(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンあるいはパチンコ遊技機に適用した場合を例にとって説明する。ただし、本発明は、スロットマシンあるいはパチンコ遊技機に限ることなく、その他の遊技機に適用されてもよい。
図1に示すように、本発明のスロットマシン(遊技機)10は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体11と、当該筐体11の前面側開口を開閉する前面扉12とを備えている。筐体11には、回転自在な第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cがユニット化されたリールユニットと、メダルの払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉12は、上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12aおよび下扉12bはそれぞれ筐体11に対して開閉自在となっている。
上扉12aには、表示装置13、スピーカ14、照明装置15などの演出装置、および、表示窓16が設けられている。表示装置13は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する。また、スピーカ14は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置としては、表示装置13やスピーカ14、照明装置15の他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けても良い。
表示窓16の奥には、リールユニットが、その一部を表示窓16の外から視認可能に配置されている。各リール20a~20cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されており、各リール20a~20cが停止すると表示窓16を通して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が表示される。また、表示窓16には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態の遊技機では、第1リール20aの中段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの中段とによって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。
スロットマシン10では、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
表示窓16の下方には、遊技情報表示部17および有利区間表示器18が設けられている。遊技情報表示部17は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、有利区間表示器18はLEDを有しており、このLEDの点灯および消灯により、有利区間に滞在しているか否かが報知されるようになっている。
下扉12bには、メダルを投入するメダル投入口22、クレジットされたメダルをベットするためのベットボタン23、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー(開始操作手段)24、回転しているリールを停止させるためのストップボタン(停止操作手段)26a,26b,26c、遊技の演出等を選択するための操作盤(演出操作手段)30、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口27、払い出し口27から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿28が設けられている。また、メダル投入口22の奥には、メダル投入口22から投入されたメダルの通過を検知するメダルセンサ29(図2参照)が設けられている。また、操作盤30は、上下左右の方向ボタン30a~30d、決定ボタン30eおよびキャンセルボタン30fを備えている。
スロットマシン10では、メダル投入口22にメダルが投入、または、ベットボタン23が操作され規定枚数のメダルがベットされることで、スタートレバー24の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー24が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リール20a~20cが回転を開始し、各リール20a~20cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン26a~26cの操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタン26a~26cに対応する各リール20a~20cを停止する。
図2に示すように、スロットマシン10の内部には、メイン制御基板(主制御装置)31と、サブ制御基板(副制御装置)32とが設けられている。メイン制御基板31は、ベットボタン23、スタートレバー24、ストップボタン26a~26c、メダルセンサ29等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニットや、ホッパー装置等の出力手段の制御を行う。また、サブ制御基板32は、メイン制御基板31から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて表示装置13、スピーカ14および照明装置15等の演出装置の制御を行う。
また、メイン制御基板31とサブ制御基板32とは電気的に接続されており、メイン制御基板31からサブ制御基板32へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板32からメイン制御基板31へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板31やサブ制御基板32等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
メイン制御基板31は、投入受付手段40と、乱数発生手段41と、内部抽選を行って役の当否を決定する内部抽選手段42と、リールの回転を制御するリール制御手段43と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段44と、払出制御手段45と、設定変更手段47と、初期化手段48と、遊技状態制御手段49と、指示機能制御手段51と、演出メイン制御手段52と、記憶手段60と、を備えている。また、記憶手段60は、ROMとRAMとを備えている。
また、サブ制御基板32は、演出サブ制御手段70と、サブ側記憶手段72と、を備えている。また、サブ側記憶手段72は、ROMとRAMとを備えている。
また、演出メイン制御手段52と演出サブ制御手段70とによって、演出制御手段100が構成されている。演出メイン制御手段52は、遊技状態や演出状態等に基づきナビ演出(補助演出)を行うか否かを決定する。また、演出サブ制御手段70は、演出メイン制御手段52から送信される遊技状態、演出状態に関する情報、あるいはナビ演出を行うか否かの決定に基づき、サブ側記憶手段72に記憶された演出用データを用いて、演出用の装置の制御を行う。なお、本実施形態において説明する演出メイン制御手段52で行う制御は、演出サブ制御手段70で行ってもよく、演出サブ制御手段70で行う制御は、演出メイン制御手段52で行ってもよい。また、本実施形態において説明する演出制御手段100で行う制御は、指示機能制御手段51で行ってもよく、指示機能制御手段51で行う制御は演出制御手段100で行ってもよい。
投入受付手段40は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー24に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口22にメダルが投入されると、メダルセンサ29がメダルを検知することに伴って、投入受付手段40が、規定数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段40は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン23が押下されると、規定数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、規定数のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー24に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール20a~20cの回転が開始されるとともに、内部抽選等の抽選が行われる。
また、投入受付手段40は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口22にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン23に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン23が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
乱数発生手段41は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。
内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に複数格納されている。具体的には、本実施形態の遊技機は、図3に示す、内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3までの、3種類の内部抽選テーブルを含む複数の内部抽選テーブルを有している。内部抽選手段42は、遊技状態および設定値に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。
なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを使うことなくスタートレバー24の操作が有効化され、スタートレバー24の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
内部抽選では、乱数発生手段41から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を内部抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。また、各乱数値には、1つの当選役が対応付けられているものと、複数の当選役が対応付けられているものとが存在する。したがって、内部抽選によって、1つの役が当選する場合と、複数の役が重複して当選する場合とが存在する。
本実施形態の遊技機では、小役として、ベルA、ベルB、ベルC、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4、特殊小役B、弱チェリー、強チェリーおよびスイカが用意されており、複数種類の小役が重複して当選する小役の当選態様として、打順ベル(打順ベル1~打順ベル8:第1当選態様)と、JAC1(第2当選態様)およびJAC2とが設定されている。
打順ベルについて図4を参照しながら具体的に説明すると、打順ベル1~打順ベル4は、図4(a)に示すように、ベルAと、ベルBと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル1~打順ベル4において、ベルAと、ベルBと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルBと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。また打順ベル5~打順ベル8は、図4(a)に示すように、ベルAと、ベルCと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル5~打順ベル8において、ベルAと、ベルCと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルCと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。
また、JACについて図4を参照しながら具体的に説明すると、JAC1は、図4(b)に示すように、ベルAと、ベルBと、ベルCと、特殊小役Bと、スイカと、弱チェリーと、強チェリーとが重複して当選することを示している。また、JAC2は、図4(b)に示すように、特殊小役A1~特殊小役A4と、特殊小役Bと、ベルAとが重複して当選することを示している。
また、本実施形態の遊技機では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2において小役の当選確率が同一となっている。また、内部抽選テーブル1~3においてリプレイの当選確率が同一となっている。また、内部抽選テーブル3では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2とは異なる態様で小役が当選するようになっている。そして、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2では、打順ベル1~打順ベル8によってベルBとベルCが互いに重複せずに当選するようになっており、内部抽選テーブル3ではJAC1によってベルBとベルCが重複して当選するようになっている。
また、本実施形態の遊技機では、ボーナスとしてビッグボーナス(BB)が用意されており、内部抽選テーブル1では、ビッグボーナスが抽選対象として設定されているが、内部抽選テーブル2および内部抽選テーブル3では、ビッグボーナスが抽選対象から除外されている。
なお、本実施形態の遊技機では、ボーナスとしていわゆる第一種特別役物に係る役物連続作動装置を想定しているが、第一種特別役物や、第二種特別役物に係る役物連続作動装置等であってもよい。また、ボーナスは一種類に限られず、複数のボーナスを搭載していてもよい。
また、本実施形態の遊技機では、リプレイおよびボーナスは、それぞれ単独で当選するように設定されているが、重複して当選する場合が設定されていてもよい。例えば、リプレイとボーナスとが重複して当選する場合や、小役とボーナスとが重複して当選する場合や、複数種類のリプレイが重複して当選する場合等が設定されていてもよい。
内部抽選手段42は、内部抽選の結果当選した役に対応する当選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。また、複数の当選役が重複して当選した場合には、重複して当選したそれぞれの役に対応する当選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。また、当選フラグの設定情報は、記憶手段60のRAM60aに設けられた当選フラグ記憶領域62に格納される。
また、当選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な当選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態が持ち越されず、非当選状態にリセットされる当選フラグ(持越不可フラグ)とがある。持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナスがある。また、持越不可フラグが対応づけられる役としては、小役、およびリプレイがある。例えば、内部抽選手段42は、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段42は、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの当選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの当選フラグとの、2種類以上の役に対応する当選フラグを当選状態に設定する。
