本開示に係る液体連続殺菌装置を含む液体供給系配管を備える無菌充填機は、液体連続殺菌装置により殺菌された液体を、殺菌された容器に無菌雰囲気で充填し、液体が充填された容器を殺菌された蓋材により無菌雰囲気で密封する。容器が紙容器の場合、蓋材はなく、成形された容器に液体が充填された後、容器を形成する材料により密封することで製品となる。
図1は、ボトル状の容器4に殺菌された液体を充填する無菌充填機の液体連続殺菌装置18から充填機2までの液体供給系配管7を示す。前述のように容器はボトルに限定されるものではない。
無菌充填機は、液体を調合する調合装置1、調合された液体を殺菌する液体連続殺菌装置18及び液体をボトルのような容器4に充填する充填機2を備える。調合装置1と充填機2内の充填ノズル2aとの間は、液体供給系配管7で結ばれている。また、充填機2を備える充填部は充填部チャンバ3で遮蔽されている。
調合装置1は、例えばミルクコーヒー、ブラックコーヒー、緑茶飲料、紅茶、ミルクティー、果実飲料等の液体を各々所望の配合割合で調合するためのものである。容器に充填される液体には、固形物又は繊維質が混入される場合もある。
無菌充填機には、殺菌された容器4を充填機2へと搬送し、充填機2により液体が充填された容器4を排出する搬送路が設けられる。搬送路は、一般に多数のホイールと、各ホイールの回りに配置された容器4を把持するグリッパ等によって構成される。
充填機2は、多数の充填ノズル2aを水平面内で高速回転するホイール(図示せず)の回りに配置してなるもので、ホイールの回転と共に充填ノズル2aを旋回運動させつつ、充填ノズル2aの下をホイールの周速度に同調してグリッパに把持されて走行する容器4に、充填ノズル2aから液体を定量充填するための装置である。
無菌充填機の充填機2を備える充填部を遮蔽する充填部チャンバ3内では、充填部チャンバ3内を洗浄する洗浄処理及び充填部チャンバ3内を殺菌する殺菌処理が、無菌充填機により容器4に液体を充填する製品製造前に行われる。チャンバ内の洗浄処理及び殺菌処理、殺菌された蓋材の洗浄及び液体を充填した後の容器口部外面の洗浄のために無菌水が必要となる。このような無菌水を製造するため、無菌充填機には図示しない無菌水製造装置が備えられることもある。
無菌充填機の液体供給系配管7は、調合装置1から充填機2に至る管路中に、液体の流れから見て上流側から下流側へと順に、バランスタンク5、液体連続殺菌装置18、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、充填機タンク11を備える。また、無菌充填機は洗浄液をバランスタンク5に供給する洗浄液供給装置20、バランスタンク5に水を供給する水供給装置21、バランスタンク5に供給される洗浄液又は水と排出される洗浄液又は水を熱交換する熱交換器22及び無菌充填機の運転を制御するコントローラ17を備える。
液体に炭酸を添加し炭酸飲料とする場合、無菌充填機の液体供給系配管7には冷却装置、炭酸添加装置及び炭酸飲料サージタンクを備える。冷却装置、炭酸添加装置及び炭酸飲料サージタンクはアセプティックサージタンク19と充填機タンク11の間に上流から下流に順次設けられ、炭酸飲料を液体供給系配管7に流すために炭酸飲料用マニホルドバルブを備える。
液体連続殺菌装置18は、その内部に第1段加熱部12、第2段加熱部13、ホールディング部を構成するホールディングチューブ14、第1段冷却部15、第2段冷却部16等を備え、バランスタンク5から供給される液体、洗浄液又は水を第1段加熱部12から第2段加熱部13へと送りながら徐々に加熱し、ホールディングチューブ14内で所定の殺菌温度で所定時間保持し、その後、第1段冷却部15、第2段冷却部16へと送って徐々に冷却するものである。加熱部や冷却部の段数は必要に応じて増減される。また、ホモゲナイザーをホールディングチューブ14の前、又は後に設置しても構わない。
加熱部は、液体が流れる管体の外部を加熱蒸気により加熱する、又は加熱蒸気により加熱される熱水により加熱するものである。液体が流れる管体の外部を加熱するものであればどのようなものでも構わない。また、冷却部は液体が流れる管体の外部に冷却された媒体を流すことで、液体を外部から冷却するものである。充填機タンク11は公知の装置であるから、その詳細な説明は省略する。
液体が調合装置1において調合され、バランスタンク5から液体連続殺菌装置18に送られ、液体連続殺菌装置18において液体に対して加熱殺菌処理が施される。液体連続殺菌装置18において加熱殺菌処理された液体は、アセプティックサージタンク19に貯えられた後、充填機タンク11へ送られる。充填機タンク11内の液体は充填機2に供給され、充填ノズル2aを通って、容器4へ無菌状態で充填される。液体が充填された容器4は、殺菌された蓋材により密封された後に無菌充填機の外部へ排出される。
バランスタンク5から供給された液体は、液体連続殺菌装置18の第1段加熱部12および第2段加熱部13へ送られ、第1段加熱部12及び第2段加熱部13において、常温の液体が、例えば130℃まで加熱される。加熱部が2段で構成される場合、第1段加熱部12で常温から80℃に加熱され、第2段加熱部で80℃から130℃まで加熱される。
