以下、図面を用いて本実施形態に係る指向性制御装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なることがある。
(一つの送信セクタに一つの受信セクタが対向している形態)
図1~図6を参照して本実施形態に係る無線通信装置の動作例について説明する。
図1は、指向性アンテナをそれぞれが備えた無線ノードAおよび無線ノードBから構成される無線通信システム1000において、無線ノードAから無線ノードBに通信データを伝送する場合の一例を示す模式図である。なお、以下の説明において、無線通信装置を無線ノードと称する場合がある。
図1(1)では、無線ノードAおよび無線ノードBは、アンテナの指向性が4つのセクタに分割され、任意のセクタに切り替え可能である場合を示しているが、セクタ数は4つに限定されるものではなく、任意のセクタ数に設定することが可能である。なお、以下の説明では、図1(1)に示されるように一つの送信セクタであるセクタ1に一つの受信セクタであるセクタ3が対向している形態の動作について説明するが、通信フレームの構成等については、後述する形態に共通する。
図1(2)の上段では、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。また、図1(2)の下段では、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。詳細については後述する。
(通信フレームの概要)
図3は、無線ノードAと無線ノードBとの間で伝送される通信フレームの一例を列挙した模式図である。通信フレームには、ノード探索フレーム、データ伝送フレームおよび応答フレームが一例として挙げられる。
ノード探索フレームは、データ伝送要求が発生した無線ノードが、宛先となる無線ノードとの間で使用するセクタを決定するために送信する通信フレームである。データ伝送フレームは、通信データを伝送するための通信フレームである。応答フレームは、送信無線ノードから通信フレームを受信した無線ノードが、受信結果に関する情報を送信無線ノードへ通知するために送信する通信フレームである。
図3に挙げられた通信フレーム内の共通の情報として、PRは同期信号のビット列を示し、UWはフレーム同期用のビット列を示し、FRAME TYPは通信フレームの種別を示し、SRS ADRは送信元の無線ノードのアドレスを示す。また、図3に挙げられた通信フレーム内のTOTAL SEC NUMは通信フレームを送信した無線ノードのセクタの総数を示し、SEC NUMは通信フレームの送信に使用したセクタ番号を示し、FCSは誤り制御用のビット列を示す。
また、データ伝送フレームおよび応答フレーム内のDES ADRは、通信フレームの宛先となる無線ノードのアドレスを示す。また、データ伝送フレーム内のDATAは通信データを示す。また、応答フレーム内のSIG QTYは受信した無線信号の受信品質を示す。
図4は、無線ノードの動作の概要を示すフローチャートである。無線ノードは、通信データの伝送要求が発生しない場合はアイドル処理を繰り返し実行し、通信データの伝送要求が発生すると通信データの伝送処理を実行する。
すなわち、ステップS401において、無線ノードは図6のフローチャートに示すアイドル処理を実行する。図6のアイドル処理を示すフローチャートの詳細については後述する。次に、無線ノードはステップS402に進む。
ステップS402において、無線ノードは、自ノードに通信データの伝送要求が発生したか否かを判定する。自ノードに通信データの伝送要求が発生した場合(ステップS402:YES)には、無線ノードはステップS403に進む。自ノードに通信データの伝送要求が発生していない場合(ステップS402:NO)には、無線ノードはステップS401に戻り、アイドル処理を実行する。
ステップS403において、無線ノードは図5のフローチャートに示す通信データの伝送処理を実行する。図5の通信データの伝送処理を示すフローチャートの詳細については後述する。次に、無線ノードはステップS401に戻り、アイドル処理を実行する。
なお、図1の無線ノードAはデータ伝送要求が発生しているのでステップS403を実行し、無線ノードBはステップS401のアイドル処理を実行している。
次に、図1の無線ノードBが実行する図4のステップS401のアイドル処理、および、図1の無線ノードAが実行するステップS403のデータ伝送処理の概要について、図1(1)、(2)、図2(1)、(2)を用いて以下に説明する。
無線ノードAは、無線ノードBへのデータ伝送要求が発生しているので、指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら、ノード探索フレームを送信し、応答フレームを受信するノード探索動作を実行する。図1(2)の上段に示されるように、無線ノードAは、セクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながらノード探索フレームを送信する。
各無線ノードは、通信データの伝送要求が発生していないアイドル動作時には、指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら通信フレームの受信動作を実行する(この処理をセクタスキャンと称する場合がある(図6参照))。図1においては無線ノードBがセクタスキャンを実行している。
図1の(2)において、無線ノードBはセクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながら通信フレームの受信動作(セクタスキャン)を実行している。図1(2)に示すように、無線ノードAのセクタ切り替え時間をTspとし、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1とし、Trp1=(送信無線ノードの指向性アンテナのセクタの総数+1)×Tspとする。このようにTrp1を設定すると、図1(2)に示すように、無線ノードBのセクタ切り替え時間であるTrp1の間に、無線ノードAは無線ノードAのすべてのセクタからノード探索フレームを送信することが可能になる。なお、無線ノードAのセクタ切り替え時間Tspの値は、無線通信システムにおいて任意の値に設定することが可能である。
図1(2)において、無線ノードBのセクタ3が無線ノードAのセクタ1からのノード探索フレームを受信すると、図2(1)に示すノード探索フレーム受信情報を記憶部に記憶する。ノード探索フレーム受信情報には、ノード探索フレームの送信元の無線ノードの識別情報、ノード探索フレームを受信したセクタ番号情報、ノード探索フレームを受信したときの受信品質情報が含まれる。受信品質情報は、ノード探索フレームの受信時の受信電力強度や受信誤りの発生状況を数値化したものであって、本実施形態では受信品質情報を1~10の数値で示し、数値が大きいほど受信品質が高いものとして表現している。また、ノード探索フレームを受信した無線ノードBは、ノード探索フレームを送信した無線ノードAに対してノード探索フレームの受信結果を通知する応答フレームを送信する。
さらに、無線ノードBは、ノード探索フレームの受信タイミングと、受信したノード探索フレームに含まれる総セクタ数、送信したセクタ番号に基づいて、無線ノードAのセクタ切り替えタイミングと同期処理を実行する。
一例として、図1(2)の無線ノードBは、無線ノードAがセクタ1で送信したノード探索フレームをセクタ3で受信すると、応答フレームをセクタ3から無線ノードAに送信する。その後、無線ノードBは、無線ノードAのセクタ4の送信タイミングが終了するまで無線ノードBのセクタ3を受信セクタとして維持する。そして、無線ノードAのセクタ4からセクタ1への切り替えタイミングと同期して、無線ノードBはセクタ3からセクタ4に受信セクタを切り替える。このようにして、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタがセクタ4に切り替わるタイミングが一致し、同期するようになる。
