JP7357555B2 - スライディングモード制御を行う制御装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、スライディングモード制御により、位置及び速度または角度及び角速度等の物理量を、所望の目標値に収束させる制御装置及びプログラムに関する。
従来、位置及び速度の位相面を部分領域に分割し、いずれの部分領域に現在の位置及び速度の状態(状態量)が属するかに応じて制御入力値を決定することで、位置及び速度を所望の目標値に収束させるスライディングモード制御が知られている。
スライディングモード制御においては、部分領域を分割する境界線または境界面のうち、特定の境界線(すべり面)に沿って位置及び速度の状態が遷移するように、制御装置の設計がなされる。これにより、安定かつ簡便に制御則を設計することができる。
位置の誤差をΔθ、速度の誤差をΔωとして、これらの誤差Δθ,Δωに対して位相面上に以下の式を満たす曲線を設定し、その上側では減速(負の加速度(制御入力値α-))、下側では加速(正の加速度(制御入力値α+))となるように制御入力値を設定する。
Figure 0007357555000001
このような制御は、Bang-Bang(バンバン)制御と呼ばれる。バンバン制御を用いることにより、位置及び速度は、短時間で目標値に収束することができる。
また、スライディングモード制御において、状態量のすべり面からの距離に応じて制御入力値に対するゲインを調整する手法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この手法を用いることにより、大きな制御遅れに対してもリップルを小さくし、外乱に対する頑健性を向上させることができる。
特公平6-14293号公報
バンバン制御においては、最大加速及び最大減速の二択により制御が行われる。このため、速度及び位置に対する制限がなく、制御対象機器の最大定格を超える等の不具合の原因となり得る。また、例えば、制御対象機器をカメラ雲台として、カメラ雲台の制御にバンバン制御を用いると、激しいパン操作を生じ、鑑賞上の不都合が生じる。
また、前述の特許文献1の手法は、制御遅れがある場合に外乱への頑健性を向上させるための有効な方式であるが、速度及び位置に対する制限を課することを目的とするものではない。
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、観測対象の物理量を所定範囲内に収めながら、物理量を所望の目標値に収束させる制御装置及びプログラムを提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1の制御装置は、制御対象機器から観測対象の第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力し、当該第一の物理量θ及び当該第二の物理量ωをそれぞれ第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtに収束させるための制御入力値uを決定し、当該制御入力値uを前記制御対象機器へ出力する制御装置において、予め設定された負の定数の前記制御入力値uをα-、零の前記制御入力値uを0、正の定数の前記制御入力値uをα+、負の定数の制限値をω-、及び正の定数の制限値をω+として、前記第一の物理量θから前記第一の物理量の目標値θtを減算し、第一の物理量の誤差Δθを求めると共に、前記第二の物理量ωから前記第二の物理量の目標値ωtを減算し、第二の物理量の誤差Δωを求め、前記第一の物理量の誤差Δθ及び前記第二の物理量の誤差Δωが、第一の条件:
Figure 0007357555000002
を満たす場合、制御モードをm=1に決定し、第二の条件:
Figure 0007357555000003
を満たす場合、前記制御モードをm=2を決定し、前記第一の条件及び前記第二の条件のいずれも満たさない場合、前記制御モードをm=3に決定する制御モード決定部と、前記制御モード決定部により決定された前記制御モードがm=1の場合、前記制御入力値uとして前記α-を選択し、前記制御モードがm=2の場合、前記制御入力値uとして前記α+を選択し、前記制御モードがm=3の場合、前記制御入力値uとして前記0を選択する制御入力値選択部と、を備えたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、第二の物理量ωを制限値ω-以上制限値ω+以下に収めつつ、第一の物理量θ及び第二の物理量ωがそれぞれの目標値θt,ωtに至るよう速やかに制御することができる。
また、請求項2の制御装置は、制御対象機器から観測対象の第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力し、当該第一の物理量θ及び当該第二の物理量ωをそれぞれ第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtに収束させるための制御入力値uを決定し、当該制御入力値uを前記制御対象機器へ出力する制御装置において、最小の負の定数の前記制御入力値uをαmin、負の定数の前記制御入力値uをα-、零の前記制御入力値uを0、正の定数の前記制御入力値uをα+、最大の正の定数の前記制御入力値uをαmax、負の定数の制限値をθ-、正の定数の制限値をθ+、負の定数の制限値をω-、及び正の定数の制限値をω+として、前記第一の物理量θから前記第一の物理量の目標値θtを減算し、第一の物理量の誤差Δθを求めると共に、前記第二の物理量ωから前記第二の物理量の目標値ωtを減算し、第二の物理量の誤差Δωを求め、前記第一の物理量の誤差Δθ及び前記第二の物理量の誤差Δωが、第三の条件:
Figure 0007357555000004
を満たす場合、制御モードをm=1に決定し、第四の条件:
Figure 0007357555000005
を満たす場合、前記制御モードをm=2に決定し、第五の条件:
Figure 0007357555000006
を満たす場合、前記制御モードをm=4に決定し、第六の条件:
Figure 0007357555000007
を満たす場合、前記制御モードをm=5に決定し、前記第三の条件、前記第四の条件、前記第五の条件及び前記第六の条件のいずれも満たさない場合、前記制御モードをm=3に決定する制御モード決定部と、前記制御モード決定部により決定された前記制御モードがm=1の場合、前記制御入力値uとして前記α-を選択し、前記制御モードがm=2の場合、前記制御入力値uとして前記α+を選択し、前記制御モードがm=3の場合、前記制御入力値uとして前記0を選択し、前記制御モードがm=4の場合、前記制御入力値uとして前記αminを選択し、前記制御モードがm=5の場合、前記制御入力値uとして前記αmaxを選択する制御入力値選択部と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、第一の物理量θを制限値θ-以上制限値θ+以下に収め、かつ第二の物理量ωを制限値ω-以上制限値ω+以下に収めつつ、第一の物理量θ及び第二の物理量ωがそれぞれの目標値θt,ωtに至るよう速やかに制御することができる。また、αmax>α+,α->αminまたはその両方を満たす場合には、第一の物理量θが制限値θ-以上制限値θ+以下の範囲を逸脱しそうな場合に、緊急回避を行うことができる。
また、請求項3の制御装置は、請求項1または2に記載の制御装置において、前記制御モード決定部が、前記第一の物理量の誤差Δθ及び前記第二の物理量の誤差Δωが、以下の数式:
Figure 0007357555000008
で表される曲線からの距離が有限であって、原点(Δθ=Δω=0)を含み、かつ前記制御モードがm=3の領域を含まない集合Bに含まれる場合、前記制御モードをm=m’に決定し、前記制御入力値選択部が、前記制御モード決定部により決定された前記制御モードがm=m’の場合、前記制御入力値uとして、前記α-または前記α+よりも絶対値が小さく、かつ符号が同一の値を選択する、ことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、例えば制御周期等に起因する無駄時間によって第一の物理量θまたは第二の物理量ωが不安定になったり、振動的になったりすることを回避できる。
