特許法第30条第2項適用 株式会社ムトウ 2019年3月製品納入 〔刊行物等〕 2019年5月29日掲載 https://corporate.jp.sharp/news/190529-a.html https://corporate.jp.sharp/press/p190529-a.html 〔刊行物等〕 2019年6月19日掲載 https://www.youtube.com/watch?v=8655EYTCr3I https://jp.sharp/business/agv/ 〔刊行物等〕 2019年8月掲載 https://jp.sharp/business/case/agv/agv_detail_5.html?category=%E8%87%AA%E5%8B%95%E6%90%AC%E9%80%81%E8%A3%85%E7%BD%AE%28AGV%29&target=%E6%9C%80%E6%96%B0%E4%BA%8B%E4%BE%8B%EF%BC%88%E5%85%A8%E6%A5%AD%E7%A8%AE%EF%BC%89&scroll=scroll https://jp.sharp/business/case/agv/pdf/agv_detail_5.pdf 〔刊行物等〕 2019年10月2日掲載 https://www.g-mark.org/ https://www.g-mark.org/award/describe/49074?token=uuqMJFa44K
図1は、この発明の実施例に係るピッキングシステム10の構成の一例を示す図である。ピッキングシステム10は、インターネットショッピングおよびテレビショッピングなど、倉庫に保管された物品または商品(以下、単に「商品」という)をピッキングする作業を行う企業において適用される。
図1に示すように、ピッキングシステム10は、作業管理サーバ12を含み、作業管理サーバ12は表示装置14に有線または無線で接続される。
また、作業管理サーバ12は、複数の自律搬送装置(以下、「AGV」という)16およびAGV16に載置されたタブレット端末16aのそれぞれと無線で接続される。ただし、AGV16が自律走行する倉庫などの場所には、複数のアクセスポイントが設けられ、各AGV16および各タブレット端末16aは、アクセスポイントを含むネットワークを介して、作業管理サーバ12と通信(送信および/または受信)を行う。この実施例では、作業管理サーバ12は、どのAGV16にどのタブレット端末16aが載置されているかが記載されたテーブルを記憶しており、タブレット端末16aから受信したデータ(情報)または通知に基づいて当該タブレット端末16aが載置されたAGV16にデータ(情報)または指示を送信したり、AGV16から受信したデータ(情報)または通知に基づいて当該AGV16に載置されたタブレット端末16aにデータ(情報)を送信したりすることができる。
さらに、作業管理サーバ12は、注文管理サーバ18に有線または無線で接続される。注文管理サーバ18は、注文受付装置20に有線または無線で接続される。注文受付装置20は、シール印刷装置22に有線または無線で接続される。また、注文受付装置20は、インターネットのようなネットワークを介して複数の顧客端末24に接続される。
作業管理サーバ12は、ピッキング作業を管理するためのサーバであり、汎用のサーバを用いることができる。AGV16は、自律走行可能な台車であり、作業者によってピッキングされた商品を所定の場所(たとえば、商品の積み降ろし場所または待機場所)まで搬送する。また、各AGV16には、タブレット端末16aおよびバーコードリーダ16bが載置または装備されている。タブレット端末16aは、汎用のタブレット端末であり、CPU、メモリ、通信装置およびタッチディスプレイなどのコンポーネントを備える。
この実施例では、タブレット端末16aは、ピッキング作業を行う作業者を支援するためのガイド画像を表示し、ピッキング作業に必要な情報または指示を入力するのに使用される。ガイド画像は、ピッキングする商品の画像、倉庫内においてピッキングする商品が格納された棚の位置を示すためのマップ画像、ピッキングする商品が格納されている棚内の位置を示すイラスト画像などの画像である。ピッキング作業に必要な情報は、作業者の識別情報(作業者ID)およびピッキングする一種類または複数種類の商品についての情報である。また、ピッキング作業において必要な指示は、AGV16の移動を開始させるための指示であり、具体的には、ピッキング作業の開始指示および次の商品のピッキング作業に移ることの指示である。ただし、ピッキング作業の開始前では、タブレット端末16aは、作業者情報を取得したり、シールに印字されたバーコードの読取指示(読取開始の指示)を受け付けたりする。後述するように、シールには、ピッキングする商品に関する情報が印字されている。
なお、この実施例では、作業管理サーバ12、AGV16、タブレット端末16aおよびバーコードリーダ16bによって、ピッキング作業を管理する作業管理システム10aが構成される。
タブレット端末16aは、バーコードの読取指示をバーコードリーダ16bに送信し、バーコードリーダ16bで読み取られたバーコードのデータを取得する。バーコードリーダ16bは、汎用のバーコードリーダであり、この実施例では、シール印刷装置22でシールに印字されたバーコードと、商品の梱包材または梱包材に貼りつけられたラベルに印字されているバーコードを読み取る場合に使用される。ただし、作業者情報(作業者ID)が作業者の名札にバーコードで印字されている場合には、このバーコードを読み取る場合にも使用されてよい。
注文管理サーバ18は、注文受付装置20からの受け付けた(または、受信した)印字実績情報に基づいて注文情報を生成および更新(または追加)し、作業管理サーバ12に送信するためのサーバであり、汎用のサーバを用いることができる。具体的な構成については省略するが、注文管理サーバ18は、作業管理サーバ12と同様の構成であり、CPU、メモリ、通信装置などのコンポーネントを備える(図2参照)。
図示は省略するが、注文管理サーバ18には、複数の作業管理サーバ12が接続される場合があり、その場合には、ピッキングされる商品に応じて、注文情報を送信する送信先の作業管理サーバ12が決定される。たとえば、複数の倉庫が設けられたり、倉庫内で複数の階が設けられたりすることにより、倉庫毎に、または、階毎に、作業管理サーバ12が設けられる場合などが該当する。したがって、図1に示すように、一台の作業管理サーバ12が設けられる場合には、注文管理サーバ18を省略することもできる。
注文受付装置20は、顧客からの注文を受け付けるための汎用のパーソナルコンピュータである。具体的な構成については省略するが、注文受付装置20は、CPU、メモリ、通信装置などのコンポーネントを備える。注文受付装置20では、CPUの指示に従って、注文内容を所定のフォーマットでシールに印字するためのデータ(すなわち、印字データ)が生成され、生成された印字データがシール印刷装置22に送信される。
また、注文受付装置20は、印字データに対応する注文内容をシール印刷装置22で印字させるとともに、印字実績情報を注文管理サーバ18に送信する。印字実績情報は、シールに印字された情報であり、注文内容と実質的に同じである。つまり、印字実績情報は、後述するように、シールに印字された、棚番、品番、商品名、規格、個数、顧客名、顧客番号およびバーコードの情報を含む。ただし、1枚のシールには、一種類の商品についての情報が印字される。したがって、顧客が一度に複数種類の商品を注文した場合には、商品の種類の数と同じ枚数だけシールが印字される。
この実施例では、シールには、棚番、品番、商品名、規格、個数、顧客名および顧客番号が印字されるとともに、これらの情報をコード化したバーコードが印字される。ただし、棚番は、注文された商品が保管された棚に割り当てられた識別番号または識別情報であり、棚が配置されるマップ上の位置を示す。この実施例では、棚番は、英数字を用いて表されており、複数の棚番を所定のルールに従ってソートした場合に、ソートした棚番の順に、棚の位置をたどると、AGV16がピッキング作業の開始位置から商品の荷下ろし場所に向けて移動するように、各棚に付されている。
この実施例では、英数字は、1~9までの9個の数字と、AからZまでの26個のアルファベットであり、所定のルールは、数字の小さい方から大きくなる順序およびアルファベットの順序であり、アルファベットよりも数字の方が優先(前に)される。ただし、棚番が2桁である場合には、左側の桁の英数字に基づいて順序が決定され、左側の桁が同じ英数字である場合に、右側の桁の英数字に基づいて順序が決定される。また、棚番が3桁である場合には、左側の桁の英数字に基づいて順序が決定され、左側の桁が同じ英数字である場合には、真ん中の桁の英数字に基づいて順序が決定され、さらに、真ん中の桁が同じ英数字である場合には、右側の桁の英数字に基づいて順序が決定される。これらのことは、この明細書に記載の「所定のルール」についてすべて同じである。