なお、以降、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタが切り替わるタイミングを一致させるために、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1からTrp2へと変更する。ここで、Trp2=(送信無線ノードのの指向性アンテナの総セクタ数)×Tspとする。このようにTrp2を設定することによって、無線ノードBのセクタ切り替えタイミングと、無線ノードAがすべてのセクタにおいてノード探索フレームの送信を完了するタイミングとが一致するようになる。
無線ノードAは、無線ノードBから応答フレームを受信すると、応答フレーム内で通知される情報に基づいて、図2(2)に示される応答フレーム受信情報を記憶部に記憶する。無線ノードAは、応答フレームに含まれるノード探索フレームの受信品質情報が最も高い無線ノードBの受信セクタで通信データの伝送を実行するために、ノード探索フレームの終了タイミング(後述するノード探索動作の終了タイミング)を設定する。つまり、受信品質情報が最も高い無線ノードBの受信セクタが開始する直前に、無線ノードAはノード探索動作を終了させ、当該受信セクタが開始されると、無線ノードAはデータ伝送フレームを無線ノードBに伝送する。なお、データ伝送フレームを無線ノードBに伝送する無線ノードAの送信セクタは、応答フレームに含まれるノード探索フレームの受信品質情報が最も高い場合のノード探索フレームの送信セクタである。
なお、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはノード探索動作を継続する。しかし、あらかじめ定められた時間が経過しても、または、ノード探索フレームをあらかじめ定められた回数送信しても、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはアイドル処理に戻るようにしてもよい。
図1(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合だけに無線ノードBのセクタ3から応答フレームを受信している。したがって、無線ノードBのセクタ3に無線ノードAのセクタ1で無線ノードAがノード探索フレームを、再度、送信しようとする直前にノード探索動作を終了させる。
無線ノードAは、ノード探索動作を終了した後に、受信したすべての応答フレームで通知された受信品質情報と、応答フレームを受信したセクタ番号の組み合わせから、最も通信品質が高いことが期待されるセクタをデータ通信のための送信セクタに設定する。その後、無線ノードAは、無線ノードBに対してデータ伝送フレームを送信し、通信データを伝送する。上述したように、図1(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合だけに無線ノードBのセクタ3から応答フレームを受信している。したがって、無線ノードAはセクタ1を送信セクタに設定し、無線ノードBがセクタ3で受信動作を実行するタイミングで、データ伝送フレームを送信する。無線ノードBは、無線ノードAから送信されたデータ伝送フレームを受信し、応答フレームを無線ノードAに送信する。図1(2)に示すように、無線ノードAおよび無線ノードBは上記処理後に、アイドル処理に戻る。
次に、図6のアイドル処理を示すフローチャートを用いて、ステップS401のアイドル処理の詳細について説明する。
ステップS601において、無線通信装置100(図16参照)は、受信セクタを設定する。受信セクタの順番は無線通信装置100が任意に設定することが可能である。しかし、無線通信装置100が有するセクタを重複なく、一通り設定し、一通り設定された順番を繰り返すことが好ましい。例えば、無線通信装置100が4つのセクタを有する場合には、受信セクタを1、2、3、4、1、2、3、4・・・の順番、4、3、2、1、4、3、2、1・・・の順番等の順番で切り替えて設定することが可能である。次に、無線通信装置100はステップS602に進む。
ステップS602において、無線通信装置100はノード探索フレームを受信したか否かを判定する。無線通信装置100がノード探索フレームを受信した場合(ステップS602:YES)には、無線通信装置100はステップS603に進む。無線通信装置100がノード探索フレームを受信しない場合(ステップS602:NO)には、無線通信装置100はステップS605に進む。
ステップS603において、無線通信装置100はステップS602において受信したノード探索フレームに関する情報をノード探索フレーム受信情報として記憶部150(図16参照)に記憶する。次に、無線通信装置100はステップS604に進む。
ステップS604において、無線通信装置100はステップS602において受信したノード探索フレームに対応する応答フレームを、ステップS602において受信したノード探索フレームを送信した無線ノードに送信する。また、無線通信装置100は受信セクタの切り替えタイミング時間を変更し、ノード探索フレームを送信した無線ノードの送信セクタが一通り切り替わるタイミングに同期させる。詳細については前述したのでここでは説明を省略する。次に、無線通信装置100はステップS605に進む。
ステップS605において、無線通信装置100はデータ伝送フレームを受信したか否かを判定する。無線通信装置100がデータ伝送フレームを受信した場合(ステップS605:YES)には、無線通信装置100はステップS606に進む。無線通信装置100がデータ伝送フレームを受信しない場合(ステップS605:NO)には、無線通信装置100はアイドル処理を終了し、図4のステップS402に進む。
ステップS605において、無線通信装置100はステップS605において受信したデータ伝送フレームに対応する応答フレームを、ステップS605において受信したデータ伝送フレームを送信した無線ノードに送信する。次に、無線通信装置100はステップS607に進む。
ステップS606において、無線通信装置100は受信すべきすべてのデータ伝送フレームを受信したか否かを判定する。すべての通信データの伝送が終了した場合(ステップS606:YES)には、無線通信装置100はアイドル処理を終了し、図4のステップS402に進む。すべての通信データの伝送が終了していない場合(ステップS606:NO)には、無線通信装置100はステップS605に戻る。
次に、図5のデータ伝送処理を示すフローチャートを用いて、ステップS403のデータ伝送処理の詳細について説明する。
ステップS501において、無線通信装置100は、送信セクタを設定する。送信セクタの順番は無線通信装置100が任意に設定することが可能である。しかし、無線通信装置100が有するセクタを重複なく、一通り設定し、一通り設定された順番を繰り返すことが好ましい。次に、無線通信装置100はステップS502に進む。
ステップS502において、無線通信装置100は、ステップS501で設定された送信セクタを使用して、ノード探索フレームを送信する。次に、無線通信装置100はステップS503に進む。
ステップS503において、無線通信装置100は、ステップS502で送信されたノード探索フレームに対する応答フレームを受信したか否かを判定する。無線通信装置100が応答フレームを受信した場合(ステップS503:YES)には、無線通信装置100はステップS504に進む。無線通信装置100が応答フレームを受信しない場合(ステップS503:NO)には、無線通信装置100はステップS507に進む。