また、請求項4の制御装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載の制御装置において、前記第一の物理量θを位置とし、前記第二の物理量ωを速度とし、前記制御入力値uを加速度または力とする、ことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、例えば宇宙機のスラスタまたはリニアモータの位置制御及び速度制御を実現することができる。
また、請求項5の制御装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載の制御装置において、前記第一の物理量θを角度とし、前記第二の物理量ωを角速度とし、前記制御入力値uを角加速度またはトルクとする、ことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、例えばモータまたはエンジンの角度制御及び角速度制御を実現することができる。
また、請求項6の制御装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載の制御装置において、前記制御対象機器はカメラ雲台であり、前記第一の物理量θをパンの角度とした場合、前記第二の物理量ωは前記パンの角速度、及び前記制御入力値uは前記パンの角加速度またはトルクであり、前記第一の物理量θをチルトの角度とした場合、前記第二の物理量ωは前記チルトの角速度、及び前記制御入力値uは前記チルトの角加速度またはトルクであり、前記第一の物理量θをズームの位置とした場合、前記第二の物理量ωは前記ズームの速度、及び前記制御入力値uは前記ズームの加速度または力である、ことを特徴とする。
請求項6の発明によれば、カメラ雲台のパン、チルトまたはズームの動作を制御することができる。
さらに、請求項7のプログラムは、コンピュータを、請求項1から6までのいずれか一項に記載の制御装置として機能させることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、観測対象の物理量を所定範囲内に収めながら、物理量を所望の目標値に収束させることができる。
本発明の実施形態による制御装置を含む制御システムの全体構成を示す概略図である。 実施例1の制御装置の構成を示すブロック図である。 実施例1における制御モード決定部の構成を示すブロック図である。 実施例1における制御モード決定部の処理を示すフローチャートである。 実施例1における制御モード決定部の処理を説明する位相面図である。 実施例1における制御入力値選択部の処理を示すフローチャートである。 実施例1における位相の軌跡を説明する図である。 実施例2の制御装置の構成を示すブロック図である。 実施例2における制御モード決定部の構成を示すブロック図である。 実施例2における制御モード決定部の処理を示すフローチャートである。 実施例2における制御モード決定部の処理を説明する位相面図である。 実施例2における制御入力値選択部の処理を示すフローチャートである。 実施例2における位相の軌跡を説明する図である。 実施例3の制御装置の構成を示すブロック図である。 実施例3における制御モード決定部の構成を示すブロック図である。 実施例3における制御モード決定部の処理を示すフローチャートである。 実施例3における制御モード決定部の処理を説明する位相面図である。 実施例3における制御入力値選択部の処理を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔制御システム〕
まず、本発明の実施形態による制御装置を含む制御システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態による制御装置を含む制御システムの全体構成を示す概略図である。この制御システムは、制御装置1及び制御対象機器2を備えて構成される。尚、この制御システムは制御系の全体を示しており、外乱は省略してある。
制御装置1は、第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtを入力すると共に、制御対象機器2から観測対象の第一の物理量(観測値)θ及び第二の物理量(観測値)ωを入力する。
制御装置1は、第二の物理量ω、または第一の物理量θ及び第二の物理量ωに制限を課しながら、第一の物理量θ及び第二の物理量ωがそれぞれの目標値θt,ωtに一致するように、スライディングモード制御により制御入力値uを決定する。制御装置1は、制御入力値uを制御対象機器2へ出力する。
制御対象機器2では、制御装置1から入力された制御入力値uに応じて、第一の物理量θ及び第二の物理量ωが変化する。第一の物理量θ及び第二の物理量ωは制御装置1へ入力される。
ここで、第二の物理量ωは、好ましくは第一の物理量θの時間に関する一階微分であり、制御入力値uは、好ましくは第一の物理量θの時間に関する二階微分またはこれに比例する次元を有する。制御対象機器2では、このような第一の物理量θ、第二の物理量ω及び制御入力値uの関係の下で、制御入力値uに応じて、第一の物理量θ及び第二の物理量ωが変化するものとする。
図1に示した制御システムに用いる制御装置1は、制御対象機器2の定格内において、または制御対象機器2使用上の不都合のない速度及び加速度(または角速度及び角加速度)において、できる限り速やかに目標値への収束を図るべく、スライディングモード制御同様の位相面における制御入力値uの切り替えにより動作するものである。
〔実施例1〕
次に、実施例1について説明する。実施例1は、第二の物理量ωが制限値ω-,ω+の範囲内に収まるように制限を課しながら、第一の物理量θ及び第二の物理量ωがそれぞれの目標値θt,ωtに一致するように、スライディングモード制御により、制御入力値α-,0,α+の中から制御入力値uを選択する例である。
例えば第一の物理量θ、第二の物理量ω及び制御入力値uは、それぞれ位置、速度及び加速度(または力)である。また、第一の物理量θ、第二の物理量ω及び制御入力値uは、それぞれ角度、角速度及び角加速度(またはトルク)であってもよい。後述する実施例2,3についても同様である。
図2は、実施例1の制御装置1の構成を示すブロック図である。この制御装置1-1は、制御モード決定部10-1及び制御入力値選択部11-1を備えている。
(制御モード決定部10-1)
制御モード決定部10-1は、第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtを入力すると共に、制御対象機器2から第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力する。また、制御モード決定部10-1は、予め設定された制限値列(ω-,ω+)及び制御入力値列(α-,0,α+)を入力する。第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtは、時間の経過と共に変化するようにしてもよい。後述する実施例2,3についても同様である。
予め設定された制限値列(ω-,ω+)において、ω-は第二の物理量ωにおける負の定数の制限値であり、ω+は第二の物理量ωにおける正の定数の制限値である。制限値列(ω-,ω+)のそれぞれは、ω-<ω+を満たす実数値である。また、予め設定された制御入力値列(α-,0,α+)において、α-は負の定数の制御入力値であり、0はゼロの制御入力値であり、α+は正の定数の制御入力値である。制御入力値列(α-,0,α+)のそれぞれは、α-<0<α+を満たす実数値である。例えば制御入力値α-,α+は、制御対象機器2に備えたモータ、スラスタ等のトルクまたは推力の(常用時に収めるべき)定格値とする。
制御モード決定部10-1は、制御入力値α-,α+を用いて設定される前記式(1)の曲線k、及び制限値ω-,ω+等を用いて設定される半直線h1,h2により仕切られる複数の領域を設定する。そして、制御モード決定部10-1は、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωが存在する領域に応じて、制御モードm(1から3までのいずれか)を決定する。制御モード決定部10-1は、制御モードmを制御入力値選択部11-1に出力する。
