JP7358929B2 - 放射線検出器 - Google Patents
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また、特許文献2には、平板状の受像部と受像部が固着される支持体とを有する撮像部と、撮像部を非固定状態で収納する筐体と、を備え、支持体は受像部を支持し、支持体の外縁は、受像部の受像面と平行な方向において、受像部の基板の外縁よりも外側に位置しているカセッテについて記載されている。
緩衝材が基台に接着されている場合も、基台からの元の位置に戻そうとする力と、筐体からの摩擦力によって緩衝材が変形し(緩衝材に基台から剥離させようとする力がかかり)、基台から脱落してしまうことがある。
脱落した緩衝材は、元の位置に戻ること無く、放射線検出器が動く度に筐体内を移動する。そして、脱落した緩衝材が例えば電気部品に到達すると、放射線検出器の機能に悪影響を及ぼしてしまう(例えば、電気部品を圧迫することで放射線画像に画像ムラを生じさせてしまう等)可能性がある。
受けた放射線に応じた放射線画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部を収納する筐体と、
前記筐体の内側表面と前記画像生成部との間に介在する緩衝材と、
前記緩衝材の、当該緩衝材と前記筐体との接触面に沿う方向への変形を抑制する変形抑制部と、を備え、
前記緩衝材は、前記画像生成部の側面に固定されており、
前記変形抑制部は、前記緩衝材における、前記筐体の放射線入射部に対向する面、および、前記放射線入射部に対向する面の反対側の面にそれぞれ接するように、前記画像生成部から延設される放射線検出器。
また、本発明に係る放射線検出器は、
受けた放射線に応じた放射線画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部を収納し、厚さ方向に傾斜した側面部を有する筐体と、
前記筐体の内側表面と前記画像生成部との間に介在する緩衝材と、
前記緩衝材の、当該緩衝材と前記筐体との接触面に沿う方向への変形を抑制する変形抑制部と、を備え、
前記緩衝材は、前記画像生成部の側面に固定されており、
前記変形抑制部は、前記側面において、前記画像生成部の厚さ方向両端部のうち、前記側面と前記筐体の内側側面との距離が大きい側に相当する端部から延設される放射線検出器。
以下、第一発明の実施の形態について、図1~16を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
始めに、本実施形態に係る放射線検出器(以下、検出器100)の概略構成について説明する。図1は検出器100の分解斜視図、図2は検出器100をその厚さ方向に切断したときの断面図、図3は検出器100が備える第一部材の平面図、図4,5は検出器100の端部をその厚さ方向に切断したときの断面図、図6,7は検出器100における第二部材が取り外された状態の平面図である。
なお、図に括弧書きされた符号は、後述する第二発明実施形態のものである。
画像生成部1は、例えば図2に示すように、基台11と、センサーパネル12と、を備えている。
また、本実施形態に係る画像生成部1は、電子部品13を更に備えている。
本実施形態に係る基台11は、炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastic:CFRP)で矩形の板状に形成されている。
なお、基台11は、必要に応じて、他の材料で形成されていてもよい。
また、センサーパネル12は、基板と、複数の半導体素子と、を有している。
本実施形態に係る基板の正面視形状は、基台11と略等しい又は基台11よりも一回り小さい矩形となっている。
また、本実施形態に係るセンサーパネル12は、各半導体素子に近接して設けられる図示しない複数のスイッチ素子や、各スイッチ素子に接続される図示しない走査線及び信号線、各半導体素子に接続されるバイアス線、等を備えている。
複数の半導体素子は、センサーパネル12における、基台11の第一面11aと接している第二面12aとは反対側の第三面12bに二次元的に分布するように形成されている。