ステップS504において、無線通信装置100は、ステップS503で受信した応答フレームに関する情報を応答フレーム受信情報として記憶部150に記憶する。次に、無線通信装置100はステップS505に進む。
ステップS505において、無線通信装置100は、記憶部150に記憶された応答フレーム受信情報から最適な送信セクタと受信セクタのペアを検出したか否かを判定する。無線通信装置100が最適な送信セクタと受信セクタのペアを検出した場合(ステップS505:YES)には、無線通信装置100はステップS506に進む。無線通信装置100が最適な送信セクタと受信セクタのペアを検出していない場合(ステップS505:NO)には、無線通信装置100はステップS507に進む。ステップS505の判定は、すべての送信セクタと受信セクタとの組み合わせについて、ノード探索フレームが送信された後に実行されることが好ましい。また、一例として、すべての送信セクタと受信セクタとの組み合わせについて複数回ノード探索フレームが送信された後にステップS505の判定が実行されてもよい。さらに、一例として、あらかじめ定められた時間が経過した後に、ステップS505の判定が実行されてもよい。
ステップS506において、無線通信装置100はノード探索フレームの送信を終了する探索終了タイミングを設定、または、当該探索終了タイミングを再設定する。ステップS505において検出された、無線通信装置100の最適な送信セクタと、ノード探索フレームを受信した無線ノードの最適な受信セクタとのペアを使用して、データ伝送フレームが送受信されるように探索終了タイミングを(再)設定する。すなわち、無線通信装置100は無線ノードの最適な受信セクタが開始される直前に、無線通信装置100の探索終了タイミングを(再)設定する。次に、無線通信装置100はステップS507に進む。
ステップS507において、無線通信装置100はノード探索が終了したか否かを判定する。ノード探索が終了した場合(ステップS507:YES)には、無線通信装置100はステップS508に進む。ノード探索が終了していない場合(ステップS507:NO)には、無線通信装置100はステップS501に戻る。
ステップS508において、無線通信装置100は、送信セクタをステップS505において検出された最適な送信セクタに設定する。次に、無線通信装置100はステップS509に進む。
ステップS509において、無線通信装置100は、データ伝送フレームを送信する。次に、無線通信装置100はステップS510に進む。
ステップS510において、無線通信装置100は、ステップS509で送信されたデータ伝送フレームに対する応答フレームを受信する。次に、無線通信装置100はステップS511に進む。
ステップS511において、無線通信装置100は、送信されるべき、すべてのデータ伝送フレームを送信したか否かを判定する。送信されるべき、すべてのデータ伝送フレームが送信された場合(ステップS511:YES)には、データ伝送処理を終了し、図4のステップS401のアイドル処理を実行する。送信されるべき、すべてのデータ伝送フレームが送信されていない場合(ステップS511:NO)には、無線通信装置100はステップS509に戻る。
(一つの送信セクタに複数の受信セクタが対向している形態(1))
次に、一つの送信セクタに複数の受信セクタが対向している形態(1)について、図7および図8に基づいて説明する。
図7は、図1と同様に、指向性アンテナをそれぞれが備えた無線ノードAおよび無線ノードBから構成される無線通信システム1000において、無線ノードAから無線ノードBに通信データを伝送する場合の他の一例を示す模式図である。
図7(1)でも、無線ノードAおよび無線ノードBは、アンテナの指向性が4つのセクタに分割され、任意のセクタに切り替え可能である場合を示しているが、セクタ数は4つに限定されるものではなく、任意のセクタ数に設定することが可能である。本実施形態では、一つの送信セクタであるセクタ1にセクタ3およびセクタ4の二つの受信セクタが対向している形態の動作について説明する。通信フレームの構成等については、すでに説明したのでここでは説明を省略する。
図7(2)の上段では、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。また、図7(2)の下段では、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。
本実施形態においても、無線ノードは図4に示すフローチャートに基づいて動作する。すなわち、無線ノードは、通信データの伝送要求が発生しない場合はアイドル処理を繰り返し実行し、通信データの伝送要求が発生すると通信データの伝送処理を実行する。無線ノードAは、図7(2)の上段に示すように、図5に示すデータ伝送処理を実行した後に図6に示すアイドル処理を実行し始める。また、無線ノードBは、図7(2)の下段に示すように、図6に示すアイドル処理を実行する。
無線ノードAは、無線ノードBへのデータ伝送要求が発生しているので、指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら、ノード探索フレームを送信し、応答フレームを受信するノード探索動作を実行する。図7(2)の上段に示されるように、無線ノードAは、セクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながらノード探索フレームを送信する。
各無線ノードは、通信データの伝送要求が発生していないアイドル動作時には、指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら通信フレームの受信動作を実行する(セクタスキャン(図6参照))。図7においては無線ノードBがセクタスキャンを実行している。
図7(2)において、無線ノードBはセクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながら通信フレームの受信動作(セクタスキャン)を実行している。図7(2)において、無線ノードAのセクタ切り替え時間をTspとし、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1とし、Trp1=(送信無線ノードの指向性アンテナのセクタの総数+1)×Tspとする。このようにTrp1を設定すると、図7(2)に示すように、無線ノードBのセクタ切り替え時間であるTrp1の間に、無線ノードAは無線ノードAのすべてのセクタからノード探索フレームを送信することが可能になる。なお、無線ノードAのセクタ切り替え時間をTspの値は、無線通信システムにおいて任意の値に設定することが可能である。
図7(2)において、無線ノードBのセクタ3が無線ノードAのセクタ1からのノード探索フレームを受信すると、図8(1)に示すノード探索フレーム受信情報を記憶部に記憶する。ノード探索フレーム受信情報には、ノード探索フレームの送信元の無線ノードの識別情報、ノード探索フレームを受信したセクタ番号情報、ノード探索フレームを受信したときの受信品質情報が含まれる。受信品質情報は、ノード探索フレームの受信時の受信電力強度や受信誤りの発生状況を数値化したものであって、本実施形態では受信品質情報を1~10の数値で示し、数値が大きいほど受信品質が高いものとして表現している。また、ノード探索フレームを受信した無線ノードBは、ノード探索フレームを送信した無線ノードAに対してノード探索フレームの受信結果を通知する応答フレームを送信する。
さらに、無線ノードBは、ノード探索フレームの受信タイミングと、受信したノード探索フレームに含まれる総セクタ数、送信したセクタ番号に基づいて、無線ノードAのセクタ切り替えタイミングと同期処理を実行する。
