自動腹膜透析システム
図1Aは、開示の1つまたは複数の側面を包含する自動腹膜透析(APD)システム10を示す。2015年6月5日に出願されたNorrisらの米国特許番号10,058,694(発明の名称:複数の流体ラインを使用する医療システムおよび方法)(代理人整理番号:Q21)に示され記載されているものなどの他のAPDシステムまたはそのコンポーネント(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、本明細書に詳述される開示の様々な態様とともに使用することもできる。
図1Aに示すように、たとえば、この例示的な実施形態におけるシステム10は、透析液送達セット12(いくつかの実施形態では、使い捨てセットであり得る)と、送達セット12と相互作用して溶液容器20(たとえば、バッグ)によって提供される液体を圧送するサイクラ14と、APD処置を行うようにプロセスを管理する制御システム16(たとえば、プログラムされたコンピュータまたは他のデータプロセッサ、コンピュータメモリ、ユーザもしくは他のデバイスに情報を提供しかつそこから入力を受け取るインタフェース、1つもしくは複数のセンサ、アクチュエータ、リレー、空気圧式ポンプ、タンク、電源および/または他の好適な構成要素を含み、すなわち、図1にはユーザ制御入力を受け取るわずかな数のボタンしか示さないが、制御システム構成要素に関するさらなる詳細については後述する)を含む。この例示的な実施形態では、サイクラ14および制御システム16は、共通のハウジング82に関連づけられているが、2つ以上のハウジングに関連づけることができ、かつ/または互いに別個であり得る。サイクラ14は、テーブルトップまたは家庭に通常見いだされる他の比較的小さい表面の上で操作されるのに適した、小型の設置場所を有することができる。サイクラ14は、軽量かつ携帯可能であり、たとえば、ハウジング82の両側のハンドルを介して手で所持することができる。
セット12は、この実施形態では、単回使用の使い捨て品であるように意図されているが、代わりに、1つまたは複数の再使用可能部品を有することができ、または全体として再使用可能であり得る。ユーザは、各APD治療セッションを開始する前に、たとえばサイクラ14の正面ドア141内にカセット24を取り付けることにより、セット12をサイクラ14に関連づけ、サイクラ14は、カセット24と相互作用して、セット12のさまざまなラインにおいて流体流を圧送し制御する。たとえば、APDを行うために、透析液を患者にかつ患者から圧送することができる。治療後、ユーザは、サイクラ14からセット12の構成要素のすべてまたは一部を取り外すことができる。
本技術分野において既知であるように、使用する前、ユーザは、セット12の患者ライン34を、接続部36において自身の体内留置腹膜カテーテル(図示せず)に接続することができる。一実施形態では、異なるサイズの患者ライン34を有するもの等、1つまたは複数の異なるタイプのカセット24と動作するように、サイクラ14を構成することができる。たとえば、成人患者で使用されるサイズである患者ライン34を備えた第1タイプのカセット、および幼児または小児の使用のためのサイズである患者ライン34を備えた第2タイプのカセットと動作するように、サイクラ14を構成することができる。小児用患者ライン34は、ラインの容積を最小限にするように、成人用ラインより短くかつ内径を小さくすることができ、透析液のより制御された送達を可能にし、セット12が連続的な排液および充填サイクルで使用されるとき、比較的大量の使用済み透析液が小児患者に戻るのを回避するのに役立つ。サイクラ14のヒータ容器受入部分(この場合、トレイ)142の上に、ライン26によってカセット24に接続されるヒータバッグ22を配置することができる。サイクラ14は、新鮮な透析液を(カセット24を介して)ヒータバッグ22内に圧送することができ、それにより、ヒータトレイ142によって、たとえば、トレイ142に関連づけられた電気抵抗加熱素子によって、透析液を約37℃の温度まで加熱することができる。加熱された透析液は、ヒータバッグ22からカセット24および患者ライン34を介して患者に提供することができる。代替実施形態では、患者に向かう途中で、カセット24に入る際、またはカセット24から出た後、透析液をヒータトレイ142と接触する管に通すか、または(カセット24に設けることができる)直列流体ヒータに通すことによって、透析液を加熱することができる。使用済み透析液は、患者から患者ライン34を介してカセット24にかつ排液ライン28内に圧送することができ、排液ライン28は、排液ライン28の1つまたは複数の分岐を通る流れを制御する1つまたは複数のクランプを含むことができる。この例示的に実施形態では、排液ライン28は、排液ライン28を専用の排液受けに接続するコネクタ39と、試験または他の分析のために使用済み透析液のサンプルを取得する排出物サンプルポート282とを含むことができる。ユーザはまた、ドア141内に1つまたは複数の容器20のライン30を取り付けることができる。ライン30はまた、連続またはリアルタイム透析液調合システムに接続することも可能である。(ライン26、28、30、34は、要求に応じて、可撓性管および/または好適なコネクタならびに他の構成要素(ピンチ弁等)を含むことができる)。容器20は、注入する滅菌腹膜透析液、または他の物質(たとえば、サイクラ14が、水と混合し、または異なるタイプの透析液を混ぜることによって透析液を処方するために使用する物質)を収容することができる。カセット24のスパイク160にライン30を接続することができ、スパイク160は、図1Aでは取外し可能キャップによって覆われている。
本発明の一態様では、サイクラ14は、自動的に、カセット24の1つまたは複数のスパイク160からキャップを取り外し、溶液容器20のライン30をそれぞれのスパイク160に接続することができる。この特徴は、非滅菌物品のスパイク160との接触の機会を低減させることにより、感染または汚染の可能性を低減させるのに役立つことができる。
別の態様では、透析液送達セット12Aは、カセットスパイク160を有していない場合がある。代わりに、1つまたは複数の溶液ライン30は、図1Bに示すように、カセット24の入口ポートに永久的に取り付けることができる。この場合、各溶液ライン30は、溶液容器または透析液バッグ20に手動で接続するための(キャップ付き)スパイクコネクタ35を有することができる。
さまざまな接続を行うことにより、制御システム16は、APD処置の典型的な一連の充填、滞留および/または排液サイクルを通してサイクラ14のペースを定めることができる。たとえば、充填段階中、サイクラ14は、1つまたは複数の容器20(または他の透析液供給源)から透析液を加熱するためにヒータバッグ22内に(カセット24によって)圧送することができる。その後、サイクラ14は、加熱した透析液をヒータバッグ22からカセット24を通して、患者ライン34を介して患者の腹膜腔内に注入することができる。滞留段階に続き、サイクラ14は、排液段階を開始することができ、排液段階の間、サイクラ14は、患者からライン34を介して(この場合もまたカセット24により使用済み透析液を圧送し、使用済み透析液を、排液ライン28を介して近くのドレーン(図示せず)内に排液する。
サイクラ14は、溶液容器20および/またはヒータバッグ22がサイクラ14の上方の規定された頭高に配置されることが必ずしも必要ではなく、たとえば、サイクラ14は必ずしも重力流システムではないためである。代わりに、サイクラ14は、供給源溶液容器20がサイクラ14の上方、下方または同じ高さにあり、患者がサイクラの上方または下方にいる等であっても、重力流を模倣するか、または他の方法で透析液の流れを好適に制御することができる。たとえば、サイクラ14は、所与の処置の間に、固定の頭高を模倣することができ、または、サイクラ14は、処置中に透析液に加えられる圧力を増減させるように、有効頭高を変更することができる。サイクラ14はまた、透析液の流量も調整することができる。本発明の一態様では、サイクラ14は、充填動作または排液動作の患者の知覚を低減させるように、患者に提供されるかまたは患者から引き出されるときの透析液の圧力および/または流量を調整することができる。こうした調整は、単一の充填および/または排液サイクル中に行うことができ、または、異なる充填サイクルおよび/または排液サイクルにわたって調整することができる。一実施形態では、サイクラ14は、排液動作の最後の近くで患者から使用済み透析液を引き出すために使用される圧力を漸減させることができる。サイクラ14は、人為的な頭高を確立することができるため、患者の特定の生理機能または相対的な高さの変化と相互作用する柔軟性を有し、それに適合することができる。
カセット
カセット本発明の一態様では、カセット24は、溶液供給ラインに対して別個に閉塞可能である患者ラインおよび排液ラインを含むことができる。すなわち、患者ラインへのかつ患者ラインからのセーフティクリティカルな流れは、たとえば、1つまたは複数の溶液供給ラインを通る流れを閉塞させる必要なしに、流れを停止するようにラインを挟むことによって、制御することができる。この特徴により、簡略化したオクルーダ装置を可能にすることができ、それは、患者の安全にほとんどまたはまったく影響を与えない他のラインを閉塞させることとは対照的に、2つのラインのみに関して閉塞を行うことができるためである。たとえば、患者または排液接続が分離された状況では、患者ラインおよび排液ラインを閉塞させることができる。しかしながら、溶液供給ラインおよび/またはヒータバッグラインは、流れるように開放したままであり、サイクラ14が次の透析サイクルの準備をすることができるようにすることができ、たとえば、患者ラインおよび排液ラインの別個の閉塞は、サイクラ14に対して、1つまたは複数の容器20からヒータバッグ22または他の溶液容器20に透析液を圧送し続けるのを可能にしながら、患者の安全を確保するのに役立つことができる。
本発明の別の態様では、カセットは、カセットの1つの側または一部に患者ライン、排液ラインおよびヒータバッグライン、カセットの別の側または別の部分、たとえば、カセットの反対側に1つまたは複数の溶液供給ラインを有することができる。こうした配置により、上述したように溶液ラインに関して患者ライン、排液ラインまたはヒータバッグラインの別個の閉塞を可能にすることができる。カセットに取り付けられたラインをタイプまたは機能によって物理的に分離することにより、所定のタイプまたは機能のラインとの相互作用のより効率的な制御が可能になる。たとえば、こうした配置により、簡略化したオクルーダ設計を可能にすることができ、それは、カセットに通じるかまたはカセットからのすべてのラインよりこれらのラインのうちの1つ、2つまたは3つを閉塞させるために必要な力が小さくなるためである。別法として、この配置により、より詳細に後述するように、カセットに対する溶液供給ラインのより有効な自動接続を可能にすることができる。すなわち、溶液供給ラインおよびそれらのそれぞれの接続部が患者ライン、排液ラインおよび/またはヒータバッグラインから離れて配置されて、自動キャップ外しおよび接続装置は、カセットのスパイクからキャップを取り除くとともに、溶液供給ラインのキャップを取り除き、患者ライン、排液ラインまたはヒータバッグラインによる妨げなしにそれぞれのスパイクにラインを接続することができる。
図2は、上述した本発明の態様を組み込んだカセット24の例示的な実施形態を示す。この実施形態では、カセット24は、略平面本体を有し、カセット本体の左端部のそれぞれのポートに、ヒータバッグライン26、排液ライン28および患者ライン34が接続され、カセット本体の右端部は、溶液供給ライン30を接続することができる5つのスパイク160を含むことができる。図2に示す配置では、スパイク160の各々はスパイクキャップ63によって覆われ、スパイクキャップ63を取り除いて、それぞれのスパイクを露出させ、それぞれのライン30への接続を可能にすることができる。上述したように、ライン30を、たとえば透析での使用および/または透析液の処方のために、1つまたは複数の溶液容器または他の物質源に取り付け、サンプリングの目的で、または腹膜平衡試験(PET試験)のために、1つまたは複数の収集バッグに接続することができる。
図3および図4は、この例示的な実施形態におけるカセット24の組立分解図(それぞれ、斜視図および上面図)を示す。カセット24は、略平面形状を有する比較的薄く平坦な部材として形成され、たとえば、好適なプラスチックからモールドされ、押出成形されまたは他の方法で形成される構成要素を含むことができる。この実施形態では、カセット24は、カセット24に対するフレームまたは構造部材として機能するとともに、さまざまな流路、ポート、弁部分等を少なくとも部分的に形成するものとして機能するベース部材18を含む。ベース部材18は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)アクリル樹脂、または環状オレフィンコポリマー/超低密度ポリエチレン(COC/ULDPE)等の好適なプラスチックまたは他の材料からモールドするかまたは他の方法で形成することができ、比較的剛性があり得る。実施形態では、COC対ULDPEの比は、およそ85%/15%であり得る。図3は、ベース部材18に形成されているヒータバッグ用のポート(ポート150)、排液用のポート(ポート152)および患者用のポート(ポート154)も示す。これらのポートの各々は、たとえば、外側リングまたはスカート158から延在する中心チューブ156、または中心チューブのみ等、任意の好適な方法で配置することができる。ヒータバッグライン26、排液ライン28および患者ライン34の各々に対する可撓性管は、中心チューブ156に接続し、存在する場合は外側リング158が係合することができる。
ベース部材18の両側を、膜15および16、たとえば、たとえば、鋳造され、押出成形され、または他の方法で形成されるポリ塩化ビニル(PVC)から作製された可撓性ポリマーフィルムによって覆うことができる。別法として、たとえば、共押出成形可能接着剤(coextrudableadhesive)(CXA)によって合わせて保持される、ポリシクロヘキシレンジメチレンシクロヘキサンジカルボキシレート(PCCE)および/またはULDPEの2つ以上の層のラミネートとして形成することができる。いくつかの実施形態では、膜厚さは、およそ0.002インチ~0.020インチ厚さの範囲であり得る。好ましい実施形態では、PVC系膜の厚さは、およそ0.012インチ~0.016インチ厚さの範囲、より好ましくはおよそ0.014インチ厚さであり得る。たとえばラミネートシート等、別の好ましい実施形態では、ラミネートの厚さは、およそ0.006インチ~0.010インチ厚さの範囲、より好ましくはおよそ0.008インチ厚さであり得る。
膜15および16はともに、カセット24の流路の一部を閉鎖するかまたは他の方法で形成するように機能することができるだけでなく、弁ポートを開放/閉鎖しかつ/またはカセット24内の流体を移動させるポンプダイヤフラム、隔壁または壁の一部として機能するように、移動させるかまたは他の方法で操作することも可能である。たとえば、膜15および16は、ベース部材18の上に配置して、カセット24から流体が漏れるのを防止するようにベース部材18の周縁部の周囲のリムに(たとえば、熱、接着剤、超音波溶接または他の手段によって)封止することができる。膜15はまた、ベース部材18の他の内壁、たとえば、さまざまなチャネルを形成する内壁に接合することも可能であり、または、カセット24がサイクラ14に好適に取り付けられているとき、ベース部材18の壁および他の特徴と封止接触するように押圧することができる。したがって、膜15および16の両方を、ベース部材18の周縁リムに、たとえば、使用後にサイクラ14から取り外す際にカセット24からの流体の漏れを防止するのに役立つように封止することができるが、ベース部材18の他の部分には、接触せずに位置するように配置することができる。サイクラ14内に配置されたカセット24を、対向するガスケットまたは他の部材の間で圧搾することができ、それにより、膜15および16は、周縁部の内側の領域においてベース部材18と封止接触するように押圧され、それにより、チャネル、弁ポート等を互いから好適に封止する。
膜15および16に対する他の構成も可能である。たとえば、膜16は、本体18に接合されるかまたは他の方法で一体化される剛性シート状の材料によって形成することができる。したがって、膜16は、必ずしも可撓性部材であるかまたは可撓性部材を含む必要はない。同様に、膜15は、その表面全体にわたって可撓性を有する必要はなく、代わりに、ポンプおよび/または弁動作を可能にするように1つまたは複数の可撓性部分と、たとえばカセット24の流路を閉鎖するために、1つまたは複数の剛性部分とを含むことができる。たとえば、サイクラ14が、カセット、制御弁およびポンプ機能等の通路を封止するために好適な部材を含む場合、カセット24は、膜16または膜15を含まない場合があることも可能である。
本発明の別の態様によれば、膜15は、ベース18の対応するポンプ室181のくぼみの形状に密に一致する形状を有するように形成されているポンプ室部分151(「ポンプ膜」を含むことができる。たとえば、膜15は、ベース部材18のポンプ室くぼみに形状が一致する、熱成形された(または他の方法で成形された)ドーム状形状151を有する平坦部材として概して形成することができる。予備成形されたポンプ室部分151のドーム状形状は、たとえば、図5に示すタイプの真空成形型の上で膜を加熱し成形することによって構築することができる。図5に示すように、型の壁に沿った孔の集まりを通して、真空を加えることができる。別法として、型の壁を、多孔質気体透過性材料から構築することができ、それにより、モールドされた膜の表面がより均一に平滑になる可能性がある。一例では、モールドされた膜シート15は、真空成形型に取り付けられている間、トリミングされる。そして、真空成形型は、トリミングされた膜シート15をカセット本体18に対して押圧し、それらを互いに接合する。一実施形態では、膜シート15、16は、カセット本体18に熱溶接される。このように、膜15は、ポンプ室181に対して移動して、(たとえば、流体をポンプ室181から圧送している間、図4の実線に示すように)膜15が最大限ポンプ室181内にかつ(場合によっては)スペーサ要素50と接触するように移動するときと、(たとえば、流体をポンプ室181内に引き込むときに図4に破線で示すように)膜15がポンプ室181から最大限引き抜かれているときとの両方、膜15の伸張を必要とすることなく(または少なくとも膜15の最小限の伸張で)圧送作用をもたらすことができる。膜15の伸張を回避することは、シートの伸張による流体送達圧力の圧力サージまたは他の変化を防止するのに役立ち、かつ/または、ポンプ動作中の圧力変動を最小限にしようとするときにポンプの制御を簡略化するのに役立つことができる。(たとえば、伸張中に膜15の上にかけられる応力からもたらされる膜15の引裂きによる)膜15の破損の可能性の低減、および/またはより詳細に後述するように、ポンプ送達容積測定における正確さの向上を含む、他の利点をみつけることができる。一実施形態では、ポンプ室部分151は、たとえば、ポンプ室部分151が、ポンプ室容積の約100%である容積を画定する場合、ポンプ室181の約85%~110%であるサイズを有する(たとえば、容積を画定する)ように形成することができ、ポンプ室部分151は、停止している間、応力を受けることなく、ポンプ室181内にかつスペーサ50と接触して位置することができる。
ポンプ室内外の液体の充填および送達ストロークを発生させるために使用される圧力のより優れた制御を提供することには、いくつかの利点がある可能性がある。たとえば、排液サイクル中、ポンプ室が患者の腹膜腔から流体を引き出すとき、可能な最小の負圧をかけることが望ましい場合がある。患者は、治療の排液サイクル中、一部には充填ストローク中にポンプによって負圧がかけられているため、不快である可能性がある。充填ストローク中にかけられる負圧に対して予備成形膜が提供することができる追加の制御は、患者の不快を低減させるのに役立つことができる。
カセットポンプ室の輪郭に対して予備成形されたポンプ膜を使用することにより、複数の他の利点を具現化することができる。たとえば、ポンプ室を通る液体の流量をより均一にすることができ、それは、ポンプストロークを通して一定の圧力または真空をかけることができ、それにより、液体の加熱を調節するプロセスを簡略化することができるためである。さらに、カセットポンプ内の温度変化による、膜を変位させる動力学とともに、ポンプ室内の圧力を測定する正確さに対する影響を、より小さくすることができる。さらに、流体ライン内の圧力スパイクを最小限にすることができる。また、膜の制御(たとえば、空気圧)側において圧力変換器によって測定される圧力を、膜のポンプ室側における液体の実際の圧力と相関させることを、より単純にすることができる。これにより、治療の前の患者および流体源バッグのより正確な頭高測定を可能にし、ポンプ室内の空気を検出する感度を向上させ、容積測定の正確さを向上させることができる。さらに、膜を伸張させる必要をなくすことにより、より大きい容積を有するチャンバの構築および使用を可能にすることができる。
この実施形態では、カセット24は、ベース部材18に形成されている複数のポンプ室181を含むが、1つのポンプ室または3つ以上のポンプ室が可能である。本発明の態様によれば、ポンプ室181の内壁はスペーサ要素50を含み、スペーサ要素50は、互いから間隔を空けて配置され、膜15の部分がポンプ室181の内壁と接触するのを防止するのに役立つように、ポンプ室18の内壁から延在している。(図4における右側ポンプ室181に示すように、内壁は、側部181aおよび底部181bによって画定されている。スペーサ50は、この実施形態では底部181bから上方に延在しているが、側部181aから延在するかまたは他の方法で形成されることが可能である。)膜15がポンプ室内壁と接触するのを防止することにより、スペーサ要素50はデッドスペース(またはトラップ容積)を提供することが可能であり、それは、ポンプ室181内の空気または他の気体を閉じ込めて、状況によってはポンプ室181から気体が圧送されるのを抑制するのに役立つことができる。他の場合では、スペーサ50は、ポンプ室181の出口への気体の移動に役立つことができ、それにより、たとえばプライミング中、ポンプ室181から気体を除去することができる。また、スペーサ50は、膜15気体ペーサ要素50と接触するように押圧される場合であっても、膜15がポンプ室内壁に付着するのを防止するのに役立ち、かつ/または流れがポンプ室181を通って継続するのを可能にすることができる。さらに、スペーサ50は、シートが偶発的にポンプ室内壁と非均一に接触する場合、ポンプ室の出口ポート(開口部187および/または191)の時期尚早な閉鎖を防止するのに役立つ。スペーサ50の構成および/または機能に関するさらなる詳細は、米国特許第6,302,653号明細書および同第6,382,923号明細書に提供されており、それらはともに、参照により本明細書に組み込まれる。
本実施形態では、スペーサ要素50は、ある種の「競技場座席」配置で配置され、それにより、スペーサ要素50は、同心楕円形パターンで配置され、スペーサ要素50の端部は、ポンプ室181の中心から距離が離れるほど内壁の底部181bからの高さが増大し、半楕円形ドーム形状領域(図4において点線で示す)を形成する。スペーサ要素50の端部が、膜15のポンプ室部分151が広がるように意図されたドーム状領域を画定する半楕円形領域を形成するように、スペーサ要素50を配置することにより、ポンプ室181の意図されたストローク容積に対するいかなる低減も最小限にする所望の容積のデッドスペースを可能にすることができる。図3(および図6)に示すように、スペーサ要素50が配置されている「競技場座席」配置は、楕円形パターンの「通路」または破断部50aを含むことができる。破断部(または通路)50Aは、流体がポンプ室181から送達される際にスペーサ要素50の間の列(空隙またはデッドスペース)50B全体を通して等しい気体レベルを維持するのに役立つ。たとえば、スペーサ要素50が、破断部(もしくは通路)50A、または液体および空気気体ペーサ要素50の間を流れるのを可能にする他の手段なしに、図6に示す競技場座席配置で配置された場合、膜15は、ポンプ室181の最外周縁部に位置するスペーサ要素50の上で底に達することができ、この最外スペーサ要素50とポンプ室壁の側部181aとの間の空隙に存在するいかなる気体または液体も閉じ込める。同様に、膜15が任意の2つの隣接するスペーサ要素50の上で底に達した場合、要素50間の空隙内のいかなる気体および液体も閉じ込められることが可能である。こうした配置では、ポンプストロークの最後に、液体が外側の列に残る一方で、ポンプ室181の中心にある空気または他の気体を送達することができる。スペーサ要素50の間の空隙の間に破断部(または通路)50Aまたは他の流体連通手段を提供することは、ポンプストロープ中に空隙を通して等しい気体レベルを維持するのに役立ち、それにより、液体容積が実質的に送達されていない限り、空気または他の気体がポンプ室181から出るのを阻止することができる。
いくつかの実施形態では、スペーサ要素50および/または膜15は、膜15気体ペーサ50に接触するように押圧されたときに、概して個々のスペーサ50に巻き付かないかもしくはその周囲で他の方法で変形しないか、または他の方法であるペーサ50の間の空隙に著しく延在しないように配置することができる。こうした配置により、1つまたは複数の個々のスペーサ要素50に巻き付くかまたは他の方法でその周囲で変形することによってもたらされる、膜15に対するいかなる伸張または損傷も低減させることができる。たとえば、この実施形態では、スペーサ50間の空隙のサイズを、その幅気体ペーサ50の幅と略等しくするようにすることが有利であることも分かった。この特徴は、膜15が圧送動作中にスペーサ50に強制的に接触させられるとき、膜15の変形、たとえばスペーサ50の間の空隙内への膜のたるみを防止するのに役立つことが分かった。
本発明の別の態様によれば、ポンプ室181の内壁は、膜15のポンプ室部分151が広がるように意図された空間、たとえば半楕円形またはドーム空間より大きいくぼみを画定することができる。こうした場合、ドーム状領域内に延在するのではなく、膜部分151が広がるように意図されたドーム状領域の下方に、1つまたは複数のスペーサ要素50を配置することができる。場合によっては、スペーサ要素50の端部は、膜15が広がるように意図されたドーム状領域の周縁部を画定することができる。膜部分151が広がるように意図されたドーム状領域の周縁部の外側に、またはそれに隣接してスペーサ要素50を配置することには、いくつかの利点があり得る。たとえば、1つまたは複数のスペーサ要素50を、可撓性部材が広がるように意図されたドーム状領域の外側にまたはそれに隣接するように配置することにより、上述したような、スペーサと膜との間のデッドスペースが提供されるとともに、ポンプ室181の意図されたストローク容積に対するいかなる低減も最小限になる。
ポンプ室内のスペーサ要素50は、存在する場合、たとえば図7に示すように、他の任意の好適な方法で配置することができることが理解されるべきである。図7における左側ポンプ室181は、図6のものと同様に配置されたスペーサ50を含むが、ポンプ室181のおよそ中心を通って垂直に延びる1つの破断部または通路50aのみがある。スペーサ50は、図6のものと同様である凹状形状を画定するように配置することができ(すなわち、スペーサ50の頂部は、図3および図4に示す半楕円形上を形成することができ)、球形、箱状形状等を形成するため等、他の好適な方法で配置することができる。図7における右側ポンプ室181は、スペーサ50気体ペーサ50が垂直に配置され、スペーサ50間の空隙50bもまた垂直に配置されている実施形態を示す。左側ポンプ室と同様に、右側ポンプ室181内のスペーサ50は、半楕円形、球形、箱状または他の任意の好適な形状のくぼみを画定することができる。しかしながら、スペーサ要素50は、固定の高さ、図示するものとは異なる空間的パターン等を有することができることが理解されるべきである。
また、膜15自体気体ペーサ要素、またはスペーサ要素50に加えてもしくはその代わりに、リブ、出っ張り、タブ、溝、チャネル等の他の特徴を有することができる。膜15におけるこうした特徴は、膜15の付着等を防止するのに役立ち、かつ/または圧送作用中に移動するときにシートがどのように折り重なるかまたは他の方法で変形するかを制御するのに役立つ等、他の特徴を提供することができる。たとえば、膜15の出っ張りまたは他の特徴は、シートが一貫して変形するのに役立ち、繰り返されるサイクル中に同じ領域で折り重ならないようにすることができる。繰り返されるサイクルにおいて膜15を同じ領域で折り重ねることにより、その折り目領域において膜15が時期尚早に機能しなくなる可能性があり、したがって、膜15の特徴は、折り目が発生する方法および場所を制御するのに役立つことができる。
この例示的な実施形態では、カセット24のベース部材18は、カセット24内の流体の動きを案内するために、複数の制御可能な弁機能、流体経路、および他の構造を規定する。図6は、ベース部材18のポンプ室側の平面図を示しており、これは、図3の斜視図でも見られる。図8は、ベース部材18の裏側の斜視図を示している。図9は、ベース部材18の裏側の平面図を示している。ポート150、152、および154のそれぞれの管156は、ベース部材18に形成されたそれぞれの弁ウェルまたはチャンバ183と流体的に連絡している。弁ウェルまたはチャンバ183は、各弁ウェルまたはチャンバ183を取り囲む壁によって、およびウェルまたはチャンバ183の周りの壁との膜15の係合をシールすることによって、互いに流体的に隔離される。同様に、弁ウェル185は、カセット膜15の操作によってポート186からシールすることができる。ポンプ入口または出口弁は、カセット膜15の操作によってポート190、192から密封することができるウェル189、194を有する。上記のように、膜15は、例えば、サイクラ14に装填されたときに、壁と接触するように押されることによって、各弁ウェルまたはチャンバ183、185、189および194(およびベース部材18の他の壁)の周りの壁にシール係合し得る。弁ウェルまたはチャンバ183、185、189および194内の流体は、膜15が弁ポートまたはオリフィス184、186、190および192とシール係合するように押されていない場合、各弁ポートまたはオリフィス184、186、190および192へ流れ込むか、それから流れ出ることができる。したがって、各弁ポートまたはオリフィス184、186、190および192は、弁ポートまたはオリフィス184、186、190および192に関連する膜15の一部を選択的に動かすことによって開閉することができる弁(例えば、「ボルケーノ弁」)を画定する。カセット弁ポートまたはオリフィスシートは、カセット膜15およびガスケットの関連する弁制御領域によるポートの閉塞がより確実に達成されるように、隆起壁196によって画定されて弁座(図3を参照)を形成することができる。しかし、他の実施形態では、カセット膜15が十分に柔軟であるか適切な形状であり、加えられた圧力が弁ポート184、186、190および192を弁からシールするのに十分である場合、カセット弁ポートシートは隆起壁196を含まなくてもよい。
より詳細に後述するように、サイクラ14は、膜15の一部の位置を選択的に制御することができ、それにより、カセット24内のさまざまな流体チャネルおよび他の経路を通る流れを制御するように、弁ポート(ポート184等)を開閉することができる。弁ポート184を通る流れは、ベース部材18の後側に至る。ヒータバッグおよびドレーンに関連する弁ポート(ポート150および152)の場合、弁ポート184は、ベース部材18の後側に形成された共通チャネル200に至る。弁ウェル183およびチャンバ183、185、189、194と同様に、チャネル200は、シート16によってカセット24の他のチャネルおよび経路から隔離され、チャネル200を形成するベース部材18の壁との封止接触をもたらす。患者ラインポート154に関連する弁ポート184の場合、ポート184を通る流れは、ベース部材18の後側の共通チャネル202に至る。共通チャネル200は、本明細書では上部流体バスとも呼ぶこともでき、共通チャネル202は、下部流体バスとも呼ぶこともできる。
図6に戻ると、(図6にキャップを外して示す)スパイク160の各々は、それぞれの弁ウェル185と流体連通し、弁ウェル185は、壁と、ウェル185を形成する壁との膜15の封止係合とによって、互いから隔離されている。膜15がポート186と封止係合しない場合、弁ウェル185内の流体は、それぞれの弁ポート186内に流れ込むことができる。(この場合もまた、各弁ポート186の上の膜15の一部の位置は、弁ポート186を開閉するようにサイクラ14によって制御することができる。)弁ポート186を通る流れは、ベース部材18の後側にかつ共通チャネル202内に至る。したがって、本発明の一態様によれば、カセットは、カセットの共通のマニホールドまたはチャネルに接続される複数の溶液供給ライン(または、透析液を提供するための物質を提供する他のライン)を有することができ、各ラインは、共通のマニホールドまたはチャネルに対するラインとの間の流れを制御する対応する弁を有することができる。チャネル202内の流体は、下部ポンプ弁ウェル189(図6を参照)に通じる開口部188によって、ポンプ室181の下部開口部187内に流れ込むことができる。膜15のそれぞれの部分がポート190と封止係合するように押圧されない場合、下部ポンプ弁ウェル189からの流れは、それぞれの下部ポンプ弁ポート190を通過することができる。図9に示すように、下部ポンプ弁ポート190は、ポンプチャネル181の下部開口部187と連通するチャネルに通じている。ポンプ室181から出る流れは、上部開口部191を通過し、上部弁ポート192と連通するチャネルに入ることができる。上部弁ポート192からの流れは(膜15がポート192と封止係合していない場合)、それぞれの上部弁ウェル194内に、かつベース部材18の後側の共通チャネル200と連通している開口部193内に入ることができる。
理解されるように、ポンプ室181が、ポート150、152および154のうちの任意のものおよび/またはスパイク160のうちの任意のものとの間で流体を圧送することができるように、カセット24を制御することができる。たとえば、スパイク160のうちの1つにライン30によって接続される容器20のうちの1つによって提供される新鮮な透析液を、適切なスパイク160に対する適切な弁ポート186を開放する(かつ、場合によっては、他のスパイクに対する他の弁ポート186を閉鎖する)ことにより、共通チャネル202内に引き込むことができる。また、下部ポンプ弁ポート190を開放することができ、上部ポンプ弁ポート192を閉鎖することができる。その後、ポンプ室181内の圧力を低下させるように、ポンプ室181に関連づけられた膜15(すなわち、ポンプダイヤフラム151)の部分を(たとえば、ベース部材18およびポンプ室内壁から離れるように)移動させることができ、それにより、流体を、選択されたスパイク160を通して、対応する弁ポート186を通して、共通チャネル181内に、開口部188を通して下部ポンプ弁ウェル189内に、(開放した)下部ポンプ弁ポート190を通して、下部開口部187を通してポンプ室181内に引き込む。弁ポート186は、独立して動作可能であり、任意の所望の順序で、または同時に、スパイク160および関連する供給源容器20の任意の1つまたは組合せを通して、流体を引き込むオプションを可能にする。当然ながら、流体を引き込むように1つのポンプ室181のみが動作すればよい。他のポンプ室は、動作不能のままであり、適切な下部ポンプ弁ポート190を閉鎖することにより流れに対して封鎖されたままにすることができる。
ポンプ室181内の流体により、下部ポンプ弁ポート190を閉鎖することができ、上部ポンプ弁ポート192を開放することができる。膜15がベース部材18に向かって移動するとき、ポンプ室181内の圧力が上昇する可能性があり、それにより、ポンプ室181内の流体が、上部開口部191を通り、(開放した)上部ポンプ弁ポート192を通り上部ポンプ弁ウェル194内に、開口部193を通って共通チャネル200内に入る。適切な弁ポート184を開放することにより、チャネル200内の流体を、ヒータバッグポート150および/または排液ポート152に(かつ、対応するヒータバッグラインまたは排液ライン内に)送ることができる。このように、たとえば、容器20のうちの1つまたは複数内の流体を、カセット24内に引き込み、ヒータバッグ212および/またはドレーンに出るように圧送することができる。
ヒータバッグ22内の流体を(たとえば、患者の体内に導入するためにヒータトレイの上で好適に加熱された後で)、ヒータバッグポート150用の弁ポート184を開放し、下部ポンプ弁ポート190を閉鎖し、上部ポンプ弁ポート192を開放することにより、カセット24内に引き込むことができる。ポンプ室181に関連づけられた膜15の部分をベース部材18から離れるように移動させることにより、ポンプ室181内の圧力を低下させることができ、それにより、流体流がヒータバッグ22からポンプ室181内に入る。ヒータバッグ22からの加熱流体でポンプ室181を充填した状態で、上部ポンプ弁ポート192を閉鎖することができ、下部ポンプ弁ポート190を開放することができる。加熱された透析液を患者に送るために、患者ポート154用の弁ポート184を開放することができ、スパイク160用の弁ポート186を閉鎖することができる。ポンプ室181内の膜をベース部材18に向かって移動させることにより、ポンプ室181内の圧力を上昇させることができ、それにより、流体が、下部ポンプ弁ポート190を通り、開口部188を通って共通チャネル202内に、患者ポート154用の(開放した)弁ポート184にかつそこを通って流れる。患者に対して所望の容積の加熱された透析液を運ぶために、この動作を好適な回数繰り返すことができる。
患者から排液を行うとき、患者ポート154用の弁ポート184を開放することができ、上部ポンプ弁ポート192を閉鎖することができ、下部ポンプ弁ポート190を(スパイク弁ポート186を閉鎖した状態で)開放することができる。流体を患者ポート154からポンプ室181内に引き込むように、膜15を移動させることができる。その後、下部ポンプ弁ポート190を閉鎖することができ、上部弁ポート192を開放させることができ、排液ポート152用の弁ポート184を開放することができる。そして、ポンプ室181からの流体を、ドレーンもしくは収集容器内に廃棄するためにまたはサンプリングするために、排液ライン内に圧送することができる。別法として、サンプリングまたは排液の目的で、1つまたは複数のスパイク160/ライン30に流体を送ることも可能である。十分な透析液が患者から取り出されて、ドレーンに圧送されるまで、この動作を繰り返すことができる。
ヒータバッグ22はまた、混合容器としての役割を果たすことも可能である。個々の患者に対する所定の治療要件に応じて、透析液または異なる組成物を有する他の溶液を、好適な溶液ライン30およびスパイク160を介してカセット24に連結することができる。測定された量の各溶液は、カセット24を用いてヒータバッグ22に追加し、マイクロプロセッサメモリに格納され制御システム16がアクセス可能な1つまたは複数の所定の処方に従って混合することができる。別法として、ユーザが、ユーザインターフェース144を介して所定の治療パラメータを入力することができる。透析液、またはスパイク160に接続された溶液容器のタイプに基づいて、適切な混合要件を計算するように、制御システム16をプログラムすることができ、その後、制御システム16は、混合と患者への処方された混合物の送達とを制御することができる。
本発明の態様によれば、患者に注入されるかまたは患者から取り除かれる透析液にポンプによって加えられる圧力は、排液動作および充填動作中の圧力変動からもたらされる「強く引く」または「引っ張る」という患者の感覚を最小限にすることができるように制御することができる。たとえば、透析液を排液するとき、排液プロセスの最後の近くで、吸引圧力(または真空/負圧)を低下させることができ、それにより、透析液除去の患者の感覚が最小限になる。充填動作の最後に近づくとき、同様の手法を用いることができ、すなわち、充填の最後の近くで、送達圧力(または正圧)を低下させることができる。患者が治療の種々のサイクル中に流体移動に対して事実上敏感であることが分かった場合、種々の充填サイクルおよび/または排液サイクルに対して種々の圧力プロファイルを使用することができる。たとえば、患者が覚醒しているときと比較して、患者が眠っているとき、充填サイクルおよび/または排液サイクル中に相対的に高い(または低い)圧力を使用することができる。サイクラ14は、たとえば、赤外線動き検知器を用いて、患者の動きが低減した場合に眠っていると推論するか、または血圧、脳波、もしくは睡眠を示す他のパラメータの検出された変化を用いて、患者の睡眠/覚醒状態を検出することができる。別法として、サイクラ14は、単純に患者に「眠っているか?」と「尋ね」、患者の応答(または応答なし)に基づいてシステム動作を制御することができる。
患者ライン状態検出器
一態様では、患者ライン状態検出器は、患者ライン34等、患者への流体ラインが、患者に接続される前に適切にプライミングされるときを検出する。患者ラインに関して流体ライン状態検出について記載するが、本発明の態様は、任意の好適な管セグメントもしくは他の導管の存在、および/または管セグメントもしくは他の導管の充填状態の検出を含むことが理解されるべきである。したがって、本発明の態様は、任意の好適な導管と管状体検出器を使用することができるため、患者ラインとの使用に限定されない。いくつかの実施形態では、流体ライン状態検出器を用いて、流体ラインの患者接続端部の管セグメントの適切なプライミングを検出することができる。患者の血管内、体腔内、皮下、または別の器官内の体内留置カテーテルに、患者ライン34を接続することができる。一実施形態では、患者ライン34は、腹膜透析システム10の構成要素とすることができ、患者の腹膜腔に透析液を送達しかつそこから流体を受け取る。ラインの先端部の近くの管セグメントは、検出器のセンサ素子が位置するクレードル内に直立姿勢で配置することができる。
図10は、流体ライン状態検出器1000の例示的な構成の正面斜視図を示し、流体ライン状態検出器1000は、ハウジング82の左側外部に、たとえば正面ドア141の左側に、取り付けるかまたは他の方法でそこで露出させることができる。例示の目的で、流体ライン状態検出器について患者ライン状態検出器1000として記載する。患者ライン34は、好ましくは、患者に接続される前にプライミングされるべきであり、それは、そうでない場合、患者の体内に空気が送達される可能性があり、合併症の危険性が高まるためである。設定によっては、患者の腹膜透析カテーテルに接続される前に、患者ライン34内に最大1mLの空気が存在することが許容可能であり得る。後述する患者ライン状態検出器1000の例示的な構成は、概してこの基準を満たすかまたは超過し、それは、それらの検出器が、ライン34の適切に配置された管セグメント内の液体レベルを検出することができ、それにより、プライミング後に、ライン34の先端部に残る空気は、最大でも約0.2mLであるためである。
一態様では、第1構成の患者ライン状態検出器1000は、ベース部材1002を含むことができる。ベース部材1002に取り付けられた(または一般にはともにモールドされた)患者ライン状態検出器ハウジング1006もある場合があり、それにより、検出器ハウジング1006は、ベース部材1002から外側に延在することができる。検出器ハウジング1006は、チューブまたはコネクタ保持チャネル1012を画定し、その中に、患者ライン34の先端部の近くの管セグメント34aまたはその関連するコネクタ36を配置することができる。ベース部材1002に面している検出器ハウジング1006の部分は実質的に中空とすることができ、その結果、検出器ハウジング1006の後方に開放空洞1008(図11おおよび図13に示す)に生成することができる。開放空洞1008は、管セグメント34aを配置することができるチャネル1012の隣におけるセンサ素子(図13に示す1026、1028、1030および1032)の配置および位置決めに適応することができる。代替実施形態では、任意選択的に、ベース部材1002から外側に延在する安定化タブ1010もあり得る。安定化タブ1010は凹状外側形状を有することができ、それにより、患者ライン34が患者ライン状態検出器ハウジング1006内に配置されたときに、患者ラインコネクタ36の曲率に実質的に一致することができる。安定化タブ1010は、患者ライン34のプライミング中にコネクタ36が移動するのを防止するのに役立つことができ、それによってプライミングプロセスの正確さおよび効率を向上させる。検出器ハウジング1006は、概してチューブまたはコネクタ保持チャネル1012を画定するのに役立つ形状を有することができ、チューブまたはコネクタ保持チャネル1012はさらに、管セグメント34aからチューブコネクタ36への遷移に対応するように変化する寸法を有することができる。
この例示的な実施形態では、チャネル1012は、患者ラインコネクタ36の形状に実質的に一致することができる。その結果、チャネル1012内に配置されたときのコネクタ36の一部を包含するように、チャネル1012は「U字型」であり得る。チャネル1012は、2つの別個の特徴、すなわちチューブ部分1014およびクレードル1016から構成することができる。別の態様では、チューブ部分1014をクレードル1016の下方に配置することができる。さらに、一対の側壁1018および後壁1020によって、クレードル1016を形成することができる。側壁1018の両方は、形状をわずかに凸状とすることができ、後壁1020は、概して平坦であり得るか、または他の方法でコネクタ36の隣接する部分の形状に概して一致する輪郭を有することができる。側壁1018の概して凸状の形状は、クレードル1016内に配置されたときの患者ラインコネクタ36を適所に係止するのに役立つ。
患者ライン状態検出器1000の第1構成に対する例示的な実施形態では、患者ラインコネクタ36の領域36aは、チャネル1012の対向する後壁1020に対して固定して位置することができる概して平面の表面を有することができる。さらに、コネクタ36のこの領域は、反対側に凹部37を有することができ、それは、コネクタ36が検出器ハウジング1006内に配置されるときに、チャネル1012の対向する側壁1018に隣接して配置することができる。コネクタ36の側面に位置する隆起要素37aによって、凹部37を画定することができる。これらの凹部37のうちの1つが、図10において部分的に見える。2つの側壁1018は、凹部37と係合し、クレードル1016内の適所にコネクタ36を係止するのに役立つ概して嵌合する形状(たとえば、凸形状等)を有することができる。これは、患者ライン34のプライミング中にコネクタ36および管セグメント34aが検出器ハウジング1006から不注意に取り外されるのを防止するのに役立つ。コネクタ36の隆起要素37aが、十分に可撓性がある材料(たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレンまたは他の同様のポリマー系材料等)から作製される場合、コネクタ36に対する閾値引張力は、コネクタ36および管セグメント34aを検出器ハウジング1006から解除することができる。
別の態様では、空洞1012のチューブ部分1014は、管セグメント34aがコネクタ36に取り付けられる直前の時点で、管セグメント34aの大部分を包囲することができる。チューブ部分1014は、3つの構造、すなわち2つの側壁1018および後壁1020を用いて管セグメント34aの大部分を収容することができる。実施形態では、2つの側壁1018および後壁1020は、複数のLED(たとえば、図13におけるLED1028、1030および1032等)からの光が、著しく遮られるかまたは拡散されることなく壁を通して向けられるのを可能にするように、透明または十分に半透明(たとえば、プレキシガラスから構築される)であり得る。壁1018のうちの1つに沿って、光学センサ1026(図12に示す)も配置することができ、それは、LEDによって放出されている光を検出することができる。例示する実施形態では、LEDがハウジング内で配置された領域おいて、主検出器ハウジング1006内にスナップ式に嵌まるように、透明または半透明のプラスチックインサート1019を構成することができる。
図12は、患者ライン状態検出器プリント回路基板1022に表面実装されたLED1028、1030および1032ならびに光学センサ1026がある斜視配置図を示す。図13は、検出器回路基板1022に実装されたLED1028、1030および1032ならびに光学センサ1026の平面図を示し、そこでは、検出器回路基板1022は、検出器ハウジング1006の後壁1020および側壁1018に隣接して配置することができる。図14は、検出アセンブリ1000の組立分解斜視図であり、ハウジング1006に対するプリント回路基板1022および半透明または透明のプラスチックインサート1019の相対位置を示す。
図11の例示的な実施形態も参照すると、検出器回路基板1022は、支持構造1004および内部開放空洞1008の上に配置することができ、内部開放空洞1008は、ベース部材1002から外側に延在する検出器ハウジング1006から形成されている。ベース部材1002が、支持構造1004に対して概して垂直であるように、ベース部材1002および支持構造1004を互いに取り付けることができ、または一般にはモールディングすることができる。この向きにより、概して、検出器回路基板1022の平面が、チャネル1012内に固定されたときに管セグメント34aの長軸に対して概して垂直であることが可能になる。検出器回路基板1022は、開放空洞1008の断面形状に概して一致することができ、後壁1020および側壁1018(図10)によって形成されたチャネル1012の断面形状に概して一致する切取り部1024(図12、図13)も有することができる。そして、開放空洞1008内に検出器回路基板1022を配置することができ、検出器回路基板1022の管セグメント34aまたはコネクタ36との適切な位置合わせを確実にするために、切取り部1024は、検出器ハウジング1006の後壁1020および側壁1018に略隣接している。
検出器回路基板1022は、回路基板1022に取り付けることができる複数のLEDおよび少なくとも1つの光学センサを含むことができ、一実施形態では、LEDおよび光学センサは、回路基板1022に表面実装することができる。一態様では、検出器回路基板1022は、第1のLED1028、第2のLED1030、第3のLED1032および光学センサ1026を含むことができる。第1のLED1028および第2のLED1030は、チャネル1012の同じ側壁1018aを通して光を向けるように配置することができる。第1のLED1028および第2のLED1030によって放出される光は、概して平行方向に、それらが最も近い側壁1018aに対して概して垂直に向けることができる。チャネル1012の対向する側壁1018bに沿って、光学センサ1026を配置することができる。さらに、チャネル1012の後壁1020に沿って、第3のLED1032を配置することができる。この例示的な実施形態では、LEDおよび光学センサ1026のこうした構成により、患者ライン状態検出器1000は、患者ライン34をプライミングする過程の間に3つの異なる状態、すなわち管セグメント34aまたはコネクタ36が略完全に流体で充填されている(プライミング済み状態)、管セグメント34aまたはコネクタ36が完全には充填されていない(非プライミング状態)、またはチャネル1012に管セグメント34aおよび/またはコネクタ36が存在しない(ライン不在状態)を検出することができる。
たとえば腹膜透析システム10等の腹膜透析システムで使用される場合、このように検出器回路基板1022を構成することにより、PDサイクラコントローラシステム16に適切な制御信号を送信することができる。そして、コントローラシステム16は、ユーザに対し、ユーザインターフェース144を介して、腹膜透析カテーテルへの接続を行う前に、患者ライン状態検出器1000においてライン34の先端部を位置決めするように通知することができる。そして、コントローラは、患者ライン状態検出器1000内における管セグメント34aの配置をモニタリングすることができる。そして、コントローラは、続いて、ライン34のプライミングを指示し、ライン34がプライミングされるとプライミングの終了を指示し、その後、ユーザに対して、患者ライン状態検出器1000からライン34の先端部を分離し、それをユーザの腹膜透析カテーテルに接続するように指示することができる。
LED1028、1030および1032ならびに光学センサ1026を回路基板1022に表面実装することは、装置に対する製造プロセスを単純化することができ、患者ライン状態検出器1000および回路基板1022が相対的に小さい空間を占有するのを可能にすることができ、LEDまたは光学センサの互いに対するまたはチャネル1012への移動から生じる可能性がある誤差を排除するのに役立つことができる。センサ構成要素の表面実装なしでは、装置の組立中、またはその使用中に、構成要素の位置ずれが発生する可能性がある。
一態様では、LED1032の光軸(または中心光軸)は、光学センサ1026の光軸に対して斜角を形成することができる。例示する実施形態では、第1のLED1028、第2のLED103および光学センサ1026の光軸は、各々、互いにかつチャネル1012の後壁1020に対して概して平行である。したがって、LEDから光学センサ1026に向けられる光の量は、(a)チャネル1012内の半透明または透明の導管の存在もしくは不在、および/または(b)(たとえば、管セグメント34aであり得る)導管内の液体の存在に応じて変化する可能性がある。好ましくは、チャネル1012内の半透明または透明の管セグメント34aの存在によってLED1032によって放出される光の一部を屈折させるために、光学センサ1026から最も遠い側壁(たとえば、1018a)の近くに、LED1032を配置することができる。光学センサ1026から離れるかまたはそれに向かう屈折の程度は、管セグメント34aにおける流体の存在または不在によって決まる可能性がある。
