JP7372617B2 - Pc鋼より線の定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、橋桁等の重量物を、PC鋼より線を用いて固定基盤へ定着するような場合において、前記PC鋼より線を、グリッパを用いて押しと引きの両方向に確実に定着可能にしたPC鋼より線の定着装置に関するものである。
橋桁等の重量物の移送中に地震その他の緊急事態が発生して重量物の移送を停止するときなどに、安全性の確保のために重量物に連結したPC鋼より線を用いて送り出しヤード、橋脚などの固定基盤に一時的に固定する作業が行われる。
図11(a)(b)に示すように、重量物の下り勾配での逸走を防止するため、重量物に連結したPC鋼より線13を、ブレーキ装置26の固定側グリップ金具10と移動側グリップ金具11との間のグリップ溝12で挟んでグリップ用ジャッキ14で圧着し、重量物用ブレーキ装置として用いた例が知られている(特許文献1)。
この例では、重量物の移送装置の作動圧力と重量物用ブレーキ装置のブレーキ圧力の圧力差が常に一定値となるようにブレーキ圧力を制御する。
このような重量物用ブレーキ装置におけるグリップ金具は、グリップ用ジャッキ14で強く挟み付けてもPC鋼より線とグリップ金具の間に滑りが生じるので完全な定着装置にはなり得ない。
前記グリップ金具と同様の構成で、定着装置として機能するものに、図12(a)(b)に示す円錐形ウエッジ15を用いた定着装置が知られている(特許文献2)。
この定着装置は、3つ割りした円錐形ウエッジ15をすり鉢状のチャックケース16に嵌め込み、重量物を吊り下げたPC鋼より線13を前記円錐形ウエッジ15の中心の咬着面17に挿入貫通してPC鋼より線13の下方への引き込みに対して定着する。前記円錐形ウエッジ15の中心の咬着面17には、噛みつきをより完全にするために歯形が形成されている。
図12(a)(b)に示すPC鋼より線13の定着装置は、下向きの力に対しては、定着装置となり得るが、上向きの力に対しては、定着装置になりえない。
そこで、地震動のように方向性のない力に対して両方向の定着装置として機能させるために、図12に示すような前記円錐形ウエッジ15を利用した定着装置を、図9に示すように、互いに逆向きの第1の定着装置18と第2の定着装置19を一対として用い、これらに1本のPC鋼より線13を貫通し、一方向の力に対しては第1の定着装置18が作用し、他方向の力に対しては、第2の定着装置19が作用することで押しと引きの両方向に対してPC鋼より線13の定着装置として機能するようにしている(特許文献3)。
特許第3786802号公報。 特許第3587504号公報。 特開2019-104565号公報。
特許文献3に記載の定着装置は、第1の定着装置18と第2の定着装置19に図10に示すような同一構成の装置を、互いに逆向きにして一対で1つの装置としている。このような装置は両方向の定着装置として動作するが、装置が大型化する。特に、これらの第1の定着装置18と第2の定着装置19は、それぞれ図10に示すように、円錐形ウエッジ15の小径端側には、解除ロッド22、その他の定着解除装置20が設けられ、円錐形ウエッジ15の大径端側には、押し込みロッド23、その他の定着押し込み装置21が設けられ、さらに、定着解除装置20と定着押し込み装置21を駆動するための流体源とこれらの流体源を供給する定着圧口24と解除圧口25を設けなければならないなどの構造が極めて複雑で、かつ、高価になるという問題があった。
本発明は、構造が簡単で、押しと引きの両方向に確実に定着でき、また、定着と解除を繰り返し使用することのできるPC鋼より線の定着装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、PC鋼より線を第1のグリッパと第2のグリッパの2枚のグリッパの定着溝で両面から挟み、定着ジャッキで前記グリッパ間に圧縮力を与えて挟着するようにしたPC鋼より線の定着装置において、
