JP7366877B2 - ディーゼルエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンに関し、詳しくは、無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、DPFを再生できるディーゼルエンジンに関する。
従来、ディーゼルエンジンとして、PMの堆積でDPFの再生開始条件が成立した場合には、DOCの活性化後、ポスト噴射制御が開始され、DOCでのポスト噴射燃料の触媒燃焼で、排気がDPF再生温度まで昇温し、DPFに堆積したPMが焼却されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2010-151058号公報(図1,2参照)
《問題点》 無負荷及び軽負荷運転時には、DPFを再生できないおそれがある。
上記従来のエンジンでは、DPF再生開始時に、吸気絞り弁の開度を絞るが、これのみでは排気の昇温効率が低く、排気温度が低い無負荷及び軽負荷運転時には、DOCが活性化せず、ポスト噴射を行うことができず、DPFを再生できないおそれがある。
本発明の課題は、無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、DPFを再生できるディーゼルエンジンを提供することにある。
(請求項1と請求項7に共通する発明特定事項)
図1に例示するように、燃焼室(1)に燃料(2)を噴射する燃料噴射装置(3)と、排気経路(4)に配置された排気絞り弁(5)と、排気絞り弁(5)の排気下流側に配置されたDPF(7)と、DPF(7)の排気上流側に配置されたDOC(6)を備え、このDOC(6)は排気絞り弁(5)の排気上流側に設けられた弁上流側DOC(17)のみからなり、更に、排気絞り弁(5)の開度と燃料噴射装置(3)の燃料噴射を制御する電子制御装置(8)を備え、
図2に例示するように、DPF(7)の再生処理がなされるように構成され、
DPF(7)の再生処理では、PMが堆積したDPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S5)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S7)され、図1に例示する弁上流側DOC(17)でのポスト噴射燃料の触媒燃焼で昇温した排気(9)で、DPF(7)に堆積したPMが焼却されるように構成されている。
(請求項1に固有の発明特定事項)
図2に例示するように、DPF(7)の再生処理では、排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされ、弁上流側排気圧(P0)が所定の圧力上限値(Pmax)を超えた場合には、その後に排気絞り弁(5)の開度増加制御(S4-2)がなされるように構成され、
図1に例示するように、弁上流側排気圧(P0)の演算装置(12)を備え、弁上流側排気圧(P0)は、排気(9)の質量流量(G)と、弁上流側排気温度(T0)と、弁下流側排気圧(P1)から演算で算出されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
(請求項7に固有の発明特定事項)
図3に例示するように、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理がなされるように構成され、
弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理では、未燃燃料やPMからなる未燃焼堆積物の堆積に基づいて機能低下した弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S15)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S18)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S18-3)され、アフター噴射燃料の燃焼熱でポスト噴射燃料が燃焼され、昇温した排気(9)の熱で、弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却されるように構成され、
図1に例示するように、無負荷及び/又は軽負荷運転の運転時間を積算する運転時間積算装置(18)を備え、
図3に例示するように、無負荷及び/又は軽負荷の運転時間の積算値(tL)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
(請求項1と請求項7に共通する効果)
《効果1》無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、DPF(7)を再生できる。
このエンジンでは、図2に例示するように、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した場合には、排気絞り弁(5)の開度減少による背圧の上昇、及びアフター噴射燃料の燃焼が起こるため、吸気絞りの場合に比べ、排気(9)の昇温効率が高く、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、図1に例示する弁上流側DOC(17)が活性化され、ポスト噴射で、DPF(7)を再生できる。
《効果2》エンジン出力を高くできる。
このエンジンでは、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が昇温するため、図1に例示する排気絞り弁(5)の開度減少の度合いが小さくて済み、背圧による出力ロスが小さく、エンジン出力を高くできる。
《効果3》DPF(7)再生時に弁上流側DOC(17)の低下した触媒機能を回復できる。
このエンジンでは、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転の継続で、弁上流側DOC(17)に未燃焼燃料やPMからなる未燃焼堆積物が堆積し、その触媒機能が低下している場合でも、図2に例示するように、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した場合には、排気絞り弁(5)の開度減少やアフター噴射で、排気(9)が昇温し、未燃焼堆積物が気化或いは燃焼され、DPF(7)の再生時に図1に例示する弁上流側DOC(17)の低下した触媒機能を回復できる。また、白煙の原因である未燃焼堆積物がないため、白煙発生も抑えられる。
《効果4》 排気(9)の昇温効率が高い。
このエンジンと異なる構造、すなわち排気絞り弁(5)がDPF(7)よりも排気下流側に配置されている場合に比べ、このエンジンでは、図1に例示するように、排気絞り弁(5)がDPF(7)よりも排気上流側に配置されているため、排気絞り弁(5)の排気上流側の排気経路(4)の容積が小さくなり、排気絞り弁(5)の開度減少で弁上流側排気圧(P0)が速やかに昇圧し、排気(9)の昇温効率が高い。
