JP7385097B2 - 体勢サポートシステム - Google Patents
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Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、着座者の健康状態が悪化した場合にその異常を検知し、乗員を安静な体勢に導くことである。
前記シートに着座した着座者の生体情報を検出するための生体情報検出手段と、
前記生体情報検出手段によって検出された生体情報に基づいて、着座者の健康状態を診断する診断部と、
着座者の健康状態を診断するにあたって基準となる閾値を、前記診断部による生体情報の診断結果に応じて設定しなおす閾値設定部と、
前記診断部によって着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者を安静な体勢に導くように前記シートの形態を変更する制御を行うシート変形部と、
前記診断部によって着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者に対して前記シート変形部によって前記シートの形態を変更するか否かを選択させる選択部と、
前記診断部によって着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者の意識の有無を確認する意識確認手段と、
を備えており、
前記シート変形部は、着座者による前記選択部の選択に応じて前記シートの形態を変更するか、着座者による前記選択部の選択が行われなかった場合に、自動で前記シートの形態を変更し、
前記意識確認手段によって着座者に意識があることが確認できる場合においては、着座者による前記選択部の選択が行われなくても、前記シート変形部は、前記シートの形態を変更しないことを特徴とする。
前記通知手段による着座者の健康状態の通知先は、着座者の健康状態の緊急度合いに応じて異なることを特徴とする。
前記シートクッション及び前記シートバックは、前記シート変形部による形態変更の制御が可能に構成されていることを特徴とする。
前記可動部は、前記シート変形部による形態変更の制御が可能に構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の体勢サポートシステムにおいて、体勢サポートに必要な各種データが記憶された記憶部を備えており、
前記各種データには、
前記生体情報検出手段から送信された生体情報に係るデータと、
生体情報から着座者の健康状態を診断するにあたって基準となる前記閾値のデータと、
生体情報に基づいて診断された着座者の健康状態が異常だった場合に、その異常のレベルを判断するにあたって基準となる異常レベル判断用データと、が含まれていることを特徴とする。
また、シート変形部によってシートの形態を変更するか否かの判断を着座者自身に委ねることができるので、シート変形部によるシートの形態変更の制御において、着座者による着座者自身の状態に合わせた適切な対処が行いやすい。
また、着座者による選択部の選択が行われない状態を、着座者の健康状態の悪化と判断し、可及的速やかに着座者を安静な体勢に導きやすい。
また、意識確認手段によって着座者の意識がない場合の対処を可及的速やかに行いやすい。
しかも、意識があっても選択部による選択を行えない場合を考慮することができるので、例えば運転で手が離せない状態のときなど、着座者の意にそぐわないタイミングでシートの形態が変更されることを防ぐことができる。
また、本実施形態における乗用車は、手動運転のみで走行するものでもよいし、自動運転(自動運転モード)と手動運転(手動運転モード)とを切り替えて走行可能なものであってもよい。説明の便宜上、以下では、自動運転と手動運転とを切り替えて走行可能な乗用車の場合について説明する。
本実施形態のシートクッション11は、さらにクッションパッド12と表皮13との間に設けられたシートヒーター20を備えている。
本実施形態のシートバック14は、さらにクッションパッド15と表皮16との間に設けられたシートヒーター30を備えている。
なお、本実施形態のヒーター線22は、前後方向に略平行に蛇行して基材21上に固定されているが、これに限定されることなく、ヒーター線22の配置を適宜変更しても良い。また、ヒーター線22は、接着剤によって基材21上に固着されているが、ヒーター線22が基材21の内部に折り込まれるように固定されても良い。
また、ヒーター線32は、図3に示すように、クッションパッド15前面の上方側の区画に位置する上方ヒーター線32aと、中央側の区画に位置する中央ヒーター線32bと、下方側の区画に位置する下方ヒーター線32cと、上方ヒーター線32a、中央ヒーター線32b、下方ヒーター線32c同士を連結し、溝15a内部に差し込まれる溝部ヒーター線33とから構成されている。
なお、ヘッドレストピラー18は、ヘッドレスト17の下面から下方に突出する一対の支柱と、これら一対の支柱における上端部間に設けられた横軸部と、を有する。横軸部は、ヘッドレスト17の中央付近に位置する。