第1段加熱部12及び第2段加熱部13において加熱された液体は、ホールディングチューブ14内で目標温度、例えば130℃で保持される。ホールディングチューブ14にはいずれかの箇所に流量計23が備えられる。
液体はホールディングチューブ14から第1段冷却部15において冷却され、例えば130℃から99℃まで降温する。第1段冷却部15により冷却された液体は、第2段冷却部16により更に冷却され、その温度は例えば99℃から30℃まで降温する。冷却された液体は、マニホルドバルブ8を介してアセプティックサージタンク19へ送られる。
液体連続殺菌装置18の各所には温度センサ10が備えられる。バランスタンク5と液体連続殺菌装置18間の配管には温度センサ10a、液体連続殺菌装置18の第1段加熱部12と第2段加熱部13の間の配管には温度センサ10b、第2段加熱部13とホールディングチューブ14の間の配管には温度センサ10c、ホールディングチューブ14と第1段冷却部15の間の配管には温度センサ10d、第1段冷却部15と第2段冷却部16の間の配管には温度センサ10e及び第2段冷却部13の終端には温度センサ10fが備えられる。温度センサ10dは、ホールディングチューブ14の終端に備えられる温度センサである。液体連続殺菌装置18には上記の温度センサ10以外にも温度センサを備えても構わない。
液体の殺菌効果はF値を演算することにより判断される。液体の種類によって目標とされるF値が決定され、液体連続殺菌装置18での液体の殺菌は、目標とされるF値以上に加熱殺菌されなければならない。
F値は、下記a式により演算される。
F=t×10(T-T0)/Z ・・・ a式
(T0℃及びZ℃は液体により定められる定数。)
式中のtはホールディングチューブ14に液体が保持される時間t分である。ホールディングチューブ14は保温されるが加熱されない。保温には真空断熱方式が採用されることで保温性を高めることができる。ホールディングチューブ14は、内径10~100mmφ、長さ5~200mの配管であって、直線の折り返し状又はスパイラル状である。例えば、内径72.3mmφで130mのホールディングチューブ14の保持容量は533Lであって、流量を450L/分とすると保持時間t分は1.2分となる。
Tはホールディングチューブ14の終端の温度T℃であって、温度センサ10dで測定される温度である。ホールディングチューブ14の入口に備えられる温度センサ10cで測定される温度と温度センサ10dにより測定される温度を比較すると、ホールディングチューブ14は加温されないため、わずかに温度センサ10dで測定される温度が低い。したがって、T℃はホールディングチューブ14の終端の温度を測定する温度センサ10dで測定される温度とする。
T0及びZは液体により定められる定数である。液体により定められるとは、液体のpHにより殺菌すべき菌が異なるため、T0及びZを変化させる。例えば、pH4.6以上の液体では、ボツリヌス菌を殺菌できる殺菌効果がもとめられるため、T0を121.1℃、Zを10℃とする。pHが4.0以上、4.6未満の液体では、一部の細菌が発育するため、T0を85℃、Zを7.8℃とする。pH4.0未満の液体では、細菌が発育しないため、カビ及び酵母を殺菌する程度の殺菌効果であって、T0を65℃、Zを5℃とする。各pHについて示したT0及びZは例であって、他の数値に代えても構わない。演算される目標とするF値は、液体によって、また具体的な液体の組成等によって定められる。
液体連続殺菌装置18により殺菌された液体は、アセプティックサージタンク19に送られ貯留される。貯留された液体は、アセプティックサージタンク19から充填機タンク11に送られ、貯留される。液体は、充填機タンク11から充填機2に送られ、充填ノズル2aから無菌雰囲気の充填部チャンバ3内で、殺菌された容器4に定量充填される。液体が充填された容器4は、殺菌された蓋材により密封され、無菌充填機から排出される。
液体の無菌充填作業が終了した後、充填する液体を他の液体に変更する場合、液体供給系配管7内のCIP処理及びSIP処理を行う。液体充填作業において、最も液体の残留物が付着する箇所は第2段加熱部13である。内容物が急激に高温とされる箇所であり、特にたんぱく質の熱変性による残留物の付着が激しく、ミルクを含む液体に顕著である。また高温かつ送液流量が多くなればなるほど、製品成分由来の無機塩の残留も増加する。CIP処理により前回充填された液体の残留物を除去する。
液体供給系配管内7内のCIP処理は、バランスタンク5に洗浄液供給装置20から供給される洗浄液を、液体供給系配管内7内に循環することにより行われる。図1に示すように、洗浄液を循環するために内容物供給系配管7に対して帰還路6を設けることにより循環路が形成される。バランスタンク5から液体連続殺菌装置18を経てマニホルドバルブ8に至る上流側配管部7aに対して上流側帰還路6aを設け、上流側循環路を形成しても構わない。
