JP7368165B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
(1) 端子収容室を区画形成するハウジングの壁部に略U字状の切込みを入れて形成され、前記端子収容室に収容された端子を係止する可撓係止アームと、前記端子の前記端子収容室への挿入方向と反対側の後方に形成され、前記可撓係止アームに係止されて前記端子の後抜けを規制する端子上縁の端子後端面と、前記端子から前記挿入方向と交差する上方向に突出して形成され、前記可撓係止アームに係止される前記端子後端面と同一平面に配置される突部後端面を有する係止突部と、を備え、前記可撓係止アームが形成される前記壁部には、前記係止突部の前記挿入方向の長さよりも前記挿入方向の長さが大きい開口部が、前記可撓係止アームの係止先端を形成する部分である前記略U字状の切込みの底部分に接続して前記底部分を前記挿入方向側に拡大することにより形成されることを特徴とするコネクタ。
これに加え、本構成のコネクタは、壁部に設けた可撓係止アームに、端子上縁の端子後端面と、端子から起立した係止突部の突部後端面との両方が係止される。係止突部は、例えば雌端子の電気接触部となる箱部を板金形成する際に、素板を切り抜く展開形状の一部分として設けておくことができる。この係止突部は、端子の誤挿入を防止したり、挿入姿勢を規制したりする所謂スタビライザと兼用としてもよい。これら端子後端面と、係止突部の突部後端面とは、同一平面上に配置されるので、可撓係止アームに同時に係止される。端子後端面と、係止突部の突部後端面とは、例えば端子の挿入方向に直交する面となる。また、可撓係止アームの係止面も、例えば端子の挿入方向に直交する面となる。そのため、コネクタは、可撓係止アームに対する端子の掛かり代を少なくとも突部後端面の分、増加させることができる。これにより、コネクタは、端子と可撓係止アームとの掛かり代が増加することで、端子が挿入方向と反対方向へ引っ張られた際の可撓係止アームに生じるせん断を抑制できる。その結果、コネクタは、従来構造に比べ端子収容室から端子を脱落しにくくできる。
ハウジングの壁部には、可撓係止アームの係止先端から係止突部の挿入方向の長さよりも大きい開口部が、切込みに接続して切込みの底部分を拡大することにより形成される。これにより、端子収容室に収容された端子は、可撓係止アームの係止先端に係止されている係止突部の挿入方向の全長が開口部を介して視認可能となっている。
端子は、可撓係止アームの係止先端に正規の状態で係止されると、係止先端側から係止突部の全長が開口部により視認可能となる。一方、端子は、可撓係止アームの係止先端に確実に係止されていない状態では、係止先端側から係止突部の端子挿入方向の全長が視認されない。これは、可撓係止アームの係止先端が未だ端子の係止突部に半分乗り上がった半挿入の状態であると、係止突部の後方が可撓係止アームの下側に隠れているためである。これにより、コネクタは、視認された係止突部の全長を判定することにより、端子の半挿入検知を画像検査等により行うことが可能となる。
また、開口部は、係止突部の挿入方向の長さよりも大きく形成される。そのため、開口部は、正規の位置で可撓係止アームの係止先端に係止された係止突部の更に前方に余剰開口部が延出して形成される。この余剰開口部は、画像検査において係止突部を照明するための照明光導入部となる。コネクタは、この余剰開口部を設けることにより、被検査対象部分の解像度を高めることができ、画像検査の精度を向上させることができる。
また、係止突部は、箱部の側板部から起立させて形成できるので、強度を低下させることなく、かつ高精度に形成できる。このため、本構成のコネクタは、係止突部を被検査対象として用いることにより、端子半挿入検知のための画像検査を高精度に行うことができる。
ここで、箱部の上面から起立する係止突部は、端子上縁の挿入方向に交差する方向のいずれか一方に片寄せられて配置されているので、押し上げられた可撓係止アームは、係止突部に押し上げられた側が高くなるように捩れて変形する可能性がある。その結果、可撓係止アームは、係止突部から滑り落ちる方向に変形しようとする。そのため、端子は、係止突部が可撓係止アームと隔壁との間に入り込む可能性が生じる。この場合、係止突部は、突部後端面が可撓係止アームの係止先端に係止しなくなり、係止力が低下する。