また、その他にも、例えばシート10は、ヘッドレスト17が、シートバック14に対して上下方向や前後方向に移動したり、各土手部11a,14a,17aがその膨出度合いを調節するように前後方向に移動したりなど、様々な形態に変更可能となっている。
運転制御部は、例えば高速道路から一般道路へと乗用車を移す際や、複雑な形状の道路に差し掛かった際に、自動運転から手動運転に切り替える制御を行う。このような場合に、運転者の健康状態に異常が発生していると、強制的に手動運転に切り替えられるのは好ましくない。また、反対に、手動運転中に運転者の健康状態が悪化した場合には、手動運転から自動運転に切り替えることも考えられ、以上のような場合には事前に健康状態を把握しておく必要がある。手動運転のみで走行可能な乗用車を採用した場合も、健康状態を把握できるようになっている。
なお、この運転制御部は、図示はしないが、制御装置40と接続されており、運転制御部による自動運転と手動運転とを切り替える制御と、制御装置40によるシート10を複数の形態に変更させる制御とを適宜連動させることができる。
例えば、シートバック14をリクライニングさせる場合、シートクッション11の後端部とシートバック14の下端部との間には、シートバック14をシートクッション11に対して前後方向に回転可能とするリクライニング機構と、シートバック14をシートクッション11に対して前後方向に回転動作させる駆動装置と、が内蔵されている。その他にも、シート10を、後部座席側に向かって回転させたり、乗用車の前後方向にスライドさせたり、シートバック14をリクライニングさせたり、フラットな状態に変更したり、各土手部11a,14a,17aがその膨出度合いを調節するように前後方向に移動したりなど、様々な形態に変更可能にするために必要な各種変形機構及び各種駆動装置(モーターなど)が備えられている。
なお、各種変形機構及び各種駆動装置は、図4に示す例においては、変形機構50、駆動装置51として表すものとする。
なお、これに限られるものではなく、生体センサー1は、シートクッション11とシートバック14のうち、いずれか一方に設けられるものとしてもよいし、シート本体に付属するヘッドレスト17等の可動部に設けられてもよい(ヘッドレスト17以外の可動部については後述する。)。ただし、いずれの場合においても、生体センサー1は、シート10の複数の箇所に設けられているものとする。
なお、電磁波とは、100MHz程度の電波やマイクロ波を始め、赤外光、可視光、紫外光、X線等を含む広義の電磁波を意味しており、人体に悪影響を及ぼさない範囲で好適な電磁波が使用される。
このような電磁波は、例えば鉄や銅、アルミ等を始めとする種々の金属を通過しにくいという特徴がある。そのため、本実施形態における生体センサー1は、シート10に対し、電磁波の通過を妨害する(おそれのある)部材を避けた位置に配置されている。特に、電磁波の通過を妨害する部材よりも着座面側に設けられることが望ましい。したがって、本実施形態における生体センサー1は、シートクッション11におけるシートヒーター20や、シートバック14におけるシートヒーター30よりも着座面側に設けられている。
なお、シート10における着座面とは、シートクッション11の場合は、人の臀部や大腿部が接する面を指し、シートバック14の場合は、人の背中(胸部側、腰部側)が接する面を指す。そのため、シートバック14における生体センサー1を、人の心臓の位置に対応して配置でき、胸部大動脈の血流状態を把握しやすくなる。また、シートクッション11における生体センサー1を、大腿部の位置に対応して配置でき、膝窩動脈の血流状態を把握しやすくなる。また、このような事情に鑑みると、生体センサー1は、着座者の身体の位置に対応して配置されることが望ましい。
生体センサー1によって計測して得られた血流状態に係るデータを利用することで、例えば、血圧、心拍数(脈拍数)、呼吸数、動脈血中酸素飽和度(SpO2)など、シート10に着座する人の様々な生体情報の取得に対応することが可能となる。用いる生体センサーの種類によっては、応用的にストレスレベルや血管年齢なども取得することも可能となる。
生体センサー1によって血圧を検出する場合、血圧の高さを診断時の基準としてもよいが、血圧の低さを診断時の基準としてもよい。すなわち、医学用語として知られる「ショック又は循環性ショック」とは、主に血圧が下がって、瀕死の状態になる急性の症候群であり、生命の危険がある状態の一つとされている。そのため、運転中の安全性を確保するためには、血圧の高さだけでなく、血圧の低さも常に監視しておくことが望ましい。
すなわち、生体センサー1は、着座者の生体情報を検出でき、システムが、検出された生体情報に基づいて、シート10の形態を変更するか、又は変更しない制御を行えればよいものとする。したがって、生体センサー1によって検出される生体情報も、血液の状態に係る情報に限られるものではなく、着座者の意識の有無や、着座者の体温、着座者の体動(体表の微妙な動き)等でもよい。
