JP7381407B2 - 被膜付き消化器用留置デバイス、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法 - Google Patents

被膜付き消化器用留置デバイス、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、被膜付き消化器用留置デバイス、および、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法に関する。
胆管、食道、十二指腸、および、大腸などの消化器系体内管腔が、がん細胞などにより狭窄または閉塞した場合に、体内管腔を確保する目的で、ステントおよびカテーテルなどの留置デバイスが使用されている。
一方で、消化器においては種々の細菌が存在し、これらの細菌が留置デバイスの表面に付着して増殖し、菌体外物質(ポリサッカライド)を産生しながら複雑な立体構造を構築することで、いわゆるバイオフィルムが形成される場合がある。このようなバイオフィルムが形成されると、体内管腔の閉塞につながるおそれがある。本明細書においては、バイオフィルムの形成の抑制に優れることを、抗バイオフィルム性に優れるともいう。
一方で、特許文献1においては、菌に対する耐性を持った抗菌性医療デバイスが開示されている。この抗菌性医療デバイスにおいては、Ag(銀)ナノ粒子を用いることが開示されている。
特開2014-238606号公報
消化器においてはバイオフィルムが形成されやすいため、消化器に適用される留置デバイスに関しては、抗バイオフィルム性のより一層の向上が望まれている。
本発明者らは、特許文献1の記載を参照して銀粒子を含む被膜を有する留置デバイスについて検討を行ったところ、留置デバイス上にバイオフィルムが形成されやすく、抗バイオフィルム性に関して改善の余地があることを知見した。
また、留置デバイスは長時間体内に留置される場合があるため、長時間経過した後においても抗バイオフィルム性に優れることが求められる。本発明では、長時間経過した後においても抗バイオフィルム性が維持されることを、抗バイオフィルム性の持続性に優れるともいう。
本発明は、上記実情に鑑みて、抗バイオフィルム性に優れると共に、抗バイオフィルム性の持続性に優れる、被膜付き消化器用留置デバイスを提供することを課題とする。
また、本発明は、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法も提供することも課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により課題を解決できることを見出した。
(1) 消化器用留置デバイスと、
消化器用留置デバイス上に配置された被膜と、を有する、被膜付き消化器用留置デバイスであって、
被膜は、銀担持無機物と、シリコーン樹脂とを含み、
銀担持無機物は、無機担体と、無機担体上に配置された銀とを含み、
銀担持無機物の含有量が、被膜全質量に対して、1.0~33.0質量%である、被膜付き消化器用留置デバイス。
(2) 銀担持無機物の含有量が、被膜全質量に対して、9.0~29.0質量%である、(1)に記載の被膜付き消化器用留置デバイス。
(3) 無機担体が、リン酸塩である、(1)または(2)に記載の被膜付き消化器用留置デバイス。
(4) シリコーン樹脂が、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する第1オルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有する第2オルガノポリシロキサンとを反応させて得られる、(1)~(3)のいずれかに記載の被膜付き消化器用留置デバイス。
(5) 胆管ステント、十二指腸ステント、および、大腸ステントからなる群から選択される少なくとも1つに用いられる、(1)~(4)のいずれかに記載の被膜付き消化器用留置デバイス。
(6) (1)~(5)のいずれかに記載の被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法であって、
銀担持無機物、シリコーン樹脂またはその前駆体、および、溶媒を含む被膜形成用組成物と留置デバイスとを接触させて、消化器用留置デバイス上に被膜を形成する工程を有し、
銀担持無機物の含有量が、被膜形成用組成物の全固形分に対して、1.0~33.0質量%である、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法。
(7) 消化器用留置デバイスがステントであり、
ステントの少なくとも内周面に被膜が形成される、(6)に記載の被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法。
本発明によれば、抗バイオフィルム性に優れると共に、抗バイオフィルム性の持続性に優れる、被膜付き消化器用留置デバイスを提供できる。
