JP7369919B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本開示は、アンテナ装置に関する。
従来、マルチバンドに対応するアンテナ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたアンテナ装置は、第1の給電部に接続された第1のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子とは異なる周波数帯域において共振し、第2の給電部に接続された第2のアンテナ素子と、スイッチを介して二つの異なるリアクタンス素子に選択的に接続される地線とを備える。特許文献1に記載されたアンテナ装置では、地線に接続されるリアクタンス素子のリアクタンス値を切り替えることで、各周波数帯域におけるアンテナ効率を高めようとしている。
特開2011-120071号公報
本開示は、二つのアンテナを備えるアンテナ装置であって、二つのアンテナ間のアイソレーションを確保しつつ、小型化を実現できるアンテナ装置を提供する。
本開示の一態様に係るアンテナ装置は、第1面、前記第1面と平行な第2面、並びに、前記第1面と前記第2面とを接続し前記第1面及び前記第2面と垂直な第3面、に配置されるアンテナ装置であって、前記第1面及び前記第3面に配置される第1アンテナと、前記第2面に配置される第2アンテナと、前記第1面に配置される地線とを備える。前記第1アンテナは、前記第1面に配置される第1給電点と、前記第1面に配置され、前記第1給電点から前記第3面まで延在する導電性の第1素子と、前記第3面に配置され、前記第1素子の端部から前記第1面に沿って延在する導電性の第2素子とを有する。前記第2アンテナは、前記第1給電点から、前記第1面及び前記第2面に平行な方向に離隔して配置される第2給電点と、前記第2給電点から延在する導電性のアンテナ素子とを有する。前記地線は、接地されるグランド点と、前記グランド点に接続され、前記第1アンテナに沿って延在する部分を含み、前記第1アンテナと容量結合する導電性の地線素子とを有する。
本開示によれば、二つのアンテナを備えるアンテナ装置であって、二つのアンテナ間のアイソレーションを確保しつつ、小型化を実現できるアンテナ装置を提供できる。
図1は、実施の形態1に係るアンテナ装置の全体構成を示す模式図である。 図2は、実施の形態1に係るアンテナ装置の第1面の平面視における模式図である。 図3は、実施の形態1に係るアンテナ装置の第2面の平面視における模式図である。 図4は、実施の形態1に係るアンテナ装置の第3面の平面視における模式図である。 図5は、実施の形態1において形成されるループアンテナを説明する模式図である。 図6は、比較例に係るアンテナ装置の通過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。 図7は、実施の形態1に係るアンテナ装置の通過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。 図8は、比較例に係るアンテナ装置のアンテナ効率のシミュレーション結果を示すグラフである。 図9は、実施の形態1に係るアンテナ装置のアンテナ効率のシミュレーション結果を示すグラフである。 図10は、実施の形態2に係る通信端末の外観を示す模式図である。 図11は、実施の形態2に係るアンテナ装置の全体構成を示す模式図である。 図12は、実施の形態2に係るアンテナ装置の第1面の平面視における模式図である。 図13は、実施の形態2に係るアンテナ装置の第2面の平面視における模式図である。 図14は、実施の形態2に係るアンテナ装置の第3面の平面視における模式図である。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
(実施の形態1)
実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
[1-1.全体構成]
まず、実施の形態1に係るアンテナ装置の全体構成について、図1~図4を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係るアンテナ装置1の全体構成を示す模式図である。図1においては、第1面P1側から見たアンテナ装置1の斜視図が示されている。図2、図3及び図4は、それぞれ、本実施の形態に係るアンテナ装置1の第1面P1、第2面P2及び第3面P3の平面視における模式図である。
アンテナ装置1は、第1周波数帯域の信号及び第2周波数帯域の信号を送受信する無線通信装置である。第1周波数帯域及び第2周波数帯域は、特に限定されない。本実施の形態では、第1周波数帯域は、第2周波数帯域を含む帯域である。具体的には、第1周波数帯域は、1.2GHz以上6GHz以下の帯域であり、第2周波数帯域は、2.4GHz以上6GHz以下の帯域である。図1に示されるように、アンテナ装置1は、接地された導電性部材であるグランド部材50に配置される。グランド部材50は、特に限定されないが、例えば、アンテナ装置1が配置される端末のフレームなどである。グランド部材50は、例えば、マグネシウムなどの導電性金属で形成される。
