JP7370203B2 - 黒ずみ形成方法 - Google Patents

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本発明は、基材上に黒ずみを安定的に形成できる黒ずみ形成方法に関する。また、本発明は、当該黒ずみ形成方法を利用した、抗黒ずみ効果の評価方法、及び抗黒ずみ効果を有する物質のスクリーニング方法に関する。
黒ずみは、トイレ、浴室、台所、洗面所等の水廻りで発生し易く、特に、トイレ便器内の水面付近ではリング状の黒ずみが発生し易いことが知られている。黒ずみの発生機序については解明が進んでおり、先ず、細菌が付着して増殖することによりバイオフィルを形成して黒色真菌が付着し易い環境を作り、その後、バイオフィルムに黒色真菌が付着して増殖することにより発生すると考えられている。
生活空間で発生する黒ずみは、視覚的な不快感を与えるだけでなく、異臭を発散したり、感染症の感染源にもなったりすることもある。そこで、従来、黒ずみ対策用の洗浄剤として、抗菌成分を配合した洗浄組成物が開発されている。
一方、黒ずみ対策用の洗浄剤を開発する上で、黒ずみの抑制効果を評価することは不可欠であるが、前述の通り、黒ずみは、バイオフィルムと黒色真菌の複雑な集合体であるため、洗浄剤の抗菌活性を測定するだけでは、黒ずみの抑制効果を正しく評価できない。そのため、従来、洗浄剤の黒ずみの抑制効果を評価するには、実際の家庭において洗浄剤を使用し、黒ずみの発生を観察するフィールドテストが必要であった。しかしながら、フィールドテストでは、長い期間を要し、N数を確保するためにコストも高くなるという問題点がある。
そこで、近年、基材上にバイオフィルムを形成した後に、当該バイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖することにより、人工的に黒ずみを形成させる手法が開発され、黒ずみの抑制効果を評価できるラボ試験系が構築されている(非特許文献1参照)。しかしながら、従来の黒ずみの形成手法では、バイオフィルム中の細菌の種類によっては黒色真菌の増殖が進行しない、形成される黒ずみが小さい、黒ずみの形成に長期間要する、等の欠点があり、安定的に黒ずみを形成することはできない。
このような従来技術を背景として、基材上に黒ずみを安定的に形成できる手法を確立し、抗黒ずみ効果を評価できるラボ試験系を構築することが切望されている。
村松道敬ら、「実験室内黒ずみ形成モデルの構築」、環境バイオテクノロジー学会2018年度大会講演要旨、環境バイオテクノロジー学会発行、2018年6月25日、41頁
本発明の目的は、基材上に黒ずみを安定的に形成できる黒ずみ形成方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、当該黒ずみ形成方法を利用した、抗黒ずみ効果の評価方法、及び抗黒ずみ効果を有する物質のスクリーニング方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、基材上にバイオフィルムを形成した後に、当該バイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行い、次いで、当該ストレス処理後のバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより、黒ずみが安定的に形成できることを見出した。また、本発明者は、前記黒ずみ形成方法を利用することにより、抗黒ずみ効果の評価、及び抗黒ずみ効果を有する物質のスクリーニングが可能になることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 以下の工程を含む、黒ずみの形成方法:
基材上にバイオフィルムを形成する第1工程、
前記第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程、及び
前記第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程。
項2. 前記第2工程におけるストレス処理が、乾燥処理、加熱処置、又は紫外線処理である、項1に記載の黒ずみの形成方法。
項3. 前記第1工程において、マンニトールを含む液体培地を用いてバイオフィルムの形成を行う、項1又は2に記載の黒ずみの形成方法。
項4. 被験試料の抗黒ずみ効果を評価する方法であって、
基材上にバイオフィルムを形成する第1工程、
前記第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程、及び
前記第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程を含み、
前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、前記第3工程中、及び前記第3工程後よりなる群から選択される少なくとも1つの段階において、被験試料を添加し、被験試料を添加した条件と被験試料を添加していない条件で形成された黒ずみの状態を対比する、評価方法。