本実施形態に係る半導体素子は、マトリクス(行列状)に配列されている。
なお、センサーパネル12は、樹脂製の基板で形成することにより可撓性を有したものとなっていてもよい。このようにすれば、筐体2が撓んだり、外部からの衝撃を受けたりしてもセンサーパネル12が破損しにくくなる。
また、電子部品13は、電気基板131と、バッテリー132と、配線と、を有している。
本実施形態に係る電気基板131は、図2に示したように、ボス111を介して基台11に取り付けられている。
ボス111は、基台11の一部であってもよいし、基台11とは別の部材であってもよい。
また、ボス111は、絶縁性を有していることが好ましい。
なお、電子部品13は、バッテリー132を備える代わりに、又はバッテリー132と共に、外から電力の供給を受けるための図示しないコネクターを有していてもよい。
筐体2は、図1,2に示したように、箱体2Aと、蓋体2Bと、複数のネジ2Cと、を有し、画像生成部1を収納している。
また、本実施形態に係る筐体2は、矩形のパネル状をしている。
箱体2Aは、第一部材をなすもので、放射線入射部21を有している。
また、本実施形態に係る箱体2Aは、側面部22を更に有している。
また、本実施形態に係る箱体2Aは、導電性を有している。箱体2Aに導電性を持たせる方法としては、例えば、箱体2Aを軽金属や炭素繊維強化樹脂等の導電性材料で形成することが挙げられる。このようにすれば、静電気による放電を防止し、静電気に起因するノイズを抑制することができる。
本実施形態に係る放射線入射部21は、矩形の板状に形成されている。
また、本実施形態に係る放射線入射部21は、放射線の透過を邪魔しない材料で形成されている。
側面部22は、放射線入射部21と一体に形成されていてもよいし、放射線入射部21とは別の部材であってもよい。
本実施形態に係る放射線入射部21は、上述したように矩形をしているため、その周縁部から延設される側面部22における放射線入射部21から最も離れた端には、図1に示したように、矩形枠状の端面22aが形成される。
各ネジ穴221は、雌ネジが形成されたインサートナット221aが側面部22に形成された埋め込み穴22bに埋め込まれることで設けられたもの(図4参照)であってもよいし、側面部22に直接雌ネジを形成したもの(図5参照)であってもよい。
各ネジ穴221は、例えば図3に示すように、放射線入射部21の四辺に沿ってそれぞれ設けられた各側面部22における長手方向中央部22cを避けた位置に形成されている。
蓋体2Bは、第二部材をなすもので、図1,2に示したように、第二部位23を有している。
本実施形態に係る第二部位23は、導電性を有する材料で形成されている。
また、本実施形態に係る第二部位23は、箱体2Aの放射線入射部21と略等しい矩形に形成されている。
また、第二部位23の周縁部(箱体2Aの側面部22の端面22aと接する部位)であって、蓋体2Bを箱体2Aに重ねたときに側面部22のネジ穴221と重なる位置には、図1に示したように、ネジ孔23aが形成されている。
このため、検出器100を修理したりメンテナンスしたりする場合に、ネジ2Cを緩めて取り外すだけで箱体2Aから蓋体2Bを分離することができ、箱体2Aに収納された画像生成部1に容易にアクセスすることができる。
このため、筐体2全体が、静電気に対するシールドとして機能する。
なお、箱体2Aと蓋体2Bとの導通は、箱体2Aと蓋体2Bとの間に導電性接着剤等を介在させることにより行ってもよい。
蓋体2Bは、例えば図4に示すように、補強板24を備えていてもよい。
補強板24は、第二部位23の内側表面に、第二部位23のネジ孔23aの一部を、ネジ2Cの軸部26が通り、かつネジ2Cの頭部25の一部が当接する(引っかかる)程度に遮蔽するように重ね合わされる。
また、この場合、ネジ孔23aの径を、ネジ2Cの頭部25の径よりも大きくする。
このようにすれば、ネジ2Cの頭部25により筐体2表面に凹凸が生じるのを抑制することができる。特に、頭部25の軸方向の厚さが第二部位23の厚さ以下となっていれば、ネジ2Cの頭部25が蓋体2Bの表面から突出しなくなる。
