JP7362652B2 - 細胞シート、その製造方法及び作製キット - Google Patents

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Description

本発明は、ゼラチン短繊維を含む細胞シート、その製造方法及び作製キットに関する。
細胞移植において、単に細胞を移植しても細胞が組織に着床しにくいことから、近年、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS)等の幹細胞、体細胞等の細胞を、シート状に培養して用いることが行われている。この場合、培養後の細胞シートを培養基材から剥離して回収する必要があるが、特許文献1では、温度応答性細胞培養基材を用いることで、培養後の細胞シートを回収しやすくすることが提案されている。
特開平05-192138号公報
しかし、細胞シートは、培養基材から剥離した後に収縮しやすいという問題があった。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、培養基材から剥離した後の収縮が抑制されるとともに、細胞活性も高い細胞シート、その製造方法及び作製キットを提供する。
本発明は、ゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維が細胞シート中に分散しており、前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であることを特徴とする細胞シートに関する。
本発明は、また、細胞及びゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維を培地中で培養することで、前記ゼラチン短繊維が分散している細胞シートを形成しており、前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であることを特徴とする細胞シートの製造方法に関する。
本発明は、また、細胞、ゼラチン短繊維及び培地を含み、前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であり、細胞シート中にゼラチン短繊維が分散している細胞シートを形成するのに用いることを特徴とする細胞シートの作製キットに関する。
本発明によれば、培養基材から剥離した後の収縮が抑制されるとともに、細胞活性も高い細胞シートを提供することができる。
本発明の製造方法によれば、培養基材から剥離した後の収縮が抑制されるとともに、細胞活性も高い細胞シートを効率よく簡便に作製することができる。
本発明の作製キットによれば、培養基材から剥離した後の収縮が抑制されるとともに、細胞活性も高い細胞シートを効率よく簡便に作製することができる。
図1(a)は、本発明の一実施例で得られた細胞シートを倒立顕微鏡で観察した画像(4倍)であり、図1(b)は同細胞シートの断面を顕微鏡を用いて明視野で観察した画像(10倍)である。 図2は剥離した細胞シートの写真であり、図2(a)は実施例5、図2(b)は実施例7、図2(c)は比較例1、図2(d)は比較例2を示す。 図3は剥離した細胞シートを倒立顕微鏡で観察した画像であり、図3(a)は実施例4、図3(b)は実施例6、図3(c)は比較例1、図3(d)は比較例2を示す。 図4は本発明の一実施例で用いたゼラチン短繊維の水分散液を倒立顕微鏡で観察した画像(10倍)である。 図5は本発明の一実施例で使用する不織布製造装置の模式的説明図である。 図6(a)及び(b)は本発明の1以上の実施形態で用いるフィラメント製造装置の模式的説明図である。
本発明の1以上の実施形態において、細胞シート中にゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維が分散している。本発明において、主成分とは、ゼラチンを90質量%以上含むことを意味する。本発明のゼラチン短繊維は、ゼラチンを90質量%以上、他の成分を10質量%以下含んでもよく、ゼラチンを95質量%以上、他の成分を5質量%以下含んでもよく、実質的に100質量%のゼラチンで構成されてもよい。親水性が高いゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維を用いるため、培地中に分散しやすい上、細胞との親和性が高く、細胞と共培養することで、ゼラチン短繊維が分散している細胞シートを得ることができる。また、安全性が高く、生体吸収性に優れるゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維を用いることから、該ゼラチン短繊維を用いて形成した細胞シートは、生体に移植して再生治療用、細胞研究および創薬研究に必要となる3次元細胞組織体、オルガネラ等として好適に用いることができる。
他の成分は、必要に応じて、他の生体適合ポリマー、架橋剤、薬剤、他の添加剤等であってもよい。他の生体適合ポリマーは、特に限定されないが、細胞等の生体と接着性を有する生体適合性ポリマーを好適に用いることができる。このような生体適合性ポリマーとしては、特に限定されないが、天然高分子や合成高分子を用いることができる。天然高分子としては、例えばタンパク質や多糖類等が挙げられる。タンパク質としては、例えばコラーゲン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ラミニン、フィブリン等が挙げられる。多糖類としては、例えばキトサン、アルギン酸カルシウム、ジェランガム、アガロース、グァーガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ダイユータンガム等の天然高分子を用いてもよく、カルボキシメチルセルロース等の天然高分子の誘導体を用いてもよい。合成高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール等が挙げられる。上述した他の生体適合ポリマーは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記ゼラチンの原材料となるコラーゲンが由来する動物の種類や部位は特に限定されない。コラーゲンは、例えば脊髄動物由来でもよく、魚由来でもよい。また、真皮、靭帯、腱、骨、軟骨等の様々な器官や組織由来のコラーゲンを適宜用いることができる。また、コラーゲンからゼラチンを調製する方法も特に限定されず、例えば酸処理、アルカリ処理、及び酵素処理等が挙げられる。前記ゼラチンの分子量も特に限定されず、様々な分子量のものを適宜選択して用いることができる。また、ゼラチン短繊維は、1種のゼラチンで構成されてもよく、2種以上のゼラチンを含んでもよい。