品番は、注文された商品に付与された識別番号または識別情報である。商品名は、注文された商品の名称である。規格は、注文された商品の材質、重量、寸法などの技術的事項の尺度である。個数は、注文された商品の数である。顧客名は、顧客(または、ピッキング対象の商品の配送先)すなわち商品の注文主の名称(たとえば、社名、個人名)である。顧客番号は、顧客に付した識別番号または識別情報である。この実施例では、顧客番号は、2桁の英数字で表される。
シール印刷装置22は、印字データに対応する注文内容をシールに印字するための印刷装置であり、注文受付装置20からの指示に従って、1日に複数回(たとえば、3回)印字処理が実行される。この実施例では、注文内容は、12時、14時および15時に印字される。注文受付装置20は、前回の印字処理の終了(初回の場合には、注文の受付開始)から今回の印字処理を開始(または、指示)するまでに受け付けたすべての注文についての印字データをシール印刷装置22に送信する。
ただし、印字する回数および時刻は一例であり、限定される必要はなく、ピッキングシステム10が適用される企業等で任意に決定することができる。また、所定の回数および所定の時刻に印字する必要はなく、他の実施例では、所定数の顧客から注文を受け付ける度に、印字処理が実行されるようにしてもよい。
顧客端末24は、顧客が使用するPC、スマートフォン、タブレットのような汎用のコンピュータないし端末である。インターネットショッピングは既に周知であるため、詳細な説明は省略するが、顧客は、顧客端末24で注文専用のWebページを開いて、所望の商品を注文することができる。ただし、顧客は顧客端末24を用いて電子メールで注文することもできる。
なお、図1に示す例では、顧客は顧客端末24を用いて注文するように示してあるが、これに限定される必要はない。顧客は、電話またはファクシミリで注文することもできる。この場合には、電話またはファクシミリを受け付けた担当者が注文受付装置20に注文内容を登録する。
図2は、図1に示した作業管理サーバ12の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、作業管理サーバ12は、CPU30を含み、CPU30は、バスを介して、メモリ32、表示制御回路34、第1通信装置36および第2通信装置38に接続される。
CPU30は、作業管理サーバ12の全体制御を司る汎用のプロセッサである。メモリ32は、一例として、HDD、ROMおよびRAMを含む。HDDは不揮発性のメモリであり、作業管理サーバ12で実行される種々のアプリケーションプログラムおよび各アプリケーションプログラムの処理で使用されるデータを記憶する。ROMは不揮発性のメモリであり、ブートプログラムおよびBIOSなどのプログラムを記憶している。RAMは揮発性のメモリであり、CPU30のワーク領域およびバッファ領域として使用される。
表示制御回路34は、GPUおよびVRAMなどを含み、CPU30の指示の下、GPUは、メモリ32のRAMに記憶された画像生成データ504a(図13参照)を用いて表示装置14に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データを表示装置14に出力(または送信)する。
第1通信装置36は他の装置(ここでは、AGV16およびタブレット端末16a)と無線で通信するための通信モジュールである。第1通信装置36は、LAN接続可能な無線の通信モジュールであり、この通信モジュールの通信方式は、たとえば、Wi-FiまたはZigBee(登録商標)である。
第2通信装置38は他の装置(ここでは、注文管理サーバ18)と有線または無線で通信するための通信モジュールである。第2通信装置38は、LAN接続可能な有線または無線の通信モジュールであり、有線で通信する場合の通信方式は、たとえば、イーサネット(登録商標)であり、無線で通信する場合の通信方式は、たとえば、Wi-Fiである。
図3(A)は図1に示したAGV16の外観構成を右側面から見た図であり、図3(B)は図1に示したAGV16の外観構成を下面から見た図である。ここで、図3(A)および図3(B)を参照して、実施例のAGV16の機械的な構成について説明する。
図3(A)および図3(B)に示すように、AGV16は、荷台160を含み、荷台160は、AGV16を右側面から見た場合にL字状の形状に形成される。荷台160は、ピッキングした商品を入れる(または、積載する)ためのコンテナ162を載置する台座160aと、台座160aに連結され、鉛直方向に延びる壁部160bによって構成される。壁部160bの上面には、上述したタブレット端末16aおよびバーコードリーダ16bが載置(または、固定)される。
また、荷台160(または、台座160a)の下面の四隅には、それぞれ、車輪が設けられる。この実施例では、左右の前輪16FL、16FRおよび左右の後輪16RL、16RRが設けられる。左右の前輪16FL、16FRは補助輪であり、台座160aに対して回動可能に設けられる。左右の後輪16RL、16RRは駆動輪であり、台座160aに対して固定的に設けられる。
したがって、左右の後輪160RL、16RRの回転速度を異ならせることにより、荷台160(または、AGV16)の移動方向を変えることができる。たとえば、左の後輪160RLの回転を停止させ(回転速度を0にし)、右の後輪160RRを回転させる(回転速度を0よりも大きくする)と、AGV16は左旋回する。また、右の後輪160RRの回転を停止させ(回転速度を0にし)、左の後輪160RLを回転させる(回転速度を0よりも大きくする)と、AGV16は右旋回する。
また、台座160aの内部には、後述する電気的な構成(図4参照)が収納されている。ただし、車輪モータ58(58L、58R)は一部が台座160aからはみ出している。
また、AGV16(荷台160)の下面には、ラインセンサ60およびRFタグリーダ62が設けられる。この実施例では、ラインセンサ60は、AGV16の前側の端部であり、左右方向における中央に配置される。また、この実施例では、RFタグリーダ62は、AGV16の前後方向における中央から前寄りであり、左右方向における中央から左よりに配置される。ラインセンサ60およびRFタグリーダ62の配置位置は一例であり、限定される必要はない。
図4は図1に示したAGV16の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、AGV16は、CPU50を含み、CPU50はバスを介して、メモリ52、通信装置54、車輪駆動回路56、ラインセンサ60およびRFタグリーダ62に接続される。また、車輪駆動回路56は車輪モータ58に接続される。
CPU50は、AGV16の全体制御を司る汎用のプロセッサである。メモリ52は、一例として、HDD、ROMおよびRAMを含む。HDDは不揮発性のメモリであり、AGV16の移動または走行を制御するための制御プログラムおよび制御プログラムの処理で使用されるデータを記憶する。ROMは不揮発性のメモリであり、ブートプログラムおよびBIOSなどのプログラムを記憶している。RAMは揮発性のメモリであり、CPU50のワーク領域およびバッファ領域として使用される。
通信装置54は、他の装置(ここでは、作業管理サーバ12)と無線で通信するための通信モジュールである。たとえば、通信装置54は、LAN接続可能な無線の通信モジュールである。通信装置54は、作業管理サーバ12の第1通信装置36と同じ通信方式(たとえば、Wi-FiまたはZigBee(登録商標))の通信モジュールである。
車輪駆動回路56は、CPU50の指示の下、車輪モータ58の駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧を車輪モータ58に印加するための駆動回路である。車輪モータ58は、AGV16の車輪を回転させるためのモータである。図4では省略するが、車輪モータ58は、AGV16に設けられる2つの前輪(16FL、16FR)と2つの後輪(16RL、16RR)のうち、左側の後輪16RFを駆動する左側の車輪モータ58Lと、右側の後輪16RRを駆動する右側の車輪モータ58Rで構成される。車輪モータ58Lと車輪モータ58Rは、個別に駆動され、AGV16は、直進、左旋回、右旋回、加速、減速および停止される。
ラインセンサ60は、倉庫内の床面に施設された(または、貼り付けられた)移動用のラインを検出する。この実施例では、ラインは、磁気テープで構成され、AGV16が移動(または、走行)するルート上に設けられる。したがって、AGV16は、ラインに沿って移動する。また、ラインは、基準の幅でAGV16が移動するコースに沿って床面に設けられている。
RFタグリーダ62は、倉庫内の床面に施設された(または、貼り付けられた)RFIDタグのタグ情報を読み取る。この実施例では、RFIDタグは、ラインの近傍であり、AGV16に通常の移動とは異なる所定の動作を行わせたい位置に施設される。所定の動作を行わせたい位置は、たとえば、ピッキング作業の開始位置、ピッキング作業の位置(すなわち、ピッキング対象の商品が保管される棚の前)、商品の積み降ろし場所、AGV16の待機場所、旋回動作(左旋回、右旋回)をさせたい位置および移動速度(加速、減速)を変更させたい位置が該当する。ただし、ピッキング作業の開始位置は、ピッキング作業を開始するときのAGV16の初期位置である。商品のピッキング作業の位置、商品の積み降ろし場所およびAGV16の待機場所は、AGV16の停止位置である。
