JP7369081B2 - 誘電率推定装置及び誘電率推定方法 - Google Patents
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Description
送信部と、複数の受信部と、処理部とを備えており、
前記送信部は、立体形状を有する試料の内部に向けて電波を送信する構成となっており、
前記複数の受信部は、前記送信部との間に前記試料を挟む位置に配置されて、前記試料を透過した前記電波を受信する構成となっており、
かつ、前記複数の受信部は、前記試料の周方向に沿って互いに間隔を置いて配置されており、
前記処理部は、前記複数の受信部により受信された測定データと、前記測定データを得たときと同じ前記送信部及び前記受信部の位置関係において前記試料の誘電率を仮定して得られる算出データとの類似度を算出する構成となっている
ことを特徴とする誘電率推定装置。
前記複数の受信部は、前記送信部と前記試料の中心部とを通る仮想線を中心として非対称となる位置に配置されている
項目1に記載の誘電率推定装置。
前記試料は、長尺の柱状に形成されており、
前記送信部及び複数の受信部は、前記試料に対して、前記試料の長手方向に沿って移動可能とされている
項目1又は2に記載の誘電率推定装置。
前記処理部は、前記類似度が最も高い値となる前記算出データに対応する誘電率を前記試料の誘電率と推定する構成となっている
項目1~3のいずれか1項に記載の誘電率推定装置。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る誘電率推定装置(以下「推定装置」又は単に「装置」と略称することがある)について説明する。
本実施形態の推定装置は、送信部1と、複数の受信部2と、処理部3とを備えている(図1参照)。この装置は、出力部4とスイッチ5とハウジング6と筒体7(後述の図2参照)とを追加的要素として備えている。
送信部1は、立体形状を有する試料10(図1において二点鎖線で示す)の内部に向けて電波を送信する構成となっている。送信部1は、送信用アンテナ(図示せず)を備えており、所定の周波数帯域及びパワーを持つ電波を所定のタイミングで送信できるようになっている。また、本実施形態の送信部1は、円筒状のハウジング6(後述)に取り付けられている。図1においては、ハウジング6を模式的に一つの円で表している。送信部1は、配線11により処理部3に電気的に接続されている。
複数の受信部2は、送信部1との間に試料10を挟む位置に配置されている。これらの受信部2はいずれも、受信用アンテナ(図示せず)を備えており、送信部1から送信されて試料10を透過した電波を受信する構成となっている。この明細書においては、複数の受信部を参照するときは符号2を用い、個別の受信部を参照するときは符号2a~2gのように添え字を付す。
処理部3は、複数の受信部2により受信された測定データと、この測定データを得たときと同じ送信部1及び受信部2の位置関係において試料10の誘電率を仮定して得られる算出データとの類似度を算出する構成となっている。
出力部4は、処理部3で算出された類似度あるいは推定された誘電率を出力する構成となっている。出力部4としては、例えば、ユーザにそのような情報を提示するためのディスプレイであるが、それには制約されず、例えば、情報を記録するための各種のメモリや、ネットワークを介して情報を外部に転送するためのインタフェースであってもよい。
本実施形態のスイッチ5としては、複数の受信部2からの配線21のうち、処理部3に接続されるべきものを、例えばトランジスタやダイオードを用いて電子的に順次切り替える素子が用いられている。
本実施形態のハウジング6は、円筒状に形成されており、その内部には、送信部1及び複数の受信部2が収納されている。ハウジング6は、管体7の外側に嵌合するように配置されており、図示しない駆動手段により、管体7に対して、つまり試料10に対して、その長手方向に沿って移動可能とされている。図1においては、管体7の記載を省略している。また図2においては、ハウジング6から外部に引き出される配線21の記載を省略している。
本実施形態において用いられる試料10としては、誘電率の測定が必要な立体形状の有体物が用いられる。そのような試料10としては、例えば地盤調査のための円柱状の供試体(いわゆるコア)であるが、これらには制約されない。また、試料10の形状としては、円柱状には制約されず、例えば惰円柱状、角柱状、立方体状など、適宜の形状とすることができる。本実施形態の説明においては、試料が長尺の柱状に形成されていることを仮定する。試料10の寸法は特に制約されないが、試料10がコアである場合、通常は、直径数センチメートル~数十センチメートル、長さ数十センチメートル~1メートル程度である。
次に、図3をさらに参照して、本実施形態における誘電率推定方法について説明する。
まず、試料10を管体7の内部に収納する。この作業に前後して、あるいはそれと同時に、ハウジング6を管体7の外側に嵌合させる(図2参照)。これにより、送信部1と受信部2と試料10との位置関係を、図1に示すような所定の位置関係とすることができる。またこれにより、送信部1と受信部2との間に試料10を挟む状態とすることができる。この状態において、処理部3から送信部1への指令に基づき、立体形状を有する試料10の内部方向に向けて送信部1から電波が送信される。