図3は、実施例1における制御モード決定部10-1の構成を示すブロック図であり、図4は、制御モード決定部10-1の処理を示すフローチャートであり、図5は、制御モード決定部10-1の処理を説明する位相面図である。図5において、横軸は第一の物理量の誤差Δθ=θ-θtを示し、縦軸は第二の物理量の誤差Δω=ω-ωtを示す。
この制御モード決定部10-1は、減算部20、境界設定部21-1、領域設定部22-1及びモード決定部23-1を備えている。
制御モード決定部10-1は、第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtを入力すると共に、制御対象機器2から第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力する。また、制御モード決定部10-1は、予め設定された制限値列(ω-,ω+)及び制御入力値列(α-,0,α+)を入力する(ステップS401)。
減算部20は、以下の式のとおり、第一の物理量θから第一の物理量の目標値θtを減算して第一の物理量の誤差Δθを求めると共に、第二の物理量ωから第二の物理量の目標値ωtを減算して第二の物理量の誤差Δωを求める(ステップS402)。
Figure 0007357555000009
減算部20は、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωをモード決定部23-1に出力する。
境界設定部21-1は、制御入力値α-,α+を用いて、図5に示す曲線kを設定すると共に、第二の物理量の目標値ωt及び制限値ω-,ω+を用いて、図5に示す半直線h1,h2を設定する(ステップS403)。
曲線kは、前記式(1)にて表される。半直線h1は、以下の式にて表される。
Figure 0007357555000010
半直線h2は、以下の式にて表される。
Figure 0007357555000011
境界設定部21-1は、曲線k及び半直線h1,h2を、各領域の境界に設定し(ステップS404)、境界情報(k,h1,h2)を領域設定部22-1に出力する。
領域設定部22-1は、境界設定部21-1から境界情報(k,h1,h2)を入力し、境界により仕切られる領域R1~R4を設定し(ステップS405)、領域情報(R1~R4)をモード決定部23-1に出力する。
モード決定部23-1は、減算部20から第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωを入力すると共に、領域設定部22-1から領域情報(R1~R4)を入力する。そして、モード決定部23-1は、誤差Δθ,Δω及び領域情報の示す領域R1~R4から、制御モードmを決定する(ステップS406)。モード決定部23-1は、制御モードmを制御入力値選択部11-1に出力する(ステップS407)。
具体的には、モード決定部23-1は、図5に示すΔθΔω位相面上において、入力した誤差Δθ,Δωの位相が領域R1~R4のうちのいずれの領域に存在するかを判定し、その領域に応じた制御モードmを決定する。
モード決定部23-1は、入力した誤差Δθ,Δωが以下に示す領域R1の条件を満たす場合、図5に示すように、制御モードm=1に決定する。
Figure 0007357555000012
また、モード決定部23-1は、入力した誤差Δθ,Δωが以下に示す領域R2の条件を満たす場合、図5に示すように、制御モードm=2に決定する。
Figure 0007357555000013
また、モード決定部23-1は、入力した誤差Δθ,Δωが領域R3または領域R4の条件を満たす場合、すなわち前記式(5)及び前記式(6)のいずれも満たさない場合、図5に示すように、制御モードm=3に決定する。
尚、前記式(5)及び前記式(6)における不等号のいずれに等号を含め、またいずれに不等号を含めるかは任意である。図4に示した処理は、所定のスキャン毎に行われる。
(制御入力値選択部11-1)
図2に戻って、制御入力値選択部11-1は、制御モード決定部10-1から制御モードmを入力すると共に、予め設定された制御入力値列(α-,0,α+)を入力する。そして、制御入力値選択部11-1は、制御モードmに応じた制御入力値uを選択して制御対象機器2へ出力する。
図6は、実施例1における制御入力値選択部11-1の処理を示すフローチャートである。制御入力値選択部11-1は、制御モード決定部10-1から制御モードmを入力すると共に、予め設定された制御入力値列(α-,0,α+)を入力する(ステップS601)。
制御入力値選択部11-1は、以下の式のとおり、制御入力値α-,0,α+の中から、制御モードmに応じた制御入力値uを選択する。
Figure 0007357555000014
すなわち、制御入力値選択部11-1は、制御モードmが1~3のいずれであるかを判定する(ステップS602)。制御入力値選択部11-1は、制御モードm=1であると判定した場合(ステップS602:m=1)、制御入力値α-,0,α+の中から負の制御入力値u=α-を選択する(ステップS603)。
一方、制御入力値選択部11-1は、制御モードm=2であると判定した場合(ステップS602:m=2)、制御入力値α-,0,α+の中から正の制御入力値u=α+を選択する(ステップS604)。
また、制御入力値選択部11-1は、制御モードm=3であると判定した場合(ステップS602:m=3)、制御入力値α-,0,α+の中から零の制御入力値u=0を選択する(ステップS605)。
制御入力値選択部11-1は、ステップS603~S605にて選択した制御入力値uを制御対象機器2へ出力する(ステップS606)。図6に示した処理は、所定のスキャン毎に行われる。
(位相の軌跡)
次に、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωの位相の軌跡について説明する。図7は、実施例1における位相の軌跡を説明する図であり、図5に示した位相面図に対応している。
第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωの位相α1を起点とすると、位相α1は領域R1に存在するため、制御モードm=1となり、制御入力値u=α-が出力される。そうすると、位相は矢印の方向へ移動し、半直線h1に到達し(位相α2)、半直線h1を越える場合、制御モードm=3となり、制御入力値u=0が出力される。
その後、位相はほぼ半直線h1上を矢印の方向へ移動し、曲線kに到達し(位相α3)、曲線kを超える場合、制御モードm=2となり、制御入力値u=α+が出力される。そして、位相はほぼ曲線k上を矢印の方向へ移動し、Δθ=0及びΔω=0の位相に収束する。
ここで、半直線h1が存在しない場合、すなわち制御モードm=3が存在しない従来技術の場合には、位相は、起点の位相α1から矢印の方向へ移動し、半直線h1を越えて曲線kの方向βへ移動する(丸印の点線を参照)。
このように、従来技術では、スライディングモード制御を実行しているときに、第二の物理量ωは、制限値ω-を越えてしまうこととなる(ω<ω-)。同様に、従来技術では、第二の物理量ωは、制限値ω+を越えてしまうこととなる(ω>ω+)。
これに対し、実施例1では、半直線h1,h2を設定して領域R3,R4を設けることで、制御入力値u=0を出力する制御モードm=3を決定するようにした。これにより、この領域R3,R4で制御対象機器2は加速または減速することなく、第二の物理量ωは維持される。その結果、第二の物理量ωを、制限値ω-以上制限値ω+以下に収めることができる。
以上のように、実施例1の制御装置1-1によれば、制御モード決定部10-1は、予め設定された制御入力値α-,α+を用いて得られる前記式(1)の曲線k、及び予め設定された制限値ω-,ω+等を用いて得られる前記式(3)(4)の半直線h1,h2により仕切られる複数の領域R1~R4を設定する。そして、制御モード決定部10-1は、複数の領域R1~R4のうち第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωが存在する領域に応じて、制御モードmを決定する。
