JP7378155B2 - ファルネシルジベンゾジアゼピノンを使用してフェラン・マクダーミド症候群を処置する方法 - Google Patents

ファルネシルジベンゾジアゼピノンを使用してフェラン・マクダーミド症候群を処置する方法 Download PDF

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Description

発明の背景
フェラン・マクダーミド症候群(Phelan McDermid Syndrome:PMS)は、Watt他(1985)の文献で初めて言及され、その後Phelan他(2001)により詳細に記述された神経発達障害である。
ヒトにおけるPMSの臨床的特徴には、重篤な新生児筋緊張低下(>97%個体)、全般的発達遅延(>98%)、正常から加速的成長(95%)、発話の欠如から重度遅延(>98%)、及び軽微な異形特徴(Phelan、2008)が含まれる。行動的には、フェラン・マクダーミド個体は、一般的に、疼痛感受性低下、アイコンタクト不良、常同運動、社会機能低下、多動性、感覚運動機能の変化、攻撃的行動を呈する。行動の表現型は、年齢とともに退行し、社会的、運動的、又は精神的機能の低下を示すこともある(Soorya他、2013)。身体的には、PMSは、軽微な異形の特徴及びリンパ浮腫と関連する可能性がある。
PMSにおける重要な合併症として、てんかんがある。41%もの罹患した個体が発作(発熱及び/又は非発熱)を起こす(Soorya他、2013)。また、Holder及びQuach(2016)は、46%のフェラン・マクダーミド個体が生涯のいずれかの時点で発作を起こし、あらゆる種類の発作を呈することを指摘している。最も一般的な発作は、非定型欠神発作(90%)であり、この他の種類として、強直性発作(54%)、弛緩性発作(18%)、強直性間代性発作(9%)、ミオクロニー発作(9%)等がある。Holder及びQuachにより特徴付けられた個体の20%は、てんかん重積状態にあり、8%は、レノックス・ガストー(Lennox Gastaut)症候群と診断されている。発作は、薬学的にコントロールされる場合もあれば、薬剤耐性の場合もある。年齢とともに発作感受性が増加する傾向があり、発作の発症は、機能的技能の退行と相関する(Soorya他、2013)。複数の抗痙攣薬が使用されており、発作には、多剤併用が一般的である。
ヒトにおける疾患は、SHANK3/ProSAP2遺伝子を含む22q13.3における染色体欠失によって特徴付けられる(Bonaglia他、2001;Anderlid他、2002;Wilson他、2003)。PMSの徴候及び症状は、SHANK3タンパク質のハプロ不全と関係するとの見解が一般的に受け入れられている。
Shcheglovitov他(2013)は、PMS患者由来の人工多能性幹(induced pluripotent stem:IPS)細胞株では、シナプス後AMPA及びNMDA受容体反応が損なわれており、これは、興奮性シナプスが少ないことを反映していると指摘している。これらの欠失は、SHANK3タンパク質の最長アイソフォームのレベル低下に関連し(Shcheglovitov他(2013))、インシュリン様成長因子1(IGF-1)の投与により救済された。この著者らは、SHANK3は、シナプス形成の初期段階で必要であり、IGF-1は、SHANK3の喪失とPSD95タンパク質の動員を誘発することによって、シナプスの成熟を促進するとの見解を示している。また、Bozdagi他(2013)も、IGF-1によるShank3ノックアウトマウスの表現型の救済を示している。Kolevzon他(2014)は、プラセボ対照条件でIGF-1を投与すると、12週間の投与期間中にShank3ノックアウトマウスの社会的、反復的、及び異常な行動が改善されることを報告している。
PMSにおける薬学的介入の臨床研究は比較的少ないが、米国では、PMSにおける鼻腔内オキシトシンの効果の研究が進められている(ClinicalTrials.gov識別番号NCT02710084)。PMSについて承認されている処置法はない。したがって、PMSを処置する手段が必要であり、ここに開示する発明は、このような目的及び他の重要な目的に関するものである。
発明の要旨
本発明は、障害を有する対象又は障害の発症素因を有する対象において、フェラン・マクダーミド症候群(PMS)を処置する方法に関する。以下により十分に考察するように、本発明者らは、ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物が、その投与によってPMS個体における障害の症状を緩和できること見出した。
したがって、第1の実施形態では、本発明は、PMSを有する対象の処置方法を提供し、この方法は、治療有効量の(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン(farnesyl dibenzodiazepinone)化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤を、PMSを有する対象に投与することを含む。
第2の実施形態では、本発明は、PMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症を抑制する方法を提供し、この方法は、治療有効量の(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤を、PMS発症素因を有する対象に投与することを含む。
第3の実施形態では、本発明は、PMSを有する対象の処置における又はPMSを有する対象の処置方法における(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤の使用を提供する。
第4の実施形態では、本発明は、PMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症の抑制、又はPMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症の抑制方法における、(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤の使用を提供する。
第5の実施形態において、本発明は、PMSを有する対象の処置又はPMSを有する対象の処置方法のために使用される(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤の治療有効量を提供する。
第6の実施形態において、本発明は、PMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症の抑制又はPMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症の抑制方法に使用するための(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤の治療有効量を提供する。
第7の実施形態において、本発明は、PMSを有する対象を処置するための薬剤の製造のための少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の使用を提供する。
第8の実施形態において、本発明は、PMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症を抑制するための薬剤の製造のための少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の使用を提供する。
本発明の各実施形態及び側面において、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、式Iに包含される化合物又は薬学的に許容されるその塩から選択され、
ここで、W1、W2、及びW3は、それぞれ独立して、
であるか、又はW3、W2、又はW1がそれぞれ-CH=O又は-CH2OHのいずれかであることで、三環からの鎖がW3、W2、又はW1において終端してもよく;
