JP7385302B2 - アナフィラキシーの発症を予測するためのデータを収集する方法 - Google Patents

アナフィラキシーの発症を予測するためのデータを収集する方法 Download PDF

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Description

本発明は、アレルギーを有する乳幼児・小児から採取した試料中の、IgE抗体のアレルゲンに対する親和性の程度(アビディティ)等に基づくROC解析により決定されたカットオフ値を判断基準として、前記乳幼児・小児のアナフィラキシーを発症する可能性を予測するためのデータを収集する方法に関する。
食物アレルギーは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」(例えば、非特許文献1等参照)と定義されている。ヒトが生命を維持するために消化・吸収する食物に対しては、未消化の異物に対して生体の防御反応を起こさないように、経口免疫寛容(免疫トレランス)が通常働いているとされる。しかし、出生人口の5-10%の乳児が生後1年までに何らかの食物アレルギーを発症するとされており、その発症機序や発症予測法は未だ完全には解明されていない。
アナフィラキシーは、「アレルゲンの侵入により、複数の臓器をはじめとする、全身性アレルギー症状が惹起され、(軽微な症状ではなく)生命に危機を与え得る過敏反応」と定義されている(例えば、非特許文献2等参照)。したがって、アレルギーを有する患者にとっては、アナフィラキシーをおこすおそれがあるか否かは、重大な関心事である
現在、イムノキャップ[ImmunoCAP(サーモフィッシャー社)]法をはじめとする様々な抗原特異的IgE抗体の抗体価を測定する方法が、アレルギーの診断のために用いられている。しかし、例えばイムノキャップ法において、被験者のアレルギー発症の可能性を示すプロバビリティーカーブを作成した場合、IgE抗体価が比較的低いクラス2及び3の乳幼児において、アナフィラキシー発症の可能性は実際の発症率よりも低値を示す等の報告がある(例えば非特許文献3、4等参照)。
また、生後6ヶ月までの乳児血漿試料を用いて、試料中のアレルゲンに対するIgG1及びIgEの抗体価をそれぞれ定量測定し、予め統計処理されたIgG1からIgEへのイムノグロブリンクラススイッチの程度に基づき作成された判断基準によって、前記食物アレルギー発症前の乳児において、前記アレルゲンに対してアレルギーを発症するリスクを予測するためのデータを収集する方法(例えば、特許文献1等参照)が提案されているが、アナフィラキシーを発症するかを予測することは困難であった。
また、食物アレルギーを有する乳児・小児におけるアナフィラキシー発症についての最も確実な診断法とされている「食物経口負荷試験(Oral Food Challenge:OFC)」は医師の立ち合いのもと行われるが、被験者がアナフィラキシーをおこす可能性があることから、OFCを行わずにアナフィラキシーを発症する可能性を予測する方法の開発が強く望まれている。しかし、アナフィラキシーを発症する可能性を予測するための有効な診断方法や、有効なバイオマーカー等についての報告はいまのところない。
国際公開WO2017/195871号パンフレット
食物アレルギーの診療の手引き2011、食物アレルギー研究会 Simons FE, Ardusso LR, Bilo MB, EI-Gamal YE, Ledford DK, Ring J, Sanchez-Borges M, Senna GE, Sheikh A, Thong BY, World Allergy Orhan J. 2011; 4: 13-37. Komata T, Soderstrom L, borres MP, Tachimoto H, Ebisawa M., J Allergy Clin Immunol. 2007; 119:1272-1274. Furuya K, Nagao M, Sato Y, Ito S, Fujisawa T., Allergy. 2016; 71:1435-1443.
本発明の課題は、アレルギーを有する乳幼児・小児のアナフィラキシー発症リスクを予測する手段を提供することにある。
本発明者らは、IgE抗体の抗体価をパラメーターとするだけでは、アナフィラキシーを効果的に発症予測することができないという状況において、アナフィラキシーの発症予測には別のパラメーターが必要なのではないかと考えた。すなわち、血液中にはIgE抗体の他、同じアレルゲンに対して反応するIgG1抗体,IgG2抗体,IgG3抗体,IgG4抗体,IgM抗体,IgA抗体,IgD抗体等が存在し、これらの抗体は、それぞれが抗原における複数のエピトープを認識するポリクローナル抗体であることを考慮に入れる必要があると考えた。
そして、当該IgE抗体のアレルゲンへの結合を評価する場合には、従前から測定されているIgE抗体の定常部位のみを2次抗体で測定するIgE抗体価、すなわち図1に示すIgE抗体の定常部位(Fc領域)の「IgEの量」だけを測定するのではなく、IgE抗体の可変部がアレルゲンに対して示す「IgEの質」としての「抗原と抗体との親和性の総和」(アビディティ:Avidity)を考慮に入れることが必要であることを思いついた。本発明者らは、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティを示すパラメーターとして1/IC50の値を選択し、各アレルゲン感作陽性乳幼児・小児のIgE抗体価に1/IC50値を乗じた数値、およびアビディティ値を用いて、アナフィラキシー発症の有無について解析を行い、上記パラメーターの有意差検定を行ったところ、既存のパラメーターを用いるよりも、アナフィラキシー発症者と非発症者間に顕著な統計学的有意差を示すことを見いだした。さらに検査の性能評価に用いられるROC(Receiver Operating Characteristic)曲線解析においても、IgE抗体価に1/IC50値を乗じた数値は従来のIgE抗体量のみの検査に比較して、その感度と特異度から計算される有用性指標値としての曲線下面積(Area Under Curve:AUC)の有意な増加が認められた。これまでアナフィラキシーの発症の可能性について有効な診断法がなかったアレルギー患者について、アナフィラキシーの発症予測を効果的に行うことが可能であることを確認して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の事項により特定されるものである。
[1]食物アレルギーを有する乳幼児・小児から採取した試料中の、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づくROC解析により決定されたカットオフ値を判断基準として、前記乳幼児・小児のアナフィラキシーの発症リスクを予測するためのデータを収集する方法。
[2]IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づくROC解析により決定されたカットオフ値が、アレルゲンに対するIgE抗体の抗体価に、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティを乗じた数値に基づくROC解析により決定されたカットオフ値であることを特徴とする、上記[1]記載のデータを収集する方法。
[3]IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティが、1/IC50として数値化されることを特徴とする、上記[2]記載のデータを収集する方法。
[4]IC50が、競合的結合阻害活性値であることを特徴とする、上記[3]記載のデータを収集する方法。
[5]IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づくROC解析により決定されたカットオフ値が、IgE抗体のIC50に基づくROC解析により決定されたカットオフ値であることを特徴とする、上記[1]記載のデータを収集する方法。
[6]IC50が、競合的結合阻害活性値であることを特徴とする、上記[5]記載のデータを収集する方法。
[7]アレルゲンに対するIgE抗体の抗体価を、DCPチップを用いて測定することを特徴とする上記[2]~[6]のいずれか記載のデータを収集する方法。
[8]試料が血漿又は血清であることを特徴とする上記[1]~[7]のいずれか記載のデータを収集する方法。
本発明によると、従来アナフィラキシー発症診断が困難であった、乳幼児・小児について、アナフィラキシーを発症する可能性を有意に予測できる。
IgE抗体の「量」と「質」とを決める構造的特徴を示す。 タンパク質が固定化されたDCPチップの模式図を示す。 1-6歳の乳幼児で、イムノキャップ法によりクラス2以上と判定された乳幼児343名に実施した、加熱鶏卵OFCにおけるアレルギー陽性者・陰性者について、加熱鶏卵アレルゲンのオボムコイド(OVM)に対する5種の異なる測定パラメーター:CAP OVM sIgE(UA/mL)、DCP OVM sIgE(BUe/mL)、DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、 DCP OVM sIgE IC50(nM)、1/DCP OVM sIgE IC50(nM)を用いてROC解析した結果を、ROCカーブ(曲線)で示す。 1-3歳の乳幼児で、イムノキャップ法によりクラス2以上と判定された乳幼児256名に実施した、加熱鶏卵OFCにおけるアレルギー陽性者・陰性者について、5種の異なるパラメーター:CAP OVM sIgE(UA/mL)、DCP OVM sIgE(BUe/mL)、DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、 DCP OVM sIgE IC50(nM)、1/DCP OVM sIgE IC50(nM) を用いてROC解析した結果を、ROCカーブで示す。 1-6歳の乳幼児で、イムノキャップ法によりクラス2以上と判定された乳幼児343名に5種(A~D)の異なるパラメーター:(A)CAP OVM sIgE(UA/mL)、(B)DCP OVM sIgE(BUe/mL)、(C)DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、(D)DCP OVM sIgE IC50(nM)、(E)1/DCP OVM sIgE IC50(nM)を用いて、鶏卵アレルギー(EA)の有(+)無(-)を加熱鶏卵[EW(heat)]OFC陽性、陰性で検定した結果と、さらに鶏卵アレルギー有(OFC陽性)者について、アナフィラキシー(AN)の有(+)無(-)について有意差を検定した結果を示す。 1-6歳の乳幼児で、イムノキャップ法によりクラス2以上と判定された乳幼児343名に5種の異なるパラメーター:CAP OVM sIgE(UA/mL)、DCP OVM sIgE(BUe/mL)、DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、DCP OVM sIgE IC50(nM)、1/DCP OVM sIgE IC50(nM)を用いて、OFCによるアナフィラキシー発症診断に依拠して、アナフィラキシー(AN)発症者(+)と診断された被験者とAN非発症者(-)と診断された被験者についてROC解析した結果を示す。 1-3歳の乳幼児で、イムノキャップ法によりクラス2以上と判定された乳幼児256名に、5種(A~D)の異なるパラメーター:(A)CAP OVM sIgE(UA/mL)、(B)DCP OVM sIgE(BUe/mL)、(C)DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、(D)DCP OVM sIgE IC50(nM)、(E)1/DCP OVM sIgE IC50(nM)を用いて鶏卵アレルギー(EA)の有(+)無(-)をOFC陽性、陰性で検定した結果と、さらに鶏卵アレルギー有(OFC陽性)者について、OFCによるアナフィラキシー(AN)の有(+)無(-)について有意差を検定した結果を示す。 1-3歳の乳幼児で、イムノキャップ法によりクラス2以上と判定された乳幼児256名に5種の異なるパラメーター:CAP OVM sIgE(UA/mL)、DCP OVM sIgE(BUe/mL)、DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、DCP OVM sIgE IC50(nM)、1/DCP OVM sIgE IC50(nM)を用いて、OFCによるアナフィラキシー発症診断に依拠して、アナフィラキシー(AN)発症者(+)と診断された被験者とAN非発症者(-)と診断された被験者とについてROC解析した結果を示す。