したがって、AGV16は、RFタグリーダ62によってRFIDタグのタグ情報を読み取り、読み取ったタグ情報に基づいて作業管理サーバ12とやり取りする。作業管理サーバ12は、各AGV16の位置を把握して移動指示を各AGV16に送信し、所定の位置で各AGV16に所定動作を実行させる。
このような構成のピッキングシステム10では、注文受付装置20は、複数の顧客端末24からの注文を受け付け、予め決定された時間毎に、シール印刷装置22を用いて、注文内容をシールに印字する。この実施例では、注文内容は、1日のうち、12時、14時および15時に、シールに印字される。つまり、印刷処理は、1日に3回実行される。
シールは、顧客毎に印字され、また、顧客が複数種類の商品を注文した場合には、商品毎にシールが印字される。シールに印字される内容は上述したとおりである。
また、注文受付装置20は、シールの印字を制御するとともに、注文管理サーバ18に印字実績情報を送信する。注文管理サーバ18は、注文受付装置20から印字実績情報を受信すると、注文情報を更新するとともに、追加された注文情報を作業管理サーバ12に送信する。この実施例で、注文情報は、印字実績情報と実質的に同じ情報であり、棚番、品番、商品名、規格、個数、顧客名、顧客番号およびバーコードの情報である。ただし、作業管理サーバ12は、後述するように、ピッキング作業の進捗状況を表示装置14に表示するために、上記の各情報に加えて、注文情報が追加されたときの回数(何回目に追加されたか)の情報が付加される。この回数は、シールの印刷処理が実行される回数に相当する。
上述したように、作業管理サーバ12は、AGV16の移動を制御するとともに、ピッキング作業の状態(または、作業状態)および進捗状況を管理し、さらに、ピッキング作業の状態および進捗状状況を升目(ブロック)を用いて表示装置14に表示する。
また、この実施例では、作業者は、顧客単位で、ピッキング作業を行う。したがって、作業者は、或る顧客番号が印字された1枚または2枚以上のシールを手元に用意し、ピッキング作業に先立って、タブレット端末16aを用いて作業者IDを登録するとともに、ピッキングするべき商品の情報を登録する。たとえば、作業者IDは、タブレット端末16aにタッチ入力される。また、ピッキングするべき商品の情報は、用意したすべてのシールに印字されたバーコードをバーコードリーダ16bで順次読み取ることでタブレット端末16aに入力される。タブレット端末16aは、作業者IDを作業管理サーバ12に送信するとともに、バーコードリーダ16bで読み取ったバーコードのデータを作業管理サーバ12に送信する。したがって、作業管理サーバ12に、作業者IDおよびピッキングするべき商品の情報が登録される。
作業管理サーバ12は、タブレット端末16aから受信したバーコードのデータに基づいて、注文情報を参照し、ピッキング作業の情報、すなわち、バーコードに対応する商品情報(すなわち、品番、商品名、規格)、商品が置かれた棚の位置情報および配送先情報(すなわち、顧客番号)を取得する。この実施例では、棚の位置情報は、作業管理サーバ12が管理するデータベースに記憶されている。棚の位置情報では、商品毎に、商品情報に対応して、この商品情報が示す商品が保管された(または、載置された)棚のマップ上の位置および棚内における位置(棚の段数)が記載されている。ただし、マップは、AGV16が移動する環境(倉庫内などの所定の領域)を上方から見た2次元のマップであり、棚およびラインの配置が記載されている。このマップについての情報(以下、「マップ情報」)もまた、作業管理サーバ12が管理するデータベースに記憶されている。以下、マップおよびマップ情報について、同様である。図示は省略するが、データベースは、作業管理サーバ12のメモリ32(たとえば、HDD)に設けられたり、作業管理サーバ12と通信可能にネットワーク上に設けられたりする。
そして、作業管理サーバ12は、ピッキング作業の情報を、作業者状態が示す作業者の作業対象としてリスト(以下、「ピッキング作業のリスト」という)に登録する。ピッキング作業のリストへの登録は、シールの数だけ実行される。
作業管理サーバ12は、ピッキング作業のリストを生成すると、このピッキング作業のリストに登録されたピッキング作業の情報を棚番順にソートする。したがてって、AGV16を現在位置(移動開始位置)から積み降ろし位置まで移動させる場合に、移動開始位置から近い順に、商品をピッキングできるように、ピッキング作業の情報が並べ替えられる。
ピッキング作業の情報が棚番順にソートされたピッキング作業のリストは、このピッキング作業を行う作業者が使用するタブレット端末16aに送信される。タブレット端末16aは、ピッキング作業のリストを記憶し、ピッキング作業が開始されると、ピッキング作業のリストを、ガイド画像の表示およびピッキング作業に利用する。
なお、タブレット端末16aにおける処理は、本願発明の本質的な内容ではないため、詳細な説明は省略する。
また、作業管理サーバ12は、ピッキング作業のリストに用いて、AGV16が移動するための経路情報を生成する。作業管理サーバ12は、ピッキング作業のリストに記載された商品であって、次にピッキングする商品が保管された棚の位置情報(すなわち、目的の棚の位置情報)をデータベースから取得し、同じくデータベースから取得したマップ情報を参照して、現在位置から目的の棚までの経路情報を生成する。経路情報は、目的の棚の位置(つまり、次の停止位置)および現在位置から目的の棚までにおいて左または右に旋回する位置(一か所または複数個所)の情報を含む。生成された経路情報は、AGV16に送信される。AGV16は、経路情報をメモリ52に記憶し、メモリ52に記憶された経路情報に利用して、目的の棚まで自律移動する。ただし、作業管理サーバ12では、ピッキング作業を終了した場合には、現在位置から商品の積み降ろし場所までの経路情報が生成される。さらに、作業管理サーバ12では、商品を積み降ろした場合には、商品の積み降ろし場所から待機場所までの経路情報が生成される。
なお、AGV16の移動については、本願発明の本質的な内容ではないため、詳細な説明は省略する。
上記のようなピッキング作業の事前の処理を終了すると、タブレット端末16aでは、ピッキング作業の処理が開始され、ピッキング作業の開始を指示するための開始ボタンがタッチディスプレイに表示される。
なお、この実施例では、ソフトウェアの開始ボタンを設けるようにしてあるが、ハードウェアの開始ボタンをAGV16の荷台160に設けるようにしてもよい。かかる場合には、開始ボタンがオンされると、AGV16のCPU50は、ピッキング作業を開始するとともに、通信装置54を用いて作業管理サーバ12にピッキング作業の開始を通知する。
作業者が開始ボタンをオンすると、ピッキング作業が開始される。AGV16は、ピッキング作業を開始すると、経路情報に従って、移動を開始し、最初にピッキングする商品が保管される棚まで移動する。また、タブレット端末16では、最初にピッキングするべき商品の写真またはイラストがタッチディスプレイに表示されたり、当該商品が保管された棚までの経路がマップに重ねてタッチディスプレイに表示されたりする。
作業者は、AGV16に追従して移動し、AGV16が停止すると、最初にピッキングするべき商品(すなわち、ピッキング対象の商品)をピッキングすべき個数だけ棚からピッキングする。さらに、作業者は、シールに印字されたバーコードおよびピッキングした商品のバーコードを読み取る。タブレット端末16aでは、シールに印字されたバーコードのデータに含まれる品番と、ピッキングした商品のバーコードのデータが示す品番とが一致するかどうかを判断する。つまり、ピッキングされた商品が正しい商品であるかどうかが確認される。
両者が一致しない場合には、商品が正しいかどうか、正しいバーコードを読み取っているかを確認すべき旨のメッセージをテキストおよび/または音(または音声)で通知され、ピッキング作業および/またはバーコードの読取がやり直される。
両者が一致した場合には、作業者は、シールをピッキングした商品に貼り付けて、コンテナ162に入れる。ただし、複数個の商品をピッキングした場合には、いずれか1つの商品にシールが貼り付けられる。また、両者が一致した場合には、タブレット端末16aのタッチディスプレイには、ソフトウェアの完了ボタンが表示される。完了ボタンがオンされると、ピッキング作業のリストに記載された該当の商品についてのピッキングが完了したことが登録(または、確認)される。つまり、ピッキング作業のリストが更新される。このとき、次の商品をピッキングするために、当該商品が保管された目的の棚への移動が作業管理サーバ12に通知される。このとき、ピッキングを完了した商品についての情報も作業管理サーバ12に通知される。そして、次のピッキング対象の商品についてのピッキング作業が開始される。