Aは、-NH-、-NCH21-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキル、C2-6アルケン、アリール、又はヘテロアリールであり;
2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、H、R5、又は-C(O)R6であり、各R5は、独立して、C1-6アルキル、C2-7アルカレン、アリール、又はヘテロアリールであり、各R6は、独立して、H、C1-6アルキル、C2-7アルカレン、アリール、又はヘテロアリールである。
本発明の各実施形態及び側面において、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、化合物AMO-01又は薬学的に許容されるその塩でありうる。
本発明の関連する実施形態及び側面において、PMS発症素因を有する対象は、22q13.3に染色体欠失を有する対象である。
本発明の実施形態及び側面のそれぞれにおいて、治療有効量の少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、又は少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤は、対象の体重を基準として約0.1μg~約200mg/kgの薬剤である。
本発明の各実施形態及び側面において、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、又は少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤は、静脈内、皮下投与、又は他の受容可能な手段を介して対象に投与される。
以上、本発明の詳細な説明を明瞭にするために、本発明の特徴及び技術的利点を広範に概説した。以下では、本発明の請求の範囲の主題を構成する本発明の更なる特徴及び利点を説明する。本明細書に開示する任意の概念及び特定の実施形態を基礎として、本発明と同じ目的を達成するための他の手段を容易に修正又は設計できることは、当業者にとって明らかである。このような等価な手段は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び範囲から逸脱するものではないことも、当業者にとって明らかである。本発明の特徴であると考えられる新規な要素は、その構成および作用の両方に関して、更なる目的および利点と共に、添付の図面を参照する以下の説明からより明瞭になる。なお、全ての説明、図面、実施例等は、例示及び説明のみを目的としており、本発明を限定する意図はない。
海馬及び皮質のpERKレベルにより指標化される、野生型(wild type:WT)及びShank3b-/-ノックアウト(knockout:KO)遺伝子改変マウスにおけるRas-ERK経路の活性化。「ns」は、非有意(Not Significant)、****は、p<0.0001。
n=10のマウス群への30mg/kg腹腔内投与AMO-01又は賦形剤の単回投与から4時間後のPMSのShank3bノックアウト遺伝子改変モデルにおける明暗ボックス試験により評価した不安。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=31.19、p<0.0001)。賦形剤処置野生型(WT)マウスとShank3b-/-ノックアウトマウス(KO)との間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスで有意な効果を示さなかった。一方、AMO-01は、Shank3b-/-マウスで示された欠如を有意に減少させ(p<0.0001)たが、AMO-01処置野生型マウスとShank3b-/-マウスの間には、依然として有意差があったため、この逆転は、完全ではなかった(p<0.05)。「ns」は、非有意(Not Significant)、*p<0.05、****は、p<0.0001。
30mg/kg腹空内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおける過剰なセルフグルーミングにより指標化された自傷行動。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=29.14、p<0.0001)。賦形剤処置野生型マウスとShank3b-/-ノックアウトマウス間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスで有意な効果を示さなかった。一方、AMO-01は、Shank3b-/-マウスで示された欠如を有意に減少させた(p<0.0001)。AMO-01処置野生型マウスと処置後のShank3b-/-マウスとの間には、有意差がなかったため、この逆転は、完全であった。「ns」は、非有意(Not Significant)、****は、p<0.0001。
30mg/kg腹腔内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおける、馴染みのあるマウス又は新奇のマウスとの相互干渉に費やされた時間によって指標化された社会的新奇性への反応。野生型動物(WT)は、(以前に遭遇している)馴染みのマウスよりも(以前に見ていない)新奇なマウスとの密接な相互干渉により多くの時間を費やし、この違いは、AMO-01による処置によって影響されない。賦形剤により処置されたShank3b KOマウスは、社会的新奇性の処理の混乱を示し、この違いは、確認されなかった。AMO-01による処置は、Shank3b KOマウスにおける社会的新奇性に対する特異的応答を正常化する。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=52.75、p<0.0001)。「ns」は、非有意(Not Significant)、****は、p<0.0001。
30mg/kg腹腔内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおける梁歩行行動。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=29.76、p<0.0001)。賦形剤処置野生型マウスとShank3b-/-ノックアウトマウスとの間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスで有意な効果を示さなかった。一方、AMO-01は、Shank3b-/-マウスで示された欠如を有意に減少させた(p<0.0001)。AMO-01処置野生型マウスとShank3b-/-マウスとの間には、処置後有意差がなかったため、この逆転は、完全であった。「ns」は、非有意(Not Significant)、***は、p<0.001。
30mg/kg腹腔内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおけるガラス玉覆い隠し行動。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=42.15、p<0.0001)。賦形剤処置野生型マウスとShank3b-/-ノックアウトマウスとの間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスで有意な効果を示さなかった。一方、AMO-01は、Shank3b-/-マウスで示された欠失を有意に減少させた(p<0.0001)。AMO-01処置野生型マウスとShank3b-/-マウスとの間には、処置後有意差がなかったため、この逆転は、完全であった。「ns」は、非有意(Not Significant)、***は、p<0.001、****は、p<0.0001。
30mg/kg腹腔内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおける聴覚原性発作閾値。
フェラン・マクダーミド症候群対象へのAMO-01投与スケジュール。
遺伝的にフェラン・マクダーミド症候群と確認された23歳男性の視覚皮質から記録した、120mg/m2の総投与量を6時間かけて注入する直前及び直後の視覚誘発電位。
発明の詳細な説明