前記ゼラチンは、適度な柔軟性及び硬さを有する観点から、ゼリー強度が100g以上400g以下であることが好ましく、より好ましくは150g以上360g以下である。本発明において、ゼリー強度は、JIS K 6503に準じて測定する。前記ゼラチンは、市販品であってもよい。
前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、平均繊維長が10μm以上2000μm以下である。前記ゼラチン短繊維が細胞接着性を有し、ハイドロゲルとなり得るゼラチンを主成分とするとともに、平均繊維径と平均繊維長が上述した範囲内であることで、該ゼラチン短繊維が分散した細胞シートは、培養基材から剥離した後の収縮が抑制されるとともに、細胞活性も高くなる。
前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上であることで、ゼラチン短繊維が細胞シート中に分散しやすく、細胞シートを培養基材から剥離した後に収縮することが抑制されるとともに、細胞活性が良好になる。また、培養基材から細胞シートを剥離しやすくなる。前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。また、前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が400μm以下であることで、ゼラチン短繊維に細胞が接着しやすく、細胞間にゼラチン短繊維が配置されやすいため、細胞シートを培養基材から剥離した後に収縮することが抑制されるとともに、細胞活性が良好になる。前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が200μm以下であることが好ましく、55μm以下であることがより好ましい。前記ゼラチン短繊維において、繊維径の変動係数は0.6以下であってもよい。
前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長が10μm以上であることで、ゼラチン短繊維が細胞シート中に分散しやすく、ゼラチン短繊維が分散した細胞シートが得られやすく、細胞シートを培養基材から剥離した後に収縮することが抑制される。また、培養基材から細胞シートを剥離しやすくなる。前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長が100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましい。また、前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長が2000μm以下であることで、ゼラチン短繊維が互いに絡まず、ゼラチン短繊維が分散した細胞シートが得られやすく、細胞シートを培養基材から剥離した後に収縮することが抑制されるとともに、細胞活性が良好になる。前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長が1500μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは500μm以下である。前記ゼラチン短繊維において、繊維長の変動係数は0.6以下であってもよい。
本発明において、ゼラチン短繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、湿潤状態の細胞シートにおけるゼラチン短繊維の平均繊維径及び平均繊維長、或いは、膨潤状態のゼラチン短繊維の平均繊維径及び平均繊維長を意味する。湿潤状態の細胞シートをトリプシン等の酵素で解離して得られた懸濁液を倒立顕微鏡で観察して撮影し、撮影した写真から任意に選択した繊維400本の繊維径と繊維長を計測し、400本の繊維の繊維径と繊維長の平均をそれぞれ算出することで、平均繊維径及び平均繊維長を測定することができる。前記懸濁液中の繊維の本数が400本未満の場合は、懸濁液中の全ての繊維の繊維径と繊維長を計測し、それらの繊維径と繊維長の平均をそれぞれ算出すればよい。細胞シートが乾燥している場合は、細胞シートの質量1gに対して蒸留水の体積が20mLになるように、蒸留水を添加して3分間以上放置することで湿潤状態の細胞シートを得ることができる。また、細胞シートの作製に用いた原料のゼラチン短繊維を膨潤状態の平均繊維径及び平均繊維長を測定してもよい。具体的には、ゼラチン短繊維5gを蒸留水100mLに分散させ、3分間以上放置した水分散液(懸濁液)を倒立顕微鏡で観察して撮影し、撮影した写真から任意に選択した繊維400本の繊維径と繊維長を計測し、400本の繊維の繊維径と繊維長の平均をそれぞれ算出し、平均繊維径及び平均繊維長とする。ゼラチン短繊維の質量が5g未満の場合は、ゼラチン短繊維の質量1gあたりに蒸留水が20mLになるようにした以外は、上記と同様にして平均繊維径及び平均繊維長を測定することができる。ゼラチン短繊維の水分散液中の繊維の本数が400本未満の場合は、水分散液中の全ての繊維の繊維径と繊維長を計測し、それらの繊維径と繊維長の平均をそれぞれ算出すればよい。なお、本発明において、特に指摘がない場合、各種操作は、室温(15~25℃)で行うことを意味する。
前記ゼラチン短繊維は、特に限定されないが、平均繊維長/平均繊維径で表されるアスペクト比が3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。アスペクト比が上述した範囲内であると、ゼラチン短繊維による細胞シートの収縮抑制効果を向上させるとともに、細胞活性をより高めることができる。アスペクト比の上限は、特に限定されず、例えば、1000以下であってもよく、500以下であってもよい。アスペクト比は、特に限定されず、具体的には、上述した下限値及び上限値の任意の組み合わせの範囲内であってもよく、例えば、3以上1000以下であることが好ましく、4以上500以下であることがより好ましく、5以上500以下であることが特に好ましい。
前記ゼラチン短繊維は、耐水性を高め、培地中での細胞との共培養において形態を維持しやすく、細胞シートのハンドリング性を高める観点から、架橋されていることが好ましい。架橋は、架橋剤等の化合物を用いた化学架橋であってもよく、生体安全性の観点から、生体安全性を有する架橋剤を用いる架橋、架橋剤を用いない架橋であることが好ましい。架橋剤を用いない架橋としては、例えば、熱架橋、電子線架橋、γ線等の放射線架橋、紫外線架橋等が挙げられ、簡便に所望の架橋効果を得やすい観点から、熱架橋であることが好ましく、熱脱水架橋であることがより好ましい。熱脱水架橋は、例えば、100℃以上160℃以下で、24時間以上96時間以下行ってもよい。また、熱脱水架橋は、例えば、1kPa以下の真空下で行ってもよい。
