JP7369017B2 - コロイド粒子を用いた被検物質検出増感法 - Google Patents

コロイド粒子を用いた被検物質検出増感法 Download PDF

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Description

本発明は、被検物質の検出方法に関する。
疎水コロイド粒子の分散安定性はデリャーギン・ランダウ・フェルウェー・オーバービーク理論(DLVO理論)として知られており、電気二重層によるものと考えられている。これに対し、親水コロイド粒子の分散安定性は水和水による立体障害などによるものと考えられている。
ナノサイズのコロイド粒子はその光エレクトロニクス特性や広い表面積、金属コロイドに見られる呈色などの性質により、被検物質検出に多く用いられている。コロイド粒子(分子コロイドを除く)を用いた被検物質の検出方法は数多くあるが、コロイド粒子表面を修飾する被検物質に対する親和性物質を介してコロイド粒子を結合させ、コロイド粒子の直接的あるいは間接的なシグナルを観察するものがほとんどであった。そのため、被検物質濃度が一定以下の場合、検出対象であるコロイド粒子数の不足により、検出に必要な感度が得られないことがあった。
コロイド粒子を用いない様々な被検物質検出増感法(分子コロイドを用いたものを含む)では各ステップにおける特異性が問題となるため、ストレプトアビジン-ビオチン結合や、抗原抗体反応、核酸のハイブリダイゼーションなどが用いられてきた。シグナル増感は可能であればシンプルで反復可能であることが好ましい。PCRなどの核酸のハイブリダイゼーションと被検物質複製による被検核酸検出のシグナル増幅はこれを満たす。しかし、PCRなどはその増幅に温度変化が必須であり、専用の機器と長い反応時間を必要とする。これに対し、抗原抗体反応やストレプトアビジン-ビオチン結合によるシグナル増幅は特殊な機器や環境を必要としない。これらは、ELISAやウェスタンブロット等、被検物質がタンパク質であった際に広く用いられてきたが、そのほとんどが一回のみの増感ステップであった。
粒子を用いた検出系ではこれまでに顕微鏡や電子顕微鏡での観察、抗原に対する凝集反応、ラテラルフローイムノアッセイ法やこれの代替となるマイクロ流路チップ(特許文献1参照)、ブロッティングなどに用いられてきた。
非特許文献1のように、ストレプトアビジン-ビオチン結合を組み合わせ、これを繰り返すことによりシグナルを増幅する技術も存在するが、このような分子コロイドによる2液系の手順の繰り返しを用いた場合、その多くがそれまでのステップに用いられた分子に対し結合してしまい、増幅効果が小さくなる。これが分子コロイドを用いたシグナル増幅の問題点だと考えられる。
特許文献2については、ストレプトアビジン-ビオチン結合を組み合わせ、qDOT粒子を用いて増感を行っている。qDOTのサイズは比較的小さく、繰り返し増感に用いる標識分子の種類やサイズや数が限られる。たとえば抗体等の大きな分子は適さない。また、最初のステップで被検物質に対する親和性物質としてビオチン標識した抗体を用いているが、このステップで親和性物質より大きいコロイド粒子上に親和性物質を多数結合させた場合に比べ、続く増感ステップで用いることができる物質・物体のサイズあるいは数が限定される。さらに、最初のステップだけでは被検物質を検出することはできず、被検物質が比較的高濃度であっても、検出には工程を複数要する。
特開2017-78664号公報 特許第4654414号公報
J Am Chem Soc. 2005 Jul 6;127(26):9328-9.
本発明は、低濃度の被検物質検出に用いるシグナル増感法の提供を目的とする。
従来のコロイド粒子を用いる被検物質検出法では、被検物質の濃度が低い場合、十分な感度を得ることができないことに鑑み、本発明者らは感度を上昇させる方法について鋭意検討を行った。
本発明者らは、被検物質に対し直接的・あるいは間接的に結合したコロイド粒子に対し、コロイド粒子同士を互いの表面修飾物質ペアの特異的な結合により結合させ、あるいはこれを繰り返すことで、コロイド粒子数を増加させ、検出感度の増大を図る方法を発明した。検出にはコロイド粒子自体の直接的な光学的検出、あるいはコロイド粒子に直接的あるいは間接的に結合させた反応物質を用い、光学的、化学的、電気的に被検物質の検出を行うことにより感度を上昇させることができることを見出した。
従来の分子コロイド同士を繰り返し結合させる手法では、例えば反応物質の組み合わせ(AとB)が互いに結合するとして、交互に結合させるためには、A及び/又はBがポリマーとして存在する必要があったり、過剰量のA又はBを交互に加える必要があったりした。あるいはAとB以外の物質を次々に用いた場合、これら物質を(AにBを、BにCを、CにDを…という具合に)次々に結合させて行くことができるが、これらの物質の組み合わせに限りがあることや、これら物質間の親和性や結合特異性に問題が出る場合があった。しかし、反応物質に比して十分に大きいコロイド粒子上にこのような反応物質を結合させることで、このような問題を回避できる。たとえば反応物質Aを結合させたコロイド粒子と反応物質Bを結合させたコロイド粒子はそれぞれA又はBの巨大なポリマーとして考えることができる。これらを交互にアプライすると、各ステップにおいて粒子上には必ず未反応なA又はBが残ることにより次ステップの結合が可能である。あるいは複数の物質の組み合わせを同じコロイド粒子に結合させることができる。これにより結合親和性や結合特異性が高いコロイド粒子の組み合わせを作成することができる。さらに、反応物質は分子コロイドの状態に比べ、コロイド粒子上に非常に高い濃度で吸着又は固定されていることにより(pre-concentration)、コロイド粒子表面では高い反応速度が得られる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 被検物質に親和性を有する物質を結合させたコロイド粒子を用いた被検物質の検出方法において、被検物質検出の感度を増加させる方法であって、以下の(i)から(iii)の工程を含み、各工程で添加するコロイド粒子の複合体の形成により被検物質の検出感度が上昇する、被検物質検出の感度を増加させる方法:
(i) 被検物質と第1番目のコロイド粒子を直接的に又は間接的に結合させるBS(Binding Step)工程;
(ii) 被検物質と第1番目のコロイド粒子の複合体に、コロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子(MC)をn回添加するSS(Sensitizing Step)工程[nは自然数]であって、m番目のSS(m)工程で添加する増感用修飾コロイド粒子(Modified colloid particle)MC(m)はコロイド粒子C(m)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)が結合したものであり、SS(m+1)工程で添加するコロイド粒子MC(m+1)はコロイド粒子C(m+1)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m+1)が結合したものであり、M(m)とM(m+1)は親和性があり、MC(m)とMC(m+1)はM(m)とM(m+1)の結合を介して複合体を形成する工程[mは自然数であり、m+1≦nである。];並びに
(iii) 形成されたコロイド粒子から直接的又は間接的に発生するシグナルを検出して、被検物質を検出するDS(Detecting Step)工程。
[2] 被検物質に親和性を有する物質を結合させたコロイド粒子を用いた被検物質の検出方法において、被検物質検出の感度を増加させる方法であって、以下の(i)から(iii)の工程を含み、各工程で添加するコロイド粒子の複合体の形成により被検物質の検出感度が上昇する、被検物質検出の感度を増加させる方法:
(i) 被検物質と第1番目のコロイド粒子[この表面が修飾されたコロイド粒子をMC(0)とし、コロイド粒子C(0)に表面修飾物質M(0)が結合したものとする。]を直接的に又は間接的に結合させるBS(Binding Step)工程;
