メチル化DNAは、ほとんどの腫瘍タイプの組織中のバイオマーカーの潜在クラスとして研究されている。多くの例において、DNAメチルトランスフェラーゼは、シトシン-リン酸-グアニン(CpG)アイランド部位において遺伝子発現のエピジェネティック制御として、メチル基をDNAに加える。生物学的誘引性機構において、がん抑制遺伝子のプロモーター領域中で得られたメチル化事象は、発現を停止させると考えられるので、発がんに寄与する。DNAメチル化は、RNAまたはタンパク質発現より化学的に、かつ生物学的に安定した診断ツールであることができる(Laird(2010) Nat Rev Genet 11:191-203)。さらに、散発性大腸癌のような他のがんにおいて、メチル化マーカーは、優れた特異度を提示し、個々のDNA変異であるものより広く情報価値及び感受性がある(Zou et al(2007) Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 16:2686-96)。
CpGアイランドの分析は、動物モデル及びヒト細胞株に適用されるときに、重要な知見をもたらす。たとえば、Zhang及び同僚らは、同一のCpGアイランドの異なる部分からのアンプリコンがメチル化の異なるレベルを有することができることを見出した(Zhang et al.(2009)PLoS Genet 5:e1000438)。さらに、メチル化レベルは、高度にメチル化された配列と、メチル化していない配列との間の二峰性に分布し、さらにDNAメチルトランスフェラーゼ活性のバイナリスイッチ様パターンを支援した(Zhang et al.(2009)PLoS Genet 5:e1000438)。インビボのマウス組織、及びインビトロの細胞株の分析は、約0.3%の高いCpG密度のプロモーター(HCP、300塩基対領域内の>7%のCpG配列を有すると定義される)のみをメチル化したが、低いCpG密度の領域(LCP、300塩基対領域内に<5%のCpG配列を有すると定義される)が動的組織特異的パターンにおいて頻繁にメチル化される傾向にあったことを立証した(Meissner et al.(2008)Nature 454:766-70)。HCPは、ユビキタスハウスキーピング遺伝子及び高度に調節された発生遺伝子についてのプロモーターを含む。HCP部位間で>50%にメチル化されたのは、Wnt2、NDRG2、SFRP2、及びBMP3などの、いくつかの確立されたマーカーであった(Meissner et al.(2008)Nature454:766-70)。
DNAメチルトランスフェラーゼによるシトシン-リン酸-グアニン(CpG)アイランド部位におけるDNAのエピジェネティックメチル化は、ほとんどの腫瘍タイプの組織におけるバイオマーカーの潜在クラスとして研究されている。生物学的誘引性機構において、がん抑制遺伝子のプロモーター領域中で得られたメチル化事象は、発現を停止させると考えられ、発がんに寄与する。DNAメチル化は、RNAまたはタンパク質発現より化学的に、かつ生物学的に安定した診断ツールであることができる。さらに、散発性大腸癌のような他のがんにおいて、異常メチル化マーカーは、個々のDNA変異であるものより広く情報価値があり、高感度であり、優れた特異度を提示する。
いくつかの方法は、新規のメチル化マーカーを探索するために利用可能である。CpGメチル化のマイクロアレイに基づく照合は、合理的で、高スループットなアプローチであるが、この方針は、既知の関心領域、主に確立された腫瘍抑制因子プロモーターの方へ偏る。DNAメチル化のゲノムワイド分析のための代替の方法は、過去十年間に開発されている。3つの基本的なアプローチがある。第一のアプローチは、特異的メチル化部位を認識する制限酵素によるDNAの消化を用いた後に、いくつかの可能な分析技術を用いて、酵素認識部位またはプライマーに制限されるメチル化データを提供し、定量化ステップにおいてDNAを増幅する(メチル化特異的PCR;MSPなど)。第二のアプローチは、メチル-シトシンまたは他のメチル特異的結合ドメインを対象とする抗体を使用して、ゲノムDNAのメチル化分画を濃縮した後に、マイクロアレイ分析またはシーケンシングを伴い、フラグメントを基準ゲノムにマッピングする。このアプローチは、フラグメント内のすべてのメチル化部位の一塩基解像度を提供しない。第三のアプローチは、DNAの亜硫酸水素塩処置によって開始し、すべてのメチル化されていないシトシンをウラシルに変換した後に、制限酵素消化を伴い、アダプターリガンドにカップリングした後にすべてのフラグメントのシーケンシングを完了する。制限酵素の選択は、CpG高密度領域についてのフラグメントを濃縮し、分析中に複数の遺伝子位置にマッピングされることができる冗長配列数を減少させることが可能である。
RRBSは、すべてのCpGアイランドの80~90%の一塩基解像度におけるCpGメチル化状態データ、及び中程度から高いリードカバレッジにおける大部分の腫瘍抑制因子プロモーターをもたらす。がんの症例、対照研究において、これらのリードの分析は、可変メチル化領域(DMR)の同定をもたらす。膵癌検体の以前のRRBS分析において、何百個ものDMRは、網羅されず、これらの多くは、発がんと関連したことがなく、これらの多くは、アノテーションされていなかった。さらに、独立した組織試料セットにおける妥当性確認研究は、パフォーマンスの点で100%の感度及び特異度であったマーカーCpGを確認した。
本明細書に提供されるのは、前立腺癌スクリーニングについての科学技術であり、特に排他的ではないが、前立腺癌の存在を検出するための方法、組成物、及び関連用途である。
実際、実施例I~VIIIに記載されるように、本発明についての実施形態を特定する過程中に行われた実験は、前立腺由来のDNAのがんを非新生物の対照DNAと区別するために73箇所の可変メチル領域(DMR)の新しい1セットを特定した。加えて、前立腺上皮(がん及び正常)中でメチル化されるが、正常な白血球DNA試料中でメチル化されない、新しい10箇所のDMRを特定した。亜硫酸水素塩に変換された腫瘍及び正常DNAを濃縮された、CpGについての次世代シーケンシング研究から、これらの領域の両方のセットを特定した。腫瘍試料は、低悪性度のグリーソン6、及び高悪性度のグリーソン7+のパターンを含んだ。所有権のフィルタ及び分析を使用してDMRを選択し、新規のメチル化特異的PCR(MSP)アッセイを使用して独立した組織試料セットにおいて妥当性確認した。これらの73個のバイオマーカーアッセイは、組織中の優れた検出を実証し、広範囲の臨床特異度(いくつかは多くの異なる臓器部位にわたるがんのために、他は前立腺癌のみに特異的な)を有する。
これらのような実験により、前立腺癌組織を良性前立腺組織と区別する、新規の120個のDNAメチル化マーカー(表1)を列挙して、説明する。これら新規の120個のDNAメチル化マーカーから、さらなる実験により、高悪性度の前立腺癌組織(たとえば、グリーソンスコア7+)を良性前立腺組織と区別することができる73個のマーカーを特定した。より具体的に、前立腺癌組織を良性前立腺組織と区別することができた、マーカー及び/またはマーカーパネル(たとえば、ACOXL、AKR1B1_3644、ANXA2、CHST11_2206、FLJ45983、GAS6、GRASP、HAPLN3、HCG4P6、HES5_0822、ITPRIPL1、KCNK4、MAX.chr1.61519554-61519667、MAX.chr2.97193166-97193253、MAX.chr3.193、MAX.chr3.72788028-72788112、RAI1_7469、RASSF2、SERPINB9_3389、SLC4A11、及びTPM4_8047から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定した(実施例I~VIを参照する)。
本発明についての実施形態を開発する過程中に行われた追加の実験は、前立腺癌組織を良性前立腺組織と区別することができるマーカー(たとえば、SERPINB9_3479、FLOT1_1665、HCG4P6_4618、CHST11_2206、MAX.chr12.485、GRASP_0932、GAS6_6425、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971_3164、MAX.chr3.727_8028、HES5_0840、TPM4_8037、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定することを対象とし、これらのマーカーは、前立腺癌組織を良性前立腺組織と区別することができた(実施例VIII;表11を参照する)。
本発明についての実施形態を開発する過程中に行われた追加の実験は、高悪性度の前立腺癌組織(たとえば、グリーソンスコア7+)を低悪性度の前立腺癌組織(たとえば、グリーソンスコア6)と区別することができる、マーカー(たとえば、SERPINB9_3479、GRASP_0932、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、WNT3A_5487から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定することを対象とし、これらのマーカーは、前立腺癌組織を良性前立腺組織と区別することができた(実施例VIII;表11を参照する)。
