ところで、上述した特許文献1の照明器具は、要するに、前記LED構造において、前記少なくとも2つの発光半導体源の双方によって前記波長変換材料を励起させて白色光を発生させると共に、前記発光半導体源のうちの少なくとも1つが、細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用(以下、単に、微生物不活性化作用ともいう)を持つピーク波長405nmの青紫色光を発生させるようにしたものである。前記LED構造をこのような構成とすることで、照明光として白色光を発生させながら、前記白色光の照射領域において消毒作用を発揮させることを可能としている。
上述した特許文献1の照明器具を、微生物不活性化作用を持つピーク波長405nmの発光の強度と、450nmの発光の強度との比を調整できるように構成すると、白色光の照明器具として機能させながら、周囲の状況(つまり人の存否)に応じて、微生物不活性化作用を調整することができるが、このように制御するのは、人がいる状況では前記ピーク波長405nmの発光の強度を低く抑えることで、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を発揮しないようにするためである(段落0052参照)。微生物不活性化作用を調整できない構成では、人がいる状況での使用を考慮して、前記白色光の強度に比べて前記ピーク波長405nmの発光の強度を低く設定することが必要である。
また、上述した特許文献2の照明装置は、要するに、前記複数の発光装置のそれぞれにおいて、前記発光素子によって微生物不活性化作用を持つピーク波長405nmの光を射出させると共に、前記波長変換部材によって前記発光素子が射出する光の少なくとも一部をピーク波長360nm以上且つ780nm以下の光に変換して射出するようにしたものである。前記発光素子が射出する前記ピーク波長405nmの光(前記波長変換部材で変換されなかったもの)と、前記波長変換部材が射出する前記ピーク波長360nm以上且つ780nm以下の光とが、混合されて前記照明光として射出される。そして、前記ピーク波長405nmの光のエネルギーの合計が、前記ピーク波長360nm以上且つ780nm以下の光のエネルギーの合計に対して、3%以上且つ18%以下に限定されているが、これは、上述した特許文献1の照明器具と同様に、前記ピーク波長405nmの光が持つ微生物不活性化作用を抑えて、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を発揮しないようにするためである。
以上述べたように、上述した特許文献1の照明器具と特許文献2の照明装置のいずれにおいても、そのベースにある技術思想は、(i)前記ピーク波長405nmの青紫色光を成分として含む白色光又は疑似白色光を、前記照明器具又は前記照明装置の照明光として発生させ、さらに、(ii)微生物不活性化作用を持つ前記ピーク波長405nmの青紫色光の強度を、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を発揮しないレベルに抑える、というものである。
このため、上述した特許文献1の照明器具では、前記LED構造がどうしても複雑になり、結果として、光源としての前記LED構造の製造コストが高くなる。また、前記LED構造のサンプルの出力光の光束が25lm(ルーメン)程度とされているから、特許文献1の照明器具を製造してピーク波長405nmの発光による微生物不活性化作用を発揮させるためには、多数の前記LED構造を組み合わせて使用する必要がある。従って、必然的に、当該照明器具の製造コストも高くなってしまう、という難点がある。さらに、多数の前記LED構造を組み合わせて、ピーク波長405nmの発光による微生物不活性化作用を高めると、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果が生じないように、当該照明器具を設置する場所に注意する必要も生じる。
さらに、上述した特許文献1の照明器具を、微生物不活性化作用を持つピーク波長405nmの発光の強度と、ピーク波長450nmの発光の強度との比を調整できるように構成して、周囲の状況(つまり人の存否)に応じて微生物不活性化作用が自動的に調整されるように構成しようとすると、人感センサーや前記LED構造の駆動回路を制御する回路がさらに必要になるから、当該照明器具の製造コストはさらに高くなる。
上述した特許文献2の照明装置においても、上述した特許文献1の照明器具と同様に、前記発光装置の構造がどうしても複雑になり、結果として、光源としての前記発光装置の製造コストが高くなる。また、前記発光装置の出力光の放射照度は10W/m2未満とされ、抗菌効果を確認する試験では、当該照明装置の照度を例えば10万ルクス(lx)に設定する、とされていることから、特許文献2の照明装置を製造してピーク波長405nmの発光による微生物不活性化作用を発揮させるためには、LEDを含む前記発光装置を多数組み合わせて使用する必要がある。従って、必然的に、当該照明装置の製造コストも高くなってしまう、という難点がある。さらに、LEDを含む前記発光装置を多数組み合わせて、ピーク波長405nmの発光による微生物不活性化作用を高めると、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果が生じないように、当該照明装置を設置する場所に注意する必要も生じる。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用(微生物不活化作用)を持つ可視光(例えばピーク波長がほぼ405nmの青紫色光)を成分として含む疑似白色光を、照明光として出射することができると共に、上述した特許文献1の照明器具及び特許文献2の照明装置よりも低いコストで製造することができ、しかも、設置場所の選定時に、前記可視光に起因して人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果が生じないように注意する必要がほとんどないLED照明装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、設置場所の選定時に、主たる照明装置が設置されていることを前提として、微生物不活化作用を持つ可視光(例えばピーク波長がほぼ405nmの青紫色光)を成分として含む疑似白色光を、前記主たる照明装置が出射する主たる照明光の補助光として好適(効果的)に使用することができるLED照明装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、所望の設置場所への設置後に、照明光としての疑似白色光にその成分として含まれる微生物不活化作用を持つ可視光(例えばピーク波長がほぼ405nmの青紫色光)が、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を与える恐れがないLED照明装置を提供することにある。
ここに明記しない本発明のさらに他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかである。
(1) 本発明の第1の観点によるLED照明装置は、
照明光の出射面を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置された1又は複数のLED光源と、
前記1又は複数のLED光源を駆動するLED駆動回路と、
前記1又は複数のLED光源が出力する出力光を集光して、前記照明光として前記出射面から前記筐体の外部に出射する、前記筐体の内部に配置された光学レンズとを備え、
前記出力光は、細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用を持つ可視光を成分として含み、且つ、前記可視光のピーク波長以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光であり、
前記出射面から前記筐体の外部に出射される前記照明光は、前記光学レンズにより前記出力光を集光して生成される疑似白色光であり、
前記照明光は、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の補助的な照明光として使用されるように構成されていることを特徴とするものである。