項5. 抗黒ずみ効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
基材上にバイオフィルムを形成する第1工程、
前記第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程、及び
前記第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程を含み、
前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、前記第3工程中、及び前記第3工程後よりなる群から選択される少なくとも1つの段階において、候補物質を添加し、候補物質を添加した条件と候補物質を添加していない条件で形成された黒ずみの状態を対比する、スクリーニング方法。
本発明によれば、基材上に黒ずみを安定的に形成できるので、抗黒ずみ効果(黒ずみ形成を抑制する効果、及び形成された黒ずみを除去する効果)を評価するための試験材料を提供でき、黒ずみ対策用の洗浄剤等の開発を効率的に行うことが可能になる。
試験例1において、黒色真菌の培養から3日後に形成された黒ずみを観察した結果を示す図である。 試験例1において、黒色真菌の培養から3日後及び4日後に形成された黒ずみを拡大観察した結果を示す図である。 参考試験例1において、形成したバイオフィルムを走査電子顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 試験例2において、バイオフィルムの形成条件を変えて、乾燥処理によるストレス処理を行って形成した黒ずみを観察した結果を示す図である。 試験例3において、バイオフィルムの形成条件を変えて、紫外線照射処理によるストレス処理を行って形成した黒ずみを観察した結果を示す図である。
1.黒ずみ形成方法
本発明の黒ずみ形成方法は、基材上にバイオフィルムを形成する第1工程;第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程;及び第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程を含むことを特徴とする。以下、本発明の黒ずみ形成方法について詳述する。
第1工程
第1工程では、基材上にバイオフィルムを形成する。
第1工程で使用する基材は、最終的に黒ずみの足場としての役割を果たす。第1工程で使用する基材の素材については、試験目的等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、陶磁器、ガラス、ステンレス、セラミックス、プラスチック等の硬質素材、繊維質素材等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、陶磁器、ガラス、ステンレス、セラミックス、プラスチック等の硬質素材が挙げられる。
第1工程で使用する基材の形状については、試験目的等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、シート状、ブロック状、紐状、粒状等が挙げられる。これらの中でも、操作簡便性等の観点から、好ましくはシート状、ブロック状、更に好ましくはシート状が挙げられる。また、第1工程で使用する基材の大きさについては、試験目的等に応じて適宜設定すればよい。
また、第1工程で使用する基材には、必要に応じて、ミネラル、ケイ素等を付着させるコーティング処理等が施されていてもよい。
第1工程において、基材上にバイオフィルムを形成する手法については、特に制限されないが、例えば、バイオフィルム形成能を有する細菌(以下、「BF形成菌」と表記することもある)を基材に付着させて培養する方法が挙げられる。
BF形成菌の種類については、特に制限されないが、例えば、リゾビウム属(Rhizobium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、スフィンゴピキシス属(Sphingopyxis)、スフィンゴビウム属(Sphingobium)、ブレバンディモナス属(Brevundimonas)、ブラストモナス属(Blastomonas)、ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、エロモナス属(Aeromonas)、クレブシェラ属(Klebsiella)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、バークホリデリア属(Burkholderia)、エンテロバクター属(Enterbacter)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、シトロバクター属(Citrobacter)、アグリゲイティバクター属(Aggregatibacter)、ロドバクター属(Rhodobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