以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、及びそれらの用語を含む別の用語)が用いられる。それらの用語の使用は図面を参照した実施形態の理解を容易にするためである。それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲は限定されない。
以下の説明において、アバランシェフォトダイオード(以下、APDと表す)のアノードを固定電位とし、カソードから信号を取り出す。したがって、信号電荷と同じ極性の電荷を多数キャリアとする第1導電型の半導体領域とはN型半導体領域のことであり、信号電荷と異なる極性の電荷を多数キャリアとする第2導電型の半導体領域とはP型半導体領域のことである。以下に説明する実施形態は、APDのカソードを固定電位とし、アノードから信号を取り出す場合にも適用可能である。この場合に、信号電荷と同じ極性の電荷を多数キャリアとする第1導電型の半導体領域とはP型半導体領域のことであり、信号電荷と異なる極性の電荷を多数キャリアとする第2導電型の半導体領域とはN型半導体領域のことである。以下では、APDの一方のノードを固定電位とする場合について説明するが、両方のノードの電位が変動してもよい。
本明細書において、単に「不純物濃度」という用語が使われた場合、逆導電型の不純物によって補償された分を差し引いた正味の不純物濃度を意味する。つまり、「不純物濃度」とは、NETドーピング濃度を指す。P型の添加不純物濃度がN型の添加不純物濃度よりも高い領域はP型半導体領域である。反対に、N型の添加不純物濃度がP型の添加不純物濃度よりも高い領域はN型半導体領域である。
一部の実施形態に係る光電変換装置及びその駆動方法の各実施形態に共通する構成について、図1から図5を用いて説明する。図1は、本開示の実施形態に係る積層型の光電変換装置100の構成を示す図である。光電変換装置100は、センサ基板11と、回路基板21の2つの基板が積層され、且つ電気的に接続されることにより構成される。センサ基板11は、後述する光電変換素子102を有する第1半導体層と、第1配線構造と、を有する。回路基板21は、後述する信号処理部103等の回路を有する第2半導体層と、第2配線構造と、を有する。光電変換装置100は、光電変換素子102に対して信号処理回路とは反対側から入射した光を変換する裏面照射型の光電変換装置である。
以下の説明では、センサ基板11と回路基板21とのそれぞれは、ダイシングされたチップである。しかし、これらの基板はチップに限定されない。例えば、各基板はウエハであってもよい。また、各基板はウエハ状態で積層した後にダイシングされていてもよいし、チップ化された後のチップが積層されて接合されてもよい。センサ基板11には、画素領域12が配され、回路基板21には、画素領域12で検出された信号を処理する回路領域22が配される。
図2は、センサ基板11の配置例を示す図である。APDを含む光電変換素子102を有する画素101が、センサ基板11の表面に対する平面視で二次元アレイ状に配列される。これらの複数の画素101が配置された領域が画素領域12である。画素101は、典型的には、画像を形成するための画素である。しかし、光電変換装置100がTOF(Time of Flight)に用いられる場合には、画素101は必ずしも画像を形成しなくてもよい。すなわち、画素101は、光が到達した時刻と光量とを測定するための画素であってもよい。
図3は、回路基板21の構成図である。回路基板21は、信号処理部103、読み出し回路112、制御パルス生成部115、水平走査回路部111、垂直走査回路部110、及び出力回路114を有する。回路基板21はさらに、信号線113及び駆動線116を有する。図2の光電変換素子102と、図3の信号処理部103とは、画素ごとに設けられた接続配線を介して電気的に接続される。
信号処理部103は、図2の光電変換素子102で光電変換により得られた電荷に基づく信号を処理する。垂直走査回路部110は、制御パルス生成部115から供給された制御パルスを受け、各画素101に駆動線116を通じて制御パルスを供給する。垂直走査回路部110は、シフトレジスタやアドレスデコーダのような論理回路で構成される。
画素101の光電変換素子102から出力された信号は、信号処理部103で処理される。信号処理部103は、カウンタやメモリなどを有する。メモリには光電変換素子102から出力された信号がデジタル形式で保持される。
水平走査回路部111は、デジタル信号が保持された各画素のメモリから信号を読み出すために、各列を順次選択する制御パルスを信号処理部103に入力する。信号線113には、選択されている列について、垂直走査回路部110により選択された画素の信号処理部103から読み出し回路112に信号が出力される。読み出し回路112に出力された信号は、出力回路114を介して、光電変換装置100の外部の記録部又は信号処理部に出力される。
図2において、画素領域12における光電変換素子102の配列は1次元状であってもよい。また、画素101が1つでもあっても本開示の効果を得ることは可能であり、画素101が1つの場合も本開示に含まれる。信号処理部103の機能は、必ずしも全ての光電変換素子102に1つずつ設けられる必要はなく、例えば、複数の光電変換素子102によって1つの信号処理部103が共有され、順次信号処理が行われてもよい。
図2及び図3に示すように、平面視で画素領域12に重なる領域に、複数の信号処理部103が配される。そして、平面視で、センサ基板11の外縁と画素領域12の外縁との間の領域に重なるように、垂直走査回路部110、水平走査回路部111、読み出し回路112、出力回路114、制御パルス生成部115が配される。言い換えると、センサ基板11は、画素領域12と、画素領域12の周りに配された非画素領域とを有する。平面視で非画素領域に重なる領域に、垂直走査回路部110、水平走査回路部111、読み出し回路112、出力回路114、制御パルス生成部115が配される。信号線113、読み出し回路112、出力回路114の配置は図3の例に限定されない。例えば、信号線113が行方向に延びて配され、読み出し回路112が信号線113の延びる先に配されていてもよい。
図4は、図2及び図3の等価回路を含むブロック図の一例である。図2を参照して説明したように、APD201を有する光電変換素子102はセンサ基板11に設けられており、その他の回路素子は回路基板21に設けられている。
APD201は、入射光に応じた電荷対を光電変換によって生成する。APD201のアノードには、電圧VLが供給される。アノードに供給される電圧VLをアノード電位と呼ぶこともある。また、APD201のカソードには、アノードに供給される電圧VLよりも高い電圧VHが供給される。カソードに供給される電圧をカソード電位と呼ぶこともある。アノード及びカソードには、APD201がアバランシェ増倍動作をするような逆バイアス電圧が供給される。このような電圧を供給した状態とすることによって、入射光によって生じた電荷がアバランシェ増倍を起こし、アバランシェ電流が発生する。
逆バイアスの電圧が供給される場合において、アノード及びカソードの電位差が降伏電圧より大きい電位差で動作させるガイガーモードと、アノード及びカソードの電位差が降伏電圧近傍、もしくはそれ以下の電圧差で動作させるリニアモードがある。ガイガーモードで動作させるAPDをSPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ぶ。例えば、電圧VLは-30Vであり、電圧VHは1Vである。APD201は、リニアモードで動作されてもよいし、ガイガーモードで動作されてもよい。SPADの場合はリニアモードのAPDに比べて電位差が大きくなり耐圧の効果が顕著となる。
クエンチ素子202は、電圧VHを供給する電源ラインとAPD201との間に接続される。クエンチ素子202は、アバランシェ増倍による信号増倍時に負荷回路(クエンチ回路)として機能し、APD201に供給する電圧を抑制することによってアバランシェ増倍を抑制する(クエンチ動作)。また、クエンチ素子202は、クエンチ動作で電圧降下した分の電流を流すことによって、APD201に供給する電圧を電圧VHへと戻す(リチャージ動作)。
信号処理部103は、波形整形部210、カウンタ回路211、選択回路212を有する。波形整形部210は、光子検出時に得られるAPD201のカソードの電位変化を整形することによって得られたパルス信号を出力する。波形整形部210として、例えば、インバータ回路が用いられる。図4では、波形整形部210として1つのインバータを用いた例を示したが、複数のインバータを直列接続した回路を用いてもよいし、波形整形効果があるその他の回路を用いてもよい。
カウンタ回路211は、波形整形部210から出力されたパルス信号をカウントし、カウント値を保持する。また、駆動線213を介して制御パルスが供給されたことに応じて、カウンタ回路211に保持された信号がリセットされる。
選択回路212は、図3の垂直走査回路部110から、図4の駆動線214を介して制御パルスが供給されたことに応じて、カウンタ回路211と信号線113との電気的な接続、非接続を切り替える。選択回路212には、例えば、信号を出力するためのバッファ回路などを含む。
クエンチ素子202とAPD201との間や、光電変換素子102と信号処理部103との間にトランジスタ等のスイッチを配し、このスイッチを用いて電気的な接続を切り替えてもよい。同様に、光電変換素子102に供給される電圧VH又は電圧VLの供給をトランジスタ等のスイッチを用いて電気的に切り替えてもよい。
