JP7362213B2 - 埋設アンカー判定装置及び埋設アンカー判定方法 - Google Patents

埋設アンカー判定装置及び埋設アンカー判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート構造物等に埋設された埋込アンカーの種別を判定する埋設アンカー判定装置及び埋設アンカー判定方法に関する。
コンクリート構造物に設備などの取付物が取り付けられている場合、コンクリート構造物に埋め込まれた取付用のアンカーボルトの頭部は見えるものの、コンクリート構造物内に埋設されたアンカーボルトがどのようなものであるか分からないため、コンクリート構造物にどのような埋設アンカーが埋設されているのか非破壊で探査したいという要望がある。特に、古い設備では、コンクリート中の配筋箇所やどのような形状のアンカーボルトが埋設されているか、不明な場合が多く、かような要望が強い。
このような非破壊探査への適用が考えられるものとして特許文献1の埋設物探査装置がある。特許文献1の埋設物探査装置は、コンクリート構造物の表面を移動しながらレーダー電波を送信し、コンクリート構造物の中に埋設されている埋設物の反射エコーを、コンクリート構造物の表面反射エコーをほぼ完全に除去したエコーだけにして表示するものであり、コンクリート構造物に埋設されている鉄筋や金属等の埋設物を非破壊で探査することが可能である。
特許第3811292号公報
ところで、特許文献1の埋設物探査装置を用いてコンクリート構造物の側面から奥側に埋設されている金属製の埋設アンカーを探査する場合、コンクリート構造物の側面に沿って縦方向に移動しながらレーダー探査し、埋設アンカーの形状や長さを検出することも可能である。しかしながら、コンクリート構造物で取付物を支持しているコンクリート架台等の側面は露出していないことも多く、このような移動しながらのレーダー探査は出来ないケースが多い。また、特許文献1の埋設物探査装置を用いてコンクリート構造物の上面から下側に埋設されている金属製の埋設アンカーを探査する場合にも、通常、コンクリートの上面は埋設アンカーで取り付けられた取付物の金属ベースプレートで覆われているため、移動しながらのレーダー探査は基本的に困難である。
更に、もし特許文献1の埋設物探査装置でコンクリート構造物の側面や上面から移動しながら探査できたとしても、コンクリート構造物に埋設された補強鉄筋の金属と埋設アンカーの金属が干渉して検知されてしまうため、埋設されたアンカーボルトがどのようなものであるか判定することは難しい。そのため、コンクリート構造物にどのような埋設アンカーが埋設されているのかを正確に確認できる手法が求められている。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであり、埋設された埋設アンカーの種別を正確且つ簡単に確認することができる埋設アンカー判定装置、埋設アンカー判定方法及び埋設アンカー判定プログラムを提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、埋設された埋設アンカーの種別を正確且つ簡単に確認することができると共に、埋設アンカーの長さも正確且つ簡単に確認することができる埋設アンカー判定装置、埋設アンカー判定方法及び埋設アンカー判定プログラムを提供することにある。
本発明の埋設アンカー判定装置は、超音波の送信と受信波の受信を担い、埋設されたアンカーボルトの突出端に当接される超音波探触子と、アンカーボルトの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別する選別基準データを格納する選別基準データ格納部と、対象埋設アンカーボルトに対して前記超音波探触子から取り込んだ受信波を前記選別基準データを用いて選別し、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定する種別判定部と、前記種別判定部の判定結果を出力する出力部を備えることを特徴とする。尚、判定するアンカーボルトの種別は、先端斜めカットボルト、先端寸切ボルト、J型筋ボルトの3種別のうちのいずれか、又はこれら3種別のうちの任意の2種別の組み合わせ、又はこれら3種別の全てを含むものとし、これらにそれぞれ対応する必要な選定基準データを設定格納することが好ましい。
これによれば、コンクリート構造物等の埋設されている場所から埋設アンカーの端部が突出していれば、埋設アンカーの種別を正確且つ簡単に確認することができる。また、移動しながらの探査するような多大な労力と時間を要する作業が不要であり、少ない労力で且つ短時間で埋設アンカーの種別を判定、確認することができる。また、コンクリート構造物等の埋設されている場所から埋設アンカーの端部が突出していれば、埋設アンカーの種別を確認できることから、埋設場所の多くの領域が露出していない場合にも適用可能であり、使用環境の自由度が高く汎用性に優れる。また、判定装置による自動的な種別の判定が可能となり、種別判定作業の非属人化、標準化を図り、埋設アンカーの種別の人為的な判定ミスも無くすことができる。
本発明の埋設アンカー判定装置は、アンカーボルトの超音波伝播速度を規定するアンカーボルトの材料特性に対応する超音波の送信開始時からの経過時間と超音波の送信開始時からの進行距離との関係を示すデータ、若しくはアンカーボルトの超音波伝播速度を規定するアンカーボルトの材料特性に対応する超音波の伝搬速度を長さ算出用データとして格納する長さ算出用データ格納部と、前記対象埋設アンカーボルトに対して超音波の送信開始時から前記超音波探触子から取り込んだ受信波の先端反射波の受信時までの経過時間を認識し、前記経過時間と前記長さ算出用データから前記対象埋設アンカーボルトの長さを算出する長さ算出部を備えることを特徴とする。