前記ゼラチン短繊維は、特に限定されないが、ゼラチン長繊維不織布を切断することで得ることができる。夾雑物の発生を抑制し、製品汚染を防ぐ観点から、前記ゼラチン長繊維不織布は、ゼラチンを含む紡糸液をノズル吐出口から押し出し、ノズル吐出口の後方に位置し、前記ノズル吐出口とは非接触状態の流体噴射口から前方に向けて圧力流体を噴射し、前記押し出された紡糸液を前記圧力流体に随伴させて乾式でダイレクトに繊維化し、得られたゼラチン長繊維を集積させて不織布にすることで作製することが好ましい。圧力流体噴射口は、ノズル吐出口とは独立にかつ非接触状態で後方に配置されているため、紡糸液が混入することはない。このため、製品にコンタミが混入することを防止できる。
図5は本発明の一実施例で使用する不織布製造装置の模式的説明図である。不織布製造装置10において、加温槽1に入れたゼラチンを含む紡糸液2をノズル吐出口3から空気中に押し出す。加温槽1にはコンプレッサー4により、所定の圧力をかけておく。12は保温容器である。
また、ノズル吐出口3の後方に位置し、ノズル吐出口3とは非接触状態の流体噴射口5から前方に向けて圧力流体7を噴射させる。流体噴射口5にはコンプレッサー6から圧力流体(例えば圧空)が供給される。流体噴射口5とノズル吐出口3との距離は5~30mmが好ましい。
押し出された紡糸液は圧力流体7に随伴されてゼラチン長繊維8となり、巻き取りロール11上でゼラチン長繊維不織布9となって堆積される。この時、堆積された長繊維は水分を含んでいたり、完全には固化していないので、繊維交点の少なくとも一部において接している繊維が互いに溶着する。なお、巻き取りロール以外でもネット等で長繊維を捕集し堆積して不織布にしてもよい。
まず、ゼラチン単独、或いは、必要に応じてゼラチンと上述した他の成分として用いることができる他の生体適合ポリマーを水に溶解して紡糸液を調製する。溶解温度(水の温度)は20℃以上90℃以下が好ましく、40℃以上90℃以下であることがより好ましい。必要に応じて、ゼラチンを水に溶解した後、フィルトレーションして異物やごみなどを除去してもよい。また、必要に応じて、その後、減圧脱泡又は真空脱泡して溶解空気を除去してもよい。効率よく気体(気泡)を除去する観点から、減圧脱泡時の真空度は5kPa以上30kPa以下であることが好ましい。ゼラチンが水溶性であることで、紡糸液として水溶液の状態で紡糸でき、生体に対する安全性が高くなる。水としては、例えば、純水、蒸留水、超純水等を適宜用いることができる。なお、他の成分として、他の生体適合性水溶性高分子を用いる場合、ゼラチンと同時に水に溶解することで、紡糸液を調製することができる。
前記ゼラチンを含む紡糸液(ゼラチン水溶液)の温度は20℃以上90℃以下であることが好ましく、40℃以上90℃以下であることがより好ましい。前記の範囲であればゼラチンは安定したゾル状態を維持できる。また、前記ゼラチン水溶液のゼラチン濃度は、ゼラチン水溶液を100質量%とした時、30質量%以上55質量%以下であることが好ましい。さらに好ましい濃度は35質量%以上50質量%以下である。前記の濃度であれば安定したゾル状態を維持できる。前記ゼラチン水溶液(紡糸液)の粘度は500mPa・s以上3000mPa・s以下が好ましい。ゼラチン水溶液の粘度が前記の範囲であれば安定した紡糸ができる。
前記ゼラチンを含む紡糸液を紡糸機のノズルから吐出し、前記ノズル周囲から圧力流体を供給し、前記吐出したゼラチン水溶液を前記圧力流体に随伴させて繊維形成させ、得られたゼラチン長繊維を集積してゼラチン長繊維不織布とする。
前記圧力流体の温度は、20℃以上120℃以下であることが好ましく、80℃以上120℃以下であることがより好ましい。圧力流体の流速及び周囲雰囲気の温度にもよるが、前記の温度範囲であれば安定した紡糸ができる。圧力流体は空気を使用することが好ましく、圧力は0.1MPa以上1MPa以下であることが好ましい。前記の範囲であれば、ノズル吐出口から空気中に押し出された紡糸液を吹き飛ばして繊維化できる。
前記ゼラチン長繊維不織布は紡糸後に繊維を集積(堆積)させる時に繊維同士が、水分を含んだ状態で積層されるため、溶着したり互いに絡んで一体化されている。繊維を堆積させる際の捕集距離を変えることで、容易に不織布密度を変えることができる。ゼラチン長繊維不織布において、ゼラチン長繊維の繊維長は数メートル~数千メートルであってもよい。
前記ゼラチン長繊維不織布において、水で膨潤した際のゼラチン長繊維の平均繊維径は、1μm以上400μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましく、20μm以上55μm以下であることがより好ましい。ノズル径(内径)等適宜を調整することで、所望の平均繊維径を有する前記ゼラチン長繊維不織布を得ることができる。
前記長繊維不織布は、架橋することが好ましい。これにより形態安定性及び耐水性を高めることができ、ゼラチン長繊維不織布を切断してゼラチン短繊維を得る工程の作業性が良好になる。架橋は、架橋剤等の化合物を用いた化学架橋であってもよいが、生体安全性の観点から、生体安全性を有する架橋剤を用いる架橋、架橋剤を用いない架橋であることが好ましい。架橋剤を用いない架橋としては、例えば、熱架橋、電子線架橋、γ線等の放射線架橋、紫外線架橋等が挙げられる。電子線照射、γ線等の放射線照射の場合は、滅菌と架橋を同時にすることもできる。簡便に所望の架橋効果を得やすい観点から、熱架橋であることが好ましく、熱脱水架橋であることがより好ましい。熱脱水架橋は、例えば、100℃以上160℃以下で、24時間以上96時間以下行ってもよい。また、熱脱水架橋は、例えば、1kPa以下の真空下で行ってもよい。前記ゼラチン長繊維不織布は、架橋する前に乾燥してもよい。乾燥は、室温における風乾でもよく、真空凍結乾燥でもよい。
次に、前記ゼラチン長繊維不織布を切断してゼラチン短繊維を得る。操作が簡便である観点から、水中で切断することが好ましい。また、切断効率を高める観点から、前記ゼラチン長繊維不織布を、例えば、5~10mm角等の所定のサイズに切断してから、切断したゼラチン長繊維不織布を水中でミキサーを用いて切断(粉砕)することで、ゼラチン短繊維を得ることが好ましい。得られたゼラチン短繊維は、2本以上の繊維が交点を有する枝分かれ形状のゼラチン短繊維を含んでもよいが、個々の繊維は互いに分離した形状であることが好ましい。水としては、例えば、純水、蒸留水、超純水等を用いることができる。ミキサーとしては、繊維にダメージを与えず、繊維の長さを短くすることができるものであればよく、特に限定されない。粉砕は、特に限定されないが、例えば、フリッチュ社製のP-11メッサーミル等の超高速回転型ミキサーの場合、回転数2000rpm以上14000rpm以下の条件下で5秒以上10分以下行うことができる。