図4の例では、カウンタ回路211を用いる構成を示す。しかし、カウンタ回路211の代わりに、時間・デジタル変換回路(Time to Digital Converter:以下、TDC)及びメモリを用いて、パルス検出タイミングを取得してもよい。この場合に、波形整形部210から出力されたパルス信号の発生タイミングは、TDCによってデジタル信号に変換される。TDCには、パルス信号のタイミングの測定に、図1の垂直走査回路部110から駆動線を介して、制御パルスが供給される。TDCは、この制御パルスを基準として、波形整形部210を介して各画素から出力された信号の入力タイミングを相対的な時間とした場合の信号をデジタル信号として取得する。
図5は、APDの動作と出力信号との関係を模式的に示した図である。図5の説明において、波形整形部210の入力ノードをNode Aと表し、波形整形部210の出力ノードをNode Bと表す。図5の上側のグラフ501は、Node Aの波形変化を示す。具体的に、グラフ501の横軸は時刻を表し、グラフ501の縦軸はNode Aの電圧を表す。図5の下側のグラフ502は、Node Bの波形変化を示す。具体的に、グラフ502の横軸は時刻を表し、グラフ502の縦軸はNode Bの電圧を表す。
時刻t0から時刻t1の間において、APD201には、電圧VHと電圧VLとの電位差が印加されている。時刻t1において光子がAPD201に入射すると、APD201でアバランシェ増倍が生じ、クエンチ素子202にアバランシェ増倍電流が流れ、Node Aの電圧は降下する。電圧降下量がさらに大きくなり、時刻t2でNode Aの電圧が閾値を下回り、これに応じて波形整形部210の出力がローレベルからハイレベルに切り替わる。その後、APD201のアバランシェ増倍が停止し、Node Aの電圧降下が停止する。その後、Node Aには電圧VLから電圧降下分を補う電流が流れ、時刻t3においてNode Aの電圧が閾値を上回る。これに応じて、波形整形部210の出力がハイレベルからローレベルに切り替わる。このように、Node Aにおいて出力波形がある閾値を下回った部分は、波形整形部210で波形整形され、Node Bで信号として出力される。
<第1実施形態>
図6~図8を参照して、第1実施形態に係る光電変換装置100の具体的な構成例について説明する。図6(a)は、図7のA-A’線における光電変換装置100の断面図を示す。図6(b)は、図7のB-B’線における光電変換装置100の断面図を示す。図7(a)は、配線層621の平面図を示す。図7(b)は、図7(a)の部分700の拡大図を示す。図7(c)は、配線層622の平面図を示す。図7(d)は、図7(c)の部分701の拡大図を示す。図7(e)は、配線層623の平面図を示す。図7(f)は、図7(e)の部分702の拡大図を示す。図8は、導電部711の形状の変形例を示す。
図6を参照して、光電変換装置100の断面構造について説明する。図1を参照して上述したように、光電変換装置100は、センサ基板11と、回路基板21とを有する。センサ基板11は、半導体層610と、配線構造620とを有する。配線構造620は半導体層610に電気的に接続されている。回路基板21は、半導体層640と、配線構造630とを有する。配線構造630は半導体層640に電気的に接続されている。配線構造620と配線構造630とは、結合部605によって互いに結合され、電気的に接続されている。配線構造620及び配線構造630は、半導体層610と半導体層640との間に位置する。半導体層610の下面と配線構造620の上面とが互いに接している。ここで、半導体層610の下面とは、図6の断面図において下側に位置する面を指す。半導体層610のこの面が下側(重力方向)となるような光電変換装置100の使用に限定することを意図しない。以下に説明する上面、下面についても同様である。配線構造620の下面と配線構造630の上面とが互いに結合している。配線構造630の下面と半導体層640の上面とが互いに接している。光電変換装置100は、半導体層610の上面から入射した光を電気信号に変換する。
以下の説明において、半導体層610と配線構造620との境界に対する平面視を単に平面視と表す。微視的に見てこの境界が粗面である場合は、巨視的に見た場合の境界を基準として平面視を規定する。半導体層610の上面と下面とが平行である場合に、半導体層610と配線構造620との境界に対する平面視は、半導体層610の上面(すなわち、入射面)の平面視に等しい。これ以外にも、配線構造620の下面、配線構造630の上面及び下面、半導体層640の上面及び下面のそれぞれに対する平面視が、半導体層610と配線構造620との境界に対する平面視に等しくてもよい。
光電変換装置100のうち、平面視において、複数の光電変換素子102が配置された領域を画素領域601と表す。画素領域601は、図1及び図2の画素領域12に対応する。光電変換装置100のうち、平面視において、画素領域601と、光電変換装置100の外縁603との間に位置する領域を周辺領域602と表す。
画素領域601において、半導体層610に複数の光電変換素子102が配置されている。隣り合う2つの光電変換素子102は、半導体層610に形成された素子分離領域612によって分離されている。また、光電変換素子102と周辺領域602も素子分離領域612によって分離されている。素子分離領域612は、例えばDTI(Deep Trench Isolation)構造を有していてもよい。DTI構造は、半導体層610に形成された溝に絶縁体を配した構造を有する。また、DTI構造は、溝に配された導電体や遮光体と、導電体や遮光体と溝との間に配された絶縁体とで構成されていてもよい。
光電変換素子102は、半導体層610に形成された複数の不純物半導体領域によって構成される。具体的に、光電変換素子102は、半導体領域611及び613~617によって構成される。半導体領域617は、半導体層610の下面に面する。半導体領域617はN型である。半導体領域616は、半導体領域617の周囲を取り囲む。半導体領域616はN型である。半導体領域617の濃度は、半導体領域616の濃度よりも高くてもよい。半導体領域615は半導体領域616の上に位置する。半導体領域615はP型である。半導体領域614は半導体領域615の上に位置する。半導体領域614はN型である。半導体領域611は半導体領域613の上に位置する。半導体領域614はP型である。半導体領域613は、半導体領域615及び614の側方を取り囲む。半導体領域613はP型領域である。
半導体領域617にカソード電位が供給される。半導体領域613にアノード電位が供給される。半導体領域613に供給されたアノード電位は、半導体領域611及び615にも伝達される。半導体領域615と半導体領域617との間は、アバランシェ増倍が生じるアバランシェ領域ともいえる。
半導体層610は、周辺領域602に、電荷排出部650を有する。電荷排出部650は、半導体領域651及び652によって構成される。半導体領域651は、半導体層610の下面に面する。半導体領域651はN型である。半導体領域652は、半導体領域651の周囲を取り囲む。半導体領域652はN型である。半導体領域651の濃度は、半導体領域652の濃度よりも高くてもよい。半導体領域651は、半導体領域617と同じ構成(例えば、不純物濃度や大きさ)であってもよい。半導体領域652は、半導体領域616と同じ構成(例えば、不純物濃度や大きさ)であってもよい。画素領域601に形成されたP型の半導体領域611は、周辺領域602まで延在しており、平面視において電荷排出部650に重なる。
半導体領域651に、所定の電位が供給される。半導体領域651に供給される電位は、光電変換素子102のAPDのカソード電位に等しくてもよいし、グランド電位に等しくてもよい。これに代えて、半導体領域651に、所定の電位が供給される。半導体領域651に供給される電位は、APDのカソード電位を一端としグランド電位を中心とする範囲に含まれる他の電位であってもよい。例えば、APDのカソード電位を1.1Vとし、グランド電位を0Vとした場合に、-1.1V以上1.1V以下の範囲に含まれる電位が半導体領域651に供給されてもよい。このような電位が供給されることによって、電荷排出部650は、周辺領域602において半導体層610に発生した電荷(例えば、電子)を収集し、半導体層610の外部に排出する。半導体層610は、遮光層618をさらに有する。遮光層618は、平面視において、平面視において電荷排出部650に重なる。
配線構造620は、層間絶縁層624に複数の配線層を有する。図6の例で、配線構造620は、3つの配線層621~623を有する。配線構造620に含まれる複数の配線層のうち、配線層621が半導体層610に最も近く、配線層622が半導体層610に2番目に近く、配線層623が半導体層610に3番目に近い。言い換えると、配線構造620は、配線層621と半導体層610との間に他の配線層を含まない。また、配線層622は、配線層621と配線層623との間に位置する。配線層621は、配線層622と半導体層610との間に位置する。
配線層623に含まれる導電部の一部分は、開口606によって光電変換装置100の外部に露出している。この露出した部分は、パッド608となる。パッド608は、光電変換装置100の外部に面する。パッド608は、ワイヤを接続するために使用されてもよい。配線層623に含まれる導電部の一部分は、開口607によって光電変換装置100の外部に露出している。この露出した部分は、パッド609となる。パッド609は、光電変換装置100の外部に面する。パッド609は、ワイヤを接続するために使用されてもよい。
配線構造620と配線構造630とは、複数の結合部605によって互いに結合されている。結合部605は、センサ基板11に生成された結合部材と、回路基板21に生成された結合部材とが互いに結合(接合)されたものであってもよい。結合部605は、配線構造620の導電部と配線構造630の導電部とを互いに電気的に接続してもよい。また、複数の結合部605の一部は、配線構造620の導電部と配線構造630の導電部とを互いに電気的に接続するために使用されず、配線構造620と配線構造630との結合強度を高めるために使用されてもよい。
