JP7388917B2 - レーザ加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザマーキング装置等、被加工物にレーザ光を照射することによって加工を行うレーザ加工装置に関する。
カメラ等の撮像部を具備したレーザ加工装置が知られている。例えば特許文献1には、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光を2次元的に走査する走査手段と、被マーキング対象物を撮像するための撮像手段と、を備えたレーザ加工装置(レーザマーキング装置)が開示されている。特許文献1に係る撮像手段は、その撮像光軸が加工用のレーザ光と同軸になるように位置決めされている。具体的に、特許文献1のレーザ加工装置は、レーザ光源と走査手段との間に光路を分岐させる光路分岐手段を備えている。撮像手段は、光路分岐手段を介して走査手段に向かう光軸がレーザ光の光軸と一致するように配置されている。
特許文献2は、被加工物(ワーク)を加工するためのレーザ光を出射するマーカレーザヘッドと、被加工物の加工面を撮像する観察光学系と、を備えたレーザ加工装置を開示している。特許文献2に開示のレーザヘッドは、加工面上でレーザ光を走査するための走査手段を収容している。観察光学系は、高さ方向において走査手段と加工面との間に設けられている。具体的に、特許文献2の観察光学系はレーザヘッドの底面の下に配置されている。この観察光学系は、レーザ光の光軸に対して非同軸であり、加工面を斜め上側から撮像する。
特開2004-148379号公報 特開2015-44212号公報
特許文献1に開示の撮像手段を採用したときには、撮像視野の大きさが走査手段の構成に依存することになる。例えばガルバノミラーによって走査手段を構成した場合、撮像手段における撮像視野の大きさがガルバノミラーの面積に制限される。
特許文献2に開示の観察光学系としての撮像部をレーザヘッドの底面の下に配置することが考えられる。このように配置した場合、被加工物を広範囲にわたって撮像することができるものの、斜め方向から撮像することになるため、撮像画像に歪みが生じてしまう。撮像画像の歪みを解消するためには、歪み補正等の画像処理が必要となるため、レーザ加工装置における制御系に大きな負荷を与えてしまう。
撮像部を構成するカメラは、次々とライン上を流れる加工対象物(ワーク)の位置ズレを補正するのに効果的である。このカメラによる撮像画像を適切に取得する上でワークを照明するのが望ましい。この照明部材を仮にレーザ加工装置に内蔵させる構成を採用したとき、照明部材とワークとの相対関係及び照明部材とカメラとの相対関係が固定的になる。ここで問題になるのが、強い光によって撮像画像が乱される現象である。典型的な例で説明すると、鏡面加工したワークは照明光を正反射させてしまう。この正反射光がカメラに取り込まれると、撮像画像にハレーションが発生してしまう。このような撮像画像はレーザ加工装置においては不適正な画像である。適正でない撮像画像は典型的にはワークの位置ズレ補正の精度を低下させる要因となり、ひいてはワーク加工精度を損なう要因となる。
本発明の目的は、撮像部を備えたレーザ加工装置において制御系の負荷を抑制しつつ、撮像部の撮像視野を広げると共に照明部材を付加したときに問題となる不適正な撮像画像の問題を解消することのできるレーザ加工装置を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
励起光を生成する励起光生成部と、
該励起光生成部により生成された励起光に基づいてレーザ光を生成して出力するレーザ光出力部と、
該レーザ光出力部から出力されたレーザ光を被加工物の表面上で2次元走査するレーザ光走査部と、
前記レーザ光を透過する透過ウインドウが設けられ、少なくとも前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部を収容した筐体と、
該筐体の内部に設けられ、前記レーザ光走査部により2次元走査される加工領域に載置された被加工物に対して照明光を照射する照明光源と、
前記筐体の内部において前記照明光源の前方に隣接して設けられ、該照明光源から出射された照明光を偏光する照明側偏光部材と、
前記筐体の内部に設けられ、前記照明側偏光部材により偏光された光が前記被加工物の表面で反射した反射光を受けてこれを偏光させる撮像側偏光部材と、
前記筐体の内部において、撮像光軸が、前記レーザ光走査部により走査されるレーザ光の光軸と非同軸であるとともに前記透過ウインドウと交わるように設けられ、前記撮像側偏光部材で偏光された反射光を受光することにより前記被加工物を撮像して画像を生成する撮像部と
前記撮像部により生成された画像に基づいて前記被加工物の位置ズレを補正して、前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部を制御する制御部と、を備えるレーザ加工装置を提供することにより達成される。
本発明の作用効果、他の目的及びその構成、作用効果は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになろう。
レーザ加工システムの全体構成を例示する図である レーザ加工装置の概略構成を例示するブロック図である。 マーカヘッドの概略構成を例示するブロック図である。 マーカヘッドの概略構成を例示するブロック図である。 マーカヘッドの外観を例示する斜視図である。 レーザ光走査部の構成を例示する図である。 レーザ光案内部、レーザ光走査部及び測距ユニットの構成を例示する図である。 レーザ光案内部、レーザ光走査部及び測距ユニットを結ぶ光路を例示する断面図である。 レーザ光案内部、レーザ光走査部及び測距ユニットを結ぶ光路を例示する斜視図である。 三角測距方式について説明する図である。 加工基準面について説明する図である。 透過ウインドウ及び広域カメラの構成を例示する下面図である。 透過ウインドウ及び広域カメラの構成を例示する横断面図である。 透過ウインドウ及び広域カメラの構成を例示する縦断面図である。 レーザ加工システムの使用方法を示すフローチャートである。 印字設定の作成手順を例示するフローチャートである。 レーザ加工装置の運用手順を例示するフローチャートである。 ワークの加工領域と、表示部における設定画面との関係を説明するための図である。 ワーク撮像画像による部分画像の生成を説明するための図である。 マーカヘッドの変形例を説明するための図であり、図10に対応した図である。 照明部材を備えたレーザ加工装置を斜め下方から見た図であり、図4に対応した図である。 広域カメラとこれに隣接して配置された照明窓との配置及び構成を説明するための図であり、図12に対応した図である。 照明部材の斜視図である。 照明部材の断面図である。 照明部材の偏光板の偏光角度を調整するための治具を説明するための図である。 偏光フィルタを備えた広域カメラの構造を説明するための図である。 鏡面処理されたワーク表面での鏡面反射を説明するための図である。 光源に関連した第1偏光部材の作用と、カメラに関連した第2偏光部材の作用を説明するための図である。 平滑な表面を備えた樹脂プレートを広域カメラで撮像したワーク画像を示す図である。 照明部材及び広域カメラに偏光部材を設けることによる効果を説明するための図である。 各種金属製品に関する広域ワーク画像であり、(I)は第1、第2の偏光部材の調整前の画像であり、(II)は調整後の画像である。 印字に関連した一連の手順を説明するフローチャートである。 広域ワーク画像からハレーションを除去した画像を生成する例を説明するための図である。 ハレーションを除去した合成画像に関する図であり、(I)は合成処理により生成した撮像画像を示し、(II)は合成処理前の撮像画像を示す。 加工レーザ光の迷光が広域カメラの先端の赤外線カットフィルムによって反射されることに伴う問題と、偏光部材を一体化した赤外線カットフィルムを広域カメラの鏡筒に内蔵したことによる改善効果を説明するための図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。すなわち、本明細書では、レーザ加工装置の一例としてのレーザマーカについて説明するが、ここに開示する技術は、レーザ加工装置及びレーザマーカという名称に拘わらず、レーザ応用機器一般に適用することができる。また、本明細書においては、加工の代表例として印字加工について説明するが、印字加工に限定されず、画像のマーキング等、レーザ光を使ったあらゆる加工処理において利用することができる。
<全体構成>
図1はレーザ加工システムSの全体構成を例示する図であり、図2はレーザ加工システムSにおけるレーザ加工装置Lの概略構成を例示する図である。図1に例示するレーザ加工システムSは、レーザ加工装置Lと、これに接続される操作用端末800及び外部機器900とを備えている。そして、図1及び図2に例示するレーザ加工装置Lは、マーカヘッド1から出射されたレーザ光を被加工物(ワークW)へ照射するとともに、ワークWの表面上で3次元走査することによって表面加工を行う。なお、ここでいう「3次元走査」とは、レーザ光の照射先をワークWの表面上で走査する2次元的な動作(いわゆる「2次元走査」)と、レーザ光の焦点位置を調整する1次元的な動作と、の組み合わせを総称した概念を指す。
特に、本実施形態に係るレーザ加工装置Lは、ワークWを加工するためのレーザ光として、1064nm付近の波長を有するレーザ光を出射することができる。この波長は、近赤外線(NIR)の波長域に相当する。そのため、以下の記載では、ワークWを加工するためのレーザ光を「近赤外レーザ光」又は「加工用レーザ光」と呼称して、他のレーザ光と区別する場合がある。もちろん、他の波長を有するレーザ光をワークWの加工に用いてもよい。
また、本実施形態に係るレーザ加工装置Lは、マーカヘッド1に内蔵された測距ユニット5を介してワークWまでの距離を測定するとともに、その測定結果を利用して近赤外レーザ光つまり加工用レーザ光の焦点位置を調整する。
図1及び図2に示すように、レーザ加工装置Lは、レーザ光を出射するマーカヘッド1と、マーカヘッド1を制御するマーカコントローラ100と、を備えている。マーカヘッド1及びマーカコントローラ100は、この実施形態においては別体とされており、電気配線を介して電気的に接続されているとともに、光ファイバーケーブルを介して光学的に結合されている。変形例として、マーカヘッド1及びマーカコントローラ100を一体化してもよい。
操作用端末800は、例えば中央演算処理装置(CPU)及びメモリを有している。操作用端末800は、マーカコントローラ100に接続されている。ユーザは、操作用端末800を用いて、印字設定などの種々の加工条件を設定することができる。加工条件には、例えば、ワークWに印字する文字列、図形等の内容(マーキングパターン)、レーザ光に求める出力(目標出力)、ワークW上でのレーザ光の走査速度(スキャンスピード)が含まれる。また、操作用端末800は、レーザ加工に関連した情報、例えばレーザ加工装置Lの動作状況及び加工条件等の情報をユーザに提供するための端末として機能する。操作用端末800は、ユーザに情報を表示するための表示部801と、ユーザによる入力を受け付ける操作部802と、種々の情報を記憶するための記憶装置803と、を備えている。