《効果5》 排気絞り弁(5)の弁鳴り音が排気経路外に放出され難い。
このエンジンでは、図1に例示するように、排気絞り弁(5)の排気下流側にDPF(7)が配置されるため、排気絞り弁(5)の弁鳴り音が排気経路(4)外に放出され難い。
《効果6》 部品点数を削減できる。
図1に例示するように、DOC(6)は排気絞り弁(5)の排気上流側に設けられた弁上流側DOC(17)のみからなり、排気絞り弁(5)の排気下流側に設けられた弁下流側DOCを必要としないため、部品点数を削減できる。
(請求項1に固有の効果)
《効果7》弁上流側排気圧(P0)の過剰な昇圧が抑制されるため、その加圧で排気絞り弁(5)やその上流側の部品が故障し難い。
《効果8》排気(9)の質量流量(G)等から演算で弁上流側排気圧(P0)を精度よく算出できるため、図1に例示する排気絞り弁(5)の制御精度を高くできる。
(請求項7に固有の効果)
《効果9》DPF(7)再生前に弁上流側DOC(17)の低下した触媒機能が回復され、触媒機能の低下が進行し難い。
《効果10》弁上流側DOC(17)の触媒機能の低下の確度が高い状況下で触媒機能回復処理を開始できるため、無駄な排気絞りやアフター噴射やポスト噴射を無くすことができる。
本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの模式図である。 図1のエンジンのDPFの再生処理のフローチャートである。 図1のエンジンの弁上流側DOCの触媒機能回復処理のフローチャートである。 図1のエンジンの弁上流側排気圧(P0)を演算するために用いられる関係式で、式1は排気(9)の質量流量(G)と弁上流側排気圧(P0)等の関係式、式2は排気(9)の質量流量(G)と排気の体積流量(V)等の関係式、式3は排気(9)の体積流量(V)と排気(9)の質量流量(G)と燃料噴射量(Q)等の関係式、式4は弁下流側排気圧(P1)と大気圧(P3)とDPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)の関係式である。
図1~図4は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンを説明する図で、この実施形態ではコモンレール式の立形直列多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
このエンジンの構成は、次の通りである。
図1に示すように、クランク軸(21)の架設方向を前後方向、フライホイール(22)の配置された側を後側、その反対側を前側、前後方向と直交するエンジン幅方向を横方向とする。
図1に示すように、このエンジンは、シリンダヘッド(23)の横一側に組みつけられた吸気マニホルド(24)と、シリンダヘッド(23)の横他側に組み付けられた排気マニホルド(25)を備えている。
図1に示すように、このエンジンは、電子制御装置(8)を備えている。
電子制御装置(8)は、エンジンECUである。エンジンECUは、電子制御ユニットの略称で、マイコンである。
図1に示すように、このエンジンは、排気装置を備えている。
排気装置は、排気マニホルド(25)と、排気マニホルド(25)に接続された過給機(26)の排気タービン(26a)と、排気タービン(26a)の排気出口(26b)から導出された排気導出通路(26c)を備えている。
図1に示すように、このエンジンは、吸気装置を備えている。
吸気装置は、過給機(26)のコンプレッサ(26d)と、コンプレッサ(26d)の吸気入口(26e)の吸気上流側に設けられた吸気流量センサ(16)と、コンプレッサ(26d)の過給気出口(26f)と吸気マニホルド(24)の間に配置されたインタークーラ(28)と、インタークーラ(28)と吸気マニホルド(24)の間に配置された吸気絞り弁(11)と、排気マニホルド(25)と吸気マニホルド(24)の間に配置されたEGRクーラ(30)と、EGRクーラ(30)と吸気マニホルド(24)の間に配置されたEGR弁(31)を備えている。EGRは、排気ガス還流の略称である。
吸気絞り弁(11)とEGR弁(31)は、いずれも電動式開閉弁で、これらは電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。吸気流量センサ(16)は吸気温度センサを備え、電子制御装置(8)に電気的に接続されている。電源(29)はバッテリである。
図1に示すように、このエンジンは、コモンレール式の燃料噴射装置(3)を備えている。
この燃料噴射装置(3)は、各燃焼室(1)に設けられた燃料噴射弁(34)と、燃料噴射弁(34)から噴射する燃料を蓄圧するコモンレール(35)と、コモンレール(35)に燃料タンク(36)から燃料を圧送する燃料サプライポンプ(37)を備えている。
燃料噴射弁(34)は電磁式開閉弁を備え、燃料サプライポンプ(37)は、電動式調圧弁を備え、これらは電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。
図1に示すように、このエンジンは、調速装置を備えている。
調速装置は、エンジンの目標回転数を設定するアクセルレバー(38)の設定位置を検出するアクセルセンサ(39)と、エンジンの実回転数を検出する実回転数センサ(40)を備え、これらセンサ(39)(40)は電子制御装置(8)に電気的に接続されている。
図1に示すように、このエンジンは、始動装置を備えている。
始動装置は、スタータモータ(41)と、キースイッチ(42)を備え、スタータモータ(41)とキースイッチ(42)は、電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。キースイッチ(42)は、OFF位置と、ON位置と、スタート位置を備えている。
電子制御装置(8)は、次のような運転制御を行うように構成されている。
エンジンの目標回転数と実回転数の回転数偏差を小さくするように、燃料噴射弁(34)からの燃料噴射量や噴射タイミングを設定し、負荷変動によるエンジンの回転数変動を小さくする。
エンジンの回転数と負荷と吸気量と吸気温度に応じ、吸気絞り弁(11)とEGR弁(31)の開度を調節し、吸気量やEGR率を調節する。
キースイッチ(42)がスタート位置に投入されると、スタータモータ(41)を駆動し、エンジンの始動を行う。キースイッチ(42)がON位置に投入されると、電源(29)からエンジン各部への通電により、エンジン運転状態が維持され、キースイッチ(42)がOFF位置に投入されると、燃料噴射弁(34)からの燃料噴射が停止され、エンジンが停止される。
このエンジンは、排気処理装置を備えている。