図7を参照して、配線層621~623のそれぞれの構成例について説明する。図7(a)及び図7(b)を参照して、配線層621の構成例について説明する。図7(b)は、図7(a)の部分700の拡大図である。
配線層621は、互いに異なる役割を有する導電部711~713を有する。導電部711は、周辺領域602に配置されている。導電部711は、電荷排出部650に供給される電位を伝達する役割を有する。導電部711は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。導電部711は、平面視において、画素領域601を取り囲む。具体的に、図7(a)に示すように、導電部711は、平面視において、画素領域601を全周的に取り囲んでもよい。導電部711は、メッシュ状の部分を含む。図7(a)の例では、導電部711の全体がメッシュ状となっている。メッシュ状の部分において、開口は矩形に限定されず、円や他の多角形であってもよい。また、これに代えて、導電部711の一部のみがメッシュ状となっていてもよい。図7(a)の例で、導電部711は単一の導電部材である。これに代えて、導電部711は、複数の導電部材に分割されていてもよい。
導電部712は、画素領域601に配置されている。導電部712の外側の部分は、画素領域601と周辺領域602との境界を越えて、周辺領域602に入り込んでいる。導電部712は、APDのアノード電位を伝達する役割を有する。導電部712は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。導電部712は、メッシュ状の部分を含む。メッシュ状の部分において、開口は矩形に限定されず、円や他の多角形であってもよい。図7(a)の例では、導電部712の内側の部分がメッシュ状となっており、導電部712の外縁の付近に開口が形成されていない。これに代えて、導電部712の全体がメッシュ状となっていてもよい。図7(a)の例で、導電部712は単一の導電部材である。これに代えて、導電部712は、複数の導電部材に分割されていてもよい。
導電部713は、画素領域601に配置されている。導電部713は、APDのカソード電位を伝達する役割を有する。導電部713は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層621は、複数の光電変換素子102に対応して複数の導電部713を有する。複数の光電変換素子102と複数の導電部713とは、1対1に対応してもよい。各導電部713は、導電部712に形成された開口715の内部に位置する。平面視において、導電部713の外縁は、円形であってもよいし、4角形であってもよいし、5角形以上の多角形(例えば、8角形)であってもよい。
上述のように、導電部711~713は、互いに異なる役割を有する。そのため、導電部711~713は、互いに電気的に分離される。また、導電部711~713は、互いに離れている。
続いて、導電部711及び712のメッシュのサイズについて説明する。導電部711には、複数の開口714が規則的に形成されることによってメッシュが構成されている。開口714の幅をD6とする。開口714が正方形である場合に、開口714の1辺の長さがD6となる。開口714が長方形である場合に、長辺と短辺との平均をD6としてもよいし、長辺又は短辺をD6としてもよい。開口714が長方形以外の形状である場合に、開口714の正射影の最小距離と最大距離との平均をD6としてもよいし、この最小距離又は最大距離をD6としてもよい。以下に説明する他の開口の幅についても同様である。複数の開口714のうち隣り合う2つの開口714の間の距離をD7とする。この場合に、D6+D7が導電部711のメッシュのピッチを表す。導電部711の外縁と複数の開口714との間の距離をD5と表す。
導電部712には、複数の開口715が規則的に形成されることによってメッシュが構成されている。開口715の幅をD2とする。複数の開口715のうち隣り合う2つの開口715の間の距離をD1とする。この場合に、D1+D2が導電部712のメッシュのピッチを表す。導電部712の外縁と複数の開口715との間の距離をD3と表す。さらに、導電部711と導電部712との間の距離をD4と表す。
導電部711のメッシュのピッチ(すなわち、D6+D7)は、導電部712のメッシュのピッチ(すなわち、D1+D2)よりも大きくてもよい。すなわち、導電部711のメッシュは、導電部712のメッシュよりも荒くてもよい。導電部712のメッシュのピッチは、光電変換素子102のピッチに一致してもよい。D1とD2とは、互いに等しくてもよい。すなわち、導電部712において、メッシュの幅と開口の幅とは等しくてもよい。D6は、D7よりも大きくてもよい。すなわち、導電部711において、メッシュの幅は、開口の幅よりも狭くてもよい。D3は、D2よりも大きくてもよい。すなわち、導電部712において、外周部の幅は、開口の幅よりも広くてもよい。このように外周部の幅を広くすることによって、アノード電位を安定して伝達することが可能となる。
以下、具体的なサイズの例を説明する。D1は、例えば1μm~5μmであってもよい。D2は、例えば1μm~5μmであってもよい。D3は、例えば15μm~25μmであってもよい。D4は、例えば、30μm~100μmであってもよい。D5は、例えば15μm~25μmであってもよい。D6は、例えば40μm~60μmであってもよい。D7は、例えば15μm~25μmであってもよい。
続いて、図7(c)及び図7(d)を参照して、配線層622の構成例について説明する。図7(d)は、図7(c)の部分701の拡大図である。配線層622は、互いに異なる役割を有する導電部721~723を有する。導電部721は、周辺領域602に配置されている。導電部721は、電荷排出部650に供給される電位を伝達する役割を有する。導電部721は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層622は、光電変換装置100の4辺の中央に1つずつ、計4つの導電部721を有する。しかし、導電部721の個数及び位置はこれに限られない。
導電部722は、画素領域601に配置されている。導電部722の外側の部分は、画素領域601と周辺領域602との境界を越えて、周辺領域602に入り込んでいる。導電部722は、APDのアノード電位を伝達する役割を有する。導電部722は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。導電部722は、メッシュ状の部分を含む。メッシュ状の部分において、開口は矩形に限定されず、円や他の多角形であってもよい。また、図7(c)の例では、導電部722の内側の部分がメッシュ状となっており、導電部722の外縁の付近に開口が形成されていない。これに代えて、導電部722の全体がメッシュ状となっていてもよい。図7(c)の例で、導電部722は単一の導電部材である。これに代えて、導電部722は、複数の導電部材に分割されていてもよい。
導電部723は、画素領域601に配置されている。導電部723は、APDのカソード電位を伝達する役割を有する。導電部723は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層622は、複数の光電変換素子102に対応して複数の導電部723を有する。複数の光電変換素子102と複数の導電部723とは、1対1に対応してもよい。各導電部723は、導電部722に形成された開口725の内部に位置する。平面視において、導電部723の外縁は、円形であってもよいし、4角形であってもよいし、5角形以上の多角形(例えば、8角形)であってもよい。
上述のように、導電部721~723は、互いに異なる役割を有する。そのため、導電部721~723は、互いに電気的に分離される。また、導電部721~723は、互いに離れている。
続いて、導電部722のメッシュのサイズについて説明する。導電部722には、複数の開口725が規則的に形成されることによってメッシュが構成されている。開口725の幅をD12とする。複数の開口725のうち隣り合う2つの開口725の間の距離をD11とする。この場合に、D11+D12が導電部722のメッシュのピッチを表す。導電部722の外縁と複数の開口725との間の距離をD13と表す。
導電部722のメッシュのピッチは、光電変換素子102のピッチに一致してもよい。D11とD12とは、互いに等しくてもよい。すなわち、導電部722において、メッシュの幅と開口の幅とは等しくてもよい。D13は、D12よりも大きくてもよい。すなわち、導電部722において、外周部の幅は、開口の幅よりも広くてもよい。
導電部712のメッシュと導電部722のメッシュとは同じサイズであってもよい。すなわち、D1=D11かつD2=D12を満たしてもよい。平面視において、開口715と開口725が完全に重なってもよい(すなわち、両者の外縁が一致してもよい)。さらに、平面視において、導電部712の外縁と導電部722の外縁とが一致してもよい。
以下、具体的なサイズの例を説明する。D11は、例えば1μm~5μmであってもよい。D12は、例えば1μm~5μmであってもよい。D13は、例えば15μm~25μmであってもよい。
続いて、図7(e)及び図7(f)を参照して、配線層623の構成例について説明する。図7(f)は、図7(e)の部分702の拡大図である。配線層623は、互いに異なる役割を有する導電部731~733を有する。導電部731は、周辺領域602に配置されている。導電部731は、電荷排出部650に供給される電位を伝達する役割を有する。導電部731は、光電変換素子102の外部に面するパッド609を含む。導電部731は、例えばアルミで形成される。配線層623は、光電変換素子102の4辺の中央に1つずつ、計4つの導電部731を有する。しかし、導電部731の個数及び位置はこれに限られない。