また、本発明によれば、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法も提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値、および、上限値として含む範囲を意味する。
本発明の消化器用留置デバイスの特徴点としては、銀担持無機物およびシリコーン樹脂を用いる点が挙げられる。
特に、銀担持無機物を使用することにより、抗バイオフィルム性に優れると共に、抗バイオフィルム性の持続性にも優れる。
本発明の消化器用留置デバイスは、消化器用留置デバイスと、消化器用留置デバイス上に配置された被膜と、を有する。
以下、本発明の消化器用留置デバイスに含まれる各部材について詳述する。
<消化器用留置デバイス>
消化器用留置デバイスとは、消化器に適用される留置デバイスである。留置デバイスとしては、ステント(消化器用ステント)、および、カテーテルが挙げられ、ステントが好ましい。
ステントとは、人体の管状の部分(食道、十二指腸、大腸、および、胆道など)を管腔内部から広げる医療機器である。ステントは、通常、中空の機器である。
ステントの種類は特に制限されず、公知のステントが挙げられる。例えば、ステントの好適態様の一つとしては、メッシュ状の管状体である。ステントとしては、例えば、1本の線状の金属または高分子材料からなるコイル状のタイプ、金属チューブをレーザーなどによって切り抜き加工したタイプ、線状の部材をレーザーなどで溶接して組み立てたタイプ、および、複数の線状金属を織って作ったタイプがある。
ステントを構成する材料は特に制限されず、金属であっても、樹脂であってもよい。
ステント上に配置される被膜の位置は特に制限されないが、中空のステントの少なくとも内周面に被膜が配置されることが好ましい。
<被膜>
被膜は、上記消化器用留置デバイス上に配置される膜である。
被膜は、銀担持無機物およびシリコーン樹脂を含む。
(銀担持無機物)
銀担持無機物は、無機担体と、無機担体上に配置された銀とを含む。
無機担体は特に制限されず、公知の無機担体が挙げられる。例えば、リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム)、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸カルシウム)、アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライト)、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、水ガラス、アパタイト、および、ヒドロキシアパタイトが挙げられる。
なかでも、本発明の効果が優れる点で、リン酸塩が好ましく、リン酸ジルコニウムがより好ましい。
銀担持無機物中に含まれる銀の形態は特に制限されず、例えば、金属銀、銀イオン、および、銀塩の形態が挙げられる。
銀は、共有結合、イオン結合、および、配位結合などの種々の相互作用により無機担体上に担持されていてもよい。
なお、銀担持無機物には、銀以外の金属が担持されていてもよい。
銀担持無機物の平均粒径は特に制限されないが、0.01~100μmが好ましく、0.1~10μmがより好ましい。
被膜中における銀担持無機物の含有量は、被膜全質量に対して、1.0~33.0質量%である。なかでも、抗バイオフィルム性がより優れる点、および、抗バイオフィルム性の持続性がより優れる点の少なくとも一方が得られる点(以下、単に「本発明の効果がより優れる点」ともいう。)で、9.0~29.0質量%が好ましい。
(シリコーン樹脂)
被膜は、シリコーン樹脂を含む。
シリコーン樹脂とは、所定のオルガノシロキシ単位を含む樹脂であり、通常、硬化性シリコーンを硬化させて得られる。硬化性シリコーンとしては、その硬化機構により付加反応型シリコーン、縮合反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、および、電子線硬化型シリコーンが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、付加反応型シリコーンまたは縮合反応型シリコーンが好ましく、付加反応型シリコーンがより好ましい。つまり、シリコーン樹脂は、付加反応型シリコーンを硬化させて得られる樹脂であることが好ましい。
シリコーン樹脂としては、本発明の効果がより優れる点で、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する第1オルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有する第2オルガノポリシロキサンとを反応させて得られるシリコーン樹脂が好ましい。
第1オルガノポリシロキサンおよび第2オルガノポリシロキサンは、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
第1オルガノポリシロキサンとしては、本発明の効果がより優れる点で、式(1)で表されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