I.定義
ここで使用する不定冠詞(「a」又は「an」)は、1つ以上を意味しうる。また、ここで「含む(comprising)」という語と共に使用される場合、不定冠詞(「a」又は「an」)は、1つ又は複数を意味しうる。ここで使用する「他の(another)」は、少なくとも第2の又はこれ以上を意味しうる。更に、文脈によって要求されない限り、単数形は複数を含み、複数形は単数を含む。
ここで使用する「約(about)」は、明示的に示されているか否かにかかわらず、例えば、整数、分数、及びパーセンテージを含む数値を指す。用語「約」は、通常、その値と等価である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と当業者が考える数値(例えば、その値の+/-5~10%)の範囲を指す。幾つかの例では、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められた数値を含むことができる。
ここで使用する用語「処置する(treat)」及びその変化形及び活用形(例えば、処置する(treat)、処置している(treating)、処置された(treated)、及び処置(treatment))は、治療的処置及び予防的(prophylactic)又は防止的(preventative)処置の両方を指す。処置を必要とする対象には、既にPMSと診断されている対象と、PMSと診断されていないがPMS発症素因を有する対象が含まれる。

II.本発明
上記のように、本発明は、ある種のファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物が、障害を有し、その化合物が投与される個体におけるフェラン・マクダーミド症候群(PMS)の症状を軽減しうるという本発明者らによる発見に基づく。すなわち、本発明は、障害を有する対象又は障害の発症素因を有する対象のPMSを処置する方法に関する。
PMSを有する又はPMS発症素因を有する対象は、22q13.3に染色体欠失を有し及び/又はSHANK3タンパク質の発現が低下しており及び/又は機能不全のSHANK3タンパク質が産生される対象である。遺伝子座22q13.3は、SHANK3タンパク質をコードするSHANK3/ProSAP2遺伝子を含む。
SHANK3(「SH3及び複数のアンキリンリピートドメイン3」、プロリンに富むシナプス結合タンパク質2(ProSAP2)とも呼ばれる)は、樹状突起に存在する足場タンパク質である。これは、おそらく、神経伝達物質受容体、イオンチャンネル、及び他の膜タンパク質をアクチン細胞骨格及びGタンパク質共役シグナル伝達経路に連結することによってシナプス形成に関与するシナプス後肥厚に存在する足場タンパク質の一種である(Boeckers他、2002)。SHANK3メッセージは、心臓、脳、及び脾臓で発現する(Lim他、1999)。脳内では、SHANK3は、主にニューロンで発現する。
異なるSHANK3欠失が、SHANK3タンパク質アイソフォームの活性及び特異的受容体変化に関して(類似するが)異なる効果を生じることが研究によって示されている。Shank3遺伝子が切り詰められたネズミ科のマウスノックアウトマウスが多数作製されている。SHANK3タンパク質のアイソフォームの発現に関して異なる結果をもたらす、遺伝子の異なるエクソンが特定されている。Bozdagi他(2010)は、(アンキリン反復ドメインを含む)エクソン4とエクソン9の間でShank3遺伝子を欠失させたマウスを作製した。この修飾のヘテロ接合性発現は、shank3 mRNAレベルを50%減少させた。若年ヘテロ接合体(3~4週齢)では、基底グルタミン酸作動性AMPAが仲介する伝達は、シナプス前及びシナプス後メカニズムによって低下した。これに関連して、高頻度の維持とθバーストにより誘発される海馬の長期増強(Long Term Potentiation:LTP、シナプス可塑性の形態)が減少したが、長期抑圧(Long Term Depression:LTD)は、減少しなかった。これらの電気生理学的に判定された変化は、LTPに伴うシナプス量の増加を維持できず、AMPA受容体の輸送が減少したことと並行していた。これらのマウスは、社会的相互性欠如を示した。Bozdagi他(2013)は、IGF-1によってこのモデルの欠失が回復したことを示している。
Krouser他(2013)は、2~6箇月齢のマウスでShank3エクソン21のホモ接合体欠失を報告している。この欠失は、海馬におけるSHANK3タンパク質の主要アイソフォームを減少させたが、より短いアイソフォームが現れる複雑な効果を有している。このマウスは、代謝型グルタミン酸受容体のmGluR5サブタイプを除いてグルタミン酸受容体の主要な変化を示さなかった。これに対応して、海馬LTPは、NMDA/AMPA比の低下を反映して欠乏していた。これらのマウスでは、mGluR依存性LTD欠如はなかった。これらのマウスでは、樹状突起スパイン密度又は複雑性に差は示されなかった。
Duffney他(2015)は、Shank3のc末端(エクソン21)欠失を有するヘテロ接合マウスを作製し、SHANK3タンパク質が50から70%減少したことを報告している。若年マウスは、社会的相互性試験行動障害を示した。これらのマウスでは、前頭前皮質におけるNMDA媒介EPSPが減少していたが、AMPA媒介応答は、無傷であった。この知見は、膜NMDA受容体サブユニットの減少と関連している。これらのマウスでは、rac依存性コフィリンシグナル伝達の減少、したがってシナプスアクチンの減少も認められたが、樹状突起スパイン密度、したがってシナプス数は、変化しなかった。Bozdagi他(2010)が報告したマウスは、最長アイソフォームの低下の原因となるN末端欠失を有し、コフィリン欠乏も有していた。Uppal他(2015)は、5週齢及び3箇月齢のヘテロ接合のN末端ノックアウトマウスを研究したが、いずれの齢でもシナプス密度に差は認められなかった。しかしながら、詳細な検査により、5週齢で有孔シナプス(perforated synapses)の増加が示され、3箇月齢では、このような増加は示されなかった。脊椎、頭の大きさ、PSDの長さ、及びPSDの面積は、どの齢でも差はなかった。Jaramillo他(2016)は、研究時に生後3~5箇月であるマウスにおけるヘテロ接合性のエクソン4~9のN末端欠失を報告している。この操作により、SHANK3タンパク質アイソフォームに複雑なパターンの変化が生じた。これらのマウスは、mGluR5依存性LTDが無傷のまま、海馬LTPの減少を示した。海馬では、シナプス伝達とNDMA/AMPA比は、影響を受けなかったが、線条体では、NMDA受容体機能の低下によりNMDA/AMPA比が低下した。
Peca他(2011)は、Shank3遺伝子のエクソン13~16を標的とし、PDZドメインを欠失させたノックアウトマウスを作製した。このノックアウトにより、SHANK3α(最長アイソフォーム)及びSHANKβアイソフォームの両方が完全に消失し、推定上のSHANK3γアイソフォームが有意に減少した。このマウスのホモ接合型は、SAPAP3、Homer-1b/c、及びPSD93のレベルの減少、並びに線条体におけるグルタミン酸受容体サブユニットGluR2、NR2A、及びNR2Bの減少を示した。これは、線条体における樹状突起アーバーの複雑性及び総樹状突起長が増加する状況では、樹状突起スパイン密度の低下を伴った。線条体集合スパイク(striatal population spikes)は、NMDA/AMPA比が変化することなく、シナプス後AMPA反応が低下することにより低下した。これらのマウスでは、海馬の電気生理学的変化はなかった。
したがって、シナプス効果に関しては、モデルに亘って海馬シナプス可塑性の広範な損失が生じるが、異なるShank3欠失は、SHANK3タンパク質アイソフォーム及び異なる特異的受容体変化に関して異なる効果を生じる。
Shcheglovitov他(2013)によって報告されているように、マウスにおけるShank3遺伝子ノックアウトの効果は、フェラン・マクダーミド症候群患者由来のIPS細胞株と比較できる。この著者らは、フェラン・マクダーミド症候群IPS細胞において、GABA作動性抑制に差がないにもかかわらず、シナプス後AMPA及びNMDA応答が有意に抑制されることを報告している。これらの変化は、興奮性シナプスのより少なさを反映しており、SHANK3タンパク質の最長アイソフォームのレベルの低下に関連している。
Holder及びQuach(2016)は、フェラン・マクダーミド症候群に見られる発作感受性の増大に関してShcheglovitov他(2013)のデータを引用し、対照ニューロンと比較して入力抵抗が増大しているとして研究されたIPCについて、これは、過分極活性化環状ヌクレオチド開口(hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated:HCN)チャネルのサブユニットの発現低下と関連する可能性があると言及している。HolderとQuachの提案によれば、これは、「一般集団と比較して、SHANK3突然変異を有する個体におけるてんかんの有病率の上昇の根底にある可能性のある興奮性の増加傾向を示す」。
PMSにおける主要な分子異常は、シナプス可塑性とニューロン生存に重要な役割を果たすRas-ERK酵素経路の過剰活性である(Grewal他、1999)。また、Ras-ERK経路は、異なる実験モデルにおけるこの経路の活性化のエビデンスの多くの収束線、及びRas-ERK経路阻害剤(Ras-ERK Pathway inhibitors)の使用に基づいて、発作の発生に関連付けられている。Ras-ERK経路の活性化は、リン酸化型ERK(phosphorylated form of ERK:pERK)のレベルによって指標化される。この活性化は、脳の興奮性の根底にあるシナプス機構の様々な形式の適応の際に見られる。Davis他(2000)は、ラットにおける海馬LTPの誘導は、急速であるが一過性のpERKの増加を伴うことを示している。
この過剰活性に基づいて、及び以下に述べるように、本明細書ではAMO-01と呼ぶRas-ERK経路の脳浸透阻害剤(brain-penetrant inhibitor)をPMSのC57BL/6-/-ノックアウトマウスモデルにおいて評価した。2箇月齢の試験動物にAMO-01の腹腔内単回投与を行うことにより、マウスに関連する全ての異常な神経行動学的特徴が有意に改善されることが見出され、これにより本発明の基礎が確立された。

