米国特許第10,425,732号は、人間の最大可聴周波数より高い超音波パルスレート(ultrasonic pulse rate)で複数のPAM(パルス振幅変調)空気パルスを生成することができる複数の空気パルス発生要素を含む、音生成装置又は空気圧パルススピーカ(APPS)を提供する。米国特許第10,425,732号はまた、APPSが、電子デバイス内に配置され、電子デバイスの熱放散を助けることができるファンとして機能し得ることを開示している。
米国特許第10,771,893号は、音圧レベル性能及び低音響周波数応答をさらに向上させるために、超音波パルスレートでシングルエンドPAM空気パルスを生成することができる、音発生装置又はAPPSのためのSEAM(シングルエンド振幅変調)駆動信号を提供する。SEAM駆動信号は、複数の電気パルスを含み、複数の電気パルスは、一定の電圧と比べて(又は一定の電圧に対して)同じ極性を有する。SEAM駆動信号については、各電気パルスサイクルは、PAM(パルス、振幅変調)位相及びRST(リセット)位相を含み、後述される。SEAM駆動信号は、PAM位相内のPAM信号であり得、RST位相内のリセット電圧に戻り得る。
米国特許出願第16/802,569号は、音発生装置の小さいサイズ/寸法で顕著な空気圧を達成するために、膜の移動によって励起されたチャンバ圧縮/膨張を介して空気パルスを発生させ、空気パルスを音生成装置の膜又はプレート上に形成された圧力射出オリフィス(PEO)を介して伝搬させる音生成装置又はAPPSを提供する。
米国特許第11,043,197号は、チャンバ内で空気の圧縮/膨張を行うために膜を利用し、膜の2つの面の間の空気圧平衡プロセスが加速されるように、一時的に開いて空気シャントを提供し得る仮想バルブを形成するよう膜上に形成されたスリットを利用する、空気パルス発生要素及びAPPSを提供する。
一実施形態では、本出願の空気パルス発生装置は、APPSの音生成原理に従って超音波パルスレートでPAM空気パルスを生成するように構成されたAPPSの用途に適用され得る。別の実施形態では、本出願の空気パルス発生装置は、ファンとして機能し、米国特許第10,425,732号に類似する、空気移動又はファン用途に適用され得る。
図1は、本出願の一実施形態による空気パルス発生装置890の断面図の概略図である。空気パルス発生装置890は、APPS内に適用され得る。空気パルス発生装置890は、膜構造12と、バルブ構造11と、カバー構造804とを有する。チャンバ105が、膜構造12と、バルブ構造11と、カバー構造804との間に形成される。空気パルス発生装置890は、ポート707L及び707Rにおいてその(空気圧)出力を生成する。図1は、膜構造12が(実質的に)平坦であり且つXY平面に対して平行である状態の膜構造12を示し(実線の輪郭)、また、膜構造12が湾曲している作動状態の膜構造12を示す(点線の輪郭)。
膜構造12及びバルブ構造11は、薄膜構造を有し得、これは、例えば、SOI(絶縁体のシリコン/Si)又はPOI(絶縁体上のポリSi/ポリシリコン)ウェハを使用するMEMS(微小電気機械システム)製造プロセスによって製造され得るいが、これらに限定されない。図1に示す実施形態では、膜構造12は、第1の膜部分102a及び第2の膜部分102bを含む。バルブ構造11は、第1のバルブ部分101及び第2のバルブ部分103を含む。カバー構造804は、上部(top)プレート804Tと、側壁804L及び804Rとを含む。チャンバ105は、膜部分102a及び102b、バルブ部分101及び103、上部プレート804T、ならびに側壁804L及び804Rによって/これらの間に囲まれる。バルブ部分101/103は、一端が支持構造110/115に固定され、他端が自由に動き、自由移動端は、側壁804L/804Rに近接/隣接して位置する。
膜構造12は、空気波AWが生成されるように作動されるように構成される。さらに、膜構造12に供給される駆動信号(複数可)を注意深く選択することによって、空気波AWは、動作周波数fCYで振動し、チャンバ105内で膜構造12に平行な方向(例えば、X方向)に沿って伝播し得る。
ある観点では、空気波は、空気分子の質量が、空気圧変動又は空気分子密度の変動により、一定の時間周期で、前後方向(例えば、X軸成分の動きの観点から、X方向の左右)に周期的に移動することに関連付けられ得る。特定の周波数で振動する空気波は、特定の周波数が特定の期間の逆数である動作周波数fCYに関連し、その逆も同様である。
バルブ構造11は、少なくとも1つの開口を周期的に形成するために、開閉動作を、開放周波数で実行するよう作動するように構成され、少なくとも1つの開口は、チャンバ105の中の空気を周囲/チャンバ105の外の空気と接続する。具体的には、バルブ部分101は、開口112を形成させる及び形成させない(form-and-unform)(Z方向の)上下移動を行うように作動され得、これはバルブ101の開閉と呼ばれる。同様に、バルブ部分103は、開口114を形成させる及び形成させない(Z方向の)上下移動を行うように作動され得、これはバルブ103の開閉と呼ばれる。バルブ(部分)101及び103を含むバルブ構造11の開閉動作(又は開放周波数)は、空気波AWと同期し、これは、動作周波数fCYとさらに同期する。バルブ構造/部分の開閉動作が作動周波数fCYと同期していることは、バルブ部分/構造の開閉動作が、作動周波数fCY又は(M/N)*fCYの周波数で(好ましくは)実行されることを意味し、ここで、M及びNは共に整数である。開閉、上下、形成する及び形成しない運動については、後で詳しく説明する。以下の説明では、バルブ101/103は、簡潔にするためにバルブ部分101/103と称され得る。
バルブ開度の機能は、気流に対する抵抗ZVALVEがバルブ開度によって制御される可変抵抗のものと同様である。バルブが閉じられるとき、すなわち、Z101<ZO/C又はZ103<ZO/Cであるとき、ZVALVEの大きさは高い(Hi-Z)。バルブが開いているとき、すなわちZ101>ZO/C又はZ103>ZO/Cであるとき、ZVALVEの大きさは開度、又はZ101-ZO/C及びZ101-ZO/Cに反比例する。バルブが広く開くほど、ZVALVEの値は低くなり、所与のチャンバ内圧に対する空気流量は高くなる。
チャンバ共振
側壁804L及び804Rが、反射壁として機能し得ることを考えると、膜構造12によって生成される空気波AWは、入射波及び反射波を含み得ることに留意されたい。一実施形態では、W105として示されるチャンバ105の幅、又は側壁804Lと804Rとの間の距離は、入射波及び反射波が集められ、チャンバ105内で定在波を形成され得るように設計され得る。
一実施形態では、側壁804Lと804Rとの間の距離又は幅W105は、空気波AWの動作周波数fCYに対応する半波長(λ/2)の整数倍に等しくてよく、λ=C/fCY、Cは音速である。
一実施形態では、側壁804Lと804Rとの間の距離又は幅W105は、基本モード共振又は1次高調波共振とも呼ばれる1次(1st)モード(又はn=1モード)共振がチャンバ105内に形成されるように設計され得る。この場合、1つの空気運動の腹(air-motion antinode)(振幅がピークに達する)のみがチャンバ105内に存在する(チャンバ105の中央にあり得る);2つの空気運動の節(振幅が0に近い)のみが、側壁804L及び804Rに位置する;1つの空気圧の節のみがチャンバ105内に存在し(チャンバ105の中央に位置し得る);2つの空気圧の腹のみが、側壁804L及び804Rに位置する。
ここで、チャンバ共振又は定在波の観点では、空気運動の腹は、空気分子の速度/変位の振幅がチャンバ内のX軸にわたる空気運動において最大に達する位置を表し;空気運動の節は、空気分子の速度/変位の振幅がチャンバ内のX軸にわたる空気運動において最小に達する位置を表し(通常、0の運動);空気圧の腹は、空気圧の変動の振幅がチャンバ内のX軸にわたる空気圧において最大に達する位置を表し;空気圧の節は、空気圧の変動の振幅がチャンバ内のX軸にわたる空気圧において最小に達する位置を表す。
図1において、曲線U102は、異なる時間におけるX方向に分布した空気粒子の変位を概略的に表し、曲線W102は、異なる時間におけるチャンバ内の圧力分布を概略的に表す。例えば、曲線U102及びW102の破線は時間t0に対応し、曲線U102及びW102の実線は時間t1に対応する。図1のP0は、周囲圧力を指し得、これは1気圧であり得る。一実施形態では、1次モード(又はn=1モード)共振を達成するために、側壁804Lと804Rとの間の距離又は幅W105は、空気波AWの動作周波数fCYに対応する半波長(λCY/2)であり得る。