制御入力値選択部11-1は、前記式(7)のとおり、制御入力値α-,0,α+の中から、制御モードmに応じた制御入力値uを選択し、制御入力値uを制御対象機器2へ出力する。
ここで、図7にて説明したとおり、現在の誤差Δθ,Δωが領域R1,R2から半直線h1,h2を超えて領域R3,R4に存在するようになると、制御モードm=3が決定される。具体的には、第二の物理量ωが制限値ω-を超えると(ω<ω-)、または制限値ω+を超えると(ω>ω+)、制御モードm=3が決定される。そうすると、制御入力値u=α-,α+がそれぞれ制御入力値u=0に変更される。これにより、制御対象機器2は加速または減速することなく、第二の物理量ωは維持されるから、結果として、第二の物理量ωは制限値ω-以上制限値ω+以下の範囲に収まるようになる。
したがって、第二の物理量ωを制限値ω-以上制限値ω+以下に収めながら、第一の物理量θ及び第二の物理量ωを所望の目標値θt,ωtに収束させることができる。
実施例1では、曲線k及び半直線h1,h2を設定することで、第二の物理量ωに制限を課すことができる。また、位相面上での制御モードmの判定処理、及び制御入力値α-,0,α+からの制御入力値uの選択処理という極めて処理コストの小さな回路によって制御を実現することができ、小規模化、廉価化及び処理の高速化を実現することができる。このため、従来のPID制御に比べ簡易な手法にて、第二の物理量ωに制限を加えた制御を実現することができ、制御対象機器2の最大定格を超える等の不具合をなくすことができる。
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。実施例1では、第二の物理量ωが制限値ω-,ω+の範囲内に収まることとなるが、第一の物理量θには制限が課されていないため、大きな値となる可能性があり、制御上の不都合が生じることがある。実施例2は、このような問題を解決するものである。
実施例2は、第一の物理量θが制限値θ-,θ+の範囲内に収まり、かつ第二の物理量ωが制限値ω-,ω+の範囲内に収まるように制限を課しながら、第一の物理量θ及び第二の物理量ωがそれぞれの目標値θt,ωt(ωt=0)に一致するように、スライディングモード制御により、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から制御入力値uを選択する例である。
図8は、実施例2の制御装置1の構成を示すブロック図である。この制御装置1-2は、制御モード決定部10-2及び制御入力値選択部11-2を備えている。
(制御モード決定部10-2)
制御モード決定部10-2は、第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωt=0を入力すると共に、制御対象機器2から第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力する。また、制御モード決定部10-2は、予め設定された制限値列(θ-,θ+,ω-,ω+)及び制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)を入力する。
予め設定された制限値列(θ-,θ+,ω-,ω+)において、θ-は第一の物理量θにおける負の定数の制限値であり、θ+は第一の物理量θにおける正の定数の制限値である。ω-は第二の物理量ωにおけるの負の定数の制限値であり、ω+は第二の物理量ωにおける正の定数の制限値である。制限値列(θ-,θ+,ω-,ω+)のそれぞれは、θ-<θ+及びω-<ω+を満たす実数値である。
予め設定された制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)において、αminは最小の負の定数の制御入力値であり、α-は負の定数の制御入力値であり、0はゼロの制御入力値であり、α+は正の定数の制御入力値であり、αmaxは最大の正の定数の制御入力値である。制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)のそれぞれは、αmin<α-<0<α+<αmaxを満たす実数値である。
例えば制御入力値α-,α+は、制御対象機器2に備えたモータ、スラスタ等のトルクまたは推力の(常用時に収めるべき)定格値とする。また、制御入力値αmin,αmaxは、制御対象機器2に備えたモータ、スラスタ等のトルクまたは推力の(非常時用の)最大定格値とする。
制御モード決定部10-2は、制御入力値α-,α+を用いて設定される前記式(1)の曲線k、制限値ω-,ω+等を用いて設定される半直線h1,h2、及び制限値θ-,θ+等を用いて設定される曲線j1,j2により仕切られる複数の領域を設定する。そして、制御モード決定部10-2は、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωが存在する領域に応じて、制御モードm(1から5までのいずれか)を決定する。制御モード決定部10-2は、制御モードmを制御入力値選択部11-2に出力する。
図9は、実施例2における制御モード決定部10-2の構成を示すブロック図であり、図10は、制御モード決定部10-2の処理を示すフローチャートであり、図11は、制御モード決定部10-2の処理を説明する位相面図である。図11において、横軸は第一の物理量の誤差Δθ=θ-θtを示し、縦軸は第二の物理量の誤差Δω=ω-ωtを示す。
この制御モード決定部10-2は、減算部20、境界設定部21-2、領域設定部22-2及びモード決定部23-2を備えている。
制御モード決定部10-2は、第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωt=0を入力すると共に、制御対象機器2から第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力する。また、制御モード決定部10-2は、予め設定された制限値列(θ-,θ+,ω-,ω+)及び制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)を入力する(ステップS1001)。
減算部20は、前記式(2)のとおり、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωを求める(ステップS1002)。減算部20は、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωをモード決定部23-2に出力する。
境界設定部21-2は、制御入力値α-,α+を用いて、図11に示す曲線k(図5に示した曲線k)を設定すると共に、第二の物理量の目標値ωt=0及び制限値ω-,ω+を用いて、図11に示す半直線h1,h2(図5に示した半直線h1,h2)を設定する。また、境界設定部21-2は、第一の物理量の目標値θt、制限値θ-,θ+及び制御入力値αmin,αmaxを用いて、図11に示す曲線j1,j2を設定する(ステップS1003)。
曲線kは前記式(1)にて表され、半直線h1,h2は前記式(3)(4)にて表される。曲線j1は、以下の式にて表される。
Figure 0007357555000015
曲線j2は、以下の式にて表される。
Figure 0007357555000016
境界設定部21-2は、曲線k、半直線h1,h2及び曲線j1,j2を、各領域の境界に設定し(ステップS1004)、境界情報(k,h1,h2,j1,j2)を領域設定部22-2に出力する。
領域設定部22-2は、境界設定部21-2から境界情報(k,h1,h2,j1,j2)を入力し、境界により仕切られる領域R1~R6を設定し(ステップS1005)、領域情報(R1~R6)をモード決定部23-2に出力する。
モード決定部23-2は、減算部20から第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωを入力すると共に、領域設定部22-2から領域情報(R1~R6)を入力する。そして、モード決定部23-2は、誤差Δθ,Δω及び領域情報の示す領域R1~R6から、制御モードmを決定する(ステップS1006)。モード決定部23-2は、制御モードmを制御入力値選択部11-2に出力する(ステップS1007)。