上記の加工条件には、測距ユニット5に関連した条件及びパラメータ(以下、これを「測距条件」ともいう)が含まれる。測距条件には、例えば、測距ユニット5による検出結果を示す信号とワークWの表面までの距離とを関連付けるデータ等が含まれる。操作用端末800によって設定された加工条件は、マーカコントローラ100に出力される。マーカコントローラ100の条件設定記憶部102(図2)に記憶される。必要に応じて、操作用端末800の記憶装置803が加工条件を記憶してもよい。
なお、操作用端末800は、例えばマーカコントローラ100に組み込んで一体化することができる。この場合は「操作用端末」ではなく、コントロールユニット等の呼称が用いられることになるが、少なくとも本実施形態においては、操作用端末800とマーカコントローラ100は互いに別体である。
必要に応じてレーザ加工装置Lのマーカコントローラ100に外部機器900が接続される。外部機器900の典型例として、画像認識装置901及びプログラマブルロジックコントローラ(PLC)902を挙げることができる。画像認識装置901は、例えば製造ライン上で搬送されるワークWの種別及び位置を判定する。画像認識装置901として、例えばイメージセンサを用いることができる。PLC902は、予め定められたシーケンスに従ってレーザ加工システムSを制御する。
以下、マーカコントローラ100及びマーカヘッド1のハード構成並びにマーカコントローラ100によるマーカヘッド1の制御系の構成を説明する。
<マーカコントローラ100>
図2を参照して、マーカコントローラ100は、加工条件を記憶する条件設定記憶部102と、条件設定記憶部102に記憶されている加工条件に基づいてマーカヘッド1を制御する制御部101と、レーザ励起光を生成する励起光生成部110とを備えている。
(条件設定記憶部102)
条件設定記憶部102は、操作用端末800で設定された加工条件を記憶するとともに、記憶された加工条件を制御部101へと出力するように構成されている。条件設定記憶部102は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等で構成されている。なお、操作用端末800をマーカコントローラ100に組み込んだ場合には、記憶装置803が条件設定記憶部102を兼用するように構成してもよい。
(制御部101)
制御部101は、条件設定記憶部102に記憶された加工条件に基づいてマーカコントローラ100に含まれる励起光生成部110、マーカヘッド1のレーザ光出力部2、レーザ光案内部3、レーザ光走査部4、測距ユニット5、広域カメラ6を統合的に制御して、ワークWの印字加工等を実行する。制御部101は、CPU、メモリ、入出力パスを有しており、ユーザが操作用端末800を介して入力した情報を示す信号や条件設定記憶部102から読み込んだ加工条件を示す信号に基づいて制御信号を生成する。制御部101は、ワークWに対する印字加工、ワークWまでの距離の測定を制御する。
(励起光生成部110)
励起光生成部110は、駆動電流に応じたレーザ光を生成する励起光源111と、励起光源111に駆動電流を供給する励起光源駆動部112と、励起光源111に対して光学的に結合された励起光集光部113と、を備えている。励起光源駆動部112は、制御部101から出力された制御信号に基づいて、励起光源111へ駆動電流を供給する。励起光源111は、励起光源駆動部112から駆動電流が供給されるとともに、その駆動電流に応じたレーザ光を発振する。例えば、励起光源111は、レーザダイオード(LD)等で構成されており、複数のLD素子を直線状に並べたLDアレイやLDバーを用いることができる。励起光源111としてLDアレイやLDバーを用いた場合、各素子から発振されるレーザ光は、ライン状に出力されて励起光集光部113に入射する。励起光集光部113は、励起光源111から出力されたレーザ光を集光してレーザ励起光として出力する。例えば、励起光集光部113は、フォーカシングレンズ等で構成されている。励起光集光部113は、マーカヘッド1に対して光ファイバーケーブルを介して光学的に結合される。励起光生成部110から出射される励起光(具体的には、励起光集光部113から出力されるレーザ励起光)は無偏光とすることができる。これにより偏光状態の変化を考慮する必要がなく、設計上有利となる。特に、励起光源111周辺の構成については、複数のLD素子を数十個配列したLDアレイから各々得られる光を光ファイバでバンドルして出力する。
(他の構成要素)
マーカコントローラ100はワークWまでの距離を測定する距離測定部103を有している。距離測定部103は測距ユニット5と電気的に接続されており、測距ユニット5による測定結果に関連した信号(少なくとも、測距光受光部5Bにおける測距光の受光位置を示す信号)を受け取ることができる。レーザ加工装置LはワークWの表面を撮像するための狭域カメラ37と広域カメラ6とを備えている。マーカコントローラ100の制御部101は、狭域カメラ37、広域カメラ6の撮像画像に基いて処理を行うことができる。マーカコントローラ100は、マーキングパターンに係る情報を設定する設定部107を備えている。設定部107による設定内容は 走査制御部としての制御部101が読み込んで使用する。なお、距離測定部103及び設定部107は、制御部101によって構成してもよい。例えば、制御部101が距離測定部103を兼用してもよい。
<マーカヘッド1>
マーカヘッド1は、レーザ励起光を増幅・生成して出力するレーザ光出力部2と、レーザ光出力部2から出力されたレーザ光をワークWの表面へ照射して2次元走査を行うレーザ光走査部4と、レーザ光出力部2からレーザ光走査部4へ至る光路を構成するレーザ光案内部3と、レーザ光走査部4を介して投光及び受光した測距光に基づいてワークWの表面までの距離を測定するための測距ユニット5と、を備えている。レーザ光案内部3は、単に光路を構成するだけでなく、レーザ光の焦点位置を調整するZスキャナ(焦点調整部)33、ガイド光を出射するガイド光源及びワークWの表面を撮像する狭域カメラ37など、複数の部材が組み合わされて構成されている。
レーザ光案内部3は、上流側合流機構31と下流側合流機構35とを有している。上流側合流機構31は、レーザ光出力部2から出力される近赤外レーザ光とガイド光源36から出射されるガイド光を合流させる。下流側合流機構35はレーザ光走査部4へ導かれるレーザ光と測距ユニット5から投光される測距光を合流させる。
図3A、図3Bはマーカヘッド1の概略構成を示すブロック図である。図4はマーカヘッド1の外観を示す斜視図である。図3A、図3Bのうち、図3Aは近赤外レーザ光を用いたワークWの加工を示し、図3Bは測距ユニット5を用いてワークWの表面までの距離測定を示す。
図3A、図4を参照して、マーカヘッド1は、少なくともレーザ光出力部2、レーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5を収容した筐体10を備えている。この筐体10は、図4に示すような略直方状の外形輪郭を有している。筐体10の下面は、板状の底板10aによって規定されている。この底板10aには、レーザ光を出射するための透過窓部を構成する透過ウインドウ19が設けられている。透過ウインドウ19は、底板10aの貫通孔19aに嵌め込まれた透明部材19bで構成され、透明部材19bは近赤外レーザ光、ガイド光及び測距光が透過可能である。
なお、以下の記載では、図4に図示の筐体10の長手方向を単に「長手方向」又は「前後方向」と呼称したり、筐体10の短手方向を単に「短手方向」又は「左右方向」と呼称したりする場合がある。同様に、図4に図示の筐体10の高さ方向を単に「高さ方向」又は「上下方向」と呼称する場合もある。
図5は、レーザ光走査部4の構成を示す斜視図である。また、図6はレーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5の構成を示す断面図である。図7は、レーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5を結ぶ光路を例示する断面図である。図8はレーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5を結ぶ光路を例示する斜視図である。
図5、図6を参照して、筐体10の内部には仕切部11が設けられている。筐体10の内部空間は、仕切部11によって長手方向の一側と他側に仕切られている。筐体10内の長手方向他側のスペースを「第1スペースS1」と呼称する。他方、長手方向一側のスペースを「第2スペースS2」と呼称する。第1スペースS1には、レーザ光出力部2と、レーザ光案内部3の一部の構成部品と、レーザ光走査部4と、測距ユニット5とが配置されている。第2スペースS2には、レーザ光案内部3の主要な部品が配置されている。詳しくは、第1スペースS1は、略平板状のベースプレート12によって、短手方向の一側(図4の左側)の第1空間と、他側(図4の右側)の第2空間とに仕切られている。第1空間には、主に、レーザ光出力部2を構成する部品が配置されている。図6に示すように、測距ユニット5は、レーザ光出力部2のヒートシンク22と同様に、第1スペースS1における短手方向他側の第2空間に配置されている。レーザ光案内部3を構成する大部分の部品は、仕切部11と、筐体10の前面を規定するカバー部材17とで包囲された空間に収容されている。
(レーザ光出力部2)
レーザ光出力部2は、印字加工用の近赤外レーザ光を生成して、この近赤外レーザ光つまりレーザ加工用レーザ光をレーザ光案内部3に向けて出力するように構成されている。レーザ光出力部2は、レーザ励起光に基づき所定の波長を有するレーザ光を生成するとともに、これを増幅して近赤外レーザ光を出射するレーザ発振器21aと、レーザ発振器21aから発振された近赤外レーザ光の一部を分離させるためのビームサンプラー21bと、ビームサンプラー21bによって分離した近赤外レーザ光が入射するパワーモニタ21cと、を備えている。レーザ発振器21aは、レーザ励起光に対応した誘導放出を行ってレーザ光を出射するレーザ媒質と、レーザ媒質から出射されるレーザ光をパルス発振するためのQスイッチと、Qスイッチによりパルス発振されたレーザ光を共振させるミラーと、を有している。なお、レーザ媒質としてロッド状のNd:YVO4(イットリウム・パナデイト)が用いられている。これにより、レーザ発振器21aは1064nm付近の波長を有するレーザ光を出射することができる。
レーザ加工装置Lの用途に応じて、他のレーザ媒質として、例えば希土類をドープしたYAG、YLF、GdVO4等を用いることもできる。また、固体レーザ媒質に波長変換素子を組み合わせて、出力レーザ光の波長を任意の波長に変換することもできる。また、固体レーザ媒質としてバルクに代わってファイバを発振器として利用した、いわゆるファイバーレーザを利用してもよい。さらには、Nd:YVO4等の固体レーザ媒質と、ファイバとを組み合わせてレーザ発振器21aを構成してもよい。その場合、固体レーザ媒質を用いたときのように、パルス幅の短いレーザを出射してワークWへの熱ダメージを抑制する一方で、ファイバを用いたときのように、高出力化を実現してより早い印字加工を実現することが可能となる。パワーモニタ21cは、近赤外レーザ光の出力を検出する。パワーモニタ21cは、マーカコントローラ100と電気的に接続されており、その検出信号を制御部101等へ出力する。