なお、本実施形態における着座センサー2は、シート10に設けられた圧力センサーとされている。ただし、これに限られるものではなく、例えばシート10以外に設けられた赤外線センサー(いわゆる人感センサー)などでもよい。着座センサー2として圧力センサーが用いられる場合は、着座者の体重を測定できるようにしてもよい。
これらの各センサーによって検出されるデータは、上記の生体センサー1によって取得できる生体情報と組み合わせて用いられている。
また、カメラ3は生体認証手段としても機能し、カメラ3によって、着座者が誰であるかを見分けることができる(主に、顔認証として利用される。)。
このようなカメラ3は、静止画を撮影するスチルカメラであっても動画を撮影するビデオカメラであってもよいが、着座者の状態を、着座者が着座している間撮影し続ける必要があることからビデオカメラとするのが好ましい。また、このカメラ3は、専用の装置としてもよいし、市販のカメラに通信機能を搭載したものとしてもよい。
また、カメラ3は、生体センサー1又は着座センサー2と連動して動作するように設定されていてもよいし、制御装置40から制御信号を受信したことに基づいて動作するように設定されていてもよい。カメラ3によって撮影された画像の画像データは制御装置40へ送信され、記憶部44に記憶されるようになっている。
また、カメラ3は、乗用車に対して、一つ又は複数備えられる。乗用車に対するカメラ3の設置箇所は、着座者を撮影することが可能な位置でさえあれば特に限定されるものではない。本実施形態においては、例えば図5に示すように、バックミラー52や、天井53、インパネ54、ドア55に、後方を撮影できるように設けられている。また、シート10が運転席でない場合は、図示はしないが、カメラ3を、助手席や後部座席の周囲に設けるようにしてもよい。
具体的には、生体センサー1と同様に、マイクロ波等の電磁波を利用し、血中の二酸化炭素濃度を計測して呼吸の状態を検出している。ただし、これに限られるものではなく、マイクロ波等の電磁波を利用し、体表面の動きから呼吸を感知するタイプのものでもよいし、着座者が専用の呼吸検出器具を装着するなどして呼吸数を直接的に計測するタイプのものでもよい。また、圧力センサーによって体表の動きから呼吸の状態を検知するタイプであってもよい。
呼吸センサー4は、生体センサー1又は着座センサー2と連動して動作するように設定されていてもよいし、制御装置40から制御信号を受信したことに基づいて動作するように設定されていてもよい。呼吸センサー4によって取得したデータは制御装置40へ送信され、記憶部44に記憶されるようになっている。
呼吸センサー4の設置箇所は、特に限定されるものではないが、マイクロ波等の電磁波を利用する非接触式のセンサーを用いる場合は、心臓や肺の位置に近い位置が好ましく、呼吸数を直接的に計測するタイプの場合は、ヘッドレスト17のような着座者の頭部に近い位置が好ましい。圧力センサーを用いる場合は、シートクッション11上に配置されていることが好ましい。
このような温度センサー5による体温測定は、衣服などに遮られずに露出した頭部や頸部を狙って行われる。そのため、温度センサー5は、ヘッドレスト17やネックレストに設けられることが好ましい。
これらセンサー類がヘッドレスト17に設けられる場合は、ヘッドレストピラー18を避けて設けられるものとし、特にヘッドレストピラー18よりも着座者に近い側に設けられることが好ましい。また、センサー類がヘッドレスト17に設けられる場合は、ヘッドレスト17の表皮よりも内側に設けられることが好ましい。さらに、センサー類がヘッドレスト17に設けられる場合は、ヘッドレストピラー18における一対の支柱間に配置されることが好ましい。
また、制御装置40は、シート10に設けられた生体センサー1及び着座センサー2並びに上記の変形機構50及び駆動装置51と、上記周辺機器として乗用車の車内いずれかに設けられたカメラ3や呼吸センサー4と接続されており、各種信号、データ等の送受信が可能となっている。さらに、制御装置40は、乗用車のバッテリーを電源部としており、制御装置40に接続された上記の各種装置・各種センサー等は、制御装置40を介して電力の供給を受けるものとしてもよいし、電源部から電力の供給を直接受けてもよいものとする。
このような入力部42は、制御装置40を構成する筐体に設けられるものであってもよいし、シート10に周りに設置される機器の筐体に付属するボタンやタッチパネル等のような入力手段でもよいし、制御装置40に対して接続インターフェースによって接続された各種入力デバイスでもよい。また、着座者の声を拾うマイク(集音手段)であってもよい。ただし、本実施形態における入力部42は、着座者の手の届く範囲、声の届く範囲に設けられているものとする。
なお、本実施形態における入力部42は、後述するナビゲーション装置の表示部を構成するタッチパネル式のディスプレイとされており、当該表示部上で、システムにおける各種の操作やデータ入力を行うことができるようになっている。
音声出力手段からは、制御部41による制御に基づいて、着座者に対して音声による指示を与えるようにしてもよい。