本発明についての実施形態を開発する過程中に行われた追加の実験は、血液試料(たとえば、血液血漿試料)内の前立腺癌の存在または非存在を検出することができるマーカーを特定することを対象とした。実際、血液血漿試料内の前立腺癌組織の存在または非存在を検出することができた、マーカー、及び/またはマーカーパネル(たとえば、max.chr3.193、HES5、SLCO3A1、及びTPM4_8047から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定した(実施例I~VIを参照する)。
本明細書に記載されるように、この科学技術は、前立腺癌全体について高い区別を有する、複数のメチル化DNAマーカー及びそれらのサブセット(たとえば、2、3、4、5、6、7、または8個のマーカーセット)を提供する。実験は、選択フィルタを候補のマーカーに適用し、高い信号対ノイズ比、及び低いバックグラウンドレベルを提供するマーカーを特定し、前立腺癌スクリーニングまたは診断の目的のために高い特異度を提供した。
いくつかの実施形態において、この科学技術は、生物学的試料(たとえば、前立腺組織、血漿試料)中で本明細書に特定されるマーカーのうちの1つ以上の存在、及びメチル化状態を評価することに関する。これらのマーカーは、本明細書に考察されるような、たとえば、表1及び3に提供されるような、1箇所以上の可変メチル化領域(DMR)を含む。この科学技術の実施形態において、メチル化状態を評価する。このようなものとして、本明細書に提供される科学技術は、遺伝子のメチル化状態を測定する方法に限定されない。たとえば、いくつかの実施形態において、ゲノム走査方法によって、メチル化状態を測定する。たとえば、1つの方法は、制限ランドマークゲノム走査(Kawai et al.(1994)Mol.Cell.Biol.14:7421-7427)を含み、別の例は、メチル化感受性任意プライムPCRを含む(Gonzalgo et al.(1997)Cancer Res.57:594-599)。いくつかの実施形態において、メチル化感受性制限酵素によるゲノムDNAの消化後に関心領域のサザン分析(消化サザン方法)を伴うことによって、特異的CpG部位でのメチル化パターンにおける変化を監視する。いくつかの実施形態において、メチル化パターンにおける変化を分析することは、PCR増幅前にメチル化感受性制限酵素によるゲノムDNAの消化を有するPCRに基づくプロセスを伴う(Singer-Sam et al.(1990)Nucl.Acids Res.18:687)。加えて、メチル化分析のための出発点としてDNAの亜硫酸水素塩処置を利用する他の科学技術が報告されている。これらは、メチル化特異的PCR(MSP)(Herman et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:9821-9826)、及び亜硫酸水素塩に変換されたDNAから増幅されたPCR生成物の制限酵素消化(Sadri and Hornsby(1996)Nucl.Acids Res.24:5058-5059;及びXiong and Laird(1997)Nucl.Acids Res.25:2532-2534)を含む。PCR技術は、遺伝子変異の検出(Kuppuswamy et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:1143-1147)、及び対立遺伝子特異的発現の定量化(Szabo and Mann(1995)Genes Dev.9:3097-3108;及びSinger-Sam et al.(1992)PCR Methods Appl.1:160-163)のために開発されている。これらのような技術は、内部プライマーを使用し、PCRに生成された鋳型にアニールし、アッセイされる単一ヌクレオチドの5’で直ちに終結する。米国特許第7,037,650号に記載されるような「定量的Ms-SNuPEアッセイ」を使用する方法をいくつかの実施形態に用いる。
メチル化状態を評価すると、特定の部位を含む試料中のDNAの総母集団と比較して、このメチル化状態を特定の部位において(たとえば、単一ヌクレオチドにおいて、特定の領域もしくは座位において、対象となるより長い配列において、たとえば、1DNA以上の長さの約100-bp、200-bp、500-bp、1000-bpのサブシーケンスまで)メチル化されるDNAの個々の鎖の割合またはパーセンテージとして発現することが多い。慣習的に、キャリブレーターを使用してPCRによって、メチル化されていない核酸量を決定する。つぎに、既知のDNA量を亜硫酸水素塩処置し、リアルタイムPCR、または他の指数関数的増幅、たとえば、QuARTSアッセイ(たとえば、参照により本明細書に援用される、米国特許第8,361,720号、ならびに米国特許出願公開第2012/0122088号及び第2012/0122106号によって提供されるような)のいずれか一方を使用して、得られるメチル化特異的配列を決定する。
たとえば、いくつかの実施形態において、これらの方法は、外部標準物質を使用することによって、メチル化されていない標的について標準曲線を生じることを備える。この標準曲線は、少なくとも2点から構成され、メチル化されていないDNAについてのリアルタイムCt値を既知の定量的標準物質に関連させる。つぎに、メチル化された標的についての第二標準曲線は、少なくとも2点及び外部標準物質から構成される。この第二標準曲線は、メチル化されたDNAについてのCtを既知の定量的標準物質に関連させる。つぎに、メチル化された母集団、及びメチル化されていない母集団についての試験試料のCt値を決定し、DNAのゲノム当量を最初の2つのステップによって生じた標準曲線から計算する。関心部位におけるメチル化の割合を、母集団におけるDNAの総量に比例したメチル化DNA量、たとえば、(メチル化されたDNA数)/(メチル化されたDNA数+メチル化されていないDNA数)×100から計算する。
また本明細書に提供されるのは、これらの方法を実行するための組成物及びキットである。たとえば、いくつかの実施形態において、1つ以上のマーカーに特異的な試薬(たとえば、プライマー、プローブ)を、単独で、またはセット(たとえば、複数のマーカーを増幅するためのプライマー対のセット)で提供する。また、検出アッセイを行うための追加の試薬(たとえば、QuARTS、PCR、シーケンシング、亜硫酸水素塩、または他のアッセイを行うための、酵素、緩衝液、陽性及び陰性対照)を提供することができる。いくつかの実施形態において、方法を行うために必要な、十分な、または有用な1つ以上の試薬を含むこれらのキットを提供する。また、提供されるのは、これらの試薬を含む反応混合物である。さらに提供されるのは、互いに、及び/または試験試料に加えられ、反応混合物を完成させることができる、複数の試薬を含むマスターミックス試薬セットである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される科学技術は、本明細書に記載されるこれらの方法によって提供されるような、算術演算または論理演算の配列を実行するように設計される、プログラム可能なマシンと関連する。たとえば、科学技術のいくつかの実施形態は、コンピュータソフトウェア及び/またはコンピュータハードウェアと関連する(たとえば、これらに実装される)。1つの態様において、科学技術は、コンピュータに関し、このコンピュータは、メモリの形態、算術演算及び論理演算を実行するための素子、ならびに一連のインストラクション(たとえば、本明細書に提供されるような方法)を実行するための処理素子(たとえば、マイクロプロセッサ)を含み、データを読み取り、操作し、格納する。いくつかの実施形態において、マイクロプロセッサは、メチル化状態(たとえば、1つ以上のDMRの、たとえば、表1及び13に提供されるようなDMR1~140)を決定する;メチル化状態(たとえば、1つ以上のDMRの、たとえば、表1及び13に提供されるようなDMR1~140)を比較する;標準曲線を生じる;Ct値を決定する;メチル化分画、頻度、またはパーセンテージ(たとえば、1つ以上のDMRの、たとえば、表1及び13に提供されるようなDMR1~140)を計算する;CpGアイランドを特定する;アッセイまたはマーカーの特異度及び/または感度を決定する;ROC曲線及び関連AUCを計算する;分析を配列決定する;本明細書に記載されるようなすべて、または当該技術分野において知られている、システムの部分である。
いくつかの実施形態において、マイクロプロセッサまたはコンピュータは、アルゴリズムにメチル化状態データを使用し、がんの部位を予測する。
いくつかの実施形態において、ソフトウェアまたはハードウェアコンポーネントは、複数のアッセイの結果を受信し、単一値の結果を決定し、複数のアッセイの結果に基づきがんリスクを示すユーザに報告する(たとえば、表1及び3に提供されるような、たとえば、複数のDMRのメチル化状態を決定する)。関連した実施形態は、たとえば、複数のマーカー(たとえば、表1及び3に提供されるような、複数のDMRなど)のメチル化状態を決定することなどの、複数のアッセイからの結果の数学的結合(たとえば、重み付き結合、線形結合)に基づきリスク因子を計算する。いくつかの実施形態において、DMRのメチル化状態は、次元を画定し、多次元空間における値を有することができ、複数のDMRのメチル化状態によって画定される座標は、たとえば、ユーザに報告するための、たとえば、がんリスクに関連する、結果である。