本発明の1以上の実施形態において、ゼラチン短繊維は、ゼラチンを含む紡糸液をノズル吐出口から空気中に押し出し、加熱紡糸筒を通過させて乾式紡糸し、得られたゼラチンフィラメント糸を切断することでも得ることができる。
まず、ゼラチンを含む紡糸液を調製する。紡糸液は、ゼラチン長繊維不織布の製造に用いるものと同様のものを用いることができる。簡単に言うと、例えば、ゼラチン単独、或いは、必要に応じてゼラチンと上述した他の成分として用いることができる他の生体適合ポリマーを水に溶解した後、減圧脱泡して溶解空気を除去することで紡糸液を得ることができる。溶解した後、フィルトレーションして異物やごみなどを除去してもよい。溶解温度は40℃以上90℃以下が好ましい。減圧脱泡時の真空度は5kPa以上30kPa以下であることが好ましい。
次に、前記ゼラチンを含む紡糸液を紡糸機のノズル吐出口から空気中に押し出し、加熱紡糸筒を通過させて乾式紡糸する。前記加熱紡糸筒は、温度が120℃以上180℃以下に保持されており、かつ押し出し物の加熱紡糸筒中における滞留時間は5秒以上とするのが好ましい。これにより、押し出し物から急激に水分が除去され、糸条が形成される。
前記加熱紡糸筒は、特に限定されないが、例えば内径が200mmステンレス管にヒーターを巻きつけた長さ2mの紡糸筒を用いることができる。前記加熱紡糸筒24は、複数の区画に区分けられてもよく、それぞれの区画において温度制御を行ってもよい。前記加熱紡糸筒は鉛直方向に向いていることが好ましい。そして、加熱紡糸筒を出た位置では、ゼラチン中空糸は中空状体であり、ここでカットすることで、得られるゼラチンフィラメントは中空糸となる。加熱紡糸筒を出た位置で中空になる理由は、加熱紡糸筒内で急激に水分が除去されるためと思われる。カットせずに、巻き取ることで、中空がつぶれて断面が扁平になった扁平糸を得ることができる。
前記ゼラチンフィラメントにおいて、水で膨潤した際の平均繊維径は、1μm以上400μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましく、20μm以上55μm以下であることがより好ましい。ノズル径(内径)等適宜を調整することで、所望の平均繊維径を有するゼラチンフィラメントを得ることができる。なお、前記ゼラチンフィラメントが扁平糸の場合、個々の繊維において、繊維径は、長径と短径の平均値である。
前記ゼラチンフィラメントは、架橋することが好ましい。これにより形態安定性及び耐水性を高めることができ、前記ゼラチンフィラメントを切断してゼラチン短繊維を得る工程の作業性が良好になる。架橋は、ゼラチン長繊維不織布の製造方法について説明したのと同様に行うことができる。簡便に所望の架橋効果を得やすい観点から、熱架橋であることが好ましく、熱脱水架橋であることがより好ましい。熱脱水架橋は、例えば、100℃以上160℃以下で、24時間以上96時間以下行ってもよい。また、熱脱水架橋は、例えば、10kPa以下の真空下で行ってもよい。前記ゼラチンフィラメントは、架橋する前に乾燥してもよい。乾燥は、室温における風乾でもよく、真空凍結乾燥でもよい。
次に、前記ゼラチンフィラメントを切断してゼラチン短繊維を得る。操作が簡便である観点から、水中で切断することが好ましい。また、切断効率を高める観点から、前記ゼラチンフィラメントを、例えば、繊維長が5~10mmになるように切断し、その後、水中でミキサーを用いてさらに切断(粉砕)することで、ゼラチン短繊維を得ることが好ましい。水としては、例えば、純水、蒸留水、超純水等を用いることができる。ミキサーとしては、繊維にダメージを与えず、繊維の長さを短くすることができるものであればよく、特に限定されない。粉砕は、特に限定されないが、例えば、フリッチュ社製のP-11メッサーミル等の超高速回転型ミキサーの場合、回転数2000rpm以上14000rpm以下の条件下で5秒以上10分以下行うことができる。
図6(a)及び(b)は、本発明の1以上の実施形態で用いるフィラメント製造装置20の模式的説明図である。シリンジ21に入れたゼラチンを含む紡糸液22をノズル23から空気中に押し出す。具体的には、シリンジ21の末端より0.1MPaの加圧空気を送ってノゾル23から紡糸液22を押し出すことができる。ノズル23は通常の丸断面でよい。ノズル23の下には加熱紡糸筒24が直結している。加熱紡糸筒24は24a-24dの4区画からなり、それぞれの区画で温度制御が可能となっている。
図6(a)に示すように、ゼラチンフィラメント25を、ガイドロール26を通過して巻き取り機27に巻き取ることで、扁平糸が得られる。
図6(b)に示すように、加熱紡糸筒24を出た下部で自重落下するゼラチンフィラメント25をカットすることで、所定長さの中空糸が得られる。
前記ゼラチン短繊維は、エチレンオキサイドガス滅菌、蒸気滅菌、電子線照射やγ線等の放射線照射により滅菌してもよい。
前記ゼラチン短繊維及び細胞を培地中で共培養(接着培養)することで、細胞シート中にゼラチン短繊維が分散している細胞シートを形成することができる。上述したとおり、細胞接着性を有し、ハイドロゲルとなり得るゼラチンを主成分とするとともに、平均繊維径と平均繊維長が上述した範囲内であるゼラチン短繊維を細胞と培地中で共培養することで、培地中で均一に分散して膨潤したゼラチン短繊維の表面に細胞が接着しやすく、細胞間にゼラチン短繊維が配置されることで、ゼラチン短繊維が分散している細胞シートを得ることができる。
本発明の1以上の実施形態において、細胞は、動物細胞であればよく、その由来は特に限定されない。動物としては、ヒトでもよく、ヒト以外の動物でもよい。ヒト以外の動物としては、例えば、サル、チンパンジー等の霊長類、マウス、ラット、ハムスター等の齧歯類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の有蹄類等が挙げられる。また、本発明の1以上の実施形態において、細胞は、個々の細胞、細胞株、初代培養等培養で得られる細胞等を含む。前記細胞としては、特に限定されないが、例えば、体細胞、幹細胞、前駆細胞、生殖細胞等が挙げられる。