(レーザ光案内部3)
レーザ光案内部3は、レーザ光出力部2から出射された近赤外レーザ光をレーザ光走査部4へと案内する光路Pを生成する。レーザ光案内部3は、光路Pを形成するためのベンドミラー34に加えて、Zスキャナ(焦点調整部)33、ガイド光源(ガイド光出射部)36及び狭域カメラ37等を備えている。レーザ光出力部2から入射した近赤外レーザ光はベンドミラー34によって反射され、レーザ光案内部3を通過する。ベンドミラー34へ至る途中には、近赤外レーザ光の焦点位置を調整するためのZスキャナ33が配置されている。Zスキャナ33を通過してベンドミラー34を反射した光はレーザ光走査部4に入射する。
光路Pは、焦点調整部としてのZスキャナ33を境として2分して把握することができる。すなわち、光路Pは、レーザ光出力部2からZスキャナ33へ至る上流側光路Puと、Zスキャナ33からレーザ光走査部4へ至る下流側光路Pdと、に区分することができる。上流側光路Puは、レーザ光出力部2から上流側合流機構31を経由してZスキャナ33に至る。下流側光路Pdは、Zスキャナ33からベンドミラー34、下流側合流機構35を経由してレーザ光走査部4の第1スキャナ41に至る。
以下、レーザ光案内部3に関連した構成について説明をする。
―ガイド光源36―
ガイド光源36は、所定の加工パターンをワークWの表面上に投影するためのガイド光を出射する。このガイド光の波長は可視光域に収まるように設定されている。ガイド光は例えば655nm付近の波長を有する赤色レーザ光である。ユーザは、マーカヘッド1から出射される加工用レーザ光の動きをガイド光によって目視で直接的に把握することができる。
具体的に、ガイド光源36は、第2スペースS2において上流側合流機構31と略同じ高さに配置されており、筐体10の短手方向の内側に向かって可視光のガイド光を出射する。ガイド光源36は、該ガイド光源36から出射されるガイド光の光軸と、上流側合流機構31と、が交わるように位置決めされている。なお、ここでいう「略同じ高さ」とは、筐体10の下面を構成する底板10aを基準として高さ位置が実質的に等しいことを意味する。他の記載においても、底板10aを基準とした高さを指す。
例えば近赤外レーザ光による加工パターンを使用者に視認させるべく、ガイド光源36からガイド光が出射されると、ガイド光は上流側合流機構31へ至る。上流側合流機構31は、光学部品としてのダイクロイックミラー(不図示)を有している。ダイクロイックミラーは、可視光のガイド光を透過させつつ近赤外の加工用レーザ光を反射する。これにより、ダイクロイックミラーを透過したガイド光と、該ダイクロイックミラーにより反射された近赤外レーザ光とが合流して同軸になる。ガイド光源36は、制御部101からの制御信号に基づいてガイド光を出射するように構成されている。
-上流側合流機構31-
上流側合流機構31は、ガイド光源36から出射された可視光のガイド光を上流側光路Puに合流させる。上流側合流機構31によってガイド光と、上流側光路Puにおける加工用の近赤外レーザ光とが同軸上を進む。
ガイド光の波長は近赤外の加工用レーザ光の波長と相違するように設定されている。そのため、上流側合流機構31は、例えばダイクロイックミラーを用いて構成することができる。このダイクロイックミラーによって同軸化された近赤外レーザ光及びガイド光は、下方に向かって伝搬し、Zスキャナ33を通過してベンドミラー34へ至る。
-Zスキャナ33-
焦点調整部を構成するZスキャナ33は、レーザ光案内部3が生成する光路の途中に配置されており、レーザ光出力部2から出射された近赤外レーザ光の焦点位置を調整する。Zスキャナ33は、図3A、図3Bに示すように、レーザ光出力部2から出射された近赤外レーザ光を透過させる入射レンズ33aと、入射レンズ33aを通過した近赤外レーザ光を通過させるコリメートレンズ33bと、入射レンズ33a及びコリメートレンズ33bを通過した近赤外レーザ光を通過させる出射レンズ33cと、ケーシング33eとを有する。ケーシング33eには、入射レンズ33aを移動させるレンズ駆動部33dと、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b、出射レンズ33cが収容されている。入射レンズ33aは平凹レンズで構成される。コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cは平凸レンズで構成される。入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cは光軸が互いに同軸になるように配置されている。
Zスキャナ33において、レンズ駆動部33dが光軸に沿って入射レンズ33aを移動させる。これにより、Zスキャナ33を通過する近赤外レーザ光に対し入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33c各々の光軸を同軸に保ちつつ、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの相対距離を変更する。これによりワークWに照射される近赤外レーザ光の焦点位置が変化する。
次にZスキャナ33を構成する各部を説明する。ケーシング33eは、略円筒形状を有している。図3A、図3Bに示すように、ケーシング33eの両端部には、近赤外レーザ光を通過させるための開口33fが形成されている。ケーシング33eの内部では、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cが順に上下方向に並んでいる。コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cは、ケーシング33eの内部に固定されている一方、入射レンズ33aは、上下方向に移動可能に設けられている。レンズ駆動部33dは、例えばモータを有しており、入射レンズ33aを上下方向に移動させる。これにより、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの相対距離が変更される。レンズ駆動部33dの動作によって、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの間の距離が相対的に短く調整されると、出射レンズ33cを通過する近赤外レーザ光の集光角が相対的に小さくなるため、近赤外レーザ光の焦点位置はマーカヘッド1の透過ウインドウ19から遠ざかる。他方、レンズ駆動部33dの動作によって、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの間の距離が相対的に長く調整されると、出射レンズ33cを通過する近赤外レーザ光の集光角が相対的に大きくなるため、近赤外レーザ光の焦点位置は、マーカヘッド1の透過ウインドウ19に近づく。Zスキャナ33においては、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cのうち、入射レンズ33aをケーシング33eの内部に固定して、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cを上下方向に移動可能としてもよい。あるいは、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cを全て上下方向に移動可能としてもよい。
焦点調整部としてのZスキャナ33は、近赤外レーザ光を上下方向に走査するための手段として機能することになる。以下、Zスキャナ33による走査方向を「Z方向」と呼称する場合がある。なお、Zスキャナ33を通過する近赤外レーザ光は、前述のように、ガイド光源36から出射されるガイド光と同軸とされている。そのため、Zスキャナ33を作動させることにより、近赤外レーザ光だけでなくガイド光の焦点位置も併せて調整される。なお、Zスキャナ33、特にZスキャナ33におけるレンズ駆動部33dは、制御部101から出力された信号に基づいて制御される。
―狭域カメラ37―
狭域カメラ37は、ベンドミラー34と略同じ高さに配置されており、レーザ光走査部4からレーザ光案内部3へと入射した反射光を受光する。狭域カメラ37は、ワークWの印字点において反射された反射光が、ベンドミラー34を介して入射するように構成されている。狭域カメラ37は、入射した反射光を結像することでワークWの表面の画像を撮像する。なお、狭域カメラ37の配置位置は、適宜、変更可能である。例えば、狭域カメラ37及びベンドミラー34の高さを互いに異ならせてもよい。
狭域カメラ37が結像に用いる反射光は、前述の下流側光路Pdに沿って伝搬する。よって、レーザ光走査部4を適宜作動させることで、図10に例示する加工領域R1を走査することができる。狭域カメラ37は、ガイド光源36等と同様に、制御部101から出力された信号に基づいて制御される。
―ベンドミラー34―
ベンドミラー34は、下流側光路Pdの途中に設けられており、下流側光路Pdを折り曲げて後方に指向させる。図6に示すように、ベンドミラー34は、下流側合流機構35のダイクロイックミラー35aと略同じ高さに配置されており、Zスキャナ33を通過した近赤外レーザ光及びガイド光を反射する。ベンドミラー34によって反射された近赤外レーザ光及びガイド光は、後方に向かって進み、下流側合流機構35を通過してレーザ光走査部4(具体的には第1スキャナ41)へ至る。
―下流側合流機構35―
下流側合流機構35は、測距ユニット5の測距光出射部5Aから出射された測距光を下流側光路Pdに合流させることによりレーザ光走査部4を介してワークWへ導く。加えて、下流側合流機構35は、ワークWにより反射されてレーザ光走査部4及び下流側光路Pdの順に戻る測距光を、測距ユニット5の測距光受光部5Bへ導く。下流側合流機構35を設けることで、測距光出射部5Aから出射された測距光と、下流側光路Pdの近赤外レーザ光及びガイド光とが同軸上に合流される。加えて、下流側合流機構35を設けることで、マーカヘッド1から出射されてワークWにより反射された測距光のうち、マーカヘッド1に入射した測距光を測距光受光部5Bまで導く。
前述のように、測距光の波長は、近赤外レーザ光及びガイド光の波長と相違するように設定されている。そのため、下流側合流機構35は、上流側合流機構31と同様に、例えばダイクロイックミラーを用いて構成することができる。具体的に、下流側合流機構35は、測距光及びガイド光の一方を透過させ、他方を反射するダイクロイックミラー35aを有している(図6及び図7を参照)。ダイクロイックミラー35aは、ベンドミラー34と略同じ高さ位置で且つベンドミラー34の後方に配置されている。ダイクロイックミラー35aは、図6等に示すように、その一方側の鏡面をベンドミラー34に向け且つ他方側の鏡面をベースプレート12に向けた姿勢で位置決めされている。よって、ダイクロイックミラー35aの一方側の鏡面には近赤外レーザ光及びガイド光が入射する。ダイクロイックミラー35aの他方側の鏡面には測距光が入射する。ダイクロイックミラー35aは、測距光を反射し且つ近赤外レーザ光とガイド光とを透過させる。これにより、例えば測距ユニット5から出射された測距光がダイクロイックミラー35aに入射したときには、その測距光を下流側光路Pdに合流させ、近赤外レーザ光及びガイド光と同軸にすることができる。同軸化された近赤外レーザ光、ガイド光及び測距光は、図3A、図3Bに示すように第1スキャナ41へ至る一方、ワークWにより反射された測距光は、レーザ光走査部4へ戻ることにより下流側光路Pdに至る。下流側光路Pdへ戻った測距光は、下流側合流機構35のダイクロイックミラー35aにより反射されて測距ユニット5に至る。