一例として、図7(2)の無線ノードBは、無線ノードAがセクタ1で送信したノード探索フレームをセクタ3で受信すると、応答フレームをセクタ3から無線ノードAに送信する。その後、無線ノードBは、無線ノードAのセクタ4の送信タイミングが終了するまで無線ノードBのセクタ3を受信セクタとして維持する。そして、無線ノードAのセクタ4からセクタ1への切り替えタイミングと同期して、無線ノードBはセクタ3からセクタ4に受信セクタを切り替える。このようにして、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタがセクタ4に切り替わるタイミングが一致し、同期するようになる。
なお、以降、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタが切り替わるタイミングを一致させるために、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1からTrp2へと変更する。ここで、Trp2=(送信無線ノードのの指向性アンテナの総セクタ数)×Tspとする。このようにTrp2を設定することによって、無線ノードBのセクタ切り替えタイミングと、無線ノードAがすべてのセクタにおいてノード探索フレームの送信を完了するタイミングとが一致するようになる。
また、図7(2)において、無線ノードBのセクタ4が無線ノードAのセクタ1からのノード探索フレームを受信すると、図8(1)の下段に示すノード探索フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。さらに、ノード探索フレームを受信した無線ノードBは、ノード探索フレームを送信した無線ノードAに対してノード探索フレームの受信結果を通知する応答フレームを送信する。
無線ノードAは、無線ノードBから応答フレームを受信すると、応答フレーム内で通知される情報に基づいて、図8(2)に示される応答フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。図8(2)の上段の応答フレーム受信情報は無線ノードBのセクタ3から送信された応答フレームに対応し、図8(2)の下段の応答フレーム受信情報は無線ノードBのセクタ4から送信された応答フレームに対応する。
無線ノードAは、応答フレームに含まれるノード探索フレームの受信品質情報が最も高い無線ノードBの受信セクタで通信データの伝送を実行するために、ノード探索フレームの終了タイミング(ノード探索動作の終了タイミング)を設定する。つまり、受信品質情報が最も高い無線ノードBの受信セクタが開始する直前に、無線ノードAはノード探索動作を終了させ、当該受信セクタが開始されると、無線ノードAはデータ伝送フレームを無線ノードBに伝送する。なお、データ伝送フレームを無線ノードBに伝送する無線ノードAの送信セクタは、応答フレームに含まれるノード探索フレームの受信品質情報が最も高い場合のノード探索フレームの送信セクタである。
なお、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはノード探索動作を継続する。しかし、あらかじめ定められた時間が経過しても、または、ノード探索フレームをあらかじめ定められた回数送信しても、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはアイドル処理に戻るようにしてもよい。
図7(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合に無線ノードBのセクタ3から応答フレームを受信している。したがって、無線ノードBのセクタ3に無線ノードAのセクタ1で無線ノードAがノード探索フレームを、再度、送信しようとする直前にノード探索動作を終了させる。その後、無線ノードAは応答フレームを無線ノードBのセクタ4から受信するが、無線ノードBのセクタ3における受信品質の方が高いので、ノード探索動作の終了タイミングの再設定は実行していない。
無線ノードAは、ノード探索動作を終了した後に、受信したすべての応答フレームで通知された受信品質情報と、応答フレームを受信したセクタ番号の組み合わせから、最も通信品質が高いことが期待されるセクタをデータ通信のための送信セクタに設定する。その後、無線ノードAは、無線ノードBに対してデータ伝送フレームを送信し、通信データを伝送する。上述したように、図7(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合だけに無線ノードBのセクタ3およびセクタ4から応答フレームを受信している。そして、無線ノードBのセクタ3における受信品質が、無線ノードBのセクタ4における受信品質よりも高い。したがって、無線ノードAはセクタ1を送信セクタに設定し、無線ノードBがセクタ3で受信動作を実行するタイミングで、データ伝送フレームを送信する。無線ノードBは、無線ノードAから送信されたデータ伝送フレームを受信し、応答フレームを無線ノードAに送信する。図7(2)に示すように、無線ノードAおよび無線ノードBは上記処理後に、アイドル処理に戻る。
(一つの送信セクタに複数の受信セクタが対向している形態(2))
次に、一つの送信セクタに複数の受信セクタが対向している形態(2)について、図9および図10に基づいて説明する。
図9は、図1と同様に、指向性アンテナをそれぞれが備えた無線ノードAおよび無線ノードBから構成される無線通信システム1000において、無線ノードAから無線ノードBに通信データを伝送する場合のさらなる他の一例を示す模式図である。
図9(1)でも、無線ノードAおよび無線ノードBは、アンテナの指向性が4つのセクタに分割され、任意のセクタに切り替え可能である場合を示しているが、セクタ数は4つに限定されるものではなく、任意のセクタ数に設定することが可能である。本実施形態では、一つの送信セクタであるセクタ1にセクタ3およびセクタ4の二つの受信セクタが対向している形態の動作について説明する。通信フレームの構成等については、すでに説明したのでここでは説明を省略する。
図9(2)の上段では、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。また、図9(2)の下段では、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。
本実施形態においても、無線ノードは図4に示すフローチャートに基づいて動作する。すなわち、無線ノードは、通信データの伝送要求が発生しない場合はアイドル処理を繰り返し実行し、通信データの伝送要求が発生すると通信データの伝送処理を実行する。無線ノードAは、図9(2)の上段に示すように、図5に示すデータ伝送処理を実行した後に図6に示すアイドル処理を実行し始める。また、無線ノードBは、図9(2)の下段に示すように、図6に示すアイドル処理を実行する。
無線ノードAは、無線ノードBへのデータ伝送要求が発生しているので、指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら、ノード探索フレームを送信し、応答フレームを受信するノード探索動作を実行する。図9(2)の上段に示されるように、無線ノードAは、セクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながらノード探索フレームを送信する。
各無線ノードは、通信データの伝送要求が発生していないアイドル動作時には、指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら通信フレームの受信動作を実行する(セクタスキャン(図6参照))。図9においては無線ノードBがセクタスキャンを実行している。