(ii) 被検物質と第1番目のコロイド粒子の複合体に、コロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子(MC)をn回添加するSS(Sensitizing Step)工程[nは自然数]であって、m番目のSS(m)工程で添加する増感用修飾コロイド粒子(Modified colloid particle)MC(m)はコロイド粒子C(m)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)が結合したものであり、1つ前の工程[m>1であればSS(m-1)工程、m=1であればBS工程]で添加するコロイド粒子MC(m-1)はコロイド粒子C(m-1)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m-1)が結合したものであり、M(m-1)とM(m)は親和性があり、MC(m-1)とMC(m)はM(m-1)とM(m)の結合を介して複合体を形成する工程[mは自然数であり、m≦nである。];並びに
(iii) 形成されたコロイド粒子から直接的又は間接的に発生するシグナルを検出して、被検物質を検出するDS(Detecting Step)工程。
[3] BS工程及び/又はSS工程の少なくとも1つの工程においてコロイド粒子の直接的なシグナルを検出又は測定する[1]又は[2]の方法。
[4] コロイド粒子の直径が10nm以上の[1]~[3]のいずれかの方法。
[5] nが1~10である、[1]~[4]のいずれかの方法。
[6] BS工程において、被検物質が被検物質に対する親和性物質を介して、あるいは介さずに不溶性担体に結合されている、[1]~[5]のいずれかの方法。
[7] BS工程において、被検物質と被検物質に親和性を有する物質を結合させた第1番目のコロイド粒子を結合させる、[1]~[6]のいずれかの方法。
[8] SS工程で用いるコロイド粒子が、多種類から構成される、[1]~[7]のいずれかの方法。
[9] SS工程で用いるコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子MC(n)が、m番目のSS工程で添加する増感用修飾コロイド粒子MC(m)及びm+1番目のSS工程で添加する増感用修飾コロイド粒子MC(m+1)の2種類から構成される、[1]~[8]のいずれかの方法。
[10] SS工程で用いるコロイド粒子が、m番目のSS工程で用いるコロイド粒子C(m)及びm+1番目のSS工程で用いるコロイド粒子C(m+1)の2種類から構成される、[1]~[9]のいずれかの方法。
[11] SS工程で用いるコロイド粒子が、1種類から構成される、[1]~[7]のいずれかの方法。
[12] BS工程で用いる被検物質に親和性を有する物質を結合させた第1番目のコロイド粒子と、SS(m)[mは偶数]工程で用いる増感用修飾コロイド粒子MC(m)が同じである、[1]~[7]のいずれかの方法。
[13] SS(1)工程で用いる増感用修飾コロイド粒子MC(1)と、SS(m)[mは奇数]工程で用いる増感用修飾コロイド粒子MC(m)が同じである、[1]~[7]及び[12]のいずれかの方法。
[14] コロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)とM(m+1)の親和性を有する組合せが抗原と抗体の組合せである、[1]~[13]のいずれかの方法。
[15] 被検物質が生物由来の物質である、[1]~[14]のいずれかの方法。
[16] 被検物質がウィルスを含む感染性微生物由来の物質である、[1]~[14]のいずれかの方法。
[17] 検出工程であるDS工程に酵素反応を用いる、[1]~[16]のいずれかの方法。
[18] 被検物質検出法がイムノクロマト法である、[1]~[17]のいずれかの方法。
[19] [1]~[18]のいずれかの方法に用いるための、少なくとも被検物質に結合する物質を結合させたコロイド粒子及びn回のSS工程[nは自然数]で用いるコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子(MC)を含むキットであり、m番目のSS(m)工程で添加する増感用修飾コロイド粒子(Modified colloid particle)MC(m)はコロイド粒子C(m)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)が結合したものであり、SS(m+1)工程で添加するコロイド粒子MC(m+1)はコロイド粒子C(m+1)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m+1)が結合したものであり、M(m)とM(m+1)は親和性があり、MC(m)とMC(m+1)はM(m)とM(m+1)の結合を介して複合体を形成するキット。
[20] イムノクロマト法用キットである、[19]のキット。
コロイド粒子表面修飾物質ペア同士の結合を介し、コロイド粒子同士が結合する。このコロイド粒子間の結合を繰り返すことで、指数関数的に被検物質の検出感度が増加する。
本発明の方法の概要を示す図であり、2種類のコロイド粒子を用いる方法の概要を示す図である。 本発明の方法の概要を示す図であり、多種類のコロイド粒子を用いる方法の概要を示す図である。 ラテックス粒子に金コロイド粒子が表面修飾物質同士の抗原抗体反応を介して結合していることを示す図である。 金コロイド粒子にラテックス粒子がビオチン-ストレプトアビジン間の結合を介して結合していることを示す図である。 ラテックス粒子を用いたインフルエンザウィルス検出用のイムノクロマトグラフキットによるインフルエンザ検出結果が金コロイド粒子によって増感されていることを示す図である。 BS工程、SS(5)工程及びSS(10)工程の増感結果を示す図である。 親水コロイド粒子同士をコロイド粒子結合用表面修飾物質を介して結合させたときの増感結果を示す図である。 SS(1)工程に、2種類のコロイド粒子を用いて増感を行った結果を示す図である。 検出工程(DS工程)にECL(enhanced chemiluminescence)による発光反応を用いた結果を示す図である。
本発明は、被検物質に結合させたコロイド粒子を用いて検体中の被検物質を検出する方法において、増感用のコロイド粒子を用いて被検物質の検出感度を増加させる増感方法である。
本発明の方法において、最初に被検物質とコロイド粒子を結合させ、さらに増感用のコロイド粒子を結合させて、コロイド粒子の複合体を形成させる。コロイド粒子は被検物質の検出のためのシグナルを直接的に検出できるコロイド粒子及び/又は検出反応基質を直接的若しくは間接的に結合させ得るか、又は結合させたコロイド粒子であり、コロイド粒子の結合によりコロイド粒子により形成される複合体中のコロイド粒子数を増加させ、コロイド粒子数に応じてシグナル強度が増大する。
本発明の方法は、コロイド粒子を添加するn回の増感工程SS(n)工程を含み、m回目の増感工程SS(m)工程のコロイド粒子とm+1回目の増感工程SS(m+1)工程のコロイド粒子同士はコロイド粒子表面の修飾物質を介して結合し、複合体を形成する。増感工程SS(m)工程及びSS(m+1)工程で用いるコロイド粒子を、それぞれ、C(m)及びC(m+1)で表す。
コロイド粒子間の結合を繰り返し生じさせることで、複合体中に含まれるコロイド粒子の数が増加し、その結果、直接的又は間接的に被検物質検出を増感させることができる。
1. コロイド粒子