ただし、すべてのピッキング対象の商品をピッキングした場合には、ピッキングした商品を積み降ろすために、積み下ろし場所への移動が作業管理サーバ12に通知される。
作業管理サーバ12は、目的の棚への移動または積み降ろし場所への移動が通知されると、ピッキング作業のテーブルおよび作業状態テーブル(図5参照)を更新する。つまり、該当する作業者IDについてのピッキング作業のテーブルにおいて、ピッキングした商品について、当該商品をピッキングしたことが登録(または、確認)される。また、作業状態テーブルにおいて、該当する作業者IDに対応する残り枚数を1減算して、つまり、作業状態テーブルを更新して、AGV16に目的の棚または積み降ろし場所への移動開始を指示する。
このようにして、作業者によって、ピッキング作業についての事前の作業およびピッキング作業が行われる。
また、作業管理サーバ12では、ピッキング作業者の作業状態が管理される。作業状態は、作業者毎のピッキング作業の進捗状況である。具体的には、作業管理サーバ12は、作業状態テーブルを作成および更新し、作業状態を管理する。また、作業管理サーバ12は、作業状態テーブルに基づいて後述する作業状態画面100の表示画像データを生成する。
図5は作業状態テーブルの一例を示す。作業状態テーブルは、作業者IDに対応して、顧客番号、残り枚数、状態および遅延の情報が記述される。作業者IDは、上述したとおり、作業者の識別情報である。ただし、作業状態テーブルには、ピッキング作業を開始する前に、ピッキング作業を行うことを登録した作業者についての各情報が登録される。
顧客番号は、上記のとおり、顧客に割り当てられた識別番号または識別情報である。残り枚数は、作業者IDが示す作業者がピッキングを終えていない商品についてのシールの枚数である。状態は、ピッキング作業の作業状態を示す情報であり、ピッキング作業の作業中であるか、ピッキング作業の完了であるか、ピッキング作業の未着手であるかを示す情報である。遅延は、作業者IDが示す作業者のピッキング作業の進捗状況を示す情報であり、この実施例では、ピッキング作業に遅延が発生しているかどうかを示す情報である。
図5に示す作業状態テーブルの例では、作業者IDがAAAの作業者が、顧客番号2Sの顧客が注文した商品のピッキング作業を行うことまたは行っていること、そのピッキング作業におけるシールの残り枚数が1枚であること、そのピッキング作業の作業中であること、および、そのピッキング作業に遅延が発生していないことが示される。
説明は省略するが、他の作業者についても同様である。また、ピッキング作業に遅延が発生しているかどうかを判断する方法については、後で詳細に説明することにする。
作業状態テーブルでは、作業者毎に情報が更新され、作業者がピッキング作業を開始すると、この作業者の作業者IDに対応する状態の情報が未着手から作業中に変化される。また、作業者が一種類の商品をピッキングする毎に、この作業者を示す作業者IDに対応する残り枚数の情報が1減算され、残り枚数が0になると、この作業者を示す作業者IDに対応する状態の情報が作業中から未着手に変化される。また、作業者のピッキング作業に遅延が発生していることが判断されると、この作業者を示す作業者IDに対応する遅延の情報が無から有に変化される。
図6~図11はピッキング作業の作業状態を表示する画面(以下、「作業状態画面」という)100の例であり、作業状態画面100が時間の経過に従って変化する様子が示される。以下、図6~図11を用いて、作業状態画面100の表示制御の仕方について説明する。
図6に示す作業状態画面100は、1回目の注文情報が作業管理サーバ12に追加(または、登録)されたときに、追加された注文情報に基づいて表示される。ただし、図6に示す作業状態画面100は、ピッキング作業が開始される前の状態を示す。また、何回目に登録されたかを示す回数の情報は注文情報に付加されている。
作業状態画面100では、複数の升目102が表示される。升目102には、顧客番号および残りの作業量がテキスト文字で記載される。つまり、1つの升目102は、一人(一社)の顧客(または、配送先)についてのピッキング作業に対応するオブジェクト(「表示オブジェクト」に相当する)である。また、残りの作業量は、シールの残り枚数である。ただし、ピッキング作業を完了した升目102については、シールの残り枚数に代えて、シールの完了枚数が記載される(図8~図11参照)。また、シールの完了枚数は、ピッキング作業が未着手のときに升目102に表示されているシールの残り枚数と同じである。
また、升目102の背景色は、ピッキング作業の作業状態に応じて、または、ピッキング作業の作業状態および進捗状況に応じて決定(または、変化)される。ピッキング作業を開始する前では(すなわち、未着手の場合には)、升目102の背景色は灰色にされる。また、ピッキング作業を完了すると、升目102の背景色は白色にされる。つまり、ピッキング作業の作業状態に応じて、升目102の背景色が決定される。
作業者がピッキング作業中である顧客に対応する升目102については、ピッキング作業が順調である場合(以下、「作業中かつ順調」ということがある)とピッキング作業に遅れが発生している場合(以下、「作業中かつ遅延発生」ということがある)で色分けされる。つまり、ピッキング作業の作業状態および進捗状況に応じて、升目102の背景色が決定される。ピッキング作業が順調である場合には、つまり、ピッキング作業に遅れが生じていない場合には、升目102の背景色は青色にされる。ピッキング作業に遅れが発生している場合には、升目102の背景色は赤色にされる。ただし、図7~図10に示す作業状態画面100では、青色を斜線で示し、赤色を網掛けで示す。
つまり、升目102の背景色は、対応するピッキング作業の作業状態に応じて変更(または、変化)される。上述したように、升目102の背景色は、ピッキング作業の作業状態が未着手であるか着手済み(この実施例では、作業中または完了)であるかに応じて、灰色から青色に変化され、ピッキング作業に遅れが生じている場合には、青色から赤色に変化される。また、升目102の背景色は、ピッキング作業が完了した場合には、青色または赤色から白色に変化される。
また、この実施例では、複数の升目102は、作業状態画面100において、左上が先頭であり、右下が末尾となるように、並べられる(または、配列される)。つまり、左右方向では、左に向かう程、順番が早く、上下方向では、上に向かう程、順番が早い。また、この実施例では、完了したピッキング作業に対応する升目102が作業状態画面100の上方に表示され、未着手のピッキング作業および遅れが発生しているピッキング作業に対応する升目102が作業状態画面100の下方に表示される。
また、ピッキング作業中および未着手の升目102については、残り枚数が優先され、残り枚数の少ない順に並べられる。ただし、ピッキング作業中および未着手の升目102において、ピッキング作業の作業状態が同じ状態である場合に、さらに、残り枚数が同じである場合には、所定のルールに従って升目102の並び順が決定される。
つまり、複数の升目102は、現在のピッキング作業の残り枚数(残りの作業量)と、ピッキング作業の作業状態に応じて、配列の順序および表示状態(または、表示態様)を決定または変更して、表示装置14に表示される。
この実施例では、升目102の背景色および升目102の並び順の更新処理は、所定時間(たとえば、1分)毎に実行される。また、この実施例では、ピッキング作業が開始された後では、すべての(一日分の)ピッキング作業が完了するまでは、升目102の並び順は、升目102が追加された回毎のまとまりで実行される。すべてのピッキング作業が完了すると、すべての升目102の並び順が所定のルールに従って更新される。
ただし、この実施例では、作業状態画面100では、注文情報に基づいて升目102が追加され、また、作業状態テーブルに基づいて升目102に記載の残り枚数が更新され、さらに、完了枚数に表示が変更される。
なお、他の実施例では、並び順の更新処理(すなわち、升目102の並べ代え)は、所定時間毎に実行することに代えて、作業中のピッキング作業が完了することにより、少なくとも1つの升目102の背景色が白色に変化されるタイミングで実行されるようにしてもよい。
上述したように、図6に示す作業状態画面100に表示される複数の(図6では、20個)の升目102に対応するピッキング作業は未着手であるため、いずれも背景色が灰色にされる。また、図6に示す20個の升目102は、残り枚数が少ない順であり、かつ、残り枚数が同じ升目102については所定のルールに従う順に、先頭から並べられる。
図7は図6に示した作業状態画面100が表示された時点よりも少し時間が進んだ場合の作業状態画面100の一例を示す。図7に示すように、先頭から3つ目までの升目102に対応するピッキング作業は完了されており、したがって、これらの升目102では、残り枚数に代えて完了枚数が記載され、背景色が白色にされる。