ファルネシルジベンゾジアゼピノン類
(Farnesyl Dibenzodiazepinones)
AMO-01(10-ファルネシル-4,6,8-トリヒドロキシ-ジベンゾジアゼピン-11-オン)は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンであり、ファルネシル部分を含むジベンゾジアゼピノン化合物の一種である。AMO-01の構造は、次のとおりである。
本発明の各方法は、PMSを有する対象又はPMS発症素因を有する対象へのAMO-01又はその薬学的に許容される塩の投与を介して実施できる。
ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、ミクロモノスポラ(Micromonospora)の菌株によって産生され、ミクロモノスポラは、ミクロモノスポラ科の細菌の属であり、グラム陽性及び胞子形成性を有し、通常好気性であり、分枝菌糸を形成する。この属の細菌は、共通してアミノグリコシド系抗生物質を産生する。
AMO-01は、ミクロモノスポラ菌株046-ECO11(Micromonospora sp. strain 046-ECO11)によって産生される。菌株046-ECO11は、2003年3月7日に、受託番号070303-01で、カナダR3E3R2、マニトバ州、ウィニペグ、アーリントンストリート1015、カナダ保健省カナダ国際寄託当局(IDAC)微生物局に寄託されている。菌株046-ECO11及びAMO-01を産生するための手段に関する更なる詳細は、2004年8月5日に公開された国際特許公開番号WO2004/065591号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
AMO-01及び薬学的に許容されるその塩に加えて、本発明の各方法は、PMSを有する対象又はPMS発症素因を有する対象に、式Iに包含される化合物から選択される少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、又は薬学的に許容されるその塩を投与することによって実施されうる。
ここで、W1、W2、及びW3は、それぞれ独立して、
であるか、又はW3、W2、又はW1がそれぞれ-CH=O又は-CH2OHのいずれかであることで、三環からの鎖がW3、W2、又はW1において終端してもよく;
Aは、-NH-、-NCH21-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキル、C2-6アルケン、アリール、又はヘテロアリールであり;
2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、H、R5、又は-C(O)R6であり、各R5は、独立して、C1-6アルキル、C2-7アルカレン、アリール、又はヘテロアリールであり、各R6は、独立して、H、C1-6アルキル、C2-7アルカレン、アリール、又はヘテロアリールである。
ある実施形態では、本発明は、式Iの化合物を提供し、ここで、AはNH、NCH21、及びNC(O)R1からなる群より選択され;R2はHであり;R3はHであり;R4はHである。他の実施形態では、R2、R3、及びR4はそれぞれHであり;他の全ての基は上に定義した通りである。更なる実施形態では、R2、R3、及びR4はそれぞれHであり;W1は-CH=CH-であり、他の全ての基は上に定義した通りである。更なる実施形態では、R2、R3、及びR4はそれぞれHであり、W2は-CH=CH-であり、他の全ての基は、上に定義した通りである。更なる実施形態では、R2、R3、及びR4はそれぞれHであり;W3は-CH=CH-であり、他の全ての基は上に定義した通りである。更なる実施形態では、AはNHであり;R2、R3、及びR4はそれぞれHであり;他の全ての基は上に定義した通りである。更なる実施形態では、AはNHであり;W1、W2、及びW3はそれぞれ-CH=CH-であり;他の全ての基は上に定義した通りである。本発明は、上記化合物の薬学的に許容される塩の全てを包含する。
以下は、式I及び本発明のファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の更なる例示的化合物である:
本明細書で使用する用語「アルキル」は、直鎖状又は分岐状の炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、以下に限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル等が挙げられる。アルキルは、任意に、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノ、及びホルミルから選択される置換基で置換されていてもよい。
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖状、分岐状、又は環状の炭化水素基を指す。アルケニル基の例としては、以下に限定されるものではないが、ビニル、1-プロペン-2-イル、1-ブテン-4-イル、2-ブテン-4-イル、1-ペンテン-5-イル等が挙げられる。アルケニルは、場合により、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、ホルミル、オキソ、及びグアニジノから選択される置換基で置換されていてもよい。不飽和炭化水素鎖の二重結合部分は、シス又はトランス配置のいずれであってもよい。
用語「シクロアルキル」及び「シクロアルキル環」は、3~15個の環員を有する単一又は縮合炭素環系の飽和又は部分不飽和の炭素環を指す。シクロアルキル基の例としては、以下に限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。シクロアルキルは、任意に、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、及びホルミルから選択される置換基で置換されていてもよい。
用語「ヘテロシクリル」及び「複素環」は、3から15個の環員を有する単一又は縮合複素環系において、O、N、NH、NRx、PO2、S、SO、又はSOから選択される1から4個のヘテロ原子又はヘテロ基を含有する飽和又は部分不飽和環を指す。ヘテロシクリル又は複素環の例としては、以下に限定されるものではないが、モルホリニル、ピペリジニル、及びピロリジニルが挙げられる。ヘテロシクリル環、複素環、又はヘテロシクリル環は、任意に、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、オキソ、チオカルボニル、イミノ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、及びホルミルから選択される置換基で置換されていてもよい。
用語「アミノ酸」は、任意の天然アミノ酸を指し、天然アミノ酸は、当業者に周知である。
用語「ハロ」は、ハロゲン原子、例えば、臭素、塩素、フッ素、及びヨウ素を指す。
用語「アリール」及び「アリール環」は、5~15個の環員を有する、単一又は縮合環系の芳香族基を指す。アリールの例としては、以下に限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニルが挙げられる。アリールは、任意に、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アジド、アルキルチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、及びホルミルから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロアリール環」は、5~15個の環員を有し、O、N、S、SO、及びSO2等の少なくとも1つのヘテロ原子を含む、単一又は縮合環系の芳香族基を指す。ヘテロアリール基の例としては、以下に限定されるものではないが、ピリジニル、チアゾリル、チアジアゾイル、イソキノリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾイル、トリアゾリル、及びピロリル基が挙げられる。ヘテロアリール基は、任意に、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、チオカルボニル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、及びホルミルから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
用語「アラルキル」及び「ヘテロアラルキル」は、それぞれ、ベンジル等のアルキル基を介して直接結合したアリール基又はヘテロアリール基を指す。アラルキル及びヘテロアラルキルは、アリール及びヘテロアリール基として任意に置換されていてもよい。
同様に、用語「アラルケニル」及び「ヘテロアラルケニル」は、それぞれ、ベンジル等のアルケン基を介して直接結合されたアリール基又はヘテロアリール基を指す。アラルケニル及びヘテロアラルケニルは、アリール及びヘテロアリール基として任意に置換されてもよい。
本発明の化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を有することができ、ラセミ体又は非ラセミ体の混合物を形成する光学異性体として存在できる。本発明の化合物は、単一の異性体として又は立体化学異性体形態の混合物として有用である。ジアステレオ異性体、すなわち、重ね合わせることができな立体化学異性体は、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化、又は昇華のような従来の手法によって分離できる。光学異性体は、従来の処理に従ってラセミ混合物を分割することによって得ることができる。
本明細書において、PMSを有する対象とは、22q13.3における染色体欠失を有すると同定され、筋緊張低下(低緊張)、正常又は加速的成長、発語の欠如又は重度の遅延、及び全般的な発達遅延の症状のうち少なくとも2つを有する対象をいう。
本明細書において、PMS発症素因を有する対象とは、22q13.3に染色体欠失を有すると同定された対象、及び/又は、筋緊張低下(低緊張)、正常又は加速的成長、発語の欠如又は重度の遅延、及び全般的な発達遅延症状のうち少なくとも2つを有する対象をいう。
PMSを有する対象又はPMS発症素因を有する対象における染色体欠失の同一性は、大きさ、数、及び遺伝子座内の特定の位置において変動することがあることは明らかである。更に、PMSは、SHANK3のハプロ不全に関連していると考えられるため、22q13.3における染色体欠失は、対立遺伝子の一方又は両方に存在しうる。両方の対立遺伝子に存在する場合、欠失は、対立遺伝子間で異なる場合もある。
本明細書において、対象におけるSHANK3タンパク質の発現の減少とは、22q13.3に染色体欠失を有さない対象に対して、SHANK3タンパク質発現が少なくとも30%減少していることをいう。SHANK3タンパク質発現の減少は、22q13.3に染色体欠失を有さない対象に対して、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はこれ以上でありうる。
本明細書において、機能不全のSHANK3タンパク質は、正常なシナプス機能を支持しないSHANK3タンパク質である。