図9(2)において、無線ノードBはセクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながら通信フレームの受信動作(セクタスキャン)を実行している。図9(2)において、無線ノードAのセクタ切り替え時間をTspとし、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1とし、Trp1=(送信無線ノードの指向性アンテナのセクタの総数+1)×Tspとする。このようにTrp1を設定すると、図9(2)に示すように、無線ノードBのセクタ切り替え時間であるTrp1の間に、無線ノードAは無線ノードAのすべてのセクタからノード探索フレームを送信することが可能になる。なお、無線ノードAのセクタ切り替え時間をTspの値は、無線通信システムにおいて任意の値に設定することが可能である。
図9(2)において、無線ノードBのセクタ3が無線ノードAのセクタ1からのノード探索フレームを受信すると、図10(1)に示すノード探索フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。ノード探索フレーム受信情報には、ノード探索フレームの送信元の無線ノードの識別情報、ノード探索フレームを受信したセクタ番号情報、ノード探索フレームを受信したときの受信品質情報が含まれる。受信品質情報は、ノード探索フレームの受信時の受信電力強度や受信誤りの発生状況を数値化したものであって、本実施形態では受信品質情報を1~10の数値で示し、数値が大きいほど受信品質が高いものとして表現している。また、ノード探索フレームを受信した無線ノードBは、ノード探索フレームを送信した無線ノードAに対してノード探索フレームの受信結果を通知する応答フレームを送信する。
さらに、無線ノードBは、ノード探索フレームの受信タイミングと、受信したノード探索フレームに含まれる総セクタ数、送信したセクタ番号に基づいて、無線ノードAのセクタ切り替えタイミングと同期処理を実行する。
一例として、図9(2)の無線ノードBは、無線ノードAがセクタ1で送信したノード探索フレームをセクタ3で受信すると、応答フレームをセクタ3から無線ノードAに送信する。その後、無線ノードBは、無線ノードAのセクタ4の送信タイミングが終了するまで無線ノードBのセクタ3を受信セクタとして維持する。そして、無線ノードAのセクタ4からセクタ1への切り替えタイミングと同期して、無線ノードBはセクタ3からセクタ4に受信セクタを切り替える。このようにして、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタがセクタ4に切り替わるタイミングが一致し、同期するようになる。
なお、以降、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタが切り替わるタイミングを一致させるために、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1からTrp2へと変更する。ここで、Trp2=(送信無線ノードのの指向性アンテナの総セクタ数)×Tspとする。このようにTrp2を設定することによって、無線ノードBのセクタ切り替えタイミングと、無線ノードAがすべてのセクタにおいてノード探索フレームの送信を完了するタイミングとが一致するようになる。
また、図9(2)において、無線ノードBのセクタ4が無線ノードAのセクタ1からのノード探索フレームを受信すると、図10(1)の下段に示すノード探索フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。さらに、ノード探索フレームを受信した無線ノードBは、ノード探索フレームを送信した無線ノードAに対してノード探索フレームの受信結果を通知する応答フレームを送信する。
無線ノードAは、無線ノードBから応答フレームを受信すると、応答フレーム内で通知される情報に基づいて、図10(2)に示される応答フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。図10(2)の上段の応答フレーム受信情報は無線ノードBのセクタ3から送信された応答フレームに対応し、図10(2)の下段の応答フレーム受信情報は無線ノードBのセクタ4から送信された応答フレームに対応する。
無線ノードAは、応答フレームに含まれるノード探索フレームの受信品質情報が最も高い無線ノードBの受信セクタで通信データの伝送を実行するために、ノード探索フレームの終了タイミング(ノード探索動作の終了タイミング)を設定する。つまり、受信品質情報が最も高い無線ノードBの受信セクタが開始する直前に、無線ノードAはノード探索動作を終了させ、当該受信セクタが開始されると、無線ノードAはデータ伝送フレームを無線ノードBに伝送する。なお、データ伝送フレームを無線ノードBに伝送する無線ノードAの送信セクタは、応答フレームに含まれるノード探索フレームの受信品質情報が最も高い場合のノード探索フレームの送信セクタである。
なお、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはノード探索動作を継続する。しかし、あらかじめ定められた時間が経過しても、または、ノード探索フレームをあらかじめ定められた回数送信しても、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはアイドル処理に戻るようにしてもよい。
図9(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合に無線ノードBのセクタ3から応答フレームを受信している。したがって、無線ノードBのセクタ3に無線ノードAのセクタ1で無線ノードAがノード探索フレームを、再度、送信しようとする直前にノード探索動作を終了させる。その後、無線ノードAは応答フレームを無線ノードBのセクタ4から受信し、無線ノードBのセクタ4における受信品質の方が高いので、ノード探索動作の終了タイミングの再設定をさらに実行する。
無線ノードAは、ノード探索動作を終了した後に、受信したすべての応答フレームで通知された受信品質情報と、応答フレームを受信したセクタ番号の組み合わせから、最も通信品質が高いことが期待されるセクタをデータ通信のための送信セクタに設定する。その後、無線ノードAは、無線ノードBに対してデータ伝送フレームを送信し、通信データを伝送する。上述したように、図9(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合だけに無線ノードBのセクタ3およびセクタ4から応答フレームを受信している。そして、無線ノードBのセクタ4における受信品質が、無線ノードBのセクタ3における受信品質よりも高い。したがって、無線ノードAはセクタ1を送信セクタに設定し、無線ノードBがセクタ4で受信動作を実行するタイミングで、データ伝送フレームを送信する。無線ノードBは、無線ノードAから送信されたデータ伝送フレームを受信し、応答フレームを無線ノードAに送信する。図9(2)に示すように、無線ノードAおよび無線ノードBは上記処理後に、アイドル処理に戻る。
(変形例1)
上記実施形態においては、アイドル処理を実行中の無線ノードBは、セクタ切り替え時間Trp2の間は、無線ノードBのセクタを切り替えることはなかった。しかし、無線ノードAから送信されるデータ伝送フレームを受信可能なセクタが複数ある場合には、データ伝送フレームの送受信のための待ち時間が発生する場合がある。例えば、図9(2)の無線ノードBは、セクタ3およびセクタ4でデータ伝送フレームを受信可能であるが、受信品質が高いセクタ4はセクタ3の後に選択されるために、待ち時間Twが発生する。変形例1は当該待ち時間Twをなくし、データ伝送フレームの送受信タイミングを早める実施形態を提供する。
