JP7376390B2 - ポートフォリオ作成支援装置、ポートフォリオ作成支援方法、及びポートフォリオ作成支援システム - Google Patents

ポートフォリオ作成支援装置、ポートフォリオ作成支援方法、及びポートフォリオ作成支援システム Download PDF

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Description

本発明は、ポートフォリオ作成支援装置、ポートフォリオ作成支援方法、及びポートフォリオ作成支援システムに関する。
保険会社など種々の金融機関は、その取扱商品に起因するリスクを分散させるべく、当該商品に関連する複数商品を他社と売買し、適宜なポートフォリオを構成するケースがある。なお、上述の商品とは、所定の確率でリスクとリターンが見込まれる、投資性のある商品であり、一例としては保険商品がある。
このようなポートフォリオを構成する際の従来技術としては、例えば、リターン軸とリスク軸平面上に算出された効率的フロンティアに対して、下限リターンと下限達成確率から下限直線を算出し、前記効率的フロンティアにおける前記下限達成確率以上の達成確率となる部分を有効線部分とし、前記リターン軸上に設定した目標リターンの点と前記有効線部分上の点とを結ぶ直線であって傾きを最大とする直線を目標直線として算出し、前記目標直線と前記有効線部分との共有点を最適ポートフォリオとすることを特徴とするポートフォリオ最適化方法(特許文献1参照)などが提案されている。
また、複数の金融商品を含むポートフォリオの最適化方法であって、a)ポートフォリオに関する制約条件と最適性基準を選択するステップと、b)金融リスク要因に関する履歴情報を取得するステップと、c)前記履歴情報に基づいて、ポートフォリオのリスク要因を楕円分布を手段としてシミュレートするために、適切なモデルを選択するステップと、d)シミュレーションにより推定リスクと市場リスクの両方を考慮するステップと、e)最適ポートフォリオ複合物に関する数的精度基準を選択するステップと、f)モデルおよび観測値(場合により欠測値を含む)を所与として複数の母数および経路を引き出すことにより、リスク要因をシミュレートするステップと、g)シミュレートした母数および経路を基に、選択された制約条件および最適性基準を所与として最適ポートフォリオウェイトを求めるステップと、h)前記精度基準が満たされるまで、前記シミュレーションを実施し、最適ポートフォリオウェイトを求めるステップと、を含む方法(特許文献2参照)なども提案されている。
特開2001-76057号公報 特開2008-47099号公報
従来のポートフォリオ最適化手法においては、例えば、各商品の保有比率の設定(リスクを算出するために商品の保有比率を担当者等が設定)、シナリオ作成(例:モンテカルロ法による災害イベント発生有無のシミュレーション。震災や政変、戦争など各種イベントを確率的に発生させ、当該イベント発生時の各商品の損失額を算出)、及びリスク算出(例:損失額の大きさ順にシナリオをソートしてヒストグラムを描き、損失額上位の平均値(TVaR)をリスク指標として算定)、といった手順を、リターン/リスクを最大化するよう試行錯誤して繰り返す。
ところが、上述の保有比率の設定やリスク算出の各手順は、シナリオ数やイベント数、保有比率のバリエーションが増大すれば、必要な計算規模が線形で或いは指数関数的に増加することになる。そのため、上述の金融機関等が現実的な条件を設定すると、実用的な時間で結果、すなわち最適なポートフォリオに関する情報を得ることが難しい。
したがって結局のところ、実用的な時間で求解できるよう、現実的な条件から乖離した当初から限定的な範囲のみを対象として、ポートフォリオを推定することとなっていた。その場合、真の意味で最適化されたポートフォリオの情報を得ることは出来ない。
そのため、金融機関が、保有する金融商品の商品数やその保有比率、考慮するシナリオ数のバリエーションが多数ある場合に、災害などのイベント発生時の損害額を考慮しながら収益性を大きくするポートフォリオの構築が難しいという課題がある。
そこで本発明の目的は、金融機関が、保有する金融商品の商品数やその保有比率、考慮するシナリオ数のバリエーションが多数ある場合であっても、災害などのイベント発生時の損害額を考慮しながら収益性を大きくするポートフォリオを適用し、収益性を担保することにある。
上記課題を解決する本発明のポートフォリオ作成支援装置は、各金融商品の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記各金融商品での予想損失の情報に基づき、前記各金融商品を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、前記所定のシナリオ群の各々に対応する前記イベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算する演算部を有し、前記演算部は、前記演算の結果、前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性が大きい前記保有比率の情報を所定装置に出力するものである、ことを特徴とする。
また、本発明のポートフォリオ作成支援方法は、情報処理装置が、各金融商品の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記各金融商品での予想損失の情報に基づき、前記各金融商品を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、前記所定のシナリオ群の各々に対応する前記イベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算し、前記演算の結果、前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性が大きい前記保有比率の情報を所定装置に出力する、ことを特徴とする。