このような出力部43は、制御装置40を構成する筐体に設けられるものであってもよいし、シート10に周りに設けられるものであってもよいし、制御装置40に対して接続インターフェースによって接続された各種入力デバイスでもよい。ただし、本実施形態における出力部43は、着座者の目の届く範囲に設けられているものとする。
なお、本実施形態における主たる出力部43は、図5に示す乗用車のインパネ54に設けられたナビゲーション装置における表示部とされている。当該表示部としては、タッチパネル式のディスプレイが採用されており、各種画像や文字等を表示することができる。発光手段等のその他の出力部43も適宜採用してもよい。
また、個別の着座者ごとの名前や年齢、性別、身長、体重、顔写真、声等の基本情報に係るデータも記憶されているものとする。このような基本情報は、着座者個人を特定するために用いられるほか、身長や体重、年齢や性別などを生体情報の診断を行う際の補正値として利用してもよい。
個別生体データは、個別の着座者ごとに、過去に検出された生体情報に係る履歴データである。
閾値データは、検出された生体情報から着座者の健康状態を診断するにあたって基準となる値であり、検出される生体情報の種類ごとに記憶されている。また、個別の着座者ごとに設定されるものとしてもよい。
異常レベル判断用データは、検出された生体情報に基づいて診断された着座者の健康状態が悪い状態(異常)だった場合に、その異常のレベルを判断するにあたって基準となる値である。
なお、その他にも、記憶部44には、着座者に対して音声による指示を与えるための具体的な指示データ(例えば、運転の中止を促す指示、入力部42による操作を促す指示、救急車の要請を促す指示等)が記憶されている。
生体認証プログラムは、着座者が誰であるかを見分け、着座者を特定するためのプログラムである。すなわち、制御部41が生体認証プログラムを実行することによって、着座者を特定することができる。これにより、例えばシート10に着座する着座者が夫婦いずれかの場合や、親子いずれかの場合、兄弟いずれかの場合であっても、個人を特定することができる。
より具体的に説明すると、カメラ3によって撮影された着座者の顔を、基本情報に係るデータに含まれた顔写真と照合して顔認証することで、着座者を見分けて特定している。また、カメラ3による生体認証と組み合わせて、着座センサー2によって着座者の体重を測定することで、生体認証の精度を向上させることができる。
なお、このような生体認証プログラムを省略し、入力部42による入力操作によって着座者を特定できるようにしてもよい。具体的には、出力部43である上記のタッチパネル式の表示部に、着座者の候補リストを表示し、着座者が自身を表すボタンなどの表示を押すことによって自身を特定する。入力部42による入力操作によって着座者を特定する生体認証の手法は、例えば、いわゆる多胎児(双子を含む。)として出生した着座者を特定する場合に好適である。
すなわち、制御部41が診断プログラムを実行することによって、検出された生体情報が、予め設定された閾値データと比較して良い状態(正常)にあるか悪い状態(異常)にあるかを診断することができる。
また、この診断プログラムは、生体認証プログラムによって着座者の特定が行われたことを前提に制御部41によって実行されるものとする。
より具体的に説明すると、過去の生体情報に係るデータである個別生体データ(履歴情報)や、身長や体重、年齢や性別などが補正値として用いられ、閾値データが補正されるようになっている。
閾値データの補正は、生体情報の診断を行うたびに実行されるものとしてもよいし、一定期間が経過したら実行されるようにしてもよい。また、個別生体データや体重に大きな変化があったときに実行されるようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、このように閾値設定プログラムを実行して、閾値データの補正を行うものとしたが、生体情報の診断にあたって、閾値をあえて設定せずに、取得した生体情報のみに基づいて診断を行うようにしてもよい。
より具体的に説明すると、例えば、出力部43として挙げたもののうち光を発する発光手段を点滅させるように動作させ、カメラ3によって着座者の体動を検出することによって意識の有無を確認している。その他にも、音声出力手段から特徴的な音声を出力し、カメラ3によって着座者の体動を検出することによって意識の有無を確認してもよいし、バイブレーターによって振動を発生させ、カメラ3によって着座者の体動を検出することによって意識の有無を確認してもよい。つまり、出力部43から光や音などを出力し、カメラ3によって着座者の反応を見ることによって着座者の意識の有無を確認することができるようになっている。若しくは、上記のように、カメラ3で着座者を撮影することによって、例えば着座者が一定時間以上目を閉じている状態や、着座者の体動や体勢等を検出し、着座者の意識の有無を確認するようにしてもよい。
また、本実施形態における出力部43である上記のタッチパネル式の表示部に、意識の有無を選択できるボタンなどを表示し、当該表示を着座者が押すことによって意識の有無を確認するようにしてもよい。