これによれば、埋設された埋設アンカーの種別を確認すると同時に、その種別の埋設アンカーの長さも正確且つ簡単に確認することができる。また、この埋設アンカーの長さの確認も、少ない労力で且つ短時間で行うことができ、汎用性にも優れる。また、判定装置による自動的な埋設アンカーの長さの判定が可能となり、埋設アンカーの長さの確認作業の非属人化、標準化を図り、埋設アンカーの長さの判定ミスも抑制し、無くすことができる。
本発明の埋設アンカー判定装置は、前記選別基準データとして、受信波のピーク波形が単数であるか複数あるか否かを選別する第1の基準データと、受信波のピーク波形が複数である場合に、1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも大きいか小さいかを選別する第2の基準データを有し、前記種別判定部が、前記対象埋設アンカーボルトの受信波からピーク波形を抽出し、抽出したピーク波形が単数であるとの判断に基づき前記対象埋設アンカーボルトの種別を先端斜めカットボルトと判定し、抽出したピーク波形が複数で1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも大きいとの判断に基づき前記対象埋設アンカーボルトの種別を先端寸切ボルトと判定し、抽出したピーク波形が複数で1度目のピーク波形が2度目のピーク波形よりも小さいとの判断に基づき前記対象埋設アンカーボルトの種別をJ型筋ボルトと判定することを特徴とする。
これによれば、埋設アンカーとして汎用的に使用されている事例が多い種別の、先端斜めカットボルトと、先端寸切ボルトと、J型筋ボルトのいずれかである場合に、その種別判定を正確且つ簡単に行うことができる。
本発明の埋設アンカー判定装置は、前記選別基準データとして、少なくとも、受信波のピーク波形が単数である先端斜めカットボルトの種別に対応する受信波モデル波形と、受信波のピーク波形が複数で1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも大きい先端寸切ボルトの種別に対応する受信波モデル波形と、受信波のピーク波形が複数で1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも小さいJ型筋ボルトの種別に対応する受信波モデル波形を有し、前記種別判定部が、前記対象埋設アンカーボルトの受信波と前記選別基準データの受信波モデル波形を照合し、最高値の類似度の受信波モデル波形に対応する種別として前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定することを特徴とする。
これによれば、埋設アンカーの種別が先端斜めカットボルトと、先端寸切ボルトと、J型筋ボルトのいずれかである場合に、その種別判定を正確且つ簡単に行うことができる。
本発明の埋設アンカー判定方法は、超音波の送信と受信波の受信を担う超音波探触子を埋設された対象埋設アンカーボルトの突出端に当接する第1工程と、前記超音波探触子から超音波を送信すると共に前記超音波探触子で受信波を受信する第2工程と、前記受信波を出力装置に取り込んで出力させ、アンカーボルトの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別する選別基準を用いて選別し、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定する第3工程を備えることを特徴とする。尚、判定するアンカーボルトの種別は、先端斜めカットボルト、先端寸切ボルト、J型筋ボルトの3種別のうちのいずれか、又はこれら3種別のうちの任意の2種別の組み合わせ、又はこれら3種別の全てを含むものとし、これらにそれぞれ対応する必要な選定基準を設定することが好ましい。
これによれば、コンクリート構造物等の埋設されている場所から埋設アンカーの端部が突出していれば、埋設アンカーの種別を正確且つ簡単に確認することができる。また、移動しながらの探査するような多大な労力と時間を要する作業が不要であり、少ない労力で且つ短時間で埋設アンカーの種別を判定、確認することができる。また、コンクリート構造物等の埋設されている場所から埋設アンカーの端部が突出していれば、埋設アンカーの種別を確認できることから、埋設場所の多くの領域が露出していない場合にも適用可能であり、使用環境の自由度が高く汎用性に優れる。
本発明の埋設アンカー判定プログラムは、コンピュータ装置の記憶部に、アンカーボルトの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別する選別基準データを格納させ、コンピュータ装置の演算制御部に、超音波の送信と受信波の受信を担い、埋設されたアンカーボルトの突出端に当接される超音波探触子から取り込んだ対象埋設アンカーボルトに対応する受信波を前記選別基準データを用いて選別させ、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定させ、種別の判定結果を出力させる機能を実行させることを特徴とする。埋設アンカー判定プログラムは、通信回線等の伝送媒体を介して伝送されてコンピュータ装置のハードディスク等の記憶部に格納されることが可能であり、又、CD-ROM等のコンピュータ装置に読み取り可能な非一過性の記録媒体に格納されることが可能である。尚、判定するアンカーボルトの種別は、先端斜めカットボルト、先端寸切ボルト、J型筋ボルトの3種別のうちのいずれか、又はこれら3種別のうちの任意の2種別の組み合わせ、又はこれら3種別の全てを含むものとし、これらにそれぞれ対応する必要な選定基準データを設定格納することが好ましい。
これによれば、コンクリート構造物等の埋設されている場所から埋設アンカーの端部が突出していれば、埋設アンカーの種別を正確且つ簡単に確認することができる。また、移動しながらの探査するような多大な労力と時間を要する作業が不要であり、少ない労力で且つ短時間で埋設アンカーの種別を判定、確認することができる。また、コンクリート構造物等の埋設されている場所から埋設アンカーの端部が突出していれば、埋設アンカーの種別を確認できることから、埋設場所の多くの領域が露出していない場合にも適用可能であり、使用環境の自由度が高く汎用性に優れる。また、埋設アンカー判定プログラムが搭載されたコンピュータ装置による自動的な種別の判定が可能となり、種別判定作業の非属人化、標準化を図り、埋設アンカーの種別の人為的な判定ミスも無くすことができる。