いくつかの実施形態は、記憶媒体及びメモリコンポーネントを含む。メモリコンポーネント(たとえば、揮発性及び/または不揮発性メモリ)は、インストラクション(たとえば、本明細書に提供されるようなプロセスの実施形態)及び/またはデータ(たとえば、メチル化測定値、配列、及びそれらと関連する統計的説明などのワークピース)を格納する際の用途を見出す。またいくつかの実施形態は、CPU、グラフィックスカード、及びユーザインタフェース(たとえば、ディスプレイなどの出力デバイス、及びキーボードなどの入力デバイスを含む)のうちの1つ以上を含むシステムに関する。
この科学技術と関連するプログラマブルマシンは、従来の実存の科学技術、及び開発中の、または既に開発されている科学技術(たとえば、量子コンピュータ、化学コンピュータ、DNAコンピュータ、光コンピュータ、スピントロニクスベースのコンピュータなど)を含む。
いくつかの実施形態において、この科学技術は、データを伝送するための、有線(たとえば、金属ケーブル、光ファイバ)または無線伝送媒体を含む。たとえば、いくつかの実施形態は、ネットワーク(たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、アドホックネットワーク、インターネットなど)経由のデータ伝送に関する。いくつかの実施形態において、プログラマブルマシンは、ピアのようなネットワーク上に存在し、いくつかの実施形態において、プログラマブルマシンは、クライアント/サーバ関係を有する。
いくつかの実施形態において、データをハードディスク、フラッシュメモリ、光学媒体、フロッピーディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体上に格納する。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される科学技術は、協調して動作し、本明細書に記載されるような方法を実行する複数のプログラマブルデバイスと関連する。たとえば、いくつかの実施形態において、複数のコンピュータ(たとえば、ネットワークによって接続される)は、たとえば、イーサネット(登録商標)、光ファイバなどの従来のネットワークインタフェースによって、または無線ネットワーク技術によって、ネットワーク(プライベート、パブリック、またはインターネット)に接続される完全なコンピュータ(オンボードCPU、ストレージ、電源、ネットワークインタフェースなど)に依存する、クラスタコンピューティングまたはグリッドコンピューティングまたはいくつかの他の分散コンピュータアーキテクチャの実装において、並列して作動し、データを収集して処理することができる。
たとえば、いくつかの実施形態は、コンピュータ可読媒体を含むコンピュータを提供する。実施形態は、プロセッサに結合されるランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。プロセッサは、メモリに格納されたコンピュータ実行可能プログラムインストラクションを実行する。これらのようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、ASIC、ステートマシン、または他のプロセッサを含むことができ、Santa Clara、CaliforniaのIntel Corporation、Schaumburg、IllinoisのMotorola Corporationからのプロセッサなどの複数のコンピュータプロセッサのいずれかであることが可能である。これらのようなプロセッサは、コンピュータ可読媒体などの媒体を含む、または媒体と通信することができ、この媒体は、このプロセッサによって実行されるときに、プロセッサに本明細書に記載されるステップを実行させるインストラクションを格納する。
コンピュータ可読媒体の実施形態は、コンピュータ可読インストラクションを含むプロセッサを提供することが可能である、電子、光、磁気、または他のストレージまたは伝送デバイスを含むが、これらに限定されない。適切な媒体の他の例は、コンピュータプロセッサがインストラクションを読み出すことが可能である、フロッピーディスク、CD-ROM、DVD、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、コンフィギュレーションされたプロセッサ、すべての光学媒体、すべての磁気テープもしくは他の磁気媒体、またはいずれかの他の媒体を含むが、これらに限定されない。また、コンピュータ可読媒体のさまざまな他の形態は、有線及び無線の両方の、ルータ、プライベートもしくはパブリックネットワーク、または他の伝送デバイスもしくはチャネルを含む、コンピュータへインストラクションを伝送する、または搬送することができる。これらのインストラクションは、たとえば、C、C++、C#、Visual Basic、Java(登録商標)、Python、Perl、及びJavaScript(登録商標)を含む、いずれかの適切なコンピュータプログラミング言語からのコードを有することができる。
コンピュータは、いくつかの実施形態においてネットワークに接続される。またコンピュータは、マウス、CD-ROM、DVD、キーボード、ディスプレイ、または他の入力もしくは出力デバイスなどの、複数の外部または内部デバイスを含むことができる。コンピュータの例は、パーソナルコンピュータ、デジタルアシスタント、パーソナルデジタルアシスタント、セルラーホン、モバイルフォン、スマートフォン、ポケットベル、デジタルタブレット、ラップトップコンピュータ、インターネットアプライアンス、及び他のプロセッサベースのデバイスである。一般に、本明細書に提供される科学技術の態様に関連するこれらのコンピュータは、いずれかのタイプのプロセッサベースのプラットフォームであることができ、このプラットフォームは、Microsoft Windows、Linux(登録商標)、UNIX(登録商標)、Mac OS Xなどのいずれかのオペレーティングシステム上で動作し、本明細書に提供される科学技術を含む1つ以上のプログラムを支援することができる。いくつかの実施形態は、他のアプリケーションプログラム(たとえば、アプリケーション)を実行するパーソナルコンピュータを含む。これらのアプリケーションは、メモリに含まれることが可能であり、たとえば、クライアントデバイスによって実行されることができる、ワードプロセッシングアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、電子メールアプリケーション、インスタントメッセンジャーアプリケーション、プレゼンテーションアプリケーション、インターネットブラウザアプリケーション、カレンダー/オーガナイザアプリケーション、及びいずれかの他のアプリケーションを含むことが可能である。
科学技術と関連して本明細書に記載される、これらのようなコンポーネント、コンピュータ、及びシステムのすべては、論理的である、または仮想であることができる。
その結果、本明細書に提供されるのは、被検体から得られた試料中の前立腺癌にスクリーニングする方法に関連する科学技術であり、この方法は、被検体から得られた試料(たとえば、前立腺組織)(たとえば、血漿試料)中のマーカーのメチル化状態をアッセイし、マーカーのメチル化状態が前立腺癌を有さない被検体においてアッセイされたマーカーのメチル化状態と異なるときに前立腺癌を有すると被検体を特定することを備え、その中でマーカーは、表1及び13に提供されるような可変メチル化領域(DMR)1~140からなる群から選択されるDMR中に塩基を含む。
被検体から得られた試料が前立腺癌である、いくつかの実施形態において、このマーカーは、ACOXL、AKR1B1_3644、ANXA2、CHST11_2206、FLJ45983、GAS6、GRASP、HAPLN3、HCG4P6、HES5_0822、ITPRIPL1、KCNK4、MAX.chr1.61519554-61519667、MAX.chr2.97193166-97193253、MAX.chr3.193、MAX.chr3.72788028-72788112、RAI1_7469、RASSF2、SERPINB9_3389、SLC4A11、及びTPM4_8047から選択される。
被検体から得られた試料が前立腺癌である、いくつかの実施形態において、このマーカーは、SERPINB9_3479、FLOT1_1665、HCG4P6_4618、CHST11_2206、MAX.chr12.485、GRASP_0932、GAS6_6425、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971_3164、MAX.chr3.727_8028、HES5_0840、TPM4_8037、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487から選択される。
被検体から得られた試料が血液血漿である、いくつかの実施形態において、このマーカーは、max.chr3.193、HES5、SLCO3A1、及びTPM4_8047から選択される。
この科学技術は、前立腺癌を特定して、区別することに関する。いくつかの実施形態は、複数のマーカーをアッセイすることを備える方法、たとえば、2から11から100または140個のマーカーをアッセイすることを備える方法を提供する。
