JP7368823B2 - アリルエーテル化合物のヒドロシリル化による有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

アリルエーテル化合物のヒドロシリル化による有機ケイ素化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は有機ケイ素化合物の製造方法に関し、より詳しくはアリルエーテル化合物のヒドロシリル化による有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
高い生体適合性と低い毒性のため、ポリエチレングリコール(PEG)由来の機能性ポリマーは多くの生体関連物質、表面修飾、マイクロコンタクトプリンティング、高分子電解質の重要な原料として広く用いられている。その中で金属触媒を用いた、PEGのヒドロシリル化反応は、様々な官能性ポリエチレングリコールを合成するための重要な反応の一つである。しかし、一般的なアルケンのヒドロシリル化において、内部オレフィンへの異性化や、水素化、脱水素シリル化反応などの副反応が起きることが知られている。アリル基を持つPEGのヒドロシリル化において、ヒドロシリル化反応の触媒として広く用いられるKarstedt’s触媒を用いると、上記の副反応が進行することが知られている。(非特許文献1、2参照。)。その結果、ヒドロシリル化体の収率が低下し、副生成物を取り除く必要が生じるなど、問題が残されている。
また、CO配位子をもつルテニウム錯体(Ru(CO)12)、がアルケンのヒドロシリル化の触媒として有効であること(非特許文献3参照。)、塩化アリルのヒドロシリル化において高選択性を示す触媒であることが報告されている(非特許文献4参照。)。アルケンの選択的な脱水素シリル化反応や(非特許文献5参照。)、アルキンのヒドロシリル化触媒として有用であり(非特許文献6参照。)、多彩な反応を示すことで知られている。
A.K.Roy,Adv.Organometallic.Chem.,2007,55,1. Y.Nakajima,et al.,RSC Adv.,2015,5,20603. Hikmat S.Hilal,et al.,J.Organometallic.Chem.,1993,452,167. M.Tanaka,et al.,Mol.Catal.1993,81,207. Y.Seki,et al.,J.Org.Chem.,1986,51,3895. M. Zaranek,et al.,Org.Chem.Front.,2016,3,1337.
本発明は、有機ケイ素化合物、具体的にはオキシアルキレン基を有するシランを効率良く製造することができる有機ケイ素化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ルテニウム錯体の存在下でアリルエーテル化合物とヒドロシラン化合物とを反応させることにより、対応するヒドロシリル化体を効率良く製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の実施形態には以下が含まれる。
<1> (I)1分子中に、少なくとも1つのアリル基を末端に有し、かつ少なくとも1つのオキシアルキレン基を有するアリルエーテル化合物と、(II)ヒドロシラン化合物とを、ルテニウム触媒の存在下でヒドロシリル化反応させる工程を含む、分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
<2> 前記ルテニウム触媒が、2,5-ノルボルナジエン配位子、1,5-シクロオクタジエン配位子、p-シメン配位子、メシチレン配位子、ベンゼン配位子、およびカルボニル配位子から成る群より選択される配位子を持つルテニウム錯体である、<1>に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
<3> 前記ヒドロシラン化合物がアルキルシランまたはアルコキシシランである、<1>又は<2>に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
<4> 前記配位子が、2,5-ノルボルナジエン配位子である、<2>又は<3>に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
<5> 前記ヒドロシラン化合物がジアルコキシシラン又はトリアルコキシシランである、<3>又は<4>に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
<6> 前記オキシアルキレン基がオキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシブチレン基である、<1>~<5>のいずれかに記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
<7> 前記有機ケイ素化合物がポリオキシエチレン鎖を含む、<6>に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
本発明によれば、アリルエーテル化合物をヒドロシリル化してオキシアルキレン基を有するシランを効率良く製造することができる。
本発明の一実施形態に係る分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法は、(I)1分子中に、少なくとも1つのアリル基を末端に有し、かつ少なくとも1つのオキシアルキレン基を有するアリルエーテル化合物(以下、「(I)アリルエーテル化合物」ともいう。)と、(II)ヒドロシラン化合物とを、ルテニウム触媒の存在下でヒドロシリル化反応させる工程を含むことを特徴とする。以下、「(I)アリルエーテル化合物」、「(II)ヒドロシラン化合物」、「ルテニウム触媒」、「反応工程」の条件、等について詳細に説明する。
<(I)1分子中に、少なくとも1つのアリル基を末端に有し、かつ少なくとも1つのオキシアルキレン基を有するアリルエーテル化合物>
本発明の一実施形態に係る有機ケイ素化合物の製造方法では、(I)1分子中に、少なくとも1つのアリル基を末端に有し、かつ少なくとも1つのオキシアルキレン基を有するアリルエーテル化合物を基質として用いる。
(I)アリルエーテル化合物の具体的種類は、1分子中に、少なくとも1つのアリル基を末端に有し、かつ少なくとも1つのオキシアルキレン基を有していれば特に限定されず、製造目的である有機ケイ素化合物に応じて適宜選択することができる。また、アリルエーテル化合物は、公知の製造方法又は公知の製造方法に準じた方法により容易に製造し得るものである。以下、「(I)アリルエーテル化合物」について詳細に説明する。
本実施形態において、アリルエーテル化合物は、例えば、以下の式(Ia)で表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0007368823000001