第二部位23と補強板24との導通は、両者の接触面において行われていてもよいし、接触面が絶縁されている(例えば酸化被膜が形成されている)場合には、導電ペースト27等を両者に接触するように塗布することにより行ってもよい。
防水パッキン2Dは、箱体2Aの端面22aと蓋体2Bとの間に、僅かに潰れるように挟まれる。
また、防水パッキン2Dは、矩形枠状の端面の内側輪郭に沿って延びる矩形枠状とする。
なお、蓋体2Bが補強板24を備える場合には、防水パッキン2Dが配置されるのは、図4に示したように、端面22aと補強板24との間であってもよい。
このようにすれば、筐体2の内側空間Sに液体(水、薬剤、血液等)が入り込むのを防ぐことができる。
ネジカバー2Eは、蓋体2Bが箱体2Aにネジ留めされた後の、蓋体2Bのネジ孔23aから露出するネジ2Cの頭部25を覆うように配置される。
ネジカバー2Eは、蓋体2Bのネジ孔23aにはめ込まれていてもよいし、ネジ2Cの頭部25に接着されていてもよい。
このようにすれば、ユーザーがネジ2Cに触れないようにすることができる。
また、ネジ2Cに液体が付着してネジ2Cが錆びるのを防ぐことができる。
また、ネジカバー2Eがネジ2Cの頭部に接着されている場合、その表面は、滑らかになっていることが好ましい。このようにすれば、ネジカバー2Eが人の手やベッド等からうける摩擦力が下がるため、ネジカバー2Eが接着されたネジ2Cに作用する摩擦力も下がり、それによってネジ2Cが緩むのを防ぐことができる。
なお、第一部材と第二部材の両方が側面部を備えていてもよい。
緩衝材3は、図1,2に示したように、筐体2の側面部22の内側表面と画像生成部1との間に介在している。
緩衝材3は、ゴムや発泡樹脂のような弾性体で形成されていてもよいし、熱可塑性エラストマー(例えば、ハイトレル(登録商標))のようなもので形成されていてもよい。
本実施形態に係る緩衝材3は、筐体2の内側表面と基台11との間に介在している。
より具体的には、緩衝材3は、図2に示したように、筐体2の側面部22の内側表面と、基台11における第一面11a及び第四面11bに接する第五面11cとの間に介在している。
また、本実施形態に係る複数の緩衝材3は、例えば図6に示すように、所定間隔を空けて画像生成部1を囲むように並べられている。
また、本実施形態に係る緩衝材3は、第五面11cに接着されている。
また、
また、第一発明においては、緩衝材3を備えていなくてもよい(後述する第二発明においては、少なくとも一つの緩衝材を備えている必要がある)。
なお、検出器100は、図2に示したように、筐体2の放射線入射部21の内側表面と画像生成部1との間に介在するスペーサー4を備えていてもよい。
このようにすれば、放射線入射部21と画像生成部1との間の空隙が充填され、検出器100の強度を高めたり、画像生成部1を保護したりすることができる。
なお、スペーサー4は、弾性(緩衝機能)を有していてもよい。このようにすれば、筐体2に受けた衝撃が画像生成部1に作用するのを防ぐことができる。
このようにすれば、筐体2が変形(撓む、へこむ等)したときに、基台11からセンサーパネル12が剥がれ、センサーパネル12が破損するのを防ぐことができる。
次に、上記筐体2における、蓋体2Bの箱体2Aへのネジ留め構造の詳細(第一発明特有の構成)について説明する。
図8は検出器100をベッドBの上に載置したときの側面図、図9は検出器100の端部をその厚さ方向に切断したときの断面図、図10は検出器100が備えるネジ2Cに作用するトルクについて説明する図、図11はネジを緩めるときの緩めトルクTLの経時変化を示すグラフ、図12~15は検出器100の端部をその厚さ方向に切断したときの断面図である。
パネル状の放射線検出器(検出器100を含む)を用いた放射線撮影の中には、例えば図8(a)に示すように、放射線検出器をベッド等の上に載置し、その上に被検者を横たわらせ、上方から放射線を照射する方法がある。
しかしながら、放射線検出器の放射線入射面が平面であるのに対し、被検者の体は曲面が多く、被検者と放射線検出器との接触面は小さくなる。このため、放射線検出器の上に横たわった被検者は、放射線検出器からの圧力を接触面で集中して受けることになり、痛みを感じてしまうことがあった。