また、本発明のポートフォリオ作成支援システムは、ユーザの収益性が大きくなるように、前記ユーザが保有する複数の金融商品の保有率を提示するポートフォリオ作成支援システムであって、前記複数の金融商品の各々の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記金融商品での予想損失の情報を配信する金融情報配信システムと、前記金融情報配信システムから受信する前記属性情報および前記予想損失の情報に基づいて、前記複数の金融商品の各々を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、対応するイベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算し、前記演算の結果前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性を最大化する前記保有比率の情報を算出するポートフォリオ作成支援装置と、前記ポートフォリオ作成支援装置から受信する前記保有比率の情報を表示するユーザ端末とを含むことを特徴とする。
また、本発明のポートフォリオ作成支援方法は、ユーザの収益性が大きくなるように、前記ユーザが保有する複数の金融商品の保有率を提示するポートフォリオ作成支援方法であって、金融情報配信システムと、ポートフォリオ作成支援装置と、ユーザ端末とがネッ
トワークを介して通信可能に接続され、前記金融情報配信システムは、前記複数の金融商品の各々の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記金融商品での予想損失の情報を前記ポートフォリオ作成支援装置に配信し、前記ポートフォリオ作成支援装置は、前記金融情報配信システムから受信する前記属性情報および前記予想損失の情報に基づいて、前記複数の金融商品の各々を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、対応するイベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算し、前記演算の結果前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性を最大化する前記保有比率の情報を算出し、前記ユーザ端末は、前記ポートフォリオ作成支援装置から受信する前記保有比率の情報を表示することを特徴とする。
本発明によれば、金融機関が、保有する金融商品の商品数やその保有比率、考慮するシナリオ数のバリエーションが多数ある場合であっても、災害などのイベント発生時の損害額を考慮しながら収益性を大きくするポートフォリオを適用し、収益性を担保することが可能となる。
本実施形態のポートフォリオ作成支援装置を含むネットワーク構成図である。 本実施形態におけるポートフォリオ作成支援装置のハードウェア構成例を示す図である。 本実施形態におけるタイミングチャート例を示す図である。 本実施形態における基本概念に関するフローチャートを示す図である。 本実施形態の金融商品情報のデータ構成例を示す図である。 本実施形態のイベントシミュレーション結果のデータ構成例を示す図である。 本実施形態におけるポートフォリオ作成支援方法のフロー例を示す図である。 本実施形態における出力例を示す図である。
<量子コンピューティング技術の概要>
所定条件下で所望のパラメータを最大または最小とする解を探索する、いわゆる組合せ最適化問題の概念は、交通渋滞解消、グローバルサプライチェーンにおける物流コスト低減、など実社会における複雑な問題にも適用されうる。
一方、そうした問題においては解候補が爆発的に多くなるため、スーパーコンピュータや量子コンピュータなど相応の計算能力を有した計算機でなければ、当該問題を実用的な時間内に解くことが難しい。
例えば、量子コンピュータに関連する従来技術としては、全数探索を必要とするような逆問題や組み合わせ最適化問題に対して高速演算を可能にする計算機に関し、スピンを演算における変数とし、解こうとする問題をスピン間相互作用とスピンごとに作用する局所場で設定し、また、時刻t=0において外部磁場により全スピンを一方向に向かせ、時刻t=τで外部磁場がゼロになるように外部磁場を徐々に小さくし、また、各スピンは時刻tにおける各サイトの外部磁場及びスピン間相互作用のすべての作用で決まる有効磁場に従い向きが定まるとして時間発展させ、その際、スピンの向きが有効磁場に完全に揃うのではなく、量子力学的に補正された向きとすることにより、系が基底状態をほぼ維持するようにする技術(WO2016/157333参照)などが提案されている。
<アニーリングマシンについて>
上述の量子コンピューティング技術の概要にも示すように、本出願人は量子コンピューティング技術を開発し、例えば、ビッグデータに基づく全数探索問題(組合せ最適化問題の概念含む)における諸問題の解決を図ってきた。
こうした全数探索問題に対して、一般的には量子コンピュータヘの期待が大きい。量子コンピュータは、量子ビットと呼ばれる基本素子からなり"0"と"1"を同時に実現する。そのためすべての解候補を初期値として同時に計算可能であり、全数探索を実現しうる可能性を持っている。しかし、量子コンピュータは全計算時間に亘って量子コヒーレンスを維持する必要がある。
こういった中で注目されるようになってきたのが断熱量子計算と呼ばれる手法である(参考文献:E.Farhi,et al.,"A quantum adiabatic
evolution al gor ithm applied to random
instances of an NP-complete problem," S
cience292, 472 (2001).)。この方法は、ある物理系の基底状態が解になるように問題を変換し、基底状態を見つけることを通して解を得ようとするものである。
問題を設定した物理系のハミルトニアンをH^とする。但し、演算開始時点ではハミルトニアンをH^とするのではなく、それとは別に基底状態が明確で準備しやすい別のハミルトニアンH^とする。次に十分に時間を掛けてハミルトニアンをH^からH^に移行させる。十分に時間を掛ければ系は基底状態に居続け、ハミルトニアンH^の基底状態が得られる。これが断熱量子計算の原理である。計算時間をτとすればハミルトニアンは式(1)となり