式(Ia)中、Rは置換若しくは無置換の炭化水素基を表す。
式(Ia)で表される化合物としては、以下の式(Ib)で表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0007368823000002


式(Ib)中、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~10の2価の炭化水素基を表し、Rは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換若しくは無置換の炭素原子素数1~20のアルコキシ基、及び置換若しくは無置換の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは無置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基からなる群より選択される1価の基を表し、nは1~50の整数を表す。
式(Ib)で表される化合物としては、以下の式で表される化合物が好ましく挙げられる。すなわち、オキシアルキレン基がオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基である態様が好ましい。
Figure 0007368823000003

上記式中、R、nは式(Ib)と同様である。nは、好ましくは1~45であり、より好ましくは1~40であり、特に好ましくは1~30である。
アリルエーテル化合物(Ib)としては、更に好ましくは、Rがアルコキシ基である態様がさらに好ましく、具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007368823000004

上記式中、n’は、好ましくは1~45であり、より好ましくは1~40であり、特に好ましくは1~30である。
また、アリルエーテル化合物(Ib)としては、Rがエチレン基であり、Rがアルコキシ基である、式(Ic)で表されるアリルエーテル化合物が特に好ましく挙げられる。
Figure 0007368823000005


式(Ic)中、Rは、置換若しくは無置換の炭素数1~20の置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、n”は1~50の整数を表す。
で表される炭素数1~20の無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル、n-デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等のシクロアルキル基;等が挙げられる。
で表される炭素数6~20の無置換の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。
で表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、前記置換基としては、重水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプ
ロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~6のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、iso-プロピルオキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等の炭素数1~6のアルキルオキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~6のシクロアルキルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基等の炭素数1~6のアルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等の炭素数3~6のシクロアルキルチオ基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基等のアリールオキシ基;フェニルチオ基、トリルチオ基等のアリールチオ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルキルオキシ基;ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアリールアルキルチオ基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基;等が挙げられる。
なお、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
以下、本実施形態におけるアリルエーテル化合物(Ic)の好ましい態様について説明する。
が、炭素数1~20の置換又は無置換の脂肪族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
が、炭素数6~20の置換又は無置換の芳香族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
より具体的には、Rは、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基又はフェニル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
n”は、好ましくは1~45であり、より好ましくは1~40であり、特に好ましくは1~30である。
<(II)ヒドロシラン化合物>
本発明の一実施形態に係る有機ケイ素化合物の製造方法において、アリルエーテル化合物のヒドロシリル化に用いるヒドロシラン化合物の具体的種類は特に限定されず、製造目的である有機ケイ素化合物に応じて適宜選択することができる。また、ヒドロシラン化合物は、公知の製造方法又は公知の製造方法に準じた方法により容易に製造し得るものである。
本実施形態において、(II)ヒドロシラン化合物は、式(IIa)で表されるヒドロシラン化合物(以下、「ヒドロシラン化合物(IIa)」ということがある)であることが好ましい。
Figure 0007368823000006
式(b)中、Rは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素原子素数1~20のアルコキシ基、及び置換若しくは無置換の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは無置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基からなる群より選択される1価の基
を表し、mは、0~3の整数を表す。
で表される炭素数1~20の無置換の炭素原子素数1~20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、iso-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基及びラウリルオキシ基等が挙げられる。