さらに、入力部42としてマイクを採用した場合には、出力部43としての音声出力手段から着座者に対し、意識の有無を確認する音声を出力し、着座者自身の声による応答があるか否かによって意識確認を行ってもよい。
以上のような各意識確認手段は、単独で用いられてもよいし、適宜組み合わせて用いられてもよい。例えば、カメラ3、発光手段、音声出力手段、バイブレーターを順に動作させるなどして意識確認の段階(ステップ)を設定してもよい。
また、意識の有無を確認するにあたっては、制限時間が予め設定されており、制限時間内に意識の有無が確認できなければ意識がないものと判断され、意識があると判断される場合であっても、それまでの経過時間によって反応の良し悪しが判断されるようになっている。つまり、経過時間が短い場合は反応が良い状態と判断され、経過時間が長い場合は反応が悪い状態と判断され、異常レベルを判断する上で判断材料の一つとなる。
なお、本実施形態においては、意識確認プログラムの実行は、診断プログラムを実行した後とされているが、これに限られるものではなく、診断プログラムを実行する前でもよいし、同時に実行されるものとしてもよい。
すなわち、制御部41が異常レベル判断プログラムを実行することによって、診断結果に係るデータ及び着座者の意識の有無に係るデータが、予め設定された異常レベル判断用データと比較して、どのようなレベルにあるかを判断することができる。
より具体的に説明すると、異常レベルは、着座者の健康状態の緊急度合いと換言できるものであり、その緊急度合いが低・中・高にレベル分けされている。例えば、緊急度合いが低程度とは、意識はあるが診断結果が悪い状態を指し、中程度とは、意識はあるが診断結果が悪く、意識確認に対する反応も悪い状態を指し、高程度とは、意識がなく診断結果も悪い状態を指している。
なお、このようなレベル分けの定義は、適宜変更可能である。特に意識の有無は緊急度合いに深く関わっているため、例えば意識確認プログラムを実行することによって確認できる着座者の意識の有無に係るデータだけに基づいて異常のレベルを判断してもよい。
すなわち、記憶部44に記憶された診断結果に基づいて、制御部41がシート変形プログラムを実行することによって、シート10における各種変形機構50及び各種駆動装置51を動作させて、シート10を複数の形態に変更させることができる。
すなわち、制御部41が診断プログラムを実行することによって取得した診断結果が、シート10の形態変更を必要とするものだった場合に、制御部41は、シート変形プログラムを実行することによってシート10の形態変更の制御を行うが、その際に、着座者の承認を必要とせずに、診断結果に対応する予め設定されたシート10の形態に変更する。
このようなシート変形プログラムによれば、制御部41が診断プログラムを実行して診断結果を取得し、診断結果に応じてシート10の形態を実際に変更するまでの判断を自動化できるため、シート10の形態をどのように変更するかなどの判断に迷いがなく、例えば一刻も早くシート10の形態を変更したい場合に好適に対応することができる。
また、例えば手動運転中若しくは手動運転のみで走行可能な乗用車の場合は、シート10の位置を乗用車の前後方向にスライドさせて微調整する、シート10の高さを調節する、シートバック14の前後方向の傾きを微調整する、土手部11a,14a,17aの膨出度合いを調整する等、シート10を様々な形態に変更させることができる。手動運転モードであって、かつ乗用車が停車・駐車したことが確認された場合は、自動運転モードと同様にシート10を変形させることができる。
なお、自動運転中の形態変更の各パターンや、手動運転中の形態変更の各パターンは、それぞれ適宜組み合わせてもよいものとする。
図6は、シート10の形態変更の一例を示している。このようにシート10の形態を変更すれば、着座者を横たわらせるような状態にすることができる。
着座者を横たわらせるような状態にするためには、まず、シートバック14をリクライニングさせる。続いて、土手部11a,14a,17aの膨出度合いを調節し(前方に膨らむように変形させ)、着座者の身体を包み込むような状態とする。そして、シート10全体を左(右でもよい。)に傾けるようにする。このようにすれば、土手部11a,14a,17aによって身体を支えながら、着座者を横たわらせるような状態にすることができる。
着座者を呼吸させやすくするためには、まず、シートバック14をリクライニングさせる。続いて、シートバック14に対するヘッドレスト17の傾きを調節する。すなわち、頭部が下方に下がるようにヘッドレスト17を傾ける。このようにすれば、着座者の軌道が確保され、着座者を呼吸させやすくすることができる。
より具体的に説明すると、上記のように、シートクッション11及びシートバック14には、シートヒーター20,30がそれぞれ設けられている。また、乗用車には、エアコン機能を備えたものが多くあり、本実施形態における乗用車においても、図5に示すように、インパネ54の部分に、エアコンの空気を吹き出す吹出し口54a,54b(レジスターとも言う。)が設けられている。なお、吹出し口54a,54bは、出力部43としてのナビゲーション装置の周囲にも設けられる場合や、足元用が設けられる場合もある。