本発明の第1の観点によるLED照明装置では、上述したように、前記筐体の内部に配置された前記1又は複数のLED光源が出力する前記出力光が、細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用(微生物不活化作用)を持つ可視光を成分として含み、且つ、前記可視光のピーク波長以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光とされており、また、前記出射面から前記筐体の外部に出射される前記照明光が、前記光学レンズにより前記出力光を集光して生成される疑似白色光とされている。そして、前記照明光が、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の補助的な照明光として使用されるように構成されている。このため、前記1又は複数のLED光源が出力する前記出力光の強度を高くする必要がない。これは、前記1又は複数のLED光源をいわゆるパワーLEDを用いて構成する必要がないことを意味する。なお、パワーLEDは、一般的なLEDよりも大電流(例えば一般的なLEDの10倍以上の電流)で駆動されて、一般的なLEDよりも高い輝度を持つLEDであり、放熱構造を有する。一般的なLEDの駆動電流は、数mA~数十mA程度であるが、パワーLEDは数百mAあるいはそれ以上であり、それに応じて高輝度となる。
上述した特許文献1の照明器具で使用されているLEDは、その駆動電流が数百mAであるから(段落0042参照)、明らかにパワーLEDである。しかも、上述したような専用の構造・機能が必要である。従って、製造コストが高くならざるを得ない。上述した特許文献2の照明装置で発光装置として使用されているLEDについては、駆動電流の記載はないが、当該照明装置により手術灯の光量と同等の10万ルクス(lx)の照度を得ていることから(段落0060、0073参照)、パワーLEDであると推測される。しかも、上述したような専用の構造・機能が必要である。従って、これも、製造コストが高くならざるを得ない。これに対し、本発明の第1の観点によるLED照明装置で使用される前記LED光源は、前記出力光が微生物不活性化作用を持つ可視光を成分として含んでいれば、一般的なLEDを用いて実現可能であるから、製造コストは低くてすむ。よって、本発明の第1の観点によるLED照明装置は、上述した特許文献1の照明器具及び特許文献2の照明装置よりも低いコストで製造することができる。
また、パワーLEDではなく一般的なLEDにより構成される前記LED光源の前記出力光は、微生物不活性化作用を持つ前記可視光を成分として含み、且つ、前記可視光のピーク波長以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光であるが、微生物不活性化作用を持つ前記可視光の強度は、上述した特許文献1の照明器具とで使用されている同様の可視光と、上述した特許文献2の照明装置で使用されている同様の可視光の強度に比べてはるかに低い。しかも、前記出力光としての前記疑似白色光が前記光学レンズで集光されて生成される前記照明光としての前記疑似白色光は、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の補助的な照明光として使用されるように構成されている。
従って、設置場所の選定時に、前記可視光に起因して人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果が生じないように注意する必要がほとんどない。しかも、設置場所の選定時に、主たる照明装置が設置されていることを前提として、微生物不活性化作用を持つ前記可視光を成分として含む前記疑似白色光を、前記主たる照明装置が出射する主たる照明光の補助光として好適(効果的)に使用することができる。さらに、所望の設置場所への設置後に、照明光としての疑似白色光にその成分として含まれる微生物不活性化作用を持つ前記可視光が、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を与える恐れがない。
(2) 本発明の第2の観点によるLED照明装置は、
照明光の出射面を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置された1又は複数のLED光源と、
前記1又は複数のLED光源を駆動するLED駆動回路とを備え、
前記出力光は、細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用を持つ可視光を成分として含み、且つ、前記可視光のピーク波長以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光であり、
前記出射面から前記筐体の外部に出射される前記照明光は、前記出力光を前記筐体内で混合して生成される疑似白色光であり、
前記照明光は、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の補助的な照明光として使用されるように構成されていることを特徴とするものである。
本発明の第2の観点によるLED照明装置は、上述した本発明の第1の観点によるLED照明装置において、前記筐体の内部に配置された前記光学レンズを省略したものに相当する。従って、本発明の第1の観点によるLED照明装置では、前記出射面から前記筐体の外部に出射される前記照明光が、前記1又は複数のLED光源が出力する前記出力光を前記光学レンズにより集光して生成される疑似白色光とされているが、本発明の第2の観点によるLED照明装置では、前記1又は複数のLED光源が出力する前記出力光を前記筐体内で混合して生成される疑似白色光とされている点が異なっている。この点以外は、本発明の第1の観点によるLED照明装置と同じである。よって、本発明の第2の観点によるLED照明装置でも、本発明の第1の観点によるLED照明装置と同様に、上述した三つの目的を達成することが可能なことが明らかである。
(3) 本発明の第1の観点によるLED照明装置の好ましい例では、前記光学レンズが、ほぼ同一形状の複数個のレンズ要素を単一の連結部で相互に連結した形状となっており、
前記複数のLED光源からの前記複数の出力光が、それぞれ、前記複数のレンズ要素と前記連結部の双方を通過して前記出射面に到達する部分と、前記複数のレンズ要素のみ通過して前記出射面に到達する部分とが、相互に混合・集光されてから、前記出射面より前記筐体の外部に出射されるように構成される。
(4) 本発明の第1の観点によるLED照明装置の他の好ましい例では、前記筐体が、一端に接続部が固定され、他端に前記出射面が形成されたビーム球型又は電球型として構成されており、
前記照明光としての前記疑似白色光が、ビーム状又は放射状として前記出射面から出射されるように構成される。
(5) 本発明の第1の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記照明光としての前記疑似白色光の最大光度が2000cd以下に設定される。
(6) 本発明の第1の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記照明光としての前記疑似白色光の全光束が1300lm以下に設定される。
(7) 本発明の第1の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記可視光が、400nm以上410nm以下の範囲にピーク波長を有する光とされる。
(8) 本発明の第1の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記可視光が、ほぼ405nmのピーク波長を有する青紫色光とされる。
(9) 本発明の第2の観点によるLED照明装置の好ましい例では、前記筐体が、蛍光灯型(例えば直管式又は円管式又は電球式)として構成されており、
前記照明光としての前記疑似白色光が、前記出射面から放射状に出射されるように構成される。
(10) 本発明の第2の観点によるLED照明装置の他の好ましい例では、前記照明光としての前記疑似白色光の最大光度が2800cd以下に設定される。
(11) 本発明の第2の観点によるLED照明装置の他の好ましい例では、前記照明光としての前記疑似白色光の最大光度が2000cd以下に設定される。
(12) 本発明の第2の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記照明光としての前記疑似白色光の全光束が3500lm以下に設定される。