本発明で用いるコロイド粒子として、ラテックス粒子等の親水コロイド粒子や金属コロイド粒子、シリカコロイド粒子等の疎水コロイド粒子等が挙げられる。疎水コロイド粒子には、保護コロイドが結合したものも含まれる。ここで、保護コロイドとは、親水コロイドであり、疎水コロイドを取り囲むことにより疎水コロイドを保護するコロイドをいう。保護により、加熱や塩類の添加等による溶液の変化に起因するコロイド粒子の凝析を防止することができる。また、疎水コロイド粒子は、表面プラズモン共鳴を起こす粒子であってもよい。表面プラズモン共鳴により特定波長付近の光を吸収する。ラテックス粒子には、着色ラテックス粒子や蛍光色素を含むラテックス粒子等が含まれる。ラテックス粒子とは、コロイド状に水中に分散した乳濁液を形成する粒子をいう。粒子の材質は限定されないが、検査薬等の技術分野で抗体、抗原、リガンド、レセプター等のタンパク質を結合する固相担体の材料に用いられるものを用いることができる。例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸共重合体などのスチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリメチレンメタアクリレート(PMMA)、ポリビニルトルエンなどの樹脂、シリカ、セルロース等が挙げられる。この中でも、スチレンをベースとする粒子が好ましい。スチレンをベースとする粒子とは、ポリスチレンやスチレン又はスチレンの誘導体と重合性不飽和カルボン酸や重合性不飽和スルホン酸等との共重合体でできた粒子をいう。スチレンの誘導体としては、クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、重合性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、重合性不飽和スルホン酸としては、スチレンスルホン酸ソーダ等が挙げられる。本発明において、スチレンをベースとするラテックス粒子をポリスチレンラテックス粒子という。ラテックス粒子の直径は、数十nm~数百nm、好ましくは50nm~800nm、さらに好ましくは200~600nmである。金属コロイド粒子は、金属、合金、酸化金属、金属化合物等の種類、形状を問わないが、例えば、金コロイド粒子が挙げられる。また、金属コロイド粒子1つに一層シリカ等でコーティングされているコアシェル型のものも含む。さらに、粒子同士を様々な形で結合させた複合粒子も用い得る。金属コロイド粒子の直径は、10~200nm、好ましくは10~100nm、さらに好ましくは10~50nmである。どのようなコロイド粒子であっても、コロイド粒子表面修飾物質分子とサイズが同程度であるか、あるいは十分に大きい粒子を用いることが、立体障害による未反応なコロイド粒子表面修飾物質を残す上で好ましい。例えば、コロイド粒子表面修飾物質分子として抗体を用いる場合、コロイド粒子の直径は10mm以上が好ましい。
コロイド粒子はBS工程やSS工程に用いるが、必ずしも直接的にシグナルを検出する必要はない。コロイド粒子のシグナルを直接的に検出するとは着色コロイド粒子や金属コロイド粒子自体の光学的な観測(呈色、蛍光、燐光、発光、吸光)を含む、粒子自体の検出により被検物質を検出することを指し、間接的なシグナルの検出とは、被検物質検出にコロイド粒子自体の検出を用いないことを指す。間接的なシグナルの検出として、基質を用いた化学反応などを用いることができる。たとえばコロイド粒子表面にペルオキシターゼを直接結合させたり、コロイド粒子表面に結合させたビオチンを介して間接的にストレプトアビジン結合ホースラディッシュペルオキシターゼなどの酵素を結合させたりすることで、最終的に呈色又は化学発光により被検物質を検出できる。また、直接的にシグナルを検出できるコロイド粒子を用いていても、低濃度の被検物質が検出されない場合に、さらに間接的にシグナルを検出することもできる(実施例7参照)。最終的な被検物質の検出方法が直接的であるか間接的であるかに関係なく、BS工程を含む各工程においてコロイド粒子の直接的なシグナルの有無を確認した上で次の工程に進むことが好ましい。これにより被検物質が比較的高濃度の場合、DS工程までのいずれかの工程において被検物質の検出や測定が可能な場合がある。あるいは、以降の工程の必要性を判断し、不要な場合、試験コストを低減できる場合がある。
本発明の方法においては、コロイド粒子同士を結合させるための表面修飾物質を結合させたコロイド粒子を用いる。本発明において、「コロイド粒子同士を結合させるための表面修飾物質」を「コロイド粒子結合用表面修飾物質」と呼ぶ。これらのコロイド粒子結合用表面修飾物質の一方を結合させたコロイド粒子は、他方を結合させたコロイド粒子とコロイド粒子結合用表面修飾物質を介して結合し得る。増感工程SS(m)工程及びSS(m+1)工程で用いるコロイド粒子に結合させたコロイド粒子結合用表面修飾物質を、それぞれ、M(m)及びM(m+1)で表す。
また、コロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させたコロイド粒子を増感用修飾コロイド粒子(Modified colloid particle)と呼び、増感工程SS(m)工程及びSS(m+1)工程で用いる増感用修飾コロイド粒子を、それぞれ、MC(m)及びMC(m+1)で表す。
コロイド粒子C(m)に、コロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)を結合させたコロイド粒子が、増感用修飾コロイド粒子MC(m)である。
1つのコロイド粒子に対し1種類のコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させてもよいし、複数種類のコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させてもよい。コロイド粒子結合用表面修飾物質同士の結合に関与するコロイド粒子結合用表面修飾物質の組合せは、n回目のSS(n)工程とその前の増感工程であるn-1回目のSS(n-1)工程で、同じであっても異なっていてもよい。
増感工程SS(m)において、コロイド粒子C(m)は1種類であっても良いし、多種類であっても良い。多種類とは、2種類以上、例えば、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類又は10種類をいう。例えば、コロイド粒子結合用表面修飾物質M(m-1)に結合可能なM(m)で修飾した、ラテックス粒子とM(m)で修飾した金コロイド粒子の両方を増感工程SS(m)において用いることができる。この時、M(m-1)に結合可能であれば、粒子ごとのM(m)の構成は必ずしも同一である必要はない。また、nを自然数とし、n回の増感工程を行うとすると、SS(1)からSS(n)までのいずれの工程においても、サイズの異なる粒子を併用することができる。このとき、併用とは必ずしも混合させたものである必要はなく、たとえば大きい粒子を先に浸潤させ、その後小さい粒子を浸潤させることを一つの工程とすることができる。
互いに結合する2種類のコロイド粒子結合用表面修飾物質の組合せとして、抗原と抗体の組合せが挙げられるが、抗体と抗原の組合せだけでなく、例えば、リガンドとレセプター又はレセプターとリガンドの組合せであってもよい。そのような親和性物質として、被検物質に結合し得るポリペプチドやその他の化合物が挙げられる。具体的には、アビジンとビオチンの組合せ、ストレプトアビジンとビオチンの組合せ、タマビジンとビオチンの組合せ等が挙げられる。ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、タマビジン等は、コロイド粒子に直接結合させてもよいし、被検物質に結合する物質とのコンジュゲートを作製し、該コンジュゲートをコロイド粒子に結合させてもよい。ビオチンはマレイミド基等を有するマレイミドビオチン等でもよい。コロイド粒子表面はコロイド粒子結合用表面修飾物質以外に、ブロッキング剤を結合させることで非特異反応を抑制することが好ましい。また、ブロッキング剤がコロイド粒子結合用表面修飾物質を兼ねることができる場合がある。例えば、ビオチン化BSAをブロッキング剤及びコロイド粒子結合用表面修飾物質として用い、次の工程でコロイド粒子結合用表面修飾物質としてストレプトアビジンを結合させることができる。あるいは、コロイド粒子結合用途以外の表面修飾物質として、DS工程に寄与する物質を用いることができる。たとえばM(m)(mは自然数)がストレプトアビジンであった場合、ビオチン化ホースラディッシュペリオキシターゼ(HRP)結合コロイド粒子をMC(m+1)として用い、コロイド粒子結合用表面修飾物質としてはビオチンを機能させ、DS工程にTMBを用いた呈色反応やECLを用いた発光反応を用いる際にHRPを機能させることができる。