101/103のバルブ移動の詳細は、図16にさらに示される。時間t0において(又はt=t0のとき)、バルブ101は、開口112が開く又は形成されるように上方に曲がるように作動され、バルブ103は、(実質的に)開口114をシールするように作動され得、これは、図16の上部に示されるように、開口114が閉じているか又は形成されていないことを意味する。一方、時間t1において(又はt=t1のとき)、バルブ101は、開口112を(実質的に)シールするように作動され得、これは、開口112が閉じているか又は形成されていないことを意味し、バルブ103は、図16の底部に示すように、開口114が開かれるか又は形成されるように、上方に曲がるように作動される。一実施形態では、ある時点t2において(又はt=t2、ここでt2≠t0且つt2≠t1)、バルブ101及び103は、図16の中央に示すように、開口112及び114がほとんど開かれないか、又はほとんど閉じない状態にあり、図2に示すように、それぞれZ101=ZO/C及びZ103=ZO/Cに対応する。
図2は、本出願の一実施形態による複数の波形の概略図である。波形Z101は、バルブ部分101の自由移動端のZ方向における変位を概略的に表し;一方、波形Z103は、バルブ部分103の自由移動端のZ方向における変位を概略的に表す。ZO/Cはあるレベルの変位を表し、サフィックスO/Cは、開状態と閉状態を区切る線を表す。バルブZ101の自由移動端の変位が変位レベルZO/Cより大きい(上である)場合、開口112が形成される又はバルブ101が開く。バルブZ103の自由移動端の変位が変位レベルZO/Cより大きい場合、開口114が形成される又はバルブ103が開く。バルブZ101の自由移動端の変位が変位レベルZO/Cより小さい(下である)場合、開口112は形成されない又はバルブ101は閉じられる。バルブZ103の自由移動端の変位が変位レベルZO/Cより小さい場合、開口114が形成されない又はバルブ103が閉じられる。
波形P112は、開口112(チャンバ105内)における空気圧を概略的に表す。波形P114は、開口114(チャンバ105内)における空気圧を概略的に表す。波形Z102aは、膜部分102aの変位を表し、これは、P112と同様の波形を共有し得る。波形Z102bは、膜部分102bの変位を表し、これはP114と同様の波形を共有し得る。波形P707Lは、ポート707L(チャンバ105の外)における空気圧(又は空気圧に類似した量)を概略的に表す。波形P707Rは、ポート707R(チャンバ105の外)における空気圧(又は空気圧に類似した量)を概略的に表す。波形P890は、P707L及びP707Rの合計/重ね合わせを表し、装置890の集約された軸上出力音圧(aggregated on-axis output acoustic pressure)に対応する。単位がμMのような長さである波形Z102a/Z102bは、一般に、単位がPaのような圧力である波形P112/P114とは異なる振幅を有する。しかしながら、図2の目的は、主として、動作の異なる部分間のタイミング関係を示すために、これらの波形は、簡略化のために図2にマージされる。
図3は、本出願の一実施形態による複数の信号の概略図である。SINは入力オーディオ信号を表す。S101/S103は、バルブ部分101/103を駆動するように構成されたバルブ駆動信号を表す。S102a/S102bは、膜部分102a/102bを駆動するように構成された膜駆動信号を表す。
AM変調波形
図2のプロット/波形P112及びP114から分かるように、P112及びP114は、振幅変調波形である/振幅変調波形を含み、振幅変調波形P112/P114は、一般に、キャリア成分及び変調成分の積として表され得る。通常、cos(2πfCYt)として表されるキャリア成分は、fCY=1/TCYである動作周波数fCYで振動し、ここで、fCYは動作サイクルを示す。m(t)として表される変調成分は、入力オーディオ信号SINに対応する振幅変調波形の包絡線(図2及び図3では点線で示されている)によって反映される。一実施形態では、変調成分m(t)は、入力オーディオ信号SINに対応し得る又は比例し得る。
振幅変調波形P112/P114は、パルス振幅変調駆動信号によって膜構造12を駆動することによって達成され得る。例えば、膜部分102a/102bを駆動する図3に示す膜駆動信号S102a/S102bは、入力オーディオ信号SINに従って生成されるパルス振幅変調信号である。
膜駆動信号
換言すれば、膜駆動信号S102aは、特定のバイアス電圧VBに対して複数の第1のパルスを含む第1のパルス振幅変調信号を含む。第1のパルスは、動作周波数fCYによって時間的に分布/配置される。同様に、膜駆動信号S102bは、バイアス電圧VBに対して複数の第2のパルスを含む第2のPAM信号を含む。第2のパルスは、動作周波数fCYによって時間的に分布/配置される。
加えて、第1のパルスは第1の遷移エッジ(transition edges)を含む;一方、第2のパルスは第2の遷移エッジを含む。PAM信号S102a内の第1のパルスの第1の遷移エッジは、PAM信号S102b内の第2のパルスの第2の遷移エッジと一致する。さらに、第1の遷移エッジ及び第2の遷移エッジのある一致する時間(coincidence time)において、第1の遷移エッジは第1の遷移極性に対応し、第2の遷移エッジは第2の遷移極性に対応する。第1遷移極性は、ある一致する時間において、第2遷移極性とは反対である。第1及び第2の遷移エッジの一致及び第1及び第2の遷移極性の反対の詳細は、本出願の図3を参照してもよく、又は米国特許第11,043,197号又は米国特許第11,051,108号を参照してもよく、これらは簡潔のために本明細書では説明しない。
なお、膜部分102a/102bを駆動する膜駆動信号S102a/S102bは、バイアス電圧VBに対してバイポーラ(又はダブルエンド(double-ended))であり、これに限定されるものではない。例えば、図4は、第2のタイプの膜駆動信号S102a’及びS102b’を示す。膜部分102a及び102bは、それぞれ、膜駆動信号S102a’及びS102b’によって駆動され得る。膜駆動信号S102a’及びS102b’は、バイアス電圧VBに対して単極性であるSEAM駆動信号であることに留意されたい。単極膜駆動信号S102a及びS102bと同様に、駆動信号S102a’内の第1のパルス及び駆動信号S102b’内の第2のパルスは、図4に示すように、相互にインターリーブされ(interleaved)、同時遷移エッジ及び反対の遷移極性を有する。単極SEAM駆動信号の詳細は、米国特許第10,771,893号を参照することができ、これは、簡潔のために本明細書では説明しない。
図4は、また、第3のタイプの膜駆動信号S102a”(下部の実線)及びS102b”(下部破線、S102a”)を示している。一実施形態では、膜部分102aは膜駆動信号S102a”によって駆動されてもよく、膜部分102bは膜駆動信号S102b”によって駆動されてもよい。膜駆動信号S102b”は、S102b”=VB-S102a”(式1)又はS102b”=-S102a”(式2)で表される式に従ってS102a”から得られ得る。言い換えれば、膜駆動信号S102a”とS102b”の和は定数であり得る。定数は、電圧レベルVB(式1が適用される場合)又は0V(式2が適用される場合)であり得る。膜駆動信号S102a及びS102bと同様に、駆動信号S102a”内の第1のパルス及び駆動信号S102b”内の第2のパルスは、同時(coincidence)遷移エッジ及び反対の遷移極性を有し、これらは図4から観察され得る。
圧力勾配
1つの観点では、第1のインターバル(動作サイクルのTCYの最初の半分であり得る)の間に、膜駆動信号対(S102a、S102b)/(S102a’、S102b’)/(S102a”、S102b”)を膜部分102a及び102bに適用することによって、膜部分102aは正のZ方向に移動するように作動され得、膜部分102bは負のZ方向に移動するように作動され得る。したがって、第1のインターバルの間に、膜部分102aは、チャンバ105内の第1の部分/容積105a(膜部分102aの上部)を圧縮するように作動され得、膜部分102bは、チャンバ105内の第2の部分/容積105b(膜部分102bの上部)を膨張するように作動され得、その結果、第1の部分/容積105aから第2の部分/容積105bへ向けて第1の空気圧勾配(図1においてブロック矢印116によって示される)が形成される。
逆に、第2のインターバル(動作サイクルTCYの第2の半分であり得る)の間、膜部分102bは、正のZ方向に移動するように作動され得、膜部分102aは負のZ方向に移動するように作動され得る。したがって、第2のインターバルの間、膜部分102bは、第2の部分/容積105bを圧縮するように作動され得、膜部分102aは、第1の部分/容積105aを拡張するように作動され得、その結果、第2の部分/容積105bから第1の部分/容積105aに向かって第2の空気圧勾配(116の反対、図1には示されていない)が形成され得る。
膜部分102a及び102bを含む膜構造12によって発生する空気圧勾配(例えば、図1に示す116)の圧力勾配方向は、図1に示すX方向と平行である。チャンバ105内を伝搬する空気波AWの伝搬方向もX方向と平行である。すなわち、圧力勾配方向は空気波伝搬方向と平行である。加えて、X方向に平行である圧力勾配方向は、膜構造12の膜変位方向に垂直、主にZ方向であり、膜変位方向とは、膜が、移動するように作動される方向を指す。したがって、圧力勾配方向は、XY平面、膜構造の平面に平行であり、膜変位(Z)の方向に直交する。作動又は変形される膜構造を考慮することによって、圧力勾配方向(膜構造によって発生する)は、膜構造に対して実質的に平行である及び/又は膜変位/移動の方向に対して実質的に垂直である/直交するとみなされ得る。