洗浄液を上流側循環路に循環せずに、マニホルドバルブ8から充填機タンク11を経て、充填機2の充填機マニホルド2bから分配して充填ノズル2aに流しても構わない。充填ノズル2aから流出する洗浄液を充填ノズル2aの先端に接合されるカップ9により受け、多数の充填ノズル2aから流出する洗浄液を循環マニホルド25により集約し、下流側帰還路6bによりマニホルドバルブ8まで帰還させる。マニホルドバルブ8から上流側帰還路6aを経て、洗浄液は液体供給系配管7を循環させても構わない。
充填機2の充填ノズル2aの開口に対して各々接離可能なカップ9が配置される。CIP処理を行う際に各カップ9が図示しないアクチュエータによって充填機2の充填ノズル2aの先端の開口部に接合されることで、下流側帰還路6bの始端となるカップ9が、充填ノズル2aの開口に接続される。
図2中太線で示すように、洗浄液供給装置20からバランスタンク5に供給される洗浄液は、バランスタンク5から液体連続殺菌装置18に流され、液体連続殺菌装置18により加熱されることで殺菌され、マニホルドバルブ8に至り、上流側帰還路6aを経てバランスタンク5に戻り、上流側循環路を循環されても構わない。
図3中太線で示すように、洗浄液供給装置20からバランスタンク5に供給される洗浄液は、バランスタンク5から液体連続殺菌装置18に流され、液体連続殺菌装置18により加熱されることで殺菌され、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、充填機タンク11を経て、充填機2に至り、充填機マニホルド2bから充填ノズル2aに流れ、充填ノズル2aからカップ9で受けられ、循環マニホルド25に集約され、下流側帰還路6bを経て、マニホルドバルブ8から上流側帰還路6aによりバランスタンク5に戻り、液体供給系配管7内を循環しても構わない。
洗浄液とは、水に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤及びグルコン酸ナトリウムやエチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤等を混ぜたアルカリ性薬剤を添加したアルカリ性洗浄液、又は硝酸系やリン酸系の酸性薬剤を添加した酸性洗浄液である。水とは、イオン交換水、蒸留水又は水道水等異物を含まない水であればどのようなものでも構わない。
アルカリ性洗浄液は、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、プロピレン・カーボネート及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、重炭酸塩である重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸カルシウムやセスキ炭酸塩であるセスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、セスキ炭酸リチウム及びそれらの混合物が含まれても構わない。
酸性洗浄液は、上述した硝酸系、リン酸系以外に、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸及びこれらの混合物が含まれるがこれらに限定されるものではない。
洗浄液は、次亜塩素酸塩、過酸化水素、過酢酸、過オクタン酸、過硫酸塩、過ホウ酸塩、ハイドロサルファイト、二酸化チオ尿素等の各種漂白剤、過炭酸塩などを含んでも構わない。更に、洗浄液は、アルミノケイ酸塩やポリカルボン酸塩等の水軟化剤を含んでも構わないし、リン酸ナトリウムやポリアクリル酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウムなどの再付着防止剤を含んでも構わない。更に、洗浄液に、酵素や溶剤、脂肪酸、泡調整剤、活性酸素源などを加えても構わない。
CIP処理において洗浄液としてアルカリ性洗浄液を流した後に酸性洗浄液を流すことに限らず、例えば、酸性洗浄液を流した後にアルカリ性洗浄液を流しても構わないし、酸性洗浄液とアルカリ性洗浄液を交互に複数回流しても構わない。また、酸性洗浄液又はアルカリ性洗浄液のいずれかのみを流してCIP処理を行っても構わない。
コントローラ17の図示しないパネル上の操作ボタンが操作されると、液体供給系配管7についてCIP処理が各々所定の手順で実行される。洗浄液供給装置20からは一定量の洗浄液が常に又は間欠的に供給され、洗浄液を循環しながら液体供給系配管7内に付着した前回の液体の残留物を除去する。
上述のように、液体の無菌充填作業が終了した後、充填する液体を他の液体に変更する場合、液体供給系配管7内のCIP処理を行う。しかし、通常はCIP処理を行った後に液体供給系配管7内のSIP処理を行う。
第1の液体を液体連続殺菌装置18により殺菌しながら容器4に充填を行い、次に第1の液体を第2の液体に交換するとき、液体供給系配管7内の無菌性を維持して交換することができれば、液体供給系配管7内のSIP処理を行う必要はない。