、エスケリキア属(Escherichia)、ラルストニア属(Ralstonia)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、エルシニア属(Yersinia)、アシドヴォラックス属(Acidovorax)、プレボテラ属(Prevotella)、タネレラ属(Tannerella)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)等のグラム陰性細菌やスタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、バチルス属(Bacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、デイノコッカス属(Deinococcus)等のグラム陽性細菌が挙げられる。これらの細菌は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
BF形成菌を基材に付着させて培養するには、例えば、バイオフィルム形成能を有する細菌を懸濁した液体培地(以下、「BF形成菌懸濁液」と表記することもある)に基材を接触させた状態でインキュベートすればよく、具体的には、BF形成菌懸濁液に基材を浸漬してインキュベートする方法;BF形成菌懸濁液を基材上に貯留させてインキュベートする方法等が挙げられる。
前記BF細菌懸濁液におけるBF形成菌の濃度(初期濃度)については、使用するBF形成菌の種類、細菌懸濁培地の成分組成、培養時間等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1.0×103~1.0×108cfu/ml、好ましくは1.0×105~1.0×108cfu/ml、更に好ましくは1.0×106~1.0×107cfu/mlが挙げられる。
また、前記BF細菌懸濁培地の成分組成については、BF形成菌が増殖できるように、炭素源、窒素源、硫黄源、リン源、ビタミン源、及びミネラル源等を含んでいればよく、使用するBF形成菌の種類に応じて設定すればよい。
前記BF細菌懸濁培地がマンニトールを含む場合、形成されるバイオフィルムは、細胞外タンパク質の産生量が多く粘性も高くなり、実際の環境で形成されるバイオフィルムと同様の特性を具備でき、最終的に形成される黒ずみが実際の環境で形成されるものに近似させることが可能になる。従って、前記細菌懸濁培地の好適な一例として、マンニトールを含んでいることが挙げられる。前記細菌懸濁培地にマンニトールを含有させる場合、その含有量としては、例えば、5~20g/l、好ましくは5~15g/l、更に好ましくは7.5~12.5g/lが挙げられる。
更に、前記BF細菌懸濁培地がマンニトールを含み、且つトリプトン等のタンパク質加水分解物を含まない場合には、形成されるバイオフィルムが、実際の環境で形成されるバイオフィルムの特性により一層近似させることができる。従って、前記細菌懸濁培地の好適な一例として、マンニトールを含み、且つタンパク質加水分解物を含まないことが挙げられる。
また、前記BF細菌懸濁培地は、酵母エキスを含んでいることが好ましい。前記BF細菌懸濁培地に酵母エキスを含有させる場合、その含有量としては、例えば、2.0~6.0g/l、好ましくは2.0~5.0g/l、更に好ましくは2.5~3.5g/lが挙げられる。
基材上にバイオフィルムを形成させる際の培養条件については、使用するBF形成菌の種類、培地の組成等に応じて適宜設定すればよいが、通常25~35℃、好ましくは28~32℃、更に好ましくは29.5~30.5℃の温度条件で、40~200時間、好ましくは50~100時間、更に好ましくは60~80時間、特に好ましくは70~75時間が挙げられる。
斯くして第1工程を行うことにより、基材上にバイオフィルムが形成される。基材上にバイオフィルムが形成されていることは、例えば、クリスタルバイオレット等の染色液を用いて染色することにより確認できる。
第1工程により得られたバイオフィルム形成基材は、必要に応じて、水洗等の洗浄処理を行った後に、第2工程に供される。
第2工程
第2工程では、前記第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う。従来手法では、基材上に形成させたバイオフィルムに対して黒色真菌を直接付着させて増殖させていたが、かかる手法では、黒ずみが形成できない、形成される黒ずみが小さい、黒色真菌の増殖が遅く黒ずみの形成に長期間要する等の欠点があり、安定的に黒ずみを形成させることができなかった。これに対して、本発明では、黒色真菌を付着させて増殖させる前に、バイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行うことにより、従来手法の欠点を克服し、安定的に黒ずみを形成させることが可能になる。
第2工程において、「細菌の増殖活性又は細菌数を低下させるストレス処理」とは、バイオフィルム中のBF形成菌の増殖活性を低下、及び/又はバイオフィルム中のBF形成菌の生菌数を低下させるために、バイオフィルムに対して負荷されるストレス処理である。