また、スロットマシン10は、設定1~設定6までの6つの設定値について、設定値の違いによって、役の当選確率が異なるようになっている。具体的には、設定が変わると内部抽選テーブル1~3からなる内部抽選テーブル群が、各設定に対応付けられた内部抽選テーブル群に変更されるようになっており、設定によって小役、リプレイ、ボーナスの当選確率が異なる内部抽選テーブル群に変わるようになっている。
設定変更手段47は、記憶手段60のRAMに設けられた設定値記憶領域63に記憶されている設定値を変更する制御を行う。具体的には、スロットマシン10の内部に設けられた設定変更キーシリンダに設定変更キーが挿入され、設定変更キー(設定変更キーシリンダ)が初期位置から時計回りに90度回された状態でスロットマシン10の電源が投入されると、設定変更手段47は、スロットマシン10を設定変更モードで起動する。設定値は、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から選択できるようになっており、設定1から設定6に向かって順番に出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。設定変更手段47は、設定変更モードにおいてスロットマシン10の内部に設けられた設定変更ボタンが押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー24が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域63に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定変更キーを初期位置に戻すことによって設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
また、設定変更キーシリンダが初期位置にある状態で電源が投入されると、スロットマシン10を遊技モードで起動する。本実施形態の遊技機では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
初期化手段48は、設定値が変更されると記憶手段60のRAMに記憶されている情報の少なくとも一部を初期化する初期化処理を行う。具体的には、設定値が変更されると初期化手段48は、後述する遊技状態、遊技区間および演出状態を初期状態に戻す処理を行う。すなわち、設定値が変更されると、遊技状態が通常状態となり、遊技区間が非有利区間となり、演出状態が通常演出状態となり、これらの状態が工場出荷後最初に電源を入れたときと同様の状態となる。また、初期化手段48は、初期化処理において、他にも記憶手段60のRAMに記憶された演出に関する情報等を初期化する。また、サブ制御基板32も初期化手段(図示せず)を備えており、設定値が変更されたことを知らせる信号がメイン制御基板31から送信されると、サブ制御基板32の初期化手段はサブ側記憶手段72のRAMに記憶された演出に関する情報を初期化する。
なお、設定値が変更されても、遊技状態や遊技区間や演出状態が初期状態に戻らないようにしてもよい。
リール制御手段43は、メイン制御基板31による制御のもと有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。
すなわち、リール制御手段43は、ストップボタン26a~26cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシン10では、ストップボタン26aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン26bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン26cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン26a~26cの操作順序によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン26a~26cの操作順序)について、ストップボタン26a~26cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順6」とする。
ストップボタン26a~26cが操作された際の停止制御において、リール制御手段43は、当選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の当選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の当選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、リール制御手段43は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
また、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位はそれぞれ同一のものとして扱われる。
また、打順ベル1~打順ベル8には、それぞれ正解打順と特定打順とが設定されており、正解打順および特定打順のいずれとも異なる順序が不正解打順として扱われる。特に本実施形態では、正解打順と特定打順とでは最初に停止させるべきリールが同一であり、2番目に停止させるリールにおいて正解打順であると判断される場合と特定打順であると判断される場合に分岐するようになっている。そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、最初に押下されたストップボタンの種類が正解打順および特定打順に対応している場合には、最初に停止するリールについてはメダルの払出数が最も多く、かつ有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、2番目以降に停止するリールについては、有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。また、いずれかの打順ベルが当選した場合に、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、最も多くの入賞形態を構成する図柄組合せを表示することができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
そして本実施形態の遊技機では、いずれかの打順ベルが当選した場合に、特定打順でストップボタン26a~26cが押下されると、ベルAを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、ベルBやベルCを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように遊技順位が求められ、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、特殊小役A1~特殊小役A4や特殊小役Bを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
また、JAC1に当選した場合には、いずれの打順で遊技を行ってもベルBあるいはベルCを入賞させることができ、JAC2に当選した場合には、いずれの打順で遊技を行ってもベルAを入賞させることができるようになっている。
入賞判定手段44は、リール20a~20cの回転が停止されると作動され、リール20a~20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール20a~20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段60のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板31は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
ここで、払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理であり、払出制御手段45が行う。払出制御手段45は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数のメダルをホッパー装置に払い出させる。なお、クレジットが許可されている場合には、ホッパー装置によって実際にメダルを払い出す代わりに、記憶手段60のRAMに設けられたクレジット記憶領域に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して、払出数を加算するクレジット加算処理を行って、仮想的にメダルを払い出す。
本実施形態の遊技機では、図5に示すように、ベルA、特殊小役A1~A4または特殊小役Bに入賞すると1枚のメダルが払い出され、ベルBまたはベルCに入賞すると7枚のメダルが払い出され、スイカに入賞すると3枚のメダルが払い出され、弱チェリーまたは強チェリーに入賞すると2枚のメダルが払い出されるようになっている。
また、リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理であり、リプレイ処理手段46が行う。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー24に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
遊技状態制御手段49は、図6に示すように、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことに基づいて遊技状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、遊技状態を移行させてもよい。
内部抽選手段42は、遊技状態に応じて図3に示す内部抽選テーブルのうちから内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。具体的には、通常状態では、ビッグボーナスが抽選対象に設定されている内部抽選テーブル1を参照して内部抽選を行う。また、ボーナス成立状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブル2を参照して内部抽選を行う。また、ボーナス状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブル3を参照して内部抽選を行う。なお、スロットマシン10は、リプレイの当選確率の異なる複数の内部抽選テーブルを備え、遊技状態制御手段49が、所定の契機で(例えば、所定の役の当選に基づいて)、リプレイの当選確率の異なる複数の遊技状態(RT状態)の間で遊技状態を移行させるようになっていてもよい。
遊技状態は、初期状態においては、通常状態となっている。
また、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、通常状態においてビッグボーナスが当選した場合に、遊技状態をボーナス成立状態へ移行させる。
ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
ボーナス状態は、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。また、ボーナス状態では、ボーナス状態において払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、定められた所定枚数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段49は、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ移行させる。
なお、本実施形態では、ボーナス状態の終了条件がメダルの払出数の合計によって定められているが、ボーナス状態での遊技回数や小役の入賞回数等によって終了条件が定められていてもよい。またボーナス状態は、1回の遊技で終了するように終了条件が定められたものであってもよい。
指示機能制御手段51は、遊技区間制御手段80と、演出状態制御手段81と、特典抽選手段82とを備えている。指示機能制御手段51は、有利区間において特定役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、所定の役が当選した場合に、この役の入賞を補助する指示演出を行うか否かを決定する。より具体的には、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選した場合に、正解打順を報知してベルBまたはベルCの入賞を補助するナビ演出を行うか否かを決定する。そして、この決定に基づいて、演出制御手段100が、ナビ演出を液晶ディスプレイ13に実行させるようになっている。
遊技区間制御手段80は、図7に示すように、遊技の進行状況に応じて、非有利区間と有利区間との間で遊技区間を移行させる遊技区間移行制御処理を行う。非有利区間は、複数種類の遊技区間の中で初期状態に相当する遊技区間となっている。非有利区間においては、特典抽選手段82が有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80が遊技区間を有利区間へ移行させる。また、有利区間は、遊技を行うことが可能な回数に上限値(ここでは、1500回とする)が設けられた遊技区間となっている。また、遊技区間が非有利区間に設定されている状態ではナビ演出(より正確には打順を指示するナビ演出)を行うことができず、有利区間に設定されている場合に限りナビ演出(打順を指示するナビ演出)を行うことができるようになっている。遊技区間制御手段80は、有利区間において遊技を行った回数が上限値である1500回に達すると有利区間を終了させ、遊技区間を非有利区間へ移行させる。
特典抽選手段82は、非有利区間においては、スイカ、弱チェリーまたは強チェリーの当選に基づいて、有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。そして、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80は、遊技区間を非有利区間から有利区間へ移行させる。
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において1回の遊技が行われる毎に、スタートレバー24に対する遊技開始操作を契機として、記憶手段60のRAMに設けられた有利区間遊技数カウンタ65に一回分の遊技に相当する値として「1」を加算するインクリメント処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、有利区間遊技数カウンタ65への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値が閾値(上限値)「1500」に達すると、有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。すなわち、有利区間における遊技回数は、上限値が1500回に設定されており、有利区間において1500回を超える遊技が連続して行なわれないようになっている。
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において、記憶手段60のRAMに設けられた差枚数カウンタ(図示せず)の値をメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、7枚のメダルの払い出しがあった場合には「7」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数に相当する値(例えば、3枚の投入があった場合には「3」とする)を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を差枚数カウンタの値に加算する更新処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、差枚数カウンタへの加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、差枚数カウンタの記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、差枚数カウンタの値がしきい値(例えば、「2400」)を超えた場合に有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、差枚数カウンタの値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における差枚数カウンタの値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、差枚数カウンタの値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の差枚数カウンタの値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。すなわち、有利区間において獲得可能なメダル数には、上限値が設定されており、有利区間においてメダルが最も減少したときを基準「0」として、当該基準からのメダルの増加数が2400枚を超えた場合に有利区間が終了するようになっている。また、遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして扱い、差枚数を求めることとしてもよい。