このようにすることで、図8(b)に示したように、蓋体2Bの両端部が箱体2Aの両端部からそれぞれずれて筐体2が無理なく撓むようになる。その結果、筐体2の放射線入射面が曲面となって、放射線検出器の上に横たわった被検者との接触面が大きくなり、被検者が受ける圧力が分散され、被検者は痛みを感じにくくなる。
このとき、ネジ2Cの座面25a及び蓋体2Bの表面の少なくとも一方の面の状態(微小な凹凸の有無等)が均一でなく、ネジ2Cが蓋体2Bから受ける垂直抗力の分布やネジ2Cの座面と蓋体2Bの表面との間の摩擦係数の分布に差があると、ネジ2Cが蓋体2Bから受ける摩擦力に、軸部26の一方側と他方側とで差が出る場合がある。具体的には、例えば図10に示すように、軸部26の左側では摩擦力F1を受けるのに対し、軸部26の右側では摩擦力F1よりも大きい摩擦力F2を受ける、といった場合がある。
この摩擦力の差は、ネジ2Cを回転させる方向に作用するトルクとなる。そして、軸部26のどちら側の摩擦力が大きいかによっては、ネジ2Cを緩める方向に作用する「緩めトルクTL」となる。
ネジが緩み始めると、ネジの座面25aは物体から摩擦力を受けなくなる。このため、ネジは、軸部26のみから摩擦力を受けることになり、軸部26が受ける摩擦力と等しい緩めトルクTLが作用するだけで緩むようになる。
すなわち、ベッドやその上に敷かれたシーツ等の上に放射線検出器を載置し、当該放射線検出器を被検者とベッド等との間で移動させた際に、ベッドやその上のシーツ等とネジが接触し、その摩擦でも緩みが進行してしまう。
そして、ネジは、その後も緩み続けると、最終的に軸部が物体から離れ脱落する。
こうした現象は、特に、放射線検出器のように、ネジが比較的小径で締め付けトルクを大きくすることができない場合、すなわち緩み開始トルクTDを大きくすることができない場合に発生しやすい。
すなわち、検出器100は、筐体2が撓む際にネジ2Cに作用する緩めトルクTLが、緩み開始トルクTDに達しないようになっている。
このため、緩めトルクTLが、緩み開始トルクTDに達しないようにするためには、例えば、以下に示すような方法をとることが挙げられる。
・ネジ2Cの頭部25が蓋体2Bから受ける摩擦力を下げる
・ネジ2Cの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力を上げる
ある物体が他の物体から受ける摩擦力は、二物体間の摩擦係数に、ある物体が他の物体から受ける垂直抗力を乗じたものとなる。
このため、ネジ2Cの頭部25が蓋体2Bから受ける摩擦力を下げるためには、例えば、以下に示すような方法をとることが挙げられる。
・座面25aが蓋体2Bから受ける垂直抗力を下げる
・蓋体2Bの表面と座面25aとの間の摩擦係数を下げる
座面25aが蓋体2Bから受ける垂直抗力を下げるには、ネジ2Cの頭部25が蓋体2Bに加える圧縮力を下げればよい。
圧縮力を下げるには、ネジ留めする際に、ネジ2Cの座面25aが蓋体2Bに微かに接するようにする、又は蓋体2Bから僅かに離間するようにすればよい。
ネジ留めをこのような形で行うための方法には、例えば、インサートナット221aを用いる方法と、段付きネジ2Fを用いる方法と、がある。
すなわち、この場合のインサートナット221aは、箱体2Aの側面部22の埋め込み穴22bに、インサートナット221aの先端部が側面部22の端面22aから蓋体2Bの厚さ以上突出するように埋め込まれている。
また、インサートナット221aの外径は、蓋体2Bのネジ孔23aの径よりも小さい。
なお、先端部の突出長は、蓋体2Bの厚さよりわずかに大きいことが好ましい。
また、インサートナット221aの基端は、埋め込み穴22bの底に接していてもよいし、埋め込み穴22bの途中に位置していてもよい。
特に、インサートナット221aの先端部の突出長が、蓋体2Bの厚さより大きい場合、蓋体2Bが座面25aから受ける圧縮力は無視できるほど小さくなる、又はゼロになる。その結果、ネジ2Cの頭部25が蓋体2Bから受ける垂直抗力が無視できるほど小さくなる、又はゼロになる。