本発明によれば、埋設された埋設アンカーの種別を正確且つ簡単に確認することができる。
本発明による実施形態の埋設アンカー判定装置のブロック図。 実施形態の埋設アンカー判定装置で種別が判定される埋設アンカーに超音波探触子を当接した状態を説明する説明図。 (a)は先端斜めカットボルトの受信波(反射波)の状態を説明する説明図、(b)は先端寸切ボルトの受信波(反射波)の状態を説明する説明図、(c)はJ型筋ボルトの受信波(反射波)の状態を説明する説明図。 実施形態の埋設アンカー判定装置による第1例の判定処理のフローチャート。 実施形態の埋設アンカー判定装置による第2例の判定処理のフローチャート。 実施形態の埋設アンカー判定装置の判定処理で埋設アンカーが判定される構造体の例を示す斜視図。 試験例の埋設アンカー10が埋め込まれたコンクリート供試体を示す斜視図。 (a)は試験例の先端斜めカットボルトの説明図、(b)は試験例の先端寸切ボルトの説明図、(c)は試験例のJ型筋ボルトの説明図、(d)は試験例の先端斜めカットボルト、先端寸切ボルト、J型筋ボルトの寸法表を示す図。 (a)は試験例の先端斜めカットボルトで直径が36mmの試験体に対する超音波反射実験の結果を示すグラフ、(b)は試験例の先端斜めカットボルトで直径が30mmの試験体に対する超音波反射実験の結果を示すグラフ。 (a)は試験例の先端寸切ボルトで直径が36mmの試験体に対する超音波反射実験の結果を示すグラフ、(b)は試験例の先端寸切ボルトで直径が30mmの試験体に対する超音波反射実験の結果を示すグラフ。 (a)は図9(a)のグラフを異なるレンジで示したグラフ、(b)は図9(b)のグラフを異なるレンジで示したグラフ。 (a)は試験例のJ型筋ボルトで直径が36mmの試験体に対する超音波反射実験の結果を示すグラフ、(b)は試験例のJ型筋ボルトで直径が30mmの試験体に対する超音波反射実験の結果を示すグラフ。
〔実施形態の埋設アンカー判定装置〕
本発明による実施形態の埋設アンカー判定装置1は、図1に示すように、MPU、CPU等の演算制御部2と、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、RAM等で構成される記憶部3と、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力部4と、ディスプレイ、プリンター等の出力部5と、タイマー6を備えると共に、高電圧発生器である超音波生成部7と、超音波の受信波を取り込んで受信波の受信信号を生成する受信波取込部8を備える。超音波生成部7と受信波取込部8には振動子を有する超音波探触子9が電気的に接続され、超音波探触子9が超音波の送信と受信波の受信を担うようになっている。尚、埋設アンカー判定装置1は、例えば専用機器で構成する、或いはパーソナルコンピュータ、スマートフォンのような携帯端末等の汎用コンピュータ装置に超音波生成部7、受信波取込部8、超音波探触子9を設けて構成することが可能であり、又、入力部4と出力部5は、入出力可能なタッチパネルとして一体化することも可能である。
記憶部3は、埋設アンカー判定プログラムを含む所定の制御プログラムが格納されているプログラム格納部31を有し、演算制御部2は、所定の制御プログラムに従って所定の処理を実行し、埋設アンカー判定プログラムと協働して埋設アンカー10の種別を判定する種別判定部21、埋設アンカー10の長さを算出する長さ算出部22として所定の処理を実行する。尚、埋設アンカー判定プログラムは、通信回線等の伝送媒体を介して伝送されて埋設アンカー判定装置1等のコンピュータ装置のハードディスク等の記憶部に格納されることが可能であり、又、CD-ROM等のコンピュータ装置に読み取り可能な非一過性の記録媒体に格納されることが可能である。また、記憶部3は、超音波生成部7を介して超音波探触子9で発生させて送信する超音波データを記憶している超音波データ格納部32を有し、種別判定部21は、入力部4からの入力に応じて、超音波データ格納部32の超音波データを認識し、超音波生成部7を介して超音波探触子9でこれに対応する超音波を発生させて送信させる。
記憶部3は、埋設アンカー10の種別に対応する特徴点を有する受信波に取り込んだ受信波を選別し、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして埋設アンカー10の種別を判定するための選別基準データを格納する選別基準データ格納部33を有する。選別基準データ格納部33には、埋設アンカー10の種別を判定する種別判定部21が実行する判定処理に対応して必要な適宜の選別基準データが格納される。例えば第1例として種別判定部21が、超音波の反射波である受信波のピーク波形の個数が単数であるか複数であるかの差異と、順番に出現する複数のピーク波形の極大値の大小の差異で篩い分けて埋設アンカー10の種別を判定する場合には、ピーク波形の個数が2個以上であることを示す個数の閾値「2」や、1番目のピーク波形の極大値>2番目のピーク波形の極大値のような不等式の選別基準式や、超音波の初期の送信波をカットして受信波だけにするための超音波の強度の閾値等が選別基準データとして格納される。また、別の第2例として種別判定部21が、埋設アンカー10の種別に対応する特徴点を有する受信波の受信波モデル波形と取り込んだ受信波との類似度で埋設アンカー10の種別を判定する場合には、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10r等の埋設アンカー10の種別毎に対応する特徴点を有する受信波の受信波モデル波形、類似度の値が特定の埋設アンカー10の種別であることを示すと言える有意水準以上であることを要求する類似度の閾値や、超音波の初期の送信波をカットして受信波だけにするための超音波の強度の閾値等が選別基準データとして格納される。