第1の液体を液体連続殺菌装置18により殺菌しながら容器4に充填を行ったことで、液体供給系配管7内には第1の液体の残留物が付着している。特に液体連続殺菌装置18内に多く、特に第1の液体が高温に加熱される第2段加熱部13内に第1の液体の残留物の付着が激しい。
そこで、液体供給系配管7内の無菌性が維持できるのであれば、SIP処理は行わなくても構わないが、第1の液体の残留物が付着した液体供給系配管7内のCIP処理は行わなければならない。
第1の液体の充填を完了後、第1の液体の液体連続殺菌装置18における殺菌条件を変更せずに、洗浄液供給装置20から洗浄液をバランスタンク5に供給し、バランスタンク5に供給された洗浄液を液体連続殺菌装置18により殺菌し、殺菌された洗浄液により液体供給系配管7内のCIP処理を行う。CIP処理を終了後に、液体連続殺菌装置18の殺菌条件を変更せずに洗浄液を第2の液体に交換する。洗浄液が第2の液体により除去された後、第2の液体の充填を開始する。上述のように、第1の液体の液体連続殺菌装置18における殺菌条件を維持して第1の液体から洗浄液さらに第2の液体に交換することで、SIP処理を行うことなく、容器に充填する液体を第1の液体から第2の液体に交換できる。
しかし、上述の方法では、CIP処理に長時間を要ししてしまう。CIP処理の時間を短縮するためには、CIP処理を行うとき、洗浄液の流量を増やす必要がある。洗浄液の流量を増やすことで、液体供給系配管7内に付着した第1の液体の残留物を短時間に除去できる。流れる洗浄液の流量が増すことは、流速が増すことであり、洗浄液の早い流速により物理的な引き剥がし力が高まり洗浄効果が向上する。
液体連続殺菌装置18により殺菌する第1の液体を第2の液体に交換するとき、以下の方法で行う。
図4に、液体連続殺菌装置18において殺菌される液体を、第1の液体から第2の液体に交換するときのホールディングチューブ14に備えられる流量計23により測定される流量及びホールディングチューブ14の終端の備えられる温度センサ10dにより測定される温度を経時で示す。
第1の液体を所定の温度で所定の流量流すことで、液体連続殺菌装置18により第1の液体を殺菌し、容器4に充填する。ホールディングチューブ14の終端の温度センサ10dにより測定される温度T℃、及びホールディングチューブ14内の流量から算出されるホールディングチューブ14の保持時間t分によりF値が演算される。F値が目標値以上となることで、第1の液体は殺菌される。殺菌された第1の液体は第1段冷却部15及び第2段冷却部16により冷却されて容器4に充填される。
第1の液体の充填が完了した後、洗浄液供給装置20からバランスタンク5に洗浄液を供給する。第1の液体の殺菌条件である、ホールディングチューブ14の温度及び流量をそのままにした液体連続殺菌装置18に、供給された洗浄液を流し、洗浄液を殺菌しながら第1の液体を洗浄液と交換する。交換される洗浄液は第1の液体と同様の条件で、液体連続殺菌装置18により殺菌される。液体供給系配管7内の第1の液体が洗浄液に交換されるまで、第1の液体及び洗浄液の混合液は無菌充填機から排出される。液体供給系配管7内の第1の液体が、洗浄液に交換されたことを確認する。排出される混合液の電気伝導度を測定することで確認する。
第1の液体の充填を完了した後、洗浄液を液体連続殺菌装置18に流すが、このとき、第1段冷却部15及び第2段冷却部16の冷却を停止、又は冷却条件を緩和し、洗浄液の温度を常温まで冷却しなくても構わない。第1の液体及び洗浄液の混合液を排出するとき、混合液と供給される洗浄液を熱交換器26により熱交換することで、供給する洗浄液の温度を常温から昇温することが可能となり、液体連続殺菌装置18での洗浄液の加熱エネルギーを低減することができる。
第1の液体と交換された洗浄液により液体供給系配管7内のCIP処理を行う。このとき、CIP処理の時間を短縮するために洗浄液の流量を多くし、第1の液体の流量よりも多い流量の洗浄液を液体連続殺菌装置18から液体供給系配管7内に流す。流量を増やすとホールディングチューブ14での保持時間t分が短くなる。温度をそのままにして流量のみを増やすと、演算されるF値が小さくなり目標とするF値を下回り、洗浄液が殺菌不良となる。保持時間をt分としたとき、演算されるF値を目標値以上とするために、温度T℃を上げなければならない。上げなければならない温度T℃をa式により算出する。例えば、多い流量を第1の液体の流量の2倍とすると、t分は1/2となる。第1の液体の殺菌温度T℃を121.1℃であったとし、T0を121.1℃、Zを10℃とし、F値を同一とするためには、新たなT℃は124,1℃とする必要がある。すなわち、ホールディングチューブ14の終端の温度を3℃上げる必要がある。
上述のように、第1の液体の流量よりも多いCIP処理を行う洗浄液の流量を決め、多い流量からホールディングチューブ14内の保持時間t分を算出し、算出された保持時間t分及びF値の目標値からa式によりT℃を算出する。多い流量は、第1の液体の流量の1.1倍以上、5倍以下が適当である。1.1倍未満では、CIP処理の洗浄効果が向上せず、CIP処理の時間は十分に短縮することはできない。5倍を超える流量とすることは、高容量のポンプが必要となり、設備投資額が増える。好ましくは、1.3倍以上、3倍以下である。