また、有利区間表示器18は、非有利区間において消灯し、有利区間において点灯するようになっている。
なお、有利区間表示器18は、有利区間に移行すると同時に点灯させる必要はなく、最初のナビ演出(打順を指示するナビ演出)を行うまでに点灯させればよい。また、一度点灯させると、有利区間が終了するまでは、消灯しないようになっている。
演出状態制御手段81は、図7に示すように、通常演出状態、チャンス演出状態およびAT演出状態(ナビ演出状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
通常演出状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する演出状態である。非有利区間においては、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態に設定している。通常演出状態(非有利区間)においては、上述のように特典抽選手段が有利区間移行抽選を行っており、有利区間移行抽選において有利区間への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態をチャンス演出状態に移行させる。
チャンス演出状態においては、特典抽選手段82は、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選)を行う。具体的には、特典抽選手段82は、チャンス演出状態において、スイカ、弱チェリーまたは強チェリーに当選した場合に、AT抽選を行う。
なお、チャンス演出状態は、AT演出状態への移行確率が通常演出状態よりも高く、通常演出状態よりも遊技者にとって有利な演出状態となっている。また、チャンス演出状態は、ナビ演出が行われる頻度がAT演出状態よりも低く、ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。
AT抽選に当選すると、演出状態制御手段81は、演出状態をAT演出状態へ移行させることを決定する。AT抽選に当選し、演出状態をAT演出状態へ移行させることを決定した場合、演出状態制御手段81は、記憶手段60のRAMに設けられたAT遊技数カウンタ67の記憶値に所定の値を設定し、演出状態をAT演出状態へ移行させる。本実施形態においては、AT遊技数カウンタ67には、例えば50回分の遊技に相当する値として「50」が設定される。また、AT演出状態においては、特典抽選手段82は、スイカ、弱チェリーまたは強チェリーに当選した場合に、AT演出状態での遊技回数を増加させるか否か決定する(AT演出状態の継続期間を増加させるか否か決定する)抽選(上乗せ抽選)を行い、当該抽選結果に基づいて決定された遊技の回数に相当する値がAT遊技数カウンタ67に加算される。
なお、AT演出状態の開始時にAT遊技数カウンタ67に設定される値は、抽選等により決定されるものであってもよい。
なお、通常演出状態からAT演出状態へ直接移行することがあるようにしてもよい。例えば、有利区間移行抽選において、単に有利区間(チャンス演出状態)への移行の可否を決定するのではなく、演出状態をAT演出状態に移行させるか、チャンス演出状態に移行させるか、それとも通常演出状態のまま移行させないか抽選することとしてもよい。
演出状態制御手段81は、AT演出状態において遊技が行われる毎に、AT遊技数カウンタ64の記憶値から、一回分の遊技回数に相当する値「1」を減算するデクリメント処理を行う。そして、AT遊技数カウンタ67の記憶値が閾値「0」に達すると、AT演出状態の終了条件が成立したものと判断してAT演出状態を終了させ、演出状態を通常演出状態に移行させる。
また、AT演出状態は、ボーナスの当選あるいは入賞に基づいて移行する遊技状態に応じて設定されるものであってもよい。例えば、遊技状態がボーナス成立状態である場合にAT演出状態に移行し、通常状態やボーナス状態においてはAT演出状態に移行しないようになっていてもよい。換言すると、通常状態やボーナス状態においては、例えば、AT抽選に当選したとしてもAT演出状態に移行させないこととしてもよく、また、AT抽選を行わないようにしてもよい。
また、演出状態がAT演出状態であって遊技状態がボーナス成立状態であるときにボーナスに入賞した場合、このボーナスの入賞により移行するボーナス状態の終了後に通常状態を経由して再びボーナス成立状態に移行するまでの間、AT演出状態(AT遊技数カウンタ67の更新)を中断することとしてもよい。すなわち、ボーナスに入賞するとナビ演出を止め、再びボーナス成立状態に移行するとナビ演出を再開させるようにしてもよい。
指示機能制御手段51は、有利区間が終了し、遊技区間が通常区間に移行する際に、ナビ演出に係る情報として記憶手段60のRAMに記憶されている情報を初期化するナビ情報初期化処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値、差枚数カウンタの記憶値、ATフラグ記憶領域66に記憶された情報等のナビ演出に係る抽選に関するフラグ(抽選結果)、AT遊技数カウンタ67の記憶値、投入数記憶領域68の記憶値、払出数記憶領域69の記憶値等を初期化する。すなわち、ナビ演出(指示機能)に係る情報は、複数の有利区間を跨いで持ち越されることがないようになっている。また、初期化手段48が、設定値が変更された際に行う上述の初期化処理を行うと、ここで示したナビ演出に係る情報も初期化されるようになっている。
演出制御手段100は、演出状態がAT演出状態である場合に、打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選すると、正解打順を報知してベルBやベルCの入賞を補助するナビ演出を表示装置13およびスピーカ14等の演出装置に実行させる制御を行う。ナビ演出で報知された正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されると必ずベルBまたはベルCが入賞して7枚のメダルを獲得することができるようになっている。
なお、ナビ演出を行う場合には、遊技情報表示部17の7セグメント表示器にも正解打順を示す情報が表示される。
表示装置13は、その表示面に演出画像を表示させることにより、演出を実行する。また、表示装置13に表示される演出画像は、描画素材(素材画像)が配置された複数のレイヤを重ね合せて形成された合成画像となっている。図8は、各演出に対応する描画素材が配置されるレイヤの概念を示す図である。
表示装置13に表示される演出画面は、例えば1秒間が30コマ(以下、フレームという)で構成されている(いわゆる30fpsのフレームレート)。したがって、例えば1分間の長さを持った演出パターンの場合、その演出画面は全体で60秒×30フレームの計1800フレームにより成り立っている。図8には、その最小単位に当たる1つのフレームを構成するレイヤ構造が示されている。
各フレームの実体は、複数の描画素材が重ね合わせられた1つの合成画像である。各フレーム内には仮想的な透明のレイヤがN枚存在し、1枚のレイヤに1個の描画素材が配置される。重ね合わせられる個々の描画素材には優先度が設定されており、優先度のより低い描画素材が下位のレイヤに配置され、優先度のより高い描画素材が上位のレイヤに配置される。なお、各フレームを成す合成画像は、N枚全てのレイヤに描画素材を配置することにより最大N個の描画素材を重ね合わせて構成することが可能であるが、演出の内容に応じて各合成画像を構成する描画素材の数は変動し、必ずしもN個の描画素材から構成されるものではない。また、合成画像を構成する描画素材がN個に満たない場合に、レイヤが必ずしも空き番なく下位から詰めて使用されるとは限らず、フレーム画像の合成処理における効率等を考慮してレイヤが使用されるため、不使用のレイヤが中間部分に適宜発生し得る。
1つのフレームを描画する際には、優先度の低い描画素材から1つずつ順に相応のレイヤに描画される。例えば、1つのフレームが5個の描画素材で構成される場合には、まず優先度が最も低い(優先順位5位の)描画素材が最も下位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。次に優先度が2番目に低い(優先順位4位の)描画素材が、優先順位5位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。このようにして優先度に従い描画素材が次々と描画されていき、最後に優先度が最も高い(優先順位1位の)描画素材が優先順位2位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。全ての描画素材を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像が、そのフレームに対応する合成画像として表示装置13に表示される。換言すると、合成画像を表示装置13で見た場合、下位のレイヤに配置された描画素材は、上位のレイヤに配置された描画素材に覆われた状態となる。さらに換言すると、上位側のレイヤほど、表示装置13における表示上の優先度が高いといえる。本実施形態の遊技機においては、各フレームにはレイヤ1~レイヤNのN枚のレイヤが存在し、番号の小さいレイヤほど表示上の優先度が低く、番号の大きいレイヤほど表示上の優先度が高くなっている。
なお、各合成画像の描画処理は、サブ側記憶手段72のVRAM内の1領域であるフレームバッファを用いて実行される。新たな描画素材を上位のレイヤに描画することは、新たな描画素材をフレームバッファにバッファされた画像の上に重ねて描画することを意味する。あるフレームを構成する描画素材を優先度の低い方から順にフレームバッファに描画していき、全ての描画素材を描画し終えると、フレームバッファ上に完成した合成画像が当該フレームの画像として表示装置13に表示されることとなる。なお、描画素材は、サブ側記憶手段72の描画素材記憶領域(ROM)に記憶されている。また、各描画素材は、静止画であってもよく、動画(ムービー)であってもよい。
以下では、下位レイヤの画像(下位画像:例えばレイヤ1~レイヤM-1(MはN以下の自然数)の描画素材の合成画像)に対して上位レイヤの画像(上位画像:例えばレイヤMの描画素材)を合成する際の合成処理について説明する。合成処理とは、フレームバッファにおいて描画素材を描画する際の描画方法ともいえる。
なお、以下の合成処理の式の説明では、上位画像の各画素の画素値(RGB値)をA、下位画像の各画素の画素値(RGB値)をB、上位画像と下位画像とを合成した合成画像(合成処理後画像)の各画素の画素値(RGB値)をCとし、それぞれの画素値A、B、Cは取り得る最大値により正規化し0~1の値を取るものとして記述している。また、合成処理の式の説明では、画素値のリミットに関する処理や0値での割算に対する処理等は、当然行われるものなので省略している。なお、画像は例えばRGBの3色で表現されるものであり、画像の合成は例えば色毎に行われる。また、以下の説明では、画素値は、0~255までの値を取り得るものとして説明するが、これに限定されるものではない。
本実施形態の遊技機では、演出制御手段100は、合成処理として、合成する画像の特定色部分が透過されるように画像を合成する特定色透過合成処理を実行可能となっている。具体的には、本実施形態の遊技機は、特定色透過合成処理として、合成する上位画像の黒色部が透過する黒色部透過合成処理と、合成する上位画像の白色部が透過する白色部透過合成処理と、合成する上位画像の灰色部が透過する灰色部透過合成処理とを実行可能となっている。
(黒色部透過合成処理)
黒色部透過合成処理には、「加算」(覆い焼きリニア)、「スクリーン」、「比較(明)」、「覆い焼きカラー」、「差」、「除外」および「減算」の複数種類の処理が含まれる。
「加算」では、式(1)に従って、合成処理が行われる。
C=A+B ・・・(1)
「スクリーン」では、式(2)に従って合成処理が行われる。
C=1-(1-A)×(1-B) ・・・(2)
「比較(明)」では、式(3)に従って合成処理が行われる。
C=max(A,B) ・・・(3)
ここで、max()は、()内の要素のうち、値が最大の要素を返す関数である。
「覆い焼きカラー」では、式(4)に従って合成処理が行われる。
C=B/(1-A) ・・・(4)
「差」では、式(5)に従って合成処理が行われる。
C=abs(B-A) ・・・(5)
「除外」では、式(6)に従って合成処理が行われる。
C=0.5-2×(A-0.5)×(B-0.5) ・・・(6)
「減算」では、式(7)に従って合成処理が行われる。
C=B-A ・・・(7)
式(1)~(7)に示すように、黒色部透過合成処理では、Aが「0」となる部分については、Bの値がそのまま表れることとなる。すなわち、合成する上位画像のうちRGB値が「R:0、G:0、B:0」の部分については透過されることとなる。換言すると、合成する上位画像の黒色の部分が透過されることとなる。さらに換言すると、上位画像の黒色の部分は透明として扱われ、合成処理後画像においては当該部分に対応する箇所には下位画像の色がそのまま表れる。また、「加算」、「スクリーン」、「比較(明)」または「覆い焼きカラー」等によって出来上がる合成処理後画像は、下位画像よりも明るくなる。黒色部透過合成処理は、例えば、合成処理後画像の所定部が発光して見えるようにしたい場合や、所定部を明るくしたい場合等に使用する。
(白色部透過合成処理)
白色部透過合成処理には、「乗算」、「焼き込みカラー」、「焼き込みリニア」および「比較(暗)」の複数種類の処理が含まれる。
「乗算」では、式(8)に従って合成処理が行われる。
C=A×B ・・・(8)
「焼き込みカラー」では、式(9)に従って合成処理が行われる。
C=1-(1-B)/A ・・・(9)
「焼き込みリニア」では、式(10)に従って合成処理が行われる。
C=A+B-1 ・・・(10)
「比較(暗)」では、式(11)に従って合成処理が行われる。
C=min(A,B) ・・・(11)
ここで、min()は、()内の要素のうち、値が最小の要素を返す関数である。
式(8)~(11)に示すように、白色部透過合成処理では、Aが「1」となる部分については、Bの値がそのまま表れることとなる。すなわち、合成する上位画像のうちRGB値が「R:255、G:255、B:255」の部分については透過されることとなる。換言すると、合成する上位画像の白色の部分が透過されることとなる。さらに換言すると、上位画像の白色の部分は透明として扱われ、合成処理後画像においては当該部分に対応する箇所には下位画像の色がそのまま表れる。また、「乗算」または「比較(暗)」等によって出来上がる合成処理後画像は、下位画像よりも暗くなる。白色部透過合成処理は、例えば、合成処理後画像の所定部分を暗くしたい場合等に使用する。
(灰色部透過合成処理)
灰色部透過合成処理には、「オーバーレイ」、「ソフトライト」、「ハードライト」、「リニアライト」、「ビビッドライト」および「ピンライト」の複数種類の処理が含まれる。
「オーバーレイ」では、式(12)に従って合成処理が行われる。
C=if(B<0.5) 2×A×B
else 1-2×(1-A)×(1-B) ・・・(12)
「ソフトライト」では、式(13)に従って合成処理が行われる。
C=if(A<0.5) (-2×B×B+2×B)×A+B×B
else if(B<0.25) 2×B×(16×B×B-12×B+3)×A-2×B×(8×B×B-6×B+1)
else 2×(√B-B)×A+2×B-√B ・・・(13)
「ハードライト」では、式(14)に従って合成処理が行われる。
C=if(A<0.5) 2×A×B
else 1-2×(1-A)×(1-B) ・・・(14)