この科学技術は、アッセイされるメチル化状態に限定されない。いくつかの実施形態において、試料中のマーカーのメチル化状態をアッセイすることは、1塩基のメチル化状態を決定することを備える。いくつかの実施形態において、試料中のマーカーのメチル化状態をアッセイすることは、複数の塩基においてメチル化の程度を決定することを備える。さらに、いくつかの実施形態において、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態と比較して、マーカーの増加したメチル化を備える。いくつかの実施形態において、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態と比較して、マーカーの減少したメチル化を備える。いくつかの実施形態において、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態と比較して、マーカーのメチル化の異なるパターンを有する。
さらに、いくつかの実施形態において、このマーカーは、100以下の塩基の1領域である、このマーカーは、500以下の塩基の1領域である、このマーカーは、1000以下の塩基の1領域である、このマーカーは、5000以下の塩基の1領域である、またはいくつかの実施形態において、このマーカーは、1塩基である。いくつかの実施形態において、このマーカーは、高いCpG密度のプロモーター中にある。
この科学技術は、試料タイプによって限定されない。たとえば、いくつかの実施形態において、この試料は、糞便試料、組織試料(たとえば、前立腺組織試料)、血液試料(たとえば、血漿、血清、全血)、排泄物、または尿試料である。
さらに、この科学技術は、メチル化状態を決定するために使用される方法に限定されない。いくつかの実施形態において、アッセイは、メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応、核酸シーケンシング、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量に基づく分離、またはターゲットキャプチャーを使用することを備える。いくつかの実施形態において、アッセイは、メチル化特異的オリゴヌクレオチドの使用を備える。いくつかの実施形態において、この科学技術は、超並列シーケンシング(たとえば、次世代シーケンシング)、たとえば、合成によるシーケンシング、リアルタイム(たとえば、単一分子)シーケンシング、ビーズエマルジョンシーケンシング、ナノポアシーケンシングなどを使用し、メチル化状態を決定する。
この科学技術は、DMRを検出する試薬を提供し、これらの試薬として、たとえば、いくつかの実施形態において、配列番号:1~146及び/または配列番号:147~234によって提供される配列を含む1セットのオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、DMR中に塩基を含む染色体領域に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド、たとえば、DMRのメチル化状態に感受性なオリゴヌクレオチドを提供する。
この科学技術は、マーカーのさまざまなパネルを提供し、たとえば、いくつかの実施形態において、このマーカーは、ACOXL、AKR1B1_3644、ANXA2、CHST11_2206、FLJ45983、GAS6、GRASP、HAPLN3、HCG4P6、HES5_0822、ITPRIPL1、KCNK4、MAX.chr1.61519554-61519667、MAX.chr2.97193166-97193253、MAX.chr3.193、MAX.chr3.72788028-72788112、RAI1_7469、RASSF2、SERPINB9_3389、SLC4A11、及びTPM4_8047であり、またマーカーを含むアノテーションを有する染色体領域を含む(実施例I~VIを参照する)。
いくつかの実施形態において、このマーカーは、SERPINB9_3479、FLOT1_1665、HCG4P6_4618、CHST11_2206、MAX.chr12.485、GRASP_0932、GAS6_6425、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971_3164、MAX.chr3.727_8028、HES5_0840、TPM4_8037、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487であり、またマーカーを含むアノテーションを有する染色体領域を含む(実施例VIIIを参照する)。
いくつかの実施形態において、得られた試料は、血漿試料であり、このマーカーは、max.chr3.193、HES5、SLCO3A1、及びTPM4_8047であり、またマーカーを含むアノテーションを有する染色体領域を含む。
キットの実施形態を提供し、たとえば、キットは、亜硫酸水素塩の試薬、及び対照核酸を含み、対照核酸は、DMR1~140(表1または13からの)からなる群から選択されるDMRからの配列を含み、前立腺癌を有さない被検体と関連するメチル化状態を有する。いくつかの実施形態において、これらのキットは、本明細書に記載されているような亜硫酸水素塩の試薬、及びオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、これらのキットは、亜硫酸水素塩の試薬及び対照核酸を含み、対照核酸は、DMR1~140(表1または13からの)からなる群から選択されるDMRからの配列を含み、前立腺癌を有する被検体と関連するメチル化状態を有する。いくつかのキットの実施形態は、本明細書に記載されるように、被検体からの試料(たとえば、糞便試料、前立腺組織試料、血漿試料)を取得する試料採取器、核酸をこの試料から単離する試薬、亜硫酸水素塩の試薬、及びオリゴヌクレオチドを含む。
この科学技術は、組成物(たとえば、反応混合物)の実施形態に関する。いくつかの実施形態において、DMR、及び亜硫酸水素塩の試薬を含有する核酸を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載されるような、DMR及びオリゴヌクレオチドを含有する核酸を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態は、DMR及びメチル化感受性制限酵素を含有する核酸を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態は、DMR及びポリメラーゼを含有する核酸を含む組成物を提供する。
被検体から得られた試料(たとえば、前立腺組織試料、血漿試料、糞便試料)中の前立腺癌についてスクリーニングするための追加の関連方法の実施形態を提供し、たとえば、方法は、DMR1~140(表1または13からの)のうちの1つ以上であるDMR中に塩基を含む試料中のマーカーのメチル化状態を決定すること、前立腺癌を有さない被検体からの正常な対照試料からのマーカーのメチル化状態と、被検体試料からのマーカーのメチル化状態を比較すること、ならびに被検体試料及び正常な対照試料のメチル化状態における差の信頼区間及び/またはp値を決定することを備える。いくつかの実施形態において、この信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%であり、p値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、または0.0001である。これらの方法のいくつかの実施形態は、DMRを含む核酸を亜硫酸水素塩試薬と反応させ、亜硫酸水素塩と反応した核酸を生成するステップ、亜硫酸水素塩と反応した核酸を配列決定し、亜硫酸水素塩と反応した核酸のヌクレオチド配列を提供するステップ、亜硫酸水素塩と反応した核酸のヌクレオチド配列を、前立腺癌を有さない被検体からのDMRを含む核酸のヌクレオチド配列と比較し、2個の配列中の差を特定するステップ、及び差が存在するときに前立腺癌を有すると被検体を特定するステップを提供する。
被検体から得られた試料中の前立腺癌についてスクリーニングするシステムをこの科学技術によって提供する。システムの例示的な実施形態は、たとえば、被検体から取得される試料(たとえば、前立腺組織試料、血漿試料、糞便試料)中の前立腺癌についてスクリーニングするシステムを含み、このシステムは、試料のメチル化状態を決定するように構成される分析コンポーネント、この試料のメチル化状態を、データベースに記録された対照試料または基準試料のメチル化状態と比較するように構成されるソフトウェアコンポーネント、及び前立腺癌に関連したメチル化状態のユーザに警告するように構成される警告コンポーネントを備える。いくつかの実施形態において、ソフトウェアコンポーネントによって、複数のアッセイからの結果(たとえば、表1または3に提供されるような、複数のマーカー、たとえば、DMRのメチル化状態を決定する)を受信し、複数の結果に基づく報告への値または結果を計算し、警告を決定する。いくつかの実施形態は、値または結果を計算する際の用途、及び/またはユーザ(たとえば、医師、看護師、臨床医など)に知らせる警告における用途のために、本明細書に提供される各DMRと関連する、重み付きパラメータのデータベースを提供する。いくつかの実施形態において、複数のアッセイからのすべての結果を報告し、いくつかの実施形態において、1つ以上の結果を使用して、被検体中のがんリスクを示す複数のアッセイからの1つ以上の結果の複合物に基づき、スコア、値、または結果を提供する。