この状態では、試料10の内部を透過した電波を、各受信部2により受信することが可能になる。ついで、処理部3に接続する受信部2を、スイッチ5により切り替える。本実施形態では、図1における反時計方向に配列された順で、受信部2を処理部3に接続し、受信データを処理部3に送る。
前記したステップSA-2の手順により、処理部3は、試料10の内部における電波の伝搬時間と電波の受信振幅とを、各受信部2の位置ごとに取得することができる。つまり、処理部3は、受信部2で取得された電波(透過波)の走時(送信から受信までに要した時間)に対する振幅の変化(時間波形)を、各受信部2の位置に応じて取得することができる。ここで、本実施形態における送信部1及び各受信部2はハウジング6に取り付けられているので、これらの位置関係は既知として扱うことができる。したがって、周方向における各受信部2の位置は既知とすることができる。
前記したステップSA-1~3の動作と前後して、あるいは同時に、試料10において推定される誘電率を処理部3において設定する。設定される誘電率としては、同様の試料について予測される値(例えば過去に同様の試料において実測された値又はその近傍の値)を用いることが好ましい。
前記のステップと前後して、あるいは同時に、送信部1の位置(つまり送信位置)と受信部2の位置(つまり受信位置)との間の距離データを取得する。ここで、本実施形態では、送信部1と複数の受信部2との位置関係が固定されているので、距離データは既知とすることができ、既定値を用いることができる。
ついで、処理部3は、設定された誘電率と、送受信位置間の距離とを用いて、走時曲線を算出する。算出された走時曲線のデータは、本発明における「測定データを得たときと同じ送信位置及び受信位置の位置関係において試料の誘電率を仮定して得られる算出データ」の一例に相当する。
v:電波の伝搬速度
c:真空中の光速
である。
ついで、処理部3は、受信された測定データと、得られた算出データとの類似度を算出する。本実施形態においては、類似度として、センブランス(Semblance)を用いる。誘電率εrにおけるセンブランスS(εr)は下記式により算出できる。
得られたセンブランスを図4Dに示す。いずれの誘電率の場合(図4A~図4C参照)であっても、若干の誤差はあるが、センブランスのピーク値を用いて、試料の誘電率を推定できる。この推定は、得られたセンブランスのデータを見たユーザにより行うこともできるし、処理部3により自動的にピーク値を検出して行うこともできる。
ここで、本実施形態により長尺試料を測定する具体的な実施例について説明する。まず、図8を参照して、この実施例において用いられる試料10について説明する。この試料10は、全体として長尺の円柱状に形成されたボーリングコア(単に「コア」と略称する)である(図8(a)参照)。このようなコアは、例えば地中の性状を調べるために、地中にボーリングを行うことにより採取される。この試料10は、例えば、異なる構成材料や状態の部分10a~10dを有している。
次に、本発明の第2実施形態に係る推定装置を、図10~図13に基づいて説明する。この第2実施形態の説明においては、前記した第1実施形態の装置と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、説明の煩雑を避ける。
11 送信部用の配線
2・2a~2k 複数の受信部
21 受信部用の配線
3 処理部
4 出力部
5 スイッチ
6 ハウジング
7 管体
10 試料
101 試料を通る仮想線
G 地盤
Claims (4)
- 送信部と、複数の受信部と、処理部とを備えており、
前記送信部は、立体形状を有する試料の内部に向けて電波を送信する構成となっており、
前記複数の受信部は、前記送信部との間に前記試料を挟む位置に配置されて、前記試料を透過した前記電波を受信する構成となっており、
かつ、前記複数の受信部は、前記試料の周方向に沿って互いに間隔を置いて配置されており、
さらに、前記複数の受信部は、前記送信部と前記試料の中心部とを通る仮想線を中心として非対称となる位置に配置されており、
前記処理部は、前記複数の受信部により受信された測定データと、前記測定データを得たときと同じ前記送信部及び前記受信部の位置関係において前記試料の誘電率を仮定して得られる算出データとの類似度を算出する構成となっている
ことを特徴とする誘電率推定装置。 - 前記試料は、長尺の柱状に形成されており、
前記送信部及び複数の受信部は、前記試料に対して、前記試料の長手方向に沿って移動可能とされている
請求項1に記載の誘電率推定装置。 - 前記処理部は、前記類似度が最も高い値となる前記算出データに対応する誘電率を前記試料の誘電率と推定する構成となっている
請求項1又は2に記載の誘電率推定装置。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の誘電率推定装置を用いて行われる誘電率推定方法であって、
前記複数の受信部により受信された測定データと、前記測定データを得たときと同じ前記送信部及び前記受信部の位置関係において前記試料の誘電率を仮定して得られる算出データとの類似度を算出する工程を有する
誘電率推定方法。
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