具体的には、モード決定部23-2は、図11に示すΔθΔω位相面上において、入力した誤差Δθ,Δωの位相が領域R1~R6のうちのいずれの領域に存在するかを判定し、その領域に応じた制御モードmを決定する。
モード決定部23-2は、入力した誤差Δθ,Δωが以下に示す領域R1の条件を満たす場合、図11に示すように、制御モードm=1に決定する。
Figure 0007357555000017
また、モード決定部23-2は、入力した誤差Δθ,Δωが以下に示す領域R2の条件を満たす場合、図11に示すように、制御モードm=2に決定する。
Figure 0007357555000018
また、モード決定部23-2は、入力した誤差Δθ,Δωが以下に示す領域R5の条件を満たす場合、図11に示すように、制御モードm=4に決定する。
Figure 0007357555000019
また、モード決定部23-2は、入力した誤差Δθ,Δωが以下に示す領域R6の条件を満たす場合、図11に示すように、制御モードm=5に決定する。
Figure 0007357555000020
また、モード決定部23-2は、入力した誤差Δθ,Δωが領域R3または領域R4の条件を満たす場合、すなわち前記式(10)から前記式(13)までのいずれも満たさない場合、図11に示すように、制御モードm=3に決定する。
尚、前記式(10)から前記式(13)までの不等号のいずれに等号を含め、またいずれに不等号を含めるかは任意である。図10に示した処理は、所定のスキャン毎に行われる。
(制御入力値選択部11-2)
図8に戻って、制御入力値選択部11-2は、制御モード決定部10-2から制御モードmを入力すると共に、予め設定された制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)を入力する。そして、制御入力値選択部11-2は、制御モードmに応じた制御入力値uを選択して制御対象機器2へ出力する。
図12は、実施例2における制御入力値選択部11-2の処理を示すフローチャートである。制御入力値選択部11-2は、制御モード決定部10-2から制御モードmを入力すると共に、予め設定された制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)を入力する(ステップS1201)。
制御入力値選択部11-2は、以下の式のとおり、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から、制御モードmに応じた制御入力値uを選択する。
Figure 0007357555000021
すなわち、制御入力値選択部11-2は、制御モードmが1~5のいずれであるかを判定する(ステップS1202)。制御入力値選択部11-2は、制御モードm=1であると判定した場合(ステップS1202:m=1)、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から負の制御入力値u=α-を選択する(ステップS1203)。
一方、制御入力値選択部11-2は、制御モードm=2であると判定した場合(ステップS1202:m=2)、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から正の制御入力値u=α+を選択する(ステップS1204)。
また、制御入力値選択部11-2は、制御モードm=3であると判定した場合(ステップS1202:m=3)、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から零の制御入力値u=0を選択する(ステップS1205)。
また、制御入力値選択部11-2は、制御モードm=4であると判定した場合(ステップS1202:m=4)、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から最小の負の制御入力値u=αminを選択する(ステップS1206)。
また、制御入力値選択部11-2は、制御モードm=5であると判定した場合(ステップS1202:m=5)、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から最大の正の制御入力値u=αmaxを選択する(ステップS1207)。
制御入力値選択部11-2は、ステップS1203~S1207にて選択した制御入力値uを制御対象機器2へ出力する(ステップS1208)。図12に示した処理は、所定のスキャン毎に行われる。
(位相の軌跡)
次に、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωの位相の軌跡について説明する。図13は、実施例2における位相の軌跡を説明する図であり、図11に示した位相面図に対応している。
第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωの位相α1を起点とすると、位相α1は領域R1に存在するため、制御モードm=1となり、制御入力値u=α-が出力される。そうすると、位相は矢印の方向へ移動し、曲線j1に到達し(位相α2)、曲線j1を越える場合、制御モードm=4となり、制御入力値u=αminが出力される。
その後、位相はほぼ曲線j1上を矢印の方向へ移動し、誤差Δθの軸を越えて、曲線kに到達し(位相α3)、曲線kを超える場合、制御モードm=2となり、制御入力値u=α+が出力される。そして、位相はほぼ曲線k上を矢印の方向へ移動し、Δθ=0及びΔω=0の位相に収束する。
ここで、曲線j1が存在しない場合、すなわち制御モードm=4が存在しない実施例1の場合には、位相は、起点の位相α1から矢印の方向へ移動し、曲線j1を越えて方向βへ移動する(丸印の点線を参照)。
このように、実施例1では、スライディングモード制御を実行しているときに、第一の物理量θは、制限値θ+を越えてしまうこととなる(θ>θ+)。同様に、実施例1では、第一の物理量θは、制限値θ-を越えてしまうこととなる(θ<θ-)。
これに対し、実施例2では、曲線j1,j2を設定して領域R5,R6を設けることで、制御入力値u=αmin,αmaxを出力する制御モードm=4,5を決定するようにしたから、この領域R5,R6で制御対象機器2は急減速する。その結果、第一の物理量θを、制限値θ-以上制限値θ+以下に収めることができる。つまり、実施例2では、第二の物理量ωを、制限値ω-以上制限値ω+以下に収めることができると共に、第一の物理量θを、制限値θ-以上制限値θ+以下に収めることができる。
以上のように、実施例2の制御装置1-2によれば、制御モード決定部10-2は、予め設定された制御入力値α-,α+を用いて得られる前記式(1)の曲線k、予め設定された制限値ω-,ω+等を用いて得られる前記式(3)(4)の半直線h1,h2、及び予め設定された制限値θ-,θ+等を用いて得られる前記式(8)(9)の曲線j1,j2により仕切られる複数の領域R1~R6を設定する。そして、制御モード決定部10-2は、複数の領域R1~R6のうち第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωが存在する領域に応じて、制御モードmを決定する。
制御入力値選択部11-2は、前記式(14)のとおり、制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxの中から、制御モードmに応じた制御入力値uを選択し、制御入力値uを制御対象機器2へ出力する。
ここで、図13にて説明したとおり、現在の誤差Δθ,Δωが領域R1,R2から曲線j1,j2を超えて領域R5,R6に存在するようになると、制御モードm=4,5が決定される。具体的には、第一の物理量θが大きくなり現在の誤差Δθ,Δωが領域R5に存在すると、制御モードm=4が決定され、第一の物理量θが小さくなり現在の誤差Δθ,Δωが領域R6に存在すると、制御モードm=5が決定される。そうすると、制御入力値u=α-,α+がそれぞれ制御入力値u=αmin,αmaxに変更される。これにより、制御対象機器2は急減速するから、結果として、第一の物理量θは制限値θ-以上制限値θ+以下の範囲に収まるようになる。また、実施例1と同様に、第二の物理量ωは、制限値ω-以上制限値ω+以下の範囲に収まるようになる。