本発明の、食物アレルギーを有する乳幼児・小児のアナフィラキシー発症リスクを予測するためのデータを収集する方法としては、食物アレルギーを有する乳幼児・小児から採取した試料中の、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づくROC解析により決定されたカットオフ値を判断基準とする方法であれば特に制限されず、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づくROC解析により決定されたカットオフ値としては、アレルゲンに対するIgE抗体の抗体価に、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティを乗じた数値をパラメーターとして、ROC解析により決定されたカットオフ値や、IgE抗体のIC50をパラメーターとして、ROC解析により決定されたカットオフ値を挙げることができ、これら2つのカットオフ値を併用して判断することも可能である。また、本発明の方法は非医療的に行われる場合、すなわち、非医療的にデータを収集する方法も含み、また、医師の行為を除く、食物アレルギーを有する乳幼児・小児のアナフィラキシー発症リスクを予測するためのデータを収集する方法をも含む。上記食物アレルギーとしては、アレルゲンとなりうる特定の食品によって引きおこされるアレルギー反応を挙げることができ、アナフィラキシーとは、アレルギー反応の中でも特に重篤な、生命に危機を与え得る過敏反応を挙げることができる。
上記アレルゲンとは、アレルゲン感作を成立させ、又はアレルギー反応、さらにはアナフィラキシーを誘発する抗原を意味する。具体的には、ヒトにおいてIgE抗体の産生を誘導し得る任意の抗原タンパク質又はペプチド、その他糖鎖や核酸などであれば特に制限されないが、卵類、牛乳類、牛肉等の肉類、サケ、マグロ等の魚類、エビ、カニ等の甲殻類及び軟体動物類、穀類、豆類及びナッツ類、果実類、野菜類、ビール酵母、ゼラチンなどの食物アレルゲンとなる成分を例示することができ、中でもαs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼイン、α-ラクトアルブミン、ホエーアレルゲンの主要成分であるβ-ラクトグロブリン(BLG)等の乳アレルゲンや、オボムコイド(OVM)、オボアルブミン(OVA)、コンアルブミン、又はこれらの混合物である卵白アレルゲン(EW)や、卵黄アレルゲン、及びこれらが混合した卵アレルゲン、グリアジン、グルテン等の小麦アレルゲン、そばアレルゲンや、Ara h1等の落花生アレルゲン、11Sグロブリン等のごまアレルゲン、トロポミオシンタンパク質等の甲殻類アレルゲンを主要なアレルゲンとして例示することができる。
上記アレルゲン感作とは、アレルゲンが体内に入った場合に、異物とみなして排除しようとする免疫機能が働き、アレルゲンを認識・結合するIgE抗体が産生する状態をいい、かかる状態を、そのアレルゲンに感作している、又はアレルゲン感作が成立しているなどというが、アレルゲン感作しているだけではアレルギー反応は必ずしもおこらない。
上記アレルギー反応としては、上記アレルゲン感作が成立している状況において、再度アレルゲンが侵入した場合に、マスト細胞上のIgE抗体がアレルゲンに結合して、マスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出される反応を挙げることができ、かかるアレルギー反応により引き起こされる症状をアレルギー症状と呼ぶ。
上記アレルギー症状としては、掻痒感、じんましん、血管性浮腫、発赤、湿疹等の皮膚症状;結膜充血・浮腫、掻痒感、流涙、眼瞼浮腫等の眼症状;くしゃみ、鼻汁、鼻閉等の鼻症状;口腔・口唇・舌の違和感・腫脹、咽頭の痒み・イガイガ感等の口腔咽頭症状;腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便等の消化器症状;咽頭絞扼感、咽頭浮腫、嗄声、咳嗽、喘鳴、呼吸困難、喘息等の呼吸器症状;アナフィラキシーショック頻脈、虚脱状態、意識障害、血圧低下等の全身症状等を挙げることができる。
本発明における試料としては、アレルギーを有する乳幼児・小児から採取した試料であれば特に制限されず、患者から採取した血液、血清、血漿、唾液、涙液、鼻汁、尿等の体液を挙げることができるが、血清、血漿が好ましい。血清を試料として用いる場合は、例えば、患者の上腕静脈より採血を行い、得られた血液を4℃にて一晩静置した後、遠心分離し、その上清を血清として用いることができる。あるいは、低侵襲的に耳朶や指先を微量採血針等で穿刺して得られる50~100μLの微量血液をマイクロキャピラリーチューブで採取してそのまま用いることも可能である。
上記食物アレルギーを有する乳幼児・小児としては、1歳0ヶ月(1歳)~12歳の乳幼児・小児、好ましくは1~6歳の乳幼児・小児、より好ましくは1~3歳の乳幼児であって、食物アレルゲンの摂取により、アレルギーの症状が出ることが明らかな乳幼児・小児や、公知の方法によりアレルギー陽性であり、食物アレルギーを有すると判定された乳幼児・小児を挙げることができる。また、アレルゲンに感作していることが明らかでありアレルギーを発症する可能性があるが、アレルギー症状が出現していない乳幼児・小児を含み、従来の食物アレルギーの確定診断法であるOFCによって、アレルギー陽性者ではないと確定される乳幼児・小児を含みうる。
上記乳幼児・小児が食物アレルギーを有すると判定するための具体的な方法としては、皮膚プリックテストや好塩基球活性化試験、公知のIgE検査法や、OFCにおいて、それぞれの方法における基準に基づきアレルギーを有するか否かを確定する方法を挙げることができる。
[IgE抗体価の測定]
上記IgE抗体の抗体価を定量的に測定する方法としては、上記公知のIgE検査法を含め、試料中のアレルゲンに対するIgE抗体を検出し、IgE抗体価を定量測定することができる方法であれば特に限定されないが、担体上で行う標識二次抗体を用いるELISA法を好適に挙げることができる。ELISA法における担体としては、市販のELISA用チップや、非特異的吸着が少ない点において有利であることから、担体の表面にカーボン層が形成されたチップや、ペプチドを固定するために有利であることから、化学修飾基が導入されたチップや活性化処理が行われたチップを挙げることができ、なかでもDCPチップを好適に挙げることができる。また、上記公知のIgE検査法としては、上記DCPチップを用いるDCP法、イムノキャップ法、アラスタット3g、イムノファストチェック、オリトンIgE等を例示することができる。なお、IgEの抗体価を算出する際には、検量線の精度の範囲でより高い精度で測定する観点から、血清等の血液試料を1~数十倍、好ましくは1.1~10倍、より好ましくは1.5~5倍に希釈したうえで、IgE抗体価を定量することも好ましく、その場合は、DCPチップを用いるDCP法等によって、IgE抗体価を測定後、血液試料の希釈倍率をかけて、最終的にIgE抗体価を決定する必要がある。
[DCP法]
上記DCP法において、対象の乳幼児・小児がアレルギーを有するかを判定する方法としては、対象の乳幼児・小児の血液試料におけるIgE抗体の産生の程度、すなわちIgE抗体価をもとに判定することができ、具体的には、アレルゲンによって値は異なるがオボムコイド(OVM)を例にすると、800BUe/mL以上、好ましくは1000BUe/mL以上である場合に、アレルギーを有すると判定する方法を挙げることができる。
上記DCP法としては、DCPチップを用いてELISAによりIgE抗体を測定する方法を挙げることができ、上記DCPチップとしては、シリコン基板表面にカーボン層をDLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理した基板の表面、又はガラススライドの表面に、アミノ基含有化合物かその重合体及び/又は共重合体を処理した静電層を施し、さらにジカルボン酸又は多価カルボン酸等を重ねて処理後、N-ヒドロキシスクシンイミド及び/又はカルボジイミド類で活性化したチップや、担体の表面や上記カーボン層に化学修飾基が導入されたチップや、さらに活性化処理が行われたチップなどを挙げることができる。
前記標識二次抗体としては、HiLyte Fluor 555、Atto532、Cy3、Alexa Fluor 555、Cy5、FITC、ローダミン等の蛍光標識二次抗体、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素標識二次抗体、磁気ビーズ標識二次抗体、赤外標識二次抗体、標識抗ヒトIgE抗体を例示することができる。上記二次抗体としては、抗体のFab断片やF(ab’)断片等も使用することができ、Fab断片は抗体をパパイン等で処理することにより、F(ab’)断片はペプシン等で処理することにより調製することができる。
[イムノキャップ法]
上記イムノキャップ法において、対象の乳幼児・小児がアレルギーを有するかを判定する方法としては、IgE抗体価が、0.35UA/mL未満をクラス0、0.35~0.69UA/mLをクラス1、0.70~3.49UA/mLをクラス2、3.50~17.49UA/mLをクラス3、17.50~49.99UA/mLをクラス4、50.00~99.99UA/mLをクラス5、100UA/mL以上をクラス6に分類し、クラス0は陰性であり、アレルゲン感作なし;クラス1は偽陽性で、アレルゲン感作はあるが、アレルギー症状は出ないレベルである;クラス2以上は、陽性であると判定する方法を挙げることができる。なお、IgE抗体価の単位「UA/mL」は、イムノキャップ法を開発したファディア社が独自に設定した、アレルゲンに対して産生されるIgE抗体価の単位であり、量としては、IU/mLと同じである。
[OFC]
上記OFCとは、小児アレルギー学会食物アレルギー委員会の「食物アレルギー診療ガイドライン2016ダイジェスト版 第7章」(https://www.jspaci.jp/allergy_2016/chap07.html)における定義によると、アレルギーが確定しているか疑われる食品を単回又は複数回に分割して摂取させ、症状の有無を確認する検査である。単回摂取、又は分割摂取させる対象の食品の総量を総負荷量という。摂取間隔及び分割方法の例としては、摂取間隔は20-60分で、1~2時間の中で1~5回に分けて漸増摂取することが提案されており、2回の場合は、60分ごとに総摂取量の1/4(1回目)、3/4(2回目)又は総摂取量の1/3、2/3;3回の場合は30―60分ごとに1/8、3/8、1/2;5回の場合は、20-40分ごとに1/16、1/16、1/8、1/4、1/2;6回の場合は、2/100、4/100、8/100、16/100、32/100、38/100;などを例示することができるが、乳幼児を対象とし、医師が立ち会うことが前提とはいえ、アナフィラキシーが発症する可能性が高い試験であるから、慎重に行うために回数をより多く、5回又は6回以上に分けて、徐々に負荷量を増加させることが好ましい。