第2工程におけるストレス処理によってバイオフィルムに負荷されるストレスは、バイオフィルム中の細菌の増殖活性又は細菌数を低下できる範囲であればよいが、例えば、バイオフィルム中の生菌数が、ストレス処理前に比べて50%程度以下、好ましくは10%程度以下、更に好ましくは5%程度以下、特に好ましくは1%程度以下になるように設定すればよい。
ストレス処理としては、バイオフィルム中のBF形成菌の増殖活性を低下、及び/又はバイオフィルム中のBF形成菌の生菌数を低下できることを限度として、特に制限されないが、具体的には、乾燥処理、加熱処理、紫外線処理、電磁放射線処理、薬剤処理、ガス処理等が挙げられる。
乾燥処理とは、バイオフィルムから水分を蒸散させ乾燥した状態にすることにより、バイオフィルムにストレスを負荷する処理である。乾燥処理の温度条件としては、例えば、15~80℃、好ましくは15~50℃、更に好ましくは22.5~27.5℃、より好ましくは24.5~25.5℃が挙げられる。また、乾燥処理の時間としては、例えば、0.5~2.5時間、好ましくは0.75~2時間、更に好ましくは1~1.5時間が挙げられる。
加熱処理とは、バイオフィルムを加熱することにより、バイオフィルムにストレスを負荷する処理である。加熱処理の温度条件としては、例えば60℃以上、好ましくは100℃以上、更に好ましくは121~125℃が挙げられる。また、加熱処理の時間としては、例えば、10分間以上、好ましくは20分間以上、更に好ましくは21~30分間が挙げられる。
紫外線処理とは、バイオフィルムに対して紫外線を暴露することにより、バイオフィルムにストレスを負荷する処理である。紫外線処理における紫外線照射量としては、例えば、150mJ/cm2以上、好ましくは180mJ/cm2以上、更に好ましくは200~400mJ/cm2が挙げられる。
電磁放射線処理とは、バイオフィルムに対して赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線等の電磁放射線を暴露することにより、バイオフィルムにストレスを負荷する処理である。薬剤処理とは、バイオフィルムに対して、ハーブ、香辛料などの天然物系抗菌剤やアルコール類、第4級アンモニウム塩類などの有機系化学合成抗菌剤等を添加し、バイオフィルムにストレスを負荷する処理である。ガス処理とは、バイオフィルムに対して、ガス状にした酸化エンチレンオキサイド、過酸化水素等を暴露することにより、バイオフィルムにストレスを負荷する処理である。
これらのストレス処置の中でも、操作簡便性等の観点から、好ましくは、乾燥処理、加熱処置、紫外線処理が挙げられる。
第2工程後のバイオフィルム形成基材は、必要に応じて、水洗等の洗浄処理を行った後に、第3工程に供される。
第3工程
第3工程では、前記第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる。
黒色真菌は、メラニン色素の産生により暗色を呈する真菌である。黒色真菌の種類については、特に制限されないが、例えば、クラドスポリウム属(Cladosporium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、オーレオバシディウム属(Aureobasidium)、アルタナリア属(Alternaria)、ビポラリス属(Bipolaris)、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)、エクソフィアラ属(Exophiala)、フォンセセア属(Fonsecaea)、フィアロフォラ属(Phialophora)、リノクラジエア属(Rhinocladiella)、フォーマ属(Phoma)、スコレコバシディウム属(Scolecobasidium)、ウロクラディウム属(Ulocladium)、エピコッカム属(Epicoccum)、カルバラリア属(Curvularia)、ケトミウム属(Chaetomium)、等の真菌が挙げられる。これらの黒色真菌は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
バイオフィルムに付着させる黒色真菌は、菌糸の状態であってもよいが、胞子の状態であることが好ましい。
また、バイオフィルムに黒色真菌を付着させる方法については、特に制限されず、黒色真菌の菌糸及び/又は胞子を懸濁させた懸濁液(以下、「黒色真菌懸濁液」と表記することもある)にバイオフィルムを浸漬させる方法;黒色真菌懸濁液をバイオフィルム上に塗布する方法等が挙げられる。
黒色真菌懸濁液にバイオフィルムを浸漬させることによってバイオフィルムに黒色真菌を付着させる場合、黒色真菌懸濁液へのバイオフィルムの浸漬回数は1回であってもよいが、バイオフィルムへの黒色真菌の付着量を高めるために、黒色真菌懸濁液へのバイオフィルムの浸漬操作を繰り返し行ってもよい。