III.処置方法
本発明は、PMSを有する対象又はPMS発症素因を有する対象の処置方法に関する。本発明の方法のそれぞれは、治療有効量の(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤を、対象、例えば、PMSを有する対象又はPMS発症素因を有する対象に投与することを含む。ある実施形態では、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、AMO-01である。
また、本発明は、(a)PMSを有する対象の処置、(b)PMSを有する対象の処置方法、(c)PMS発症素因を有する対象の処置、又は(d)PMS発症素因を有する対象の処置方法における、(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤の使用にも関する。ある実施形態では、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、AMO-01である。
また、本発明は、(a)PMSを有する対象の処置、(b)PMSを有する対象の処置方法、(c)PMS発症素因を有する対象の処置、又は(d)PMS発症素因を有する対象の処置方法における、治療有効量の(i)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物又は(ii)少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤に関する。ある実施形態では、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、AMO-01である。
更に、本発明は、PMSを有する対象を処置するための薬剤の製造のための少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の使用、及びPMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症を抑制するための薬剤の製造のための少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の使用に関する。ある実施形態では、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、AMO-01である。
本明細書において、用語「処置する(treat)」、「処置している(treating)」、及び「処置(treatment)」は、これらの通常の及び慣習的な意味を有し、PMSを有する対象又はPMS発症素因を有する対象におけるPMSの症状の改善、そのような対象におけるPMSの症状の阻止、そのような対象におけるPMSの症状の再発の阻止又は改善、そのような対象におけるPMSの症状の重症度及び/又は頻度の低減、そのような対象におけるPMSの進行の阻止、及びそのような対象におけるPMSの治癒又は解決の1つ以上を含む。処置は、処置が施されていない対象に対する約1%~約100%の改善等を意味する。改善等は、好ましくは、処置が施されていない対象に対して、約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、又は約30%である。処置は、疾患の臨床症状の発症前、同時、又は発症後に開始してもよい。このように、対象は、PMSの症状を示すものであってもよく、単にPMS発症素因を有すると診断されるが、これまでのところ疾患の症状はないものであってもよい。処置の結果は、永続的であってもよく、数日(1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、又は7日間等)、数週間(1週間、2週間、3週間、4週間等)、数箇月(1箇月、2箇月、3箇月、4箇月、5箇月、6箇月又はこれ以上の月)継続されるものであってもよい。
本発明の方法が実施される場合に対象に投与される少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノンの量は、対象の年齢及び体重、並びに障害の症状の同一性及び重症度等の因子によって変化する。但し、対象に投与される量は、治療有効量、すなわち、処置を行うために十分な量である。一例として、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノンの治療有効量は、対象の体重1kgあたり約0.1μg~約200mgである。治療有効量の更なる範囲としては、以下に限定されるものではないが、対象の体重を基準として、約10μg/kg~200mg/kg;約100μg/kg~200mg/kg;約1mg/kg~200mg/kg;約10mg/kg~200mg/kg;約10μg/kg~100mg/kg;約100μg/kg~100mg/kg;約1mg/kg~100mg/kg;約10mg/kg~100mg/kg;約0.1μg/kg~50mg/kg;約1μg/kg~50mg/kg;約10μg/kg~50mg/kg;約100μg/kg~50mg/kg;約1mg/kg~50mg/kg;約1mg/kg~40mg/kg;約1mg/kg~30mg/kg;約1mg/kg~20mg/kg;約1mg/kg~10mg/kg;約1mg/kg~5mg/kg;約0.1mg/kg~10mg/kg;約0.1mg/kg~5mg/kg;約10mg/kg~50mg/kg;約20μg/kg~40mg/kgが挙げられる。治療有効量の具体例としては、以下に限定されるものではないが、対象の体重を基準として、約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、及び60mg/kgが挙げられる。換言すれば、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノンの治療有効量は、約1mg/m2~約1000mg/m2である。治療有効量の更なる範囲としては、以下に限定されるものではないが、約1mg/m2~約1000mg/m2;約1mg/m2~約500mg/m2;約1mg/m2~約400mg/m2;約1mg/m2~約300mg/m2;約1mg/m2~約250mg/m2;約1mg/m2~約200mg/m2;約1mg/m2~約150mg/m2;約1mg/m2~約100mg/m2;約50mg/m2~約1000mg/m2;約50mg/m2~約500mg/m2;約50mg/m2~約400mg/m2;約50mg/m2~約300mg/m2;約50mg/m2~約200mg/m2;約50mg/m2~約150mg/m2;約50mg/m2~約100mg/m2;約100mg/m2~約1000mg/m2;約100mg/m2~約500mg/m2;約100mg/m2~約400mg/m2;約100mg/m2~約300mg/m2;約100mg/m2~約200mg/m2;及び約100mg/m2~約150mg/m2が挙げられる。治療有効量の具体例としては、以下に限定されるものではないが、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200mg/m2以上が挙げられる。
少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物は、処置の過程に亘って、対象に1回、2回、3回、4回、5回、又は6回以上投与してもよい。投与スケジュールにおける各投与の間のタイミングは、日、週、月、又は年単位の範囲であってもよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又はこれ以上の週に1回投与することを含む。投与スケジュールの各投与において、同量の少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノンを投与してもよく、用量を変更してもよい。適切な投与量及び投与スケジュールは、必要以上の実験を行うことなく、当業者に周知の技術によって容易に決定できる。このような決定は、部分的には、特定の用量の忍容性及び有効性に基づいて行われる。
投与頻度は、1日あたり4回、3回、2回又は1回、隔日、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、週1回、8日毎、9日毎、10日毎、隔週、月毎、隔月を含む。処置期間は、特定の対象における障害の症状及び重症度に基づき、主治医によって最善の決定が行われる。なお、処置の継続は、数日、数週間、数箇月、又は数年続くと考えられる。実際、場合により、処置は、対象の全生涯に亘って継続しうる。
投与手段に応じて、投与は、カプセル又は液体中の経口製剤等で一度に行ってもよく、筋肉内又は静脈内投与等によって一定期間に亘って徐々に行ってもよい。経時的に投与を行う場合、投与期間は、例えば、10、20、30、40、50、若しくは60分、又は0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10時間、若しくはこれ以上であってもよい。本発明の一実施形態では、用量は、120mg/m2であり、6時間に亘って対象に送達される。
本明細書において、「対象」は、以下に限定されるものではないが、ヒト、非ヒト霊長類、鳥類、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、及びイヌ、ネコ又は齧歯類等の伴侶動物、又は他の哺乳動物を含む。