つまり、乗用車には、シート10に着座する着座者の体温を調節するための機器が予め搭載されており、制御部41が体温調節プログラムを実行することによって、これら体温調節用の機器を制御できるようになっている。なお、これら体温調節用の機器と制御装置40は予め接続されているものとする。
例えば着座者の体温が低下した場合は、エアコンの温風を吹出し口54a,54bから吹き出させるとともにシートヒーター20,30を稼働させてシートクッション11及びシートバック14を温めるようにする。これにより、着座者の体温を上昇させることができる。また、着座者の体温が上昇した場合は、エアコンの冷風を吹出し口54a,54bから吹き出させるようにする。これにより、着座者の体温を低下させることができる。
なお、吹出し口54a,54bの向きを制御部41の制御によって自動で調節できるようにしてもよい。
体温調節プログラムを実行することによって、シート10の形態変更と共に、着座者の体温を調節することで、着座者の健康状態を相乗的に良好にすることができる。
すなわち、制御部41が通知プログラムを実行することによって、予め設定された通知先に、通信部45を通じて着座者の健康状態を通知することができる。
通知先は、図8に示すように、着座者の健康状態の緊急度合いが低程度の場合にはシート10の周囲とされ、中程度の場合には着座者の家族とされ、高程度の場合には医療機関又は消防署とされている。
より具体的に説明すると、緊急度合いが低程度の場合は、シート10の周囲に設けられた出力部43であるナビゲーション装置に通知に係るデータが出力される。出力部43は、ナビゲーション装置としたが、これに限られるものではなく、上記した発光手段等を出力部43として採用してもよい。これらの出力部43は、通知手段として適宜組み合わせて用いられるものとしてもよい。また、着座者が所有するスマートフォンなどの通信端末を通知手段として用いるようにしてもよい。
緊急度合いが中程度の場合は、着座者の家族が所有する通信端末(例えば、スマートフォン46、パソコン47、着座者の自宅48にある何らかの通信端末を指す。)に通知に係るデータが送信される。
緊急度合いが高程度の場合は、医療機関49又は消防署(図示せず)にある何らかの通信端末に通知に係るデータが送信される。
通知を受けた側は、例えば着座者が乗用車を停車・駐車したり、家族が救急車を呼んだり、医療機関や消防署が救急車を出動させたりなど、適切な対処を行うことができる。
なお、通知先としては、上記の他にも、例えば乗用車の販売店や交番(警察署)などを追加してもよい。
また、医療機関49や消防署、警察署等の施設に対し、通知に係るデータを送信する場合は、GPS(全地球測位システ:Global Positioning System, Global Positioning Satellite)を利用するなどして、最寄りの医療機関49や消防署、警察署にデータを送信できるようにしてもよい。
まず、着座センサー2によって着座者がシート10に着座していることを確認する(ステップS1)。
着座確認が行われると、これに応じて、生体認証プログラムが実行されて着座者が特定される(ステップS2)。
着座者が特定されると、必要に応じて(例えば体重に大きな変動があった場合など)、閾値設定プログラムが実行されて閾値データが補正される(ステップS3)。閾値データを補正する必要がない場合は、このステップS3は省略されるものとする。
生体情報を取得すると診断プログラムが実行され、取得した生体情報に基づいて、生体情報の診断、すなわち着座者の健康状態の診断が行われる(ステップS5)。
続いて、意識確認プログラムが実行され、着座者の意識の有無が確認される(ステップS6)。なお、このステップS6は、ステップS5と同時に行われてもよい。
意識の有無が確認された後(又は生体情報の診断が行われた後)に、必要に応じて(例えば生体情報に大きな変動があった場合など)、閾値設定プログラムが実行されて閾値データが補正される(ステップS7)。閾値データを補正する必要がない場合は、このステップS7は省略されるものとする。
意識確認の結果を含む診断結果が悪い場合は、異常レベル判断プログラムが実行され、診断結果の異常レベルが判断される(ステップS10)。
シート10の形態変更が行われた後は、必要に応じて(温度センサー5による温度測定結果に基づいて)、体温調節プログラムが実行されて着座者の体温調節が行われる(ステップS12)。
続いて、通知プログラムが実行され、異常レベルに応じて、予め設定された通知先に、着座者の健康状態が通知される(ステップS13)。
また、ステップS1からステップS8までのフローが行われるタイミングは、着座者がシート10に着座したとき、及び運転中の所定のタイミングとされている。運転中は、一定時間ごとに行われるパターンと、着座者若しくは同乗者による選択で行われるパターンとがある。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