体細胞は、生体を構成する体細胞や体細胞から派生した癌細胞を含む。生体を構成する体細胞としては、特に限定されず、例えば、線維芽細胞、筋細胞、内皮細胞、骨芽細胞、内皮細胞、膀胱細胞、肺細胞、骨細胞、神経細胞、肝細胞、軟骨細胞、上皮細胞、中皮細胞等が挙げられる。癌細胞としては、特に限定されず、例えば、乳癌細胞、腎癌細胞、前立腺癌細胞、肺癌細胞、肝癌細胞、子宮頸癌細胞、食道上皮癌、膵癌、大腸癌、膀胱癌等が挙げられる。
幹細胞は、様々な特殊化した細胞型へ分化する可能性がある細胞である。幹細胞としては、特に限定されず、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性癌腫細胞(EC)、胚性生殖幹細胞(EG)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、成体幹細胞、胚盤胞由来幹細胞、生殖隆起由来幹細胞、奇形腫由来幹細胞、オンコスタチン非依存性幹細胞(OISC)、骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、羊水由来間葉系幹細胞、皮膚由来間葉系幹細胞、骨膜由来間葉系幹細胞等が挙げられる。
前駆細胞は、前記幹細胞から発生し生体を構成する最終分化細胞へ分化することができる細胞である。
生殖細胞としては、精子、精細胞、卵子、卵細胞等が挙げられる。
上述した細胞は、1種を単独で用いてもよく、目的等に応じて2種以上を併用してもよい。
前記培地(液体培地)としては、特に限定されず、細胞の種類に応じて、細胞の生存増殖に必要な成分を含むものを適宜用いることができる。前記培地は、血清、抗生物質及び成長因子等を含んでもよい。血清は、例えば、ウシ血清、ウシ胎児血清、ウマ血清、ヒト血清等を適宜用いることができる。抗生物質は、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、アンフォテリシン、アンピシリン、ミノマイシン、カナマイシン等を適宜用いることができる。成長因子は、細胞増殖因子、分化誘導因子、細胞接着因子等を適宜用いることができる。
培養は、細胞シートを形成することができる接着培養条件で行うことができる。培養基材としては、接着培養に用いることができるものを適宜用いることができる。例えば、細胞が接着し得る平坦な部分(培養面とも称される。)を有する細胞培養容器、例えば、ディッシュ、プレート、及びフラスコ等を用いることができる。
前記細胞の播種面密度(細胞の播種量/培養面の表面積)は、特に限定されず、細胞種類や細胞シートの厚み等に基づいて適宜決めることができる。例えば、5,000細胞/cm2以上100,000細胞/cm2以下であることが好ましく、20,000細胞/cm2以上80,000細胞/cm2以下であることがより好ましく、40,000細胞/cm2以上60,000細胞/cm2以下であることがさらに好ましい。細胞の播種面密度が上述した範囲内であると、細胞が偏ることがなく、培養面に接着しやすくなる。
前記ゼラチン短繊維の添加密度(ゼラチン短繊維の質量/培養面の表面積)は、特に限定されないが、例えば、0.05mg/cm2以上1mg/cm2以下であることが好ましく、0.1mg/cm2以上0.9mg/cm2以下であることがより好ましく、0.2mg/cm2以上0.6mg/cm2以下であることがさらに好ましい。ゼラチン短繊維の添加密度が上述した範囲内であると、培養面に均一に分散しやすくなる。
前記細胞の播種体積密度(細胞の播種量/培地の体積)は、特に限定されないが、例えば、0.1x105細胞/mL以上3x105細胞/mL以下であることが好ましく、0.3x105細胞/mL以上2x105細胞/mL以下であることがより好ましく、0.5x105細胞/mL以上1.5x105細胞/mL以下であることがさらに好ましい。細胞の播種体積密度が上述した範囲内であると、細胞に栄養や酸素が供給されやすく、ゼラチン短繊維と共培養することで、ゼラチン短繊維が均一に分散している細胞シートを得やすくなる。
前記ゼラチン短繊維の濃度(ゼラチン短繊維の質量/培地の体積)は、特に限定されないが、例えば、0.01mg/mL以上2mg/mL以下であることが好ましく、0.02mg/mL以上1.5mg/mL以下であることがより好ましく、0.04mg/mL以上1mg/mL以下であることがさらに好ましい。ゼラチン短繊維の濃度が上述した範囲内であると、培地中の分散性が高く、細胞と共培養することで、ゼラチン短繊維が均一に分散している細胞シートを得やすくなる。
前記細胞の播種量とゼラチン短繊維の添加量の比(細胞の播種量/ゼラチン短繊維の添加量)は、特に限定されないが、例えば、0.1x105細胞/mg以上7x105細胞/mg以下であることが好ましく、0.5x105細胞/mg以上5x105細胞/mg以下であることがより好ましく、1x105細胞/mg以上3x105細胞/mg以下であることがさらに好ましい。細胞の播種量とゼラチン短繊維の添加量の比が上述した範囲であると、細胞の分布が偏らず、ゼラチン短繊維が均一に分散している細胞シートを得やすくなる上、得られた細胞シートの細胞活性を高めることができる。
細胞とゼラチン短繊維の共培養は、例えば、27℃以上40℃以下で行ってもよく、31℃以上37℃以下であってもよい。二酸化炭素は、2%以上10%以下の範囲であってもよい。
培養時間は、細胞シートを形成するよう、細胞種類、細胞数等に応じて適宜決めればよいが、例えば、2~8日継続して培養してもよく、3~7日継続して行ってもよく、4~6日継続して行ってもよい。培地は、2~3日毎に交換してもよい。
前記細胞シートは、ゼラチン短繊維を含むことにより、培養基材から剥離した後の収縮が抑制されている。培養基材から剥離する前の細胞シートの直径をDS1とし、培養基材から剥離した後の細胞シートの直径をDS2とした場合、DS2/DS1は0.56以上1以下であることが好ましく、0.60以上0.95以下であることがより好ましく、0.64以上0.9以下であることがさらに好ましい。
前記細胞シートの厚みは、細胞種類や用途等により適宜決めればよいが、ハンドリング性及び細胞活性の観点から、例えば、30μm以上150μm以下であることが好ましく、より好ましくは40μm以上140μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上130μm以下である。本発明において、細胞シートの厚みは、凍結切片の断面像の顕微鏡観察で測定する。
前記細胞シートにおいて、特に限定されないが、例えば、ハンドリング性及び細胞活性の観点から、細胞数とゼラチン短繊維の質量の比(細胞数/ゼラチン短繊維の質量)は、1x105細胞/mg以上25x105細胞/mg以下であることが好ましく、より好ましくは2x105細胞/mg以上20x105細胞/mg以下であり、さらに好ましくは3x105細胞/mg以上15x105細胞/mg以下である。