a1~Ra8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または、アルケニル基を表し、Ra1~Ra8の少なくとも1つはアルケニル基を表す。
a1~Ra8の少なくとも1つは、アルケニル基を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Ra1~Ra8のうちの2つ以上がアルケニル基を表すことが好ましく、Ra1~Ra8のうちの2~3つがアルケニル基を表すことがより好ましく、Ra1~Ra8のうちの2つがアルケニル基を表すことがさらに好ましい。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Ra1~Ra2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル、または、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ra3~Ra8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアリール基、または、アルケニル基を表し、Ra3~Ra8の少なくとも1つはアルケニル基を表すことが好ましく、Ra1~Ra2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル、または、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ra3~Ra8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアリール基、または、アルケニル基を表し、Ra3~Ra5の少なくとも1つはアルケニル基を表し、Ra6~Ra8の少なくとも1つはアルケニル基を表すことがより好ましい。
a1~Ra8で表される置換基を有していてもよいアルキル基のアルキル基部分の炭素数は特に制限されず、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3がさらに好ましい。
a1~Ra8で表される置換基を有していてもよいアリール基のアリール基部分の炭素数は特に制限されず、6~12が好ましい。
上記アルキル基および上記アリール基が有していてもよい置換基は特に制限されず、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、および、ジアリールアミノ基が挙げられる。
n1は、1~2000を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、4~2000が好ましく、9~1700がより好ましく、50~800がさらに好ましい。
第2オルガノポリシロキサンとしては、本発明の効果がより優れる点で、式(2)で表されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
b1~Rb8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rb1~Rb8の少なくとも1つは水素原子を表す。
b1~Rb8で表される置換基を有していてもよいアルキル基の好適態様は、Ra1~Ra8で表される置換基を有していてもよいアルキル基の好適態様と同じである。
b1~Rb8で表される置換基を有していてもよいアリール基の好適態様は、Ra1~Ra8で表される置換基を有していてもよいアリール基の好適態様と同じである。
n2は、1~2000を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、5~1500が好ましく、10~1000がより好ましく、10~100がさらに好ましい。
式(2)で表されるオルガノポリシロキサンとしては、式(3)で表されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
c1は、水素原子を表し、Rc2~Rc10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
c2~Rc10で表される置換基を有していてもよいアルキル基の好適態様は、Ra1~Ra8で表される置換基を有していてもよいアルキル基の好適態様と同じである。
c2~Rc10で表される置換基を有していてもよいアリール基の好適態様は、Ra1~Ra8で表される置換基を有していてもよいアリール基の好適態様と同じである。
n3は、1~1000を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、1~750が好ましく、2~500がより好ましく、2~100がさらに好ましい。
n4は、1~1000を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、5~1500が好ましく、10~1000がより好ましく、10~100がさらに好ましい。