一つの送信セクタに複数の受信セクタが対向している形態であって、上記動作を実施する無線通信システム1000について、図11および図12に基づいて説明する。
図11は、図1と同様に、指向性アンテナをそれぞれが備えた無線ノードAおよび無線ノードBから構成される無線通信システム1000において、無線ノードAから無線ノードBに通信データを伝送する場合の変形例の一例を示す模式図である。
図11(1)でも、無線ノードAおよび無線ノードBは、アンテナの指向性が4つのセクタに分割され、任意のセクタに切り替え可能である場合を示しているが、セクタ数は4つに限定されるものではなく、任意のセクタ数に設定することが可能である。本実施形態では、一つの送信セクタであるセクタ1にセクタ3およびセクタ4の二つの受信セクタが対向している形態の動作について説明する。
図11(2)の上段では、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードAの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。また、図11(2)の下段では、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタを識別するための番号、無線ノードBの送信セクタおよび受信セクタの切り替えタイミング、並びに、送受信される通信フレームの種類を示している。
図12は、無線ノードAと無線ノードBとの間で伝送される通信フレームの一例を列挙した模式図である。通信フレームには、ノード探索フレーム、セクタ指定フレーム、データ伝送フレームおよび応答フレームが一例として挙げられる。ノード探索フレーム、データ伝送フレームおよび応答フレームは図3において説明したので詳細な説明は省略する。
セクタ指定フレームは送信ノードから受信ノードに対して送信される通信フレームであって、受信ノードの受信セクタを指定するための通信フレームである。図12のセクタ指定フレーム内のRSEC NUMは受信ノードに対して指定する受信セクタの識別情報である。一例として、当該識別情報は受信セクタの番号であってもよい。セクタ指定フレーム内のPR、UW、FRAME TYP、SRS ADR、TOTAL SEC NUM、SEC NUM、DES ADR、FCSは図3において説明したので、詳細な説明は省略する。なお、ノード探索フレームは、データ伝送要求が発生した無線ノードが、宛先となる無線ノードとの間で使用するセクタを決定するために送信する通信フレームである。データ伝送フレームは、通信データを伝送するための通信フレームである。応答フレームは、送信無線ノードから通信フレームを受信した無線ノードが、受信結果に関する情報を送信無線ノードへ通知するために送信する通信フレームである。
本実施形態においても、無線ノードは図4に示すフローチャートに基づいて動作する。すなわち、無線ノードは、通信データの伝送要求が発生しない場合はアイドル処理を繰り返し実行し、通信データの伝送要求が発生すると通信データの伝送処理を実行する。ただし、本実施形態におけるアイドル処理は図14の処理を実行し、データ伝送処理は図13の処理を実行する。すなわち、無線ノードAは、図11(2)の上段に示すように、図13に示すデータ伝送処理を実行した後に図14に示すアイドル処理を実行し始める。また、無線ノードBは、図11(2)の下段に示すように、図14に示すアイドル処理を実行する。
無線ノードAは、無線ノードBへのデータ伝送要求が発生しているので、指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら、ノード探索フレームを送信し、応答フレームを受信するノード探索動作を実行する。図11(2)の上段に示されるように、無線ノードAは、セクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながらノード探索フレームを送信する。
各無線ノードは、通信データの伝送要求が発生していないアイドル動作時には、ノード探索動作よりも遅い周期で指向性アンテナの指向性をセクタ単位で切り替えながら通信フレームの受信動作を実行する(セクタスキャン(図14参照))。図11においては無線ノードBがセクタスキャンを実行している。
図11(2)において、無線ノードBはセクタ1からセクタ4まで順番に指向性アンテナの指向性を切り替えながら通信フレームの受信動作(セクタスキャン)を実行している。図11(2)に示すように、無線ノードAのセクタ切り替え時間をTspとし、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1とし、Trp1=(送信無線ノードの指向性アンテナのセクタの総数+1)×Tspとする。このようにTrp1を設定すると、図11(2)に示すように、無線ノードBのセクタ切り替え時間であるTrp1の間に、無線ノードAは無線ノードAのすべてのセクタからノード探索フレームを送信することが可能になる。なお、無線ノードAのセクタ切り替え時間をTspの値は、無線通信システムにおいて任意の値に設定することが可能である。
図11(2)において、無線ノードBのセクタ3が無線ノードAのセクタ1からのノード探索フレームを受信すると、図10(1)に示すノード探索フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。ノード探索フレーム受信情報には、ノード探索フレームの送信元の無線ノードの識別情報、ノード探索フレームを受信したセクタ番号情報、ノード探索フレームを受信したときの受信品質情報が含まれる。受信品質情報は、ノード探索フレームの受信時の受信電力強度や受信誤りの発生状況を数値化したものであって、本実施形態では受信品質情報を1~10の数値で示し、数値が大きいほど受信品質が高いものとして表現している。また、ノード探索フレームを受信した無線ノードBは、ノード探索フレームを送信した無線ノードAに対してノード探索フレームの受信結果を通知する応答フレームを送信する。
さらに、無線ノードBは、ノード探索フレームの受信タイミングと、受信したノード探索フレームに含まれる総セクタ数、送信したセクタ番号に基づいて、無線ノードAのセクタ切り替えタイミングと同期処理を実行する。
一例として、図11(2)の無線ノードBは、無線ノードAがセクタ1で送信したノード探索フレームをセクタ3で受信すると、応答フレームをセクタ3から無線ノードAに送信する。その後、無線ノードBは、無線ノードAのセクタ4の送信タイミングが終了するまで無線ノードBのセクタ3を受信セクタとして維持する。そして、無線ノードAのセクタ4からセクタ1への切り替えタイミングと同期して、無線ノードBはセクタ3からセクタ4に受信セクタを切り替える。このようにして、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタがセクタ4に切り替わるタイミングが一致し、同期するようになる。
なお、以降、無線ノードAの送信セクタがセクタ1に切り替わるタイミングと、無線ノードBの受信セクタが切り替わるタイミングを一致させるために、無線ノードBのセクタ切り替え時間をTrp1からTrp2へと変更する。ここで、Trp2=(送信無線ノードのの指向性アンテナの総セクタ数)×Tspとする。このようにTrp2を設定することによって、無線ノードBのセクタ切り替えタイミングと、無線ノードAがすべてのセクタにおいてノード探索フレームの送信を完了するタイミングとが一致するようになる。