上記総負荷量としては、鶏卵の場合、1歳児は1/2個、2歳児以上は鶏卵1個、牛乳の場合は、1歳児は50mL、2歳児以上は200mL、小麦の場合は、うどん50g、2歳児以上は200gを例示することができる。
上記OFCにおいて、アレルギーが陽性であると判定される基準は以下のとおりである。
(A)アレルゲン負荷開始から数分又は数時間以内に、
皮膚症状-掻痒、蕁麻疹、紅斑、血管浮腫;及び
粘膜症状-結膜充血、鼻汁、くしゃみ、咽頭違和感;の内一つ以上

(B)アレルゲン負荷開始から数分又は数時間以内に、
呼吸器症状-咳嗽、喘鳴;
消化器症状-腹痛、嘔吐、下痢;及び
全身症状-顔面蒼白、血圧低下、意識レベルの低下;の内一つ以上

(C)アレルゲン負荷開始から数分又は数時間以内に、
小児の年齢に対する収縮期血圧で30%以上の低下

(A)、(B)、(C)の一つ以上に該当する場合に当該特定アレルゲンに対してアレルギーが陽性であると判定される。
なお、アナフィラキシーが発症したと判定される基準は以下のとおりである。
「1 アレルゲン負荷から数分又は数時間以内での、皮膚又は粘膜症状の出現(例:全身蕁麻疹、かゆみ、紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹)、かつ、
以下のA)及びB)のうち1つ以上を満たす。
A)呼吸障害(例:呼吸困難、呼気性喘鳴、吸気性喘鳴、PEF(peak expiratory flow)低下、低酸素症)
B)血圧低下又は関連した臓器不全(例:低血圧、虚脱、失神、失禁)

2 アレルゲン負荷から数分又は数時間以内での、以下に示すC)~F)のうち2つ以上の症状の出現
C)皮膚又は粘膜症状の出現(例:全身蕁麻疹、かゆみ、紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹)
D)呼吸障害(例:呼吸困難、呼気性喘鳴、吸気性喘鳴、PEF(peak expiratory flow)低下、低酸素症)
E)血圧低下又は関連した臓器不全(例:低血圧、虚脱、失神、失禁)
F)持続する消化管症状 (例:疝痛、嘔吐) 」
本発明における、食物アレルギーを有する乳幼児・小児のアナフィラキシー発症リスクを予測するための判断基準は、アレルゲンに対するIgE抗体の抗体価と、アレルゲンに対するIgE抗体のアビディティとを用いて作成された基準であれば特に制限されないが、IgE抗体の抗体価に、IgE抗体のアビディティ(1/IC50)を乗じた値を用いることが好ましい。
[IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティの算出]
本発明における、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティの値としては、IgE抗体のIC50又は1/IC50の値として数値化された値を挙げることができる。IC50の値は、競合的結合阻害活性値とも呼ばれることがある値であり、例えば、固相化アレルゲンと可溶性アレルゲン間の競合的結合阻害活性として、抗原抗体結合反応を50%阻害するアレルゲンの濃度を表す値を算出することにより得ることができる。この算出方法によると、同じ抗原を認識するIgE以外のIgG,IgA,IgD,及び/又はIgM抗体が存在していてもIC50の値の評価ができる点で好ましい。
上記IgE抗体のIC50値の算出方法としては、IgE抗体の競合結合アッセイを実施できる方法によるものであれば特に制限されず、ELISA等の生化学的アッセイによる測定方法を挙げることができる。モノクローナル抗体や精製IgE抗体にあっては、表面プラズモン共鳴テクノロジーを用いて相互作用の程度を測定することのできるバイアコア(Biacore)、等温滴定型カロリメトリー等によるアフィニィティー測定法も挙げることができる。
上記ELISAによりIC50値を算出する方法としては、抗原と抗体間に分子間引力を低下させるカオトロピック剤(Caotropic agent)としてタンパク質変性剤を使用して、IgE抗体のアレルゲンに対する親和性を測定する方法や、競合的ELISAにより測定する方法を挙げることができる。カオトロピック剤は抗体のみならず抗原の分子間引力の低下を誘導する可能性のあることや、検体として用いる血清の希釈倍率によって、カオトロピック剤の濃度が同じでも抗原抗体結合阻害効果が変化するため、再現性が高いといえない。一方、種々の濃度のアレルゲンを添加して行う競合的結合阻害反応法を用いた競合的ELISAによるIC50値の測定は、試料の希釈倍率によってIC50値が変化することが少ないため再現性が高く、異なるアレルゲン間でのIC50値の相互比較が可能であり、アレルゲンに対する抗体の結合活性の総和を定量的に比較できる点で好ましい。そのため、IC50値を算出するにあたっては、血漿、血清等の血液試料を希釈した場合であっても、試料の希釈倍率を乗じる必要はないことを確認した。競合的結合阻害反応法を用いたELISAによる具体的手順の例を以下に示す。
(前段階反応)
抗原特異的アレルゲンに結合するIgE抗体を含む試料に、濃度0(試料中に競合的結合阻害物質としての抗原が存在しない)から、一定時間内にすべてのIgE抗体にアレルゲンが結合できる十分な濃度に至るまで、段階的に調製された既知の濃度のアレルゲンを競合的結合阻害物質として添加し、一定時間反応させる。
上記前段階反応における一定時間としては、例えば、15分~2時間、好ましくは30分~1時間を挙げることができる。また、上記段階的に調製された既知の濃度としては、試料中に存在する抗体量等に基づき、当業者が適宜決定した濃度を用いることができるが、例えば、血清や血漿中に添加する、競合阻害に用いる段階的なアレルゲン濃度(最終濃度)の例としては、0nM、0.1nM、1.0nM、10nM、100nM、1000nMの組合せや、0nM、0.1nM、1.0nM、10nM、100nM、200nMの組合せなどを挙げることができるがこれらの濃度に限定されるものではない。また、競合的結合阻害反応法を用いたELISAは、分子量が明確なアレルゲンについて行うことが好ましいが、アレルゲンの分子量が不明で、モル濃度でアレルゲン濃度を調整できないアレルゲンについては、上記段階的アレルゲン濃度を、mg/mL、μg/mL等の単位により調整することができる。
(競合的結合阻害反応)
上記前段階反応後の溶液を、アレルゲンが固定化されている担体に供し、上記前段階反応後の溶液中に遊離しているIgE抗体(一次抗体)を固定化されているアレルゲンに結合させる等の方法により反応させ、その後一次抗体の除去と洗浄過程の後にさらに標識二次抗体と反応させ、結合しているIgE抗体の結合量を算出する。
前記抗原抗体結合反応を50%阻害するアレルゲンの濃度、すなわち「IC50」は、上記前段階反応において、競合アレルゲンの存在しない濃度0とした溶液について、検出される標識二次抗体の標識量を100%とした場合に、上記標識量が50%となる抗原濃度(half maximal inhibitory concentration:50%阻害濃度)として表現される。
アレルゲンに対するIgE抗体のアビディティは、前述のとおり、IC50値を基に、IC50値の逆数である「1/IC50」として表現されることができる。上記競合的結合阻害反応法を用いたELISAにおいて、試料中のIgE抗体の親和性がより低い場合は、前段階反応後の溶液中に存在する遊離一次IgE抗体の量はより多くなるので、固定化されているアレルゲンに結合する抗体量は多くなり、IC50値はより大きくなる。一方、試料中のIgE抗体の親和性がより高い場合は、前段階反応後の溶液中に存在する遊離一次IgE抗体の量はより少なくなるので、固定化されているアレルゲンに結合するIgE抗体量は少なくなり、IC50値はより小さくなる。したがって、IgE抗体の親和性がより低い場合に、アビディティを低い数値とし、IgE抗体の親和性がより高い場合に、アビディティを高い数値とするため、便宜上IC50値の逆数を使用する場合がある。特にIgE抗体価にIgEの抗原親和性(アビディティ)を乗じて評価する場合には、IC50値の逆数が用いられる。
アビディティ算出における前記標識二次抗体としては、HiLyte Fluor 555、Atto532、Cy3、Alexa Fluor 555、Cy5、FITC、ローダミン等の蛍光標識二次抗体、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素標識二次抗体、磁気ビーズ標識二次抗体、赤外標識二次抗体などを挙げることができる。また、上記二次抗体としては、抗体のFab断片やF(ab’)断片等も使用することができ、Fab断片は抗体をパパイン等で処理することにより、F(ab’)断片はペプシン等で処理することにより調製することができる。
前記アレルゲンが固定化されている結合感度の高い担体としては、市販のELISA用チップや、非特異的吸着が少ない点において有利であることから、担体の表面にカーボン層が形成されたチップや、ペプチドを固定するために有利であることから、化学修飾基が導入されたチップや活性化処理が行われたチップを挙げることができ、なかでもDCPチップが好ましい。
上記アレルゲンを固定化させたチップ、及びそれを用いたIgE抗体の定量測定方法としては、公知のチップや方法を用いることもでき、例えば特開2006-267058号公報、特開2006-267063号公報、特開2015-169616号公報に記載のチップ、すなわち上記DCPチップを用いる方法を含めることができる。
[ROC解析]
本発明における、IgE抗体の抗体価とIgE抗体のアレルゲンに対するアビディティとに基づき作成された判断基準としては、乳幼児・小児のアナフィラキシー発症リスクを予測することができる判断基準であれば特に限定されないが、「IgE抗体の抗体価にIgE抗体のアレルゲンに対するアビディティを乗じた数値」をパラメーターとして、ROC解析によるカットオフ値を用いて予測することを好適に挙げることができる。
上記ROCとは、受信者操作特性又は受信者動作特性などと訳される言葉であって、二分変数であるアウトカムに対する独立変数の予測能の比較や、アウトカムに対する独立変数のカットオフを設定するために利用される方法である。
本発明において、上記二分変数であるアウトカムに対する独立変数の予測能の比較を行う方法としては、例えば異なるn種類のパラメーターにおいて、それぞれアナフィラキシー陽性となる閾値の設定を変化させると、それに応じてアナフィラキシー陽性者に対する真陽性率及び偽陽性率が変化する。真陽性率及び偽陽性率を、縦軸に真陽性率、横軸を偽陽性率としてプロットして、n種類のROC曲線が作成された場合に、その曲線下面積(AUC)が大きいほど優れたパラメーターであって、予測能が高いと評価する方法を挙げることができる。