(13) 本発明の第2の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記照明光としての前記疑似白色光の全光束が1500lm以下に設定される。
(14) 本発明の第2の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記可視光が、400nm以上410nm以下の範囲にピーク波長を有する光とされる。
(15) 本発明の第2の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記可視光が、ほぼ405nmのピーク波長を有する青紫色光とされる。
(16) 本発明の第1の観点によるLED照明装置、及び、本発明の第2の観点によるLED照明装置のさらに他の好ましい例では、前記照明光が、前記対象空間を照明するための前記主たる照明光の存在下で、前記補助的な照明光として使用される際に、前記対象空間内で指定した照射面の照度が5000lx以下となるように、前記照明光の前記照射面に対する照明距離が設定される。
本発明の第1の観点によるLED照明装置、及び、本発明の第2の観点によるLED照明装置では、(a)細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用(微生物不活化作用)を持つ可視光(例えばピーク波長がほぼ405nmの青紫色光)を成分として含む疑似白色光を、照明光として出射することができると共に、上述した特許文献1の照明器具及び特許文献2の照明装置よりも低いコストで製造することができ、しかも、設置場所の選定時に、前記可視光に起因して人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果が生じないように注意する必要がほとんどない、(b)設置場所の選定時に、主たる照明装置が設置されていることを前提として、微生物不活化作用を持つ可視光(例えばピーク波長がほぼ405nmの青紫色光)を成分として含む疑似白色光を、前記主たる照明装置が出射する主たる照明光の補助光として好適(効果的)に使用することができる、(c)所望の設置場所への設置後に、照明光としての疑似白色光にその成分として含まれる微生物不活化作用を持つ可視光(例えばピーク波長がほぼ405nmの青紫色光)が、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を与える恐れがない、という効果が得られる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
(LED照明装置の構成)
本発明の一実施形態に係るLED照明装置1は、図1~図6に示すように、いわゆるビーム球型として構成されている。図1と図3に明瞭に示すように、LED照明装置1は、駆動回路収容部10と、駆動回路収容部10の下端に接続されたレンズ装着部20と、駆動回路収容部10の上端に接続された接続部30とを備えて構成されている。駆動回路収容部10とレンズ装着部20は、筐体を構成しており、従って、接続部30は筐体の一端(ここでは上端)に接続されている、ということができる。
図1と図3において、駆動回路収容部10とレンズ装着部20は、全体として、釣鐘状となっている。より詳細には、駆動回路収容部10とレンズ装着部20の結合体は、その外形が、上端から下端に向かって徐々に外径が広がった略円錐台状をしているのである。レンズ装着部20の下端面(底面)は、外径が最大となっていて、その底面に照明装置1の照明光が出射される出射面29が形成されている。出射面29は、接続部30が形成された端部(図3では上端)とは反対側の端部(図3では下端)に配置されている。出射面29は、ここでは、ほぼ平面とされているが、これに限定されるわけではない。例えば、凸球面状であってもよい。
LED照明装置1の照明光は、図3に矢印で示したように、出射面29からそれに対してほぼ直交する方向(図1、図3ではほぼ垂直下方)に向かって出射される。出射される照明光はビーム状であり、従って、例えばスポット照明に好適に使用できるようになっている。
接続部30は、周知のLED電球やビーム球と同様に、金属製の口金31(例えばE26口金)から形成されている。接続部30にある口金31の外周の螺旋溝を、照明器具のソケット(図示せず)の内周にある螺旋溝にねじ込むことで、LED照明装置1の装着が完了し、使用可能となる。また、LED照明装置1をそれとは逆方向にねじることで、前記ソケットから容易に取り外すことができる。なお、前記筐体の形状が、直管式や円管式や電球式の蛍光灯と同様の直線状、円環状、電球状とされた場合は、接続部30は周知の蛍光灯の接続端子から形成されることは言うまでもない。
駆動回路収容部10は、前記釣鐘状の全体形状の上位部分を形作る外殻11を有している。外殻11は、ここでは、合成樹脂製である。外殻11は、略円筒形の外壁11aを有しており、外壁11aの外側は、空気の流動を容易にして放熱効率を高めるために、格子状部11bとなっている。外壁11aの内側には、略円筒形の回路基板収容室12が形成されている。回路基板収容室12の内部には、LED駆動回路(図示せず)が表面に実装された回路基板13が配置されている。LED駆動回路としては、ここでは、本願出願人が所有する特許第4630930号公報に記載の回路構成が使用されているが、これ以外の回路構成でもよいことは言うまでもない。
上述した特許第4630930号公報に記載の回路構成は、その請求項1に記載されているように、一対の入力端子と、前記一対の入力端子を介して入力される交流電圧を整流して整流出力電圧を生成する整流回路と、前記一対の入力端子の一方に一端が接続され、前記整流回路の一つの入力端子に他端が接続された抵抗性回路素子と、前記整流回路の出力端子間に接続された容量性回路素子と、前記整流出力電圧をPWMスイッチング方式で制御してLED駆動用の駆動電圧を生成する、トランスレスのコントローラとを備え、前記抵抗性回路素子の抵抗値と前記容量性回路素子の容量値により決定される時定数が、前記抵抗性回路素子を接続しない場合よりも前記容量性回路素子への充電期間が長くなるように設定されていることを特徴とするLED駆動回路である。このLED駆動回路によれば、(a)従来より少ない部品点数で力率改善と点灯時の突入電流防止とを実現することができ、しかも、LEDランプを実現可能な程度に小型化することが容易である、(b)小型で明るい電球型の照明器具( 例えばLEDランプ)を容易に実現することができる、といった効果が得られるため、本実施形態のLED駆動回路として好適である。
回路基板収容室12(外壁11a)の上端は、開口していて、接続部30の口金31の内部上端まで連通している。このため、前記LED駆動回路は、回路基板収容室12の内部にある回路基板13から接続部30の口金31の内部上端まで延在する一対のコード14を介して、接続部30の口金31に電気的に接続されている。
回路基板収容室12(外壁11a)の下端は、駆動回路収容部10とレンズ装着部20の境界付近にあって、開口している。この開口は、金属製円板からなる蓋15によって塞がれている。従って、駆動回路収容部10とレンズ装着部20は、板状の蓋15によって仕切られている、ということもできる。回路基板収容室12の下端の開口からは、回路基板収容室12の内部にある回路基板13に上端が接続された一対のコード26が、下方に引き出されている。従って、回路基板収容室12の下端の開口は、一対のコード26が挿通された蓋15の小孔を除いて、蓋15によって塞がれていることになる。
回路基板収容室12から蓋15を貫通してその下方に引き出された一対のコード26の下端は、レンズ装着部20の内部に配置されたLED搭載基板25(これについては後述する)上の回路(配線)パターン(図示せず)を介して、LED搭載基板25に搭載された複数のLED光源24に、電気的に接続されている。このようにして、LED搭載基板25上の複数のLED光源24は、光源として使用されるものであって、一対のコード26を介して、駆動回路収容部10の内部にある回路基板13上のLED駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、さらに、一対のコード14を介して、接続部30の口金31に電気的に接続されている。