図1に示されるように、アンテナ装置1は、第1面P1、第2面P2、及び、第3面P3に配置される。第2面P2は、第1面P1と平行な面である。第3面P3は、第1面P1と第2面P2とを接続し第1面P1及び第2面P2と垂直な面である。なお、ここで、「平行」との記載は、完全に平行な状態だけでなく、実質的に平行な状態も意味する。具体的には、一方の面に対して他方の面が完全に平行な状態から10°以下程度傾いている状態も「平行」という。また、「垂直」との記載は、完全に垂直な状態だけでなく実質的に垂直な状態も意味する。具体的には、一方の面に対して他方の面が完全に垂直な状態から10°以下程度傾いている状態も「垂直」という。
アンテナ装置1は、第1アンテナ10と、第2アンテナ20と、地線30とを備える。アンテナ装置1は、例えば、第1面P1、第2面P2及び第3面P3を有する絶縁性基板上に配置される(絶縁性基板は不図示)。絶縁性基板として、例えば、フレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuit;FPC)基板などを用いることができる。なお、フレキシブルプリント回路基板などの可撓性を有する絶縁性基板を用いる場合には、樹脂などの絶縁性材料で形成されたホルダ上に絶縁性基板を配置してもよい。これにより、絶縁性基板の形状を安定化することができる。
第1アンテナ10は、第1周波数帯域で共振するアンテナである。第1アンテナ10は、図1、図2及び図4に示されるように、第1面P1及び第3面P3に跨って配置される。第1アンテナ10は、第1給電点14と、第1素子11と、第2素子12とを有する。第1アンテナ10の電気長、つまり、第1素子11と第2素子12とを組み合わせた素子の電気長は、第1周波数帯域に対応する波長の約1/8である。本実施の形態では、第1アンテナ10の電気長は、1.2GHzに対応する波長250mmの1/8の31.25mmである。なお、波長には実効波長(アンテナ素子周辺の誘電体による波長短縮を考慮した波長)を含む。第1アンテナ10は、例えば、携帯電話用通信ネットワークなどの無線通信による広域データ通信ネットワーク用のアンテナとして利用できる。
第1給電点14は、図1及び図2に示されるように、第1面P1に配置される給電点であり、第1周波数帯域の信号が供給される。具体的には、第1給電点14には、同軸ケーブル、給電ピンなどによって第1周波数帯域の信号が供給される。同軸ケーブルを用いる場合、同軸ケーブルの内部導体が第1給電点14に接続され、同軸ケーブルの外部導体が、グランド部材50に接続される。
第1素子11は、図1及び図2に示されるように、第1面P1に配置され、第1給電点14から第3面P3まで延在する導電性の素子である。本実施の形態では、第1素子11は、第1給電点14から第3面P3に垂直な方向に延在する。
第2素子12は、図1、図2及び図4に示されるように、第3面P3に配置され、第1素子11の端部(つまり、第1素子11の第1給電点14から遠い方の端部)から第1面P1に沿って延在する導電性の素子である。本実施の形態では、第2素子12は、第1素子11の端部から第1面P1に平行な方向に延在する長尺状の形状を有する。
第2アンテナ20は、第2周波数帯域で共振するアンテナである。第2アンテナ20は、図1及び図3に示されるように、第2面P2に配置される。第2アンテナ20は、第2給電点24と、アンテナ素子21とを有する。第2アンテナ20の電気長は、第2周波数帯域に対応する波長の約1/4である。本実施の形態では、第2アンテナ20の電気長は、2.4GHzに対応する波長125mmの1/4の31.25mmである。第2アンテナ20は、例えば、無線LAN(Local Area Network)用の、2.4GHz帯及び5GHz帯で共振するアンテナとして利用できる。
第2給電点24は、第2面P2に配置される給電点であり、第2周波数帯域の信号が供給される。第2給電点24は、第1給電点14から、第1面P1及び第2面P2に平行な方向に離隔して配置される。具体的には、第2給電点24には、同軸ケーブル、給電ピンなどによって第2周波数帯域の信号が供給される。同軸ケーブルを用いる場合、同軸ケーブルの内部導体が第2給電点24に接続され、同軸ケーブルの外部導体が、グランド部材50に接続される。第2給電点24は、第1給電点14からできるだけ離れた位置に配置されてもよい。これにより、第1給電点14に供給される信号と、第2給電点24に供給される信号との干渉を低減できる。本実施の形態では、第2給電点24は、第1給電点14から、第1面P1及び第2面P2に平行な方向(つまり、X軸方向)に離隔して配置される。