また、図11(2)において、無線ノードBのセクタ4が無線ノードAのセクタ1からのノード探索フレームを受信すると、図10(1)の下段に示すノード探索フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。さらに、ノード探索フレームを受信した無線ノードBは、ノード探索フレームを送信した無線ノードAに対してノード探索フレームの受信結果を通知する応答フレームを送信する。
無線ノードAは、無線ノードBから応答フレームを受信すると、応答フレーム内で通知される情報に基づいて、図10(2)に示される応答フレーム受信情報を記憶部150に記憶する。図10(2)の上段の応答フレーム受信情報は無線ノードBのセクタ3から送信された応答フレームに対応し、図10(2)の下段の応答フレーム受信情報は無線ノードBのセクタ4から送信された応答フレームに対応する。
無線ノードAは、初めて応答フレームを受信すると、ノード探索フレームの終了タイミング(ノード探索動作の終了タイミング)を、応答フレームを送信したセクタの切り替えタイミングに設定する。つまり、無線ノードBの応答フレームを送信したセクタが開始する直前に、無線ノードAはノード探索動作を終了させ、当該セクタが開始されると、無線ノードAはデータ伝送フレームまたはセクタ指定フレームを無線ノードBに伝送する。なお、データ伝送フレームまたはセクタ指定フレームを無線ノードBに伝送する無線ノードAの送信セクタは、応答フレームに含まれるノード探索フレームの受信品質情報が最も高い場合のノード探索フレームの送信セクタである。図11(2)においては、無線ノードBにおける受信品質がより高いセクタ(セクタ4)がセクタ3の後に検出されるので、無線ノードBがセクタ3に切り替わったタイミングで、無線ノードAからセクタ指定フレームが送信される。
なお、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはノード探索動作を継続する。しかし、あらかじめ定められた時間が経過しても、または、ノード探索フレームをあらかじめ定められた回数送信しても、無線ノードAが無線ノードBから応答フレームを受信しない場合には、無線ノードAはアイドル処理に戻るようにしてもよい。
図11(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合に無線ノードBのセクタ3から最初に応答フレームを受信している。したがって、無線ノードBのセクタ3に無線ノードAのセクタ1で無線ノードAがノード探索フレームを、再度、送信しようとする直前にノード探索動作を終了させる。
無線ノードAは、ノード探索動作を終了した後に、受信したすべての応答フレームで通知された受信品質情報と、応答フレームを受信したセクタ番号の組み合わせから、最も通信品質が高いことが期待されるセクタをデータ通信のための送信セクタに設定する。また、無線ノードAは応答フレームから最も通信品質が高いことが期待される無線ノードBのセクタをデータ通信のための受信セクタに設定する。その後、無線ノードAは、無線ノードBに対してセクタ指定フレームを送信し、データ通信のための受信セクタを無線ノードBに通知する。その後、無線ノードAは、無線ノードBに対してデータ伝送フレームを送信し、通信データを伝送する。上述したように、図11(2)では、無線ノードAは無線ノードAのセクタがセクタ1の場合だけに無線ノードBのセクタ3およびセクタ4から応答フレームを受信している。そして、無線ノードBのセクタ4における受信品質が、無線ノードBのセクタ3における受信品質よりも高い。したがって、無線ノードAはノード探索動作が終了した後に、セクタ1を送信セクタに設定し、無線ノードBがセクタ3で受信動作を実行するタイミングで、無線ノードBのセクタ4を指定するセクタ指定フレームを送信する。セクタ指定フレームを受信した無線ノードBは、受信セクタを3からセクタ指定フレームで指定された4に切り替える。無線ノードAは無線ノードBがセクタを3からセクタ4に切り替えて、受信動作を実行するタイミングで、データ伝送フレームを送信する。無線ノードBは、無線ノードAから送信されたデータ伝送フレームを受信し、応答フレームを無線ノードAに送信する。図11(2)に示すように、無線ノードAおよび無線ノードBは上記処理後に、アイドル処理に戻る。
次に、本実施形態に係わる図14のアイドル処理を示すフローチャートを用いてアイドル処理の詳細について説明する。
ステップS1401において、無線通信装置100は、受信セクタを設定する。受信セクタの順番は無線通信装置100が任意に設定することが可能である。しかし、無線通信装置100が有するセクタを重複なく、一通り設定し、一通り設定された順番を繰り返すことが好ましい。例えば、無線通信装置100が4つのセクタを有する場合には、受信セクタを1、2、3、4、1、2、3、4・・・の順番、4、3、2、1、4、3、2、1・・・の順番等の順番で切り替えて設定することが可能である。次に、無線通信装置100はステップS1402に進む。
ステップS1402において、無線通信装置100はノード探索フレームを受信したか否かを判定する。無線通信装置100がノード探索フレームを受信した場合(ステップS1402:YES)には、無線通信装置100はステップS1403に進む。無線通信装置100がノード探索フレームを受信しない場合(ステップS1402:NO)には、無線通信装置100はステップS1405に進む。
ステップS1403において、無線通信装置100はステップS1402において受信したノード探索フレームに関する情報をノード探索フレーム受信情報として記憶部150に記憶する。次に、無線通信装置100はステップS1404に進む。
ステップS1404において、無線通信装置100はステップS1402において受信したノード探索フレームに対応する応答フレームを、ステップS1402において受信したノード探索フレームを送信した無線ノードに送信する。また、無線通信装置100は受信セクタの切り替えタイミング時間を変更し、ノード探索フレームを送信した無線ノードの送信セクタが一通り切り替わるタイミングに同期させる。詳細については前述したのでここでは説明を省略する。次に、無線通信装置100はステップS1405に進む。
ステップS1405において、無線通信装置100はセクタ指定フレームを受信したか否かを判定する。無線通信装置100がセクタ指定フレームを受信した場合(ステップS1405:YES)には、無線通信装置100はステップS1406に進む。無線通信装置100がセクタ指定フレームを受信しない場合(ステップS1405:NO)には、無線通信装置100はステップS1408に進む。
ステップS1406において、無線通信装置100はステップS1405において受信したセクタ指定フレームに対応する応答フレームを、ステップS1405において受信したセクタ指定フレームを送信した無線ノードに送信する。次に、無線通信装置100はステップS1407に進む。
ステップS1407において、無線通信装置100はステップS1405において受信したセクタ指定フレームで指定されたセクタに受信セクタを設定する。次に、無線通信装置100はステップS1408に進む。
ステップS1408において、無線通信装置100はデータ伝送フレームを受信したか否かを判定する。無線通信装置100がデータ伝送フレームを受信した場合(ステップS1408:YES)には、無線通信装置100はステップS1409に進む。無線通信装置100がデータ伝送フレームを受信しない場合(ステップS1408:NO)には、無線通信装置100はアイドル処理を終了する。
ステップS1409において、無線通信装置100はステップS1408において受信したデータ伝送フレームに対応する応答フレームを、ステップS1408において受信したデータ伝送フレームを送信した無線ノードに送信する。次に、無線通信装置100はステップS1410に進む。
