数温度特性を例示するグラフである。 図11は、多項式近似関数を用いてさらに補正した周波数温度勾配特性を例示するグラフである。 図12は、一実施形態における発振器の温度補償方法を例示するフローチャートである。 図13は、一実施形態の変形例における発振器の概略構成を例示するブロック図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
[実施形態]
まず、図1を参照しつつ、一実施形態に従う発振器の構成について説明する。図1は、一実施形態における発振器100の概略構成を例示するブロック図である。
図1に示すように、発振器100は、温度検出回路10と、第1温度補償部20と、第2温度補償部30と、加算回路40と、発振制御回路50と、を備える。発振器100は、例えば、振動素子51が水晶振動素子である場合、振動素子51の発振周波数における温度特性を補償する温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)である。
振動素子51は、ATカット型の水晶片(Quartz Crystal Blank)を含む。ATカット型の水晶片は、人工水晶(Synthetic Quartz Crystal)の結晶軸(Crystallographic Axes)であるX軸、Y軸、Z軸のうち、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸をそれぞれY’軸及びZ’軸とした場合、X軸及びZ’軸によって特定される面と平行な面を主面として切り出されたものである。
ATカット水晶片を用いた水晶振動素子は、広い温度範囲で高い周波数安定性を有する。また、ATカット水晶振動素子は、経時変化特性にも優れている上、低コストで製造することが可能である。さらに、ATカット水晶振動素子は、厚みすべり振動モード(Thickness Shear Vibration Mode)を主振動として用いる。
振動素子51は、一組の励振電極を含む。この一組の励振電極の間に交番電界が印加される。これにより、厚みすべり振動モードによって水晶片の振動部が所定の発振周波数で振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
一般に、振動素子はその温度に応じて発振周波数が変化する性質を有しており、この性質は、「周波数温度特性」又は単に温度特性と呼ばれている。周波数温度特性は、その精度を示す指標として、振動素子の温度に対する発振周波数の変化率が用いられている。
以下において、特に明記する場合を除き、振動素子51は水晶振動素子であり、発振器100は温度補償水晶発振器(TCXO)である例を用いて説明する。
温度検出回路10は、振動素子51の温度、より詳細には、振動素子51の周辺雰囲気の温度を検出するように構成されている。温度検出回路10は、例えば温度センサを含み、温度センサが検出した温度に対応する、アナログの電気信号を出力する。温度検出回路10の出力信号は、第1温度補償部20と第2温度補償部30とに入力される。
前述したように、振動素子は周波数温度特性を有している。振動素子がこの周波数温度特性を有することで、振動素子は、その勾配(傾き)、つまり、単位温度あたりの発振周波数も変化する性質を有している。近年、単位温度あたりの発振周波数が変化する率又は割合を低減させ、発振周波数の精度を向上させることが求められている。本出願では、この性質を「周波数温度勾配特性」といい、その精度を示す指標として、振動素子の温度に対する、単位温度あたりの発振周波数の変化率を用いる。
ここで、図2及び図3を参照しつつ、振動素子の周波数温度特性について説明する。図2は、振動素子51の周波数温度特性を例示するグラフである。図3は、振動素子51の周波数温度特性における変動成分を例示するグラフである。図2及び図3において、横軸は温度検出回路10が検出する振動素子51の温度であり、単位は[℃]である。縦軸は発振周波数の周波数変化率(df/f)であり、単位は[ppb]である。また、図3において、振動素子51の周波数温度特性を実線で示し、周波数温度特性のうちの多項式近似関数で表される成分を破線で示す。
振動素子51がATカット水晶振動素子である場合、図2に示すように、振動素子51の周波数温度特性は、略3次関数のように変化することが知られている。一方、振動素子51の周波数温度特性は、周波数変動又は周波数飛び、振動素子51の構成部材による変動等により、多項式近似関数で表すことができない変動成分を含んでいる。
すなわち、振動素子51の周波数温度特性を振動素子51の温度tを独立変数とする関数と捉えると、振動素子51の周波数温度特性fx(t)は、例えば、多項式近似関数fx1(t)と、変動成分fx2(t)とを用いて以下の式(1)のように表される。
fx(t)=fx1(t)+fx2(t) …(1)
但し、である。
図3に示すように、実線で示す周波数温度特性fx(t)は、ある温度まで多項式近似関数fx1(t)と略同一である。しかし、特に、高い温度範囲において、変動成分fx2(t)の影響が強くなり、周波数温度特性fx(t)は、破線で示す多項式近似関数fx1(t)との差が大きくなる。
従来、多項式近似関数fx1(t)を用いて振動素子51の周波数温度特性fx(t)を補正する場合、変動成分fx2(t)を考慮して高い次数の多項式近似関数fx1(t)を採用していた。これにより、周波数温度特性fx(t)と多項式近似関数fx1(t)との差が小さくなり、周波数温度特性の精度を向上させていた。