で表される炭素数1~20の無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル、n-デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等のシクロアルキル基;等が挙げられる。
で表される炭素数6~20の無置換の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。
で表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、前記置換基としては、重水素原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~6のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、iso-プロピルオキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等の炭素数1~6のアルキルオキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~6のシクロアルキルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基等の炭素数1~6のアルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等の炭素数3~6のシクロアルキルチオ基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基等のアリールオキシ基;フェニルチオ基、トリルチオ基等のアリールチオ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルキルオキシ基;ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアリールアルキルチオ基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基;等が挙げられる。
なお、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
ヒドロシラン化合物(IIa)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007368823000007
以下、本実施形態におけるヒドロシラン化合物(IIa)の好ましい態様について説明する。
が、炭素数1~20の置換又は無置換の脂肪族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
が、炭素数6~20の置換又は無置換の芳香族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
が、炭素数6~20の置換又は無置換のアルコキシ基である場合の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
より具体的には、Rは、それぞれ独立して、アルキル基またはアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基又はフェノキシ基等のアルコキシ基がより好ましく、中でもメトキシ基又はエトキシ基を含むことがさらに好ましい。
mは、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。即ち、ヒドロシラン化合物は、2級ヒドロシラン又は3級ヒドロシランであることが好ましい。すなわち、ジアルコキシシラン又はトリアルコキシシランが特に好ましい。
<ルテニウム触媒>
本発明の一実施形態に係る有機ケイ素化合物の製造方法において、アリルエーテル化合物のヒドロシリル化に用いるルテニウム触媒の具体的種類は特に限定されない。ルテニウム触媒は、公知の製造方法又は公知の製造方法に準じた方法により容易に製造し得るものである。例えば、塩化ルテニウム(III)三水和物のエタノール溶液に、配位子や配位子
前駆体を加えて加熱還流し、ろ過後、乾燥を行うことで得られる。また、市販品を入手し
て使用してもよい。配位子としては、2,5-ノルボルナジエン配位子、1,5-シクロオクタジエン配位子、p-シメン配位子、メシチレン配位子、ベンゼン配位子、カルボニル配位子、イソシアニド配位子や、以下に示すアレーン配位子等が挙げられる。
Figure 0007368823000008

入手容易性、反応効率の観点から、2,5-ノルボルナジエン配位子、1,5-シクロオクタジエン配位子、p-シメン配位子、メシチレン配位子、ベンゼン配位子およびカルボニル配位子から成る群より選択される配位子を持つルテニウム錯体であることが好ましく、2,5-ノルボルナジエン配位子、1,5-シクロオクタジエン配位子及びp-シメン配位子から成る群より選択される配位子を持つルテニウム錯体であることがより好ましい。中でも、副生成物抑制の観点から、前記配位子が、2,5-ノルボルナジエン配位子であることがより好ましい。
<反応条件>
反応工程における「ヒドロシラン化合物」の使用量(仕込量)、「アリルエーテル化合物」に対して物質量換算で、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、通常10当量以下、好ましくは7.5当量以下、より好ましくは5当量以下である。前記範囲内であると、有機ケイ素化合物が収率良く生成し易くなる。
反応工程における「ルテニウム触媒」の使用量(仕込量)は、「アリルエーテル化合物」に対して物質量換算で、通常0.00005当量以上、好ましくは0.0005当量以上であり、通常0.1当量以下、好ましくは0.07当量以下、より好ましくは0.05
当量以下、さらに好ましくは0.01当量以下である。前記範囲内であると、有機ケイ素化合物が収率良く生成し易くなる。
反応工程は、溶媒を使用しても、無溶媒であってもよい。溶媒を使用する場合の溶媒の種類は、特に限定されないが、原料や触媒が反応しない化合物であるヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。溶媒は、脱水脱酸素化して用いることが好ましい。
反応工程の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。
反応工程の反応時間は、通常96時間以下、好ましくは72時間以下、より好ましくは48時間以下、さらに好ましくは24時間以下である。
反応工程は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
前記範囲内であると、副生成物の発生が抑制され、アリルエーテル化合物のシリル化体がより収率良く生成し易くなる。
<有機ケイ素化合物>
本実施態様に係る製造方法において製造される有機ケイ素化合物は、ヒドロシラン化合物のケイ素原子に、アリルエーテル化合物由来の、酸素原子に結合したプロピレン基が結合した分子量3000以下の化合物であれば、具体的な構造は特に限定されない。
本実施形態において製造される代表的な有機ケイ素化合物としては、下記式で表されるような、アリルエーテル化合物の逆マルコフニコフ型のヒドロシリル化生成物が挙げられる。
Figure 0007368823000009