そこで、本構成の係止アームには、端子の挿入時に、係止突部の挿入方向に沿う突部側面に摺接するガイドリブが設けられている。このガイドリブは、係止突部が可撓係止アームを押し上げた際、突部側面に摺接することにより、可撓係止アームが係止突部から離反する方向の変位(係止突部から滑り落ちる方向の変位)を規制する。これにより、可撓係止アームは、押し上げられて、係止突部が通過した後に、係止突部の後方に弾性復帰して係止先端が配置される。その結果、端子は、端子後端面と突部後端面が可撓係止アームの係止先端に確実に係止されるようになる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ11の斜視図である。なお、本実施形態において、上下前後左右の方向は、図1に示した矢印の方向に従う。
本第1実施形態に係るコネクタ11は、可撓係止アーム13と、端子後端面15(図4参照)と、係止突部17(図4参照)とを主要な構成として有する。
コネクタ11は、ハウジング19の後端面に設けられた端子挿入開口41から端子21が挿入される。ハウジング19は、上段の端子収容室23に、図2に示す正立した向きとした端子21を取り付けた端子付き電線45が挿入される。ハウジング19は、下段の端子収容室23に、図2に示す正立した向きと逆の倒立とした端子21を取り付けた端子付き電線45が挿入される。
ハウジング19は、それぞれの端子収容室23に、可撓係止アーム13が形成される。可撓係止アーム13は、それぞれの端子収容室23を区画形成するハウジング19の壁部29に、略U字状の切込み47を入れて形成される。切込み47が壁部29に略U字状に入れられることで、基端がハウジング19に接続され、先端が自由端となる片持ち梁形状に可撓係止アーム13が形成される。略U字状の切込み47で切り離された可撓係止アーム13は、略U字状の底部分に応じた部分が係止先端49となる。可撓係止アーム13は、端子収容室23に収容された端子21に係止先端49を係止することで、端子21の後抜けを規制する。
本実施形態において、端子21は、例えば電気接触部となる箱部51を挿入方向aの先端に有した雌端子である。箱部51は、外観が挿入方向に長い直方体形状とされる。箱部51の内部には、相手ハウジングに収容される雄端子のタブ端子部と導通接触する板ばね片53が設けられている。端子21は、箱部51の後方に、導体55を圧着する導体圧着部57、電線43を固定する被覆圧着部59が連設される。更に、端子21は、箱部51の一方の側部の後端に、係止突部17が起立して形成される。本実施形態において、この係止突部17は、端子21の挿入時の姿勢を正しく規制するスタビライザとしても働く。電線43は、被覆の除去された導体55が導体圧着部57に圧着され、被覆の外周が被覆圧着部59に圧着されることにより端子付き電線45となる。
ハウジング19は、可撓係止アーム13の形成される壁部29に、開口部65を有する。開口部65は、切込み47に接続して挿入方向aに延出して形成される。開口部65は、端子21の挿入方向aに所定の長さLで形成される。切込み47は、可撓係止アーム13の係止先端49から挿入方向aの長さがL1で形成される。開口部65の所定の長さLは、係止突部17の挿入方向aの長さKよりも大きく(L>K)設定されている。
コネクタ11は、端子21が端子収容室23に挿入されると、端子上縁61が可撓係止アーム13の係止先端49に対面して配置される。端子付き電線45は、電線43が後方に引っ張られると、端子21が後退する。後退した端子21は、端子上縁61の端子後端面15と、係止突部17の突部後端面63とが同時に可撓係止アーム13の係止先端49に当接する。これにより、端子21は、後抜けが規制される。
図7は、図3のA-A断面図である。
図7において、ハウジング19の下段の端子収容室23には、予め端子21が挿入されている。下段の端子収容室23に挿入された端子21は、上段に挿入される端子21と、上下が逆となって収容されている。従って、下段の端子21は、係止突部17が下向きに突出している。この下向きとなった係止突部17は、端子後端面15と共に突部後端面63が、下段の端子収容室23の壁部29に形成された可撓係止アーム13に係止されている。一方、下段の端子収容室23に隣接する上段の端子収容室23には、端子21が挿入方向aで端子挿入開口41から挿入される。
端子21が端子収容室23に進入すると、先ず、箱部51により可撓係止アーム13が押し上げられて弾性変形する。箱部51に乗り上げた可撓係止アーム13は、更に端子21が挿入方向aに挿入されると、箱部51から起立している係止突部17により更に押し上げられる。