[式1]
式(2)のシュレディンガー方程式に基づいて時間発展させて解を得る
[式2]
断熱量子計算は全数探索を必要とする問題に対しても適用可能で、一方向性の過程で解に到達する。しかし、計算過程が式(2)のシュレディンガー方程式に従う必要があるならば、量子コンピュータと同様に量子コヒーレンスの維持が必要になる。
但し、量子コンピュータが1量子ビットあるいは2量子ビット間に対するゲート操作を繰り返すものであるのに対して、断熱量子計算は量子ビット系全体に亘って一斉に相互作用させるものであり、コヒーレンスの考え方が異なる。
例えば、ある量子ビットヘのゲート動作を考えてみる。この時、もしその量子ビットと他の量子ビットとで相互作用があれば、それはディコヒーレンスの原因になるが、断熱量
子計算ではすべての量子ビットを同時に相互作用させるので、この例のような場合にはディコヒーレンスにならない。この違いを反映して断熱量子計算は量子コンピュータに比べてディコヒーレンスに対して頑強であると考えられている。
以上述べたように、断熱量子計算は全数探索を必要とするような難問に対して有効である。そして、スピンを演算における変数とし、解こうとする問題をスピン間相互作用とスピンごとに作用する局所場で設定する。
時刻t=0において外部磁場により全スピンを一方向に向かせ、時刻t=τで外部磁場がゼロになるように外部磁場を徐々に小さくする。
各スピンは、時刻tにおける各サイトの外部磁場及びスピン間相互作用のすべての作用で決まる有効磁場に従い、向きが定まるとして時間発展させる。
その際、スピンの向きが有効磁場に完全に揃うのではなく、量子力学的に補正された向きとすることにより、系が基底状態をほぼ維持するようにする。
また、時間発展の際に各スピンを元の向きに維持する項(緩和項)を有効磁場に加え、解の収束性を向上させる。
本実施形態におけるポートフォリオ作成支援装置としては、上述の断熱量子計算を行うアニーリングマシンを想定するが、勿論これに限定するものではなく、組合せ最適化問題を本発明のポートフォリオ作成支援方法に沿って適宜に解くことが可能なものであればいずれも適用可能である。
具体的には、アニーリング方式において電子回路(デジタル回路など)で実装するハードウェアだけでなく、超伝導回路などで実装する方式も含む。また、アニーリング方式以外にてイジングモデルを実現するハードウェアでもよい。例えばレーザーネットワーク方式(光パラメトリック発振)・量子ニューラルネットワークなども含む。また、前述した通り一部の考え方が異なるものの、イジングモデルで行う計算をアダマールゲート、回転ゲート、制御NOTゲートといったゲートで置き換えた量子ゲート方式においても、本発明を
実現することができる。
<ネットワーク構成>
以下に本実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態のポートフォリオ作成支援装置100を含むネットワーク構成図である。図1に示すポートフォリオ作成支援装置100は、各商品の保有比率を個々に決定するまでシナリオ毎の損失額順位が定まらない性質を持つリスク算出方法(例:損失額や収益が特定の分布に従わない場合のVaR(Value at Risk)、TVaR(Tail Value at Risk)、CVaR(Conditional Value at Risk)、CTE(Conditional Tail Expectation))を用いる場合であっても、商品数やその保有比率、考慮するシナリオ数のバリエーションの多寡に係わらず、最適なポートフォリオに関する情報を効率的に生成可能とするコンピュータ装置であり、具体的には、一例としてアニーリングマシンを想定する。
ただし、アニーリングマシンの概要は既に述べたとおりであり、その具体的な構成や動作等の詳細については適宜省略する(以下同様)。
また、本実施形態における「保有比率」とは、ポートフォリオに占める各金融商品の割合(例:ポートフォリオ全体で投資総額を100とした場合、金融商品Aの投資額は30、金融商品Bの投資額は20、・・・といったもの)ではなく、ポートフォリオに含まれうる各金融商品を、購入者が他購入者との関係においてどれほど所有するか、すなわち他
者との関係における保有シェアを示すものとなる。この場合、ある金融商品Aについて、ユーザXのシェアは40%、ユーザYのシェアは20%、ユーザZのシェアは5%、・・・といった状況が想定できる。この保有比率が定まることで、当該金融商品が生み出す全収益のうち、どれほどの額が対象ユーザに配当されるか、すなわち予想収益が決定することになる。ただし勿論、保有比率はこれに限定するものではなく、各金融商品の属性情報等から適宜に予想収益や予想損失を決定可能なものであればいずれも適用可能である。
本実施形態のポートフォリオ作成支援装置100は、インターネットなどの適宜なネットワーク1を介して、ユーザ端末200および金融情報配信システム300と、データ通信可能に接続されている。これらポートフォリオ作成支援装置100、ユーザ端末200、及び金融情報配信システム300を含めてポートフォリオ最適化支援システム10、ととらえるとしてもよい。
上述のネットワーク構成のうちユーザ端末200は、ポートフォリオ作成支援装置100から金融商品のポートフォリオに関する情報提供を受ける端末である。
このユーザ端末200のユーザとしては、具体的には、金融機関や保険会社など機関投資家の担当者を想定できる。
また、ポートフォリオ作成支援装置100が提供する金融商品のポートフォリオに関する情報は、各金融商品を所定の保有比率で保有したポートフォリオに関して、所定のイベント発生のシナリオ群を採用した場合に、対応するイベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデル(予想損失が相対的に上位となるシナリオの選択、当該選択の対象とするシナリオの数、及び、予想収益及び予想損失と保有比率とに基づく収益性、を変数として含む数式)を解いて特定した、前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性を最大化する前記保有比率の情報である。