上記式中、nは1~50の整数を表し、好ましくは1~45であり、より好ましくは1~40であり、特に好ましくは1~30である。
本実施形態の製造方法により、特に、オキシアルキレン基がオキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシブチレン基である有機ケイ素化合物を、簡便に、副生成物を抑制して効率良く製造することができる。また、ポリオキシエチレン鎖を含む有機ケイ素化合物、すなわち、ポリエチレングリコール(PEG)由来の機能性ポリマーを効率良く製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実験例1-1~1-7>
実験例1-2のルテニウム触媒は、Strem社製の試薬を購入して使用した。実験例1-3~1-7のルテニウム触媒は、塩化ルテニウム(III)三水和物のエタノール溶液
に、対応する配位子を加えて加熱還流し、ろ過後、減圧下で乾燥を行うことで得た。
窒素雰囲気にて、各種錯体(0.0050mmol)に3-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]-1-プロペン 0.080g(0.50mmol)とトリメトキシシ
ラン 0.092g(0.75mmol)を順次加えたのち、反応混合物を60℃で撹拌
した。16時間後に反応混合物を室温に戻し、メシチレンを0.060g(0.50mmol)加え、H NMRを測定することで目的とするヒドロシリル化体の収率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007368823000010
Figure 0007368823000011
表1に示す通り、本発明の製造方法を用いると、従来のKarstedt’s触媒を用いる製造方法よりも副生成物の生成を抑制できる。特に、2,5-ノルボルナジエンを配位子とする実験例1-7では、化合物Aの収率が99%と極めて高い選択率を示した。
<実験例2-1~2-10>
窒素雰囲気にて、[RuCl(nbd)] 0.00013 mg(0.0050 m
mol)に各種アリルエーテル(0.50 mmol)と表2に示すヒドロシラン(0.50 mmol)を順次加えたのち、反応混合物を60℃で撹拌した。16時間後に反応混合物を室温に戻し、メシチレンを0.060 g(0.5 mmol)を加え、
NMRを測定することで目的とするヒドロシリル化体の収率を測定した。結果を表2に示す。なお、実験例2-9及び2-10は、アリルエーテルに対し、ヒドロシランを3当量用いた。
Figure 0007368823000012
Figure 0007368823000013
表2に示す通り、本発明の製造方法では、種々のヒドロシラン化合物を用いて、簡便に、アリルエーテルを高選択的にヒドロシリル化できることがわかった。また、本発明の製造方法により、ヒドロシリル化されたポリエチレングリコールを収率良く製造することが出来ることが示された。
本発明の製造方法により、アリルエーテルを高選択的にヒドロシリル化して分子量3000以下の有機ケイ素化合物を製造することができる。本発明の製造方法によって製造されたヒドロシリル化されたポリエチレングリコールは、ほとんど副生成物を含まない。したがって、反応後の単離操作も容易であり、原子効率の良い反応として利用できる。

Claims (5)

  1. (I)1分子中に、少なくとも1つのアリル基を末端に有し、かつ少なくとも1つのオキシアルキレン基を有するアリルエーテル化合物と、(II)ヒドロシラン化合物とを、ルテニウム触媒の存在下でヒドロシリル化反応させる工程を含み、
    前記ルテニウム触媒が、2,5-ノルボルナジエン配位子を持つルテニウム錯体である、分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
  2. 前記ヒドロシラン化合物がアルキルシランまたはアルコキシシランである、請求項に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
  3. 前記ヒドロシラン化合物がジアルコキシシラン又はトリアルコキシシランである、請求項に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
  4. 前記オキシアルキレン基がオキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシブチレン基である、請求項1~のいずれか1項に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
  5. 前記有機ケイ素化合物がポリオキシエチレン鎖を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の分子量3000以下の有機ケイ素化合物の製造方法。
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