図1に示すように、排気処理装置は、燃焼室(1)に燃料(2)を噴射する燃料噴射装置(3)と、排気経路(4)に配置された排気絞り弁(5)と、その排気下流側に配置された弁下流側DOC(6)と、排気絞り弁(5)の排気下流側に配置されたDPF(7)と、DPF(7)の排気上流側に配置されたDOC(6)を備え、このDOC(6)は排気絞り弁(5)の排気上流側に設けられた弁上流側DOC(17)のみからなり、更に、排気絞り弁(5)の開度と燃料噴射装置(3)の燃料噴射を制御する電子制御装置(8)を備えている。
このエンジンと異なる構成、すなわち排気絞り弁(5)がDPF(7)よりも排気下流側に配置されている場合に比べ、このエンジンでは、図1に示すように、排気絞り弁(5)がDPF(7)よりも排気上流側に配置されているため、排気絞り弁(5)の排気上流側の排気経路(4)の容積が小さくなり、排気絞り弁(5)の開度減少で弁上流側排気圧(P0)が速やかに昇圧し、排気(9)の昇温効率が高い。
また、このエンジンでは、図1に示すように、排気絞り弁(5)の排気下流側にDPF(7)が配置されるため、排気絞り弁(5)の弁鳴り音が排気経路(4)外に放出され難い。
また、このエンジンでは、図1に示すように、DOC(6)は排気絞り弁(5)の排気上流側に設けられた弁上流側DOC(17)のみからなり、排気絞り弁(5)の排気下流側に設けられた弁下流側DOCを必要としないため、部品点数を削減できる。
上記各要素について説明する。
図1に示す燃焼室(1)は、シリンダ内に形成されている。燃料(2)は軽油である。排気絞り弁(5)は、電動式開閉弁で、電子制御装置(8)を介して電源(29)に電気的に接続されている。DOCは、ディーゼル酸化触媒の略称で、セラミックハニカム担体に白金やパラジウム等の酸化触媒成分が担持されたスルーフロー型で、排気(9)中のCO(一酸化炭素)及び、NO(一酸化窒素)を酸化する。DPFは、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称で、セラミックハニカムの隣り合うセルの出入口を交互に塞いだウォールフロー型で、排気(9)中のPMを捕捉する。PMは、粒子状物質の略称である。
弁上流側DOC(17)は、排気経路(4)の途中に配置されたDOCケース(4b)に収容されている。
DPF(7)は、DOCケース(4b)の排気下流側で排気経路(4)に配置されたDPFケース(4a)に収容されている。
このDPFシステムは、DPF(7)で排気(9)中のPMを捕捉し、排気(9)中のNO(一酸化窒素)を弁上流側DOC(17)で酸化して得られるNO(二酸化窒素)で、DPF(7)に堆積したPMを比較的低温で連続的に酸化燃焼させるとともに、コモンレール式の燃料噴射装置(3)のポスト噴射によって排気(9)に供給された未燃燃料を弁上流側DOC(17)で触媒燃焼させ、DPF(7)に堆積したPMを、比較的高温で燃焼させて、DPF(7)を再生する。
この排気処理装置は、DPF(7)の再生処理のため、次の構成を備えている。
図2に示すように、PMが堆積したDPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した場合には、その後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった場合には、その後にアフター噴射制御が開始(S5)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった場合には、その後にポスト噴射制御が開始(S7)され、図1に示す弁上流側DOC(17)でのポスト噴射燃料の触媒燃焼で昇温した排気(9)で、DPF(7)に堆積したPMが焼却されるように構成されている。
このエンジンでは、次の利点がある。
図2に示すように、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立後に排気絞り弁(5)の開度減少による背圧の上昇、及びアフター噴射燃料の燃焼が起こるため、吸気絞りの場合に比べ、排気(9)の昇温効率が高く、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転時でも、図1に示す弁上流側DOC(17)が活性化され、ポスト噴射で、DPF(7)を再生できる。
また、このエンジンでは、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が昇温するため、図1に示す排気絞り弁(5)の開度減少の度合いが小さくて済み、背圧による出力ロスが小さく、エンジン出力を高くできる。
このエンジンでは、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転の継続で、弁上流側DOC(17)に未燃焼燃料やPMからなる未燃焼堆積物が堆積し、その触媒機能が低下している場合でも、図2に示すように、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した場合には、排気絞り弁(5)の開度減少やアフター噴射で、排気(9)が昇温し、未燃焼堆積物が気化或いは燃焼され、DPF(7)再生時に図1に示す弁上流側DOC(17)の低下した触媒機能を回復できる。
DPF(7)の再生の場合の各要素について説明する。
図2に示すように、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)は、DPF(7)に堆積したPM堆積量推定値(APM)がDPF(7)の再生処理の開始判定値(RSJ)以上になった場合に成立する。PM堆積量推定値(APM)としては、例えば、図1に示すDPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)に基づいて、PM堆積量推定値演算装置(32)が推定する方法等がある。PM堆積量推定値演算装置(32)は、電子制御装置(8)の演算部で構成されている。
燃料噴射装置(3)から一燃焼サイクル中に行われる噴射の種類には、ブレ噴射(パイロット噴射)と、メイン噴射と、アフター噴射と、ポスト噴射がある。
一燃焼サイクルは、4サイクルエンジンでは、吸気行程と圧縮行程と膨張行程と排気行程からなる。
ブレ噴射(パイロット噴射)は、メイン噴射燃料の着火遅れを抑制するための噴射で、吸気行程中または圧縮行程中に開始される。
メイン噴射は、出力を得るための主たる噴射で、圧縮上死点前に開始される。
アフター噴射は、排気(9)を昇温させるための噴射で、メイン噴射の後、膨張行程中に開始される。
ポスト噴射は、排気(9)を昇温させるための噴射で、アフター噴射の後、膨張行程中に開始される。ポスト噴射は、排気行程中に開始されるものであってもよい。
図2に示すDPF(7)の再生処理の場合、アフター噴射は次のように設定されている。
アフター噴射許可温度(TA)は、150°C以上、700°C以下に設定する。
アフター噴射制御では、図1に示す弁上流側DOC(17)の入口側排気温度(T)が400°C以上、700°C以下に維持されるように設定されている。