上述したゼラチン短繊維、細胞及び培地を含むキットは、細胞シートの作製キットとして用いることができ、具体的には、細胞シート中にゼラチン短繊維が分散している細胞シートを形成するのに用いることができる。前記キットは、培養基材を含んでもよい。
前記細胞シートは、例えば、ヒト又はヒト以外の動物の組織の増大、修復又は再生等の細胞治療に用いることができる。組織としては、特に限定されず、例えば、骨、軟骨、腱、半月、筋肉及び脂肪等の結合組織等が挙げられる。
前記細胞シートは、ゼラチン短繊維を含むことにより、強度が高くなり、それゆえ、細胞治療用途の際のハンドリング性が良好になる。培養基材から剥離した際にピンセットで把持して水等の液体に浸すと元の形状に戻りやすい。
前記細胞シートは、ゼラチン短繊維を含むことにより、凍結による細胞損傷を防ぐことができ、具体的には、凍結による細胞活性の低減を抑制することができる。
本発明は、特に限定されないが、好ましくは以下の態様を含む。
[1] ゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維が細胞シート中に分散しており、
前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であることを特徴とする細胞シート。
[2] 前記ゼラチン短繊維は、架橋されている、[1]に記載の細胞シート。
[3] 前記細胞シートにおいて、細胞数とゼラチン短繊維の質量の比(細胞数/ゼラチン短繊維の質量)は、1x105細胞/mg以上2.5x106細胞/mg以下である、[1]又は[2]に記載の細胞シート。
[4] 前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長/平均繊維径で表されるアスペクト比が3以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の細胞シート。
[5] 細胞及びゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維を培地中で培養することで、前記ゼラチン短繊維が分散している細胞シートを形成しており、
前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であることを特徴とする細胞シートの製造方法。
[6] 培養基材から剥離する前の細胞シートの直径をDS1とし、培養基材から剥離した後の細胞シートの直径をDS2とした場合、DS2/DS1は0.56以上1以下である、[5]に記載の細胞シートの製造方法。
[7] 前記細胞の播種量とゼラチン短繊維の添加量の比(細胞の播種量/ゼラチン短繊維の添加量)は、特に限定されないが、例えば、0.1x105細胞/mg以上7x105細胞/mg以下である、[5]又は[6]に記載の細胞シートの製造方法。
[8] 前記ゼラチン短繊維は、ゼラチンを含む紡糸液をノズル吐出口から空気中に押し出し、前記ノズル吐出口の後方に位置し、前記ノズル吐出口とは非接触状態の流体噴射口から前方に向けて圧力流体を噴射し、前記押し出された紡糸液を前記圧力流体に随伴させて繊維形成させ、前記繊維形成した繊維を集積させてゼラチン長繊維不織布とし、前記ゼラチン長繊維不織布を切断することで得られる、[5]~[7]のいずれかに記載の細胞シートの製造方法。
[9] 前記ゼラチン短繊維は、ゼラチンを含む紡糸液をノズル吐出口から空気中に押し出し、加熱紡糸筒を通過させて乾式紡糸し、得られたゼラチンフィラメント糸を切断することで得られる、[5]~[7]のいずれかに記載の細胞シートの製造方法。
[10] 前記ゼラチン長繊維不織布又はゼラチンフィラメント糸は架橋した後に切断する、[5]~[9]のいずれかに記載の細胞シートの製造方法。
[11] 前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長/平均繊維径で表されるアスペクト比が3以上である、[5]~[10]のいずれかに記載の細胞シートの製造方法。
[12] 細胞、ゼラチン短繊維及び培地を含み、
前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であり、
細胞シート中にゼラチン短繊維が分散している細胞シートを形成するのに用いることを特徴とする細胞シートの作製キット。
[13] 前記ゼラチン短繊維は、架橋されている、[12]に記載の細胞シートの作製キット。
[14] 前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長/平均繊維径で表されるアスペクト比が3以上である、[12]又は[13]に記載の細胞シートの作製キット。
以下、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
測定方法は下記のとおりである。
<平均繊維径及び平均繊維長>
ゼラチン短繊維5gと水100mLを含む水分散液をデジタルマイクロスコープ(Zeiss社製、品名「AxioCAM ERc5」)を搭載した倒立顕微鏡(Olympus社製、CKX53、4倍)で観察して撮影した。次に、コンピュータソフトウェア(PhotoRuler,The Genus Incybe)を使用して、撮影した写真から任意に選択した繊維400本の繊維径と繊維長を計測し、400本の繊維の繊維径と繊維長の平均をそれぞれ算出し、平均繊維径及び平均繊維長とした。
(製造例1)
<ゼラチン長繊維不織布の作製>
ゼラチンとして新田ゼラチン社製(ゼリー強度262g、原料:アルカリ処理牛骨)を使用し、ゼラチン:水=3:5の質量比(ゼラチン濃度37.5質量%)とし、温度60℃で溶解した。ゼラチン水溶液の60℃における粘度は960~970mPa・sであった。このゼラチン水溶液を紡糸液とし、図5に示す不織布製造装置を使用してゼラチン長繊維不織布を製造した。紡糸液の温度は60℃、ノズル直径(内径)250μm、吐出圧0.2MPa、ノズル高さ5mm、エアー圧力0.375MPa、エアー温度100℃、流体噴射口5とノズル吐出口3との距離は5mm、捕集距離50cmとし、巻き取りローラ11でゼラチン長繊維不織布9を巻き取った。
次いで、ゼラチン長繊維不織布を室温(20℃)で一晩風乾し、その後、真空下(1kPa)、140℃で48時間熱架橋させた。
<ゼラチン短繊維の作製>