また、第1面P1と第2面P2との間の距離は、第1アンテナ10の共振周波数帯域に対応する波長の1/10以下である。
アンテナ素子21は、図1及び図3に示されるように、第2面P2に配置され、第2給電点24から延在する導電性の素子である。本実施の形態では、アンテナ素子21は、L字状の形状を有する。具体的には、アンテナ素子21は、第2給電点24から第3面P3と交差する方向に延在する部分と、当該部分の第2給電点24から遠い方の端部から第3面P3に沿って延在する部分とを有する。本実施の形態では、アンテナ素子21のうち、第2給電点24から第3面P3と交差する方向に延在する部分は、第2給電点24から第3面P3に垂直な方向に延在する。
地線30は、接地される導電性素子であり、図1及び図2に示されるように、第1面P1に配置される。地線30は、グランド点34と、地線素子31とを有する。
グランド点34は、グランド部材50に接続されることで接地される点である。
地線素子31は、グランド点34に接続され、第1アンテナ10に沿って延在する部分を含み、第1アンテナ10と容量結合する導電性の素子である。本実施の形態では、地線素子31は、L字状の形状を有する。具体的には、地線素子31は、グランド点34から第3面P3と交差する方向に延在する部分と、当該部分のグランド点34から遠い方の端部から第3面P3に沿って延在する部分とを有する。本実施の形態では、地線素子31のうち、グランド点34から第3面P3と交差する方向に延在する部分は、グランド点34から第3面P3に垂直な方向に延在する。
地線素子31のうち、第3面P3に沿って延在する部分の少なくとも一部は、第1アンテナ10の第2素子12に沿って延在する。これにより、地線素子31は、第1アンテナ10と容量結合する。より詳しくは、地線素子31のうち、第3面P3に沿って延在する部分の少なくとも一部は、第1アンテナ10の第2素子12の開放端を含む部分に沿って延在する。ここで、第2素子12の開放端の周辺において、第1周波数帯域の信号に対応する電界強度が高くなる。したがって、このような第2素子12の開放端を含む部分に沿って、地線素子31が延在することで、地線素子31は、第2素子12と確実に容量結合できる。
また、地線素子31と第1アンテナ10の第2素子12とが近い距離で強く容量結合することにより、これらと異なる第2面P2に少し離れて配置された第2アンテナ20と第1アンテナ10との容量結合は弱くなる。
また、地線素子31の第2素子12に沿って延在する部分と、第2素子12との間の距離は、第1アンテナ10の共振周波数帯域に対応する波長の1/100以下である。これにより、地線素子31は、第1アンテナ10と確実に容量結合できる。ここで、地線30は、グランド部材50に接続されていることから、第1アンテナ10と、グランド部材50と、地線30とは、ループアンテナを形成する。ここで、このループアンテナについて、図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係るアンテナ装置1において形成されるループアンテナを説明する模式図である。図5に破線の矢印で示されるように、本実施の形態に係るアンテナ装置1では、第1アンテナ10と、地線30と、グランド部材50とがループアンテナを形成する。このループアンテナの電気長を、第1アンテナ10の共振周波数帯域(つまり、第1周波数帯域)で共振するような電気長に設定することで、第1アンテナ10の共振周波数帯域におけるアンテナ効率を高めることができる。本実施の形態では、上記ループアンテナの電気長は、第1アンテナ10の共振周波数帯域に対応する波長の約3/8である。より具体的には、上記ループアンテナの電気長は、1.2GHzに対応する波長250mmの3/8の93.75mmである。
また、地線素子31のうち第2素子12に沿って延在する部分において、地線素子31のグランド点34に近い方の端部から、地線素子31の開放端へ向かう向きと、第2素子12において、第1素子11と接続される端部から、第2素子12の開放端へ向かう向きとは、互いに逆向きである。ここで、地線素子31の開放端とは、地線素子31のうち、グランド点から遠い方の端部であり、第2素子12の開放端とは、第2素子12の端部のうち、第1素子11から遠い方の端部である。
地線素子31の電気長は、特に限定されないが、本実施の形態では、第2周波数帯域に対応する波長の約1/4である。より具体的には、地線素子31の電気長は、2.4GHzに対応する波長125mmの1/4の31.25mmである。
本実施の形態では、地線30は、第2アンテナ20と対向する位置に配置される。また、地線素子31は、第2アンテナ20のアンテナ素子21が延在する方向に沿って延在する部分を含む。具体的には、地線素子31は、第3面P3に交差する方向に延在する部分と、第3面P3に沿って延在する部分とを含む。