アフター噴射許可温度(TA)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出される弁上流側排気温度(T0)についての判定温度であり、弁上流側排気温度(T0)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出され、電子制御装置(8)による噴射タイミングや燃料噴射量の調節によって制御される。
弁上流側排気温度(T0)は、弁上流側DOC(17)の出口側排気温度であり、弁上流側排気温度センサ(19)は、弁上流側DOC(17)の出口側に配置されている。
アフター噴射許可温度(TA)は、150°C以上、250°C未満が望ましく、150°C以上、200°C未満がより望ましい。
アフター噴射許可温度(TA)が150°C程度の低い温度でよい理由は、次の通りである。
すなわち、排気絞り弁(5)の排気絞りにより、その上流側の排気圧をゲージ圧で80kPa以上、120kPa以下(絶対圧で181.32kPa以上、221.23kPa以下)に設定すると、その排気圧が大気圧101.32kPaの約2倍となり、150°C程度の低い温度でも弁上流側DOC(17)が活性化し、弁上流側DOC(17)でアフター噴射燃料の酸化反応(触媒燃焼)が起こるためである。
アフター噴射では、膨張行程で燃焼室(1)内に噴射が開始されたアフター噴射燃料が排気(9)の熱で燃焼し、無負荷及び低負荷運転で排気(9)の温度が低い場合でも、排気(9)が弁上流側DOC(17)に堆積する未燃焼堆積物が気化または焼却される温度まで昇温され、未燃焼堆積物で低下した弁上流側DOC(17)の触媒機能が回復すると共に、弁上流側DOC(17)が活性化される。
図2に示すDPF(7)の再生処理の場合、ポスト噴射は次のように設定されている。
ポスト噴射許可温度(TP)は、200°C以上、700°C以下に設定されている。
ポスト噴射許可温度(TP)は、アフター噴射許可温度(TA)よりも高い温度に設定されている。
ポスト噴射制御では、弁上流側DOC(17)の入口側排気温度(T1)(T)が400°C以上、700°C以下に維持されると共に、DPF(7)の入口側排気温度(T2)が550°C以上、700°C以下に維持されるように設定されている。特に、DPF(7)の入口側排気温度(T2)は、堆積したPMの異常燃焼を防止するため、700°C以下に設定することが望ましい。
ポスト噴射許可温度(TP)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出される弁上流側排気温度(T0)についての判定温度であり、弁上流側排気温度(T0)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出され、電子制御装置(8)で制御される。
弁上流側DOC(17)の入口側排気温度(T)は、弁上流側排気温度センサ(19)で検出される弁上流側排気温度(T0)により、電子制御装置(8)による噴射タイミングや燃料噴射量の調節によって制御される。
DPF(7)の入口側排気温度(T1)は、DPF入口側排気温度センサ(27)で検出され、電子制御装置(8)による噴射タイミングや燃料噴射量の調節によって制御される。
なお、DPF出口側排気温度センサ(33)で検出されるDPF出口側排気温度(T3)が所定の上限温度以上の温度になった場合には、電子制御装置(8)の制御によりアフター噴射やポスト噴射は緊急停止される。
ポスト噴射では、膨張行程又は排気行程で燃焼室内に噴射が開始されたポスト噴射燃料が弁上流側DOC(17)で触媒燃焼し、排気(9)が昇温し、DPF(7)に溜まったPMが焼却除去される。
このエンジンは、図1に示すように、吸気経路(10)に配置された吸気絞り弁(11)を備え、その開度が電子制御装置(8)で制御されるように構成され、図2に示すDPF(7)の再生処理又は図3に示す弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理では、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した後、又は弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後は、排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)(S15)がなされると共に、吸気絞り弁(11)の開度減少制御(S2)(S15)がなされるように構成されている。
このため、このエンジンでは、排気絞りと共に吸気絞りが行われるため、吸気量の減少により排気(9)の昇温効率が高まる。
このエンジンでは、図2または図3に示すように、排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)(S15)がなされた後、弁上流側排気圧(P0)が所定の圧力上限値(Pmax)を超えた場合には、その後に排気絞り弁(5)の開度増加制御(S4-2)(S17-2)がなされるように構成されている。
このため、このエンジンでは、弁上流側排気圧(P0)の過剰な昇圧が抑制されるため、その加圧で排気絞り弁(5)やその上流側の部品が故障し難い。
圧力上限値(Pmax)は、図1に示す排気絞り弁(5)、EGR弁(31)、過給機(26)等の仕様又は排気経路(4)の配管の気密性などから決められる。
排気絞り弁(5)は、排気経路(4)の途中に配置されている。
圧力上限値(Pmax)は、ゲージ圧で80kPa以上、120kPa以下とするのが望ましく、100kPaとするのがより望ましい。
このエンジンでは、図1に示すように、弁上流側排気圧(P0)の演算装置(12)を備え、図4に示すように、弁上流側排気圧(P0)は、排気(9)の質量流量(G)と、弁上流側排気温度(T0)と、弁下流側排気圧(P1)から演算で算出されるように構成されている。弁上流側排気圧(P0)の演算装置(12)は、電子制御装置(8)の演算部で構成されている。
このエンジンでは、図4に示すように、排気(9)の質量流量(G)等から演算で弁上流側排気圧(P0)を精度よく算出できるため、図1に示す排気絞り弁(5)の制御精度を高くできる。
このエンジンでは、弁上流側排気圧(P0)は、排気絞り弁(5)の排気上流側に配置した排気圧センサで検出してもかまわない。この場合、弁上流側排気圧(P0)を迅速に検出できるため、図1に示す排気絞り弁(5)の制御精度を高くできる。
弁上流側排気圧(P0)を演算で算出する場合には、次の関係式を用いることができる。
弁上流側排気圧(P0)は、図4の式1により、排気(9)の質量流量(G)と、弁上流側排気温度(T0)と、弁下流側排気圧(P1)から演算で算出することができる。
排気(9)の質量流量(G)は、図4の式2により、排気(9)の密度(ρ0)と排気(9)の体積流量(V)から演算で算出することができる。