ここで埋設アンカー10が先端斜めカットボルト10pである場合の受信波は、受信波のピーク波形は1個だけで、且つこのピーク波形の立ち上がりが急峻である特徴点を有する。これは先端斜めカットボルト10pでは、送信波Sが境界面である斜めの先端面12pに到達して反射され、外周面13pに沿うように伝って平坦な基端面である突出端11pから反射波Rが検出されるが、斜めの先端面12pで斜めに反射して外周面13pで斜めに反射される反射波Rは時差で互いに干渉して打ち消し合い、その後の反射波Rが検出されないためと考えられる(図3(a)参照)。
そのため、例えば第1例では、選別基準データとしてピーク波形の個数が単数であるか複数であるかを篩い分ける個数の閾値を設定し、好ましくはピーク波形の始点からピーク波形の極大値或いはその90%等の設定値に至るまでの立ち上がり時間の長短を篩い分ける立ち上がり時間の閾値を付加設定し、この選別基準データで篩い分けて埋設アンカー10の種別が先端斜めカットボルト10pであると判定できる。また、第2例では、選別基準データとして、受信波のピーク波形は1個だけで、且つこのピーク波形の立ち上がりが急峻である特徴点を有する受信波モデル波形と、類似度が有意水準以上であることを要求する類似度の閾値を設定し、受信波モデル波形と取り込んだ受信波との類似度を例えば相互相関関数或いは動的時間伸縮法等の既知の波形類似度の計算方式で算出し、算出した波形類似度が類似度の閾値以上である場合に埋設アンカー10の種別が先端斜めカットボルト10pであると判定できる。
また、埋設アンカー10が先端寸切ボルト10qの受信波は、受信波のピーク波形はほぼ一定周期で出現する複数個で、且つ順番に現われるピーク波形は徐々に減衰するという特徴点を有する。これは先端寸切ボルト10qでは、送信波Sが境界面である先端面12qに到達し、送信波Sの方向を略法線とする先端面12qで殆ど反射され、平坦な基端面である突出端11qから反射波Rが検出されると共に、反射波Rの一部が突出端(上端の平坦な基端面)11qで反射されて再度先端面に12qに向かい、この反射波Rの長手方向の反射の繰り返しが生じて徐々に減衰するためと考えられる(図3(b)参照)。
そのため、例えば第1例では、選別基準データとしてピーク波形の個数が単数であるか複数であるかを篩い分ける個数の閾値と、1番目のピーク波形の極大値>2番目のピーク波形の極大値の選別基準式を設定し、好ましくはピーク波形の極大値の漸次減衰に関する、2番目のピーク波形の極大値>3番目のピーク波形の極大値の選別基準式や、反射波の周期性に関する、|(2番目のピーク波形の極大値の出現時刻-1番目のピーク波形の極大値の出現時刻)-(3番目のピーク波形の極大値の出現時刻-2番目のピーク波形の極大値の出現時刻)|<閾値の選別基準式等を付加設定し、この選別基準データで篩い分けて埋設アンカー10の種別が先端寸切ボルト10qであると判定できる。また、第2例では、選別基準データとして、受信波のピーク波形はほぼ一定周期で出現する複数個で、且つ順番に現われるピーク波形は徐々に減衰する特徴点を有する受信波モデル波形と、類似度が有意水準以上であることを要求する類似度の閾値を設定し、受信波モデル波形と取り込んだ受信波との類似度を例えば相互相関関数或いは動的時間伸縮法等の既知の波形類似度の計算方式で算出し、算出した波形類似度が類似度の閾値以上である場合に埋設アンカー10の種別が先端寸切ボルト10qであると判定できる。
また、埋設アンカー10がJ型筋ボルト10rの受信波は、受信波のピーク波形は複数個で、且つ1度目に現われる緩やかなピーク波形よりも2度目に現われるピーク波形の方が大きく立ち上がりも急峻である特徴点を有する。これはJ型筋ボルト10rでは、送信波Sの一部がアール部12rのアールの開始面13rに到達して反射され、外周面14rに沿うように伝って曖昧な反射波Rが平坦な基端面である突出端11rから検出されるが、その後に、内部を斜めに反射しながらアール部12rの平坦な先端面15rに到達して反射されると、1度目の曖昧な反射波Rよりも明瞭な反射波Rが検出されるためと考えられる(図3(c)参照)。
そのため、例えば第1例では、選別基準データとしてピーク波形の個数が単数であるか複数であるかを篩い分ける個数の閾値と、1番目のピーク波形の極大値>2番目のピーク波形の極大値の選別基準式を設定し、好ましくは1番目のピーク波形の始点から1番目のピーク波形の極大値或いはその90%等の設定値に至るまでの立ち上がり時間>2番目のピーク波形の始点から2番目のピーク波形の極大値或いはその90%等の設定値に至るまでの立ち上がり時間の選別基準式等を付加設定し、この選別基準データで篩い分けて埋設アンカー10の種別がJ型筋ボルト10rであると判定できる。また、第2例では、選別基準データとして、受信波のピーク波形は複数個で、且つ1度目に現われるピーク波形よりも2度目に現われるピーク波形の方が大きく立ち上がりも急峻である特徴点を有する受信波モデル波形と、類似度が有意水準以上であることを要求する類似度の閾値を設定し、受信波モデル波形と取り込んだ受信波との類似度を例えば相互相関関数或いは動的時間伸縮法等の既知の波形類似度の計算方式で算出し、算出した波形類似度が類似度の閾値以上である場合に埋設アンカー10の種別がJ型筋ボルト10rであると判定できる。
記憶部3は、埋設アンカー10の先端近傍と埋設アンカー10の突出端11までの距離により埋設アンカー10の長さを算出するための長さ算出用データ格納部34を有する。長さ算出用データ格納部34には、材料の密度及び弾性係数等、埋設アンカー10の超音波伝播速度を規定する埋設アンカー10の材料特性に対応する超音波の送信開始時からの経過時間と超音波の送信開始時からの進行距離との関係を示すデータ、若しくは埋設アンカー10の超音波伝播速度を規定する埋設アンカー10の材料特性に対応する超音波の伝搬速度が長さ算出用データとして格納される。長さ算出部22は、タイマー6によって対象の埋設アンカー10に対する超音波の送信開始時から先端反射波の受信時までの経過時間を認識し、この経過時間と長さ算出用データから埋設アンカー10の長さを算出する処理を実行する。その他、記憶部3は、演算制御部2の所定の制御プログラムの実行に当たって必要なデータを格納する所定記憶領域を有する。