得られたゼラチン長繊維不織布を5~10mm角に切断し、切断したゼラチン長繊維不織布5gに蒸留水を100mL加えて、超高速回転型ミキサー(フリッチュ社製の「P-11メッサーミル」)を用いて2000rpmで3分間撹拌することで、ゼラチン長繊維不織布を切断してゼラチン短繊維の水分散液を得た。得られたゼラチン短繊維の水分散液(懸濁液)を用いて、上述したとおり、ゼラチン短繊維の平均繊維径と平均繊維長を測定したところ、平均繊維径が40μm(変動係数0.13)であり、平均繊維長が230μm(変動係数0.52)であり、アスペクト比は5.75であった。図4に、ゼラチン短繊維の水分散液をデジタルマイクロスコープ(Zeiss社製、品名「AxioCAM ERc5」)を搭載した倒立顕微鏡(Olympus社製「CKX53」、10倍)で観察して撮影した写真を示した。
次に、繊維懸濁液を-30℃の冷凍庫で凍結させた後、真空凍結乾燥を行い、乾燥したゼラチン短繊維を得た。
(製造例2)
製造例1と同様にして、ゼラチン長繊維不織布を作製した。
得られたゼラチン長繊維不織布を、5~10mm角に切断し、切断したゼラチン長繊維不織布5gに蒸留水を100mL加えて、超高速回転型ミキサー(フリッチュ社製の「P-11メッサーミル」)を用いて2000rpmで1分間撹拌することで、ゼラチン短繊維の水分散液を得た。得られたゼラチン短繊維の水分散液(懸濁液)を用いて、上述したとおり、ゼラチン短繊維の平均繊維径と平均繊維長を測定したところ、平均繊維径が40μm(変動係数0.13)であり、平均繊維長が828μm(変動係数0.58)であり、アスペクト比は20.7であった。
次に、繊維懸濁液を-30℃の冷凍庫で凍結させた後、真空度凍結乾燥を行い、乾燥したゼラチン短繊維を得た。
(製造例3)
製造例1と同様にして、ゼラチン長繊維不織布を作製した。
得られたゼラチン長繊維不織布を、5~10mm角に切断し、切断したゼラチン長繊維不織布5gに蒸留水を100mL加えて、超高速回転型ミキサー(フリッチュ社製の「P-11メッサーミル」)を用いて2000rpmで10秒間撹拌することで、ゼラチン短繊維の水分散液を得た。得られたゼラチン短繊維の水分散液(懸濁液)を用いて、上述したとおり、ゼラチン短繊維の平均繊維径と平均繊維長を測定したところ、平均繊維径が40μm(変動係数0.13)であり、平均繊維長が1469μm(変動係数0.47)であり、アスペクト比は36.7であった。
次に、繊維懸濁液を-30℃の冷凍庫で凍結させた後、真空度凍結乾燥を行い、乾燥したゼラチン短繊維を得た。
(実施例1~4)
<細胞シートの作製>
24ウェルプレート(コーニング社製、平底、培養面の面積1.9cm2)の各ウェルにアスコルビン酸リン酸塩を10μMとなるように添加した培地(MEMα、10%牛胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン)1mLと、製造例1で得られたゼラチン短繊維を下記表1に示す配合量で添加した後、マウス線維芽細胞MC3T3-E1細胞を1ウェル当たりの細胞数が1.0×105細胞となるように播種した。その後、24ウェルプレートを37℃、5%のCO2の条件でインキュベートした。培地の交換は2日に一回行った。5日間培養し細胞シートを作製した。
(実施例5)
ゼラチン短繊維として製造例2で得られたゼラチン短繊維を用い、配合量を1mgにした以外は、実施例1と同様にして細胞シートを作製した。
(実施例6)
ゼラチン短繊維として製造例3で得られたゼラチン短繊維を用い、配合量を1mgにした以外は、実施例1と同様にして細胞シートを作製した。
(実施例7)
ウェルプレートを温度感応性培養皿(UpCell、CellSeed社)の12ウェルプレート(平底、培養面の面積3.8cm2)に変更し、製造例3で得られたゼラチン短繊維の配合量を0.4mgとした以外は、実施例6と同様にして細胞シートを作製した。
(比較例1)
ゼラチン短繊維を添加していない以外は、実施例1と同様にして細胞シートを作製した。
(比較例2)
ゼラチン短繊維に変えてポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維[平均繊維径54.1μm(変動係数0.10)、平均繊維長1700μm(変動係数0.51)]を用い、配合量を1mgとした以外は、実施例1と同様にして細胞シートを作製した。
(比較例3)
ゼラチン短繊維を添加していない以外は、実施例7と同様にして細胞シートを作製した。
<細胞シートの収縮性の評価>
まず、細胞シートを剥離する前に、デジタルカメラ(オリンパス社製「VH-515」)で撮影した。得られた画像から、細胞シートの直径(DS1)を測定した。
次に、ウェルプレートと細胞シートの界面に、ピペットを用いて培地を吐出した。その液流によりウェルプレートから細胞シートを剥離した。ウェルプレートから培地を除去して、細胞シートをウェルプレート底面に広げ、デジタルカメラ(オリンパス社製「VH-515」)で撮影した。得られた画像から、細胞シートの直径(DS2)を測定した。
次に、剥離した後の細胞シートの直径DS2と剥離する前の細胞シートの直径DS1の比、DS2/DS1を求め、細胞シートの収縮性を評価した。その結果を下記表1に示した。
(グルコース消費量の測定)
剥離した細胞シートを培地とともに新しい24ウェルプレートに移動した。その後、培地を除去し、培地がない状態で37℃、5%CO2の条件で、30分間インキュベートして細胞シートをウェルプレートに接着させた。アスコルビン酸リン酸塩を10μMとなるように添加した培地(MEMα、10%牛胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン)を2mL加えて、37℃、5%CO2の条件で培養した。24時間目に培養上清を回収し、回収した培養上清中のグルコース濃度をグルコース測定キット(グルコースCII-テストワコー、富士フイルム和光純薬)を用いて定量し、未使用の培地のグルコース濃度と比較することで、グルコース消費量を計算した。その結果を下記表2に示した。
(細胞数の計測)
グルコース消費量の測定で用いた24ウェルプレートから培地を除去し、トリプシンEDTA溶液を0.6mL加えて10分間37℃でインキュベートした。その後マイクロピペットでピペッティングをして細胞シートを解離し、さらに10分間37℃でインキュベートした。0.4mLの培地を加えたあと、トリパンブルーで染色し、血球計算板で細胞数を計測した。
(細胞シートの剥離時間の測定)
実施例7及び比較例3において、細胞シートが形成した温度感応性培養皿(UpCell、CellSeed社)を、振盪機(ThermoMixerC、エッペンドルフ社)の上に置き25℃、300rpmで振盪させた。細胞シートが培養皿から剥がれて、培地中で浮遊するまでの時間を剥離時間として計測した。その結果を下記表3に示す。