なお、測距ユニット5からダイクロイックミラー35aに入射する測距光、及び、ダイクロイックミラー35aにより反射されて測距ユニット5に入射する測距光は、図7に示すように、双方とも筐体10を平面視したときの左右方向(筐体10の短手方向)に沿って伝搬する。
(レーザ光走査部4)
図3Aに示すように、レーザ光走査部4は、レーザ光出力部2から出射されてレーザ光案内部3により案内された加工用の近赤外レーザ光をワークWへ照射するとともに、そのワークWの表面上で2次元走査する。図5に示す例では、レーザ光走査部4は、いわゆる2軸式のガルバノスキャナで構成されている。すなわち、このレーザ光走査部4は、レーザ光案内部3から入射した近赤外レーザ光を第1方向に走査するための第1スキャナ41と、第1スキャナ41により走査された近赤外レーザ光を第2方向に走査するための第2スキャナ42と、を有している。
ここで、第2方向は第1方向に対して略直交する方向を意味する。よって、第2スキャナ42は、第1スキャナ41に対して略直交する方向に近赤外レーザ光を走査する。本実施形態では、第1方向は前後方向(筐体10の長手方向)であり、第2方向は左右方向(筐体10の短手方向)である。以下、第1方向を「X方向」と呼称し、第2方向を「Y方向」と呼称する。X方向とY方向は、双方とも前述のZ方向と直交している。
第1スキャナ41は、その先端に第1ミラー41aを有している。第1ミラー41aは、ベンドミラー34及びダイクロイックミラー35aと略同じ高さ位置で且つダイクロイックミラー35aの後方に配置されている。よって、図5に示すように、ベンドミラー34と、ダイクロイックミラー35aと、第1ミラー41aは、前後方向(筐体10の長手方向)に沿って配列されている。第1ミラー41aは第1スキャナ41に内蔵されたモータ(不図示)によって回転駆動される。このモータは、上下方向に延びる回転軸まわりに第1ミラー41aを回転させる。第1ミラー41aの回転姿勢を調整することで第1ミラー41aによる近赤外レーザ光の反射角を調整することができる。第2スキャナ42は、その先端に第2ミラー42aを有している。第2ミラー42aは、第1スキャナ41の第1ミラー41aと略同じ高さ位置で且つ第1ミラー41aの右方に配置されている。よって、図6に示すように、第1ミラー41aと、第2ミラー42aは、左右方向(筐体10の短手方向)に沿って横並びに配置されている。第2ミラー42aは、第2スキャナ42に内蔵されたモータ(不図示)によって回転駆動される。このモータは前後方向に延びる回転軸まわりに第2ミラー42aを回転させる。第2ミラー42aの回転姿勢を調整することで、第2ミラー42aによる近赤外レーザ光の反射角を調整することができる。
下流側合流機構35からレーザ光走査部4へ近赤外レーザ光が入射すると、加工用の近赤外レーザ光は、第1スキャナ41の第1ミラー41aと、第2スキャナ42の第2ミラー42aとによって順に反射され、透過ウインドウ19を介してマーカヘッド1の外部へ出射する。そのときに、第1スキャナ41のモータを作動させて第1ミラー41aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で近赤外レーザ光を第1方向に走査することが可能となる。それと同時に、第2スキャナ42のモータを作動させて第2ミラー42aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で近赤外の加工用レーザ光を第2方向に走査することが可能になる。前述のように、レーザ光走査部4には、近赤外レーザ光ばかりでなく、下流側合流機構35のダイクロイックミラー35aを通過したガイド光、又は、同ダイクロイックミラー35aによって反射された測距光も入射することになる。レーザ光走査部4は、第1スキャナ41及び第2スキャナ42をそれぞれ作動させることで、ガイド光又は測距光を2次元走査することができる。なお、第1ミラー41a及び第2ミラー42aが取り得る回転姿勢は、基本的には、第2ミラー42aによって近赤外レーザ光が反射されたときに、その反射光が透過ウインドウ19を通過するような範囲内に設定される(図7、図8参照)。レーザ光走査部4は、走査制御部としての制御部101によって電気的に制御されることにより、図10に例示するように、所定の加工領域R1に近赤外の加工用レーザ光を照射して、加工領域R1に所定の加工パターン(マーキングパターン)を形成する。
(測距ユニット5)
図3Bに示すように、測距ユニット5は、レーザ光走査部4を介して測距光を投光し、これをワークWの表面に照射する。測距ユニット5は、レーザ光走査部4を介して、ワークWの表面により反射された測距光を受光する。測距ユニット5は、主に、測距光を投光するためのモジュールと、測距光を受光するためのモジュールとに大別される。具体的に、測距ユニット5は測距光出射部5Aを備えている。測距光出射部5Aは、レーザ加工装置Lにおけるマーカヘッド1からワークWの表面までの距離を測定するための測距光をレーザ光走査部4に向けて出射する。測距ユニット5は測距光受光部5Bを有している。測距光受光部5Bは、レーザ光走査部4を介して、測距光出射部5Aから出射されてワークWにより反射された測距光を受光する。さらに、測距ユニット5は、測距光出射部5A及び測距光受光部5Bを下方から支持する支持台50を備えており、この支持台50を介して筐体10の内部に固定されている。図7に示すように、測距ユニット5は、筐体10の長手方向に沿って前方に測距光を出射するとともに、同長手方向に沿って略後方に伝搬する測距光を受光する。また、測距ユニット5は、前述のダイクロイックミラー35aを介してレーザ光案内部3と光学的に結合される。前述のように、測距ユニット5は、筐体10の長手方向に沿って測距光を投光する。それに対し、ダイクロイックミラー35aは、筐体10の長手方向ではなく、その短手方向に沿って伝搬した測距光を反射するように構成されている。
測距ユニット5とダイクロイックミラー35aを結ぶ光路を構成するために、ベンドミラー59が設けられている(図6及び図7を参照)。測距光出射部5Aからベンドミラー59に入射した測距光は、同ベンドミラー59によって反射されてダイクロイックミラー35aに入射する。そして、レーザ光走査部4に戻ってダイクロイックミラー35aによって反射された測距光は、ベンドミラー59に入射するとともに、同ベンドミラー59によって反射されて測距光受光部5Bに入射する。
以下、測距ユニット5を成す各部の構成を説明する。
―測距光出射部5A―
測距光出射部5Aは、筐体10の内部に設けられており、レーザ加工装置Lのマーカヘッド1からワークWの表面までの距離を測定するための測距光を出射する。測距光出射部5Aは測距光源51及び投光レンズ52と、これらを収容するケーシング53と、投光レンズ52によって集光された測距光を案内する一対のガイドプレート54L、54Rと、を有している。測距光源51、投光レンズ52及びガイドプレート54L、54Rは筐体10の後側から順に並んで位置決めされており、それらの並び方向は筐体10の長手方向である。ケーシング53は、筐体10及び支持台50の長手方向に沿って延びる筒状の形状を有している。筐体10の後側に測距光源51が取り付けられている。筐体10の前側に投光レンズ52が取り付けられている。測距光源51と投光レンズ52との間の空間は、略気密状に密閉されている。測距光源51は、制御部101からの信号に従って前方に測距光を出射する。測距光源51は、測距光として、可視光域にあるレーザ光を出射することができる。測距光は例えば690nm付近の波長を有する赤色レーザ光である。
測距光源51は、測距光の赤色レーザ光の光軸Aoがケーシング53の長手方向に沿って延びるように位置決めされている。投光レンズ52は、支持台50の長手方向においては、測距光受光部5Bの一対の受光素子56L、56Rと、受光レンズ57と、の間に位置している。投光レンズ52は、測距光の光軸Aoが通過するように位置決めされている。投光レンズ52は、例えば平凸レンズで構成され、球面状の凸面をケーシング53の外部に向けた姿勢で位置決めされる。投光レンズ52は、測距光源51から出射された測距光を集光し、ケーシング53の外部に出射する。ケーシング53の外部に出射された測距光は、ガイドプレート54L、54Rの間に至る。
ガイドプレート54L、54Rは、支持台50の短手方向に並んだ一対の部材で構成されており、それぞれ、支持台50の長手方向に延びる板状体で構成されている。一方のガイドプレート54Lと、他方のガイドプレート54Rとの間には、測距光を出射するためのスペースが画成される。ケーシング53の外部に出射された測距光は、区画されたスペースを通過して出力される。よって、測距光源51から出射された測距光は、ケーシング53内部の空間、投光レンズ52の中央部、ガイドプレート54L、54Rの間のスペースを通過して、測距ユニット5の外部に出力される。出力された測距光は、ベンドミラー59と、下流側合流機構35のダイクロイックミラー35aと、によって反射されて、レーザ光走査部4に入射する。
レーザ光走査部4に入射した測距光は、第1スキャナ41の第1ミラー41aと、第2スキャナ42の第2ミラー42aとによって順番に反射され、透過ウインドウ19からマーカヘッド1の外部へ出射される。第1スキャナ41の第1ミラー41aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で測距光を第1方向に走査することができる。それと同時に、第2スキャナ42のモータを作動させて第2ミラー42aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で測距光を第2方向に走査することができる。走査された測距光は、ワークWの表面上で反射される。反射された測距光の一部(以下、これを「反射光」ともいう。)は、透過ウインドウ19を介してマーカヘッド1の内部に入射する。マーカヘッド1の内部に入射した反射光は、レーザ光走査部4を介してレーザ光案内部3に戻る。反射光は、測距光と同じ波長を有することから、レーザ光案内部3の下流側合流機構35のダイクロイックミラー35aによって反射され、ベンドミラー59を介して測距ユニット5に入射する。
―測距光受光部5B―
測距光受光部5Bは、筐体10の内部に設けられており、測距光出射部5Aから出射されてワークWにより反射された測距光(前述の「反射光」に等しい)を受光するよう構成されている。測距光受光部5Bは、一対の受光素子56L、56Rと、受光レンズ57と、を有している。一対の受光素子56L、56Rは、それぞれ支持台50の後端部に配置されている。受光レンズ57は、支持台50の前端部に配置されている。したがって、一対の受光素子56L、56Rと、受光レンズ57と、は実質的に筐体10及び支持台50の長手方向に沿って並んで配置されている。