さまざまな実施形態では、光学センサ1026に対するLED1032の斜角により、チャネル1012に半透明または透明な導管を備えた、液体の存在または不在を判断するよりロバストなシステムが生成される。LED1032は、その光軸が、光学センサ1026の光軸に対して91°~179°の任意の角度を形成することができるように、配置することができる。好ましくは、角度は、光学センサの光軸に対して約95°~約135°の範囲内に設定することができる。より好ましくは、LED1032は、光学センサの光軸に対して約115°±5°の光軸を有するように設定することができる。図13に示す例示的な実施形態では、光学センサ1026の光軸に対するLED1032の光軸の角度θは、およそ115°±5°に設定された。(この特定の実施形態における光学センサ1026の光軸は、後壁1020に対しておよそ平行であり、側壁1018bに対しておよそ垂直である。)光学センサ1026の光軸に対してLED1032の角度を付けることの利点は、約115°の角度で向けられたLED1032と、これに対する、光軸が、光学センサ1026の光軸に対して垂直または平行に向けられたLEDとを用いて、空気充填チューブセグメント(ドライチューブ)から流体充填チューブセグメント(ウェットチューブ)を識別する際に、光学センサ1026の性能を比較する一連の試験において確認された。その結果により、角度付きLEDベースシステムは、管セグメント34aにおける液体の存在または不在を識別するのによりロバストであることが分かった。角度付きLED1032を用いることにより、超えると空の管セグメント34aを確実に検出することができる、光学センサの信号強度閾値を選択することが可能であった。また、下回ると流体充填管セグメント34aを確実に検出することができる、光学センサ信号強度閾値を選択することも可能であった。
図15は、患者ライン状態検出器1000が液体充填管セグメント34a(プライミング済み状態)と空の管セグメント34a(非プライミング状態)とを識別することができることを実証する試験結果のグラフを示す。その結果は、光学センサ1026の光軸に対して約115°の角度で向けられたLED1032(第3のLED)と、光学センサ1026の光軸に対しておよそ平行に向けられたLED1030(第2のLED)とに対して記録された。図15においてプロットされた結果により、患者ライン状態検出器1000が、プライミング済み状態と非プライミング状態とを確実に区別することができることが実証される。LED1030から受け取られる光に関連する相対信号強度がおよそ0.4以上であった場合、LED1032から受け取られた光信号のみを使用して、非プライミング状態対プライミング済み状態に対する上限信号検出閾値1027および下限信号検出閾値1029を決定することができた。上限閾値1027を用いて、非プライミング状態を識別することができ、下限閾値1029を用いて、プライミング済み状態を識別することができる。上限閾値1027より上に位置するデータ点は、空の管セグメント34a(非プライミング状態)に関連づけられ、下限閾値1029より下に位置するデータ点は、液体充填管セグメント34a(プライミング済み状態)に関連づけられる。これらの2つの閾値の間の相対的に狭い領域1031は、管セグメント34aのプライミング状態の評価が不確定である可能性がある、LED1032から受け取られた光に関連づけられた相対信号強度の範囲を画定する。LED1032から受け取られる光に関連づけられた信号強度がこの不確定範囲内にある場合はいつでも、ユーザに対して適切なメッセージを送信するように、コントローラ(たとえば、制御システム16等)をプログラムすることができる。たとえば、ユーザに対して、管セグメント34aおよび/またはコネクタ36が患者ライン状態検出器1000に適切に取り付けられているか否かを評価するように指示することができる。腹膜透析システムに関連して、光学センサ1026が、空の管セグメント34aに対応する信号を生成する場合、コントローラは、透析液で患者ライン34をプライミングし続けるようにサイクラに指示することができる。コントローラが、液体充填管セグメント34aに対応する信号を用いて、それ以上のプライミングを停止し、ユーザに対して、流体ライン34が透析カテーテルに接続される準備ができていることを指示することができる。
実施形態では、サイクラ14コントローラは、プライミング処置の開始時、LEDのうちの1つからの受け取った信号を連続的にモニタリングすることができる。受け取った信号の変化を検出すると、コントローラは、LEDのすべてを用いる完全な測定を行うために、さらなる流体圧送を停止させることができる。受け取った信号が、十分に、ウェットチューブを示す範囲内にある場合、さらなるプライミングを停止させることができる。しかしながら、受け取った信号が、不確定領域1031内または「ドライ」領域内にある場合、サイクラは、圧送カセットによる患者ライン内への流体の一連の小さい漸増するパルスを命令し、流体の各パルスの後、LED信号強度を繰り返し読み取る。そして、センサのレベルにおいて流体充填ラインを示す読取が達成されるとすぐに、プライミングを停止させることができる。弁の短いパルスを命令して、圧力リザーバをポンプ作動チャンバまたは制御室(制御チャンバ)に接続することにより、流体の漸増パルスを達成することができる。別法として、コントローラは、ポンプ作動チャンバまたは制御室に連続した圧力を加えることを命令し、ポンプの出口弁に対して、一連の流体パルスを生成するように短い時間開放して閉鎖するように命令することができる。
図16は、光軸が光学センサ1026の光軸に対しておよそ垂直であるLED(LEDd)と比較したときの、角度付きLED1032(LEDc)の優位性を実証する試験結果のグラフを示す。この場合、LEDからの光に応答して光学センサ1026によって生成された相対信号強度が、LEDからの光に関連づけられた信号強度に対してプロットされた。液体充填済み(「プライミング済み」)管セグメント34aと空(「非プライミング」)管セグメント34aとの間の幾分かの分離が、約0.015のLED相対信号強度で明白であったが、この閾値に基づいて「プライミング済み」データ点から識別することができない実質的な数の「非プライミング」データ点1035が残った。一方、0.028~0.03のLEDcからの光に関連づけられた相対信号強度1033は、「プライミング済み」管セグメント34a(プライミング済み状態)と「非プライミング」管セグメント34a(非プライミング状態)とを有効に識別することができる。したがって、角度付きLED(1032)は、直角に向けられたLEDより信頼性の高いデータを生成することができる。
別の実施形態では、患者ライン状態検出器1000はまた、管セグメント34aがチャネル1012に存在するか否かを判断することができる。一態様では、第1のLED1028および第2のLED1030は、隣同士に配置することができる。一方のLED(たとえば、LED1028)は、その光軸がチャネル1012内の適切に位置決めされた半透明または透明の導管または管セグメント34aのおよそ中心を通過するように配置することができる。第2のLED(たとえば、LED1030)は、その光軸がチャネル1012内の導管または管セグメント34aに対して中心から外れてわずかにシフトするように配置することができる。光学センサ1026がチャネル1012の反対側にある状態で、このように、チャネル1012の一方の側の中心に/中心から外れてLEDを対にすることにより、チャネル1012内に液体導管または管セグメント34aが存在するかまたは不在であるかを判断する信頼性が向上することが分かった。管セグメント34aが交互に、チャネル1012内に、不在である、存在するが適切に配置されていない、または存在し適切に配置された、一連の試験では、光学センサ1026によって第1のLEDおよび第2のLED1030から信号測定値が取得された。各LEDから受け取られた信号は、互いに対してプロットされ、その結果を図17に示す。
図17に示すように、管セグメント34aがチャネル1012(領域1039)に不在であった場合の大部分では、LEDaに起因する光学センサ1026によって受け取られた信号強度(LEDa受信強度)は、LEDaがチャネル1012内の任意の管の既知の不在状態で点灯された較正ステップ中にLEDaから受け取った信号強度と著しく異らないことが分かった。同様に、LEDbに関連づけられた信号強度(LEDb受信強度)は、LEDbがチャネル1012内の任意の管の既知の不在状態で点灯された較正ステップ中のLEDbとは著しく異ならないことが分かった。患者ライン状態検出器1000は、LEDaのその較正値に対する比およびLEDbのその較正値に対する比が、各々およそ1±20%である場合、チャネル1012内にチューブが存在しないと確実に判断することができる。好ましい実施形態では、閾値比は、1±15%に設定され得る。患者ライン状態検出器1000が腹膜透析サイクラとともに使用される実施形態では、図17の領域1039内のLEDaおよびLEDbの値を使用して、たとえば、チャネル1012におけるチューブセグメント34aの不在を示すことができる。さらなる圧送動作を休止し、患者ライン状態検出器1000内の患者ライン34の先端部に適切に位置決めすることが必要であることを、ユーザインターフェース144を介してユーザに通知するように、サイクラコントローラをプログラムすることができる。
上述した3つのLEDおよび光学センサ1026の構成および位置合わせは、広範囲の半透明性を有する半透明または透明の流体導管(たとえば、管セグメント34a)を用いて必要なデータを生成することができる。さらなる試験では、患者ライン状態検出器1000は、著しく異なる程度の半透明性を有する管のサンプルを用いて、流体導管内の空気から液体を識別するか、または流体導管の存在もしくは不在を識別するための信頼性の高いデータを提供することができることが分かった。それはまた、使用されているPVC管が、滅菌されていないかまたは滅菌されている(たとえば、EtOXで滅菌されている)かに関する信頼性の高いデータを提供することもできた。
特定の実施形態では、流体導管または患者ライン34は、第1のスペクトルまたは複数のスペクトルの光に対して透明または半透明であり得る。流体導管はまた、第2のスペクトルまたは複数のスペクトルの光に対して不透明であり得る。患者ライン状態検出器1000で使用されるLEDは、流体導管の光透過特性に基づいて選択され得る。例えば、第1のLEDは、第1のスペクトルまたは複数の第1のスペクトルのうちの少なくとも1つで光を放出するように選択され得る。第2のLEDは、第2のスペクトルまたは複数のスペクトルで光を放出するように選択され得る。例えば、流体導管は、少なくとも赤外線スペクトルの光に対して透明または半透明であり得るが、少なくとも紫外線スペクトルの光に対して不透明であり得る。第1のLED(例えば、LED1030)は、赤外線スペクトルの光を放出することができ、一方、第2のLED(例えば、LED1028)は、紫外線スペクトルの光を放出するように選択され得る。光学センサ1026は、各LEDから放出された光を感知することができるか、または複数のセンサが光学センサ1026に含まれ得、各LED波長に対して1つが含まれ得る。フィルタなどは、望ましくない波長の光をフィルタで除去するために、光学センサ1026の一部として含まれ得る。たとえば、トリム(ショートパスとロングパス)およびバンドパスフィルタを使用できる。
LED1028が紫外線を放出し、LED1030が赤外光を放出する実施形態では、管がチャネル1012にない場合、光学センサ1026は、両方のLED1028、1030からの光を感知し得る。管(例えば、患者ライン34)がチャネル1012に設置される場合、紫外線LED1028からの光は、管の存在によって遮断され得る。赤外線LEDからの光は、管がその光スペクトルに対して半透明または透明であり得るので、光学センサ1026によって記録され得る。したがって、制御システム16は、紫外線LED1028からの光の強度が事前定義された閾値(光が完全にまたはほぼ完全に隠されていることを示すように設定され得る)を下回り、赤外線発光LED1030からの光が少なくともある閾値を超える場合、管が存在すると宣言することができる。患者ライン状態検出器1000は、予想されるタイプまたは組成の管と、望ましくないまたは許可されていない管タイプとを区別することができる可能性があるため、これはさらに有益であり得る。患者ライン状態検出器1000はまた、様々なシナリオを区別する際により大きなロバスト性を有し得る。例えば、紫外線および赤外線LEDの使用は、不適切に配置された管の代わりに異物またはデトリタスが存在するかどうかを決定する際に、患者ライン状態検出器1000を支援し得る。したがって、ユーザインターフェース上に表示するために生成されたトラブルシューティングおよびプロンプトは合理化され得、サイクラ14は、より良い患者体験を提供し得る。患者は毎晩ベッドの準備をしていて、トラブルシューティングが長引くと睡眠が失われ、欲求不満の原因となる可能性があるため、これは特に患者が通常治療を設定する際に望ましい場合がある。
いくつかの実施形態では、光源を管の特性に一致させることにより、管の検出に使用されるLED1028、1030のうちの1つを省略できる場合がある。赤外線発光LED1030は省略され得、制御システム16は、遮断される紫外線発光LEDからの光(例えば、ある事前定義された閾値を下回る減少)のみを監視して、管が存在するか、またはチャネル1012に適切に設置されるかを決定し得る。
LED1028、1030、1032から光学センサ1026によって取得された測定値は、管セグメント34aの状態を検出するために患者ライン状態検出器アルゴリズムへの入力として使用することができる。充填された管セグメント34a、空の管セグメント34aまたは不在の管セグメント34aを検出する以外に、アルゴリズムの結果は不確定である可能性があり、場合によっては、患者ライン状態検出器1000内の管セグメント34aの移動または不適切な位置決め、または場合によっては患者ライン状態検出器1000のチャネル1012内の異物の存在を示す。製造のばらつきにより、LED1028、1030、1032からの出力および光学センサ1026の感度が、種々のアセンブリ間で変化する可能性がある。したがって、患者ライン状態検出器1000の初期較正を行うことが有利である可能性がある。たとえば、以下の手順を用いて、LEDおよびセンサの較正値を得ることができる。
(1)管セグメント34aが患者ライン状態検出器1000に装填されていないことを確実にする。
(2)光学センサ1026に対して以下の4つの異なる状態に関して問い合わせる。(a)LED点灯なし(b)第1のLED1028(LEDa)点灯(c)第2のLED1030(LEDb)点灯(d)第3のLED1032(LEDc)点灯
(3)「LED点灯なし」信号値を他の信号値の各々から減算して、それらの環境補正値を求め、「チューブなし」較正値としてこれらの3つの測定値を格納する。
LEDおよびセンサに対する較正値が得られると、管セグメント34aの状態を検出することができる。この例示的な実施形態では、患者ライン状態検出器アルゴリズムは、以下のように試験において状態検出を行なう:
(1)光学センサ1026に対して以下の4つの異なる状態に関して問い合わせる。(a)LEDなし(b)第1のLED1028(LEDa)点灯(c)第2のLED1030(LEDb)点灯(d)第3のLED1032(LEDc)点灯
(2)「LED点灯なし」値を他の値の各々から減算して、それらの環境補正値を求める。
(3)各LEDに関連づけられた試験値をそれらの対応する較正(「チューブなし」)値で除算することによって相対LED値を計算する。
結果:
-環境補正LEDa値が0.10未満である場合、検出器に異物がある可能性があり、または、不確定な結果がユーザに報告される可能性がある。
-環境補正LEDaおよびLEDb値がそれらのそれぞれの格納された較正(チューブなし)値の±15%の範囲内にある場合、管セグメントが検出器内に存在しないことをユーザに報告する。
-環境補正LEDb値がその格納された較正(チューブなし)値の約40%以上である場合、(a)LEDcに関連づけられた信号を確認し、(i)LEDcに関連づけられた環境補正信号がその較正(「チューブなし」)値の約150%以上である場合、管セグメントが空であることをユーザに報告する、(ii)LEDcに関連づけられた環境補正信号がその較正(「チューブなし」)値の約125%以下である場合、管セグメントが液体で充填されていることをユーザに報告する、(iii)上記以外、結果は不確定であり、その測定を繰り返すか(たとえば、管セグメントが移動中である可能性があり、凹凸がある可能性があり、または不明瞭である、または、検出器に適切に挿入されていることを確実にするように管セグメントを確認すべきであることをユーザに報告する。
-環境補正LEDb値がその格納された較正(「チューブなし」)値の約40%未満である場合、ドライチューブの存在を確定するためのLEDc閾値は、より大きくなる可能性がある。一実施形態では、たとえば、LEDcの空のチューブ閾値は、以下の関係に従うことが経験的に分かった([LEDcの空のチューブ閾値]=-3.75×[LEDb値]+3)。
管セグメント34aが患者ライン状態検出器1000に搭載されたと判断されると、患者ライン状態検出器アルゴリズムは、以下を行なうことができる。a)LEDが点灯なしであるか光学センサ1026に対して問い合わせ、これをLEDなし値として格納する。b)LEDcを点灯する。c)光学センサ1026に対して問い合わせ、LEDなし値をLEDc値から減算し、これを初期値として格納する。d)圧送を開始する。e)光学センサ1026に対して問い合わせ、LEDなし値を次のLEDc値から減算する。f)この値が初期値の75%未満である場合、管セグメント34aが液体で充填されていると断定し、圧送を手薄し、上記の手順を用いて検出器状態を確認し、指示されたときに、ユーザに対してプライミングが完全したことを報告する。そうでない場合、問合せ、計算および比較を繰り返し続ける。一実施形態では、たとえば0.005~0.01秒毎等、要求通りの頻度で問合せプロトコルを行なうように、システムコントローラをプログラムすることができる。実施形態では、問合せサイクル全体を、好都合に0.5秒毎に行うことができる。
図18は、6つのサイクルに対するサンプル較正手順の結果を示す。ウェットチューブからドライチューブを識別する信号強度範囲(「ウェット/ドライ閾値」範囲)は、異なるサイクル間で変化することが留意される。(これらの範囲のばらつきは、さまざまな構成要素の製造、組立および位置決めのわずかなばらつきによる可能性がある。)したがって、較正において、各サイクラに対して、ウェットチューブによって生成されるデータ点からドライチューブによって生成されるデータ点を最適に分離するウェット/ドライ閾値信号強度範囲を割り当てることができる。
いくつかの例では、制御システム16が湿ったまたは液体で満たされた管を登録することができる閾値は異なる場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、図19に示されるように、閾値は、管セグメント34aが乾燥していると決定されたときに以前に収集された値に依存し得る。これは、患者ライン状態検出器1000が、ドライラインからプライミングラインへの移行がいつ発生するかをより確実に決定するのに役立ち得る。さらに、これは、患者ライン状態検出器1000を、繰り返し使用した後および経時的に発生する可能性があるドリフトに対してより耐性にするのに役立ち得る。
図19は、流体ラインをプライミングするために実行され得るいくつかのアクションを詳述するフローチャート1050を示している。示されるように、ブロック1052において、ユーザは、サイクラ14の電源を入れ、治療の準備を開始することができる。ブロック1054において、患者ライン状態検出器1000が空でない場合、サイクラ14の制御システム16は、ブロック1056においてトラブルシューティングモードに入ることができる。トラブルシューティング中に、サイクラ14の制御システム16は、問題を解決するためにユーザがとることができる行動を示唆する、サイクラ14のユーザインターフェースに表示するための1つまたは複数のメッセージや警告を生成し得る。ユーザは、例えば、古いラインを除去すること、患者ライン状態検出器1000を洗浄すること、またはデトリタスをチェックすることを要求され得る。ブロック1054において、患者ライン状態検出器1000が空である場合、ユーザは、ブロック1058において、患者ラインを患者ライン状態検出器1000にロードすることができる。サイクラ14は、そうするようにユーザに指示するプロンプトを表示することができる。制御システム16は、患者ライン状態検出器1000を使用して、本明細書の他の場所で説明されているように、患者ライン状態検出器1000が空であるかどうかを決定することができる。
サイクラ14の制御システム16は、ブロック1060において、患者ライン状態検出器1000を用いて、患者ライン34上の状態読み取り値の収集を調整することができる。この読み取り値を収集するために、制御システム16は、例えば、LEDc1032の電源を入れ、光学センサ1026を用いて光強度をチェックすることができる。ブロック1062において、読み取り値が、患者ラインが乾燥していないことを示している場合、サイクラ14の制御システム16は、ブロック1056のトラブルシューティングに進むことができる。トラブルシューティング中に、サイクラ14の制御システム16は、サイクラ14のユーザインターフェース上に表示するために、問題を解決するためにユーザがとることができる行動を示唆する1以上のメッセージやアラートまたは警告を生成することができる。たとえば、ユーザはラインを削除して再ロードするように求められる場合がある。患者ライン状態検出器1000がウェットラインが存在することを決定し続ける場合、セット12での治療は禁止され得る。ユーザは、セット12を廃棄し、新しいセット12で再開するように要求され得る。トラブルシューティング中に、ユーザインターフェースに表示するために、様々なガイダンスグラフィックが生成され得る。
「チューブなし」の較正値に対する読み取り値の比率が事前定義された範囲または閾値に一致する場合、読み取り値は、ラインが乾燥していることを示すように決定され得る。ブロック1062において、読み取り値がラインが乾燥していることを示している場合、制御システム16は、1つまたは複数の基準に対してその読み取り値の特性をチェックすることができる。例えば、図19に示される実施形態では、制御システム16は、「チューブなし」値に対する読み取り値の比率が閾値(例えば、1.7)よりも大きいかどうかをチェックすることができる。制御システム16はまた、その比率がその患者ラインで見られる最大のものであるかどうかをチェックすることができる。ブロックにおいて、読み取り値(または比率)がこれまでで最高である場合、ブロック1068において最大値として保存できる。あるいは、読み取り値(または比率)が閾値(たとえば1.7)以下の場合、最大値は、ブロック1068において閾値の値として保存することができる。
いくつかの実施形態では、制御システム16は、サイクラ14に患者ラインをプライミングするように命令する前に、患者ラインが乾燥していることを示す複数の読み取り(例えば、連続読み取り)を必要とし得る。ブロック1070において、事前定義された数のチェックが完了していない場合、制御システム16は、ブロック1060に戻って、別の読み取り値を収集することができる。ブロック1070において、チェックの前提条件の数が完了した場合、サイクラ14の制御システム16は、ブロック1072においてプライミングされた患者ライン閾値を計算し得る。代替の実施形態において、このプライミングされたチューブ閾値は、時間内の異なる点で、例えば、ブロック1060における最初の読み取りの後に、計算され得る。そのような実施形態では、プライミングされたチューブの閾値は、ブロック1060を通る後続の各パスで更新され得る。
図19に示されるように、プライミングされたラインの閾値は、ブロック1068において保存された最大値に基づくことができる。特定の実施例では、プライミングされたチューブの閾値は、事前に定義された値(例えば、1.7)と事前に定義された方程式の出力のうちより大きいものとして計算されてもよい。例えば、ブロック1068からの最大値のパーセンテージに追加された定数を使用する方程式を使用することができる。特定の実施形態では、方程式は、プライミングされたチューブの閾値 =1.1+([ブロック1068からの]最大ドライチューブ*0.2)であり得る。
ブロック1074において、サイクラ14の制御システム16は、サイクラ14に、患者ライン34を通して流体をポンプ輸送するように命令することができる。ブロック1076において、サイクラ14の制御システム16は、患者ライン状態検出器1000で収集される読み取り値を命令することができる。ブロック1078において、読み取り値が、プライミングされたチューブの閾値を突破しなかったことを示す場合、サイクラ14の制御システム16は、ブロック1074に戻り、追加のポンピングを命令することができる。あるいは、ポンピングが行われている間に読み取り値を収集することもできる。ブロック1078において、読み取り値が、プライミングされたチューブの閾値を突破したことを示す場合、サイクラ14の制御システム16は、ブロック1080においてラインがプライミングされたことを宣言することができる。サイクラ14の制御システム16はまた、ユーザに(例えば、ユーザインターフェース上に生成されたスクリーンまたはプロンプトを介して)ブロック1080において治療のセットアップの次のステップに進むように指示するように、ユーザへの通信を調整することができる。読み取り値は、「チューブなし」の値に対する読み取り値の比率が、ブロック1072で計算されたプライミングされたチューブの閾値よりも大きいときに、閾値を突破したと示すように決定され得る。
いくつかの実施形態では、サイクラ14の制御システム16は、患者ライン34のプライミング中に置換することが許容される流体の容積を制限することができる。例えば、患者ライン24をプライミングするために置換された容積に課せられた容積閾値(例えば、名目上の患者ライン34におけるライン容積)があってもよく、制御システム16は、この容積が破られたときに通知またはアラートを生成することができる。ユーザは、ラインが完全にプライミングされておらず、患者ライン状態検出器1000に適切に装着されていることを確認するためにラインをチェックするように(GUIを介して)指示され得る。サイクラ14の制御システム16は、サイクラ14がブロック1074に戻ることを許可してもよく、ラインが適切に装着され、完全にプライミングされていないというユーザ入力を受信すると、プライミングを続行し得る。いくつかの実施形態では、継続的なポンピングが許可され得る回数に上限があり得る。この上限に達するかそれを超えると、サイクラ14の制御システム16は、アラートまたはエラーをトリガし、サイクラ14がそのセット12で治療を実施することを妨げることができる。
図20は、患者ライン状態検出器1000の第2構成の斜視図を示す。さまざまな種類の患者ラインコネクタに対応するために、2つ以上の異なる患者ライン状態検出器構成が必要である場合がある。この例示的な実施形態では、第2構成の患者ライン状態検出器1000は、第1構成の患者ライン状態検出器1000とほとんど同じ構成要素を含むことができる。しかしながら、異なる種類のコネクタに対応するために、第2構成は、第1構成の患者ライン状態検出器1000で見いだされる安定化タブ1010ではなく、ハウジング1006の上方に隆起要素1036を含むことができる。隆起要素1036は、概して、標準的な患者ラインコネクタキャップまたはコネクタフランジの形状に一致することができる。
本開示の態様によれば、検出器ハウジング1006は、チューブ部分1014を含まない場合がある。したがって、LEDおよび光学センサがチューブの一部ではなく半透明または透明の患者ラインコネクタ36の隣に配置され得るように、検出器回路基板1022の配置を可能にするように、開放空洞1008を配置することができる。したがって、チャネル1012は、コネクタ36を通るLED光の透過に対応するように異なる形状とすることができる。
いくつかの実施形態では、流体ライン検出器1000は、チューブのセグメントのプライミング状態を検出するために使用されるのではなく、単に1つまたは複数のLEDを使用して、流体ライン検出器1000においてラインセグメントの存在を検出することができる。ラインセグメントの存在および適切な設置は、上述した実施形態より少ないLEDを用いて判断することができる。
他の実施形態では、別のタイプのセンサを用いて、流体ライン30または患者ライン34等の流体ラインに関連する1つまたは複数の関心のある状態を検出することができる。たとえば、流体ライン検出器1000は、電気もしくは磁気接点スイッチ、またはマイクロスイッチ等の物理的に作動するスイッチを含むことができる。流体ライン検出器1000は、こうしたスイッチの作動により、流体ラインコネクタ36または管セグメント34aの存在を検出することができる。いくつかの実施形態では、流体ライン検出器1000において2つ以上のこうしたスイッチを使用することができる。これによって幾分かの冗長性を提供することができ、またはこれを用いて、関心のある複数のラインセグメントが適切に設置されていることを検出することができる。実施形態では、たとえば、管セグメント34aがチャネル1012内に設置されたときに駆動されるように、チャネル1012にマイクロスイッチを配置することができる。別法としてまたはさらに、流体ラインコネクタ36が流体ライン検出器1000に配置されたときに駆動されるように、たとえば、クレードル1016内にマイクロスイッチを配置することができる。こうした実施形態では、サイクラコントローラ(たとえば、制御システム16)は、1つまたは複数のスイッチのすべてが、ラインおよび/またはコネクタが流体ライン検出器1000内に適切に設置されていることを示すまで、チューブのプライミングを可能にしない場合がある。
別の実施形態では、流体ライン検出器1000は、スプリットリング共振器ベースのセンサを用いてチューブセグメントの存在および状態を検知することができる。こうした検出器は、たとえば、2014年7月25日に出願され、System,MethodandApparatusforBubbleDetectioninaFluidLineUsingaSplit-RingResonatorと題する米国特許出願第14/341,207号明細書に示されかつ記載されており、その出願の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、流体ライン検出器1000のセンサは、流体ライン検出器1000に設置された流体ライン34のタイプ(たとえば、大人用サイズ対小児用サイズ、不透明対半透明等)を検出するように構成することができる。流体ラインコネクタ36および/またはチューブセグメント34aは、たとえば、使用されているラインのタイプに応じて、異なる識別特徴(たとえば、異なる幾何学的形状)を有することができる。こうした識別特徴の存在または不在を検知することに基づいて、いずれのタイプのラインが存在するかを認識するように、流体ライン検出器1000のセンサを構成することができる。
たとえば、流体ライン検出器1000がマイクロスイッチを使用するように構成されている場合、特定のタイプの流体ラインコネクタ36の存在を検出するようにスイッチを構成することができる。各タイプのラインにおける流体ラインコネクタ36は、異なる特徴(たとえば、異なる突起もしくは空隙、または異なるように配置された突起もしくは空隙)を含むことができる。流体ライン検出器1000に設置されると、流体ラインコネクタ36は、特定のタイプの流体ラインコネクタ36の存在を検出するために、所定のスイッチまたはスイッチ群を動かす可能性がある。スイッチの無効なまたは予期しない組合せが駆動された場合、またはサイクラもしくは医療機器と使用するように意図された流体ライン形状に対応しないスイッチの組合せが駆動された場合、ユーザに対して不適合なまたは不適切なラインを通知するように、コントローラをプログラムすることができる。スイッチのこの配置を用いて、不適切に設置されたラインまたはコネクタを検出することも可能である。
他の実施形態では、液体流がライン34の先端部の内腔内またはライン34の先端部におけるコネクタ36内で空気流に置き換わったときを検出することにより、流体ライン34の液体によるプライミングの完了を推断することができる。(重力によりまたは能動的な圧送により)所定の力を受けているときに、液体の流量をモニタリングすることにより、所与の内径の内腔内の空気と液体との間の流れに対する抵抗の差を検出することができる。内腔の内径は、空気流と液体流との識別を最適化するように選択することができる。大部分の場合、これは、流体ライン34または先端コネクタの端部の近くまたはその部分に流量制限部を導入することを含む。ライン34またはコネクタ36の先端部における適切に選択された流量制限部により、ライン34から出る比較的制限されない空気流が可能になるとともに、ライン34を通る液柱の進行を遅くするのに十分、液体流が妨げられる。この液体流抵抗の増大または制限ゾーンの前後の圧力降下の変化は、液体流路における流量計を使用することにより、または所定時間間隔にわたる上流のポンプ室における液体の容積の変化を測定することにより、検出することができる。膜ベースの容積式ポンプが使用される実施形態では、ポンプの作動チャンバ内の圧力を(たとえば、ボイルの法則、または閉鎖空間における理想気体の他の圧力-容積関係を適用することによって)モニタリングすることにより、ポンプ室内の液体容積の変化の速度を計算することができ、作動チャンバ内の圧力は、ポンプのポンプ室内の圧力を示す。流体ラインから液体流データを受け取るか、またはポンプ室内の圧力変化を測定することによりポンプ室から出る液体流を計算するコントローラは、液体流を所定値と比較することができる。別法として、コントローラは、液体流量の低下を計算し、流量の変化を予測知と比較して、流体ラインが液体でプライミングされたことを宣言することができる。
流れが妨げられるゾーンは、狭窄部、障害物、部分的閉塞部または制限部(たとえば、オリフィス)を含むことができ、それは、空気の容易な通過を可能にするが、透析液等の液体の通過を妨げる。その特徴は、流体ラインの基端セクションにおける流体導管の断面積より小さい断面積を有する領域を含む、先端管または流体コネクタ36の短いセグメントを含むことができる。本明細書で用いる「制限部」は、流体導管における空気と液体とで区別をして流れに対する抵抗を増大させる任意の特徴を包含するように意図される。
実施形態では、制限部は、流体ラインまたは関連するコネクタの先端部から取外し可能であり得る。たとえば、制限部は、流体ライン34のプライミング中に流体ライン34の適所に残る栓またはキャップに含めることができる。制限部は、たとえば、製造中に栓またはキャップの一部としてモールドすることができる。この制限部は、キャップの栓部分における凹部、空隙、チャネルまたは他の流路であり得る。キャップの栓部分を、流体導管内に直接、または取り付けられたコネクタ36の内腔内に、挿入することができる。別法として、栓またはキャップの栓部分は、流体導管または関連するコネクタ内腔の直径より小さい直径を有するようなサイズとすることができる。キャップが設置されると、栓部分は、流体導管の一部を閉塞して、栓の外面と導管の内壁との間に小さい間隙をもたらし、それにより、制限部を生成する。
流体ライン34をプライミングするために流体を圧送するとき、流体は、空気が制限部を通って流体ライン34から出て自由に変位する際に、相対的に高い流量で移動する。液体が制限部に達するときのインピーダンスの上昇により、流量が低速になる。プライミングが発生する際に1つまたは複数のセンサから入力を受け取っているコントローラによって、流量をモニタリングすることができる。流量が低下すると、空気が、制限部を越えてラインから押し出され、所与の加えられた力が、このとき、液体を、制限部に押し通そうとしていることを推断することができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、さらなるロジックを採用して、流体ラインにおける液体流量の低減に対する複数のあり得る原因を識別することができる。
制限部が(流体ラインの先端部、または取り付けられたコネクタ内に配置された)オリフィスである実施形態では、オリフィス開口部の断面積は、液体流に対する所望の量のインピーダンスを生成するように選択することができる。さらに、選択される圧送圧力は、空気を圧送するときの流量と液体を圧送するときの流量とが、検出可能に異なるように、選択することができる。
流体ライン34が完全にプライミングされる箇所のわずかに上流に制限部を配置することが望ましい場合がある。これにより、コントローラが、液体流に対するインピーダンスが変化したか否かを判断している判断または認識期間中に、幾分かの液体が制限部を通って流れることができる。制限部から下流にライン容積があることにより、コントローラがプライミングの判断を行い、流体ポンプを停止する間、追加の液体を収容する流体バッファを提供し、したがって、流体ラインの先端部から出る液体のオーバーフローを防止するのに役立つ。好ましくは、液体流インピーダンスの変化に応答する圧送システムの遅延特性は、システムパラメータが選択されると、システムに対して経験的に確定される。これらのパラメータとしては、たとえば、ポンプによって加えられる力または圧力、圧送容積確定または流量測定の頻度、管の内径および長さ、流量制限部の特性、ならびにコントローラおよびポンプの応答時間を挙げることができる。システム特性が確定すると、オーバーフローを防止するために必要な制限後の管またはコネクタバッファ容積を、経験的に求めることができる。例示的な目的で、制限部を通る流量が30mL/分であり、かつコントローラおよびポンプがインピーダンス変化を認識してそれに応答するのに約5秒かかる場合、システムがインピーダンス変化に応答している間、約2.5mLのヒステリシス流体容積が移動する。こうした実施形態では、制限部を越えた下流容積は、およそ2.5mL、または2.5mLをわずかに超えるように設定することができる。これは、ラインをオーバープライミングして流体がラインをオーバーフローして漏れ出るようにすることなく、プライミング中に流体ライン34に残っている空気の量を最小限にするのに役立つような役割を果たすことができる。
別法として、制限部は、インピーダンス変化が検出されている間に、制限流路容積が予期される流量に近づくのを可能にする距離、ライン軸に沿って延在することができる。この実施形態は、制限部が流体ラインキャップ内に含まれる場合に望ましい可能性がある。
いくつかの実施形態では、空気透過性であるが実質的に液体不透過性である材料を使用して、液体流を制限することができる。こうした材料は、比較的無制限の空気の通過を可能にするが、液体の通過を制限するかまたは阻止することができる。この材料は、流体ライン34の端部に配置することができ、空気がライン34から圧送されるのを可能にするが、ライン34がプライミング状態に達したときのオーバーフローおよびこぼれを防止することができる。そして、たとえば、ユーザがラインのキャップをはずすと、流体ラインキャップとともに材料を取り除くことができる。いくつかの具体的な実施形態では、使用される材料は、Goretexまたは別の同様の材料(たとえば、微多孔性またはマクロ多孔性のいずれかであり得る通気性材料)であり得る。上述したように、液体が材料に達するときの流量の低下が、流体ライン34がプライミング状態に達したことを通知する。
図21および図22は、流体ラインキャップ5320、流体ライン34および流体ラインコネクタ36の代表的な実施形態霊を示す。図示するように、制限部5322が、流体ライン34内に含まれている。他の例では、キャップ5320は、図示する制限部5322と同様の制限部を組み込んだ内面特徴を有することができる。この例では、制限部5322は、任意選択的に、制限部5322の下流に幾分かの流体ライン34容積があるように配置される。実施形態例における制限部5322は、断面積が低減した流体路の部分である。他の例では、制限部5322は、切り開かれた、穿孔された、または他の方法で液体の通過に対する抵抗を増大させる1つもしくは複数の細孔を有する、オリフィスまたは膜であり得る。
図21に示すように、流体ライン34内の液体5324は、制限部5322にまだ達していない。この時点で、流体ライン34を通る流体(たとえば、空気および液体の層状柱)の流量は比較的高い可能性がある。空気柱が排出されると、流体ライン34内の液体5324は、制限部5322に達することになる。この時点で、インピーダンスの変化のために、流量が低下する。サイクラが、インピーダンスが変化したと判断する際、幾分かの液体5324は流れ続ける。検出されると、ラインを通る液体の流れを停止するように、サイクラをプログラムすることができる。この時点で、図22に示すように、液体5324は、制限部5322の下流のライン34容積を含むライン34全体を実質的にプライミングしている。ユーザに対して、ライン34がプライミングされ、治療に備えてカテーテルまたは他のデバイスに接続する用意ができていることを通知するように、コントローラをプログラムすることができる。
図23および図24は、流体ライン34、流体ラインコネクタ36および流体ラインキャップ5320の別の実施形態霊を示す。図示するように、流体ライン34または流体ラインコネクタ36には制限部がない。流体ラインキャップ5320は、流体ライン34用の栓として作用し、制限部5322を含む。実施形態例では、制限部5322は、流体ラインキャップ5320の栓部分の周囲に凹状に設けられた、切欠き、溝またはチャネルを含むことができる。制限部5322は、空気がプライミング中に比較的わずかな抵抗でラインから出るように圧送されるのを可能にするが、空気柱が完全に放出されると、液体の流れを妨げるような、サイズとすることができる。コントローラは、ライン34がプライミングされていると判断すると、その後、ユーザに対して、ラインキャップ5320を取り除き、流体ラインコネクタ36を体内留置カテーテルまたは他の同様のデバイスに取り付けるように指示することができる。
図23に示すように、流体ライン34内の液体5324は、制限部5322にまだ達していない。この時点で、流体ライン34を通る流体(気体に液体を足したもの)の流量は、比較的高い可能性がある。流体ライン34内の液体5324が制限部5322に達すると、制限部5322を通る気体流と液体流との間のインピーダンス変化のために、流量が低下する。コントローラが、インピーダンスが変化したと判断する際、幾分かの液体5324は流れ続ける。検出されると、コントローラは、ラインを通る液体5324の流れを停止する。この時点で、図24に示すように、液体5324は、ライン34全体を実質的にプライミングしている。そして、コントローラは、ユーザに対して、ライン34がプライミングされ、ラインキャップ5320を取り除くことができることを通知することができる。キャップ5320が取り除かれると、圧送されたいかなる過剰な液体5324も、流体ラインキャップ5320の栓部分が以前占有していた流体ライン34の容積を充填することができる。別法として、キャップ5320が取り除かれたという信号をユーザから受け取るようにコントローラをプログラムすることができ、サイクラまたはポンプに対し、わずかな量の液体を、液体ライン34を下って前進させ、使用の前にライン34またはコネクタ36の先端部につぎ足すように、コントローラをプログラムすることができる。
図25は、栓または栓部分5500を備えた流体ラインキャップ5320の代表的な例を示す。図示するように、流体ラインキャップ5320は、流体ライン34の流体導管内に突出しその中にぴったり嵌まるようなサイズであり得る栓部分5500を含む。流体ラインキャップ5320の栓部分5500内に切欠きが設けられ、それは、流体ラインキャップ5320が流体ライン34またはラインコネクタ36の端部に設置されたときに制限部5322を生成する役割を果たす。図では、切欠きは、断面が実質的に三角形である。他の実施形態では、任意の好適な断面形状を使用することができる。たとえば、他の部分は中実である栓5500の長さを通る狭い内腔等、他の構成を使用することができる。また、図25に示すように、流体流路内に延在する栓部分5500の端部は、任意選択的に丸くする(またはテーパ状にする)ことができる。これにより、流体ライン34上に流体ラインキャップ5320を配置するのを容易にすることができる。
図26は、流体ラインキャップ5320の別の実施形態を示す。図25と同様に、流体ラインキャップ5320は、栓部分5500を含み、それは、流体ライン34の流体導管内に突出しかつその中にぴったりと嵌まるようなサイズであり得る。図26における制限部5322は、流体が、流体ライン34の流体導管から栓部分5500の内部を通り流体ラインコネクタ36の内部容積内に流れ込むのを可能にする流路である。図27に、例としての流体ラインキャップ5320の長手方向平面における断面図を示す。流路の断面積は、流体ライン34流体導管の断面積より小さい。
図28は、流体ライン34の流体ラインコネクタ36に設置された流体ラインキャップ5320の別の実施形態を示す。図29に示すように、図28の線28-28における断面、流体ラインコネクタ36は、流体ライン34の流体導管内に延在するセグメントを含む。流体ライン34のチューブを、流体ラインコネクタ36に固定する(たとえば、接着する、接合する、溶接する等)ことができる。流体ラインコネクタ36は、流体ライン34の流体導管から、流体ラインコネクタ36の一部として含まれるコネクタ取付具5502に通じる流路を含む。コネクタ取付具5502は、(たとえば、患者の体内留置カテーテルの)相補的なコネクタの協働する特徴と嵌合して、流体が部位(たとえば、腹膜腔または別の体腔)から送達されかつ/または引き出されるのを可能にすることができる。実施形態例では、ルアーロックが示されているが、多数の他の好適なコネクタまたは取付具のうちの任意のものを使用することができる。
実施形態例におけるキャップは、栓部分5500を含む。栓部分5500は、流体ラインコネクタ36の流体経路内に延在するようなサイズである。実施形態例では、栓部分5500の直径は、流体ラインコネクタ36内の流路の直径より小さい。流体ラインキャップ5320の栓部分5500が流体ラインコネクタ36の流路内に設置されると、栓部分5500の外面と流路の内壁との間に小さい間隙が残る。したがって、栓部分5500は、流路の断面積を低減させる役割を果たし、制限部5322を生成する。
上述したように、いくつかの実施形態では、栓部分5500の外面と流路の内壁との間の小さい間隙は、存在する必要はない。代わりに、栓部分5500は、流路にぴったりと嵌まることができる。流路の断面積を低減させかつ制限部を生成するように、栓部分5500の外面に切欠きを凹状に設けることができ、またはコネクタ内腔に挿入された他の部分は中実である栓が、制限された流路を生成するように狭い流路を含むことができる。
一態様では、流路インピーダンスの変化は、ポンプカセットからの圧送ストロークの進行中の流量推定値に基づいて判断することができる。さらに、ストローク容積推定値を用いて、ポンプ室が空であることによる流量の変化と液体5324が流体ライン34の制限部5322に達することによる流量の変化とを識別することができる。ポンピングストロークの進行中の流量およびストローク容積の推定については、さらに後述する。
いくつかの実施形態では、ストローク容積を推定するコントローラルゴリズムを用いて、全チャンバが流体ラインに送達される前にストロークを停止することができる。すなわち、ポンプダイヤフラム気体トローク終了に達するのを回避するように、プライミング中に部分送達ストロークを行うようにポンプに指示するように、コントローラをプログラムすることができる。これは、流量のいかなる低下も、ポンプダイヤフラムがポンプストローク終了において剛性ポンプ室壁に達することに起因しないことを確実にするのに役立つことができる。コントローラが、単位時間当たりに圧送される流体の容積が所定閾値を超えて低減したと判断すると、流体ライン34内の液体5324は、制限部5322に達したと想定することができ、ラインは、プライミングされたとみなすことができる。
他の実施形態では、コントローラは、流量の不連続性が検出されるまで、ポンプに対して流体を圧送するように指示することができる。不連続性が検出された時点で、コントローラは、ポンピング装置(たとえば、サイクラ)に対して、複式ポンプカセットの別のポンプ室から少量の流体を送達するように試みるように指示することができる。流れの不連続性が、ポンプダイヤフラム気体トローク終了に達したことによる場合、他のチャンバからの流れは、第1チャンバからの終了流量より大きいはずである。不連続性が、プライミングされたライン状態による場合、他のチャンバからの流量は、第1チャンバからの終了流量と同様となる。したがって、装置コントローラは、ラインがプライミングされたと判断することができる。
いくつかの実施形態では、流体ライン34に対する名目内部管容積を求めることができる。そして、コントローラは、ライン34を下ってプライミングされた流体の容積が名目管容積の1つのチャンバ容積の範囲内になるまで、ポンプに対して、ライン34を下って流体を移動させるように指示することができる。ライン34の残りの容積が、フルポンプストロークの容積未満であると判断されると、コントローラは、次の流量不連続性を、プライミング済み状態を示すものとして登録することができる。
ライン34の名目内部容積は、使用されているセットのタイプに基づいて求めることができる。たとえば、小児用セットは、成人用セットより小さい内部管容積を有することができる。いくつかの実施形態では、装置コントローラは、光学センサを介してこの情報を求めることができる。いくつかの実施形態では、セットは、ポンピング装置またはサイクラのカメラが読み取ることができるバーコードまたはデータマトリックスを含むことができ、符号化された情報により、コントローラは、設置されたセットのタイプを判断することができる。カメラからの入力を受け取るコントローラはまた、セットの一部の異なる特徴または幾何学的形状を検出することができる場合もある。たとえば、流体ラインコネクタ36は、上述したように流体ライン検出器1000によって検出可能な、一意の検出可能幾何学的形状を有することができる。別法として、ユーザは、ポンピング装置のユーザインターフェースにおいて、使用中の管またはポンプカセットのタイプに関する情報を手動で入力することができる。
ラインプライミング
ラインプライミングラインをプライミングするために必要な時間を低減させるために、重力に基づく流れが仕事を達成するのを可能にするのではなく、ポンピング装置がラインを能動的にプライミングすることが好ましい場合がある。標準的な手順である重量に基づくプライミングでは、ラインを通る流体流は、プライミング流体が保管されるリザーバの頭高によって決まる。プライミング中にラインを通る流体の流量は、プライミング流体リザーバの頭高が高くなると増大する。1つまたは複数のポンプを使用することによってラインを能動的にプライミングすることにより、リザーバが固定位置にあり続けながら、ポンピング装置またはサイクラがリザーバに対するさまざまな頭高をシミュレーションすることができる。流体ポンプが、空気圧式に駆動されるポンプ室を含む場合、膜を介してポンプ室に加えられる空気圧の量により、プライミングリザーバを再配置することなく流量を所望の値に制御することができる。流体リザーバを再配置する必要をなくすことが、ポンピングまたは透析システムを小型に維持するのに役立ち、ユーザに対する設定の負担を低減し、流体ラインの比較的高速なプライミングを可能にする。
ポンプカセットの流路およびチャンバが流体でプライミングされるべきであるいくつかの実施形態では、プライミングは2つ以上の段階で行うことができる。第1段階では、第2または後続する段階より低い有効頭高で(たとえば、低いポンプ圧でまたは受動的重力流により)ラインをプライミングすることができる。比較的高い流量の乱流により、ポンプカセットのさまざまな位置または凹部に気泡またはポケットが導入されるかまたは閉じ込められることになる可能性がある。この問題は、ポンプカセットを低速にプライミングすることができるようにし、その後、流体がカセットの下流の流体ラインに達するとより迅速なプライミングプロセスに進むことにより、緩和することができる。第1段階の長さは、試験を通して、またはプライミングリザーバからカセットまたは取り付けられた流体ラインに移動した流体容積の量の測定により、経験的に事前に確定することができる。
気泡形成または閉じ込めの低減ことは、ラインプライミングセンサが気泡を検出し、コントローラに対してプロセスを停止しユーザ警告を発するように誘導することができることを含む、複数の理由のために望ましい。
第1プライミング段階の持続時間は、使用されているカセットのタイプ(ポンプおよび弁の数、流路の複雑性)と、その内部流体路およびポンプ室の容積によって決まる可能性がある。好ましくは、プライミングは、流体が、カセットからの空気を底部から頂部に押しのけることができるように、かつ封入された空気の大部分またはすべてが、取り付けられた流体ライン内に押し込まれ、その後、雰囲気中に放出されることを確実にするように十分低速な流量で行われる。
図30は、コントローラを使用して2つの段階を用いてカセットおよび取り付けられたラインのプライミングを制御することができる複数のステップを詳述するフローチャートを示す。例では、プライミングされるラインは、ポンプカセットから患者まで延在する患者ラインである。図示するステップは、他の流体ラインのプライミングに対して容易に一般化することができる。図示するように、ステップ5570において、サイクラは、流体を、カセットを通してライン内に重力供給することによって、患者ラインのプライミングを開始する。実施形態例では、プライミングリザーバはヒータバッグである。患者ラインとヒータバッグとの間に開放流路が生成されるようにカセットの弁を制御することにより、自由流を達成することができる。
ステップ5570においてプライミング動作を開始すると、コントローラは、第1プライミング段階に対してタイマーを始動することができる。第1プライミング段階の持続時間は、カセット内のいかなる空気もカセットから出て患者ライン内に流れ込んだことを確実にするのに十分であるように、試験を通して経験的に求めることができる。図3に示すカセットの例を用いると、この持続時間は、1秒間~3秒間の範囲であり得る。一実施形態では、タイマーは、約1.6秒間に設定することができる。タイマーを使用するのではなく、所定容積の流体がプライミングリザーバから運ばれたときの第1プライミング段階からの移行を使用する制御システム実施形態では、所定容積は、図3に示すカセット例を考慮すると、およそ1ml~3mlになる可能性がある。
タイマーが経過した(または、所定容積が運ばれた)とき、ポンピング装置またはサイクラはステップ5572に進み、能動的にラインのプライミングを開始することができる。好ましくは、ステップ5572は、ステップ5570より高速な流量でラインをプライミングする。サイクラは、プライミングセンサが、ラインが完全プライミング状態に達したことを示すまで、患者ラインを能動的にプライミングし続けることができる。いくつかの実施形態では、その後、コントローラは、ユーザに対して、ユーザインターフェースにおいて、プライミングが完了し、プライミング済みラインが接続される用意ができていることを通知することができる。