ステップS1410において、無線通信装置100は受信すべきすべてのデータ伝送フレームを受信したか否かを判定する。すべての通信データの伝送が終了した場合(ステップS1410:YES)には、無線通信装置100はアイドル処理を終了する。すべての通信データの伝送が終了していない場合(ステップS1410:NO)には、無線通信装置100はステップS1408に戻る。
次に、本実施形態に係わる図13のデータ伝送処理を示すフローチャートを用いてデータ伝送処理の詳細について説明する。
ステップS1301において、無線通信装置100は、送信セクタを設定する。送信セクタの順番は無線通信装置100が任意に設定することが可能である。しかし、無線通信装置100が有するセクタを重複なく、一通り設定し、一通り設定された順番を繰り返すことが好ましい。次に、無線通信装置100はステップS1302に進む。
ステップS1302において、無線通信装置100は、ステップS1301で設定された送信セクタを使用して、ノード探索フレームを送信する。次に、無線通信装置100はステップS1303に進む。
ステップS1303において、無線通信装置100は、ステップS1302で送信されたノード探索フレームに対する応答フレームを受信したか否かを判定する。無線通信装置100が応答フレームを受信した場合(ステップS1303:YES)には、無線通信装置100はステップS1304に進む。無線通信装置100が応答フレームを受信しない場合(ステップS1303:NO)には、無線通信装置100はステップS1307に進む。
ステップS1304において、無線通信装置100は、ステップS1303で受信した応答フレームに関する情報を応答フレーム受信情報として記憶部150に記憶する。次に、無線通信装置100はステップS1305に進む。
ステップS1305において、無線通信装置100は、ステップS1303において受信された応答フレームが応答フレームを送信した無線ノードからの最初の応答フレームであったか否かを判定する。受信された応答フレームが応答フレームを送信した無線ノードからの最初の応答フレームであった場合(ステップS1305:YES)には、無線通信装置100はステップS1306に進む。受信された応答フレームが応答フレームを送信した無線ノードからの最初の応答フレームではない場合(ステップS1305:NO)には、無線通信装置100はステップS1307に進む。
ステップS1306において、無線通信装置100はノード探索フレームの送信を終了する探索終了タイミングを設定する。ステップS1305における最初の応答フレームを受信した受信セクタと、最初の応答フレームを送信した送信セクタとのペアを使用して、セクタ指定フレームまたはデータ伝送フレームが送受信されるように探索終了タイミングを設定する。すなわち、無線通信装置100は最初の応答フレームを送信した送信セクタが開始される直前に、無線通信装置100の探索終了タイミングを設定する。次に、無線通信装置100はステップS1307に進む。
ステップS1307において、無線通信装置100はノード探索が終了したか否かを判定する。ノード探索が終了した場合(ステップS1307:YES)には、無線通信装置100はステップS1308に進む。ノード探索が終了していない場合(ステップS1307:NO)には、無線通信装置100はステップS1301に戻る。
ステップS1308において、無線通信装置100は送信セクタの番号をステップS1305における最初の応答フレームを受信した受信セクタの番号に設定する。次に、無線通信装置100はステップS1309に進む。
ステップS1309において、無線通信装置100は通信相手の受信セクタの番号を最も通信品質が高い応答フレームを送信した通信相手の送信セクタの番号に設定し、セクタ指定フレームを送信する。
ステップS1310において、無線通信装置100はステップS1309で送信されたセクタ指定フレームに対する応答フレームを受信する。次に、無線通信装置100はステップS1311に進む。
ステップS1311において、無線通信装置100は送信セクタの番号を、ステップS1309で送信したセクタ指定フレームで指定した受信セクタに対応する受信品質が最も高い送信セクタの番号に設定する。次に、無線通信装置100はステップS1312に進む。
ステップS1312において、無線通信装置100は、データ伝送フレームを送信する。次に、無線通信装置100はステップS1313に進む。
ステップS1313において、無線通信装置100は、ステップS1312で送信されたデータ伝送フレームに対する応答フレームを受信する。次に、無線通信装置100はステップS1314に進む。
ステップS1314において、無線通信装置100は、送信されるべき、すべてのデータ伝送フレームを送信したか否かを判定する。送信されるべき、すべてのデータ伝送フレームが送信された場合(ステップS1314:YES)には、データ伝送処理を終了し、アイドル処理に移行する。送信されるべき、すべてのデータ伝送フレームが送信されていない場合(ステップS1314:NO)には、無線通信装置100はステップS1312に戻る。
(変形例2)
上記すべての実施形態において、受信品質情報については、特に制限を設けなかった。しかし、応答フレームにおいて通知された受信品質情報があらかじめ定められた閾値を超えた場合にのみ、ノード探索終了タイミングの(再)設定を実行する構成とすることも可能である。
(無線通信装置の構成)
上記機能を有する無線通信装置の構成の一例について、図16を参照して説明する。
無線通信装置100は、セクタアンテナを構成する指向性アンテナ110、セクタ切り替え部120、送受信部130、制御部140、記憶部150および外部I/F部160を含んで構成される(I/F:InterFace)。
指向性アンテナ110は複数含まれてセクタアンテナを構成する。
セクタ切り替え部120は、セクタアンテナのセクタを切り替える機能を有する。
送受信部130は、ノード探索フレーム、応答フレーム、データ伝送フレーム、セクタ指定フレーム等の各種通信フレームを送受信する機能を有する。
記憶部150は、ノード探索フレーム受信情報151および応答フレーム受信情報152を含む各種情報を記憶する機能を有する。ノード探索フレーム受信情報151および応答フレーム受信情報152についてはすでに説明したので、ここでは詳細を省略する。
外部I/F部160は、各種データを無線通信装置100の外部にある電子装置と送受信する機能を有する。データ伝送フレームによって伝送される通信データが外部にある電子装置から外部I/F部160を介して伝送される場合もある。
制御部140は、ノード探索フレーム生成部141、応答フレーム生成部142、同期部143、セクタ決定部144、データ伝送フレーム生成部145およびセクタ指定フレーム生成部146を含んで構成される。なお、セクタ指定フレーム生成部146は必須の構成ではない場合がある。
ノード探索フレーム生成部141は、すでに説明したノード探索フレームを生成する機能を有する。また、応答フレーム生成部142は、すでに説明した応答フレームを生成する機能を有する。さらに、データ伝送フレーム生成部145は、すでに説明した通信データを伝送するデータ伝送フレームを生成する機能を有する。さらに、セクタ指定フレーム生成部146はすでに説明したセクタ指定フレームを生成する機能を有する。
同期部143は、無線通信装置100のセクタ切り替えタイミングを同期させる機能を有する。Tsp、Trp1、Trp2およびセクタ切り替え順番等に関する情報は無線通信システム1000内の無線通信装置100の間で共有されることが可能である。
セクタ決定部144は、セクタ切り替え部120において選択されるセクタを決定する機能を有する。
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。