これにより、第一の物理量θを制限値θ-以上制限値θ+以下に収め、かつ第二の物理量ωを制限値ω-以上制限値ω+以下に収めながら、第一の物理量θ及び第二の物理量ωを所望の目標値θt,ωtに収束させることができる。
また、制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)がαmax>α+、α->αminまたはその両方を満たすように予め設定されることで、第一の物理量θが制限値θ-以上制限値θ+以下の範囲を逸脱しそうな場合に、緊急回避を行うことができる。
実施例2では、曲線k、半直線h1,h2及び曲線j1,j2を設定することで、第一の物理量θ及び第二の物理量ωに制限を課すことができる。また、位相面上での制御モードmの判定処理、及び制御入力値αmin,α-,0,α+,αmaxからの制御入力値uの選択処理という極めて処理コストの小さな回路によって制御を実現することができ、小規模化、廉価化及び処理の高速化を実現することができる。このため、従来のPID制御に比べ簡易な手法にて、第一の物理量θ及び第二の物理量ωに制限を加えた制御を実現することができ、制御対象機器2の最大定格を超える等の不具合をなくすことができる。
〔実施例3〕
次に、実施例3について説明する。実施例1及び実施例2では、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωが原点(Δθ=Δω=0)に近くなると、例えば制御周期等に起因する無駄時間によって第一の物理量θまたは第二の物理量ωが不安定になったり、振動的になったりすることがある。実施例3は、このような問題を解決するものである。
実施例3は、実施例1または実施例2において、誤差Δθ,Δωが所定の集合B(原点(Δθ=Δω=0)を含む集合)の領域に存在する場合、実施例1または実施例2の制御入力値uよりも絶対値が小さく、かつ符号が同一の値(零を含む)を出力する例である。
図14は、実施例3の制御装置1の構成を示すブロック図である。この制御装置1-3は、制御モード決定部10-3及び制御入力値選択部11-3を備えている。この例は、実施例2を前提とするものである。
(制御モード決定部10-3)
制御モード決定部10-3は、第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωt=0を入力すると共に、制御対象機器2から第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力する。また、制御モード決定部10-3は、予め設定された制限値列(θ-,θ+,ω-,ω+)及び制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)を入力すると共に、予め設定されたBパラメータ列(θa,θb,ωa,ωb)を入力する。Bパラメータθa,θb,ωa,ωbは、θ<θかつω<ωを満たす実数値である。
制御モード決定部10-3は、制御入力値α-,α+を用いて設定される曲線k、制限値ω-,ω+等を用いて設定される半直線h1,h2、及び制限値θ-,θ+等を用いて設定される曲線j1,j2により仕切られる複数の領域R1~R6を設定する。また、制御モード決定部10-3は、Bパラメータθa,θb,ωa,ωbを用いて集合Bを設定する。
制御モード決定部10-3は、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωが存在する領域R1~R6及び集合Bに応じて、制御モードm(1~7のうちのいずれか)を決定する。制御モード決定部10-3は、制御モードmを制御入力値選択部11-3に出力する。
図15は、実施例3における制御モード決定部10-3の構成を示すブロック図であり、図16は、制御モード決定部10-3の処理を示すフローチャートであり、図17は、制御モード決定部10-3の処理を説明する位相面図である。図17において、横軸は第一の物理量の誤差Δθ=θ-θtを示し、縦軸は第二の物理量の誤差Δω=ω-ωtを示す。
この制御モード決定部10-3は、減算部20、境界設定部21-2、領域設定部22-2及びモード決定部23-3を備えている。
制御モード決定部10-3は、第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωt=0を入力すると共に、制御対象機器2から第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力する。また、制御モード決定部10-3は、予め設定された制限値列(θ-,θ+,ω-,ω+)、制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)及びBパラメータ列(θa,θb,ωa,ωb)を入力する(ステップS1601)。
減算部20は、図10のステップS1002と同様に、第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωを求める(ステップS1602)。
境界設定部21-2は、図10のステップS1003と同様に、曲線k、半直線h1,h2及び曲線j1,j2を設定する(ステップS1603)。そして、境界設定部21-2は、図10のステップS1004と同様に、曲線k、半直線h1,h2及び曲線j1,j2を、各領域の境界に設定する(ステップS1604)。
領域設定部22-2は、図10のステップS1005と同様に、境界設定部21-2から入力した境界情報(k,h1,h2,j1,j2)により仕切られる領域R1~R6を設定する(ステップS1605)。
モード決定部23-3は、減算部20から第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωを入力すると共に、領域設定部22-2から領域情報(R1~R6)を入力する。また、モード決定部23-3は、予め設定されたBパラメータ列(θa,θb,ωa,ωb)を入力する。
モード決定部23-3は、Bパラメータθa,θb,ωa,ωbを用いて、以下の式のように、集合Bを設定する(ステップS1606)。
Figure 0007357555000022
前記式(15)の集合Bは、原点(Δθ=Δω=0)を中心とする矩形領域(内側を含む)であり、制御モードm=3の領域R3,R4と重ならない領域とする。
尚、集合Bは、必ずしも前記式(15)に示す矩形領域である必要はなく、前記式(1)に示す曲線kからの距離が有限であって、原点(Δθ=Δω=0)を含み、かつ制御モードm=3の領域R3,R4を含まない領域であればよい。
モード決定部23-3は、誤差Δθ,Δω、領域情報の示す領域R1~R6、及び集合Bから、制御モードmを決定する(ステップS1607)。モード決定部23-3は、制御モードmを制御入力値選択部11-3に出力する(ステップS1608)。
具体的には、モード決定部23-3は、図17に示すΔθΔω位相面上において、入力した誤差Δθ,Δωの位相が領域R1~R6のうちのいずれの領域に存在するかを判定する。
モード決定部23-3は、入力した誤差Δθ,Δωが前記式(10)に示した領域R1の条件を満たし、かつ集合Bに含まれない場合、図17に示すように、制御モードm=1に決定する。
モード決定部23-3は、入力した誤差Δθ,Δωが前記式(10)に示した領域R1の条件を満たし、かつ集合Bに含まれる場合、図17に示すように、制御モードm=6(=m’)に決定する。
モード決定部23-3は、入力した誤差Δθ,Δωが前記式(11)に示す領域R2の条件を満たし、かつ集合Bに含まれない場合、図17に示すように、制御モードm=2に決定する。
モード決定部23-3は、入力した誤差Δθ,Δωが前記式(11)に示す領域R2の条件を満たし、かつ集合Bに含まれる場合、図17に示すように、制御モードm=7(=m’)に決定する。
モード決定部23-3は、入力した誤差Δθ,Δωが前記式(12)に示す領域R5の条件を満たす場合、図17に示すように、制御モードm=4に決定する。