また、図7に示す作業状態画面100では、先頭から6番目~11番目、15番目、17番目および19番目の升目102に対応するピッキング作業は作業中であり、かつ、作業が順調であり、それらの升目102の背景色は青色にされる。
さらに、図7に示す作業状態画面100では、先頭から5番目、12番目~14番目、16番目、18番目および20番目の升目102に対応するピッキング作業は未着手であり、それらの升目102の背景色は灰色のままである。
図8に示す作業状態画面100は、2回目の注文情報が作業管理サーバ12に追加されたときに、今回追加された注文情報を含むすべての注文情報に基づいて表示される。図8に示す作業状態画面100では、2回目の注文情報の追加によって、先頭から21番目の升目102(すなわち、顧客番号「8A」の升目102)から59番目の升目102(すなわち、顧客番号「3H」の升目102)までの39個の升目102が追加される。
図8に示す作業状態画面100を参照すれば、前回(1回目)に追加された20個の升目102に対応するピッキング作業はすべて完了していることが分かる。また、今回追加された39個の升目102に対応するピッキング作業は、いずれも未着手であることが分かる。
ただし、これは一例であり、この実施例では、所定時刻にシールが印字されるため、注文が多い場合には、升目102が追加されるときまでに、既に追加されている升目102に対応するピッキング作業の一部が完了していないこともある。
この実施例では、一日(すべての回数)におけるすべてのピッキング作業を完了するまでは、升目102が追加された回数毎のまとまりで、升目102の並び順は更新される。
上述したように、1回目に追加された20個の升目102に対応するピッキング作業はすべて完了しており、これらの20個の升目102については、顧客番号が所定のルールに従って並ぶように、並べ替えられている。
ただし、今回追加された39個の升目102に対応するピッキング作業はすべて未着手であるため、残り枚数が少ない順であり、かつ、残り枚数が同じ升目102については所定のルールに従う順に、1回目に追加(または、登録)された末尾の升目102に続いて並べられる。
図9は図8に示した作業状態画面100が表示された時点よりも少し時間が進んだ場合の作業状態画面100の一例を示す。上述したように、1回目に追加された升目102、すなわち先頭から20番目までの升目102に対応するピッキング作業はすべて完了しており、また、所定のルールに従って並んでいるため、先頭から20番目までの升目102については、図9の作業状態画面100においても、図8に示した状態と同じである。
また、図9に示す作業状態画面100では、21番目~31番目、33番目、37番目、39番目、45番目、46番目、49番目および51番目の升目102に対応するピッキング作業は作業中であり、かつ、作業が順調であり、それらの升目102の背景色は青色にされる。
さらに、図9に示す作業状態画面100では、41番目、42番目、44番目、52番目および54番目の升目102に対応するピッキング作業は作業中であり、かつ、作業に遅延が発生しており、それらの升目102の背景色は赤色にされる。
さらにまた、図9に示す作業状態画面100では、32番目、34番目~36番目、38番目、40番目、43番面、47番目、48番目、50番目、53番目および55番目~59番目の升目102に対応するピッキング作業は未着手であり、それらの升目102の背景色は灰色のままである。
図10に示す作業状態画面100は、3回目の注文情報が作業管理サーバ12に追加されてから少し時間が進んだ場合の作業状態画面100の一例を示す。図10に示す作業状態画面100では、3回目の注文情報の追加によって、先頭から60番目の升目102(すなわち、顧客番号「42」の升目102)から83番目の升目102(すなわち、顧客番号「44」の升目102)までの24個の升目102が追加されている。
図10に示す作業状態画面100を参照すれば、前々回(1回目)のみならず、前回(2回目)に追加された39個の升目102に対応するピッキング作業はすべて完了していることが分かる。
ただし、これは一例であり、上述したように、この実施例では、所定時刻にシールが印字されるため、注文が多い場合には、升目102が追加されるときまでに、既に追加されている升目102に対応するピッキング作業の一部が完了していないこともある。
上述したように、2回目に追加された39個の升目102に対応するピッキング作業もすべて完了しており、これらの39個の升目102についても、1回目に追加された20個の升目102と同様に、顧客番号が所定のルールに従って並ぶように、並べ替えられている。
図示は省略するが、今回追加された24個の升目102に対応するピッキング作業は追加された時点ではすべて未着手であるため、残り枚数が少ない順であり、かつ、残り枚数が同じ升目102については所定のルールに従う順に、2回目に追加(または、登録)された末尾の升目102に続いて並べられる。
上述したように、2回目に追加された升目102、すなわち先頭から21番目の升目102から59番目までの升目102に対応するピッキング作業はすべて完了しており、また、所定のルールに従って並んでいる。
ただし、一日におけるすべての升目102についてにピッキング作業が終了するまでは、各回毎のまとまりで升目102の並べ代えが行われるため、1回目に追加された升目102は、図8に示した状態のままである。
また、図10に示す作業状態画面100では、60番目~65番目、68番目~71番目、74番目および77番目の升目102に対応するピッキング作業は作業中であり、かつ、作業が順調であり、それらの升目102の背景色は青色にされる。
さらに、図10に示す作業状態画面100では、75番目、76番目および78番目の升目102に対応するピッキング作業は作業中であり、かつ、作業に遅延が発生しており、それらの升目102の背景色は赤色にされる。
さらにまた、図10に示す作業状態画面100では、66番目、67番目、72番目、73番目および79番目~83番目の升目102に対応するピッキング作業は未着手であり、それらの升目102の背景色は灰色のままである。
図11は図10に示した作業状態画面100が表示された時点からさらに時間が進み、一日のすべての升目102に対応するピッキング作業を完了した場合の作業状態画面100の一例を示す。
上述したように、図11の作業状態画面100では、一日のすべての升目102に対応するピッキング作業を完了しているため、これらすべての升目102の背景色が白色であり、すべて完了枚数に表示が変更されている。また、一日のすべての升目に対応するピッキング作業を完了しているため、升目102が追加された回数に関係無く、すべての升目102が所定のルールに従って並べ代えられている。
図6~図11の作業状態画面100を参照して分かるように、この実施例では、各升目102の背景色、または/および、各升目102に記載された顧客番号および残り枚数(または、完了枚数)から、顧客毎のピッキング作業の作業状態および進捗状況を知ることができる。
また、各升目102は、未着手、作業中かつ順調、作業中かつ遅延発生および完了の分類で、異なる背景色にされるとともに、作業状態画面100内における並び順が決められているため、ピッキング作業が進むにつれて、分類毎に升目102が集まり、色毎の領域が形成され、領域の大きさの違いまたは分布によって全体のピッキング作業の作業状態および進捗状況を知ることもできる。
つまり、現在のピッキング作業の残りの作業量およびピッキング作業の作業状態に応じて、各升目102の配列の順序および表示状態を変更して表示装置14に表示することにより、ピッキング作業の進捗状況を容易に把握することができる。
したがって、たとえば、赤色の領域が大きい場合には、全体的にピッキング作業に遅延が発生していると考えられるため、作業者を増員するなどの対策を講じることができる。
さらに、一日のすべてのピッキング作業を完了した場合には、すべての升目102を所定のルールに従って並べるので、ピッキング作業に抜けがあるかどうかを確認する場合に、抜けている升目102を検出し易い。
図12はピッキング作業に遅延が発生しているかどうかを判断するための一次関数(以下、「判断直線」という)と、作業者が実際にピッキング作業を行った場合における、時間の変化に従うピッキング作業の残量(ここでは、シールの残り枚数)の変化を示すグラフである。図12では、判断直線は一点鎖線で示され、作業者が実際にピッキング作業を行った場合における、時間の変化に従うピッキング作業の残量の変化は実線で示される。
判断直線は、今回のピッキング作業についての全作業量と、作業者の作業速度によって決定される。この実施例では、作業速度は、作業者毎に設定される。作業者が過去にピッキング作業を行ったときのピッキング作業の全作業量と、その全作業量をすべて終わらせるのにかかった時間(全作業時間)に基づいて作業速度(全作業量/全作業時間)は算出される。また、作業者がピッキング作業を複数回行っている場合には、各ピッキング作業についての作業速度を算出し、さらに、それらの平均が算出される。ただし、過去にピッキング作業を行った記録が残っていない作業者または初心者の作業者については、予め決定した初心者用の作業速度が設定される。ただし、初心者用の作業速度は、全作業時間をおおよそで設定し、ピッキング作業の全作業量とおおよそで設定した全作業時間に基づいて算出してもよい。