排気(9)の体積流量(V)は、図4の式3により、排気(9)の質量流量(G)と燃料噴射量(Q)等から演算で算出することができる。
燃料噴射量(Q)は、1秒当たりのブレ噴射(パイロット噴射)と、メイン噴射と、アフター噴射と、ポスト噴射を加算した燃料噴射量である。
なお、排気流量の代用値として吸気流量を用いることができるため、図5図4の式3の精密な排気(9)の体積流量(V)の演算に代え、吸気流量センサ(16)で計量された吸気流量を排気(9)の体積流量(V)とみなして、式2の演算を行ってもよい。
このエンジンでは、図1に示すように、DPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)を検出する差圧センサ(13)と、大気圧(P3)を検出する大気圧センサ(14)を備え、図4の式4に示すように、弁下流側排気圧(P1)は、DPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)と大気圧(P3)から演算で算出されるように構成されている。
このエンジンでは、図4に示すように、DPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)と大気圧(P3)から演算で弁下流側排気圧(P1)を精度よく算出できるため、図1に示す排気絞り弁(5)の制御精度を高くできる。
このエンジンでは、弁下流側排気圧(P1)を排気絞り弁(5)の排気下流側に配置した排気圧センサで検出してもかまわない。この場合、弁下流側排気圧(P1)を迅速に検出できるため、図1に示す排気絞り弁(5)の制御精度を高くできる。
このエンジンでは、図1に示すように、弁上流側排気温度センサ(19)を備え、図4に示すように、これで検出される弁上流側排気温度(T0)が、弁上流側排気圧(P0)の演算に用いられていると共に、図2に示すように、アフター噴射許可温度(TA)及びポスト噴射許可温度(TP)との温度比較判定にも用いられている。
このエンジンでは、単一の弁上流側排気温度センサ(19)で検出した弁上流側排気温度(T0)を用いて、上記演算と比較判定を行うため、センサの数を少なくできる。
このエンジンでは、弁上流側排気圧(P0)を排気絞り弁(5)の排気上流側に排気した排気圧センサで検出し、アフター噴射許可温度(TA)の比較判定に弁上流側排気温度センサ(19)の検出温度を用い、ポスト噴射許可温度(TP)の比較判定にDPF入口側排気温度センサ(27)の検出温度を用いてもかまわない。この場合、弁上流側排気圧(P0)の検出、アフター噴射許可温度(TA)の比較判定、ポスト噴射許可温度(TP)の比較判定を迅速に行うことができる。
このエンジンでは、図1に示すように、弁上流側DOC(17)には、セル内を排気(9)が通過するハニカム担体に触媒成分を担持させたフロースルー型の酸化触媒が用いられている。
このため、このエンジンでは、図1に示すように、弁上流側DOC(17)にフロースルー型の酸化触媒が用いられているため、背圧による出力ロスが小さく、エンジン出力を高くできる。
図3に示すように、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理がなされるように構成され、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理では、未燃燃料やPMからなる未燃焼堆積物の堆積に基づいて機能低下した弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S15)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(アフター)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S18)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S18-3)され、アフター噴射燃料の燃焼熱でポスト噴射燃料が燃焼され、図1に示す昇温した排気(9)の熱で、弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却されるように構成されている。
このエンジンでは、排気温度が低い無負荷及び/又は軽負荷運転の継続で、図1に示す弁上流側DOC(17)に未燃焼燃料やPMからなる未燃焼堆積物が堆積し、その触媒機能が低下している場合でも、図3に示すように、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復の開始条件(S13)が成立した場合には、図1に示す排気絞り弁(5)の開度減少やアフター噴射やポスト噴射の燃焼で、排気(9)が昇温し、この排気(9)の熱で未燃焼堆積物が気化或いは燃焼され、DPF(7)再生前に弁上流側DOC(17)の低下した触媒機能が回復され、触媒機能の低下が進行し難い。このため、無負荷及び/又は軽負荷運転継続時でも、DPF(7)を再生できる。また、白煙の原因である未燃焼堆積物がないため、白煙発生も抑えられる。
このエンジンでは、アフター噴射燃料の燃焼で図1に示す排気(9)が昇温するため、排気絞り弁(5)の開度減少の度合いが小さくて済み、背圧による出力ロスが小さく、エンジン出力を高くできる。
このエンジンは、図1に示すように、無負荷及び/又は軽負荷運転の運転時間を積算する運転時間積算装置(18)を備え、図3に示すように、無負荷及び/又は軽負荷の運転時間の積算値(tL)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている。
このため、このエンジンでは、図1に示す弁上流側DOC(17)の触媒機能の低下の確度が高い状況下で触媒機能回復処理を開始できるため、無駄な排気絞りやアフター噴射やポスト噴射を無くすことができる。
図3に示す弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)は、無負荷及び/又は軽負荷の運転時間の積算値(tL)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合に限らず、図1に示す弁上流側排気圧(P0)や、図1に示すDPF(7)の再生処理回数が、所定の触媒機能回復処理の開始判定値に至った場合に成立するようにしてもよい。
このエンジンでは、いずれの場合でも、未燃焼堆積物による弁上流側DOC(17)の触媒機能の低下の確度が高い状況下で、触媒機能回復処理を開始できるため、無駄な排気絞りやアフター噴射やポスト噴射を無くすことができる。
DPF(7)の再生処理を開始条件(S13)とする場合には、電子制御装置(8)で再生処理回数をカウントし、再生処理のカウント数が所定の値(例えば5回)に至った場合には、開始条件(S13)が成立するようにし、触媒機能回復処理か終了すると、再生処理のカウント数を0にリセットする。