前後する2つの工程のコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)およびM(m+1)は、互いに親和性のある物質の組み合わせを最低1種類用いる。各工程ごとのコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)は1種類でも多種類でもよいが、1種類であることが好ましい。SS(1)工程からSS(n)工程までの全増感工程SS(1)~SS(n)工程で用いるコロイド粒子結合用表面修飾物質(群)(M(1)~M(n))の構成は1種類でも多種類でもよいが、2種類を各工程で交互に用いる(任意の0以上の整数mにおいてM(m)とM(m+2)が同じ物質又は構成であることを指す)ことが好ましい。
コロイド粒子への表面修飾物質の固定化方法は物理的結合、電気的結合、化学的結合などを用いることができる。
2. 被検物質及び検体
被検物質は核酸、タンパク質、糖、その他の化合物など何でもよく、生物由来の物質であってもよい。また、これらの複合体、たとえば細菌やウィルスなどの病原性微生物、あるいは生体中あるいは環境中の物質などであってもよい。
検体としては、主に水相の検体又は検体の緩衝液による希釈液等を用いることができる。検体としては、血清、血漿、血液、尿、唾液、組織液、髄液、咽頭若しくは鼻腔拭い液、咽頭若しくは鼻腔洗浄液、鼻腔吸引液等の体液等、糞便、糞便懸濁液、培養液などが挙げられる。
3. 検出感度を上昇させる方法
本発明の方法は、コロイド粒子と被検物質を結合させる工程、コロイド粒子同士を結合させて反応を増感させる工程、及びコロイド粒子からのシグナルを検出することにより被検物質を検出する工程を含む。
本発明において、コロイド粒子と被検物質を結合させる工程をBS(biding step)工程と呼び、コロイド粒子同士を結合させて反応を増感させる工程をSS(sensitizing step)工程と呼び、コロイドからのシグナルを検出することにより被検物質を検出する工程をDS(detecting step)工程と呼ぶ。SS工程はSS(n)[nは、自然数を表す]と表され、第n番目のコロイド粒子を添加し複合体を形成させる工程はn回目の増感工程であり、この工程をSS(n)工程と呼ぶ。コロイド粒子同士を結合させて反応を増感させるSS工程は、1回でもよいが、好ましくは2回以上繰り返し行われる。上限は限定されないが、好ましくは10回である。すなわち、SS(n)工程において、nは1~10である。
BS工程においては、第1番目のコロイド粒子と被検物質を混合し結合させる。BS工程におけるコロイド粒子は直接的又は間接的に被検物質に結合させることができればなんでもよい。ここで、被検物質とコロイド粒子を直接的に結合させるとは、コロイド粒子表面に被検物質に親和性を有する物質を結合させ、その物質を被検物質に結合させることをいい、被検物質とコロイド粒子を間接的に結合させるとは、コロイド粒子表面に結合させた物質に他の物質を介して被験物質を結合させることをいう。例えば、検体の前処理により被検物質に他の物質Aを結合させ、該物質Aに親和性がある物質Bを結合させたコロイド粒子と被検物質を結合させる。好ましくは被検物質に対する親和性物質を表面に結合させ修飾したコロイド粒子を用いて直接的に結合させる。すなわち、第1番目のコロイド粒子には、コロイド粒子同士を結合させるためのコロイド粒子結合用表面修飾物質と被検物質と直接的又は間接的に結合する物質が結合させてある。コロイド粒子結合用表面修飾物質は被検物質と結合する物質と同じで、コロイド粒子結合用表面修飾物質が被検物質と結合する親和性物質を兼ねていてもよい。コロイド粒子に結合させる、被検物質に親和性を有する物質もコロイド粒子結合用表面修飾物質も表面修飾物質と呼ぶことがある。被検物質に対する親和性物質は、被検物質と結合する物質である限り限定されないが、例えば、被検物質が抗原の場合、被検物質に対する抗体であり、被検物質が抗体の場合、その抗体が結合する抗原である。
次いで、第2番目のコロイド粒子を、コロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子として添加する。第2番目のコロイド粒子には第1番目のコロイド粒子のコロイド粒子結合用表面修飾物質と結合する他のコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させておく。この結果、第1番目のコロイド粒子と第2番目のコロイド粒子はコロイド粒子結合用表面修飾物質同士の結合により結合し、複合体を形成する。この工程をSS(1)工程と呼ぶ。
本発明の方法においては、n回の増感工程において、さらに、第3番目のコロイド粒子、第4番目のコロイド粒子、・・・第m番目のコロイド粒子、第(m+1)番目のコロイド粒子を増感用コロイド粒子として添加し、第m番目のコロイド粒子と第(m+1)番目のコロイド粒子をコロイド粒子結合用表面修飾物質同士の結合により結合させて、コロイド粒子の複合体の大きさを増加させる。ここで、mはn回の増感工程のうちの任意の順番の増感工程を示し、mは自然数であり、m+1≦nである。第2番目以降のコロイド粒子、すなわちSS(n)工程で用いるコロイド粒子は、コロイド粒子結合用表面修飾物質が結合させてあり、増感のために用いられるので、増感用修飾コロイド粒子と呼ぶことができる。また、本発明の増感方法は、増感を1段階で行うことも多段階で行うこともできるが、多段階で増感を行う場合、多段階増感方法と呼ぶことができる。m番目の増感工程であるSS(m)工程で用いる増感用修飾コロイド粒子をMC(m)で表す。該増感用修飾コロイド粒子に結合しているコロイド粒子結合用表面修飾物質をM(m)で表す。各工程で用いるコロイド粒子に結合しているコロイド粒子結合用表面修飾物質としては2種類の物質を用いてもよいし、各工程で異なる物質を用いてもよい。
本発明の方法において、コロイド粒子の種類の数は限定されず、1種類又は2種類以上のコロイド粒子を用いることができる。各工程で用いるコロイド粒子は全て同じであってもよいし、全て異なっていてもよい。2種類のコロイド粒子を用いる場合、コロイド粒子C(n)(nは0以上の整数)とその次の次の増感工程に用いるコロイド粒子C(n+2)は同じであってもよい。この場合、ラテックス粒子などの親水コロイドや金属コロイドなどの疎水コロイドを交互に用いて、親水コロイド粒子と疎水コロイド粒子同士を結合させればよい。また、ラテックス粒子などの親水コロイド同士を結合させて複合体を形成させてもよい。また、BS工程で用いる第1番目のコロイド粒子と同じコロイド粒子をSS工程で用いてもよい。
第1番目のコロイド粒子と被検物質を結合させるBS工程において、被検物質に結合する、あるいは被検物質に結合する物質を結合させた、不溶性担体に被検物質を吸着/固定/結合させても良いし、そのような不溶性担体を用いずに、液系においてコロイド粒子と被検物質を結合させてもよい。被検物質は不溶性担体に直接的又は間接的に結合されていてもよい。不溶性担体として、ELISAプレート等の合成樹脂、他のコロイド粒子、イムノクロマト法のイムノクロマト用試験片等が挙げられる。また、電気泳動やウェスタンブロット等により得られた特定の物質のバンドを含むゲルや物質をトランスファーしたメンブレン等でもよい。また、固相化した核酸とコロイド粒子に結合させた核酸同士のハイブリダイゼーションを利用することもできる。不溶性担体を用いる場合、不溶性担体上でコロイド粒子の複合体が形成され、SS(n)工程のnで表される工程数が進む程複合体の大きさが増大する。また、不溶性担体を用いない場合、液系中でコロイド粒子の複合体が形成され、SS(n)工程のnで表される工程数が進む程複合体の大きさが増大する。どちらの場合も、DS工程において、複合体を形成するコロイド粒子の数に応じてコロイド粒子から発生するシグナル強度が大きくなり、被検物質の検出感度が増感工程回数依存的に上昇する。