ここで、図4から図7を参照しつつ、多項式近似関数を用いた振動素子の周波数温度特性の補正について説明する。図4は、多項式近似関数を用いて補正した周波数温度特性を例示するグラフである。図5は、図4に示す周波数温度特性の一部を拡大するグラフである。図6は、多項式近似関数を用いて補正した周波数温度勾配特性を例示するグラフである。図7は、図6に示す周波数温度勾配特性の一部を拡大するグラフである。図4から図7において、横軸は温度検出回路10が検出する振動素子51の温度であり、単位は[℃]である。図4及び図5において、縦軸は発振周波数の周波数変化率(df/f)であり、単位は[ppb]である。また、図6及び図7において、縦軸は発振周波数の単位温度あたりの周波数変化率(df/f)であり、単位は[ppb/℃]である。
図4に示すように、3次から8次の多項式近似関数のいずれを用いて補正する場合でも、補正後の発振周波数の変化率は、-40[℃]から75[℃]の温度範囲で、約±500[ppb]を達成する。一方、一部の温度範囲、例えば75[℃]以上の温度範囲では、-40[℃]から75[℃]の温度範囲と比較して、補正後の発振周波数の変化率は大きくなっている。
図5に示すように、低次の多項式近似関数、例えば、3次の多項式近似関数を用いて補正する場合、75[℃]から85[℃]の温度範囲で、約±750[ppb]である。一方、高次の多項式近似関数、例えば、8次の多項式近似関数を用いて補正する場合、75[℃]から85[℃]の温度範囲で、約±700[ppb]である。このように、より高い次数の多項式近似関数を用いて補正した方が、周波数温度特性の精度を向上させる点で有利である。
しかしながら、高次の多項式近似関数を用いて補正すると、補正後の周波数温度勾配はその精度が低くなる傾向にある。すなわち、図6及び図7に示すように、高次の多項式近似関数、例えば、8次の多項式近似関数を用いて補正する場合、75[℃]から85[℃]の温度範囲で、約±70[ppb/℃]に達しており、より低い次数の多項式近似関数を用いて補正した方が、周波数温度勾配の精度が高くなっている。
このように、多項式近似関数の次数を高くすることによって、周波数温度特性の精度を向上させようとする場合、補正後の周波数温度特性は、直線性が低下する、つまり、単位温度当たりの発振周波数の変化率が大きくなってしまう。そのため、単位温度当たりの発振周波数の低減はわずかであり、その精度は低くなる。
図1の説明に戻り、本実施形態の第1温度補償部20及び第2温度補償部30は、振動素子51の温度に対する発振周波数の変化率ではなく、単位温度当たり発振周波数の変化率を低減させるように構成されている。詳細については後述するが、第1温度補償部20及び第2温度補償部30において、振動素子51の周波数温度特性を補正に用いる多項式近似関数の次数は、単位温度当たり発振周波数の変化率に注目して設定されている。
第1温度補償部20は、振動素子51の温度と後述する次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とに基づいて、振動素子51の周波数温度特性を補正するように構成されている。具体的には、第1温度補償部20は、A/Dコンバータ21と、信号生成回路22と、メモリ23と、D/Aコンバータ24、とを備える。
A/Dコンバータ21は、アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成されている。A/Dコンバータ21は、温度検出回路10から入力される温度に対応する電気信号を検出された温度のデジタル値である温度データに変換し、出力する。
信号生成回路22は、この温度データから、振動素子51の周波数温度特性を補正するための第1温度補償信号を生成するように構成されている。本実施形態では、第1温度補償信号は、デジタル信号である。信号生成回路22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)等のプロセッサを含んで構成される。
より詳細には、信号生成回路22は、温度データと次数mの多項式近似関数fc1(t)とから振動素子51の周波数温度特性の近似値を算出し、当該近似値に対応する信号を第1温度補償信号として生成する。
次数mの多項式近似関数fc1(t)は、温度を独立変数とするm次関数であり、振動素子51の周波数温度特性を近似した多項式である。次数mの多項式近似関数fc1(t)は、例えば、m個の係数b0、b1、b2、…、bmを用いて以下の式(2)のように表される。
fc1(t)=b0t+b1t+b2t+…+bmt …(2)
メモリ23は、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。メモリ23は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。メモリ23は、次数mの多項式近似関数fc1(t)をあらかじめ記憶している。メモリ23に記憶された次数mの多項式近似関数fc1(t)は、信号生成回路22によって読み出し可能になっている。