一対の受光素子56L、56Rは、筐体10の内部において測距光出射部5Aの測距光の光軸Aoを挟むように各々の光軸が配置されている。一対の受光素子56L、56Rは、レーザ光走査部4へ戻った反射光をそれぞれ受光する。一対の受光素子56L、56Rは、測距光出射部5Aの光軸Aoに直交する方向に並んでいる。一対の受光素子56L、56Rの並び方向は、筐体10及び支持台50の短手方向、すなわち左右方向である。左右方向において、一方の受光素子56Lが測距光源51の左側に配置され、他方の受光素子56Rが測距光源51の右側に配置されている。一対の受光素子56L、56Rは、それぞれ、斜め前方に指向した受光面を有しており、各受光面における反射光の受光位置を検出し、その検出結果を示す信号(検出信号)を出力する。各受光素子56L、56Rから出力される検出信号は、マーカコントローラ100に入力されて距離測定部103に至る。
各受光素子56L、56Rとして使用可能な素子として、例えば、相補型MOS(CMOS)からなるCMOSイメージセンサ、電荷結合素子(CCD)からなるCCDイメージセンサ、光位置センサ(PSD)等が挙げることができる。本実施形態では、各受光素子56L、56RはCMOSイメージセンサで構成されている。これにより、各受光素子56L、56Rは、反射光の受光位置ばかりでなく、その受光量分布(受光波形)を検出することができる。すなわち、CMOSイメージセンサを用いて各受光素子56L、56Rを構成した場合、各々の受光面には、少なくとも左右方向に画素が並ぶことになる。この場合、各受光素子56L、56Rは、画素毎に信号を読み出して増幅し、外部に出力することができる。各画素における信号の強度は、反射光が受光面上でスポットを形成したときに、そのスポットの反射光の強度に基づいて決定される。なお、CMOSイメージセンサのように、受光量分布(受光波形)を検出可能な素子を用いて各受光素子56L、56Rを構成した場合、各受光素子56L、56Rの受光量の大きさは、測距光の強度、すなわち測距光出射部5Aから出射される測距光の強度(以下、これを「投射光量」ともいう)と、画素毎に信号を増幅する際のゲイン(これを「受光ゲイン」ともいう)とを用いて調整することができる。また、ゲインの他にも、各受光素子56L、56Rにおける露光時間を用いて調整することができる。
一対の受光素子56L、56Rは、少なくとも反射光の受光位置を示すピーク位置と、その反射光の受光量を検出することができる。受光量を示す指標としては、例えば、反射光の受光量分布のピークの高さを用いることができる。これに代えて、受光量分布の合算値、平均値、積分値を用いてもよい。なお、反射光の受光位置を示す指標として、本実施形態では受光量分布のピーク位置を用いているが、これに代えて、受光量分布の重心位置としてもよい。
受光レンズ57は、筐体10の内部において一対の受光素子56L、56Rそれぞれの光軸が通過するように配置されている。受光レンズ57は、下流側合流機構35と一対の受光素子56L、56Rとを結ぶ光路の途中に設けられており、下流側合流機構35を通過した反射光を、一対の受光素子56L、56Rのそれぞれの受光面に集光させることができる。受光レンズ57は、レーザ光走査部4へ戻った反射光を集光し、各受光素子56L、56Rの受光面上に反射光のスポットを形成させる。各受光素子56L、56Rは、スポットのピーク位置と、受光量を示す信号を距離測定部103に出力する。
レーザ加工装置Lは、基本的には、受光素子56L、56Rの各々の受光面の反射光の受光位置(本実施形態ではスポットのピークの位置)に基づいて、ワークWの表面までの距離を測定することができる。距離の測定手法としては、いわゆる三角測距方式が用いられる。
―距離の測定手法についてー
図9は、三角測距方式について説明する図である。図9においては、測距ユニット5のみが図示されているが、以下の説明は、前述のように、レーザ光走査部4を介して測距光が出射される場合にも適用可能である。
図9に例示するように、測距光出射部5Aの測距光源51から測距光が出射されると、その測距光はワークWの表面に照射される。ワークWによって反射されると、その反射光(特に拡散反射光)は、仮に正反射の影響を除いたならば、略等方的に伝搬することになる。そうして伝搬する反射光には、受光レンズ57を介して受光素子56Lに入射する成分が含まれるものの、マーカヘッド1とワークWとの距離に応じて、その入射光の受光素子56Lへの入射角が増減することになる。受光素子56Lへの入射角が増減すると、その受光面56aの受光位置が変位することになる。このように、マーカヘッド1とワークWとの距離と、受光面56aの受光位置とは所定の関係をもって関連付いている。したがって、その関係を予め把握しておくとともに、例えばマーカコントローラ100に記憶させておくことで、受光面56aの受光位置からマーカヘッド1とワークWとの距離を算出することができる。このような算出方法は、いわゆる三角測距方式を用いた手法に他ならない。
すなわち、前述の距離測定部103は測距光受光部5Bにおける測距光の受光位置に基づいて、三角測距方式によりレーザ加工装置LからワークWの表面までの距離を測定する。具体的に、前述の条件設定記憶部102には、受光面56aの受光位置と、マーカヘッド1からワークWの表面までの距離との関係が予め記憶されている。距離測定部103には、測距光受光部5Bの測距光の受光位置、つまり反射光が受光面56a上に形成するスポットのピークの位置を示す信号が入力される。距離測定部103は、そうして入力された信号と、条件設定記憶部102が記憶している関係とに基づいて、ワークWの表面までの距離を測定する。得られた測定値は、例えば制御部101に入力されて、制御部101によるZスキャナ33等の制御に用いられる。例えば、レーザ加工装置Lは、ワークWの表面のうち、マーカヘッド1による加工対象となる部位(印字点)を自動/手動で決定する。続いて、レーザ加工装置Lは印字加工を実行するのに先立って、各印字点(より正確には、印字点周辺に設定した測距点)までの距離を測定するとともに、その距離に見合う焦点位置となるようにZスキャナ33の制御パラメータを決定する。レーザ加工装置Lは、そうして決定された制御パラメータに基づいてZスキャナ33を作動させた後に、近赤外の加工用レーザ光によってワークWに印字加工を施す。
-加工基準面について一
図10は、加工基準面Rbについて説明する図である。図3A、図3B及び図10に例示するように、各印字点までの距離を測定するための測距光、及び各印字点に照射される近赤外の加工用レーザ光は、いずれも透過ウインドウ19を透過してワークWに至る。ここで、各印字点は、ワークWの表面上に設定される加工領域R1に設けられる。加工領域R1の設定は、制御部101が実行する加工領域R1を設定することで、各ワークWにおいて加工が施されるべき部位を指定することができる。
しかし、複数のワークWに対して印字加工を施す場合、凹凸等の表面性状次第では、ワークW毎に印字点、ひいては加工領域R1の場所が変位する可能性がある。そのため、測距光及び近赤外レーザ光を精密に走査させるためには、ワークWの表面状態とは無関係な指標が必要となる。そこで、本実施形態に係るレーザ加工装置L(特に、マーカコントローラ100の制御部101)は、図10に例示するように、筐体10の外部に設けられる加工基準面Rbを基準とした位置情報に基づいて、測距光及び近赤外レーザ光を走査させるように構成されている。この加工基準面Rbは、透明部材19bを挟んでレーザ光走査部4の反対側に位置している。具体的に、加工基準面Rbは透明部材19bの下方に設けられており、この透明部材19bとの距離が所定値となる位置に配置されている。このように配置することにより、レーザ光走査部4は、透明部材19bを通して加工基準面Rbと対向することになる。また、後述のように、透明部材19bは扁平な部材で構成される。具体的に、透明部材19bに対して垂直に交わる中心軸は、加工基準面Rbに対しても垂直に交わる。このように構成した結果、加工基準面Rbは、図10に例示するように、透明部材19bに対して平行に延びる。そして、加工領域R1に照射されるレーザ光は、加工基準面Rbを基準とした位置情報、例えば加工基準面Rb上の近赤外の加工用レーザ光及び測距光の照射位置に基づいて制御可能である。
制御部101は、加工基準面Rbを基準とした位置情報に基づいて、加工基準面Rbに平行な方向に沿って近赤外の加工用レーザ光及び測距光を2次元走査する。加工基準面Rbを用いることで、例えば、高さの異なる複数のワークWに対し、共通の加工パターンを容易に形成することができる。そのことで、次々と印字する複数のワークW間で印字精度、印字品質等にバラツキが生じるのを抑制することができる。本実施形態においては、レーザ光走査部4ばかりでなく、広域カメラ6も透明部材19bを通して機能するように配置されている。
次に透過ウインドウ19と広域カメラ6の構成を説明する。
(透過ウインドウ19)
図11は、透過ウインドウ19及び広域カメラ6の構成を示す下面図であり、図12は透過ウインドウ19及び広域カメラ6の横断面図であり、図13は透過ウインドウ19及び広域カメラ6の縦断面図である。図12に示す横断面は、図11のA-A断面に相当する。図13に示す縦断面は、図11のB-B断面に相当する。図11を参照して、透過ウインドウ19は、筐体10の外面に形成されており、レーザ光走査部4によって2次元走査された近赤外レーザ光、及び測距ユニット5から出射された測距光を、それぞれ、筐体10の外部に出射する。透過ウインドウ19は、筐体10の外面に設けられた貫通孔19aと、この貫通孔19aに取り付けられた透明部材19bと、を有している。貫通孔19aは、略円形状に形成されており、筐体10の底板10aを上下方向に貫いている。一方、透明部材19bは、貫通孔19aに嵌め込まれており、透過ウインドウ19から出射される近赤外レーザ光及び測距光が、それぞれ透過するように構成されている。透明部材19bは略円形のガラス板で構成されている。この透明部材19bを真円とみなしたときの中心は図11及び図12に示すように、第2ミラー42aの直下に位置決めされている。透明部材19bを貫通孔19aに嵌め込むことで、筐体10内の空間を気密状に密閉することができる。
透明部材19bはレンズ効果を意図的に抑制すべく、好ましくは扁平な部材で構成されている。透明部材19bの曲率半径は、一般的なfθレンズに比して高く設定されている。曲率半径を高く設定することで、透明部材19bはレンズ効果がない、又は、レンズ効果が低い扁平な部材とみなすことができる。透明部材19bの曲率半径は、10,000mm以上且つ100,000mm以下の範囲内に設定してもよい。より好ましくは、透明部材19bの曲率半径は50,000mm以上且つ100,000mm以下の範囲内に設定するのがよい。
(広域カメラ6)
広域画像に関する撮像部としての広域カメラ6は、透過ウインドウ19を通じてワークWを撮像することにより、加工領域R1の少なくとも一部を含んだワーク画像Pwを生成するように位置決めされている(図18も参照)。なお、図10に示す例では、レーザ光走査部4によって走査可能な領域の全域を加工領域R1としているが、この例には限定されない。走査可能な領域のうちの一部を加工領域R1としてもよい。また図10に示すように、広域カメラ6は、その撮像光軸Acと、加工基準面Rbとが直交するように筐体10内に配置されている。広域カメラ6は、撮像用の光学レンズ61と、光学レンズ61を通じて取り込んだ光は撮像素子62で結像される。広域カメラ6は光学レンズ61を下方に向けて設置されている。広域カメラ6の撮像光軸Acは、透明部材19b及び加工基準面Rbの双方に対して直交している。近赤外の加工用レーザ光の光軸Az(以下、これを「レーザ光軸」ともいう)は、図10に示すように、第2スキャナ42の第2ミラー42aから下方に向かって延びている。撮像光軸Acはレーザ光軸Azと同軸ではなく、互いに独立している。撮像光軸Acはレーザ光軸Azと好ましくは平行であるのがよい。