IV.製剤及び用量
本発明の処置方法のそれぞれにおいて、少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び医薬製剤は、薬学的に許容される形態及び実質的に毒性のない量で投与される。
本発明の医薬製剤は、本明細書に記載される少なくとも1つのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物を含む。また、医薬製剤は、1以上の薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む。
担体及び希釈剤の適切な例は、当業者に周知であり、水、注射用水、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ポリソルベート80(Tween-80(商標))、ポリ(エチレン)グリコール300及び400(PEG300及び400)、PEG化ヒマシ油(例えば、クレモフォアEL)、ポロキサマー407及び188、親水性及び疎水性キャリア、並びにこれらの組み合わせ等を含む。疎水性担体としては、例えば、脂肪乳剤、脂質、PEG化リン脂質、ポリマーマトリックス、生体適合性ポリマー、リポソーム、ベシクル、粒子、及びリポソームが挙げられる。これらの用語は、特別に、細胞培養培地を除外するものとする。製剤は、更に、安定化剤、緩衝剤、酸化防止剤及び保存剤、浸透性剤、増量剤、乳化剤、懸濁剤又は粘度剤、不活性希釈剤、充填剤、並びにこれらの組み合わせを含みうる。
担体及び希釈剤の同一性は、医薬製剤が使用される方法及び医薬製剤を対象に投与するために使用される手段に依存する。例えば、筋肉内製剤のための医薬製剤は、担体が注射用水、0.9%生理食塩水、又は5%グルコース溶液である場合に調製できる。
更に、医薬製剤は、液体形態で投与してもよい。液体は、経口投与用、点眼剤、又は点鼻剤として、あるいは、浣腸又は圧注として使用できる。医薬製剤が液体として製剤化される場合、液体は、医薬製剤の溶液又は懸濁液のいずれかとすることができる。溶液又は懸濁液のための医薬製剤については、意図される使用に応じて、当業者にとって周知の種々の適切な製剤化が存在する。水又は他の水性ビヒクル中で調製される経口投与のための液体製剤は、メチルセルロース、アルギネート、トラガカント、ペクチン、ケルジン、カラギーナン、アカシア、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルアルコール等の種々の懸濁剤を含有しうる。また、液体製剤は、活性化合物、湿潤剤、甘味剤、着色剤、及び着香剤と共に、溶液、エマルジョン、シロップ、及びエリキシルを含みうる。
ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物及び医薬製剤は、以下に限定されるものではないが、経口、舌下、鼻腔内、眼内、直腸、経皮、粘膜、肺、局所、又は非経口投与を含む周知の手法のために製剤化され、これらの手法によって投与されうる。非経口投与モードには、以下に限定されるものではないが、皮内、皮下(s.c.、s.q.、sub-Q、Hypo)、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、腹腔内(i.p.)、動脈内、脊髄内、心臓内、関節内(関節)、滑膜内(関節液領域)、頭蓋内、脊髄内、及び髄腔内(脊髄液)等がある。非経口注射又は製剤の注入に有用な任意の周知の器具を使用して、このような投与を行うことができる。

V.実施例1
マウス
当初ジャクソン研究所(Jackson Laboratory)から得られたエクソン13~16の欠失を有するShank3b-/-ホモ接合マウスと、野生型(WT)同腹仔とをC57BL/6Jバックグラウンドで作製し、8世代以上にわたりC57BL/6Jバックグラウンドに繰り返し戻し交雑した。これにより得られたShank3ノックアウト(KO)マウスを12時間明-暗サイクル(午前7時から午後7時まで点灯)の温湿度管理室で、同じ遺伝子型のグループに飼育した。飼育室における室温と湿度を連続的に記録した。試験は明期の間に行った。餌及び水は、自由摂取とした。試験は、Shank3ノックアウトマウス及びその野生型同腹仔を対象に実施し、各処置群につきN=10匹のマウスを用いて、行動実験中に2箇月齢で試験した。マウスを市販のプラスチックケージに収容し、1986年英国動物(科学的手順)法の要件に沿って実験を行った。全ての実験は、遺伝子型と薬物処置を盲検化した実験者によって行った。マウスには、実験を行う前に最低1週間の順化期間を与えた。健康なマウスのみを用いた。順化期間中に予防的処置又は治療的処置は行わなかった。

Ras-ERK活性
最初の実験では、処置マウスと未処置マウスとを比較して、脳及びリンパ球におけるRas-ERK経路の活性を判定した。N=10マウスの群を比較した。脳バイオマーカーレベルの判定には、以下の方法及び試薬を用いた。各試料からのタンパク質溶解物20μgを、8~16%ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動ゲル(Bio-Rad社、161-1222)上で分離し、次いでニトロセルロース膜(Bio-Rad社、162-0115)に移した。ECLウエスタンブロッティング用基質(Pierce社、32106)に続いて、(ERK)1/2(1/2000)(Cell Signaling社)で、膜を処理した。抗リン酸化ERK抗体(1/2000)(Cell Signaling社)により膜をブロッティングすることによって総ERK1/2タンパク質含有量(リン酸化)を評価した。同じ試料中のタンパク質含量に対してERKリン酸化を正規化し、基底レベルを100%として、基底状態に対する変化を%で表した。膜を剥離し、b-アクチン抗体(1/1000)(Sigma Chemical社)によって再ブロッティングすることにより、タンパク質負荷を評価した。リン酸化ERK1/2(Thr-202/Tyr-204)(Cell Signaling Technology(商標)、#4370)総ERK、p44/42MAPK(Erk1/2)抗体#9102(Cell Signaling Technology(商標))。ローディングコントロールについては、膜を剥離し、チューブリンに対する抗体(Sigma社、A3853)で再プローブした。リンパ球バイオマーカーを判定するために、488nmに同調された励起レーザーとともにFACStar plus(Becton Dickinson社)を使用し、515~545nmバンドパスフィルタを通して、FITCからの緑色蛍光(GST)を収集した。平均FITC蛍光強度を参照細胞の蛍光と関連付けて算出した。平均細胞蛍光強度(mean cellular fluorescence intensity:MFI)は、細胞当たりの結合したAb分子の平均数に正比例する。