前記定着溝の内面は、前記PC鋼より線の素線硬度より硬度の高い材質からなり、前記定着溝は、所定の噛み合い有効長を有するとともに、この定着溝に所定のピッチで複数の山数の歯形を形成したことを特徴とする。
前記歯形は、とがり山形をなし、その歯丈が0.5~1.0mmで、歯角度が90~130度、より好ましくは、歯丈0.5~0.7mmで、歯角度100~120度を有することを特徴とする。
前記定着溝の噛み合い有効長は、90~130mm、より好ましくは、100~120mm、前記山数は、30~120個、より好ましくは、40~100個としたことを特徴とする。
前記定着溝の内面の硬度は、HRC60~65、より好ましくは、HRC62としたことを特徴とする。
前記PC鋼より線は、シール型又はウォーリントン型からなることを特徴とする。
前記第1のグリッパと第2のグリッパの材質は、SUJ2、SNCM220、S45C又はSCM440いずれか1つからなることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、
PC鋼より線を第1のグリッパと第2のグリッパの2枚のグリッパの定着溝で両面から挟み、定着ジャッキで前記グリッパ間に圧縮力を与えて挟着するようにしたPC鋼より線の定着装置において、
前記定着溝の内面は、前記PC鋼より線の素線硬度より硬度の高い材質からなり、前記定着溝は、所定の噛み合い有効長L=90~130mmを有するとともに、この定着溝に所定のピッチPで複数の山数nの歯形を形成したものであって、前記歯形がとがり山形をなし、前記歯形の歯角度2θが90~130度で、前記歯形の歯丈Hが0.577~0.629mmで、前記ピッチPが1.20~2.50mmで、前記山数nが45~93個有するので、次の作用効果を有する。
(1)従来の円錐形ウエッジと異なり、歯形を形成した2枚のグリッパによりPC鋼より線を押しと引きの両方向に確実に定着することができる。
(2)また、定着解除装置、定着押し込み装置、これらの駆動用流体供給用の油圧回路等を必要とせず、安価な装置を提供することができる。
(3)第1のグリッパと第2のグリッパの定着溝の歯形と、圧縮力の調整と、PC鋼より線の表面に与える損傷を最小限にすることで、定着装置として繰り返し使用することができるとともに、必要な能力をコントロールすることができる。
(4)従来の方法は、両方向にくさび形状の物が必要であったが、本発明による装置は、1つの装置で進行方向の定着と後退方向の定着が可能となる。よって本発明による装置は、小型化が可能で、設置スペースもコンパクト化が可能となる。上記(1)(2)(3)のメリットを含み、より効果的な噛み込み深さと噛み込み幅とすることができる。
請求項6記載の発明によれば、
前記第1のグリッパと第2のグリッパの材質は、SUJ2、SNCM220、S45C又はSCM440いずれか1つからなり、前記定着溝の内面は、前記PC鋼より線の素線硬度より硬度の高い材質で、その硬度は、HRC60~65としたので、圧着時にPC鋼より線によってグリッパに生じる圧痕などの損傷を最小限に抑えることができる。
本発明によるPC鋼より線の定着装置の実施例1を示すもので、(a)は、正面図、(b)は、側面図、(c)は、第2のグリッパ31(及び第1のグリッパ30)の斜視図である。 第2のグリッパ31(及び第1のグリッパ30)の歯形33の拡大断面図である。 (a)は、シール型PC鋼より線13の断面図、(b)は、ウォーリントン型PC鋼より線13の断面図である。 本発明によるPC鋼より線の定着装置の噛み込み試験装置の正面図である。 (a)は、第1グリッパ30及び第2グリッパ31でシール型のPC鋼より線13を定着した状態の断面図、(b)は、(a)におけるA部の拡大図である。 (a)は、歯角度2θの変化に対する噛み込み深さeの関係を示す特性図、(b)は、歯角度2θの変化に対する噛み込み幅Bの関係を示す特性図である。 噛み込み試験におけるグリッパ圧縮力の変化に対する噛み込み変位量dの関係を示す特性図である。 本発明によるPC鋼より線の定着装置の実験結果の一覧を表す図である。 従来の両方向に機能する定着装置の説明図である。 図9に示した第1の定着装置18と第2の定着装置19の詳細な断面図である。 (a)は、従来の重量物のブレーキ装置26の一部を切り欠いた斜視図、(b)は、固定側及び移動側グリップ金具10、11の斜視図である。 (a)は、従来の円錐形ウエッジ15を用いた定着装置の要部の断面図、(b)は、円錐形ウエッジ15の斜視図である。