端子21が更に挿入方向aに挿入されると、係止突部17が可撓係止アーム13の係止先端49を通過する。すると、可撓係止アーム13は、弾性復元力により押上前の位置に戻る。元の位置に復帰した可撓係止アーム13は、係止先端49が端子後端面15と突部後端面63の両方に対面して配置される。端子21は、箱部51の先端が、ハウジング19の前壁部37に当接することでそれ以上の挿入が規制される。端子21は、箱部51の先端が前壁部37に当接した状態で端子後端面15及び突部後端面63と、可撓係止アーム13の係止先端49との間に所定距離のクリアランス67が形成される。このクリアランス67は、可撓係止アーム13が弾性復帰する際に、箱部51との干渉を回避するためのものとなる。可撓係止アーム13は、このクリアランス67が設けられることにより、端子後端面15及び突部後端面63に対して係止先端49が対面する位置に確実に配置される。
コネクタ11は、例えば上段の端子収容室23に装着された端子21に引っ張り方向の外力が電線43を介して作用すると、端子21が端子収容室内で後方へ移動する。後方へ移動した端子21は、クリアランス67の分、移動する。移動した端子21は、端子後端面15と突部後端面63とが可撓係止アーム13の係止先端49に当接し、それ以上後方への移動が規制される。つまり、端子21は、後抜けが規制される。
コネクタ11は、端子収容室23の壁部29に切込み47を入れて可撓係止アーム13を形成するので、可撓係止アーム13と端子21との係止部分が、ハウジング19の外方より容易に視認可能となる。ハウジング19の壁部29には、更にこの視認性を高めるための開口部65がそれぞれの切込み47に接続して形成されている。
本第1実施形態に係るコネクタ11では、端子21を係止する可撓係止アーム13が、端子収容室23の壁部29に直接形成される。可撓係止アーム13は、従来構造のように、端子収容室23の内方に壁部29と別形状で形成されない。即ち、可撓係止アーム13は、壁部29に略U字状の切込み47を入れて壁部29の一部分として形成される。切込み47が壁部29に略U字状に入れられることで、基端がハウジング19に接続され、先端が自由端となる片持ち梁形状に可撓係止アーム13が形成される。ハウジング19は、端子収容室23が、この切込み47を介してハウジング19の外部へ通じることになる。このため、コネクタ11における可撓係止アーム13は、従来の傾斜する片持ち梁形状を別途設けるための空間が端子収容室23に不要になる。元々存在する壁部29から一部を切り離して可撓係止アーム13が形成されるためである。これにより、コネクタ11は、ハウジング19が簡素な構造となり、小型化が容易となる。また、可撓係止アーム13は、複雑な片持ち梁形状を壁部29から更に突出して形成する必要がないので、樹脂成形時に使用される金型も簡素となる。
図12は、本発明の第2実施形態に係る可撓係止アーム73の斜視図である。
本発明の第2実施形態に係るコネクタ11Aは、可撓係止アーム73に複数のリブが形成されている。更に、可撓係止アーム73は、アーム上面75の先端側に、凹部77が形成される。凹部77は、先端側が可撓係止アーム73の係止先端49で開放し、後端が上り方向の傾斜面79により可撓係止アーム73のアーム上面75に接続する。アーム上面75は、凹部77を挟む左右が一対の平行な補強リブ81となる。可撓係止アーム73は、凹部77を設けることにより、先端側に良好な可撓性を付与できるとともに、補強リブ81を設けることにより、強度が増し、端子保持力が向上する。
ガイドリブ85は、係止先端49の縦方向の一対の平行な辺の一方を下方へ延長した位置に形成される。ガイドリブ85は、この位置でアーム下面83から垂設され、かつ可撓係止アーム73の基端側に向かって延在する。
ガイドリブ85は、可撓係止アーム73の隔壁側に配置されることにより、端子挿入時のガイドを目的とする。可撓係止アーム73は、隔壁25から切込み47を介して離間する。
このガイドリブ85には、端子21の係止突部17が摺接する。即ち、可撓係止アーム73は、端子挿入時に、係止突部17の挿入方向に沿う突部側面87にガイドリブ85のリブ内側面89が摺接する。これにより、可撓係止アーム73は、係止突部17から離反する方向(矢印b方向)の滑りや捩れ等による変位が規制される。
このようにしてコネクタでは、端子挿入時における可撓係止アーム73の変位が規制される結果、正規の位置への弾性復帰が可能となる。その結果、端子21は、端子後端面15と突部後端面63が、可撓係止アーム73の係止先端49の前方に正確に対面して配置されるようになっている。
本第2実施形態に係るコネクタ11Aでは、端子21が端子収容室23へ挿入開始されると、端子21の挿入方向先端が、可撓係止アーム13のアーム下面83に基端側から接触し始める。端子21は、更に挿入されると、箱部51の挿入方向先端が可撓係止アーム13を押し上げる。端子21は、箱部51の上面31から起立する係止突部17が可撓係止アーム13に達すると、係止突部17が可撓係止アーム13を押し上げる。