図4に示すように、第1の液体を洗浄液に交換後、ホールディングチューブ14の終端の温度センサ10dにより測定される温度が、上述の算出された温度T℃に上昇するように、流量は変更せずに、液体連続殺菌装置18の加熱部の温度設定を変更する。温度センサ10dにより測定される温度が算出された温度以上に上昇したことを確認し、その後流量を多い流量に変更する。
算出された温度T℃以上に洗浄液の温度が上昇しないときに、洗浄液の流量を上げるとすると、a式から理解できるように、T℃が算出された温度に達する以前にt分が大きくなり、F値が目標値に達しない。洗浄液の殺菌不良となり、液体供給系配管7が菌により汚染されることとなる。これを避けるために、温度上昇後に流量を上げる工程を順守しなければならない。上述の工程を順守することで、液体供給系配管7内の無菌性を維持して液体を交換できる。
算出された温度、決められた流量とすることで、洗浄液は液体連続殺菌装置18により目標とされるF値以上に殺菌される。
第1の液体を洗浄液と交換後、洗浄液の温度及び流量を設定し、殺菌された洗浄液を循環するように循環路を設定する。この循環路は図2に示すように、上流側配管路7aからマニホルドバルブ8を経て、上流側帰還路6aに流す上流側循環路としても構わない。マニホルドバルブ8から下流は、殺菌された洗浄液が満たされており、下流側配管部7b及び下流側帰還路6bにより形成される下流側循環路に殺菌された洗浄液を循環することで、下流側循環路のCIP処理を行っても構わない。下流側配管部7b又は下流側帰還路6bに加熱装置を設けて、循環する洗浄液を加熱しても構わない。
図3に示すように、洗浄液を上流側配管部7a、下流側配管部7b、下流側帰還路6b及び上流側帰還路6aに流し、液体連続殺菌装置18から充填バルブ2aまでの循環路を形成し、この循環路に洗浄液を循環させてCIP処理を行っても構わない。
液体連続殺菌装置18の上昇した温度及び多い流量という殺菌条件により、目標とするF値以上に殺菌された洗浄液を、設定された循環路に循環させることでCIP処理が行われる。ホールディングチューブ14で保持された洗浄液は、第1段冷却部15及び第2段冷却部16で冷却せずに下流に流しても構わない。殺菌のために加熱された状態で流れることにより洗浄効果が高まる。また、適度に冷却して60℃以上、95℃以下として洗浄効果の高い、水の沸点以下の温度として流しても構わない。また、常温まで冷却して流しても構わない。
CIP処理は所定の時間行われる。所定の時間は第1の液体の種類、充填により流した総流量、殺菌温度等により経験的に導かれる時間であって構わない。CIP処理を行う所定の時間は以下に述べるように、液体連続殺菌装置18の第2段加熱部13の総括伝熱係数を算出することにより決めても構わない。
液体連続殺菌装置18の各箇所には、図1に示すように温度センサ10a~10fが備えられる。10bが配置される箇所としては、第2段加熱部13の入口、10cが配置されるのは第2段加熱部13の出口である。これらの温度センサによって各々測定された温度の情報はコントローラ17へ送信される。
図6に示すように、加熱部のうち最下流に位置する第2段加熱部13を加熱するため、第2段加熱部13へ加熱媒体を供給する加熱媒体ライン24が接続されている。
加熱媒体ライン24には、加熱媒体ライン24中に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給部27が設けられ、この加熱蒸気供給部27から供給される加熱蒸気により加熱媒体ライン24中を流れる加熱媒体を高温まで加熱する。加熱媒体の加熱は、電気ヒーターでも構わない。さらに加熱媒体ライン24には加圧ポンプ28が設けられている。加熱媒体は水が適当である。水以外に油も使用できるが、加熱装置を備える必要がある。
加熱媒体ライン24は第2段加熱部13の加熱配管13aに供給され、図6に示すように、加熱媒体は液体供給系配管7内を液体が流れる方向に対して対向して加熱配管13a内を流れる。加熱媒体は液体供給系配管7内を液体が流れる方向と同一方向に並行して流しても構わない。加熱配管13aの入口には温度センサ10gが、加熱配管13aの出口には温度センサ10hが設けられる。
図6に示すように、加熱媒体ライン24を流れる加熱媒体が加熱配管13aに供給され、第2段加熱部13を流れる液体を加熱する。第2段加熱部13において液体を加熱する加熱媒体は、加熱配管13aの出口では降温するが、加熱蒸気供給部27から供給される加熱蒸気により昇温され、昇温した加熱媒体は加熱配管13aに供給され、循環する。