出力部5には、例えば埋設アンカー10の種別の判定処理や埋設アンカー10の長さの算出処理の操作画面、対象の埋設アンカー10の種別の判定結果、対象の埋設アンカー10の長さ等が出力される。振動子を有する超音波探触子9は、超音波生成部7による電圧印加で発生させた超音波を送信すると共に、送信した超音波の反射波を受信し、この反射波の受信波を受信波取込部8に出力するようになっている。
埋設アンカー判定装置1の超音波探触子9は、図2に示すように、コンクリート或いは鉄筋コンクリートのようなコンクリート構造物100に埋設された埋設アンカー10の突出端11に当接され、埋設アンカー10の軸方向に送信波Rを送信し、反射波Rを受信波として受信する。図2中、101は埋込アンカー10に螺着されたナットであり、102はワッシャーである。
次に、実施形態の埋込アンカー判定装置1で選別基準データで埋設アンカー10を篩い分けて埋設アンカー10の種別を判定すると共に埋設アンカー10の長さを判定する第1例の処理について説明する(図4参照)。前提として、埋込アンカー判定装置1の長さ算定用データ格納部34に判定対象の埋設アンカー10に適合する長さ算定用データが格納されていない場合、又は格納されている長さ算定用データの適合性が判定対象の埋設アンカー10に対して不十分である場合には、必要に応じてキャリブレーションを行い、埋設アンカー10に適合する長さ算定用データを取得して長さ算定用データ格納部34に格納すると共に、縦軸:超音波の強度、横軸:埋設アンカー10の長さと対応関係を有する超音波の進行距離の出力グラフの横軸の目盛りを調整して記憶部3の所定記憶領域に格納する(S101)。
この処理は、例えば埋設アンカー10の超音波伝播速度を規定する密度及び弾性係数等の材料特性を有する材料と同一材料で形成された同等径の円柱状等のサンプル鉄筋を用い、サンプル鉄筋の一方の端部から超音波の反射する他方の端部までの長さを計測して埋込アンカー判定装置1に入力し、埋込アンカー判定装置1が気中において超音波探触子9によりサンプル鉄筋の一方の端部から超音波を送信して他方の端部で反射した反射波Rの1番目の先端反射波を受信して取り込み、埋込アンカー判定装置1の演算制御部2がタイマー6で超音波の送信開始時から1番目の先端反射波を取り込むまでの経過時間を計測し、入力されたサンプル鉄筋の長さと取得した経過時間とから、埋設アンカー10及びサンプル鉄筋の材料特性に対応する超音波の送信開始時からの経過時間と超音波の送信開始時からの進行距離との関係を示すデータを長さ算定用データとして取得し、格納する。尚、長さ算定用データとして埋設アンカー10及びサンプル鉄筋の材料特性に対応する超音波の伝播速度を取得、格納し、この超音波伝播速度によって縦軸:超音波の強度、横軸:埋設アンカー10の長さと対応関係を有する超音波の進行距離の出力グラフの横軸の目盛り調整を行ってもよい。また、超音波の送信開始時から1番目の先端反射波を取り込むまでの経過時間と、サンプル鉄筋の長さから、人為的に、長さ算定用データと超音波の送信開始時からの時刻に対応する進行距離の目盛りの値を求め、求めた長さ算定用データと目盛りの値を埋設アンカー判定装置1に入力して記憶させることも可能である。
そして、超音波の送信と受信波の受信を担う超音波探触子9をコンクリート構造物100に埋設された対象の埋設アンカー10の突出端11に当接し(S102)、埋込アンカー判定装置1が超音波探触子9から超音波を送信すると共に超音波探触子9で受信波を受信する(S103)。埋設アンカー判定装置1の種別判定部21は、取り込んだ超音波波形から閾値で送信波をカットして受信波を認識し、受信波に存在するピーク波形を抽出する(S104)。受信波のピーク波形の抽出は、既知の適宜の手法で行うことが可能であり、例えば取り込んだ波形の中から送信波の出力に対応するかなり高い強度の波形山部を閾値を用いて除外し、超音波強度が超音波強度の下限の閾値以上で且つピーク波形の内側の積算面積がピーク波形の内側の積算面積の下限の閾値以上である場合にピーク波形として抽出する処理等を実行する。
ピーク波形の抽出に応じて、埋設アンカー判定装置1の長さ算出部22は、受信波の1番目のピーク波形を先端反射波として、埋設アンカー10に対する超音波の送信開始時から取り込んだ受信波の先端反射波の受信時までの経過時間を認識し、この経過時間と長さ算出用データから対象の埋設アンカー10の長さを算出する(S105)。算出した埋設アンカー10の長さは、必要に応じて、縦軸:超音波の強度、横軸:埋設アンカー10の長さと対応関係を有する超音波の進行距離の出力グラフと合わせて出力部5で出力し、表示する。
また、ピーク波形の抽出に応じて、種別判定部21は、例えば受信波で抽出したピーク波形が複数ではなく単数であり、そのピーク波形の立ち上がり時間が閾値以上の場合には、埋設アンカー10の種別を先端斜めカットボルト10pと判定する(S106、S107)。また、種別判定部21は、例えば受信波で抽出したピーク波形が複数であり、1番目のピーク波形の極大値>2番目のピーク波形の極大値である場合には、埋設アンカー10の種別を先端寸切ボルト10qと判定する(S106、S108、S109)。また、種別判定部22は、例えば受信波で抽出したピーク波形が複数であり、1番目のピーク波形の極大値>2番目のピーク波形の極大値でない場合には、埋設アンカー10の種別をJ型筋ボルトと判定する(S106、S108、S110)。これらの選別基準データで篩い分けできなかった埋設アンカー10の種別は不明なものとする。