また、黒色真菌懸濁液をバイオフィルム上に塗布することによってバイオフィルムに黒色真菌を付着させる場合、黒色真菌懸濁液のバイオフィルムへの塗布回数は1回であってもよいが、バイオフィルムへの黒色真菌の付着量を高めるために、色真菌懸濁液のバイオフィルムへの塗布を複数回行ってもよい。
前記黒色真菌懸濁液における黒色真菌の菌糸及び/又は胞子の濃度については、使用する黒色真菌の種類、バイオフィルムに黒色真菌を付着させる方法等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、100~10000cfu/ml、好ましくは500~5000cfu/ml、更に好ましくは1000~2000cfu/mlが挙げられる。
また、前記黒色真菌懸濁液には、必要に応じて、黒色真菌の生育に必要となる各種成分(炭素源、窒素源、硫黄源、リン源、ビタミン源、及びミネラル源等)が含まれていてもよい。
バイオフィルムに黒色真菌を付着させた後に、必要に応じてバイオフィルムを水洗等の洗浄処理を行い、過剰に付着している黒色真菌を除去してもよい。
第3工程において、バイオフィルムに黒色真菌を付着後に黒色真菌を増殖させて黒ずみを形成させるには、気相中で黒色真菌を生育する条件で培養を行えばよい。
また、前記黒色真菌懸濁液に黒色真菌の生育に必要となる各種成分が含まれていない場合には、黒色真菌を付着させたバイオフィルムに、黒色真菌の生育に必要となる成分(炭素源、窒素源、硫黄源、リン源、ビタミン源、及びミネラル源等)が含まれている培地を適量添加すればよい。
黒色真菌を増殖させる際の培養条件としては、使用する黒色真菌の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば、20~30℃、好ましくは22.5~27.5℃、更に好ましくは22.5~25℃の温度条件で、70~200時間、好ましくは75~150時間、更に好ましくは80~100時間が挙げられる。
斯くして第3工程を行うことにより、基材上に黒ずみが形成され、基材上に黒ずみが形成している試験材料が得られる。
2.抗黒ずみ効果の評価方法
本発明の抗黒ずみ効果の評価方法は、基材上にバイオフィルムを形成する第1工程;第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程;及び第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程を含み、前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、前記第3工程中、及び前記第3工程後よりなる群から選択される少なくとも1つの段階において、被験試料を添加し、被験試料を添加した条件と被験試料を添加していない条件で黒ずみの状態を対比することを特徴とする。
本発明の抗黒ずみ効果の評価方法は、被験試料が有する抗黒ずみ効果を評価する方法である。抗黒ずみ効果とは、黒ずみ形成を抑制する効果、及び形成された黒ずみを除去する効果を指しており、本発明の抗黒ずみ効果の評価方法では、被験試料が有する抗黒ずみ効果の有無及び強弱を判定することができる。
被験試料とは、抗黒ずみ効果の有無及び強弱の評価対象となる試料であり、単一化合物であってもよく、また、2以上の成分が含まれる組成物(例えば、トイレ便器用の洗浄剤組成物)であってもよい。
本発明の抗黒ずみ効果の評価方法において、第1工程~第3工程の具体的態様は、前記黒ずみ形成方法の場合と同様である。
前記第1工程中に被験試料を添加する場合、予め被験試料を添加した前記BF細菌懸濁培地を基材に接触させてインキュベートしてもよく、また、前記BF細菌懸濁培地と基材を接触させた状態でインキュベートしている段階で、前記BF細菌懸濁培地中に被験試料を添加してもよい。前記第1工程後且つ第2工程前に被験試料を添加する場合、前記第1工程後に形成されたバイオフィルムに被験試料を添加すればよい。前記第2工程中に被験試料を添加する場合、前記第2工程におけるストレス処理中にバイオフィルムに被験試料を添加すればよい。前記第2工程後且つ第3工程前に被験試料を添加する場合、前記第2工程のストレス処理後のバイオフィルムに被験試料を添加すればよい。前記第3工程中に被験試料を添加する場合、黒色真菌をバイオフィルムに付着させる段階、黒色真菌をバイオフィルム付着させた後且つ黒色真菌の増殖を行う前の段階、又は黒色真菌の増殖を行っている段階のいずれかで、バイオフィルムに被験試料を添加すればよい。前記第3工程後に被験試料を添加する場合、第3工程後に形成された黒ずみに対して被験試料を添加すればよい。
前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、及び前記第3工程中に被験試料を添加した場合、第3工程後に形成された黒ずみの状態(大きさ、数等)を観察し、被験試料を添加していない条件での黒ずみに比べて、黒ずみの数が少ない、又は黒ずみが小さい場合には、当該被験試料は、黒ずみ形成を抑制する効果があると判定される。