モード決定部23-3は、入力した誤差Δθ,Δωが前記式(13)に示す領域R6の条件を満たす場合、図17に示すように、制御モードm=5に決定する。
モード決定部23-3は、入力した誤差Δθ,Δωが領域R3または領域R4の条件を満たす場合、すなわち前記式(10)から前記式(13)までのいずれも満たさない場合、図17に示すように、制御モードm=3に決定する。図16に示した処理は、所定のスキャン毎に行われる。
(制御入力値選択部11-3)
図14に戻って、制御入力値選択部11-3は、制御モード決定部10-3から制御モードmを入力すると共に、予め設定された制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)及び制御入力パラメータλを入力する。制御入力パラメータλは、0≦λ<1を満たす定数である。そして、制御入力値選択部11-3は、制御モードmに応じた制御入力値uを選択して制御対象機器2へ出力する。
図18は、実施例3における制御入力値選択部11-3の処理を示すフローチャートである。制御入力値選択部11-3は、制御モード決定部10-3から制御モードmを入力すると共に、予め設定された制御入力値列(αmin,α-,0,α+,αmax)及び制御入力パラメータλを入力する(ステップS1801)。
制御入力値選択部11-3は、制御入力パラメータλを制御入力値α-に乗算して、制御入力値λα-を求めると共に、制御入力パラメータλを制御入力値α+に乗算して、制御入力値λα+を求める。
制御入力値選択部11-3は、以下の式のとおり、制御入力値αmin,α-,λα-,0,λα+,α+,αmaxの中から、制御モードmに応じた制御入力値uを選択する。
Figure 0007357555000023
すなわち、制御入力値選択部11-3は、制御モードmが1~7のいずれであるかを判定する(ステップS1802)。制御入力値選択部11-3は、図12のステップS1203~S1207と同様に、制御モードm=1~5に応じて、負の制御入力値u=α-、正の制御入力値u=α+、零の制御入力値u=0、最小の負の制御入力値u=αminまたは最大の正の制御入力値u=αmaxを選択する(ステップS1803~S1807)。
また、制御入力値選択部11-3は、制御モードm=6(=m’)であると判定した場合(ステップS1802:m=6)、制御入力値αmin,α-,λα-,0,λα+,α+,αmaxの中から、制御入力値α-に対してゲインを下げた制御入力値u=λα-を選択する(ステップS1808)。
また、制御入力値選択部11-3は、制御モードm=7(=m’)であると判定した場合(ステップS1802:m=7)、制御入力値αmin,α-,λα-,0,λα+,α+,αmaxの中から、制御入力値α+に対してゲインを下げた制御入力値u=λα+を選択する(ステップS1809)。
つまり、制御入力値選択部11-3は、制御モードm=6,7(=m’)である場合、制御入力値uとして、制御入力値α-または制御入力値α+よりも絶対値が小さく、かつ符号が同一の値(λα-またはλα+)を選択する。
制御入力値選択部11-3は、ステップS1803~S1809にて選択した制御入力値uを制御対象機器2へ出力する(ステップS1810)。図18に示した処理は、所定のスキャン毎に行われる。尚、λ=0の場合、図17に示した集合Bはいわゆるデッドバンドとなる。
以上のように、実施例3の制御装置1-3によれば、制御モード決定部10-3は、実施例2の制御モード決定部10-2と同様に、複数の領域R1~R6を設定する。また、制御モード決定部10-3は、Bパラメータθa,θb,ωa,ωbを用いて集合Bを設定する。そして、制御モード決定部10-3は、複数の領域R1~R6及び集合Bのうち第一の物理量の誤差Δθ及び第二の物理量の誤差Δωが存在する領域に応じて、制御モードmを決定する。
制御入力値選択部11-3は、前記式(16)のとおり、制御入力値αmin,α-,λα-,0,λα+,α+,αmaxの中から、制御モードmに応じた制御入力値uを選択し、制御入力値uを制御対象機器2へ出力する。
ここで、現在の誤差Δθ,Δωが集合B以外の領域R1,R2から集合Bに存在するようになると、制御モードm=6,7(=m’)が決定される。具体的には、第一の物理量θ及び第二の物理量ωが小さくなり現在の誤差Δθ,Δωが集合Bに存在すると、制御モードm=6,7(=m’)が決定される。そうすると、制御入力値u=α-,α+がそれぞれ制御入力値u=λα-,λα+に変更される。これにより、制御入力値uのゲインが下がることとなる。また、実施例2と同様に、第一の物理量θは制限値θ-以上制限値θ+以下の範囲に収まり、第二の物理量ωは、制限値ω-以上制限値ω+以下の範囲に収まるようになる。
これにより、実施例2と同様の効果を得ることができる。さらに、例えば制御周期等に起因する無駄時間によって第一の物理量θまたは第二の物理量ωが不安定になったり、振動的になったりすることを回避できる。
また、この実施例3では、誤差Δθ,Δωが制御モードm=3の領域R3,R4に存在する場合、制御入力値u=0が出力されるため、領域R3,R4ではゲインを下げる操作は行われない。この点において、原点からの距離に応じて制御入力値uに対するゲインを調整する前述した特許文献1の手法と相違する。
実施例3では、制御モードm=3の領域R3,R4は惰走の領域であり、制御モードm=1,2にて問題となるリップルのおそれがないため、ゲインを下げる操作を行わなくても支障がない。また、ゲインを下げることによる制御対象機器2の応答の鈍化を避けることができる。実施例1,2についても同様である。
以上、実施例1~3を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1~3に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、前記実施例3において、制御装置1-3の制御入力値選択部11-3は、予め設定された制御入力パラメータλを入力するようにした。これに対し、制御入力値選択部11-3は、原点から誤差Δθ,Δωまでの距離を算出し、当該距離に応じた制御入力パラメータλ(例えば、距離に比例した制御入力パラメータλ)を求めるようにしてもよい。
また、前記実施例3において、制御装置1-3の制御入力値選択部11-3は、予め設定された制御入力値α-,α+及び制御入力パラメータλを入力し、制御入力値λα-,λα+を求めるようにした。これに対し、制御入力値選択部11-3は、制御入力値λα-,λα+の代わりに、それぞれ制御入力値α-,α+に対してゲインを下げた予め設定された値を入力するようにしてもよい。
また、図14~図18を用いて説明した実施例3は、実施例2を前提とするものであるが、前述のとおり実施例1を前提とするようにしてもよい。
また、前記実施例1~3は、第一の物理量θ、第二の物理量ω及び制御入力値uがそれぞれ位置、速度及び加速度(または力)である場合、例えば宇宙機のスラスタ、リニアモータ等の位置制御及び速度制御に適用することができる。
また、前記実施例1~3は、第一の物理量θ、第二の物理量ω及び制御入力値uがそれぞれ角度、角速度及び角加速度(またはトルク)である場合、例えばモータ、エンジンの角度制御及び角速度制御に適用することができる。
また、実施例1~3は、カメラ雲台を用いたパン、チルト及びズームの制御にも適用がある。具体的には、制御対象機器2をカメラ雲台とし、第一の物理量θをパンの角度、第二の物理量ωをパンの角速度、及び制御入力値uをパンの角加速度(またはトルク)として、実施例1~3が実現される。また、第一の物理量θをチルトの角度、第二の物理量ωをチルトの角速度、及び制御入力値uをチルトの角加速度(またはトルク)としてもよい。また、第一の物理量θをズームの位置、第二の物理量ωをズームの速度、及び制御入力値uをズームの加速度(または力)としてもよい。この場合、制御装置1-1~1-3のそれぞれは、パン、チルト及びズームの3系統を制御するようにしてもよいし、3系統のうちの所定の2系統または1系統を制御するようにしてもよい。