その場合、当該最適ポートフォリオにおける、収益率、予想最大損失、および各金融商品の保有比率の各値が当然ながら提示されることとなる。こうしたポートフォリオに関する各種情報の提供を受ける、金融機関の担当者等は、ポートフォリオを構成する各金融商品の好適な保有比率について、簡便かつ精度良く、しかも迅速に判断しうることとなる。
一方、金融情報配信システム300は、各種金融商品の情報や、イベントシミュレーション結果の情報をポートフォリオ作成支援装置100に配信するシステムである。
この金融情報配信システム300は、種々の金融機関や証券会社、政府機関、など金融商品の情報を保持する組織が運営するサーバ装置を想定できる。
上述の各種金融商品としては、例えば、再保険商品、株式、先物商品、外国為替、といったものの他に、災害等のイベント発生で損害が生じうる設備投資案件、なども想定できる。また取り扱う情報は、例えば、保険商品であれば、保険対象(例:暴風被害、地震被害、等々)、対象地域、及び予想収益(例:保険商品における保険料収入)といったものを想定できる。
従来であれば、最適ポートフォリオすなわち、収益性を最大化する最適な保有比率の特定に際し、上述の金融商品やシナリオの数、保有比率の設定バリエーションといった要素の増加に対して計算量が指数関数的に増加し、計算完了までに長時間を要することなる。しかしながら、アニーリングマシンを使用したポートフォリオ作成支援装置100を採用することで、要素の増加にさほど依存せず計算を行うことが可能となる。
<ハードウェア構成>
また、本実施形態のポートフォリオ作成支援装置100のハードウェア構成は、図2に示す如くとなる。すなわちポートフォリオ作成支援装置100は、記憶部101、メモリ103、演算部104、及び通信部105を備えている。
このうち記憶部101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
また、演算部104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
また、通信部105は、ネットワーク1と接続して、ユーザ端末200や金融情報配信システム300などの他装置との通信処理を担うネットワークインターフェイスカードである。
なお、ポートフォリオ作成支援装置100がスタンドアロンマシンである場合、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力部(キーボード、マウス等で構成)、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力部、を更に備えるとすれば好適である。
また、記憶部101内には、本実施形態のポートフォリオ作成支援装置として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、金融商品情報125、およびイベントシミュレーション結果126が少なくとも記憶されている。ただし、これらの情報についての詳細は後述する。
また、プログラム102、すなわちアニーリングマシンとしての動作を実装するアルゴリズムは、解くべき課題であるイジングモデル1021の情報を保持する。このイジングモデル1021は、情報提供の対象となるポートフォリオやそれを構成する金融商品の各種情報、対象金融機関におけるポートフォリオ運用方針などに基づき管理者等が予め設定しておくものとなる。
なお、アニーリングマシンの概要にて述べた断熱量子計算は、別名で量子アニールとも呼ばれ、古典的な焼きなましの概念を量子力学に発展させたものである。即ち、断熱量子計算は本来古典的動作が可能で、高速性や解の正解率に関して性能を向上させるために量子力学的効果が付加されたものとも解釈できる。そこで本発明では、演算部そのものは古典的とし、演算過程に量子力学的に定まるパラメータを導入することにより、古典的であるが量子力学的な効果を含んだ演算方法・装置を実現する。
以上の概念に基づき、以下の例では断熱量子計算との関連性を説明しながら解としての基底状態を得る古典的アルゴリズムと、それを実現するための装置に関して述べる。
こうした前提でのポートフォリオ作成支援装置100は、N個の変数s (j=1,2,…,N)が-1≦s ≦1の値域を取り、局所場gと変数間相互作用Jij(i,j=1,2,…,N)によって課題の設定がなされる。
また演算部104では、時刻をm分割して離散的にt=t(t=0)からt(t=τ)まで演算するものとし、各時刻tにおける変数S (t)を求めるに当たり、前時刻tk-1の変数S (tk-1)(i=1,2,..,N)の値と緩和項の係数gpinaあるいはgpinbを用いてB (t)={Σij (t
-1)+g+sgn(s (tk-1))・gpina}・t/τあるいはB (t)={ΣiJ (tk-1)+g+gpinb .S (tk-1)}・t/τを求め、上述の変数S (t)の値域が-1≦s (t)≦1になるように関数fを定めてS (t)=f(B (t),t)とし、時刻ステップをt=tからt=tに進めるにつれて上述の変数S を-1あるいは1に近づけ、最終的にs <0ならば、S zd=-1、S >0ならば、S zd=1として解を定める。
係数gpinbは、例えば|Jij|の平均値の50%から200%の値である。また、課題設定の局所場gに関して、あるサイトj'に対してのみ補正項δgj'をgj'
加え、該サイトj'に対してのみgj'の大きさを大きくすることもできる。また、補正項δgj'は、例えば|Jij|の平均値の10%から100%の値である。
続いて、量子力学的な記述から出発して古典的な形式に移行することを通して、アニーリングマシンの基本的原理を述べる。
式(3)で与えられるイジングスピン・ハミルトニアンの基底状態探索問題はNP困難と呼ばれる分類の問題を含み、有用な問題であることが知られている(文献:F.Barahona,"On the computational comp lex ity
of Isingspin glass models," J.Phys.A:Ma
th.Gen.15,3241(1982).)