上記ROC曲線の作成方法としては、あるパラメーターを選択した場合に、例えば、被験者の分類において、アナフィラキシー陽性値について任意の閾値の設定を行った場合に、アナフィラキシー陽性被験者を正しくYに分類した場合をTYとして示し、アナフィラキシー陽性被験者を誤ってYに分類した場合をFYとして示し、アナフィラキシー陰性被験者を正しくNに分類した場合をTNとして示し、アナフィラキシー陰性被験者を誤ってNに分類した場合をFNとして示し、陽性者を正しく陽性であると分類した場合の真陽性率(感度)=TY/(TY+FN)とし、陰性者を陽性であると分類した場合の偽陽性率(1-特異度)=FY/(FY+TN)とすると、ある閾値に対して(真陽性率,偽陽性率)、すなわち(感度,1-特異度)をプロットできるが、さらに、様々な閾値を設定してプロットを多数行うことによりROC曲線を作成する方法を挙げることができる。
上記ROC解析においてカットオフ値を設定する方法としては、予測能を上げることができる方法であれば特に限定されないが、感度-(1-特異度)が最大の値をカットオフ値として決定する方法を例示することができ、かかるカットオフ値の設定は、以下に示すROC解析装置や市販のソフトウェアを用いて公知の手順により決定することもできる。
ROC解析は、公知の市販の解析装置を用いて行うこともでき、例えば、GraphPad Prism ver.5.4 (GraphPad社)、JMP14 (jmp.Statistical Discovery. TM)等のソフトウェアを用いて行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[実施例1]
(検体)
本実施例における検討は、徳島大学の倫理委員会の承認(#175-4)を得て、2012年8月から2019年1月までの間に、徳島大学、徳島大学関連病院の健康保険鳴門病院、国立病院機構三重病院にて行われた。
鶏卵に対するアレルゲン感作やアレルギーがあることが確認された、又は鶏卵に対するアレルギーが疑われる1歳0ヶ月~6歳の乳幼児のうち、十分なインフォームドコンセントの下に、両親双方又は両親のいずれかから承諾が得られた乳幼児について行われた。また、OFCは、日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会、食物アレルギー診療ガイドライン2016、協和企画の指針に基づいて行った。
被験乳幼児の選択基準を示す。
(1)鶏卵に対するアレルゲン感作が確認され、OFC実施前6ヶ月以上鶏卵除去食を実施している乳幼児。
(但しOFC実施前3ヶ月以内に診断目的で加熱卵OFCを施行した乳幼児は除く。)
(2)鶏卵に対するアレルゲン感作が確認され、OFC実施の直前か4ヶ月以内に血液検査が行われ、イムノキャップ法かDCP法によりオボムコイド特異的IgEの測定が実施された乳幼児。
この基準によって、472名が選択された。
(アレルゲンの選択)
鶏卵の成分であるオボアルブミンは、加熱によってアレルゲンとしての活性を失うことが知られているので、今回の検討では、加熱鶏卵パウダーをOFCにおいて摂取させることにより、加熱によってもアレルゲン活性を失わないオボムコイド(OVM)を指標として、鶏卵アレルギーを有する被験乳幼児におけるアナフィラキシー発症の有無について検討をすすめた。
上記の472名の被験乳幼児について、OFCの4週間前以降、OFCの実施日までにすべての被験者から採取された血清は、分析まで凍結融解せずに-30℃未満で保存された。OFCを実施する前に一般的に使用されているイムノキャップ法(ファディア社)を用いた血液検査によりオボムコイド(OVM)に対するIgE抗体の産生の程度を測定し、クラス0-6に分類した。本発明は、アナフィラキシー発症診断におけるIgE抗体のアビディティ測定の有用性を検証することを目的とするため、IgE抗体価が低くアビディティ測定困難なクラス0の陰性者とクラス1の疑陽性者を除き、オボムコイドに対してアレルゲン感作していると判定され、アビディティの値を抗原抗体結合反応を50%阻害するアレルゲン濃度の算出が可能なクラス2以上の乳幼児343名についてOFCを行うこととした。
(OFCの実施)
上記イムノキャップ法において、OVMに対してアレルゲン感作陽性であると判定されたクラス2以上の343名の乳幼児について、OFCを行うことにより、鶏卵アレルギーの有無についての確定診断を実施した検体をアビディティ測定に用いた。OFCの実施方法はFuruya K et al., Allergy. 2016; 71:1435-1443と日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会、食物アレルギー診療ガイドライン2016、協和企画に記載されている方法に準拠した。
具体的には、被験乳幼児を、年齢による食物の摂取可能量に応じて1歳児と2-6歳児とのグループに分けた。1歳児のOFCにおける鶏卵の総負荷量は、加熱鶏卵パウダー (キューピー株式会社) を6.5g(鶏卵1/2個に相当)とした。2-6歳児のOFCにおける鶏卵の総負荷量は、加熱鶏卵パウダーを13g(鶏卵1個に相当)とした。
上記総負荷量を2/100、4/100、8/100、16/100、32/100、38/100、の6段階に分割し、徐々に負荷量を増加させることにより、被験乳幼児に15-30分間隔で6回にわけて加熱鶏卵パウダーを摂取させる方法で試験を行った。すなわち、1歳児は、0.13g、0.26g、0.52g、1.04g、2.08g、2.47gの順に、加熱鶏卵パウダーを15-30分間隔で、6回に分けて摂取した。2-6歳児は、0.26g、0.52g、1.04g、2.08g、4.16g、4.94gの順に、加熱鶏卵パウダーを15-30分間隔で、6回に分けて摂取した。
なお、上記加熱鶏卵パウダーは、鶏卵であることをわからないようにするためと、摂取毎の摂取量の増加の違いを補正するために、カボチャやサツマイモ粉末を添加した混合パウダーとして、各乳幼児に供された。
加熱鶏卵パウダーを摂取した乳幼児が、以下に示す基準に該当する場合に、OFCにおいて鶏卵に対するアレルギーが陽性であると確定した。以下に示す基準に該当しない場合は鶏卵に対するアレルギーが陰性であると確定した。
(アレルギー陽性の確定基準)
(A)加熱鶏卵パウダー負荷開始から数分又は数時間以内に、
皮膚症状-掻痒、蕁麻疹、紅斑、血管浮腫;及び
粘膜症状-結膜充血、鼻汁、くしゃみ、咽頭違和感;の内一つ以上

(B)加熱鶏卵パウダー負荷から数分又は数時間以内に、
呼吸器症状-咳嗽、喘鳴;
消化器症状-腹痛、嘔吐、下痢;及び
全身症状-顔面蒼白、血圧低下、意識レベルの低下;の内一つ以上

(C)加熱鶏卵パウダー負荷から数分又は数時間以内に、
小児の年齢に対する収縮期血圧で30%以上の低下

上記(A)、(B)、(C)の一つ以上に該当する場合に鶏卵に対するアレルギーが陽性であると確定した。
(アナフィラキシー発症の確定基準)
World Allergy Orhan J. 2011; 4: 13-37に従ってWorld Allergy Organization Anaphylaxis GuidelinesのCriteria for Diagnosing Anaphylaxis の記載に基づき、以下の1~3の基準のいずれか1つ以上を満たした場合にアナフィラキシーを発症したと判定した。
1 加熱鶏卵パウダー負荷から数分又は数時間以内での、皮膚又は粘膜症状の出現(例:全身蕁麻疹、かゆみ、紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹)、かつ、
以下のA)及びB)のうち1つ以上を満たす。
A)呼吸障害(例:呼吸困難、呼気性喘鳴、吸気性喘鳴、PEF(peak expiratory flow)低下、低酸素症)
B)血圧低下又は関連した臓器不全(例:低血圧、虚脱、失神、失禁)

2 加熱鶏卵パウダー負荷から数分又は数時間以内での、以下に示すC)~F)のうち2つ以上の症状の出現
C)皮膚又は粘膜症状の出現(例:全身蕁麻疹、かゆみ、紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹)
D)呼吸障害(例:呼吸困難、呼気性喘鳴、吸気性喘鳴、PEF(peak expiratory flow)低下、低酸素症)
E)血圧低下又は関連した臓器不全(例:低血圧、虚脱、失神、失禁)
F)持続する消化管症状 (例:疝痛、嘔吐)

3 加熱鶏卵パウダー負荷から数分又は数時間以内での、年齢に応じた収縮期血圧の低下、又は収縮期血圧の30%以上の低下を示した場合
上記OFCにおいて陽性であると判定された乳幼児を鶏卵アレルギーありと診断し、上記OFCにおいて陰性であると判定された乳幼児を鶏卵アレルギーなしと診断した。さらに、鶏卵アレルギーありと診断された被験乳幼児において、アナフィラキシー反応が現れた乳幼児をアナフィラキシーあり(AN+)とし、アナフィラキシー反応が現れなかった乳幼児をアナフィラキシーなし(AN-)とした。また、被験乳幼児について、OFC実施前に行ったイムノキャップ法を用いた血液検査により分類されたクラスについても記載した。結果を表1に示す。
(結果1)
表1から明らかなとおり、上記加熱鶏卵パウダーによるOFCを行った343名の1-6歳の乳幼児のうち、OFC陽性であって、鶏卵アレルギーであると確定したのは204名であった。一方、OFC陰性であって、鶏卵アレルギーではないと確定したのは139名であった。また、鶏卵アレルギーであると確定した204名のうち、アナフィラキシーを発症すると判定されたのは38名であり、アナフィラキシーを発症しないと判定されたのは166名であった。
したがって、OFCを実施した1-6歳の乳幼児のうち、59.5%が鶏卵アレルギーであると確定され、40.5%が鶏卵アレルギーではないことが確定された。なお、前段階で行ったイムノキャップ法において、オボムコイド感作が陽性であると判定され、クラス2~6に分類された乳幼児における男女比は、男児66.5%、女児33.5%であって、男児が有意に高値を示した。しかし、OFCによる鶏卵アレルギーの確定診断においては、鶏卵アレルギーあり、鶏卵アレルギーなし、鶏卵アレルギーあり、かつAN+、鶏卵アレルギーありかつAN-のそれぞれにおける男女比に有意な差は認められなかった。また、鶏卵アレルギーであることが確定した乳幼児において、重篤な症状を示したAN+の乳幼児は18.6%を占めた。鶏卵アレルギーであることが確定したが、AN-の乳幼児アレルギー症状は、生命に危機を与え得る過敏反応状態ではなかった。
(結果2)
上記被験乳幼児のうち、免疫系が未発達であるため、日常的な診療では、アレルギーの診断に困難を伴う1-3歳の被験乳幼児のみについてのデータを表2に示す。
表2から明らかなとおり、上記加熱鶏卵パウダーによるOFCを行った256名の1-3歳の乳幼児のうち、OFC陽性であって、鶏卵アレルギーであることが確定したのは147名であった。一方、OFC陰性であって、鶏卵アレルギーではないと確定したのは109名であった。また、鶏卵アレルギーであることが確定した147名のうち、アナフィラキシーを発症すると判定されたのは28名であり。アナフィラキシーを発症しないと判定されたのは119名であった。
したがって、OFCを実施した1-3歳の乳幼児のうち、57.4%が鶏卵アレルギーであると確定され、42.6%が鶏卵アレルギーではないと確定された。また、鶏卵アレルギーであると確定した乳幼児において、重篤な症状を示したAN+の乳幼児は19.0%を占めた。鶏卵アレルギーであると確定したが、AN-の乳幼児アレルギー症状は、生命に危機を与え得る過敏反応状態ではなかった。以上より、免疫系が未熟とされる1-3歳の乳幼児における、鶏卵アレルギーが確定した乳幼児のアナフィラキシー発症乳幼児の割合は、1-6歳と比較して、有意差がないことが確認された。
[実施例2]
[OVM特異的IgE抗体価のDCP法による測定]