「リニアライト」では、式(15)に従って合成処理が行われる。
C=2×A+B-1 ・・・(15)
「ビビッドライト」では、式(16)に従って合成処理が行われる。
C=if(A<0.5) 1-(1-B)/(2×A)
else -B/(2×A) ・・・(16)
「ピンライト」では、式(17)に従って合成処理が行われる。
C=if(A<0.5) min(2×A,B)
else max(2×A-1,B) ・・・(17)
式(12)~(17)に示すように、灰色部透過合成処理では、Aが「0.5」となる部分については、Bの値がそのまま表れることとなる。すなわち、合成する上位画像のうちRGB値が「R:127、G:127、B:127」の部分については透過されることとなる。なお、RGB値が「R:128、G:128、B:128」の部分が透過されることとしてもよい。換言すると、合成する上位画像の灰色の部分(RGB値が白色と黒色との中間の値の部分)が透過されることとなる。さらに換言すると、上位画像の灰色の部分は透明として扱われ、合成処理後画像においては当該部分に対応する箇所には下位画像の色がそのまま表れる。灰色部透過合成処理は、例えば、合成処理後画像の明暗の差を、下位画像に比べはっきりとさせたい場合等に使用する。
(「通常」処理)
また、演出制御手段100は、合成処理として、下位画像の上に上位画像を単純に重ねる「通常」処理を実行可能となっている。「通常」では、上位画像が重なる部分は、C=Aとなる。ただし、上位画像に透明度の設定(アルファチャンネルの設定)がされている場合、設定された透明度に応じた割合で、下位画像の色に対して上位画像の色が重ねられる。すなわち、「通常」で合成する描画素材に透過させたい部分がある場合、その描画素材にアルファチャンネルを設けることとなる。換言すると、描画素材に透明度の情報を持たせて、描画素材の一部または全体を透過させる。
なお、上位レイヤの画像を下位レイヤの画像に対して「加算」(覆い焼きリニア)、「スクリーン」、「比較(明)」、「覆い焼きカラー」、「差」、「除外」、「減算」、「乗算」、「焼き込みカラー」、「焼き込みリニア」、「比較(暗)」、「オーバーレイ」、「ソフトライト」、「ハードライト」、「リニアライト」、「ビビッドライト」、「ピンライト」または「通常」の各合成処理によって合成することを、上位レイヤのレイヤモードを「加算」(覆い焼きリニア)、「スクリーン」、「比較(明)」、「覆い焼きカラー」、「差」、「除外」、「減算」、「乗算」、「焼き込みカラー」、「焼き込みリニア」、「比較(暗)」、「オーバーレイ」、「ソフトライト」、「ハードライト」、「リニアライト」、「ビビッドライト」、「ピンライト」または「通常」にするともいう。
(特定色透過合成処理を用いた演出)
次に、特定色透過合成処理を用いた第1の演出を、図9、10を参照しながら説明する。本実施形態の遊技機では、演出制御手段100は、背景画像110の所定部を際立たせる演出(特定演出)において、黒色部透過合成処理と白色部透過合成処理とを実行する。具体的には、背景画像110に対して第1エフェクト画像112を白色部透過合成処理によって合成し、背景画像110と第1エフェクト画像112との合成画像に対して第2エフェクト画像114を黒色部透過合成処理によって合成することで、背景画像110における特徴部としてのキャラクタ(キャラクタの顔)を際立たせる演出を実行する。
なお、ここでは簡単のため、レイヤ3に背景画像110としての描画素材が配置され、レイヤ4に第1エフェクト画像112としての描画素材が配置され、レイヤ5に第2エフェクト画像114としての描画素材が配置されることとして説明するが、各描画素材が配置されるレイヤはこの通りでなくてもよい。また、背景画像110、第1エフェクト画像112または第2エフェクト画像114はそれぞれ、複数の描画素材によって(複数のレイヤに跨って)構成されてもよい。すなわち、第1エフェクト画像112は、第1エフェクト画像112が配置されるレイヤよりも下位のレイヤの画像に重ね合わせられるが、ここでいう下位のレイヤの画像とは、第1エフェクト画像112が配置されるレイヤよりも下位の複数の(全ての)レイヤの描画素材を合成した合成画像ともいえるし、第1エフェクト画像112が配置されるレイヤよりも下位の特定の(単一の)レイヤの描画素材ともいえる。また、第2エフェクト画像114は、第2エフェクト画像114が配置されるレイヤよりも下位のレイヤの画像に重ね合わせられるが、ここでいう下位のレイヤの画像とは、第2エフェクト画像114が配置されるレイヤよりも下位の複数の(全ての)レイヤの描画素材を合成した合成画像ともいえるし、第2エフェクト画像114が配置されるレイヤよりも下位の特定の(単一の)レイヤの描画素材ともいえる。
背景画像110は、図9(a)に示すように、特徴部としてのキャラクタ部120を3つ備える。なお、ここでは3つのキャラクタ部120は、互いに同一のキャラクタを表わすものとしているが、互いに異なるキャラクタを表わすものであってもよい。また、背景画像110は、各キャラクタ部120を囲うようにして設けられた3つの青色部121と、3つの青色部121を囲うようにして設けられた黒色部122とを備えている。青色部121は、青色であり、白色、黒色、灰色のいずれでもない色となっている。また、黒色部122は、黒色であり、RGB値が「R:0、G:0、B:0」となっている。
第1エフェクト画像112は、図9(b)に示すように、中央部に設けられた円形の白色部130と、白色部130を囲うように設けられた環状の暗色部131と、白色部130を囲うように設けられた灰色部132とを備えている。また、第1エフェクト画像112は、白色部130および暗色部131を除く部分が灰色部132となっている。白色部130は、白色であり、RGB値が「R:255、G:255、B:255」となっている。また、灰色部132は、灰色であり、RGB値が「R:128、G:128、B:128」となっている。また、暗色部131は、灰色部132よりも暗い(濃い)色であり、RGB値が「R:1、G:1、B:1」~「R:127、G:127、B:127」(ただし各画素におけるR値=G値=B値とする)となっている。すなわち、第1エフェクト画像112は、どの点においてもR値=G値=B値となるグレースケール画像となっている。
なお、第1エフェクト画像112には、アルファチャンネルが設けられていない。すなわち、第1エフェクト画像112には透明度の設定がされていない。換言すると、第1エフェクト画像は不透明となっている。
第2エフェクト画像114は、図9(c)に示すように、黒色部140と、中央部に設けられた環状の装飾部141とを備えている。また、第2エフェクト画像114は、装飾部141を除く部分が黒色部140となっている。黒色部140は、黒色であり、RGB値が「R:0、G:0、B:0」となっている。装飾部141は、第1エフェクト画像112の暗色部131に対応する位置に配置されるようになっており、第1エフェクト画像112の白色部130に対応する位置を囲うように配置されるようになっている。また、装飾部141は、黒色以外の色によって形成されており、RGB値が「R:0、G:0、B:0」以外の値となっている。また、装飾部141は、R値、G値、B値の少なくとも1つが「128」以上の値となる部分を含んでいる。
なお、第2エフェクト画像114には、アルファチャンネルが設けられていない。
演出制御手段100は、下位レイヤの画像(背景画像110)に第1エフェクト画像112を合成する際に、「乗算」処理によって合成を行う。すなわち、第1エフェクト画像が配置されるレイヤ4のレイヤモードを「乗算」として合成処理を行う。背景画像110と第1エフェクト画像112とを合成した合成処理後画像(第1合成処理後画像150)を図10(d)に示す。
第1合成処理後画像150は、第1エフェクト画像112における白色部130が透過された状態となっている。すなわち、第1合成処理後画像150は、白色部130に対応する部分が、背景画像110(背景画像110の色)のままとなっている。また、第1合成処理後画像150は、第1エフェクト画像112の灰色部132に対応する部分が、背景画像110(背景画像110の色)よりも暗くなっている。
また、演出制御手段100は、下位レイヤの画像(第1合成処理後画像150)に第2エフェクト画像114を合成する際に、「加算」処理によって合成を行う。すなわち、第1エフェクト画像が配置されるレイヤ5のレイヤモードを「加算」として合成処理を行う。第1合成処理後画像150と第2エフェクト画像114とを合成した合成処理後画像(第2合成処理後画像151)を図10(e)に示す。
第2合成処理後画像151は、第2エフェクト画像114における黒色部140が透過された状態となっている。すなわち、第2合成処理後画像151は、黒色部140に対応する部分が、第1合成処理後画像150(第1合成処理後画像150の色)のままとなっている。また、第2合成処理後画像151は、第2エフェクト画像114の装飾部141に対応する部分が、背景画像110(背景画像110の色)(および第2エフェクト画像114(第2エフェクト画像114の色))よりも明るくなっている。
また、第2合成処理後画像151では、第1エフェクト画像112における白色部130が透過されるとともに、第2エフェクト画像114における黒色部140が透過されている。すなわち、第2合成処理後画像151は、白色部130と黒色部140とが重複する部分が、背景画像110(背景画像110の色)のままとなっている。また、当該重複部は、背景画像110における真ん中のキャラクタ部120(キャラクタの顔の部分)に対応している。すなわち、当該重複部は、背景画像110の特徴部に対応している。
なお、実際の演出上は、当該重複部を、背景画像110に対して経時的に移動させるとともに、最終的に背景画像のいずれかのキャラクタ部120の位置に止めるようになっている。すなわち、この演出は、当該重複部が背景画像110のどの位置に止まるのか遊技者に期待感を抱かせるとともに、当該演出において注目すべき特徴部(キャラクタ)を報知する演出となっている。
以上のように、背景画像110に対して第1エフェクト画像112および第2エフェクト画像114をそれぞれ「乗算」処理または「加算」処理で合成することで、背景画像110の所定部が強調され、際立つようになっている。具体的には、背景画像110に対して、第1エフェクト画像112を「乗算」処理で合成することで、背景画像110のうち、第1エフェクト画像112の白色部130に対応する部分以外の部分が暗くなり、白色部130に対応する部分が相対的に明るく見えるようになる。したがって、この「乗算」処理により背景画像110の特徴部が強調される。また、第1合成処理後画像150に対して、第2エフェクト画像114を「加算」処理で合成することで、第1合成処理後画像150のうち、第2エフェクト画像114の装飾部141に対応する部分が明るくなる。装飾部141は、白色部130に対応する位置を囲うように設けられているので、この「加算」処理により背景画像110の特徴部を囲うように装飾部141の円環状の模様が現れ、特徴部が強調されるようになっている。
なお、第2エフェクト画像114は、単体でも背景画像110の所定部を強調し、際立たせることができる。背景画像110に対して、第2エフェクト画像114を直接(第1エフェクト画像112を挟むことなく)合成したときの合成処理後画像(第3合成処理後画像152)を図10(f)に示す。図10(f)に示すように、第3合成処理後画像152では、第2エフェクト画像114の装飾部141に対応する部分が明るくなり、当該部分が背景画像110の特徴部を囲うことで、特徴部が強調される。しかし、第2エフェクト画像114を合成する前に第1エフェクト画像112を合成することで、背景画像110のうち、際立たせたい特徴部以外の部分を暗くして、特徴部をより際立たせることができる。
また、第1エフェクト画像112に暗色部131を設けたことで、装飾部141の模様を縁取るように当該模様の周りを暗くして、当該模様を際立たせることができるとともに、背景画像110の特徴部をより際立たせることができる。すなわち、第2エフェクト画像114のように「加算」処理によって合成する画像は、合成処理後画像において黒色の部分が透過されるので、影や輪郭線を付けることが難しい。本実施形態の遊技機のように、下位画像(第1エフェクト画像112)に、上位画像(第2エフェクト画像114)のオブジェクト(装飾部141)に対応した影や輪郭線(暗色部131あるいは黒色の部分等)を設けることで、下位画像に上位画像を「加算」処理によって合成した際に、オブジェクトの影や輪郭線が現れるようにすることができる。なお、このような場合、上位画像は、影や輪郭線に対応する部分が黒色となっていること(透過するようになっていること)が好ましい。
次に、特定色透過合成処理を用いた第2の演出を、図11を参照しながら説明する。本実施形態の遊技機では、演出制御手段100は、背景画像170に対して文字あるいは数字を挿入する(重ねる)演出(特定演出)において、白色部透過合成処理を実行する。具体的には、背景画像170に対して第3エフェクト画像172を白色部透過合成処理によって合成し、背景画像170と第3エフェクト画像172との合成画像に対して文字画像(図示せず)を合成することで、文字画像における特徴部としての文字(「チャンスです!!」の文字)を際立たせる演出を実行する。
なお、ここでは簡単のため、レイヤ3に背景画像170としての描画素材が配置され、レイヤ4に第3エフェクト画像172としての描画素材が配置され、レイヤ5に文字画像としての描画素材が配置されることとして説明するが、各描画素材が配置されるレイヤはこの通りでなくてもよい。また、背景画像170、第3エフェクト画像172または文字画像はそれぞれ、複数の描画素材によって(複数のレイヤに跨って)構成されてもよい。
背景画像170は、図11(g)に示すように、キャラクタや木などのオブジェクトが描かれた画像である。
第3エフェクト画像172は、図11(h)に示すように、横長の矩形状に形成された有色部180と、有色部180を囲うように設けられた白色部181とを備えている。また、第3エフェクト画像172は、有色部180を除く部分が、白色部181となっている。白色部181は、白色であり、RGB値が「R:255、G:255、B:255」となっている。また、有色部180は、RGB値が「R:255、G:255、B:255」以外の値となっている。有色部180は、例えば、RGB値が「R:1、G:1、B:1」~「R:127、G:127、B:127」(ただし各画素におけるR値=G値=B値とする)となっている。すなわち、第3エフェクト画像112は、どの点においてもR値=G値=B値となるグレースケール画像となっている。
なお、第3エフェクト画像172には、アルファチャンネルが設けられていない。
文字画像は、「チャンスです!!」の文字が描かれた画像である。なお、文字画像は、文字の他に、文字以外のものが描かれていてもよい。また、文字画像の文字は、白色であり、RGB値が「R:255、G:255、B:255」となっている。
演出制御手段100は、下位レイヤの画像(背景画像170)に第3エフェクト画像172を合成する際に、「乗算」処理によって合成を行う。すなわち、第3エフェクト画像172が配置されるレイヤ4のレイヤモードを「乗算」として合成処理を行う。背景画像170と第3エフェクト画像172との合成画像は、第3エフェクト画像172における白色部181が透過された状態となる。すなわち、当該合成画像は、白色部181に対応する部分が、背景画像170(背景画像170の色)のままとなる。また、当該合成画像は、第3エフェクト画像172の有色部180に対応する部分が、背景画像170(背景画像170の色)よりも暗くなる。
また、演出制御手段100は、下位レイヤの画像(背景画像170と第3エフェクト画像172との合成画像)に文字画像を合成する際に、文字以外の部分が、下位レイヤの画像(下位レイヤの画像の色)のままとなるように、合成を行う。具体的には、例えば、文字画像の文字以外の部分を特定色(黒色(「R:0、G:0、B:0」))としておき、「加算」等の特定色透過合成処理によって、文字画像を合成することとしてもよい。また、文字画像にアルファチャンネルを設け、「通常」処理等により合成することで、文字以外の部分を透過させてもよい。背景画像170と第3エフェクト画像172と文字画像とを合成した合成処理後画像(第4合成処理後画像190)を図10(i)に示す。
第4合成処理後画像190では、第3エフェクト画像172における有色部180の位置に文字画像の文字が配置されるようになっている。すなわち、文字が有色部180の前面側に現れるようになっている。