レンズ装着部20は、前記釣鐘状の全体形状の下位部分を形作る外カバー21を有しており、外カバー21の下端部の内側には、円環状の係止部21aが形成されている。外カバー21は、駆動回路収容部10の外殻11と同様に、合成樹脂製で、格子状に形成されている。外カバー21の内部には、偏平な円筒形のレンズ収容ケース22が配置されている。レンズ収容ケース22は、その下部が円環状の係止部21aに係止されることで、外カバー21に保持されている。係止部21aは、全体がレンズ装着部20の内部に位置しており、出射面29から下方(外方)に突出してはいない。係止部21aの上方部分には、格子状部21bが形成されている。格子状部21bは、その上位にある外殻11の格子状部11bに連結されていて、相互に空気が流動可能となっている。放熱効果を高めるためである。
レンズ収容ケース22は、金属製で、略円筒形とされており、上面と下面の双方が開口している。レンズ収容ケース22の上面の開口は、円板状のLED搭載基板25によって塞がれている。レンズ収容ケース22の下面の開口は、光学レンズ23の円形の連結部23bによって塞がれている。連結部23bは、ほぼ平坦になっていて、LED照明装置1の出射面29を形成している。
レンズ収容ケース22は、外カバー21の係止部21aにその中心軸と同軸となるように係止されることで、その全体が外カバー21の内側に保持されている。レンズ収容ケース22は、出射面29とも同軸の位置関係にある。
LED搭載基板25と、その上方にある蓋15、外壁11a及び格子状部11bとの間には、空隙28が形成されている。上述した一対のコード26は、空隙28の内部に配置されている。空隙28の上面部は、蓋15と、外殻11の外壁11a及び格子状部11bとに隣接している。空隙28の下面部は、LED搭載基板25の裏面、すなわち、LED光源24が搭載されている搭載面の反対側の面に隣接している。空隙28の側面部は、外カバー21の係止部21aに隣接している。
このため、LED搭載基板25上の複数のLED光源24から生じた熱は、LED搭載基板25を介して、空隙28に存在する空気に直ちに伝達される。その空気は、外殻11の格子部11bと外カバー21の格子部21bを通って外部との間で容易に流動可能であるから、複数のLED光源24から生じた熱は、LED照明装置1の外部に効率的に放散されることができる。また、回路基板13上のLED駆動回路(図示せず)から生じた熱は、回路基板13を介して、空隙28に存在する空気に直ちに伝達される。その空気は、外殻11の格子部11bと外カバー21の格子部21bを通って外部との間で容易に流動可能であるから、LED駆動回路から生じた熱も、複数のLED光源24から生じた熱と同様に、LED照明装置1の外部に効率的に放散されることができる。
レンズ収容ケース22の内部には、LED搭載基板25と光学レンズ23との間の位置に、円板状の遮光板22aが固定されている。遮光板22aは、レンズ収容ケース22の側壁に対して直交していて、LED搭載基板25及び出射面29に対して平行になっている。遮光板22aとLED搭載基板25の間には、小さい隙間28aが形成されており、LED搭載基板25から突出したLED光源24(図3では下方に突出)は、隙間28aの内部に配置されている。遮光板22aには、遮光板22aと近接して配置されている12個のLED光源24と一対一対応となるように、12個の貫通孔22bが形成されている。そして、12個のLED光源24の各々から発出される出力光は、対応する貫通孔22bを通って、遮光板22aの下方にそれと近接して配置されている光学レンズ23の入射側の端面(上端面)に到達するようになっている。
レンズ収容ケース22の内部に配置された光学レンズ23は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの透明材料から形成されている。光学レンズ23は、ほぼ同一形状の12個のレンズ要素23aを、上述した単一の円形の連結部23bで連結した形状となっている。
連結部23bは、透明で、略円板状とされている。12個のレンズ要素23aの各々は、透明で、その上端(入射側の端部)から下端(出射側の端部)に向かうにつれて外径が徐々に広がった略円錐台状である。各々のレンズ要素23aの中心軸は、連結部23bの中心軸(これはレンズ収容ケース22の中心軸と同軸の位置関係にある)と平行である。
12個のレンズ要素23aは、連結部23bの上面(入射側の平面)に、図2に示すようなレイアウトで配置されている。すなわち、3個のレンズ要素23aは、内側の円周C2上にその円周C2に沿って等間隔で配置され、残りの9個のレンズ要素23aは、外側の円周C1(これは内側の円周C2と同心である)上にその円周C1に沿って等間隔で配置されている。内側の円周C2と外側の円周C1とは、いずれも、連結部23bの中心軸と同心に形成されている。
12個のレンズ要素23aのレイアウトは、LED搭載基板25上の12個のLED光源24のレイアウト及び遮光板22aの12個の貫通孔22bのレイアウトと同じであり、12個のレンズ要素23aの各々が対応する貫通孔22bを介して12個のLED光源24の対応するものに重なる位置にある。つまり、12個のレンズ要素23aと12個のLED光源24とは、一対一対応となっているのである。そして、12個のレンズ要素23aの上端面(入射側の端面)は、12個のLED光源24の対応するものの先端面(図3ではLED光源24の下端にある)と、わずかの隙間をあけて対向せしめられている。こうして、12個のLED光源24から出力される12個の出力光が、対応する貫通孔22bを介して、12個のレンズ要素23aの対応するものの内部に確実に導入されるようにしている。12個のレンズ要素23aの内部にそれぞれ導入された12個のLED光源24の出力光は、レンズ要素23aの内部を出射面29に向かって伝播する。
12個のレンズ要素23aは、同一の形状を持っている。各々のレンズ要素23aの内部には、図3に示すように、その中心軸に沿って円筒状の入射側凹部23dと、円柱状の隔壁23cと、円筒状の出射側凹部23eとが、この順に形成されている。各々のレンズ要素23aのこの形状は、入射側凹部23dと出射側凹部23eを含む円筒状の透孔(貫通孔)の中央位置に、円柱状の隔壁23cを形成してなる形状ということもできる。入射側凹部23dの入射側の開口は、対応するLED光源24の端面に対向し、且つ、近接している。出射側凹部23eの出射側の開口は、連結部23bの出射側端面の対応する箇所に露出している。連結部23bの出射側端面は出射面29上にあるから、出射側凹部23eの出射側の開口は、出射面29上で外部に露出している。従って、出射面29上には、12個の出射側凹部23eの出射側の開口が図2に示すレイアウトで配置されていることになる。
光学レンズ23は以上のような構成を持っているため、12個のLED光源24からの出力光の各々は、まず、対応するレンズ要素23aの入射側凹部23dに入り込み、その中を出射面29に向かって伝播してから、その隔壁23cに衝突する。これにより、前記出力光の一部は、対応する前記レンズ要素23aの周壁部(出射側凹部23eの外周部)を拡散し、さらに連結部23bの内部を拡散してから、出射面29より外部に出射される。前記出力光の残部は、対応する前記レンズ要素23aの前記隔壁23cを貫通し、さらに対応する前記レンズ要素23aの出射側凹部23eを伝播して、連結部23bを拡散することなしに、出射面29より外部に出射される。このように、前記出力光は、対応する前記レンズ要素23aの前記入射側凹部23dと前記周壁部と連結部23bとを通過して出射面29に到達する部分と、対応する前記レンズ要素23aの前記入射側凹部23dと前記隔壁23cと前記出射側凹部23eとを通過して、出射面29より外部に出射される部分とが、相互に混合・集光されて出射面29から前記筐体の外部に出射されるのである。
以上述べたように、12個のLED光源24からの12個の出力光は、それぞれ、12個のレンズ要素23aの入射側凹部23dと周壁部と連結部23bとを通過して出射面29に到達する部分と、12個のレンズ要素23aの入射側凹部23dと隔壁23cと出射側凹部23eとを通過して出射面29に到達する部分とが、相互に拡散・混合されながら集光されてから、出射面29より外部に出射されるのである。つまり、出射面29より出射されるLED照明装置1の照明光は、12個のLED光源24からの12個の出力光を光学レンズ23によって拡散・混合してから集光したものとなる。この照明光は、断面円形の光ビームとなって出射面29から出射される。