上記1-6歳の乳幼児343名について、OFCを行う前に採取した血清試料を用いて、抗原タンパク質として、鶏卵に含まれる分子量の明らかなアレルゲンとして知られているOVM(シグマ社製)を抗原としてDCPチップに固定化して、OVMと結合するIgE抗体量をOVM特異的IgE抗体価として測定した。なおIgE抗体価の定量に当たっては、National Institute for Biological Standards and Control(Hertfordshire, England)より購入した既知の濃度のヒト標準IgE抗体(75/502)による蛍光強度検量線を作成し、DCPチップを用いてOVM特異的IgE抗体価(BUe/mL)を測定した。
[OVM固定化DCPチップの作製]
(チップの活性化)
ガラス基板からなるDCPチップに、アミノ基含有静電層を施し、さらにポリアクリル酸による負の電荷を帯びるカルボキシル基を導入した基板を化学架橋剤(100mM WSC・HCl、100mM NHS、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0))中で、遮光した状態で室温にて30分間振盪しながら活性化処理を行った。反応後の化学架橋剤を廃棄後、基板をMilliQ水で振盪しながら1分間の洗浄を2回行った後、直ちに卓上遠心機(AllegraTMX-22R Centrifuger,Beckman Coulter社製)を用いて水分を除去し、活性化チップを調製した。
(OVMのカップリング反応)
5~30%DMSO又は5~30%PEG300を添加した溶液に、抗原タンパク質としてOVM(シグマ社製)を0.2~2.0mg/mLの濃度に溶解して、抗原タンパク質溶液を調製した。かかる調製された抗原タンパク質溶液を384穴プレート平底(コーニング社製)に分注し、マイクロアレイ作製装置(OmniGridAccent,DIGILAB社製)により、上記活性化チップ上に4nLスポット後、15℃~30℃にて1~18時間乾燥し、OVM抗原タンパク質を固定化した。OVMが固定化されたDCPチップの模式図を図2に示す。
(未反応活性基のブロッキング反応)
上記抗原タンパク質としてOVMが固定化されたチップにブロッキング試薬のBlockmaster(JSR社)を反応穴槽(ウェル)に添加し、遮光下冷蔵(4℃)にて静置し終夜反応させた。上記ブロッキング試薬をアスピレーター(VARIABLE SPEED PUMP、BIORAD社製)で吸引除去後、再度反応プレートに移し、洗浄液(50mM TTBS)を10mL添加後、5分間揺動した後にアスピレーターで洗浄液を吸引除去した。同様に3回洗浄した後、さらに精製水(MilliQ水)で3回洗浄した。遠心機(Allegra(商標)、X-22R Centrifuge(BECKMAN COULTER社製))で、遠心水滴除去(2000rpmにて1分間)して、チップ表面の水滴を除去し、OVM固定化DCPチップを作製した。
(一次抗体反応)
サンプル希釈液(20 mM phosphate buffer, pH 7.4/0.3 M KCl/0.05% Tween20)で各被験乳幼児の血清試料を適宜希釈して、血清希釈溶液(一次抗体液)を調製し、かかる希釈試料を、反応穴槽に10μL添加し、遮光下37℃にて2時間静置した。
(二次抗体との反応)
上記の操作で得られた希釈試料をアスピレーター(VARIABLE SPEED PUMP、BIORAD社製)で吸引除去後、チップを洗浄用ケースに移し、洗浄液(TTBS:50mM Tris-HCl, pH 7.5, 150 mM NaCl, 0.95% Tween20)を10mL添加後、Double-Shaker NR3を用いて洗浄作業を5分間3回繰り返して洗浄した後、さらに精製水(MilliQ水)を加えて1分間3回洗浄した。上記遠心機で遠心水滴除去(2000rpmにて1分間)してチップ表面の水滴を除去した。次に蛍光標識した二次抗体(HiLyte Fluor(商標)又は 555conjugated anti human IgE(HyTest社)(希釈液、IMMUNO SHOT Platimun/1 % BSA、最終希釈濃度10μg/mL))を二次抗体液として調製した。かかる二次抗体液を、スライド上の各反応穴槽に10μL分注し、遮光下37℃にて2時間静置した。
(抗原に捕捉された一次抗体の検出)
上記希釈二次抗体液をアスピレーターで吸引除去後、チップを洗浄用ケースに入れDouble-ShakerNR3(TAITEC社製)を用いて洗浄作業を5分間3回繰返し行った。その後、精製水(MilliQ水)を加え1分間3回すすぎ、上記遠心機で水滴を除去し乾燥させた。蛍光スキャナー(3D Gene Scanner、東レ社製)で蛍光強度を測定(Ex:532nm、Em:570nm)し、各チップから得られたスポットの蛍光強度の数値化を行った。測定単位は、抗原と抗原抗体反応により結合したIgE抗体価として、Binding Unit(BUe)で表し、チップに固定化した既知の濃度のそれぞれの標準抗体の蛍光強度の検量線から測定して表した。1BUe=2.4 ngとして以下表記する。
[実施例3]
[OVM特異的IgE抗体のアビディティの測定]
上記1-6歳の乳幼児343名について、OFCを行う前に採取した血清試料及び抗原タンパク質としてOVM(シグマ社製)を用いて、OVM特異的IgE抗体のOVMに対するアビディティを測定した
前記OVM固定化DCPチップを用い以下の反応を行った。
(一次抗体反応)
サンプル希釈液(20 mM phosphate buffer, pH 7.4/0.3 M KCl/0.05% Tween20)で各被験乳幼児の血清試料を適宜希釈、例えば2.5倍に希釈して、血清希釈溶液(一次抗体溶液)を調製し、抗体価を測定した。次に、得られた希釈液の抗体価を、添加した可溶性抗原量に依存した競合的結合阻害活性(アビディティ)が検出可能な範囲になるように再調整した。具体的には、OVM IgE の示す蛍光強度の下限値が、>測定限界値(ブランク+5SD)で、上限値の蛍光強度が5,000以下の範囲になるように調整した。また、0,0.2,2.0,20,100, 200nMの6段階の濃度に上記サンプル希釈液で調整した6種類のOVM溶液を競合的結合阻害物質として調製した。IC50値は、検体に含まれるIgE抗体とチップに固相化したOVM抗原との抗原・抗体反応を測定する際に、種々の濃度の可溶性OVMを予め上記6種類のOVM溶液を1種類ずつ6μLをそれぞれ上記血清希釈溶液(6μL)に添加して(合計12μL)、25℃にて30分反応させる前段階反応を行った。反応後それぞれの前段階反応液について10μLを採取して、上記OVM固定化DCPチップに加え、遮光下37℃にて2時間静置した。なお、上記ブランク+5SDは、測定限界下限値を示し、具体的には、緩衝液のみの検体血清なしの条件下で、反応液に含まれる蛍光標識2次抗体が非特異的に抗原と結合することに由来する蛍光強度をブランク値とした。かかる蛍光強度は、5回繰り返し測定して蛍光強度のstandard deviation (SD)値を算出し、ブランク+5SD(測定限界下限値)以上の蛍光強度を示す場合を、サンプルに由来するIgEの蛍光強度とした。
(二次抗体との反応)
DCPチップ上で反応が行われた血清希釈溶液をアスピレーター(VARIABLE SPEED PUMP、BIORAD社製)で吸引除去後、チップを洗浄用ケースに移し、洗浄液(50mM TTBS)を10mL添加後、Double-Shaker NR3を用いて洗浄作業を5分間3回繰り返して洗浄し、さらに精製水(MilliQ水)を加えて1分間3回洗浄した。上記遠心機で遠心水滴除去(2000rpmにて1分間)してチップ表面の水滴を除去した。次に蛍光標識した二次抗体(HiLyte Fluor(商標)又は 555conjugated anti human IgE(HyTest社)(希釈液、IMMUNO SHOT Platimun/1 % BSA、最終希釈濃度10μg/mL)を調製した。かかる二次抗体液を、スライド上の各反応ウェルに10μL分注し、遮光下37℃にて2時間静置した。
その後アスピレーターで吸引除去後、チップを洗浄用ケースに移し、洗浄液(50mM TTBS)を10mL添加後、Double-Shaker NR3を用いて洗浄作業を5分間3回繰り返し洗浄した後、さらに精製水(MilliQ水)を加えて1分間3回洗浄した。上記遠心機で遠心水滴除去(2000rpmにて1分間)してチップ表面の水滴を除去した。残存蛍光量を蛍光スキャナー(3D Gene Scanner、東レ社製)で蛍光強度を測定(Ex:532nm、Em:570nm)することにより、各チップから得られたスポットの蛍光強度の数値化を行った。各被検乳幼児・小児において、OVMが存在しない溶液、すなわち競合的結合阻害物質の濃度が0の場合の蛍光強度を100%としたときに、蛍光強度が50%を示すOVM濃度を「IC50」値として示した。
[ROC解析]
[参考例1]
[実施例1]でOFCを行った1-6歳の乳幼児(343例)について、ROC解析を行った。OFC陽性を鶏卵アレルギーありと診断し、OFC陰性を鶏卵アレルギーなしと診断した結果を基に、これまでに測定したDCP法により測定されたOVM特異的IgE価とOVM特異的IgEのアビディティ、及び、イムノキャップ法 により測定されたOVM特異的IgE価とを用いて、
(1)DCP法 により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値 を乗じた[DCP OVM sIgE/DCP OVMs IgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]];
(2)DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(DCPOVM sIgE IC50(nM));
(3)DCP法 により測定されたOVM特異的IgEの1/IC50の値(1/DCP OVMs IgE IC50(nM));
(4)DCP法 により測定されたOVM特異的IgE価(DCP OVMs IgE(BUe/mL));
(5)イムノキャップ法により測定されたOVM特異的IgE価(CAP OVMs IgE(UA/mL));
の5種類のパラメーターについてROC解析を行った。結果を図3に示す。これ以降、ROC解析は、GraphPad Prism ver.5.4 (GraphPad社)、JMP14 (jmp.Statistical Discovery.TM)を用いて行った。
また、1-6歳の343名の乳幼児を対象に、OFCによるOVMに対するアレルギーの確定診断に依拠して、アレルギー陽性確定者と診断された被験者とアレルギー陰性確定者と診断された被験者について、上記5種類のパラメーター毎に、ROC解析を行い、AUC値、カットオフ値、感度、特異度を算出した。結果を表3に示す。