導電部732は、画素領域601及び周辺領域602に配置されている。導電部732は、APDのアノード電位を伝達する役割を有する。導電部732は、例えばアルミで形成される。導電部732は、画素領域601において環状の形状を有しており、その一部が光電変換素子102の外縁603の近くまで延在している。導電部731は、光電変換素子102の外部に面するパッド608を含む。図7(e)の例で、導電部732は単一の導電部材である。これに代えて、導電部732は、複数の導電部材に分割されていてもよい。
導電部733は、画素領域601に配置されている。導電部733は、APDのカソード電位を伝達する役割を有する。カソード電位は、配線構造620よりも下に位置する配線層や、配線構造630の配線層を介して供給される。導電部733は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層623は、複数の光電変換素子102に対応して複数の導電部733を有する。複数の光電変換素子102と複数の導電部733とは、1対1に対応してもよい。各導電部733は、導電部732に形成された開口の内部に位置する。平面視において、導電部733の外縁は、円形であってもよいし、4角形であってもよいし、5角形以上の多角形(例えば、8角形)であってもよい。また、平面視において、導電部733は、導電部713よりも大きくてもよく、導電部723よりも大きくてもよい。
上述のように、導電部731~733は、互いに異なる役割を有する。そのため、導電部731~733は、互いに電気的に分離される。また、導電部731~733は、互いに離れている。
続いて、配線層621~623、半導体層610及び結合部605の相互の接続関係について説明する。導電部711、721及び731はいずれも、電荷排出部650に供給される電位を伝達する役割を有する。導電部711、721及び731は互いに電気的に接続されている。具体的に、導電部711と導電部721とは、平面視において重なっており、パッド609の付近で、プラグによって互いに接続されている。本明細書において「重なる」とは、部分的に重なる場合と完全に重なる場合との両方を含みうる。導電部721と導電部731とは、平面視において重なっており、パッド609の付近で、プラグによって互いに接続されている。導電部711は、プラグによって、複数の電荷排出部650(具体的に、その半導体領域651)のそれぞれに接続されている。
光電変換装置100の使用時に、光電変換素子102の外部からパッド609に所定の電位が供給される。この電位は、導電部711、721及び731によって伝達され、半導体領域651に供給される。上述のように、この電位は、APDのカソード電位を一端としグランド電位を中心とする範囲に含まれる電位であってもよい。
導電部712、722及び732はいずれも、APDのアノード電位を伝達する役割を有する。導電部712、722及び732は互いに電気的に接続されている。具体的に、導電部712と導電部722とは、平面視において重なっており、画素領域601と周辺領域602との境界の付近と、画素領域601内の複数の位置で、プラグによって互いに接続されている。導電部722と導電部732とは、平面視において重なっており、画素領域601と周辺領域602との境界の付近で、プラグによって互いに接続されている。導電部712は、画素領域内の複数の位置で、プラグによって、半導体層610(具体的に、半導体領域613の付近)に接続されている。
光電変換装置100の使用時に、光電変換素子102の外部からパッド608にアノード電位が供給される。アノード電位は、導電部712、722及び732によって伝達され、半導体層610に供給される。
導電部713、723及び733はいずれも、APDのカソード電位を伝達する役割を有する。同一の光電変換素子102に対して配置された導電部713、723及び733は互いに電気的に接続されている。具体的に、導電部713と導電部723とは、平面視において重なっており、プラグによって互いに接続されている。導電部723と導電部733とは、平面視において重なっており、プラグによって互いに接続されている。導電部733と1つの結合部605とは、平面視において重なっており、プラグによって互いに接続されている。導電部713は、プラグによって、半導体層610(具体的に、半導体領域617)に接続されている。
光電変換装置100の使用時に、回路基板21からセンサ基板11にカソード電位が供給される。カソード電位は、導電部713、723及び733によって伝達され、半導体層610の半導体領域617に供給される。
続いて、互いに異なる役割を有する導電部の重なり関係について説明する。以下に説明する重なり関係は、何れも平面視における重なり関係である。
導電部712、713、721、722、723、731及び733はいずれも、配線層621~623に含まれ自身とは異なる役割を有する導電部と重ならない。導電部711と導電部732とは、周辺領域602において互いに重なる。
続いて、本実施形態の技術的効果について説明する。上述のように、導電部711と導電部732とは、周辺領域602において互いに重なる。導電部711は、所定の電位を伝達するために使用され、導電部732は、アノード電位を伝達するために使用される。導電部711が伝達する所定の電位は、例えばAPDのカソード電位を一端としグランド電位を中心とする範囲に含まれる他の電位である。カソード電位は、例えば1Vや1.1Vである。一方、カソード電位は、例えばー20Vからー35Vの範囲に含まれたり、その周囲の電位であったりしうる。そのため、アノード電位と所定の電位との電位差が15V以上50V以下の範囲のような値となりうる。
そのため、本実施形態では、導電部711と導電部732とが互いに重なる位置における耐圧性を向上する。具体的に、導電部711を含む配線層621と、導電部732を含む配線層623とが隣り合っておらず、これらの間に配線層623が位置している。また、配線層622は、導電部711と導電部732とが重なる位置に導電部を含まない。このように、導電部711と導電部732とを遠ざけることによって、高電圧を印加することによる影響を軽減できる。
本実施形態の技術的効果について説明する。回路基板21で発生した熱は、半導体層610に向けて配線構造620及び配線構造630を伝わる。周辺領域602に形成されたメッシュ状の導電部711は、他の導電部及びプラグを通じて、パッド609に接続されている。これらの導電部及びプラグは金属で形成されているため、層間絶縁膜64と比較して熱電度率も高い。そのため、半導体層610から光電変換装置100の外部に熱を排出できる。配線構造620は、配線構造630と比較して、使用される配線の本数が少ない。そのため、導電部711を配線構造620に形成することによって、導電部711の面積を大きくできる。それによって、放熱性がいっそう向上する。さらに、導電部711がメッシュ状の部分を含むことによって、画素領域601と周辺領域602との間の配線層621における導電部の密度の差を軽減できる。このような密度の差の軽減は、配線層621の製造時の平坦化において有利となる。さらに、導電部711がメッシュ状の部分を含むことによって、1方向に延在する線状の形態に比べ、電気的な抵抗の低減において有利となる。
続いて、本実施形態の変形例について説明する。図6の例で、配線構造620は3つの配線層を含むが、配線層の個数はこれに限られない。配線構造620が4つ以上の配線層を含む場合に、導電部711を含む配線層と、導電部732を含む配線層との間に、2つ以上の配線層が位置してもよい。
上述の例で、配線層621が導電部711を含む。これに代えて、配線層622が導電部711を含んでもよい。この場合であっても、放熱性を向上する効果が得られる。
上述の例で、配線層621を通じて電荷排出部650に所定の電位が供給され、配線層623を通じて光電変換素子102にアノード電位が供給される。これに代えて、配線層623を通じて電荷排出部650に所定の電位が供給され、配線層621を通じて光電変換素子102にアノード電位が供給されてもよい。
上述の例で、導電部711は格子状のメッシュを有する。これに代えて、メッシュは他の形状であってもよい。図8を参照して、メッシュの形状の変形例について説明する。図8(a)の例では、1行ごとに開口714がずれて配置されている。図8(b)の例では、開口714が複数の異なるサイズを有する。何れの形状であっても、複数の開口714を有していれば、導電部711はメッシュ状となりうる。また、導電部711以外の他の導電部712及び722も、図8に示すような形状やそれ以外の形状のメッシュを有していてもよい。
<第2実施形態>
図9~図11を参照して、第2実施形態に係る光電変換装置100の具体的な構成例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については第1実施形態と同様であってもよい。図9及び図10は、第1実施形態の図6及び図7にそれぞれ対応する。図11は、導電部1001の形状の変形例を示す。
第2実施形態は、配線層622が導電部1001をさらに有する点で第1実施形態とは異なる。導電部1001は、周辺領域602に配置されている。導電部1001は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。導電部1001は、平面視において、画素領域601を取り囲む。具体的に、図10(a)に示すように、導電部1001は、平面視において、画素領域601を全周的に取り囲んでもよい。導電部1001は、メッシュ状の部分を含む。図10(a)の例では、導電部1001の全体がメッシュ状となっている。これに代えて、導電部1001の一部のみがメッシュ状となっていてもよい。図10(a)の例で、導電部1001は単一の導電部材である。これに代えて、導電部1001は、複数の導電部材に分割されていてもよい。