被膜中におけるシリコーン樹脂の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、被膜全質量に対して、67.0~99.0質量%が好ましく、67.0~96.0質量%がより好ましく、71.0~91.0質量%がさらに好ましい。
<他の成分>
被膜は、銀担持無機物およびシリコーン樹脂以外の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、無銀担持無機物以外の無機フィラーを含んでいてもよい。 無機フィラーの種類は特に制限されず、公知の無機フィラーが挙げられる。例えば、シリカ、アルミナ、および、酸化チタンが挙げられる。
無機フィラーは、その表面が表面修飾されていてもよい。
被膜が上記無機フィラーを含む場合、無機フィラーの含有量は、被膜全質量に対して、5~50質量%が好ましく、15~45質量%がより好ましい。
他の成分としては、硬化性シリコーンの硬化に使用される触媒(例えば、金属触媒)が挙げられる。硬化性シリコーンが付加反応型シリコーンである場合、触媒としては白金触媒が挙げられ、硬化性シリコーンが縮合反応型シリコーンである場合、触媒としてはアルミニウム触媒およびジルコニウム触媒が挙げられる。
上記以外の他の成分としては、シリコーン樹脂以外の樹脂、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、レベリング剤、艶消し剤、光安定剤、染料、顔料、香料、および、分散安定剤が挙げられる。
被膜の厚みは特に制限されず、本発明の効果がより優れる点で、0.1~1000μmが好ましく、1~100μmがより好ましい。
<被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法>
上述した被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法は特に制限されず、公知の方法を組み合わせて実施できる。
なかでも、生産性が優れる点から、銀担持無機物、シリコーン樹脂またはその前駆体、および、溶媒を含む被膜形成用組成物と消化器用留置デバイスとを接触させて、消化器用留置デバイス上に被膜を形成する工程を有し、銀担持無機物の含有量が、被膜形成用組成物の全固形分に対して、1.0~33.0質量%である、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法が好ましい。
以下、上記製造方法について詳述する。
上記被膜形成用組成物は、銀担持無機物、シリコーン樹脂またはその前駆体、および、溶媒を含む。
銀担持無機物の態様は、上述した通りである。
シリコーン樹脂の態様は、上述した通りである。
シリコーン樹脂の前駆体とは、被膜形成時にシリコーン樹脂となる化合物であり、例えば、上述した硬化性シリコーンが挙げられる。硬化性シリコーンとしては、上述したように、付加反応型シリコーンが好ましく、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する第1オルガノポリシロキサンおよびケイ素原子に結合した水素原子を有する第2オルガノポリシロキサンの組み合わせがより好ましい。
溶媒の種類は特に制限されず、水、および、有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、および、ケトン系溶媒が挙げられる。
被膜形成用組成物は、上述した、銀担持無機物、シリコーン樹脂またはその前駆体、および、溶媒以外の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、上述した被膜に含まれていてもよい他の成分(例えば、銀担持無機物以外の無機フィラー、触媒)が挙げられる。
被膜形成用組成物中における銀担持無機物の含有量は、被膜形成用組成物の全固形分に対して、1.0~33.0質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、9.0~29.0質量%が好ましい。
なお、固形分とは、溶媒以外の成分(膜を形成し得る成分)を意図する。その成分の性状が液状であっても、溶媒以外の膜を形成し得る成分に該当する場合、固形分として扱う。
被膜形成用組成物中におけるシリコーン樹脂またはその前駆体の含有量は特に制限されないが、被膜形成用組成物の全固形分に対して、67.0~99.0質量%が好ましく、67.0~96.0質量%がより好ましく、71.0~91.0質量%がさらに好ましい。
被膜形成用組成物は、上述した必須成分および任意成分を、適宜混合することによって調製できる。なお、上記成分の混合の順番は特に制限されない。
被膜形成用組成物を消化器用留置デバイスと接触させる方法特に制限されず、消化器用留置デバイス上に被膜形成用組成物を塗布する方法、および、被膜形成用組成物中に消化器用留置デバイスを浸漬させる方法が挙げられる。
なお、上記被膜形成用組成物を塗布する方法としては、スプレー塗布法、ロールコータ法、および、スピンコータ法などの公知の塗布方法が挙げられる。