蓋体2Bの移動に伴ってネジ2Cに作用する緩めトルクTLは、ネジ2Cの座面25aが蓋体2Bから受ける摩擦力に基づくため、無視できるほど小さくなる。
一方、ネジ2Cの緩み開始トルクTDは、座面25aがインサートナット221aから受ける摩擦力とネジ2Cの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力の和であり、緩めトルクTLよりも大きくなる。
すなわち、段付きネジ2Fは、頭部25と軸部26との間の段部28における軸方向の長さが蓋体2Bの厚さ以上となっている。
また、段部28の径は、蓋体2Bのネジ孔23aの径よりも小さい。
なお、段付きネジ2Fを用いる代わりに、通常のネジ2Cの軸部26に、外径が蓋体2Bのネジ孔23aの径よりも小さく、内径が軸部26の径以上で、厚さが蓋体2Bの厚さ以上の環状部材を通したものを用いてもよい。
特に、段部28の軸方向の長さが、蓋体2Bの厚さより大きい場合、蓋体2Bが座面25aから受ける圧縮力は無視できるほど小さくなる、又はゼロになる。その結果、段付きネジ2Fの頭部25が蓋体2Bから受ける垂直抗力が無視できるほど小さくなる、又はゼロになる。
一方、段付きネジ2Fの緩み開始トルクTDは、段部28の第二座面28aが箱体2Aから受ける摩擦力と段付きネジ2Fの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力の和であり、緩めトルクTLよりも大きくなる。
蓋体2Bの表面と座面25aとの間の摩擦係数を下げるための方法には、例えば、座金2Gを用いる方式と、表面加工する方式と、がある。
すなわち、ネジ2Cと蓋体2Bの間に、表面が、座面25a及び蓋体2Bの表面のうちのより滑らかな面よりも滑らかな座金2Gが介在している。
なお、座金2Gは、完全な環状をした部材ではなく、一部が切り欠かれた形状(例えばC字状)の部材であってもよい。
また、一つの座金を用いる代わりに、複数の板状部材を軸部の周囲を囲むように介在させてもよい。
このため、ネジ2Cの頭部25が座金2Gから受ける摩擦力が、座金2Gが介在しない場合に比べて小さくなる。
そして、その結果、蓋体2Bの移動に伴ってネジ2Cに作用する緩めトルクTLは、頭部25が受ける垂直抗力を小さくした場合と同様に、無視できるほど小さくなる。
一方、ネジ2Cの緩み開始トルクTDは、ほぼネジ2Cの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力であり、緩めトルクTLよりも大きくなる。
具体的な表面加工としては、例えば、鏡面加工、PTFE(polytetrafluoroethylene)樹脂で被覆等が挙げられる。
このため、ネジ2Cの頭部25が蓋体2Bから受ける摩擦力が、表面加工していない場合に比べて小さくなる。
そして、その結果、蓋体2Bの移動に伴ってネジ2Cに作用する緩めトルクTLは、頭部25が受ける垂直抗力を小さくした場合と同様に、無視できるほど小さくなる。
一方、ネジ2Cの緩み開始トルクTDは、ほぼネジ2Cの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力であり、緩めトルクTLよりも大きくなる。
ネジ2Cの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力を上げるための方法には、例えば、ネジ緩み防止剤2Hを用いる方法がある。
すなわち、ネジ2Cの軸部26の表面と箱体2Aの側面部22のネジ穴221の壁面との間にネジ緩み防止剤2Hが介在している。このネジ緩み防止剤2Hは、ネジ2Cをネジ穴221に螺合させる前に、軸部26の表面に塗布、又はネジ穴221の中に充填されたものである。
ネジ緩み防止剤には、雄ネジと雌ネジとの間の摩擦係数を大きくするタイプのものであってもよいし、雄ネジと雌ネジとにそれぞれ固着する(ネジ2Cをネジ穴221に固定する)タイプ(例えば、嫌気性接着剤等)のものであってもよい。
どのようなタイプのネジ緩み防止剤2Hを用いるかは、ネジ2Cに作用する緩めトルクTLの大きさに応じて選択すればよい。