導電部1001のメッシュのサイズについて説明する。導電部1001には、複数の開口1002が規則的に形成されることによってメッシュが構成されている。開口1002の幅をD16とする。複数の開口1002のうち隣り合う2つの開口1002の間の距離をD17とする。この場合に、D16+D17が導電部1001のメッシュのピッチを表す。導電部1001の外縁と複数の開口1002との間の距離をD15と表す。導電部1001と導電部722との間の距離をD14と表す。
導電部1001のメッシュのピッチ(すなわち、D16+D17)は、導電部722のメッシュのピッチ(すなわち、D11+D12)よりも大きくてもよい。すなわち、導電部1001のメッシュは、導電部722のメッシュよりも荒くてもよい。さらに、導電部1001のメッシュのピッチ(すなわち、D16+D17)は、導電部711のメッシュのピッチ(すなわち、D6+D7)よりも小さくてもよい。すなわち、導電部1001のメッシュは、導電部711のメッシュよりも細かくてもよい。D16は、D17よりも大きくてもよい。すなわち、導電部712において、メッシュの幅は、開口の幅よりも狭くてもよい。D13は、D12よりも大きくてもよい。すなわち、導電部712において、外周部の幅は、開口の幅よりも広くてもよい。このように外周部の幅を広くすることによって、アノード電位を安定して伝達することが可能となる。
以下、具体的なサイズの例を説明する。D14は、例えば、20μm~80μmであってもよい。D15は、例えば15μm~25μmであってもよい。D16は、例えば30μm~50μmであってもよい。D17は、例えば10μm~20μmであってもよい。
導電部1001は、平面視において、導電部711と導電部732とに重なる。配線層622が導電部1001を有することによって、画素領域601と周辺領域602との間の配線層622における導電部の密度の差を軽減できる。このような密度の差の軽減は、配線層622の製造時の平坦化において有利となる。
導電部1001は、信号の伝達及び電力の供給に使用されなくてもよい。例えば、導電部1001は、光電変換装置100の他の導電部に電気的に接続されていなくてもよい。この場合に、光電変換装置100の使用時に導電部1001に電位が供給されず、導電部1001はフローティング状態となる。これに代えて、導電部1001に、所定の電位が供給されてもよい。光電変換装置100の耐圧性を向上するという効果を得るために、導電部1001に供給される電位は、導電部711が伝達する電位と、アノード電位との平均値に近い値を有してもよい。具体的に、導電部1001に供給される電位は、アノード電位と、導電部711が伝達する電位との平均値を中心とし、アノード電位と、導電部711が伝達する電位との差の半分の幅を有する範囲に含まれてもよい。具体的に、アノード電位をー20Vとし、導電部711が伝達する電位を1Vとした場合に、導電部1001に供給される電位は、-15.75V以上、-5.25V以下の範囲に含まれてもよい。
図11を参照して、導電部1001の変形例について説明する。図11(a)は、配線層622の平面図を示す。図11(b)は、図11(a)の部分701の拡大図を示す。この例で、配線層622は、島状に点在した複数の導電部1001を有する。複数の導電部1001は、周辺領域602に位置する。複数の導電部1001は、画素領域601の四方に位置する。
1つの導電部1001の幅をD18と表す。隣り合う2つの導電部1001の間の距離をD19と表す。導電部1001と導電部722との間の距離をD20と表す。D18は、例えば10μm~50μmであってもよい。D19は、例えば10μm~50μmであってもよい。D20は、例えば15μm~25μmであってもよい。
<第3実施形態>
図12を参照して、第3実施形態に係る光電変換装置100の具体的な構成例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については第1実施形態と同様であってもよいし、第2実施形態と同様であってもよい。図12は、第1実施形態の図6(a)に対応する。
第3実施形態は、光電変換素子102の構成が第1実施形態とは異なる。光電変換素子102は、第1実施形態で説明した半導体領域611及び613に加えて、半導体領域1201~1205によって構成される。半導体領域1205は、半導体層610の下面に面する。半導体領域1205はN型である。半導体領域1204は、半導体領域1205の側面を取り囲む。半導体領域1204はN型である。半導体領域1204の濃度は、半導体領域1205の濃度よりも低くてもよい。半導体領域1202は半導体領域1205の上に位置する。半導体領域1202はP型である。半導体領域1203は、半導体領域1202、1204及び1205の側方を取り囲む。半導体領域1203は、N型であってもよいし、P型であってもよい。半導体領域1201は半導体領域1202及び1203の上に位置する。半導体領域1201はP型である。半導体領域1201の濃度は、半導体領域1202の濃度よりも低くてもよい。半導体領域1205にカソード電位が供給される。半導体領域613にアノード電位が供給される。半導体領域613に供給されたアノード電位は、半導体領域1201及び1202にも伝達される。
またパッド608が、2層の配線層にわたって形成されている。言い換えると、パッド608の厚みが同一の高さに位置する配線層に比べて十分厚い。このような構造によって、外部端子と接続する際の圧力に対する耐性を持たせつつ、配線層の微細化が可能となる。
<第4実施形態>
図13及び図14を参照して、第4実施形態に係る光電変換装置100の具体的な構成例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については第1実施形態~第3実施形態の何れと同様であってもよい。図13及び図14は、第1実施形態の図6及び図7にそれぞれ対応する。
第4実施形態は、配線層623ではなく配線層621がパッド608及び609を有する点で第1実施形態とは異なる。
配線層621は、導電部711~713及び1411を有する。導電部711は、パッド609を含み、アルミで形成される点を除いて、第1実施形態と同様である。導電部712及び713は、アルミで形成される点を除いて、第1実施形態と同様である。
導電部1411は、周辺領域602に配置されている。導電部1411は、APDのアノード電位を伝達する役割を有する。導電部1411は、例えばアルミで形成される。導電部1411は、パッド608を含む。配線層621は、光電変換装置100の2辺に2つずつ、計4つの導電部1411を有する。しかし、導電部1411の個数及び位置はこれに限られない。
配線層622は、導電部722、723及び1421を有する。導電部722及び723は、第1実施形態と同様である。導電部1421は、APDのアノード電位を伝達する役割を有する。導電部1421は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層622は、光電変換装置100の2辺に2つずつ、計4つの導電部1421を有する。しかし、導電部1421の個数及び位置はこれに限られない。
配線層623は、導電部732及び733を有する。導電部732は、パッド608を含まず、銅を主成分とした材料で形成される点を除いて、第1実施形態と同様である。導電部733は、第1実施形態と同様である。
導電部732、1411及び1421はいずれも、APDのアノード電位を伝達する役割を有する。導電部732、1411及び1421は互いに電気的に接続されている。具体的に、導電部1411と導電部1421は、平面視において重なっており、パッド608に重なる位置で、プラグによって互いに接続されている。導電部1421と導電部732とは、平面視において重なっており、パッド608に重なる位置で、プラグによって互いに接続されている。
光電変換装置100の使用時に、光電変換装置100の外部からパッド608にアノード電位が供給される。アノード電位は、導電部732、1411及び1421によって伝達され、半導体層610に供給される。
<第5実施形態>
図15を参照して、第5実施形態に係る光電変換装置100の具体的な構成例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については第1実施形態と同様であってもよい。図15は、第1実施形態の図6に対応する。
本実施形態に係る光電変換装置100は、電荷排出部650及びこれに電位を供給するためのプラグを有しない点で第1実施形態とは異なり、その他の部分は同様であってもよい。この場合に、光電変換装置100の使用時に、導電部711に電位が供給されなくてもよいし、所定の電位、例えばAPDのカソード電位を一端としグランド電位を中心とする範囲に含まれる電位が導電部711に供給されてもよい。本実施形態においても、導電部711を通じて熱を光電変換装置100の外部に放熱できる。
<第6実施形態>
図16を参照して、第6実施形態に係る光電変換装置100の具体的な構成例について説明する。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については第2実施形態と同様であってもよい。図16は、第2実施形態の図9に対応する。
本実施形態に係る光電変換装置100は、電荷排出部650及びこれに電位を供給するためのプラグを有しない点で第2実施形態とは異なり、その他の部分は同様であってもよい。この場合に、光電変換装置100の使用時に、導電部711に電位が供給されなくてもよいし、所定の電位、例えばAPDのカソード電位を一端としグランド電位を中心とする範囲に含まれる電位が導電部711に供給されてもよい。本実施形態においても、導電部711を通じて熱を光電変換装置100の外部に放熱できる。
<第7実施形態>