バルブ開放の空間的位置
チャンバ105内に定在波が形成されるとき、オーディオ出力効率を高めるために、開口(複数可)は、定在波の空気圧の腹(複数可)に又はその近傍に位置することが示唆される。空気パルス発生装置890に対して、開口は、空気/定在波のピークが達成される位置に空間的に形成され得、ここで、空気/定在波のピークは、(APPS用途の場合)空気圧の観点であり得る。
APPSに対して、チャンバ内の空気圧を単一変数関数p(x)又は2変数関数p(x,t)として表され得ると仮定し、ここで、xはX軸における変数を示し、tは時間軸における変数を示す。ピークは、1次(偏)微分がゼロである場所、すなわち、dp(x)/dx=0又は∂p(x,t)/∂x=0(バルブ開口の最適な空間的位置を求めるため)に対応し得る。言い換えれば、(ある固定された時間t0について)ピークは、X軸にわたって、p(x)/p(x,t0)の極大値又は極小値として解釈され得る。
この場合、空気パルス発生APPS装置890に対して、定在波の空気圧の腹が側壁804L及び804Rに位置するので、開口112及び114が側壁804L及び804Rの近傍に形成される。
バルブ開放の時間的アライメント
別の態様では、空気パルス発生効率を高めるために、図1の112及び114に示すように、空気波のピーク圧力がバルブ開口の位置で達成されるインターバル中に、バルブ開放(複数可)のタイミングが形成されることが示唆される。本明細書におけるピーク圧力タイミングは、チャンバ内の空気圧が単一変数関数p(t)又は2変数関数p(x,t)として表され得ることを前提として、1次(偏)時間微分がゼロである時間、すなわち、dp(t)/dt=0又は∂p(x,t)/∂x=0(バルブ開放の最適なタイミング、すなわち時間的挙動を求めるため)に対応し得る。換言すれば、(ある固定位置x0に対して、x0はバルブ開口112又は114の位置であり得る)ピークは、t軸にわたる、p(x)/p(x0、t)の極大値又は極小値として解釈され得る。
例えば、図2を参照すると、開口112が形成される(すなわち、バルブ部分101が開放されるように作動される又はバルブ101が開放される)時間インターバルは、プロットZ101内の点線領域として示され;開口114が形成される(すなわち、バルブ部分103が開放されるように作動される又はバルブ103が開放される)時間インターバルは、プロットZ103内のクロスハッチ領域として示される。開口112は(第1の)インターバルT1の間に形成され;一方、開口114は(第2の)インターバルT2の間に形成される。インターバルT1及びT2の両方は、動作サイクルTCY内にあり、T1≦TCY、T2≦TCY且つT1+T2≦(1+d)×TCY、を意味し、ここでTCY=1/fCY且つd<0.5である。
効率を向上させるために、第1の開口112は、第1のインターバルT1内に形成され、その間、第1の位置(側壁804Lに対応する)における空気波AWの第1のピーク圧力pk1が達成され;第2の開口114は、第2のインターバルT2内に形成され、その間、第2の位置における空気波AWの第2のピーク圧力pk2が達成される。
一つの観点では、バルブ101及び103の開放周波数は、図2に示す実施形態では、動作周波数fCYに等しい。
なお、図2に示す実施形態では、第1のインターバルT1(バルブ101の開放インターバルを表す)は、動作サイクルTCYの半分をカバーし、第2のインターバルT2(バルブ103の開放インターバルを表す)は、動作サイクルTCYのもう1つの半分をカバーし、これは、T1=T2≒TCY/2(すなわち、インターバルTyの長さを、動作サイクルTCYの長さの半分に等しくさせると、Ty≒T1又はTy≒T2)ことを意味するが、これに限定されるものではない。インターバルT1又はT2は、TCY/2よりわずかに短い又は長くてよい(例えば、±10%又は±20%以内)。バルブ101の開放インターバルが第1のピークpk1をカバーし、バルブ103の開放インターバルが第2のピークpk2をカバーする限り、本出願の要件は満たされ、これは本出願の範囲内である。
さらに、第1のインターバルT1(バルブ101の開放インターバルを表す)は、膜の移動によって生成される空気圧P112が一定の圧力Pthより大きい/小さい間の第1の過圧/負圧(over/under-pressure)インターバルをカバーし得、第1の過圧/負圧インターバルは、図2に示す実施形態においてT1と重複する。同様に、第2のインターバルT2(バルブ103の開放インターバルを表す)は、膜の移動によって生成される空気圧P114は、特定の圧力Pthより大きい/小さい間の第2の過圧/負圧インターバルをカバーし得、第2の過圧/負圧インターバルは、図2に示す実施形態においてT2と重複する。この場合、空気パルス発生装置890は、バルブ開放インターバルT1及びT2の間に正/負の空気パルスを発生し、ここで、正/負の空気パルスは、バルブ開放インターバル(複数可)の間にチャンバ105から周囲に伝搬され得る。
図4の駆動波形S102a’/S102b’によって発生するAW圧力波は、単純なAMであり、図3の駆動波形S102a/S102b又は図4のS102a”/-S102a”によって発生するAW圧力波は、DSB-SC(両側波帯、抑制キャリア(double-sideband, suppress carrier))であることに留意されたい。図2に示されるタイミング関係は、単純なAM変調AW圧力波に対応し、ピークpk1、pk2はPthのラインを横切らない。しかし、DSB-SC変調AW圧力波については、pk1、pk2は、SINの極性が変化するときはいつでもPthのラインを横切り、このとき、過圧は、負圧となり、逆も同様である。
チャンバ内の全圧力は、2成分圧力を有し得ることに留意されたい:一つは膜の動きによって生じ、もう一つはバルブの動きによって生じる。両方の成分のいずれも定在波の形態であり得る。図2に示された圧力P112及びP114は、膜移動によって生じる成分圧力のみを指す。
同期バルブ開放
さらに、バルブ部分101は、複数の第1のバルブ開放インターバル内又は間に開口112を形成し得、空気圧P112は、複数の第1の過圧インターバル内又は間に特定の圧力Pthより大きくし得る。図2に示す実施形態では、複数の第1のバルブ開放インターバル(バルブ101の)及び複数の第1の過圧インターバル(圧力P112の)は、時間的に整列(aligned)又は重複され、第1のバルブ開放インターバル(バルブ101の)及び第1の過圧インターバル(圧力P112の)は、図2においてT1として注釈を付けられる。
同様に、バルブ部分103は、複数の第2のバルブ開放インターバル内又は間に開口114を形成し得、空気圧P114は、複数の第2の過圧インターバル内で特定の圧力Pthより大きくし得る。複数の第2のバルブ開放インターバル(バルブ103の)及び複数の第2の過圧インターバル(圧力P114の)は、また、時間的に整列又は重複され得、バルブ開放インターバル(バルブ103の)及び過圧インターバル(圧力P114の)は、図2のようにT2として注釈を付けられる。
本出願において、複数の第1の時間インターバルと複数の第2の時間インターバルとが時間的に整列又は重複していることは、1)複数の第1の時間インターバルと複数の第2の時間インターバルとが同じ周波数で時間的に配置(又は時間的に現れる)されていること、又は、2)第1の時間インターバル及び第1の時間インターバルと重複する第2の時間インターバルが、重複領域を形成し、重複領域の長さが第1の(又は第2の)時間インターバルの長さの少なくとも50%であることを指し得る。
バルブ開放インターバルと過圧インターバルとを整列させる(aligning)ことによって、空気パルス発生装置890は、開口112を介して、ポート707Lにおいて複数の第1の空気パルスAP1(図2ではP707Lとして示される)を生成し得、開口114を介して、ポート707Rにおいて複数の第2の空気パルスAP2(図2ではP707Rとして示される)を生成し得る。加えて、Z101/Z103のピークバルブ開放に対応する時間は、好ましくは、膜移動によって生成されるP112/P114のピーク圧力に対応する時間に整列される。
異なる観点では、図2のT1は、それぞれ:バルブ101の第1のバルブ開放インターバル(Z101の観点);容積105aから、膜部分102aの上に、容積105bに向かって、膜部分102bの上に向く圧力勾配(ベクトル)を作る、膜部分102a(Z102aの観点)及び102b(Z102bの観点)の第1の膜移動インターバル;第1の過圧インターバル(P112の観点);及びポート707Lにおける第1の空気パルスAP1の第1のデューティ期間を指し得る。同様に、図2のT2は、それぞれ:バルブ103の第2のバルブ開放インターバル(Z103’の観点);容積105bから、膜部分102bの上に、容積105aに向かって、膜部分102aの上に向く圧力勾配(ベクトル)を作る、膜部分102a(Z102a’の透視図)及び膜部分102b(Z102b’の観点)の第2の膜移動インターバル;第2の過圧インターバル(P114’の観点);及びポート707Rにおける第2の空気パルスAP2の第2のデューティ期間を指し得る。