[式3]
ij及びgが課題設定パラメータであり、σ^はパウリのスピン行列のz成分で±1の固有値を取る。i,jはスピンのサイトを表す。イジングスピンとは値として±1だけを取りうる変数のことで、式(3)ではσ^の固有値が±1であることによりイジングスピン系となっている。
式(3)のイジングスピンは文字通りのスピンである必要はなく、ハミルトニアンが式(3)で記述されるのであれば物理的には何でも良い。
例えば、金融商品の各保有比率(離散値)の採用/非採用を±1に対応付けることや、ロジック回路のhighとlowを±1に対応付けることも可能であるし、光の縦偏波と横偏波を±1に対応付けることや0,πの位相を±1に対応付けることも可能である。
ここで例示する方法では、断熱量子計算と同様に、時刻t=0において式(4)で与えられるハミルトニアンの基底状態に演算系を準備する
[式4]
γは全サイトjに一様に掛かる外場の大きさで決まる比例定数であり、σ^ は、パウリのスピン行列のx成分である。演算系がスピンそのものであれば、外場とは磁場を意
味する。
式(4)は、横磁場を印加したことに相当し、すべてのスピンがx方向を向いた場合(γ>0)が基底状態である。問題設定のハミルトニアンはz成分のみのイジングスピン系として定義されたが、式(4)にはスピンのx成分が登場している。従って、演算過程でのスピンはイジングではなくベクトル的(ブロッホベクトル)である。t=0では式(4)のハミルトニアンでスタートしたが、時刻tの進行と共に徐々にハミルトニアンを変化させ、最終的には式(3)で記述されるハミルトニアンにしてその基底状態を解として得る
[式5]
ここでσ^はパウリのスピン行列の3成分をベクトルとして表示している。基底状態はスピンが磁場方向を向いた場合で、<・>を量子力学的期待値として<σ^>=B/|B|と書ける。断熱過程では常に基底状態を維持しようとするので、スピンの向きは常に磁場の向きに追従する。
以上の議論は多スピン系にも拡張できる。t=0ではハミルトニアンが式(4)で与えられる。これは全スピンに対して一様に磁場B =γが印加されたことを意味する。t>0では、磁場のx成分が徐々に弱まりB =γ(1-t/τ)である。z成分に関してはスピン間相互作用があるために有効磁場としては式(6)になる
[式6]
スピンの向きは<σ^>/<σ^>で規定できるので、スピンの向きが有効磁場に追従するならば式(7)によりスピンの向きが定まる
[式7]
式(7)は量子力学的記述であるが期待値を取っているので、式(1)~(6)とは異なり古典量に関する関係式である。
古典系では量子力学の非局所相関(量子縫れ)がないので、スピンの向きはサイトごとの局所場により完全に決まるはずであり、式(7)が古典的スピン系の振る舞いを決定する。量子系では非局所相関があるために式(7)は変形されることになるが、それに関しては後述することとし、ここでは発明の基本形態を述べるために式(7)で定まる古典系について記述する。
図3にスピン系の基底状態を得るためのタイミングチャート(1)を示す。図3の記述は古典量に関するものなので、サイトjのスピンをσ^ではなくsにより表した。またそれに伴い、図3の有効磁場Bは古典量である。t=0において全サイトで右向きの
有効磁場Bが印加され、全スピンSが右向きに初期化される。
時間tの経過に従い、徐々にz軸方向の磁場とスピン間相互作用が加えられ、最終的にスピンは+z方向あるいは-z方向となって、スピンSのz成分がs =+1あるいは-1となる。時間tは連続的であることが理想であるが、実際の演算過程では離散的にして利便性を向上させることもできる。以下では離散的な場合を述べる。
ここで例示するスピンはz成分だけでなくx成分が加わっているためにベクトル的なスピンになっている。図3からもベクトルとしての振る舞いが理解できる。ここまでy成分が登場してこなかったが、それは外場方向をxz面に取ったために外場のy成分が存在せず、従って<σ^>=0となるためである。
演算系のスピンとしては大きさ1の3次元ベクトル(これをブロッホベクトルと呼び、球面上の点で状態を記述できる)を想定しているが、図に示す例における軸の取り方では2次元のみを考慮すればよい(円上の点で状態を記述できる)。
またγは一定なのでB (t)>0(γ>0)あるいはB (t)<0(γ<0)が成り立つ。この場合、2次元スピンベクトルは半円のみで記述できることになり、[-1,1]でS を指定すればS の1変数で2次元スピンベクトルが定まる。従って、ここでの例では、スピンは2次元ベクトルであるが、値域を[-1,1]とする1次元連続変数として表記することもできる。
図3のタイミングチャートでは時刻t=tにおいてサイトごとに有効磁場を求め、その値を用いて式(8)によりt=tにおけるスピンの向きを求める。
[式8]
式(8)は式(7)を古典量に関する表記に書き改めたものなので<・>の記号が付いていない。
次に、t=tk+lの有効磁場をt=tにおけるスピンの値を用いて求める。各時刻の有効磁場を具体的に書けば式(9)及び(10)となる
[式9]
[式10]
以下、図3のタイミングチャートで模式的に示した手順に従い、スピンと有効磁場を交互に求めていく。