液体連続殺菌装置18の第2段加熱部13は内容物を高温で加熱殺菌する部分であり、加熱配管13aの内面にこげ付き等の汚れが生じ易い。最も汚れ易い第2段加熱部13の加熱配管13aの総括伝熱係数を算出し、効率良く液体連続殺菌装置18内のCIP処理を行う。液体連続殺菌装置18の他の加熱部、冷却部も総括伝熱係数を算出することは可能であり、全ての加熱部及び冷却部の総括伝熱係数を算出し、全ての総括伝熱係数が目標値に到達したところで、CIP処理を完了すべきである。しかし、最も液体の残留が多いのは最下流の加熱部であり、最下流の加熱部の総括伝熱係数が目標値に到達したところでCIP処理を完了とし、これを所定の時間としても構わない。
図7に生産時間と総括伝熱係数(U値)の経時変化を示す。総括伝熱係数(U値)が高いほど、温度が伝わりやすいことを意味する。加熱配管13aの総括伝熱係数は、液体を殺菌することにより加熱配管13a内に付着する液体のこげなどの付着物により充填製品の生産とともに次第に低下する。生産により低下した総括伝熱係数はCIP処理を行うことにより上昇し、充填製品の生産開始前の総括伝熱係数まで回復する。すなわち、CIP処理完了の目処は、加熱配管13aの総括伝熱係数が加熱配管13a内に液体による残留物の付着がない状態の総括伝熱係数に回復することである。低下した総括伝熱係数の目標値を定め、CIP処理を行うことで加熱配管13aの総括伝熱係数が目標値に到達したところでCIPを完了とする。このことにより、CIP処理に無駄な時間を費やすことがなく、効率的にCIP処理を行うことができる。
コントローラ17は各種データを記憶し、第2段加熱部13の加熱配管13aから送信される測定温度により総括伝熱係数を算出し、算出される総括伝熱係数が目標値に到達したか否かを判断し、総括伝熱係数が目標値に到達したところでCIP処理を完了したと判断し、液体供給系配管7内のCIP処理を完了する。この完了の判断は液体連続殺菌装置18の第2段加熱部13についてであるが、液体連続殺菌装置18の第2段加熱部の汚れが最も激しいため、液体連続殺菌装置18の第2段加熱部13におけるCIP処理完了の判断を、液体供給系配管7内のCIP処理完了の判断としても構わない。すなわち、総括伝熱係数が目標値に到達するまでを所定の時間としても構わない。
総括伝熱係数を算出するために、図6に示すように液体連続殺菌装置18の第2段加熱部13の加熱配管13aの洗浄液の入口に温度センサ10b、洗浄液の出口に温度センサ10c、加熱配管13aの加熱媒体の入口に温度センサ10g及び加熱配管13aの加熱媒体の出口に温度センサ10hを備える。これらの温度センサにより温度を測定し、温度センサ10bの温度をT1、10cの温度をT2、10gの温度をT3及び10hの温度をT4とする。
測定される温度T1、T2、T3及びT4はコントローラ17に送信され、コントローラ17により総括伝熱係数が算出される。総括伝熱係数は以下のように求められる。
まず、対数平均温度差△Tを求める。対数平均温度差△Tは以下の式(1式)により求められる。
次に温度T1と温度T2と、流量R (L/h)とにより、第2段加熱部13における熱量Qが下記の式(2式)により求められる。但し、比熱を1(kcal/kg・℃)、比重量を1(kg/L)とした場合
Q =1×1×R×(T2-T1)(2式)
となる。流量Rは流量計23により測定され、コントローラ17に送信される。第2段加熱部13の加熱配管13a内に流量計を設け、この流量計による測定値を使用しても構わない。
また、第2段加熱部13の加熱配管13aの伝熱面積A(m2)は予め定められている。
以上のことからコントローラ17は、下記の式(3式)により第2段加熱部13の総括伝熱係数(U値)を算出する。
U=Q/(A×△T)(3式)
以上のように、CIP処理中に第2段加熱部13の総括伝熱係数を算出し、総括伝熱係数が目標値に到達したところでCIP処理を完了とし、次の工程に移行することができる。このため必要以上にCIP処理を続ける必要はなく、CIP処理を効率的に実施することができる。
コントローラ17は算出される総括伝熱係数があらかじめ定められた目標値に到達したところで、CIP処理を完了と判断する。
図4に示すように、洗浄液が流れている間はCIP処理が継続しているが、CIP処理を所定の時間行った後、CIP処理完了とし、先ず、洗浄液の流量を下げる。下げる流量は、次に充填する第2の液体を、液体連続殺菌装置18により殺菌するときの殺菌条件により決められる流量である。この流量は、洗浄液の流量よりも少ない。洗浄液の流量が第2の液体の殺菌条件から決められる流量に下がったこと流量計23により確認する。流量が下がったことを確認した後、液体連続殺菌装置18の殺菌温度を第2の液体の殺菌温度に下げる。
温度センサ10dにより測定される温度が、第2の液体の殺菌温度に下がったことを確認する。洗浄液の温度が第2の液体の殺菌温度に下がったことを確認した後、洗浄液を第2の液体に交換する。
第2の液体の殺菌条件は、第1の液体の殺菌条件と同等又はそれ以下でなければならない。第1の液体がpH4.6以上であった場合、第2の液体のpHはいずれでも構わない。しかし、第1の液体がpH4.0以上4.6未満の場合、第2の液体はpH4.6以上であってはならない。第1の液体の殺菌条件で残存する菌が液体供給系配管7内に残存していたとすると、第2の液体をpH4.6以上の殺菌条件で殺菌したとしても液体供給系配管7内に残存する菌を殺菌できないためである。