コロイド粒子が着色コロイド粒子の場合、コロイド粒子から発生するシグナルは特定の波長の反射光であり、光の強さを目視又は分光光度計等により測定することによりシグナルの強度を測定することができる。
コロイド粒子が蛍光粒子である場合、コロイド粒子から発生するシグナルは特定の波長の蛍光であり、蛍光の強さを蛍光測定装置により測定することによりシグナルの強度を測定することができる。
コロイド粒子がアルカリフォスファターゼや西洋わさびペルオキシダーゼ等の酵素を結合させた粒子である場合、コロイド粒子から発生するシグナルは酵素反応により生成する特定の物質の特定の波長における発色であり、この発色の強さを分光光度計等により測定することによりシグナルの強度を測定することができる。
2種類のコロイド粒子を用い、それぞれのコロイド粒子が、蛍光共鳴エネルギー移動のエネルギー供与体及びエネルギー受容体を結合させたコロイド粒子である場合、コロイド粒子が複合体を形成し、コロイド粒子が密集することにより、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化が生じ、この変化をシグナルとして蛍光測定装置で測定することによりシグナルの強度を測定することができる。
以下、図を用いて、本発明の方法の一例を説明する。図1に示す方法は、2種類のコロイド粒子を用い、被検物質2に結合する物質を結合させた不溶性担体1を用いる場合である。すなわち、不溶性担体1に被検物質2を結合させる場合である。被検物質を含む検体を添加すると、不溶性担体1上の被検物質2に結合する物質が被検物質2と結合し捕捉する。また、図1に示す方法において、コロイド粒子結合用表面修飾物質は被検物質と結合する物質と同一であり、コロイド粒子結合用表面修飾物質は被検物質と結合する物質を兼ねている。
図1において、コロイド粒子は、黒い円で表される第1番目のコロイド粒子と白い円で表される第2番目のコロイド粒子が用いられる。ここで、第n番目のコロイド粒子は、反応系にn番目に添加するコロイド粒子を意味する。図1に示す場合において、第1番目のコロイド粒子は、被検物質に対する親和性物質を結合させたコロイド粒子である。また、増感用コロイド粒子としても用いる。第1番目のコロイド粒子には、被検物質に結合する1種類のコロイド粒子結合用表面修飾物質のみが結合している。このコロイド粒子結合用表面修飾物質は被検物質に対する親和性物質を兼ねている。第2番目のコロイド粒子には、第1番目のコロイド粒子に結合した被検物質に結合する物質に結合する物質のみが結合している。すなわち、1種類のコロイド粒子に結合するコロイド粒子結合用表面修飾物質は1種類のみである。この被検物質に結合する物質に結合する物質は、被検物質そのものでもよいし、構造の一部あるいは全部が被検物質に類似した物質でもよい。被検物質に構造が類似した物質として、例えば、被検物質がポリペプチドやタンパク質であれば、被検物質の部分的アミノ酸配列と相同性の高いアミノ酸配列を有する物質が挙げられる。
最初にBS工程において、第1番目のコロイド粒子5が担体1上の物質に捕捉された被検物質2に結合する。このとき、被検物質2:第1番目のコロイド粒子5(「:」は結合を示す)で表される複合体が形成される。
次いでSS(1)工程において、増感用修飾コロイド粒子である第2番目のコロイド粒子8(MC(1))を添加する。その結果、第1番目のコロイド粒子5に第2番目のコロイド粒子8(MC(1))が結合する。このコロイド粒子同士の結合は、第1番目のコロイド粒子のコロイド粒子結合用表面修飾物質4と第2番目のコロイド粒子8(MC(1))のコロイド粒子結合用表面修飾物質7(M(1))の結合を介して起こる。SS(1)工程において、第1番目のコロイド粒子5と第2番目のコロイド粒子8(MC(1))が結合した複合体が形成される。このとき、被検物質2:第1番目のコロイド粒子5:第2番目のコロイド粒子8(MC(1))(「:」は結合を示す)で表される複合体が形成される。
次いで、SS(2)工程において第1番目のコロイド粒子5と同じコロイド粒子を増感用修飾コロイド粒子である第3番目のコロイド粒子11(MC(2))として添加する。さらに、SS(3)工程において、第2番目のコロイド粒子8(MC(1))と同じコロイド粒子を増感用修飾コロイド粒子である第4番目のコロイド粒子14(MC(3))として添加する。この結果、図1のSS(3)に示すように、被検物質2:第1番目のコロイド粒子5:第2番目のコロイド粒子8(MC(1)):第3番目のコロイド粒子11(MC(2)):第4番目のコロイド粒子14(MC(3))(「:」は結合を示す)で表される、2種類のコロイド粒子を含む大きな複合体が形成される。コロイド粒子の数に応じたシグナルが発生し、そのシグナル強度を測定することにより、被検物質を検出することができる。一定量の被検物質に対して、SS(1)工程、SS(2)工程、・・・SS(n)工程と増感工程数を増やすにつれ、複合体がより大きくなり、複合体に含まれるコロイド粒子の数が増加し、その結果発生するシグナルも大きくなるので、被検物質の測定感度が増強される。
図1は、SS(3)工程まで示してあるが、SS工程の繰返し回数は限定されない。図1に示す方法においては、BS工程で用いる第1番目のコロイド粒子とSS(m)[mは偶数]工程で用いる増感修飾コロイド粒子MC(m)は同じであり、SS(1)工程で用いる増感修飾コロイド粒子MC(1)とSS(m)[mは奇数]工程で用いる増感修飾コロイド粒子MC(m)は同じである。
図2は、3種類以上の多数種のコロイド粒子を用いる方法であって、1種類のコロイド粒子に1種類のコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた場合の方法を示す。
最初にBS工程において、第1番目のコロイド粒子5が担体1上の物質に捕捉された被検物質2に結合する。
次いでSS(1)工程において、増感用修飾コロイド粒子である第2番目のコロイド粒子8(MC(1))を添加する。その結果、第1番目のコロイド粒子に第2番目のコロイド粒子8(MC(1))が結合する。このコロイド粒子同士の結合は、第1番目のコロイド粒子のコロイド粒子結合用表面修飾物質4と第2番目のコロイド粒子8(CM(1))のコロイド粒子結合用表面修飾物質7(M(1))の結合を介して起こる。SS(1)工程において、第1番目のコロイド粒子5と第2番目のコロイド粒子8(MC(1))が結合した複合体が形成される。
次いでSS(2)工程において、増感用修飾コロイド粒子である第3番目のコロイド粒子17(MC(2))を添加する。ここで添加する第3番目のコロイド粒子17(MC(2))には、第1番目のコロイド粒子5及び第2番目のコロイド粒子8(MC(1))とは異なるコロイド粒子結合用表面修飾物質15(M(2))が結合している。第3番目のコロイド粒子17(MC(2))は第2番目のコロイド粒子8(MC(1))と結合する。第3番目のコロイド粒子17(MC(2))と第2番目のコロイド粒子8(MC(1)の結合は、第3番目のコロイド粒子17(MC(2))のコロイド粒子結合用表面修飾物質15と第2番目のコロイド粒子8(MC(1))のコロイド粒子結合用表面修飾物質7の結合を介して起こる。
さらに、SS(3)工程において、増感用修飾コロイド粒子である第4番目のコロイド粒子20(MC(3))を添加する。ここで添加する第4番目のコロイド粒子20(MC(3))には、第1番目のコロイド粒子5、第2番目のコロイド粒子8(MC(1))及び第3番目のコロイド粒子17(MC(2))とは異なるコロイド粒子結合用表面修飾物質19(M(3))が結合している。第4番目のコロイド粒子20(MC(3))は第3番目のコロイド粒子17(MC(2))と結合する。第4番目のコロイド粒子20(MC(3))と第3番目のコロイド粒子17(MC(2))の結合は、第4番目のコロイド粒子20(MC(3))のコロイド粒子結合用表面修飾物質19(M(3))と第3番目のコロイド粒子17(MC(2))のコロイド粒子結合用表面修飾物質15(M(2))の結合を介して起こる。この結果、図2のSS(3)に示すように、第1番目のコロイド粒子5から第4番目のコロイド粒子20(MC(3))を含む大きな複合体が形成される。コロイド粒子の数に応じたシグナルが発生し、そのシグナル強度を測定することにより、被検物質を検出することができる。一定量の被検物質に対して、S(1)工程、S(2)工程、・・・S(n)工程と工程数を増やすにつれ、複合体がより大きくなり、複合体に含まれるコロイド粒子の数が増加し、その結果発生するシグナルも大きくなるので、被検物質の測定感度が増強される。