図23及び図24を参照して、第7実施形態に係る光電変換装置100の具体的な構成例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については第1実施形態と同様であってもよい。第1実施形態と第7実施形態との相違点は、第2実施形態~第6実施形態の何れに適用されてもよい。図23及び図24は、第1実施形態の図6及び図7にそれぞれ対応する。
第7実施形態は、画素101が相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ構造を有する点で第1実施形態とは異なる。CMOSセンサ構造を有する画素101は、例えば、光電変換素子と、光電変換素子で発生した電荷を転送する転送トランジスタと、電荷に基づく信号を出力するための増幅トランジスタとによって構成される。光電変換素子は、例えばフォトダイオードである。半導体領域2301内に形成された半導体領域2302によってフォトダイオードが構成される。半導体領域2301内に形成された半導体領域2303は、フローティングディフュージョンとして機能する。半導体領域2303にフォトダイオードの電荷が転送される。半導体領域2302と、半導体領域2303と、ゲート電極2304とによって転送トランジスタが構成される。例えば、半導体領域2301は例えばP型であり、半導体領域2302及び半導体領域2303はN型である。
半導体領域2301~2303は、素子分離領域612の間に位置する。半導体領域613は、素子分離領域612の周りに配される。半導体領域611は半導体層610の裏面側に配される。半導体領域613と半導体領域611は、第1実施形態と同様にP型である。半導体領域613と半導体領域611は、例えば、グランド電位が供給されうる。配線構造620と配線構造630は、第1実施形態と比較して、画素回路に応じて接続や供給電圧が異なる。しかし、配線構造620と配線構造630における開口607や結合部605等の構成は第1実施形態と同様であってもよい。
図24を参照して、配線層621~623のそれぞれの構成例について説明する。図24(a)及び図24(b)を参照して、配線層621の構成例について説明する。図24(b)は、図24(a)の部分700の拡大図である。
配線層621は、互いに異なる役割を有する導電部711、2401、2402を有する。導電部711は、第1実施形態のものと同様であってもよいため、重複する説明を省略する。
導電部2401は、画素領域601に配置されている。導電部2401は、光電変換素子102で発生した電荷に応じた画素信号を伝達する役割を有する。導電部2401は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層621は、複数の光電変換素子102に対応して複数の導電部2401を有する。複数の光電変換素子102と複数の導電部2401とは、1対1に対応してもよい。導電部2401は、円形であってもよいし、矩形であってもよいし、他の多角形であってもよい。導電部2401は、半導体領域2303に重なる位置に配置される。導電部2401と半導体領域2303とはコンタクトプラグ(不図示)によって電気的に接続される。
導電部2402は、画素領域601に配置されている。導電部2402は、ゲート電極2304に供給される制御信号を伝達する役割を有する。導電部2402は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層621は、複数の画素行に対応して複数の導電部2402を有する。複数の画素行と複数の導電部2402とは、1対1に対応してもよい。1つの画素行に対して1つの導電部2402が共通に配置される。各導電部2402は、行方向(図面の横方向)に延在した矩形であってもよい。導電部2402は、ゲート電極2304に重なる位置に配置される。導電部2402とゲート電極2304とはコンタクトプラグ(不図示)によって電気的に接続されている。
上述のように、導電部711、2401、2402は、互いに異なる役割を有する。そのため、導電部711、2401、2402は、互いに電気的に分離される。また、導電部711、2401、2402は、互いに離れている。
続いて、図24(c)及び図24(d)を参照して、配線層622の構成例について説明する。図24(d)は、図24(c)の部分701の拡大図である。配線層622は、互いに異なる役割を有する導電部2403、2404を有する。
導電部2403は、画素領域601に配置されている。導電部2403は、ゲート電極2304に供給される制御信号を伝達する役割を有する。導電部2403は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層622は、複数の導電部2402に対応して複数の導電部2403を有する。複数の導電部2402と複数の導電部2403とは、1対1に対応してもよい。導電部2403は、円形であってもよいし、矩形であってもよいし、他の多角形であってもよい。導電部2403は、導電部2402に重なる位置に配置される。導電部2402と導電部2403とはコンタクトプラグ(不図示)によって電気的に接続されている。
導電部2404は、画素領域601に配置されている。導電部2404は、光電変換素子102で発生した電荷に応じた画素信号を伝達する役割を有する。導電部2404は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層622は、複数の画素列に対応して複数の導電部2404を有する。複数の画素列と複数の導電部2404とは、1対1に対応してもよい。導電部2404は、列方向(図面の縦方向)に延在した矩形であってもよい。導電部2404は、列方向に並んだ複数の導電部2401に重なる位置に配置される。導電部2404と複数の導電部2401とは個別のコンタクトプラグ(不図示)によって電気的に接続されている。
上述のように、導電部2403、2404は、互いに異なる役割を有する。そのため、導電部2403、2404は、互いに電気的に分離される。また、導電部2403、2404は、互いに離れている。
続いて、図24(e)及び図24(f)を参照して、配線層623の構成例について説明する。図24(f)は、図24(e)の部分702の拡大図である。配線層623は、互いに異なる役割を有する導電部731、2405、2406を有する。導電部731は、第1実施形態のものと同様であってもよいため、重複する説明を省略する。
導電部2405は、画素領域601に配置されている。導電部2405は、光電変換素子102で発生した電荷に応じた画素信号を伝達する役割を有する。導電部2405は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層623は、複数の画素列に対応して複数の導電部2405を有する。複数の画素列と複数の導電部2405とは、1対1に対応してもよい。導電部2405は、円形であってもよいし、矩形であってもよいし、他の多角形であってもよい。導電部2405は、導電部2404に重なる位置に配置される。導電部2405と複数の導電部2404とは個別のコンタクトプラグ(不図示)によって電気的に接続されている。
導電部2406は、画素領域601に配置されている。導電部2406は、ゲート電極2304に供給される制御信号を伝達する役割を有する。導電部2406は、例えば銅を主成分とした材料で形成される。配線層623は、複数の画素行に対応して複数の導電部2406を有する。複数の画素行と複数の導電部2406とは、1対1に対応してもよい。導電部2406は、円形であってもよいし、矩形であってもよいし、他の多角形であってもよい。導電部2406は、導電部2403に重なる位置に配置される。導電部2406と導電部2403とは個別のコンタクトプラグ(不図示)によって電気的に接続されている。
上述のように、導電部2405、2406は、互いに異なる役割を有する。そのため、導電部2405、2406は、互いに電気的に分離される。また、導電部2405、2406は、互いに離れている。
上述の例において、光電変換装置100は、ゲート電極2304に供給される制御信号を伝達する役割を有する導電部と、光電変換素子102で発生した電荷に応じた画素信号を伝達する役割を有する導電部とを有する。これに加えて、光電変換装置100は、半導体領域2301(画素101のウェル領域)に電位を与えるための導電部、画素101の転送トランジスタ以外のトランジスタに電源電圧を与えるための導電部、を含んでもよい。これに加えて又はこれに代えて、光電変換装置100は、画素101の転送トランジスタ以外のトランジスタ(例えば、リセットトランジスタ、選択トランジスタ)のゲート電極に制御信号を与えるための導電部を含んでもよい。
上述の例において、配線層621が行方向に延在した矩形である導電部2402を含み、配線層622が列方向に延在した矩形である導電部2404を含む。これに代えて、配線層622が行方向に延在した矩形である導電部2402を含み、配線層621が列方向に延在した矩形である導電部2404を含んでもよい。上述の例において、1つの導電部2402に対して1つの導電部2403が配置される。これに代えて、1つの導電部2402に対して、行方向に並んだ複数の導電部2403が配置されてもよい。上述の例において、1つの導電部2404に対して1つの導電部2405が配置される。これに代えて、1つの導電部2404に対して、列方向に並んだ複数の導電部2405が配置されてもよい。
<その他の実施形態>
以下、上述の実施形態を通して例示的に説明された光電変換装置が組み込まれた光電変換システムについて例示的に説明する。図17には、光電変換システムの一例が示されている。上述の光電変換装置100は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。