システムのいくつかの実施形態において、試料は、DMRを含有する核酸を含む。いくつかの実施形態において、このシステムは、核酸を単離するためのコンポーネント、糞便試料を採取するためのコンポーネントなどの試料を採取するためのコンポーネントをさらに含む。いくつかの実施形態において、このシステムは、DMRを含有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、このデータベースは、前立腺癌を有さない被検体からの核酸配列を含む。また提供されるのは、核酸、たとえば、1セットの核酸であり、各核酸がDMRを含有する配列を含む。この1セットの核酸のいくつかの実施形態において、各核酸は、前立腺癌を有さない被検体からの配列を含む。関連システムの実施形態は、記載されるような1セットの核酸、及びこの1セットの核酸と関連する核酸配列のデータベースを含む。いくつかの実施形態は、亜硫酸水素塩試薬をさらに含む。そして、いくつかの実施形態は、核酸シーケンサーをさらに含む。
ある特定の実施形態において、ヒト患者からの試料(たとえば、前立腺組織試料、血漿試料、糞便試料)を特徴付ける方法を提供する。たとえば、いくつかの実施形態において、これらのような実施形態は、DNAをヒト患者の試料から取得すること、表1または13からのDMR1~140からなる群から選択される可変メチル化領域(DMR)中の塩基を含むDNAメチル化マーカーのメチル化状態をアッセイすること、及び1つ以上のDNAメチル化マーカーのアッセイされたメチル化状態を、前立腺癌を有さないヒト患者についての1つ以上のDNAメチル化マーカーについてのメチル化レベル基準と比較することを備える。
これらのような方法は、ヒト患者からの特定のタイプの試料に限定されない。いくつかの実施形態において、試料は、前立腺組織試料である。いくつかの実施形態において、試料は、血漿試料である。いくつかの実施形態において、この試料は、糞便試料、組織試料、前立腺組織試料、血液試料、または尿試料である。
いくつかの実施形態において、これらのような方法は、複数のDNAメチル化マーカーをアッセイすることを備える。いくつかの実施形態において、これらのような方法は、2から11個のDNAメチル化マーカーをアッセイすることを備える。いくつかの実施形態において、これらのような方法は、12から140個のDNAメチル化マーカーをアッセイすることを備える。いくつかの実施形態において、これらのような方法は、試料中の1つ以上のDNAメチル化マーカーのメチル化状態をアッセイすることを備え、1塩基のメチル化状態を決定することを備える。いくつかの実施形態において、これらのような方法は、試料中の1つ以上のDNAメチル化マーカーのメチル化状態をアッセイすることを備え、複数の塩基においてメチル化の程度を決定することを備える。いくつかの実施形態において、これらのような方法は、順鎖のメチル化状態をアッセイすること、または逆鎖のメチル化状態をアッセイすることを備える。
いくつかの実施形態において、このDNAメチル化マーカーは、100以下の塩基の1領域である。いくつかの実施形態において、このDNAメチル化マーカーは、500以下の塩基の1領域である。いくつかの実施形態において、このDNAメチル化マーカーは、1000以下の塩基の1領域である。いくつかの実施形態において、このDNAメチル化マーカーは、5000以下の塩基の1領域である。いくつかの実施形態において、このDNAメチル化マーカーは、1塩基である。いくつかの実施形態において、このDNAメチル化マーカーは、高いCpG密度のプロモーター中にある。
いくつかの実施形態において、アッセイは、メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応、核酸シーケンシング、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量に基づく分離、またはターゲットキャプチャーを使用することを備える。
いくつかの実施形態において、アッセイは、メチル化特異的オリゴヌクレオチドの使用を備える。いくつかの実施形態において、このメチル化特異的オリゴヌクレオチドは、配列番号:1~146及び/または配列番号:147~234からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、ACOXL、AKR1B1_3644、ANXA2、CHST11_2206、FLJ45983、GAS6、GRASP、HAPLN3、HCG4P6、HES5_0822、ITPRIPL1、KCNK4、MAX.chr1.61519554-61519667、MAX.chr2.97193166-97193253、MAX.chr3.193、MAX.chr3.72788028-72788112、RAI1_7469、RASSF2、SERPINB9_3389、SLC4A11、及びTPM4_8047からなる群から選択されるアノテーションを有する染色体領域は、DNAメチル化マーカーを含む。いくつかの実施形態において、このDMRは、表3からのものである。
いくつかの実施形態において、SERPINB9_3479、FLOT1_1665、HCG4P6_4618、CHST11_2206、MAX.chr12.485、GRASP_0932、GAS6_6425、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971_3164、MAX.chr3.727_8028、HES5_0840、TPM4_8037、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487からなる群から選択されるアノテーションを有する染色体領域は、DNAメチル化マーカーを含む。
いくつかの実施形態において、得られた試料は、血漿試料であり、このマーカーは、max.chr3.193、HES5、SLCO3A1、及びTPM4_8047であり、またマーカーを含むアノテーションを有する染色体領域を含む。
いくつかの実施形態において、これらのような方法は、2個のDNAメチル化マーカーのメチル化状態を決定することを備える。いくつかの実施形態において、これらのような方法は、表1または3のロウに提供されるDNAメチル化マーカー対のメチル化状態を決定することを備える。
ある特定の実施形態において、この科学技術は、ヒト患者から取得される試料を特徴付ける方法を提供する。いくつかの実施形態において、これらのような方法は、表1及び13からのDMR1~140からなる群から選択されるDMR中に塩基を含む試料中のDNAメチル化マーカーのメチル化状態を決定すること、患者試料からのDNAメチル化マーカーのメチル化状態を、前立腺癌を有さないヒト被検体からの正常な対照試料からのDNAメチル化マーカーのメチル化状態と比較すること、ならびにヒト患者及び正常な対照試料のメチル化状態における差異の信頼区間及び/またはp値を決定することを備える。いくつかの実施形態において、この信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%であり、p値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、または0.0001である。
ある特定の実施形態において、この科学技術は、ヒト被検体から取得される試料(たとえば、前立腺組織試料、血漿試料、糞便試料)を特徴付ける方法を提供し、この方法は、DMRを含む核酸を亜硫酸水素塩試薬と反応させ、亜硫酸水素塩と反応した核酸を生成すること、亜硫酸水素塩と反応した核酸を配列決定し、亜硫酸水素塩と反応した核酸のヌクレオチド配列を提供すること、亜硫酸水素塩と反応した核酸のヌクレオチド配列を、前立腺癌を有さない被検体からのDMRを含む核酸のヌクレオチド配列と比較し、これら2個の配列中の差を特定することを備える。
ある特定の実施形態において、この科学技術は、ヒト被検体から取得される試料(たとえば、前立腺組織試料、血漿試料、糞便試料)を特徴付けるシステムを提供し、このシステムは、試料のメチル化状態を決定するように構成される分析コンポーネント、この試料のメチル化状態を、データベースに記録された対照試料または基準試料のメチル化状態と比較するように構成されるソフトウェアコンポーネント、及びメチル化状態の組み合わせに基づき単一値を決定し、前立腺癌に関連したメチル化状態のユーザに警告するように構成される警告コンポーネントを備える。いくつかの実施形態において、この試料は、DMRを含有する核酸を含む。
いくつかの実施形態において、これらのようなシステムは、核酸を単離するためのコンポーネントをさらに含む。いくつかの実施形態において、これらのようなシステムは、試料を採取するコンポーネントをさらに含む。
いくつかの実施形態において、この試料は、糞便試料、組織試料、前立腺組織試料、血液試料、または尿試料である。
いくつかの実施形態において、このデータベースは、DMRを含有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、このデータベースは、前立腺癌を有さない被検体からの核酸配列を含む。
本明細書に含まれている教示に基づき、追加的な実施形態が当業者によっては明白となるであろう。