第1アンテナ10の第1素子11及び第2素子12、第2アンテナ20のアンテナ素子21、並びに、地線30の地線素子31の各素子は、例えば、Cu、Al、Auなどの金属、又は、複数の金属を含む合金などを用いて形成される。また、各素子は、例えば、絶縁性基板上に配置されるプリント配線などを用いることができる。なお、これらの各素子の構成は、これに限定されない。これらの各素子として、例えば、棒状、板状、シート状の導電性部材などを用いてもよい。また、各素子の製造方法は、特に限定されず、板金によって形成されてもよいし、メッキ、蒸着、LDS(Laser Direct Structuring)などによって形成されてもよい。
[1-2.作用及び効果]
次に、本実施の形態に係るアンテナ装置1の作用及び効果について説明する。まず、本実施の形態に係るアンテナ装置1の構造上の効果について説明する。図1などに示されるように、本実施の形態に係るアンテナ装置1においては、第1面P1、第2面P2及び第3面P3に各アンテナ及び地線30を分散させて立体的に配置することで、平面上に各アンテナ及び地線30を配置する場合より、小型化を実現できる。本実施の形態では、第1アンテナ10と第2アンテナ20との間の最短距離を第2周波数帯域に対応する波長の1/20程度まで近づけることができる。第2周波数帯域として2.4GHz帯を用いる場合には、第1アンテナ10と第2アンテナ20との間の最短距離を6mm程度とすることができる。
また、本実施の形態に係るアンテナ装置1では、第1アンテナ10の一部を第3面P3に配置することで、第1アンテナ10と、第1面P1に配置される地線30との構造上の干渉を回避しつつ、第1アンテナ10の電気長を確保できる。また、第2アンテナ20を第2面P2に配置することで、第2アンテナ20と、第1アンテナ10及び地線30との構造上の干渉を回避しつつ、第2アンテナ20の電気長を確保することができる。
次に、本実施の形態に係るアンテナ装置1の第1アンテナ10と第2アンテナ20とのアイソレーション特性について、比較例と比較しながら図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、それぞれ、比較例及び本実施の形態に係るアンテナ装置の通過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。図6及び図7において、縦軸が通過特性を示し、横軸が周波数を示す。図6及び図7に示される通過特性は、第1アンテナ10に印加された信号が第2アンテナ20に通過する割合を示す指標である。つまり、通過特性が低いほど、アイソレーション特性が良いことを示す。
比較例のアンテナ装置は、地線30を備えない点において、本実施の形態に係るアンテナ装置1と相違し、その他の点において一致するアンテナ装置である。
図6に示される比較例に係るアンテナ装置では、第1アンテナ10及び第2アンテナ20の双方の共振周波数帯域である2.4GHz帯において、通過特性が-8dBから-9dB程度である。比較例に係るアンテナ装置では、第1アンテナ10及び第2アンテナ20がグランドとして機能するグランド部材50を共有しており、かつ、これらの二つのアンテナ間の距離が小さい。これに伴い、これら二つのアンテナで共振する電磁波が、グランド部材50を介して結合する。したがって、これら二つのアンテナのアイソレーションを十分に確保できない。
これに対して、図7に示される本実施の形態に係るアンテナ装置1では、通過特性が-17dBから-19dB程度である。つまり、比較例のアンテナ装置と比べて、本実施の形態に係るアンテナ装置1の方が2.4GHz帯におけるアイソレーション特性が改善されている。無線通信装置において必要とされるアイソレーション特性の程度は、各装置の仕様に依存するが、一般に通過特性が-10dB以下であることが要求される。本実施の形態に係るアンテナ装置1によれば、このような一般的なアイソレーション特性の要求仕様を満たすことができる。
本実施の形態に係るアンテナ装置1におけるアイソレーション特性の改善は、地線30が、第1アンテナ10及び第2アンテナ20の放射指向性に影響を与えることに起因する。具体的には、地線30と、第1アンテナ10及び第2アンテナ20との位置関係などが互いに異なる。このため、地線30は、第1アンテナ10及び第2アンテナ20の放射指向性にそれぞれ異なる影響を与える。これに伴い、第1アンテナ10及び第2アンテナ20の放射指向性の類似性が低減される。したがって、第1アンテナ10と第2アンテナ20との結合効率が低下するため、第1アンテナ10と第2アンテナ20とのアイソレーション特性が改善されると推測される。
次に、本実施の形態に係るアンテナ装置1の第1アンテナ10及び第2アンテナ20のアンテナ効率について、上記比較例と比較しながら図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、それぞれ、比較例及び本実施の形態に係るアンテナ装置のアンテナ効率のシミュレーション結果を示すグラフである。図8及び図9に示される実線及び点線の曲線がそれぞれ第1アンテナ10及び第2アンテナ20のアンテナ効率を示す。図8及び図9において、縦軸がアンテナ効率を示し、横軸が周波数を示す。図8及び図9に示されるアンテナ効率は、アンテナに供給された電力に対する放射された電力の比を意味する。