CAP OVM sIgE法(UA/mL)とDCP OVM sIgE 法(BUe/mL)により測定されたOVM特異的IgE価のAUC値はほぼ同等であった。検討した5種類のパラメーターの中で、IgE抗体価にOVMアビディティを乗じた「DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50」のAUC値が0.79と最も高く、この時のアレルギー確定診断のカットオフ値は、4459.00(BUe/mL)/(nM)を示した。したがって、IgE抗体価にOVMアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50の値が、このカットオフ値すなわち、4459.00(BUe/mL)/(nM)以上を示す場合は、鶏卵アレルギー有のリスクが高いと判定し、このカットオフ値未満を示す場合には、鶏卵アレルギーのリスクが低いと判定することができる。したがって、これまで鶏卵アレルギーが疑われる患者に一律に実施していた食餌制限を、リスクの高い患者のみに実施し、リスクの低い患者には食餌制限を解除する等、患者のクオリティーオブライフの向上に利すると推定された。なお図3の下段に示すように、IgE定量値にOVMアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50(量×質)のAUC値は、IC50値やOVMアビディティ等の単独パラメーターに比較して、有意差を示すP値を示し鶏卵アレルギー有のリスクと、鶏卵アレルギー無しを正確に判定できることが示された。なお、本願明細書において、「OVM sIgE」は、オボムコイド(に)特異的な(specific)IgEを意味する。
[参考例2]
[実施例1]で示した被験者(1-6歳)の中で、特に免疫系が未発達で、日常診療でのアレルギーの診断に困難を伴うとされる被験者(1-3歳)256名を対象に、OFCによるOVMに対するアレルギーの確定診断に依拠して、アレルギー陽性確定者と診断された被験者とアレルギー陰性確定者と診断された被験者について、上記5種類のパラメーターについてROC解析を行った結果を図4に示す。
また、1-3歳の256名の乳幼児を対象に、OFCによるアレルギー確定診断に依拠して、アレルギー陽性確定者と診断された被験者とアレルギー陰性確定者と診断された被験者について、ROC解析を行い、上記5種類のパラメーター毎に、AUC値、カットオフ値、感度、特異度を算出した。結果を表4に示す。
(結果)
アレルギー診断に困難を伴うとされる被験者(1-3歳)においても、被験者(1-6歳)の場合と同様に5種類のパラメーターで検討した。被験者(1-3歳)では、イムノキャップ法(UA/mL)とDCP法により測定されたOVM特異的IgE価(BUe/mL)のAUC値において、被験者(1-6歳)の場合とほぼ同等の値が確認された。検討した5種類のパラメーターの中で、DCP OVM sIgE値にアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50のAUCが、他のパラメーターと比較して0.79と最も高く、この時のアレルギー確定診断のカットオフ値は、1556.70(BUe/mL)/(nM)を示し、被験者(1-6歳)のカットオフ値の35%と低値を示した。なお図4の下段に示すように、被験者(1-3歳)においては被験者(1-6歳)と同様に、IgE定量値にOVMアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50(量×質)のAUC値は、IC50値やOVMアビディティ等の単独パラメーターに比較して、有意差を示すP値で、鶏卵アレルギー有のリスクと、鶏卵アレルギー無しを正確に判定できることが示された。
[実施例4]
表1に示す1-6歳の鶏卵アレルゲン感作陽性者343名の乳幼児において、OFCによるアナフィラキシー発症リスク診断について、図5に示すように、(A) CAP OVM sIgE(UA/mL)、(B)DCP OVM sIgE(BUe/mL)、(C)DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、(D)DCP OVM sIgE IC50(nM)、(E)1/DCP OVM sIgE IC50(nM)、の5種類のパラメーターについて診断精度と有用性を評価し、各群間の有意差検定を実施した。また、図5の統計学的データを以下の表5に示す。
(結果)
図5、及び表5から明らかなとおり、従来からのアレルゲン特異的IgE定量法の(A)CAP OVM sIgE(UA/mL)や、(B)DCP OVM sIgE(BUe/mL)では、鶏卵アレルギーの有(EA+)、無(EA-)の診断は有意差を持って診断できるが、「生命の危機を与え得る過敏反応状態、アナフィラキシーの発症」、即ち[(AN+)及び(AN-)]の診断においては、両群間に有意差は検出できなかった。しかし、(C)DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]をパラメーターにすると、鶏卵アレルギー陽性者の中の(AN+)と(AN-)を有意差(P=0.0041)を持って識別できることが判明した。なお、(D)DCP OVM sIgE IC50(nM)、(E)1/DCP OVM sIgE IC50(nM)値でも、P値はそれぞれ、0.0183、0.0184の比較的良好な値を示した。このように、OVMアビディティを用いることにより、アナフィラキシー発症リスク診断は特に診断精度が増加し、その効果はパラメーターDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]で、最も明らかに示された。
1-6歳の被験者(343例)のOFC結果によるOVMに対するアナフィラキシー発症診断について、上記の5種類のパラメーターについてROC解析を行った結果を図6に示す。
また、上記ROC解析を行った1-6歳の343名の乳幼児を対象に、OFCによるアナフィラキシー発症診断に依拠して、アナフィラキシー発症者と診断された被験者とアナフィラキシー非発症者と診断された被験者について、上記5種類のパラメーター毎に、AUC値、カットオフ値、感度、特異度を算出した。結果を表6に示す。
ROC解析では、OVMアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]をパラメーターにすると、AUCは0.76と他のパラメーターに比較して最も高く、0.7-0.8内にあることから鶏卵アナフィラキシーの発症に関する診断精度は良好と判定された。このパラメーターのカットオフ値は、8960.10[(BUe/mL)/(nM)]を示し、鶏卵アレルギー有のリスクの4459.00[(BUe/mL)/(nM)]よりも約2倍高く、この値を超える値が出た場合は、鶏卵アナフィラキシーの発症リスクが高くなると推定することができた。なお図6の下段に示すように、被験者(1-6歳)においてIgE定量値にOVMアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50(量×質)のAUC値は、従来法のIgE定量値[(UA/mL)/mL]単独パラメーターに比較して、P値は有意差を示し、鶏卵アレルギー有のリスクと、鶏卵アレルギー無しを正確に判定できることが示された。
[実施例5]
表2に示す1-3歳の免疫系が未熟でアレルギーの診断に困難を伴う256名の乳幼児において、OFCによるアナフィラキシー発症リスク診断について、その診断精度と有用性を、(A) CAP OVM sIgE(UA/mL)、(B)DCP OVM sIgE(BUe/mL)、(C)DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]、(D)DCP OVM sIgE IC50(nM)、(E)1/DCP OVM sIgE IC50(nM)、の5種類のパラメーターについて評価し、各群間の有意差検定を実施した結果を図7に示す。また、図7の統計学的データを以下の表7に示す。
(結果)
図7から明らかなとおり、(A)CAP OVM sIgE(UA/mL)や、(B)DCP OVM sIgE(BUe/mL)では、鶏卵アレルギーの有(EA+)、無(EA-)の診断は有意差を持って診断できるが、アナフィラキシーの発症リスク診断においては、1-6歳と同様に両群間に有意差は認められなかった。しかし、(C)DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]をパラメーターにすると、鶏卵アレルギー陽性者の中の(AN+)と(AN-)を有意差(P=0.0077)をもって識別できることが判明した。また、抗原親和性パラメーターの(D)DCP OVM sIgE IC50(nM)、(E)1/DCP OVM sIgE IC50(nM)でも、P値はそれぞれ0.0092、0.0093と良好な値を示し、アナフィラキシーの発症予測診断に有用であることが判明した。
上記ROC解析を行った1-3歳の256名の乳幼児を対象に、OFCによるアナフィラキシー発症診断に依拠して、アナフィラキシー発症者と診断された被験者とアナフィラキシー非発症者と診断された被験者について、上記5種類のパラメーター毎に、AUC値、カットオフ値、感度、特異度を算出した。結果を図8と表8に示す。
従来アナフィラキシー発症診断が困難であった1-3歳の乳幼児のアナフィラキシー発症者と非発症者間のROC解析における、DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]のカットオフ値は表8に示す如く1225.80で、1-6歳が示すカットオフ値(8960.10)の13.7%と低値を示し、1-3歳の乳幼児ではアナフィラキシーが発症しやすいことが明確になった。OVMアビディティをDCP OVM sIgE値に乗じた上記パラメーター(量×質)は、図8及び表8に示すとおり、ROC曲線の示すAUCの値は、検討した5群の中で最も高く0.77を示し、この時の感度は最高値の1.00を示し、アナフィラキシー発症リスク診断に有用であることが示された。以上の結果は、図7及び表7が示す(C)DCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]においては、EA(+)(AN-)群と、EA(+)(AN+)群間のP値はP=0.0077で有意差(P<0.008)を示した。また(D)DCP OVM sIgE IC50(nM)、(E)1/DCP OVM sIgE IC50(nM)においても、EA(+)(AN-)群と、EA(+)(AN+)群間のP値はそれぞれP=0.0092、P=0.0093で、比較的良好な結果であった。また図8の下段に示すように、被験者(1-3歳)においてもIgE定量値にOVMアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50(量×質)のAUC値は、従来法のIgE抗体価の(UA/mL)や(BUe/mL)の単独パラメーターに比較して、有意差を示しており、鶏卵アナフィラキシー有のリスクと、鶏卵アナフィラキシー無しを正確に判定できることが示された。以上から、1-3歳のアナフィラキシー発症リスク診断におけるDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]のカットオフ値1225.80以上である場合は、鶏卵アナフィラキシーの発症リスクが高いと判定できると推定した。
(まとめ)
これまでアレルギー診断は、図1に示すように血液中のアレルゲン特異的IgEの(量)のみが測定されており、アレルゲン特異的IgEの質としての抗原親和性は、考慮されていなかった。抗体の示す反応は、抗体の「量」と「質」から成り立っていることから、アレルゲン特異的IgEの生体反応は、その「量」と「質」を合わせて評価すべきである。抗体の「質」として、本発明では抗原アビディティの有用性を検討した。