図2は、バルブ101の第1のバルブ開放インターバル、第1のチャンバ圧力勾配インターバル、膜部分102a及び102bの移動、第1の過圧インターバル及び第1の空気圧パルスAP1の第1のデューティ期間が、時間的に整列(ピーク間)され、重複(周期的)されることを示す。同様に、バルブ103の第2のバルブ開放インターバル、第2のチャンバ圧力勾配インターバル、膜部分102a及び102bの移動、第2の過圧インターバル(P114’の観点)、及び第2の空気圧パルスAP2の第2のデューティ期間が、時間的に整列(ピーク間)され、重複(周期的)される。
2つの半波整流パルスを1つの全波整流パルスに組み合わせる
ある観点では、波形P112とP707Lとを比較することによって、P707Lは、バルブ101の移動Z101に関連するタイミング変動インピーダンスによって整流された、P112の半波整流バージョンとして解釈され得る。また、波形P114とP707Rとを比較することによって、P707Rは、バルブ103の移動Z103に関連するタイミング変動インピーダンスによって整流されたP114の半波整流バージョンと解釈され得る。波形P707L及びP707Rを加算し、装置890の軸上出力音圧を表す波形P890は、P112又はP114の全波整流バージョンとして解釈され得る。
プロットP707Lを参照すると、複数の第1の空気パルスAP1は、動作周波数fCYに対応する第1の(空気)パルスレートAPR1で生成される。プロットP707Rを参照すると、複数の第2の空気パルスAP2は、動作周波数fCYに対応する第2の(空気)パルスレートAPR2で生成される。
プロットP890を参照すると、第1の複数の空気パルスAP1及び第2の複数の空気パルスAP2は、時間的に且つ相互にインターリーブされるため、空気パルス発生装置890は、複数の集約空気パルス(aggregated air pules)APを生成すると解釈することができる。複数の集約空気パルスAPは、第1のパルスレートAPR1を有する第1の空気パルスAP1と、第2のパルスレートAPR2を有する第2の空気パルスAP2とを含む。集約空気パルスAPは全体的な(空気)パルスレートPROで生成される。
図2に示す実施形態のようにAPR1=APR2=fCYの条件下では、全体のパルスレートPROはパルスレートAPR1(又はAPR2)の2倍である。換言すれば、全体のパルスレートPROは、動作周波数fCYの2倍に対応する、すなわち、PRO=2*fCYであり、60Hzの110VAC正弦波波形が、全波整流後に120Hzの半正弦波形を生成する。ことに類似する。
AM無線復調とのアナロジー(Analogy)
ある観点では、膜移動の作用を、音信号によって振幅変調されたEM波を生成し、AMEM波を大気中に放射するAMラジオ局と比較することができる。EM波の代わりに、装置890は、振幅変調された超音波を生成し、そのようなAM超音波をチャンバ105に送信する。このような超音波は、バルブの位置で、チャンバ105の定在波構造(standing wave construct)によってさらに増幅される。チャンバ105の定在波構造は、導波管の節(複数可)及び腹(複数可)にポートを配置することによって信号強度が最大化されるEM導波管に類似している。次に、バルブの位置で受信された信号は、AM受信機の同期局部発振器に類似のバルブ(複数可)の周期的動作と、AM受信機のミキサーに類似のZVALVEの非線形特性とによって復調され、P112/P114をその対応するバルブのインピーダンスZVALVE(t)で割ることによって出力P707R/P707Rを生成する。
一例として、プロットZ101、P112、Z103、及びP114が単純化のために正弦波であると仮定すると、すなわち、インターリーブされる駆動信号S101、S103により、Z101∝sin(ωt)、Z103∝-sin(ωt)を有し;図1に示された例では、n=1の定在波により、P112とP114の間に位相反転があり、したがって、これらの2つの局所圧力は∝SIN・sin(ωt)、P114∝-SIN・sin(ωt)と表すことができ、ここで負符号「-」は180°の位相差を表し、ω=2πfCYである。Z101>ZO/Cの場合にZVALVE∝1/(Z101-ZO/C)及びそうでなければZVALVE=∞と仮定すると、P707Lは、Z101>ZO/CのときP707L∝SIN・sin2(ωt)、そうでなければP707L=0と表され得る。同様に、P707Rは、Z103>ZO/Cの場合P707R∝SIN・sin2(ωt)及びそうでばければP707R=0と表され得る。量P890は、P707L+P707Rであり、装置890によって生成されるオーディオ音を表す。P707L及びP707Rを置き換えた後、装置890が動作するすべての時間について、P890=P707L+P707R∝SIN・sin2(ωt)を得る。
SIN・sin(ωt)の数学的に表現を有するDSB-SC AM無線波形が、乗算器を使用して、同期局部発振器によって生成された搬送波信号sin(ωt)によって復調されると、結果は、SIN・sin(ωt)・sin(ωt)=SIN・sin2(ωt)と表すことができ、これは、上の段落で導出されたP890とまったく同じ数式であることに留意されたい。
当業者には知られているように、AM変調信号/波形SIN・sin(ωt)に復調信号sin(ωt)を乗じた後、得られた信号(すなわち、SIN・sin2(ωt))のエネルギの2/3はベースバンド内にあり、得られた信号のエネルギの1/3はキャリア周波数の2倍、すなわち2・ω又は2・fCYを中心とする周波数帯域上にある。例として、P890∝SIN・sin2(ωt)=SIN・(1/2-1/2cos(2ωt))(式3)と仮定した。式3の第1項1/2・SINの第1項は、ベースバンド上の復調成分を表し;一方、式3の第2項、1/2・SIN・cos(2ωt)は、超音波バンドの成分を表す。式3から分かるように、ベースバンド内の第1項の第1のエネルギは、第2項の第2のエネルギの2倍である。本明細書では、ベースバンドとは、入力オーディオ信号SINの周波数帯域を指し、このベースバンドは、人間の可聴周波数帯域をカバー/それと重複する。
図1(又は図6)では、バルブ101/103の下の酸化物基板の材料、膜部分102a/102bは、フォトリソグラフィプロセス/プロセス(複数)によって除去され得、サポート110及び壁111が形成され得る。非常に細い線のパターンによれば、Si又はPOLY層(複数可)が、開口/スリットを形成するためにエッチングされ得る。このようなスリットは、バルブ101/103上に自由移動端を形成する(例えば、これらのスリットは、バルブの自由移動端の変位がZO/Cを超えるとき、開口112/114を形成し得る)。代替的には、スリットは、(例えば、膜部分102a/102b上にスリット113a、113bを形成することによって)膜部分102a/102bのコンプライアンス(compliance)を増加させることができる。
図5は、図1に示される空気パルス発生装置890の上面図を示す概略図である。空気パルス発生装置890は、(オプションで)架橋ビーム(cross linked beams)871、872を含み得、(長い)バルブ101/103又は(長い)膜部分102a/102bを短い片に分解し、サポート110及び891を補強する。空気パルス発生装置890は、(オプションで)スロット873を有し得、これは、圧力が解放されるのを可能にするための空気流路として機能するように、膜部分上の1つのスリットを広げることによって形成され得る。ここで、スリットは、一般に、MEMS製造プロセスのエッチング分解能に対応する幅、例えば、厚さ3~7μMのSi膜にわたって0.5~1.8μMの幅を有し;スロットは、MEMS製造プロセスの限界に制限されないラインジオメトリ幅(line geometry width)を意味する。
高調波
高調波共振は、空気パルス発生装置において発生し得る。例えば、図7は、本出願の一実施形態による空気パルス発生装置850の断面図の概略図である。空気パルス発生装置850では、側壁804Lと804Rとの間の幅W105は、2次モード(又はn=2モード)共振を達成するために、動作周波数fCYに対応する1つの波長(λ)であり得る。2次モード共振では、2つの空気移動の腹(air-motion antinodes)がチャンバ105内に存在する(例えば、側壁804L又は側壁804Rのいずれかから幅W105の4分の1(1/4)の位置);3つの空気移動の節(air-motion nodes)がチャンバ105の中心及び側壁804L、804Rの近くに位置し;2つの空気圧の節がチャンバ105内に存在し(例えば、いずれかの側壁804L又は804Rから幅W105の4分の1(1/4)に/近くに);3つの空気圧の腹がチャンバ105の中心及び側壁804L、804Rの位置に位置する。経時的なチャンバ105内の圧力分布を概略的に表す曲線W102は、空気パルス発生装置830の膜部分102c及び102dの移動によって生じ得、中心線703に対して対称的であり得る。図7のW102に示すように、装置850のチャンバ105内にn=2モードの定在波が形成されるとき、膜102e及び102fをS102a”のような1つの共通波形と同期して駆動することによって、側壁804L及び804R近傍の空気圧波形は、互いに同相になり、チャンバ105の中心に同様の振幅の位相反転空気圧波形が生成される。したがって、空気圧の腹がチャンバ105(又は幅W105)の中心に位置するため、空気パルス発生装置850のバルブ開口112は、側壁804L及び804Rの間の中心位置に/その近傍に位置し得る。換言すれば、高調波共振(すなわち、n≧2)については、側壁804L及び804Rの隣に加えて、空気パルス発生オリフィス(複数可)の開口は、共振を引き起こす2つの側壁の間の任意の空気圧の腹に/近傍にあってもよい。