以上のように、背景画像170に対して第3エフェクト画像172を「乗算」処理で合成し、その上に文字画像を合成することで、文字画像の文字が強調され、際立つようになっている。具体的には、背景画像170に対して、第3エフェクト画像172を「乗算」処理で合成することで、背景画像170のうち、第3エフェクト画像172の有色部180に対応する部分が暗くなる。このため、文字画像の文字と、当該文字の背景とのコントラストが強くなり、文字がはっきりと見えるようになる。したがって、この「乗算」処理により文字画像の文字が強調されるようになっている。また、有色部180は、文字に対応する位置を囲うように設けられているので、この「乗算」処理により文字を囲うように模様(本例では単純な四角い模様)が現れ、遊技者が文字を見つけやすくなるようになっている。
なお、第3エフェクト画像172の白色部181を黒色(「R:0、G:0、B:0」)とし、有色部180のRGB値を「R:128、G:128、B:128」~「R:255、G:255、B:255」(ただし各画素におけるR値=G値=B値とする)とする等して、第3エフェクト画像172を「加算」処理等の他の特定色透過合成処理によって合成する等してもよい。この場合、文字画像の文字を黒色(「R:0、G:0、B:0」)とするとよい。
次に、特定色透過合成処理を用いた第3の演出を、図12を参照しながら説明する。本実施形態の遊技機では、演出制御手段100は、背景画像110に対してナビ画像210を挿入する(重ねる)演出(特定演出:ナビ演出)において、黒色部透過合成処理を実行する。具体的には、背景画像110に対して第4エフェクト画像200を黒色部透過合成処理によって合成し、背景画像110と第4エフェクト画像200との合成画像に対してナビ画像210を合成することで、ナビ画像210の特徴部を際立たせる演出を実行する。
なお、ここでは簡単のため、レイヤ3に背景画像110としての描画素材が配置され、レイヤ4に第4エフェクト画像200としての描画素材が配置され、レイヤ5にナビ画像210としての描画素材が配置されることとして説明するが、各描画素材が配置されるレイヤはこの通りでなくてもよい。また、背景画像110、第4エフェクト画像200またはナビ画像210はそれぞれ、複数の描画素材によって(複数のレイヤに跨って)構成されてもよい。
第4エフェクト画像200は、図12(j)に示すように、装飾部220と、装飾部220を囲うように設けられた黒色部221とを備えている。また、第4エフェクト画像200は、装飾部220を除く部分が、黒色部221となっている。黒色部221は、黒色であり、RGB値が「R:0、G:0、B:0」となっている。また、装飾部220は、RGB値が「R:0、G:0、B:0」以外の色を有する模様が描かれた部分となっている。本実施形態の遊技機では、装飾部180の模様は、炎のような形のオーラを表わす模様となっており、黄色系の色で描かれている。
なお、第4エフェクト画像200には、アルファチャンネルが設けられていない。
ナビ画像210は、ナビ演出に係る画像であって、具体的には、遊技者に対して停止操作に関する報知を行うための画像となっている。本実施形態の遊技機では、所定の遊技において、停止操作の順序を示すナビ画像210を表示装置13に表示させ、正解打順を報知するようになっている。ナビ画像210は、図12(k)に示すように、停止操作の順序を示す「1」、「2」、「3」の数字がそれぞれ描かれたナビ部230a,230b,230cを有している。
本実施形態の遊技機では、ナビ部230a,230b,230cは、数字の他に円形の模様を有している。また、ナビ部230a,230b,230cの模様は、装飾部220と同系色(黄色系の色)であって装飾部220と同等の明るさ(濃さ)または装飾部220よりも暗い(濃い)色となっている。
なお、ナビ部230a,230b,230cは、それぞれの表示に従って停止操作が行われる度に消えるようになっている。例えば、図12(l)に示すナビ画像210が表示装置13に表示されている状態において、ストップボタン26cが操作されると、ナビ部230aの表示が消えナビ部230bの表示が大きくなる、次いでストップボタン26bが操作されると、ナビ部230bの表示が消えナビ部230cの表示が大きくなる、次いでストップボタン26aが操作されると、ナビ部230cの表示が消えるようになっている。
なお、前述のように、各ナビ部230a,230b,230cは、それぞれ異なる描画素材によって構成され、異なるレイヤに配置されるようになっていてもよい。
演出制御手段100は、下位レイヤの画像(背景画像110)に第4エフェクト画像200を合成する際に、「加算」処理によって合成を行う。すなわち、第4エフェクト画像が配置されるレイヤ4のレイヤモードを「加算」として合成処理を行う。背景画像110と第4エフェクト画像200との合成画像は、第4エフェクト画像200における黒色部221が透過された状態となる。すなわち、当該合成画像は、黒色部221に対応する部分が、背景画像110(背景画像110の色)のままとなる。また、当該合成画像は、第4エフェクト画像200の装飾部220に対応する部分が、背景画像110(背景画像110の色)よりも明るくなる。
また、演出制御手段100は、下位レイヤの画像(背景画像110と第4エフェクト画像200との合成画像)にナビ画像210を合成する際に、ナビ部230a,230b,230c以外の部分が、下位レイヤの画像(下位レイヤの画像の色)のままとなるように、合成を行う。具体的には、例えば、ナビ画像210にアルファチャンネルを設け、「通常」処理等により合成することで、ナビ部230a,230b,230c以外の部分を透過させてもよい。このようにすることで、下位レイヤの画像に関らずに、ナビ部230a,230b,230cの表示を一定(一定の色)とすることができる。また、ナビ部230a,230b,230c以外の部分を特定色とし(ナビ画像210にアルファチャンネルを設けずに)、特定色透過合成処理によってナビ部230a,230b,230c以外の部分を透過させてもよい。背景画像110と第4エフェクト画像200とナビ画像210とを合成した合成処理後画像(第5合成処理後画像240)を図12(l)に示す。
第5合成処理後画像240では、第4エフェクト画像200における装飾部220の位置にナビ画像210のナビ部230aが配置されるようになっている。すなわち、停止操作の順序を示す「1」の数字が装飾部220の前面側に現れるようになっている。
以上のように、背景画像110に対して第4エフェクト画像200を「加算」処理で合成し、その上にナビ画像210を合成することで、ナビ部230aが強調され、際立つようになっている。具体的には、背景画像110に対して、第4エフェクト画像200を「加算」処理で合成することで、背景画像110のうち、第4エフェクト画像200の装飾部220に対応する部分の色が装飾部220の模様状に明るくなる。このため、ナビ部230aの背面側に装飾部220の模様が現れ、ナビ部230aが強調される。また、この状態でストップボタン26cが操作されると、ナビ部230aの表示が消えナビ部230bの表示が大きくなるが、このときに、装飾部220の位置がナビ部230bに対応した位置となり、ナビ部230bの背面側に装飾部220の模様が現れ、ナビ部230bが強調されるようになっている。また、この状態でストップボタン26bが操作されると、ナビ部230bの表示が消えナビ部230cの表示が大きくなるが、このときに、装飾部220の位置がナビ部230cに対応した位置となり、ナビ部230cの背面側に装飾部220の模様が現れ、ナビ部230cが強調されるようになっている。すなわち、装飾部220の模様は、次に操作すべきストップボタン26a,26b,26cに対応するナビ部230a,230b,230cの背面側に現れるようになっており、これにより次に操作すべきストップボタン26a,26b,26cに対応するナビ部230a,230b,230c、すなわちナビ画像210の特徴部が強調されるようになっている。
なお、次に操作すべきストップボタンに対応するナビ部以外のナビ部(他のナビ部)にも装飾部を付し、強調することとしてもよい。この場合、他のナビ部に付す装飾部の大きさは、装飾部220よりも小さくすることが好ましい。また、他のナビ部に付す装飾部は、第4エフェクト画像200に設けてもよく、他の素材画像に設けてもよい。
また、装飾部220の色は、ナビ部230a,230b,230cの色と同等あるいはナビ部230a,230b,230cの色に比べて明るく(薄く)なっており、さらに装飾部220を有する第4エフェクト画像200は「加算」処理で合成されるので、第5合成処理後画像240において、装飾部220の色は、背景画像110の色に関わらず、ナビ部230a,230b,230cの色よりも明るい(薄い)色となる。したがって、背景画像110の表示内容に関わらず、ナビ部230a,230b,230cの周りを明るく装飾することが可能となる。
なお、第4エフェクト画像200の黒色部221を白色(「R:255、G:255、B:255」)とする等として、第4エフェクト画像200を「乗算」処理等の他の特定色透過合成処理によって合成する等してもよい。
次に、特定色透過合成処理を用いた第4の演出を、図13を参照しながら説明する。本実施形態の遊技機では、演出制御手段100は、背景画像170の表示範囲を徐々に狭めていく演出において、白色部透過合成処理を実行する。具体的には、背景画像170に対して第5エフェクト画像250を白色部透過合成処理によって合成することで、背景画像170の表示範囲を制限するとともに、第5エフェクト画像250において透過する範囲を徐々に狭めていくことで、背景画像170の表示範囲を徐々に狭めていく。当該演出は、例えば、所定の演出の終了時に実行する。換言すると、当該演出は、背景画像を他の背景画像に切り替える際に実行する。また、当該演出は、演出状態を移行させる際に実行してもよい。また、当該演出は、第3停止操作を契機として実行してもよい。
なお、ここでは簡単のため、レイヤ3に背景画像170としての描画素材が配置され、レイヤ4に第5エフェクト画像250としての描画素材が配置されることとして説明するが、各描画素材が配置されるレイヤはこの通りでなくてもよい。
第5エフェクト画像250は、図13(m)に示すように、円形に形成された白色部260と、白色部260を囲うように設けられた黒色部261とを備えている。また、第5エフェクト画像250は、白色部260を除く部分が、黒色部261となっている。白色部260は、白色であり、RGB値が「R:255、G:255、B:255」となっている。また、黒色部261は、黒色であり、RGB値が「R:0、G:0、B:0」となっている。すなわち、第5エフェクト画像250は、白色と黒色との2色によって形成されている。
なお、第5エフェクト画像250には、アルファチャンネルが設けられていない。
演出制御手段100は、下位レイヤの画像(背景画像170)に第5エフェクト画像250を合成する際に、「乗算」処理によって合成を行う。すなわち、第5エフェクト画像250が配置されるレイヤ4のレイヤモードを「乗算」として合成処理を行う。背景画像170と第5エフェクト画像250とを合成した合成処理後画像(第6合成処理後画像270)を図13(n)に示す。
第6合成処理後画像270は、第5エフェクト画像250における白色部260が透過された状態となる。すなわち、第6合成処理後画像270は、白色部260に対応する部分が、背景画像170(背景画像170の色)のままとなる。また、第6合成処理後画像270は、第5エフェクト画像250の黒色部261に対応する部分が、黒色となり、背景画像170に描かれたオブジェクトが見えなくなる。すなわち、第6合成処理後画像270では、背景画像170の表示範囲が白色部260に対応する範囲に制限される。
また、本演出では、演出制御手段100は、背景画像170に合成する第5エフェクト画像250における白色部260の面積を、時間の経過に伴って徐々に小さくしていく。したがって、第6合成処理後画像270における背景画像170の表示範囲が徐々に狭まっていくこととなる。図13(n)に示す状態から何フレームか経過した後の第6合成処理後画像272を図13(o)に示す。
なお、白色部260の面積を徐々に小さくしていく処理は、例えば、静止画の第5エフェクト画像250を用意し、この第5エフェクト画像250を徐々に縮小させていくことにより行ってもよく、白色部260の面積が徐々に小さくなる動画を第5エフェクト画像250として用意し、この第5エフェクト画像250をレイヤ4に描画することで行ってもよい。
第1~第4の演出のいずれにおいても、エフェクト画像(第1エフェクト画像112~第5エフェクト画像250)にアルファチャンネルを設けていないので、エフェクト画像のデータ容量を小さくすることができる。また、アルファチャンネルを設けていないにも関わらず、所定部を透過させることができ、所望の演出を実現できる。また、アルファチャンネルを設けることによる画質の低下を防止し、演出の質を向上させることができる。
また、本実施形態の遊技機においては、遊技全体を通しての黒色部透過合成処理と、白色部透過合成処理と、灰色部透過合成処理との実行頻度について、黒色部透過合成処理は、白色部透過合成処理以上の割合(例えば、40~50%の割合)で実行されるように設定されており、白色部透過合成処理は、灰色部透過合成処理以上の割合(例えば、40%の割合)で実行されるように設定されており、灰色部透過合成処理は最も低い割合(例えば、20~10%の割合)で実行されるように設定されている。遊技機においては、明るく派手な演出が好まれるが、各特定色透過合成処理について、実行される割合をこのように設定することで、演出を明るく派手に見せることができる。
なお、エフェクト画像とは、他の画像に対して何らかの効果(視覚効果、演出効果)を付加する画像をいう。エフェクト画像とは、他のレイヤに配置される画像と合成されて演出を行う画像ともいえる。エフェクト画像は、所定のRGB値を有する特定色部と、特定色部とは異なるRGB値を有する部分とを有し、特定色部とは異なるRGB値を有する部分が他の画像に対して所定の効果を付加する部分として機能する。エフェクト画像の一例としては、エフェクト画像よりも上位のレイヤあるいは下位のレイヤに配置される他の画像の所定部に模様を描写し、他の画像の所定部を際立たせる画像が挙げられる。また、エフェクト画像の一例としては、エフェクト画像よりも上位のレイヤあるいは下位のレイヤに配置される他の画像の所定部を明るくしたり(光らせたり)、暗くしたりする画像が挙げられる。また、エフェクト画像の一例としては、エフェクト画像よりも上位のレイヤあるいは下位のレイヤに配置される他の画像上の数字や文字の周囲を囲うような画によって、数字や文字(数字や文字によって表される情報(所定のカウント情報等を含む))を強調したり見やすくしたりする画像が挙げられる。また、エフェクト画像の一例としては、互いに異なるレイヤに配置される2つの画像の間のレイヤに配置され、これら2つの画像の合成画像による演出効果をさらに高める画像が挙げられる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施形態の遊技機において、第1の実施の形態と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
以上では、スロットマシンを例にとり、本発明の第1の実施の形態を説明したが、本発明はパチンコ遊技機等の遊技機にも適用できる。例えば、後述するパチンコ遊技機1のメイン制御基板が演出メイン制御手段52を備え、パチンコ遊技機のサブ制御基板が演出サブ制御手段70を備え、これらによって構成される演出制御手段100が、スロットマシン10の表示装置13に対する制御と同様にパチンコ遊技機1の表示装置32を制御してもよい。このようにすることで、例えばパチンコ遊技機における特定色透過合成処理をスロットマシンの場合と同様に行うことができる。なお、スロットマシン10とパチンコ遊技機1とのいずれにおいても、演出サブ制御手段70の一部または全部をサブ制御基板とは別の基板(表示装置13、表示装置32の基板を含む)が備えることとしてもよい。
なお、本実施形態では遊技機の一つであるパチンコ遊技機について説明するが、その他の遊技機(例えば、スロットマシン等)であってもよい。
以下の説明において、基本的に「前後」とは、遊技機の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、遊技機側が「後」を意味し、「上下」とは遊技機の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とは遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