撮像光軸Acは透過ウインドウ19を通過する近赤外の加工用レーザ光の光軸Azと非同軸とされている。広域ワーク画像を生成するための光は、近赤外レーザ光とは独立した光路を通じて光学レンズ61から取り込まれる。ただし、撮像光軸Acとレーザ光軸Azの離間距離を適度に設定するのが好ましい。過度に離間させると、広域カメラ6の撮像視野Fvと、近赤外レーザ光によって加工される領域(加工領域R1)との間にズレが生じてしまい、その結果、レーザ加工装置Lの使い勝手を低下させてしまう可能性がある。本実施形態に係る広域カメラ6は、その撮像光軸Acをレーザ光軸Azに対して非同軸としつつも、撮像光軸Acとレーザ光軸Azとを可能な限り近接させて位置決めされている。広域カメラ6は、第1スキャナ41に比して、第2スキャナ42に近接して配置されている。この配置により広域カメラ6の撮像光軸Acと加工用レーザ光のレーザ光軸Azとを可能な限り近接させることができる。さらに詳しくは、広域カメラ6は、Zスキャナ33とレーザ光走査部4を結ぶ光軸(具体的には、下流側光路Pdに沿って延びる光軸)に対して直交する方向に沿って第1スキャナ41、第2スキャナ42及び広域カメラ6の順に並んで配置されている。図7に示す例では、下流側光路Pdは後方に向かって延びている。そのため、本実施形態に係るレーザ加工装置Lにおいては、図12において紙面右側から順に、第1スキャナ41、第2スキャナ42、広域カメラ6が配置されている(図6及び図7も参照)。
また、図6及び図7において破線に示すように、広域カメラ6は、前後方向においては、下流側合流機構35及びベンドミラー59の後方且つ第1スキャナ41及び第2スキャナ42と同じ位置に配置されている。このように配置することで、下流側合流機構35とベンドミラー59との間を伝搬する測距光が、広域カメラ6の撮像視野Fvに含まれないようにすることができる。なお、高さ方向については、広域カメラ6は、第2ミラー42aと略同じ高さとされている。広域カメラ6の撮像視野Fvは、撮像光軸Acを中心軸として、光学レンズ61からテーパ状に末広がりである。
図10から直ちに分かるように、広域カメラ6は、その撮像視野Fvにレーザ光走査部4が含まれない位置に配置されている。さらに、広域カメラ6は、その撮像視野Fvに、透過ウインドウ19の縁の一部、特に貫通孔19aの周縁部の一部(図10において、透過ウインドウ19の紙面左端部)が含まれるように位置決めされている。よって、広域カメラ6によって生成される広域ワーク画像Pwには、レーザ光走査部4が映り込まない一方で、透過ウインドウ19の縁の一部が含まれる。以下、透過ウインドウ19の全周縁のうち、その一部である広域ワーク画像Pwに取り込まれる部位を単に「透過ウインドウ19における縁の一部」又は「縁の一部」と呼称するとともに、これに符号「19c」を付す。縁の一部19cについては、図11の下面図も参照されたい。また、広域カメラ6を構成する撮像素子62の群は所定の方向に延びる矩形の輪郭を有している。そのため、広域カメラ6の撮像視野Fv、ひいては広域撮像視野Fvを撮像光軸Acに直交する方向に横断する撮像領域R2もその所定方向の寸法が長くなる。広域撮像領域R2は、加工領域R1の少なくとも一部を含むように構成されている。例えば、図10に例示される撮像領域R2は加工領域R1の全体を含んでいる。
撮像素子62の群は、その長手方向が広域カメラ6と第2スキャナ42の並び方向と平行になるように配置されている。このように配置することで、撮像視野Fv及び撮像領域R2の長手方向に沿って広域カメラ6と第2スキャナ42とが並んで配置される。その結果、図10の下図に示すように、レーザ光走査部4によって走査可能な領域(この例では加工領域R1)の中央部Ozは、撮像領域R2の中央部Ocに対し、撮像領域R2の長手方向にオフセットすることになる。ここで、「走査可能な領域の中央部Oz」とは、図10に示すように、レーザ光軸Azと加工基準面Rbとが直交する方向に近赤外レーザ光を出射したときのレーザ光軸Azと加工領域R1との交点をいう。また、「撮像領域R2の中央部Oc」とは、加工領域R1と面一になるように撮像領域R2を設定したときの撮像光軸Acと撮像領域R2との交点をいう。
上記の構成により、加工基準面Rbと直交するように近赤外の加工用レーザ光を出射したときに、そのレーザ光軸Azと加工基準面Rbとが交わる位置が、撮像光軸Acと加工基準面Rbとが交わる位置に対してオフセットすることになる。広域カメラ6は、加工領域R1の少なくとも一部を含んだ広域ワーク画像Pwとして、撮像領域R2に対応した画像を生成する。前述のように、このワーク画像Pwには、加工領域R1ばかりでなく、透過ウインドウ19の周縁の一部19cも映り込む(図18(a)も参照)。広域カメラ6により生成された広域ワーク画像Pwは、制御部101へ供給される。
レーザ加工システムSの具体的な使用方法について説明をする。
<レーザ加工システムSの使用方法について>
図14は、レーザ加工システムSの使用方法を示すフローチャートである。図15は、印字設定の作成手順を例示するフローチャートである。図16はレーザ加工装置Lの運用手順を例示するフローチャートである。図17は、ワークWの加工領域R1と表示部801の設定画面R4との関係を説明するための図である。図18は、広域ワーク画像Pwによる部分画像Ppの生成を説明する図である。
レーザマーカとして構成されたレーザ加工装置Lを備えたレーザ加工システムSは、例えば、工場の製造ライン上に設置して運用することができる。その運用に際しては、まず、製造ラインの稼働に先立って、そのラインを流れることになるワークWの設置位置、並びに、そのワークWに照射するレーザ光及び測距光の出力等の条件設定(印宇設定)を作成する(ステップS1)。このステップS1において作成された印字設定は、マーカコントローラ100及び/又は操作用端末800等に転送されて記憶されたり、作成直後にマーカコントローラ100が読み込んだりする(ステップS2)。
そして、製造ラインの稼働に際してマーカコントローラ100は、予め記憶されていたり、作成直後に読み込まれたりした印字設定を参照する。レーザ加工装置Lは、参照された印字設定に基づいて運用される。そして、ライン上を流れる各ワークWに対して印字加工を実行する(ステップS3)。
(印字設定の作成)
図15は、図14のステップS1の具体的な処理を例示している。まず、ステップS11における、ステップS11aにおいて、広域カメラ6が撮像領域R2の全域に対応した広域ワーク画像Pwを生成する(図18(a)を参照)。広域ワーク画像Pwには、透過ウインドウ19の縁の一部19cが映り込む。そして、ステップS11における、ステップS11bにおいて、制御部101は、広域ワーク画像Pwから縁の一部19cを除いた部分画像Ppを生成する(図18(b)を参照)。この部分画像Ppは、加工領域R1の少なくとも一部を撮像した画像として生成される。制御部101によって生成された部分画像Ppは、操作用端末800へと出力される。そして、操作用端末800の表示部801が、加工領域R1に対応した設定画面R4を表示するとともに、設定画面R4上に部分画像Ppを表示する(図18(c)を参照)。これにより、加工領域R1上の座標、すなわち、ワークWの表面上の座標と設定画面R4上の座標とを対応付けることができる。
続くステップS12において、ステップS11において撮像された部分画像Ppに基づいて、ワークWの設置位置を補正する。詳細は省略するが、この工程は、X-Y平面(前述のX方向とY方向とがなす平面)に対するワークWの表面の傾きを補正したり、この表面のZ軸(前述のZ方向)に沿って延びる軸まわりの回転(θ回転)を手動/自動で補正するものである。続くステップS13において、設定部107が加工条件を設定する。設定部107は、条件設定記憶部102等の記憶内容を読み出したり、操作用端末800を介した操作入力等を読み込んだりすることで、加工条件を設定する。加工条件には、印字内容等を示す印字パターン(マーキングパターン)及び、この印字パターンを含んだ印字ブロックが含まれる。印字ブロックは、印字パターンのレイアウト、サイズ、回転姿勢等の調整に用いることができる。
図18(c)に示す例では、ワークWの表面上には、「A」という文字からなる印字パターンPと、これを含む矩形状の印字ブロックBとがレイアウトされており、設定画面R4を介して表示されている。この印字ブロックBは、部分画像Ppと重ね合わせるように設定画面R4上に設定されることになる。印字ブロックBの設定は設定部107が実行する。
なお、印字パターンは「加工パターン」の例示であり、印字ブロックは「加工ブロック」の例示である。印字加工以外のレーザ加工に適用する場合は、その適用対象に対応した名称とすればよい。図18(c)に示す例に代えて、設定画面R4上に複数のワークWを表示してもよい。また、ワークW毎に、複数の印字ブロックを設けてもよい。印字パターンについても、例えば、「ABC」といった文字列を用いたり、QRコード(登録商標)等、文字列以外のパターンを用いたりすることができる。このように、設定部107は、設定画面R4上に、加工ブロックとしての印字ブロックを設定することができるという点で、「加工ブロック設定部」を例示している。
また、加工条件にはレーザ条件も含まれる。このレーザ条件には、近赤外の加工用レーザ光の目標出力(レーザパワー)、加工用レーザ光の繰り返し周波数、及びレーザ光走査部4による近赤外レーザ光の走査速度(スキャンスピード)のうちの少なくとも1つが含まれる。レーザ加工装置Lのように、Qスイッチを用いてレーザ発振する場合、繰り返し周波数は、Qスイッチ周波数と略一致する。続くステップS14において、印字ブロックをレイアウトするための設定画面R4上での印字ブロックの座標(ローカル座標)が条件設定記憶部102等に保存される。
一般に、製造ラインを稼働させた際に順次加工されることになる、搬送される各ワークWには、それぞれX方向及びY方向(XY方向)に位置ズレが生じるのが通常である。レーザ加工装置Lは種々の手法を用いることで、このような位置ズレを補正することができる。そのために、ステップS15は、XY方向の位置ズレを補正するための条件設定を実施する。XY方向における位量ズレを補正するための手法としては、例えばパターンサーチを用いることができる。その場合、このステップS15では、パターンサーチに係る条件(サーチ条件)として、パターンサーチ用のモデル画像が決定される。次々と搬送される各ワークWにはZ方向の位置ズレを含む。Z方向の位置ズレは加工用レーザ光の焦点位置のズレを招いて印字品質を悪化させるため望ましくない。レーザ加工装置Lは測距ユニット5を備えているため、ワークWの表面までの距離に基づいて、Z方向の位置ズレを検知することができる。これにより、Z方向の位置ズレ、ひいては焦点位置のズレを補正することができる。ステップS16では、Z方向の位置ズレを補正するための条件設定が行われる。