洗浄液の流量が下がりきらないとき、つまりt分が小さいままのときに、洗浄液の温度を下げるとすると、a式から理解できるように、目標とするF値に達しないこととなる。これは洗浄液の殺菌不良となり、液体供給系配管7が菌により汚染されることとなる。これを避けるために、流量を下げた後に温度を下げる工程を順守しなければならない。上述の工程を順守することで、液体供給系配管7内の無菌性を維持して液体を交換できる。
第2の液体により、液体供給系配管7内の洗浄液が除去された後、第2の液体に交換されたことを確認した後、第2の液体の充填を開始する。第1の液体、第1の液体を交換する洗浄液及び第2の液体を、液体連続殺菌装置18により目標とするF値以上の殺菌価で殺菌しながら交換することで、CIP処理のみで、SIP処理を行うことなく充填する液体を交換できる。洗浄液の流量を多くすることで、CIP処理時間を短縮して交換することができる。
これまで、第1の液体を第2の液体に交換するとき、第1の液体を洗浄液に交換し、交換された洗浄液を第2の液体に交換することを説明した。図5に示すように、第1の液体を水に交換し、交換された水を洗浄液に交換し、交換された洗浄液を水に交換し、交換された水を第2の液体に交換する方法について説明する。
第1の液体を所定の温度で所定の流量流すことで液体連続殺菌装置18により殺菌し、容器4に充填する。ホールディングチューブ14の終端の温度センサ10dにより測定される温度T℃、及びホールディングチューブ14内の流量から算出される第1の液体のホールディングチューブ14での保持時間t分によりF値が演算される。演算されるF値を目標値以上とすることで第1の液体は殺菌される。殺菌された第1の液体は、第1段冷却部15及び第2段冷却部16により冷却されて容器4に充填される。
第1の液体の充填が完了した後、水供給装置21からバランスタンク5に水を供給し、第1の液体の液体連続殺菌装置18における殺菌条件である、温度及び流量をそのままにして第1の液体を第1の水と交換する。供給される第1の水は第1の液体と同一の条件により、液体連続殺菌装置18により殺菌される。液体供給系配管7内の第1の液体が水に交換されるまで、第1の液体及び第1の水の混合液は無菌充填機から排出される。液体供給系配管7内の第1の液体が、水に交換されたことを確認する。確認は排出される混合液の電気伝導度を測定することにより行われる。
第1の液体の充填を完了した後、第1の水を液体連続殺菌装置18に供給し、加熱殺菌するが、このとき、第1段冷却部15及第2段冷却部16の冷却を停止、又は冷却条件を緩和し、第1の水の温度を常温まで冷却せずに第1の液体を除去しても構わない。第1の液体及び第1の水の混合液を排出するとき、混合液と供給される第1水を熱交換器26により熱交換することで、バランスタンク5に供給される第1の水の温度を常温から昇温することが可能となり、液体連続殺菌装置18での第1の水の加熱エネルギーを低減することができる。
液体供給系配管7内の第1の液体が、第1の水により交換された後、第1の水を洗浄液と交換する。交換された洗浄液により液体供給系配管7内のCIP処理を行う。CIP処理を完了した後、洗浄液を第2の水と交換し、交換された第2の水を第2の液体と交換する。このように、液体連続殺菌装置18に供給する第1の液体を第2の液体と交換することで、液体供給系配管7内のSIPを行うことなく、容器4に充填する液体を第1の液体から第2の液体に交換することができる。
第1の液体を第1の水と交換し、交換した第1の水を洗浄液と交換し、洗浄液を第2の水と交換せずに、直接洗浄液を第2の液体と交換しても構わない。第1の液体を洗浄液と交換し、交換した洗浄液を第2の水と交換し、第2の水と第2の液体を交換しても構わない。洗浄液を第2の水と交換した後、第2の液体と交換することで、第2の液体への洗浄液の混入を防止することができる。第2の液体は第2の水と交換することが、第2の液体への洗浄液の混入を防ぐために好ましい。
洗浄液により液体供給系配管7内のCIP処理を行うが、CIP処理の時間を短縮するために洗浄液の流量を多くし、第1の液体の流量よりも多い流量の洗浄液を液体連続殺菌装置18から液体供給系配管7内に流す。流量を増やすとホールディングチューブ14での保持時間t分が短くなる。その結果、演算されるF値が小さくなり、流量を増やした洗浄液が殺菌不良となる。保持時間t分としたとき、目標とするF値以上とするために、温度T℃を上げなければならない。上げなければならない温度T℃をa式により算出する。算出方法は前述の通りである。
第1の液体の流量よりも多いCIP処理を行う洗浄液の流量を決め、多い流量からホールディングチューブ14内の保持時間t分を算出し、算出された保持時間t分及び目標とするF値の目標値からa式によりT℃を算出する。多い流量は、第1の液体の流量の1.1倍以上、5倍以下が適当である。1.1倍未満では、CIP処理の洗浄効果が向上せず、CIP処理の時間は十分に短縮することはできない。5倍を超える流量とすることは、高容量のポンプが必要となり、設備投資額が増える。