Figure 0007362652000001
Figure 0007362652000002
Figure 0007362652000003
図1には、実施例1の細胞シートの顕微鏡写真を示した。図1(a)は、培養基材から剥離する前の実施例1の細胞シートを倒立顕微鏡(Olympus社製、CKX53、4倍)で観察した画像である。図1(b)は、培養基材から剥離した後の実施例1の細胞シートを顕微鏡(キーエンス製、BX-X710)を用いて明視野で観察した画像(10倍)である。
図2には、剥離した細胞シートをウェルプレート底面に広げ、デジタルカメラ(オリンパス社製「VH-515」)で撮影した写真を示した。図2において、(a)~(d)は、それぞれ、実施例5、実施例7、比較例1、及び比較例2の剥離した細胞シートの画像である。
図3には、剥離した細胞シートを倒立顕微鏡(Olympus社製、CKX53、4倍)で観察した画像を示した。図3において、(a)~(d)は、それぞれ、実施例4、実施例6、比較例1、及び比較例2の剥離した細胞シートの画像である。
図1及び図3から分かるように、実施例の細胞シートにおいて、ゼラチン短繊維が細胞シート中に分散しており、細胞がゼラチン短繊維の表面に接着している。
表1及び図2から分かるように、ゼラチン短繊維が細胞シート中に分散している実施例の細胞シートでは、ゼラチン短繊維を含まない比較例1、及びPET繊維を用いた比較例2の細胞シートに比べて、培養基材から剥離した後の収縮が抑制されていた。実施例1~4の対比から分かるように、細胞数に対するゼラチン短繊維の配合量が多いほど、培養基材から剥離した後の細胞シートの収縮を抑制する効果が高い。また、実施例4~6の対比から分かるように、平均繊維径が同じである場合、平均繊維長が828μm以下である方が、培養基材から剥離した後の細胞シートの収縮を抑制する効果が高い。
表2から分かるように、ゼラチン短繊維が細胞シート中に分散している実施例の細胞シートでは、ゼラチン短繊維を含まない比較例1、及びPET繊維を用いた比較例2の細胞シートに比べて、細胞当たりのグルコース消費量が高く、細胞活性が向上している。
表3から分かるように、ゼラチン短繊維が細胞シート中に分散している実施例では、ゼラチン短繊維を含まない比較例3に比べて、培養基材から細胞シートを剥離するのに必要な時間が短く、ハンドリング性が良好であった。
本発明の細胞シートは、ヒト又はヒト以外の動物の組織の増大、修復又は再生に用いることができる。
1 加温槽
2、22 紡糸液
3 ノズル吐出口
4,6 コンプレッサー
5 流体噴射口
7 圧力流体
8 ゼラチン長繊維
9 ゼラチン長繊維不織布
10 不織布製造装置
11 巻き取りロール
12 保温容器
20 フィラメント製造装置
21 シリンジ
23 ノズル(吐出口)
24 加熱紡糸筒
25 ゼラチンフィラメント
26 ガイドロール
27 巻き取り機

Claims (14)

  1. ゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維が細胞シート中に分散しており、
    前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であることを特徴とする細胞シート。
  2. 前記ゼラチン短繊維は、架橋されている請求項1に記載の細胞シート。
  3. 前記細胞シートにおいて、細胞数とゼラチン短繊維の質量の比(細胞数/ゼラチン短繊維の質量)は、1x105細胞/mg以上2.5x106細胞/mg以下である請求項1又は2に記載の細胞シート。
  4. 前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長/平均繊維径で表されるアスペクト比が3以上である請求項1~3のいずれかに記載の細胞シート。
  5. ゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維が細胞シート中に分散している細胞シートの製造方法であって、
    細胞及びゼラチンを主成分とするゼラチン短繊維を培地中で培養する工程を含み、
    前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であることを特徴とする細胞シートの製造方法。
  6. 培養基材から剥離する前の細胞シートの直径をDS1とし、培養基材から剥離した後の細胞シートの直径をDS2とした場合、DS2/DS1は0.56以上1以下である請求項5に記載の細胞シートの製造方法。
  7. 前記細胞の播種量とゼラチン短繊維の添加量の比(細胞の播種量/ゼラチン短繊維の添加量)は、0.1x105細胞/mg以上7x105細胞/mg以下である請求項5又は6に記載の細胞シートの製造方法。
  8. 前記ゼラチン短繊維は、ゼラチンを含む紡糸液をノズル吐出口から空気中に押し出し、前記ノズル吐出口の後方に位置し、前記ノズル吐出口とは非接触状態の流体噴射口から前方に向けて圧力流体を噴射し、前記押し出された紡糸液を前記圧力流体に随伴させて繊維形成させ、前記繊維形成した繊維を集積させてゼラチン長繊維不織布とし、前記ゼラチン長繊維不織布を切断することで得られる請求項5~7のいずれかに記載の細胞シートの製造方法。
  9. 前記ゼラチン短繊維は、ゼラチンを含む紡糸液をノズル吐出口から空気中に押し出し、加熱紡糸筒を通過させて乾式紡糸し、得られたゼラチンフィラメント糸を切断することで得られる請求項5~7のいずれかに記載の細胞シートの製造方法。
  10. 前記ゼラチン長繊維不織布又はゼラチンフィラメント糸は架橋した後に切断する請求項8又は9に記載の細胞シートの製造方法。
  11. 前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長/平均繊維径で表されるアスペクト比が3以上である請求項5~10のいずれかに記載の細胞シートの製造方法。
  12. 細胞、ゼラチン短繊維及び培地を含み、
    前記ゼラチン短繊維は、平均繊維径が1μm以上400μm以下であり、かつ平均繊維長が10μm以上2000μm以下であり、
    細胞シート中にゼラチン短繊維が分散している細胞シートを形成するのに用いることを特徴とする細胞シートの作製キット。
  13. 前記ゼラチン短繊維は、架橋されている請求項12に記載の細胞シートの作製キット。
  14. 前記ゼラチン短繊維は、平均繊維長/平均繊維径で表されるアスペクト比が3以上である請求項12又は13に記載の細胞シートの作製キット。
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