古典系ではスピンベクトルの大きさは1である。この場合スピンベクトルの各成分は、tanθ=B (t)/B (t)で定義される媒介変数θを用いてS (t)=sinθ、S (t)=cosθと記述される。
これを書き直せば、S (t)=sin(arctan(B (t)/B (t)))、S (t)=cos(arctan(B (t)/B (t)))である。
式(9)から明らかなようにB (t)の変数は、tのみであり、τとγは定数である。従って、S (t)=sin(arctan(B (t)/B (t)))及びS (t)=cos(arctan(B (t)/B (t)))はB (t)とtを変数とする関数としてS (t)=f(B (t),t)及びS (t)=f(B (t),t)のような一般化した表現もできる。
スピンを2次元ベクトルとして記述しているので、S (t)とs (t)の2成分が登場しているが、B (t)を式(10)に基づき決定するならばS (t)は必要ない。
これは、[-1,1]を値域とするS (t)のみでスピン状態を記述できることに対応している。最終的な解S zdは、S zd=-1or1になる必要があり、S (τ)>0ならばS zd=1、S (τ)<0ならばS zd=-1とする。
図4に、上述のアルゴリズムをフローチャートにまとめたものを示す。ここでt=τである。図4のフローチャートの各ステップs1~s9は、時間t=0からt=τに到る図3のタイミングチャートの、ある時刻での処理に対応している。すなわち、フローチャートのステップs2、s4、s6がそれぞれ、t=t,tk+l,tにおける上記の式(9)及び(10)に対応している。最終的な解はステップs8において、s <0ならばS zd=-1、S >0ならば、S zd=1とすることにより定める(s9)。
ここまでは課題が式(3)で表現された場合に如何に解かれるかを示した。次に具体的課題が如何に局所場gと変数間相互作用Jij(i,j=1,2,…,N)を含む式(3)で表現されるかに関して具体例を挙げて説明する。
ここでの具体的課題すなわちイジングモデル1021は、災害等のイベント発生に対応する所定数のシナリオ下における、予想収益-予想損失すなわち収益性の式の結果を最大化する、各金融商品の保有比率を推定する問題を想定する。このような前提にて、式(3)で表されるイジングモデル1021の基底状態探索、すなわち上述の、収益性の式の結果が最大となる基底状態の探索を通して、各金融商品の保有比率が収斂するバランス地点を特定する。この基底状態における各金融商品の保有比率が、最適ポートフォリオ(を構成する各金融商品の保有比率)となる。
<データ構造例>
続いて、本実施形態のポートフォリオ作成支援装置100が用いるデータについて説明する。図5に、本実施形態における金融商品情報125の一例を示す。金融商品情報125は、ポートフォリオを構成しうる金融商品の属性情報を格納したデータベースである。
そのデータ構造は、金融商品である保険商品を一意に特定する商品IDをキーとして、当該保険商品が保険対象とする事象、地域、及び保険料収入すなわち予想収益といったデータから成るレコードの集合体である。
図5の例では、計10000もの保険商品に関して、その情報を蓄積している構成となっている。つまり、ポートフォリオとして、これら10000の保険商品を組み込んだ場合の、各保険商品のシェアすなわち保有比率が特定できることとなる。
また図6に、本実施形態のイベントシミュレーション結果127の一例を示す。このイベントシミュレーション結果126は、例えば、上記の保険商品の販売元たる保険会社等が、自然災害や政変、戦争等のイベントが発生するシナリオを想定し、各シナリオが発動して対応するイベントが発生した場合の、各保険商品に関して生じる損害額の情報を格納したデータベースである。
そのデータ構造は、各シナリオを一意に特定するシナリオIDと、保険商品を一意に特定する商品IDとのマトリクス構造において、各シナリオが発動した場合の各保険商品の損害額の値、及び当該シナリオに関して生じた各保険商品の損害額合計、といったデータから成るレコードの集合体である。
図6の例では、計10000の保険商品と計100000のシナリオとの各組み合わせに関して、損害額の情報を蓄積している構成となっている。つまり、ポートフォリオとして組み込める10000の保険商品それぞれに関して、100000の各シナリオでの損害額とその合計額を、ポートフォリオ最適化の処理に利用できることとなる。
<ポートフォリオ作成支援方法>
以下、本実施形態におけるポートフォリオ作成支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するポートフォリオ作成支援方法に対応する各種動作は、本実施形態のポートフォリオ作成支援装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図7は、本実施形態におけるポートフォリオ作成支援方法のフロー例を示す図である。ここで、ポートフォリオ作成支援装置100は、アニーリングマシンとして、例えば10000の保険商品(図5、図6)から構成されるポートフォリオに関して、上述のイジングモデル1021を課題として基底状態を算定することを前提とする。なお、ここで例示する10000の金融商品は図5、図6に示す、保険商品「1」~「10000」である。