本発明のPC鋼より線の定着装置は、
PC鋼より線を第1のグリッパと第2のグリッパの2枚のグリッパの定着溝で両面から挟み、定着ジャッキで前記グリッパ間に圧縮力を与えて挟着するようにしたPC鋼より線の定着装置において、
前記定着溝の内面は、前記PC鋼より線の素線硬度より硬度の高い材質からなり、前記定着溝は、所定の噛み合い有効長を有するとともに、この定着溝に所定のピッチで複数の山数の歯形を形成する。
前記歯形は、とがり山形をなし、その歯丈が0.5~1.0mmで、歯角度が90~130度、より好ましくは、歯丈0.5~0.7mmで、歯角度100~120度を有する。
前記定着溝の噛み合い有効長は、90~130mm、より好ましくは、100~120mm、前記山数は、30~120個、より好ましくは、40~100個とする。
前記定着溝の内面の硬度は、HRC60~65、より好ましくは、HRC62とする。
前記PC鋼より線は、シール型又はウォーリントン型からなる。
前記第1のグリッパと第2のグリッパの材質は、SUJ2、SNCM220、S45C又はSCM440いずれか1つからなる。
本発明によるPC鋼より線の定着装置の実施例1を図面に基づき説明する。
図1(a)(b)(c)において、本発明の定着装置に使用されるPC鋼より線13は、後述するように、直径φ=28.6mmで、このPC鋼より線13は、本発明の第1のグリッパ30と第2のグリッパ31で挟みつけて定着される。前記第1のグリッパ30は、固定側に取り付けられ、前記第2のグリッパ31は、可動側に取り付けられる。これら第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の対向する面には、中央に半円の定着溝32が形成される。この定着溝32の両端部は、傾斜したガイド溝36となっており、これらのガイド溝36を除いた定着溝32には、本発明による歯形33が形成されている。
(1)グリッパの噛み合い有効長L
前記第1のグリッパ30と第2のグリッパ31は、形状が略同一で、具体的な寸法は、押しと引きの両方向で定着し、かつ、可能な限り小型化を図るため、例えば、長さ=140mm、幅=80mm、厚さ=30mmとし、前記定着溝32に形成された歯形の噛合い有効長さL=112mmとする。
前記第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の定着溝32は、PC鋼より線13を挟み付けたとき、対向する面の間に約6mm程度の逃げの隙間ができるように、中心角約170度の半円形をなしている。
(2)第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の材質と表面硬度
第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の材質として、SUJ2(高炭素クロム軸受け鋼材)を使用して噛み込み試験を行った。第1のグリッパ30及び第2のグリッパ31は、その表面硬度がPC鋼より線13の素線硬度より低いと、PC鋼より線13を挟んで圧着した時、第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の定着溝32の歯形33に、PC鋼より線13の外層線形状で溝がえぐられ、定着装置としての繰り返しの使用が不適となる。そのため、第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の表面に熱処理を施し、PC鋼より線13の素線硬度(HRC(ロックウエル硬さ)50)よりもやや高いHRC60~65、より好ましくはHRC62程度とした。ただし、第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の表面硬度が高くなりすぎると、摩擦係数が低減傾向になり、定着装置として機能しなくおそれがあるので好ましくない。