また、前記第3工程後に被験試料を添加した場合、被験試料添加後に黒ずみの状態(大きさ、数等)を経時的に観察し、被験試料を添加していない条件での黒ずみに比べて、黒ずみの数が減っている、又は黒ずみが小さくなっている場合には、当該被験試料は、黒ずみを除去する効果があると判定される。
2.抗黒ずみ効果を有する物質のスクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、基材上にバイオフィルムを形成する第1工程;第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程;及び第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程を含み、前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、前記第3工程中、及び前記第3工程後よりなる群から選択される少なくとも1つの段階において、候補物質を添加し、候補物質を添加した条件と候補物質を添加していない条件で形成された黒ずみの状態を対比することを特徴とする。
抗黒ずみ効果とは、黒ずみの形成を抑制する効果、及び形成された黒ずみを除去する効果を指しており、本発明のスクリーニング方法では、候補物質の中から抗黒ずみ効果を有するものを選択することができる。
候補物質は、抗黒ずみ効果の有無が判定される試料であり、単一化合物であってもよく、また、2以上の成分が含まれる組成物(例えば、トイレ便器用の洗浄剤組成物)であってもよい。
本発明のスクリーニング方法において、第1工程~第3工程の具体的態様は、前記黒ずみ形成方法の場合と同様である。
前記第1工程中に被候補物質を添加する場合、予め被候補物質を添加した前記BF細菌懸濁培地を基材に接触させてインキュベートしてもよく、また、前記BF細菌懸濁培地と基材を接触させた状態でインキュベートしている段階で、前記BF細菌懸濁培地中に被候補物質を添加してもよい。前記第1工程後且つ第2工程前に候補物質を添加する場合、前記第1工程後に形成されたバイオフィルムに候補物質を添加すればよい。前記第2工程中に候補物質を添加する場合、前記第2工程におけるストレス処理中にバイオフィルムに候補物質を添加すればよい。前記第2工程後且つ第3工程前に候補物質を添加する場合、前記第2工程のストレス処理後のバイオフィルムに候補物質を添加すればよい。前記第3工程中に候補物質を添加する場合、黒色真菌をバイオフィルムに付着させる段階、黒色真菌をバイオフィルム付着させた後且つ黒色真菌の増殖を行う前の段階、又は黒色真菌の増殖を行っている段階で、バイオフィルムに候補物質を添加すればよい。前記第3工程後に候補物質を添加する場合、第3工程後に形成された黒ずみに対して候補物質を添加すればよい。
前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、及び前記第3工程中に候補物質を添加した場合、第3工程後に形成された黒ずみの状態(大きさ、数等)を観察し、候補物質を添加していない条件での黒ずみに比べて、黒ずみの数が少ない、又は黒ずみが小さい場合には、当該候補物質は、黒ずみ形成を抑制する効果を有すると判定される。
また、前記第3工程後に候補物質を添加した場合、候補物質添加後に黒ずみの状態(大きさ、数等)を経時的に観察し、候補物質を添加していない条件での黒ずみに比べて、黒ずみの数が減っている、又は黒ずみが小さくなっている場合には、当該候補物質は、黒ずみを除去する効果があると判定される。
本発明のスクリーニング方法において、抗黒ずみ効果(黒ずみ形成を抑制する効果、及び/又は黒ずみを除去する効果)があると判定された候補物質は、抗黒ずみ効果を有している物質として選択される。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
試験例1:黒ずみ形成試験(1)
1.方法
・バイオフィルムの形成
BF形成菌(環境分離株、Rhizobium sp.)を前培養し、その前培養液を液体培地(トリプトン5g/l、酵母エキス3g/l、及びCaCl2・H2O 0.83g/l含有)にOD(600nm)が0.01(菌数:4.0×106 cfu/ml)となるよう加えて、BF形成菌懸濁液を作製した。次いで、BF形成菌懸濁液2mlを12ウェルプレートの各ウェルに分注し、更に各ウェルにカバーガラス(基材;縦1.8cm、横1.8cm)を立てかけて、ウェル中のBF形成菌懸濁液にカバーガラスの一部を浸漬させた。その後、12ウェルプレートに蓋をして、更に12ウェルプレートをラップフィルムで覆い、30℃のインキュベーター内で3日間静置培養を行った。
前記で静置培養に供したカバーガラスを取り出して、0.1重量%クリスタルバイオレット液2mlが分注された12ウェルプレートの各ウェルに立てかけて、10分間室温で静置した。その結果、カバーガラスがクリスタルバイオレットにより染色されており、カバーガラス上にバイオフィルムが形成されているのを確認した。その後、バイオフィルムが形成されたカバーガラス(以下、BF形成カバーガラス)(染色操作を行っていないもの)をイオン交換水で洗浄し、後述するストレス処理に供した。