第1例の判定処理により、図6に示すような構造体で埋設された埋設アンカー10の種別と長さを判定することが可能であり、後述する第2例でも同様に判定することが可能である。図6の構造体では、コンクリート構造物100の土台100aに複数種の埋設アンカー10のアンカーボルトが埋設され、取付物(支柱103)のベースプレート104が埋設アンカー10の突出部分に外挿され、その上側からワッシャー102を介してナット101が締め付けられている。
次に、実施形態の埋込アンカー判定装置1で受信波モデル波形との類似度で埋設アンカー10の種別を判定すると共に埋設アンカー10の長さを判定する第2例の処理について説明する(図5参照)。第2例では、種別判定部21が埋設アンカー10の種別を判定する処理以外の処理S201~S205は、第1例の処理のS101~S105とそれぞれ同一である。
第2例では、種別判定部21が、受信波のピーク波形は1個だけで、且つこのピーク波形の立ち上がりが急峻である特徴点を有する先端斜めカットボルト10pの受信波モデル波形と取り込んだ受信波の波形の類似度が最も高く、且つその類似度が閾値以上である場合に、埋設アンカー10の種別を先端斜めカットボルト10pと判定する(S206、S207)。また、種別判定部21は、受信波のピーク波形はほぼ一定周期で出現する複数個で、且つ順番に現われるピーク波形は徐々に減衰する特徴点を有する先端寸切ボルト10qの受信波モデル波形と取り込んだ受信波の波形の類似度が最も高く、且つその類似度が閾値以上である場合に、埋設アンカー10の種別を先端寸切ボルト10qと判定する(S208、S209)。また、種別判定部21は、受信波のピーク波形は複数個で、且つ1度目に現われるピーク波形よりも2度目に現われるピーク波形の方が大きく立ち上がりも急峻である特徴点を有するJ型筋ボルト10rの受信波モデル波形と取り込んだ受信波の波形の類似度が最も高く、且つその類似度が閾値以上である場合に、埋設アンカー10の種別をJ型筋ボルト10rと判定する(S210)。これらの選別基準データで受信波モデル波形と類似度の条件をクリアできなかった埋設アンカー10の種別は不明なものとする。
本実施形態の埋設アンカー判定装置1によれば、コンクリート構造物100等の埋設されている場所から埋設アンカー10の端部が突出していれば、埋設アンカー10の種別を正確且つ簡単に確認することができる。特に、埋設アンカー10として汎用的に使用されている事例が多い種別の、先端斜めカットボルト10pと、先端寸切ボルト10qと、J型筋ボルト10rのいずれかである場合に、その種別判定を正確且つ簡単に行うことができる。また、移動しながらの探査するような多大な労力と時間を要する作業が不要であり、少ない労力で且つ短時間で埋設アンカー10の種別を判定、確認することができる。また、コンクリート構造物100等の埋設されている場所から埋設アンカーの端部が突出していれば、埋設アンカー10の種別を確認できることから、埋設場所の多くの領域が露出していない場合にも適用可能であり、使用環境の自由度が高く汎用性に優れる。また、埋設アンカー判定装置1による自動的な種別の判定が可能となり、種別判定作業の非属人化、標準化を図り、埋設アンカー10の種別の人為的な判定ミスも無くすことができる。
また、埋設アンカー10の種別を確認すると同時に、その種別の埋設アンカー10の長さも正確且つ簡単に確認することができる。また、この埋設アンカー10の長さの確認も、少ない労力で且つ短時間で行うことができ、汎用性にも優れる。また、埋設アンカー判定装置1による自動的な埋設アンカー10の長さの判定が可能となり、埋設アンカー10の長さの確認作業の非属人化、標準化を図り、埋設アンカー10の長さの判定ミスも抑制し、無くすことができる。
〔試験例〕
次に、図7に示すコンクリート供試体200に各種の埋設アンカー10を埋め込み、埋め込んだ埋設アンカー10の種別と長さを判定した試験例について説明する。コンクリート供試体200は1200mm×900mm×800mmの直方体形とし、各種の埋設アンカー10を間隔を開けて埋め込むように形成して、コンクリートが固まるまで所定日数養生して形成した。埋め込まれた各種の埋設アンカー10の突出端11のそれぞれは、コンクリート供試体200の上面から突出するようにした。埋め込んだ埋設アンカー10は、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10rの3種とそれ以外の埋設アンカーボルトとし、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10rの3種についてはそれぞれ軸径が36mmと30mmのものを埋設した。図8に試験例で埋設した先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10rの寸法を示す。また、試験例の判定処理で使用した試験装置では、超音波探触子の超音波の送受信を周波数自動可変型の超音波パルスエコー方式(バースト波)を用いて行った(最大探知距離:1000mm、可変周波数範囲:3MHz~5MHz)。
試験の際には、埋設アンカー10と同一材料で同等径の鉄筋を用意し、この鉄筋の一方の端部から超音波の反射する位置までの長さを計測すると共に、埋設されていない気中で、この鉄筋の一方の端部から試験装置の超音波探触子で超音波を送信して反射波を受信し、計測した長さと反射波の受信までの時間から超音波の送受信の経過時間を対応する長さに変換してキャリブレーションを行い、図9~図12の横軸の長さの目盛りを規定した。
そして、ナット・ワッシャーは外した状態で、各種の埋設アンカー10の突出端11に超音波探触子を当て、試験装置で周波数3.66MHz、4.5MHz、5.0MHzの超音波を同時送信し、反射受信波を取得した。図9~図12の縦軸:超音波の強度、横軸:超音波の送信時からの経過時間に相当する長さのグラフにおいて、実線は周波数3.66MHz、破線は4.5MHz、1点鎖線は5.0MHzの超音波の送信-反射波の受信に対する結果であり、超音波探触子と接続した試験装置で出力表示したものと同一である。図9~図12のグラフの超音波波形の当初のピーク波形は送信波の当初の出力値に対応するものであり、2番目以降のピーク波形が受信波のピーク波形に対応する。