消化器用留置デバイスの被膜形成用組成物と接触させる部分は特に制限されず、消化器用留置デバイスの全面であってもよいし、一部であってもよい。例えば、消化器用留置デバイスがステントである場合、ステントの内周面だけであってもよいし、ステントの全面であってもよい。
消化器用留置デバイスと被膜形成用組成物とを接触させた後、必要に応じて、形成された塗膜から溶媒を除去するための乾燥処理を実施してもよい。
また、必要に応じて、形成された塗膜に対して硬化処理を施してもよい。硬化処理としては、加熱処理および光照射処理が挙げられ、加熱処理が好ましい。
加熱処理の条件は特に制限されず、加熱温度は、50~250℃が好ましく、70~200℃がより好ましい。
加熱時間は、0.1~10時間が好ましく、0.5~5時間がより好ましい。
<用途>
本発明の消化器用留置デバイスは、消化器に好適に適用できる。上述したように、消化器においてはバイオフィルムが形成されやすいため、胆管、十二指腸、および、大腸などの消化器に従来の留置デバイスを置くと、留置デバイス上にバイオフィルムが形成されやすいが、本発明の被膜付き消化器用留置デバイス上にはバイオフィルムが形成されにくい。
本発明の消化器用留置デバイスは、胆管ステント、十二指腸ステント、または、大腸ステントに好適適用でき、胆管ステントにより好適に適用できる。つまり、本発明の消化器用留置デバイスは、胆管ステント用、十二指腸ステント用、および、大腸ステント用に好適に適用できる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により制限的に解釈されるべきものではない。
<被膜形成用組成物の調製>
後述する表1に記載した樹脂組成物を溶媒に混合した後に、抗菌性化合物を添加して、被膜形成用組成物を調製した。なお、表1中の「-」は、その成分を用いなかったことを表す。
表中の各数値は、被膜形成用組成物全質量に対する、各成分の含有量(質量%)を表す。
上記表1中に使用された成分は以下のとおりである。
「DMS-V31」:ビニル末端ポリジメチルシロキサン(ゲレスト社製)(以下、構造式参照。分子量28000(式中、n:約376))
「HMS-301」:メチルヒドロシロキサン-メチルシロキサンコポリマー(ゲレスト社製)(以下、構造式参照。分子量1900~2000(式中、m:約7、n:約19))
「MS51」:MKCシリケートMS51(テトラメトキシシランの部分加水分解オリゴマー、三菱ケミカル社製)
「シリカ」:HMDS処理シリカ(SIS6962.0、三菱ケミカル社製)
「白金触媒」:SIP6829.2(ゲレスト社製)
「Al触媒」:アルミニウム触媒(329-22442、和光純薬製)
「抗菌性化合物」欄の「X」~「Z」は以下を表す。
「X」:ノバロンAG300(銀担持リン酸ジルコニウム、東亞合成社製)
「Y」:バクテキラーBM-103CI-Z(銀担持水ガラス、富士ケミカル社製)
「Z」:銀粒子(型番:484059、Aldrich社製)
「溶媒」欄の「S1」はキシレンを、「S2」はトルエンを表す。
「比率」欄は、被膜全質量に対する、抗菌性化合物の含有量を表す。なお、上記「比率」欄の数値は、被膜形成用組成物中の全固形分に対する、抗菌性化合物の含有量にも該当する。
<被膜付き消化器用留置デバイスの製造1>
筒状の金属メッシュチューブからなるステントを、棒状の治具に固定して、高さ方向を回転軸として回転させながら上記で製造した被膜形成用組成物を滴下して、ステント上に塗膜を作製した。
その後、塗膜付きステントに対して、75℃で1時間、150℃で2時間の加熱処理を施して、ステント上に被膜を形成した。表1のいずれの被膜形成用組成物を使用した場合も、ステント上に被膜(厚み:20μm)が形成された。
<被膜付き消化器用留置デバイスの製造2>
シリコーン製の樹脂チューブからなるステントを、上記で製造した被膜形成用組成物に5分間浸漬させた。その後、ステントを上記で製造した被膜形成用組成物から引き揚げて、過剰量の塗布液を滴らせて除き、その後、得られた塗膜付きステントに対して、75℃で1時間、150℃で2時間の加熱処理を施して、ステント上に被膜を形成した。表1のいずれの被膜形成用組成物を使用した場合も、ステント上に被膜(厚み:20μm)が形成された。
<評価>
被膜の特性を評価するために以下の実験を行った。
(評価用サンプルの作製)
ガラス基板上に各被膜形成用組成物をキャストして、得られた塗膜付きガラスに対して、75℃で1時間、150℃で2時間の加熱処理を施して、ガラス基板上に被膜(厚み:20μm)を形成して、評価用サンプルを得た。
(殺菌性評価)
大腸菌をソイビーン・カゼイン・ダイジェスト寒天培地(SCDA)に接種し、37℃で24時間培養後、PBS(リン酸緩衝液)を用いて、菌数が10CFU/mLになるよう調液したものを、試験菌液とした。
この試験菌液を評価用サンプルに接種し、温度37℃、湿度90%以上の環境下にて4時間培養した。培養後、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト液体培地をサンプルに流しかけ、この洗い出し液中の生菌数をCFUアッセイにてカウントした。