図14は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球(遊技媒体)を用いて遊技を行うものであり、遊技機の外側面を形成する外枠2と、遊技機の内部に設けられ、遊技球が移動する遊技領域4を形成する遊技盤6と、遊技盤6を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット8と、ガラスユニット8が取り付けられている前枠10とを備えている。
前枠10のうちガラスユニット8を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の前枠ランプ12が設けられている。また、前枠10には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカ14が複数設けられている。
前枠10の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿16が設けられており、上皿16の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口が設けられている。前枠10の下部右側には、グリップユニット20が設けられており、遊技者がグリップユニット20を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機の内部に設けられた図示しない発射装置が作動して、遊技領域4内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
上皿16の内側側面の右部には、上皿16から遊技球を発射装置に供給するための供給口が設けられている。また、上皿16の下方には、上皿16に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿24が設けられている。
上皿16の縁部の手前側には、演出操作装置26が設けられており、遊技者が演出操作装置26を操作すると、遊技機で行われる演出が変化する。詳細には演出操作装置26は、押しボタンスイッチおよびロータリースイッチ(ジョグダイヤル)を内蔵しており、演出操作装置26を押下する操作と、演出操作装置26を回転させる操作を検出することができるようになっている。
図15は、図14で示した遊技盤6の外観構成を示す正面図である。図15に示すように遊技盤6には、円形状に外レール28が設けられており、外レール28に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域4となっている。また、遊技領域4の左端部には、外レール28に沿うように円弧状に内レール30が設けられており、外レール28と内レール30は、遊技盤6の下方に設けられた図示しない発射装置から発射された遊技球を遊技領域4に誘導する。
遊技盤6の中央部には、遊技を盛り上げるための演出画像等を表示する表示装置(液晶ディスプレイ)32と、表示装置32を取り囲むように形成されたディスプレイ枠34を備える演出ユニット36が設けられている。
本実施形態では、表示装置32の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、表示装置32の左側の遊技領域4か右側の遊技領域4を落下するようになっている。そして遊技領域4には、遊技盤6の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域4を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
ディスプレイ枠34の左部には、表示装置32の左側の遊技領域4を落下する遊技球が通過できる開口40が形成されており、この開口40を通過した遊技球はディスプレイ枠34に設けられている通路42を通過して、表示装置32の下方に設けられたステージ44に落下するようになっている。このステージ44の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ44とガラスユニット8との間に遊技球がステージ44から下方に落下できる隙間が形成されており、通路42からステージ44上に落下した遊技球がステージ44上を左右に往復移動した後にステージ44の中央部付近から下方に落下するようになっている。
ステージ44の中央部の下方には、第1始動入賞口46が設けられている。
また、表示装置32の右側の遊技領域4には、通過ゲート48が設けられている。また、通過ゲート48の下方に、第2始動入賞口50が設けられている。この第2始動入賞口50には、第2始動入賞口50に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な補助部材を備える普通役物52が設けられている。
表示装置32の右側の遊技領域4には、第2始動入賞口50の下方に、大入賞口54が設けられている。この大入賞口54には、大入賞口54を塞ぐ可動部材を備える特別役物56が設けられている。特別役物56は、大入賞口54に遊技球が進入不可能な閉状態と、大入賞口54に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(図15は閉状態を示している)。特別役物56は、大当たりが当選すると開始される特別遊技状態において、所定条件下で開状態となるように制御される。
大入賞口54の下方には、大入賞通路58が下方に向かって設けられている。大入賞通路58の下端には、通常進入口62が設けられている。また、大入賞通路58の下方には、大入賞通路58の途中から下方に向かって分岐するように特定通路65が設けられている。この特定通路65には、特定通路65を塞ぐ可動部材を備える特定役物66が設けられている。特定役物66は、特定通路65に遊技球が進入不可能な閉状態と、特定通路65に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(図15は閉状態を示している)。特定役物66は、特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。特定通路65の下端には、特定進入口68が設けられている。また、遊技領域4の最下部には、いずれの入賞口にも進入せずに遊技領域4を落下した遊技球を遊技機の内部に回収するアウト口69が設けられている。
遊技球の発射装置は、図14で示したグリップユニット20の回転量を調整することにより遊技球の射出力が変化するように構成されており、グリップユニット20の回転量が少ない場合には表示装置32の左側の遊技領域4を遊技球が落下するように遊技球が発射され、グリップユニット20の回転量が多い場合には表示装置32の右側の遊技領域4を遊技球が落下するように遊技球が発射される。
遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット20の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域4を落下して、あるいは開口40と通路42とステージ44を通過して第1始動入賞口46に進入するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域4を落下して、通過ゲート48を遊技球が通過するように、あるいは第2始動入賞口50に遊技球が進入するように、あるいは大入賞口54に遊技球が進入するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。
遊技盤6の右下部であって、遊技領域4の外側には、遊技機の各種状態をランプ等の点灯および消灯により示す状態表示部70が設けられている。本実施形態の遊技機は、メイン制御基板(主制御装置)およびサブ制御基板(副制御装置)を含む制御基板によって制御される。そして、メイン基板やサブ基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。メイン制御基板とサブ制御基板との間では、メイン制御基板からサブ制御基板への単方向通信のみが可能となっており、サブ制御基板からはメイン制御基板へ情報を送信することができないように通信接続されている。
メイン制御基板は、入力手段(第1始動入賞口センサ、通過ゲートセンサ、第2始動入賞口センサ、大入賞口センサ、通常進入口センサ、特定通路センサ、払出センサ等)からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、出力手段(状態表示駆動装置、普通役物駆動装置、特別役物駆動装置、特定役物駆動装置、払出装置等)の動作制御を行う。
サブ制御基板は、メイン制御基板から送られてくるコマンドや、演出操作装置26に対する操作を検出する演出操作センサからの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、演出装置(演出表示装置、音響装置、演出物駆動装置等)の動作制御を行う。
このようなパチンコ遊技機1においても、上述の第1~第4の演出のような演出に係る特定色透過合成処理を実行可能であり、特定色透過合成処理による特有の作用効果が期待できる。具体的には、第1始動入賞口46や第2始動入賞口50等の始動入賞口への遊技球の入球(入賞)を契機として(遊技球が所定箇所を通過したことを契機として)特定色透過合成処理(上述の第1~第4の演出のような演出)を実行可能としてもよい。
なお、遊技機は、アルファチャンネル無しのエフェクト画像を特定色透過合成処理によって透過させる処理と、アルファチャンネル有りのエフェクト画像をアルファチャンネルを利用して透過させる処理との両方を行うこととしてもよい。例えば、スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機においては、特典の付与に関する期待度(遊技者にとっての有利度合い)等を、表示装置13(表示装置32)に表示する演出画像の色によって示唆することが知られている。具体的には、例えば、低い方から高い方に向かって「青色」、「黄色」、「緑色」、「赤色」、「虹色」の順で期待度が設定されており、演出画像の背景や所定のオブジェクトの色、あるいは背景やオブジェクトに付されるエフェクトの色が、何色であるかに応じて期待度を示唆したりする。このような期待度の示唆に係るエフェクト画像については、アルファチャンネルを設け(透明度を設定し)、「通常」処理によってエフェクト画像を合成することとしてもよい。すなわち、このような期待度の示唆に係る画像では、色自体が遊技に係る情報を有し、何色であるかが重要な意味を示すところ、下位のレイヤの画像の表示内容に応じて色が変化してしまうことは好ましくない場合がある。そこで、例えば、期待度の示唆に係る複数のエフェクト画像のうち少なくとも1つのエフェクト画像については、アルファチャンネルを設け(透明度を設定し)、「通常」処理によってエフェクト画像を合成することで、遊技者に正しい情報を伝えることができる。
本実施形態の遊技機では、図15に示すように、遊技領域4が左側に位置する左打ち領域4aと右側に位置する右打ち領域4bとに区画されており、遊技者が遊技球の発射強度を変化させることにより、異なる領域に遊技球を落下させることができるようになっている。
また、遊技領域4の上端部(上部)には、左打ち領域4aと右打ち領域4bとを繋ぐ遊技球通路80が設けられている。そして、所定の発射強度以上で発射装置から発射された遊技球は遊技球通路80を通過して右打ち領域4bに進む一方、所定の発射強度未満で発射装置から発射された遊技球は遊技球通路80を通過せずに左打ち領域4aに進むようになっている。
遊技球通路80は、外レール28と、この外レール28に沿って、外レール28よりも下方に設けられたレール81とによって形成されている。また、遊技球通路80は、外レール28の上端を含んで形成されている。また、遊技球通路80の幅(外レール28とレール81との間隔)は、最も狭い部分で、遊技球1個分の直径よりも長く、遊技球2個分の直径よりも短くなっている。また、この遊技球通路80の幅が最も狭くなる部分は、遊技球通路80の頂部、換言すると外レール28の上端(頂部:頂点)とレール81の当該上端に対向する部分によって形成される部分、さらに換言すると遊技領域4の上端に位置する部分となっている。
また、本実施形態の遊技機では、図14および図16に示すように、前枠10の上部に、左右方向に長尺な略方形箱状の意匠部(意匠部材)84が設けられている。また、意匠部84は、左右方向の長さが前枠10の左右方向の長さの半分以上となっている。また、意匠部84は、その前面が、遊技領域4およびガラスユニット8よりも前方に位置するよう、前方に突出して配置されている。
なお、本実施形態の遊技機においては、ガラスユニット8は、板面を平行にして前後方向に並べられた2枚の透明板(ガラス板)8a,8bを有している。
意匠部84は、その内部に設けられた照明用のLED基板(図示せず)と、これを覆う外装部材85とを備えており、外装部材85の内側に、LED基板を収納するスペースが確保されている。また、外装部材85の意匠部84前面を構成する部分には機種名等を表わすロゴが付されており、内部に設けられたLED基板によってロゴが光るようになっている。
なお、意匠部84の内部にスピーカ等が設けられていてもよい。
意匠部84の下面86は、前側部分が最も下方に位置している。また、当該前側部分は、水平面に略平行な平面87となっている。また、意匠部84の下面86は、平面87の後端より後ろ側が、水平面に対して傾斜した傾斜面88となっている。そして、意匠部84の下面86は、後側部分(傾斜面88部分)が、後方に向かうにつれて上方に向かう形状となっている。すなわち、意匠部84は、後側部分よりも前側部分が下方に突出しており、突出部90が形成されている。また、意匠部84の下面86(傾斜面88)の後端は、ガラスユニット8に当接または近接している。
なお、意匠部84の下面86の後端の形状は、外レール28の形状に沿って形成されていてもよい。すなわち、下面86の後端が、正面から見た場合に上側に凸となるように湾曲した形状となっていてもよい。また、これに合わせて下面86(傾斜面88)の形状が上側に向けてくぼんだすり鉢状となっていてもよい。
図16は、図14のA-A線断面における要部の概略図であり、遊技領域4の上端(頂部:外レール28の上端)を通る上下方向および前後方向に平行な面で切った断面を示すものである。図16に示す断面は、レール81の上端(頂部)および意匠部84の下面86の後端の上端(頂部)も通っている。
意匠部84の下面86の後端は、遊技領域4の上端に対応する部分(遊技領域4上端の前方部分)において、遊技領域4の上端よりも下方に位置している。換言すると、意匠部84の下面86の後端は、遊技球通路80の上面80a(外レール28の後述する案内面113)の上端よりも下方に位置している。また、意匠部84の下面86の後端は、遊技球通路80の下面80b(レール81の遊技球が接する面)の上端よりも上方に位置している。また、意匠部84の下面86の後端は、遊技領域4の上端に位置した状態の遊技球B(遊技球通路80の上面80aの上端に接した状態の遊技球:外レール28(案内面113)の頂部に接した状態の遊技球)の下端よりも上方に位置している。より具体的には、当該状態の遊技球Bの中心(図16に一点鎖線Cで図示)よりも上方に位置している。
また、突出部90は、遊技領域4の上端に位置した状態の遊技球Bの中心よりも下方に突出している。換言すると、突出部90の下端は、当該状態の遊技球Bの中心よりも下方に位置している。より具体的には、突出部90の下端は、当該状態の遊技球Bの下端よりも下方に位置している。また、突出部90は、遊技球通路80の下面80bの上端よりも下方に突出している。