光電変換システムは、例えば、撮像システムSYSとして構成される。撮像システムSYSは、カメラや撮影機能を有する情報端末である。撮像装置ISは、撮像デバイスICとして構成された光電変換装置100を収容するパッケージPKGをさらに備えることもできる。パッケージPKGは、撮像デバイスICが固定された基体と、撮像デバイスICに対向する蓋体と、基体に設けられた端子と撮像デバイスICに設けられた端子とを接続する接続部材と、を含みうる。撮像装置ISは共通のパッケージPKGに複数の撮像デバイスICを並べて搭載することもできる。また、撮像装置ISは共通のパッケージPKGに撮像デバイスICと他の半導体デバイスICとを重ねて搭載することもできる。
撮像システムSYSは、撮像装置ISに結像する光学系OUを備え得る。また、撮像システムSYSは、撮像装置ISを制御する制御装置CU、撮像装置ISから得られた信号を処理する処理装置PU、撮像装置ISから得られた画像を表示する表示装置DUの少なくともいずれかを備え得る。また、撮像システムSYSは、撮像装置ISから得られた画像を記憶する記憶装置MUを備えてもよい。
図18(a)は、車載カメラに関する撮像システム1810の一例を示したものである。撮像システム1810は、光電変換装置1811を有する。光電変換装置1811は、上述の実施形態の何れの光電変換装置であってもよい。撮像システム1810は、光電変換装置1811により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う処理装置である画像処理部1812を有する。また、撮像システム1810は、光電変換装置1811により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う処理装置である視差取得部1813を有する。さらに、撮像システム1810は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する処理装置である距離取得部1814と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する処理装置である衝突判定部1815と、を有する。ここで、視差取得部1813や距離取得部1814は、対象物までの距離情報等の情報を取得する情報取得部の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部1815はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。上述した各種の処理装置は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールに基づいて演算を行う汎用のハードウェアによって実現されてもよい。また、処理装置は、FPGA、ASIC等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
撮像システム1810は、車両情報取得装置1816と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム1810は、衝突判定部1815での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU1817に接続されている。すなわち、制御ECU1817は、距離情報に基づいて移動体を制御する移動体制御部の一例である。また、撮像システム1810は、衝突判定部1815での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置1818にも接続されている。例えば、衝突判定部1815の判定結果として衝突可能性が高い場合に、制御ECU1817はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置1818は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム1810で撮像する。図18(b)に、車両前方(撮像範囲1819)を撮像する場合の撮像システム1810を示した。車両情報取得装置1816は、撮像システム1810を動作させ撮像を実行させるように指示を送る。
以上の説明では、他の車両と衝突しないように制御する例を述べたが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、撮像システムは、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(輸送機器)に適用することができる。移動体(輸送機器)における移動装置はエンジン、モーター、車輪、プロペラなどの各種の移動部である。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
図19には、距離画像センサとして構成された光電変換システムの構成が例示されている。距離画像センサ1901は、光学系1902、光電変換装置1903、画像処理回路1904、モニタ1905、及びメモリ1906を備える。そして、距離画像センサ1901は、光源装置1911から被写体に向かって投光され、被写体の表面で反射された光(変調光やパルス光)を受光することにより、被写体までの距離に応じた距離画像を取得することができる。
光学系1902は、1枚又は複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を光電変換装置1903に導き、光電変換装置1903の受光面(センサ部)に結像させる。光電変換装置1903としては、上述した各実施形態の光電変換装置が適用され、光電変換装置1903から出力される受光信号から求められる距離を示す距離信号が画像処理回路1904に供給される。
画像処理回路1904は、光電変換装置1903から供給された距離信号に基づいて距離画像を構築する画像処理を行う。そして、その画像処理により得られた距離画像(画像データ)は、モニタ1905に供給されて表示されたり、メモリ1906に供給されて記憶(記録)されたりする。このように構成されている距離画像センサ1901では、上述した光電変換装置を適用することで、画素の特性向上に伴って、例えば、より正確な距離画像を取得することができる。
図20には、内視鏡手術システムとして構成された光電変換システムの構成が例示されている。図20には、術者(医師)2050が、内視鏡手術システム2000を用いて、患者ベッド2051上の患者2052に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム2000は、内視鏡2001と、術具2002と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート2010と、から構成される。
内視鏡2001は、先端から所定の長さの領域が患者2052の体腔内に挿入される鏡筒2003と、鏡筒2003の基端に接続されるカメラヘッド2004と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒2003を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡2001を図示しているが、内視鏡2001は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
鏡筒2003の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡2001には光源装置2012が接続されており、光源装置2012によって生成された光が、鏡筒2003の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者2052の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡2001は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
カメラヘッド2004の内部には光学系及び光電変換装置が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該光電変換装置に集光される。当該光電変換装置によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該光電変換装置としては、前述の各実施形態に記載の光電変換装置を用いることができる。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)2011に送信される。
CCU2011は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡2001及び表示装置2015の動作を統括的に制御する。さらに、CCU2011は、カメラヘッド2004から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
表示装置2015は、CCU2011からの制御により、当該CCU2011によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。光源装置2012は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡2001に供給する。入力装置2013は、内視鏡手術システム2000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置2013を介して、内視鏡手術システム2000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。処置具制御装置2014は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のための術具2002(例えば、エネルギー処置具)の駆動を制御する。