・ストレス処理
BF形成カバーガラスを表1に示すストレス処理に供した。また、比較のために、ストレス処理を行わなかったBF形成カバーガラスも準備した。
ストレス処理後のBF形成カバーガラス及びストレス処理を行わなかったBF形成カバーガラスを、界面活性剤を含む培地中で撹拌することにより、カバーガラスからバイオフィルムを剥離させてBF形成菌を回収し、生菌数を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0007370203000001
・黒ずみの形成
丸形のシャーレ(直径9.0cm)の壁面から0.5~1cm程度離れた底部に、両面テープで、バイオフィルムが上に配されるようにBF形成カバーガラスを固定した。次いで、シャーレ内に、黒色真菌(Cladosporium halotolerans (NBRC111839))の胞子を懸濁させた黒色真菌懸濁液(1000 CFU/ml)20mlを添加し、シーソーシェカー(1.5往復/分)にて、定期的にBF形成カバーガラスが黒色真菌懸濁液に浸漬状態と浸漬されていない状態となるように2時間振とうし、黒色真菌の胞子をバイオフィルムに付着させた。
黒色真菌を付着させたBF形成カバーガラス(黒色真菌付着BF形成カバーガラス)を取り出して水洗した後に、濾紙にて水分を除去した。その後、バイオフィルムの上に、PD(Potato Dextrose)液体培地(Bectone Dickinson社製)0.2mlを添加し、濾紙で余分な培地を除去した。
別途、丸形のシャーレ(直径9cm)に濾紙(直径7cm)を2枚重ねて置き、更に2mlの水をシャーレ内の濾紙に含ませた。更に、濾紙の上にU字型ガラス棒、スライドガラス、及びU字ステープル(ホッチキスの芯)をこの順に積み重ねて、黒色真菌培養セットを組み立てた。作製した黒色真菌培養セットのU字ステープルの上に、PDを添加した黒色真菌付着BF形成カバーガラス(バイオフィルムが上になるように配置)を置いて、シャーレに蓋をした後にパラフィンフィルムで巻いて、25℃で4日間培養を行った。
2.結果
黒色真菌の培養3日後にカバーガラスの外観を観察した結果を図1に示す。また、実施例1及び比較例1について、黒色真菌の培養3日後及び4日後に形成された黒ずみを拡大観察した結果を図2に示す。バイオフィルムに対してストレス処理を負荷することなく、黒色真菌を付着させて培養を行った場合では、小さな黒ずみしか認められなかった(比較例1)。これに対して、バイオフィルムに対してストレス処理を負荷した後に、黒色真菌を付着させて培養を行った場合には、大きな黒ずみの形成が認められ、抗黒ずみ効果を評価する試験材料として好適なものであった(実施例1~4)。
参考試験例1:バイオフィルムの形成条件の検討
人工的に形成する黒ずみを実際の環境で生じる黒ずみにより近似させるには、黒ずみの形成過程で不可欠となるバイオフィルムが実際の環境で生じるバイオフィルムに近似する特性を具備させることが望ましい。そこで、バイオフィルム形成方法について、実際の環境で生じるバイオフィルムに近似する特性を具備させるための条件について検討した。
1.方法
1-1.BF形成菌のコロニーの細胞外多糖類の産生量及び粘性の測定
表2に示す組成の寒天培地に、BF形成菌(環境分離株、Rhizobium sp.)を播種し、30℃で6日間培養した。
Figure 0007370203000002
培養後のBF形成菌のコロニーを目視にて観察し、細胞外多糖類の産生量を以下の判定基準で評価した。
<細胞外多糖類の産生量の判定基準>
○:目視で多量の細胞外多糖類が産生している。
△:目視で細胞外多糖類の産生が認められるが、その産生量は多量ではない。
×:目視では細胞外多糖類の産生は認められない。
また、培養後のBF形成菌のコロニーの粘性を評価した。具体的には、培養後のBF形成菌のコロニーに対して竹串を接触させた後に引き離し、引き離した際の曳糸性を以下の基準で判定し、粘性を評価した。
<粘性の判定基準>
○:著しい糸曳きがあり、粘性が高い。
△:糸曳きがあり、粘性は高いとはいえないが認められる。
×:糸曳きがなく、粘性は認められない。
1-2.バイオフィルムの構造分析
BF形成菌(環境分離株、Rhizobium sp.)を前培養し、その前培養液を表3に示す組成の液体培地にOD(600nm)が0.01(菌数:4.0×106 cfu/ml)となるよう加えて、BF形成菌懸濁液を作製した。次いで、BF形成菌懸濁液2mlを12ウェルプレートの各ウェルに分注し、更に各ウェルにカバーガラス(基材、縦1.8cm、横1.8cm)を立てかけて、ウェル中のBF形成菌懸濁液にカバーガラスの一部を浸漬させた。その後、12ウェルプレートに蓋をして、更に12ウェルプレートをラップフィルムで覆い、30℃のインキュベーター内で6日間静置培養を行った。培養3日後と6日後に、形成されたバイオフィルムを走査電子顕微鏡にて観察した。
Figure 0007370203000003
2.結果