連結部23bの出射面29を形成する面は、ここでは、すりガラス状に処理する(小さい凹凸やキズを付ける)ことで、半透明にされている。こうすると、レンズ要素23aと連結部23bによって拡散・混合・集束されて生成されるLED照明装置1の照明光が、すりガラス状処理なしの場合に比べて、少しぼやけたものとなるが、12個のLED光源24からの出力光が十分に混合されて、ビーム状の照明光がより均一になり、好ましい。連結部23bの出射面29を形成する面には、すりガラス状処理を行わなくてもよいことは言うまでもない。
LED搭載基板25は、例えばアルミニウム製の円板から形成されており、その搭載面には、図5に示すように、当該搭載面に搭載されるLED光源24の総数に等しい数(ここでは12)のLED設置領域25aが形成されている。12個のLED設置領域25aのレイアウトは、図2に示した12個のレンズ要素23aのレイアウトと同じである。各々のLED設置領域25aは、ここでは、矩形の窪みとされており、その窪みの底面に、対応するLED光源24の底面が適当な接着剤を用いて固着されている。前記搭載面上には、計12個の矩形の枠体25cが、対応するLED設置領域25a(ひいては対応するLED光源24)を囲むように形成されている。
LED搭載基板25の内部には、その搭載面に搭載された計12個のLED光源24を、回路基板13(これは回路基板収容室12の内部にある)の表面に実装された前記LED駆動回路(図示せず)に電気的に接続するための配線パターン25bが形成されている。その配線パターン25bには、LED光源24を電気的に接続するための接続部(図示せず)が、計12個、形成されている。これら12個の接続部は、LED搭載基板25の搭載面の対応する設置領域25a(窪み)の内部に露出せしめられていて、12個のLED光源24の各々の底面は、対応する設置領域25aの内部において前記接続部に電気的に接続されている。
各々のLED光源24は、砲弾状で、図5に示すように、405nmにピーク波長を有する可視光(青紫色光)を発光するLEDチップ24aと、LEDチップ24aを覆うように層状に形成された蛍光体24bと、蛍光体24bを覆うように形成された透明な封止樹脂24cとを備えている。蛍光体24bは、適当な分散剤を用いて所定の蛍光体材料を合成樹脂中に分散させたものであり、LEDチップ24aから放出される可視光(青紫色光)の一部を吸収して、特定色の光を発生する。そして、蛍光体24bから放出される特定色の光が、LEDチップ24aから放出される青紫色光と混合されて、疑似白色光となる。前記特定色は、蛍光体材料の種類に応じて変化するが、これについては限定されない。405nmにピーク波長を有する可視光(青紫色光)を発光し、蛍光体24bから放出される特定色の光と混合されて疑似白色光を生成するものであれば、蛍光体材料は任意に選定することができる。封止樹脂24cは、略半球状とされていて、蛍光体24bを覆うように配置されている。前記疑似白色光は、封止樹脂24cの内部を通って前方(図5では上方)に放出される。このように、各々のLED光源24が出力する疑似白色光は、光学レンズ23によって拡散・混合・集束された後、照明装置1の照明光として出射面29から出射される。
上述したように、計12個のLED光源24から出力される疑似白色光には、LEDチップ24aから放出される青紫色光と、蛍光体24bから放出される特定色の光とが混合されているから、疑似白色光によって照明器具としての機能を果たすと同時に、青紫色光によって細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する機能も発揮することができる。
上述したLED光源24の発光スペクトルの具体例を図13に示す。図13の発光スペクトルから明らかなように、LED照明装置1に使用したLED光源24は、405nmにピーク波長を有する可視光を成分として含んでおり、細菌等の微生物を不活性化する作用を持つ青紫色光を発光することができるものである。また、このLED光源24は、細菌等の微生物を不活性化する作用を持つ青紫色光(可視光)のピーク波長405nm以外のピーク波長を、可視光領域に有していない。このため、このLED光源24の出力光は、405nmにピーク波長を有する可視光(青紫色光)を成分として包含する疑似白色光であるが、上述した特許文献1の照明器具と上述した特許文献2の照明装置における発光スペクトル(ピーク波長405nm以外の1又は複数のピーク波長を可視光領域に有している)とは明らかに異なっている。
可視光領域にある波長405nmの青紫色光は、いわゆるブルーライトに相当し、その光量(発光強度)や照射時間によっては、人体(特に眼)に悪影響を及ぼす恐れがあるし、不快感を惹起させる恐れもあることが知られている。しかし、本実施形態に係るLED照明装置1に使用されているLED光源24が発生する出力光は、波長405nmの青紫色光を成分として包含する疑似白色光であるが、主たる照明光としての白色光又は疑似白色光の補助光として使用されるように構成されているため、換言すれば、LED光源24の出力光の光量(発光強度)が十分に低く設定されているため、人体(特に眼)に悪影響を及ぼしたり、不快感を惹起させたりする恐れがない。
上述したLED照明装置1の仕様の具体例を挙げると、外径が120mm、全長が140mm、質量が280g、駆動電流が110mA、消費電力が8W、ビーム角が50°、最大光度が1860cd、全光束が1100lm、平均演色評価数(Ra)が92、色温度が3500K、4000K、あるいは5000K、といったものになる。色温度が3500Kでは、LED照明装置1の照明光としての疑似白色光が温白色に、4000Kでは白色光に、5000Kでは昼白色になるが、これは対象空間における主たる照明光としてどのようなものが使用されるか、に応じて、また、その主たる照明光に対する補助光として温白色、白色光、昼白色のいずれが適切か、に応じて、適宜選定される。
なお、波長405nmの青紫色光が、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を発揮しないようにするため、例えば、LED照明装置1の照明光としての疑似白色光の最大光度は、2800cd以下、又は、2000cd以下に設定されるのが好ましい。また、その疑似白色光の全光束は、3500lm以下、又は、1500lm以下、又は、1300lm以下に設定されるのが好ましい。前記疑似白色光の最大光度の値と全光束のこれらの値は、LED照明装置1の形態、例えば、本実施形態のように、光学レンズ23を備えたビーム球型又は電球型(図1~図3参照)として構成されるか、光学レンズ23を備えない蛍光灯型(例えば直管式又は円管式又は電球式)として構成されるか、によって変わってくるので、光学レンズ23の有無、出射面29の形状や総面積等に応じて、任意に調整すればよい。
本実施形態に係るLED照明装置1に組み込まれたLED光源24としては、例えば、日亜化学工業株式会社製の白色LED(型番:NF2W585ART-P8)が好適に使用可能である。実際、この白色LEDは、波長405nmの青紫色光(可視光)を成分として包含する疑似白色光を発光する砲弾型のLEDであり、その絶対最大定格の順電流は125mA、最大光束は70lm(ルーメン)程度である。パワーLEDの絶対最大定格の順電流は、300~400mAあるいはそれ以上であるから、日亜化学工業製の当該LEDは、明らかにパワーLEDではなく、従って、その出力光の光量はパワーLEDのそれに比べてはるかに小さいから、本実施形態に係るLED照明装置1の上述した仕様を実現するのに好適なLEDである。
(LED照明装置の使用形態)
次に、上述した構成を有する本実施形態に係るLED照明装置1の使用形態について説明する。
まず、LED照明装置1の接続部30の口金31の外周の螺旋溝を、照明器具のソケット(図示せず)の内周にある螺旋溝にねじ込み、前記照明器具にLED照明装置1を装着する。そして、前記照明器具の電源スイッチをONにする。これにより、LED照明装置1は、電源(例えばAC100V)に対して電気的に接続される。このとき、電源電圧は、一対のコード14を介して回路基板収容室12の内部にある回路基板13に供給されるため、当該回路基板13上に搭載されたLED駆動回路(図示せず)が動作を始める。始動した前記LED駆動回路が生成するLED駆動電流は、一対のコード26を介してLED搭載基板25上に搭載された計12個のLED光源24に供給され、それに応じて計12個のLED光源24が駆動される。その結果、これらLED光源24の各々から、出力光としての疑似白色光が同時に出力される。