図2に示すDPF(7)の再生処理の場合には、図3に示す弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の場合よりも、DPF(7)の入口側排気温度(T1)が高くなるように設定されている。
このエンジンでは、DPF(7)の再生処理の場合には、DPF(7)の入口側排気温度(T1)が高くなるため、DPF(7)の再生を確実に行うことができる。
図2に示すDPF(7)の再生処理の場合には、図3に示す弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の場合よりも、アフター噴射燃料の噴射量が少なくなるように設定されている。
このエンジンでは、DPF(7)再生処理の場合には、アフター噴射燃料の噴射量が少ないため、その燃焼熱や、その燃焼熱で燃焼されるポスト噴射燃料も少なく、多くのポスト噴射燃料が弁上流側DOC(17)をすり抜けて、DPF(7)で燃焼する。このため、DPF(7)の再生を確実に行うことができる。
また、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の場合には、アフター噴射燃料が多いため、その燃焼熱により、弁上流側DOC(17)の上流側で多くのポスト噴射燃料が燃焼し、その燃焼熱で弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却される。このため、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復を確実に行うことができる。
図2に示すDPF(7)の再生処理の場合には、図3に示す弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の場合よりも、ポスト噴射燃料の噴射量が多くなるように設定されている。
このエンジンでは、DPF(7)再生処理の場合には、ポスト噴射燃料の噴射量が多いため、多くのポスト噴射燃料が図1に示す弁上流側DOC(17)をすり抜けて、DPF(7)で燃焼し、DPF(7)の入口側排気温度(T1)が高くなる。このため、DPF(7)の再生を確実に行うことができる。
このエンジンでは、図1に示す電子制御装置(8)によるDPF(7)の再生処理の流れは次の通りである。
図2に示すように、ステップ(S1)では、DPF(7)の再生処理の開始条件が満たされたか否かが判定される。具体的には、DPF(7)のPM堆積量推定値(APM)がDPF(7)の再生処理の開始判定値(RSJ)以上の値になったか否かが判別される。DPF(7)のPM堆積量推定値(APM)は、図1に示すDPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)に基づいてPM堆積量推定値演算装置(32)で算出される。PM堆積量推定値演算装置(32)は、電子制御装置(8)の演算部で構成されている。DPF(7)のPM堆積量推定値(APM)は、差圧(ΔP)による算出以外の方法で算出してもよい。
図2に示すように、ステップ(S1)の判定は、肯定されるまで繰り返され、判定が肯定された場合には、ステップ(S2)に進む。
図2に示すように、ステップ(S2)では、吸気絞り弁(11)の開度減少制御と、排気絞り弁(5)の開度減少制御が行われ、ステップ(S3)に進む。
ステップ(S2)の吸気絞り弁(11)や排気絞り弁(5)の開度減少制御は、吸気絞り弁(11)を駆動するアクチュエータ(11a)と、排気絞り弁(5)を駆動するアクチュエータ(5a)を電子制御装置(8)が制御することにより行われる。
図2に示すように、ステップ(S3)では、弁上流側排気圧(P0)が圧力上限値(Pmax)以下か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S4-1)に進む。
ステップ(S4-1)では、弁上流側排気温度(T0)がアフター噴射許可温度(TA)以上か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S5)に進む。
ステップ(S5)では、アフター噴射制御が開始され、ステップ(S6)に進む。
尚、ステップ(S3)での判定が否定された場合には、ステップ(S4-2)に進み、排気絞り弁(5)の開度増加制御がなされ、ステップ(S4-1)に進む。
ステップ(S4-2)の排気絞り弁(5)の開度増加制御は、排気絞り弁(5)を駆動するアクチュエータ(5a)を電子制御装置(8)が制御することにより行われる。
ステップ(S4-1)での判定が否定された場合にはステップ(S3)に戻る。
ステップ(S6)では、弁上流側排気温度(T0)がポスト噴射許可温度(TP)以上か否かが判定される。ステップ(S6)の判定は肯定されるまで繰り返され、判定が肯定されるとステップ(S7)に進む。
ステップ(S7)では、ポスト噴射制御が開始され、ステップ(S8)に進む。
ステップ(S8)では、DPF(7)の再生処理の終了条件が満たされたか否かが判定される。具体的には、DPF(7)のPM堆積量推定値(APM)がDPF(7)の再生処理の終了判定値(REJ)以下の値になることが終了条件とされ、ステップ(S8)では、この終了条件が肯定されたか否かが判定される。
ステップ(S8)の判定は、肯定されるまで繰り返され、判定が肯定された場合には、ステップ(S9)に進む。
ステップ(S9)では、ポスト噴射制御が終了されると共に、アフター噴射制御も終了され、ステップ(S10)に進む。
ステップ(S10)では、吸気絞り弁(11)が全開にリセットされると共に、排気絞り弁(5)も全開にリセットされ、ステップ(S1)に戻る。
尚、ステップ(S8)のDPF(7)のPM堆積量推定値(APM)は、DPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)に基づいてPM堆積量推定値演算装置(32)で算出される。
ステップ(S8)のDPF(7)の再生処理の終了条件は、図1に示すDPF(7)の入口側排気温度(T2)が所定のDPF(7)再生処理温度以上の値を所定時間維持したこととしてもよい。
このエンジンでは、図1に示す電子制御装置(8)による弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の流れは次の通りである。
図3に示すように、ステップ(S11)では、弁上流側排気温度(T0)が無負荷及び軽負荷運転の判定温度(LJ)以下の値になったか否かが判定される。ステップ(S11)の判定は、肯定されるまで繰り返され、判定が肯定されるとステップ(S12)に進む。
ステップ(S11)では、弁上流側DOC(17)の入口側排気温度(T)が無負荷又は軽負荷運転の判定温度(LJ)以下の値になったか否かを判定するようにしてもよい。
ステップ(S12)では、無負荷及び軽負荷運転時間を積算し、ステップ(S13)に進む。