図8及び図9に示されるように、1.2GHz帯において、比較例に係る第1アンテナ10のアンテナ効率は-5dB程度であるのに対して、本実施の形態に係るアンテナ装置1では、第1アンテナ10のアンテナ効率は、-1.6dB程度である。これは、第1アンテナの共振周波数が1.5GHzから1.2GHzに低下しているためであり、本実施の形態に係る第1アンテナ10が地線30とグランド部材50とで1.2GHz帯で共振するループアンテナを形成することに起因する。
つまり、本実施の形態においては、第1アンテナ10と第2アンテナ20のアイソレーションを改善するだけでなく、このようなループアンテナも同時に構成することにより、第1アンテナの低周波化(つまり、アンテナの小型化)を実現することができる。このように本実施の形態に係るアンテナ装置1においては、比較例に係るアンテナ装置より、1.2GHz帯における第1アンテナ10のアンテナ効率を高めることができる。
また、図8及び図9に示されるように、2.4GHz帯において、比較例に係る第2アンテナ20のアンテナ効率は-3.5dB程度であるのに対して、本実施の形態に係るアンテナ装置1では、第2アンテナ20のアンテナ効率は、-1.5dB程度である。このように本実施の形態に係るアンテナ装置1においては、比較例に係るアンテナ装置より、2.4GHz帯における第2アンテナ20のアンテナ効率が高められる。これは、本実施の形態に係る地線30の電気長が第2周波数帯域である2.4GHz帯に対応する波長の約1/4であるため、地線30において2.4GHz帯の信号が共振することに起因すると推測される。つまり、本実施の形態においては、第2アンテナ20だけでなく、地線30も、2.4GHz帯の信号の放射に寄与していると推測される。
以上のように、本実施の形態によれば、第1アンテナ10及び第2アンテナ20を備えるアンテナ装置1であって、これらのアンテナ間のアイソレーションを確保しつつ、小型化を実現できるアンテナ装置を提供できる。さらに、本実施の形態によれば、アンテナ装置1の各アンテナのアンテナ効率も高めることができる。このように、本実施の形態では、二つのアンテナ間のアイソレーションを確保しつつ、各アンテナのアンテナ効率を高めることができる。
また、本実施の形態では、地線30は、第2アンテナ20と対向する位置に配置されるため、第2給電点24とグランド点34とが近くなり、第2アンテナ20と地線30との結合効率を高めることができる。したがって、地線30からの2.4GHz帯における放射効率を高めることができる。さらに、地線30は、第2アンテナ20のアンテナ素子21が延在する方向に沿って延在する部分を含むため、限られたスペースに配置可能となり、アンテナを小型化することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るアンテナ装置及びアンテナ装置を備える通信端末について説明する。本実施の形態に係るアンテナ装置は、主に、第1アンテナ及び第2アンテナがそれぞれ短絡線を備える点において、実施の形態1に係るアンテナ装置1と相違する。以下、本実施の形態に係るアンテナ装置及び通信端末について図10~図14を用いて説明するが、実施の形態1に係るアンテナ装置1と共通する構成の一部については、説明を省略する。
図10は、本実施の形態に係る通信端末102の外観を示す模式図である。本実施の形態に係る通信端末102は、無線通信を行う端末であり、図10に示されるように、アンテナ装置101を備える。通信端末102は、さらに、表示部190と、筐体192とを備える。通信端末102は、例えば、タブレット型端末である。
表示部190は、通信端末102において、画像を表示するモニタである。表示部190として、例えば、液晶表示パネル、有機EL(Electro-Luminescence)表示パネルなどを用いることができる。
筐体192は、通信端末102が備えるアンテナ装置101及びその他の回路及び部品を収容するケースである。筐体192のうち、少なくともアンテナ装置101の周辺は、樹脂などの絶縁性材料によって形成される。これにより、アンテナ装置101から放射される電磁波を筐体192の外部に放射することができ、外部から入射する電磁波が筐体192を通過してアンテナ装置101に伝播することができる。