アレルゲンに対するIgEアビディティは、固相化アレルゲンと可溶性アレルゲン間の競合的結合阻害活性(IC50値)で測定し、1/IC50値を持って示すことができる。この方法は、同じ抗原を認識するIgE以外のIgG,IgA,IgD,IgM抗体が存在していても評価できるだけでなく、アレルゲン間の親和性の違いや、異なるアレルゲン相互の親和性の違いを同一のパラメーターで評価できる利点を持つ。本発明では、ヒト血清中のポリクローナルIgE抗体のアレルゲンに対するアビディティ(1/IC50値)を測定することで、従来のアレルゲン特異的IgE定量法ではアナフィラキシーの発症リスクを診断することが困難であったが、DCP OVM sIgE(BUe/mL)抗体価にアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]をパラメーターにすることで、アナフィラキシーの発症リスクを予測診断できることを確認した。さらに1-6歳、及び1-3歳の鶏卵アレルギー陽性患者のアナフィラキシー発症リスク診断では、アレルゲンに対するアビディティ単独パラメーターのDCP OVM sIgE IC50(nM)値、及び、1/DCP OVM sIgE IC50(nM)値でも、DCP OVM sIgE(BUe/mL)抗体価にアビディティを乗じたDCP OVM sIgE/DCP OVM sIgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]に比べて有意差の程度は減じるものの、有意差を持ってアナフィラキシーの発症の有無を区別できることが新たに判明した。
[実施例6]
これまでのROC解析から算出された鶏卵アレルギーと鶏卵アナフィラキシーのIC50値と、IgE抗体価とIgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づいて作成された判断基準[(BUe/mL)/IC50] のカットオフ値の実装性(有効性)を検討するため、これまでのデータ(表1~表8等)を取得した病院とは別地域の病院である大阪府の高槻病院に依頼して、高槻病院の病院倫理委員会の承認(倫理委員会承認番号:2019-92)の下、OFCを実施するアレルギー患者を2020年2月20日よりリクルートし、患者及びその家族の同意を得て採血を行い、OVM特異的IgE値の測定とそのアビディティの値の算出を実施した。
測定の第一期として、2020年2月20日から2020年6月17日までの約4ヶ月に収集できた鶏卵アレルギー患者19症例のうち、OVMが関与する加熱鶏卵OFCを実施した症例は15症例であった。これ以外の鶏卵アレルギー患者4例は、生卵のアレルゲンであるオボアルブミンを原因とすることが判明していたので、今回の検討からは除外した。加熱鶏卵OFCを実施した15症例につき、特許に記載された鶏卵アレルギーと鶏卵アナフィラキシーのIC50値と、[(BUe/mL)/IC50]値のカットオフ値の有効性を検証した。
高槻病院小児科で加熱鶏卵OFCを実施できた症例は、1~3歳が15症例中2例で、その他の13症例は8~15歳であった。本研究では8~15歳の13例については、1~6歳のカットオフ値を用いて有効性を検討することとした。
(鶏卵アレルギー診断におけるカットオフ値)
上記表9に示される数値の内容は、以下のとおりである。
[1]1~3歳及び1~6歳の乳幼児において、OFCによるOVMに対するアレルギーの確定診断に依拠して、鶏卵アレルギー陽性確定者と診断された被験者と、鶏卵アレルギー陰性確定者と診断された被験者とについて、ROC解析を行った結果のカットオフ値を、前記表3及び表4から以下のとおり抽出した。
(1)DCP法により測定された、OVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))におけるアレルギーの有無についてのカットオフ値;
(すなわち、1~3歳の場合は、1.13nM未満、1~6歳の場合は、1.30nM未満の場合に、アレルギー陽性と判定することができる。)
(2)DCP法 により測定された、OVM特異的IgE価に1/IC50の値を乗じた[OVM sIgE/OVMs IgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]]におけるアレルギーの有無についてのカットオフ値;
(1~3歳の場合は、1556.70(BUe/mL)/(nM)、1~6歳の場合は、4459.00(BUe/mL)/(nM)以上の場合に、アレルギー陽性と判定することができる。)
(鶏卵アナフィラキシー発症診断におけるカットオフ値)
[2]1~3歳及び1~6歳の乳幼児において、OFCによる鶏卵アナフィラキシー発症診断に依拠して、アナフィラキシー発症者と診断された被験者と、アナフィラキシー非発症者と診断された被験者とについて、ROC解析を行った結果のカットオフ値を、前記表6及び表8から以下のとおり抽出した。
(3)DCP法により測定された、OVM特異的IgEのIC50値(OVM-sIgE IC50(nM))におけるアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値;(すなわち、1~3歳の場合は、2.15nM未満、1~6歳の場合は、1.03nM未満の場合に、アナフィラキシー発症の可能性ありと判定することができる。)
(4)DCP法 により測定された、OVM特異的IgE価に1/IC50の値を乗じた[OVM sIgE/OVMs IgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]]におけるアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値;
(すなわち、1~3歳の場合は、1225.80(BUe/mL)/(nM)以上、1~6歳の場合は、8960.00(BUe/mL)/(nM)以上の場合に、アナフィラキシー発症の可能性ありと判定することができる。)
がそれぞれ示されている。
上記高槻病院でOFCを行った症例について、1~3歳の2例と、8~15歳の13例から得られた3種パラメーター:DCP OVM-sIgE、DCP OVM-sIgE IC50、DCP OVM-sIgE/DCP OVM-sIgE IC50の結果を以下の表10に示す。
表10の(A)は、加熱鶏卵OFCの結果、鶏卵アレルギー陰性と判定された群(鶏卵アレルギー陰性・アナフィラキシー発症陰性群)であり、1~3歳の乳幼児の2名と8~15歳の小児8名が属する。(B)は、加熱鶏卵OFCの結果、鶏卵アレルギー陽性と判定されて、かつ、アナフィラキシーを発症していない群(鶏卵アレルギー陽性・アナフィラキシー発症陰性群)である。(C)は、加熱鶏卵OFCの結果、鶏卵アレルギー陽性と判定されて、かつ、アナフィラキシーを発症した群(鶏卵アナフィラキシー発症群)である。
(鶏卵アレルギー陰性・アナフィラキシー発症陰性群)
加熱鶏卵OFCの結果、鶏卵アレルギー陰性と判定された1~3歳の乳幼児の2名については、DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))が、4.39nMと194.71nMであって、1~3歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1.13nM以上であるので、アレルギー陰性の範囲に入ることが確認された。また、DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値は、757.12(BUe/mL)/(nM)と11.82(BUe/mL)/(nM)であって、1~3歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1556.70よりも低い値であるので、アレルギー陰性の範囲に入ることが確認された。実際に、この2名の乳幼児においては、鶏卵アレルギーの兆候は確認されていない。
なお、この2名は、アナフィラキシー発症の有無についても、1~3歳の場合のOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))におけるカットオフ値2.15nMよりも高い値を示した。また、1~3歳の場合のOVM sIgE/OVMs IgE IC50のパラメーターを用いるアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値1225.80(BUe/mL)/(nM)よりも低い値を示し、アナフィラキシーを発症する可能性も非常に低いと考えられ、この2名について今のところ、鶏卵摂取によるアナフィラキシー発症の報告は受けていない。
したがって、1~3歳において、OVM特異的IgEのIC50値をパラメーターとして、ROC解析により決定されたアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値、及び、OVM特異的IgE価に1/IC50の値を乗じた値をパラメーターとして、ROC解析により決定されたアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値が、有効に適用可能であることが確認された。
THG-23及びTHG-44を除いた8~15歳の小児6名については、DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))が、1.73nM~16.03nMの範囲であって、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1.30nM以上であるので、アレルギー陰性の範囲に入ることが確認された。また、DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値は、170.93(BUe/mL)/(nM)~1082.41(BUe/mL)/(nM)であって、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアレルギーの有無についてのカットオフ値である4459.00(BUe/mL)/(nM)未満であるので、アレルギー陰性の範囲に入ることが確認された。
また、THG-44の1名を除いたこれら8~15歳の小児7名については、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値をパラメーターとするアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値1.03nMよりもいずれも高い値を示し、1~6歳の場合のOVM sIgE/OVMs IgE IC50のパラメーターとするアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値8960.00(BUe/mL)/(nM)よりも低い値を示した。これら8~15歳の小児6名は、アナフィラキシー発症の兆候は全く示されておらず、1~6歳におけるカットオフ値を使用して、アナフィラキシー発症を予測できることを確認した。
8~15歳の小児1名(THG-44)については、DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))が、0.93nMであって、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1.30nM未満であるので、アレルギー陽性の範囲に入る。また、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である1.03nM未満であるので、アナフィラキシー発症の可能性があると推測された。
THG-44症例では、DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値が、15133.54(BUe/mL)/(nM)であって、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1556.70よりも高い値であり、アレルギー陽性の範囲に入る。また、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である8960.10(BUe/mL)/(nM)よりも高いので、アナフィラキシー発症の可能性が非常に高いことが予測される。したがって、この小児については、未だ、鶏卵を摂取することによるアレルギー症状は確認されていないものの、将来、アナフィラキシー発症の可能性があるとして、医師の監督の下、特に鶏卵に関する食事指導を行い、経過観察中である。