セット装填および動作
図31(37)は、図1AのAPDシステム10の斜視図を示し、サイクラ14のドア141が開放位置まで下げられ、カセット24用の取付位置145および溶液ライン30のキャリッジ146を露出している(この実施形態では、ドア141は、ドア141の下部でヒンジによってサイクラハウジング82に取り付けられている)。セット12を装填するとき、カセット24は、膜15およびカセット24のポンプ室側が上方に面する状態で取付位置145に配置され、ポンプ室と弁ポートに関連づけられた膜15の部分は、ドア141が閉鎖されたときに、サイクラ14の制御面148と相互作用することができる。取付位置145は、ベース部材18の形状と一致するような形状とすることができ、それにより、カセット24の取付位置145における適切な向きが確実になる。この例示的な実施形態では、カセット24および取付位置145は、カセット24を取付位置145に適切な向きで配置することをユーザに要求するか、または、ドア141が閉鎖しないように、大きい半径の単一のコーナを含む概して矩形の形状を有している。しかしながら、カセット24および/または取付位置145に対する他の形状または向きの特徴も可能であることが理解されるべきである。
本発明の態様によれば、カセット24が取付位置145に配置されるとき、患者ライン34、排液ライン28およびヒータバッグライン26は、図31に示すようにドア141のチャネル40を通して左側に通される。ガイド41または他の特徴を含むことができるチャネル40は、患者ライン34、排液ライン28およびヒータバッグライン26を保持することができ、それにより、オクルーダ147が、流れのためにラインを選択的に開閉することができる。ドア141が閉鎖すると、オクルーダ147は、患者ライン34、排液ライン28およびヒータバッグライン26のうちの1つまたは複数をオクルーダ止め具29に対して押し付けることができる。概して、サイクラ14が動作している(かつ適切に動作している)とき、オクルーダ147は、ライン34、28および26を通る流れを可能にすることができるが、サイクラ14の電源が落とされた(かつ/または適切に動作していない)とき、ラインを閉塞することができる。ラインの閉塞は、ラインを押圧するか、またはラインにおける流路を閉鎖するようにラインを挟むことによって行うことができる。好ましくは、オクルーダ147は、少なくとも患者ライン34および排液ライン28を選択的に閉塞することができる。
カセット24が取り付けられ、ドア141が閉鎖されると、カセット24のポンプ室側および膜15を、たとえば、空気袋、ばね、または取付位置145と制御面148との間でカセット24を圧迫する、取付位置145の後方のドア141の他の適切な構成によって、制御面148と接触するように押圧することができる。カセット24をこのように収容することにより、膜15および16を、壁およびベース部材18の他の特徴部と接触するように押圧することができ、それにより、要求に応じてカセット24のチャネルおよび他の流路を隔離する。制御面148は、可撓ガスケットまたは膜、たとえば、1枚のシリコーンゴム、または膜15に関連づけられた他の材料を含むことができ、膜15の一部を選択的に移動させて、ポンプ室181の圧送作用とカセット24の弁ポートの開閉とをもたらすることができる。制御面148を、膜15のさまざまな部分に関連づけることができ、たとえば、互いに密着するように配置することができ、それにより、膜15の一部は、制御面148の対応する部分の移動に応じて移動する。たとえば、膜15および制御面148を互いに近接して配置することができ、制御面148に好適に配置された真空ポートを通じて、好適な真空(または周囲に対して低い圧力)を導入し、膜15と制御面148との間で維持することができ、それにより、膜15および制御面148は、弁ポートを開閉させ、かつ/または、少なくとも、圧送作用をもたらす移動を必要とする膜15の領域において、本質的に互いに貼り付けられる。別の実施形態では、膜15および制御面148を、互いに接着するか、または他の方法で好適に関連づけられることができる。
いくつかの実施形態では、ポンプ室および/または弁の上に重なる対応するカセット膜に面する制御面148またはガスケットの表面は、テクスチャ加工されるかまたは粗化されている。テクスチャ加工により、ガスケットが対応するカセット膜の表面に対して引っ張られるとき、ガスケットの表面に沿って水平にまたは接線方向に複数の小さい通路がもたらされる。これにより、テクスチャ位置においてガスケット表面とカセット膜表面との間において排気を促進することができる。それはまた、ガスケットと膜との間の空気の閉じ込められるポケットを最小限にすることにより、(たとえば、別の場所で記載したFMS手順における等)圧力-容積関係を用いて、ポンプ室容積確定の正確さを向上させることも可能である。それはまた、ガスケットとカセット膜との間のあり得る空間内に漏れる可能性があるいかなる液体の検出も促進することができる。実施形態では、ポンプ膜および弁膜の位置に対応するガスケットの部分を形成しない、ガスケット型の部分をマスクすることにより、達成することができる。その後、ガスケット型の非マスク部分に、Mold-Tech(登録商標)テクスチャ加工および化学彫刻プロセス等、化学彫刻プロセスを施すことができる。テクスチャ加工は、たとえば、サンドブラスト、レーザエッチング等、多数の他のプロセスのうちの任意のものにより、または放電加工を用いる型製造プロセスを用いることにより、達成することも可能である。
図32は、カセット24のポンプ室側(例えば、図6に示される)と相互作用して、カセット24内で流体ポンピングおよび流路制御を引き起こすサイクラ14の制御ガスケット148の平面図を示す。シリコーンゴムのシートを含み得る制御ガスケット148は、停止時に、概して平坦であり得る。弁制御領域1481は、例えば、シート表面内またはシート表面上のスコアリング、溝、リブまたは他の特徴によって、制御ガスケット148で定義されてもよく(または定義されなくてもよく)、概してシートの平面を横切る方向に可動または弾性変形可能/伸縮可能であるように配置され得る。内向き/外向きに移動することにより、弁制御領域1481は、カセット24上の膜15の関連部分を動かして、カセット24のそれぞれの弁ポート184、186、190および192、それによりカセット24の制御硫を開閉することができる。2つのより大きな領域、ポンプ制御領域1482は、同様に、ポンプ室181と協働する膜15の関連する成形部分151を動かすように移動可能であり得る。膜15の成形部分151と同様に、ポンプ制御領域1482は、該制御領域1482がポンプ室181内に延びる際に、ポンプ室181の形状に対応するように成形され得る。このように、ポンプ制御領域1482における制御シートまたはガスケット148の部分は、ポンピング操作中に必ずしも引き伸ばされたり、弾力的に変形したりする必要はない。
典型的には、制御ガスケット148は、それが型から容易に形成され得るように、単一の材料から構成される。ガスケット148の平坦な部分は、カセット膜15をカセットの境界壁または周囲壁に対して圧縮および密封するのに役立ち、カセット24が制御面/ガスケット148およびその支持嵌合ブロックに押し付けられると、カセット24内の液体流路を密封する。同様に、カセット24が制御面/ガスケット148に押し付けられると、流体制御ポート173A、173Cは互いに密封することができ、その結果、制御室171A、および2746は、正または負の空気圧で個別におよび独立して加圧され得る。
あるいは、ポンプ制御領域1482および弁制御領域1481などの制御ガスケット148の可動部分は、ガスケット148の平坦部分とは異なる厚さ、弾性および/またはデュロメータ値を有する材料を含み得る。異なる材料は、成形またはオーバーモールド操作で一緒に融合するか、一緒に溶剤結合するか、接着剤を使用して取り付けることができる。ガスケット148のポンプ制御領域1482および弁制御領域1482は、好ましくは、カセット膜15の関連するポンプおよび弁部分を所定量だけ移動させるために、正または負の作動圧力に応答してそれらの適切な移動を可能にする厚さおよび弾性のエラストマー材料で構成される。
領域1481および1482の各々は、関連する真空または導出ポート1483を有することができ、それを使用して、たとえば、カセット24がサイクラ14内に装填され、ドア141が閉じられた後、カセット24の膜15とサイクラ14の制御面148との間に存在する可能性があるいかなる空気または他の流体のすべてまたは実質的にすべてをも取り除くことができる。これは、制御領域1481および1482との膜15の密な接触を確実にするのに役立ち、ポンプ動作および/またはさまざまな弁ポートの開/閉状態によって所望の容積の送達を制御するのに役立つことができる。真空ポート1482は、制御面148がカセット24の壁または他の比較的剛性のある特徴と接触するように王タスされない位置に形成される。たとえば、本発明の一態様によれば、カセットのポンプ室の一方または両方は、ポンプ室に隣接して形成された真空通気間隙領域を含むことができる。図3および図6に示すようなこの例示的な実施形態では、ベース部材18は、ポンプ室181を形成する楕円形状のくぼみに隣接しかつその外側の真空通気ポート間隙または拡張機構182(たとえば、ポンプ室に流体接続される凹状領域)を含むことができ、それにより、ポンプ制御領域1482のための真空通気ポート1483が、妨げなしに、膜15と制御面148との間から(たとえば、膜15の破裂によって)いかなる空気または流体も取り除くことができる。拡張機構は、ポンプ室181の外周部内に位置することも可能である。しかしながら、ポンプ室181の外周部の外側に通気ポート機構182を配置するにより、液体を圧送するためにポンプ室容積のより多くを確保することができ、たとえば、ポンプ室181の最大設置面積を、透析液を圧送するために使用することができる。好ましくは、拡張機構182は、ポンプ室181に対して垂直方向に下方の位置に配置され、それにより、膜15と制御面148との間で漏れるいかなる液体も、可能な限り早急に真空ポート1483を通して引き出される。同様に、弁1481に関連づけられた真空ポート1483は、好ましくは、弁1481に対して垂直方向に下方の位置に配置される。
図33A~Cは、制御ガスケット148が、制御ガスケット148のベース要素1480とその弁およびポンプ制御領域1481、1482の作動部分との間に丸みを帯びた遷移を有するように任意選択で構築または成形され得ることを示す。これらの接合部またはチャネル1491および1492。ベースエレメント1480から弁制御領域1481およびポンプ制御領域1482にそれぞれ移行するために、小さな半径で成形することができる。丸みを帯びたまたは滑らかな遷移は、制御ガスケット148を含む材料の早期疲労および破壊を防止するのに役立ち、その寿命を改善し得る。オプションの実施形態では、ラジアルチャネル1484は、真空ポート1483からポンプ制御領域1482および弁制御領域1481に通じており、遷移機能に対応するためにいくらか長くする必要がある場合がある。接合部またはチャネル1491および1492は、真空チャネルとして機能し、圧力送達ブロックを介して加えられる真空を、ポンプ制御領域1482および弁制御領域1481と、カセット膜15の対応するポンプおよび弁部分との間の潜在的な空間に伝達および分配する。必要に応じて、カセットを圧力送達ブロックから分離するのを助けるために、これらの真空チャネルを任意選択で使用して、ガスケット制御領域と対応するカセット膜領域との間の潜在的な空間に正圧を伝達することもできる。例示的な真空チャネル1491および1492は、ガスケット148のポンプ制御領域1482または弁制御領域1481の周辺または周囲に沿って走り、真空のより均一な適用を可能にするのに役立つ。
必須ではないが、これらの真空チャネル1491および1492は、例えば図33A-Cに示されるように、任意選択で、ガスケット148のポンプおよび弁制御領域の周囲の円周に沿って延びることができる。ガスケット148のポンプ制御領域1482またはバルブ制御領域1481のいずれかについて、特定の制御領域に対応するチャネル1484は、近くのガスケット真空ポート1483を、その関連するガスケット制御領域の周囲に沿って延びるチャネル1491または1492に接続するように半径方向に配向され得る。真空チャネル1491、1492は、制御領域の表面全体に真空を均一に適用することを確実にするために、関連するポンプまたは弁制御領域を完全に取り囲む必要はないが、周方向の配置は、ガスケット148のベース要素1480と、ガスケット制御領域1481または1482の本体間の柔軟な機械的遷移を提供する目的にも役立つ。
カセット24の反対側の制御面148の側、たとえば、制御面148を形成するゴム製シートの背面において、空気圧および/または容積を制御することによって、制御領域1481および1482を移動させることができる。たとえば、図34~35に示すように、制御面148の背面に、各制御領域1481、1482に関連して配置された制御室またはくぼみ171Aと、各制御領域1482に関連して配置されかつ互いから隔離された(または、望ましい場合は少なくとも互いから独立して制御することができる)制御室またはくぼみ171Bとを含む、嵌合または圧力送達ブロック170を接するように配置することができる。嵌合または圧力送達ブロック170の表面は、カセット24が、嵌合ブロック170が背面に接する制御面148に動作的に関連するように押圧されるとき、カセット24と嵌合インタフェースを形成する。したがって、嵌合ブロック170の制御室またはくぼみは、カセット24の相補的な弁またはポインピングチャンバに結合され、嵌合ブロック170に隣接する制御面148の制御領域1481および1482、ならびにカセット24に隣接する膜15の関連する領域(成形部分151等)を挟装する。空気または他の制御流体は、領域1481、1482に対する嵌合ブロック170の制御室またはくぼみ171A、171Bを出入りして移動することができ、それにより、要求に応じて制御領域1481および1482を移動させて、カセット24の弁ポートを開閉し、かつ/または、ポンプ室181におけるポンプ作用を行う。図34~35に示した実施形態では、制御室171Aは、ガスケット148の弁制御領域1481のそれぞれを裏打ちする円筒形の領域または凹部として配置され得る。ガスケット148の弁制御領域1481の1つの構成において(例えば、図33A~Cを参照のこと)、弁制御領域1481の表面は、ガスケット148の全表面よりわずかに高くなり、弾性変形可能な制御領域をカセット24の対応する弁座に向けてバイアスする。したがって、弁制御領域1481に対して加えられた正の空気圧は、カセット24の膜15を弁座に対してシールする方向にバイアスされる。他方、隣接するカセット膜15を弁座から持ち上げるために弁制御領域1481に加えられる負圧の少なくとも一部は、制御ガスケット148の偏った弁制御領域1481を克服するために費やされ得る。また、ガスケット148が下にある嵌合ブロック170に対して配置されると、制御領域1481のドームの下の空間1478が制御室171Aと結合して、制御領域1481をカセット24の弁座に向かってまたはそれから離れて動かすために正または負に加圧される総制御容積になることも明らかである。加圧する必要のある総制御容積の量は、ガスケットの弁制御領域1481の形状および構成に基づいて変化する(例えば、カセット24に向かって凸状対凹状)。
制御室またはくぼみ171Bは、ポンプ制御領域1482の背面に接する楕円体、卵形体または半球体の空隙またはくぼみを含むことができる。各制御室171Aに対して、流体制御ポート173Aを設けることができ、それにより、サイクラ14は、弁制御室1481の各々における流体の容積および/または流体の圧力を制御することができる。各制御室171Bに対して、流体制御ポート173Cを設けることができ、それにより、サイクラ14は、容積制御室1482の各々における流体の容積および/または流体の圧力を制御することができる。たとえば、嵌合ブロック170は、さまざまなポート、チャネル、開口部、空隙、および/または制御室171と連通して好適な空気圧/真空が制御室171に加えられるのを可能にする他の特徴を含む、マニホールド172と嵌合することができる。図示しないが、空気圧/真空の制御は、制御可能な弁、ポンプ、圧力センサ、アキュムレータ等を使用することにより、任意の好適な方法で行なうことができる。当然ながら、制御領域1481、1482は、重力ベースのシステム、液圧系統および/または機械的システム(リニアモータによる等)により、または、空気圧系統、液圧系統、重力ベースのシステムおよび機械的システムを含むシステムの組合せによる等、他の方法で、移動させることができることが理解されるべきである。
図36は、ポンプカセットを動作させる流体流制御装置で使用され、かつ圧力分散マニホールド172およびサイクラ14の嵌合ブロック170として使用されるのに好適な、一体型圧力分散モジュールまたはアセンブリ2700の組立分解図を示す。図94は、空気圧マニホールドまたはブロック、供給圧力用ポート、空気圧制御弁、圧力センサ、圧力送達または嵌合ブロック、ならびに、ポンプカセット上のポンプおよび弁を作動させる可撓性膜を備える領域を含む制御面またはアクチュエータを備える、一体型モジュール2700の図を示す。一体型モジュール2700はまた、ポンプカセットのポンプ室内に存在する流体の容積を求めるFMS容積測定プロセスのために、空気圧マニホールド内に基準室(基準チャンバ)も含むことができる。一体型モジュールはまた、真空ポート、ならびに、アクチュエータとポンプカセットの可撓性ポンプおよび弁膜との間のインタフェースから流体トラップおよび液体検出システムまでの一組の通路またはチャネルも備えることができる。いくつかの実施形態では、空気圧マニホールドは、単一ブロックとして形成することができる。他の実施形態では、空気圧マニホールドは、互いに嵌合された2つ以上のマニホールドブロックから、ガスケットがマニホールドブロック間に配置されて形成することができる。一体型モジュール2700は、流体流制御装置において比較的小さい空間を占有し、マニホールドポートをポンプカセットに嵌合する圧力送達モジュールまたはブロックの対応するポートに接続するチューブまたは可撓性導管の使用をなくす。他のあり得る利点もあるが特に、一体型モジュール2700は、腹膜透析サイクラの空気圧作動アセンブリのサイズおよび組立コストを低減させ、その結果、サイクラを小型にしかつ安価にすることができる。さらに、圧力分散マニホールドブロックの圧力または真空分散ポートと嵌合圧力送達ブロックの対応する圧力または真空送達ポートとの間の距離が短いことにより、ポートを接続する導管の剛性と合わせて、取り付けられたポンプカセットの応答性とカセットポンプ容積測定プロセスの正確さとを向上させることができる。腹膜透析サイクラ14で使用される場合、実施形態では、金属圧力送達ブロックに直接嵌合する金属圧力分散マニホールドを備える一体型モジュールはまた、制御弁171Bとサイクラ14の基準室174との間のいかなる温度差も低減させることができ、それにより、ポンプ容積測定プロセスの正確さを向上させることができる。
図36に、一体型モジュール2700の組立分解図を提示する。嵌合ブロックまたは圧力送達ブロックに取り付けられたアクチュエータ面または制御ガスケット148は、前後に移動して、ポンプカセット24の膜15を押すかまたは引き寄せることにより、流体を圧送しかつ/または弁を開閉するように配置された可撓性領域を含む。サイクラ14に関して、制御ガスケット148は、制御領域1481、1482の後方の制御容積171A、171Bに供給される正および負の空気圧によって駆動される。制御ガスケット148は、リップ2742によって嵌合ブロック170の正面の隆起面2744の上にぴったりと嵌まることにより、圧力送達ブロックまたは嵌合ブロック170に取り付けられる。嵌合ブロック170は、1つまたは複数の対応するポンプ制御面1482の卵形湾曲形状と整列しかつそれを支持して、ポンプ制御室を形成する、1つまたは複数の表面くぼみ2746を含むことができる。表面くぼみがあってもなくても、同様の構成は、ポンプカセットの1つまたは複数の弁を制御するために対応する制御面1481と整列するように弁制御領域171Aを形成する際に含めることができる。嵌合ブロック170は、制御流体または気体のポート173Cから背面全体ポンプ制御面1482までの流れを容易にするように、ポンプ制御面1482の後方の嵌合ブロック170のくぼみ2746の表面の溝2748をさらに含むことができる。別法として、溝2748を有するのではなく、くぼみ2746に粗化面または接線方向に多孔性の面を形成することができる。
一実施形態では、制御室171Bの内壁は、例えば、ポンプ制御領域1482に関連付けられた図34に示されるように、(ポンプ室181のスペーサ要素50にいくらか類似している)隆起した要素を含むことができる。これらの隆起した要素は、プラトー特徴、リブ、または完全に格納された制御領域1482から制御ポートを後退させておく他の突起の形をとることができる。この配置は、制御室171B内の圧力または真空のより均一な分布を可能にし、制御ガスケット148による制御ポートの時期尚早な遮断を防止し得る。事前に形成された制御ガスケット148(少なくともポンプ制御領域において)は、送達ストローク中のカセット24のポンプ室の内壁または充填ストローク中の制御室171の内側のいずれかに対して完全に伸ばされたときに有意な伸長力を受けてはならない。したがって、制御領域1482が非対称に制御室171B内に延在して、チャンバが完全に排気される前に、制御領域1482が制御室の1つまたは複数のポートを時期尚早に閉鎖し得る。制御領域1482と制御ポートとの間の接触を防止する制御室171Bの内面上の特徴を有することは、制御領域1482が充填ストローク中に制御室内壁と均一に接触できることを保証するのに役立ち得る。
嵌合ブロック170は、圧力分散マニホールド172を制御面148に接続し、制御面148のさまざまな制御領域に圧力または真空を送達する。嵌合ブロック170はまた、弁制御領域1481およびポンプ制御領域1482に圧力および真空を供給し、真空ポート1483およびポンプ制御容積171Bから圧力センサへの接続部に真空を供給する空気圧導管を提供するという意味で、圧力送達ブロックと呼ぶこともできる。ポート173Aは、制御容積171Aを圧力分散マニホールド172に接続する。ポート173Cは、ポンプ制御容積171Bを圧力分散マニホールド172に接続する。真空ポート1483は、ポート173Bを介して圧力分散マニホールド172に接続される。一実施形態では、ポート173Bは、制御面148を通過するように圧力分散ブロック170の表面の上方に延在して、制御面148をポート173B上に引っ張って流れを遮ることなく、ポート1483において真空を提供する。
圧力送達ブロック170は、圧力分散マニホールド172の表面に取り付けられる。ポート173A、173B、173Cは、弁ポート2714に接続する、圧力分散マニホールド172の空気圧回路と整列する。一例では、圧力送達ブロック170は、圧力分散マニホールド172と嵌合し、それらの間に正面平形ガスケット2703が締め付けられる。ブロック170およびマニホールド172は、機械的に合わせて保持され、それは、実施形態では、ボルト2736または他のタイプの締結具を使用することによる。別の例では、平形ガスケット2703ではなく、圧力送達ブロック170または圧力分散マニホールド172のいずれかに、高コンプライアンス要素が配置されるかまたはモールドされる。別法として、接着剤、両面テープ、摩擦溶接、レーザ溶接または他の接合方法によって、圧力分散マニホールド172に圧力送達ブロック170を接合することができる。ブロックおよびマニホールド172は、金属またはプラスチックから形成することができ、材料に応じて接合方法は変わる。
図38に示すように、圧力分散マニホールド172は、空気圧弁2710用のポート、基準室174、流体トラップ1722および空気圧回路、または圧力リザーバ、弁の間の空気圧接続を提供する一体化モジュール2700接続部を含み、複数のカートリッジ弁2710を受け入れるポート2714を含む。カートリッジ弁2710は、限定されないが、弁制御容積171Aへの流れを制御するバイナリ弁2660と、ポンプ制御容積171Bへの流れを制御するバイナリ弁X1A、X1B、X2、X3と、空気袋2630、2640、2650および圧力リザーバ2610、2620への流れを制御するバイナリ弁2661~2667とを含む。カートリッジ弁2710は、弁ポート2714内に押し込まれ、回路基板2712を介してハードウェアインタフェース310に電気的に接続される。
圧力分散マニホールド172における空気圧回路は、正面および背面の溝またはスロット1721と、一方の面の溝1721を弁ポート2714、流体トラップ1722に、かつ対向する面の溝およびポートに接続するおよそ垂直な孔との組合せによって形成することができる。いくつかの溝1721は、基準室174に直接接続することができる。単一の垂直孔が、溝1721を、間隔が密でありかつ互い違いにされている複数の弁ポート174に接続することができる。溝1721が互いから、一例では、図36に示すように正面平形ガスケット2703によって隔離されるとき、封止された空気圧導管が形成される。
流体トラップ1722内の液体の存在は、一対の導電性プローブ2732によって検出することができる。導電性プローブ2732は、圧力分散マニホールド172の流体トラップ1722に入る前に、背面ガスケット2704、背面プレート2730および孔2750を通って摺動する。
背面プレート2730は、基準容積174、圧力分散マニホールド172の背面の溝1721を封止し、圧力センサ2740用のポートならびに圧力および真空ライン2734用のポートと、雰囲気2732への通気孔とを提供する。一例では、圧力センサは、単一基板2740にはんだ付けされ、かつ背面プレート2730の背面ガスケット2704に対してまとめて押圧される、ICチップであり得る。一例では、ボルト2736が、背面プレート2730、圧力分散マニホールド172および圧力送達ブロック170を締め付け、それらの間にガスケット2703、2702がある。別の例では、上述したように、圧力送達マニホールド172に背面プレート2730を接合することができる。図95に、組み立てられた一体型モジュール2700を提示する。
図38は、一体型マニホールド2700内の空気圧回路とマニホールドの外側の空気圧要素との概略図を提示する。ポンプ2600は、真空および圧力を生成する。ポンプ2600は、3方弁2664および2665を介して、通気孔2680と負圧または真空リザーバ2610および正圧リザーバ2620に接続されている。正圧リザーバ2620および負圧リザーバ2610内の圧力は、圧力センサ2678、2676によってそれぞれ測定される。ハードウェアインタフェース310は、ポンプ2600の速度および3方弁2664、2665、2666の位置を制御して、各リザーバ内の圧力を制御する。自動接続ストリッパ要素空気袋2630は、3方弁2661を介して、正圧ライン2622または負圧もしくは真空ライン2612のいずれかに接続されている。自動化コンピュータ300は、ストリッパ要素1461の位置を制御するように、弁2661の位置を命令する。オクルーダ空気袋2640およびピストン空気袋2650は、3方弁2662および2663を介して圧力ライン2622または通気孔2680のいずれかに接続されている。自動化コンピュータ300は、カセット24を制御面148に対して確実に係合させるようにドア141が閉じられた後に、ピストン空気袋2650を圧力ライン2622に接続するように、弁2663に命令する。オクルーダ空気袋2640は、弁2662および制限部2682を介して圧力ライン2622に接続されている。オクルーダ空気袋2640は、弁2662を介して通気孔2680に接続されている。オリフィス2682は、有利に、圧力ライン2622内の圧力を維持するために、オクルーダ147を後退させるオクルーダ空気袋2640の充填を遅らせる。圧力ライン2622内の高圧は、さまざまな弁制御面171Aおよびピストン空気袋2650がカセット24に対して駆動された状態で維持し、オクルーダ147が開放する際、患者との間の流れを阻止する。逆に、オクルーダ空気袋2640から通気孔2680へn接続は制限されず、そのため、オクルーダ147は迅速に閉鎖することができる。
弁制御面1481は、弁制御容積171A内の圧力によって制御され、弁制御容積171A内の圧力は、3方弁2660の位置によって制御される。弁2660は、ハードウェアインタフェース310に送られる自動化コンピュータ300からのコマンドを介して個々に制御することができる。ポンプ制御容積171B内の圧送圧力を制御する弁は、2方弁X1A、X1Bによって制御される。弁X1A、X1Bは、一例では、自動化コンピュータ300によって命令される圧力に達するように、ハードウェアインタフェース310によって制御することができる。各ポンプ制御室171B内の圧力は、センサ2672によって測定される。基準室内の圧力は、センサ2670によって測定される。2方弁X2、X3は、それぞれ、基準室174をポンプ制御室171Bおよび通気孔2680に接続する。
流体トラップ1722は、本明細書の別の場所で説明したように、動作中に真空ライン2612に対するものある。流体トラップ1722は、いくつかのラインによって、圧力送達ブロック170のポートに接続される。流体トラップ1722内の圧力は、背面プレート2730に取り付けられている圧力センサ2674によってモニタリングされる。
治療の最後に、ドアを開く前または開いている間に、制御面148から膜15を分離するために、真空ポート1483を採用することができる。負圧源によって真空ポート1483に提供される真空は、治療中に制御面148に対して膜15を封止係合させる。場合によっては、真空の印加が断続的である場合であっても、ドア141が開放位置に自由に回転するのを防止して、カセット膜15から制御面を分離するために、実質的な量の力が必要である可能性がある。したがって、実施形態では、圧力分散モジュール2700は、正圧源と真空ポート1483との間の弁付きチャネルを提供するように構成される。真空ポート1483において正圧を供給することは、制御面148から膜15を分離するのに役立つことができ、それにより、カセット24が制御面148からより容易に分離することができ、ドア141を自由に開くことができる。真空ポート1483に対する正圧を提供するように、自動化コンピュータ300によってサイクラにおける空気圧弁を制御することができる。マニホールド172は、この目的に対して専用の別個の弁付きチャネルを含むことができ、または別法として、特定の順序で操作される、既存のチャネル構成および弁を採用することができる。
一例では、真空ポート1483を正圧リザーバ2620に一時的に接続することにより、真空ポート1483に正圧を供給することができる。真空ポート1483は、通常、治療中、マニホールド172における共通の流体接続チャンバまたは流体トラップ1722を介して真空リザーバ2610に接続される。一例では、コントローラまたは自動化コンピュータは、正圧リザーバと容積制御室171Bとの間の弁X1Bと、負圧リザーバと同じ容積制御室171Bとの間の弁X1Aとを同時に開放することができ、それにより、流体トラップ1722および真空ポート1483内の空気が加圧される。加圧空気は、真空ポート1483を通って膜15と制御面148との間に流れ、膜と制御面との間のいかなる真空結合も破断する。しかしながら、例示するマニホールドでは、キャップストリッパ149のストリッパ要素1491は、共通の流体収集チャンバ1722流体に正圧が供給されている間に拡張することができ、それは、ストリッパ空気袋2630は真空供給ライン2612に接続されているためである。この例では、後続するステップにおいて、流体トラップ1722を、新たに加圧される真空ラインから弁によってオフに調整することができ、正圧リザーバおよび真空リザーバを容積制御室171Bに接続する2つの弁X1A、X1Bを、閉鎖することができる。そして、真空ポンプ2600は、真空リザーバ2610および真空供給ライン2612内の圧力を低減させるように操作され、それにより、ストリッパ要素1491を引っ込めることができる。そして、制御面148からカセット24を取り外し、ストリッパ要素1491を後退させた後に、ドア141を開くことができる。
本開示の態様によれば、膜15における漏れを検出するために、真空ポート1483を使用することができ、真空ポート1483に接続された導管またはチャンバ内の液体センサが、膜15が穿孔されているか、または他の方法で膜15と制御ガスケット148との間に液体が導入される場合に、液体を検出することができる。たとえば、真空ポート1483は、嵌合ブロック170における相補的な真空ポート173Bと整列し、それに封止して関連づけられることが可能であり、それにより、相補的な真空ポート173Bを、マニホールド172の共通の流体収集チャンバ1722に通じる流体通路1721と封止して関連づけることができる。流体収集チャンバ1722は入口を含むことができ、そこを通して、制御面148のすべての真空ポート1483に真空をかけ分散させることができる。流体収集チャンバ1722に真空をかけることにより、真空ポート173Bおよび1483の各々から流体を引き出すことができ、したがって、さまざまな制御領域において膜15と制御面148との間の任意の空間から流体が除去される。しかしながら、領域のうちの1つまたは複数に液体が存在する場合、関連する真空ポート1483は、真空ポート173B内にかつ、流体収集チャンバ1722に通じるライン1721内に液体を引き込むことができる。いかなるこうした液体も、流体収集チャンバ1722に集まり、1つまたは複数の好適なセンサ、たとえば、液体の存在を示すチャンバ1722内の導電率の変化を検出する一対の導電率センサによって検出することができる。この実施形態では、流体収集チャンバ1722の底側にセンサを配置することができ、真空源は、チャンバ1722の上端においてチャンバ1722に接続する。したがって、液体が流体収集チャンバ1722内に引き込まれる場合、液体レベルが真空源に達する前に、液体を検出することができる。任意選択的に、真空源内に液体が入るのをさらに抵抗するのに役立つように、チャンバ1722への真空源接続箇所に、疎水性フィルタ、弁または他の構成要素を配置することができる。このように、液体によって汚染される危険性があるように真空源弁が配置される前に、コントローラ16によって液体漏れを検出しそれに対して作用する(たとえば、警告を発する、液体入口弁を閉鎖する、圧送動作を中止する)ことができる。
図38に示す概略図例には、較正ポート2684が示されている。較正ポート2684を用いて、空気圧系統におけるさまざまな圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678を較正することができる。たとえば、較正ポート2684を介してサイクラの空気圧回路に圧力基準を接続することができる。圧力基準が接続された状態で、圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678のすべてを同じ流体容積に接続するように、空気圧系統の弁を作動させることができる。そして、圧力基準を用いて空気圧系統において既知の圧力を確立することができる。圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678の各々から圧力測定値を圧力基準の既知の圧力と比較することができ、それにしたがって、圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678を較正することができる。いくつかの実施形態では、圧力センサ2672、2674、2676、2677、2678のうちの選択された圧力センサを、グループでまたは個々に較正するために、基準の圧力に接続しかつ基準の圧力にすることができる。
取外し可能なカセットにおいてダイヤフラムベースのポンプおよび弁を作動させるように構成される任意の流体処理装置(すなわち、ベースユニット)は、その空気圧(または液圧)カセットインタフェースを利用して、専用較正カセット(または「カセット固定具」)を介して較正基準圧力を受け取ることができる。較正カセットは、標準流体ポンプカセットと同じ全体的な寸法を有することができ、それにより、カセットインタフェースまたはベースユニットの制御面との封止インタフェースを提供することができる。ポンプまたは弁領域のうちの1つまたは複数が、それが嵌合するインタフェースの対応する領域を連通するのを可能にすることができ、それにより、較正カセットを通して、ベースユニットの空気圧または液圧流路内に(たとえば、空気圧または液圧マニホールドを介して)、基準空気圧または液圧を導入することができる。
たとえば、空気圧作動式腹膜透析サイクラでは、サイクラの空気圧回路に対して、サイクラのカセットインタフェースを通して直接アクセスすることができる。これは、たとえば、制御面148がカセット固定具に対してシールを生成するのを可能にする変更されたカセットまたはカセット固定具を用いて達成することができる。さらに、カセットインタフェースの真空ポート173Bを流体連通している少なくとも1つのアクセスポートを含むように、カセット固定具を構成することができる。(たとえば、制御面にスリットまたは細孔を有する実施形態では)真空ポートがない場合、代わりに、カセットインタフェースまたは制御面の真空通気孔機構と連通するようにアクセスポートを配置することができる。
外部カセットポートから装置インタフェースに面するアクセスポートまで直接流路を有するように、カセット固定具(または較正カセット)を構築することができ、外部カセットポートは、圧力基準に接続するために利用可能である。上述したように、圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678のすべてまたはいくつかを、圧力分散マニホールドにおける空気圧制御弁を適切に作動させることにより、共通の容積に流体連通するように配置することができる。圧力基準を用いてその容積内で既知の圧力を確立することができる。圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678の各々からの圧力測定値を圧力基準の既知の圧力を比較することができ、それに従って、圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678を較正することができる。
圧力分散マニホールドのいくつかの実施形態では、圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678のすべてが、一度に共通の容積に接続されることが可能ではない場合がある。その場合、個々の圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678への流路は、すべてのセンサの較正を確実にするために、逐次開放される必要がある場合がある。さらに、較正されると、圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678のうちの1つまたは複数を用いて、ベースユニットまたはサイクラの圧力分散マニホールドにおいて圧力センサ2670、2672、2674、2676、2677、2678を較正することができることが留意されるべきである。先行して較正された1つまたは複数の圧力センサを、未較正圧力センサとの共通容積内に(たとえば、好適な弁作動を介して)配置することができる。共通容積の圧力は、較正された圧力センサを介して既知であり得る。未較正圧力センサの測定値を共通容積の既知の圧力を比較し、その後、それにしたがって較正することができる。
図39は、カセット固定具4570の実施形態の概略図を示す。図示するように、カセット固定具4570は、上述した標準ポンプカセット24と同じ外形を有している。カセット固定具4570は、ベースユニットのカセットインタフェース(制御面148)の対応する領域と整列するように、標準カセットの所定の弁またはポンプ領域に関連づけられたアクセスポート4572を含む。カセット固定具4570は、それ以外は、平坦な平滑インタフェース面を有することができ、それにより、制御面は、ベースユニットまたはサイクラに嵌合したときにそれに対して封止することができる。好ましくは、カセット固定具4570は、金属または他の硬質な堅い材料から形成される。圧力下での屈曲または変形に対する抵抗は、複数のサイクラの複数回の較正にわたる信頼性および整合性を向上させるのに役立つことができる。図示するように、カセット固定具4570は、カセット固定具4570の面に凹状に設けられたアクセスポート4572を含む。アクセスポート4572は、カセット固定具4570から離れるように通じる管4574まで延在する流路4573と連通する。実施形態例では、基準圧力源4576に管を介して接続されるように、カセットの側にカセットポートまたは取付具を含めることができる。
図40および図41は、図3に示すカセット24等、変更されたカセットから適合したカセット固定具4570の他の表現を示す。こうした例では、カセット固定具4570は、サイクラに設置されたときにサイクラの制御面またはカセットインタフェース148(たとえば、図33A-Cを参照)に面するカセットの制御側から、シートまたは膜を除去するかまたはそれを含めないことによって、作製することができる。図3を参照すると、たとえば、カセット24には膜15が含まれていない場合がある。したがって、カセット24を通してサイクラの空気圧回路に直接アクセスすることができる。別法として、カセット固定具4570を生成するように、カセットの一部のみにおいて膜またはシートを断続的にする(たとえば、除去する、穿孔する、スリット状にする等)ことができる。たとえば、カセット固定具4570のアクセスポート4572が位置する領域において、膜をこのように変更することができる。
さらに、標準カセットの外部接続箇所のうちの1つまたは複数に管4574を取り付けて、カセット固定具4570の必要な流体連通路を生成することができる。外部接続箇所は、標準カセットの上に任意の管取付箇所を含むことができ、または較正手順において繰り返し使用するためにより頑強な取付具を備えることができる。図3を参照すると、外部接続箇所は、カセットスパイク160および/またはポート150、152および154を含むことができる。そして、他の外部接続箇所のすべてに対して、閉鎖し、栓をし、または他の方法で封止することができるように、カセットを変更することができる。
上述したように、管4574は、圧力基準4576に接続路を提供するように、カセット固定具4570のアクセスポート4572に流体接続された流体流路4573からつながっている。アクセスポート4572は、カセット本体における既存の開口部または弁ポートであり得る。さらに、流体路4573は、アクセスポート4572から管4574またはカセット側の関連する取付具までの流体連通を可能にする、カセット本体の任意の既存の通路または通路の組合せであり得る。たとえば、流路4573は、1つもしくは複数の弁ポート、弁ウェル、ポンプ室および/またはカセット本体のチャネル、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
上で示唆したように、サイクラ14は、システムのさまざまな弁、圧力センサ、モータ等と電気的に通信するデータプロセッサを備えた制御システム16を含むことができ、好ましくは、所望の動作シーケンスまたはプロトコルに従ってこうした構成要素を制御するように構成されている。制御システム16は、指定されたタスクを実行する、適切な回路、プログラミング、コンピュータメモリ、電気的接続、および/または他の構成要素を含むことができる。システムは、制御面148の領域および他の空気圧作動構成要素の動作を制御するように、所望の空気または他の流体圧(大気圧もしくは他の何らかの基準を上回る正圧、または大気圧もしくは他の何らかの基準を下回る負圧もしくは真空)を発生させる、ポンプ、タンク、マニホールド、弁、または他の構成要素を含むことができる。制御システム16(またはその少なくとも一部)に関するさらなる詳細については後述する。
1つの例示的な実施形態では、バイナリ弁によって、ポンプ制御チャンバ171B内の圧力を制御することができ、バイナリ弁は、たとえば、制御チャンバ171を好適な圧力/真空に露出させるように開放し、圧力/真空源を遮断するように閉鎖する。ポンプ制御チャンバ171B内の圧力を制御するように調整することができる鋸歯形状の制御信号を用いて、バイナリ弁を制御することができる。たとえば、ポンプ送達ストロークの間(すなわち、膜15/制御面148を移動させポンプチャンバ181から液体を押し出すように、ポンプ制御チャンバ171B内に正圧が導入されている)、制御チャンバ171B内に好適な圧力(たとえば、約70mmHg~90mmHgの圧力)を確立するために比較的急速に開閉するように、鋸歯信号によってバイナリ弁を駆動することができる。制御チャンバ171B内の圧力が約90mmHgを超えて上昇する場合、より長期間、バイナリ弁を閉鎖するように、鋸歯信号を調整することができる。制御チャンバ171B内で圧力が約70mmHg未満に低下する場合、制御チャンバ171内の圧力を上昇させるように、バイナリ弁に鋸歯制御信号を再び印加することができる。したがって、通常のポンプ動作中、バイナリ弁は、複数回開閉され、1回以上の延長期間、閉鎖することができ、それにより、液体がポンプチャンバ181から押し出されるときの圧力は、所望のレベルまたは範囲(たとえば、約70mmHg~90mmHg)で維持される。
いくつかの実施形態では、かつ本開示の態様によれば、たとえば、膜15がポンプチャンバ181のスペーサ50と接触するか、またはポンプ制御領域1482がポンプ制御チャンバ171Bの壁と接触するとき、膜15/ポンプ制御領域1482の「ストローク終了」を検出することが有用である場合がある。たとえば、圧送動作中、「ストローク終了」の検出は、(ポンプチャンバ181を充填するかまたはポンプチャンバ181から流体を押し出すように)新たなポンプサイクルを始動するために、膜15/ポンプ制御領域1482の移動を反転させるべきであることを示すことができる。ポンプ用の制御チャンバ171B内の圧力が、鋸歯制御信号によって駆動されるバイナリ弁によって制御される1つの例示的な実施形態では、ポンプチャンバ181内の圧力は、比較的高周波数で、たとえば、バイナリ弁が開閉される周波数またはその近くの周波数で変動する。制御チャンバ171B内の圧力センサがこの変動を検出することができ、この変動は、概して、膜15/ポンプ制御領域1482がポンプチャンバ181の内壁またはポンプ制御チャンバ171Bの壁と接触していないときに、相対的に高い振幅を有する。しかしながら、膜15/ポンプ制御領域1482がポンプチャンバ181の内壁、またはポンプ制御チャンバ171Bの壁と接触すると(すなわち、「ストローク終了」)、圧力変動は、概して、ポンプ制御チャンバ171B内の圧力センサによって検出可能であるように、減衰するかまたは他の方法で変化する。圧力変動のこの変化を用いて、ストローク終了を特定することができ、ポンプならびにカセット24および/またはサイクラ14の他の構成要素を、それにしたがって制御することができる。
一実施形態では、制御チャンバ171Bにかけられる空気圧は、制御チャンバ171Bに接続された圧力変換器2672(図38)、および圧力リザーバ2620、2610と制御チャンバ171Bとの間の高速動作のバイナリ弁X1A、X1Bから信号を受け取るプロセッサによって、能動的に制御される。プロセッサは、制御容積171B内で所望の圧力を達成するように弁のデューティサイクルを変更する閉ループ比例または比例-積分フィードバック制御を含む種々の制御アルゴリズムを用いて、圧力を制御することができる。一実施形態では、プロセッサは、バンバン(bang-bang)コントローラと呼ばれることが多いオン-オフコントローラを用いて、制御チャンバ内の圧力を制御する。オン-オフコントローラは、送達ストローク中に制御容積171B内の圧力をモニタリングし、圧力が低い方の第1限界未満となると(制御容積171Bを正圧リザーバ2620に接続する)バイナリ弁X1Bを開放し、圧力が高い方の第2限界を超えると、バイナリ弁X1Bを閉鎖する。充填ストローク中、オン-オフコントローラは、圧力が第3限界より大きいとき、(制御容積171Bを負圧リザーバ2610に接続する)バイナリ弁X1Aを開放し、圧力が第4限界未満であるとき、バイナリ弁X1Aを閉鎖し、ここで、第4限界は第3限界より低く、第3限界および第4限界はともに、第1限界未満である。送達ストローク中および後続するFMS測定中等、経時的な圧力のプロットを図114に示す。制御チャンバ圧力2300は、膜15が制御チャンバ171Bを横切って移動する際、低い方の第1限界2312と高い方の第2限界2310との間で振動する。膜15が移動を停止すると、圧力は、両限界の間の振動を停止する。膜15は、通常、カセットの競技場段50と接触するか、または制御チャンバ表面171Bと接触するとき、移動を停止する。膜15はまた、出口流体ラインが閉塞される場合も、移動を停止することができる。
自動化コンピュータ(AC)300は、圧力信号を評価することによってストロークの終了を検出する。ストローク終了(EOS)を示す圧力振動の最後を検出する、多くのあり得るアルゴリズムがある。米国特許第6,520,747号明細書において「Detailed Description of the system and Method of Measuring Change Fluid Flow Rate」と題するセクション、および同第8,292,594号明細書においてストロークの終了を検出するためのフィルタリングについて記述するセクションにおいて、EOSを検出するアルゴリズムおよび方法は、参照により本明細書に組み込まれる。
EOSを検出するアルゴリズムの一例、AC300は、圧力が、送達ストローク中に第1限界および第2限界を超える間、または充填ストローク中に第3限界および第4限界を超える間の時間を評価する。オン-オフコントローラは、充填ストロークまたは送達ストローク中に制御チャンバ容積が変化する際、圧力が2つの限界の間で振動するのに応答して、弁X1A、X1Bを開閉する。膜15がストローク終了で移動を停止すると、圧力がそれ以上一方または両方の限界を超えないように、圧力変化は著しく減少する。AC300は、圧力が交互の限界を超える間の時間を測定することによって、EOSを検出することができる。圧力が最後の限界を超えてからの時間が所定閾値を超える場合、AC300はEOSを宣言することができる。アルゴリズムは、AC300が限界超過の間の時間を測定しない初期段階をさらに含むことができる。
別のアルゴリズム例では、AC300は、時間に対する圧力信号の微分を評価する。微分が最短時間に対して最小閾値未満のままである場合、AC300はEOSを宣言することができる。さらなる例では、最小閾値は、スロトーク中の平均圧力微分の絶対値の平均である。アルゴリズムは、一組のデータ点に対する曲線あてはめの傾き(時間に対する微分)を計算し、そこでは、データ点は、移動窓から取得される。そして、ストロークにわたって各傾きの絶対値を平均することにより、平均圧力微分の絶対値が計算される。EOSアルゴリズムの別の例では、AC300は、初期遅延後まで圧力データを含まない場合がある。AC300は、ストロークの初期の部分の間に時々発生する不規則な圧力トレースによる、不正確なEOS検出を回避するために、初期圧力データを無視する。別の例では、AC300は、ストロークの後の方の部分における圧力の2次微分が、最短時間、閾値未満のままであり、待ち時間が経過した後にのみ、EOSを宣言する。
EOSを宣言する基準は、種々の圧送条件に対して最適化することができる。最適化されたEOS検出条件としては、2次圧力微分閾値、2次微分閾値未満であり続ける最最短時間、初期遅延の持続時間、および待機期間の長さが挙げられる。これらのEOS検出基準は、異なるように、たとえば、バッグ20、22からの充填ストローク、患者への送達ストローク、患者からの充填ストローク、およびバッグ20、22への送達ストロークに対して最適化することができる。別法として、各EOS検出基準は、制御チャンバ171B内の圧送圧力の関数であり得る。
ポンプ送達容積測定
本発明の別の態様では、サイクラ14は、流量計、重量計、または流体容積もしくは重量の他の直接的な測定手段を使用することなく、システム10のさまざまなラインに送達される流体の容積を求めることができる。たとえば、一実施形態では、カセット24内のポンプ等のポンプが移動させる流体の容積は、ポンプを駆動するために使用される気体の圧力測定値に基づいて求めることができる。一実施形態では、容積の確定は、2のチャンバを互いから隔離し、隔離した2つのチャンバのそれぞれの圧力を測定し、(2つのチャンバを流体接続することにより)2つのチャンバ内の圧力が部分的にまたは実質的に等しくなるようにし、圧力を測定することによって行うことができる。測定した圧力と、チャンバのうちの一方の既知の容積と、均等化が断熱で生じるという想定とを使用して、他方のチャンバ(たとえば、ポンプ室)の容積を計算することができる。一実施形態では、チャンバが流体接続された後で測定された圧力は、実質的には互いに等しくない可能性があり、すなわち、チャンバ内の圧力は、まだ完全には均等化していない可能性がある。しかしながら、後に説明するように、これらの実質的に等しくない圧力を用いて、ポンプ制御室の容積を求めることができる。
たとえば、図43は、カセット24のポンプ室181ならびに関連する制御構成要素、および流入路/流出路の概略図を示す。この例示的な例では、ヒータバッグ22と、ヒータバッグライン26と、カセット24を通る流路とを含むことができる液体供給源が、ポンプ室の上側開口部191に液体入力を提供するように示されている。液体出口は、この例では、ポンプ室181の下側開口部187から液体を受け取るように示され、たとえば、カセット24の流路および患者ライン34を含むことができる。液体供給源は、たとえば、弁ポート192を含む弁を含むことができ、弁は、ポンプ室181との間の流れを可能にする/妨げるように、開閉することができる。同様に、液体出口は、たとえば弁ポート190を含む弁を含むことができ、弁は、ポンプ室181との間の流れを可能にする/妨げるように、開閉することができる。当然ながら、液体供給源は、1つまたは複数の溶液容器、患者ライン、カセット24内の1つまたは複数の流路、または他の液体源等の任意の好適な構成を含むことができ、液体出口は、同様に、排液ライン、ヒータバッグおよびヒータバッグライン、カセット24内の1つまたは複数の流路、または他の液体出口等の任意の好適な構成を含むことができる。概して、ポンプ室181(すなわち、図43における膜14の左側)は、動作中に水または透析液等の非圧縮性の液体で充填される。しかしながら、初期動作中、プライミング中、または後述するような他の状況等のいくつかの状況では、ポンプ室181内に空気または他の気体が存在する場合がある。また、ポンプの容積および/または圧力検出に関する本発明の態様は、カセット24のポンプ構成に関して記載されているが、本発明の態様は、任意の好適なポンプまたは流体移動システムで使用することができることが理解されるべきである。