尚、本発明の実施例1~3による制御装置1-1~1-3のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。制御装置1-1~1-3は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
制御装置1-1に備えた制御モード決定部10-1及び制御入力値選択部11-1の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。制御装置1-2に備えた制御モード決定部10-2及び制御入力値選択部11-2、並びに制御装置1-3に備えた制御モード決定部10-3及び制御入力値選択部11-3についても同様である。
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
1、1-1、1-2、1-3 制御装置
2 制御対象機器
10-1、10-2、10-3 制御モード決定部
11-1、11-2、11-3 制御入力値選択部
20 減算部
21-1、21-2 境界設定部
22-1、22-2 領域設定部
23-1、23-2、23-3 モード決定部
θ 第一の物理量
ω 第二の物理量
θt 第一の物理量の目標値
ωt 第二の物理量の目標値
Δθ 第一の物理量の誤差
Δω 第二の物理量の誤差
u 制御入力値
α- 負の制御入力値
α+ 正の制御入力値
αmin 最小の負の制御入力値
αmax 最大の正の制御入力値
θ- 第一の物理量θにおける負の制限値
θ+ 第一の物理量θにおける正の制限値
ω- 第二の物理量ωにおける負の制限値
ω+ 第二の物理量ωにおける正の制限値
m 制御モード
k,j1,j2 曲線
h1,h2 半直線
R1~R6 領域
B 集合
θa,θb,ωa,ωb Bパラメータ
λ 制御入力パラメータ
α1,α2,α3 位相
β 方向

Claims (7)

  1. 制御対象機器から観測対象の第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力し、当該第一の物理量θ及び当該第二の物理量ωをそれぞれ第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtに収束させるための制御入力値uを決定し、当該制御入力値uを前記制御対象機器へ出力する制御装置において、
    予め設定された負の定数の前記制御入力値uをα-、零の前記制御入力値uを0、正の定数の前記制御入力値uをα+、負の定数の制限値をω-、及び正の定数の制限値をω+として、
    前記第一の物理量θから前記第一の物理量の目標値θtを減算し、第一の物理量の誤差Δθを求めると共に、前記第二の物理量ωから前記第二の物理量の目標値ωtを減算し、第二の物理量の誤差Δωを求め、
    前記第一の物理量の誤差Δθ及び前記第二の物理量の誤差Δωが、第一の条件:
    Figure 0007357555000024
    を満たす場合、制御モードをm=1に決定し、
    第二の条件:
    Figure 0007357555000025
    を満たす場合、前記制御モードをm=2を決定し、
    前記第一の条件及び前記第二の条件のいずれも満たさない場合、前記制御モードをm=3に決定する制御モード決定部と、
    前記制御モード決定部により決定された前記制御モードがm=1の場合、前記制御入力値uとして前記α-を選択し、前記制御モードがm=2の場合、前記制御入力値uとして前記α+を選択し、前記制御モードがm=3の場合、前記制御入力値uとして前記0を選択する制御入力値選択部と、
    を備えたことを特徴とする制御装置。
  2. 制御対象機器から観測対象の第一の物理量θ及び第二の物理量ωを入力し、当該第一の物理量θ及び当該第二の物理量ωをそれぞれ第一の物理量の目標値θt及び第二の物理量の目標値ωtに収束させるための制御入力値uを決定し、当該制御入力値uを前記制御対象機器へ出力する制御装置において、
    最小の負の定数の前記制御入力値uをαmin、負の定数の前記制御入力値uをα-、零の前記制御入力値uを0、正の定数の前記制御入力値uをα+、最大の正の定数の前記制御入力値uをαmax、負の定数の制限値をθ-、正の定数の制限値をθ+、負の定数の制限値をω-、及び正の定数の制限値をω+として、
    前記第一の物理量θから前記第一の物理量の目標値θtを減算し、第一の物理量の誤差Δθを求めると共に、前記第二の物理量ωから前記第二の物理量の目標値ωtを減算し、第二の物理量の誤差Δωを求め、
    前記第一の物理量の誤差Δθ及び前記第二の物理量の誤差Δωが、第三の条件:
    Figure 0007357555000026
    を満たす場合、制御モードをm=1に決定し、
    第四の条件:
    Figure 0007357555000027
    を満たす場合、前記制御モードをm=2に決定し、
    第五の条件:
    Figure 0007357555000028
    を満たす場合、前記制御モードをm=4に決定し、
    第六の条件:
    Figure 0007357555000029
    を満たす場合、前記制御モードをm=5に決定し、
    前記第三の条件、前記第四の条件、前記第五の条件及び前記第六の条件のいずれも満たさない場合、前記制御モードをm=3に決定する制御モード決定部と、
    前記制御モード決定部により決定された前記制御モードがm=1の場合、前記制御入力値uとして前記α-を選択し、前記制御モードがm=2の場合、前記制御入力値uとして前記α+を選択し、前記制御モードがm=3の場合、前記制御入力値uとして前記0を選択し、前記制御モードがm=4の場合、前記制御入力値uとして前記αminを選択し、前記制御モードがm=5の場合、前記制御入力値uとして前記αmaxを選択する制御入力値選択部と、
    を備えたことを特徴とする制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の制御装置において、
    前記制御モード決定部は、
    前記第一の物理量の誤差Δθ及び前記第二の物理量の誤差Δωが、以下の数式:
    Figure 0007357555000030
    で表される曲線からの距離が有限であって、原点(Δθ=Δω=0)を含み、かつ前記制御モードがm=3の領域を含まない集合Bに含まれる場合、前記制御モードをm=m’に決定し、
    前記制御入力値選択部は、
    前記制御モード決定部により決定された前記制御モードがm=m’の場合、前記制御入力値uとして、前記α-または前記α+よりも絶対値が小さく、かつ符号が同一の値を選択する、ことを特徴とする制御装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記第一の物理量θを位置とし、前記第二の物理量ωを速度とし、前記制御入力値uを加速度または力とする、ことを特徴とする制御装置。
  5. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記第一の物理量θを角度とし、前記第二の物理量ωを角速度とし、前記制御入力値uを角加速度またはトルクとする、ことを特徴とする制御装置。
  6. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記制御対象機器はカメラ雲台であり、前記第一の物理量θをパンの角度とした場合、前記第二の物理量ωは前記パンの角速度、及び前記制御入力値uは前記パンの角加速度またはトルクであり、
    前記第一の物理量θをチルトの角度とした場合、前記第二の物理量ωは前記チルトの角速度、及び前記制御入力値uは前記チルトの角加速度またはトルクであり、
    前記第一の物理量θをズームの位置とした場合、前記第二の物理量ωは前記ズームの速度、及び前記制御入力値uは前記ズームの加速度または力である、ことを特徴とする制御装置。
  7. コンピュータを、請求項1から6までのいずれか一項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
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