ステップ(S13)では触媒機能回復処理の開始条件が満たされたか否かが判定される。具体的には、無負荷及び軽負荷の運転時間の積算値(tL)が触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)以上の値になったか否かが判定され、判定が肯定された場合にはステップ(S14)に進む。ステップ(S13)で判定が否定された場合には、ステップ(S11)に戻る。
ステップ(S14)では、ステップ(S12)で積算した無負荷及び軽負荷の運転時間の積算値(tL)を0にリセットし、事後に行われる触媒機能回復処理時間の積算を開始し、ステップ(S15)に進む。
ステップ(S15)では、吸気絞り弁(11)の開度減少制御と、排気絞り弁(5)の開度減少制御が行われ、ステップ(S16)に進む。
ステップ(S15)の吸気絞り弁(11)や排気絞り弁(5)の開度減少制御は、前記ステップ(S2)の場合と同様にして行われる。
ステップ(S16)では、弁上流側排気圧(P0)が圧力上限値(Pmax)以下か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S17-1)に進む。
ステップ(S17-1)では、弁上流側排気温度(T0)がアフター噴射許可温度(TA)以上か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S18)に進む。
ステップ(S18)では、アフター噴射制御が開始され、ステップ(S18-2)に進む。
ステップ(S16)での判定が否定された場合には、ステップ(S17-2)に進み、排気絞り弁(5)の開度増加制御がなされ、ステップ(S17-1)に進む。
ステップ(S17-1)での排気絞り弁(5)の開度減少制御は、前記ステップ(S4-2)の場合と同様にして行われる。
ステップ(S17-1)での判定が否定された場合にはステップ(S16)に戻る。
ステップ(S18-2)では、弁上流側排気温度(T0)がポスト噴射許可温度(TP)以上か否かが判定される。ステップ(S18-2)の判定は肯定されるまで繰り返され、判定が肯定されるとステップ(S18-3)に進む。
ステップ(S18-3)では、ポスト噴射制御が開始され、ステップ(S19)に進む。
ステップ(S19)では、触媒機能回復処理の終了条件が満たされたか否かが判定される。具体的には、触媒機能回復処理時間の積算値(tI)が触媒機能回復処理の終了判定値(IEJ)以上の値になることが終了条件とされ、ステップ(S19)では、この終了条件が満たされたか否かが判定される。
ステップ(S19)の判定は、肯定されるまで繰り返され、判定が肯定された場合には、ステップ(S20)に進む。
ステップ(S20)では、ポスト噴射制御とアフター噴射制御が終了され、ステップ(S21)に進む。
ステップ(S21)では、吸気絞り弁(11)が全開にリセットされると共に、排気絞り弁(5)も全開にリセットされ、ステップ(S14)下段の触媒機能回復処理時間の積算の積算値(tI)を0にリセットし、ステップ(S11)に戻る。なお、ステップ(S14)上段の無負荷及び軽負荷の運転時間の積算値(tL)の0へのリセットも、ステップ(S14)ではなく、ステップ(S21)で行ってもよい。
なお、上記実施形態の排気絞り弁(5)の上流側排気圧を排気圧センサで実測すると共に、演算でも算出し、その差異に基づいて、排気絞り弁(5)の故障、排気経路(4)からのガス漏れ等の故障診断を行い、或いは、或いは、排気絞り弁(5)をDPF(7)の排気下流側に配置し、DPF(7)の排気入口に配置した噴射管インジェクタでポスト噴射を行うといった、実施形態の変形を行うこともできる。DPF(7)の排気入口に噴射管インジェクタを配置する場合には、DPF(7)はDOC機能付きのDPF(7)を用いるのが望ましい。
(1)…燃焼室、(2)…燃料、(3)…燃料噴射装置、(4)…排気経路、(5)…排気絞り弁、(6)…DOC、(7)…DPF、(8)…電子制御装置、(9)…排気、(10)…吸気経路、(11)…吸気絞り弁、(12)…弁上流側排気圧の演算装置、(13)…差圧センサ、(14)…大気圧センサ、(15)…排気流量の演算装置、(16)…吸気流量センサ、(17)…弁上流側DOC、(18)…運転時間積算装置、(19)…弁上流側排気温度センサ、(20)…吸気、(S1)…DPFの再生処理の開始条件、(S2)…排気絞り弁の開度減少制御、(S4-2)…排気絞り弁の開度増加制御、(S5)…アフター噴射制御が開始、(S7)…ポスト噴射制御が開始、(S20)…ポスト噴射制御が開始、(T0)…弁上流側排気温度、(TA)…アフター噴射許可温度、(TP)…ポスト噴射許可温度、(P0)…弁上流側排気圧、(Pmax)…圧力上限値、(G)…排気の質量流量、(P1)…弁下流側排気圧、(ΔP)…差圧、(P3)…大気圧。

Claims (11)

  1. 燃焼室(1)に燃料(2)を噴射する燃料噴射装置(3)と、排気経路(4)に配置された排気絞り弁(5)と、排気絞り弁(5)の排気下流側に配置されたDPF(7)と、DPF(7)の排気上流側に配置されたDOC(6)を備え、このDOC(6)は排気絞り弁(5)の排気上流側に設けられた弁上流側DOC(17)のみからなり、更に、排気絞り弁(5)の開度と燃料噴射装置(3)の燃料噴射を制御する電子制御装置(8)を備え、
    DPF(7)の再生処理がなされるように構成され、
    DPF(7)の再生処理では、PMが堆積したDPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S5)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S7)され、弁上流側DOC(17)でのポスト噴射燃料の触媒燃焼で昇温した排気(9)で、DPF(7)に堆積したPMが焼却されるように構成され、
    DPF(7)の再生処理では、排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされ、弁上流側排気圧(P0)が所定の圧力上限値(Pmax)を超えた場合には、その後に排気絞り弁(5)の開度増加制御(S4-2)がなされるように構成され、
    弁上流側排気圧(P0)の演算装置(12)を備え、弁上流側排気圧(P0)は、排気(9)の質量流量(G)と、弁上流側排気温度(T0)と、弁下流側排気圧(P1)から演算で算出されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  2. 請求項1に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    吸気経路(10)に配置された吸気絞り弁(11)を備え、その開度が電子制御装置(8)で制御されるように構成され、