この実施例では、ピッキング作業についての全作業量は、ピッキング作業を開始する前のシールの残り枚数(つまり、商品の種類の数)である。ただし、これは一例であり、限定されるべきではない。シールの枚数が同じであっても、ピッキングする商品の個数の違い、および/または、ピッキングする商品の重量の違いによって、ピッキング作業にかかる時間が変わるからである。したがって、他の例では、ピッキングする商品の個数(総数)または/およびピッキングする商品の重量に応じて、作業速度を調整するようにしてもよい。たとえば、ピッキングする商品の個数が多くなるに連れて、作業速度が小さくされる。また、ピッキングする商品の重量が大きくなるに連れて、作業速度が小さくされる。商品の重量は、規格に含まれている。
また、ピッキング作業についての全作業量は、上述したように、作業者がピッキング作業を開始するために、作業者自身の識別情報を登録し、ピッキング作業を行うすべてのシールについてのバーコードを読み終えて、ピッキング作業を開始するときに取得される。そして、取得された全作業量と作業者の作業速度から判断直線が算出される。判断直線が横軸(X軸)と交差する時間が計算に基づく作業の終了時間(以下、「目標終了時間」という)である。
図12に示すように、作業者がピッキング作業を開始した開始時間から時間T1までは、ピッキング作業の残り枚数が判断直線が示す残り枚数よりも少ないため、ピッキング作業に遅延が発生していないことが判断される。つまり、ピッキング作業は順調に行われていると言える。
一方、時間T1から目標時間までは、ピッキング作業の残り枚数が判断直線が示す残り枚数よりも多いため、ピッキング作業に遅延が発生していることが判断される。ただし、実線が横軸に接する点の時間は目標終了時間と一致するため、最終的には、ピッキング作業に遅延は発生していない。
ピッキング作業に遅延が発生していることが判断されると、上述したように、該当する作業者がピッキング作業中の顧客に対応する升目の背景色が青色から赤色に変化される。
なお、遅延が発生しているかどうかを判断する方法を説明するために、判断直線およびピッキング作業の残り枚数の時間変化のグラフを記載してあるが、実際には、判断直線およびグラフは描画される必要はなく、計算によって遅延が発生しているかどうかが判断される。
図13は図2に示した作業管理サーバ12に含まれるメモリ32(ここでは、RAM)のメモリマップ500の一例を示す図である。図13に示すように、RAMはプログラム記憶領域502およびデータ記憶領域504を含む。
プログラム記憶領域502は、作業管理サーバ12のCPU30によって実行されるプログラム(作業管理プログラム)を記憶し、作業管理プログラムは、メイン処理プログラム502a、通信プログラム502b、画像生成プログラム502c、画像表示プログラム502d、升目追加プログラム502e、リスト生成プログラム502f、経路生成プログラム502g、作業状態管理プログラム502hおよび遅延判断プログラム502iなどを含む。
メイン処理プログラム502aは、作業管理サーバ12の全体的な処理を実行するオペレーティングシステムである。通信プログラム502bは、第1通信装置36を用いて、AGV16およびタブレット端末16aなどの他の装置またはコンピュータと通信するためのプログラムである。ただし、アクセスポイントを介して通信する場合もある。
画像生成プログラム502cは、表示装置14に表示させる各種の画面(作業状態画面100など)に対応する表示画像データを生成するためのプログラムである。画像表示プログラム502dは、画像生成プログラム502cに従って設定された表示画像データを表示装置14に出力するためのプログラムである。
升目追加プログラム502eは、注文情報を受信したことに応じて、注文情報に基づく升目102のオブジェクトを追加するためのプログラムである。リスト生成プログラム502fは、タブレット端末16から受信したバーコードのデータに基づいて、当該タブレット端末16を使用する作業者についてのピッキング作業のリストを生成し、棚場順にソートするためのプログラムである。
経路生成プログラム502gは、リスト生成プログラム502fに従って生成およびソートされたピッキング作業のリストに基づいて、このピッキング作業を行う作業者が使用するAGV16の経路情報のデータを生成し、このAGV16に経路情報のデータを送信するためのプログラムである。ただし、経路情報のデータを送信する際には、通信プログラム502bも実行される。
作業状態管理プログラム502hは、タブレット端末16aから受信したデータおよび通知に基づいて、作業状態テーブルを生成および更新するためのプログラムである。遅延判断プログラム502iは、作業者毎に、ピッキング作業の開始時に、判断直線を生成し、この判断直線に基づいて作業者のピッキング作業に遅延が発生しているかどうかを判断するためのプログラムである。
なお、プログラム記憶領域502には、ピッキング作業の管理に必要な他のプログラムも記憶される。たとえば、ピッキング作業が完了した場合に、今回のピッキング作業についての作業者の作業速度を算出し、履歴として記憶するためのプログラムなども記憶される。
データ記憶領域504には、画像生成データ504a、注文情報データ504b、作業状態データ504cおよび判断直線データ504dが記憶される。
画像生成データ504aは、画像生成プログラム502cに従って表示画像データを生成する場合に用いられるポリゴンデータおよびテクスチャデータなどのデータである。注文情報データ504bは、注文管理サーバ18から受信した注文情報についてのデータであり、データベースから読み込まれ、受信する度に更新(追加)される。ただし、注文情報は、顧客(または、配送先)および商品の種類毎に識別可能に記憶される。
作業状態データ504cは、作業状態管理プログラム502hに従って生成および更新される作業状態テーブルについてのデータである。判断直線データ504dは、判断直線についてのデータであり、作業者毎に算出され、作業者毎に記憶される。
なお、データ記憶領域504には、ピッキング作業の管理に必要な他のデータが記憶されたり、ピッキング作業の管理に必要なタイマ(カウンタ)およびフラグなどが設けられたりする。たとえば、リスト生成プログラム502fに従って生成されたピッキング作業のリストのデータおよび経路生成プログラム502gに従って生成された経路情報のデータなどが一時的に記憶される。
図14は図1に示した注文受付装置20に内蔵されるCPUによって実行されるシール印字処理の一例を示すフロー図である。図14に示すように、注文受付装置20のCPUはシール印字処理を開始すると、ステップS1で、印字時刻かどうかを判断する。ここでは、CPUは、現在時刻が12時、14時または15時になったかどうかを判断する。図示は省略したが、現在時刻は注文受付装置20に内蔵されるRTCから取得される。
ステップS1で“NO”であれば、つまり、印字時刻でなければ、ステップS1に戻る。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり、印字時刻であれば、ステップS3で、顧客から受注した注文を印字する。ここでは、CPUは、顧客から受注した注文のうち、未だ印字していない注文についての注文データを、印字実行の指示とともにシール印刷装置22に送信する。したがって、シール印刷装置22は注文データに対応する注文内容をシールに印字する。続くステップS5では、印字実績情報を注文管理サーバ18に送信して、ステップS1に戻る。
図示等は省略するが、注文受付装置20は、顧客端末24からの注文を受け付ける処理をシール印字処理と並行して実行し、受け付けた注文をメモリに記憶する。
図15は図1に示した注文管理サーバ18に内蔵されるCPUによって実行される注文管理処理の一例を示すフロー図である。図15に示すように、注文管理サーバ18のCPUは注文管理処理を開始すると、ステップS11で、印字実績情報を受信したかどうかを判断する。
ステップS11で“NO”であれば、つまり、印字実績情報を受信していなければ、ステップS11に戻る。一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり、印字実績情報を受信していれば、ステップS13で、印字実績情報に基づいて注文情報を更新する。つまり、注文管理サーバ18のCPUは、注文受付装置20から受信した印字実績情報に基づいて注文情報を生成し、生成した注文情報を前回までの注文情報に追加する。つまり、図12(A)に示したような注文情報テーブルが更新(初回は、生成)される。続くステップS15では、注文情報を作業管理サーバ12に送信して、ステップS11に戻る。