ステップS16では、測距ユニット5に係る条件(測距条件)が決定される。設定部107は、測距条件として、少なくとも加工領域R1において印字パターンを生成する部分領域(印字パターンを含んだ印字ブロックに対応する部分領域)に設定される測距点を決定する。この測距点はレーザ加工装置Lからの距離が測定される座標を示す。
なお、ここでいう部分領域は、ワークWの表面全体としてもよいし、ワークWの表面の一部としてもよいし、ワークWの表面からずれていてもよい。部分領域は、少なくとも、生成対象とされた印字パターンに紐付いた領域であればよい。続くステップS17において、マーカコントローラ100が印字設定の作成を完了する。
(印字加工の実行)
図16は、図14のステップS3の具体的な処理を例示している。すなわち、図16に示す処理は、製造ラインを稼働させたときに流れてくる各ワークWに対して順番に実行される。まず、ステップS31において、マーカコントローラ100が印字ブロックの詳細等を示す印字設定を読み込む。そして、ステップS32において、ステップS32aでは、広域カメラ6が、加工領域R1の少なくとも一部を示す撮像領域R2を撮像することにより、該撮像領域R2に対応した広域ワーク画像Pwを生成する(図18(a)を参照)。広域ワーク画像Pwには、透過ウインドウ19の縁の一部19cが映り込む。そして、ステップS32におけるステップS32bにおいて、制御部101は、ワーク画像Pwから縁の一部19cを除いた部分画像Ppを生成する(図18(b)を参照)。部分画像Ppは、加工領域R1の少なくとも一部を撮像した画像として生成される。
制御部101によって生成された部分画像Ppは、操作用端末800に供給される。そして、操作用端末800の表示部801が、加工領域R1に対応した設定画面R4を表示するとともに、設定画面R4上に部分画像Ppを表示する(図18(c)を参照)。続くステップS33において、マーカコントローラ100が図15のステップS15で設定したサーチ条件を読み込む。それに続き、ステップS34において、マーカコントローラ100が、ステップS33で読み込んだサーチ条件に基づいてパターンサーチを実施して、XY方向におけるワークWの位置ズレを検知する。続くステップS35において、マーカコントローラ100が、図15のステップS16で設定した測距条件を読み込む。それに続き、ステップS36において、マーカコントローラ100の距離測定部103が、測距条件として設定された測距点までの距離を測定し、その測定結果に基づいてZ方向のワークWの位置ズレを検知する。続くステップS37において、マーカコントローラ100が、XY方向のワークWの位置ズレを補正する。具体的には、マーカコントローラ100の設定部107が、設定画面R4上の部分画像Ppに基づいて、設定画面R4における印字ブロックの位置、詳しくは、設定画面R4上での印字ブロックの座標(ローカル座標)を補正する。続くステップS38において、マーカコントローラ100は、Z方向のワークWの位置ズレを補正する。具体的には、マーカコントローラ100のZスキャナ33が、ステップS36における測定結果に基づいて、印字ブロック毎に焦点位置を調整する。続くステップS39において、マーカコントローラ100が、マーカヘッド1へと励起レーザ光を出力し、この励起レーザ光に基づき生成される近赤外レーザ光を利用して印字加工を実行する。
(広域カメラ6のレイアウトについて)
図10に例示するように、広域撮像部としての広域カメラ6は、撮像光軸Acと、加工基準面Rbとを直交させた姿勢で筐体10内に配置されている。このように配置することで、ワークWを斜め上方からではなく、真上から撮像することができる。そのことで、広域撮像画像としてのワーク画像Pwの歪みが解消される。また、撮像光軸Acと、加工用の近赤外レーザ光との同軸化が必須ではなくなるため、広域カメラ6の撮像視野Fvを拡大することが可能である。
広域カメラ6は、透明部材19bを通してワークWを撮像する。このことに関連して、透明部材19bによる広域ワーク画像Pwの歪みの発生が懸念される。これに対応するのに、透明部材19bとして、レンズ効果がない、又は、レンズ効果が低い扁平な部材を意図的に用いるのが良い。レンズ効果がない、又は、レンズ効果が低い透明部材19bを用いることで、透明部材19bによるワーク画像Pwの歪みを抑制できる。これにより、制御部101を含む制御系の負荷を抑制することができる。
広域カメラ6の撮像光軸Acは、レーザ光軸Azとは非同軸である。非同軸によって撮像視野Fvの大きさとレーザ光走査部4の構成との関連性を無くすことができる。このことは撮像視野Fvを拡大する上で有利であることを意味している。また、図10に例示するように、撮像視野Fvにレーザ光走査部4が含まれないように構成することで、ワーク画像Pwを生成する上で、レーザ光走査部4の存在が邪魔にならない。
また、図18に例示するように、広域ワーク画像Pwから縁の一部19cを除いた部分画像Ppを設定画面R4上に表示することで、レーザ加工装置Lの使い勝手を向上させることができる。また、図16のステップS37に例示するように、部分画像Ppに基づいて印字ブロックの位置を調整することができる。これにより、より精密なレーザ加工を実現することが可能になる。
また、図12に例示するように、広域カメラ6を、第1スキャナ41に比して第2スキャナ42に近接させて配置することで、広域カメラ6の撮像視野Fvと、加工用レーザ光が実際に照射される領域とのズレを抑制することができる。このことは、加工領域R1の設定等をより適切に行う上で有効である。
また、図7等に例示するように、下流側光路Pdに対して直交する方向に沿って、第1スキャナ41、第2スキャナ42、広域カメラ6の順に並べて配置することで、Zスキャナ33からレーザ光走査部4に伝搬する近赤外レーザ光と、広域カメラ6とを可能な限り離間させつつ、広域カメラ6と第2スキャナ42とを近接させることができる。これにより、広域カメラ6の撮像視野Fvと、加工用レーザ光が実際に照射される領域とのズレを抑制し、加工領域R1の設定等を一層適切に行うことが可能になる。
(マーカヘッド1の変形例)
図19は、マーカヘッド1の変形例を示す図であり、図10に対応する図である。以下、マーカヘッド1の変形例に符号「1’」を付し、これを単に「マーカヘッド1’」と呼称する。図19を参照して、マーカヘッド1’の透明部材19bは、レンズ効果がない、又は、レンズ効果が低い扁平な部材からなる。図19に示す広域カメラ6は、その撮像光軸Acと、加工基準面Rbと、を直交させた姿勢で筐体10内に配置されているところ、広域カメラ6は、撮像視野Fvに、レーザ光走査部4(特に第2スキャナ42)が含まれる位置に設けられている。よって、広域カメラ6により生成されるワーク画像Pwには、レーザ光走査部4(特に第2スキャナ42)が映り込むことになる。
マーカヘッド1’は、このようなレイアウトに適した処理を実行することができる。表示部801は、広域ワーク画像Pwからレーザ光走査部4を除いた部分画像Ppを生成し、これを設定画面R4上に表示する。そして、設定部107は、部分画像Ppに基づいて、設定画面R4の印字ブロックの位置を補正することができる。
このように、レーザ光走査部4を除いた部分画像Ppを生成することで、レーザ加工装置Lの使い勝手を向上させることができる。また、部分画像Ppに基づいて印字ブロックの位置を調整することで、一層精密なレーザ加工を実現することが可能になる。
図20はレーザ加工装置Lを斜め下方から見た図であり、図4に対応した図である。図20を参照して、レーザ加工装置Lは、その底板10aの透過ウインドウ19の周囲に複数の照明窓70を設けるのが望ましい。実施例では、透過ウインドウ19は円形であり、その周囲に4つの照明窓70がほぼ等間隔に配置されている。
図21は、各照明窓70に関連して各照明部材71が位置決めされている。図22、図23は照明部材71の構成を説明するための図であり、図21との関係では図22、図23に図示の照明部材71は上下を反転させて図示してある。図22は斜視図であり、図23は縦断面図である。
照明部材71は、筐体10の内部に定置された光源であるLED72と、筒状のリフレクタ73を含む本体74と、偏光部材としての偏光板75とで概略構成されている。偏光板75は偏光ホルダ78によって保持されている。
偏光ホルダ78は、本体74の円周溝74aに案内されて軸線Axを中心として回転することができる。これにより偏光板75は光源(LED)72の軸線Axを中心として回転可能である。偏光ホルダ78は、90°ピッチで位置する4つの突起76を有している。なお、図23において、作図上の理由から突起76は3つ描かれている。
図24は、照明部材71の偏光板75の偏光角度を調整するための治具TLを説明するための図である。調整治具TLは互いに対向する一対のフィンガ77を有し、このフィンガ77の先端部には、偏光ホルダ78の互いに対向する2つの長い突起76aの先端部を受け入れる溝77aを備えている。ユーザは調整治具TLを互いに対向する2つの長い突起76aに係合させた後に調整治具TLを回転させる操作を行うことで偏光板75の回転位置を調整することができる。
調整治具TLの変形例として、偏光ホルダ78に、例えば突起などの操作部(不図示)を形成し、この操作部をユーザが直接的に操作することで偏光板75の回転位置(偏光角度)を調整できるようにしてもよい。
図25は、広域カメラ6の構造を説明するための図である。広域カメラ6は、典型例としてCMOSである撮像素子62を実装した素子基板80と、レンズホルダ81と、レンズ鏡筒82とを含む。図中、参照符号83はレンズを示す。レンズ鏡筒82はレンズホルダ81に対して螺着される。
広域カメラ6は、撮像素子62とレンズ鏡筒82との間に介装された赤外線(IR)カットフィルム又はガラスからなるIRカットフィルタ84を有し、IRカットフィルタ84に隣接して偏光板である偏光部材85を更に有する。好ましくは、偏光部材85とIRカットフィルタ84とは接着されてIRカットフィルタ84に一体化されている。IRカットフィルタ84において、撮像素子62に対向する面に偏光部材85を接着するのが更に好ましい。
偏光部材85を含むIRカットフィルタ84をレンズ鏡筒82に関連して組み付けるのが望ましい。好ましくは、偏光部材85を含むIRカットフィルタ84はレンズ鏡筒82の内端に接着される。これにより、レンズ鏡筒82を回転することで偏光部材85の偏光角度の調整が可能である。
広域カメラ6を筐体10の中に組み込んだレーザ加工装置Lは、ライン上を次々と流れてくるワークWに関し、その位置ズレに関する調整を広域カメラ6の撮像画像を使って画像処理により行うことができる利点を有している。ワークWの表面性状によっては広域カメラ6の広域ワーク画像Pwに支障が発生する。その典型例がワークWの表面が鏡面処理されている場合である。特に、筐体10に照明部材71及び広域カメラ6を内蔵したレーザ加工装置Lにおいて、照明部材71はワークWに接近した状態で位置決めされ、そして照明部材71が発した光がワークWの表面で正反射すると、この正反射光が広域カメラ6に取り込まれる可能性がある。
図26を参照して、表面が鏡面処理されたワークWは、照明光源72の強い光を正反射し易い。図中、参照符号72’は光源72の鏡像を示す。広域カメラ6は拡散反射光を受け入れることでワークWの広域ワーク画像Pwを生成することができる。照明光源72の正反射した強い光が広域カメラ6に入り込むと、この強い光によって撮像素子62の画素の画像データが上書きされてしまい、ワークWの表面の画像を得ることができなくなる。