ここで、図8及び図9を参照しつつ、多項式近似関数の次数の設定について説明する。図8は、3次及び5次の多項式近似関数を用いて補正した周波数温度特性を例示するグラフである。図9は、図8に示す周波数温度特性の一部を拡大するグラフである。図8及び図9において、横軸は温度検出回路10が検出する振動素子51の温度であり、縦軸は発振周波数の周波数変化率(df/f)である。また、図8及び図9において、5次の多項式近似関数を用いて補正した周波数温度特性を実線で示し、3次の多項式近似関数を用いて補正した周波数温度特性を破線で示す。
図8に示すように、実線で示す、5次の多項式近似関数を用いて補正した温度周波数特性と、破線で示す、3次の多項式近似関数を用いて補正した温度周波数特性とを比較すると、5次の多項式近似関数を用いて補正した温度周波数特性の方が、一見すると発振周波数の変化率が小さくなっている。
所定の温度範囲、例えば、第1温度t1と当該第1温度t1より高い第2温度t2との間の温度範囲に注目すると、図9に示すように、破線で示す、3次の多項式近似関数を用いて補正した温度周波数特性は、実線で示す、5次の多項式近似関数を用いて補正した温度周波数特性と比較して、直線性が高い、つまり、単位温度当たりの発振周波数の変化率が小さくなっている。
すなわち、図9のグラフは、3次の多項式近似関数fc1(t)を用いて補正した周波数温度特性fe1(t)とし、5次の多項式近似関数fc1(t)を用いて補正した周波数温度特性fe1(t)とする場合、周波数温度特性fe1(t)における、第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率と差の絶対値|fe1(t2)-fe1(t1)|は、周波数温度特性fe1(t)における、第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率と差の絶対値|fe1(t2)-fe1(t1)|より小さい(|fe1(t2)-fe1(t1)|<|fe1(t2)-fe1(t1)|)ことを示している。
以上の比較を複数の次数について繰り返し行い、例えば、補正後の周波数温度特性における第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率と差の絶対値が最も小さいものを、第1温度補償部20の多項式近似関数fc1(t)の次数mとして導き出すことが可能となる。
このように、多項式近似関数fc1(t)の次数mが、補正された周波数温度特性における、第1温度t1より高い第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定されることにより、第1温度t1と第2温度t2との間における発振周波数の変化率に基づいて次数mを設定することが可能となるので、単位温度当たりの発振周波数の変化率を低減させる、次数mの多項式近似関数を用いることができる。従って、発振周波数の変化率を低減するように設定されていた従来の近似関数と比較して、振動素子51の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
また、多項式近似関数fc1(t)の次数mは、補正された周波数温度特性における、前述した差の絶対値に加え、第2温度の発振周波数の変化率の絶対値|fe1(t2)|に基づいて設定されてもよい。例えば、図9に示す例の場合、3次の多項式近似関数fc1(t)を用いて補正した周波数温度特性fe1(t)における、第2温度の発振周波数の変化率の絶対値|fe1(t2)|は、5次の多項式近似関数fc1(t)を用いて補正した周波数温度特性fe1(t)における、第2温度の発振周波数の変化率の絶対値|fe1(t2)|より大きい(|fe1(t2)|>|fe1(t2)|)。
以上の比較を複数の次数について繰り返し行い、例えば、補正された周波数温度特性における第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率と差の絶対値が小さく、かつ、補正された周波数温度特性における第2温度t2の発振周波数の変化率が大きいものを、第1温度補償部20の多項式近似関数fc1(t)の次数mとして導き出すことが可能となる。なお、差の絶対値に基づく次数mと、第2温度の発振周波数の変化率に基づく次数mとが異なる場合、要求される仕様を満たすように、いずれか一方を優先して設定する。差の絶対値に基づく次数mと、第2温度の発振周波数の変化率に基づく次数mとが異なっていて、両方とも使用を満たす場合には、差の絶対値に基づく次数mを優先して設定する。
このように、多項式近似関数fc1(t)の次数mが、補正された周波数温度特性における、前述した差の絶対値と、第2温度の発振周波数の変化率の絶対値に基づいて設定されることにより、単位温度当たりの発振周波数の変化率をさらに低減させる、次数mの多項式近似関数を用いることができる。
図1の説明に戻り、D/Aコンバータ24は、デジタル信号をアナログ信号に変換するように構成されている。D/Aコンバータ24は、信号生成回路22から入力される、デジタルデータである第1温度補償信号をアナログの電気信号に変換し、出力する。
第2温度補償部30は、振動素子51の温度と次数n(nは正の整数)の多項式近似関数とに基づいて、第1温度補償部20によって補正された周波数温度特性を、さらに補正するように構成されている。なお、第2温度補償部30の構成は、前述した第1温度補償部20の構成と類似しているため、第1温度補償部20と類似の構成について類似の符号を付し、その説明を適宜省略する。