内視鏡2001に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置2012は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置2012において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド2004の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
また、光源装置2012は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド2004の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
また、光源装置2012は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用する。具体的には、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置2012は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
図21(a)には、眼鏡2100(スマートグラス)として構成された構成された光電変換システムの構成が例示されている。眼鏡2100は、光電変換装置100が適用された光電変換装置2102を有する。光電変換装置2102は、上記の各実施形態に記載の光電変換装置である。また、レンズ2101の裏面側には、OLEDやLED等の発光装置を含む表示装置が設けられていてもよい。光電変換装置2102は1つでもよいし、複数でもよい。また、複数種類の光電変換装置を組み合わせて用いてもよい。光電変換装置2102の配置位置は、図21(a)に限定されない。
眼鏡2100は、制御装置2103をさらに備える。制御装置2103は、光電変換装置2102と上記の表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置2103は、光電変換装置2102と表示装置の動作を制御する。レンズ2101には、光電変換装置2102に光を集光するための光学系が形成されている。
図21(b)には、眼鏡2110(スマートグラス)構成された光電変換システムの構成が例示されている。眼鏡2110は、制御装置2112を有しており、制御装置2112に、光電変換装置2102に相当する光電変換装置と、表示装置が搭載される。レンズ2111には、制御装置2112内の光電変換装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ2111には画像が投影される。制御装置2112は、光電変換装置及び表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、光電変換装置及び表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザの視線が検出される。
本実施形態の表示装置は、受光素子を有する光電変換装置を有し、光電変換装置からのユーザの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザが注視する第1の視界領域と、第1の視界領域以外の第2の視界領域とを決定される。第1の視界領域、第2の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第1の視界領域の表示解像度を第2の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第2の視界領域の解像度を第1の視界領域よりも低くしてよい。
また、表示領域は、第1の表示領域、第1の表示領域とは異なる第2の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第1の表示領域及び第2の表示領域から優先度が高い領域を決定されてよい。第1の視界領域、第2の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
なお、第1の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、光電変換装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する光電変換装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
上記の実施形態の光電変換装置100は、以下に例示されるようなスマートフォンやタブレットなどの電子機器に適用されてもよい。図22には、固体撮像装置として構成された光電変換装置100が搭載された電子機器2200の外観の一例を示す図である。図22(a)には、電子機器2200の表面側が示されており、図22(b)には、電子機器2200の背面側が示されている。
図22(a)に示すように、電子機器2200の表面の中央には、画像を表示するディスプレイ2201が配置されている。そして、電子機器2200の表面の上辺に沿って、光電変換装置100が用いられるフロントカメラ2202及び2205、赤外光を発光するIR光源2203、並びに、可視光を発光する可視光源2204が配置されている。
また、図22(b)に示すように、電子機器2200の背面の上辺に沿って、光電変換装置100が用いられるリアカメラ2206及び2209、赤外光を発光するIR光源2207、並びに、可視光を発光する可視光源2208が配置されている。
このように構成されている電子機器2200では、上述した光電変換装置100を適用することで、例えば、より高感度な画像を撮像することができる。なお、光電変換装置100は、その他、赤外線センサや、アクティブ赤外線光源を用いた測距センサ、セキュリティカメラ、個人又は生体認証カメラなどの電子機器に適用することができ。これにより、それらの電子機器の感度や性能などの向上を図ることができる。また、光源電力の削減によるシステムの低消費電力化を実現することができる。
<実施形態のまとめ>
[項目1]
光電変換装置であって、
光電変換素子を有する第1半導体層と、
前記光電変換素子で得られた電荷に基づく信号を処理するための回路を含む第2半導体層と、
前記第1半導体層に電気的に接続された第1配線構造と、
前記第2半導体層に電気的に接続された第2配線構造と、
前記第1配線構造と前記第2配線構造とを結合する結合部と、を備え、
前記光電変換装置は、前記第1半導体層と前記第1配線構造との境界に対する平面視において、
前記光電変換素子を有する画素領域と、
前記画素領域と前記光電変換装置の外縁との間に位置する周辺領域と、を含み、
前記第1配線構造は、前記周辺領域に、メッシュ状の部分を含む第1導電部を含み、
前記第1導電部は、前記光電変換装置の外部に面するパッドに接続されている、光電変換装置。
[項目2]
前記第1配線構造は、前記画素領域に、メッシュ状の部分を含む第2導電部をさらに含む、項目1に記載の光電変換装置。
[項目3]
前記第1導電部のメッシュのピッチは、前記第2導電部のメッシュのピッチよりも大きい、項目2に記載の光電変換装置。
[項目4]
前記第1導電部と前記第2導電部とは、同一の配線層に含まれる、項目2又は3に記載の光電変換装置。
[項目5]
前記第1配線構造は、
前記第1導電部及び前記第2導電部を含む第1配線層と、
第2配線層と、を含み、
前記第2配線層は、前記画素領域に、メッシュ状の部分を含む第3導電部をさらに含む、項目2乃至4の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目6]
前記第3導電部のメッシュのピッチは、前記第2導電部のメッシュのピッチに等しい、項目5に記載の光電変換装置。
[項目7]
前記第1配線構造は、前記第1導電部及び前記第2導電部を含む配線層と前記第1半導体層との間に他の配線層を含まない、項目4乃至6の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目8]
前記第1導電部と前記第2導電部とは互いに離れている、項目2乃至7の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目9]
前記第1導電部に、メッシュを構成する複数の開口が形成されており、
前記第1導電部の外縁と前記複数の開口との間の距離は、前記複数の開口のうち隣り合う2つの開口の間の距離よりも大きい、項目1乃至8の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目10]
前記第1半導体層は、前記周辺領域に、前記第1半導体層の電荷を収集する電荷排出部を有し、
前記第1導電部は、前記電荷排出部に接続される、項目1乃至9の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目11]
前記第1導電部に電位が供給される、項目1乃至10の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目12]
前記第1導電部は、前記平面視において、前記画素領域を取り囲む、項目1乃至11の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目13]
前記光電変換素子は、アバランシェフォトダイオードを含む、項目1乃至12の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目14]
前記第1半導体層は、フォトダイオードを構成する第1半導体領域と、前記フォトダイオードで発生した電荷が転送される第2半導体領域とを含む、項目1乃至12の何れか1項に記載の光電変換装置。
[項目15]
項目1乃至14の何れか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を処理する信号処理部と、を有する光電変換システム。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。