以上から明らかなように、意匠部84は、前後方向(遊技盤6およびガラスユニット8に垂直な方向)において、遊技領域4の上端に位置した状態の遊技球Bと重なり合うようになっており、当該状態の遊技球B全体を覆うようになっている。また、意匠部84は、下面86の後端における遊技領域4の上端に対応する部分(遊技領域4上端の前方部分)が、前後方向(遊技盤6およびガラスユニット8に垂直な方向)において、遊技領域4の上端に位置した状態の遊技球Bの少なくとも下半分と重ならないようになっており、当該状態の遊技球の少なくとも下半分を覆わないようになっている。また、下面86の後側部分は、傾斜面88となっている。このため、遊技球が遊技領域4の上端に位置する場合であっても、遊技領域4を転がる遊技球を遊技者が容易に視認できるようになっている。ここで、所定の位置、具体的には遊技者のアイポイントからは、遊技者が顔を上下左右に動かすことなく当該状態の遊技球の少なくとも下半分が見えるようになっていることが好ましい。遊技者のアイポイントとは、椅子に座って遊技をするときの遊技者の目の位置を意味する。具体的には、例えば、遊技者の目とガラスユニット8との前後方向における距離が30~50cmの間であって、遊技者の目と遊技機底面との上下方向における距離(高さ)が40~60cmの間である場合に、当該状態の遊技球の少なくとも一部(下半分)を視認することができるようになっているとよい。換言すると、ガラスユニット8からの距離が30~50cmの間であって、遊技機底面からの高さが40~60cmの間である所定点から遊技領域4の上端に位置する遊技球B(遊技球Bの中心よりも下側の部分)までの直線上に意匠部84がかからないようになっているとよい。このような構成によれば、意匠部84を大型化しつつ遊技領域を移動する遊技媒体の視認性を確保することができる。
次に、遊技領域4の上端(頂部:外レール28の上端)を通る上下方向および前後方向に平行な面で切った断面における、意匠部84と、遊技球通路80と、遊技領域4の上端に位置した状態の遊技球Bとに関する各種長さについて、図16を参照しながら説明する。
図16に示すように、当該断面において、遊技球通路80の上面80a(後述する第1の基準線BL1)は、意匠部84の下面86の後端91よりも上方に位置している。なお、以下では、意匠部84の下面86の後端部を、第1意匠部91ともいう。第1意匠部91は、遊技球通路80の上面の上端を通り、遊技球通路80の上面80aの短手方向に延びる水平線を第1の基準線BL1とした場合に、意匠部84の下面86における、第1の基準線BL1と交わる鉛直線が交わり得る部分のうち、最も後側の部分ともいえる。また、第1意匠部91は、遊技球通路80の下面80bのうち、遊技球通路80の上面80aの上端の直下に位置する部分を通り、遊技球通路80の上面80aの短手方向に延びる水平線を第2の基準線BL2とした場合に、意匠部84の下面86における、第2の基準線BL2と交わる鉛直線が交わり得る部分のうち、最も後側の部分ともいえる。なお、ここで、遊技球通路80の下面80bのうち、遊技球通路80の上面80aの上端の直下に位置する部分は、下面80bの上端であってもよく、下面80bの上端でなくてもよい。本実施形態の遊技機では、当該断面において、遊技球通路80の上面80aと第1意匠部91との上下方向における間隔L1は、約4mmとなっている。すなわち、間隔L1は、遊技球の直径(11mm)以下、より具体的には直径未満となっている。なお、間隔L1は、第1の基準線BL1から第1意匠部91までの距離(鉛直線上における距離)ともいえる。
また、当該断面において、遊技球通路80の上面80a(第1の基準線BL1)は、意匠部84の下面86の下端92(平面87の後端)よりも上方に位置している。なお、以下では、意匠部84の下面86の下端部(平面87の後端部)を、第2意匠部92ともいう。第2意匠部92は、意匠部84の下面86における、第1の基準線BL1と交わる鉛直線が交わり得る部分のうち、最も下側の部分ともいえる。また、第2意匠部92は、意匠部84の下面86における、第2の基準線BL2と交わる鉛直線が交わり得る部分のうち、最も下側の部分ともいえる。本実施形態の遊技機では、当該断面において、遊技球通路80の上面80aと第2意匠部92との上下方向における間隔L2は、約40mmとなっている。すなわち、間隔L2は、遊技球の直径以上、より具体的には直径を超える長さとなっている。なお、間隔L2は、第1の基準線BL1から第2意匠部92までの距離(鉛直線上における距離)ともいえる。
また、当該断面において、遊技球通路80の下面80b(第2の基準線BL2)は、第1意匠部91よりも下方に位置している。本実施形態の遊技機では、当該断面において、遊技球通路80の下面80bと第1意匠部91との上下方向における間隔L3は、約14mmとなっている。すなわち、間隔L3は、遊技球の半径以上、より具体的には半径を超える長さ、さらに具体的には直径以上(直径を超える長さ)となっている。なお、間隔L3は、第2の基準線BL2から第1意匠部91までの距離(鉛直線上における距離)ともいえる。
また、当該断面において、遊技球通路80の下面80b(第2の基準線BL2)は、第2意匠部92よりも上方に位置している。本実施形態の遊技機では、当該断面において、遊技球通路80の下面80bと第2意匠部92との上下方向における間隔L4は、約22mmとなっている。すなわち、間隔L4は、遊技球の直径以上、より具体的には直径を超える長さとなっている。なお、間隔L4は、第2の基準線BL2から第2意匠部92までの距離(鉛直線上における距離)ともいえる。
以上のように、第2意匠部92を、遊技球通路80の上面80a(第1の基準線BL1)よりも下方に位置させることで意匠部84を大型化することができ、遊技球通路80の下面80b(第2の基準線BL2)よりも下方に位置させることで意匠部84をさらに大型化することができる。また、このように意匠部84を大型化しつつも、遊技球通路80の上面80a(第1の基準線BL1)と第1意匠部91との間隔L1を遊技球の直径以下(直径未満)としたことにより、遊技球が強く打ち出された場合(上面80aに沿って遊技球が転がる場合)において、遊技球の視認性を確保することができる。また、このように意匠部84を大型化しつつも、遊技球通路80の下面80b(第2の基準線BL2)と第1意匠部91との間隔L3を遊技球の半径以上(半径を超える長さ)としたことにより、遊技球が弱く打ち出された場合(下面80bに沿って遊技球が転がる場合)において遊技球の視認性を確保することができる。
次に、外レール28に係る構成について図17~図22を参照しながら説明する。
外レール28は、外レール28を支持する支持部材としてのレールベース100に支持される。そして、レールベース100が、遊技盤6に固定されることで、外レール28が遊技盤6に取り付けられる。なお、レールベース100は、例えば、ねじ止めによって遊技盤6に固定される。また、遊技盤6は、透明の樹脂によって略方形の板状に形成されている。
外レール28は、薄板状の長尺な部材となっている。なお、以下では、外レール28に係る各長さについて、長さ方向(長手方向)の長さを「長さ」といい、幅方向(短手方向)の長さを「幅」といい、厚さ方向の長さ(板厚)を「厚さ」という。本実施形態においては、図18に示すように、外レール28の長さLは、900mm以上(少なくとも、800mm以上)となっている。また、外レール28の幅Wは、約15mmとなっている。また、外レール28の板厚Tは、約0.6mmとなっている。また、本実施形態においては、外レール28は金属、具体的にはステンレス鋼(例えば、SUS430)によって形成されている。
外レール28の一端部(始端部)には、略L字状に折り曲げられた折り曲げ部110が形成されている。また、外レール28の他端部(終端部)には、略U字状に曲げられたU字形状部(曲部)112が形成されている。
U字形状部112の曲げ半径Rは、約6mmとなっている。換言すると、U字形状部112の両端の間隔(U字形状部112における対向する面同士の間隔)は、約12mmとなっている。また、U字形状部112は、外レール28の厚さ方向において、約12mmの高さHを有している。
なお、U字形状部112の曲率は、後述する湾曲面126の曲率よりも大きく、レールベース100に取り付けられた状態(遊技機として組み立てられた状態)の外レール28の案内面113の曲率よりも大きくなっている。
外レール28には、折り曲げ部110とU字形状部112との間に、案内面113が形成されている。案内面113は、発射装置から発射された遊技球が当たる面であり、発射装置から発射された遊技球は案内面113に沿って転がり、遊技領域4に案内される。
また、外レール28には、略方形状の穴114が形成されている。穴114は、外レール28のU字形状部112(U字形状部112に対応する位置)に形成されている。また、穴114の長さは、U字形状部112の長さを超える長さとなっている。換言すると、穴114は、U字形状部112の長さ方向(U字に沿った方向)の全体にわたり形成されている。具体的には、穴114は、U字形状部112と、案内面113との間に形成された角部115aにまでわたって形成されている。換言すると、穴114は、U字形状部112の長さ方向における両側端部(U字形状部112と他の部分との境目)に形成された角部115a,115bの少なくとも一方(好ましくは両方)にまでわたって形成されている。
なお、穴114は、角部115a,115bの少なくとも一方を越えて形成されていてもよい。なお、角部115a,115bは、R形状となっている。
穴114の幅Waは、外レール28(U字形状部112)の幅Wの1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがさらに好ましい。また、穴114の幅Waは、外レール28(U字形状部112)の幅Wの1/5以上であることが好ましく、1/4以上であることがさらに好ましい。穴114の幅Waをこのように設定することで、U字形状部112の柔軟性を高めつつ、U字形状部112の強度を高く維持することができる。本実施形態においては、穴114の幅Waは、4mmに設定されている。
なお、穴114は、外レール28の厚さ方向に貫通するものでなくてもよい。換言すると、穴114部分は、他の部分に比べて肉薄に形成されていればよい。さらに換言すると、穴114は、何らかの肉抜きがされた肉抜き部であればよい。すなわち、外レール28のうち、U字形状部112の穴114が形成された部分は、案内面113が形成された部分に比べて、板面に垂直な断面における断面積が小さくなっていればよい。
また、外レール28には、位置決め用の孔118が複数(本実施形態では5個)形成されている。各孔118には、後述する突出部128が挿入されるようになっている。孔118は、長さが幅の2倍以上の長円形となっている。本実施形態では、孔118は、長さLaが5.2mm、幅Wbが2mmとなっている。
また、孔118は、長さ方向において一列に並べて配置されている。また、孔118は、幅方向における中心から外れて(中心にかからないように)配置されている。具体的には、外レール28の幅方向において、孔118の中心から外レール28の端までの距離Wcは、2.7mmに設定されている。また、孔118は、案内面113を転がる遊技球が当たることのない位置に配置されている。より具体的には、案内面113を転がる遊技球が当たることのない位置に、全ての孔118が配置されている。
なお、孔118は、全て案内面113に形成されており、折り曲げ部110、U字形状部112およびU字形状部112よりも終端側の部分(延長部120)には形成されていない。また、外レール28の案内面113には、複数の孔118と同一直線状に、円形の孔119が2つ形成されている。この2つの孔119は、外レール28の加工の際に使用される孔であり、孔119には、後述する突出部128は挿入されない。
図19~図21は、レールベース100に外レール28が取り付けられた取付状態を示す図である。レールベース100は、図19に示すように、黒色の樹脂材料によって略L字状に形成されている。また、レールベース100は、円弧状に形成された湾曲面126を有している。湾曲面126は、遊技盤6(遊技領域4)の左下側から、左上側を通って、右上側に至るように形成されており、右下側が開いた形状に形成されている。
湾曲面126には、長さ方向に沿って複数(本実施形態では5個)の突出部128が形成されている(図17参照)。突出部128は、湾曲面126の前後方向における中心よりも後方に配置されている。また、各突出部128は、外レール28の各孔118と、互いに対応する位置に配置されている。
また、湾曲面126の前縁には、湾曲面126よりも遊技領域4側に突出する壁部129が、湾曲面126に沿って形成されている(図21、図22参照)。
レールベース100の左下部(一端部)には、図19および図21に示すように、外レール28の折り曲げ部110が挿入される断面略L字状の凹部130が設けられている。また、凹部130には、外レール28の長さ方向における一端面(始端側の端面)が突き当たる突き当て面(当接面)131が形成されている。
なお、凹部130は、外レール28の長さ方向において、外レール28の当該一端面以外の部分が当たらないようになっている。具体的には、外レール28の折り曲げ部110のうち、案内面113に交差(略直交)する方向に延びる逃げ部110aは、(少なくとも外レール28の長さ方向において)凹部130に当たらないようになっている。
また、レールベース100の右上部(他端部)には、図19および図20に示すように、外レール28の長さ方向における他端面(終端側の端面)が突き当たる突き当て面(当接面)135が形成されている。また、レールベース100の右上部には、U字形状部112が収容される収容部137が形成されている。
収容部137は、湾曲面126の右上側の端に隣接して設けられている。収容部137は、断面略コ字状の壁部137aによって形成された空間137bを有している。また、空間137bは、湾曲面126よりも遊技領域4の外側に向かって広がる空間となっている。そして、この空間137bにU字形状部112が収容されるようになっている。壁部137aの一端は、湾曲面126の右上側の端に接続されている。また、壁部137aの他端137cは、湾曲面126の仮想延長線上(湾曲面126をその曲率にしたがってそのまま延長した場合の所定位置)に配置されている。また、当該他端137cよりも湾曲面126から遠ざかる位置であって、外レール28の板厚方向反対側の位置には、リブ139が形成されている。そして、当該他端137cとリブ139との間に挟まれるように、外レール28の延長部120が配置されるようになっている。
外レール28は、折り曲げ部110がレールベース100の凹部130に挿入され、一端面が突き当て面131に突き当てられている。また、外レール28は、他端面が突き当て面135に突き当てられている。そして、外レール28は、レールベース100に取り付けられた取付状態において、突き当て面131と突き当て面135との間で突っ張った状態となっている。すなわち、外レール28の長さLは、突き当て面131から突き当て面135までの距離(湾曲面126に沿った方向における距離)よりも長く設定されている。本実施形態の遊技機においては、外レール28の長さLは、当該距離よりも3mm長く設定されている。換言すると、外レール28は、外レール28が設置される部分の長さ(突き当て面131から突き当て面135までの距離)に対して、3mmの余長を有している。
取付状態においては、U字形状部112によって、外レール28の余長が吸収されるようになっている。すなわち、まず、取付状態においては、外レール28は、レールベース100の湾曲面126に沿って配置される。このとき、外レール28の案内面113とは反対側の面(裏面)の略全体が、湾曲面126の略全体に接した状態となる。換言すると、案内面113は、湾曲面126に沿った面(略平行な面)となる。また、U字形状部112の両端の間隔(角部115a,115bの間隔)が縮まるようにU字形状部112がたわみ、これによって外レール28の余長が吸収される。そして、突き当て面131と突き当て面135との間で、外レール28が張られた状態となる。
なお、図19および図20では、外レール28の終端28aが、突き当て面135を貫いて表示されているが、実際には、当該終端28aは、突き当て面135に突き当たって止まり、突き当て面135を貫通するものではない。換言すると、図19および図20における、突き当て面135を貫通している部分が、外レール28の余長部分であり、当該貫通している部分の長さが、U字形状部112によって吸収される。なお、U字形状部112は、取付状態(余長を吸収してたわんだ状態)でも、収容部137の壁部137aに当たらないようになっている。
本実施形態の遊技機では、外レール28の余長3mmは、U字形状部112の両端の間隔(U字形状部112における対向する面同士の間隔:約12mm)よりも短く設定されている。より具体的には、余長は、U字形状部112の曲げ半径R(約6mm)以下(U字形状部112の両端の間隔の半分以下)に設定されている。このため、U字形状部112によって余長を効果的に吸収することができる。