図16はタブレット端末16aに内蔵されるCPUの作業前処理の一例を示すフロー図である。当然のことであるが、タブレット端末16aは、作業者が使用するAGV16に載置されているものである。
図16に示すように、タブレット端末16aに内蔵されるCPUは作業前処理を開始すると、ステップS31で、作業者情報(作業者ID)を取得する。ここでは、作業者によって入力される作業者IDが取得される。
続くステップS33では、シールのバーコードの読取指示が有るかどうかを判断する。ステップS33で“NO”であれば、つまり、シールのバーコードの読取指示が無ければ、ステップS43に進む。一方、ステップS33で“YES”であれば、つまり、シールのバーコードの読取指示が有れば、ステップS35で、バーコードを読み取る。つまり、タブレット端末16aに内蔵されるCPUは、バーコードリーダ16bにバーコードの読取を指示し、バーコードリーダ16bで検出されたバーコードのデータを取得(または、受信)する。
続くステップS37では、読み取ったバーコードのデータを作業管理サーバ12に送信する。そして、ステップS39で、バーコードの読取終了かどうかを判断する。ここでは、タブレット端末16aのCPUは、作業者によってバーコードの読取終了が指示されたかどうかを判断する。
ステップS39で“NO”であれば、つまり、バーコードの読取終了でなければ、ステップS35に戻って、次のシールのバーコードの読取処理を実行する。一方、ステップS39で“YES”であれば、つまり、バーコードの読取終了であれば、ステップS41で、バーコードの読取終了を作業管理サーバ12に通知し、ステップS43で、作業管理サーバ12からピッキング作業のリストを取得したかどうかを判断する。
ステップS43で“NO”であれば、つまり、ピッキング作業のリストを取得していなければ、ステップS43に戻る。一方、ステップS43で“YES”であれば、つまり、ピッキング作業のリストを取得すれば、ステップS45で、取得したピッキング作業のリストをメモリに記憶して、作業前処理を終了する。
なお、この実施例では、バーコードの読取を実行する度に、読み取ったバーコードのデータを作業管理サーバ12に送信するようにしたが、すべてのバーコードの読取を終了してから、読み取ったすべてのバーコードのデータをまとめて作業管理サーバ12に送信するようにしてもよい。
図17は図2に示した作業管理サーバ12に内蔵されるCPU30の作業前処理の一例を示すフロー図である。図17に示すように、作業管理サーバ12のCPU30は作業前処理を開始すると、ステップS61で、バーコードのデータを受信したかどうかを判断する。
ステップS61で“NO”であれば、つまり、バーコードのデータを受信していなければ、ステップS69に進む。一方、ステップS61で“YES”であれば、つまり、バーコードのデータを受信していれば、ステップS63で、バーコードのデータに基づいて、商品情報、位置情報および顧客情報をデータベース(この実施例では、RAMに読み込まれた注文情報データ504b)から取得する。
続くステップS65では、ピッキング作業の情報を作成し、作業対象としてピッキング作業のリストに登録する。上述したように、ピッキング作業の情報は、上記の商品情報、位置情報および顧客情報を含む情報である。図示は省略したが、ピッキング作業のリストは、ピッキング作業の情報をリストにしたものである。
そして、ステップS67で、ピッキング作業のリストに登録されたピッキング作業の情報を棚番順にソートする。したがって、CPU30は、AGV16を現在位置(移動開始位置)から積み降ろし位置まで移動させる場合に、移動開始位置から近い順に、商品をピッキングできるように、ピッキング作業の情報が並べ替えられる。
続いて、ステップS69では、バーコードの受信を終了したかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、タブレット端末16aからの読取終了の通知を受信したかどうかを判断する。ステップS69で“NO”であれば、つまり、バーコードの受信の終了でなければ、ステップS61に戻る。一方、ステップS69で“YES”であれば、つまり、バーコードの受信の終了であれば、ステップS71で、タブレット端末16aにピッキング作業の情報を送信する。
続くステップS73で、現在位置(初期位置)から目的の棚(すなわち、最初の商品が保管された棚)までAGV16を移動させるための経路情報を生成し、ステップS75で、生成した経路情報をAGV16に送信して、作業前処理を終了する。AGV16は、経路情報を受信し、この経路情報に従って最初の商品が保管された棚まで自律移動(自律走行)を行う。
図18は図1に示したタブレット端末16aに内蔵されるCPUのピッキング作業処理の一例を示すフロー図である。図18に示すように、タブレット端末16aのCPUはピッキング作業処理を開始すると、ステップS91で、開始ボタンがオンされたかどうかを判断する。
ステップS91で“NO”であれば、つまり、開始ボタンがオンされていなければ、ステップS91に戻る。一方、ステップS91で“YES”であれば、つまり、開始ボタンがオンされていれば、ステップS93で、作業管理サーバ12にピッキング作業の開始を通知する。
続くステップS95では、シールおよび商品のバーコードが読み取られたかどうかを判断する。ここでは、タブレット端末16aのCPUは、シールから読み取ったバーコードに含まれる品番のデータと、商品から読み取ったバーコードが示す品番のデータが一致するかどうかを判断する。
ステップS95で“NO”であれば、つまり、シールおよび商品のバーコードが読み取られていなければ、ステップS95に戻る。ただし、図示は省略するが、シールおよび商品からバーコードを読み取っているが、読み取った2つの品番が一致しない場合には、上述したように、商品が正しいかどうか、正しいバーコードを読み取っているかを確認すべき旨のメッセージをテキストおよび/または音(または音声)で通知され、ピッキング作業および/またはバーコードの読取がやり直される。
一方、ステップS95で“YES”であれば、つまり、シールおよび商品からバーコードが読み取られていれば、ステップS97で、ピッキング作業のリストを更新する。ステップS97では、配送先(顧客番号)に対応するシールの残り枚数が1減算される。
次のステップS99では、完了ボタンが押されたかどうかを判断する。ステップS99で“NO”であれば、つまり、完了ボタンが押されていなければ、ステップS99に戻る。ただし、完了ボタンがオンされない時間が所定時間以上継続した場合には、完了ボタンを押すべき旨のメッセージをテキストおよび/または音(または音声)で通知するようにしてもよい。または、完了ボタンがオンされない時間が所定時間以上継続した場合には、完了ボタンが自動的にオンされるようにしてもよい。
一方、ステップS99で“YES”であれば、つまり、完了ボタンが押されていれば、ステップS101で、すべての商品をピッキングしたかどうかを判断する。ここでは、タブレット端末16aのCPUは、ピッキング作業のリストにおいて、配送先に対応するシールの残り枚数が0であるかどうかを判断する。
ステップS101で“NO”であれば、つまり、ピッキングしていない商品が残っていれば、ステップS103で、作業管理サーバ12に、目的の棚への移動を通知して、ステップS95に戻る。ステップS103では、タブレット端末16aのCPUは、次にピッキングするべき商品の棚への移動を作業管理サーバ12に通知する。
一方、ステップS101で“YES”であれば、つまり、すべての商品をピッキングすれば、ステップS105で、作業管理サーバ12に、積み下ろし場所への移動を通知して、ピッキング作業処理を終了する。
図19は図2に示した作業管理サーバ12に内蔵されるCPU30のピッキング作業処理の一例を示すフロー図である。図19に示すピッキング作業処理は、ピッキング開始の通知があったタブレット端末16aを使用する作業者毎に実行される。
図19に示すように、作業管理サーバ12のCPU30はピッキング処理を開始すると、ステップS121で、通知のあった作業者のAGV16に移動開始を指示する。すると、AGV16は、事前に受信している経路情報に従って移動を開始する。また、AGV16は、移動を開始した当初は最初にピッキングするべき商品が保管された棚に向けて移動する。
続くステップS123では、通知のあった作業者のピッキング作業完了までの作業量を算出する。この実施例では、CPU30は、図12(B)に示したような作業状態テーブルを参照して、この作業者の作業者IDに対応して記憶されたシールの残り枚数を作業量として取得する。
次のステップS125では、作業者の能力に応じた作業速度を算出し、さらに、ステップS127で、作業の進捗状況を判断するための一次関数(すなわち、判断直線)を設定する。ただし、作業速度の算出(または、設定)および判断直線の設定については、上述したとおりである。