また、想定するシナリオ数は100000であり、予想損失は、例えば、99%TVaRとすれば、損害額が上位から1000(100000×(1-0.99))までの損害額の平均値を想定するものとする。
まず、ポートフォリオ作成支援装置100は、既に述べた「予想収益-予想損失」の式における各変数のうち、例えば、各保険商品のシェアすなわち保有比率の組み合わせを自動生成する(s10)。例えば、保険商品の数が「5」で10%刻みにて0%から100%の係数の組み合わせを想定すれば、組み合わせ数は「161051」などとなる。
続いて、ポートフォリオ作成支援装置100は、アニーリングマシンとして、上述のとおり10000の金融商品から構成されるポートフォリオに関して、100000のシナリオのうち99%TVaRで定まる1000のシナリオを対象として、収益率を最大化する条件下で、s10で生成した係数すなわち保有比率の組み合わせ数通りのイジングモデ
ル1021を課題として基底状態を算定し、ポートフォリオにおける各保険商品の最適な保有比率を推定する(s11)。こうした基底状態の探索自体は、既存技術における処理と同様である。
図8にて、上述のs11の処理結果、ポートフォリオを構成する各保険商品の最適なシェアと、その場合の収益及び損失、収益率の各値を示す。
次に、ポートフォリオ作成支援装置100は、図8で示した処理結果、すなわちポートフォリオにおける各保険商品のシェア、予想収益、及び予想損失の各値を所定画面にセットし、当該画面データをユーザ端末200に出力する(s12)。
一方、ユーザは、上述の図8をユーザ端末200で閲覧し、例えば、ポートフォリオに含まれている各保険商品のシェア、その場合の予想収益、予想損失の各値を認識し、ポートフォリオ最適化について検討できる。
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
こうした本実施形態によれば、各商品の保有比率を個々に決定するまでシナリオ毎の損失額順位が定まらない性質を持つリスク算出方法(例:損失額や収益が特定の分布に従わない場合のVaR、TVaR、CVaR、CTE)を用いる場合であっても、商品数やその保有比率、考慮するシナリオ数のバリエーションの多寡に係わらず、最適なポートフォリオに関する情報を効率的に生成可能となる。
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態のポートフォリオ作成支援装置において、前記演算部は、前記所定式として、前記予想損失が相対的に上位となるシナリオの選択、前記選択の対象とするシナリオの数、及び、前記予想収益及び前記予想損失と前記保有比率とに基づく前記収益性、の各項目を組み合わせた式をイジングモデルとして演算するものである、としてもよい。
これによれば、各商品の保有比率を個々に決定するまでシナリオ毎の損失額順位が定まらない性質を持つリスク算出方法(例:損失額や収益が特定の分布に従わない場合のVaR、TVaR、CVaR、CTE)を用いる場合であっても、商品数やその保有比率、考慮するシナリオ数のバリエーションの多寡に係わらず、最適なポートフォリオに関する情報を、さらに効率的に生成可能となる。
また、本実施形態のポートフォリオ作成支援装置は、前記イジングモデルに関して組合せ最適化問題を解くCMOSアニーリングマシンであるとしてもよい。
これによれば、イジングモデルの動作を半導体のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの素子を用いた回路で擬似的に再現し、金融商品のポートフォリオにおける好適な保有比率の特定といった組合せ最適化問題の実用解を、室温下で効率良く求めることが可能となる。ひいては、各商品の保有比率を個々に決定するまでシナリオ毎の損失額順位が定まらない性質を持つリスク算出方法(例:損失額や収益が特定の分布に従わない場合のVaR、TVaR、CVaR、CTE)を用いる場合であっても、商品数やその保有比率、考慮するシナリオ数のバリエーションの多寡に係わらず、最適なポートフォリオに関する情報を効率的に生成可能となる。
また、本実施形態のポートフォリオ作成支援方法において、前記情報処理装置が、前記
所定式として、前記予想損失が相対的に上位となるシナリオの選択、前記選択の対象とするシナリオの数、及び、前記予想収益及び前記予想損失と前記保有比率とに基づく前記収益性、の各項目を組み合わせた式をイジングモデルとして演算する、としてもよい。
また、本実施形態のポートフォリオ作成支援方法において、前記情報処理装置が、前記イジングモデルに関して組合せ最適化問題を解くCMOSアニーリングマシンであるとしてもよい。
1 ネットワーク
10 ポートフォリオ最適化支援システム
100 ポートフォリオ作成支援装置
101 記憶部
102 プログラム
1021 イジングモデル
103 メモリ
104 演算部
105 通信部
125 金融商品情報
126 イベントシミュレーション結果
200 ユーザ端末
300 金融情報配信システム

Claims (8)