こうして出力された計12個の疑似白色光(出力光)は、それぞれ、12個のレンズ要素23aの入射側凹部23dと周壁部と連結部23bとを通過して出射面29に到達する部分と、12個のレンズ要素23aの入射側凹部23dと隔壁23cと出射側凹部23eとを通過して出射面29に到達する部分とが、相互に拡散・混合されてから、出射面29より外部に出射される。つまり、出射面29より出射されるLED照明装置1の照明光は、12個のLED光源24からの12個の出力光を光学レンズ23によって拡散・混合してから出射面29に集光したものとなる。この照明光は、断面略円形の光ビームとなって出射面29から出射される。
本実施形態に係るLED照明装置1を所望の対象空間を照明するために使用する際には、前記対象空間を照明するための主たる照明光を発光する主たる照明装置を同時に使用し、その主たる照明装置が照射する主たる照明光の存在下で、LED照明装置1が照射する疑似白色光を補助的な照明光として使用するようにする。これは、LED照明装置1だけで前記対象空間を照明するには、光度が足りないからであり、また、前記主たる照明光として使用するために、LED照明装置1の照明光である疑似白色光の強度(光束)を高くすると、当該疑似白色光に包含される除菌作用を持つ青紫色光の強度(光束)も高くなって、前記対象空間にいる人の身体(特に眼)に悪影響を及ぼす恐れもあるからである。
(効果確認試験)
以上説明した構成を持つ本発明の一実施形態に係るLED照明装置1を実際に製作し、照明光としての疑似白色光に含まれるピーク波長405nmの青紫色光による微生物不活性化作用による細菌不活性化効果を確認するために、試験(効果確認試験)を行った。製作したLED照明装置1は、照明光としての疑似白色光の光量が大きいもの(タイプ1)が1個、小さいもの(タイプ2)が1個とした。疑似白色光の光量が大きいタイプ1は、照射面の照度が8000ルクス(lx)となるように駆動電流が設定された。疑似白色光の光量が小さいタイプ2は、照射面の照度が1800lx(タイプ1の照度の約20%)となるように駆動電流が設定された。
試験要領は次のとおりとした。
(1)試験菌としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を使用した。(2)試験操作は、次のようにした。まず、試験菌2種をそれぞれトリプチカーゼソイブロス(trypticase soy broth)培地を用いて、35°C、24時間振とう培養後、新鮮なトリプチカーゼソイブロス培地を用いて希釈し、各試験菌の菌液を調製した。調製した菌液を0.1mLずつ、あらかじめシャーレを用いて作製した標準寒天培地の平板培地表面に塗抹した。続いて、シャーレの蓋を開けて本実施形態に係るLED照明装置1を培地上65cmの間隔をおいて7時間又は24時間照射した後、蓋を閉めた平板培地(各1枚)、及び、本実施形態に係るLED照明装置1を非照射の平板培地(2枚)をそれぞれ35°C、48時間静置し、培地表面に形成したコロニーについて、数を測定すると共に、写真を撮影(各試験区1枚)した。
試験結果を図7~図9に示す。図7から分かるように、疑似白色光の光量が大きいもの(タイプ1)と疑似白色光の光量が小さいもの(タイプ2)の双方について、黄色ブドウ球菌と緑膿菌の双方のコロニー数が、照射時間に伴って減少している。だたし、その減少の度合い(速度)は大きく異なっており、疑似白色光の光量が大きいもの(タイプ1)の方が、疑似白色光の光量が小さいもの(タイプ2)よりも早く減少している。本実施形態に係るLED照明装置1から射出される照明光は、405nmにピーク波長を有する可視光を成分として含むと共に、前記可視光の前記ピーク波長以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光であり、しかも、その発光強度が低い(例えば、最大光度が1860cd、全光束が1100lm)ため、微生物不活性化作用は弱く、最も早いタイプ1と緑膿菌の場合でも、7時間の照射でようやく死滅する程度であり、タイプ2で黄色ブドウ球菌の場合には、24時間の照射でもかなりの数のコロニーが残存することが分かった。タイプ1についてのコロニー像を図8(a)(b)に、タイプ2についてのコロニー像を図9(a)及び(b)にそれぞれ示す。
また、比較例として、紫外光を発光する従来より公知のLED照明装置を用いて、同様の試験を行った。ただし、試験菌として、上記の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に加えて、大腸菌(Escherichia coli)を用いた。
比較例の試験要領は次のとおりとした。
(1)試験菌としては、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を使用した。(2)試験操作は、次のようにした。まず、試験菌3種をそれぞれトリプチカーゼソイブロス培地を用いて、35°C、24時間振とう培養後、新鮮なトリプチカーゼソイブロス培地を用いて希釈し、各試験菌の菌液を調製した。調製した菌液を0.1mLずつ、あらかじめシャーレを用いて作製した標準寒天培地の平板培地表面に塗抹した。続いて、シャーレの蓋を開けて比較例の紫外光LED照明装置を培地上5cmの間隔をおいて1分間又は3分間照射した後、蓋を閉めた平板培地(各1枚)、及び、比較例の紫外光LED照明装置を非照射の平板培地(2枚)をそれぞれ35°C、48時間静置し、培地表面に形成したコロニーについて、数を測定すると共に、写真を撮影(各試験区1枚)した。
その試験結果を図10~図12に示す。図10から分かるように、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌のいずれについても、1分間の照射でコロニー数がゼロになっている。そのコロニー像を図11(a)及び(b)、図12に示す。比較例のLED照明装置から射出される照明光は紫外光であるため、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌のいずれについても、ごく短時間(1分未満)の照射で死滅することが確認された。これにより、本実施形態に係るLED照明装置1を用いた場合よりも、従来のLED照明装置(紫外光を照射)を用いた場合の方が、はるかに強い殺菌作用が得られることが確認された。また、これにより、本実施形態に係るLED照明装置1の照明光は、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の「補助的な照明光」として使用するのに好適であることも確認された。
(追加の効果確認試験)
さらに、追加の効果確認試験として、以上説明した構成を持つ本実施形態に係るLED照明装置1を実際に製作し、照明光としての疑似白色光に含まれるピーク波長405nmの青紫色光による微生物不活性化作用による細菌不活性化効果を確認するために、追加の試験(追加の効果確認試験)を行った。製作したLED照明装置1は、照射面の照度が5000lx(ルクス)(照射距離50cm相当)、2000lx(照射距離100cm相当)、1000lx(照射距離150cm相当)となるように、照明光としての疑似白色光の光量が調整された。
使用した培地、試薬及び機材は、次のとおりとした。
1)培地
(a)Dulbecco's Modified Eagle's Medium (シグマアルドリッチ、以下、DMEM)
(b)ダルベッコ変法イーグル培地「ニッスイ」(2)(日水製薬、以下、DME)
(c)SCDLP ブイヨン培地(栄研化学、以下、SCDLP)
2)試薬
(a)ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum、シグマアルドリッチ、以下、FBS)
(b)Dulbecco's PBS (-) "Nissui"( 日水製薬、以下、PBS)
3)機材
(a)マイクロピペット 200μl、1000μl (ギルソン)
(b)電動8連マルチチャンネルピペット (10~300μl、ザルトリウス)
(c)電動8連マルチチャンネルピペット (50~1200μl、ザルトリウス)
(d)安全キャビネット (BHC-1902 IIB、エアーテック)
(e)CO2インキュベータ (MCO-230AICUVH-PJ PHCbi)