埋設アンカー10が先端斜めカットボルト10pである場合の受信波は、周波数3.66MHz、4.5MHz、5.0MHzのいずれの超音波の送信に対しても、受信波のピーク波形は1個だけで、且つこのピーク波形の立ち上がりが急峻、明瞭となる特徴を示した(図9参照)。従って、この特徴を示す超音波受信波が得られる埋設アンカー10の種別は先端斜めカットボルト10pと判別することができる。また、先端斜めカットボルト10pの長さは、最初の受信波のピーク波形の極大値に対応する長さにほぼ対応し、先端斜めカットボルト10pの長さも判定することができる。
埋設アンカー10が先端寸切ボルト10qである場合の受信波は、周波数3.66MHz、4.5MHz、5.0MHzのいずれの超音波の送信に対しても、受信波のピーク波形はほぼ一定周期で出現する複数個となり、且つ順番に現われるピーク波形は徐々に減衰するという特徴を示した(図10、図11参照)。従って、この特徴を示す超音波受信波が得られる埋設アンカー10の種別は先端寸切ボルト10qと判別することができる。また、先端寸切ボルト10qの長さは、最初の受信波のピーク波形の極大値に対応する長さにほぼ対応し、先端寸切ボルト10qの長さも判定することができる。
埋設アンカー10がJ型筋ボルト10rである場合の受信波は、周波数3.66MHz、4.5MHz、5.0MHzのいずれの超音波の送信に対しても、受信波のピーク波形は複数個となり、且つ1度目に現われる緩やかなピーク波形よりも2度目に現われるピーク波形の方が大きく立ち上がりも急峻である特徴を示した(図12参照)。従って、この特徴を示す超音波受信波が得られる埋設アンカー10の種別はJ型筋ボルト10rと判別することができる。また、J型筋ボルト10rの長さは、最初の受信波のピーク波形の極大値に対応する長さにほぼ対応し、J型筋ボルト10rの長さも判定することができる。
また、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10r以外の埋設アンカーボルトでは、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10rの受信波のいずれの特徴も示さず、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10r以外の埋設アンカーボルトであると判別できるに留まった。
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
例えば上記実施形態では、埋設アンカー判定装置1の種別判定部21が、選別基準データを用いて自動的に埋設アンカー10の種別を判定する構成としたが、埋設アンカー10の種別判定は選別基準を用いて人為的に行うことも可能である。例えば先端斜めカットボルト10pの受信波のピーク波形は1個だけで、且つこのピーク波形の立ち上がりが急峻である特徴点、先端寸切ボルト10qの受信波のピーク波形はほぼ一定周期で出現する複数個で、且つ順番に現われるピーク波形は徐々に減衰する特徴点、J型筋ボルト10rの受信波のピーク波形は複数個で、且つ1度目に現われるピーク波形よりも2度目に現われるピーク波形の方が大きく立ち上がりも急峻である特徴点等を選別基準とし、超音波探触子9で受信した受信波を埋設アンカー判定装置1の出力部5等の出力装置に取り込んで出力、表示させ、この受信波の波形をアンカーの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別基準を用いて人為的に選別し、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして埋設アンカー10の種別を判定する処理等も可能である。
また、取り込んだ受信波を選別基準データ或いは選別基準を用いて選別する処理は、上記実施形態の第1例、第2例に限定されず、適用可能な範囲で適宜である。また、種別が判定される埋設アンカー10は、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10r以外にも、同一の判定処理で判別可能な適宜の種別のものとすることが可能であり、先端斜めカットボルト10p、先端寸切ボルト10q、J型筋ボルト10rの3種に加えて別種別の埋設アンカー10の種別を判定する処理とするとより好適である。また、本発明には、埋設アンカー10の長さを判定せずに、埋設アンカー10の種別だけを判定する処理だけを行う場合も含まれる。
本発明は、例えばコンクリート構造物に埋設された埋設アンカーの種別を非破壊で判定する際に利用することができる。
1…埋設アンカー判定装置 2…演算制御部 21…種別判定部 22…長さ算出部 3…記憶部 31…プログラム格納部 32…超音波データ格納部 33…選別基準データ格納部 34…長さ算出用データ格納部 4…入力部 5…出力部 6…タイマー 7…超音波生成部 8…受信波取込部 9…超音波探触子 10…埋設アンカー 11…突出端 10p…先端斜めカットボルト 11p…突出端 12p…先端面 13p…外周面 10q…先端寸切ボルト 11q…突出端 12q…先端面 10r…J型筋ボルト 11r…突出端 12r…アール部 13r…開始面 14r…外周面 15r…先端面 100…コンクリート構造物 100a…土台 101…ナット 102…ワッシャー 103…支柱 104…ベースプレート 200…コンクリート供試体 S…送信波 R…反射波

Claims (6)

  1. 超音波の送信と受信波の受信を担い、埋設されたアンカーボルトの突出端に当接される超音波探触子と、
    アンカーボルトの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別する選別基準データを格納する選別基準データ格納部と、