その他、焼き入れ焼き戻したS45C(炭素鋼)、SCM440(クロムモリブデン鋼)、SNCM220(ニッケルクロムモリブデン鋼)なども使用目的によって選択される。
(3)歯形33の形状
歯形33は、図2に示すように、3角形のとがり山形状とする。
歯形33の歯角度2θ=90度、歯丈H=0.6mmを標準とし、歯角度2θを10度ずつ変えて2θ=80度、90度、100度、110度、120度、130度、140度のうちの最適グリッパとなる形状の検討を加えた。歯角度2θは、鋭いほど噛み込み性はよいものの、第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の歯形の有効長さL(112mm)としてみた場合の支圧応力は角度が大きいほど有利となり、歯角度だけでは判断できない。なお、歯角度2θ=60度では、有効長さLだけで200mm必要となり、コンパクト化の観点から本試験から除外した。
(4)歯形33のピッチp
歯形33のピッチpは、PC鋼より線13を第1のグリッパ30と第2のグリッパ31で挟着したときのCAD上における下記の全断面欠損率をもとに歯丈Hを算出し、そこから加工し易いピッチpを選定した。
具体的には、2θ=80度では、加工し易いピッチp=1.00とすることで、歯丈H=0.596となる。同様に、2θ=90度では、p=1.20とすることで、歯丈H=0.600となり、2θ=100度では、p=1.50とすることで、歯丈H=0.629となり、2θ=110度では、p=1.75とすることで、歯丈H=0.613となり、2θ=120度では、p=2.00とすることで、歯丈H=0.577となり、2θ=130度では、p=2.50とすることで、歯丈H=0.583となり、2θ=140度では、p=3.50とすることで、歯丈H=0.637となる。
歯丈Hは、大きいほどピッチpを粗目にできるが、欠損率の増大は、PC鋼より線13の耐力低下に直結すると考えられる。本実験では、歯元まで噛み込んだ場合の欠損率2%と4%の2種類を設定した。PC鋼より線13は、シール型基準としたが、欠損率の小さいときの歯丈Hが略0.6となるように設定した。
全断面欠損率 2% 4%
外層線断面欠損率 3.3% 6.5%
歯丈H 0.6mm 1.00mm
上述のように、歯形33の噛合い有効長さL=112mmとし、歯丈Hが略0.6となるような加工し易いピッチpを設定することにより、歯形33の山数nが2θ=80度で112個、90度で93個、100度で75個、110度で64個、120度で56個、130度で45個、140度で32個と設定できる。
(5)PC鋼より線13
本発明の実験に使用されたPC鋼より線13には、直径φ=28.6mmで、図3(a)に示されるシール型と、(b)に示されるウォーリントン型がある。前記シール型は、1本の心線27aと、9本の内層線27bと、9本の外層線27cからなり、断面積は、532.4mm2である。ウォーリントン型は、1本の心線28aと、6本の内層線28bと、6本の外層線28cとこれよりやや径の小さな6本の外層線28dからなり、断面積は、532.4mm2である。また、PC鋼より線ピッチは、12φ~18φmmである。
試験方法
(A)噛み込み試験
前記第1のグリッパ30と第2のグリッパ31は、図4に示すような試験枠37に取り付けられる。前記第1のグリッパ30は、グリッパ固定枠38に下向きに固定的に取り付けられ、前記定着ジャッキ34は、ジャッキ固定枠39に取り付けられ、この定着ジャッキ34のピストンに固着された前記第2のグリッパ31が前記第1のグリッパ30と対向している。この第1のグリッパ30と第2のグリッパ31で前記PC鋼より線13を挟んで定着した時、前記第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の対向隙間は、圧着時の逃げのため約6mmとする。
定着ジャッキ34でPC鋼より線13に1500kNの圧縮力を与え、このときの圧縮力を圧力に換算して計測するとともに、圧縮力による第2のグリッパ31の変位量を2個所の変位計40で計測した。