BF形成菌のコロニーの細胞外多糖類の産生量及び粘性を測定した結果を表4に示す。また、バイオフィルムを走査電子顕微鏡にて観察した結果を図3に示す。表4から分かるように、マンニトールを含む培地でBF形成菌を培養することにより、細胞外多糖類の産生量が増大し、粘性も高くなっていた。また、図3から明らかなように、マンニトールを含まない培地でBF形成菌を培養した場合、ヌメリ様物質が少ないバイオフィルムが形成されたのに対して、マンニトールを含む培地でBF形成菌を培養した場合、ヌメリ様物質が多量に生成しており、実際の環境で認められるバイオフィルムにより近似した構造になっていた。
Figure 0007370203000004
試験例2:黒ずみ形成試験(2)
BF形成菌(環境分離株、Rhizobium sp.)を前培養し、その前培養液を前記表3に示す組成の液体培地にOD(600nm)が0.01(菌数:4.0×106 cfu/ml)となるよう加えて、BF形成菌懸濁液を作製した。次いで、BF形成菌懸濁液2mlを12ウェルプレートの各ウェルに分注し、更に各ウェルにカバーガラス(基材、縦1.8cm、横1.8cm)を立てかけて、ウェル中のBF形成菌懸濁液にカバーガラスの一部を浸漬させた。その後、12ウェルプレートに蓋をして、更に12ウェルプレートをラップフィルムで覆い、30℃のインキュベーター内で3又は6日間静置培養を行った。
前記で静置培養に供したカバーガラスを取り出して、0.1重量%クリスタルバイオレット液2mlが分注された12ウェルプレートの各ウェルに立てかけて、10分間室温で静置した。その結果、カバーガラスがクリスタルバイオレットにより染色されており、カバーガラス上にバイオフィルムが形成されているのを確認した。その後、染色したカバーガラスを水道水で洗浄してクリスタルバイオレットを除去した後に、バイオフィルムが形成されたカバーガラス(以下、BF形成カバーガラス)後述するストレス処理に供した。
・ストレス処理
バイオフィルムが形成されたカバーガラスを表5に示すストレス処理に供した。
Figure 0007370203000005
・黒ずみの形成
前記試験例1と同条件で黒ずみの形成を行った。
2.結果
カバーガラス上に形成された黒ずみを観察した結果を図4及び5に示す。この結果、マンニトールを含む培地を用いてバイオフィルムした場合には、胞子の付着がより多い(即ち、濃い黒色を呈する)黒ずみを形成できることが確認された。

Claims (5)

  1. 以下の工程を含む、黒ずみの形成方法:
    バイオフィルム形成能を有する細菌を基材に付着させて培養することにより基材上にバイオフィルムを形成する第1工程、
    前記第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程、及び
    前記第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程。
  2. 前記第2工程におけるストレス処理が、乾燥処理、加熱処置、又は紫外線処理である、請求項1に記載の黒ずみの形成方法。
  3. 前記第1工程において、マンニトールを含む液体培地を用いてバイオフィルムの形成を行う、請求項1又は2に記載の黒ずみの形成方法。
  4. 被験試料の抗黒ずみ効果を評価する方法であって、
    バイオフィルム形成能を有する細菌を基材に付着させて培養することにより基材上にバイオフィルムを形成する第1工程、
    前記第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程、及び
    前記第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程を含み、
    前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、前記第3工程中、及び前記第3工程後よりなる群から選択される少なくとも1つの段階において、被験試料を添加し、被験試料を添加した条件と被験試料を添加していない条件で形成された黒ずみの状態を対比する、評価方法。
  5. 抗黒ずみ効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
    バイオフィルム形成能を有する細菌を基材に付着させて培養することにより基材上にバイオフィルムを形成する第1工程、
    前記第1工程で形成したバイオフィルム中の細菌の増殖活性又は生菌数を低下させるストレス処理を行う第2工程、及び
    前記第2工程でストレス処理したバイオフィルムに黒色真菌を付着させて増殖させることにより黒ずみを形成させる第3工程を含み、
    前記第1工程中、前記第1工程後且つ第2工程前、前記第2工程中、前記第2工程後且つ第3工程前、前記第3工程中、及び前記第3工程後よりなる群から選択される少なくとも1つの段階において、候補物質を添加し、候補物質を添加した条件と候補物質を添加していない条件で形成された黒ずみの状態を対比する、スクリーニング方法。
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