図43はまた、(互いに隣接する)膜15および制御面1482の右側に制御室171Bも概略的に示し、それは、上述したように、ポンプ室181に対する制御面1482のポンプ制御領域1482に関連づけられた嵌合ブロック170Aにおける、空隙または他の空間として形成することができる。膜15/制御領域1482を移動させてポンプ室181内の液体の圧送を行うように、好適な空気圧が導入されるのは、制御室171B内である。制御室171は、ラインL0と連通することができ、ラインは、別のラインL1と、圧力源84、たとえば、空気圧源または真空源と連通する第1弁X1とに分岐する。圧力源84は、ピストンポンプを含むことができ、そこでは、チャンバ内をピストンが移動して制御室171に送達される圧力が制御されるか、または、膜15/制御領域1482を移動させかつ圧送作用を行なうために好適な気体圧力を送達ように、異なるタイプの圧力ポンプおよび/またはタンクを含むことができる。ラインL0はまた、別のラインL2および基準室174(たとえば、後述する測定を行なうように好適に構成された空間)と連通する第2弁X2に通じることができる。基準室174はまた、通気孔または他の基準圧力(たとえば、大気圧源または他の基準圧力源)に通じる弁X3を有するラインL3と連通する。弁X1、X2およびX3の各々を、独立して制御することができる。制御室および基準室に関連づけられた圧力を測定するように、圧力センサを配置することができ、たとえば、1つのセンサを制御室171に、別のセンサを基準室に配置することができる。これらの圧力センサは、任意の好適な方法で圧力を検出するように配置することができ、かつそのように動作することができる。圧力センサは、サイクラ14用の制御システム16、または、ポンプもしくは他の機構によって送達される容積を求める他の好適なプロセッサと連通することができる。
上述したように、ポンプ室181、液体供給源および/または液体出口の圧力を測定し、かつ/または、ポンプ室181から液体供給源または液体出口に送達される液体の容積を測定するように、図43に示すポンプ機構の弁および他の構成要素を制御することができる。容積測定に関して、ポンプ室181から送達される流体の容積を求めるために使用される1つの技法は、2つの異なるポンプ状態にある基準室内の圧力に対する制御室171Bの相対圧力を比較することである。相対圧力を比較することにより、制御室171Bの容積の変化を求めることができ、それは、ポンプ室181の容積の変化に対応し、ポンプ室181から送達され/ポンプ室に受け入れられる容積を反映する。たとえば、ポンプ室充填サイクル中に(たとえば、圧力源から開放した弁X1を通して負圧を加えることによって)制御室171B内の圧力が低下して、膜15およびポンプ制御領域1482を制御室壁の少なくとも一部と接触するように(または膜15/領域1482の別の好適な位置に)引き込んだ後、圧力源から制御室を隔離するように弁X1を閉鎖することができ、弁X2を閉鎖することができ、それにより、制御室171Bから基準室を隔離する。弁X3を開放して、基準室を大気圧に通気し、その後、閉鎖して、基準室を隔離することができる。弁X1が閉鎖され、制御室および基準室内の圧力が測定されている状態で、次いで、弁X2を開放して、制御室および基準室内の圧力の均等化を開始させる。基準室および制御室の初期圧力を、基準室の既知の容積と、均等化が開始された後(必ずしも完了している必要はない)で測定された圧力とともに使用して、制御室の容積を求めることができる。ポンプ送達サイクルの最後に、シート15/制御領域1482がポンプ室181のスペーサ要素50と接触するように押し込まれるとき、上記プロセスを繰り返すことができる。充填サイクルの最後の制御室容積を送達サイクルの最後の容積をと比較することにより、ポンプから送達された液体の容積を求めることができる。
概念的には、(たとえば、弁X2を開放時の)圧力均等化プロセスは、断熱である、すなわち、制御室および基準室内の空気その周囲環境の空気との間に熱伝導が発生することなく、生じるものとして見られる。その概念的な考えは、弁X2が閉鎖されるとき、最初に弁X2に仮想ピストンが位置し、弁X2が開放されるとき、仮想ピストンがラインL0またはL2中で移動して、制御室および基準室内の圧力を均等化させるというものである。(a)圧力均等化プロセスは比較的迅速に生じ、(b)制御室および基準室内の空気は、濃度がおよそ同じである元素を有し、(c)温度が同様であるため、圧力均等化が断熱で生じるという想定は、容積測定にわずかな誤差しか導入しない可能性がある。また、一実施形態では、均等化が開始された後で得られた圧力は、実質的な均等化が生じる前に測定することができ、ポンプ室容積を求めるために使用される初期圧力測定と最終圧力測定との間の時間がさらに短縮する。さらに、熱伝導を低減させるように、たとえば、膜15/制御面1482、カセット24、制御室171、ライン、基準室174等に対して低い熱伝導率の材料を使用することによって、誤差をさらに低減させることができる。
弁X2が開放されかつ圧力が均等化する後まで、弁X2が閉じた状態の間に、断熱系が存在すると想定すると、以下の式があてはまる。
PVγ=定数(1)
式中、Pは圧力であり、Vは容積であり、γは定数(たとえば、気体が空気等の二原子の場合には約1.4)に等しい。したがって、弁X2が開放し圧力均等化が生じる前後の制御室および基準室内の圧力および容積を関連づけるように、以下の式を書くことができる。
PrVrγ+PdVdγ=定数=PfVfγ(2)
式中、Prは、弁X2を開放する前の基準室ならびにラインL2およびL3の圧力であり、Vrは、弁X2を開放する前の基準室ならびにラインL2およびL3の容積であり、Pdは、弁X2を開放する前の制御室ならびにラインL0およびL1の圧力であり、Vdは、弁X2を開放する前の制御室ならびにラインL0およびL1の容積であり、Pfは、弁X2を開放した後の基準室および制御室の均等化した圧力であり、Vfは、制御室、基準室、ならびにラインL0、L1、L2、およびL3を含むシステム全体の容積であり、すなわち、Vf=Vd+Vrである。Pr、Vr、Pd、Pfおよびγは既知であり、Vf=Vr+Vdであるため、この数式を用いて、Vdについて解くことができる(ここでは、容積の値等を求める際の「測定された圧力」の使用について言及するが、こうした測定された圧力値は、必ずしもpsi単位等の任意の特定の形式である必要はないことが理解されるべきである)。代わりに、「測定された圧力」または「求められた圧力」は、電位、抵抗値、マルチビットのデジタル数字等、圧力を表す任意の値を含むことができる。たとえば、ポンプ制御室内の圧力を測定するために使用される圧力変換器は、ポンプ制御室内の圧力を表すアナログの電位、抵抗、または他の表示を出力することができる。変換器からの生の出力は、測定された圧力、および/または変換器からのアナログ出力を使用して生成されたデジタル数字、変換器出力に基づいて生成されるpsiまたは他の値等、何らかの変更された形式の出力として使用することができる。同じことが、求められた容積等の他の値にも当てはまるが、必ずしも立方センチメートル等の特定の形式である必要はない。代わりに、求められた容積は、容積を表す任意の値を含むことができ、たとえば、たとえば立方センチメートルで実際の容積を生成するために使用することができる。
ポンプによって送達される容積を求めるための流体管理システム(「FMS」)技法の実施形態では、弁X2の開放時の圧力均等化が断熱系で生じると想定される。したがって、以下の式3は、圧力均等化前後の基準室システムの容積の関係を与える。
Vrf=Vri(Pf/Patm)-(1/γ)(3)
式中、Vrfは、基準室の容積、ラインL2およびL3の容積、ならびに開放後のX2の左または右に移動することができる「ピストン」の移動からもたらされる容積調整を含む基準室システムの最終(均等化後)容積であり、Vriは、「ピストン」が弁X2に位置する状態での基準室ならびにラインL2およびL3の初期(均等化前)容積であり、Pfは、弁X2が開放された後の最終均等化圧力であり、Patmは、弁X2開放前の基準室の初期圧力(この例では大気圧)である。同様に、式4は、圧力均等化前後の制御室システムの容積の関係を与える。
Vdf=Vdi(Pf/Pdi)-(1/γ)(4)
式中、Vdfは、制御室の容積、ラインL0およびL1の容積、ならびに開放後の弁X2の左または右に移動することができる「ピストン」の移動からもたらされる容積調整を含む制御室システムの最終容積であり、Vdiは、「ピストン」が弁X2にある位置する状態での制御室ならびにラインL0およびL1の初期容積であり、Pfは、弁X2が開放された後の最終圧力であり、Pdiは、弁X2開放前の制御室の初期圧力である。
基準室システムおよび制御室システムの容積は、弁X2が開放され、圧力を均等化した後で、同じ絶対量だけ変化するが、式5に示すように、符号が異なる(たとえば、弁X2が開放したときに容積の変化が「ピストン」の左または右への移動によってもたらされるためである)。
ΔVr=(-l)ΔVd(5)
(基準室および制御室の容積の変化は、仮想ピストンの移動のみによるものであることに留意されたい。基準室および制御室は、通常条件下での均等化プロセス中に実際には容積が変化しない)。また、式3からの関係を用いて、基準室システムの容積変化は、以下の式から与えられる。
ΔVr=Vrf-Vri=Vri(-1+(Pf/Patm)-(1/γ)) (6)
同様に、式4を用いて、制御室システムの容積の変化は、以下の式から与えられる。
ΔVd=Vdf-Vdi=Vdi(-1+(Pf/Pdi)-(1/γ)) (7)
Vriが既知であり、PfおよびPatmが測定されるかまたは既知であるため、ΔVrを計算することができ、それは、式5によれば(-)ΔVdと等しいと想定される。したがって、Vdi(基準室との圧力均等化前の制御室システムの容積)は、式7を用いて計算することができる。この実施形態では、Vdiは、L0およびL1が固定および既知の量である、制御室ならびにラインL0およびL1の容積を表す。VdiからL0およびL1を減算して、制御室のみの容積が得られる。上記式7を用いて、たとえば、(たとえば、充填サイクルの最後および排液サイクルの最後の)ポンプ動作の前(Vdi1)および後(Vdi2)の両方で、制御室の容積の変化を求めることができ、したがって、ポンプによって送達される(またはポンプによって取り込まれる)流体の容積の測定値が提供される。たとえば、Vdi1が充填ストローク終了での制御室の容積であり、Vdi2がそれに続く送達ストローク終了での制御室容積である場合、ポンプによって送達される流体の容積は、Vdi2からVdi1を減算することによって推定することができる。この測定は圧力に基づいて行われるため、容積の確定は、完全ポンプストロークに対するか部分的ポンプストロークに対するかに関わらず、ポンプ室181内の膜15/ポンプ制御領域1482の略任意の位置に対して行うことができる。しかしながら、充填スロトーク端および送達ストローク終了で行われる測定は、ポンプ動作および/または流量への影響がほとんどまたはまったくなしに達成することができる。
本発明の一態様は、制御室に対して容積を求めることおよび/または他の目的に使用される圧力測定値を特定する技術を含む。たとえば、圧力センサを用いて、制御室内の圧力および基準室内の圧力を検出することができるが、検出された圧力値は、弁の開閉、制御室への圧力導入、基準室の大気圧または他の基準圧力への通気等に応じて変化する可能性がある。また、一実施形態では、制御室と基準室との間の圧力均等化前の時点から均等化後まで断熱系が存在すると想定されるため、時間的に近いタイミングで測定された適切な圧力値を特定することは、誤差を低減させるのを役立つことができる(たとえば、圧力測定で経過する時間が短いほど、システムで交換される熱の量を低減させることができるためである)。したがって、ポンプ等によって送達される容積を求めるために適切な圧力が使用されることを確実にするのに役立つように、測定された圧力値は、注意深く選択される必要がある可能性がある。
上述したように、図43のL3は、通気孔に通じる弁X3を有することができる。いくつかの実施形態では、この通気孔は、大気、または他の実施形態では、別の基準圧力と連通することができる。いくつかの実施形態では、制御室を通気することができるように(たとえば、図38を参照)、弁を介して制御室171Bにこの通気孔を接続することができる。従来の装置では、通気孔を用いて、制御室171Bを、充填ストロークの後の負圧から制御室171Bの正の加圧前の周囲圧力にしていた。これにより、制御室171Bは、圧力源84に接続される前により高い開始圧力になり、したがって、正圧源またはリザーバ84における圧力の消耗が最小限である。その結果、正圧リザーバに供給するポンプは、それほど頻繁に作動しないことが必要である。
一方、その後、すでに正圧である制御室171Bを、FMS測定のために後にチャンバを正に再度加圧する前により低い圧力に通気することは、いくつかのシナリオでは有利である可能性があると判断された。この新たなステップは、圧力源84をその圧力設定値で維持するために追加の作業(たとえば、ポンプ実行時間)が必要であるが、(たとえば、関連するポンプ室との間に通じるラインが閉塞することによる、または部分的閉塞による)背圧からのいかなるあり得る望ましくない影響も軽減するのに役立つように、それを行うことができる。さらに、これは、容積(容積)測定および流体計算の全体的な正確さを向上させるのに役立つことができる。これに対する1つのあり得る理由は、ポンプ室出口弁190(この場合は、空気圧作動式膜弁)は、制御室171Bが正に加圧されたままであるとき、効率的に閉鎖しない可能性があるということである。
いくつかの実施形態では、サイクラ14の制御システム16は、送達されたかまたは充填された流体容積を求める測定を行う前に、制御室171Bを通気することができる。さらに、いくつかの実施形態では、サイクラ14の制御システム16は、設置されたカセット24に含まれる第2制御室によって圧送動作を行う前に、第1制御室171Bを通気することができる。
図43に示す実施形態例では、この通気または背圧逃しは、弁X2およびX3を開放し弁X1を閉鎖することによって達成することができる。したがって、基準室174を介して通気孔と連通するように、制御室171Bを配置することができる。他の実施形態では、当然ながら、通気孔とより直接連通するように、制御室171Bを配置することができる。たとえば、通気孔と直接連通している流体路に関連づけられた追加の弁を含めることができる。他の任意の好適な構成を使用することも可能である。
いくつかの実施形態では、好適なまたは所定の期間、通気孔と流体連通するように制御室171Bを配置することにより、制御室171Bを通気することができる。他の実施形態では、制御室171Bの通気を制御するために、サイクラ14の制御システム16は、制御室171Bまたは基準室174の一方または両方に関連づけられた(または、たとえば圧力分散モジュール等、制御室に流体的に接続可能な位置にある)圧力センサからのデータを使用することができる。こうした実施形態では、圧力センサからのデータを用いて、制御室171Bが十分に通気されたか否かを判断することができる。制御室171Bが十分に通気されたと判断されると、サイクラ14の制御システム16は、通気孔から制御室171Bを隔離するように適切な弁を閉鎖することができる。制御システム16が、制御室171Bが十分に通気されたと判断するために、制御室171Bの圧力は、必ずしも、通気孔の圧力と完全に均等化する必要はない。
いくつかの実施形態では、制御室171B内の背圧を逃すために、代わりに、制御室171Bを、適切なまたは所定の期間、負圧源にさらすことができる。こうした実施形態では、圧力源84と連通するように制御室171Bを配置することができる。図43に示す実施形態例では、これは、弁X1を開放し、少なくとも弁X3を閉鎖することによって、達成することができる。正に加圧された制御室171Bの場合、制御室171Bが接続される圧力源は、負圧源であり得る。いくつかの実施形態では、サイクラ14の制御システム16は、短期間、負圧源への弁を開放するのみである場合がある。短期間は、制御室171B内の圧力を、圧力源と均等化することができる前に所定値の所定範囲内(例では、これは、およそ大気圧であり得る)にするために十分な時間であり得る。他の実施形態では、同じ効果をもたらすように、弁X1を調整することができる。それが可変弁である場合、コントローラによってそのオリフィス開口部を調整することができ、バイナリ弁である場合、コントローラは、たとえばパルス幅変調を用いて、弁を横切る圧力送達の速度および大きさを調整することができる。
説明のために、図44は、弁X2の開放前の時点から、弁X2が開放されてチャンバ内の圧力を均等化させて幾分かの時間の後までの、制御室および基準室に対する例示的な圧力値のプロットを示す。この例示的な実施形態では、制御室内の圧力は、均等化前の基準室内の圧力よりも高いが、制御室圧力は、充填ストローク中および/または充填ストローク終了等、いくつかの構成における均等化前の基準室圧力よりも低い場合があることが理解されるべきである。また、図44におけるプロットは、均等化圧力に印を付けた水平線を示すが、この線は明確にするためにのみ示されていることが理解されるべきである。均等化圧力は、概して、弁X2の開放前には知られることはない。この実施形態では、圧力センサは、制御室および基準室の両方に対して約2000Hzのレートで圧力を検出するが、他の適切なサンプリングレートを使用することができる。弁X2の開放前に、制御室および基準室内の圧力はおよそ一定であり、チャンバ内にはいかなる空気または他の流体も導入されていない。したがって、弁X1およびX3は、概して、弁X2の開放前に閉鎖される。また、ポンプ室、液体供給源または液体出口における圧力変動の影響を阻止するために、弁ポート190および192等、ポンプ室内に通じる弁を閉鎖することができる。
最初に、測定された圧力データは、制御室および基準室に対する初期圧力、すなわちPdおよびPrを特定するように処理される。1つの例示的な実施形態では、初期圧力は、測定された圧力データで使用される10ポイントスライディングウィンドウの解析に基づいて特定される。この解析は、たとえば最小二乗法を用いて、各ウィンドウ(またはセット)内のデータに対する最良適合線を生成し、最良適合線の傾きを求めることを含む。たとえば、新しい圧力が制御室または基準室に対して測定されるたびに、最新の測定値および9個の先の圧力測定値を含むデータセットに対して、最小二乗適合線を求めることができる。このプロセスは、圧力データのいくつかのセットに対して繰り返すことができ、最小二乗適合線の傾きが最初に負(または非ゼロ)になり、後続のデータセットに対してさらに負の方に進み(またはゼロの傾きから逸脱し)続けるときに関して、判断を行うことができる。最小二乗適合線が好適な増加する非ゼロの傾きを有し始める点を用いて、チャンバの初期圧力、すなわち弁X2が開放される前の時点での圧力を特定することができる。
一実施形態では、基準室および制御室に対する初期圧力値は、連続した5個のデータセットの最後にあると判断することができ、そこでは、それらのデータセットに対する最良適合線の傾きは、第1データセットから第5データセットまで増加し、第1データセットに対する最良適合線の傾きが、最初は非ゼロになる(すなわち、第1データセットに先行するデータセットに対する最良適合線の傾きが、ゼロであるかまたは十分に非ゼロではない)。たとえば、圧力センサは、弁X2が開放する前の時点で開始して、1/2ミリ秒毎に(または他のサンプリングレート)サンプリングすることができる。圧力測定値が行われる度に、サイクラ14は、先の9個の測定値とともに最新の測定値を取得し、セット内の10個のデータ点に対する最良適合線を生成することができる。次の圧力測定値を取得する際に(たとえば、1/2ミリ秒後)、サイクラ14は、9個の先の測定値とともに測定値を取得し、再度、セット内の10点に対する最良適合線を生成することができる。このプロセスを繰り返すことができ、サイクラ14は、1セット10個のデータ点に対する最良適合線の傾きが最初に非ゼロになる(または他の方法で、好適に傾斜する)とき、たとえば、10個のデータ点の5個の後続のセットに対する最良適合線の傾きが後のデータセット各々に応じて増大することを確定することができる。使用する所定の圧力測定値を特定するために、1つの技法は、制御室または基準室に対する初期圧力、すなわちPdまたはPrとして使用される測定値として、第5データセット(すなわち、最良適合線が一貫した傾きで増大していることが分かり、第1測定値が時間的に最も早く取得された圧力測定値である、第5データセット)の中の第3測定値を選択することである。この選択は、経験的方法を使用して、たとえば、圧力測定値をプロットし、次いで、圧力が均等化プロセスを開始した時点を最適に表わす点を選択することにより、選択された。当然ながら、適切な初期圧力を選択するために他の技法を使用することができる。
1つの例示的な実施形態では、選択されたPdおよびPrの測定が行われた時点が、所望の時間閾値内、たとえば、互いの1~2ミリ秒以内にあったことを、確認することができる。たとえば、上述した技法を用いて、制御室圧力および基準室圧力が解析され、圧力均等化が開始される直前に圧力測定値(したがって、時点)が特定される場合、圧力が測定された時点は、互いに比較的接近しているべきである。そうでなければ、圧力測定値の一方または両方を無効にする誤差または他の障害条件があった可能性がある。PdおよびPrが発生した時点が適切に互いに接近していることを確認することによって、サイクラ14は、初期圧力が適切に特定されたと確認することができる。
チャンバに対する測定された圧力を用いてポンプ室容積を確実に求めることができるように、制御室171Bおよび基準室174内の圧力が均等化したときを特定するために、サイクラ14は、制御室および基準室の両方に対する圧力測定値からの一連のデータ点を含むデータセットを解析し、データセットの各々に対する最良適合線を(たとえば、最小二乗法を使用して)求め、制御室171B用のデータセットおよび基準室174用のデータセットに対する最良適合線の傾きが、最初に適切に互いに類似する、たとえば、傾き両方ともゼロに近いかまたは互いの閾値内にある値を有するときを特定することができる。最良適合線の傾きが類似するかまたはゼロに近いとき、圧力は、均等化したと判断することができる。いずれかのデータセット用の第1圧力測定値を、最終均等化圧力、すなわちPfとして使用することができる。1つの例示的な実施形態では、圧力均等化が、弁X2が開放された後、概して約200ミリ秒~400ミリ秒以内に発生し、均等化の大部分が、約50ミリ秒以内に発生したことが分かった。したがって、制御室171Bおよび基準室174内の圧力は、弁X2が開放される前の時点から均等化が達成される時点まで、均等化処理全体の間におよそ400回~800回以上の回数、サンプリングすることができる。
場合によっては、代替的なFMS技法を用いて、制御室171B容積測定の正確さを向上させることが望ましい場合がある。圧送されている液体と制御室171B気体と基準室気体との間の温度の実質的な差は、圧力均等化が断熱的に発生するという想定に基づいた計算に著しい誤差を導入する可能性がある。制御室171Bと基準室174との間の十分な圧力均等化まで圧力測定を行なうのを待機することは、過剰な量の熱伝達を発生させる可能性がある。本発明の一態様では、互いに実質的に同等でない、すなわち、完全な均等化が発生する前に測定される、ポンプ室181および基準室の圧力値を用いて、ポンプ室容積を求めることができる。
一実施形態では、弁X2の開放から完全な圧力均等化を通して均等化期間全体にわたってチャンバ圧力を測定し、断熱計算に対する均等化期間中にサンプリング点を選択することによって、熱伝達を最小限にすることができ、断熱演算誤差を低減させることができる。APDシステムの一実施形態では、制御室171Bと基準室174との間の全な圧力均等化の前に取得される、測定されたチャンバ圧力を用いて、ポンプ室181容積を求めることができる。一実施形態では、これらの圧力値は、チャンバが最初に流体的に接続され、均等化が開始されてから約50ミリ秒後に測定することができる。上述したように、一実施形態では、完全な均等化は、弁X2が開放されてから約200ミリ秒~400ミリ秒後に発生する可能性がある。したがって、測定された圧力は、弁X2が開放された(または、均等化が開始された)後の時点で取得することができ、それは、均等化期間全体の約10%~50%以下である。言い換えれば、測定された圧力は、圧力均等化の50%~70%が発生した時点で取得することができる(すなわち、基準室174およびポンプ室181圧力は、初期チャンバ圧力と最終均等化圧力との間の差の約50%~70%変化した。コンピュータ対応のコントローラを用いて、均等化期間中に、制御室および基準室内の実質的な回数の圧力測定を行い、格納し、解析することができる(たとえば、40回~100回の個々の圧力測定)。均等化期間の最初の50ミリ秒間にサンプリングされた時点のうち、断熱計算を行なうための理論上最適化されたサンプリング点がある(たとえば、最適化されたサンプリング点が、弁X2が開放して約50ミリ秒後で発生する、図44を参照されたい)。最適化されたサンプリング点は、2つのチャンバの気体容積間の熱伝達を最小限にするように、弁X2の開放の後の十分に早い時点で発生するが、圧力センサの特性と弁作動の遅延とによる圧力測定の著しい誤差を導入するほど早い時点では発生しない。しかしながら、図44に示すように、ポンプ室および基準室に対する圧力は、この時点では互いに実質的に同等ではない可能性があり、したがって、均等化は完了していない可能性がある。(場合によっては、弁X2の開放の直後に確実な圧力測定値を取得することが技術的に困難である可能性があり、それは、たとえば、圧力センサの固有の不正確さ、弁X2を完全に開放するために必要な時間、および、弁X2の開放の直後の制御室171Bまたは基準室174の一方の圧力の急激な初期変化等のためである)。
圧力均等化の間、制御室171Bおよび基準室174に対する最終圧力が同じでないとき、式2は以下のようになる。
PriVriγ+PdiVdiγ=定数=PrfVrfγ+PdfVdfγ(8)
式中、Pri=弁X2を開放する前の基準室内の圧力、Pdi=弁X2を開放する前の制御室の圧力、Prf=最終基準室圧力、Pdf=最終制御室圧力である。
最適化アルゴリズムを用いて、ΔVdおよびΔVrの絶対値間の差が均等化期間にわたって最小化(または所望の閾値未満に)される圧力均等化期間中の時点を選択することができる。(断熱過程では、この差は、式5によって示すように、理想的にはゼロであるべきである。図104では、ΔVdおよびΔVrの絶対値間の差が最小化される時点は、50ミリ秒の線で発生し、そこには「最終圧力が特定された時点」とマークされている)。最初に、制御室および基準室から、弁X2の開放と最終圧力均等化との間の複数点j=1~nにおいて、圧力データを収集することができる。Vri、すなわち、圧力均等化前の基準室システムの固定容積は既知であるため、Vrj(弁X2が開放された後のサンプリング点jでの基準室システム容積)に対する後続の値は、均等化曲線に沿った各サンプリング点Prjで式3を用いて計算することができる。Vrjのこうした値の各々に対して、ΔVdに対する値は、式5および式7を用いて計算することができ、それにより、Vrjの各値は、Vdij、Vdiに対する推定値、圧力均等化前の制御室システムの容積をもたらす。Vrjの各値およびVdijのその対応する値を用いて、かつ、式3および式4を用いて、均等化曲線に沿った各圧力測定点において、ΔVdおよびΔVrの絶対値の差を計算することができる。これらの差の二乗の和は、Vrjの各値およびその対応するVdijに対する圧力均等化の間のVdiの計算値における誤差の測定値を提供する。|ΔVd|および|ΔVr|の二乗差の最小和をもたらす基準室圧力をPrf、その関連する基準室容積をVrfとして示すと、Vrfに対応するデータ点PrfおよびPdfを用いて、Vdiの最適化された推定値、すなわち制御室システム初期容積を計算することができる。
PdfおよびPrfに対する最適化された値を補足する均等化曲線上場所を求める1つの方法は、以下の通りである。
1)制御室および基準室から、弁X2を開放する直前に開始し、PrおよびPdが等しい値に近づいている状態で終了する一連の圧力データセットを収集する。Priが、捕捉された最初の基準室圧力である場合には、図104における後続するサンプリング点は、Prj=Pr1,Pr2,...Prnと称される。
2)式6を用いて、Priの後の各Prjについて、対応するΔVrjを計算する(ここで、jは、Priの後のj番目の圧力データ点を表す)。
ΔVrj=Vrj-Vri=Vri(-1+(Prj/Pri)-(1/γ))
3)こうしたΔVrj各々について、式7を用いて、対応するVdijを計算する。
たとえば、
ΔVr1=Vri*(-1+(Pr1/Pri)-(1/γ))
ΔVd1=-ΔVr1
したがって、
Vdi1=ΔVd1/(-1+(Pd1/Pdi)-(1/γ))
Vdin=ΔVdn/(-1+(Pdn/Pdi)-(1/γ))
圧力均等化の間に、1セットのn個の制御室システム初期容積(Vdi1~Vdin)を、基準室圧力データ点のセットPr1~Prnに基づいて計算し、このとき、圧力均等化期間全体にわたる制御室システム初期容積(Vdi)の最適化された測定値をもたらす時点(f)を選択することができる。
4)式7を用いて、Vdi1~Vdinの各々について、時点k=1~nに対する制御室圧力測定値Pdを用いてすべてのΔVdj,kを計算する。
Pr1に対応するVdiに対して、
ΔVd1,1=Vdi1*(-1+(Pd1/Pdi)-(1/γ))
ΔVd1,2=Vdi1*(-1+(Pd2/Pdi)-(1/γ))
ΔVd1,n=Vdi1*(-1+(Pdn/Pdi)-(1/γ))
Prnに対応するVdiに対して、
ΔVdn,l=Vdin*(-1+(Pd1/Pdi)-(1/γ))
ΔVdn,2=Vdin*(-1+(Pd2/Pdi)-(1/γ))
ΔVdn,n=Vdin*(-1+(Pdn/Pdi)-(1/γ))
5)ΔVrおよびΔVdj,kの絶対値間の二乗誤差和を取る。
[S1は、第1データ点Pr1を用いてVr1およびΔVrからVdi、すなわち、制御チャンバシステムの初期容積を求めるときの、均等化期間中のすべてのデータ点にわたって、|ΔVd|-|ΔVr|の二乗誤差和を表す。]
[S2は、第2データ点Pr2を用いてVr2およびΔVrからVdi、すなわち、制御室システムの初期容積を求めるときの、均等化期間中のすべてのデータ点にわたって、|ΔVr|-|ΔVd|の二乗誤差和を表す。]
6)次いであるテップ5から最小二乗誤差和S(または所望の閾値未満の値)を生成するPr1とPrnとの間のPrデータ点は、選択されたPrfとなり、そこから、Pdf、およびVdiの最適化された推定値、すなわち、制御室初期容積を求めることができる。この例では、Pdfが、Prfと同時にまたは略同時に発生する。
7)制御室容積の推定値が望まれるときにはいつでも、上記手続きを適用することができるが、好ましくは各充填ストローク終了および各供給ストローク終了に適用されることができる。充填ストロークの終了での最適化されたVdiと、対応する送達ストロークの終了での最適化されたVdiとの間の差を用いて、ポンプによって送達される液体の容積を推定することができる。
空気検出
本発明の別の態様は、ポンプ室181内の空気の存在と、存在する場合は、存在する空気の容積とを判断することを含む。こうした判断は、たとえば、カセット24から空気を除去するようにプライミング手順が適切に行なわれたことを確実にするのに役立ち、かつ/または、空気が患者に送達されないことを確実にするのに役立つために重要である可能性がある。いくつかの実施形態では、たとえば、ポンプ室181の底部の下部開口部187を通して患者に流体を送達するとき、ポンプ室に閉じ込められた空気または他の気体は、ポンプ室181内に残る傾向がある可能性があり、その気体の容積がポンプ室181の有効デッドスペースの容積よりも大きくない限り、患者に圧送されることが阻止される。後述するように、本発明の態様に従って、ポンプ室181に含まれる空気または他の気体の容積を求めることができ、気体の容積がポンプ室181の有効デッドスペースの容積よりも大きくなる前に、ポンプ室181から気体をパージすることができる。
ポンプ室181内の空気の量の判断は、充填ストロークの終了に行うことができ、したがって、圧送プロセスを中断することなく行なうことができる。たとえば、膜15およびポンプ制御領域1482がカセット24から引き離され、それにより、膜15/領域1482が制御室171の壁と接触することになる充填ストロークの終了では、弁X2を閉鎖することができ、たとえば、弁X3を開放することによって、基準室を大気圧に通気することができる。その後、弁X1およびX3を閉鎖することができ、弁X2において仮想「ピストン」が固定される。次いで、弁X2を開放することができ、制御室の容積を求めるように圧力測定を行なう場合に上述したように、制御室および基準室内の圧力を均等化することができる。
ポンプ室181内に気泡がない場合、基準室システムの既知の初期容積と基準室の初期圧力とを使用して求められた、基準室の容積の変化、すなわち、仮想「ピストン」の移動による変化は、制御室システムの既知の初期容積と制御室内の初期圧力とを用いて求められた制御室の容積の変化と等しくなる。(制御室の初期容積は、膜15/制御領域1482が制御室の壁と接触しているか、または、ポンプ室181のスペーサ要素50と接触している状態で既知であり得る。)しかしながら、ポンプ室181内に空気が存在する場合、制御室の容積の変化は、実際には、制御室容積とポンプ室181内の気泡との間で分散される。その結果、制御室システムの既知の初期容積を用いる、計算された制御室に対する容積の変化は、基準室に対する計算された容積の変化と等しくはならず、したがって、ポンプ室内の空気の存在が通知される。
ポンプ室181内に空気がある場合、制御室システムの初期容積Vdiは、実際には、式9に示すように、制御室ならびにラインL0およびL1の容積の和(Vdfixと呼ぶ)+ポンプ室181内の気泡の初期容積(Vbiと呼ぶ)に等しい。
Vdi=Vbi+Vdfix(9)
充填ストロークの終了において膜15/制御領域1482が制御室の壁に対して
押圧された状態で、たとえば、制御室壁の溝または他の特徴の存在、ならびに、ラインL0およびL1の容積(合わせてVdfix)による、制御室内の任意の空気空間の容積は、きわめて正確に知ることができる。(同様に、膜15/制御領域1482がポンプ室181のスペーサ要素50に対して押圧された状態で、制御室ならびにラインL0およびL1の容積を正確に知ることができる)。充填ストロークの後、制御室システムの容積は、正圧の制御室プリチャージを用いて試験される。この試験された容積と充填ストロークの終了での試験された容積との間のいかなる相違も、ポンプ室内の空気の容積を示すことができる。式9から式7に代入して、制御室の容積の変化ΔVdが、以下の式によって与えられる。
ΔVd=(Vbi+Vdfix)(-1+(Pdf/Pdi)-(1/γ))(10)
ΔVrは式6から計算することができ、式5から、ΔVr=(-1)ΔVdであること
が分かるため、式10は、以下のように書き換えることができる。
(-l)ΔVr=(Vbi+Vdfix)(-1+(Pdf/Pdi)-(1/γ))(11)
そして、再び、以下のように書き換えることができる。
Vbi=(-1)ΔVr/(-l+(Pdf/Pdi)-(1/γ))-Vdfix(12)
したがって、サイクラ14は、式12を用いて、ポンプ室181内に空気があるか否か、かつ泡のおよその容積を求めることができる。この気泡容積の計算は、たとえば、(式6から求められるような)ΔVrおよび(Vdi=Vdfixを用いて式7から求められるような)ΔVdの絶対値が、互いに等しくないことが分かった場合に、行なうことができる。すなわち、ポンプ室181内に空気が存在しない場合、VdiはVdfixと等しくなるべきであり、したがって、Vdiの代わりにVdfixを用いて式7から与えられるΔVdの絶対値は、ΔVrと等しくなる。
充填ストロークが完了した後、かつ、上述した方法にしたがって空気が検出される場合、空気が膜15のポンプ室側に位置しているかまたは制御側に位置しているかを判断するのは困難である可能性がある。圧送されている液体中に気泡が存在する可能性があり、または、不完全なポンプストロークおよび不完全なポンプ室の充填をもたらした圧送中の状態(たとえば、閉塞等)により、ポンプダイヤフラム15の制御(空気圧)側に残留空気がある可能性がある。この時点で、負圧のポンプ室プリチャージを用いる断熱FMS測定を行うことができる。このFMS容積が正圧のプリチャージを伴うFMS容積と一致する場合、膜は、両方向に自由に移動することができ、それは、ポンプ室が(場合によっては、たとえば閉塞により)単に部分的に充填されていることを示唆する。膜15/領域1482が制御室の内壁に接触したときに、負圧のポンプ室プリチャージFMS容積の値が名目制御室空気容積と等しい場合、可撓性膜のポンプ室側の流体中に気泡があると断定することが可能である。
ポンプ送達容積測定のためのポリトロープFMS
本開示の別の態様では、図1Aのサイクラ14は、流量計、重量計、または流体の容積もしくは重量の他の直接的な測定法を使用することなく、システム10のさまざまなラインにおいて送達される流体の容積を求めることができる。たとえば、一実施形態では、カセット24を含む空気圧駆動式ダイヤフラムポンプ等のダイヤフラムポンプによって移動する流体の容積は、ポンプを駆動するために使用される気体の圧力測定値に基づいて求めることができる。
一実施形態では、容積の確定は、本明細書では2チャンバ流体測定システム(2チャンバFMS)プロセスと呼ぶプロセスによって達成される。ダイヤフラムポンプによって圧送される流体の容積は、ダイヤフラムの一方の側における空気圧チャンバの容積の変化から計算することができる。空気圧チャンバの容積は、各充填ストロークおよび送達ストロークの終了時に測定することができ、後続する測定値の間の容積の差が、ポンプによって移動する流体の容積である。
空気圧チャンバまたは第1チャンバの容積は、ダイヤフラムポンプ内外の液体弁を閉鎖することと、既知の容積の第2チャンバ(基準室)から第1チャンバを隔離することと、第1チャンバを第1圧力にプリチャージする一方で、第2チャンバを第2圧力にプリチャージし、その後、2つのチャンバを流体的に接続することと、圧力が均等化する際に各チャンバ内の少なくとも初期圧力および最終圧力を記録することとを含む、2チャンバFMSプロセスによって測定される。第1チャンバの容積は、少なくとも初期圧力および最終圧力と第2チャンバの既知の容積とから計算することができる。
第1チャンバが、第2チャンバ内の圧力を上回る圧力にプリチャージされる場合、2チャンバFMSプロセスは、正圧FMSまたは+FMSと呼ばれる。第1チャンバが、第2チャンバ内の圧力を下回る圧力にプリチャージされる場合、2チャンバFMSプロセスは、負圧FMSまたは-FMSと呼ばれる。ここで図45を参照すると、第1チャンバは制御室6171であり、第2チャンバは基準室6212である。
第1チャンバ容積を計算するアルゴリズムの形式は、第1チャンバおよび第2チャンバと2つのチャンバを接続する流体ラインとの熱伝達特性によって決まる可能性がある。均等化中の構造と気体との間の熱伝達量は、均等化中およびその後の第1チャンバ内および第2チャンバ内両方の圧力に影響を与える。均等化中、圧力が高い方のチャンバ内の気体は、他方のチャンバに向かって膨張する。この膨張気体は、より低い温度まで温度が低下し、したがってより低い圧力になる。膨張気体の温度低下および圧力の喪失は、より高温の構造からの熱伝達によって減速されるかまたは低減する可能性がある。同時に、最初は低圧であるチャンバ内の気体は、均等化中に圧縮される。この圧縮気体の温度は、圧力とともに上昇する。圧縮気体の加熱および圧力の上昇は、より低温の構造からの熱伝達によって減速されるかまたは低減する可能性がある。
構造(チャンバ壁、チャンバ内の固体材料)と気体との間の熱伝達の相対的な重要性は、チャンバの平均水力直径、気体の熱拡散率、および均等化過程の持続時間の関数である。一例では、2つの容積は、膨張過程および圧縮過程を等温であるものとしてモデル化することができるように、圧力均等化中に各チャンバ内で気体温度が一定であるように十分な表面積および熱質量を提供する、フォームまたは他のマトリックス等の熱吸収材料で充填される。別の例では、2つのチャンバは、ごくわずかな熱伝達を提供するようなサイズおよび形状であり、そのため、膨張過程および圧縮過程は、断熱的であるものとしてモデル化することができる。別の例では、制御室6171の形状およびサイズは、測定毎に変化する。充填ストローク後の測定において、制御室6171が小さく、かつ気体のすべてがチャンバ壁6170または膜6148の比較的近くである場合、気体と構造との間の熱伝達は著しい。送達ストロークの後の測定では、制御室6171は大きくかつ開放しており、そのため、気体の多くが、チャンバ壁6170またはダイヤフラム6148から比較的隔離され、気体への熱伝達はごくわずかである。部分ストロークの後の測定では、構造と気体との間の熱伝達は著しいが、一定温度を確実にするほど十分ではない。これらのすべての測定において、膨張過程および圧縮過程は、ポリトロープとしてモデル化することができ、熱伝達の相対的な重要性は、測定毎に変化する可能性がある。ポリトロープモデルは、すべての幾何学的形状に対して均等化プロセスを正確にモデル化し、第1チャンバおよび第2チャンバ内の異なるレベルの熱伝達の影響を取り込むことができる。均等化プロセスのより詳細なモデルは、第2チャンバの圧力および容積の知識から第1チャンバの容積をより正確に求める。
このセクションは、ポリトロープ2チャンバFMSプロセスに対して第1チャンバ6171の容積を計算するアルゴリズムについて記載する。第1サブセクションは、容積、圧力源、弁および圧力センサの例示的な配置に対して2容積FMSまたは2チャンバFMSプロセスについて記載する。次のサブセクションは、+FMSプロセスからのデータに対するポリトロープFMSアルゴリズムについて概念的に記載し、その後、圧力データから第1容積を計算する正確な式を提示する。次のサブセクションは、-FMSプロセスからのデータに対するポリトロープFMSアルゴリズムの概念および式を提示する。最後のサブセクションは、いずれかの式のセットを用いて第1チャンバ6171の容積を計算するプロセスを提示する。
記載されているモデルは、空気圧作動式ダイヤフラムポンプを用いる任意のシステムまたは装置に適用することができる。システムの構成要素は、流体源または流体宛先のいずれかへの弁付き接続部を備えた少なくとも1つのチャンバ入口または出口を有するダイヤフラムポンプと、流体送達または充填のためにポンプ室に正圧または負圧を提供する、ダイヤフラムによってポンプ室から分離された空気圧制御室であって、既知の容積の基準室と正圧源または負圧源とに対する弁付き接続部を有する空気圧制御室とを含み、コントローラが、システムの弁を制御し、制御室および基準室内の空気圧をモニタリングする。図45に、システムの例を概略的に示すが、入口、出口、ならびに流体および空気圧導管および弁の具体的な構成は、この例示から幾分か変更することができる。以下の記述は、例として腹膜透析サイクラおよびポンプカセットを用いるが、本発明は、この特定の適用に決して限定されない。
2チャンバFMSプロセス用のハードウェア
ここで図45を参照すると、図45は、2チャンバFMSプロセスに関与するサイクラおよびカセット624の要素を概略的に提示する。カセット624は、2つの液体弁6190、6192を含み、それらは、液体供給源6193および液体出口6191に流体的に接続されている。カセット624は、可変液体容積ポンプ室6181が、制御室6171から可撓性膜6148によって分離されている、ダイヤフラムポンプを含む。制御室6171の容積は、膜6148およびチャンバ壁6170によって画定される。制御室6171は、上述した未知の容積の第1チャンバである。
制御ライン6205もまた接続弁6214に通じ、接続弁6214は、基準ライン6207および基準室6212(たとえば、後述する測定を行うように好適に構成された空間)と連通する。基準室6212は、上述した既知の容積を有する第2チャンバである。基準室6212はまた、大気圧への通気孔6226に通じる第2弁6216を有する出口ライン6208と連通する。別の例では、通気孔6226は、1つまたは複数の空気圧ポンプ、圧力センサおよびコントローラによって所望の圧力に制御されるリザーバであり得る。弁6220、6214および6216は、コントローラ61100によって独立して制御することができる。
圧力源6210は、ライン6209および6205を介して制御室6171に選択的に接続される。圧力源6210は、1つまたは複数の空気圧ポンプによって、指定された異なる圧力に保持される、1つまたは複数の別個のリザーバを含むことができる。各空気圧ポンプは、コントローラ61100により、圧力センサによって測定される各リザーバ内の指定された圧力を維持するように制御することができる。第1弁6220が、圧力源6210と制御室6171との間の流体接続を制御することができる。コントローラ61100は、圧力源6210におけるリザーバのうちの1つをライン6209に選択的に接続して、圧力センサ6222によって測定される制御室内の圧力を制御することができる。いくつかの例では、コントローラ1100は、APDサイクラにおけるより大きい制御システムの一部であり得る。
制御室6171は、ライン6204を介して制御圧力センサ6222に接続されている。ライン6203を介して基準室6212に、基準圧力センサ6224を接続することができる。圧力センサ6222、6224は、日本国のフリースケールセミコンダクタ(FreescaleSemiconductors)製のMPXH6250A等、絶対圧力を測定する電気機械圧力センサであり得る。制御圧力センサ6222および基準圧力センサ6224は、コントローラ61100に接続されており、コントローラ61100は、後続する容積計算のために制御圧力および基準圧力を記録する。別法として、圧力センサ6222、6224は、周囲圧力に対する制御室および基準室内の圧力を測定する相対圧力センサである場合があり、コントローラ61100は、周囲圧力を測定する絶対圧力センサを含むことができる。コントローラ61100は、センサ6222、6224および絶対周囲圧力センサからの相対圧力信号を結合して、制御室6171および基準室6212内の絶対圧力をそれぞれ計算することができる。
2チャンバFMSプロセスを実行し、制御室6171内および基準室6212内の結果としての圧力を測定して、制御室6171の容積を計算するように、コントローラ61100によって、図45に示すFMSハードウェアの弁および他の構成要素を制御することができる。コントローラ61100は、単一のマイクロプロセッサまたは複数のプロセッサであり得る。一例では、圧力信号は、A-D基板によって受け取られ、61100コントローラに渡される前にバッファリングされる。別の例では、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が、コントローラ61100と弁およびセンサとの間のすべてのI/Oを処理することができる。別の例では、FPGAは、圧力データをフィルタリングし、格納し、かつ/または処理して、制御室の容積を計算することができる。
APDサイクラにおける2チャンバFMSプロセス
ここで図46における圧力対時間プロットと図45の要素とを参照する。例示的な圧送および測定プロセスが、時間に対する制御室圧力6300および基準室圧力6302のプロットに記載されている。上述したように、入口弁6192を閉鎖し出口弁6190を開放した後、チャンバ圧力は、送達ストローク6330中に流体をポンプ室6181から押し出す正圧弁6305に対して制御される。送達ストローク6330の終了時、出口流体弁は閉鎖され、+FMSプロセスが発生して、制御室6171の容積を測定することができる。別の場所に記載するようなFMSプロセスは、制御室圧力6330をプリチャージ圧力6307にすることと、圧力安定化期間6338とそれに続く均等化プロセス6340を可能にすることから構成することができる。他の例では、制御室圧力6330を、プリチャージ圧力6307まで上昇する前に、略大気圧に戻すことができる。均等化プロセス6340の終了時、基準室圧力6302および場合によっては制御室圧力6300を略大気圧値に戻すことができる。
充填ストローク6320は、入口弁6192を開放した後に発生し、制御室圧力6300を負圧6310にし、一方で、基準室は略大気圧、または測定された一定圧力のままである。負圧は、流体をポンプ室6181内に引き込む。充填ストローク6320の終了時、入口弁6192が閉鎖され、+FMSプロセスが発生して、制御室6171の容積を求めることができる。いくつかの実施形態では、+FMSプロセスの後に-FMSプロセスが発生することができる。-FMSプロセスは、制御室を負圧6317にプリチャージして、圧力安定化6342および最終的に均等化プロセス6345を可能にすることを含むことができる。-FMSプロセスから求められる制御室容積を、+FMSプロセスから求められる制御室容積と比較して、ポンプ室6181内に、ある容積の空気または気体があるか否かを判断することができる。(たとえば、ポンプ室が、ポンプ室剛性壁の上のリブまたはスタンドオフを備えるエアトラップを含む場合、空気は、スタンドオフの間に蓄積する可能性があり、完全可動域にあるダイヤフラムは、スタンドオフによって圧縮することを防止することができ、空気は、+FMSプロセスのみでは検出することができない。)一例では、-FMSプロセスは、送達ストローク6330の後に発生する。
図47のフローチャート、図46の要素、および図48A、図48Bの圧力対時間プロットを参照することにより、+FMSプロセスおよび-FMSプロセスについてより詳細に記載する。2チャンバFMSプロセスは、ステップ6410で開始し、そこでは、膜6148の位置が固定される。両液圧弁6190、6192を閉鎖することにより、膜6148の位置を固定することができる。いくつかの例では、液体に気泡が存在する場合、制御室圧力が変化する際に、膜6148の位置は変化する。しかしながら、液圧弁6190、6192の間の非圧縮液体の容積は固定である。2チャンバFMSプロセスは、概して、膜6148の両側の空気または気体の容積を測定し、そのため、膜6148の液体側におけるポンプ室6181内の気泡は、制御室6171の測定された容積内に含まれる。
ステップ6412において、制御室6171は、接続弁6214を閉鎖することにより、基準室6212から流体的に隔離される。そして、ステップ6412において、基準室6212および制御室6171は、互いに流体的に隔離される。実施形態では、ステップ6424において、第2弁6216を開放することにより、基準室6212は通気孔6226に接続される。コントローラ61100は、基準圧力センサ6224が、基準圧力が周囲圧力に達したことを示すまで、第2弁6216を開放したまま保持する。別法として、コントローラ61100は、基準圧力センサ6224によって測定される、基準室6212内の所望の初期基準圧力に達成するように、第2弁6216を制御することができる。別法として、接続弁6214を閉鎖することができ、FMSプロセスが開始する前に、第2弁6216が開放する。ステップ6428において、基準室6212内の所望の圧力が達成されると、第2弁6216は閉鎖され、それにより、基準室6212が流体的に隔離される。制御室ステップ6414および6418と同時に発生するように、基準室ステップ6424および6428をプログラムすることができる。
ステップ6414において、制御室6171は、第1弁6220を開放することにより制御室6171を圧力源6210に接続することによって、所望の圧力に加圧される。コントローラ61100は、圧力センサ6222によって制御室6171内の圧力をモニタリングし、所望のプリチャージ圧力に達するように第1弁6220を制御する。所望のプリチャージ圧力は、基準室6212の初期基準圧力を著しく上回るか、または初期基準圧力を著しく下回ることができる。一例では、制御室6171は、+FMSプロセスの場合、基準圧力のおよそ40kPa上回る圧力までプリチャージされる。別の例では、制御室6171は、-FMSプロセスの場合、基準圧力をおよそ40kPa下回る圧力までプリチャージされる。他の実施形態では、プリチャージ圧力は、初期基準圧力の10%~180%の範囲内の任意の圧力であり得る。
コントローラ61100は、ステップ6418において第1弁6220を閉鎖し、圧力センサ6222によって制御室6171内の圧力をモニタリングする。制御室6171内の圧力は、ステップ6418の間、気体が制御室壁6170および膜6148と熱的に均等化するために、周囲圧力に向かって移動することができる。ステップ6418中の圧力の大きい変化は、測定を無効にする空気または液体の漏れを示す場合がある。圧力変化の速度が所定の許容可能な速度を超える場合、2チャンバFMSプロセスを中止することができ、または制御室6171の計算された容積を廃棄することができる。加圧ステップ6414からの遅延の後に、圧力変化の速度を検査して、制御室6171内の気体が制御室6171の境界6172、6148との熱平衡に近づくのを可能にすることができる。一例では、ステップ6418中の圧力変化の最大許容可能速度は、12kPA/秒である。圧力変化の速度がこの所定値を超える場合、2チャンバFMSプロセスを中止して再開することができる。別の実施形態では、圧力変化の最大許容可能速度は、計算された制御室容積の関数であり、すなわち、それに基づいて変化する。一例では、最大許容圧力変化は、25ml容積の場合は3kPA/秒、2ml容積の場合は25kPA/秒である。一例では、制御室6171の計算された容積にもたらされる漏れ速度に関わらず、FMSプロセスを完了するように行うことができる。圧力変化の測定された速度が、計算された制御室容積に対する許容可能限界を超える場合、計算された容積を廃棄することができ、FMSプロセスを再開することができる。
ステップ6432において、コントローラ61100が、2つのチャンバ間の接続弁6214を開放すると、制御室6171および基準室6212は流体的に接続される。コントローラ61100は、制御室6171および基準室6212内の圧力が均等化する際、圧力センサ6222、6224によって、各チャンバ内の圧力をモニタリングする。コントローラ61100は、ステップ6432において、初期圧力対と均等化の最後における少なくとも1つの圧力対とを記録することができる。圧力対は、およそ同時に記録された、制御圧力センサ6222からの信号と、基準圧力センサ6224からの信号とを指す。ステップ6432は、接続弁6214が開放する直線の期間から、制御室6171および基準室6212内の圧力が略等しい時点までおよぶ。