これに対し、本変形例における体勢サポートシステムは、診断プログラムが実行されて着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者に対し、シート変形プログラムを実行してシート10の形態を変更するか否かを選択させる選択部を備えている。そして、シート10の形態変更(シート変形プログラムの実行)は、着座者による選択部の選択に応じて行われるように設定されている。
本変形例における入力部42(すなわち、選択部)は、ナビゲーション装置の表示部を構成するタッチパネル式のディスプレイとされており、当該表示部上で、シート10の形態を変更するか否かを選択できるようになっている。
より具体的には、ナビゲーション装置の表示部に、シート10の形態を変更するか否かを選択するボタンが表示され、着座者(若しくは同乗者)の任意で適宜選択操作される。
その他にも、例えば音声出力手段によって、例えば「安楽姿勢に変わりますか?」などのように、シート10の形態変更の選択を促す音声を出力し、着座者に選択させるようにしてもよい。この場合は、着座者に、「はい(YES)」などの発話をさせて選択させてもよいし、上記のボタン等によって選択させてもよい。
なお、本変形例におけるシート変形プログラムは、意識確認プログラムと組み合わせて用いられるようにしてもよい。これにより、意識があっても選択部による選択を行えない場合を考慮することができるので、例えば運転で手が離せない状態のときなど、着座者の意にそぐわないタイミングでシート10の形態が変更されることを防ぐことができる。
また、着座者による選択部の選択が行われない状態を、着座者の健康状態の悪化と判断し、可及的速やかに着座者を安静な体勢に導きやすい。
本変形例におけるシート60は、図10に示すように、シート本体61,62に付属するとともにシート本体61,62に対して動作し、着座者の身体の一部が接触する可動部63~67を備えている。そして、これら可動部63~67は、シート変形プログラムによる形態変更の制御が可能に構成されている。
可動部63~67には、着座者の頭部を支持するヘッドレスト63、腕部を支持するアームレスト64、脚部を支持するオットマン65、足部を支持するフットレスト66、頸部支持するネックレスト67が含まれている。
アームレスト64は、シートバック14に対し、回転軸64aを介して設けられ、回転軸64aを回転中心として回転動作する。すなわち、シートバック62がリクライニングしたときにアームレスト64も回転し、着座者は、シートバック62がリクライニングした状態でも腕部を載せることができる。
オットマン65は、シートクッション61に対し、回転軸65aを介して設けられ、回転軸65aを回転中心として回転動作する。すなわち、シートバック62がリクライニングしたときにオットマン65も回転し、着座者は脚部を載せることができる。
フットレスト66は、オットマン65に対し、回転軸66aを介して設けられ、回転軸66aを回転中心として回転動作する。すなわち、シートバック62がリクライニングしたときにオットマン65と同時にフットレスト66も回転し、着座者は足部を載せることができる。
ネックレスト67は、土手部の膨出度合いを調整することができる。
本変形例においては、例えばオットマン65を上方に回転移動させて着座者の脚部を高く持ち上げたり、図10に示す双方向矢印のように上下方向に揺動させたりして血液の循環を促すように動作する。アームレスト64やフットレスト66も、オットマン65と同様に、血液の循環を促す動作を行うことができる。
また、シートクッション61、シートバック62、ヘッドレスト63は、上記の実施形態におけるシートクッション11、シートバック14、ヘッドレスト17と同様の動作を行うことができる。
本変形例におけるシート70は、シートクッション71を備えており、当該シートクッション71には、図11に示すように、クッションパッド72に通気路72aが形成されている。また、通気路72aの中央には、クッションパッド72を上下方向に貫通する貫通孔72bが形成されている。
貫通孔72bの下方には、図示しないブロワーが設けられており、貫通孔72bを通じて通気路72aに風を送ることができるようになっている。
カバー部材73には複数のパンチング孔73aが形成されており、これらのパンチング孔73aが通気路72aの送風口とされている。そして、カバー部材73を含むクッションパッド72が、少なくとも送風口のパンチング孔73aに対応する部分は通気性とされた表皮(図示せず)で被覆されるようになっている。
なお、ブロワーから送り込まれる空気は、温風でもよいし、冷風でもよいものとする。
また、本変形例においても上記の実施形態と同様に、制御部がエアコンの動作を制御できるようにし、エアコンの制御とブロワーの制御とを併せて行うことによって、着座者の体温を調節しやすくしてもよい。
上記の実施形態における生体センサー1には、人体に悪影響を及ぼさない範囲で好適な電磁波が使用されるものとしたが、本変形例においては、電磁波の使用を極力抑えたいという要望があった場合には、生体センサー1の動作を停止することができるようになっている。