すぐ前の段落の同じ説明は、図6の装置830にも適用可能である。
図6の装置830、図7の装置850、又は図1の装置890のような空気パルス発生装置では、バルブ101及び103の復調動作は、連続するパルスにわたって蓄積する空気流のパルスを生成し、チャンバ105内の長時間にわたる正味の空気質量の変化を引き起こし、チャンバ105内の圧力P0を増加/減少させる。そのような背圧は出力SPLを低下させるので、このような圧力を解放することが示唆される。
図6の空気パルス発生装置830の場合、スリット開口113a*/113b*は、側壁804L/804RからW105/4離れて位置する空気圧の節に近接するように設計され得る。n=2定在波の空気圧の節のオーディオフィルタ効果により、P0を横切る波形W102によって示されるように、拡大されたスリット113a*/113b*は、バルブ開口112によって示されるバルブ101及び103の復調動作による圧力上昇を解放する間、装置830の動作に最小限の影響を与える。
チャンバW105の幅にわたるn=2モード共振に対応する周波数fCYでも動作する図7の空気パルス発生装置850の場合、膜102e及び102fはそれぞれ、それぞれのサポート110に取り付けられた薄いフラップの1つの単一片を含む。膜102c、102dがそれぞれスリット113a
*
及び113b
*
によって分離された2つのサブ部分から構成されている装置830における状況とは対照的に、装置850において、膜102e及び102fの自由な移動を可能にするように形成されたスリット112及び114が、装置850のチャンバ105内の空気圧の腹に位置するので、空気圧の漏れを抑制するために、これらのスリットの幅を最小化する必要がある。したがって、空気圧の節の位置に、例えば、側壁804L及び804Rから離れたW105/4の距離に、1つ又は複数のベント713Tを上部キャップ上に生成することができる。理論的には、1つのこのようなベントが背圧解放目的には十分であるが、チャンバ105内の空気圧の最適なバランスを考慮するためには、一般に、図7に示すように、一対のベント713Tを中央ミラー方式で配置するのがよい。
図1の空気パルス発生装置890の場合、バルブ112及び113からの音響音(例えば、音響音P890)の圧力パルスは、同じ極性を有し、これは、チャンバ105内の圧力P0を増減するために一緒に結合する。したがって、空気圧プロファイルW102がP0を通過する位置へのアライメントによって示されるように、空気圧の節に又はその近傍に位置する上部プレート上のベント開口713Tは、空気流が通過することを可能にするように形成され、バルブ101及び103の復調動作による圧力上昇を解放する。
ベント開口(複数可)713Tの長さ及び幅は、チャンバ105の容積と共に適切な音響ローパスフィルタ(LPF)を形成するように調整され得る。ベント開口(複数可)713Tの位置は、動作周波数fCYに対して、空気圧の腹(複数可)にあり得、定在波に対応する周波数成分の振幅がほぼゼロである。その結果、音響ノッチフィルタが形成され、振幅変調定在波に対応する圧力は、チャンバ105内のベント開口(複数可)713Tの近傍/そこで抑制され得、復調動作による圧力変化のみが、ベント開口(複数可)713Tの近傍/そこに存在し得る。2次モード共振で動作する装置(例えば、装置850)について、空気パルスのベント開口713Tは、1次モード共振で動作する装置(例えば、装置890)とは異なる、側壁804R及び804Lのいずれかから幅W105(W105/4)のほぼ4分の1に配置され得、ここで、(空気パルス発生装置890の)ベント開口713Tは、2つの側壁804R及び804Lの間の中間点近くにあり得る。
空気パルス発生装置850の構造は、異なる設計考察に従って変更され得る。例えば、膜102e/102fは、膜102a/102b又は102c/102dのように、2つの膜サブ部分、又は2ピースを有してもよいが、これらに限定されない。図6の102e/102fのような1ピース膜構造の最大Z方向変位は、チャンバ105内の空気圧力の漏れを回避するために、102e/102fの厚さ(Z方向値)よりかなり小さくする必要があることに留意されたい。対照的に、膜構造毎の2ピースでは、2つのサブ部分が常にタンデムに動くため、そのようなZ方向膜変位の制限は存在せず、より大きい変位が可能である可能性があり、したがって、ユニット-デバイス面積の有効性(unit-device-area effectiveness)(SPL/m)の改善につながる。
さらに、図7に示されたバルブ部分101及び103は、仮想バルブとみなされ得る。換言すれば、バルブ部分101と103との間に形成されたスリットは、バルブ部分101と103とが十分に作動されると、一時的に形成/開放されたバルブ開口(112’)となり得る。加えて、一時的に形成/開放されたバルブ開口は周期的に形成される。開口が開放されるとき、チャンバ及び周囲環境は開口(112’)を介して接続される。開口が開放されていないとき、スリットを通って流れる空気は無視できる又は閾値未満である。仮想バルブ(一時的に形成された開口)の詳細は、米国特許第11,043,197号を参照することができるが、これは簡潔のために本明細書では説明しない。
加えて、図1に示す装置890と同様に、膜移動及び定在波の性質を介して、装置850内に圧力勾配も生成される。装置890とは異なり、膜部分102e及び102fは、同相様式で移動するように作動され、ある時間において、膜部分102e及び102fの両方が、上方(又は下方)に移動するように作動されることを指す。この場合、圧力勾配はまた、n=2定在波の性質を利用することによっても確立される。図1の説明と同様に、図7では、曲線U102及びW102の破線は時間t0に対応し、曲線U102及びW102の実線は時間t1に対応する。時間t0において、膜部分102e及び102fは、上方(正のZ方向)に移動するように作動され、圧力勾配は、W102の破線の勾配によって示されるように、内方(X方向)に発生する。時間t1において、膜部分102e及び102fは、下方(負のZ方向)に移動するように作動され、圧力勾配は、W102の実線の勾配によって示されるように、外方(X方向)に発生する。同様に、膜移動方向は、圧力勾配方向に実質的に垂直である。
空気移動又はファン用途
装置890/830/850の構造/機構は、空気移動又はファン用途のために再生/適合され得る。音速Cで伝わる音波とは異なり、空気の運動は、風のもののように、空気の粒子の運動に関係する空気の流れであり、空気パルス発生装置890/830/850の膜部分102a~102d/102に対応する、膜部分(複数可)の変位によって生じる。これらの装置の空気移動又はファン用途/モードでは、装置内の空気粒子は、主として流体力学又は空気力学に従って記述され得;対照的に、これらの装置の空気パルス(APPS)発生用途/モードでは、装置内の空気の挙動は、主として音響学に従って記述され得る。
空気移動又はファン用途のために、装置890/830/850に示される開口112及び114のようなバルブ開口は、空気移動が最大化されるように、ある場所に空間的に、及び時間において一時的に形成され得、空気移動のピークは、移動される空気の速度又は移動される空気の体積の観点であり得る。
空気流発生又はファン用途のための装置の駆動信号(複数可)は、APPS用途とは異なる。例えば、空気移動又はファン用途では、装置890は、チャンバ105内の容積と装置890外の周囲との間に圧力差を作り出すために、膜102a及び102bの両方に同じ駆動信号を印加することによって、同期して移動するようにその2つの膜(102a及び102b)を作動させ得る。対照的に、APPS用途では、装置890は、チャンバ105内で、2つの膜の上に圧力勾配(ベクトル116)を作り出すために、2つのインターリーブ(S102a/S102bなど)又は極性反転(S102a”、-S102a”など)駆動信号を膜102a及び102bに印加することによって、(Z軸に沿って)反対方向に、同期して移動するように、2つの膜(102a及び102b)を作動させる。