ステップ6436において、2チャンバFMSプロセスは完了し、そこで、記録された圧力の対を用いて、制御室6171の容積が計算される。制御室6171容積の計算については詳細に後述する。
+FMSプロセスは、図48Aにおいて圧力対時間プロットとして概略されている。図47におけるステップの参照番号に対応する参照番号が、図48Aにおいてそれらのステップが示される場所を示すために含まれている。制御室6171の圧力は、線6302としてプロットされている。基準室の圧力は、線6304としてプロットされている。図47のステップ6410、6412、6424、6428が完了した後に、圧力対時間プロットが開始する。この時点で、基準室6212内の圧力は、所望の基準圧力6312にある。制御室6171内の圧力は、任意圧力6306で開始し、ステップ6414の間、プリチャージ圧力6316まで上昇する。任意圧力6306は、先の圧送動作の終了時の制御室6171の圧力である可能性がある。別の実施形態では、任意圧力6306は大気圧であり得る。ステップ6418の間、制御室圧力6302は低下する可能性がある。ステップ6432において、制御室圧力6302および基準室圧力6304は、平衡圧力6324に向かって均等化する。
-FMSプロセスは、図48Bにおいて圧力対時間プロットとして概略されている。制御室6171(図45)の圧力は、線6302としてプロットされている。基準室6312(図45)の圧力は、線6304としてプロットされている。水平時間軸は、図47における同じ参照番号で識別されるプロセスステップに対応する期間で分割されている。圧力対時間プロットは、基準室6212内の圧力(線6302が所望の基準圧力6312であり、制御室6171内の圧力(線6304)が任意圧力であるときに開始する。ステップ6414の間、制御室圧力6302は、負のプリチャージ圧力6317まで低下する。制御室圧力6302は、ステップ6418の間、ステップ6414の急な膨張によって冷却される気体が制御室壁6172、6148によって加熱される際に、上昇する可能性がある。ステップ6432において、制御室圧力6302および基準室圧力6304は、平衡圧力6324に向かって均等化する。
ポリトロープ+FMSアルゴリズム
ここで図45を参照すると、例示の目的で、均等化プロセスは、3つの別個の構造、すなわち制御室6171、基準室6212、および2つのチャンバ6171、6212を接続するマニホールド通路6204、6205、6207、6209の流体容積を含む。一例では、各構造は、著しく異なる水力直径を有し、したがって、構造と気体との間の異なるレベルの熱伝達を有する。この例では、基準室6212は、水力直径が3.3cmであるおよそ立方形状を有している。およそ30マイクロ秒の均等化プロセス中の熱伝達は極めてわずかであり、基準室6212容積内の気体は、断熱的に圧縮される可能性があり、そのようにモデル化することができる。対照的に、例示的な構造では、マニホールド通路6204、6205、6207、6209は、およそ0.2cmの水力直径を有し、それは、基準室6212容積の水力直径の約15分の1である。マニホールド通路6204、6205、6207、6209内の熱伝達は高く、これらの通路6204、6205、6207、6209を通過する気体は、およそマニホールド壁の温度で等温的に圧縮または膨張する可能性がより高い。この例での制御室6171の水力直径は、充填ストロークの終了時にポンプ室6181が液体で満杯であり、かつ制御室6171が最小容積であるとき、およそ0.1cmの最小の値を有する。この例での制御室6171の水力直径は、ポンプ室6181が液体を送達し、制御室6171が最大容積であるとき、およそ2.8cmの最大値を有する。制御室6171内の気体の膨張は、制御室6171のサイズによって変化するポリトロープ係数によってより適切にモデル化することができる。制御室6171容積が最小であり、かつ膨張過程が略等温的となる場合、ポリトロープ係数はおよそ1に設定することができる。制御室6171が最大であり、かつ膨張過程が略断熱的である場合、ポリトロープ係数は、およそ比熱比(cp/cv)に設定することができ、それは、空気の場合は1.4に等しい。部分ストローク時の2チャンバFMS測定の場合、膨張過程は、著しい熱伝達をともなって発生するが、それは等温的であるほど十分ではない。部分ストローク時の測定の場合、ポリトロープ係数は、1~1.4の値に設定することができる。制御室6171の容積がこの解析の未知の量であるため、制御室6171に対するポリトロープ係数は、制御室6171容積の推定値に基づくことができる。
ここで図49Aを参照すると、制御室6510、基準室6520およびマニホールドライン6530、6531の構造内の気体は、構造6510、6520、6530、6531を通して混合しないが、膨張し、収縮しかつ移動する3つの気体質量6512、6532、6522としてモデル化することができる。概念的に、モデル化の目的で、これらの質量6512、6532、6522は、各々、移動し、サイズを変更し、構造とエネルギーを交換することができる閉鎖系であるが、質量は、閉鎖系に入ることも閉鎖系から出ることもできない。閉鎖系モデルは、熱力学および流体力学において十分に理解される概念である。これらの質量はまた、制御室系5612、基準室系6522およびマニホールドまたは相互接続ライン系6532と呼ぶことも可能である。
3つの質量6512、6532、6522の熱力学的モデルに基づいて、測定された制御室6510および基準室6520の圧力から、制御室6510の容積を計算することができる。制御室質量または気体6512は、均等化プロセスの終了時に制御室6510を占有する気体である。基準室気体6522は、均等化プロセスの開始時に基準室6520を占有する気体である。マニホールド気体6532は、制御室気体と基準室との間の接続導管を含む、制御室気体6512と基準室気体6522との間の構造の平衡状態を満たす。
そして、3つの閉鎖系に対する初期状態、圧力対、熱伝達想定、および一定総容積の制約から、3つの閉鎖系6512、6532、6522の容積および温度を計算することができる。圧力均等化は、各容積6510、6520、6530、6531に対する異なるポリトロープ係数を用いて、各々における熱伝達の相対的重要性を取り込むことによってモデル化することができる。3つの系6512、6532、6522に対する理想気体およびポリトロープ過程式を結合し配列して、制御室6510の容積を計算することができる。以下の段落は、FMSプロセスの圧力均等化ステップ(図47および図108Aの6432を参照)中に測定された圧力に基づく制御室6510容積の計算を可能にする式の1つまたは複数のセットの導出について記載する。
+FMSに対する閉鎖系の説明
図49Aにおける上方の像は、+FMSプロセスにおける圧力均等化の開始時の3つの閉鎖系6512、6532、6522の位置を提示する。下方の像は、圧力均等化の終了時の3つの閉鎖系6512、6532、6522の位置を提示する。均等化プロセス中、閉鎖系6512、6532、6522の位置は、図49Aに提示する2つの極値の間にある。例として、制御室系6512および基準室系6522のいずれも、それらのそれぞれの構造を満たさない。以下の段落は、閉鎖系6512、6532、6522をより詳細に提示する。
制御室気体系6512は、圧力均等化後に制御室6510を充填する気体である。圧力均等化の前、制御室気体系6512は、最終均等化圧力より高く、したがって制御室6510全体を占有しない、プリチャージ圧力に圧縮される。制御室気体系6512は、+FMSプロセスの圧力均等化の間、ポリトロープ過程において膨張しているものとしてモデル化することができ、そこでは、圧力および容積は、以下の式によって関連づけられる。
pfVcc
nCC=定数
式中、pfは均等化圧力であり、Vccは制御室6510の容積であり、nCCは制御室6510に対するポリトロープ係数である。
基準気体系6522は、均等化前の基準容積6520全体を占有する気体である。基準気体系6522は、制御室6510内のより高い圧力の気体が膨張し、マニホールド気体系6532を基準室6520内に押し込む際に、圧縮される。図36に示す一例では、(図36において174として示す)基準室は、圧力均等化の間の圧縮過程または膨張過程を断熱的としてモデル化することができるように十分に開放しているかまたは内部特徴/要素がない。この場合、ポリトロープ係数(n)は、およそチャンバ内に存在する気体の比熱比に等しく設定することができる。基準室気体6522の圧力および容積は、以下の式によって関連づけられる。
pR0VRef
nR=定数
式中、pR0は初期基準圧力であり、VRefは基準室の容積であり、nRは、基準室内の気体に対する比熱比である(nR=1.4空気)。別の例では、チャンバ6520が、近等温膨張を提供する、連続気泡フォーム、ワイヤメッシュ、粒子等の熱吸収材料で少なくとも部分的に充填されている場合、基準室に対するポリトロープ係数(nR)は、およそ1.0の値を有する可能性がある。
+FMSプロセスでは、導管またはマニホールド気体系6532は、均等化の前に、相互接続容積6530、6531および制御室6510の一部6534の容積すべてを占有する。均等化後、導管気体系6532は、相互接続容積6530、6531および基準容積6520の一部を占有する。相互接続容積6530の弁6540の制御室側に存在する導管気体系6532の部分には、本明細書では、6533と表記されている。相互接続容積6531の弁6540の基準室側に存在する導管気体系6532の部分は、6535と称する。均等化前に制御室6510内に存在する導管気体系6532の部分には、本明細書では、6534と表記されている。均等化後に基準室6520内に存在する導管気体系6532の部分は、6536と称する。
一例では、相互接続容積6530および6531は、狭い通路である可能性があり、それは、高い熱伝達を提供し、かつ容積6530および6531内の導管気体系6532が通路の固体の境界または壁の温度に近いことを確実にする。相互接続容積6530、6531またはマニホールド通路を包囲する構造の温度は、本明細書では壁温度(Tw)と呼ぶ。別の例では、容積6530、6531内の導管気体系6532の温度は、一部には、壁温度の関数である。制御室6534内の導管またはマニホールド気体系の部分は、制御室気体系6512と同じ温度でモデル化することができる。導管気体系6534の制御室部分は、制御室気体系6512と同じように膨張し、制御室気体系6512と同じ温度を有するものと考えることができる。基準室6536内のラインまたはマニホールド気体系の部分は、一部には壁温度の関数である温度によってモデル化することができる。別の例では、導管気体系6536の基準室部分は、基準室6520の境界と熱的に相互作用しないものとしてモデル化することができ、それにより、導管気体系部分6536の温度は、壁温度および基準室6520圧力の関数である。
このセクションにおける式は、以下の命名法を使用する。
変数
γ:比熱比
n:ポリトロープ係数
p:圧力
V:容積
T:温度
上付き文字:
n:ポリトロープ係数
nCC:制御室に対するポリトロープ係数
nR:基準室に対するポリトロープ係数
下付き文字:
c:制御室系
CC:物理的制御室
f:均等化の終了時の値
i:i番目の値
IC:物理的相互接続容積またはマニホールド通路
IC_R:弁の基準室側における物理的相互接続容積
IC_CC:弁の制御室側における物理的相互接続容積
l:ラインまたは相互接続/マニホールド系
0:均等化の開始時の値
pmp:ポンプ
r:基準系
Ref:物理的基準室
w:相互接続容積の壁
制御室6510に対する式は、図49Aにおける3つの別個の質量系の概念的モデルから、制御室質量6510、基準室質量6520および相互接続容積質量6530、6531の総容積が一定であると理解することにより、導出することができる。この関係は、以下のように、圧力均等化の開始から終了まで各i番目の値のセットに対してゼロである各閉鎖系6512、6522、6532の容積変化の和として表すことができる。
0=制御室質量の容積変化+相互接続質量の容積変化+基準室質量の容積変化
0=ΔVci+ΔVri+ΔVli(13)
式中、ΔVci、ΔVri、ΔVliのi番目の値は、同じ時点におけるこれらの値を表す。ポリトロープ過程および理想気体の法則の圧力/容積関係に基づいて、制御室気体系の容積変化(ΔVci)、基準気体系の容積変化(ΔVri)および導管気体系の容積変化(ΔVli)に対して、式を展開することができる。制御室気体系6512のi番目の容積変化に対する式は、制御室質量6512のi番目の容積から均等化の開始時における制御室質量6512の容積を減じた値に等しい。時点iにおける制御室質量6512の容積は、以下のように、制御室6510の容積に、時点iにおける制御室6510圧力に対する最終制御室6510圧力の比を1/制御室6510のポリトロープ係数で累乗した値を乗じることから計算される。
制御室質量の現容積変化=制御室質量の現容積-制御室質量の初期容積
基準気体系容積変化(ΔVr)に対する式は、ポリトロープ過程に対する圧力/容積関係から導出される。基準室気体系6522のi番目の質量変化に対する式は、基準室質量6522のi番目の容積から均等化の開始時の基準室質量6522の容積を減じた値に等しい。時点iにおける基準室質量6520の容積は、以下のように、基準室6520の構造上の容積に、時点iにおける基準室6520圧力に対する初期基準室6520圧力の比を1/基準室6520のポリトロープ係数で累乗した値を乗じることから計算される。
基準室質量の現容積変化=基準室質量の現容積-基準室質量の初期容積
相互接続気体系6532の容積変化(ΔVl)に対する式は、系の一定質量気体から導出される(V*ρ=一定)。導管気体系6532のi番目の容積変化に対する式は、系の現質量から相互接続気体系6532の最初の容積を減じた値に等しい。相互接続またはライン気体系6532の現容積は、初期質量に、系の現密度に対する初期密度の比を乗じたものである。相互接続気体系6532の初期容積は、以下のように、図49Aの上方の像に描かれている容積6534、6533および6535の和である。
相互接続質量の現容積変化=相互接続質量の現容積+相互接続質量の初期容積
密度項ρl0、ρliは、均等化の開始時および均等化の間のいずれかの時点iでの導管気体系における気体の平均密度である。導管気体系6532は、異なる温度および圧力としての気体を含む。導管気体系6532は、6534と表記されている容積内の制御室6510内の容積内の気体と、6533と表記されている弁6540の制御室側のマニホールド通路内の気体と、6535と表記されている弁6540の基準室側におけるマニホールド通路内の気体と、6536と表記されている基準室内の気体とを含む。
これらの4つの式を結合して、以下のように、圧力均等化の開始時における測定された圧力の対(PCC0、PRef0)と、均等化中の任意の時点での測定された圧力の対(PCCi,PRefi)と、均等化のおよそ終了時における制御室6510圧力(PCCf)と、基準室の一定容積(VRef)および相互接続容積(VIC)との関数として、制御室6510の容積(VCC)に対する式を展開することができる。
式中、マニホールドまたはライン系6532の密度(ρl0、ρli)は、後述するように関連する温度とともに、初期圧力対(PCC0、PRef0)および均等化中の任意の圧力対(PCCi,PRefi)を用いて評価される。
式(16)における導管気体系の密度(ρl0、ρli)は、各物理的容積(すなわち、制御室6510、基準室6520および相互接続容積6530、6531)に対して容積-加重平均密度から計算することができる。
式中、Rは空気に対する普遍気体定数であり、温度TIC_CC、TIC_R、Tlrは、一部には、相互接続容積壁の温度の関数であり得る。別の例では、温度TIC_CC、TIC_R、Tlrは、一部には相互接続容積壁の温度および制御室の気体温度(TCCi)の関数であり得る。別の例では、温度TIC_CC、TIC_R、Tlrは、相互接続壁温度(Tw)であり得る。別の例では、温度は、制御室温度(TCCi)であり得る。ΔVriの値は、式(14)から計算される。ΔVcf-ΔVciの値は、6534の容積であり、以下のように計算される。
圧力均等化の前の導管気体系6532の密度は、各物理的容積(すなわち、制御室6510および相互接続容積6530、6531)に対する容積-加重平均密度である(18)と同様の式から計算することができる。
式(18)で使用された制御室気体系容積の変化(ΔVcf)は、以下のように、制御室6510の物理的容積に、量1から、初期制御室圧力に対する最終制御室圧力の比に1/制御室のポリトロープ係数を乗算した値を減じた値を乗じることから計算される。
密度比(ρl0/ρlf)が圧力比(Pl0/Plf)に等しいように、導管気体系6532に対する一定温度を想定することにより、制御室6510容積の推定値を導出することができる。推定をさらに簡略化するために、ポリトロープ係数の代わりに、比熱比γ)が用いられる。このより簡略化した式では、制御室6510容積は、圧力均等化の開始時の測定された圧力対(PCC0、PRef0)および均等化の終了時の測定された圧力対(PCCf、PReff)と、基準室の一定容積(VRef)および相互接続容積(VIC)との関数である。
3つの閉鎖系6512、6522、6532内の気体は、理想気体としてモデル化することができ、そのため、以下のように、初期状態および新たな圧力または容積から温度を求めることができる。
制御室内の気体の初期温度(TCC0)は、相互接続容積壁の温度と、プリチャージ圧力6316(図108A)と、プリチャージの直前の制御室6510内の圧力6306とから計算することができる。制御容積内の気体のプリチャージ圧力への圧縮は、ポリトロープ過程としてかつ式(23)における理想気体の法則を用いてモデル化することができる。プリチャージの前の制御室6510圧力6306は、本明細書では圧送圧力(Ppmp)と呼ぶ。
膨張中の第iステップにおける制御室6510内の気体の温度(TCCi)は、以下のように、式(23)を用いて、初期制御室6510温度と、プリチャージ圧力6316(図108A)と、i番目の制御室6510圧力(PCCi)とから計算することができる。
式14、17、19、21、25で使用される制御室気体系に対するポリトロープ係数の値(nCC)は、制御室6510の容積によって変化し、小さい容積に対するおよそ1から大きい容積に対するおよそ比熱比までの範囲であり得る。空気および主に二原子分子の他の系に対する比熱比は、1.4である。一例では、(+FMSの場合の)nCCの値は、以下のように、推定された制御室容積(式22)の関数として表すことができる。
nCC=1.4-3.419×10-5(23.56-VCCEst)3.074(26)
制御室の容積(VCC)とポリトロープ係数(nCC)との関係を求める方法については、以下のセクションに記載する。
ポリトロープ-FMSアルゴリズム
上述した+FMSアルゴリズムに類似する-FMSアルゴリズムを展開して、図45における制御室6171の容積を-FMSプロセスに対する制御室6171および基準室6212の圧力から計算することができる。-FMSプロセスでは、第1チャンバ(たとえば、6171)は、既知の第2チャンバ(たとえば、6212)より低い圧力にプリチャージされる。
ここで図49Bを参照すると、制御室6510、基準室6520およびマニホールドライン6530、6531の構造内の気体は、構造6510、6520、6530、6531を通して混合しないが、膨張し、収縮しかつ移動する3つの気体質量6512、6532、6522としてモデル化することができる。3つの質量6512、6522、6532の熱力学的モデルに基づいて、測定された制御室6510および基準室6520の圧力から、制御室6510の容積を計算することができる。-FMSアルゴリズムでは、制御室質量6512は、均等化プロセスの開始時に制御室6510を占有する気体である。基準室質量6522は、均等化プロセスの終了時に基準室6520を占有する気体である。マニホールド気体6532は、制御室と基準室との間の接続導管を含む、制御室気体6512と基準室気体6522との間の構造の平衡状態を満たす。
そして、3つの概念的閉鎖系6512、6532、6522の容積および温度を、3つの閉鎖系6512、6532、6522に対する初期状態、圧力対、熱伝達想定および一定総容積の制約から計算することができる。圧力均等化は、各容積6510、6520、6530、6531に対する異なるポリトロープ係数を用いて、各々における熱伝達の相対的重要性を取り込むことによってモデル化することができる。3つの系6512、6522、6532に対する恒量、理想気体およびポリトロープ過程式を結合し配列して、制御室6510の容積を計算することができる。以下の段落は、-FMSプロセスの圧力均等化ステップ中に測定された圧力に基づく制御室6510容積の計算を可能にする式の1つまたは複数のセットの導出について記載する。
-FMSに対する閉鎖系の説明
図49Bにおける上方の像は、-FMSプロセスにおける圧力均等化の開始時の3つの閉鎖系6512、6522、6532の位置を提示する。下方の像は、圧力均等化の終了時の3つの閉鎖系6512、6522、6532の位置を提示する。均等化プロセス中、閉鎖系6512、6522、6532の位置は、図49Bに提示する2つの極値の間にある。例として、制御室系6512および基準室系6522のいずれも、それらのそれぞれの構造を満たさない。以下の段落は、閉鎖系をより詳細に提示する。
-FMSアルゴリズムにおける制御室気体系6512は、圧力均等化前に制御室6510を充填する気体である。圧力均等化中、最初に高い方の圧力基準室気体系6522が、膨張し、マニホールド気体系6532を制御室6510内に押し込む際、制御室気体系6512は圧縮される。制御室気体系6512は、-FMSプロセスの圧力均等化中、ポリトロープ圧縮によってモデル化することができ、そこでは、圧力および容積は、以下の式によって関連づけられる。
p0Vcc
nCC=定数
式中、p0は制御室6510内の初期圧力であり、Vccは制御室6510の容積であり、nCCは制御室6510に対するポリトロープ係数である。
-FMSアルゴリズムにおける基準気体系6522は、均等化後の基準容積6520全体を占有する気体である。基準気体系6522は、均等化中、基準室6520内のより高い圧力の気体が、マニホールド気体系6532を基準室6520から押し出して制御室6510に向かわせる際、膨張する。図36に示す一例では、(図36において174と表記されている)基準室は、圧力均等化中の圧縮または膨張過程を断熱的としてモデル化することができるように十分に開放しているかまたは内部特徴/要素がなく、そのため、ポリトロープ係数(nR)は、およそチャンバ内に存在する気体の比熱比に等しく設定することができる。基準室気体6522の圧力および容積は、以下の式によって関連づけられる。
pR0VRef
nR=定数
式中、pR0は初期基準圧力であり、VRefは基準室の容積であり、nRは、基準室に対する比熱比である(nR=1.4空気)。別の例では、基準室6520が、近等温膨張を提供する、連続気泡フォーム、ワイヤメッシュ、粒子等の熱吸収材料で充填されている場合、基準室に対するポリトロープ係数(nR)は、およそ1.0の値を有する可能性がある。
-FMSプロセスでは、導管またはマニホールド気体系6532は、均等化の前に、相互接続容積6530、6531および基準室6520の一部6536の容積すべてを占有する。均等化後、導管気体系6532は、相互接続容積6530、6531および制御室6510の一部6534を占有する。相互接続容積6530の弁6540の制御室側に存在する導管気体系6532の部分には、本明細書では、6533と表記されている。相互接続容積6531の弁6540の基準室側に存在する導管気体系6532の部分は、6535と称する。制御室6510内に存在する導管気体系6532の部分には、本明細書では、6534と表記されている。基準室6520内に存在する導管気体系6532の部分は、6536と称する。
一例では、相互接続容積6530および6531は、狭い通路である可能性があり、それは、高い熱伝達を提供し、容積6530および6531内の導管気体系6532が通路の固体の境界または壁の温度に近いことを確実にする。相互接続容積6530、6531またはマニホールド通路を包囲する構造の温度は、本明細書では壁温度(Tw)と呼ぶ。別の例では、容積6530、6531内の導管気体系6532の温度は、一部には壁温度の関数である。制御室6534内の導管気体系の部分は、制御室気体系6512と同じ温度でモデル化することができる。導管気体系6534の制御室部分は、制御室気体系6512と同じように膨張し、制御室気体系6512と同じ温度を有するものと考えることができる。基準室6536内のラインまたはマニホールド気体系の部分は、一部には壁温度の関数である温度によってモデル化することができる。別の例では、導管気体系6536の基準室部分は、基準室6520の境界と熱的に相互作用しないものとしてモデル化することができ、それにより、基準室における導管気体系部分6536の温度は、壁温度および基準室6520圧力の関数である。
このセクションにおける式は、以下の命名法を使用する。
変数
γ:比熱比
n:ポリトロープ係数
p:圧力
V:容積
T:温度
上付き文字:
n:ポリトロープ係数
nCC:制御室に対するポリトロープ係数
nR:基準室に対するポリトロープ係数
下付き文字:
c:制御室系
CC:物理的制御室
f:均等化の終了時の値
i:i番目の値
IC:物理的相互接続容積またはマニホールド通路
IC_R:弁の基準室側における物理的相互接続容積
IC_CC:弁の制御室側における物理的相互接続容積
l:ラインまたはマニホールド/相互接続系
0:均等化の開始時の値
pmp:ポンプ
r:基準系
Ref:物理的基準室
w:相互接続容積の壁温度
制御室6510に対する式は、図49Bにおける3つの別個の質量系の概念的モデルから、制御室質量6512、基準室質量6522および相互接続容積質量6532の総容積が一定であると理解することにより、導出することができる。この関係は、以下のように、圧力均等化の開始から終了まで各i番目の値のセットに対してゼロである各閉鎖系6512、6522、6532の容積変化の和として表すことができる。
0=制御室質量の容積変化+相互接続質量の容積変化+基準室質量の容積変化
0=ΔVci+ΔVri+ΔVli(13)
式中、ΔVci、ΔVri、ΔVliのi番目の値は、同じ時点におけるこれらの値を表す。ポリトロープ過程および理想気体の法則の圧力/容積関係に基づいて、制御室気体系の容積変化(ΔVci)、基準気体系の容積変化(ΔVri)および導管気体系の容積変化(ΔVli)に対して、式を展開することができる。制御室気体系6512のi番目の容積変化に対する式は、制御室質量6512のi番目の容積から均等化の開始時における制御室質量6512の容積を減じた値に等しい。時点iにおける制御室質量6512の容積は、以下のように、制御室6510の容積に、時点iにおける制御室6510圧力に対する最終制御室6510圧力の比を1/制御室6510のポリトロープ係数で累乗した値を乗じることから計算される。
制御室質量の現容積変化=制御室質量の現容積-制御室質量の初期容積
基準気体系容積変化(ΔVr)に対する式は、ポリトロープ過程に対する圧力/容積関係から導出される。基準室気体系6522のi番目の質量変化に対する式は、基準室質量6522のi番目の容積から均等化の開始時の基準室質量6522の容積を減じた値に等しい。時点iにおける基準室質量6520の容積は、以下のように、基準室6520の構造上の容積に、時点iにおける基準室6520圧力に対する初期基準室6520圧力の比を1/基準室6520のポリトロープ係数で累乗した値を乗じることから計算される。
基準室質量の現容積変化=基準室質量の現容積+基準室質量の初期容積
相互接続気体系6532の容積変化(ΔVl)に対する式は、系の一定質量気体から導出される(V*ρ=一定)。導管またはマニホールド気体系6532のi番目の質量変化に対する式は、系6532の現質量から系6532の最初の質量を減じた値に等しい。相互接続またはマニホールド気体系6532の現質量は、初期質量に、系6532の現密度に対する初期密度の比を乗じたものである。相互接続気体系6532の初期容積は、以下のように、図49Bに描かれている容積6534、6533および6535の和である。
相互接続質量の現容積変化=相互接続質量の現容積+相互接続質量の初期容積
密度項ρl0、ρliは、均等化の開始時および均等化中のいずれかの時点iでの導管気体系における気体の平均密度である。導管気体系6532は、異なる温度および圧力としての気体を含む。導管気体系6532は、6534と表記されている容積内の制御室6510内の容積内の気体と、6533と表記されている弁6540の制御室側のマニホールド通路内の気体と、6535と表記されている弁6540の基準室側におけるマニホールド通路内の気体と、6536と表記されている基準室内の気体とを含む。
これらの4つの式を結合して、以下のように、圧力均等化の開始時における測定された圧力の対(PCC0、PRef0)と、均等化中の任意の時点での測定された圧力の対(PCCi,PRefi)と、均等化のおよそ終了時における基準室6520圧力(PReff)と、基準室の一定容積(VRef)および相互接続容積(VIC)との関数である、制御室6510の容積(VCC)に対する式を展開することができる。
式中、ライン系6532の密度(ρl0、ρli)は、後述するように関連する温度とともに、初期圧力対(PCC0、PRef0)および均等化中の任意の圧力対(PCCi,PRefi)を用いて評価される。
式(29)における導管気体系の密度(ρl0、ρli)は、各物理的容積(すなわち、制御室6510、基準室6520および相互接続容積6530、6531)に対して容積-加重平均密度から計算することができる。
式中、Rは空気に対する普遍気体定数であり、温度TIC_CC、TIC_R、TlCは、一部には相互接続容積壁の温度の関数であり得る。別の例では、温度TIC_CC、TIC_R、TlCrは、一部には相互接続容積壁の温度および基準室の気体温度(TRefi)の関数であり得る。別の例では、温度TIC_CC、TIC_R、TlCは、相互接続壁温度(Tw)であり得る。別の例では、温度は、基準室温度(TRefi)であり得る。
式(31)に対するΔVcfの値は、式(27)から計算され、最終制御室圧力(PCCf)はPCCiに使用され、VCCEstはVCCに使用される。式(31)に対するΔVriの値は、式(28)から計算される。
圧力均等化の前の導管気体系6532の密度は、各物理的容積(すなわち、制御室6510および相互接続容積6530、6531)に対する容積-加重平均密度である式(31)と同様の式から計算することができる。
密度比(ρl0/ρlf)が圧力比(Pl0/Plf)に等しいように、導管またはマニホールド気体系6532に対する一定温度を想定することにより、制御室6510容積の推定値を導出することができる。推定をさらに簡略化するために、ポリトロープ係数の代わりに、比熱比(γ)が用いられる。このより簡略化した式では、-FMSプロセスにおける制御室の容積(VCC)は、3つの圧力(すなわち、圧力均等化の開始時の測定された圧力対(PCC0、PRef0)および単一の均等化圧力(Pf))とともに、基準室の一定容積(VRef)および相互接続容積(VIC)と、基準室に対するポリトロープ係数(nR)および制御室に対するポリトロープ係数(nCC)との関数として表すことができる。
3つの閉鎖系6512、6522、6532内の気体は、理想気体としてモデル化することができ、そのため、以下のように、初期状態および新たな圧力または容積から温度を求めることができる。
制御室内の気体の初期温度(TCC0)は、相互接続容積壁の温度と、プリチャージ圧力6316(図108B)と、プリチャージの直前の制御室6510内の圧力6306(図108Bを参照)とから計算し、それをポリトロープ過程としてかつ式(23)における理想気体の法則を用いてモデル化することができる。プリチャージの前の制御室圧力6306は、本明細書では圧送圧力(Ppmp)と呼ぶ。
制御室気体系に対するポリトロープ係数の値(nCC)は、制御室6510の容積によって変化し、小さい容積に対するおよそ1から大きい容積に対するおよそ比熱比までの範囲であり得る。空気および主に二原子分子の他の系に対する比熱比は、1.4である。一例では、-FMSの場合のnCCの値は、以下のように、推定された制御室容積(式21)の関数として表すことができる。
nCC=1.507-1.5512×10-5(23.56-VCCEst)3.4255(34)
制御室の容積(VCC)とポリトロープ係数(nCC)との関係を求める方法については、以下のセクションで記載する。
ポリトロープ係数n CC を求める
ポリトロープ係数nCCの値は、経験的にまたは解析的に求めることができる。可能な理解において、ポリトロープ係数は、構造との熱伝達による気体のあり得る温度を、圧力変化によってもたらされる温度変化と比較する。ポリトロープ係数の値は、圧力変化、圧力変化の速度、ならびに気体容積の形状およびサイズによって変化する可能性がある。
一実施形態では、ポリトロープ係数nCCは、既知の容積を用いて制御室6171(図45)を生成し、+FMSプロセスまたは-FMSプロセスを実行して、均等化中に制御室および基準室の圧力を記録することによって、実験的に求められる。式(17)、(18)、(20)を含むポリトロープ+FMSアルゴリズムは、制御室に対するポリトロープ係数(nCC)の値を解くために、圧力測定値のセットおよび既知の制御室容積(VCC)に適用される。ポリトロープ係数を求めるこのプロセスは、充填ストロークの後の制御室6171の典型である1.28mlから、送達ストロークの後の制御室6171の典型である23.56mlの範囲のいくつかの異なる容積に対して繰り返された。nCCの確定の正確さを向上させるために、各容積に対して何回か、FMSプロセスを繰り返すことができる。+FMSプロセスに対するこの実験的確定の一例を図50Aに示し、そこでは、6つの異なる容積に対して式(22)によって計算されるように、制御室の推定された容積(VCCEst)に対して、nCCの値がプロットされている。データに指数方程式をあてはめて、推定された容積制御室に関してポリトロープ係数を表す式(26)を生成した。図50Aにおけるプロットは、単純な式によってデータをより適切にあてはめるために、値1.4-nCC対23.56-VCCEstをプロットしている。
同様に、既知の制御室容積に-FMSプロセスを適用し、均等化中に制御室および基準室の圧力を記録することによって、-FMSに対するポリトロープ係数(nCC)を求めることができる。式(30)、(31)、(32)を含むポリトロープ-FMSアルゴリズムは、制御室に対するポリトロープ係数(nCC)の値を解くために、圧力測定値のセットおよび既知の制御室容積(VCC)に適用される。ポリトロープ係数を求めるこのプロセスは、いくつかの異なる容積に対して繰り返された。-FMSプロセスに対するnCCに対する結果としての値の例を図50Bに示し、そこでは、6つの異なる容積に対して式(33)によって計算されるように、制御室の推定された容積(VCCEst)に対して、nCCの値がプロットされている。データに指数方程式をあてはめて、推定された容積制御室(VCCEst)に関してポリトロープ係数(nCC)を表す式(34)を生成した。図50Bにおけるプロットは、単純な式によってデータをより適切にあてはめるために、値1.507-nCC対23.56-VCCEstをプロットしている。
一実施形態では、取付プレート170(図92)の正面に機械加工された容積を取り付けることにより、一定の既知の制御室容積が生成され、それにより、機械加工された容積は、取付プレートに封止され、制御室を圧力源および圧力センサに接続するポート173Cを覆う。
V CC に対するポリトロープFMS較正手続き
ここで図51および図52を参照すると、2チャンバFMSプロセスおよびポリトロープFMSアルゴリズム中に記録された圧力データから制御室の容積を計算するフローチャートを提示する。図39のフローチャートは、制御室(VCC)の容積を計算するために必要な圧力データが最小限である比較的単純なプロセスを提示する。図52のフローチャートは、均等化プロセス中に複数の圧力対を必要とする、制御室(VCC)の容積をより正確に計算するより複雑な計算について記載する。
図51に提示する単純なポリトロープFMS計算手続きは、プロセッサまたはコントローラによって実行され、上述した+FMSプロセスまたは-FMSプロセスのいずれかを完了することと、均等化プロセス中に記録された複数の圧力対をメモリに格納することとを含むステップ6400で開始する。ステップ6614において、コントローラは、複数の圧力対を解析して、均等化プロセスが開始したときの制御室圧力および基準圧力として初期制御室圧力(PCC0)および初期基準圧力(PRef0)を特定する。均等化の開始または初期圧力を特定する方法または手続きについては、ポンプ送達容積測定と題する先のセクションに記載されており、そこでは、初期制御室圧力および基準室圧力はPdおよびPrと称される。ステップ6618において、コントローラは、複数の圧力対を解析して、制御室圧力および基準室圧力が、略均等化され、または十分低い割合で変化しているとき、最終制御室圧力(PCCf)および最終基準圧力(PReff)を特定する。制御室圧力および基準室圧力が略均等化したときを特定する1つまたは複数の方法については、ポンプ送達容積測定と題する先のセクションに記載されている。
別法として、FMSプロセス6400中、制御室および基準室に対する初期圧力および最終圧力を特定するステップ6614および6618が発生する場合がある。コントローラまたはFPGAプロセッサは、初期圧力および最終圧力を特定し、それらの値のみを格納することができる。一例では、初期圧力は、接続弁が開放するときの制御室圧力および基準圧力である可能性があり、最終圧力は、均等化の後に基準室および制御室を通気するように第2弁が開放するときの制御室圧力および基準圧力である可能性がある。
ステップ6620において、+FMSプロセスの場合は式(22)、-FMSの場合は式(34)を用いて、初期圧力および最終圧力から制御室の容積が推定される。ステップ6641において、+FMSプロセスの場合、式(26)において制御室容積の結果として推定値(VCCEst)を用いて、制御室に対するポリトロープ係数(nCC)が計算される。このポリトロープ値(nCC)および推定された容積(VCCEst)は、初期圧力および最終圧力の対とともに、+FMSプロセスの場合は式(17)、(18)、(19)に供給され、制御室容積(VCC)が計算される。-FMSプロセスの場合、ステップ6641において、式34を用いてポリトロープ係数(nCC)が計算され、制御室容積(VCC)が式(30)、(31)、(32)を用いて計算される。
図45におけるコントローラ61100等のプロセッサは、格納された圧力対に対してステップ6614~6618(図51)を実行することができる。代替実施形態では、プロセッサ61100は、圧力均等化の間、圧力対を格納することなくステップ6614およびステップ6618を実行することができる。
図52に、制御室容積(VCC)のより複雑な計算について記載する。FMSを計算し6400、初期制御室圧力(PCC0)および基準室圧力(PRef0)を特定し6614、最終制御室圧力(PCCf)および最終基準室圧力(PReff)6618を特定し、制御室容積(VCCEst)6620を推定する初期ステップは、図51に対して上述したものと同じである。
ステップ6624、6628、6630および6640は、ポンプ送達容積測定と題するセクションにおいて上述した計算ステップと同様であるが、制御室容積(VCC)の計算が、+FMSプロセスの場合は式(17)、(18)、(19)に基づき、-FMSプロセスの場合は式(30)、(31)、(32)に基づくことが異なる。ステップ6624において、制御室圧力(PCCi)および基準室圧力(Pri)の圧力対が、補間によって先の後続する圧力対と相関されて、厳密に同時に発生した圧力対(PCCi
*、Pri
*)が計算される。他の実施形態では、ステップ6624はスキップされ、後続する計算は、未補正圧力対(PCCi、Pri)を使用する。ステップ6628において、各圧力対に対して、制御室容積(VCC)が計算される。ステップ6630、6640において、ポンプ送達容積測定と題するセクションに記載する最適化アルゴリズムが実行されて、最適最終圧力対(PCCf、PReff)および結果としての制御室容積(VCC)が特定される。
代替実施形態では、図45においてコントローラ61100とは別個のプロセッサにおいて、図51、図52に記載されている計算を実行することができる。計算は、たとえば、FPGAにおいて実行することができ、FPGAもまた、アクチュエータ、弁および圧力センサからの入出力信号を処理する。
ポリトロープFMSアルゴリズムによる空気検出
ここで図43を参照すると、本発明の別の態様は、ポンプ室181内の空気の存在、および存在する場合、存在する空気の容積の確定を含む。こうした確定は、たとえば、カセット24から空気を除去するためにプライミング手順が適切に行われることを確実にするのに役立ち、かつ/または空気が患者に送達されないことを確実にするのに役立つように、重要である可能性がある。いくつかの実施形態では、たとえば、ポンプ室181の底部の下部開口部187を通して患者に流体を送達するとき、ポンプ室に閉じ込められた空気または他の気体は、ポンプ室181内に残る傾向がある可能性があり、気体の容積がポンプ室181の有効デッドスペースの容積より大きくない限り、患者に圧送されることが阻止される。後述するように、本発明の態様に従って、ポンプ室181内に収容された空気または他の気体の容積を求めることができ、気体の容積が、ポンプ室181の有効デッドスペースの容積より大きくなる前に、ポンプ室181から気体をパージすることができる。
充填ストロークの終了時、ポンプ室181内の空気の量の確定を行うことができ、したがって、それは、圧送プロセスを妨げることなく行うことができる。たとえば、充填スロトークの終了時に、膜15およびポンプ制御領域1482は、膜15/領域1482が制御室171Bの壁と接触するように、カセット24から引き離される。図47に記載したような+FMS手続きを実行して、上述したように、圧力均等化を測定し、制御室171(図34)の見かけの容積を計算することができる。しかしながら、膜気体ペーサ50から離れている場合、充填ストロークの後の+FMS手続きはまた、膜15の液体側におけるあらゆる気体または気泡の容積も測定する。
膜15が制御室壁172に接しているときの制御室の容積は、概して、設計および製造プロセスに基づいて既知である。この最小制御室容積はVCCFixである。充填コマンドの終了時に+FMS手続きの間に測定された制御室容積は、VCC+である。測定された制御室容積(VCC+)がVCCFixより大きい場合、制御システム66またはコントローラ1100は、制御室容積(VCC-)を計算する-FMS手続きを命令することができる。-FMS手続きが、実質的に+FMSと同じ制御室容積を与える場合、コントローラは、充填ラインが閉塞されていることを認識することができる。別法として、-FMS手続きがより小さい制御室容積を生成する場合、コントローラは、以下のように、気泡の和のサイズ(VAB)として差を認識する。
VAB=VCC+-VCC-(30)
膜15気体ペーサ50に接しているとき、送達ストロークの終了時、同様の方法を使用することができる。+FMS手続きは、膜15気体ペーサ50に接しているとき、液体における空気の容積を測定するのではなく、制御室171内の空気の容積のみを測定する。しかしながら、-FMS手続きは、スペーサ50から離れるように膜を引っ張り、膜15のドライ側(すなわち、制御室171)および液体側(ポンプ室181)における空気の容積を測定する。したがって、送達ストロークの終了時、液体における空気の容積(VAB)もまた求めることができる。
VAB=VCC--VCC+(31)
空気較正
本開示のさらなる態様は、FMSプロセスに関連づけられた圧力測定とは無関係に圧力測定を用いる制御室容積6171(図45)の直接測定により、-FMSプロセスおよび+FMSプロセスを較正する方法を含む。2チャンバFMSプロセスを較正するこの方法は、本明細書では空気較正方法と呼ぶ。このセクションにおけるハードウェアの言及は、図45に向けられるが、等価なハードウェアコンポーネント他の空気圧作動式ダイヤフラムポンプにも等しく適用される。空気較正方法は、限定されないが、制御室容積の全範囲にわたり2チャンバFMS方法の正確さを向上させ、基準室6212に対する名目容積(VRef)および相互接続容積6204、6205、6207、6209の容積(VIC)の使用を可能にすることを含む、複数の利点を提供する。本方法はまた、基準室6212および相互接続容積6204、6205、6207、6209の実際の容積と名目容積との差の補償も可能にする。本方法はまた、制御室6171、基準室6212および相互接続容積6204、6205、6207、6209を含む2チャンバFMSハードウェアの種々の容積における実際の熱伝達と想定された熱伝達と差の補償も可能にする。
空気較正方法は、制御室6171圧力測定値を押しのけられた液体の測定値と結合して、制御室壁6172と触れるときとカセット624のスペーサ650と接触するときとの間のいくつかの膜6148位置において、制御室6171の容積を測定する。制御室容積のこれらの測定値(VCIso)は、制御室容積に対するFMS較正値(VFMSi)と比較されて、計算されたFMS容積各々(VFMSi)に対する較正係数(CCali)が計算される。そして、CCali値対VFMSi値のプロットに較正式をあてはめることができる。そして、較正式を用いて、制御室容積計算の正確さを向上させることができる。空気較正方法は、+FMSプロセスおよび-FMSプロセスの両方に適用することができ、各々に対して別個の較正式をもたらすことができる。
+FMSの場合の空気較正
図53Bにおけるフローチャート6700は、空気較正方法の例を記載している。空気較正に対するハードウェア設定は、液体でプライミングされる空気圧駆動式ポンプと、重量計またはメスシリンダに配管された出口とを含む。ハードウェア設定はまた、制御容積またはチャンバ6171、圧力センサ6222、6224、複数の弁6214、6220および基準容積またはチャンバ6212等、2チャンバFMSハードウェアも含む。空気圧弁6214、6220に命令し、圧力センサ6222、6224からの圧力を記録し、2チャンバFMS手続きおよび計算を実行するコントローラ61100もまた含まれている。
ハードウェア設定の一例は、図31に示す、カセット24およびカセット24が設置されるAPDサイクラ14の組合せである。この例では、カセット24の出力は、重量計、メスシリンダまたは他の流体測定装置に配管される。
再び図53Bと図45におけるハードウェア関連を参照すると、第1ステップ6705は、ポンプまたはカセット624および出力ラインを液体でプライミングする。プライミングはまた、ポンプ室6181に流体を充填する。
サイクル6710に対して括弧によって示すように、手続きは、空気較正方法の間、ステップ6715~6740を通して複数回、循環する。空気較正サイクル6710の第1ステップは、i=1の場合に制御室容積(VFMSi)の暫定的な測定値を生成する+FMSプロセス6715を完了する。空気較正手続きは、ステップ6715において代替的に使用することができる他の容積測定技法に対して、等しく適用される。ステップ6720において、制御室6171内の圧力は、第1弁6220を制御し、気体がチャンバ壁6172およびガスケット6148と熱平衡になるのを可能にするように、所定期間気体を保持することにより、およそP1まで上昇する。一例では、圧力は、15秒~30秒間、P1で保持される。別の例では、圧力はP1まで上昇し、空気圧弁6220は閉鎖され、制御室6171内の気体は、壁6172、6148と熱平衡状態になる。弁6220および6214を閉鎖することにより、制御室6171は隔離される。ステップ6720の終了時の圧力は、Pliに記録される。
ステップ6725において、カセット624の液圧弁6190が解放されるかまたは開放され、それにより、制御室6171内の圧力が、液圧弁6190を通って重量計の上に流体を押し出すことができる。ステップ6730において、制御室6171内の気体または空気が、ポンプ側6181の液体との圧力平衡に達し(それは迅速に発生する)、制御室壁6172、6148と熱平衡状態になり(それには数秒間かかる可能性がある)ように、液圧弁6190は十分長く開放して保持される。一例では、液圧弁は、15秒間~30秒間開放して保持される。ステップ6735において、制御室6171内の圧力はP2iにおいて記録され、重量計の変化はMiで記録される。そして、液圧弁6190は閉鎖される。
ステップ6740において、以下のように、第1圧力および第2圧力(P1i、P2i)ならびに押しのけられた液体質量(Mi)から、較正係数(CCal)が計算される。
式中、VCIsoiは、以下のように、i番目の位置における制御室の等温確定容積であり、
式中、ρはカセット624内の液体の密度であり、VFMSiは、+FMSプロセスに対して式(17)、(18)、819)毎に計算される。
膜6148がポンプ容積またはチャンバ6181の反対側に達し、スペーサ650と接触するまで、サイクル5610を複数回繰り返すことができる。ステップ6745において、FMS確定容積CCal(VVMS)の関数としての較正係数に対する式が、データにあてはめられる。ここであるべてのあり得る容積に対して制御室6171容積のより正確な測定値を得るために、以下のように、先のセクションで記載した制御室6171の容積に対するFMS計算の出力を補正することができる。
VCC=VFMS・Ccal(VFMS)(37)
-FMSの場合の空気較正
-FMSプロセスの場合もまた、図53に記載する空気較正手続きによって較正係数を得ることができる。-FMS空気較正方法では、ポンプ室6181および重量計(たとえば、液体出口6191)への流体ラインがプライミングされ(ステップ6705)、重量計上の容器に部分的に液体が充填される。ステップ6715において、-FMSプロセスが完了して、式(30)、(31)、(32)を用いて制御室6171容積の-FMS測定値(VFVMSi)がもたらされる。ステップ6720において、制御室6171の圧力が、周囲圧力より十分低い圧力P1にチャージされる。ステップ6725において、制御室6171内の低い圧力が、ポンプ室6181内にかつ重量計の容器から流体を引き出す。ステップ6730~ステップ6745は、+FMS空気較正手続きに対して上述したものと同じである。-FMS計算容の関数としての較正係数積CCal(VFMS)に対する結果としての式を、-FMS結果に適用することができる。
改良された空気較正
VCISOi-1の値およびVCISOi+1の値を考慮することにより、VCISOi値の正確さをさらに向上させることができる。図113に記載した手続きは、制御室6171容積を逐次求め、それにより、それらの値が関連するようにすることができる。したがって、VCISOiの値を、i-1番目の位置からi番目の位置へ、i+1番目の位置へ等、平滑に変化するように期待することができる。近くの結果に対するこの依存性は、ポンプによって移動する液体の容積がわずかであるため正確に測定することがより困難である、最大値および最小値において特に有用である。いかなる制御室容積(VCIsoi)の値も、以下のように、先の制御室容積(VCIsoi-1)に押しのけられた液体容積を足したもの、続く制御室容積(VCIsoい+1)から押しのけられた液体容積を引いたものを含む、2つの他の独立した測定値によって表すことができる。
VCIsoi=VCIsoi-1+ρ・mi-1=VCIsoi=VCIsoi+1-ρ・mi+1
したがって、VCIsoの値を、隣接する値および押しのけられた容積(ρ・mi-1)と平均することによりより高精度にすることができる。
結果としての平均された値VCIsoi,1を、式(38)の右辺に挿入することにって再度平均して、VCIsoi,2をもたらすことができる。VCIsoiの値が変化を止めるかまたはある値に収束するまで、この反復的平均プロセスを続けることができる。
このプロセスは、第1容積と最後の容積とに対してわずかに異なり、それは、1つの辺にのみ値があるためである。第1容積VCIso1,1および最後の容積VCIsoN,1を平均する式は以下の通りである。
この場合もまた、結果としての平均値VCIso1,1およびVCIsoN,1を式(39)(40)の右辺に挿入して、VCIso1,2およびVCIsoN,2を計算することができる。VCIso1およびVCIsoNの値が変化を止めるかまたはある値に収束するまで、この反復的平均プロセスを続けることができる。VCIso1およびVCIsoNの初期値が疑わしいかまたは信頼性が低いと認められる場合、以下のように、VCIso1,2およびVCIsoN,2の初期値を、それらのより信頼性の高い近傍値に基づいて設定することができる。
VCIso1,1=(VCIso2-ρ・m2)
VCIsoN,1=(VCIsoN-1-ρ・mN-1)
そして、VCIso1,2およびVCIsoN,2に対する後続する平均は、上述したように進行することができる。
実質的に瞬時のまたは連続的な流量およびストローク容積推定
いくつかの実施形態では、圧送ストロークが発生している間、ダイヤフラムポンプのポンプ室へのまたはポンプ室からの流量、および/またはポンプ室のストローク容積(すなわち、ダイヤフラムがポンプ室を横切った程度)を推定することができる。これは、ダイヤフラムポンプの流体送達ストローク中に、または流体充填ストローク中に達成することができる。これらの推定値は、ポンプストロークの進行中、コントローラ解析に対して十分なデータが収集されると入手可能である可能性があり、それにより、コントローラは、連続的に更新される圧力情報に対して作用して、ポンプ室を出入りして移動する流体の累積的容積を計算することができる。こうしたリアルタイム情報は、ストロークの終了を早期に判断するのに役立つことができ、行われる部分ストロークの数を低減させることができ、わずかな容積または増分の流体のより正確な送達を可能にすることができ、厳密な目標流体容積をより効率的に送達することができ、閉塞および他の流量低減状態の早期の検出を可能にすることができるとともに、流体ライン等のプライミングに役立つことができる。この情報はまた、ポンプカセットを通る流体スループットを増大させるのにも役立つことができる。
ポンプストローク中の流量およびストローク容積またはストロープ進行の推定は、ポンプストロークが進行している間に制御室内の圧力減衰をモニタリングすることによって達成することができる。圧力減衰の速度をモニタリングすることから生成されるデータは、コントローラが、ポンプ室を通る流体流量を求めるために使用することができる。ポンプストローク中の圧力減衰は、ポンプ室が流体で満たされるかまたは流体が空けられる際の制御室の容積の変化を示すため、ポンプストロークの過程にわたってこの減衰をモニタリングすることにより、コントローラは、発生時にストローク容積を推定することができる。