なお、基準値(設計値)としての余長3mmは、外レール28の公差よりも長く設定されている。本実施形態の遊技機では、外レール28の長さLの公差は、±0.8mmに設定されている。そこで、外レール28が最大限短く製造された場合(公差が下限となる-0.8mmとなる場合)であっても、0mm以上の余長(本例においては、2.2mmの余長)が生じるように、余長の基準値が設定されている。すなわち、外レール28の長さLは、公差を含めても余長が生じる長さに設定されている。また、外レール28が最大限長く製造された場合(公差が上限となる+0.8mmとなる場合)であっても、U字形状部112の曲げ半径R以下(U字形状部112の両端の間隔の半分以下)の余長(本例においては3.8mmmの余長)となるように、余長の基準値が設定されている。
また、取付状態においては、レールベース100の複数の突出部128のそれぞれが、外レール28の複数の孔118のそれぞれに挿入されている。ここで、孔118の長さLaは、取付状態において突出部128に当接しない長さに設定されている。また、孔118の幅Wbは、取付状態において突出部128に当接し得る長さに設定されている。
突出部128は、外レール28の幅方向において孔118に当接することで、外レール28が幅方向に動くことを規制している。すなわち、突出部128は、外レール28の動きを規制する規制部(規制手段)となっている。そして、突出部128と孔118とは、外レール28の幅方向における位置を決める位置決め部(位置決め手段)として機能している。
なお、当該規制部は、突出部128のような形でなくてもよく、例えば、ピン等であってもよい。具体的には、例えば、規制部としての割りピンを、孔118を貫通するようにして(割りピンの足が孔118を跨ぐようにして)設け、当該割りピンの両足をレールベース100あるいは遊技盤6等に嵌め込むことで、当該割りピンによって、外レール28の動きを規制してもよい。
一方で、取付状態において、突出部128は、外レール28の長さ方向において孔118に当接しないようにされており、外レール28が長さ方向に動くことは規制しないようになっている。換言すると、突き当て面131と突き当て面135との間に収められ、長さが縮められた外レール28の反発力は、突き当て面131と突き当て面135に加わり、突出部128には(ほとんど)加わらないようになっている。これにより、外レール28の長さ方向における位置決めを、突き当て面131と突き当て面135とによって安定して行うことができる。さらに、本実施形態の遊技機では、外レール28の折り曲げ部110の逃げ部110aが、外レール28の長さ方向において凹部130に当たらないようになっているので、外レール28の長さ方向における位置決めを、突き当て面131と突き当て面135とによってより安定して行うことができる。
なお、突き当て面131,135からの反発力以外の外力を無理やり加え(例えば、人力等により)、U字形状部112を無理やり縮ませた場合等には、外レール28の長さ方向において、孔118や逃げ部110aがレールベース100に当接し得るようになっていてもよい。
また、突出部128は、外レール28の板厚方向における長さ(高さ)が、外レール28の板厚以下に設定されている。すなわち、突出部128は、外レール28の案内面113よりも遊技領域4側に突出しないようになっている。
また、外レール28が、レールベース100に対して遊技機の前側(外レール28の幅方向)に最大限動いた場合でも、外レール28の前側の端面は、レールベース100の壁部129に当接しないようになっている。すなわち、壁部129は、外レール28の動きを規制する機能は有していない。一方、壁部129は、外レール28の板厚方向における長さ(高さ)が、外レール28の板厚以上に設定されており、外レール28の端面が遊技者から見えないようにする機能を有している。
ただし、壁部129は、外レール28の動きを規制するものであってもよい。
ここで、外レール28に沿って転がる遊技球Bと、孔118等との関係について、図22を参照しながら説明する。図22は、外レール28およびレールベース100の要部を示す概略図であり、案内面113および湾曲面126に垂直な平面で切った断面を示すものである。
図22に示すように、孔118および突出部128は、外レール28に沿って転がる遊技球Bに当たらない位置に形成されている。より詳細に説明すると、孔118は、外レール28が幅方向において最大限動いた場合であっても(例えば、図22における上側に最大限動いた場合であっても)、遊技球Bに当たらない位置に形成されている。換言すると、突出部128は、孔118が遊技球Bに当たらないように、外レール28の幅方向における動きを規制しているともいえる。なお、図22では、突出部128は、案内面113よりも遊技領域4側に突出しているが、このように突出部128が突出して形成される場合であっても、突出部128の突出量は、突出部128が遊技球Bに当たらないように設定されることが好ましい。
なお、図22に示すように、案内面113(湾曲面126)は、外レール28の幅方向において、前側に向かうほど遊技領域4側(外レール28の径方向内側)に向かう傾斜面となっている。換言すると、案内面113は、遊技球を前方向に流れにくくする(後側に沿って流れやすくする)ための傾斜面となっている。
本実施形態の遊技機によれば、レール28は、略U字状に曲がったU字形状部112と、U字形状部112に対応する位置に形成された穴114と、を備え、穴114は、U字形状部112のU字に沿った方向において、U字形状部112の全体にわたる長さとなるので、製造上生じるレール28の長さのバラつきをU字形状部112で吸収し、レール28を安定して正確に取り付けることができる。また、U字形状部112に対応する位置に穴114を形成することで、U字形状部112を案内面113部分よりも柔らかくすることができ、U字形状部112を案内面113部分に比べ変形しやすくすることができる。このため、レール28をレールベース100に取り付ける際に、案内面113を適度に張りつつ、余計な力をU字形状部112に逃がして、レール28を正確に取り付けることができる。したがって、レール28に沿って転がる遊技球の動きを安定させることができ、快適な遊技が提供できる。
また、穴114の長さをU字形状部112の全体にわたる長さとしたことにより、U字形状部112内における力のかかり具合を均等にすることができる。このため、U字形状部112内における一部に力がかかりすぎる等して、レール28の変形がいびつとなることを防止でき、レール28をより正確に取り付けことができる。また、U字形状部112内における一部に力がかかりすぎる等して、レール28が破損してしまうことを防止できる。さらに、本実施形態においては、穴114は、U字形状部112の長さ方向における両側端部に形成された角部115a,115bの少なくとも一方にまでわたって形成されているので、負荷が集中しやすい角部115a,115bの柔軟性を高め、角部115a,115bが壊れてしまうことを防止できる。
また、穴114は、レール28の幅方向において、レールの幅Wの1/3以下の長さ(4mm)となっているので、U字形状部112の剛性を適切な範囲にすることができる。すなわち、U字形状部112の剛性を一定以上の高さとすることができ、レール28にかかる力をU字形状部112が吸収しすぎてしまうことを防止できる。したがって、案内面113の張りが弱まりすぎてしまうことを防止でき、遊技球の動きをより安定させることができる。
また、案内面113には、位置決めを可能とする孔118が複数(5個)形成されており、孔118は、全て、前記案内面に沿って転がる遊技球が当たらない位置に形成されているので、遊技球が孔118の上を転がり振動してしまうことなどを防止できる。したがって、遊技球の動きをより安定させることができる。
なお、図20に示すように、案内面113のU字形状部112側の端部には、弾性体(例えばゴム)により形成された弾性部材150が配置される。そして、U字形状部112の近傍において、外レール28は、弾性部材150と湾曲面126とに挟まれた状態となる。弾性部材150は、案内面113に沿って終端側(右打ち領域4b)まで案内された遊技球が衝突する衝突面151を有している。そして、弾性部材150は、遊技球が遊技機の部材に衝突する際の衝撃を緩和するようになっている。
また、図23に示すように、複数の孔118(複数の突出部128)は、全て、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)P1よりも左側(発射装置側)に設けられている。また、孔118(突出部128)の数は、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上下方向中心を境として下側の方が上側よりも多くなっている。換言すると、孔118(突出部128)の数は、遊技領域4(外レール28:案内面113)の左端(左頂点)P2を境として下側の方が上側よりも多くなっている。具体的には、例えば、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上下方向中心よりも上側に1個または2個の孔118(突出部128)が設けられており、上下方向中心よりも下側に3個の孔118(突出部128)が設けられている。
なお、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)P1および左端(左頂点)P2には、孔118(突出部128)が設けられていない。
なお、複数の孔118(複数の突出部128)のうち、いくつかが、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)P1よりも右側に設けられていてもよい。この場合に、孔118(突出部128)の数は、遊技領域4(外レール28:案内面113)の左右方向中心を境として左側の方が右側よりも多くなっているとよい。換言すると、孔118(突出部128)の数は、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)P1を境として左側の方が右側よりも多くなっているとよい。具体的には、例えば、遊技領域4(外レール28:案内面113)の左右方向中心よりも右側に1個の孔118(突出部128)が設けられており、左右方向中心よりも左側に3個または4個の孔118(突出部128)が設けられていてもよい。また、左右方向中心よりも左側に設けられる複数の孔118(突出部128)については、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上下方向中心の下側に配置される孔118(突出部128)の方が、上側に配置される孔118(突出部128)よりも多くなっていてもよい。例えば、左側に4個の孔118が設けられる場合に、下側に3個配置され、上側に1個配置されてもよい。また、左右方向中心よりも左側に設けられる複数の孔118(突出部128)については、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上下方向中心の上側に配置される孔118(突出部128)の方が、下側に配置される孔118(突出部128)よりも多くなっていてもよい。例えば、左側に3個の孔118が設けられる場合に、上側に2個配置され、下側に1個配置されてもよい。
なお、このようにいくつかの孔118(突出部128)が、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)よりも右側に設けられる場合であっても、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)および左端(左頂点)には、孔118(突出部128)が存在しないようにするとよい。遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)や、左端(左頂点)に、孔118(突出部128)が存在しないようにすることで遊技球が安定した軌道を辿ることができる。
また、外レール28(案内面113)について、始端(左下端)から左端(最も左側に位置する部分:正面視における9時の位置)P2までの範囲を第1の範囲H1とし、左端から上端(最も上側に位置する部分:正面視における12時の位置)P1までの範囲を第2の範囲H2とし、上端から終端(右上端)までの範囲を第3の範囲H3とした場合に、各範囲の孔118(突出部128)の数を以下のような関係にしてもよい。
すなわち、孔118(突出部128)の数は、第3の範囲H3よりも第2の範囲H2の方が多く、第2の範囲H2よりも第1の範囲H1の方が多くなっていてもよい。すなわち、第1の範囲H1>第2の範囲H2>第3の範囲H3としてもよい。また、孔118(突出部128)の数は、第3の範囲H3よりも第2の範囲H2の方が多く、第1の範囲H1は第2の範囲H2以上となっていてもよい。すなわち、第1の範囲H1≧第2の範囲H2>第3の範囲H3としてもよい。また、孔118(突出部128)の数は、第1の範囲H1の方が第3の範囲H3よりも多く、第2の範囲H2は第1の範囲H1以上となっていてもよい。すなわち、第2の範囲H2≧第1の範囲H1>第3の範囲H3としてもよい。また、孔118(突出部128)の数は、第1の範囲H1の方が第3の範囲H3よりも多く、第2の範囲H2の方が第3の範囲H3よりも多くなっていてもよい。すなわち、第1の範囲H1および第2の範囲H2>第3の範囲H3としてもよい。また、孔118(突出部128)の数は、第1の範囲H1が第2の範囲H2以上であり、かつ第3の範囲H3以上であってもよい。すなわち、第1の範囲H1≧第2の範囲H2および第3の範囲H3としてもよい。なお、孔118(突出部128)の最も少ない範囲における孔118(突出部128)の数は、0個であってもよい。
なお、外レール28(案内面113)のうち、遊技領域4(外レール28:案内面113)の左端を通り左右方向に延びる仮想直線をX軸とし、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端を通り上下方向に延びる仮想直線をY軸とするXY平面において、第3象限に位置する部分を第1の範囲と呼び、第2象限に位置する部分を第2の範囲と呼び、第1象限に位置する部分を第3の範囲と呼ぶこともできる。また、外レール28(案内面113)のうち、遊技領域4の中心を通り左右方向に延びる仮想直線をX軸とし、遊技領域4の中心を通り上下方向に延びる仮想直線をY軸とするXY平面において、第3象限に位置する部分を第1の範囲と呼び、第2象限に位置する部分を第2の範囲と呼び、第1象限に位置する部分を第3の範囲と呼ぶこともできる。
以上のように、孔118の数は、発射装置に近い側の方が、発射装置から遠い側に比べて多くなるようにするとよい。具体的には、前述の各配置のようにするとよい。このような構成によれば、遊技球から受ける衝撃が大きく、かつ、外レール28の配置について特に正確さが求められる発射装置側(第1の範囲H1側)の孔118を多くし、発射装置側の外レール28のずれや振動を確実に防止することができる。また、このような構成によれば、遊技球から受ける衝撃が小さく、かつ、遊技に与える影響が少ない終端側(第3の範囲H3側)の孔118を少なくし、外レール28の加工やレールベース100への取り付けを容易にすることができる。
なお、孔118は、本実施形態に示したような形状でなくてもよく、例えば、切り欠き等であってもよい。また、切り欠きの場合であっても、切り欠きの配置は上述の孔118の場合と同様にすればよい。具体的には、例えば、複数の切り欠きを、全て、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)P1よりも左側に設けてもよい。また、このような場合であって、例えば、切り欠きが2個あるような場合、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上下方向中心よりも上側に1個の切り欠きを設け、上下方向中心よりも下側に1個の切り欠きを設けてもよい。
なお、このようにいくつかの切り欠きが外レール28に設けられる場合であっても、遊技領域4(外レール28:案内面113)の上端(上頂点)P1および左端(左頂点)P2には、切り欠きが存在しないようにするとよい。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施形態の各構成要素の自由な組み合わせ、あるいは各実施形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施形態の任意の構成要素の省略等が可能である。