本発明の方法に用いる反応液はBS工程で生じた結合を阻害することなく、BS工程の反応結果に影響を与えず、コロイド粒子表面修飾物質同士の反応が特異的に起これば何でもよく、緩衝液を使うことが好ましい。緩衝液に塩、界面活性剤、アルコール等を添加してもよい。
各BS工程、SS(n)工程において、結合できなかったコロイド粒子の除去を目的とした洗浄を各工程間に行うことが好ましい。
多段階増感を実施する形態はヒト(試験者)が増感の各工程を行うことも可能ではあるが、自動化させることが好ましい。例として自動分析装置、シリンジポンプ、流路が工夫されたイムノクロマト法やマイクロ流路チップなどの毛細管現象を用いた形態があげられる。マイクロ流路チップとは、部材の内部に微細加工技術を利用して作製した微小流路を有するマイクロ流体装置をいい、ポンプ等を用いた2液輸送系やピストン輸送による交互作用系がある。これらを用いた時においても、SS(n)に用いる粒子とSS(n+1)に用いるコロイド粒子を用いる2液系の反応、あるいは、これに洗浄で用いる洗浄液を加えた3液系の反応にすることができる。本発明の方法においては、コロイド粒子の種類数や用いる試薬等の数を少なくすることが好ましい。これにより装置などの小型化や操作手順の単純化が可能になる。また、SS(n)で表される繰返し単位ごとでどの程度増感できるかを示す増幅係数を定めることも可能であり、この場合には、増感係数を利用して提供することも可能である。
本発明は、被検出物の検出感度を増加させて被検出物を検出するための試薬やキットも包含する。該キットは、上記の増感方法に用いるための試薬やキットである。
該キットは、少なくとも被検物質に結合する物質を結合させたコロイド粒子、増感のためのコロイド粒子を含む。増感のためのコロイド粒子は、m回目の増感工程であるSS(m)工程で添加する増感用コロイド粒子MC(m)とm+1回目の増感工程であるSS(m+1)工程で添加するコロイド粒子MC(m+1)であり、両者は同じコロイド粒子でも異なるコロイド粒子でもよい。増感用コロイド粒子MC(m)及びMC(m+1)には、それぞれ、コロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)及びM(m+1)が結合している。
該キットは例えば、イムノクロマト法用キットであり、コロイド粒子に結合させた被検物質に結合する物質は、被検物質に抗原抗体反応により結合する抗体又は抗原である。該キットは、さらに、イムノクロマト法用の試験片、ブロッシャー、緩衝液等を含む。前記の被検物質に結合する物質を結合させたコロイド粒子は、イムノクロマト用法試験片とは別の試薬として含まれていてもよいし、イムノクロマト法用試験片の標識部位に含まれていてもよい。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
試験方法
被検物質として抗マウス抗体を用いた。本実施例は、不溶性担体に被検物質が結合している場合の実施例である。
10mg/mlの抗マウス抗体1マイクロリットルをドット状に含浸、乾燥させたメンブレンを用いてイムノクロマト法を行った。
1液目で粒子結合用表面修飾物質としてマウス由来抗ノロウィルス抗体を結合させた(固相化した)ラテックスコロイド粒子(青)(BS工程展開液)をメンブレンに添加した。この工程はBS工程である。続いて2液目でマウス由来抗ノロウィルス抗体に対する部分抗原ペプチドを粒子結合用表面修飾物質として結合させた金コロイド粒子(赤)(SS(1)工程展開液)を添加した。この工程はSS(1)工程である。ネガティブコントロールは、各コロイド粒子を除いたものを用いた。
試験結果
図3に示す通り、抗マウス抗体:マウス由来抗ノロウィルス抗体を結合させたラテックス粒子:部分抗原ペプチドを結合させた金コロイド粒子で表される複合体(「:」は結合を示す)の形成を示す紫色のドットが検出された。
考察
本実施例の結果より、コロイド粒子同士の結合に各コロイド粒子の粒子結合用表面修飾物質間の抗原抗体反応を用いることができることが示された。
また、BS工程で用いたマウス由来抗ノロウィルス抗体に対する部分抗原ペプチドをSS(1)工程において用いるコロイド粒子に結合させるなどの応用が可能であることが示された。
紫色のドットから、金コロイド粒子はラテックス粒子に結合しているが、金コロイド粒子同士は凝集(不可逆的な凝集反応による吸収スペクトルの変化を伴う)していないことが示された。
<実施例2>
試験方法
被検物質としてウシ血清アルブミン(BSA)にビオチンをマレイミド基を介して結合させた物質(以下、ビオチン化BSA)を用いた。本実施例は、不溶性担体に被検物質が結合している場合の実施例である。
10mg/mlのビオチン化BSA1マイクロリットルをドット状に含浸、乾燥させたメンブレンを用いてイムノクロマト法を行った。
1液目でストレプトアビジンを粒子結合用表面修飾物質として結合させた金コロイド粒子(赤)(BS工程展開液)をメンブレンに添加し、続いて2液目でマレイミドビオチンを粒子結合用表面修飾物質として結合させたラテックスコロイド粒子(青)(SS(1)工程展開液)を添加した。ネガティブコントロールは、各コロイド粒子を除いたものを用いた。
試験結果
図4に示す通り、ビオチン化BSA:ストレプトアビジン抗体を結合させた金コロイド粒子:マレイミドビオチンを結合させたラテックスコロイド粒子で表される複合体(「:」は結合を示す)の形成を示す紫色のドットが検出された。
考察
本実施例の結果より、コロイド粒子同士の結合に各コロイド粒子に結合させた粒子結合用表面修飾物質間のアビジン-ビオチン間の結合を用いることができることが示された。
<実施例3>
試験方法
10mg/ml抗インフルエンザウィルス抗体1μlをドット状に結合(固相化)したメンブレンを用い、これに別の抗インフルエンザウィルス抗体をビオチン化したものを結合させたラテックス粒子(青)及びストレプトアビジンを結合させた増感用コロイド粒子(赤)を用い、不活化インフルエンザウィルスの検出及び増感を行った。不活化インフルエンザウィルスをラテックス粒子浮遊液と混合後、速やかに上記メンブレンを含むストリップを含浸させた。この検出工程は、BS工程に相当する。次に、増感用コロイド粒子を用いてSS(1)工程までの増感を行った。具体的には、SS(1)工程としてストレプトアビジンを粒子結合用表面修飾物質として結合させた金コロイド粒子(赤)(SS(1)工程展開液)をBS工程に続いて添加した。BS工程に被検物質であるインフルエンザウィルスVLPを含まないサンプル液(ネガティブコントロール)のSS(1)工程後に得られた発色、とVLPを含むサンプル液を用いた際のBS工程後の発色及びSS(1)工程後の発色について比較を行った。
試験結果
図5に示す通り、被検物質存在時のみ、インフルエンザウィルス抗体:インフルエンザウィルスVLP:ビオチン化インフルエンザウィルス抗体を結合させたラテックスコロイド粒子:ストレプトアビジンを結合させた金コロイド粒子で表される複合体(「:」は結合を示す)の形成を示す紫色のドットが検出された。
考察
本発明がインフルエンザウィルスを被検物質として検出するイムノクロマト法の増感に有用であることが示された。また、本実施例ではコロイド粒子同士の結合を証明するためにBS工程とSS(1)工程とで異なる色のコロイドを用いたが、同系色のコロイドや蛍光粒子を用いることで、同じ種類のシグナルが強くなることにより、さらに高い増感効果が予想される。
<実施例4>
試験方法
被検物質としてストレプトアビジンを用いた。本実施例は、不溶性担体に被検物質が結合している場合の実施例である。