アンテナ装置101は、実施の形態1に係るアンテナ装置1と同様に、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の信号を送受信する無線通信装置である。図10に示されるように、アンテナ装置101は、筐体192の内部に配置される。以下、本実施の形態に係るアンテナ装置101について、図11~図14を用いて説明する。図11は、本実施の形態に係るアンテナ装置101の全体構成を示す模式図である。図11においては、第1面P1側から見たアンテナ装置101の斜視図が示されている。図12、図13及び図14は、それぞれ、本実施の形態に係るアンテナ装置101の第1面P1、第2面P2及び第3面P3の平面視における模式図である。図11~図14においては、通信端末102の筐体192を取り外した状態が示されている。図11に示されるように、アンテナ装置101は、グランド部材150に配置される。
グランド部材150は、接地された導電性部材である。本実施の形態では、グランド部材150は、通信端末102のフレームとして機能する部材である。グランド部材150の外縁に形成された凹部にアンテナ装置101が配置及び接続される。グランド部材150は、導電性の材料で形成される。グランド部材150は、例えば、マグネシウムなどで形成される。
図11に示されるように、本実施の形態に係るアンテナ装置101は、第1面P1、第1面P1と平行な第2面P2、並びに、第1面P1と第2面P2とを接続し第1面P1及び第2面P2と垂直な第3面P3に配置され、第1アンテナ110と、第2アンテナ120と、地線130とを備える。アンテナ装置101は、例えば、第1面P1、第2面P2及び第3面P3を有する絶縁性基板上に配置される(絶縁性基板は不図示)。なお、本実施の形態では、第1面P1は、通信端末102における表示部190より、表示部190の裏側の面(つまり、通信端末102の背面)に近い位置に配置される面である。また、第2面P2は、通信端末102における表示部190の裏側の面(つまり、通信端末102の背面)より、表示部190に近い位置に配置される面である。
第1アンテナ110は、第1面P1及び第3面P3に配置されるアンテナであり、図12に示されるように、第1給電点114と、第1素子111と、第2素子112と、第1短絡素子113と、第1スリット115と、第1グランド素子116とを有する。
第1給電点114は、第1周波数帯域の信号が供給される点である。第1給電点114は、実施の形態1に係る第1給電点14と同様の構成を有する。
第1素子111は、図12に示されるように、第1面P1に配置され、第1給電点114から第3面P3まで延在する導電性の素子である。本実施の形態では、第1素子111は、矩形平板状の形状を有する。
第2素子112は、図12及び図14に示されるように、第3面P3に配置され、第1素子111の端部から第1面P1に沿って延在する導電性の素子である。本実施の形態では、第2素子112は、矩形平板状の形状を有する。第2素子112の第1素子111から遠い方の端部には、第1短絡素子113が接続されている。
第1短絡素子113は、第1アンテナ110とグランド部材150とを短絡する導電性の素子である。本実施の形態では、第1短絡素子113は、第1面P1及び第3面P3に配置され、第2素子112の第1素子111から遠い方の端部と、第1グランド素子116とを接続する。第1短絡素子113は、第1グランド素子116を介して第1アンテナ110の第2素子112とグランド部材150とを短絡する。第1短絡素子113は、第1素子111及び第2素子112に沿って配置される。第1短絡素子113と、第1素子111及び第2素子112との間に第1スリット115が配置される。図12に示されるように、第1短絡素子113は、第1面P1において、第1素子111に沿って配置される長尺状の部分を有する。また、図14に示されるように、第1短絡素子113は、第3面P3において、第2素子112に沿って配置されるL字状の部分を有する。
第1スリット115は、図12及び図14に示されるように、第1アンテナ110の第1素子111及び第2素子112と、第1短絡素子113とを分離するスリットである。
第1グランド素子116は、グランド部材150に接続される素子である。第1グランド素子116には、第1短絡素子113が接続される。第1グランド素子116とグランド部材150との接続態様は特に限定されない。本実施の形態では、第1グランド素子116は、グランド部材150に設けられたネジ孔にねじ込まれた導電性のネジ118と、グランド部材150とによって挟持されることで、グランド部材150に接続及び固定される。
第2アンテナ120は、第2面P2に配置されるアンテナであり、図13に示されるように、第2給電点124と、アンテナ素子121と、第2短絡素子123と、第2スリット125と、第2グランド素子126とを有する。
第2給電点124は、第2周波数帯域の信号が供給される点である。第2給電点124は、実施の形態1に係る第2給電点24と同様の構成を有する。
アンテナ素子121は、図13に示されるように、第2面P2に配置され、第2給電点124から延在する導電性の素子である。本実施の形態では、アンテナ素子121は、第2給電点124から、第3面P3に沿って延在する。アンテナ素子121は、矩形平板状の形状を有する。アンテナ素子121の第2給電点124から遠い方の端部には、第2短絡素子123が接続されている。