第2温度補償部30は、A/Dコンバータ31と、信号生成回路32と、メモリ33と、D/Aコンバータ34、とを備える。A/Dコンバータ31は、温度検出回路10から入力される温度に対応する電気信号を検出された温度のデジタル値である温度データに変換して出力する。信号生成回路32は、この温度データから、補正された周波数温度特性をさらに補正するための第2温度補償信号を生成するように構成されている。信号生成回路32は、例えば、CPU、ASIC、PLD、FPGA、SoC(System-on-a-Chip)等のプロセッサを含んで構成される。
より詳細には、信号生成回路32は、温度データと次数nの多項式近似関数fc2(t)とから、補正された周波数温度特性の近似値を算出し、当該近似値に対応する信号を第2温度補償信号として生成する。
次数nの多項式近似関数fc2(t)は、温度を独立変数とするn次関数であり、補正された周波数温度特性を近似した多項式である。次数nの多項式近似関数fc2(t)は、例えば、n個の係数c0、c1、c2、…、cnを用いて以下の式(3)のように表される。
fc2(t)=c0t+c1t+c2t+…+cnt …(3)
メモリ33は、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、及び/又はRAM等から構成される。メモリ33は、次数nの多項式近似関数fc2(t)をあらかじめ記憶している。メモリ33に記憶された次数nの多項式近似関数fc2(t)は、信号生成回路32によって読み出し可能になっている。
ここで、図10及び図11を参照しつつ、多項式近似関数を用いた振動素子の周波数温度特性のさらなる補正について説明する。図10は、多項式近似関数を用いてさらに補正した周波数温度特性を例示するグラフである。図11は、多項式近似関数を用いてさらに補正した周波数温度勾配特性を例示するグラフである。図10及び図11において、横軸は温度検出回路10が検出する振動素子51の温度であり、単位は[℃]である。図10において、縦軸は発振周波数の周波数変化率(df/f)であり、単位は[ppb]である。また、図11において、縦軸は発振周波数の単位温度あたりの周波数変化率(df/f)であり、単位は[ppb/℃]である。なお、図10及び図11では、3次の多項式近似関数fc1(t)を用いて補正された周波数温度特性を、多項式近似関数を用いてさらに補正する場合を示す。
図10に示すように、3次から9次の多項式近似関数のいずれを用いてさらに補正する場合でも、さらに補正した後の発振周波数の変化率は、-40[℃]から75[℃]の温度範囲で、約±15[ppb]を達成する。一方、一部の温度範囲、例えば75[℃]以上の温度範囲では、-40[℃]から75[℃]の温度範囲と比較して、補正後の発振周波数の変化率は大きくなっている。
実際に、図11に示すように、単位温度当たりの発振周波数の変化率は、75[℃]以上の温度範囲で大きくなっているものの、より低い次数の多項式近似関数を用いてさらに補正した場合、周波数温度勾配の精度が高くなっている。例えば、次数4の多項式近似関数を用いてさらに補正すると、約±0.2[ppb/℃]を達成する。
第2温度補償部30の多項式近似関数fc2(t)の次数nは、多項式近似関数fc1(t)の次数mと同様に、さらに補正された周波数温度特性における、第1温度t1より高い第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される。これにより、第1温度t1と第2温度t2との間における発振周波数の変化率に基づいて次数nを設定することが可能となるので、単位温度当たりの発振周波数の変化率を低減させる、次数nの多項式近似関数を用いることができる。従って、発振周波数の変化率を低減するように設定されていた従来の近似関数と比較して、振動素子51の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
また、多項式近似関数fc2(t)の次数nは、多項式近似関数fc1(t)の次数mと同様に、さらに補正された周波数温度特性における、前述した差の絶対値と、第2温度の発振周波数の変化率の絶対値に基づいて設定されてもよい。これにより、単位温度当たりの発振周波数の変化率をさらに低減させる、次数nの多項式近似関数を用いることができる。なお、次数mと同様に、差の絶対値に基づく次数nと、第2温度の発振周波数の変化率に基づく次数nとが異なる場合、要求される仕様を満たすように、いずれか一方を優先して設定する。差の絶対値に基づく次数nと、第2温度の発振周波数の変化率に基づく次数nとが異なっていて、両方とも使用を満たす場合には、差の絶対値に基づく次数nを優先して設定する。
前述したように振動素子51が水晶振動素子である場合、次数m及び次数nは、それぞれ、3以上であることが好ましい。これにより、図6及び図11に示すように、単位温度当たりの発振周波数の変化率を容易に低減させることができる。一方、振動素子51が表面波(SAW)振動を主振動とする表面波振動モードである場合や、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製造されるMEMS振動素子である場合等、次数m及び次数nは、それぞれ、1又は2が好ましいことがある。
図4及び図10に示すように、補正された周波数温度特性とさらに補正された周波数温度特性とにおいて、発振周波数の変化率は、高温の温度範囲で大きく変動している。よって、次数m及び次数nを設定する際の温度範囲、つまり、第1温度t1と第2温度t2とをこの温度範囲に設定することで、発振周波数の変化率の変動が大きい範囲に基づいて、次数m及び次数nを設定することができる。