    DPF(7)の再生処理では、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされると共に、吸気絞り弁(11)の開度減少制御(S2)がなされるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    DPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)を検出する差圧センサ(13)と、大気圧(P3)を検出する大気圧センサ(14)を備え、
    弁下流側排気圧(P1)は、DPF(7)の出入口間の差圧(ΔP)と大気圧(P3)から演算で算出されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    弁上流側排気温度センサ(19)を備え、これで検出される弁上流側排気温度(T0)が、弁上流側排気圧(P0)の演算に用いられていると共に、アフター噴射許可温度(TA)及びポスト噴射許可温度(TP)との温度比較判定に用いられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理がなされるように構成され、
    弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理では、未燃燃料やPMからなる未燃焼堆積物の堆積に基づいて機能低下した弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S15)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S18)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S18-3)され、アフター噴射燃料の燃焼熱でポスト噴射燃料が燃焼され、昇温した排気(9)の熱で、弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  6. 請求項5に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    無負荷及び/又は軽負荷運転の運転時間を積算する運転時間積算装置(18)を備え、
    無負荷及び/又は軽負荷の運転時間の積算値(tL)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  7. 燃焼室(1)に燃料(2)を噴射する燃料噴射装置(3)と、排気経路(4)に配置された排気絞り弁(5)と、排気絞り弁(5)の排気下流側に配置されたDPF(7)と、DPF(7)の排気上流側に配置されたDOC(6)を備え、このDOC(6)は排気絞り弁(5)の排気上流側に設けられた弁上流側DOC(17)のみからなり、更に、排気絞り弁(5)の開度と燃料噴射装置(3)の燃料噴射を制御する電子制御装置(8)を備え、
    DPF(7)の再生処理がなされるように構成され、
    DPF(7)の再生処理では、PMが堆積したDPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S5)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S7)され、弁上流側DOC(17)でのポスト噴射燃料の触媒燃焼で昇温した排気(9)で、DPF(7)に堆積したPMが焼却されるように構成され、
    弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理がなされるように構成され、
    弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理では、未燃燃料やPMからなる未燃焼堆積物の堆積に基づいて機能低下した弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S15)がなされ、排気(9)が所定のアフター噴射許可温度(TA)以上の温度になった後にアフター噴射制御が開始(S18)され、アフター噴射燃料の燃焼で排気(9)が所定のポスト噴射許可温度(TP)以上の温度になった後にポスト噴射制御が開始(S18-3)され、アフター噴射燃料の燃焼熱でポスト噴射燃料が燃焼され、昇温した排気(9)の熱で、弁上流側DOC(17)に堆積した未燃焼堆積物が気化または焼却されるように構成され、
    無負荷及び/又は軽負荷運転の運転時間を積算する運転時間積算装置(18)を備え、
    無負荷及び/又は軽負荷の運転時間の積算値(tL)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  8. 請求項7に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    吸気経路(10)に配置された吸気絞り弁(11)を備え、その開度が電子制御装置(8)で制御されるように構成され、
    DPF(7)の再生処理では、DPF(7)の再生処理の開始条件(S1)が成立した後に排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされると共に、吸気絞り弁(11)の開度減少制御(S2)がなされるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  9. 請求項7または請求項8に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    DPF(7)の再生処理では、排気絞り弁(5)の開度減少制御(S2)がなされ、弁上流側排気圧(P0)が所定の圧力上限値(Pmax)を超えた場合には、その後に排気絞り弁(5)の開度増加制御(S4-2)がなされるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  10. 請求項5から請求項9のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    弁上流側排気圧(P0)が所定の触媒機能回復処理の開始判定値に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  11. 請求項5から請求項10のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
    DPF(6)の再生処理回数が所定の触媒機能回復処理の開始判定値(ISJ)に至った場合には、弁上流側DOC(17)の触媒機能回復処理の開始条件(S13)が成立するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
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