行動試験
マウスに対し、AMO Pharma社のAMO-01を以下のように投与した。
A.エタノール、PEG400、ポリソルベート80、及び5%デキストロースの賦形剤に含まれたAMO-01を30mg/kg単回腹腔内投与
B.15ml/kgとして賦形剤を腹腔内投与
N=10マウスの群を、試験1日目の試験4時間前に処置した。1日目に単回腹腔内投与した後、5日間の試験を行った。
以下のグループを研究した。
1.Shank3b-/-ノックアウトマウス+賦形剤、N=10
2.Shank3b-/-ノックアウトマウス+AMO-01 30mg/kg腹腔内投与、N=10
3.野生型同腹仔+賦形剤、N=10
4.野生型同腹仔+AMO-01 30mg/kg腹腔内投与、N=10
以下の試験を実施した。
1日目:明暗ボックス試験における不安の増大。2室式試験装置(バーモント州、セントオールバンズ、Med Associates社)を使用し、一方の「暗室」を常に暗くし、他方の「光室」を試験中に照明することによって試験を行った。マウスを暗室に入れた後、光室を照明し、2つの室の間のドアを開けた。この装置において、5分間、マウスを自由に探索させた。暗室から明室に出るまでの潜伏時間と、明室で過ごす時間の割合を不安様行動の指標として用いた。
2日目:皮膚病変につながる過度のグルーミング。Shank3b-/-ノックアウトマウスは、一般的な飼育コロニーにおいて、様々な程度で顕著な皮膚病変を発現する。この試験では、スコアリングの間、遺伝子型を盲検化した観察者によって、あらゆるシーケンス:顔の拭き取り、頭と耳の掻き/こすり、および全身の毛繕いのグルーミングに費やされた時間を記録した。
3日目:社会的認識及び社会的新奇性に対する反応の異常。この試験は、2つの側室のそれぞれに各種の刺激を置いた3相からなる。第1相は、2つの同一の非社会的刺激(NS1及びNS1)を含み、第2相は、非社会的刺激(NS1)と社会的刺激(Soc1)を含み、第3相は、既知の社会的刺激(Soc1)と新奇の社会的刺激(Soc2)を含む。各相における1つの刺激に対する他の刺激に対する選好指標を比較した。
4日目:梁歩行試験により評価した感覚運動機能。標準パラダイムを用いて梁歩行性能(脱落までの時間)を評価した。
5日目:ガラス玉覆い隠し行動により評価した日常生活活動/種の典型的な行動。標準パラダイムを用いてガラス玉覆い隠し行動を評価した。
群当たりN=10の別々のコホートで聴覚誘発発作により発作閾値を評価した。発作は、60秒の連続刺激(124db)で誘発した。盲検観察者が、走り回り(wild running)、痙攣発作、及び呼吸停止の分類に従って、聴覚刺激後の運動反応率と発作重症度スコアを査定した。
図1は、Ras-ERK経路機能試験の結果を示しており、ここでは、野生型(WT)及びshank3ノックアウト(KO)マウスにおけるRas-ERK経路の活性化を、海馬及び皮質におけるpERKレベルによって指標化して示している。海馬では変化は確認されず、これは、Peca他(2011)の研究において電気生理学を用いてこの領域で確認された効果の欠如と相似している。逆に、皮質のpERKでは、ほぼ3倍の増加が確認された(Peca他(2011)は、このマウスにおける線条体皮質の変化を報告している)。末梢循環リンパ球も有意に増加した(データは表示していない)。
Shank3b KOマウスにおけるAMO-01により媒介される行動を介した明暗ボックス不安の救済を示す明暗ボックス試験の結果を図2に示す。N=10マウスの群に試験の4時間前に30mg/kg腹腔内投与によってAMO-01又は賦形剤を単回投与した後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおいて、明暗ボックス試験により不安を評価した。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=31.19、p<0.0001)。賦形剤処置野生型マウスとShank3b-/-ノックアウト(KO)マウスの間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスに有意な影響を及ぼさなかった。AMO-01は、Shank3b-/-マウスで示された欠如を有意に減少させたが(p<0.0001)、AMO-01処置野生型マウスとShank3b-/-KOマウスの間には、依然として有意差(p<0.05)があったため、この逆転は、完全ではなかった。
グルーミング試験の結果として、Shank3b KOマウスにおけるAMO-01による過剰なグルーミング挙動の救済を図3に示す。30mg/kg腹腔内AMO-01単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおける過剰な自己グルーミングにより自傷行動を指標化した。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=29.14、p<0.0001)。賦形剤処置野生型マウスとShank3b-/-ノックアウトマウスとの間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスで有意な効果を示さなかった。AMO-01は、Shank3b-/-マウスで示された欠如を有意に減少させた(p<0.0001)。AMO-01処置野生型マウスと処置後のShank3b-/-マウスとの間には、有意差がなかったため、この逆転は、完全であった。
社会的認識及び社会的新奇性試験に対する反応からの結果として、Shank3b KOマウスにおけるAMO-01による社会的新奇性に対する反応の救済を図4に示す。30mg/kg腹腔内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおいて、馴染みのあるマウス又は新奇のマウスとの相互干渉に費やされた時間によって、社会的新奇性に対する反応を指標化した。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=52.75、p<0.0001)。
梁歩行試験の結果として、Shank3b KOマウスにおけるAMO-01による梁歩行行動の救済を図5に示す。これは、30mg/kg腹腔内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおける梁歩行行動を示している。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=29.76、p<0.0001)。賦形剤処置野生型マウスとShank3b-/-ノックアウトマウスとの間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスで有意な効果を示さなかった。AMO-01は、Shank3b-/-マウスで示された欠失を有意に減少させた(p<0.0001)。AMO-01処置野生型マウスと処置後のShank3b-/-マウスとの間には、有意差がなかったため、この逆転は、完全であった。
図6は、Shank3b KOマウスにおけるAMO-01によるガラス玉覆い隠し行動の救済を示す。これは、30mg/kg腹腔内投与AMO-01の単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおけるガラス玉覆い隠し行動を示す。この実験を分析するために用いた全体のANOVAは有意であった(F=42.15、p<0.0001)。賦形剤処置野生型マウスとShank3b-/-ノックアウトマウスとの間の差は、有意であった(p<0.001)。AMO-01は、野生型マウスで有意な効果を示さなかった。AMO-01は、Shank3b-/-KOマウスで示された欠失を有意に減少させた(p<0.0001)。AMO-01処置野生型マウスと処置後のShank3b-/-マウスとの間には、有意差がなかったため、この逆転は、完全であった。
発作閾値試験の結果として、Shank3b KOマウスにおいてAMO-01により低下した聴覚誘発発作閾値の救済を図7に示す。これは、30mg/kg腹腔内投与AMO-01単回投与後のPMSのShank3b KO遺伝子改変モデルにおける聴覚原性発作閾値を示している。
以上のように、ここに開示した実験から、フェラン・マクダーミド症候群のShank3b-/-ホモ接合ノックアウトマウスモデルにおいて、皮質では、Ras-ERK経路が(有意な倍数で)活性化され、一方、海馬では、活性が変化しないことが分かる。これらのデータは、このモデルにおいて海馬の変化がない場合に線条体-皮質経路の可塑性の変化を示すPeca他(2011)の報告と一致している。Ras-ERK経路の活性化の増加は、Nateri他(2007)の皮質における発作閾値の低下と一致している。
30mg/kg腹腔内投与AMO-01は、野生型マウスにおける不安、グルーミング、社交性、感覚運動機能、又は種の典型的行動若しくは認知に影響しなかった。これらのデータは、この化合物を用いた野生型マウスにおける以前の行動試験結果と一致している。一方、この投与は、フェラン・マクダーミド症候群のShank3ノックアウト遺伝子改変マウスモデルにおけるこれらのドメインの全ての欠如を逆転させた。この逆転は、不安及び聴覚発作ドメインにおける機能の有意な正常化、並びにグルーミング、社会的、感覚運動、及び種に典型的な機能の完全な正常化を示した。フェラン・マクダーミド症候群表現型のこの広範な救済は、AMO-01の単回投与後に生じ、少なくとも5日間持続した。

VI.実施例2
フェラン・マクダーミド症候群と遺伝的に確定診断された23歳男性にAMO-01を投与した。
活性原薬32.8mg/mL(3.15%w/w)を滅菌0.9%生理食塩水に溶解した滅菌バルク製剤から被験薬を調製し、等張性最終投与製剤(isotonic final dosing formulation)とした。各製剤バイアルにおいて、製剤2.134mL中に70mgのAMO-01製剤原料を含有させた(2%の過剰量)。これは、製剤2.176mL当たりの活性薬剤物質の総薬物含量71.4mgに相当する。AMO-01は、6時間かけて静脈内注入により単回投与され、総投与量は、120mg/m2であった。
臨床測定と並行して発作頻度と視覚誘発電位(Visual Evoked Potential:VEP)を評価した。VEPは、視神経/視覚放射線を介した網膜から視覚皮質への脳内視覚経路の機能的完全性を評価するための非侵襲的技術である。VEPは、頭の表面から視覚野全体に亘って記録され、信号の平均化によって進行中のEEGから抽出される。VEPは、錐体細胞が受け取る興奮性及び阻害性シグナルを調節する頂端樹状突起(Zemon他、1986)に生じる興奮性及び阻害性シナプス後電位の和を反映する。VEP波形における主要な正と負のピークと谷は、異なる細胞事象を反映する。本研究で用いたコントラスト反転チェッカーボード刺激は、外側膝状核からの一次視覚皮質の活性化を反映して、約60msで正のピーク(P0又はP60)を生じた。約75msの負のピーク(N0又はN75)は、一次視覚野の表層に広がる脱分極及びグルタミン酸作動性シナプス後活性を反映し、約100msの正のピーク(P1又はP100)は、表層過分極及びGABA作動性活動(GABAergic activity)を反映する(Zemon他、1980)。VEPは、例えば、抗てんかん薬(ガバペンチン:Conte他、2009)及び乳児用製剤(O’Connor他、2009)等の臨床試験で使用されている。いずれもVEP試験での陽性結果に基づいて、FDAの承認を受けている。マウントサイナイ(Mount Sinai)病院で進行中の臨床試験から得られたデータは、処置効果の尺度としてのVEPの使用を支持している。図8に示すように、処置前、処置6時間後、処置1週間後、処置2週間後、及び処置4週間後に臨床反応の評価を行った。