例えば、第1温度t1は75[℃]であり、第2温度t2は105[℃]であることが好ましい。これにより、発振周波数の変化率の変動が顕著である75[℃]から105[℃]の温度範囲で、振動素子51の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
また、例えば、第1温度t1は85[℃]であり、第2温度t2は105[℃]であることが好ましい。これにより、発振周波数の変化率の変動が顕著である85[℃]から105[℃]の温度範囲で、振動素子51の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
本実施形態では、第1温度補償部20及び第2温度補償部30が、ともにデジタル回路である例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、第1温度補償部20及び第2温度補償部30のうちの少なくとも一方は、アナログ回路であってもよい。また、第1温度補償部20及び第2温度補償部30が周波数温度特性を補正する方法は、多項式近似関数を用いる限り、例えば、直接型、間接型、恒温槽を用いる方式等、様々なものを用いることができる。
図1の説明に戻り、加算回路40は、第1温度補償部20から入力される第1温度補償信号と、第2温度補償部30から入力される第2温度補償信号とを加算するように構成されている。加算回路40は、加算した信号(以下、「加算温度補償信号」という)を出力する。なお、第1温度補償部20及び第2温度補償部30がデジタル回路である場合、第1温度補償部20はD/Aコンバータ24を省略し、第2温度補償部30はD/Aコンバータ34を省略することで、信号生成回路22が出力するデジタルデータの第1温度補償信号と、信号生成回路32が出力するデジタルデータの第2温度補償信号とが、加算回路40に入力されてもよい。この場合、加算回路40は加算器を含んで構成されてもよい。
発振制御回路50は、振動素子51の発振周波数を制御するように構成されている。発振制御回路50は、例えば、電圧制御発振器(VCO:Voltage-Controled Oscillator)で構成される。発振制御回路50は、電圧を振動素子51に印加することで、振動素子51の発振周波数を制御する。発振制御回路50は、加算回路40から入力される加算温度補償信号に基づく電圧を、振動素子51に印加する。これにより、振動素子51の発振周波数は、加算温度補償信号によって補正された周波数に制御され、振動素子51の周波数温度特性及び周波数温度勾配特性が補償される。
次に、図12を参照しつつ、一実施形態に従う発振器の温度補償方法について説明する。図12は、一実施形態における発振器100の温度補償方法を例示するフローチャートである。
図12に示すように、最初に、発振器100は、第1温度補償部20が使用する次数mの多項式近似関数を設定する(S101)。この設定では、例えば、-40[℃]から85[℃]、あるいは、-40[℃]から105[℃]等の所定の温度範囲について、補正する前の振動素子51の発振周波数における周波数温度特性を計測する。そして、計測した所定の温度範囲の周波数温度特性を近似する多項式近似関数の次数m及び各項の係数を決定する。次数mについては、前述したように、補正された周波数温度特性における、第1温度t1より高い第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて、設定される。設定された次数mの多項式近似関数は、第1温度補償部20のメモリ23に記憶される。なお、前述した所定の温度範囲において、所定温度ごと、例えば1[℃]ごとに、次数mの多項式近似関数を用いて近似値を算出しておき、算出した各近似値をテーブル形式で保持してもよい。この場合、メモリ23は、次数mの多項式近似関数に代えて、又はこれとともに、所定温度ごとの近似値テーブルを記憶してもよい。このようにして、振動素子51の周波数温度特性に対し、次数mの多項式近似関数を用いた温度補償が可能になる。
次に、発振器100は、第2温度補償部30が使用する次数nの多項式近似関数を設定する(S202)。この設定では、例えば、前述した所定の温度範囲について、ステップS101で設定された次数mの多項式近似関数を用いて補正された周波数温度特性を計測する。そして、測定した周波数温度特性を近似する多項式近似関数の次数n及び各項の係数を決定する。次数nについては、前述したように、さらに補正された周波数温度特性における、第1温度t1より高い第2温度t2の発振周波数の変化率と第1温度t1の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて、設定される。設定された次数nの多項式近似関数は、第2温度補償部30のメモリ33に記憶される。なお、前述した所定の温度範囲において、所定温度ごと、例えば1[℃]ごとに、次数nの多項式近似関数を用いて近似値を算出しておき、算出した各近似値をテーブル形式で保持してもよい。この場合、メモリ33は、次数nの多項式近似関数に代えて、又はこれとともに、所定温度ごとの近似値テーブルを記憶してもよい。このようにして、次数mの多項式近似関数を用いて補正された周波数温度特性に対し、次数nの多項式近似関数を用いたさらなる温度補償又は再温度補償が可能になる。