ストレプトアビジンを被検物質とし、1000、100、10又は0ナノグラムのストレプトアビジンを含む溶液1マイクロリットルをドット状に含浸、乾燥させたメンブレンを用いてイムノクロマト法において多段階増感を行った。
最初のBS工程でビオチンを結合させたラテックスコロイド粒子(青)を添加し、増感工程であるSS(1)工程でストレプトアビジンを結合させた金コロイド粒子(赤)を添加した。SS(2)工程以降の工程においては、ビオチンを結合させたラテックスコロイド粒子(青)とストレプトアビジンを結合させた金コロイド粒子(赤)を交互に添加した。BS工程、SS(5)工程及びSS(10)工程後)の呈色の比較を行った。バッファーには1%Tx-100含有トリスバッファーを用いた。各SS工程は前工程から1分以内に行った。
試験結果
図6に示す通り、BS工程後では、被験体として1000ナノグラムのストレプトアビジンを用いた場合のみ青色のドットが観察された。一方、SS(10)工程後では、100ナノグラムのストレプトアビジンを用いた場合でも紫色のドットが観察された。また増感された紫色の呈色は被検物質の濃度に依存的であった。
考察
紫色のドットは用いたラテックスコロイド粒子と金コロイド粒子の2種類の粒子が交互に、結合して、大きな複合体を形成した結果であることが示唆された。これは、新たにコロイド粒子を添加する増感工程(SS(n))を繰り返すことにより、検出感度が上昇したことを示す。本発明を用いた増感は、被検物質濃度依存的及び増感工程回数依存的に感度が上昇することが示唆された。また増感工程は非常に短い時間(粒子が検出部位を通過する間)に行われ、時間当たりの増感効果が非常に高いと考えられる。
<実施例5>
試験方法
被検物質として0.5mg/mlのストレプトアビジン1μlをメンブレンに含浸、乾燥させ、マレイミドビオチン結合ラテックス(青)を用いてBS工程を行い、次いでストレプトアビジン結合ラテックス(赤)を用いてSS(1)工程を行った。ネガティブコントロールとしてBS工程又はSS(1)工程のラテックス粒子を除いたバッファーを用いた。バッファーには1%Tx-100含有トリスバッファーを用いた。
試験結果
図7に示す通り、ストレプトアビジン:マレイミドビオチン結合ラテックス粒子(青):ストレプトアビジン結合ラテックス粒子(赤)で表される複合体(「:」は結合を示す)の形成を示す紫色のドットが観察された。
考察
親水コロイド粒子同士が、コロイド粒子結合用表面修飾物質を介して結合が可能であることが示唆された。
<実施例6>
概要
RSウィルス(respiratory syncytial virus)に対する2種類の抗体を用いたサンドイッチによるラテラルフローイムノアッセイをBS工程とし、SS(1)のみの増感工程をC(1)にラテックスと金コロイドの混合物を用いて行った。
試験方法
OD280 = 3.0の抗RSウィルス抗体1μlをメンブレンに含浸、乾燥させ、4倍ごとに段階希釈した不活化RSウィルス抗原とビオチン化処理をした抗RSウィルス抗体結合ラテックス(赤、直径350nm)を混合後、速やかに上記メンブレンを含むストリップを含浸させ、BS工程とした。次にストレプトアビジン結合ラテックス(赤、直径350nm)及びストレプトアビジン結合金コロイド(直径40nm)を用いてSS(1)工程を行い、増感の有無による検出感度の比較を行った。ネガティブコントロールとして抗原を含まないものを用いた。バッファーには1%Tx-100含有トリスバッファーを用いた。
試験結果
図8に示す通り、SS(1)工程より最小検出濃度が4倍以上となった。
考察
同じコロイド粒子結合用表面修飾物質で修飾したサイズの異なる2種類以上の粒子を同一の増感工程に用い、感度が著しく上昇した。多段階の増感や、本SS(1)工程後であれば、DS工程としてビオチン化HRPなどを用いた化学発光での検出にも有用だと考えられる。
<実施例7>
概要
RSウィルス(respiratory syncytial virus)に対する2種類の抗体を用いたサンドイッチによるラテラルフローイムノアッセイをBS工程とし、SS(2)までの増感を行い、DS工程においてECL(enhanced chemiluminescence)を用いて検出を行った。SS(2)においてビオチン化HRPを表面に修飾したラテックス粒子だけでなく、ビオチン化HRP自体も作用させた。
試験方法
OD280 = 3.0の抗RSウィルス抗体1μlをメンブレンに含浸、乾燥させ、不活化RSウィルス抗原とビオチン化抗RSウィルス抗体結合ラテックス(赤、直径350nm)を混合後、速やかに上記メンブレンを含むストリップを含浸させ、BS工程とした。次にストレプトアビジン結合ラテックス(赤、直径350nm)を用いてSS(1)工程を行った。続いて、ビオチン化HRP結合ラテックス(赤、直径350nm)を含浸させ、さらにビオチン化HRPを含浸させた。ここまでをSS(2)工程として行った。ここで、ストリップを切断し、メンブレン部のみを以降の検討に用いた。DS工程にはLuminata forte(Merck Millipore社)を用い、増感の有無による検出感度の比較を行った。ネガティブコントロールとして抗原を含まないものを用いた。バッファーには1%Tx-100含有トリスバッファーを用いた。
試験結果
図9を参照。SS(2)のHRPを基質としてDS工程においてECLによる化学発光でRSVが検出された。ビオチン化HRPをコロイド粒子表面修飾物質として用いることで被検物質が検出された。また分子コロイドであるビオチン化HRPをSS(2)工程の後、検出工程の前に併せて用いることで、感度がさらに上昇した。
考察
コロイド粒子と分子コロイドの併用はシグナル/ノイズ比を改善できる可能性がある。また、立体障害やM(1)とM(2)の数の違いによる未反応のコロイド粒子表面修飾物質であるストレプトアビジン(本実施例では単位粒子数当たりのM(1)のストレプトアビジン分子数がBS工程のビオチン分子数に比べ2倍以上多い。)を有効に用いることができる可能性がある。逆に未反応のコロイド粒子表面修飾物質のうちビオチンが多ければ、最終増感工程にビオチン化粒子を用い、ストレプトアビジンHRP分子及びストレプトアビジンHRP結合コロイド粒子を反応基質として用いることができる。
本発明により、様々な被検物質検出法について汎用的に感度増加が可能である。
1 担体
2 被検物質
3 第1番目のコロイド粒子
4 コロイド粒子結合用表面修飾物質であって被検物質に対する親和性物質
5 表面修飾物質結合コロイド粒子
6 コロイド粒子C(1)
7 コロイド粒子結合用表面修飾物質M(1)
8 増感用修飾コロイド粒子MC(1)
9 コロイド粒子C(2)
10 コロイド粒子結合用表面修飾物質M(2)
11 増感用修飾コロイド粒子MC(2)
12 コロイド粒子C(3)
13 コロイド粒子結合用表面修飾物質M(3)
14 増感用修飾コロイド粒子MC(3)
15 コロイド粒子結合用表面修飾物質M(2)
16 コロイド粒子C(2)
17 増感用修飾コロイド粒子MC(2)
18 コロイド粒子C(3)
19 コロイド粒子結合用表面修飾物質M(3)
20 増感用修飾コロイド粒子MC(3)

Claims (19)

  1. 被検物質に親和性を有する物質を結合させたコロイド粒子を用いた被検物質の検出方法において、被検物質検出の感度を増加させる方法であって、以下の(i)から(iii)の工程を含み、以下の各BS工程、SS工程において、結合できなかったコロイド粒子の除去を目的として洗浄を各工程間に行い、各工程で添加するコロイド粒子の複合体の形成により被検物質の検出感度が上昇する、被検物質検出の感度を増加させる方法:
    (i) 被検物質と第1番目のコロイド粒子を直接的に又は間接的に結合させるBS(Binding Step)工程;