これらの2つの動作モードの間の重要な相違は、装置のチャンバ寸法と動作周波数の間の異なる関係にある。APPS用途のための装置890/830/850に関連して記載されるように、動作周波数は、チャンバ内でモードnの定在波を生成するように選択され得る。換言すれば、動作周波数fCYは、式W105=n/2・λCYによってチャンバ幅W105に関係し、ここで、λCY=C/fCYは、fCYの特性長又は波長であり、nは、1~3のような小さい正の整数である。一方、装置890/830/850の空気移動又はファン用途について、膜移動の空気流への変換率(conversion rate)は、一般に、比λCY/Wchamberが増加するにつれて増加し、ここで、Wchamberは、空気パルス発生装置890/830/850のチャンバ105の幅、W105に対応する装置のチャンバ幅である。換言すれば、膜移動の気流への変換率は、典型的には、(空気パルス発生装置890/830/850のチャンバ105に対応する)空気移動又はファン用途のための空気流発生装置のチャンバ内の圧力がより均一になると、増加し、空気パルス発生装置890/830/850の圧力勾配(又はチャンバ105内の圧力の不均一性)を最大化するための要望とは正反対である。
例えば、空気パルス発生装置890では、カンチレバービームの共振周波数fは、f∝1/L3によって、その長さLに関連し得るので、96KHzの動作周波数でW105=λCY=3.6mmである。一方、空気移動用又はファン用途のための空気パルス発生装置の動作周波数を96KHzから24KHzに低くし、空気移動用又はファン用途のための空気パルス発生装置の膜部分(複数可)及びバルブ部分(複数可)両方の共振周波数も24KHzに低くすることにより、膜部分の幅は0.94mmから1.44mmに増加し得、バルブ部分の幅は0.46mmから0.73mm増加し得、結果として得られるチャンバの幅は2×(0.1+0.73+0.2)+1.44=3.5mmとなり得、これは、24KHzの周波数における14.6mmの波長よりもずっと短く、膜移動の空気流への高い変換率を示す。したがって、ほぼ同一の断面図にもかかわらず、膜部分(複数可)及びバルブ部分(複数可)の両方に対して24KHzの共振周波数を有する空気移動又はファン用途のための空気パルス発生装置及び空気移動又はファン用途のための空気パルス発生装置の両方を24KHzで同じ波形で駆動することは、空気移動用途に適し得るが、膜部分102a及び102bがインターリーブされた波形S102a’、S102b’又は対称の波形S102a”、-S102a”によって駆動され、各動作サイクルTCYにわたってほぼ0の正味の空気移動を生成する空気パルス発生装置890は、音生成用途に最適化され得、空気移動装置としては適していない可能性がある。
要するに、装置890の膜部分102a/102b又は102c/102dの対称的な膜変位が、APPS用途のためのチャンバ内圧力勾配を最大化するために使用され得るが、(同じ極性の信号で膜部分を駆動することによって)同期/同一の膜変位が、膜移動の気流への変換率を最大化するために採用され得る。別の観点では、APPS用途に対して、チャンバ幅(X方向の)W105は、チャンバ共振(すなわち、定在波)を利用することによってその音響出力を最大化するために、n/2×λCY(ここで、nは小さい正の整数)に等しいか又は近くてもよく;一方、空気移動用途に対して、空気移動又はファン用途のための空気パルス発生装置のチャンバ幅(X方向の)は、膜移動の空気流への変換率を最大化するために、λCY/2よりもはるかに小さくてもよい。
異なる構造的実施形態(空気パルス発生)装置は、以下の段落に記載されている。例えば、図8は、本出願の一実施形態による空気パルス発生装置880の断面図の概略図である。空気パルス発生装置880の膜構造12は、1つの膜部分を含み、これは、膜サブ部(membrane subparts)102e’、102f’及び102gに分割される。膜サブ部102e’及び102gは、膜部分上のスリット113e及び113fに従って区別され得る。膜サブ部102e’及び102gを有する空気パルス発生装置880の膜構造12は、空気パルス発生装置890の膜部分102a及び102b(又は空気パルス発生装置830の膜部分102c及び102d)として働き得る/機能し得る。
APPS用途では、膜サブ部102e’及び102gは、膜駆動信号の対(S102a、S102b)/(S102a’、S102b’)/(S102a、S102b’)に類似した膜駆動信号の対によって駆動され得、その結果、膜サブ部102e’及び102gは、対称的な膜変位を有するためにほぼ反対に移動し得る。下向きに曲がる膜部分102a及び上向きに曲がる膜部分102bと同様に、膜サブ部102e’及び102f’は下向きに曲がるように凹状に湾曲され得、膜サブ部102f’及び102gは上向きに曲がるように凸状に湾曲され得、逆も同様である。
図9は、本出願の一実施形態による空気パルス発生装置800の断面図の概略図である。空気パルス発生装置800の膜構造12は、膜部分102g及び102hを含み、これらは、空気パルス発生装置800の中心でサポート110上に固定される。膜部分102g及び102hのスリット/先端は、側壁804L及び804Rに近接して位置する。
空気パルス発生装置890/830/850/880のバルブ101及び103は、空気パルス発生装置800には存在しない。膜部分102g及び102hは、膜駆動信号の対(S102a、S102b)/(S102a’、S102b’)/(S102a”、S102b”)により駆動されるとき、膜部分102g及び102hは、空気パルス発生装置890のバルブ101、103の開口112、114のAM超音波キャリア整流機能を実行するために膜部分102g、102hと壁111との間のスリットを利用することによって、空気パルス発生装置890のバルブ101、103の圧力調整機能及び空気パルス発生装置890の膜部分102a、102bの圧力発生機能を提供し得る。
その結果、膜部分102gは、バルブ101の開口112として機能する開口112gを形成するように振動し得、その間に、圧力の最大/最小の変化(例えば、第1のピーク圧力pk1)を生成し得る。膜部分102hは、バルブ103の開口114として機能する開口114hを形成するように振動することができ、その間に、圧力の最大/最小の変化(例えば、第2のピーク圧力pk2)を生成し得る。
空気圧波形P707Lは、Z102a>ZO/Cのとき、P707L∝(SIN・sin(ωt)+Z0AC)2、そうでなければP707L=0と表され得る。Z102b>ZO/Cのとき、空気圧波形P707R∝(SIN・sin(ωt)+Z0AC)2、そうでなければP707R=0と表され得る。ここで、波形Z102a、Z102bは、それぞれ、膜部分102g、102hの変位を表し;波形P707L、P707Rは、それぞれ、ポート707L、707Rにおける(チャンバ105外の)空気圧を表す。
負のバイアス電圧が、膜部分102g/102hのアクチュエータ(複数可)の底部電極(複数可)に印加され、その結果、入力AC電圧が0Vのとき、Z方向における膜部分102g/102hの(先端の)位置が、変位レベルZO/Cと等しくなる又はわずかに上回るように持ち上げられる。言い換えれば、Z0ACは正であり得る。入力AC電圧が0Vのときに、Z方向における膜部分102g/102hの(先端の)位置が変位レベルZO/C未満である場合、Z0ACは負であり得、低レベル入力信号(複数可)に対してクラスBアンプと同様のクリッピング現象が発生し得る。クリッピング現象では、膜部分102g/102hが完全に開かないことがある。
Z0ACが正の数である場合、空気パルス発生装置800の集約された軸上出力音圧(すなわち、P800=P707R+P707L)は、次のように表され得る:
P800∝(SIN・sin(ω・t)+Z0AC)2+(SIN・sin(-ω・t)+Z0AC)2=SIN
2・(1-cos2(2ω・t))+2・Z0AC
2、|SIN・sin(ω・t)|<Z0ACのとき(式5a)、
P800∝(SIN・sin(ω・t)+Z0AC)2≒1/2sin2・(1-cos2(2ω・t))+2・SIN・sin(ω・t)・Z0AC、|SIN・sin(ω・t)|≫Z0ACの場合(式5b)、及び
P800∝(SIN・sin(ω・t))2≒1/2sin2・(1-cos2(2ω・t))、Z0AC→0+の場合(式5c)。
Z0ACは、入力AC電圧が0Vのときの変位レベルZO/Cに対する膜の変位量である。
実施形態において、Z0ACは、式5aの第2項2・Z0AC
2及び式5bの不可聴の第2項2・SIN・sin(ω・t)・Z0ACを減少させるために小さい正の値に設定され得る。例えば、Z0ACは、最大膜変位の1%~10%の間の範囲であり得る。
一実施形態では、式5a~5cにおけるSIN
2の非線形性を補償するために、線形性補償がホストプロセッサ内に埋め込まれたDSP機能ブロックによって実行され得る。