結果
この対象は、19歳の時から4年間、毎週3~4回、混合発作を「時計のように規則的に」発症しているとの病歴が明確に記録されていた。この対象の発作は、酸素飽和度低下を伴う強直間代性痙攣、及び起立性血圧変化を含んでいた。これらの発作は、深刻で重篤な性質のものであり、生命を脅かす可能性があった。
この対象は、治験薬注入の約1時間前にこれらの重篤な発作のいずれかが起こる閾値に達しており、発作前の発作に近い期間は、典型的人格及び行動の変化を伴うため検出可能であった。調査を担当した臨床医によれば、治験薬の投与によって、切迫した発作エピソードが完全に中断される。驚くべきことに、その後2週間、発作は、完全に停止した(そして、調査を担当した臨床医によると、これは、対象が10代半ばから後半に至る少なくとも5年前からの期間において、発作が生じない初めての2週間であった)。この発作がない期間に、この青年は幾つかの異なるレベルで「目覚め」、より社会的になり、より積極的になり(例えば、アイコンタクトをよく行うようになり)、より協力的になり、落ち着きを取り戻し、運動能力も向上した。治験薬注入から約3週間後に「些細な事象」が再発し始めたが、これはおそらく痙攣を伴わない軽度の複雑部分発作であり、これらの稀な/散発的なエピソードは、調査を担当した臨床医により「より短く、動きも少ないものである」と記述された。
AMO-01注入の直前と6時間後にVEPを記録した。図9は、この対象のVEPが治療によってどのように改善されたかを示している。
要約すると、これらのデータは、本疾患のShank3bノックアウトマウスモデルでのインビボにて見られるように、SHANK3遺伝子の機能を喪失したヒト対象へのAMO-01の投与は、フェラン・マクダーミド症候群の複数の特徴に亘って、この化合物への曝露を超えて持続する、臨床的利益をもたらすことができることを確認するものである。 幾つかの特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の修正を行うことができることは、当業者にとって明らかである。特許請求の範囲は、ここに記載した実施形態に限定されるものではない。

参考文献
本明細書中で言及する全ての特許文献及び刊行物は、本発明に関係する当業者の技能レベルを示す。ここに引用した特許及び刊行物は、参照によってその全体が本明細書に援用されるものとする。
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Claims (36)

  1. フェラン・マクダーミド症候群(PMS)を有する対象(ヒトを除く)の処置方法であって、治療有効量の(i)少なくとも1つの式Iの化合物又は(ii)少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤を、PMSを有する対象(ヒトを除く)に投与することを含み、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    前記方法。
  2. PMS発症素因を有する対象(ヒトを除く)におけるPMSの発症を抑制する方法であって、治療有効量の(i)少なくとも1つの式Iの化合物又は(ii)少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤を、PMS発症素因を有する対象(ヒトを除く)に投与することを含み、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    前記方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の方法であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、AMO-01又はその薬学的に許容される塩である、前記方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の方法であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩である、前記方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法であって、前記PMSを有する対象又は前記PMS発症素因を有する対象は、22q13.3に染色体欠失を有する対象である、前記方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、前記対象の体重を基準として、0.1μg/kg~200mg/kgである、前記方法。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、80~160mg/m2であり、4~8時間に亘って前記対象に送達される、前記方法。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、120mg/m2であり、6時間に亘って前記対象に送達される、前記方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物又は前記少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤は、静脈内又は皮下投与によって前記対象に投与される、前記方法。
  10. PMSを有する対象(ヒトを除く)の処置における又はPMSを有する対象(ヒトを除く)の処置方法における、(i)少なくとも1つの式Iの化合物又は(ii)少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤の使用であって、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    前記使用。
  11. PMS発症素因を有する対象(ヒトを除く)におけるPMSの発症の抑制又はPMS発症素因を有する対象(ヒトを除く)におけるPMSの発症の抑制方法における、(i)少なくとも1つの式Iの化合物又は(ii)少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤の使用であって、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    前記使用。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、AMO-01又はその薬学的に許容される塩である、前記使用。
  13. 請求項10又は請求項11に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩である、前記使用。
  14. 請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の使用であって、前記PMSを有する対象又は前記PMS発症素因を有する対象は、22q13.3に染色体欠失を有する対象である、前記使用。
  15. 請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、前記対象の体重を基準として、0.1μg/kg~200mg/kgである、前記使用。
  16. 請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、80~160mg/m2であり、4~8時間に亘って前記対象に送達される、前記使用。
  17. 請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、120mg/m2であり、6時間に亘って前記対象に送達される、前記使用。
  18. 請求項10から請求項17のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物又は前記少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤は、静脈内又は皮下投与によって前記対象に投与される、前記使用。
  19. PMSを有する対象の処置又はPMSを有する対象の処置方法のために使用される、少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含み、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    医薬製剤。
  20. PMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症の抑制又はPMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症の抑制方法に使用するための、少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含み、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    医薬製剤。
  21. 請求項19又は請求項20に記載の医薬製剤であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、AMO-01又はその薬学的に許容される塩である、前記医薬製剤。
  22. 請求項19又は請求項20に記載の医薬製剤であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩である、前記医薬製剤。
  23. 請求項19から請求項22のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記PMSを有する対象又は前記PMS発症素因を有する対象は、22q13.3に染色体欠失を有する対象である、前記医薬製剤。
  24. 請求項19から請求項23のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、前記対象の体重を基準として、0.1μg/kg~200mg/kgである、前記医薬製剤。
  25. 請求項19から請求項23のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、80~160mg/m2である、前記医薬製剤。
  26. 請求項19から請求項23のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、120mg/m2である、前記医薬製剤。
  27. 請求項19から請求項26のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤は、静脈内又は皮下投与によって前記対象に投与される、前記医薬製剤。
  28. PMSを有する対象を処置するための薬剤の製造のための少なくとも1つの式Iの化合物の使用であって、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    前記使用。
  29. PMS発症素因を有する対象におけるPMSの発症を抑制するための薬剤の製造のための少なくとも1つの式Iの化合物の使用であって、
    ここで、W1、W2、及びW3 のそれぞれは、
    であり;
    Aは、-NH-又は-NC(O)R1-であり、R1は、C1-6アルキルであり;
    2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、Hである、
    前記使用。
  30. 請求項28又は請求項29に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、AMO-01又はその薬学的に許容される塩である、前記使用。
  31. 請求項28又は請求項29に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物は、式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩である、前記使用。
  32. 請求項28から請求項31のいずれか一項に記載の使用であって、前記PMSを有する対象又は前記PMS発症素因を有する対象は、22q13.3に染色体欠失を有する対象である、前記使用。
  33. 請求項28から請求項32のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、前記対象の体重を基準として、0.1μg/kg~200mg/kgである、前記使用。
  34. 請求項28から請求項32のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、80~160mg/m2である、前記使用。
  35. 請求項28から請求項32のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量は、120mg/m2である、前記使用。
  36. 請求項28から請求項35のいずれか一項に記載の使用であって、前記少なくとも1つの式Iの化合物又は前記少なくとも1つの式Iの化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬製剤は、静脈内又は皮下投与によって前記対象に投与される、前記使用。
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