図5に示すように、液体連続殺菌装置18の殺菌条件を変更せずに、液体供給系配管7内の第1の液体を第1の水に交換する。第1の液体を第1の水と交換する方法は、前述の第1の液体を洗浄液と交換する方法と同一である。第1の液体が第1の水と交換された後、ホールディングチューブ14の終端の温度センサ10dにより測定される温度が、算出された温度T℃に上昇するように、流量は変更せずに、液体連続殺菌装置18の加熱部の温度設定を変更する。
温度センサ10dにより測定される温度が算出された温度T℃以上に上昇したことを確認し、その後第1の水を洗浄液に交換しながら、流量を多い流量に変更する。第1の水を多い流量に変更した後、第1の水を洗浄液と交換しても構わない。
算出された温度以上に第1の水又は洗浄液の温度が上昇しないときに、第1の水又は供給される洗浄液の流量を上げるとすると、a式から理解できるように、T℃が算出された温度に達しないときにt分が大きくなり、目標とするF値に達しないこととなる。第1の水又は洗浄液の殺菌不良となり、液体供給系配管7が菌により汚染されることとなる。これを避けるために、上述のように温度が昇温した後に流量を上げるという工程を順守しなければならない。上述の工程を順守することで、液体供給系配管7内の無菌性を維持して液体を交換できる。
算出された温度、決められた流量とすることで、第1の水又は洗浄液は液体連続殺菌装置18により目標とされるF値以上に殺菌される。
第1の水を洗浄液に交換後、多い流量で流れる殺菌された洗浄液の循環路を設定する。循環路は図2に示すように、上流側配管部7aからマニホルドバルブ8を経由して上流側帰還路6aに流す上流側循環路としても構わない。マニホルドバルブ8から下流は、殺菌された洗浄液が満たされており、下流側配管部7b及び下流側帰還路6bにより形成される下流側循環路に殺菌された洗浄液を循環することで、下流側循環路のCIP処理を行っても構わない。下流側配管部7b又は下流側帰還路6bに加熱装置を設け、循環する洗浄液を加熱し、洗浄効果を高めても構わない。
液体連続殺菌装置18により上昇した温度及び多い流量という殺菌条件により、目標とするF値以上に殺菌された洗浄液を、設定された循環路に循環させることでCIP処理が行われる。ホールディングチューブ14で高温保持された洗浄液は、第1段冷却部15及び第2段冷却部16で冷却せずに下流に流しても構わない。殺菌のために加熱された状態で流れることにより洗浄効果が高まる。また、適度に冷却して60℃以上、95℃以下として洗浄効果の高い、水の沸点以下の温度として流しても構わない。また、常温まで冷却して流しても構わない。
CIP処理は所定の時間行われる。所定の時間は第1の液体の種類、充填により流した総流量、殺菌温度等により経験的に導かれる時間であって構わない。前述のように液体連続殺菌装置18の第2段加熱部13の総括伝熱係数を算出することにより決めても構わない。
図5に示すように、洗浄液が流れている間はCIP処理が継続しているが、CIP処理を所定の時間行った後、CIP処理を完了とし、洗浄液を第2の水と交換する。第2の水は第1の水と同様に、水供給装置20から第2の水をバランスタンク5に供給し、供給された第2の水を液体連続殺菌装置18により殺菌する。
CIP完了後、洗浄液に代わって流される第2の水の流量を下げる。下げる流量は、次に充填する第2の液体を液体連続殺菌装置18により殺菌するときの殺菌条件により決められる流量である。第2の液体の流量は、洗浄液の流量よりも少ない。第2の水の流量が第2の液体の殺菌条件から決められる流量に下がったことを流量計23により確認する。第2の水の流量が下がったことを確認した後、液体連続殺菌装置18の殺菌温度を第2の液体の殺菌温度に下げる。
温度センサ10dにより測定される温度が、第2の液体の殺菌温度に下がったことを確認する。第2の水の温度が第2の液体の殺菌温度に下がったことを確認した後、第2の水を第2の液体に交換する。
洗浄液を第2の水に交換しながら流量を下げるとしたが、洗浄液の流量を下げた後に洗浄液を第2の水と交換しても構わない。
第2の液体の殺菌条件は、第1の液体の殺菌条件と同等又はそれ以下でなければならない。これは前述の通りである。
洗浄液又は第2の水の流量が下がりきらないとき、つまりt分が小さいままのときに、洗浄液又は第2の水の温度を下げるとすると、a式から理解できるように、目標とするF値に達しないこととなる。これは洗浄液又は第2の水の殺菌不良となり、液体供給系配管7が菌により汚染されることとなる。これを避けるために、流量が下がった後に温度を下げるという工程を順守しなければならない。上述の工程を順守することで、液体供給系配管7内の無菌性を維持して液体を交換できる。
第2の液体により、液体供給系配管7内の第2の水が除去され、第2の水が第2の液体に交換されたことを確認した後、第2の液体の充填を開始する。