オン/オフ、バイナリまたは「バンバン」圧力コントローラが使用される実施形態では、圧力コントローラは、圧送中に所望の圧力を維持するために、制御室を圧力リザーバに接続し分離するように弁を繰り返し作動させる必要がある場合がある。たとえば、送達ストローク中、流体がポンプ室から圧送される際、関連する制御室の容積が増大する。これにより、制御室の圧力が減衰することになる。ポンプ室を充填するように負圧を加えるか、またはポンプ室から流体を排出するように正圧を加えて、プロセスまたはアルゴリズムを用いることができる。本明細書で用いる「圧力減衰」という用語は、測定されている実際の圧力の絶対値の減衰(すなわち、正圧が加えられる場合は周囲圧力に向かう低下、または負圧が加えられる場合は周囲圧力に向かう上昇)を指すように意図される。制御室内の圧力が許容圧力範囲外になると、圧力コントローラは、弁を圧力リザーバに開放することによって制御室圧力を調整することができる。許容圧力範囲は、圧力設定値の範囲内にあり得る。この圧力調整または維持は、制御室圧力をおよそ所望の値にかつ/または許容範囲内に戻るようにするために十分な期間、好適な圧力源にチャンバを接続することを含むことができる。圧力は、この場合もまた、流体がポンプ室にまたはポンプ室から送達されるに従って減衰し、再加圧が再度必要になる。このプロセスは、ストロークの終了に達するまで継続する。
再加圧を繰り返すことにより、事実上、実質的に鋸歯に見える圧力調整波形が生成される。上述したような圧力調整波形を示すプロット例を、図42に示す。図示するように、波形は、下限圧力閾値2312と上限圧力閾値2310との間で振動する。ストロークが進行するにしたがって圧力は減衰し(データ点2302~2304を参照)、流体はポンプ室から出て、制御室の容積が変化する。図42のプロット例では、流体がダイヤフラムポンプのポンプ室から出て宛先に圧送される際、制御室容積は拡張している。圧力減衰が横ばい状態になるとき2305、ストローク終了が示され、その時点で、チャンバ容積を固定し(すなわち、ポンプ室への入口流体弁および出口流体弁を閉鎖し)、既知の基準容積の圧力によってチャンバ圧力を均等化する2332ことにより、FMS容積確定を行うことができる。
各圧力減衰は、ポンプストロークの過程の間に制御室の容積がおよそ既知であり得るように、モニタリングすることができる。この情報により、チャンバの初期容積と比較した場合に発生したポンプストローク容積の量を求めることができる。ポンプ室の初期容積は、たとえば、ストローク前FMS測定を行うことによって求めることができる。この方法は、概して、閉鎖チャンバの容積を、既知の容積および圧力の基準室と連通したときのその圧力の変化をモニタリングすることによって求めることを含む。この確定は、ポンプの制御室の一定容積を確保するようにポンプ室の流体入口出口弁を閉鎖することと、その後、基準室に制御室を接続することとを含む。系の熱伝達特性および動力学に応じて、過程を等温または断熱としてモデル化することができる。系はまた、測定の正確さを最適にするためにポリトロープ過程としてモデル化することも可能である。制御室の初期容積を求める他の方法を使用することができる。たとえば、初期制御室容積が、実質的に、圧送システムのチャンバの測定中に物理的に測定された制御容積であると想定するように、コントローラをプログラムすることができる。この想定は、たとえば、コントローラが先行するストローク終了状態に完全に達したと計算したときに採用することができる。
ポンプストローク中のダイヤフラムポンプの制御室およびポンプ室におけるリアルタイムのまたは連続した容積変化の確定は、先に開示した圧力ベースの容積確定とは、流体入口または出口入口が開放したままであって、流体がポンプ室に流入しまたはポンプ室から流出し続けるのを可能にするという点で、実質的に異なる。さらに、既知の容積および圧力の基準室は不要である。制御室/基準室均等化プロセス(「2チャンバ」FMS)からこのプロセスを識別するために、本明細書に記載する連続測定プロセスは、「1チャンバ」FMSとみなすことがより適切であり得る。ポンプ室が入口流体ラインまたは出口流体ラインに対して開放したままであるが、関連する制御室は、閉鎖系を維持し、それにより、初期容積が既知となると第2容積を求めることができる。制御容積が気体源またはシンクから隔離されている(すなわち、制御容積の質量に変化がない)間、圧力データが繰り返しサンプリングされる。これらの状況の下で、ポリトロープ過程を用いるアルゴリズムに基づくコントローラの計算は、より正確な結果を提供することができる。この方法は、今になって実現可能であり、それは、迅速なデータ収集および計算が可能な電子プロセッサが今では利用可能であるためである。たとえば、高速特定用途向け集積回路を採用することができ、または好ましくは、FPGAデバイスが、今ではこのタスクに専用とすることができ、主システムプロセッサから、その計算資源を共有しその効率を低下させなければならないという負担を軽減する。いくつかの実施形態では、ポンプストローク中にオンザフライまたはリアルタイム容積測定を行いながら、他のタスクに対して幾分かの資源を維持するために必要な時間ブロックに対して、十分にロバストなFPGAが再構成可能または再プログラミング可能であり得る。リアルタイムまたはオンザフライ容積測定は、制御室圧力またはポンプ室圧力を調整するために使用される供給弁の閉鎖と開放との間の2つの時点で、制御室の容積を見付けることによって達成することができる。2つの時点の間の容積差により、コントローラは、比較的リアルタイムの流量を推定する
ことができる。
図42に示すように、高速コントローラは、一連の圧力データ点2302、2303、2304を収集することができ、それらの各々により、コントローラは、各点に関連づけられたチャンバ容積変化を連続して計算することができる。コントローラが、制御室の開始容積を求めたと想定すると、後続する圧力減衰点における容積の変化を計算することができる。そして、たとえば点2303における終了容積を計算するために点、点2302に関連づけられた終了容積を2303における開始容積として使用することができ、以下続く。
図56は、トレースが、制御室内の圧力とそのチャンバからの推定された圧送容積とを表す、例としてのグラフ5700を示す。容積推定トレース5702は、圧力トレース5704の各圧力減衰5708時に圧力データ点をサンプリングすることによって生成される。上述したように、コントローラは、2つの圧力データ点の間の圧力差を使用して、関連づけられたポンプ室内で押しのけられた容積を求めることができる。そして、コントローラは、ポンプ室を出入りして移動した流体の累積容積を計算することができる。さらなる圧力減衰5708および再加圧事象5706が発生するに従い、容積推定トレース5704によって示される累積容積が増大する。プロセッサは、データ点を迅速にサンプリングし解析することができるため、例としてのグラフ5700に示すように、容積推定値を連続的に更新することができる。その結果、ストロークが進行している間に、ポンプ室にまたはポンプ室から送達される容積を正確に推定することができる。この推定値は、流体の圧送を停止させることなく、かつ基準室を使用することなく生成される。
ポンプストローク全体を通して制御(またはポンピング)チャンバの圧力減衰をモデル化するために、あらゆる好適な数学的方法を使用することができる。しかしながら、ポンプストロークの1つの時点における圧力減衰曲線が、ポンプストローク中の別の時点における圧力減衰曲線に極めて類似するように見えるが、ポンプ室における容積変化の異なる量を表す可能性があることが理解されるべきである。ポリトロープモデルを使用することによりポンプストローク中の圧力減衰曲線を解析するようにコントローラをプログラムすることは、容積変化のこれらのあり得る差を解くのに役立つことができる。
1チャンバFMS(ポリトロープモデルを用いて制御室またはポンプ室におけるリアルタイムなまたは連続的な容積変化を計算する)は、ポンプ制御室を圧力リザーバ(正圧または負圧)に接続するバイナリオリフィス弁または可変オリフィス弁のいずれかを用いるシステムにおいて実現可能であり得る。いずれかのタイプの弁が閉鎖されている時間(ただし、この期間は、可変弁が使用される場合よりはるかに短い可能性がある)、圧力データを収集し解析することができる。いずれの場合も、流体が出ていく間の圧力減衰(または、流体が入ってくる間の圧力上昇)をサンプリングすることができ、容積変化を計算することができ、プロセスを繰り返して、リアルタイム容積変化データを提供することができる。以下の説明では、制御室またはポンプ室内の圧力を調整するためにバイナリ弁を用いるシステムに対して、ポリトロープモデリング過程が適用される。この説明は、他のタイプの弁および圧力調整プロトコルに適用される。
概して、流体ポンプ室が可撓性ダイヤフラムによって制御室から分離されている任意の気体駆動式(たとえば、空気駆動式)ダイヤフラムポンプに対して、1チャンバFMSプロトコルを適用することができる。ポンプストローク中、流体がポンプ室に入るかまたはポンプ室から出る際、コントローラが、制御室およびダイヤフラムに送達される圧力を調整するため、制御室は、少なくともその時間の一部において、閉鎖系となる。制御室内の圧力が高い閾値に達するかまたはそれを超えると、制御室を圧力源に接続する弁が閉鎖する。ポンプ室内外の流体移動から圧力が減衰すると、弁は再度(完全にまたは部分的に)開放し、ポンプストローク中、空気が入ってくるか又は出ていくことに対して制御室が閉鎖される交互の期間がもたらされる。制御室が隔離されるこれらの段階中、圧力の変化は、制御室、したがってポンプ室の容積の変化を反映する。圧力減衰期間の開始時における初期容積は、先の測定値から既知となるかまたは推定されなければならない。そして、終了容積が、初期容積と終了容積との間の測定圧力差から計算することができる。そして、制御室隔離段階中に圧力がさらに減衰するため、次の計算に対する初期容積として、終了容積を使用することができる。このように、コントローラは、ポンプストロークの圧力減衰段階中に圧力測定値を迅速に収集して、ポンプ室の容積の変化を略連続的に計算することができ、したがって、ポンプに入るかまたはポンプから出る瞬間的な流体流量を推定することができる。閉鎖系における気体の圧力と容積との間の関係は、理想気体の挙動を記述する標準方程式によって制御され、計算においてポリトロープ過程を想定することは最適である可能性があり、そこでは、ポリトロープ係数は、1とポンプで使用される気体の比熱比を表す値(その気体に対する断熱係数)との間で変化する可能性がある。
ポリトロープ係数は、以下の式によって制御される。
PVn=定数
式中、Pは圧力であり、Vは容積であり、ポリトロープ指数「n」は、1とγ(γは1.4であり、空気を含む大部分の気体に対して断熱系を記述する係数である)との間の数である。式の右辺は定数であるため、2つの連続した時点を比較することができる。2つの連続した時点を比較するために、以下の式を採用することができる。
式中、Ptは時点tにおける圧力であり、Vtは時点tにおける容積であり、Pt-1は時点t-1における圧力であり、Vt-1は時点t-1における容積である。Vtを解くために式を再配置し、簡略化して以下の式をもたらす。
上記式に示すように、チャンバの現容積Vtは、先行する時間間隔の終了時の容積が求められた場合に求めることができる。そして、この容積を用いて、望ましい場合はストローク容積を求めることができる。さらに、VtとVt-1との間の時間の長さを追跡することにより、その期間にわたる流量を求めることが可能である。連続的に対にされた圧力データ値を用いて複数の流量確定値を平均することにより、ポンプストロークの一部にわたる平均流量を求めることができる。さらに、制御室の開始容積および名目終了容積が既知であることにより、ポンプストロークを完了するために必要な時間の長さを独立して求めることができる。例では、データサンプルセットは、10ミリ秒毎に収集することができ、20データサンプルを含むことができる。こうした実施形態では、VtとVt-1との間の時間の長さは0.5ミリ秒となる。好ましいデータサンプリングレートは、特に、ポンプストロークの予測される持続時間、コントローラによって観察される圧力減衰速度、圧力信号に関連づけられた測定誤差または雑音の程度、ならびにコントローラのサンプリング速度および処理能力(たとえば、専用FPGAが使用されているか否か)によって決まる。
いくつかの実施形態では、コントローラは、サンプリングされた各データ点において容積データを計算することができる。これには、測定点の間の熱伝達の影響を最小限にするという利点がある。一方、測定中の信号雑音は、実際の容積の変化に対して正確さの低い計算をもたらす可能性がある。別の実施形態では、プロセッサは、熱伝達が許容可能なレベルであると推定される期間内で圧力データ点のセットをサンプリングすることができ、圧力データセットを、プロセッサによってフィルタリングするかまたは平滑化することができ、その後、その期間の最後に、初期平滑化圧力測定値および最終平滑化圧力測定値を用いて最終容積が計算される。したがって、測定の正確さに対する信号雑音の影響を低減させることができる。
圧送ストローク中、圧力データ収集が可能ではないかまたは勧められない期間がある。たとえば、圧力供給源が開放しており、ポンプ室圧力が急上昇しているとき、流体のポンプ室への流入または流出が続く。最初の近似として、この短い期間中の流体流量は、圧力供給弁の開放の直前に測定された流量からおよそ変化しないままであると想定することができる。そして、このように推定された容積変化は、最後に測定された圧力データ点を表す容積に加算して、次に測定される圧力データ点に対する初期容積に達することができる。さらに、ストローク中、圧力データ点が無視される可能性がある規定された時点があり得る。たとえば、データサンプリングレートに応じて、加圧事象の間に圧力上昇の直前の圧力情報は不正確である可能性がある。加圧事象の直後のデータ点に対してもまた、幾分かのエイリアシングが存在する可能性がある。実施形態では、加圧事象の前および後の所定期間内にコントローラによって収集されるデータ点を廃棄するかまたは無視して、流量確定プロセスの正確さをさらに向上させることができる。
圧力データ収集および解析にFPGAを使用する実施形態では、下位のサンプリングレートから生じる問題は、それほど重要ではない可能性がある。いくつかの実施形態では、FPGAはまた、圧送システムにおける関連する弁を制御するための資源容量を有することも可能である。圧力供給弁を制御することにより、FPGAは、圧力データのサンプリングをより効率的に予定することができる可能性がある。事象の同期化を改善することができ、データサンプリングによるエイリアシング問題を低減させることができる。
ポンプストロークの開始時に、いくつかの推定も行うことができる。第1圧力減衰事象の前に、ポンプ室内へのまたはポンプ室から出るわずかな量の流体移動が存在する可能性がある。慣性力が初期流体流を制限する可能性があるが、圧力減衰中の第1データサンプリング点の前に初期流体流および容積変化を推定するようにコントローラをプログラムすることができる。こうした推定により、ストロークの開始時に圧力減衰情報が入手できない間に、チャンバ容積の変化の推定を可能にすることができる。ストロークの開始時に移動したと推定される流体の量は、制御室およびポンプ室に加えられる圧送圧力によって決まる可能性がある。加えられた圧力の値に基づいて所定容積の流体移動を含むように、コントローラをプログラムすることができる。別法として、推定された流量を求めるために、複数のデータ点がサンプリングされた後、その流量を用いて、データが入手可能でなかった間に移動した容積に対して外挿することができる。たとえば、その期間にわたる流量が、現時点で推定される流量に実質的に等しかったと想定することができる。そして、流量が一定であるというこの推定を用いて、データが入手可能でなかった期間にわたって移動した容積の推定値を求めることができる。
図57は、ポンプストローク中に制御室容積変化を推定するために使用することができる複数のステップの例を詳述するフローチャートを示す。図示するように、ステップ5200においてフローチャートは開始し、そこであるトローク前FMS測定が行われ、それは、実施形態では、ポンプ室および制御室の容積を固定することと、制御室圧力を測定することと、基準容積チャンバと圧力を均等化することとを含む。この測定は、開始制御室容積測定値を提供することができる。別法として、コントローラが、ポンプ室の先行するストローク終了が完全に完了したと計算した場合、コントローラによって、開始制御室容積は、一定かつ既知の量であると想定することができる。そして、ステップ5202において、ポンプストロークを開始することができる。ステップ5204において、ストロークが流体を押しのけ、流体をポンプ室内にまたはポンプ室から移動させる際に、制御室圧力減衰(または、圧力の絶対値の減衰)をモニタリングすることができる。いくつかの具体的な実施形態では、各減衰曲線に沿って複数のデータ点をサンプリングすることができ、上述した数学的モデルを用いて、ポンプストロークが進行するに従い制御室容積の変化を求めることができる。データ点および容積情報は、メモリ5208に保存することができる。
ストロークの終了が検出されないと想定して、制御室内の圧力が所定範囲外になる(たとえば、所定圧力値未満になる)と、ステップ5210を実行することができる。ステップ5210では、圧力コントローラは、制御室に対する圧力維持を行って(すなわち、制御室を再加圧して)制御室圧力をおよそ(たとえば、その範囲の高い圧力限界またはその近くであり得る)所定所望値に戻すことができる。ステップ5210を完了した後、収集されたデータを再度メモリ5208に保存しながら、ステップ5204を繰り返すことができる。これは、ストローク終了状態が検出されるまで続けることができる。ストロークの終了の検出については別の場所に記載している。
ストローク終了状態が検出される場合、ステップ5212において、(制御気体圧力を測定することによって容積を求める)ストローク後FMS測定を行うことができる。この測定値をステップ5200からの測定値と比較して、ストローク中に移動した総容積を確認しかつ/またはより精密に求めることができる。さらに、このストローク後FMS測定値は、そのポンプ室によって行われる次のストロークに対する開始制御室容積測定値としての役割を果たすことができる。
ポンプがそのポンプストロークを完全に完了したと判断する他の手段を使用することができる。そうする場合、その後、その判断の結果を用いて、コントローラを、次のポンプストロークに対する制御室の開始容積に初期化することができる。圧力測定による容積確定以外の方法を用いて、ポンプストロークが完全に完了したか否かに関わらず、制御室およびポンプ室の最終容積を評価することができる。しかしながら、最終チャンバ容積が求められ、その後、その値を用いて、コントローラを次のポンプストロークに対するチャンバの開始容積に初期化することができる。
上述した数学的モデルのポリトロープ係数「n」を、所定値で初期化することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、係数を1.4または(空気に対する断熱過程を表す)γに設定することができる。初期化値は、実施形態、制御流体のタイプまたは意図された流量によって異なる可能性がある。たとえば、相対的に高速な流量の実施形態は、断熱系としてより適切にモデル化することができ、より低速な流量の実施形態は、等温系としてより適切にモデル化することができる。
そして、複数のポンプストロークにわたって、計算されたリアルタイム流量とストローク終了時の測定された最終容積変化との間のより大きい合致をもたらす値に、係数を調整することができる。これは、任意の好適なソフトウェアアルゴリズムを用いて1つまたは複数のポンプストロークにわたって収集されたフィードバックを用いることにより、または比例コントローラもしくはPIDコントローラ等のコントローラを用いることにより、行うことができる。フィードバックは、ストローク前FMS測定およびストローク後FMS測定の比較によって求められる計算された送達済み容積の形態であり得る。最終FMS測定容積と、「n」に対する現行値を用いて求められた、推定されたリアルタイム容積変化とを比較することができる。それらの容積が、所定量を超えて異なる場合、「n」に対する値を調整することができる。そして、新たな係数値を保存し、次のポンプストロークに対する初期値として使用することができる。例では、いくつかのポンプストロークにわたって収集されたデータを用いて、係数「n」を調整することができる。たとえば、複数のストロークに対して移動した最終(たとえば、FMS測定)容積をもたらした「n」の値を、合わせて平均することができる。周囲条件の著しい変化(たとえば、流体または環境の温度の変化)がない場合、平均または他の数値フィルタリング手続きにより、正確な流量およびストローク容積測定値を生成するために必要な時間を短縮することができ、それは、コントロータに対して、ストローク前FMS測定値およびストローク後FMS測定値の繰返しの比較を行わせる必要がない可能性があるためである。
図58は、上述したように数学的モデルの係数を調整する複数のステップの例を概説するフローチャートを示す。図示するように、ステップ5220において、ストローク前FMS測定を行って、制御室に対する開始容積を求めることができる。そして、ステップ5222において、ストロークを開始することができる。ステップ5224において、圧力調整波形における圧力減衰をモニタリングすることができる。事前に定義された初期指数係数値とともに数学的圧力-容積モデル例を用いて、制御室の容積変化を求めることができる。ストロークが完了すると、ステップ5226において、ストローク後FMS測定を行って、ストローク終了制御室容積を求めることができる。ステップ5228において、ステップ5220および5226からの容積測定値を比較して、ストロークに対する総制御室容積変化を求めることができる。この比較に基づいて係数を調整して、必要な場合は2つの最終値を整合させることができる。たとえば、FMS測定値を用いることによって見つけられる容積変化をもたらした値に、係数を調整することができる。
上述したように、ストロークが進行している際の流量推定値は、限定されないが、閉塞の検出、低流量状態または流れなし状態の検出、ストローク終了の検出、流体ラインプライミング状態の検出等を含む複数の目的に使用することができる。流量推定値をモニタリングして、ストローク終了状態が存在する可能性があるか否かを判断することができる。たとえば、リアルタイム流量が事前に定義された閾値(たとえば、15mL/分)未満に低下した場合、ポンプストロークが完全に完了した(すなわち、ポンプの物理的限界を考慮して、最大容積の流体が移動した)ことを示す可能性がある。流量推定値が事前に定義された閾値未満に低下した場合、チャンバに対してFMS測定を実行することができ、送達された容積を確認することができる。FMS測定により、ストロークの終了に達したと判断される場合、チャンバは、次の圧送動作(またはポンプストローク)に移ることができる。ストローク終了状態に達していない場合、コントローラは、たとえば、ポンプストロークを再開しようと試みることを含む複数の動作を行うことができる。別法として、流量低減状態の検出は、流体ライン閉塞を示す可能性があり、閉塞警告または警報をトリガすることができ、または、流体押戻しを試みて閉塞が存在するか否かを判断することができる。
いくつかの実施形態では、作動可能(arming)ルーチン(ソフトウェアトリガ)があるようにコントローラをプログラムして、コントローラ気体トローク終了状態を時期尚早に宣言しないようにすることができる。これは、ストローク終了確定の間違ったトリガを回避するのに役立つことができる。たとえば、ストロークの開始時に蓄積圧力データがないことにより、流量確定に対する信号雑音の影響が増大する可能性がある。例では、ポンプストロークの始動後に所定期間が経過した後にのみトリガが作動可能となるように、コントローラをプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、ソフトウェアトリガは、所定流量値の達成であり得る。または、コントローラが、所定容積の流体が移動したと推定した後に、トリガを作動可能とすることができる。ストローク終了状態が検出される前にストローク終了検出トリガが作動可能となることが必要であることは、行われる部分ストロークの数を低減させるのに役立つことができ、ポンプカセットを通して流体のスループットを増大させるのに役立つことができる。作動可能基準に達せず、ストロークの終了が決して検出されないシナリオを防止するのに役立つために、ストロークが所定時間進行した後に、トリガを作動可能とすることができる。他の実施形態では、作動可能基準が満たされることなくストロークの開始以来所定期間が経過した後、ストロークの終了を自動的にトリガすることができる。
図59は、リアルタイム流量推定値に基づいてストロークの終了を検出する複数のステップ例を概説するフローチャートを示す。図示するように、ステップ5240において、ストローク前測定を行うことにより、制御室の開始容積を求めることができる。そして、ステップ5242において、ポンプストロークが開始する。ストロークが進行するに従い、ステップ5244において、制御室圧力調整または維持波形における圧力減衰がモニタリングされる。圧力減衰に基づいて、流量が推定される。ストローク終了作動可能基準が満たされると、コントローラは、流量が予め確立されたかまたは所定の流量を超えたか否かを判断する。流量が所定流量を超えた場合、ステップ5246において、ポンプストロークは続き、ステップ5244において、流量推定が続く。流量が所定流量未満に低下した場合、ステップ5248において、ストロークは終了に達した可能性があり、ストローク終了FMS測定を行って制御室容積を求めることができる。
いくつかの実施形態では、ストロークの進行にわたる制御室容積変化の推定値を用いて、ストロークを完了するために必要な時間の長さを予測することができる。名目のまたは予測されたストロークの終了容積は既知であり、制御室容積変化を用いて流量を求めることができるため、コントローラは、この情報を用いて、ストローク全体がどれくらいかかるべきであるかを推定することができる。それに対応して、コントローラは、ストロークの残りの部分を完了するためにどれくらいの時間が必要であるかを推定値を計算することができる。予測されたストローク終了時間に達すると、ストロークを停止することができ、FMS測定を行うことができる。FMS測定値気体トロークが部分ストロークであることを示す場合、複数の動作を行うことができる。いくつかの実施形態では、サイクラは、ストロークの再試行を試みることができる。別法として、流量低減状態のコントローラによる検出は、閉塞警告または警報を示すものであり得るか、または押戻しの試みを行って、ライン終了閉塞を緩和することができるか否かを判断することができる。
図60は、ストロークを完了するために必要な時間を予測することによってストロークの終了を判断するために使用することができる複数のステップ例を概説するフローチャートを示す。図示するように、ステップ5250において、ストローク前FMS測定を行って、制御室の開始容積を求めることができる。ステップ5252においてストロークが開始される。ストロークが開始すると、ステップ5254において、ストロークタイマーを始動させることができる。ストロークが進行するに従い、ステップ5256において、制御室に対する圧力調整または維持波形における圧力減衰がモニタリングされる。これを用いて、制御室容積および流量を推定することができる。そして、ステップ5258において、これらの推定値を用いて、推定ストローク時間を予測することができる。現チャンバ容積と予測されたストローク終了チャンバ容積との差を見付けることにより、推定ストローク時間を計算することができる。そして、推定された流量を用いて、ストロークを完了するために必要な時間の長さを見付けることができる。推定されたストローク終了時間が、経過したストローク時間より長い場合、ステップ5256、5258および5260を繰り返すことができる。推定されたストローク終了時間が実際の経過したストローク時間以下である場合、コントローラは、ストローク終了状態を宣言することができる。ステップ5262において、ストロークは終了し、FMS測定を行って、制御室のストローク後容積を求めることができる。いくつかの実施形態では、所定の長さのストローク時間が残るか、または所定量のストローク容積が発生するまで、残りのストローク時間推定を行うことができる。時間が経過するまで、コントローラはストロークを続け、その後、ステップ5262を行うことができる。
上述した例示的な数学的モデルによって提供されるリアルタイム流量推定が利用可能であることにより、同様に流量低減状態の早期の検出を可能にすることができる。コントローラにストロークが終了するのを待たせ、容積測定を行い、その測定値を先の測定値と比較する代わりに、予測された流量閾値未満であるリアルタイム流量に応答するように、コントローラをプログラムすることができる。その時点でポンプストロークを停止して、流量推定値を確認するようにより精密な容積測定を(たとえば、FMS測定を介して)行うように、コントローラをプログラムすることができる。したがって、流量低減によってもたらされる延長した圧送ストロークを完了する必要なしに、流量低減状態を検出することができる。これは、時間を節約することができ、患者の不快感を低減させることができ、ポンプカセットの全体的な流体スループットを増大させるのに役立つことができる。それはまた、治療が、排液段階の最後から次のサイクルの充填段階まで迅速に移行することができるようにすることも可能である。この効率の向上により、より長い治療時間を滞留に割り当てることができる。一例では、流量推定値が50mL/分の閾値未満であるときに流量低減状態を宣言するように、コントローラをプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、流量低減状態が宣言される前に、流量は、所定期間(たとえば、30秒間)、閾値未満であり続けなければならない場合がある。
任意選択的に、異なる流量閾値によって定義される複数の流量低減状態分類法があり得る。たとえば、低い流量閾値(たとえば、<50mL/分)に加えて、低い流量閾値より低く(たとえば、<15mL/分)設定される「流れなし」閾値を認識するように、コントローラをプログラムすることができる。
図61は、ポンプストローク中に流量低減状態を検出するために使用することができる複数のステップ例を概説するフローチャートを示す。図示するように、ステップ5270において、ストローク前FMS測定を行って、制御室の開始容積を求めることができる。そして、ステップ5272においてストロークが開始される。ステップ5274において、圧力調整または維持波形における圧力減衰をモニタリングすることができ、それにより、リアルタイム制御室容積変化および流量を推定することができる。流量が、所定期間、所定流量を超える限り、コントローラはポンプストロークを続ける。ステップ5274に記載したように、コントローラは、圧力減衰波形をモニタリングし続ける。ストロークの終了に達した場合、ステップ5276においてストローク終了FMS測定を行って、ストローク終了制御室容積を求めることができる。コントローラが、流量が所定期間、所定流量未満であると判断した場合、ステップ5278においてFMS測定を行って、流量低減状態が存在することを確認することができる。流量低減状態が確認されない場合、ストロークは続くことができ、コントローラは、ステップ5274において上述したように、制御室圧力調整または維持波形に基づいて、流量を計算し続ける。
ステップ5278において、FMS測定によって流量低減状態が確認された場合、ステップ5280において、流量低減または閉塞通知、警告または警報をユーザに送信することができる。これは、ユーザインターフェースを介して行うことができ、可聴メッセージまたは音声、振動表示等によって達成することができる。サイクラコントローラによって生成される応答は、検出される流量によって決まる可能性がある。閉塞が存在することを示す前に、流体リザーバ(または、流体ラインに応じて、腹膜腔内)への流体の押戻しをトリガすることができる。押戻しの試みが不成功である場合、コントローラは、閉塞警告を発することができる。
いくつかの実施形態では、流量低減状態が検出された場合、サイクラコントローラは、圧送動作(たとえば、排液段階)に対する目標容積が達成されたか否か(たとえば、腹膜排液の完了)を確認することができる。目標容積以上が移動した場合、コントローラは、圧送動作が完了したことを宣言することができる。いくつかの実施形態では、装置コントローラは、流体リザーバ(たとえば、溶液バッグ、ヒータバッグまたは患者の腹膜)が実質的に空であることを確実にするために、最低限の規定された時間が経過していることを要求することができる。
ポンプストローク中の流体流のリアルタイム測定により、フルポンプストローク容積未満、またはフルポンプストローク容積の整数倍の所定流体容積送達を目標とすることができる。圧力測定を通して推定されたチャンバ容積変化が、目標容積が送達されたかまたは引き出されたことを示すときに、ストロークを終了するようにコントローラをプログラムすることができる。これが発生すると、コントローラは、FMS測定を開始して、目標容積に実際に達したことを確認することができる。リアルタイム流体流測定により、複数回FMS測定を行う必要をなくすことができる一方で、目標容積を超過するのを回避するように小さい容積の部分ストロークを繰り返し行うことができる。こうした目標設定方式は、目標容積に近づくが超過しないで費やされる時間の長さが、本来、圧送動作における比較的長い時間をとる小児科用途において特に望ましい場合がある。
図62は、流体の目標容積が移動したときを判断するために使用することができる複数のステップ例を概説するフローチャートを示す。図示するように、ステップは、ストローク中の圧力減衰の測定値に基づいて、推定された、移動した容積を利用して、目標容積が達成されていると推定されたときにストロークを終了する。ステップ5290において、圧送動作が開始する。この動作は、たとえば、腹膜透析サイクルに対する充填段階であり得る。圧送動作が開示すると、FMS測定を行うことができ、ステップ5292に示すように、ポンプストロークが開始される。ストローク中、ステップ5294において、圧力調整または維持波形における圧力減衰をモニタリングすることができる。これにより、ストロークが進行するに従い、容積および流量の推定が可能になる。ステップ5296において、ストロークが終了することができ、ストローク後FMS測定を行うことができる。サイクラコントローラは、計算された溶液容積を追跡して、目標容積と圧送動作中に送達された流体の総容積との差が全ポンプ室容積より大きいか否かを確かめる。大きい場合、コントローラは、ステップ5297において、続けて次のポンプストロークを命令する。目標容積と圧送された総容積との差が、1つの全ポンプ室の容積未満となるまであるテップ5294、5296および5297を繰り返すことができる。その容積未満となった時点であるテップ5298において、別の全チャンバ容積の送達により目標容積が超過された場合、ステップ5298が行われる。
ステップ5298において、圧送動作のための総送達容積と圧送動作に対する目標容積との差として、目標設定トリガを設定することができる。そして、ステップ5300において、コントローラが、圧力減衰測定を通して目標容積に達したことを計算するまで、ポンプストロークは続けることができる。計算した時点であるテップ5302を行うことができ、そこでは、ストロークは終了し、FMS測定を行って、目標容積の流体が移動したことを確認することができる。
ポンプストローク中に圧力減衰曲線から推定された流量を計算することにより、コントローラは、所定流体容積をより精密に送達するために、1つまたは複数の弁を事前に閉鎖することも可能である。すなわち、コントローラコマンドと弁の機械的応答との間に遅延を考慮して、目標容積が送達される前に弁を閉鎖することができる。そして、弁を物理的に閉鎖するために必要な期間中発生する流れにより、目標容積を実質的に満たすことができる。特に、コントローラは、弁を物理的に閉鎖するために必要な時間の長さを推定することができる。いくつかの実施形態では、この推定値は事前プログラムされた値であり得る。たとえば、特定の弁の構成に対して、応答遅延はおよそ100ミリ秒であり得る。流量のリアルタイム計算に基づいて、弁応答遅延中に移動した流体の容積を推定することができる。この流体の量を目標容積から減じて、弁閉鎖トリガ容積をもたらすことができる。弁閉鎖トリガ容積が満たされると、サイクラコントローラは、弁に対して閉鎖するように命令することができる。
容積測定ポンピング容積較正
サイクラ14が患者に提供される前に、サイクラ14によって行われる容積測定ポンプ測定値を較正することができる。較正の出力として、サイクラ14は、その後、サイクラ14によって収集された容積測定値を調整するためにポンピング中に使用される較正データを提供され得る。これは、特定のサイクラ14に特有の容積計算におけるエラーを軽減するのに役立つ可能性がある。本明細書の他の場所で述べられるように(例えば、図53A~55を参照)、較正は、使い捨てカセット24をサイクラ14に取り付けこと、およびマススケールへの、またはマススケールからの流体のポンピングによって達成され得る。サイクラ14の較正係数は、伝達された測定された質量およびサイクラ14によって計算されたFMS値に基づいて計算され得る。
しかしながら、そのような較正は、使い捨てカセット24間の製造上の違いに応じて、その精度にある程度の変動を受ける可能性がある。そのような違いは、カセット24の製造ロット間で生じ得る。さらに、特定のロット内に違いが存在し得る。カセット24上のシートまたは膜15の態様は、潜在的にある程度の変動性に寄与し得る。事前に形成された領域がシート15に含まれる場合、いくつかの変動性は、事前に形成された生成プロセスに起因し得る。さらに、較正プロセスの間、カセット24は、液体を含む状態または湿った状態にあってもよい。空気がカセット24に残っている場合、この空気が較正に影響を与え得る。
いくつかの実施形態では、較正中に使い捨てポンプカセット24の代わりに、1つまたは複数の容量測定標準セットまたは容積較正カセットを使用することができる。本明細書に詳述されるサイクラ14に関連して説明されているが、そのような容積測定標準カセットは、他のカセットベースのポンプシステムにおいて同様に使用され得る。一般に、容積測定カセットは、サイクラ14とインターフェースし、使い捨てカセット24であるかのように制御ガスケット148に対してシールするように、使い捨てカセット24と同様の寸法であり、同じ一般的なレイアウトを有し得る。使い捨てカセット類似体として機能する容積測定標準カセットの場合、較正は、典型的な使い捨てカセット24に存在するのと同様の状況下で実行することができる。サイクラ14は、使い捨てカセット24と同じ方法で制御ガスケット148を介して容積測定標準カセットに圧力を加えることができる。容積測定標準カセットは、流体をポンピングしないか、または流体ポンピングに完全に使用できない場合があるが、上記のように気体法則に基づいて容積測定を行うために使用することができる。様々な容積測定標準カセットのポンプ室領域は、特定のポンプ室充填容積を模倣するように設計され得るので、サイクラ14は、その測定の結果がどうあるべきかを知って、制御室171B(例えば、図43を参照)容積の測定を行うことができる。したがって、容積較正カセットを用いて制御室171B(例えば、図43を参照)の容積測定を行うことにより、その特定のサイクラ14によって収集された容積測定データの誤差を調整するための較正を行うことができる。サイクラ固有で、使い捨てカセットの変動、質量スケールの分解能に関連する制限、またはその他の要因の影響を受けない。さらに、または代わりに、そのような容積較正カセットは、製造中のプロセス試験手順の一部として使用され得る。例えば、容積測定カセットを使用して、サイクラ14の理想的なベースラインを確立することができる。使い捨てカセット24は、サイクラ14によって試験され、このベースラインと比較され得る。使い捨てカセット24が所定の量を超えて理想的なベースラインから逸脱する場合、関連する使い捨てカセット24(例えば、同じロットからのもの)をさらに検査するために選び出すことができる。
これらの容積測定標準カセットは、頑丈で、剛性があり、寸法的に安定した材料で構成することができる。例えば、鋼またはアルミニウムなどの様々な金属を使用することができる。特定の実施形態では、ABS、ポリカーボネート、アクリル、アルテム、ピーク、および/またはPETなどのプラスチックを使用することができる。セラミック、ガラスなどの他の材料も可能である。これらの容積較正カセットは、機械加工、射出成形、材料添加プロセス(3D印刷など)によって構築、またはその他の適切な方法で作成できる。容積較正カセットは、流路が流体で満たされた事前に準備されたカセットをエミュレートする場合がある。これらのカセットのポンプ室領域は、理想的な使い捨てポンプカセット24における所望の充填量を表すように選択される事前定義された形状を有するように設計され得る。いくつかの容量測定標準セットは、選択された様々な充填ボリューム(例えば、実質的に満杯、実質的に空または完全に送達された、およびそれらの間の任意の数の充填ボリューム)を反映するように構築され得る。任意の特定の容積の容積測定較正カセット上のポンプ室の形状は、そのポンプ室181が同じ容積を含む場合に使い捨てカセット24に存在するものと類似の形状を有するように選択することができる。いくつかの実施形態では、容積測定標準または較正カセット上のポンプ室の形状は、所望の容積を含むようにサイクラ14によって操作されるとき、理想的な使い捨てカセット24のポンプ室181の形状を模倣し得る。容量測定標準セットが異なる容積を表すように構成されている場合でも、任意の容量測定標準セットのポンプ室領域の表面積はすべて実質的に等しくてもよい。使い捨てポンプカセット24のシート15は、ポンピングストロークの範囲にわたって最小の伸長を示すので、これは望ましい場合がある。したがって、シート15のポンプ室領域151の表面積は、使い捨てポンプカセット24のポンプ室181に含まれる容積に関係なく実質的に変化してはならない。取り付けられた容積測定較正カセットの容積測定中の方法。構築後、容量較正カセットの容量の検証を行うことができる。これは、重量、水置換量、ビジョンシステムで実行される特性評価、3D CMSでの測定、またはその他の適切な方法で行うことができる。いくつかの例では、容積較正カセットのポンプ室領域の表面積も検証することができる。
ここで、図63A~63Cには、例示的な使い捨てカセット24のいくつかの図が示されている。図。使い捨てカセット24の上面図を示す。使い捨てカセット24は、図63および図63Bおよび63Cの断面(図63Aの対応する切断面で取られた)で示されている。図63Bに示されるように、使い捨てカセット24は、カセット24の中央本体44を通過するいくつかの流路を含む。さらに、カセットの中央本体44から離れて突出するいくつかの壁46および弁ポート186がある。リム48は、使い捨てポンプカセット24の周囲に存在し、壁46の高さよりも高い高さまで延びる。膜15は、このリム48に取り付けられている。これらの特徴は、上でより詳細に説明されている。
図63Cを参照すると、使い捨てポンプカセット24のポンプ室181は、送達された状態で示されている。この状態では、膜15は、動作中にエアトラップとして機能するようにポンプ室181のいくらかの容積を残すスペーサ50に対して対向している。ポンプ室181およびスペーサ50は、上でさらに説明される。示される使い捨てカセット24は、いくつかの入口/出口ポート150、152、154、155を含む。
対照的に、図64A~64Cは、例示的な容積測定または標準較正カセット4000Aの様々な図を示している。この容積測定カセット4000Aおよび本明細書に記載の他のものは、図63A-63Cに示されるものならびに本明細書の他の場所に示されているもの(例えば、図6に示されているスパイク160を備えた使い捨てカセット24)と同様の使い捨てカセット24で動作するようにサイクラ14を較正するために使用され得る。例示的な容積測定較正カセット4000Aの上面図が図64Aに示されている。 容積較正カセット4000Aは、使い捨てカセット24と同等またはほぼ同等の全体的なフットプリントを有し得る。容積較正カセット4000Aなどの容積較正カセットには、シート15を含めることはできない。図64B(図64Aの線64B-64Bで取られた断面)では、容積較正カセット4000Aは、流路、オリフィス、弁ポート、ミッドボディ4044内のパススルーなどを欠いている可能性がある。較正カセット4000Aは、中実のミッドボディ4044を含み得る。ミッドボディ4044は、使い捨てカセット24のそれよりも厚くてもよい。例えば、ミッドボディ4044は、使い捨てカセット24のミッドボディ44の少なくとも2倍の厚さ、または2から3倍の厚さであり得る(例えば、図63Bを参照のこと)。例示的なミッドボディ4044は、容積測定較正カセット4000Aの厚さの大部分(約2/3)を超えて延びる。中央体4044の厚さは、様々な実施形態において、容積測定較正カセット4000Aの最も厚い部分の厚さの1/2から3/4の間であり得る。
例示的な容積測定カセット4000A(および本明細書に記載の他のもの)は、使い捨てカセット24と同じ位置に壁4046を含む。これらの壁は、ミッドボディ4044から使い捨てカセット24と同じ点まで延びることができる。いくつかの実施形態では、ポンプ室の反対側の容積測定標準カセットの側面は、壁がなく、実質的に平坦であり得る。壁は、容積較正カセット4000Aがサイクラ14に取り付けられたときに、制御ガスケット148の部分を押すシーリング壁またはリブとして機能することができる。したがって、壁は、サイクラ14の制御室171が、容積測定カセット4000Aがサイクラ14内に取り付けられた後の制御ガスケット148の他の領域との通信から隔離されることを確実にすることができる。。
例示的な容積較正カセット4000Aはまた、突起4048を含む。これらの突起4048は、使い捨てカセット24の弁ポート186の位置に配置され、使い捨てカセット24の弁ポート186と同じ高さまで延びる。突起4048は中実である。オリフィスは含まれていない。代替の実施形態では、オリフィスが含まれ得る。各突起は、中央体4044から延びる壁によって完全に囲まれ得る。
例では、壁および突起4048は、拡大された中央体4044のために、中央体4044の表面から測定される高さがより短い。いくつかの実施形態では、壁および/または突起4048は、それぞれの端部のわずかに上の点まで延びることができる。使い捨てカセット24内の壁または弁ポート186の点。例えば、壁および/または突起は、膜15の厚さに等しい(またはほぼ同じであるが、おそらくわずかに大きい)追加の距離を延ばすことができる。これは、較正手順のためにサイクラ14に取り付けられたときに、容積測定較正カセット4000Aを使い捨てカセット24により近いアナログにするのに役立つ可能性がある。壁は、容積較正カセット4000Aがサイクラ14に取り付けられているときに、ガスケット148(例えば、図33A~Cを参照)がミッドボディ4044に接触するのを防ぐのに十分な高さを有し得る。
さらに、成形を容易にするために使い捨てカセット24上に存在するドラフトは、特に容積較正カセット4000Aが機械加工されている場合、容積較正カセット4000A内で除去され得る。同様に、容積測定較正カセット4000Aの壁または縁の半径などの特定の曲率は、機械加工を容易にするために除去またはよりきつくすることができる。いくつかの実施形態では、突起4048も同様に省略され得る。例示的な容積較正カセット4000Aはシート15を含まない(すなわち、開いた面である)ので、使い捨てカセット24上に存在するリム48は、較正カセット4000Aの壁4046と均一な高さであり得る。さらに、入口/出口ポート150、152、154、155を取り外すことができる。図64Cでは、スペーサ50(例えば、図63Cを参照)の代わりに、容積測定較正カセット4000Aのポンプ室領域4181Aは固体であり得る。本明細書に記載されている他の容積較正カセットは、同様の構造のものであり得る。本明細書に示される容積較正カセットは中実として描かれているが、特定の実施形態は中空であるか、または中空領域を有し得る。
図64D~67Bには、いくつかの例示的な容積較正カセット4000A~Dが示されている。64A~64Dに示される容積較正カセット4000Aは、そのポンプ室領域4181Aが、理想的な使い捨てカセットで完全に送達された状態を模倣するように形作られるように構築されている。図65A~65Bは、そのポンプ室領域4181Bが部分的に充填された使い捨てカセット24ポンプ室181を模倣するように構成された別の容積較正カセット4000Bを示す。図65A-65Bはそれぞれ、理想的な使い捨てカセット24内の5.625mlの充填容積を表す形状を有する。別の容積較正カセット4000Cが図66A-66Bに示されている。この容積測定カセット4000Cは、そのポンプ室領域4181Cが部分的に満たされた使い捨てカセット24ポンプ室181を模倣するように再び形作られる。図66A-66Bは、理想的な使い捨てカセット24の11.250ml充填量を表す形状を持っている。図67A-67Bは、部分的に充填された使い捨てカセット24ポンプ室181を模倣するポンプ室領域4181Dを備えたさらなる容積較正カセット4000Dの例を示す。各ポンプ室領域4181Dは、理想的な使い捨てカセット24における16.875mlの充填容積を表す形状を有する。
容積較正カセット4000B~Dの断面図(すべて図64Aの切断面64C-64Cの位置で切り取られた)が図68A-68Cに示されている。示されるように、容積測定カセット4000B~Dのポンプ室領域4181B~Dは、ポンプストロークが発生するときの使い捨てカセット24内の膜15の曲率を模倣するように輪郭を描かれ得る。これは、制御室171の容積測定が行われているときに、制御ガスケット148が容積較正カセット4000B~Dに対して面一に着座できることを確実にするのに役立つ可能性がある。他の実施形態では、ポンプ室領域4181B~Dの輪郭は、より鋭い特徴で構築され得る。すなわち、曲率は半径がより小さくあり得、ポンプ室領域4181A~Dは、プラトー、平坦、またはほぼ平坦である部分を有し得る。好ましくは、容積測定較正カセット4000B~Dは、それらのポンプ室領域4181B~Dがいかなるアンダーカット特徴もないように構築されるべきである。しかしながら、いくつかの容積測定較正カセットは、それらのポンプ室領域に、ミッドボディ4044に垂直であるか、またはミッドボディ4044にほぼ垂直である部分を有する場合がある。
図69A-69Bには、いくつかの例示的な容積較正カセット4000E~Hが示されている。これらの容積較正カセット4000E-Hには、より鋭い特徴といくつかのプラトー領域を備えたポンプ室制御領域4181E-Hが含まれている。図69A~69Bは、そのポンプ室領域4181Eがそれぞれ5.625mLの充填容積を表す形状を有するように構造化された容積較正カセット4000Eを示している。図70A-70Bに示される容積測定較正カセット4000Fは、そのポンプ室領域4181Fのそれぞれが11.250mLの充填量を表す形状を持つように構成されている。図71A-71Bは、ポンプ室領域4181Gの形状が16.875mLの充填容量を表す、さらなる容量較正カセット4000Gの例を示している。図72A-72Bの例示的な容積較正カセット4000Hは、使い捨てカセット24内の完全なポンプ室容積(22.5ml)を表すようにそれぞれが形作られたポンプ室領域4181Hを有する。容積測定カセット4000B~Dの断面図(すべて、図64Aの切断面64C-64Cの位置で切り取られたもの)は、図73A-73Dに示されている。
所定の容積で満たされたときに使い捨てセット24によって想定されるシート15の実際の形状に対するポンプ室領域4181A~Hの忠実度は、実行される容積測定のタイプに応じてより重要である可能性がある。正のFMSと負のFMSを実行できる場合(上記)、より忠実なものが望ましい場合がある。特定の例では、シート15の形状は、使い捨てカセットを通してエポキシなど(例えば、充填剤を含むエポキシ)をポンピングし、使い捨てカセットのポンプ室が所望の充填または配送状態にあるときにエポキシを硬化させることによって決定または近似することができる。好ましくは、使用されるエポキシまたは他の材料は、硬化中に予測可能なまたは最小の容積収縮を示し得る。
図74を参照すると、少なくとも1つの容積測定較正カセットを用いて較正を実行するために実行され得るいくつかの例示的なアクションを詳述するフローチャート4100が示されている。示されるように、容積標準または較正カセットは、ブロック4102のサイクラ14に設置され得る。これは、ドア141のロックおよび取り付け位置145の後ろのドア141(例えば、図31を参照)における空気袋の膨張を含んで(例えば、図31を参照)、取り付け位置145と制御面148(例えば、図31を参照)との間の容積較正カセットを圧迫する。容積測定標準カセットは、治療を実施する際に使用される使い捨てポンプカセット24と同じ取り付け位置145に設置することができる。したがって、取り付け位置145は、使い捨てポンプカセット24および容積較正カセットの両方を受け入れるように構成され得る。流体トラップはまた、ブロック4102において負圧にさらされ得る。サイクラ14は、ブロック4104において設置された容積測定標準カセットのポンプ室領域の容積を測定し得る。容積測定標準カセットのポンプ室領域の容積測定。例えば、制御室の容積測定を介して間接的であり得る。これを行うために、サイクラ14は、前述のようにFMS測定を実施することができる。ブロック4106において、その容積測定較正カセットを使用して行われる追加の測定がある場合、サイクラ14はブロック4104に戻ることができる。通常、サイクラ14は、各制御室171に対していくつかのFMS測定を行うことができる。充填ストロークの一部を完了または完了した後、容積測定(例えば、本明細書の他の場所で説明されるようなFMS測定)を実施するかのように、いくつかのFMS測定を実施する。サイクラ14は、送達ストロークの一部を完了または完了した後にFMS測定を実施するかのように、いくつかのFMS測定を実施することができる。さらに、サイクラ14は、正のFMSを使用していくつかの測定を実行し、負のFMSを使用していくつかの測定を実行することができる。これらのプロセスについては、上記で詳しく説明している。行われる任意の測定は、サイクラ14の制御室171のそれぞれから個別に行われ得る。さらに、測定は、サイクラ14によって利用される異なる充填および送達ポンプ圧力対について行われ得る。例えば、サイクラ14は、患者から排出先に流体をポンプで送るときに患者の快適さを向上させるために、比較的低い圧力を使用し、その後高い供給圧力を使用し得る。ソースソリューションバッグからヒータバッグにポンピングする場合、流体の移動を高速化するために、高い充填圧力と供給圧力を使用できる。そのようなポンプ圧力対は、本明細書の他の場所でより詳細に説明されている。