その結果、ネジ2Cの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力が、ネジ緩み防止剤2Hが介在していない場合に比べて大きくなる。
蓋体2Bの移動に伴ってネジ2Cに作用する緩めトルクTLは、頭部25が蓋体2Bから受ける摩擦力に基づくため、ネジ緩み防止剤2Hを介在させる前後で変化はない。
一方、ネジ2Cの緩み開始トルクTDは、ネジ2Cの軸部26が箱体2Aから受ける摩擦力であり、ネジ緩み防止剤2Hを塗布する前に比べて大きくなる。
なお、以上説明してきた、緩めトルクTLが緩み開始トルクTDに達しないようにするための各種方法は、2つ以上組み合わせ用いてもよい。
図16に示した蓋体2Bの箱体2Aへのネジ留め構造は、図4に示した構造におけるネジ2Cを段付きネジ2Fに変更したものとなっている。
この場合、段付きネジ2Fの段部28における軸方向の長さの分だけ、軸部26のインサートナット221aへの螺合長が少なくなる。その結果、防水パッキン2Dの潰れ量が小さくなり、蓋体2Bが防水パッキン2Dから受ける反力(段付きネジ2Fが蓋体2Bから受ける垂直抗力)が下がるため、段付きネジ2Fが蓋体2B(補強板24)から受ける摩擦力が下がる。
なお、段付きネジ2Fの軸部26の表面とインサートナット221aの壁面との間にネジ緩み防止剤2Hが介在していてもよい。
また、蓋体2Bの厚さを大きくすることにより、ネジ2C,2Fが緩んでしまった場合に、ネジ2C,2Fが脱落するまでの時間を稼げるようにしてもよい。
以上説明してきた第一発明の実施形態に係る検出器100は、ネジ2C、2Fが蓋体2B又は座金2Gから受ける垂直抗力が小さい、ネジ2C,2Fと蓋体2B又は座金との間の摩擦係数が小さい、ネジ2C,2Fが箱体2Aから受ける摩擦力が大きい、のうちの少なくともいずれかの性質を有するための構成を備えることにより、蓋体2Bの移動に伴ってネジ2C,2Fに作用する緩めトルクTLが緩み開始トルクTDに達しないようになっている。このため、蓋体2Bの移動に伴うネジ2Cの緩みを生じにくくすることができる。
そして、ネジの緩みが生じなければ、ネジの頭部が蓋体の表面より突出したり、ネジが脱落したりすることがなくなる。その結果、突出したネジの頭部が、周囲の物や人に引っかかって、物や人を傷つけてしまったり、脱落したネジが、他の装置に悪影響を及ぼしたり、被検者等が誤飲して、健康を害してしまったりすることもなくなる。
次に、第二発明の実施の形態について、図1~7,17~23を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る放射線検出器(以下、検出器100A)の概略構成は、少なくとも一つの緩衝材3を備えている必要がある点を除いて、上記第一発明の実施形態に係る検出器100と同様となっている。
また、第二発明においては、筐体2が箱体2Aと蓋体2Bとで構成されている必要がないため、筐体は、画像生成部1の第三面12bと対向するとともに当該第三面12bと平行に広がる放射線入射部(第一部位)、第四面11bの面と対向するとともに当該第四面11bと平行に広がる背面部(第二部位)、及び第一部位の両端と第三部位の両端とをそれぞれつなぐ一対の側面部(第三部位)によって筒状に形成された筒体(第三部材)と、筒体の開口部を閉塞する蓋体(第四部材)と、を備えたものであってもよい。
次に、上記筐体2における、緩衝材3の脱落防止構造の詳細(第二発明特有の構成)について説明する。
図17は従来の放射線検出器の端部をその厚さ方向に切断したときの断面図、図18~23は検出器100Aの端部をその厚さ方向に切断したときの断面図である。
検出器100Aは、外から受けた衝撃がセンサーパネル12に伝わるのを緩和したり、センサーパネル12を位置決めしたりすることを目的として、画像生成部1と筐体2の側面部22の内側表面との間に緩衝材3が配置されている。
従来の放射線検出器においては、衝撃を受けたときの緩衝材は、行きは、例えば図17(a)に示すように、基台と共に移動するが、戻りは、図17(b)に示すように、筐体から戻りを引き留めようとする摩擦力を受け、それにより基台と筐体との間から脱落してしまうことがあった。