8~15歳の小児1名(THG-23)については、DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))が、1.25nMであって、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1.30nM未満であるので、アレルギー陽性の範囲に入る。しかし、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である1.03nMより高値であり、アナフィラキシー発症の可能性は少ないとされた。
THG-23症例では、DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値は、942.36(BUe/mL)/(nM)を示し、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアレルギーの有無についてのカットオフ値である4459.00よりも低い値であり、アレルギー陰性の範囲に入る。また、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である8960.10(BUe/mL)/(nM)よりも低い。1~6歳における2つのカットオフ値を適用した場合、この小児がアナフィラキシーを発症する可能性は低いといえる。この小児については、現在、鶏卵を摂取してもアレルギー症状は出ていないことから、経過観察中である。
(鶏卵アレルギー陰性群についてのまとめ)
鶏卵アレルギー陰性群((A)群)において、OVM特異的IgEのIC50値におけるアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値、及び、OVM特異的IgE価に1/IC50の値を乗じた値におけるアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値を有効に利用できることが確認された。また、8~15歳の小児についても1~6歳のデータをもとに算出されたカットオフ値が適用できることが確認された。
(鶏卵アレルギー陽性・アナフィラキシー発症陰性群)
加熱鶏卵OFCの結果、鶏卵アレルギー陽性と判定された8~15歳の小児の2名(THG-31及び47)については、DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))が、1.05nMと0.48nMであって、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1.30nM以下であるので、アレルギー陽性の範囲に入ることが確認された。
DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値は、1465.64(BUe/mL)/(nM)と3897.79(BUe/mL)/(nM)であって、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアレルギーの有無についてのカットオフ値である4459.00(BUe/mL)/(nM)よりも低い値であり、アレルギー陰性の範囲に入った。この2名は、鶏卵アレルギーの軽微な症状はでているが、鶏卵アレルギー陽性から陰性への移行期である可能性が高く、経過を観察している。
また、これらの小児は、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である8960.10(BUe/mL)/(nM)よりも相当程度低いので、アナフィラキシー発症の可能性が低いことが予測され、実際にアナフィラキシーの症状はでていない。しかし、THG-47症例については、IgEのIC50値がアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値よりも低く、今後も経過観察が必要とされる。
8~15歳の小児1名(THG-21)については、DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))が、1.74nMであって、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1.30nM以上であるので、アレルギー陰性の範囲に入る。DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値は、4897.47(BUe/mL)/(nM)であって、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアレルギーの有無についてのカットオフ値である4459.00(BUe/mL)/(nM)よりも高い値であり、アレルギー陽性の範囲に入る。
THG-21症例においては、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である1.03nMよりもIC50値が高く、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である8960.10(BUe/mL)/(nM)よりも、OVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値が低い。1~6歳における2つのカットオフ値を適用した場合、アナフィラキシーを発症する可能性は低いといえる。実際、この小児は、症状は軽快で、アナフィラキシー発症したという既往歴はない。したがって、8~15歳の小児についても、1~6歳のデータをもとに算出されたカットオフ値が適用できることが確認された。
8~15歳の小児1名(THG-13)については、DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))が、2.7nMであって、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアレルギーの有無についてのカットオフ値である1.30nM以上であるので、アレルギー陰性の範囲に入る。また、DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値は、317.17(BUe/mL)/(nM)であって、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアレルギーの有無についてのカットオフ値である4459.00(BUe/mL)/(nM)よりもはるかに低い値であり、アレルギー陰性の範囲に入る。
THG-13症例は、1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である1.03nM以上であるので、アナフィラキシー発症の可能性は少ない。また、1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である8960.10(BUe/mL)/(nM)よりも顕著に低いので、アナフィラキシー発症の可能性が低いことが推測できる。この小児は、現在アレルギー症状は出ているがアナフィラキシーの発症既往歴は無く、OVM抗体価自体が非常に低く、アレルギー症状の軽快傾向が観察されることから、経過観察中である。
(鶏卵アナフィラキシー発症群)
アナフィラキシーを発症した10歳の小児についての検討である。DCP法により測定されたOVM特異的IgEのIC50値(OVM sIgE IC50(nM))は、0.26nMであって、前記1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である1.03nMよりも低い値であり、アナフィラキシー発症の状況と一致した。また、DCP法により測定されたOVM特異的IgE価に、1/IC50の値を乗じた値は、81174.34(BUe/mL)/(nM)であって、前記1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値である8960.10(BUe/mL)/(nM)よりも、顕著に高い数値であり、実際にアナフィラキシーを発症している状況と一致した。
したがって、この10歳の小児においても、前記1~6歳におけるOVM特異的IgEのIC50値のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値、及び、前記1~6歳におけるOVM sIgE/OVMs IgE IC50のアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値を用いた判断を適用することができることが確認できた。
(まとめ)
IgE抗体の抗体価とアレルゲンに対するIgE抗体のアビディティとに基づき算出されたROC解析により決定されたカットオフ値によって、乳幼児・小児のアナフィラキシーの発症リスクを予測することをできることが確認された。また、1~6歳児のデータをもとに算出したOVM sIgE/OVMs IgE IC50をパラメーターとするアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値や、IgE IC50をパラメーターとするアナフィラキシーの有無についてのカットオフ値の、いずれか又は併用して、8~15歳の小児に適用可能であることを確認した。なお、本発明によると、アナフィラキシーをいまだ発症していない乳幼児・小児についても、例えば、OVM特異的IgE価に1/IC50の値を乗じた[OVM sIgE/OVMs IgE IC50[(BUe/mL)/(nM)]]、又は、IgE IC50(nM)におけるアナフィラキシー発症の有無についてのカットオフ値を超えていることが明らかになった場合は、医師等による食事に関する指導などを受けることができるという点で、優れているといえる。

Claims (4)

  1. 食物アレルギーを有する乳幼児・小児から採取した試料中の、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づくROC解析により決定されたカットオフ値を判断基準として、前記乳幼児・小児のアナフィラキシーの発症リスクを予測するためのデータを収集する方法であって、前記IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティに基づくROC解析により決定されたカットオフ値が、アレルゲンに対するIgE抗体の抗体価に、IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティを乗じた数値に基づくROC解析により決定されたカットオフ値であることを特徴とする、データを収集する方法。
  2. IgE抗体のアレルゲンに対するアビディティが、1/IC50として数値化されることを特徴とする、請求項1記載のデータを収集する方法。
  3. IC50が、競合的結合阻害活性値であることを特徴とする、請求項2記載のデータを収集する方法。
  4. 試料が血漿又は血清であることを特徴とする請求項1~のいずれか記載のデータを収集する方法。
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