    (ii) 被検物質と第1番目のコロイド粒子の複合体に、コロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子(MC)をn回添加するSS(Sensitizing Step)工程[nは2以上の自然数]であって、m番目のSS(m)工程で添加する増感用修飾コロイド粒子(Modified colloid particle)MC(m)はコロイド粒子C(m)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)が結合したものであり、SS(m+1)工程で添加するコロイド粒子MC(m+1)はコロイド粒子C(m+1)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m+1)が結合したものであり、M(m)とM(m+1)は親和性があり、MC(m)とMC(m+1)はM(m)とM(m+1)の結合を介して複合体を形成する工程[mは自然数であり、m+1≦nである。]であって、コロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)とM(m+1)の親和性を有する組合せが抗原と抗体の組合せ、又はビオチンとアビジン若しくはストレプトアビジンの組合せである工程;並びに
    (iii) 形成されたコロイド粒子から直接的又は間接的に発生するシグナルを検出して、被検物質を検出するDS(Detecting Step)工程。
  2. 被検物質に親和性を有する物質を結合させたコロイド粒子を用いた被検物質の検出方法において、被検物質検出の感度を増加させる方法であって、以下の(i)から(iii)の工程を含み、以下の各BS工程、SS工程において、結合できなかったコロイド粒子の除去を目的として洗浄を各工程間に行い、各工程で添加するコロイド粒子の複合体の形成により被検物質の検出感度が上昇する、被検物質検出の感度を増加させる方法:
    (i) 被検物質と第1番目のコロイド粒子[この表面が修飾されたコロイド粒子をMC(0)とし、コロイド粒子C(0)に表面修飾物質M(0)が結合したものとする。]を直接的に又は間接的に結合させるBS(Binding Step)工程;
    (ii) 被検物質と第1番目のコロイド粒子の複合体に、コロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子(MC)をn回添加するSS(Sensitizing Step)工程[nは2以上の自然数]であって、m番目のSS(m)工程で添加する増感用修飾コロイド粒子(Modified colloid particle)MC(m)はコロイド粒子C(m)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)が結合したものであり、1つ前の工程[m>1であればSS(m-1)工程、m=1であればBS工程]で添加するコロイド粒子MC(m-1)はコロイド粒子C(m-1)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m-1)が結合したものであり、M(m-1)とM(m)は親和性があり、MC(m-1)とMC(m)はM(m-1)とM(m)の結合を介して複合体を形成する工程[mは自然数であり、m≦nである。]であって、コロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)とM(m+1)の親和性を有する組合せが抗原と抗体の組合せ、又はビオチンとアビジン若しくはストレプトアビジンの組合せである工程;並びに
    (iii) 形成されたコロイド粒子から直接的又は間接的に発生するシグナルを検出して、被検物質を検出するDS(Detecting Step)工程。
  3. BS工程及び/又はSS工程の少なくとも1つの工程においてコロイド粒子の直接的なシグナルを検出又は測定する請求項1又は2に記載の方法。
  4. コロイド粒子の直径が10nm以上の請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. nが1~10である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. BS工程において、被検物質が被検物質に対する親和性物質を介して、あるいは介さずに不溶性担体に結合されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. BS工程において、被検物質と被検物質に親和性を有する物質を結合させた第1番目のコロイド粒子を結合させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. SS工程で用いるコロイド粒子が、多種類から構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. SS工程で用いるコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子MC(n)が、m番目のSS工程で添加する増感用修飾コロイド粒子MC(m)及びm+1番目のSS工程で添加する増感用修飾コロイド粒子MC(m+1)の2種類から構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. SS工程で用いるコロイド粒子が、m番目のSS工程で用いるコロイド粒子C(m)及びm+1番目のSS工程で用いるコロイド粒子C(m+1)の2種類から構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. SS工程で用いるコロイド粒子が、1種類から構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  12. BS工程で用いる被検物質に親和性を有する物質を結合させた第1番目のコロイド粒子と、SS(m)[mは偶数]工程で用いる増感用修飾コロイド粒子MC(m)が同じである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  13. SS(1)工程で用いる増感用修飾コロイド粒子MC(1)と、SS(m)[mは奇数]工程で用いる増感用修飾コロイド粒子MC(m)が同じである、請求項1~7及び12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 被検物質が生物由来の物質である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 被検物質がウィルスを含む感染性微生物由来の物質である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 検出工程であるDS工程に酵素反応を用いる、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 被検物質検出法がイムノクロマト法である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 請求項1~17のいずれか1項に記載の方法に用いるための、少なくとも被検物質に結合する物質を結合させたコロイド粒子及びn回のSS工程[nは2以上の自然数]で用いるコロイド粒子結合用表面修飾物質を結合させた増感用修飾コロイド粒子(MC)を含むキットであり、m番目のSS(m)工程で添加する増感用修飾コロイド粒子(Modified colloid particle)MC(m)はコロイド粒子C(m)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)が結合したものであり、SS(m+1)工程で添加するコロイド粒子MC(m+1)はコロイド粒子C(m+1)にコロイド粒子結合用表面修飾物質M(m+1)が結合したものであり、M(m)とM(m+1)は親和性があり、コロイド粒子結合用表面修飾物質M(m)とM(m+1)の親和性を有する組合せが抗原と抗体の組合せ、又はビオチンとアビジン若しくはストレプトアビジンの組合せであり、MC(m)とMC(m+1)はM(m)とM(m+1)の結合を介して複合体を形成するキット。
  19. イムノクロマト法用キットである、請求項18記載のキット。
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