Z0ACを小さい正の値に設定することにより、入力AC電圧が0Vであるとき、膜部分102g/102hはわずかに開き得る。膜駆動信号(S102a、S102b)/(S102a’、S102b’)/(S102a”、S102b”)の対称性を考慮すると、開口112g、114hの少なくとも1つは、任意の時点でわずかに開き得る/形成され得る。したがって、開口112g、114hの整流効果によるチャンバ105内の圧力変化は、均衡され得、ベント開口(複数可)713T又はより広いスリット開口(113a*/113b*)は、空気パルス発生装置800に存在しない。
空気パルス発生装置800では、共振がチャンバ105内で生じるか否かにかかわらず、全波整流及び同期復調の効果が、空気パルス発生装置800によって生成され得る。側壁804L及び804Rにおいて又はそれらの近くにおいて最大音圧を生成するための定在波がなくても、そのような最大音圧は、単に、膜部分102g、102hの開口112g、114hの物理的位置、及び、側壁804L及び804Rの付近において最大変位を生じさせるように膜部分102g、102hのアクチュエータを駆動する対称的な膜駆動信号(S102a、S102b)/(S102a’、S102b’)/(S102a”、S102b”)の結果として生じ得る。例えば、膜部分102gは、局所的な圧力を最大化するためにチャンバ105内の第1の部分/容積105a(膜部分102gの上部)を圧縮するように作動され得る。膜部分102hは、局所的な圧力を最小化するためにチャンバ105内の第2の部分/容積105b(膜部分102hの上部)を膨張させるように作動され得る。部分/容積105a及び105b内の時間にわたる圧力プロファイルは、1次モード共振における定在波のものと同一であり得る。換言すれば、空気パルス発生装置800は、チャンバ105の共振なしに、全波整流及び同期復調を達成し得、それによって、空気パルス発生装置の設計における柔軟性を高める。
空気パルス発生装置800において、共振が発生する場合、空気パルス発生装置800の出力は、そのような共振の定在波から利益を得ることができる。例えば、空気パルス発生装置800のチャンバ105の幅W105が、動作周波数fCYに対応する波長の半分(λ/2)に等しい場合、定在波のものと同様の圧力プロファイルが、膜部分102g及び102hの移動によって確立され得、したがって、チャンバ105内に既に確立されている定在波によって引き起こされる出力を高める。
エンクロージャレス(Enclosure-less)
空気パルス発生装置890/850/830は、従来のスピーカ(すなわち、前方放射及び位相反転後方放射)によって生成されるような位相外れベースバンド放射の対(a pair of out-of-phase baseband radiations)を生成しないので、空気パルス発生装置890/850/830は、従来のスピーカが行うように、いかなる背面(back)エンクロージャ(その目的は、後方放射を封じ込めるか又は変形し、位相反転後方放射が前方放射を相殺しないようにすることである)も必要としない。したがって、音を発生する空気パルス発生装置890/850/830は、エンクロージャレスとすることができる。
装置890の場合、チャンバ105の1次モード共振及びバルブ開放のインターリーブタイミングを利用することによって、空気パルス発生装置890は、位相が180°ずれている代わりに位相が同調している2つの放射を生成する。バルブ101/103の開放タイミング(図2ではZ101/Z103で示されている)と圧力波P112/P114との間の適切なタイミングアライメントにより、音響エネルギの位相が適切に整合され、超音波放射がベースバンド出力SPLを2倍にするように変換され、全音響エネルギの利用率を増加させ、エンクロージャの必要性を排除しながら、超音波AM信号の効果的な復調を達成する。
音響フィルタ
空気パルス発生装置の前に音響フィルタが追加され得る。例えば、図10は、本出願の一実施形態による構成A00内に配置された空気パルス発生装置890の概略図である。図11は、本出願の一実施形態による構成A30内に配置された空気パルス発生装置890の概略図である。空気パルス発生装置890のポート707L及び707Rで測定される音響空気圧(acoustic air pressure)は、復調されたAM超音波P707L及びP707Rだけでなく、バルブ101及び103の運動によって生成される超音波も含み得る。バルブ101及び103の対称的な動きは、双極子として特徴付けられ得る。バルブ101及び103の運動によって発生する超音波の重畳は、バルブ101及び103の面に沿ってピークとなり、側壁804L及び804Rの間の中心面上でゼロとなる。構成A00/A30は、バルブ101及び103の運動によって発生する超音波を最小化するように構成され得、したがって音響フィルタとして機能し得る。
図10では、構成A00は、バルブ101/103の運動によって発生する超音波をフィルタリングして除去するように構成されたファンネル構造A05を含み得る。ファンネル構造A05は、構成A00の内側に広い開口、傾斜した側面、及び構成A00の外側付近に狭い管を有し得る。ファンネル構造A05の広い開口は、チャンバ105の幅W105よりも小さくてもよい。ファンネル構造A05は、ポート707L及び707Rからの出力を合体させ、バルブ101及び103の対称的な動きによって生じた超音波を互いに消滅させ、波P890を残し、これは、波P770L及びP770Rの和/重畳である。
図11では、構成A30は、構成A30のための出力ポートとして機能するポートA07及び外部チャンバA06を含み得る。外部チャンバA06の側壁A06T、A06B間の幅Wa06は、チャンバ105の幅W105(例えば、λCYの半分)に等しくてよく、その結果、定在波は、周波数fCY(1次モード共振の場合)及び周波数2・fCY(2次モード共振の場合)の両方で発生し得る。ポートA07の幅Wa07は、チャンバ105の幅W105よりも小さくてもよい。ポートA07の幅Wa07は、チャンバ105の幅W105の半分又はλCYの4分の1に等しくてもよい。
構成A30は、バルブ101/103の運動によって発生する超音波をフィルタリングして除去するように構成される。周波数fCYを有するバルブ101及び103の対称運動によって発生する超音波に対しては、音響エネルギは、側壁A06TとA06Bとの間の中間点に/中間点の近傍に空気圧の節を有する外部チャンバA06の1次モード共振に存在してもよく、定在波の圧力は、ポートA07の幅Wa07にわたってゼロに結合され得る。パルスレート2・fCYを有する音波P890については、音響エネルギは、ポートA07の中心でもある側壁A06TとA06Bとの間の中間点に/中間点付近に空気圧の腹を有する外部チャンバA06の2次モードに存在し得、定在波の圧力がポートA07の幅Wa07にわたって積分されたときに最大出力圧力が発生し得る。2つの異なる共振モードを利用することによって、外部チャンバA06は、1次モード共振によって周波数fCYにおける超音波スペクトル成分を除去し、2次モード共振によって周波数2・fCYにおける超音波スペクトル成分(すなわち、波P890)を通過させ得る。
図11では、構成A30は、疎水性材料で作製され得るフィルムA08を含み得る。フィルムA08は、保護手段(塵埃、蒸気及び水分の侵入を防止するため)及び音響抵抗(外部チャンバA06の容積でローパスフィルタを形成することによって、周波数2・fCYで残りの超音波スペクトル成分を減衰させるために)として機能するために、ポートA07内に配置され得る。
図12は、本出願の一実施形態によるモバイルデバイスA60の概略図である。各々が空気パルス発生装置890/850/830のいずれかであり得る2つの空気パルス発生装置A02及びA03はが、スマートフォン又はノートパッドのようなモバイルデバイスA60のエッジA01上に取り付けられる。空気パルス発生装置A02、A04のポート707L及び707Rは、外側に向き得、空気パルス発生装置A02、A03によって生成される超音波は、オリフィスアレイA04、A05を通過し得る。モバイルデバイスA60は、構成A00又はA30の構造を利用して、バルブ101及び103の運動によって生成された周波数fCYにおいて超音波スペクトル成分を除去し、一方、周波数2・fCYの波P890を通過させることを可能にする構成A30のフィルムA08は、周波数2・fCY付近の残りの超音波スペクトル成分をさらに低減し得る。
図13は、本出願の一実施形態による空気パルス発生装置300の断面図の概略図である。空気パルス発生装置890と同様に、空気パルス発生装置300のチャンバ105によって定在波が形成されるとき、空気パルス発生装置300の膜部分102c、102dの動きは対称的であり、ほぼ0の正味の空気移動を生成し得る。各動作サイクルTCYにわたるほぼ0の正味の空気移動のために、膜部分102c/102dによってもたらされるエネルギの大部分は、音響エネルギ(空気圧勾配又は定在波の形態)となり、ほぼゼロのエネルギは、運動エネルギ(空気質量移動、すなわち、風)となる。
図14は、本出願の一実施形態による、装置の1つのポートから別のポートへ空気容積を移動させるための空気移動装置100の断面図の概略図である。