特定の容量標準または較正カセットに対してすべての測定が行われたら、補正曲線をより正確に作成するために、他の容量較正カセットを取り付けることができる。ブロック4108に追加の容積測定カセットがある場合、ブロック4110において、サイクラ14のドアを開いて、前のカセットを取り外すことができる。ブロック4102、4104、4106は、すべての容積測定較正カセットがデータ収集に使用されるまで繰り返すことができる。実施形態に応じて、10個未満のカセット(例えば、4~5)があり得るが、より多くの数(例えば、ダース、2ダース、またはそれ以上)が使用され得る。特定の例において、容積測定較正カセットは、実質的に空のポンプ室を有することから実質的に満杯のポンプ室を有することまで1mLの増分で構築され得る。あるいは、容量較正カセットは、ポンプ室の全容量のパーセンテージで増分することができる。空から始めて、さらに、各容量較正カセットに総充填量の5%または10%を追加できる。典型的には、使用される容積較正カセットは、完全に送達され、完全に満たされたポンプ室を備えた代表的な使い捨てカセットである少なくとも容積較正カセットを含み得る。ポンプ室が異なる量に部分的に充填されている使い捨てカセットを代表する多数の(例えば、2~3個以上の)容積較正カセットも使用することができる。いくつかの実施形態では、使い捨てポンプカセット24のポンプストローク容積範囲外の容積を有する容積測定較正カセットも使用することができる。例えば、空よりも大きい状態を表すポンプ室容積を有する容積測定標準カセットを使用することができる。そのような容積測定標準カセットは、例えば、空の使い捨てカセット24ポンプ室181を表す容積測定標準カセットの予想容積の約110~150%(例えば、125%)の制御室容積を生成するように設計され得る。そのような容積較正カセットは、構築された補正曲線の導関数が、使い捨てポンプカセット24の通常のポンピング範囲の範囲外で急速に増加または減少しないことを確実にするのに役立ち得る。
ブロック4108において、追加の容積測定較正カセットが存在しない場合、1つまたは複数の補正曲線がブロック4112で生成され得る。この補正曲線は、そのサイクラに固有である可能性がある容積測定誤差を補正するサイクラ固有の較正方程式として機能し得る。標準化された容積較正カセットのセットが使用されるため、このサイクラ固有の補正曲線は、サイクラ自体に起因する容積測定誤差を補正する場合がある。使い捨てカセットの変動による寄与は導入されない可能性がある。正および負のFMSに対して補正曲線が生成される場合、ブロック4112において2つの補正曲線が生成され得る。また、ストローク関連の測定値の配信およびストローク関連の測定値の充填のために補正曲線が生成され得る。サイクラが使用するポンプ圧力ペアごとに補正曲線を生成できる。さらに、個々の制御室ごとに任意の補正曲線を生成することができる。補正曲線は、サイクラ14によって取られた関連する測定された制御室容積、および容積測定較正カセットのポンプ室領域が表す既知の容積に基づいて生成され得る。いくつかの実施形態では、補正が特定の大きさよりも大きい場合、サイクラ14は、さらなる検査のためにフラグを立てることができる。制御室の複数の読み取り値が特定の条件のセットについて各容積較正カセットから取得される場合、これらの読み取り値は一緒に平均化されるか、そうでなければ単一の値に到達するために分析される。これらの単一の値を使用して、補正曲線を生成できる。最適な多項式などの直線または曲線は、データセットに含まれる値を介して近似できる(たとえば、最小二乗回帰などの線形または非線形回帰分析で決定される)。他の実施形態では、条件の特定のセットごとに収集されたすべての測定値は、線または曲線に適合し得る(例えば、最小二乗回帰などの線形または非線形回帰分析で決定される)。いくつかの実施形態では、線または曲線は、様々な制約を受ける可能性がある。たとえば、特定の領域での直線または曲線の許容微分値に対する一連の制限が適用される場合がある。例えば、容積測定標準カセットから収集されたデータポイントのすぐ外側の線または曲線の領域は、そのような制約を受ける可能性がある。微分値は、事前定義された範囲内にある必要がある場合がある。そのような制約は、例えば、容積較正カセットがモデル化された使い捨てカセット24の予想されるポンプ室181の容積を1~5ml超えるラインの領域に適用され得る。線または曲線のゼロ交差は、そのような制約を受ける可能性がある。
各特定の条件のセットで測定の各セットから単一の値を生成する前、または線または曲線を生成する前に、収集された測定値を分析して、いくつかの事前定義された基準への適合を決定することができる。たとえば、読み取り値をチェックして、正規分布などの期待される分布があることを確認し、不適合が検出された場合にエラーが生成される場合がある。いくつかの例では、標準偏差または他の変動性測定値が、測定値の各セットについて計算され、許容閾値と比較され得る。閾値を突破すると、エラーがトリガされる場合がある。あるいは、収集されたデータが好ましくないと判断された場合、サイクラ14は、データが再収集され得るように、容積測定標準または較正カセットを再インストールするようにユーザに促すことができる。エラーがトリガされるまでに許可される再収集の試行回数に上限がある場合がある。補正曲線は、それが生成されたとしても、方程式または潜在的にルックアップテーブルとして、ブロック4114においてサイクラ14のメモリに格納され得る。
図75を参照すると、サイクラ14の制御室の例示的な較正曲線を示すグラフ4120が示されている。示されるように、いくつかの点4122A~Eがグラフ4120上にプロットされている。各点4122A~Eは、特定の容積較正カセットについてサイクラによって測定されたように、生の制御室容積に対する特定の容積較正カセットによってサイクラ制御室内で測定されるべきであった既知の空気容積を示すためにプロットされる。示されているように、5つの異なる例示的な容積較正カセットからの例示的なデータが含まれている。実施形態に応じて、より多くのまたはより少ない数の容積測定較正カセットを使用することができ、グラフ上のデータポイントの数はこれを反映するであろう。各点4122A~Eによって表される生の値は、特定の容積較正カセットごとに行われるであろう測定の数の平均を表す。使い捨てカセット24が使用されている場合、サイクラ14の制御システムの構成要素(例えば、プロセッサまたはFPGA)は、生の測定データをこの方程式に入力して、制御室容積のより厳密な決定に到達することができる。これは、サイクラ14が使い捨てカセット24を介して流体を圧送するので、制御システム16による流体移動会計の精度を高めることができる。
図76に示されるように、いくつかの実施形態では、サイクラ14が較正されると、サイクラ14の較正曲線はさらに修正され得る。較正曲線は、例えば、容積測定較正カセットで事前較正されたサイクラ14で使用されるいくつかの使い捨てカセット24から収集されたデータに基づいて、改良された較正曲線に調整され得る。これは、シート15などの使い捨てカセット24の態様が、サイクラ14によって実行される容積移動測定の精度をさらに高めるのに役立つ可能性がある最終的な改良された較正曲線で説明されることを可能にし得る。この改良は、特定の実施形態では一度行われ得る。あるいは、較正曲線の改良はロット固有であり、新しい使い捨てカセット24がサイクラ14に取り付けられたときに各治療を更新することができる。したがって、いずれの場合でも、サイクラ14によって使用される最終的な較正曲線は、サイクラ14固有の補正および使い捨てカセット24関連の補正から構成され得る。
図76は、サイクラ14によって使用され得るいくつかの較正曲線4192、4194、4124を示す例示的なグラフ4190を示している。具体的には、サイクラ14固有の曲線4124、使い捨て補正曲線4194、および最終補正曲線4192がプロットされている。最終的な補正曲線4192は、特定の実施形態では、以下の式を介して決定することができる。
VFinal = Vcyclercorrected(Vm) + Vdisposablecorrected(Vm)
ここで、Vcyclercorrectedは、特定のサイクラの14のエラーの寄与を補正した未加工の測定された制御室の容量(Vm)であり、Vcyclercorrectedは、使い捨て関連のエラーの寄与を補正した未加工の測定された制御室の容量である。結果として、VFinalは、サイクラ14および使い捨てポンプカセット24に関連する容積測定誤差を補正する改良された較正曲線である。実施形態に応じて、Vcyclercorrectedは、AVm
3+BVm
2+CVm+Dなどの方程式であり得る。ここで、Vmはサイクラの生の制御室測定値であり、A、B、C、およびDは、較正データに基づいて最適なフィットを生成するために決定された係数である。再び実施形態に応じて、Vdisposablecorrectedは、EVm
3+FVm
2+GVm+Hなどの方程式であり得る。ここで、Vmはサイクラの生の制御室測定値であり、E、F、G、およびHは、較正データに基づいて最も適合したものを生成するために決定された係数である。VcyclercorrectedとVdisposablecorrectedの両方が上記の3次方程式として示されているが、他の実施形態では、これらは高次または低次の多項式であり得る。いくつかの実施形態では、選択される多項式は、例えば、5次の最適な多項式までの線形方程式の選択から最高のR2値を生成するものであり得る。
他の実施形態では、最終的な補正曲線は異なって決定され得る。いくつかの実施形態では、VFinalは複合関数に等しくてもよい。第1の機能は、生の制御室容積測定(Vm)に適用され得る。次に、この結果に第2の関数を適用して、VFinalの決定に到達することができる。例えば、いくつかの実施形態では、以下のような方程式:
VFinal = Vdisposablecorrected(Vcyclercorrected(Vm))
を使用できる。
そのような実施形態では、生の測定された容積(Vm)は、上記と同様に、修正されたサイクラ容積測定値(Vcyclercorrected)をもたらす関数に供給され得る。次に、Vcyclercorrectedは、使い捨て関連のエラーの寄与を修正する関数にフィードして、最終ボリューム(VFinal)に等しいVdisposablecorrectedを提供する。 Vdisposablecorrectedは、EVcyclercorrected
3+FVcyclercorrected
2+GVcyclercorrected+Hなどの方程式であり得る。ここで、E、F、G、およびHは、最適なものを生成するために決定された係数である。上記のように、三次方程式の使用は例示的であり、高次または低次の多項式を他の実施形態で使用することができる。
図77を参照すると、サイクラ14の較正曲線を改良するために使用され得るいくつかの例示的なアクションを示すフローチャート4170が示されている。ブロック4172では、容量測定標準セットで事前に較正されたいくつかのサイクラ14を選択することができる。選択されたサイクラ14は、それらが特定の事前定義された基準に適合するように選択され得る。例えば、使い捨てカセット24は、事前に較正されたサイクラ14に設置され得、そしてデータが収集され得る。このデータは、ある程度の事前定義された測定精度で動作しているサイクラ14のグループを識別するためにスクリーニングされ得る。事前定義された分散基準(許容標準偏差など)は、すべてのサイクラ14が類似しており、典型的なサイクラ14ユニットを代表するように、任意の特定のテスト条件のセットについてサイクラ14の測定値に課され得る。
ブロック4174において、いくつかの使い捨てポンプカセット24は、サイクラ14を使用して試験され得、試験からのデータは、ブロック4176において収集され得る。試験された使い捨てポンプカセット24は、複数の異なる製造ロット(例えば、10以上)から選択され得る。さらに、多数(例えば、数十)の使い捨てポンプカセット24を各ロットから選択することができる。これらの使い捨てポンプカセット24は、リザーバからの様々な量の流体のポンピングを命令し、これらのボリュームの移送中に収集されたサイクラ14からの測定値を、リザーバを監視するスケールによって決定される結果として生じる重量デルタと比較することによって試験され得る。
ブロック4178において、データは結合され得る。これは、さまざまな方法で実行できる。たとえば、すべての生データポイントを組み合わせることができる。これらのデータポイントは、サイクラ14によって測定された移送容積と、リザーバから変位された測定された容積(例えば、密度を使用してスケール上の重量デルタから変換された)を含む対であり得る。あるいは、特定の使い捨てポンプカセット24について収集されたデータを分析することができ、各使い捨てポンプカセット24についての分析の出力を組み合わせることができる。例えば、各使い捨てポンプカセット24の補正曲線は、その使い捨てポンプカセット24を使用して収集された生データから生成され得、これらの補正曲線のそれぞれが組み合わされ得る。
ブロック4180において、補正曲線は、組み合わされたデータを使用して生成され得る。この補正曲線は、ブロック4182の各サイクラ14の容積測定標準カセットを使用して生成された較正曲線を改良するために使用できる。したがって、特定のサイクラ14に固有のエラーおよび使い捨てポンプカセット24に共通の側面に起因するエラーを考慮した改良された較正曲線を作成することができる。
本明細書の他の場所で言及されているように、サイクラ14は、いくつかの異なる較正曲線を使用して動作することができる。例えば、サイクラ14は、送達ストロークを実行するときに、一組の送達較正曲線のうちの1つを使用することができる。使用される特定の送達曲線は、その送達ストロークに使用されるポンプ圧に基づいて決定することができる。同じことが充填ストロークにも当てはまりる。これらの較正曲線のそれぞれは、上記の方法で使い捨てポンプカセット24から収集されたデータに基づいて修正されて、改良された較正曲線を作成することができる。
図78を参照すると、差し迫った治療で使用されようとしている使い捨てカセット24に関連する情報に基づいて特定のサイクラ14の較正曲線を改良するために使用できるいくつかの例示的なアクションを示すフローチャート4150が示されている。示されるように、較正データは、ブロック4152において使い捨てポンプカセット24の特定の製造ロットについて収集され得る。これは、図77に関連して上記で説明されたのと同様に行われ得る。ブロック4154において、このデータは、データベースに格納され、その製造ロットの一意の識別子に関連付けられ得る。ブロック4156において、サイクラは、差し迫った治療で使用されようとしているカセットの製造ロットの一意の識別子を決定することができる。いくつかの実施形態では、サイクラ14は、使い捨てカセット24、セット12のオーバーパック、またはセット12の他の部分に含まれるロット識別子を入力するようにユーザにプロンプトを生成することができる。この情報は、サイクラ14のユーザインターフェースまたはタッチスクリーンディスプレイに入力することができる。いくつかの実施形態では、識別子(例えば、バーコード、データマトリックス、QRコード、RFIDなどのコード化された識別子)は、カセット24、オーバーパック、またはセット12の一部に含まれ得る。サイクラ14は、サイクラ14の一部として含まれるか、またはUSBポート、RS―232ポートなどの接続ポートを介して補助デバイスとしてサイクラ14に取り付けられた走査装置を用いてこの識別子を走査するようにユーザに促すことができる。サイクラ14が自動IDアセンブリを含む実施形態では、そのアセンブリのイメージャを使用して、識別子からデータを収集することができる。次に、ロット識別子に関連付けられた絞り込みデータは、ブロック4158のサイクラ14によってデータベースから収集され得る。特定の例では、サイクラ14は、無線または有線ネットワークまたはインターネット接続を介してサーバーからこのデータを収集し得る。ブロック4160において、サイクラは、使い捨てカセット24ロットに関連する改良データを使用して、改良された較正曲線を生成することができる。これは、本明細書の他の場所で説明されているように行うことができる。ブロック4162において、使い捨てカセット24は、サイクラ14に設置され得、そして処置は、改良された較正曲線を使用して開始され得る。
図79を参照すると、製造24中に使い捨てカセットの製造ロットを試験するために使用され得るいくつかの例示的なアクションを示すフローチャート4130が示されている。示されるように、ブロック4132において、サイクラ14は、本明細書の他の場所に記載されるように、いくつかの容積測定標準カセットを用いて較正され得る。任意選択で、サイクラ14の較正曲線への改良もまた、本明細書の他の場所で説明されるように適用され得る。使い捨てポンプカセット24の製造ロットは、ブロック4134で製造され得る。生産ロットからの使い捨てポンプカセット24は、ブロック4136において較正されたサイクラに配置され得る。サイクラは、使い捨てセットを介して所定の測定量の流体のポンピングを命令し得る。そして、流体リザーバの重量は、ブロック4138で監視され得る。したがって、いくつかの測定ペアが収集され得る。ペアの一方のメンバーは、サイクラ14によって実行される特定の容積移動の容積測定値である場合があり、他方は、その容積移動から生じたリザーバの重量変化測定である場合がある。各測定ペア間の比較は、ブロック4140で行うことができる。重量データは、比較中に流体密度を使用して容積に変換することができる。この比較により、較正されたサイクラの14の測定された転送量と、各データペアからの実際の重量で決定された転送量との間に偏差値が生成される場合がある。サイクラに起因する誤差が較正されているので、偏差は使い捨てポンプカセット24に起因する変動に起因するはずである。ブロック4142において、サイクラ容積測定値と重量データの対が所定の許容範囲内で一致しない場合、ブロック4144で、さらなるテストまたは調査から生産ロットにフラグが立てられる場合がある。あるいは、ロットが拒否される場合もある。ブロック4142で、サイクラの容積測定値と重量データが一致する場合、ロットが検査に合格したという表示がブロック4146で生成される場合がある。いくつかの実施形態では、特定の数のペアがロットの前に許容範囲を超える必要がある場合がある。ブロック4144でフラグが立てられる。
いくつかの実施形態では、製造ロットからの複数の使い捨てポンプカセット24を試験することができる。使い捨てポンプカセット24のそれぞれからの偏差データは、今説明したように、事前定義された許容閾値と一致するかどうかチェックされ得る。さらに、データをチェックして、使い捨てポンプカセット24間で予想される分布または分散レベルがあることを確認することができ、データがない場合は、ロットにフラグを立てることができる。
ヘッド高さの検出
状況によっては、カセット24またはシステム10の他の部分に対する患者の高さ方向の位置を決定することが有用な場合がある。例えば、状況によっては、透析患者は、流体の流れによる「引っ張り」または他の動きを感知することができる。充填または排出操作中に患者の腹腔に出入りする。この感覚を低減するために、サイクラ14は、充填および/または排出操作中に患者ライン34(例えば、図1Aを参照)に加えられる圧力を低減することができる。しかしながら、患者ライン34の圧力を適切に設定するために、サイクラ14は、サイクラ14、ヒータバッグ22(例えば、図1Aを参照)、ドレーン、またはシステムの他の部分に対する患者の高さを決定することができる。例えば、充填操作を実行するとき、患者の腹腔がヒータバッグ22またはカセット24の5フィート上に位置する場合、サイクラ14は、患者の場合よりも透析液を送達するために患者ライン34においてより高い圧力を使用する必要があるかもしれない。腹腔は、サイクラ14の5フィート下に位置している。圧力は、例えば、所望の目標ポンプ室圧力を達成するために、可変時間間隔でバイナリ空気源弁を交互に開閉することによって調整することができる。平均的な所望の目標圧力は、例えば、ポンプ室圧力が指定された量だけ目標圧力を下回っているときに弁を開いたままにし、ポンプ室圧力が指定された量の目標圧力を上回っているときに弁を閉じたままにする時間間隔を調整することによって維持することができる。。完全な一回拍出量の供給を維持するための調整は、ポンプ室の充填および/または供給時間を調整することによって行うことができる。可変オリフィスソース弁を使用する場合、弁の開閉間隔のタイミングに加えて、ソース弁のオリフィスを変更することにより、目標ポンプ室圧力に到達できる。患者の位置を調整するために、サイクラ14は、流体のポンピングを一時的に停止し、患者ライン34を、カセット24内の1つまたは複数のポンプ室181(例えば、図3を参照)と(例えば、カセット内の適切な弁ポート24を開くことによって)開いた流体連絡状態のままにすることができる。しかしながら、ポンプ室181の上部弁ポート192(例えば、図6を参照)などの他の流体ラインを閉じることができる。この状態で、ポンプの1つの制御室内の圧力を測定できる。当技術分野でよく知られているように、この圧力は、患者の「ヘッド」の高さと相関し、サイクラ14が患者への流体の送達圧力を制御するために使用することができる。同様のアプローチを使用して、ヒータバッグ22(一般に知られている)および/または溶液容器20の「ヘッド」高さを決定することができる。これらの構成要素のヘッド高さは、適切な方法で流体を送り込むために必要な圧力に影響を及ぼし得るからである。ヘッド高さの検出および圧力調整方法の例は、2000年7月10日に出願されたGrayらの米国特許第6,503,062号「流体ポンプ圧力を調節するための方法」に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ヘッド高さ検出決定は、様々な用途で使用することができ、本明細書に記載のヘッド高さ検出は、任意のカセットベースのポンプシステムに一般化できるが、透析サイクラに関連して本明細書に記載する。そのような決定は、複数回、例えば、サイクラプライミングの直後、患者との間の流体移動の前、または変化した(例えば、減少した)流れ状態が検出されたときに行うことができる。ヘッド高さの検出は、ポンプカセットの別のチャンバを介した流体の移送と同時に実行することもできる。ヘッド高さ検出は、システム内の関心のある複数の場所に対して同時に実行できる。カセット内の流体バスのレイアウトは、これを容易にするように配置することができる。例えば、同時測定または測定および同時容積移動が望まれるシステム内の2つの関心のある場所は、異なる流体バスと通信することができる。関心のある場所には、これらの同時アクションを容易にするための専用の流体経路がある場合もある。事前に混合されたバッグからの透析液を使用する代わりに透析液を混合するサイクラで使用される場合、ヘッドの高さの検出が特に有用である可能性がある。たとえば、ヘッドの高さを検出すると、対象のコンポーネントが予想される場所にあることを確認できる。ポンプ室内の空気は、ソースヘッドの高さの違いによりさまざまな圧縮状態にある可能性があるため、これにより、ポンプ室内の空気の動作に関する一連の仮定を行うことができる。これにより、サイクラによって計算された容積変位がより堅牢な信頼性でキャプチャされるため、混合と一般的な容積伝達の精度が向上し得る。
連続流量およびストローク変位推定(例えば、図56~62を参照)を実行するように構成された実施形態では、シート/膜15のポンプ膜またはシート151(例えば、図4を参照)は、正確に配置され得る。最大の検出範囲にわたって、正と負の両方のヘッド高さを繰り返し測定できる。弛緩性であるか、またはストローク全体にわたって実質的に伸長することなく変位する、予め形成されたポンプシート151を有するカセット24の使用は、さらなる利益を提供し得る。ポンプシート151の目標位置は、ポンプシート151の変位極値の間の中間位置または状態であり得る(例えば、ポンプ室181A、Bが完全に充填され、完全に送達されたポンプシート151の位置)。これは、関心のある場所のヘッドの高さを確実に検出するための単一のヘッドの高さの決定プロセスを繰り返し可能にすることができる。
最大化された検出範囲は、その範囲が、関心のある場所(例えば、患者、ヒータバッグ22、ソースバッグ、他のソースコンポーネント)について予想されるヘッドの高さを最も包括的または完全に包括的であるように選択され得る。特定の例では、最大化された検出範囲は、ほぼ同じ絶対値(例えば、互いに数mm以内の絶対値)の最大の正および負のヘッド高さの検出を可能にする範囲であり得る。関心のある場所に応じて、ポンプ室シート151の位置、したがって検出範囲は、正または負のいずれかのヘッド高さのより広い範囲の検出を支持するように調整され得る。
ここで、図80に示されるフローチャート6480を参照すると、ブロック6482において、サイクラ14のコントローラまたは制御システム16は、ポンプシート151(例えば、図4を参照)の目標位置を決定することができる。ポンプシート151の位置目標はまた、所定の位置であり得る。いくつかの実施形態では、標的位置は、関心のあるいくつかの場所のそれぞれについて事前に決定され得る。使用される目標位置は、ヘッドの高さが決定される場所に関連するものであり得る。
ブロック6484において、コントローラは、サイクラ14にポンピングストロークを開始するように命令することができる。ポンピングストロークは、その目標位置に対するポンプシート151の開始位置に応じて、充填ストロークまたは送達ストロークであり得る。ストローク変位、つまりポンプシート151の位置もまた、ブロック6484においてストローク中に監視することができる。この場合も、これは、図56-62に関連して説明したように達成することができる。ブロック6486において、コントローラがポンプシート151がその目標位置にあると決定する場合、ストロークは、ブロック6488においてコントローラによってその時点で停止され得る。任意選択で、制御室171B容積の圧力均等化を含む容積測定(ポンプシート151が目標位置にあることを確認するために、既知の圧力で既知の基準容積を用いてその圧力が既知である)を実行することができる。
ブロック6490において、ポンプ室181A、Bは、ポンプ室181A、Bへの/からの入口/出口カセット流体弁190、192(例えば、図6を参照)を閉じることによって隔離され得る。ポンプ室シート151に加えられる圧力は、ブロック6490においてベントすることもできる。制御室171A、Bは、周囲雰囲気などのベントリザーバにベントすることができる。制御室171A、Bが通気リザーバと等しくなると、制御室171A、Bは隔離され得る。制御室171A、Bの第1の圧力は、ブロック6492において測定することができる。
ブロック6494では、カセット24の様々な流体弁を開いて、ポンプ室181A、Bと対象の場所との間の流体通信を確立することができる。ブロック6496において、制御室171A、B内の制御流体とポンプ室181A、B内の流体との間の圧力均等化が起こり得る。いくつかの実施形態では、ブロック6494は、圧力の均等化が発生する所定の期間が経過することを可能にし得る。あるいは、制御室171A、B流体と連絡している少なくとも1つの圧力センサを監視することができる。後者の場合、センサデータが制御室171A、Bの圧力が比較的安定していることを示すと、ブロック6496は終了し得る。例えば、ブロック6496は、圧力が一定の量を超えてまたは一定期間範囲外に逸脱しなくなると終了し得る。
次に、関心のある位置のヘッド高さをブロック6504で決定することができる。ヘッド高さは、密度、重力による流体の加速度、およびブロック6496の端部の圧力をコンポーネントのヘッド高さに関連付けることによって決定することができる。興味を持っている。ヘッドの高さは、ブロック6496の終了時の圧力(密度*重力による加速度)に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、計算されたヘッド高さは、システム10が適切にセットアップされていることを確認するために、許容範囲に対してチェックされ得る。ブロック6506において、ヘッド高さが許容範囲内にある場合、ポンプ圧は、上記のように、ブロック6508においてヘッド高さを補償するように調整され得る。ブロック6506において、ヘッドの高さが許容範囲内にない場合、ブロック6510において、サイクラ14のGUIに表示するために、コントローラによってアラートが生成され得る。
ブロック6482に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、複数のモデルを使用して、所望の最大化された検出範囲に基づいて標的位置を決定することができる。例えば、制御室171A、Bおよびポンプ室181A、B内の圧力が等しくなるのに必要な時間が閾値より上または下である場合、異なるモデルを使用することができる。以下の場合、第1のモデルを使用できる。上記の場合、第2のモデルを使用できる。いくつかの実施形態では、追加のモデルおよび閾値が含まれ得る。第1のモデルは等温モデルであり、第2のモデルは断熱モデルであり得る。モデルの選択は、治療の他の部分または治療前からの流量に基づいて決定することができる。あるいは、第1または第2のモデルのうちの1つを最初に使用することができる。圧力均等化時間によって保証される場合、コントローラはヘッド高さの決定を再実行できる。
第1のモデルは、次の方程式の例に基づいて動作する場合がある。
Pf = (Pi(Vcon,i))/Vcon,f)
ここで、Pfは、ブロック6469における均等化後の制御室171A、Bの最終圧力であり、Piはブロック6492からの第1の圧力であり、Vcon,iはポンプシート151が目標位置にあるときの初期制室171A、Bの容積であり、Vcon,fは、最終制御室171A、Bの容積である。
第2のモデルは、次の方程式の例に基づいて動作する。
Pf = (Pi(Vcon,i/Vcon,f)γ
ここで、γは熱容量比(例:1.4)である。
ポンプ室シート151が目標位置から極端な移動まで移動すると仮定することにより、これらのモデルを使用して、所望の最大化された検出範囲に基づいて目標位置を決定することができる。任意の目標ポンプシート151の位置(したがってVcon,i)について、ヘッドの高さの感度範囲を決定できる。Piは既知である可能性がある(たとえば、101kPaに設定されているか、周囲と通信するセンサによって測定される)。ポンプシート151が極端な移動に移行すると仮定することにより、Vcon,iの値も知ることができる。これから、極端な移動でポンプシート151を底打ちするために必要な圧力変化、したがって、ヘッド高さ感度を決定することができる。したがって、観察された等化時間に基づいて、異なるヘッド高さに対して最大の感度範囲を有するシートターゲット位置を選択することが可能である。
コントローラが、ヘッド高さが感度範囲の端の周りにあると決定する場合、オプションで、第2のヘッド高さ検出決定を行うことができる。ヘッドの高さが感度範囲の端にある場合、ポンプシート151が極端な移動またはその近くに変位したと推測することができる。第2のヘッド高さ検出決定において、使用されるポンプシート151位置ターゲットは、反対の極端な移動であり得る。これにより、第1のヘッドの高さの決定で検出されたタイプ(正または負など)のヘッドの高さの可視性が向上するが、大きさは大きくなる。
図81は、ヘッド高さ決定の別の実施形態においてヘッド高さ圧力を計算するために実行され得るいくつかの例示的なアクションを示している。図81に示されるように、ブロック8000において、カセットはプライミングされ得る。ブロック8002において、ポンプ室は、対象の構成要素のヘッド高さによって加えられる圧力に応答してチャンバのシートが変位することができる初期状態に置くことができる。特定の実施形態では、シートは、正圧または負圧のいずれかに応答して変位し得る状態に置かれ得る。したがって、ポンプ室が、ポンプ室に対して正または負のヘッド高さのいずれかで対象のシステム構成要素と流体連絡するように配置される場合、チャンバと対象の構成要素との間の流体連絡の確立は、シートを変位させる可能性がある。この状態は、中間または中間のストローク状態または位置と呼ばれることがある。この中間位置は、上記のように制御システムによって決定され得るか、または事前設定され得る。
対象の構成要素のヘッド高さがポンプ室に正圧を及ぼすことが予想される状況では、ポンプ室は、ブロック8002において第1のバイアス状態に置かれ得る。第1のバイアス状態は、正のヘッド高さの検出に向けた検出範囲にバイアスをかける状態であり得る。例えば、ポンプ室は完全に送達された状態のままにしておくことができる。同様に、対象の構成要素のヘッド高さがポンプ室に対して負であると予想される場合、ポンプ室は、ブロック8002において第2のバイアス状態に置かれ得る。第2のバイアス状態は、負のヘッド高さの検出に向けた検出範囲にバイアスをかける状態であり得る。
ブロック8004において、ヘッド高さを測定するために使用されるポンプ室に関連する制御室は、通気され得る。ブロック8006において、サイクラの制御システムは、制御室内の圧力安定性が達成されるのを待つことができる。ブロック8008では、ポンプ室に関連する制御室を隔離することができる。ブロック8010において、サイクラの制御システムは、制御室内で圧力が安定するのを待つことができる。ブロック8012において、ポンプ室は、関心のあるシステム構成要素と流体連絡するように配置され得る。ブロック8014において、制御システムは、いくつかの圧力ピークを検出し、制御室の最終圧力を予測することができる(例えば、図83を参照して、以下により詳細に説明される)。ブロック8016において、制御システムは、最終圧力に基づいて適切なヘッド高さ圧力調整を計算することができる。この調整された圧力は、対象のコンポーネントへの、または対象のコンポーネントからのその後の流体移送に使用できる。
図82に示されるように、整合性チェックは、図81のブロック8006および8010で使用して、対象のコンポーネントのヘッド高さを測定するために使用されるポンプ室に関連する制御室内の圧力安定性を検出することができる。整合性チェックはまた、図80に関連して説明されたヘッド高さ決定において使用され得る。整合性チェック中に少なくとも1つの圧力整合性基準が満たされた場合、整合性チェックは合格したと見なされる場合がある。整合性チェック中、圧力サンプルは設定された時間間隔で採取される場合がある。いくつかの実施形態では、間隔は、約5~30ミリ秒(例えば、約10ミリ秒)に設定することができる。これらのサンプルは、事前定義されたパターンまたは特性の存在について数値的に処理および分析することができる。その事前定義されたパターンまたは特性が検出されると、安定性が達成されたことを示す信号が生成され、ヘッド高さ検出の決定が継続され得る。
整合性をチェックするために、センサデータから生成された移動平均を使用することができる。例えば、2つの連続する移動平均圧力サンプル間の差(またはその絶対値)を計算することができる。最初の移動平均圧力サンプルとその後のいくつかの移動平均圧力サンプルの圧力差が一貫してゼロに近づくと、圧力安定性が達成されたことを示す信号が生成される場合がある。いくつかの実施形態では、ゼロからの偏差が0.03kPa未満の閾値を使用して、圧力差が十分にゼロに近いかどうかを決定することができる。移動平均ウィンドウで使用される圧力サンプルの数は、5つに設定できる。時間遅延期間内に圧力安定性が検出されない場合、圧力安定性が達成されていないと判断され、終了圧力が記録され、プロセスが繰り返される場合がある。いくつかの実施形態では、圧力安定性の欠如は、制御システムによって生成されるエラーをトリガするか、または再試行上限を超えた後にエラー生成をトリガする可能性がある。いくつかの実施形態では、制御システムは、サイクラのグラフィカルユーザインターフェース上にアラートを提示して、システムをチェックするか、または一定期間動き回るのを停止するようにユーザに求めることができる。
図82は、例示的な整合性チェックの例示である。ブロック8018において、カセットはプライミングされ得る。ブロック8020において、タイマーが開始し得る。タイマーは、圧力安定性が達成されるべきであると予想される時間を設定することができる。タイマーは、様々な実施形態において2~6秒(例えば、3秒)の間であり得る。ブロック8022において、タイマーが経過したと決定された場合、制御システムは、ブロック8024において事前定義されたエラー処理プロトコルを実行し得る。例えば、制御システムは、再試行カウンタを増分させながら(これは再試行キャップによって制限され得る)、エラー信号を生成するか、または増分中に整合性チェックの再試行を実行し得る。
事前設定された制限時間が経過していない場合、制御システムは、ブロック8026で制御室を監視する1つまたは複数の圧力センサから圧力データを受信することができる。ブロック8028では、制御システムは、圧力データにデータ平滑化を適用することができる。いくつかの実施形態では、移動平均を使用してデータを平滑化することができる。移動平均は、3~10の値(たとえば、~5)の移動ウィンドウサイズを使用する場合があるが、このウィンドウサイズは、サンプリング頻度に関連して拡大または縮小する場合がある。過度のノイズを除去するのに十分な任意のウィンドウサイズを利用できる。
ブロック8030において、制御システムは、データが第1の整合性基準に適合するかどうかを決定することができる。データが第1の整合性基準に適合しない場合、制御システムはブロック8022に戻ることができる。第1の整合性基準は、圧力データが比較的安定していることを示す事前定義された基準であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、2つの連続する移動平均圧力サンプル間の比較を行うことができる。2つの連続する移動平均圧力サンプルは、現在のサンプルの移動平均と直前のサンプルの移動平均値である可能性がある。比較は、連続する圧力サンプルの移動平均値間の差に少なくとも部分的に基づくことができる。特定の例では、差または差の絶対値が比較において決定され得る。差が計算される場合、差(またはその絶対値)がほぼゼロ(例えば、0.025~0.02kPa未満)である場合、第1の整合性基準は、コントローラによって満たされていると見なされ得る。あるいは、基準は、ヘッドの高さの測定可能な範囲のパーセンテージとして定義することができる。
データが第1の整合性基準に準拠している場合、コントローラは、後続のサンプリングで安定した状態を維持するために、制御室内の圧力を要求する場合がある。例えば、圧力差は、後続の移動平均圧力サンプルの数(例えば、3~10)について、一貫してゼロに近いままである必要がある場合がある。特定の実施形態では、制御システムは、5つの後続の移動平均圧力サンプルのそれぞれが収集された後に実行された比較が圧力が安定していることを示す場合、圧力安定性が達成されたと決定し得る。
図82に示されるように、制御システムは、ブロック8032においてカウンタを初期化することができる。カウンタは、圧力が安定しているとの決定がなされ得る前に必要とされる移動平均サンプル圧力の所望の数(例えば、5)に設定され得る。ブロック8034において、制御システムは、制御室を監視する1つまたは複数の圧力センサから圧力データを受信することができ、ブロック8036において、制御システムは、カウンタをインクリメントすることができる。ブロック8038において、制御システムは、データが第2の整合性基準に適合するかどうかを決定することができる。たとえば、新しいサンプルと前のサンプルの間で計算された比較値は、約0.00kPaから0.05kPaの範囲(たとえば、0.03kPa未満)である必要があり得る。データが第2の整合性基準に適合しない場合、制御システムはブロック8022に戻ることができる。データが第2の整合性基準に準拠する場合、制御システムは、カウンタがブロック8040で事前設定された制限以下であるかどうかを決定することができる。カウンタがプリセット制限以下である場合、制御システムはブロック8034に戻ることができる。カウンタがプリセット制限を超える場合、制御システムは、ブロック8042内の対象のコンポーネントのヘッド高さの決定に進むことができる。
図81のブロック8014に関連して述べたように、関心のあるコンポーネントのヘッド高さが決定されるとき、決定は、不完全なデータセットに対して行われ得る。システムがどのように動作するかを特徴付けることが可能であり、少なくとも部分的にその特徴付けに基づいて、最終的な安定した圧力が達成される前にカットオフされるデータセットから最終的な制御室圧力を予測できる1つ以上の方程式を生成することが可能であり得る。特定の実施形態では、この方法で行われるヘッドの高さの決定は、安定した圧力に到達するのに必要な時間の約20%~15%またはそれ以下を要し得る。治療のセットアップは、一般に、ユーザがベッドの準備をしているときに実行されるので、セットアップに必要な時間を最小化することは、現場で有利であると認められている。
これにより、迅速なヘッドの高さの決定が可能になり、ヘッドの高さが決定される治療前のチェックが高速化される。また、治療自体への影響を最小限に抑えながら、治療中にヘッドの高さを決定できる場合もある。セットアップまたは治療時間を大幅に増やすことなく、これにより、関心のあるコンポーネントリザーバのヘッド高さの決定をセルフチェックとして冗長に行うこと、またはより高い精度を提供する可能性のある複数の読み取り値の平均を生成することもできる。
不完全なデータセットを用いてヘッド高さを決定するために、制御システムは、例えば、事前定義された機能セットのいくつかの予想される機能について制御室を監視する少なくとも1つの圧力センサからのデータを分析し得る。これらの予想される特徴およびそれに関連する時間的特徴(例えば、それらが発生するときおよび/またはそれらの間の時間)は、十分な特徴が検出された後、最終的な安定した制御室圧力を推定するために使用され得る。この外挿された圧力により、対象のコンポーネントのヘッドの高さを適切に推定できる場合がある。
例えば、図1~9に示されるシステム10において、システム10は、ヘッド高さの決定が行われるとき、十分に減衰されていない二次システムと同様に動作することができる。このような例では、機能セットは、減衰された2次システムの下で理想的に期待される特性によって通知される場合がある。例えば、特徴セットは、オーバーシュート圧力ピークおよびオーバーシュートピークよりも大きさが小さいアンダーシュート圧力ピークを含み得る。サイクラ14の制御システム16は、ポンプ室が対象の構成要素と連絡するように配置された後、制御室内の圧力オーバーシュートおよびアンダーシュートピークを検出することができる。次に、これらのピークに関連するデータを使用して、最終的なチャンバ圧力を推定し、測定プロセスを大幅に高速化することができる。
データは、ヘッドの高さ以外の関心のある特性を決定するためにも使用できる。例えば、特定の実施形態では、特徴セットに関連する時間的特性は、管内の抵抗の尺度として使用され得る。これにより、カセットと対象のリザーバコンポーネントとの間の流体ラインの長さを決定できる場合がある。ライン延長アクセサリを使用できる場合、使用中のライン延長アクセサリの数は、機能セットの時間的特性に基づいて決定できる。このタイプの決定はまた、治療時間への影響を低減して、より幅広い種類のラインでライン延長を使用することを可能にし得る。例えば、患者の快適さを増すために、患者へのおよび患者からのポンプ圧を調整して、より遅い流体移動を提供することができる。使用されるポンプ圧は、ラインの患者側で所望の圧力を生成するために時間的特性に基づいて選択され得る。これにより、ライン内の抵抗が患者側の圧力の低下につながるため、圧力を最大ポンプ圧力またはその近くに保つことができる。結果として、患者ライン延長部が使用されている場合、流体移送時間の増加を回避することができる。これにより、同じプログラムされた治療時間にわたって、より長い滞留期間と患者からの代謝廃棄物のより多くのクリアランスが可能になり得る。
機能セットの時間的特性を使用して、カセットと対象のリザーバコンポーネントとの間の流路にフローインピーダンスが存在するかどうかを判断することもできる。特定の実施形態では、これらの時間的特徴を使用して、閉塞または部分的閉塞が存在するかどうかを決定することができる。あるいは、これらの時間的特徴は、閉塞または部分的閉塞の決定を通知するのを助けるために収集され得る。
図83は、ヘッド高さの決定中に実行され得るいくつかの例示的なアクションを詳述する流れ図を含む。ブロック8044において、カセットがプライミングされ、ポンプ室シートが初期化された位置に配置され得る。ブロック8046において、タイマーが開始され得る。タイマーは、機能セットの機能が観察されるべきであると予想される時間を設定することができる。タイマーは、様々な実施形態において2~6秒(例えば、3秒)の間であり得る。ブロック8048において、タイマーが経過したと決定された場合、制御システムは、ブロック8050において事前定義されたエラー処理プロトコルを実行し得る。例えば、制御システムは、再試行カウンタを増分させならが(再試行キャップによって制限される場合がある)、エラー信号を生成するか、またはヘッド高さ決定の再試行を実行し得る。
ヘッド高さ検出を実行するとき、制御システムは、ブロック8052内の制御室を監視する少なくとも1つの圧力センサから圧力データを受け取ることができる。特定の実施形態では、初期時間ウィンドウで収集されたデータは、ノイズの懸念を最小限にするための分析に使用されない場合がある。この時間ウィンドウは、最大約1秒(例えば、約0.3秒)であり得るが、この値は、実施形態ごとに異なり得る。ブロック8054において、制御システムは、少なくとも1つの圧力センサから受信されたデータにデータ平滑化を適用することができる。データ平滑化は、図82のブロック8028に関連して説明されたものと同様であり得る。ブロック8056において、制御システムは、いくつか(例えば、2つ)の連続する移動平均圧力サンプルを比較して、第1の条件が存在するかどうかを決定することができる。図1に示される例示的な実施形態では、図83において、制御システムは、ブロック8056においてこれらの移動平均サンプル間の差(またはその絶対値)を計算する。ブロック8058において、システムは、第1の条件が存在するかどうか(例えば、差が事前定義された制限未満であるかどうか)を決定し得る。事前定義された制限は、例えば、0.005から0.04kPa(例えば、0.025kPa)の間であり得る。図83の例では、 差が事前定義された制限以上である場合、制御システムはブロック8048に戻ることができる。差が事前定義された制限未満である場合、制御システムは移動平均サンプルウィンドウの最大値と現在の移動平均圧力サンプルを比較して、第2の条件が存在するかどうかを判断することができる。例えば、図83は、ブロック8060において、最大移動平均サンプル圧力と現在のサンプル圧力との間の差(またはその差の絶対値)を計算する。図83に示されるように、ブロック8062でピークがまだ検出されていない場合、制御システムは、差がブロック8064で第2の事前定義された制限未満であるかどうかを決定することができる。第2の事前定義された制限は、ブロック8058に関して上記で説明された第1の事前定義された制限よりも小さい場合がある。いくつかの実施形態では、差が約0.000kPaと0.020kPaの間(例えば、約0.005kPa未満)であれば、第1のピーク圧力はブロック8066において設定することができる。システムが減衰2次システムとして特徴付けられる場合、第1のピークはオーバーシュートピークであり得る。この圧力ピークは、現在の移動平均圧力サンプル、またはおそらく現在の移動平均圧力サンプルとその直前のサンプルの平均に設定することができる。圧力オーバーシュートに到達するのにかかる時間もブロック8066に記載されている。その後、制御システムはブロック8048に戻ることができる。差がブロック8064において第2の事前定義された制限より小さくない場合、制御システムはブロック8048に戻ることもできる。
第1のピークが検出され、制御システムが再びブロック8062に到達すると、制御システムはブロック8068に進むことができる。ブロック8068において、制御システムは、第1の圧力ピークからの時間が事前定義された時間の量よりも大きいかどうかを決定することができる。この事前定義された時間は、次のピークが発生する前に予想される経験的に決定された時間であり得る。理想的な減衰2次システムの場合、この時間は第1ピークに到達するのに必要な時間とほぼ同じである必要がある。たとえば、事前定義された時間は、第1のピークに到達するのに必要な時間から、理想的なシステムからの逸脱を説明するのに役立つ値(たとえば、0.1~0.4秒)を差し引いたものに等しく設定できる。事前定義された時間がまだ経過していない場合、制御システムはブロック8048に戻ることができる。事前定義された時間が経過すると、制御システムは、ブロック8070において現在の圧力の大きさが第1のピークについて検出されたものよりも大きいかどうかを決定することができる。現在の圧力の大きさが第1のピークで検出されたものよりも大きい場合、制御システムはブロック8066に戻り、第1のピークを現在の圧力としてリセットすることができる。繰り返しになるが、経過時間も記録される場合がある。しかしながら、現在の圧力が第1のピーク圧力よりも大きさが低い場合、制御システムは、ブロック8072において第2のピーク圧力を現在の圧力として定義することができる。第2のピーク圧力の検出までの経過時間も記録され得る。ブロック8074において、制御システムは、オーバーシュートパーセントを決定し得る。オーバーシュートの割合は、次のような式で決定できる。
オーバーシュートパーセント=(1-(P1/P2)-α)
ここで、P1は第1のピーク圧力、P2は第2のピーク圧力、αは経験的に決定できる補正係数である。補正係数は、理想的な2次システムからの偏差を調整するために使用できる。
ブロック8076において、制御システムは、ヘッドの高さを計算することができる。いくつかの実施形態では、ヘッドの高さ自体は計算されないかもしれないが、ヘッドの高さによる圧力などの関連する値が計算され得る(または両方が計算され得る)。これは、ピークの検出後に圧力が安定した場合に存在したであろう最終圧力を予測することによって決定することができる。最終圧力PFinalは、次のような式を使用して決定できる。
PFinal=P1/(1+オーバーシュートパーセント)
次に、ポンプ室の開始圧力を最終圧力から差し引いて、ヘッドの高さによる圧力を決定することができる。必要に応じて、この圧力は、重力による加速度、液体の密度、および本明細書の他の場所で説明されている圧力値に基づいて、距離の単位でヘッドの高さに変換することができる。
図84~86では、いくつかの実施形態では、所与のソースまたはであるティネーションについて決定されたヘッド高さに関する容積移動測定較正が望ましい場合があることが観察されている。特定の理論に拘束されることなく、ポンプ室内の空気は、ソースヘッドの高さの違いにより、さまざまな圧縮状態にある可能性がある。これは、サイクラ14によって収集される容積測定値にわずかな影響を与える可能性がある。さらに、ポンプシート151およびガスケット148の位置は、ヘッド高さに応じてわずかに変化し得、これは、容積測定値に影響を及ぼし得る。
図84および85は、異なるヘッド高さで目的地への送達ストロークを終了した後のポンプ室181の代表的な図を示す。説明のために、図は、図84と図85との間のポンプシート151の位置の大きな違いを示している。図84に示すように、サイクラ14が特定の高いヘッド高さで目的地への送達ストロークを終了するとき、カセット24シート15のポンプシート151は、ポンプ室181のスペーサ50の形状に実質的に一致し得る。ガスケット148は、カセットシート15で想定されているのと同じ輪郭を模倣または適合する。低い相対ヘッド高さで目的地への送達ストロークを完了すると(図84と実質的に同じ送達圧力を使用して)、ポンプシート151は、ポンプ室181のスペーサ50間のギャップに前進または曲がることができる。しかしながら、ガスケット148の材料は、このシナリオでは、ポンプシート151の位置にそれほど厳密に適合しない可能性がある。同様であるが、ヘッドの高さによる一般的に反対の効果が充填ストロークに存在し得る。上に示したように、デリバリストロークの終わりに、ヘッドの高さによっては理想的でない場所にエネルギーが蓄えられる場合がある。FMS手順(本明細書の他の場所でより詳細に説明される)の間、制御室171は、典型的には、大気に放出され、所定の圧力で充填され、次いで、基準室容積と圧力が等しくなり得る。エネルギーがシステムに蓄えられている場合、これらの圧力変化の間にポンプシート151および/またはガスケット148に若干の動きがあるかもしれない。この動きは、送達ストロークの終わりにシステムに蓄積されたエネルギーの量に関連している可能性がある。このわずかな動きが制御室171の容積に影響を与える可能性があるため、これはサイクラ14によって収集される容積測定にいくらかの誤差を導入する可能性がある。この誤差はヘッドの高さに予想通りに関係しているので、ヘッドの高さに基づいて較正補正を実行することができる。
サイクラ14の較正曲線(例えば、上記の任意の較正曲線)は、例えば、そのヘッド高さに基づいて、各供給源または目的地との間で流体を移送するときに使用される改良された較正曲線に調整され得る。したがって、使い捨てのポンプカセット24と通信する各ソースまたはであるティネーションに対して、異なる較正曲線が潜在的に使用され得る。
主に図86を参照すると、特定のヘッド高さの較正曲線を決定するために使用することができるいくつかのアクションを詳述するフローチャート4200が示されている。ブロック4202において、容積測定標準カセットで較正されたいくつかのサイクラ14を選択することができる。これらのサイクラ14は、図77のブロック4172に関連して説明されたものと同様の基準に基づいて選択され得る。ブロック4204において、使い捨てセット24は、各サイクラ14に配置され得る。各サイクラ14に関連するリザーバは、ブロック4206において、サイクラ14に対して所定のヘッド高さに配置され得る。ブロック4208において、各サイクラ14の制御システム16は、取り付けられた使い捨てセット24を用いて、ある量の流体のポンピングを命令することができる。ポンピングされる量は、すべてのサイクラ14に共通であり得、事前に指定され得る。サイクラ14は、ブロック4208において、汲み上げられた流体の容積測定を行うことができる。また、ブロック4208において、サイクラ14によって大量の流体が使い捨てカセット24を通して汲み上げられるときの結果として生じる重量デルタを記録するために、スケールを監視することができる。