すなわち、本変形例においては、出力部43であるナビゲーション装置の表示部に、生体センサー1による生体情報の検出の要否を選択できるボタンなどを表示し、当該表示を着座者が押すことによって、生体センサー1による生体情報の検出の要否を選択できるようになっている。
ただし、これに限られるものではなく、音声出力手段による確認を行ってもよいし、制御装置40を構成する筐体に、ボタン等の選択部が設けられていてもよい。
本変形例によれば、着座者の任意で、生体センサー1によるセンシングの動作を停止させることができるので、電磁波の使用を極力抑えたいという要望に対して好適に対応できる。
2 着座センサー
3 カメラ
4 呼吸センサー
5 温度センサー
10 シート
11 シートクッション
11a 土手部
14 シートバック
14a 土手部
17 ヘッドレスト
17a 土手部
18 ヘッドレストピラー
20 シートヒーター
30 シートヒーター
40 制御装置
41 制御部
42 入力部
43 出力部
44 記憶部
45 通信部
Claims (8)
- 複数の形態に変更可能に構成されたシートと、
前記シートに着座した着座者の生体情報を検出するための生体情報検出手段と、
前記生体情報検出手段によって検出された生体情報に基づいて、着座者の健康状態を診断する診断部と、
着座者の健康状態を診断するにあたって基準となる閾値を、前記診断部による生体情報の診断結果に応じて設定しなおす閾値設定部と、
前記診断部によって着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者を安静な体勢に導くように前記シートの形態を変更する制御を行うシート変形部と、
前記診断部によって着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者に対して前記シート変形部によって前記シートの形態を変更するか否かを選択させる選択部と、
前記診断部によって着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者の意識の有無を確認する意識確認手段と、
を備えており、
前記シート変形部は、着座者による前記選択部の選択に応じて前記シートの形態を変更するか、着座者による前記選択部の選択が行われなかった場合に、自動で前記シートの形態を変更し、
前記意識確認手段によって着座者に意識があることが確認できる場合においては、着座者による前記選択部の選択が行われなくても、前記シート変形部は、前記シートの形態を変更しないことを特徴とする体勢サポートシステム。 - 前記シート変形部は、前記診断部による診断結果に基づいて自動で前記シートの形態を変更する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の体勢サポートシステム。
- 前記診断部によって着座者の健康状態が正常でないと診断された場合に、着座者の健康状態を通知する通知手段を備えており、
前記通知手段による着座者の健康状態の通知先は、着座者の健康状態の緊急度合いに応じて異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の体勢サポートシステム。 - 前記通知先は、着座者の健康状態の緊急度合いが低程度の場合には前記シートの周囲とされ、中程度の場合には着座者の家族とされ、高程度の場合には医療機関又は消防署とされていることを特徴とする請求項3に記載の体勢サポートシステム。
- 前記シートは、シート本体として、着座者の臀部及び大腿部を支持するシートクッションと、下端部が前記シートクッションに支持されたシートバックと、を備えており、
前記シートクッション及び前記シートバックは、前記シート変形部による形態変更の制御が可能に構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の体勢サポートシステム。 - 前記シートは、前記シート本体に付属するとともに前記シート本体に対して動作し、着座者の身体の一部が接触する可動部を備えており、
前記可動部は、前記シート変形部による形態変更の制御が可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の体勢サポートシステム。 - 前記生体情報検出手段は、前記シート本体又は/及び前記可動部に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の体勢サポートシステム。
- 体勢サポートに必要な各種データが記憶された記憶部を備えており、
前記各種データには、
前記生体情報検出手段から送信された生体情報に係るデータと、
生体情報から着座者の健康状態を診断するにあたって基準となる前記閾値のデータと、
生体情報に基づいて診断された着座者の健康状態が異常だった場合に、その異常のレベルを判断するにあたって基準となる異常レベル判断用データと、が含まれていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の体勢サポートシステム。
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