緩衝材が基台に接着されている場合も、基台からの元の位置に戻そうとする力と、筐体からの摩擦力によって緩衝材が変形し(緩衝材に基台から剥離させようとする力がかかり)、基台から脱落してしまうことがあった。
変形抑制部6~8は、緩衝材3の、当該緩衝材3と筐体2との接触面に沿う方向への変形を抑制するようになっている。
本実施形態に係る変形抑制部には、突出部6と、リブ7と、摩擦低減部材8と、が含まれる。
突出部6は、画像生成部1から緩衝材3の表面に沿って延設されている。
本実施形態に係る突出部6は、例えば図18に示すように、基台11の第五面11cにおける厚さ方向両端部から、緩衝材3における、筐体2の放射線入射部21と対向する第六面3a、及び第六面3aと反対側の第七面3bに接するように延設されている。
このような突出部6を備える検出器100Aは、衝撃を受け、基台11の端部が移動した後、移動した基台11の端部が戻る際に、突出部6が、緩衝材3を、筐体2から受ける摩擦力と反対の方向に押す。これにより、緩衝材3の、当該緩衝材3と筐体2との接触面に沿う方向への変形が抑制される。
このような突出部6を備える検出器100Aは、基台11の端部が移動する際、移動しやすい方向へ移動する際には、緩衝材3が筐体2から受ける摩擦力が弱まるため、当該緩衝材3と筐体2との接触面に沿う方向への変形が抑制される。
一方、移動しにくい方向へ移動する際には、突出部6が、緩衝材3を、筐体2から受ける摩擦力と反対の方向に押す。これにより、緩衝材3の、当該緩衝材3と筐体2との接触面に沿う方向への変形が抑制される。
また、側面部22が、例えば図20(b)に示すように、筐体2の厚さ方向に傾斜している場合、突出部6は、基台11の第五面11cにおける厚さ方向両端部のうち、側面部22との距離が遠い方(緩衝材3が移動しやすい方、図20(b)の場合は第七面3b側)にのみ設けられていてもよい。
また、突出部6は、図20(c)に示すように、筐体2(箱体2A)と一体形成されていてもよい。
また、緩衝材3が、図20(d)に示すように、筐体2の厚さ方向に延ばされている場合には、箱体2Aの放射線入射部21及び蓋体2Bのうちの少なくとも一方が、緩衝材3の、当該緩衝材3と筐体2との接触面に沿う方向への変形を抑制する(突出部として機能する)ため、突出部6を備えていなくてもよい。
リブ7は、図21に示すように、画像生成部1の端部から、緩衝材3と筐体2との接触面に沿う方向に延設されている。
本実施形態に係るリブ7は、基台11の第四面11bと蓋体2Bとの間に設けられている。
このような突出部6を備える検出器100Aは、衝撃を受けた際に、リブ7が、基台11の端部の、少なくともリブが存在する方向への移動を規制する。このため、緩衝材3が少なくともリブ7の存在する方向へ移動せず、筐体2から摩擦力を受けない。よって、緩衝材3の、当該緩衝材3と筐体2との接触面に沿う方向への変形が抑制される。
また、リブ7は、基台11と一体形成されていてもよいし、筐体2(蓋体2B)と一体形成されていてもよい。
また、側面部22が、筐体2の厚さ方向に傾斜している場合、リブ7は、基台11の第五面11cにおける厚さ方向両端部のうち、側面部22との距離が遠い方(緩衝材3が移動しやすい方)にのみ設けられていてもよい。
また、筐体2の放射線入射部21の内側表面と画像生成部1との間に介在するスペーサー4を備えていてもよい。
摩擦低減部材8は、例えば図22に示すように、緩衝材3と筐体2の間に介在している。
そして、摩擦低減部材8は、例えば樹脂製のフィルム等で構成され、緩衝材3が筐体2から受ける摩擦力を下げるようになっている。
フィルムを形成する樹脂には、PET(polyethylene terephthalate)樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂等を用いるのが好ましい。
本実施形態に係る摩擦低減部材8は、緩衝材3又は筐体2に固定される。
以上説明してきた第二発明の実施形態に係る検出器100Aは、筐体2から摩擦力を受けたことに伴う緩衝材3の変形を規制する、緩衝材3が筐体2から受ける摩擦力を下げる、緩衝材3を挟む画像生成部1(基台11)の移動を規制する、のうちの少なくともいずれかの機能を発揮するための構成を備えることにより、筐体2が衝撃を受けたことに伴う緩衝材3の脱落を防ぐことができる。