本明細書に提供されるのは、前立腺癌スクリーニングについての科学技術であり、特に排他的ではないが、前立腺癌の存在を検出するための方法、組成物、及び関連用途である。この科学技術が本明細書に記載される場合、使用する節の見出しは、編成を目的としたものに過ぎず、本発明の主題をいかようにも限定するものとして解釈すべきではない。
さまざまな実施形態のこの詳細な説明では、説明目的のために、開示される実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が述べられている。しかしながら、当業者は、これらのさまざまな実施形態がこれらの具体的な詳細があってもなくても実施され得ることを理解するであろう。他の例において、構造及びデバイスをブロック図形式に示す。さらに、当業者は、これらの方法を提示し、実行する具体的な順序が例示であることを容易に理解し、これらの順序が変更されても、本明細書に開示されるさまざまな実施形態の趣旨及び範囲内に依然として残ることが可能であることが企図される。
特許、特許出願、記事、書籍、論文、及びインターネットウェブページを含むが、これらに限定されない本出願において引用されるすべての文献及び同様の資料は、参照によりそれらの全体があらゆる目的のために明示的に援用される。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本明細書に記載されるさまざまな実施形態が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。参照により援用される際にこれらの用語の定義が本発明の教示に提供される定義と異なるようにみえるときに、本発明の教示に提供される定義は、優先されるものとする。
定義
本発明の科学技術の理解を促進するために、多数の用語及び語句を下記に定義する。さらなる定義は、詳細な説明の全体を通して記載されている。
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、以下の用語は、文脈が別段に明らかに指示しない限り、本明細書に明示的に関連付けられる意味を取る。本明細書に使用されるような語句「1つの実施形態において」は、必ずしも同一の実施形態を指さないが、そうである場合もある。さらに、本明細書に使用されるような語句「別の実施形態において」は、必ずしも異なる実施形態を指さないが、そうである場合もある。したがって、下記のように、本発明のさまざまな実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わされることができる。
加えて、本明細書で使用されるように、文脈が別段に明確に指示しない限り、用語「または」は、包括的な「または」の演算子であり、用語「及び/または」に等しい。用語「に基づき」は、文脈が明確に別段に示さない限り、排他的ではなく、記載されていない追加の要因に基づくことを可能にする。加えて、本明細書全体を通して、「a」、「an」、及び「the」は、複数形の指示対象を含む。「中の」の意味は、「中の」及び「上の」を含む。
本明細書に使用される場合、「核酸」または「核酸分子」は、いずれかのリボ核酸またはデオキシリボ核酸を一般的に指し、修飾されていない、または修飾されたDNAまたはRNAであることができる。「核酸」は、一本鎖、及び二本鎖の核酸を含むが、これらに限定されない。本明細書に使用される場合、用語「核酸」は、1つ以上の修飾塩基を含む上述されるようなDNAをも含む。したがって、安定性のために、または他の理由のために修飾される骨格を含むDNAは、「核酸」である。本明細書に使用される場合、用語「核酸」は、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された核酸の形態、ならびにたとえば、単細胞及び複雑細胞を含む、ウイルス及び細胞のDNA特性の化学的形態を包含する。
用語「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド」または「核酸」は、2個以上、好ましくは3個超、及び通常10個超のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む、分子を指す。この正確なサイズは、多くの要因に依存することになり、これらの要因は、今度はオリゴヌクレオチドの根本的な機能または用途に依存する。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、またはそれらの組み合わせを含む、いずれかの方式において生成されることができる。DNAについての典型的なデオキシリボヌクレオチドは、チミン、アデニン、シトシン、及びグアニンである。RNAについての典型的なリボヌクレオチドは、ウラシル、アデニン、シトシン、及びグアニンである。
本明細書で使用される場合、核酸の用語「遺伝子座」または「領域」は、核酸の小領域、たとえば、染色体上の遺伝子、単一のヌクレオチド、CpGアイランドなどを指す。
用語「相補的な」及び「相補性」は、塩基対合規則によって関連した、ヌクレオチド(たとえば、1個のヌクレオチド)またはポリヌクレオチド(たとえば、ヌクレオチド配列)を指す。たとえば、配列5’-A-G-T-3’は、配列3’-T-C-A-5’に相補的である。相補性は、核酸の塩基の数個のみを塩基対合規則に従い適合する、「部分的」であることができる。または、核酸間の「完全な」または「全体の」相補性があることができる。核酸の鎖間の相補性の程度は、核酸の鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度をもたらす。これは、増幅反応において、また核酸間の結合に依存する検出方法において、特に重要なものである。
用語「遺伝子」は、RNA、またはポリペプチドもしくはその前駆体の産生に必要なコード配列を含む核酸(たとえば、DNAまたはRNA)配列を指す。機能ポリペプチドは、ポリペプチドの所望の活性または機能特性(たとえば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達など)が保持される限り、全長コード配列によって、またはコード配列の任意の部分によって符号化されることが可能である。遺伝子への参照に使用されるときに、用語「部分」は、その遺伝子のフラグメントを指す。これらのフラグメントは、数個のヌクレオチドから、遺伝子全体の配列より1個のヌクレオチドを引いたもののサイズに及ぶことができる。したがって、「遺伝子の少なくとも一部を含むヌクレオチド」は、遺伝子のフラグメントまたは遺伝子全体を含むことができる。
用語「遺伝子」はまた、構造遺伝子のコード領域を含み、遺伝子が全長mRNAの長さに対応するように、いずれの末端においても約1kbの距離に、5’末端及び3’末端の両方でコード領域に隣接して位置する配列(たとえば、コード配列、制御配列、構造配列及び他の配列を含む)を含む。コード領域の5’位にあり、かつmRNA上に存在する配列は、5’非翻訳(non-translated)または非翻訳(untranslated)配列と称される。コード領域の3’側または下流に位置し、かつmRNA上に存在する配列は、3’非翻訳(non-translated)または3’非翻訳(untranslated)配列と称される。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNA及びゲノムの形態の両方を包含する。いくつかの生物(たとえば、真核生物)において、ゲノム形態または遺伝子クローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と称される非コード配列によって中断されるコード領域を含む。イントロンは、核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子のセグメントであり、イントロンは、エンハンサーなどの調節要素を含むことができる。イントロンは、核または一次転写産物から除去されるかまたは「スプライシングにより出される」ため、イントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写産物には存在しない。mRNAは、新生ポリペプチドにおいてアミノ酸の配列または順序を特定するように翻訳中に機能する。
イントロンを含有することに加えて、ゲノム形態の遺伝子はまた、RNA転写物に存在する配列の5’末端及び3’末端の両方に位置する配列を含んでもよい。これらの配列は、「フランキング」配列または「フランキング」領域と称される(これらのフランキング配列は、mRNA転写物に存在する非翻訳配列の5’側または3’側に位置する)。5’フランキング領域は、遺伝子の転写を制御するか、またはそれに影響を与える、プロモーター及びエンハンサーなどの制御配列を含有してもよい。3’フランキング領域は、転写終結、転写後切断、及びポリアデニル化を指示する配列を含有してもよい。