第2短絡素子123は、第2アンテナ120とグランド部材150とを短絡する導電性の素子である。本実施の形態では、第2短絡素子123は、第2面P2に配置され、アンテナ素子121の第2給電点124から遠い方の端部と、第2グランド素子126とを接続する。第2短絡素子123は、第2グランド素子126を介して第2アンテナ120のアンテナ素子121とグランド部材150とを短絡する。第2短絡素子123は、アンテナ素子121に沿って配置される。第2短絡素子123と、アンテナ素子121との間に第2スリット125が配置される。図13に示されるように、第2短絡素子123は、第2面P2において、アンテナ素子121に沿って配置される長尺状の部分を有する。
第2スリット125は、図13に示されるように、第2アンテナ120のアンテナ素子121と、第2短絡素子123とを分離するスリットである。
第2グランド素子126は、グランド部材150に接続される素子である。第2グランド素子126には、第2短絡素子123が接続される。第2グランド素子126とグランド部材150との接続態様は特に限定されない。本実施の形態では、第2グランド素子126は、グランド部材150に設けられたネジ孔にねじ込まれた導電性のネジ128と、グランド部材150とによって挟持されることで、グランド部材150に接続及び固定される。
地線130は、接地される導電性素子であり、図11に示されるように、第1面P1に配置される。地線130は、図12に示されるように、グランド点134と、地線素子131とを有する。
グランド点134は、グランド部材150に接続されることで接地される点である。
地線素子131は、グランド点134に接続され、第1アンテナ110に沿って延在する部分を含み、第1アンテナ110と容量結合する導電性の素子である。本実施の形態では、地線素子131は、L字状の形状を有する。具体的には、地線素子131は、グランド点134から第3面P3と交差する方向に延在する部分と、当該部分のグランド点134から遠い方の端部から第3面P3に沿って延在する部分とを有する。本実施の形態では、地線素子131のうち、グランド点134から第3面P3と交差する方向に延在する部分は、グランド点134から第3面P3に垂直な方向に延在する。
地線素子131のうち、第3面P3に沿って延在する部分の少なくとも一部は、第1アンテナ110の第2素子112に沿って延在する。これにより、地線素子131は、第1アンテナ110と容量結合する。より詳しくは、地線素子131のうち、第3面P3に沿って延在する部分の少なくとも一部は、第1アンテナ110の第2素子112の開放端を含む部分に沿って延在する。これにより、地線素子131は、第2素子112と確実に容量結合できる。
また、地線素子131の第2素子112に沿って延在する部分と、第2素子112との間の距離は、第1アンテナ110の共振周波数帯域に対応する波長の1/100以下である。これにより、地線素子131は、第1アンテナ110と確実に容量結合できる。ここで、地線130は、グランド部材150に接続されていることから、第1アンテナ110と、グランド部材150と、地線130とは、ループアンテナを形成する。
本実施の形態では、地線130は、第2アンテナ120と対向する位置に配置される。また、地線素子131は、第2アンテナ120のアンテナ素子121が延在する方向に沿って延在する部分を含む。具体的には、地線素子131は、第3面P3に沿って延在する部分を含む。
地線130とグランド部材150との接続態様は特に限定されない。本実施の形態では、地線130は、グランド部材150に設けられたネジ孔にねじ込まれた導電性のネジ138と、グランド部材150とによって挟持されることで、グランド部材150に接続及び固定される。
本実施の形態に係るアンテナ装置101においても、実施の形態1に係るアンテナ装置1と同様の作用及び効果が奏される。また、本実施の形態に係る通信端末102では、アンテナ装置101を備えるため、アンテナ装置101と同様の効果が奏される。
(変形例など)
以上、本開示について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記各実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記各実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記各実施の形態において、地線は、第1面P1だけに配置されたが、地線は、第3面P3にも配置されてもよい。
また、上記各実施の形態に係るアンテナ装置が備える各素子の形状は、上記各実施の形態で例示した形状に限定されない。各素子の形状は、楕円などであってもよいし、湾曲していてもよい。
また、上記各実施の形態に係るアンテナ装置の各素子の一部に、ミアンダ構造が採用されてもよい。