ステップS102及びステップS202は、例えば、発振器100を運用又は使用する前の処理であり、発振器100の製造者等が発振器100を用いて行われることが一般的である。一方、ステップS202後は、例えば、発振器100を運用又は使用する処理であり、発振器100の利用者等が発振器100を用いて行われることが一般的である。すなわち、ステップS202の後、温度検出回路10は、振動素子51の温度を検出する(S203)。前述したように、検出された温度は、第1温度補償部20及び第2温度補償部30に出力される。
次に、第1温度補償部20は、ステップS203で検出された温度と、メモリ23に記憶された次数mの多項式近似関数とを用い、振動素子51の周波数温度特性を補正する(S204)。具体的には、信号生成回路22は、温度検出回路10から入力された温度と次数mの多項式近似関数とから、近似値を算出する。次いで、信号生成回路22は、算出した近似値に対応する第1温度補償信号を生成する。そして、信号生成回路22は、生成した第1温度補償信号を加算回路40に出力する。
次に、第2温度補償部30は、ステップS203で検出された温度と、メモリ33に記憶された次数nの多項式近似関数とを用い、補正された周波数温度特性をさらに補正する(S205)。具体的には、信号生成回路32は、温度検出回路10から入力された温度と次数nの多項式近似関数とから、近似値を算出する。次いで、信号生成回路32は、算出した近似値に対応する第2温度補償信号を生成する。そして、信号生成回路32は、生成した第2温度補償信号を加算回路40に出力する。
第1温度補償信号と第2温度補償信号とは、加算回路40によって加算され、発振制御回路50に供給される。これにより、温度検出回路10によって検出された振動素子51の温度における周波数温度特性が補正される。
ステップS205の後、発振器100は、所定の条件を満たすまで、ステップS203からステップS205を繰り返す。所定の条件は、例えば、利用者等の操作により、初期化又は再設定が指示された場合等である。この場合、発振器100は、ステップS203ではなく、ステップS201に戻って、新たに、次数mの多項式近似関数及び次数nの多項式近似関数を再設定することが可能となる。
(変形例)
次に、図13を参照しつつ、一実施形態に従う発振器の変形例について説明する。なお、図1に示した発振器と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付し、その説明を適宜省略する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
図13は、一実施形態の変形例における発振器100Aの概略構成を例示するブロック図である。
図13に示す発振器100Aは、第1温度補償部20及び第2温度補償部30を備えていない点で、図1に示した発振器100と相違する。すなわち、発振器100Aは、図示を省略するが、前述した温度検出回路10、第2温度補償部30、加算回路40、及び、振動素子51を含む発振制御回路50を備える。
一方、温度補償回路60は、前述した第1温度補償部20と、第2温度補償部30とを備える。温度補償回路60は、例えばワンチップ、つまり、1つの集積回路(IC)で構成されている。また、温度補償回路60は、前述した第1温度補償部20及び第2温度補償部30と同様に、振動素子51の周波数温度勾配特性を補正するように構成されている。
すなわち、第1温度補償部20のA/Dコンバータ21には、外部から振動素子51の温度を示すアナログの電気信号が入力され、第1温度補償部20の信号生成回路22は、この温度と次数mの多項式近似関数とから第1温度補償信号を生成する。そして、第1温度補償部20のD/Aコンバータ24は、アナログの第1温度補償信号を発振器100Aに出力する。
すなわち、第1温度補償部20のA/Dコンバータ21には、外部から振動素子51の温度を示すアナログの電気信号が入力され、第1温度補償部20の信号生成回路22は、この温度と次数mの多項式近似関数とから第1温度補償信号を生成する。そして、第1温度補償部20のD/Aコンバータ24は、アナログの第1温度補償信号を発振器100Aに出力する。
発振器100Aは、温度補償回路60から供給された第1温度補償信号及び第2温度補償信号に基づいて、振動素子51の周波数温度特性及び周波数温度勾配特性を補正する。
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本発明の一実施形態に従う発振器及び温度補償回路によれば、多項式近似関数fc1(t)の次数mが、補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される。これにより、第1温度と第2温度との間における発振周波数の変化率に基づいて次数mを設定することが可能となるので、単位温度当たりの発振周波数の変化率を低減させる、次数mの多項式近似関数を用いることができる。また、多項式近似関数fc2(t)の次数nは、さらに補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される。これにより、第1温度と第2温度との間における発振周波数の変化率に基づいて次数nを設定することが可能となるので、単位温度当たりの発振周波数の変化率を低減させる、次数nの多項式近似関数を用いることができる。従って、発振周波数の変化率を低減するように設定されていた従来の近似関数と比較して、振動素子の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