ブロック4210において、各サイクラ14から収集された容積測定値および関連するスケールデータを組み合わせることができる。たとえば、すべての生データポイントを組み合わせることができる。これらのデータポイントは、特定のサイクラ14によって測定された移送容積と、リザーバから変位した対応する測定容積(例えば、密度を使用してスケール上の重量デルタから変換された)を含む対であり得る。あるいは、特定のサイクラ14から収集されたデータを分析することができ、個々のサイクラデータセットの分析の出力を組み合わせることができる。例えば、その事前定義されたヘッド高さでの各サイクラ14の補正曲線は、そのサイクラ14に関連する生データから生成され得る。これらの補正曲線のそれぞれは、次に組み合わされ得る。
ブロック4212において、単一の補正曲線は、組み合わされたデータを使用して生成され得る。この補正曲線を使用して、ブロック4214内の各サイクラ14の容積測定標準カセットを使用して生成された較正曲線を改良することができる。この曲線は、このヘッド高さの場所との間で流体を移送するときに、サイクラ14によって使用され得る。いくつかのヘッド高さの較正曲線は、同じ方法で生成できる。さらに、各ヘッドの高さで、サイクラ14によって使用される異なるポンプ圧力ペア、ならびに正および負のFMS測定についてデータセットを収集することができる。各データセットを使用して、較正曲線に特定の改良を加えることができる。治療中、使用される最終的な較正曲線は、検出されたヘッドの高さ、ポンプ圧、および実行されているFMS測定のタイプ(正または負)に一致するように選択できる。
他の方程式も可能であるが、最終的な補正値は複合関数を介して決定できる。第1の機能は、生の制御室容積測定(Vm)に適用され得る。次に、第2の関数をこの結果に適用し、結果の値をさらに第3の関数に入力して、VFinalの決定に到達することができる。例えば、いくつかの実施形態では、以下のような方程式:
VFinal = VHeadHeight(Vdisposablecorrected(Vcyclercorrected(Vm)))は、Vcyclercorrectedが特定のサイクラの14のエラー寄与を補正する生の測定された制御室容量(Vm)の関数であり、Vdisposablecorrectedはサイクラ補正された測定容量の関数であり、使い捨て関連のエラーの寄与を修正し、VHeadHeightは、使い捨ての修正された測定ボリュームの関数であり、ヘッドの高さに関連するエラーの寄与を修正する。あるいは、Vdisposablecorrectedは次のようにVHeadHeightの関数であり得る:
VFinal = Vdisposablecorrected(VHeadHeight(Vcyclercorrected(Vm)))。
他の実施形態では、VFinalは、図76に関連して説明したように加法的に決定することができ、ヘッドの高さの補正が方程式に追加されて、VFinalに等しい合計が生成される。
本開示から逸脱することなく、当業者によって様々な代替および修正を考案することができる。したがって、本開示は、そのようなすべての代替案、修正、および差異を包含することを意図している。さらに、本開示のいくつかの実施形態が図面に示され、および/または本明細書で論じられているが、開示は,当技術分野が許す限り広い範囲であり、明細書も同様に読まれることを意図される。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲および精神の範囲内で他の修正を想定するであろう。上記および/または添付の特許請求の範囲に記載されたものと実質的に異なる他の要素、ステップ、方法および技法もまた、本開示の範囲内にあることが意図されている。
図面に示される実施形態は、本開示の特定の例を実証するためにのみ提示されている。記載されている図面は例示に過ぎず、非限定的である。図面では、説明の目的で、いくつかの要素のサイズが誇張されており、特定の縮尺で描かれていない場合がある。さらに、図面内に示されている同じ番号の要素は、状況に応じて、同一の要素である場合もあれば、類似の要素である場合もある。
「含む」という用語が本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、それは他の要素またはステップを除外しない。単数名詞を参照するときに不定冠詞または定冠詞が使用される場合、特に明記されていない限り、これにはその名詞の複数形が含まれる。したがって、「含む」という用語は、その後に挙げられている項目に限定されると解釈されるべきではない。他の要素またはステップを除外するものではないため、「アイテムAおよびBを含むデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。
さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明または特許請求の範囲で使用されるかどうかにかかわらず、類似の要素を区別するために提供され、必ずしも連続的または時系列の順序を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり(他に明確に開示されない限り)、本明細書に記載される開示の実施形態は、本明細書に記載または図示される以外の配列および/または配置で動作することができることを理解されたい。
本発明の第1の態様は、
カセットベースのポンプシステムの較正用の容積測定標準カセットであって、
前記カセットベースのポンプシステム内に密封的に設置されるように構成され、中央体およびポンプ室領域の既知の容積を定義する事前定義された形状をそれぞれが有する複数の固形のポンプ室領域を有する剛体を含み、該剛体には流路およびオリフィスがない、容積測定標準カセットである。
本発明の第2の態様は、
前記容量測定標準セットが金属である、態様1に記載の容積測定標準カセットである。
本発明の第3の態様は、
前記容積測定標準カセットが機械加工されている、態様1に記載の容積測定標準カセ
ットである。
本発明の第4の態様は、
前記容量測定標準セットは、アルミニウム、鋼、およびプラスチックからなる材料のリストから作製される、態様1に記載の容量測定標準セットである。
本発明の第5の態様は、
前記容量測定標準セットは、材料添加プロセスを介して構築される、態様1に記載の
容量測定標準セットである。
本発明の第6の態様は、
前記中央体は、前記剛体の最も厚い部分の厚さの少なくとも半分の厚さを有する、態様1に記載の容量測定標準セットである。
本発明の第7の態様は、
前記中央体は、前記剛体の最も厚い部分の厚さの少なくとも60%の厚さを有する、態様1に記載の容量測定標準セットである。
本発明の第8の態様は、
前記中央体は、前記剛体の最も厚い部分の1/2~3/4の厚さを有する、態様1に
記載の容量測定標準セットである。
本発明の第9の態様は、
前記容積測定標準カセットは、カセットシートを含まない、態様1に記載の容積測定
標準カセットである。
本発明の第10の態様は、
カセットベースのポンプシステムの較正用の容積測定標準カセットであって、
完全に固形で、第1の面と対向する第2の面を含む中央体と、
少なくとも前記中央体の前記第1の面から延在するとともに、前記中央体の周縁に位置する周壁および複数の内壁を含む複数の壁と、
複数の固形のポンプ室領域であって、それぞれが前記ポンプ室領域の既知の容積を定義する事前定義された形状を有する、複数の固形のポンプ室領域と、
を含み、前記容積測定標準カセットは、流体を圧送することができない、容積測定標準カセットである。
本発明の第11の態様は、
前記容積測定標準カセットの前記複数の壁のいずれにもシートが結合されていない、態様10に記載の容積測定標準カセットである。
本発明の第12の態様は、
前記中央体の前記第1の面がカセットシートによって覆われておらず、前記ポンプ室領域を含む、態様10に記載の容積測定標準カセットである。
本発明の第13の態様は、
前記中央体の前記第1の面および前記対向する面の両方がカセットシートによって覆われていない、態様10に記載の容積測定標準カセットである。
本発明の第14の態様は、
前記容量測定標準セットは、材料添加プロセス、機械加工、および成形からなるプロセスのリストから作製される、態様10に記載の容量測定標準セットである。
本発明の第15の態様は、
前記容量測定標準セットは、アルミニウム、鋼、およびプラスチックからなる材料のリストから作製される、態様10に記載の容量測定標準セットである。
本発明の第16の態様は、
前記容積測定標準カセットの前記対向する面が平坦である、態様10に記載の容積測
定標準カセットである。
本発明の第17の態様は、
前記容積測定標準カセットの前記第1の面は、前記内壁の壁によって囲まれた複数の突起を含む、態様10に記載の容積測定標準カセットである。
本発明の第18の態様は、
前記壁の気密性が高い、態様10に記載の容量測定標準セットである。
本発明の第19の態様は、
カセットベースのポンプシステムの較正のための使い捨てポンプカセットのカセット類似体であって、
第1の面と、対向する第2の面を有する中央体と、
少なくとも前記第1の面にある複数のシーリングリブと、
第1のポンプ室領域および第2のポンプ室領域であって、前記第1のポンプ室領域および前記第2のポンプ室領域のそれぞれは、前記使い捨てポンプカセット内の対応するポンプ室の選択された充填容積を表す定義された寸法的に安定した形状を有する、第1のポンプ室領域および第2のポンプ室領域と、
を含み、前記第1の面と前記対向する面は開いた面であり、前記カセット類似体は流体を圧送することができない、カセット類似体である。
本発明の第20の態様は、
前記カセット類似体が金属で形成されている、態様19に記載のカセット類似体である。
本発明の第21の態様は、
前記中央体が完全に固形である、態様19に記載のカセット類似体である。
本発明の第22の態様は、
前記中央体がパススルーを欠いている、態様19に記載のカセット類似体である。
本発明の第23の態様は、
前記選択された充填量量が、前記使い捨てポンプカセット内の対応するポンプ室の全ポンプ室容積である、態様19に記載のカセット類似体である。
本発明の第24の態様は、
前記選択された充填容量が、前記使い捨てポンプカセット内の対応するポンプ室の空のポンプ室容量である、態様19に記載のカセット類似体である。
本発明の第25の態様は、
前記選択された充填容積が、前記使い捨てポンプカセット内の対応するポンプ室の完全な(full)ポンプ室容積と空のポンプ室容積との中間である、態様19に記載のカ
セット類似体である。
本発明の第26の態様は、
前記容積測定標準カセットの対向する面が平坦である、態様19に記載のカセット類
似体である。
本発明の第27の態様は、
前記容積測定標準カセットの前記第1の面が、前記シーリングリブによって囲まれる複数の突起を含み、前記複数の突起が、前記使い捨てポンプカセット内の複数の弁座に対応する位置に配置されている、態様19に記載のカセット類似体である。 である。
本発明の第28の態様は、
前記カセット類似体は、ポート、スパイク、および取り付けられた流体ラインを欠いている、態様19に記載のカセット類似体である。
本発明の第29の態様は、
カセットベースのポンプシステムを較正するための方法であって、
前記カセットベースのポンプシステムに複数の容積測定較正カセットを連続的に設置することであって、前記複数の容積測定較正カセットは、それぞれ既知の容積を有するポンプ室領域を含む、ことと、
前記カセットベースのポンプシステムを使用して、前記容積測定較正カセットそれぞれのポンプ室領域の既知の容積を測定することと、
前記複数の容積測定較正カセットのそれぞれについての既知の容積および各容積較正カセットについてのポンプ室領域の対応する測定された容積に少なくとも部分的に基づいて、カセットベースのポンプシステムで行われる容積測定のための較正曲線を生成することと、
を含む、方法である。
本発明の第30の態様は、
前記容積測定較正カセットのそれぞれにおけるポンプ室領域の既知の容積を測定することは、前記容積測定較正カセットのそれぞれのポンプ室領域の既知の容積の複数の測定値を取得し、前記複数の測定値を分析して、対応する測定された容積として機能する前記ポンプ室領域の容積の単一値を決定することを含む、態様29に記載の方法である。
本発明の第31の態様は、
前記複数の測定値を分析することは、前記複数の測定値を平均化することを含む、態様30に記載の方法である。
本発明の第32の態様は、
前記較正曲線を生成することは、最良適合方程式を生成することを含む、態様29に
記載の方法である。
本発明の第33の態様は、
前記較正曲線を生成することは、最良適合多項式を生成することを含む、態様29に
記載の方法である。
本発明の第34の態様は、
前記最良適合多項式は、前記3次多項式である、態様33に記載の方法である。
本発明の第35の態様は、
前記較正曲線を生成することは、最小二乗回帰を実施することを含む、態様29に記
載の方法である。
本発明の第36の態様は、
前記較正曲線を生成することは、前記曲線の少なくとも1つの領域を少なくとも1つの限界に拘束することを含む、態様29に記載の方法である。
本発明の第37の態様は、
前記限界が、前記少なくとも1つの領域に沿った点の微分値の許容範囲である、態様
36に記載の方法である。
本発明の第38の態様は、
前記較正曲線を生成することは、前記較正曲線のゼロ交差で許容微分値に制約を課すことを含む、態様29に記載の方法である。
本発明の第39の態様は、
前記容積測定較正カセットのそれぞれにおける前記ポンプ室領域の既知の容積を測定することは、前記容積測定較正カセットのそれぞれにおける前記ポンプ室領域の既知の容積を複数回測定し、それらの事前定義された基準への適合性を決定し、前記複数回測定したものを分析して、対応する測定された容積として機能する前記ポンプ室領域の容積の単一値を決定することを含む、態様29に記載の方法である。
本発明の第40の態様は、
前記事前定義された基準は、事前定義された許容変動性である、態様39に記載の方
法である。
本発明の第41の態様は、
前記事前定義された基準は、許容される標準偏差である、態様39に記載の方法である。
本発明の第42の態様は、
前記較正曲線を、使い捨てポンプカセットに起因する容積測定誤差を説明する第2の較正曲線に改良することをさらに含む、態様29に記載の方法である。
本発明の第43の態様は、
前記較正曲線を、流体源または目的地のヘッド高さに起因する容積測定誤差を説明する別の較正曲線に改良することをさらに含む、態様29に記載の方法である。
本発明の第44の態様は、
カセットベースのポンプシステムであって、
少なくとも1つのポンプ室を覆う可撓性膜を有するポンプカセットを含む流体処理セットと、
サイクラであって、
前記ポンプカセットを収容し、前記カセットを制御面に対して配置するサイズの取り付け位置、
複数の圧力リザーバ、
前記圧力リザーバからポンプカセットに圧力を加えて前記カセットを通して流体をポンプ輸送するための圧力送達アセンブリであって、前記制御面、空気圧チャネル、および前記可撓性膜および圧力センサを作動させるための制御室、ならびにポンプ室の容積を測定するための既知の容積の少なくとも1つの基準室を有し、前記空気圧チャネルは、複数の弁を介して前記圧力リザーバと選択的に連絡している、圧力送達アセンブリ、および
前記圧力センサからデータを受信し、前記データを介して圧送される流体の生の測定容積を決定し、サイクラ固有の較正方程式に少なくとも部分的に基づいて圧送される流体の生の測定量を調整するコントローラ
を含むサイクラと、
を含む、システムである。
本発明の第45の態様は、
前記コントローラは、サイクラ固有の較正方程式およびポンプカセット容積誤差較正方程式に少なくとも部分的に基づいて、前記圧送される流体の生の測定容積を調整するように構成される、態様44に記載のシステムである。
本発明の第46の態様は、
前記コントローラは、サイクラ固有の較正方程式、ポンプカセット容積誤差較正方程式、およびヘッド高さ誤差較正方程式に少なくとも部分的に基づいて、前記圧送される流体の生の測定容積を調整するように構成される、態様44に記載のシステムである。
本発明の第47の態様は、
前記サイクラ固有の較正方程式は、一連の容積測定標準カセットの試験測定値のデータセットを通じた最適な多項式である、態様44に記載のシステムである。
本発明の第48の態様は、
前記コントローラは、前記サイクラ固有の較正方程式の関数である第2の較正方程式に基づいて、圧送される流体の生の測定容積を調整するように構成される、態様44に記
載のシステムである。
本発明の第49の態様は、
前記第2の方程式は、ポンプカセット容積誤差較正方程式である、態様48に記載の
システムである。
本発明の第50の態様は、
前記コントローラは、前記第2の較正方程式の関数である第3の較正方程式に基づいて、圧送される流体の生の測定容積を調整するように構成される、態様48に記載のシス
テムである。
本発明の第51の態様は、
前記第2の方程式は、ポンプカセット容積誤差較正方程式であり、前記第3の方程式は、ヘッド高さ誤差較正方程式である、態様50に記載のシステムである。
本発明の第52の態様は、
前記第2の方程式は、ヘッド高さ誤差較正方程式であり、前記第3の方程式は、ポンプカセット容積誤差較正方程式である、態様50に記載のシステムである。
本発明の第53の態様は、
前記コントローラは、サイクラ固有の較正方程式および第2の較正方程式に少なくとも部分的に基づいて、前記圧送される流体の生の測定容積を調整するように構成される、態様44に記載のシステムである。
本発明の第54の態様は、
前記システムは、カセット関連の一意の識別子に関連するポンプカセット容積誤差較正方程式のデータベースをさらに含む、態様53に記載のシステムである。
本発明の第55の態様は、
前記サイクラがユーザインターフェースをさらに含み、前記コントローラが、前記ユーザインターフェースを介してカセット関連の一意の識別子入力を受信し、前記データベースと通信して、前記カセット関連の一意の識別子入力に関連付けられたポンプカセット容積誤差較正方程式を取得するように構成され、前記カセット関連の一意の識別子入力に関連付けられた前記ポンプカセットの容積誤差較正方程式は、前記第2の較正方程式として使用される、態様54に記載のシステムである。
本発明の第56の態様は、
サイクラがイメージャをさらに含み、前記コントローラが、イメージャデータを介してカセット関連の一意の識別子データを決定し、前記データベースと通信して、前記カセット関連の一意の識別子データと関連付けられた前記ポンプカセットの容積誤差較正方程式を取得するように構成され、前記カセット関連の一意の識別子データと関連付けられた前記ポンプカセットの容量誤差較正方程式が前記第2の較正方程式として使用される、態様54に記載のシステムである。
本発明の第57の態様は、
前記流体処理セットが、コード化されたカセット関連の一意の識別子を含む、態様4
4に記載のシステムである。
本発明の第58の態様は、
カセットベースのポンプシステムであって、
少なくとも1つのポンプ室を覆う可撓性膜と、流体リザーバへの流体連絡をゲート制御する少なくとも1つのカセット弁と、を有するポンプカセットを含む流体処理セットと、 サイクラであって、
前記少なくとも1つのポンプ室を覆う可撓性膜の一部を作動させるための少なくとも1つのポンプ制御室、前記少なくとも1つのカセット弁を覆う前記可撓性膜の一部を作動させるための少なくとも1つの弁制御室、および前記少なくとも1つのポンプ制御室と連絡している少なくとも1つの圧力センサを有する圧力送達アセンブリ、
複数の圧力供給弁を介して前記少なくとも1つのポンプ制御室および前記少なくとも1つの弁制御室と選択的に連絡している圧力リザーバ、および
前記少なくとも1つの圧力センサからデータを受信し、前記少なくとも1つのカセット弁を開状態に命令し、前記少なくとも1つの圧力センサからのデータを監視して第1および第2の圧力ピークを識別し、前記第1および第2の圧力ピークに基づいて前記流体リザーバのヘッド高さを計算するように構成されたコントローラ
を備えるサイクラと、
を含むシステムである。
本発明の第59の態様は、
前記コントローラは、前記第1および第2のピークに関連する時間データに基づいて、前記流体リザーバを前記カセットに結合する流体ラインの長さを決定するようにさらに構成される、態様58に記載のシステムである。
本発明の第60の態様は、
前記第1のピークがオーバーシュートピークであり、前記第2のピークがアンダーシュートピークである、態様58に記載のシステムである。
本発明の第61の態様は、
前記コントローラは、計算されたヘッド高さに基づいて動作パラメータを調整するようにさらに構成される、態様58に記載のシステムである。
本発明の第62の態様は、
前記動作パラメータは、少なくとも1つのポンプ圧である、態様61に記載のシステ
ムである。
本発明の第63の態様は、
前記コントローラは、前記ヘッド高さに基づいて較正曲線を改良するようにさらに構成される、態様58に記載のシステムである。
本発明の第64の態様は、
前記流体リザーバが、透析液リザーバである、態様58に記載のシステムである。
本発明の第65の態様は、
前記流体リザーバが、患者の体腔である、態様58に記載のシステムである。
本発明の第65の態様は、
前記コントローラは、少なくとも1つのカセット弁を開状態に命令する前に、少なくとも1つのポンプ室を覆っている可撓性膜の部分を中間ストローク位置に変位させるようにさらに構成される、態様58に記載のシステムである。
本発明の第66の態様は、
前記コントローラは、前記第1および第2のピークに関連する時間データに基づいて、流体リザーバを前記カセットに結合する流体ラインに含まれる複数の延長ラインを決定するようにさらに構成される、態様58に記載のシステムである。
本発明の第67の態様は、
前記コントローラは、前記ヘッド高さが閾値を突破したときにエラーを生成するようにさらに構成される、態様58に記載のシステムである。
本発明の第68の態様は、
前記コントローラは、前記ヘッド高さを、事前定義された許容ヘッド高さ閾値と比較するようにさらに構成される、態様58に記載のシステムである。
本発明の第69の態様は、
カセットベースのポンプシステムのポンプ圧力を選択する方法であって、
ポンプシステムに取り付けられた流体処理セットをプライミングすることと、
前記流体処理セットのカセットのポンプ室をリザーバと連絡するように配置することと、
膜によって前記ポンプ室から分離された制御室内の第1の圧力ピークを検出することと、
前記制御室内の第2の圧力ピークを検出することと、
前記第1および第2の圧力ピークを使用して最終圧力を予測することと、
前記予測された最終圧力に基づいてポンプ圧力を計算することと、
を含む、方法である。
本発明の第70の態様は、
前記方法は、前記予測される最終圧力に基づいて前記リザーバのヘッド高さを計算することをさらに含む、態様69に記載の方法である。
本発明の第71の態様は、
前記方法は、前記第1および第2のピークに関連する前記カセットベースの時間データに前記リザーバを結合する流体ラインの特徴的な長さを決定することをさらに含む、態様69に記載の方法である。
本発明の第72の態様は、
前記方法は、前記第1および第2のピークに関連する時間データに基づいて、前記カセットを前記リザーバに結合する流体経路に含まれる複数の延長部を決定することをさらに含む、態様69に記載の方法である。
本発明の第73の態様は、
前記方法は、前記予測された最終圧力が所定の閾値を突破したときにエラーを生成することをさらに含む、態様69に記載の方法である。
本発明の第74の態様は、
前記方法が、前記膜を所定の初期位置に変位させることをさらに含む、態様69に記
載の方法である。
本発明の第75の態様は、
前記所定の初期位置は、ヘッド高さ検出範囲を正のヘッド高さの検出に向けてバイアスする位置である、態様74に記載の方法である。
本発明の第76の態様は、
前記所定の初期位置は、前記ヘッド高さ検出範囲を負のヘッド高さの検出に向けてバイアスする位置である、態様74に記載の方法である。
本発明の第77の態様は、
前記所定の初期位置は、前記中間ストローク位置である、態様74に記載の方法である。
本発明の第78の態様は、
前記方法が、前記予測された最終圧力に基づいて前記カセットベースのポンプシステムの較正曲線を調整することをさらに含む、態様69に記載の方法である。
本発明の第79の態様は、
前記第1のピークを検出することは、前記制御室と通信する前記少なくとも1つの圧力センサからの連続するデータポイントのセット間の差を計算することを含む、態様69
に記載の方法である。
本発明の第80の態様は、
前記第1のピークを検出することは、前記少なくとも1つの圧力センサから連続するデータポイントのセットにデータ平滑化を適用することをさらに含む、態様79に記載の
方法である。
本発明の第81の態様は、
前記方法は、連続するデータポイントのセット間の差が所定の限界未満であるときに第1のピークを識別することをさらに含む、態様79に記載の方法である。
本発明の第82の態様は、
前記最終圧力を予測することは、前記第1および第2のピークに基づいてオーバーシュートパーセントを決定することを含む、態様69に記載の方法である。
本発明の第83の態様は、
カセットベースのポンプシステムに結合されたリザーバのヘッド高さをチェックする方法であって、
カセットベースのポンプシステムに設置された流体処理セットのカセットのポンプ室をリザーバと連絡するように配置することと、
膜によって前記ポンプ室から分離された制御室内の第1の圧力ピークを検出することと、
前記制御室内の第2の圧力ピークを検出することと、
前記第1および第2の圧力ピークを使用して最終圧力を予測することと、
予測された前記最終圧力を少なくとも1つの所定の閾値と比較することと、
予測された前記最終圧力が少なくとも1つの所定の閾値のうちの少なくとも1つを突破したときに通知を生成することと、
を含む、方法である。
本発明の第84の態様は、
通知を生成することは、エラーを生成することを含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第85の態様は、
前記通知を生成することは、前記カセットベースのポンプシステムのユーザインターフェース上に表示するための画面を生成することを含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第86の態様は、
通知を生成することは、可聴ノイズを生成することを含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第87の態様は、
前記方法は、前記予測される最終圧力に基づいて前記リザーバのヘッド高さを計算することをさらに含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第88の態様は、
前記方法が、前記第1および第2の圧力ピークに基づいてオーバーシュートパーセンテージを決定することをさらに含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第89の態様は、
前記方法は、前記第1および第2のピークに関連する時間データに基づいて、前記リザーバを前記カセットに結合する流体ラインの特徴的な長さを決定することをさらに含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第90の態様は、
前記方法は、前記第1および第2のピークに関連する時間データに基づいて、前記カセットを前記リザーバに結合する流体経路に含まれる複数の延長部を決定することをさらに含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第91の態様は、
前記方法が、膜を所定の初期位置に変位させることをさらに含む、態様83に記載の
方法である。
本発明の第92の態様は、
前記所定の初期位置は、ヘッド高さ検出範囲を正のヘッド高さの検出に向けてバイアスする位置である、態様91に記載の方法である。
本発明の第93の態様は、
前記所定の初期位置は、ヘッド高さ検出範囲を負のヘッド高さの検出に向けてバイアスする位置である、態様91に記載の方法である。
本発明の第94の態様は、
前記所定の初期位置は、前記中間ストローク位置である、態様91に記載の方法である。
本発明の第95の態様は、
前記方法が、前記予測された最終圧力に基づいて前記カセットベースのポンプシステムの較正曲線を調整することをさらに含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第96の態様は、
前記第1のピークを検出することは、前記制御室と通信する前記少なくとも1つの圧力センサからの連続するデータポイントのセット間の差を計算することを含む、態様83
に記載の方法である。
本発明の第97の態様は、
前記第1のピークを検出することは、前記少なくとも1つの圧力センサからの連続するデータポイントのセットにデータ平滑化を適用することをさらに含む、態様83に記載
の方法である。
本発明の第98の態様は、
前記方法は、連続するデータポイントのセット間の差が所定の限界未満であるときに前記第1のピークを識別することをさらに含む、態様83に記載の方法である。
本発明の第99の態様は、
カセットベースのポンプシステムであって、
少なくとも1つのポンプ室を覆う可撓性膜と、流体リザーバへの流体連絡をゲート制御する少なくとも1つのカセット弁と、を有するポンプカセットを含む流体処理セットと、 サイクラであって、
少なくとも1つのポンプ制御室、
少なくとも1つの弁制御室、
前記少なくとも1つのポンプ制御室と連絡している少なくとも1つの圧力センサ、
複数の圧力供給弁を介して少なくとも1つのポンプ制御室および少なくとも1つの弁制御室と選択的に連絡している圧力リザーバ、および
前記圧力センサとデータ通信し、前記少なくとも1つのカセット弁を開状態に命令し、前記少なくとも1つの圧力センサからのデータを監視し、第1および第2の圧力ピークを識別し、前記第1および第2の圧力ピークに基づいて最終圧力を予測するように構成されたコントローラ
を含む、サイクラと、
を備える、システムである。
本発明の第100の態様は、
前記コントローラは、前記第1および第2のピークに関連する時間データに基づいて、前記流体リザーバを前記カセットに結合する流体ラインの長さを決定するようにさらに構成される、態様99に記載のシステムである。
本発明の第101の態様は、
前記第1のピークがオーバーシュートピークであり、前記第2のピークがアンダーシュートピークである、態様99に記載のシステムである。
本発明の第102の態様は、
前記コントローラは、計算されたヘッド高さに基づいて動作パラメータを調整するようにさらに構成される、態様99に記載のシステムである。
本発明の第103の態様は、
前記動作パラメータは、少なくとも1つのポンプ圧である、態様102に記載のシス
テムである。
本発明の第104の態様は、
前記コントローラは、前記ヘッドの高さに基づいて較正曲線を改良するようにさらに構成される、態様99に記載のシステムである。
本発明の第105の態様は、
前記流体リザーバが、透析液リザーバである、態様99に記載のシステムである。
本発明の第106の態様は、
流体リザーバが患者の体腔である、態様99に記載のシステムである。
本発明の第107の態様は、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのカセット弁を開状態に命令する前に、前記少なくとも1つのポンプ室を覆っている可撓性膜の部分を中間ストローク位置に変位させるようにさらに構成される、態様99に記載のシステムである。
本発明の第108の態様は、
前記コントローラは、前記第1および第2のピークに関連する時間データに基づいて、流体リザーバを前記カセットに結合する流体ラインに含まれる複数の延長ラインを決定するようにさらに構成される、態様99に記載のシステムである。
本発明の第109の態様は、
前記コントローラは、前記予測された最終圧力が前記閾値を突破したときにエラーを生成するようにさらに構成される、態様99に記載のシステムである。
本発明の第110の態様は、
前記コントローラは、予測された最終圧力を、事前定義された許容ヘッド高さ圧力閾値と比較するようにさらに構成される、態様99に記載のシステムである。
本発明の第111の態様は、
流体ライン状態検出器であって、
紫外線に対して不透明な流体ラインを保持するように構成されたレセプタクルと、
光センサと、
赤外線発光LEDと、
紫外線発光LEDと、
第3のLEDと、
光センサとデータ通信し、光センサによって前記赤外線発光LEDから感知された赤外線の強度が所定の第1の閾値を超えるとき、および前記光センサによって前記紫外線発光LEDから感知された紫外線の強度が、所定の第2の閾値を下回っているときに、適切なチューブが存在することを決定するように構成されたコントローラと、
を含み、前記赤外線発光LEDの軸および前記紫外線発光LEDの軸は、互いに平行であり、前記光センサの軸にも平行である、流体ライン状態検出器である。
本発明の第112の態様は、
前記赤外線発光LEDの軸は、前記赤外線発光LEDの光軸であり、前記紫外線発光LEDの軸は、前記紫外線発光LEDの光軸である、態様111に記載の流体ライン状態
検出器である。
本発明の第113の態様は、
前記赤外線発光LEDの軸は、前記赤外線発光LEDの機械的軸であり、前記紫外線発光LEDの軸は、前記紫外線発光LEDの機械的軸である、態様111に記載の流体ラ
イン状態検出器である。
本発明の第114の態様は、
前記光センサの軸は、前記光センサの光軸である、態様111に記載の流体ライン状
態検出器である。
本発明の第115の態様は、
前記光センサの軸は、前記光センサの機械的軸である、態様111に記載の流体ライ
ン状態検出器である。
本発明の第116の態様は、
前記第3のLEDは、前記赤外線発光LEDである、態様111に記載の流体ライン
状態検出器である。
本発明の第117の態様は、
前記第3のLEDの軸は、前記赤外線発光LEDの軸および前記紫外線発光LEDの軸に平行以外の角度にある、態様111に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第118の態様は、
前記紫外線発光LEDの軸は、前記レセプタクル内に設置された前記流体ラインの中央部分を通過するように構成される、態様111に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第119の態様は、
前記レセプタクルは、前記流体ラインを保持するためのリテーナを含む、態様111
に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第120の態様は、
前記コントローラは、前記第3のLEDからの光強度が所定の乾燥閾値を超えると、前記流体ラインが乾燥していると決定するようにさらに構成される、態様111に記載の
流体ライン状態検出器である。
本発明の第121の態様は、
前記コントローラは、前記第3のLEDからの光強度が所定のプライミング閾値を下回り、前記所定のプライミング閾値が前記所定の乾燥閾値よりも低いときに前記流体ラインがプライミングされることを決定するようにさらに構成される、態様120に記載の流
体ライン状態検出器である。
本発明の第122の態様は、
前記コントローラは、前記赤外線発光LEDからの光強度が所定の赤外線光閾値を下回り、前記第3のLEDからの光強度が所定のプライミング閾値を下回るときに、前記流体ラインがプライミングされることを決定するようにさらに構成され、前記所定のプライミング閾値は前記所定の乾燥閾値よりも低い、態様120に記載の流体ライン状態検出器
である。
本発明の第123の態様は、
前記コントローラは、光センサによって前記赤外発光LEDから感知された前記赤外光の強度が所定の第1の閾値を超えたとき、前記光センサによって前記紫外線発光LEDから感知された紫外線の強度が所定の第2の閾値を下回ったとき、および前記第3のLEDによって放出された光の強度が所定の第3の閾値を下回ったとき、適切なチューブが流体ライン状態検出器に存在することを決定するように構成される、態様111に記載の流
体ライン状態検出器である。
本発明の第124の態様は、
前記コントローラは、前記赤外線発光LED、前記紫外線発光LED、および前記第3のLEDへの電力の供給を制御するようにさらに構成される、態様111に記載の流体
ライン状態検出器である。
本発明の第125の態様は、
第1のスペクトルの光に対して不透明であり、第2のスペクトルの光に対して少なくとも半透明である流体ラインの存在を検出するための流体ライン状態検出器であって、
前記流体ラインを保持するように構成されたレセプタクルと、
光センサと、
第1のスペクトルで発光するように構成された第1のLEDと、
第2のスペクトルで発光するように構成された第2のLEDと、
第3のLEDと、
光センサとデータ通信し、前記第1のLEDからの前記光センサによって感知された前記第1のスペクトルの光の強度が所定の第1の閾値を下回るとき、および前記第2のLEDからの前記光センサによって感知された第2のスペクトルの光の強度が、所定の第2の閾値を超えるときに、前記流体ライン状態検出器に前記流体ラインが存在することを決定するように構成される、コントローラと、
を含み、前記第1のLEDの軸および前記第2のLEDの軸は、互いに平行であり、前記光センサの軸にも平行である、流体ライン状態検出器である。
本発明の第126の態様は、
前記第1のLEDの軸は、前記第1のLEDの光軸であり、前記第2のLEDの軸は、前記第2のLEDの光軸である、態様125に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第127の態様は、
前記第1のLEDの軸は、前記第1のLEDの機械的軸であり、前記第2のLEDの軸は、前記第2のLEDの機械的軸である、態様125に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第128の態様は、
前記光センサの軸は、前記光センサの光軸である、態様125に記載の流体ライン状
態検出器である。
本発明の第129の態様は、
前記光センサの軸は、前記光センサの機械的軸である、態様125に記載の流体ライ
ン状態検出器である。
本発明の第130の態様は、
前記第3のLEDは、前記第2のスペクトルの光を放出するように構成される、態様
125に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第131の態様は、
前記第3のLEDの軸は、前記第1のLEDの軸および前記第2のLEDの軸に平行以外の角度にある、態様125に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第132の態様は、
前記第1のLEDの軸は、前記流体ラインが前記レセプタクル内に設置されたときに前記流体ラインの中央部分を通過するように構成される、態様125に記載の流体ライン
状態検出器である。
本発明の第133の態様は、
前記レセプタクルは、前記流体ラインを保持するためのリテーナを含む、態様125
に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第134の態様は、
前記コントローラは、前記第3のLEDからの光強度が所定の乾燥閾値を超えると、前記流体ラインが乾燥していると決定するようにさらに構成される、態様125に記載の
流体ライン状態検出器である。
本発明の第135の態様は、
前記コントローラは、前記第3のLEDからの光強度が所定のプライミング閾値を下回り、前記所定のプライミング閾値が前記所定の乾燥閾値よりも低いときに、前記流体ラインがプライミングされることを決定するようにさらに構成される、態様134に記載の
流体ライン状態検出器である。 である。
本発明の第136の態様は、
前記コントローラは、前記第2のLEDからの光強度が所定の第2の光スペクトル閾値を下回ったとき、および前記第3のLEDからの光強度が所定のプライミング閾値を下回ったときに、前記流体ラインがプライミングされることを決定するようにさらに構成され、前記所定のプライミング閾値は、前記所定の乾燥閾値よりも低い、態様134に記載
の流体ライン状態検出器である。
本発明の第137の態様は、
前記コントローラは、前記第1のLEDからの前記光センサによって感知された前記第1のスペクトルの光の強度が所定の閾値を下回るとき、および前記第2のLEDからの前記光センサによって感知される前記第2のスペクトルの光の強度が所定の第2の閾値を上回るとき、および前記第3のLEDからの前記光センサによって感知される光の強度が所定の第3の閾値を下回るときに、前記流体ラインが流体ライン状態検出器に存在することを決定するように構成される、態様125に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第138の態様は、
前記コントローラは、前記第1、第2、および第3のLEDへの電力の供給を制御するようにさらに構成される、態様125に記載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第139の態様は、
前記第1のスペクトルが紫外線スペクトルである、態様125に記載の流体ライン状
態検出器である。
本発明の第140の態様は、
前記第2のスペクトルが赤外線スペクトルである、態様125に記載の流体ライン状
態検出器である。
本発明の第150の態様は、
前記流体ラインは、前記第2のスペクトルの光に対して透明である、態様125に記
載の流体ライン状態検出器である。
本発明の第151の態様は、
検出器のレセプタクル内の適切な流体ラインの存在を検出する方法であって、
第1のLEDから第1のスペクトルの光を放出することであって、前記流体ラインは前記第1のスペクトルの光に対して不透明である、ことと、
第2のLEDから第2のスペクトルの光を放出することであって、前記流体ラインは前記第2のスペクトルの光に対して少なくとも半透明である、ことと、
前記レセプタクルの前記第1のLEDおよび前記第2のLEDとは反対側に配置された光センサを用いて、受信光の強度を監視することと、
前記第1のスペクトルで受信した光の強度を第1の閾値と比較することと、
前記第2のスペクトルで受信した光の強度を第2の閾値と比較することと、
前記第1のスペクトルの光の強度が第1の閾値よりも小さく、前記第2のスペクトルの光の強度が前記第2の閾値よりも大きい場合に、適切な流体ラインの存在を決定することと、
を含む、方法である。
本発明の第152の態様は、
前記第1の閾値は、前記第1のLEDから前記光センサへの光透過が実質的にないことに対応する、態様151に記載の方法である。
本発明の第153の態様は、
前記第1のスペクトルが紫外線スペクトルである、態様151に記載の方法である。
本発明の第154の態様は、
前記第2のスペクトルは、前記第1のスペクトルよりも高い波長スペクトルである、態様151に記載の方法である。
本発明の第155の態様は、
前記第2のスペクトルが赤外線スペクトルである、態様151に記載の方法である。
本発明の第156の態様は、
前記流体ラインは、前記第2のスペクトルの光に対して透明である、態様151に記
載の方法である。
本発明の第157の態様は、
前記方法は、前記第1のスペクトルの光の強度が前記第1の閾値よりも高く、前記第2のスペクトルの光の強度が前記第2の閾値よりも大きいときに、通知を生成することをさらに含む、態様151に記載の方法である。
本発明の第158の態様は、
通知を生成することは、グラフィカルユーザインターフェース上で流体ラインをリロードするための通知を表示することを含む、態様157に記載の方法である。
本発明の第159の態様は、
前記第1のLEDおよび前記第2のLEDの軸は、互いに平行であり、前記光センサの軸に平行である、態様151に記載の方法である。
本発明の第160の態様は、
流体ポンプシステムであってである。
ポンプと、
変位容積感知アセンブリと、
流体ラインを保持するためのレセプタクル、少なくとも1つの光センサ、および少なくとも1つのLEDを有する流体ライン状態検出器と、
前記レセプタクルに嵌合するように構成された出力ラインを含む流体移送セットと、
少なくとも1つの流体源と、
前記流体ライン状態検出器とデータ通信するコントローラであって、少なくとも1つのLEDに電力を供給し、前記出口ラインが前記リセプタクルに設置されたときに少なくとも1つの光センサの出力信号を監視してドライチューブの光強度値を決定するように構成され、前記少なくとも1つの流体源からの流体で前記出力ラインをプライミングするように前記ポンプの動作を制御するように構成され、前記少なくとも1つのLEDに電力を供給し、前記出力信号を監視し、前記出力信号が、前記光強度値がプライミングされたラインの閾値を下回ったことを示したときに前記ポンプの動作を停止するように構成された、コントローラと、
を備え、前記プライミングされたラインの閾値は、前記ドライチューブ強度の読み取りに基づいて前記コントローラによって計算される、システムである。
本発明の第161の態様は、
前記プライミングされたラインの閾値は、前記ドライチューブ強度値のパーセンテージに定数を加算することによって計算される、態様160に記載のシステムである。
本発明の第162の態様は、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのLEDに複数回電力を供給するように構成され、前記ドライチューブ強度値は、複数回にわたって前記光センサから出力された最大光強度値に基づく、態様160に記載のシステムである。
本発明の第163の態様は、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのLEDに複数回電力を供給し、前記出力信号を監視して、最大光強度値を決定するように構成され、前記ドライチューブ強度値は、前記最大光強度値および少なくとも1つの限界に基づく、態様160に記載のシステム
である。
本発明の第164の態様は、
前記限界は、前記ドライチューブ強度値の最小値である、態様163に記載のシステ
ムである。
本発明の第165の態様は、
前記コントローラは、前記変位容積感知アセンブリが、前記変位された流体の容積が所定の閾値よりも大きいことを示すときに、通知を生成するようにさらに構成される、態様160に記載のシステムである。
本発明の第166の態様は、
前記コントローラは、前記出力ラインがまだ完全にプライミングされていないことを示す前記システムのユーザインターフェースからのユーザ入力を受信すると、ポンピングを継続するように構成される、態様165に記載のシステムである。
本発明の第167の態様は、
前記ポンプがダイヤフラムポンプである、態様160に記載のシステムである。
本発明の第168の態様は、
前記ポンプが空気圧ダイヤフラムポンプである、態様160に記載のシステムである。
本発明の第169の態様は、
前記ポンプの一部が流体移送セットに含まれる、態様160に記載のシステムである。
本発明の第170の態様は、
前記少なくとも1つの流体源が透析液リザーバである、態様160に記載のシステム
である。
本発明の第171の態様は、
前記少なくとも1つのLEDが、前記光センサの光軸に対してある角度で配置された第1のLEDを含む、態様160に記載のシステムである。
本発明の第172の態様は、
少なくとも1つのLEDが、第2のLEDおよび第3のLEDを含む、態様171に
記載のシステムである。
本発明の第173の態様は、
前記第2のLEDの軸および前記第3のLEDの軸は、前記光センサの光軸に平行である、態様172に記載のシステムである。
本発明の第174の態様は、
流体ラインをプライミングする方法であって、
流体ライン状態検出器のレセプタクルに流体ラインを設置することと、
前記流体ライン状態検出器の少なくとも1つのLEDから第1の複数回光を放出することと、
前記流体ライン状態検出器の光センサの出力信号を監視し、前記第1の複数回の出力信号に基づいて最大光強度値を決定することと、
前記最大光強度値に基づいてプライミングされたラインの閾値を決定することと、
前記流体ラインを介して流体をポンピングすることと、
前記流体ライン状態検出器の前記少なくとも1つのLEDから第2の複数回光を放出することと、
前記光センサの出力信号が、前記LEDからの光強度がプライミングされたチューブの閾値を突破したことを示しているときに、前記流体ラインがプライミングされることを決定することを、
を含む、方法である。
本発明の第175の態様は、
前記リセプタクルに前記流体ラインを設置することは、前記流体ラインを前記流体ライン状態検出器のチャネル内に着座させることを含む、態様174に記載の方法である。
本発明の第176の態様は、
前記方法は、前記最大光強度を限界と比較し、前記最大光強度値が前記限界に適合しない場合に、前記最大光強度値を前記限界の値で上書きすることをさらに含む、態様17
4に記載の方法である。
本発明の第177の態様は、
前記出力信号に基づいて前記最大光強度値を決定することは、前記第1の複数回の間に前記出力信号によって示される光強度値を較正値と比較して比率を決定することを含む、態様174に記載の方法である。
本発明の第178の態様は、
前記較正値は、前記レセプタクルにチューブが設置されていないときの、前記光センサから出力された前記少なくとも1つのLEDからの光強度値である、態様177に記載
の方法である。
本発明の第179の態様は、
前記プライミングされたラインの閾値を決定することは、前記最大光強度値のパーセンテージに定数を追加することを含む、態様174に記載の方法である。
本発明の第180の態様は、
前記第2の複数回は、前記ラインを介して流体を圧送する過程で発生する、態様17
4に記載の方法である。
本発明の第181の態様は、
前記第2の複数回の間に前記少なくとも1つのLEDから光を放出することは、第1、第2、および第3のLEDから光を放出することを含む、態様174に記載の方法である。
本発明の第182の態様は、
前記方法は、前記流体ラインがプライミングされたと決定したときに、前記ラインを通る流体の圧送を停止することをさらに含む、態様174に記載の方法である。
本発明の第183の態様は、
前記方法が、前記変位容積感知アセンブリを介して圧送される流体の容積を監視することをさらに含む、態様174に記載の方法である。
本発明の第184の態様は、
前記方法は、前記圧送される流体の容積が第1の容積閾値を超えたときに、前記流体の前記圧送を一時停止することをさらに含む、態様183に記載の方法である。
本発明の第185の態様は、
前記方法は、前記ラインがまだ完全にプライミングされていないことを示すユーザ入力を受信すると、前記圧送を再開することをさらに含む、態様184に記載の方法である。
本発明の第186の態様は、
前記方法は、圧送された流体の容積が第2の容積閾値を超えたときにポンプの再開を禁止することをさらに含む、態様184に記載の方法である。
本発明の第187の態様は、
流体ポンプシステムであって、
ポンプと、
レセプタクル、少なくとも1つのセンサ、および少なくとも1つの照明器を有する流体ライン状態検出器と、
前記レセプタクルに嵌合するように構成された出力ラインを含む流体移送セットと、
流体ライン状態検出器とデータ通信しているコントローラであって、少なくとも1つの照明器に電力を供給し、出口ラインが前記レセプタクルに取り付けられているときに少なくとも1つのセンサの出力信号を監視してドライチューブの光強度値を決定するように構成され、少なくとも1つの流体源からの流体で前記出力ラインをプライミングするようにポンプの動作を制御するようにさらに構成され、少なくとも1つの照明器に電力を供給し、出力信号を監視し、前記出力信号は、光強度値がドライチューブ強度値に依存するプライミングされたラインの閾値を下回ったことを示すときに、前記ポンプの動作を停止するようにさらに構成される、システムである。
本発明の第188の態様は、
前記プライミングされたラインの閾値は、前記ドライチューブ光強度値のパーセンテージに定数を加算することによって計算される、態様187に記載のシステムである。
本発明の第189の態様は、
前記コントローラは、少なくとも1つの照明器に複数回電力を供給するように構成され、前記ドライチューブ光強度値は、複数回にわたって前記センサから出力される最大光強度値に基づく、態様187に記載のシステムである。
本発明の第190の態様は、
前記コントローラは、少なくとも1つの照明器に複数回電力を供給し、前記出力信号を監視して、最大光強度値を決定するように構成され、前記ドライチューブ光強度値は、前記最大光強度値および少なくとも1つの限界に基づく、態様187に記載のシステムである。
本発明の第191の態様は、
前記限界は、前記ドライチューブ光強度値の最小値である、態様190に記載のシス
テムである。
本発明の第192の態様は、
前記システムは、変位容積感知アセンブリをさらに含み、前記コントローラは、前記変位容積感知アセンブリが、前記変位流体の容積が所定の閾値よりも大きいことを示すときに通知を生成するようにさらに構成される、態様187に記載のシステムである。
本発明の第193の態様は、
前記コントローラは、前記出力ラインがまだ完全にプライミングされていないことを示す、前記システムの前記ユーザインターフェースからの前記ユーザ入力の受信時にポンピングを継続するように構成される、態様192に記載のシステムである。
本発明の第194の態様は、
前記ポンプが、ダイヤフラムポンプである、態様187に記載のシステムである。
本発明の第195の態様は、
前記ポンプが、空気圧ダイヤフラムポンプである、態様187に記載のシステムである。
本発明の第196の態様は、
前記ポンプの一部が前記流体移送セットに含まれる、態様187に記載のシステムである。
本発明の第197の態様は、
前記少なくとも1つの流体源が透析液リザーバである、態様187に記載のシステム
である。
本発明の第198の態様は、
前記少なくとも1つの照明器は、前記センサの光軸に対してある角度で配置された第1のLEDを含む、態様187に記載のシステムである。
本発明の第199の態様は、
前記少なくとも1つの照明器は、前記第2のLEDおよび前記第3のLEDを含む、態様198に記載のシステムである。
本発明の第200の態様は、
前記第2のLEDの軸および前記第3のLEDの軸は、前記センサの光軸に平行である、態様199に記載のシステムである。
本発明の第201の態様は、
実質的に本明細書に示され、記載されているような容量測定標準セットまたはサイクラである。
本発明の第202の態様は、
本明細書に示され、記載されているシステム、方法、および装置のいずれかである。