遺伝子を言及する場合、用語「野生型」は、天然に存在する供給源から単離される遺伝子の特性を有する遺伝子を指す。遺伝子産物を言及する場合、用語「野生型」は、天然に存在する供給源から単離される遺伝子産物の特性を有する遺伝子産物を指す。「天然に存在する」という用語は、ある対象に適用される場合、対象を天然に見出すことができるという事実を指す。例えば、天然の供給源から単離され得、かつ研究室において人間の手によって意図的に修飾されていないある生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。野生型遺伝子は、集団内で最も頻繁に観察されるため、遺伝子の「正常」または「野生型」形態と任意に称されるその遺伝子またはアレルであることが多い。対照的に、遺伝子または遺伝子産物を言及する場合、用語「修飾された」または「変異の」は、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に配列及び/または機能特性における修飾(すなわち、改変された特徴)を示す遺伝子または遺伝子産物をそれぞれ指す。天然に存在する変異体を単離することができることに留意し、これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較したときに、それらが特徴を変化させたという事実により特定される。
用語「アレル」は、遺伝子の多様性を指し、これらの多様性は、多様体及び変異体、多型遺伝子座、ならびに一塩基多型遺伝子座、フレームシフト、及びスプライス変異を含むが、これらに限定されない。アレルは、集団に天然に存在することができる、またはそれは、この集団のいずれかの特定の個体の生存期間中に生じることができる。
したがって、ヌクレオチド配列を参照して使用する場合、用語「多様体」及び「変異体」は、別の、通常に関連した、ヌクレオチド配列から1つ以上のヌクレオチドで異なる核酸配列を指す。「多様性」は、2つの異なるヌクレオチド配列間の差異であり、一般的に、1つの配列は、1つの基準配列である。
「増幅」は、鋳型特異度を有する核酸複製の特殊な事例である。それは、非特異的な鋳型複製と対照をなす(たとえば、鋳型依存性であるが、特異的な鋳型に依存性ではない複製)。本明細書において、鋳型特異度を複製の忠実度(たとえば、適切なポリヌクレオチド配列の合成)及びヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド)特異度と区別する。鋳型特異度は、「標的」特異度の点から頻繁に説明される。標的配列は、それらが他の核酸から選別されることが求められているという意味において「標的」である。増幅技法は、主にこの選別のために設計されている。
核酸の増幅は、典型的に少量のポリヌクレオチドから開始する、一般的にポリヌクレオチドの、またはこのポリヌクレオチドの一部の複数のコピー(たとえば、正確に同じでも、同じでなくてもよい、一本鎖ポリヌクレオチド分子、ポリヌクレオチド分子の10から100個のコピー)の生成を指し、そこで増幅産物またはアンプリコンは、一般に検出可能である。ポリヌクレオチドの増幅は、多様な化学的、かつ酵素的プロセスを包含する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリガーゼ連鎖反応(LCR;たとえば、米国特許第5,494,810号を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)中に標的または鋳型DNA分子の1個または数個のコピーから複数のDNAコピーの生成は、増幅の形態である。追加の増幅タイプは、アレル特異的PCR(たとえば、米国特許第5,639,611号を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、アセンブリPCR(たとえば、米国特許第5,965,408号を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、ヘリカーゼ依存性増幅(たとえば、米国特許第7,662,594号を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、ホットスタートPCR(たとえば、米国特許第5,773,258号及び第5,338,671号を参照する;それぞれそれらの全体が参照により本明細書に援用される)、インターシーケンス特異的PCR、逆PCR(たとえば、Triglia,et alet al.(1988)Nucleic Acids Res.,16:8186を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、ライゲーション媒介PCR(たとえば、Guilfoyle,R.et alet al.,Nucleic Acids Research,25:1854-1858(1997);米国特許第5,508,169号を参照する;これらのそれぞれはそれらの全体に参照により本明細書に援用される)、メチル化特異的PCR(たとえば、Herman,et al.,(1996)PNAS93(13)9821-9826を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、ミニプライマーPCR、多重ライゲーション依存性プローブ増幅(たとえば、Schouten,et al.,(2002)Nucleic Acids Research 30(12):e57を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、多重PCR(たとえば、Chamberlain, et al.,(1988)Nucleic Acids Research16(23)11141-11156;Ballabio,et al.,(1990)Human Genetics84(6)571-573;Hayden,et al.,(2008)BMC Genetics9:80を参照する;これらのそれぞれはそれらの全体に参照により本明細書に援用される)、ネステッドPCR、オーバーラップ伸長PCR(たとえば、Higuchi,et al.,(1988)Nucleic Acids Research16(15)7351-7367を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、リアルタイムPCR(たとえば、Higuchi,et alet al.,(1992)Biotechnology10:413-417;Higuchi,et al.,(1993)Biotechnology11:1026-1030;これらのそれぞれはそれらの全体に参照により本明細書に援用される)、逆転写PCR(たとえば、Bustin,S.A.(2000)J.Molecular Endocrinology25:169-193を参照する;その全体が参照により本明細書に援用される)、固相PCR、熱非対称インターレースPCR、及びタッチダウンPCR(たとえば、Don,et al.,Nucleic Acids Research(1991)19(14)4008;Roux,K.(1994)Biotechniques16(5)812-814;Hecker,et al.,(1996)Biotechniques20(3)478-485を参照する;これらのそれぞれはそれらの全体に参照により本明細書に援用される)を含むが、これらに限定されない。また、デジタルPCRを使用して、ポリヌクレオチド増幅を達成することが可能である(たとえば、Kalinina,et al.,Nucleic Acids Research.25;1999-2004,(1997);Vogelstein and Kinzler,Proc Natl Acad Sci USA.96;9236-41,(1999);国際特許公開第WO05023091A2号;米国特許出願公開第20070202525号を参照する;これらのそれぞれはそれらの全体に参照により本明細書に援用される)。
用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、K.B.Mullisの方法、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、及び第4,965,188号を指し、これらは、クローニングまたは精製せずにゲノムDNAの混合物中の標的配列のセグメントの濃度を増加させる方法を記載する。標的配列を増幅するこのプロセスは、大過剰の2個のオリゴヌクレオチドプライマーを、所望の標的配列を含むDNA混合物に導入した後に、DNAポリメラーゼの存在下でサーマルサイクリングの正確な配列を伴うことからなる。2個のプライマーは、二本鎖標的配列のそれらのそれぞれの鎖に相補的である。増幅をもたらすために、混合物は、変性した後に、これらのプライマーは、標的分子内のそれらの相補的配列にアニールされる。アニーリング後、これらのプライマーは、ポリメラーゼによって伸長するため、新規の相補的鎖対を形成する。変性、プライマーアニーリング、及びポリメラーゼ伸長ステップは、何度も繰り返され(すなわち、変性、アニーリング、及び伸長は1「サイクル」を構成する;複数の「サイクル」があることが可能である)、所望の標的配列の高濃度の増幅されたセグメントを取得することが可能である。所望の標的配列の増幅されたセグメントの長さは、プライマーの互いに関する相対位置によって決定されるため、この長さは、制御可能なパラメータである。プロセスの繰り返し態様により、この方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)と称される。標的配列の所望の増殖されたセグメントが混合物中の主な配列(濃度の点で)になるので、それらは、「PCR増幅された」と称され、「PCR産物」または「アンプリコン」である。