噛み込み実験結果
図5(a)(b)に基づき圧縮力を付与したときのPC鋼より線13の変位を説明する。
図5(a)は、PC鋼より線13が第1のグリッパ30と第2のグリッパ31にて圧縮されている状態を点線で示している。図1(a)の例では、第1のグリッパ30が固定側で、第2のグリッパ31が移動側で、下側から圧縮力が付与されているが、図5(a)では、第1のグリッパ30が上側から、第2のグリッパ31が下側から同一の圧縮力が付与されているものとして説明する。
前記PC鋼より線13に、第1のグリッパ30と第2のグリッパ31で上下から圧縮力を付与すると、図5(b)のように、9本の外層線27cに歯形33が噛み込むとともに、PC鋼より線13の全体につぶれが生じる。噛み込み量をe、変位量をdとすると、この変位量dは、図7に示すような特性図となる。この特性図は、横軸にグリッパ圧縮力を0~1500kNまで変化した時の前記変位計40による変位量dを縦軸に表したものである。
この特性図によれば、第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の定着溝32に歯形33を形成していない場合の特性線(a)と、定着溝32に歯角度2θ=100、110、120度の歯形33を形成した特性線(b)(c)(d)では、圧縮力1500kNのとき、変位量dに約0.2mmの差が生じた。このことは、第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の歯形33がそれぞれ約0.1mmずつ噛み込んでいることを表している。
歯形33が外層線27cに噛み込んだ時の噛み込み深さeと噛み込み幅Bは、図6(a)(b)のように表される。
歯形33の噛み込み深さeの計測値は、歯角度2θ=80、90、100、110、120、130、140度のとき、図6(a)及び図8に示すように、それぞれ0.100、0.098、0.123、0.118、0.110、0.097、0.077であり、この値は、図7の特性線歯形なしの特性線(a)と歯形ありの特性線(b)(c)(d)の差と略一致する。
さらに、歯形33の噛み込み幅Bの計測値は、歯角度2θ=80、90、100、110、120、130、140度のとき、図6(b)及び図8に示すように、それぞれ2.40、2.34、3.06、3.13、3.15、2.75、2.23であった。
曲げ応力度σbの演算
グリッパの材質がSUJ2のときの歯角度毎の曲げ応力度σbとせん断応力度τを一般的な計算式から求めると、次のような値となる。
曲げ応力度σbは、歯角度2θ=80、90、100、110、120、130、140度のとき、それぞれ1799、1595、853、714、598、625、844N/mm2である。このことは、材質SUJ2の曲げ応力度σbの耐力は、1658N/mm2であるから、歯角度2θ=100、110、120、130、140度のとき、本発明のグリッパは、十分に許容範囲にあることが認められる。
せん断応力度τの演算
せん断応力度τは、歯角度2θ=80、90、100、110、120、130、140度のとき、それぞれ1089、1159、742、754、752、981、1666N/mm2である。このことは、せん断応力度τの材質SUJ2の耐力は、957N/mm2であるから、歯角度2θ=100、110、120度のとき、本発明のグリッパは、十分に許容範囲にあることが認められる。
第1のグリッパ30と第2のグリッパ31の形状についての図8に示した実験結果は、次の通りである。
(1)噛み込み深さeと書き込み幅Bによれば、歯角度2θが80~130度、より好ましくは、100~120度で優れている。
(2)曲げ応力度σbによれば、歯角度2θが100~140度、より好ましくは、100~130度で優れている。
(3)せん断応力度τによれば、歯角度2θが100~130度、より好ましくは、100~120度で優れている。
以上(1)(2)(3)の総合的な判定は、歯角度2θが90~130度、より好ましくは、100~120度で優れている。