試験菌液中の菌数(初期菌数)を基準とし、培養後の生菌数との差(菌数の減少率)を求め、以下の基準により評価した。
A:生菌がいない(初期菌数との差が99.9%以上)
B:生菌がほぼいない(初期菌数との差が99%以上99.9%未満)
C:生菌があまりいない(初期菌数との差が50%以上90%未満)
D:生菌がいる(初期菌数との差が50%未満)
(抗バイオフィルム性の評価)
大腸菌をソイビーン・カゼイン・ダイジェスト寒天培地(SCDA)に接種し37℃で24時間培養後、ブレイン・ハート・インフュージョン液体培地を用いて、菌数が10CFU/mLになるよう調液したものを試験菌液とした。
この試験菌液を評価用サンプルに接種し、温度37℃、相対湿度90%以上で48時間培養した。培養後、余分な菌液を洗い流して、0.1質量%のクリスタルバイオレット溶液で5分間染色した。染色後、余分な染色液を洗い流して、エタノールで染色箇所を溶出させ、この溶出液の吸光度(波長570nm)を測定した。
被膜を備えないガラス基板を用いて上記手順を行った結果を基準とし、各サンプルとの吸光度の差(吸光度の減少率)を求め、以下の基準により評価した。
A:バイオフィルムが付着しない(基準との差が90%以上)
B:バイオフィルムがほぼ付着しない(基準との差が50%以上90%未満)
C:バイオフィルムがあまり付着しない(基準との差が10%以上50%未満)
D:バイオフィルムが付着する(基準との差が10%未満)
(持続性の評価)
PBSへ10日間浸漬した後の評価用サンプルを用いて、上記(抗バイオフィルム性の評価)を実施した。
評価用サンプルをPBSへ10日間浸漬する手順において、評価用サンプルから銀が長時間にわたって流出している。この浸漬処理は、被膜付き消化器用留置デバイスを体内に長時間留置した場合のモデル実験に該当する。
Figure 0007381407000006
表1に示すように、本発明の被膜付き消化器用留置デバイスは、所望の効果を示した。抗バイオフィルム性に優れる実施例においては、殺菌性にも優れており、被膜に付着した菌に対して影響を与えていることが知見された。
なかでも、実施例1と6との比較より、シリコーン樹脂が付加反応型シリコーン(特に、式(1)で表される第1オルガノポリシロキサンおよび式(2)で表される第2オルガノポリシロキサンの組み合わせ)を用いて形成された樹脂である場合、より優れた効果が得られることが確認された。
また、実施例1と4との比較より、無機担体としてリン酸塩を用いた場合、より優れた効果が得られることが確認された。
また、実施例1~3および5の比較より、被膜全質量に対する銀担持無機物の含有量が9.0~29.0質量%である場合、より優れた効果が得られることが確認された。

Claims (6)

  1. 消化器用留置デバイスと、
    前記消化器用留置デバイス上に配置された被膜と、を有する、被膜付き消化器用留置デバイスであって、
    前記被膜は、銀担持無機物と、シリコーン樹脂とを含み、
    前記銀担持無機物は、無機担体と、前記無機担体上に配置された銀とを含み、
    前記銀担持無機物の含有量が、前記被膜全質量に対して、1.0~33.0質量%であり、
    前記シリコーン樹脂が、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する第1オルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有する第2オルガノポリシロキサンとを反応させて得られる、被膜付き消化器用留置デバイス。
  2. 前記銀担持無機物の含有量が、前記被膜全質量に対して、9.0~29.0質量%である、請求項1に記載の被膜付き消化器用留置デバイス。
  3. 前記無機担体が、リン酸塩である、請求項1または2に記載の被膜付き消化器用留置デバイス。
  4. 胆管ステント、十二指腸ステント、および、大腸ステントからなる群から選択される少なくとも1つに用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の被膜付き消化器用留置デバイス。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法であって、
    前記銀担持無機物、前記シリコーン樹脂またはその前駆体、および、溶媒を含む被膜形成用組成物と留置デバイスとを接触させて、前記消化器用留置デバイス上に被膜を形成する工程を有し、
    前記銀担持無機物の含有量が、前記被膜形成用組成物の全固形分に対して、1.0~33.0質量%である、被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法。
  6. 前記消化器用留置デバイスがステントであり、
    前記ステントの少なくとも内周面に前記被膜が形成される、請求項に記載の被膜付き消化器用留置デバイスの製造方法。
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