試験用ウィルスの調整は次のようにした。すなわち、細胞培養フラスコで単層に培養したネコ胎児由来株化細胞(Fcwf-4: Felis catus whole hetus)に、ネココロナウィルスFeline enteric coronavirus、WSU 79-1683)を接種し、前記細胞に前記ウィルスを感染させるため37℃のCO2インキュベータ内で静置した。1時間後、0.2%FBS加DMEMを加え、37℃のCO2インキュベータ内で約20時間培養した。培養後、フラスコを-30℃の冷凍庫に凍結保存した。その後、融解操作を行い、ポリエチレングリコール沈殿法で濃縮したウィルス液を保存ウィルス液とし、-80℃に保存した。試験には、前記保存ウィルス液をPBSで3倍に希釈して試験ウィルス液とした。
試験方法は次のとおりとした。
1)ウィルス付着試験担体の作製
まず、使用する無加工ガラス板(5cm×5cm)を中性洗剤で洗浄後、水道水でよくすすぎ、イオン交換水で置換後、乾燥させた。次いで、安全キャビネット内で約30分間、殺菌灯を照射した。その後、前記無加工ガラス板を保湿されたシャーレ内に入れ、前記無加工ガラス板上に前記試験ウィルス液0.4mLを接種し、その上から40mm×40mmのポリプロピレン(PP)製のフィルムでカバーして、ウィルス付着試験担体とした。前記シャーレは、ホウケイ酸ガラスで蓋をして保湿した。前記ウィルス付着試験担体の様子を図14に示す。
2)ウィルス不活化試験
試験系の概要を図15に示す。床に設置した支柱の上端側の所定の位置に、上述した本発明の一実施形態に係るLED照明装置1を設置し、前記床上で当該LED照明装置1の直下に所定の照射距離をあけて前記ウィルス付着試験担体を設置し、LED照明装置1の照明光を所定の時間、照射した。「照射なし(対照)」は、保湿された前記シャーレ内に入れた前記ウィルス付着試験担体を遮光した容器に入れ、25℃に設定した恒温槽で所定の時間、静置した。照射後、又は、静置後、前記ウィルス付着試験担体を取り出してスチロールケースに移し、洗い出し液(PBSで5倍に希釈したSCDLP)を10mL加え、1分当たり約100回の頻度で3分間振盪して、ウィルスを洗い出した(図16参照)。この洗い出し液を感染価測定用試料の原液とした。
3)TCID50(50%培養細胞感染価)法によるウィルス感染価測定
ウィルス感染価測定用細胞を予め96ウェルプレートに播種し、前記CO2インキュベータで4日間培養した。試験当日、培養上清を除き、1%FBS加DMEに交換した。前記感染価測定用試料の原液をPBSで10倍段階希釈し、培養液を除いたウェルに、前記感染価測定用試料の原液又はPBSで10倍段階希釈した試料25μLを接種した。細胞にウィルスを感染させるため、CO2インキュベータに静置した。1時間後、接種した感染価測定用試料を除去し、1%FBS加DMEを各ウェル当たり0.1mL加え、CO2インキュベータで4日間培養した。培養後、ウィルスの増殖により生じたCPEを顕微鏡で観察し、Reed-Muench法によりウィルス感染価(TCID50/mL)を求めた。ウィルス感染価は、洗い出し液量(10mL)から試験担体当たりの感染価として記載した。
4)感染価対数減少値の算出
各時間の照射なし(対照)の感染価と、各時間の前記照明光の照射後の感染価から、以下の式を用いて、感染価対数減少値(=LRV, log reduction value)及び減少率(%)を算出した。
LRV=log10(各時間の照射なしの感染価/各時間の照射後の感染価)
減少率(%)=(1-1/10LRV)×100
試験結果を図17及び図18に示す。
図17に示すように、本実施形態に係るLED照明装置1の照明光の照射なし(対照)の6時間及び24時間試験時と、16時間試験時の初期感染価は、それぞれ、2.4×106TCID50/試験担体、及び、4.0×106TCID50/試験担体であった。照射なし(対照)の6時間、16時間及び24時間後の感染価は、それぞれ、1.7×106TCID50/試験担体、2.2×106TCID50/試験担体、及び、2.3×106TCID50/試験担体であった。
他方、本実施形態に係るLED照明装置1の照明光の6時間、16時間及び24時間照射後の感染価は、それぞれ、「5,000lx(照射距離50cm相当)」では、2.7×104TCID50/試験担体、検出限界値未満(<1.3×102TCID50/試験担体)、及び、検出限界値未満(<1.3×102TCID50/試験担体)であった。また、「2,000lx(照射距離100cm相当)」では、5.9×105TCID50/試験担体、1.9×102TCID50/試験担体、及び、検出限界値未満(<1.3×102TCID50/試験担体)であった。また、「1,000lx(照射距離150cm相当)」では、5.0×105TCID50/試験担体、2.4×102TCID50/試験担体、及び、1.6×102TCID50/試験担体であった。
図17に示した試験結果からは、本実施形態に係るLED照明装置1の照明光(疑似白色光)を照射することで、ネココロナウィルスは不活化されている、と言うことができる。例えば、5,000lx(照射距離50cm相当)の6時間照射では、ウィルス感染価(細胞感染性を持つウィルス粒子の数)がおよそ2桁減少し、16時間照射及び24時間照射では、ウィルス感染価が検出限界値未満となっているから、5,000lxでは、およそ16時間照射すれば、感染性がゼロとなり、ネココロナウィルスが完全に不活化されることが分かる。
また、2,000lx(照射距離100cm相当)の6時間照射では、ウィルス感染価がおよそ1桁減少し、16時間照射ではおよそ4桁減少し、24時間照射では、ウィルス感染価が検出限界値未満となっているから、2,000lxでは、およそ24時間照射すれば、感染性がゼロとなり、ネココロナウィルスが完全に不活化されることが分かる。
さらに、1,000lx(照射距離150cm相当)の6時間照射では、ウィルス感染価がおよそ(1/3)に減少し、16時間照射ではおよそ4桁減少し、24時間照射では16時間照射よりも減少して検出限界値に近づいているから、1,000lxでは、感染性がゼロとなり、ネココロナウィルスが完全に不活化されるには、およそ24時間照射すれば、感染性がほぼゼロになり、ネココロナウィルスがほぼ完全に不活化されることが分かる。
本実施形態に係るLED照明装置1の照明光の6時間、16時間及び24時間照射後の感染価対数減少値(減少率)は、図18に示すように、それぞれ、「5,000lx(照射距離50cm相当)」では、1.7(98.0%)、>4.2(99.99%)、及び、>4.2(99.99%)であり、「2,000lx(照射距離100cm相当)」では、0.4(60%)、4.0(99.99%)、及び、>4.2(99.99%)であり、「1,000lx(照射距離150cm相当)」では、0.5(68.0%)、3.9(99.98%)、及び、4.1(99.99%)であった。
図18に示した試験結果からは、本実施形態に係るLED照明装置1の照明光の照射によるウィルス感染価の減少度合いが分かる。すなわち、5,000lx(照射距離50cm相当)では、16時間照射及び24時間照射でウィルス感染価が99.99%以上となっているから、およそ16時間以上の照射でネココロナウィルスが完全に不活化する。2,000lx(照射距離50cm相当)では、24時間照射でウィルス感染価が99.99%以上となっているから、およそ24時間以上の照射でネココロナウィルスが完全に不活化する。そして、1,000lx(照射距離150cm相当)では、24時間照射でウィルス感染価が99.99%以上となっているから、およそ24時間以上の照射でネココロナウィルスが完全に不活化することが分かる。
(照明装置の効果)
以上詳細に説明したように、本発明の一実施形態に係るLED照明装置1は、前記筐体の内部に配置された12個のLED光源24が出力する前記出力光が、微生物不活性化作用を持つピーク波長405nmの可視光(青紫色光)を成分として含み、且つ、前記可視光のピーク波長405nmの以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光とされており、また、出射面29から前記筐体の外部に出射される前記照明光が、光学レンズ23により前記出力光を集光して生成される疑似白色光とされている。そして、前記照明光が、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の補助的な照明光として使用されるように構成されている。例えば、前記照明光としての前記疑似白色光の最大光度が2000cd以下に、その全光束が1300lm以下にそれぞれ設定される。このため、LED光源24が出力する前記出力光の強度を高くする必要がない。これは、LED光源24をいわゆるパワーLEDを用いて構成する必要がないことを意味する。なお、パワーLEDは、一般的なLEDよりも大電流(例えば一般的なLEDの10倍以上の電流)で駆動されて、一般的なLEDよりも高い輝度を持つLEDであり、放熱構造を有する。一般的なLEDの駆動電流は、数mA~数十mA程度であるが、パワーLEDは数百mAあるいはそれ以上であり、それに応じて高輝度となる。