続いて、ステップS129では、作業開始からの経過時間と残りの作業量に基づいて作業の進捗状況を判断する。つまり、上述したように、ピッキング作業に遅延が発生しているかどうかを判断する。次のステップS131では、作業終了かどうかを判断する。ここでは、CPU30は、タブレット端末16aから積み降ろし場所への移動の通知を受信したかどうかを判断する。
ステップS131で“YES”であれば、つまり、作業終了であれば、ステップS133で、作業状態テーブルを更新する。ここでは、CPU30は、作業状態テーブルにおいて、該当する作業者IDおよび顧客番号に対応して記載された残り枚数を1減算する(0に設定する)。
続くステップS135で、今回のピッキング作業についての作業速度を算出し、作業者IDに紐づけてメモリ32に記憶する。次のステップS137では、通知のあった作業者のAGV16を積み降ろし場所へ移動するための経路情報を生成し、ステップS139で、生成した経路情報をAGV16に送信して、ピッキング作業処理を終了する。したがって、経路情報を受信したAGV16は、この経路情報に従って積み下ろし場所まで移動する。また、図示は省略するが、AGV16は、積み下ろし場所で、コンテナ内の商品を積み降ろされた後に、作業管理サーバ12の指示に従って、所定の待機場所に移動する(または、戻る)。
一方、ステップS131で“NO”であれば、つまり、作業終了でなければ、ステップS141で、目的の棚への移動の通知を受信したかどうかを判断する。ステップS141で“NO”であれば、つまり、目的の棚への移動の通知を受信していなければ、ステップS129に戻る。
一方、ステップS141で“YES”であれば、つまり、目的の棚への移動の通知を受信していれば、ステップS143で、作業状態テーブルを更新する。ここでは、CPU30は、作業状態テーブルにおいて、該当する作業者IDおよび顧客番号に対応して記載された残り枚数を1減算する。続くステップS145で、通知のあった作業者のAGV16を目的の棚へ移動するための経路情報を生成し、ステップS147で、生成した経路情報をAGV16に送信して、ステップS129に戻る。したがって、経路情報を受信したAGV16は、この経路情報に従って、次にピッキングするべき商品が保管される棚まで移動する。
図20は図2に示した作業管理サーバ12に内蔵されるCPU30の画面表示処理のフロー図を示す。図20に示すように、作業管理サーバ12のCPU30は画面表示処理を開始すると、ステップS161で、注文管理サーバ18から注文情報を受信したかどうかを判断する。ステップS161で“NO”であれば、つまり、注文情報を受信していなければ、ステップS167に進む。
一方、ステップS161で“YES”であれば、つまり、注文情報を受信していれば、ステップS163で、注文情報に含まれる顧客に対応する升目102を追加する。ここでは、CPU30は、表示制御回路34を制御して、注文情報に含まれる、顧客番号と残り枚数を併記した升目102のオブジェクトを追加する。続くステップS165では、追加した升目102の作業状態を表示する。ここでは、CPU30は、表示制御回路34を制御して、追加した升目102のオブジェクトの背景色を灰色に塗りつぶす。
次のステップS167では、前回の更新から所定時間(たとえば、1分)を経過したかどうかを判断する。図示は省略するが、所定時間をカウントするためのタイマがRAMに設けられており、作業状態画面100を更新したときに、リセットおよびスタートされる。したがって、CPU30は、ステップS167において、タイマのカウント値が1分になったかどうかを判断する。ただし、画面表示処理が開始されたときにも、タイマはリセットおよびスタートされる。
ステップS167で“NO”であれば、つまり、前回の更新から所定時間を経過していなければ、ステップS161に戻る。一方、ステップS167で“YES”であれば、つまり、前回の更新から所定時間を経過していれば、ステップS169で、所定のルールに従って印字回数毎のまとまりで升目100を並べ代える。所定のルールについては、上述したとりである。
続くステップS171では、作業状態画面100を表示(更新)する。つまり、CPU30は、表示制御回路34を制御して、作業状態に応じて背景色を変更し、所定のルールに従って印字回数毎のまとまりで升目102を並べ代えた作業状態画面100の画面データ生成して、表示装置14に出力する。
そして、ステップS173で、すべてのピッキング作業の終了かどうかを判断する。ここでは、CPU30は、図12(A)に示した注文情報テーブルを参照して、回数に3が記述された注文情報が記載されており、図12(B)に示した作業状態テーブルを参照して、すべての顧客番号に対応する残り枚数が0になっているかどうかを判断する。
ステップS173で“NO”であれば、つまり、終了していないピッキング作業があれば、ステップS161に戻る。一方、ステップS173で“YES”であれば、つまり、すべてのピッキング作業の終了であれば、ステップS175で、所定のルールに従ってすべての升目102を並べ代える。
そして、ステップS177で、画面表示を終了するかどうかを判断する。ここでは、CPU30は、作業管理サーバ12の操作者(または、管理者)から画面表示の終了が指示されたかどうかを判断する。ステップS177で“NO”であれば、つまり、画面表示の終了でなければ、ステップS177に戻る。一方、ステップS177で“YES”であれば、つまり、画面表示の終了であれば、画面表示処理を終了する。
この実施例によれば、現在のピッキング作業の残りの作業量およびピッキング作業の作業状態に応じて、各升目の配列の順序および表示状態を変更して表示装置に表示するので、ピッキング作業の進捗状況を容易に把握することができる。
また、この実施例によれば、顧客単位で作業の残量を升目で示すとともに、作業の進捗状況を升目の背景色で表現するだけなので、一画面により多くの作業の状態を示すことができる。したがって、個別の作業の状態および進捗状況と、全体の作業の状態および進捗状況を容易に把握することができる。
図21は、作業状態画面の他の例を示す図である。ただし、図21では、各升目に記載されるテキスト文字は省略してある。図21に示す作業状態画面150では、異なる複数の領域についてのピッキング作業の作業状態が示される。つまり、作業管理サーバ12は、異なる複数の領域のピッキング作業を領域毎に管理し、各領域について作業状態を更新し、一画面に異なる複数の領域のピッキング作業の作業状態を表示するための表示画像データを生成し、表示装置14に表示する。たとえば、複数の領域は、1つの倉庫内において分割された複数の領域、1つの倉庫内において階の異なる複数の領域、または、1の敷地内における複数の倉庫である。
図21に示すように、複数の領域についてのピッキング作業の作業状態を一画面に表示した場合には、ピッキング作業の相対的な進捗状況を知ることができる。したがって、ピッキング作業に遅延が発生している領域に作業者を多く配置するなどの処置を講ずることができる。
上述の実施例では、注文された商品をピッキングする場合について説明したが、これに限定される必要はない。或る製品またはその一部を組み立てるための部品をピッキングする場合に適用することもできる。つまり、ピッキングする物品は限定される必要はない。したがって、注文(依頼)する者は顧客に限定される必要もない。上記の部品をピッキングする場合には、依頼する者は、部品を造る作業者またはその管理者である。また、配送先(または、供給先)は、作業者の作業場などである。
また、上述の実施例では、AGVを用いるようにしたが、手動で移動する台車を用いるようにしてもよい。かかる場合には、タブレット端末およびバーコードリーダは、作業者によって所持または装着される。ただし、タブレット端末およびバーコードリーダは、台車に載せてもよい。
さらに、上述の実施例では、ピッキング作業の作業状態および進捗状況を、対応する升目の背景色の違いで視認可能に表現するようにしたが、これに限定される必要はない。他の例では、作業状態画面を4つの領域に分割し、ピッキング作業の作業状態および進捗状況に応じて分類された領域に、升目が配置されてもよい。このようにしても、各升目のテキスト文字および分類された領域によって、個別の作業の状態および進捗状況を容易に把握することができまた、領域内の升目の数の違い(つまり、領域毎の升目の数の分布)によって、全体の作業の状態および進捗状況を容易に把握することができる。
なお、上述の実施例で示したピッキングシステムおよびAGVの具体的な構成は実際の製品において適宜変更することができる。
たとえば、上述の実施例では、注文管理サーバ18から受信した注文情報に基づいて、作業管理サーバ12はピッキング作業を管理するようにしたが、作業管理サーバ12に注文情報を登録する方法は、限定される必要はない。注文受付装置20で注文情報を生成して作業管理サーバ12に登録してもよいし、注文を受け付けた担当者が注文情報を作業管理サーバ12に登録してもよい。
また、上記のように、AGVを手動の台車に変更する場合には、作業管理システム10aは、作業管理サーバ12、タブレット端末16aおよびバーコードリーダ16bによって構成される。