そして、緩衝材3の脱落が生じなければ、緩衝材3が筐体2内を移動しないため、緩衝材3が検出器100Aの機能に悪影響を及ぼすこともない。
1 画像生成部
11 基台
11a 第一面
11b 第四面
11c 第五面
111 ボス
12 センサーパネル
12a 第二面
12b 第三面
13 電子部品
131 電気基板
132 バッテリー
2 筐体
2A 箱体(第一部材)
21 放射線入射部
22 側面部
22a端面
22b埋め込み穴
22c長手方向中央部
22d突出部
221ネジ穴
221a インサートナット
2B 蓋体(第二部材)
23 第二部位
23aネジ孔
24 補強板
27 導電ペースト
2C ネジ
25 頭部
25a座面
26 軸部
2D 防水パッキン
2E ネジカバー
2F 段付きネジ
28 段部
28a第二座面
2G 座金
2H ジ緩み防止剤
3 緩衝材
3a 第六面
3b 第七面
4 スペーサー
5 部材
6 突出部(変形抑制部)
7 リブ(変形抑制部)
8 摩擦低減部材(変形抑制部)
B ベッド
F1,F2 摩擦力
S 内側空間
TD 緩み開始トルク
TL 緩めトルク
Claims (6)
- 受けた放射線に応じた放射線画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部を収納する筐体と、
前記筐体の内側表面と前記画像生成部との間に介在する緩衝材と、
前記緩衝材の、当該緩衝材と前記筐体との接触面に沿う方向への変形を抑制する変形抑制部と、を備え、
前記緩衝材は、前記画像生成部の側面に固定されており、
前記変形抑制部は、前記緩衝材における、前記筐体の放射線入射部に対向する面、および、前記放射線入射部に対向する面の反対側の面にそれぞれ接するように、前記画像生成部から延設される放射線検出器。 - 受けた放射線に応じた放射線画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部を収納し、厚さ方向に傾斜した側面部を有する筐体と、
前記筐体の内側表面と前記画像生成部との間に介在する緩衝材と、
前記緩衝材の、当該緩衝材と前記筐体との接触面に沿う方向への変形を抑制する変形抑制部と、を備え、
前記緩衝材は、前記画像生成部の側面に固定されており、
前記変形抑制部は、前記側面において、前記画像生成部の厚さ方向両端部のうち、前記側面と前記筐体の内側側面との距離が大きい側に相当する端部から延設される放射線検出器。 - 前記変形抑制部は、前記画像生成部から前記緩衝材の表面に沿って延設された突出部である請求項1又は2に記載の放射線検出器。
- 前記筐体は、正面に開口部を有す箱体、及び前記開口部を閉塞する蓋体を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
- 前記画像生成部は、基台と、前記基台に支持されたセンサーパネルと、を備えており、
前記緩衝材は、前記筐体の内側表面と前記基台との間に介在する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線検出器。 - 前記基台は、板状に形成されており、
前記センサーパネルは、基板と、前記基板における、前記基台の第一面と接している第二面とは反対側の第三面に二次元的に分布するように形成された複数の半導体素子と、を有し
前記筐体は、第一部材と、第二部材と、を有し、
前記第一部材は、前記センサーパネルにおける前記第三面と対向するとともに当該第三面と平行に広がる第一部位を有しており、
前記第二部材は、前記基台における前記第一面とは反対側の第四面と対向するとともに当該第四面と平行に広がる第二部位を有しており、
前記第一部材又は前記第二部材は、前記第二面と直交する方向に延設された第三部位を有しており、
前記緩衝材は、前記筐体の内側表面と、前記基台における前記第二面及び前記第四面に接する第五面との間に介在する請求項5に記載の放射線検出器。
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