上述した特許文献1の照明器具で使用されているLEDは、その駆動電流が数百mAであるから(段落0042参照)、明らかにパワーLEDである。しかも、上述したような専用の構造・機能を有している。従って、製造コストが高くならざるを得ない。上述した特許文献2の照明装置で発光装置として使用されているLEDについては、駆動電流の記載はないが、当該照明装置により手術灯の光量と同等の10万ルクス(lx)の照度を得ていることから(段落0060、0073参照)、パワーLEDであると推測される。しかも、上述したような専用の構造・機能を有している。従って、これも、製造コストが高くならざるを得ない。これに対し、本実施形態のLED照明装置1で使用されるLED光源24は、前記出力光が微生物不活性化作用を持つピーク波長405nmの視光を成分として含んでいれば、一般的なLEDを用いて実現可能であるから、製造コストは低くてすむ。よって、本実施形態のLED照明装置1は、上述した特許文献1の照明器具及び特許文献2の照明装置よりも低いコストで製造することができる。
また、パワーLEDではなく一般的なLEDにより構成されるLED光源24の前記出力光は、微生物不活性化作用を持つ前記可視光を成分として含み、且つ、前記可視光のピーク波長以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光であるが、微生物不活性化作用を持つピーク波長405nmの記可視光の強度は、上述した特許文献1の照明器具とで使用されている同様の可視光と、上述した特許文献2の照明装置で使用されている同様の可視光の強度に比べてはるかに低い。しかも、前記出力光としての前記疑似白色光が光学レンズ23で集光されて生成される前記照明光としての前記疑似白色光は、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の補助的な照明光として使用されるように構成されている。
従って、設置場所の選定時に、前記可視光に起因して人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果が生じないように注意する必要がほとんどない。しかも、設置場所の選定時に、主たる照明装置が設置されていることを前提として、微生物不活性化作用を持つピーク波長405nmの前記可視光を成分として含む前記疑似白色光を、前記主たる照明装置が出射する主たる照明光の補助光として好適(効果的)に使用することができる。さらに、所望の設置場所への設置後に、照明光としての疑似白色光にその成分として含まれる、微生物不活性化作用を持つ前記可視光が、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を与える恐れがない。
(変形例)
上述した実施形態は、本発明を具体化した例を示すものである。従って、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態のLED照明装置1では、LED光源24の出力光として、405nmにピーク波長を有する可視光(青紫色光)を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用を持つ可視光であれば、405nmとは異なるピーク波長を有する可視光も使用可能である。例えば、400nm以上410nm以下の範囲にピーク波長を有する可視光であれば、細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用を持つから、この範囲にピーク波長を有する任意の可視光を使用してもよい。
また、上述した実施形態のLED照明装置1では、12個のレンズ要素23aを単一の連結部23bで連結した構成の光学レンズ23を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。複数のLED光源24の出力光を混合・集光して出射光として出射することができるものであれば、上述した実施形態のLED照明装置1で使用した光学レンズ23とは異なる形状・構成を持つ任意の光学レンズも使用可能である。
さらに、上述した実施形態のLED照明装置1では、一端に接続部30が固定され、他端に照明光の出射面29が形成されたビーム球型として構成されており、前記照明光としての前記疑似白色光が、ビーム状として出射面29から出射されるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。接続部30及び出射面29を有する筐体の内部に、1又は複数のLED光源24と、前記LED駆動回路と、光学レンズ23とを備えており、前記出力光が、細菌、ウィルス等の微生物を不活性化する作用を持つ可視光を成分として含み、且つ、前記可視光のピーク波長以外のピーク波長を可視光領域に有しない疑似白色光であり、さらに、出射面29から前記筐体の外部に出射される前記照明光が、光学レンズ23により前記出力光を集光して生成される疑似白色光であり、前記照明光が、所望の対象空間を照明するための主たる照明光の存在下で、前記主たる照明光の補助的な照明光として使用されるように構成されているものであれば足り、その形状・構成は任意である。例えば、照明装置のLED光源部が交換可能なユニットとなっていて、前記LED光源部が当該照明装置に着脱可能となっていてもよいし、いわゆるスポットライトやダウンライトのように、照明装置にLED光源部が一体的に固着されていて、LED光源部のみの交換が不可能になっており、必要時にはLED光源部を包含する照明装置を交換するようになっていてもよい。さらに、一端に接続部30が固定され、他端に凸球面状に形成した出射面29が形成された電球型としてもよいことは言うまでもない。
さらに、上述した実施形態のLED照明装置1では、図5に示した構造を持つLED(疑似白色光を出力する)が光源として使用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。400nm以上410nm以下の範囲にピーク波長を有する可視光、好ましくは、ほぼ405nmにピーク波長を有する可視光を成分として含む疑似白色光を出力できるLEDであれば、その構成に制限はなく、任意の構成のものが使用可能である。
さらに、上述した実施形態のLED照明装置1において、光学レンズ23を省略してもよい。この場合、前記筐体の下半分を構成するレンズ装着部20は空洞となり、光学レンズ23の連結部23bに相当する部分に、円板状のカバー(通常はガラス又はプラスチック製)が配置されて、そのガラスカバーの外面が出射面29を形成することになる。複数のLED光源24の出力光は、レンズ装着部20の内部の空洞で混合されてから、前記照明光として出射面29から放射状に出射される。従って、前記照明光はビーム状とはならず、スポット照明等には使用できない。上述した実施形態のLED照明装置1よりも広範囲を照射するのに適した照明装置となる。この場合、前記照明光としての前記疑似白色光の最大光度や全光束は、波長405nmの青紫色光が、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を発揮しないように、適宜調整される。
また、上述した実施形態のLED照明装置1において、光学レンズ23を省略した場合は、前記筐体の全体形状を柔軟に変更することが可能となる。そこで、前記筐体を直管形や円管形や電球形のガラス製又はプラスチック製カバーとすることで、LED照明装置1の全体形状を、例えば、既存の直管式や円管式や電球式の蛍光灯と同様の形状とすることもできるし、円盤状等の形状とすることもできる。このように、光学レンズ23を省略した場合の前記筐体の全体形状は、必要に応じて、任意に設定が可能である。この場合も、前記照明光としての前記疑似白色光の最大光度や全光束は、波長405nmの青紫色光が、人間の皮膚や目、又は、人間の健康一般に有害な効果を発揮しないように、適宜調整される。