空気パルス発生装置850/890とは対照的に、空気流発生装置100の膜102の振動周波数は、チャンバ105の幅よりはるかに大きい波長λを生成し、チャンバ105内の圧力は均一であると考えられ得る。インターリーブされたバルブ駆動信号S101/S103は、バルブ部分101/103を時間インターリーブ方式で、又は180°位相がずれて開き、ポート107からポート108へ、又はポート108からポート107へのいずれかの空気移動を生じるように構成され得る。例えば、膜102がチャンバ105内の容積を圧縮するために正のZ方向(+Z方向)に移動するときに、バルブ101/103が開き、バルブ103/101が閉じられる場合、空気は、ポート107/108を介してチャンバ105から流出する。逆に、膜102がチャンバ105の容積を拡大するために負のZ方向(-Z方向)に移動するときに、バルブ101/103が開かれ、バルブ103/101が閉じる場合、空気はポート107/108を介してチャンバ105に流入する。
空気移動装置100のキャップ104は、放熱板/パッドとして機能し、これらに限定されるものではないがノートブック中央処理装置(CPU)又はスマートフォンアプリケーションプロセッサ(複数可)(AP)などの熱発生部品と物理的に接触する。キャップ104は、アルミニウム又は銅などの熱伝導性材料で作られ得る。熱伝達効率を改善するために、チャンバ105内のキャップ104の表面に、細かいフィン(図示せず)が形成されてもよいが、これに限定されない。
特に、空気パルス発生装置850/890では、空気装置100/300のキャップ104は、上部プレート804T及び側壁としても機能するスペーサ804L、804Rに置き換えられる。上部プレート804Tは、プリント回路基板(PCB)又はランドグリッドアレイ(LGA)基板であり得、基板109又はプレート115上に他の方法で配置され得る金属トレース、ビア及び接触パッドを含む。厚さは、上部プレート804Tで0.2~0.3mm、側壁804L/804Rで0.05~0.15mm、壁111で0.25~0.35mmである。空気パルス発生装置の総厚は、0.6~0.8mmであり得るが、これに限定されない。
さらに、米国特許第10,536,770号に開示されているパルスインターリーブ概念を本出願に適用することもできる。換言すれば、APPS用の超音波音響パルスを生成する間に、音質を改善するために、一実施形態では、複数の空気パルス発生装置(例えば、複数の空気パルス発生装置100)が、1つの単一の空気パルス発生装置を形成するように一緒にカスケード接続され得る。空気パルス発生装置100のための駆動信号(例えば、膜駆動信号S102a/S102b/S102又はバルブ駆動信号S101/S103)は、インターリーブされたグループを形成するようにインターリーブされ得、人の可聴帯域から離れたところで、結果として、有効空気パルスレートを2倍高い周波数まで上昇させ得る。例えば、1つの空気パルス発生装置100の膜駆動信号のパルスは、別の空気パルス発生装置100の膜駆動信号のパルスとインターリーブされ得、その結果、1つの空気パルス発生装置100の集約空気パルスは、有効空気パルスレートを増加させるように、別の空気パルス発生装置100の集約空気パルスとインターリーブされ得る。代替的に、1つの空気パルス発生装置100の膜駆動信号の各パルスは、他の空気パルス発生装置100の膜駆動信号の2つの連続パルスの間の中間点に/その近傍に位置し、その結果、1つの空気パルス発生装置100の各集約空気パルスは、有効空気パルスレートを増加させるように、他の空気パルス発生装置100の2つの連続集約空気パルスの中間点に/その近傍に位置し得る。一実施形態では、各々が24KHzの動作周波数TCYで動作するように設計された2つの空気パルス発生装置100は、並んで配置される又は背中合わせに(back-to-back)取り付けられ、インターリーブ方式で駆動され得、その結果、有効空気パルスレートが48KHzになる。
例示的に、図15は、本出願の一実施形態による空気パルス発生装置400の概略図である。空気パルス発生装置400は、背中合わせに積み重ねられた2つの空気パルス発生装置100及び100’とみなされ得る。空気パルス発生装置400において、2つの空気パルス発生装置100及び100’の2つのチャンバ105及び105’は、空気パルス発生装置400のチャンバ106を形成するように、開口116を介して互いに接続される。
空気パルス発生装置400は、第1のバルブ部分101、第2のバルブ部分103、第3のバルブ部分101’、及び第4のバルブ部分103’を有し得る。バルブ部分101が壁111に固定される第1のアンカーと、バルブ部分103が壁111に固定される第2のアンカーとは、X方向に整列し;一方、第1のアンカーとバルブ部分101’が壁111に固定される第3のアンカーとは、Z方向に整列する。バルブ部分101及び103(又はバルブ部分101’及び103’)は、YZ平面に対して対称であり;一方、バルブ部分101及び101’に印加されるバルブ駆動信号S101(又はS103)がゼロに低下したとき、(非作動の)バルブ部分101及び101’(又はバルブ部分103及び103’)は、YZ平面に対して平行でない第2の平面(例えば、XY平面)に対して対称である。バルブ部分101及び101’(又はバルブ部分103及び103’)は、非共平面であり、一方、(非作動の)バルブ部分101及び103(又はバルブ部分101’及び103’)は、
バルブ部分101及び103に印加されるバルブ駆動信号S101及びS103がゼロに低下するとき、共平面であり得る。
APPS用途の一実施形態では、2つの空気パルス発生装置100の駆動信号をインターリーブすることによって、空気パルス発生装置400の膜部分102(又はバルブ部分101、103)の変位プロファイル(複数可)は、空気パルス発生装置400の膜部分102’(又はバルブ部分101’、103’)の変位プロファイル(複数可)と鏡面対称(mirror symmetric)であり得る。代替的には、2つの空気パルス発生装置100の駆動信号をインターリーブ又は反転することによって、空気パルス発生装置400の膜部分102(又はバルブ部分101、103)の変位プロファイル(複数可)は、空気パルス発生装置400の膜部分102’及び(又はバルブ部分101’、103’)の変位プロファイル(複数可)と同じであり得、その結果、膜部分102の変位(の方向及び大きさ)は、膜部分102’の変位(の方向及び大きさ)と等しくなり、チャンバ106内の圧力変動を相殺させる。膜部分102は、膜部分102’に平行であり得る(又は整合するためにオフセットされ得る)。
空気移動用途の一実施形態では、特性長λCYは、一般に、空気パルス発生装置400の寸法よりはるかに長い。膜部分102の変位は、膜部分102’の変位と等しくなり得るので、空気パルス発生装置400は、1つの膜部分のみを含み得、膜部分102、102’の1つが除去され得、それによって、電力消費を減少し、動作効率を改善する。
省電力
別の観点では、空気パルス発生装置の出力は、A(t)・p(t)に関連し、ここで、A(t)は開口112/114の面積であり、p(t)は、チャンバ105の空気圧を表す。換言すれば、バルブ101/103の開口112/114は、空気パルス発生装置の出力の強度に直接関連/比例する。具体的には、最大SPL出力は、膜移動によって生成されるチャンバ105内の空気圧p(t)の最大値と、バルブ移動によって生成される開口112/114の面積A(t)の最大値との組み合わせである。面積A(t)を適切に変調/操作することにより、空気パルス発生装置の動作電力を低減することができる。
面積A(t)は、人間の聴覚に可聴のレート(rate audible to human hearing)では変化しない場合があるが、発生する音の音量又は包絡線に応じて、バルブ駆動電圧S101/S103をゆっくりと変化させることにより調整され得る。例えば、バルブ駆動電圧S101/S103は、50ミリ秒のアタックタイム(attack time)及び5秒のリリースタイム(release time)のエンベロープ検出により制御され得る。空気パルス発生装置によって生成される音が一貫して低音量であるとき、バルブ駆動電圧S101/S103は、5秒(長い)リリースタイムで徐々に低下され得る。高い音圧を発生させるとき、バルブ駆動電圧S101/S103は、(短い)50ミリ秒のアタックタイムで昇圧され得る。
以上をまとめると、本発明の空気パルス発生装置は、まずその膜構造を振動させ、次に、音圧(又は空気速度)の最大/最小の発生に応答して音圧(又は空気移動)をフィルタリング/再成形するためにそのバルブ構造を開/閉し、最終的に全波整流効果の下で音波(又は空気流)を出力することによって、音圧(又は空気移動)を生成し得る。同期復調が、音圧の最大/最小(又は空気速度)の発生に対して、そのバルブ構造を位相ロックされかつ時間整列された方法で開/閉することによって、及び/又はバルブ構造のバルブ部分を時間的にインターリーブされた方法で開/閉することによって実行され得る。
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法の多くの修正及び変更を行うことができることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。