レーザ加工装置Lは、照明光源72に関連して配置した第1偏光部材である偏光板75を含み、また、広域カメラ6に関連して配置した第2偏光板である偏光部材85を含んでいる。図27は、第1偏光部材75の作用と、第2偏光部材85の作用を説明するための図である。図27を参照して、第1偏光部材75は光源72に隣接して位置決めされている。これにより光源72が出射する非偏光光は第1偏光部材75によって直線偏光光になる。直線偏光光がワークWの例えば金属鏡面で反射すると、反射前後において直線偏光光の偏光方向が保存される。なお、第1偏光部材75を配置しない場合には、光源72の非偏光光はワークWの金属鏡面で反射される前後において偏光方向は保存されない。
ワークWの金属鏡面で正反射した反射光が第2偏光部材85を透過できるか否かは第2偏光部材85の回転位置つまり偏光角度に依存する。第2偏光部材85の偏光角度が第1偏光部材75の偏光角度と直交する場合には、ワークWの金属鏡面で正反射した反射光が第2偏光部材85を透過できない。したがって、ワークWの金属鏡面で反射した拡散反射光はその一部が第2偏光部材85を透過して撮像素子62に到達できる。つまり、第2偏光部材85は、ワークWの金属鏡面で反射した光のうち拡散反射成分の透過を許す一方で、この拡散反射成分を消し去る強い正反射成分を除去することができる。
第1、第2の偏光部材75、85の相対的な偏光角度は広域カメラ6が撮像した広域ワーク画像Pwの品質に影響を及ぼす。これは実験によって効果を確認するのが適切である。図28は、平滑な表面を備えた樹脂プレートをレーザ加工装置Lの真下に設置したときの広域カメラ6の広域ワーク画像Pwを示す。
図28を参照して、その下側に、4つの照明部材71を模式的に図示してある。4つの照明部材71を識別するために、参照符号(1)~(4)を付記してある。4つの照明部材71を点灯させて広域ワーク画像Pwを確認したときに、正反射光は広域ワーク画像Pwにおいて輝点となって現れる。照明部材71の第1偏光部材75の偏光角度を調整したときに、これに伴う広域ワーク画像Pwの輝点が最も暗く且つ小さくなった第1偏光部材75の偏光角度が、第2偏光部材85の偏光角度との関係で適正化されたことを意味する。すなわち、このときの第1偏光部材75の偏光角度と第2偏光部材85の偏光角度とが直交したことを意味している。
図28を参照して紙面左側の枠で囲んだ部分を「View1」と称し、紙面右側の枠で囲んだ部分を「View2」と称すると、左側のView1に見られる輝点は相対的に大きく且つ明るい。このことから第1照明部材71(1)の偏光部材75の偏光角度の調整が不十分であることが分かる。右側のView2に見られる輝点は相対的に小さく且つ暗い。このことから第2照明部材71(2)の偏光部材75の偏光角度は適正であると言える。他の第3、第4の照明部材71(3)、71(4)は、第2照明部材71(2)と同じであり、輝点は相対的に小さく且つ暗いことから、第3、第4の照明部材71(3)、71(4)の偏光部材75の偏光角度は適正であると言える。以上の検討結果により、第1照明部材71(1)に関連した偏光部材75の偏光角度を調整すればよい。
図29は、照明部材71及び広域カメラ6に偏光部材を設けることによる効果を説明するための図である。紙面左側の画像は照明部材71及び広域カメラ6が共に偏光部材無しのときの広域ワーク画像Pwである。紙面右側の画像は照明部材71及び広域カメラ6に第1、第2の偏光部材75、85を設けたときの広域ワーク画像Pwである。ワークWは、ヘアラインを有するアルミニウム板をアルマイト処理した表面に格子状の印字を施したアルミニウム板である。紙面左側の画像ではハレーションが現れており、このハレーションによって背景の格子状の白線の一部が視認できない。紙面右側の画像は、第1、第2の偏光部材75、85の偏光角度を調整することによってハレーションを抑制した結果、輝度ムラの無い画像を得ることができた。
図30は、各種金属製品に関する広域ワーク画像Pwを示す。図30の画像(I)は第1、第2の偏光部材75、85の調整前の画像であり、ハレーションが現れている。このハレーションを抑制するように、第1~第4の照明部材71(1)~71(4)の各々に対応する第1偏光部材75の偏光角度を調整することにより、輝度ムラの無い図30の画像(II)を得ることができた。
照明部材71は典型的には広域カメラ6による撮像の際に用いられる。すなわち、前述した図15のステップS11a、図16のステップS32aを実行する際に、広域カメラ6の撮像と同期して照明部材71が点灯される。また、図15のステップS15のXY方向の位置ズレ調整の際にも広域カメラ6の撮像と同期して照明部材71が点灯される。
図31は、印字に関連した一連のシーケンスに関するフローチャートである。印字処理は、印字トリガの入力によって開始され(ステップS40)、ワークWのXY方向の位置ズレ調整(ステップS41)、Z方向の位置ズレ調整(ステップS42)を行った後に印字処理が実行される(ステップS44)。ステップS41のXY方向の位置ズレ調整の際、ワークWの位置を検出するために広域カメラ6による撮像が行われる。この撮像の際に照明部材71が点灯される。
ステップS44の印字処理を実行することに伴う変化を比較するために、好ましくは、印字前の広域カメラ6による撮像(ステップS43)及び印字後の広域カメラ6による撮像(ステップS45)が実行される。この撮像の際に照明部材71による照明が行われる。また、印字された2DCを読み取るステップS46の工程の際にも広域カメラ6による撮像が実行される。この撮像の際に照明部材71が点灯される。印字に関する上記の一連のシーケンスが終了すると印字完了の信号が出力される(ステップS47)。以上、広域カメラ6の撮像に関連した照明部材71による照明を例示的に説明したが、照明部材71を常時点灯させ続けてもよいのは勿論である。
図32は、広域カメラ6によるワーク画像Pwからハレーションを除去した画像を生成する例を説明するための図である。図32は、4つの照明部材71(1)~71(4)を1つずつ順に点灯させて撮像した画像を示す。第1撮像画像86は第1照明部材71(1)を点灯させて撮像した画像である。第2撮像画像87は第2照明部材71(2)を点灯させて撮像した画像である。第3撮像画像88は第3照明部材71(3)を点灯させて撮像した画像である。第4撮像画像89は第4照明部材71(4)を点灯させて撮像した画像である。これらは操作用端末800の表示部801(図18)に表示される。各撮像画像と点灯照明部材71との対応を目視で明確にするために、図32の図示する模式図90を各撮像画像に目視的に関連付けた位置に表示するのがよい。
この4つの撮像画像の各画像からハレーション部分を除去して合成画像を生成することでハレーションを除去した画像を生成するのがよい。具体的には、4つの撮像画像の各画素を対比して最も輝度値の低い画素データを選別することでハレーションが発生している画素データを排除した合成画像を生成することができる。図33の(I)は合成処理により生成した撮像画像を示し、(II)は合成処理前の撮像画像を示す。これらの画像を見比べることで、合成処理が効果的であることが分かるであろう。
以上、レーザ加工装置Lに照明部材71を内蔵させると共に、第1、第2の偏光部材75、85を配置することによるハレーション除去を説明したが、広域カメラ6に偏光部材75を付加することにより迷光の問題を解消することもできる。図34を参照して、レーザ加工装置Lは、加工用レーザ光が透過する透過ウインドウ19を通じて非同軸の広域カメラ6がワークWの撮像を行う構成が採用されている。広域カメラ6がその先端にIRカットフィルタ84を備えている場合、加工用レーザ光の一部は透過ウインドウ19で反射されて広域カメラ6に侵入し、IRカットフィルタ84で反射してこれが透過ウインドウ19を通ってワークWに向けて出射される。このことは、加工用レーザ光が透過ウインドウ19を通じてワークWに向けて出射される本来の光路(仮想線)とは別の光路が広域カメラ6によって生成されることを意味する。広域カメラ6が生成する別の光路を進む反射加工レーザ光はワークWに設定した加工領域R1の外に到達する。この迷光の問題は、IRカットフィルタ84と一体に設けた偏光部材85をレンズ鏡筒82(図25)の内部に配置することで解消することができる。
L レーザ加工装置
4 レーザ光走査部
6 広域カメラ
10 筐体
19 透過ウインドウ
70 照明窓
71 照明部材
Ax 照明光源の軸線
72 照明光源(LED)
73 リフレクタ
75 偏光板(照明側)
TL 治具
62 撮像素子
81 レンズホルダ
82 レンズ鏡筒
84 IRカットフィルタ
85 偏向部材(カメラ側)
Pw 広域ワーク画像
Ac 撮像光軸
R1 加工領域
W 被加工物(ワーク)

Claims (5)

  1. 励起光を生成する励起光生成部と、
    該励起光生成部により生成された励起光に基づいてレーザ光を生成して出力するレーザ光出力部と、
    該レーザ光出力部から出力されたレーザ光を被加工物の表面上で2次元走査するレーザ光走査部と、
    前記レーザ光を透過する透過ウインドウが設けられ、少なくとも前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部を収容した筐体と、
    該筐体の内部に設けられ、前記レーザ光走査部により2次元走査される加工領域に載置された被加工物に対して照明光を照射する照明光源と、
    前記筐体の内部において前記照明光源の前方に隣接して設けられ、該照明光源から出射された照明光を偏光する照明側偏光部材と、
    前記筐体の内部に設けられ、前記照明側偏光部材により偏光された光が前記被加工物の表面で反射した反射光を受けてこれを偏光させる撮像側偏光部材と、
    前記筐体の内部において、撮像光軸が、前記レーザ光走査部により走査されるレーザ光の光軸と非同軸であるとともに前記透過ウインドウと交わるように設けられ、前記撮像側偏光部材で偏光された反射光を受光することにより前記被加工物を撮像して画像を生成する撮像部と
    前記撮像部により生成された画像に基づいて前記被加工物の位置ズレを補正して、前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部を制御する制御部と、を備えるレーザ加工装置。
  2. 前記筐体は、前記透過ウインドウの周囲に複数の照明窓を有し、
    各照明窓毎に前記照明光源が配置されている、請求項に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記撮像部が、レンズを収容したレンズ鏡筒を有し、
    前記撮像部の撮像素子と前記レンズ鏡筒との間に前記撮像側偏光部材が配置されている、請求項に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記撮像側偏光部材が偏光板で構成され、
    該偏光板が赤外線カットフィルムと一体化されている、請求項に記載のレーザ加工装置。
  5. 前記赤外線カットフィルムにおける前記撮像素子側の面に前記偏光板が配置されている、請求項に記載のレーザ加工装置。
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