  1. 各金融商品の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記各金融商品での予想損失の情報に基づき、前記各金融商品を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、前記所定のシナリオ群の各々に対応する前記イベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算する演算部を有し、
    前記演算部は、前記演算の結果、前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性が大きい前記保有比率の情報を所定装置に出力するものである、
    ことを特徴とするポートフォリオ作成支援装置。
  2. 前記演算部は、
    前記所定式として、前記予想損失が相対的に上位となるシナリオの選択、前記選択の対象とするシナリオの数、及び、前記予想収益及び前記予想損失と前記保有比率とに基づく前記収益性、の各項目を組み合わせた式をイジングモデルとして演算するものである、
    ことを特徴とする請求項1に記載のポートフォリオ作成支援装置。
  3. 前記イジングモデルに関して組合せ最適化問題を解くCMOSアニーリングマシンであることを特徴とする請求項1に記載のポートフォリオ作成支援装置。
  4. 情報処理装置が、
    各金融商品の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記各金融商品での予想損失の情報に基づき、前記各金融商品を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、前記所定のシナリオ群の各々に対応する前記イベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算し、前記演算の結果、前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性が大きい前記保有比率の情報を所定装置に出力する、
    ことを特徴とするポートフォリオ作成支援方法。
  5. 前記情報処理装置が、
    前記所定式として、前記予想損失が相対的に上位となるシナリオの選択、前記選択の対象とするシナリオの数、及び、前記予想収益及び前記予想損失と前記保有比率とに基づく前記収益性、の各項目を組み合わせた式をイジングモデルとして演算する、
    ことを特徴とする請求項4に記載のポートフォリオ作成支援方法。
  6. 前記情報処理装置が、前記イジングモデルに関して組合せ最適化問題を解くCMOSアニーリングマシンであることを特徴とする請求項4に記載のポートフォリオ作成支援方法。
  7. ユーザの収益性が大きくなるように、前記ユーザが保有する複数の金融商品の保有率を提示するポートフォリオ作成支援システムであって、
    前記複数の金融商品の各々の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記金融商品での予想損失の情報を配信する金融情報配信システムと、
    前記金融情報配信システムから受信する前記属性情報および前記予想損失の情報に基づいて、前記複数の金融商品の各々を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、対応するイベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算し、前記演算の結果前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性を最大化する前記保有比率の情報を算出するポートフォリオ作成支援装置と、
    前記ポートフォリオ作成支援装置から受信する前記保有比率の情報を表示するユーザ端
    末とを含むポートフォリオ作成支援システム。
  8. ユーザの収益性が大きくなるように、前記ユーザが保有する複数の金融商品の保有率を提示するポートフォリオ作成支援方法であって、
    金融情報配信システムと、ポートフォリオ作成支援装置と、ユーザ端末とがネットワークを介して通信可能に接続され、
    前記金融情報配信システムは、前記複数の金融商品の各々の属性情報、及びイベント発生のシナリオに伴う前記金融商品での予想損失の情報を前記ポートフォリオ作成支援装置に配信し、
    前記ポートフォリオ作成支援装置は、前記金融情報配信システムから受信する前記属性情報および前記予想損失の情報に基づいて、前記複数の金融商品の各々を所定の保有比率で組み合わせたポートフォリオに関して、所定のシナリオ群を採用した場合に、対応するイベント発生に伴う予想収益及び予想損失を記述した所定式をイジングモデルとして演算し、
    前記演算の結果前記予想収益と前記予想損失とで求まる収益性を最大化する前記保有比率の情報を算出し、
    前記ユーザ端末は、前記ポートフォリオ作成支援装置から受信する前記保有比率の情報を表示するポートフォリオ作成支援方法。
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