ここで、表裏面が挿入方向aに沿う方向の板状に形成されて箱部51の上面31から起立する係止突部17は、端子上縁61の挿入方向に交差する方向のいずれか一方に片寄せられて配置されている。そこで、押し上げられた可撓係止アーム13は、係止突部17に押し上げられた側が高くなるように捩れて変形する可能性がある。その結果、可撓係止アーム13は、係止突部17から滑り落ちる方向に変形しようとする。そのため、端子21は、係止突部17が可撓係止アーム13との隔壁25との間に入り込む可能性が生じる。この場合、係止突部17は、突部後端面63が可撓係止アーム13の係止先端49に係止しなくなり、係止力が低下する。
[1] 端子収容室(23)を区画形成するハウジング(19)の壁部(29)に略U字状の切込み(47)を入れて形成され、前記端子収容室(23)に収容された端子(21)を係止する可撓係止アーム(13,73)と、
前記端子(21)の前記端子収容室(23)への挿入方向(a)と反対側の後方に形成され、前記可撓係止アーム(13,73)に係止されて前記端子(21)の後抜けを規制する端子上縁(61)の端子後端面(15)と、
前記端子(21)から前記挿入方向(a)と交差する方向に突出して形成され、前記可撓係止アーム(13,73)に係止される前記端子後端面(15)と同一平面に配置される突部後端面(63)を有する係止突部(17)と、
を備えることを特徴とするコネクタ(11,11A)。
[2] 前記可撓係止アーム(13,73)が形成される前記壁部(29)には、前記係止突部(17)の前記挿入方向(a)の長さよりも大きい開口部(65)が前記切込み(47)に接続して形成されることを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ(11,11A)。
[3] 前記係止突部(17)が、前記端子上縁(61)の前記挿入方向(a)に交差する方向のいずれか一方に片寄せられて配置されることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のコネクタ(11,11A)。
[4] 前記可撓係止アーム(73)が、前記端子(21)の挿入時に前記係止突部(17)の前記挿入方向(a)に沿う突部側面(87)に摺接して前記係止突部(17)から離反する方向の前記可撓係止アーム(73)の変位を規制するガイドリブ(85)を有することを特徴とする上記[3]に記載のコネクタ(11A)。
13…可撓係止アーム
15…端子後端面
17…係止突部
19…ハウジング
21…端子
23…端子収容室
25…隔壁
29…壁部
47…切込み
49…係止先端
61…端子上縁
63…突部後端面
65…開口部
85…ガイドリブ
87…突部側面
Claims (3)
- 端子収容室を区画形成するハウジングの壁部に略U字状の切込みを入れて形成され、前記端子収容室に収容された端子を係止する可撓係止アームと、
前記端子の前記端子収容室への挿入方向と反対側の後方に形成され、前記可撓係止アームに係止されて前記端子の後抜けを規制する端子上縁の端子後端面と、
前記端子から前記挿入方向と交差する上方向に突出して形成され、前記可撓係止アームに係止される前記端子後端面と同一平面に配置される突部後端面を有する係止突部と、
を備え、
前記可撓係止アームが形成される前記壁部には、前記係止突部の前記挿入方向の長さよりも前記挿入方向の長さが大きい開口部が、前記可撓係止アームの係止先端を形成する部分である前記略U字状の切込みの底部分に接続して前記底部分を前記挿入方向側に拡大することにより形成されることを特徴とするコネクタ。 - 前記係止突部が、前記端子上縁の前記挿入方向に交差する幅方向のいずれか一方に片寄せられて配置され、
前記開口部が、前記底部分における前記幅方向の前記一方側の領域のみを前記挿入方向側に拡大することにより形成されており、
前記開口部が形成されていない前記底部分における前記幅方向の他方側の領域では、前記可撓係止アームの係止先端からの前記挿入方向の長さが、前記係止突部の前記挿入方向の長さより小さいことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。 - 前記可撓係止アームが、前記端子の挿入時に前記係止突部の前記挿入方向に沿う突部側面に摺接して前記係止突部から離反する方向の前記可撓係止アームの変位を規制するガイドリブを有することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
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