また、前述した発振器及び温度補償回路において、多項式近似関数fc1(t)の次数mが、補正された周波数温度特性における、前述した差の絶対値と、第2温度の発振周波数の変化率の絶対値に基づいて設定される。これにより、単位温度当たりの発振周波数の変化率をさらに低減させる、次数mの多項式近似関数を用いることができる。また、多項式近似関数fc2(t)の次数nは、さらに補正された周波数温度特性における、前述した差の絶対値と、第2温度の発振周波数の変化率の絶対値に基づいて設定される。これにより、単位温度当たりの発振周波数の変化率をさらに低減させる、次数nの多項式近似関数を用いることができる。
また、前述した発振器及び温度補償回路において、第1温度は75[℃]であり、第2温度は105[℃]である。これにより、発振周波数の変化率の変動が顕著である75[℃]から105[℃]の温度範囲で、振動素子の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
また、前述した発振器及び温度補償回路において、第1温度t1は85[℃]であり、第2温度t2は105[℃]である。これにより、発振周波数の変化率の変動が顕著である85[℃]から105[℃]の温度範囲で、振動素子51の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
また、本発明の一実施形態に従う温度補償方法によれば、多項式近似関数fc1(t)の次数mが、補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される。これにより、第1温度と第2温度との間における発振周波数の変化率に基づいて次数mを設定することが可能となるので、単位温度当たりの発振周波数の変化率を低減させる、次数mの多項式近似関数を用いることができる。また、多項式近似関数fc2(t)の次数nは、さらに補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値に基づいて設定される。これにより、第1温度と第2温度との間における発振周波数の変化率に基づいて次数nを設定することが可能となるので、単位温度当たりの発振周波数の変化率を低減させる、次数nの多項式近似関数を用いることができる。従って、発振周波数の変化率を低減するように設定されていた従来の近似関数と比較して、振動素子の周波数温度勾配特性の精度を向上させることができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
10…温度検出回路、20…第1温度補償部、21…A/Dコンバータ、22…信号生成回路、23…メモリ、24…D/Aコンバータ、30…第2温度補償部、31…A/Dコンバータ、32…信号生成回路、33…メモリ、34…D/Aコンバータ、40…加算回路、50…発振制御回路、51…振動素子、60…温度補償回路、100,100A…発振器。

Claims (10)

  1. 振動素子と、
    前記振動素子の温度を検出する温度検出回路と、
    前記温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記振動素子の周波数温度特性を補正する第1温度補償部であって、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数mが設定される、第1温度補償部と、
    前記温度と次数n(nは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償部であって、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数nが設定される、第2温度補償部と、を備える、
    発振器。
  2. 振動素子と、
    前記振動素子の温度を検出する温度検出回路と、
    前記温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記振動素子の周波数温度特性を補正する第1温度補償部であって、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数m、および、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率の絶対値が比較され、比較された前記変化率の絶対値が最も大きいときの前記次数mのうちいずれか一方が設定される、第1温度補償部と、
    前記温度と次数n(nは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償部であって、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数n、および、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率の絶対値が比較され、比較された前記変化率の絶対値が最も大きいときの前記次数nのうちいずれか一方が設定される、第2温度補償部と、を備える、