    対象埋設アンカーボルトに対して前記超音波探触子から取り込んだ受信波を前記選別基準データを用いて選別し、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定する種別判定部と、
    前記種別判定部の判定結果を出力する出力部を備え
    前記選別基準データとして、受信波のピーク波形が単数であるか複数あるか否かを選別する第1の基準データと、受信波のピーク波形が複数である場合に、1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも大きいか小さいかを選別する第2の基準データを有し、
    前記種別判定部が、前記対象埋設アンカーボルトの受信波からピーク波形を抽出し、抽出したピーク波形が単数であるとの判断に基づき前記対象埋設アンカーボルトの種別を先端斜めカットボルトと判定し、抽出したピーク波形が複数で1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも大きいとの判断に基づき前記対象埋設アンカーボルトの種別を先端寸切ボルトと判定し、抽出したピーク波形が複数で1度目のピーク波形が2度目のピーク波形よりも小さいとの判断に基づき前記対象埋設アンカーボルトの種別をJ型筋ボルトと判定することを特徴とする埋設アンカー判定装置。
  2. アンカーボルトの超音波伝播速度を規定する材料特性に対応する超音波の送信開始時からの経過時間と超音波の送信開始時からの進行距離との関係を示すデータ、若しくはアンカーボルトの超音波伝播速度を規定するアンカーボルトの材料特性に対応する超音波の伝搬速度を長さ算出用データとして格納する長さ算出用データ格納部と、
    前記対象埋設アンカーボルトに対して超音波の送信開始時から前記超音波探触子から取り込んだ受信波の先端反射波の受信時までの経過時間を認識し、前記経過時間と前記長さ算出用データから前記対象埋設アンカーボルトの長さを算出する長さ算出部を備えることを特徴とする請求項1記載の埋設アンカー判定装置。
  3. 超音波の送信と受信波の受信を担い、埋設されたアンカーボルトの突出端に当接される超音波探触子と、
    アンカーボルトの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別する選別基準データを格納する選別基準データ格納部と、
    対象埋設アンカーボルトに対して前記超音波探触子から取り込んだ受信波を前記選別基準データを用いて選別し、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定する種別判定部と、
    前記種別判定部の判定結果を出力する出力部を備え、
    前記選別基準データとして、少なくとも、受信波のピーク波形が単数である先端斜めカットボルトの種別に対応する受信波モデル波形と、受信波のピーク波形が複数で1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも大きい先端寸切ボルトの種別に対応する受信波モデル波形と、受信波のピーク波形が複数で1度目のピーク波形の極大値が2度目のピーク波形の極大値よりも小さいJ型筋ボルトの種別に対応する受信波モデル波形を有し、
    前記種別判定部が、前記対象埋設アンカーボルトの受信波と前記選別基準データの受信波モデル波形を照合し、最高値の類似度の受信波モデル波形に対応する種別として前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定することを特徴とする埋設アンカー判定装置。
  4. アンカーボルトの超音波伝播速度を規定する材料特性に対応する超音波の送信開始時からの経過時間と超音波の送信開始時からの進行距離との関係を示すデータ、若しくはアンカーボルトの超音波伝播速度を規定するアンカーボルトの材料特性に対応する超音波の伝搬速度を長さ算出用データとして格納する長さ算出用データ格納部と、
    前記対象埋設アンカーボルトに対して超音波の送信開始時から前記超音波探触子から取り込んだ受信波の先端反射波の受信時までの経過時間を認識し、前記経過時間と前記長さ算出用データから前記対象埋設アンカーボルトの長さを算出する長さ算出部を備えることを特徴とする請求項3記載の埋設アンカー判定装置。
  5. 請求項1~4の何れかに記載の埋設アンカー判定装置を用いて前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定する埋設アンカー判定方法であって、
    超音波の送信と受信波の受信を担う前記超音波探触子を埋設された前記対象埋設アンカーボルトの突出端に当接する第1工程と、
    前記超音波探触子から超音波を送信すると共に前記超音波探触子で受信波を受信する第2工程と、
    前記受信波を出力装置に取り込んで出力させ、アンカーボルトの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別する前記選別基準データを用いて選別し、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定する第3工程を備えることを特徴とする埋設アンカー判定方法。
  6. 請求項1~4の何れかに記載の埋設アンカー判定装置に用いられる埋設アンカー判定プログラムであって、
    コンピュータ装置の記憶部に、アンカーボルトの種別に対応する特徴点を有する受信波に選別する前記選別基準データを格納させ、
    コンピュータ装置の演算制御部に、超音波の送信と受信波の受信を担い、埋設されたアンカーボルトの突出端に当接される前記超音波探触子から取り込んだ前記対象埋設アンカーボルトに対応する受信波を前記選別基準データを用いて選別させ、選別した特徴点を有する受信波に対応する種別のアンカーとして前記対象埋設アンカーボルトの種別を判定させ、種別の判定結果を出力させる機能を実行させることを特徴とする埋設アンカー判定プログラム。
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