前記実施例では、前記第1のグリッパ30を固定側とし、前記第2のグリッパ31を可動側としたが、第1のグリッパ30にも定着ジャッキを連結してPC鋼より線13を両側から挟着するようにしてもよい。
10…固定側グリップ金具、11…移動側グリップ金具、12…グリップ溝、13…PC鋼より線、14…グリップ用ジャッキ、15…円錐形ウエッジ、16…チャックケース、17…歯形の咬着面、18…第1の定着装置、19…第2の定着装置、20…定着解除装置、21…定着押し込み装置、22…解除ロッド、23…押し込みロッド、24…定着圧口、25…解除圧口、26…ブレーキ装置、27a…シール型PC鋼より線の芯線、27b…シール型PC鋼より線の内層線、27c…シール型PC鋼より線の外層線、28a…ウォーリントン型PC鋼より線の芯線、28b…ウォーリントン型PC鋼より線の内層線、28c…ウォーリントン型PC鋼より線の外層線、28d…ウォーリントン型PC鋼より線の外層線、30…第1のグリッパ、31…第2のグリッパ、32…定着溝、33…歯形、34…定着ジャッキ、35…圧油口、36…ガイド溝、37…試験枠、38…グリッパ固定枠、39…ジャッキ固定枠、40…変位計。

Claims (6)

  1. PC鋼より線を第1のグリッパと第2のグリッパの2枚のグリッパの定着溝で両面から挟み、定着ジャッキで前記グリッパ間に圧縮力を与えて挟着するようにしたPC鋼より線の定着装置において、
    前記定着溝の内面は、前記PC鋼より線の素線硬度より硬度の高い材質からなり、前記定着溝は、所定の噛み合い有効長L=90~130mmを有するとともに、この定着溝に所定のピッチPで複数の山数nの歯形を形成したものであって、前記歯形がとがり山形をなし、前記歯形の歯角度2θが90~130度で、前記歯形の歯丈Hが0.577~0.629mmで、前記ピッチPが1.20~2.50mmで、前記山数nが45~93個を有することを特徴とするPC鋼より線の定着装置。
  2. PC鋼より線を第1のグリッパと第2のグリッパの2枚のグリッパの定着溝で両面から挟み、定着ジャッキで前記グリッパ間に圧縮力を与えて挟着するようにしたPC鋼より線の定着装置において、
    前記定着溝の内面は、前記PC鋼より線の素線硬度より硬度の高い材質からなり、前記定着溝は、所定の噛み合い有効長L=90~130mmを有するとともに、この定着溝に所定のピッチPで複数の山数nの歯形を形成したものであって、前記歯形がとがり山形をなし、前記歯形の歯角度2θが100~120度で、前記歯形の歯丈Hが0.577~0.629mmで、前記ピッチPが1.50~2.00mmで、前記山数nが56~75個を有することを特徴とするPC鋼より線の定着装置。
  3. 前記定着溝は、所定の噛み合い有効長L=112mmを有し、この定着溝に、前記歯形の歯角度2θが100度で、前記歯形の歯丈Hが0.629mmで、前記ピッチPが1.50mmで、前記山数nが75個を形成したことを特徴とする請求項2記載のPC鋼より線の定着装置。
  4. 前記定着溝は、所定の噛み合い有効長L=112mmを有し、この定着溝に、前記歯形の歯角度2θが110度で、前記歯形の歯丈Hが0.613mmで、前記ピッチPが1.75mmで、前記山数nが64個を形成したことを特徴とする請求項2記載のPC鋼より線の定着装置。
  5. 前記定着溝は、所定の噛み合い有効長L=112mmを有し、この定着溝に、前記歯形の歯角度2θが120度で、前記歯形の歯丈Hが0.577mmで、前記ピッチPが2.00mmで、前記山数nが56個を形成したことを特徴とする請求項2記載のPC鋼より線の定着装置。
  6. 前記第1のグリッパと第2のグリッパの材質は、SUJ2、SNCM220、S45C又はSCM440いずれか1つからなり、前記定着溝の内面は、前記PC鋼より線の素線硬度より硬度の高い材質で、その硬度は、HRC60~65としたことを特徴とする請求項1又は2記載のPC鋼より線の定着装置。
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