また、上記実施の形態2では、アンテナ装置101をタブレット型端末に適用する例について説明したが、上記各実施の形態に係るアンテナ装置は、タブレット型端末以外にも適用可能である。例えば、上記各実施の形態に係るアンテナ装置は、ノート型PC(Personal Computer)、スマートフォンなどの他の通信端末にも適用可能である。
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態なども本開示に含まれる。
本開示のアンテナ装置は、二つのアンテナを備え、これらの二つのアンテナ間のアイソレーションを確保しつつ小型化を実現できるアンテナ装置として、例えば、タブレット型端末、ノート型PC、スマートフォンなどの通信端末に利用可能である。
1、101 アンテナ装置
10、110 第1アンテナ
11、111 第1素子
12、112 第2素子
14、114 第1給電点
20、120 第2アンテナ
21、121 アンテナ素子
24、124 第2給電点
30、130 地線
31、131 地線素子
34、134 グランド点
50、150 グランド部材
102 通信端末
113 第1短絡素子
115 第1スリット
116 第1グランド素子
118、128、138 ネジ
123 第2短絡素子
125 第2スリット
126 第2グランド素子
190 表示部
192 筐体
P1 第1面
P2 第2面
P3 第3面

Claims (8)

  1. 第1面、前記第1面と平行な第2面、並びに、前記第1面と前記第2面とを接続し前記第1面及び前記第2面と垂直な第3面、に配置されるアンテナ装置であって、
    前記第1面及び前記第3面に配置される第1アンテナと、
    前記第2面に配置される第2アンテナと、
    前記第1面に配置される地線とを備え、
    前記第1アンテナは、
    前記第1面に配置される第1給電点と、
    前記第1面に配置され、前記第1給電点から前記第3面まで延在する導電性の第1素子と、
    前記第3面に配置され、前記第1素子の端部から前記第1面に沿って延在する導電性の第2素子とを有し、
    前記第2アンテナは、
    前記第1給電点から、前記第1面及び前記第2面に平行な方向に離隔して配置される第2給電点と、
    前記第2給電点から延在する導電性のアンテナ素子とを有し、
    前記地線は、
    接地されるグランド点と、
    前記グランド点に接続され、前記第1アンテナに沿って延在する部分を含み、前記第1アンテナと容量結合する導電性の地線素子とを有する
    アンテナ装置。
  2. 前記地線素子の前記第1アンテナに沿って延在する部分は、前記第2素子に沿って延在する部分を含み、
    前記第2素子に沿って延在する部分と、前記第2素子との間の距離は、前記第1アンテナの共振周波数帯域に対応する波長の1/100以下であり、
    前記グランド点は、接地されたグランド部材に接続され、かつ、前記第1アンテナと、前記地線素子と、前記グランド部材とは、ループアンテナを形成する
    請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記ループアンテナの電気長は、前記第1アンテナの共振周波数帯域に対応する波長の3/8である
    請求項2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記地線は、前記第2アンテナと対向する位置に配置される
    請求項1~3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  5. 前記地線素子の電気長は、前記第2アンテナの共振周波数帯域に対応する波長の1/4である
    請求項1~4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  6. 前記地線素子は、前記第2素子の開放端を含む部分に沿って延在する部分を含む
    請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  7. 前記地線素子のうち前記第2素子の開放端を含む部分に沿って延在する部分において、前記地線素子の前記グランド点に近い方の端部から、前記地線素子の開放端へ向かう向きと、前記第2素子において、前記第1素子と接続される端部から、前記第2素子の開放端へ向かう向きとは、互いに逆向きである
    請求項6に記載のアンテナ装置。
  8. 前記第1面と前記第2面との間の距離は、前記第1アンテナの共振周波数帯域に対応する波長の1/10以下である
    請求項1~7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
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