    発振器。
  3. 前記第1温度は75℃であり、前記第2温度は105℃である、
    請求項1又は2に記載の発振器。
  4. 前記第1温度は85℃であり、前記第2温度は105℃である、
    請求項1又は2に記載の発振器。
  5. 振動素子を含む発振器の温度補償回路であって、
    前記振動素子の温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記振動素子の周波数温度特性を補正する第1温度補償部であって、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数mが設定される、第1温度補償部と、
    前記振動素子の温度と次数n(nは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償部であって、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数nが設定される、第2温度補償部と、を備える、
    温度補償回路。
  6. 振動素子を含む発振器の温度補償回路であって、
    前記振動素子の温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記振動素子の周波数温度配特性を補正する第1温度補償部であって、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数m、および、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率の絶対値が比較され、比較された前記変化率の絶対値が最も大きいときの前記次数mのうちいずれか一方が設定される、第1温度補償部と、
    前記温度と次数n(nは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償部であって、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数n、および、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率の絶対値が比較され、比較された前記変化率の絶対値が最も大きいときの前記次数nのうちいずれか一方が設定される、第2温度補償部と、を備える、
    温度補償回路。
  7. 前記第1温度は75℃であり、前記第2温度は105℃である、
    請求項5又は6に記載の温度補償回路。
  8. 前記第1温度は85℃であり、前記第2温度は105℃である、
    請求項5又は6に記載の温度補償回路。
  9. 振動素子を含む発振器の温度補償方法であって、
    前記振動素子の温度を検出するステップと、
    前記温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記振動素子の周波数温度配特性を補正する第1温度補償ステップであって、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数mが設定される、第1温度補償ステップと、
    前記温度と次数n(nは正の整数)の多項式近位関数とを用い、前記補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償ステップであって、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数nが設定される、第2温度補償ステップと、を含む、
    温度補償方法。
  10. 振動素子を含む発振器の温度補償方法であって、
    前記振動素子の温度を検出するステップと、
    前記振動素子の温度と次数m(mは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記振動素子の周波数温度特性を補正する第1温度補償ステップであって、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、第1温度より高い第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数m、および、複数の前記次数mについて、前記補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率の絶対値が比較され、比較された前記変化率の絶対値が最も大きいときの前記次数mのうちいずれか一方が設定される、第1温度補償ステップと、
    前記温度と次数n(nは正の整数)の多項式近似関数とを用い、前記補正された周波数温度特性をさらに補正する第2温度補償ステップであって、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率と前記第1温度の発振周波数の変化率との差の絶対値が比較され、比較された前記差の絶対値が最も小さいときの前記次数n、および、複数の前記次数nについて、前記さらに補正された周波数温度特性における、前記第2温度の発振周波数の変化率の絶対値が比較され、比較された前記変化率の絶対値が最も大きいときの前記次数nのうちいずれか一方が設定される、第2温度補償ステップと、を含む、
    温度補償方法。
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