鋳型特異度は、ほとんどの増幅技法において酵素の選択によって達成される。増幅酵素は、それらが使用される条件下で、核酸の不均一混合物中の核酸の特異的配列のみをプロセシングする酵素である。たとえば、Qベータレプリカーゼの場合、MDV-1 RNAは、レプリカーゼについての特異的鋳型である(Kacian et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69:3038[1972])。この増幅酵素は、他の核酸を複製しない。同様に、T7 RNAポリメラーゼの場合、この増幅酵素は、それ自体のプロモーターについてのストリンジェントな特異度を有する(Chamberlin et al,Nature,228:227[1970])。T4 DNAリガーゼの場合、この酵素は、2個のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを連結せず、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質と鋳型との間のライゲーション接合部にミスマッチがある(Wu and Wallace(1989) Genomics4:560)。最終的に、熱安定性鋳型依存性DNAポリメラーゼ(たとえは、Taq及びPfu DNAポリメラーゼ)は、高温で機能するそれらの能力により、境界を接するためプライマーによって画定される配列について高い特異度を表すことがわかり、高温は、標的配列を含むプライマーハイブリダイゼーションに有利になるが、非標的配列を含むハイブリダイゼーションに有利にならない、熱力学的条件をもたらす(H.A.Erlich(ed.),PCR Technology,Stockton Press[1989])。
本明細書で使用される場合、用語「核酸検出アッセイ」は、対象となる核酸のヌクレオチド組成物を決定するいずれかの方法を指す。核酸検出アッセイは、DNAシーケンシング方法、プローブハイブリダイゼーション方法、構造特異的切断アッセイ(たとえば、INVADERアッセイ、Hologic,Inc.)、たとえば、米国特許第5,846,717号、第5,985,557号、第5,994,069号、第6,001,567号、第6,090,543号、及び第6,872,816号;Lyamichev et al.,Nat.Biotech.,17:292(1999)、Hall et al.,PNAS,USA,97:8272(2000)、及びUS2009/0253142に記載され、これらのそれぞれはすべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に援用される);酵素ミスマッチ切断方法(たとえば、Variagenics、米国特許第6,110,684号、第5,958,692号、第5,851,770号、それらの全体が参照により本明細書に援用される);ポリメラーゼ連鎖反応;分岐ハイブリダイゼーション方法(たとえば、Chiron、米国特許第5,849,481号、第5,710,264号、第5,124,246号、及び第5,624,802号、それらの全体が参照により本明細書に援用される);ローリングサークル型複製(たとえば、米国特許第6,210,884号、第6,183,960号、及び第6,235,502号、それらの全体が参照により本明細書に援用される);NASBA(たとえば、米国特許第5,409,818号、その全体が参照により本明細書に援用される)、分子ビーコン技法(たとえば、米国特許第6,150,097号、その全体が参照により本明細書に援用される)、Eセンサー技法(Motorola、米国特許第6,248,229号、第6,221,583号、第6,013,170号、及び第6,063,573号、それらの全体が参照により本明細書に援用される);サイクリングプローブ技法(たとえば、米国特許第5,403,711号、第5,011,769号、及び第5,660,988号、それらの全体が参照により本明細書に援用される);Dade Behringシグナル増幅方法(たとえば、米国特許第6,121,001号、第6,110,677号、第5,914,230号、第5,882,867号、及び第5,792,614号、それらの全体が参照により本明細書に援用される);リガーゼ連鎖反応(たとえば、Barnay Proc.Natl.Acad.Sci USA88,189-93(1991));及びサンドイッチハイブリダイゼーション方法(たとえば、米国特許第5,288,609号、その全体が参照により本明細書に援用される)を含むが、これらに限定されない。
用語「増幅可能な核酸」は、いずれかの増幅方法によって増幅されることができる核酸を指す。「増幅可能な核酸」が「試料鋳型」を通常含むことが企図される。
用語「試料鋳型」は、「標的」(下記に定義される)の存在について分析される試料に起源をもつ核酸を指す。対照的に、「バックグラウンド鋳型」は、試料中に存在しても、しなくてもよい試料鋳型以外の核酸に関連して使用される。バックグラウンド鋳型は、ほとんど偶発性であることが多い。それはキャリーオーバーの結果である可能性がある、またはそれは、試料から離れて精製されることが求められる核酸混入物の存在による可能性がある。たとえば、検出されるもの以外の生物からの核酸は、試験試料中のバックグラウンドとして存在する可能性がある。
用語「プライマー」は、精製された制限消化の際に天然に存在するか、合成的に生成されるかにかかわらず、核酸の鎖に相補的であるプライマー伸長生成物の合成が誘導される条件下に(たとえば、ヌクレオチド、及びDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下に適切な温度及びpHで)置かれるときに合成の開始点として作用することができる、オリゴヌクレオチドを指す。このプライマーは、増幅における最大効率のために好ましくは一本鎖であるが、代替に二本鎖であることができる。二本鎖の場合、プライマーは、伸長生成物を調製するために使用される前に、その鎖を分離させるように最初に処置される。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、誘導剤の存在下で伸長生成物の合成を刺激するのに十分な長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマー供給源、及び方法の使用を含む、多くの要因に依存する。
用語「プローブ」は、精製された制限消化の際に天然に存在するか、合成的に、組換えで、またはPCR増幅によって精製されるかにかかわらず、対象となる別のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる、オリゴヌクレオチド(たとえば、ヌクレオチドの配列)を指す。プローブは、一本鎖または二本鎖であることができる。プローブは、特定の遺伝子配列(たとえば、「捕捉プローブ」)の検出、同定、及び単離に有用である。本発明に使用されるいずれかのプローブがいくつかの実施形態において、いずれかの「レポーター分子」によってラベル付けされることができるため、酵素(たとえば、ELISA、及び酵素に基づく組織化学的アッセイ)、蛍光、放射性、及び発光システムを含むが、これらに限定されない、いずれかの検出システムにおいて検出可能であることを企図する。本発明がいずれかの特定の検出システムまたはラベルに限定されることを意図しない。
本明細書に使用される場合、「メチル化」は、シトシンのC5位またはN4位、アデニンのN6位、または他のタイプの核酸メチル化におけるシトシンのメチル化を指す。インビトロ増幅DNAは、典型的なインビトロDNA増幅方法が増幅鋳型のメチル化パターンを保持しないため、通常メチル化されない。しかしながら、「メチル化されていないDNA」または「メチル化されたDNA」は、それぞれ元の鋳型がメチル化されていなかった、またはメチル化された増幅DNAをも指すことが可能である。
その結果、本明細書に使用される場合に、「メチル化されたヌクレオチド」または「メチル化されたヌクレオチド塩基」は、ヌクレオチド塩基上でのメチル部分の存在を指し、このメチル部分は、認識された典型的なヌクレオチド塩基中に存在しない。たとえば、シトシンは、そのピリミジン環上にメチル部分を含まないが、5-メチルシトシンは、そのピリミジン環の5位にメチル部分を含む。したがって、シトシンは、メチル化されたヌクレオチドではなく、5-メチルシトシンは、メチル化されたヌクレオチドである。別の例において、チミンは、そのピリミジン環の5位にメチル部分を含むが、本明細書の目的のために、チミンは、チミンがDNAの典型的なヌクレオチド塩基であるので、DNA中に存在するときにメチル化されたヌクレオチドとみなされない。
本明細書に使用される場合に、「メチル化された核酸分子」は、1つ以上のメチル化されたヌクレオチドを含む核酸分子を指す。
本明細書に使用される場合、核酸分子の「メチル化状況」、「メチル化プロファイル」、及び「メチル化状態」は、核酸分子中の1つ以上のメチル化されたヌクレオチド塩基の存在または非存在を指す。たとえば、メチル化されたシトシンを含む核酸分子は、メチル化されたとみなされる(たとえば、核酸分子のメチル化状態はメチル化される)。いかなるメチル化されたヌクレオチドも含まない核酸分子は、メチル化されていないとみなされる。
特定の核酸配列のメチル化状態(たとえば、本明細書に記載されるような、遺伝子マーカー、またはDNA領域)は、この配列中のすべての塩基のメチル化状態を示すことが可能である、またはこの配列内のこれらの塩基の(たとえば、1つ以上のシトシンの)1サブセットのメチル化状態を示すことが可能である、またはメチル化が生じる配列内の位置の正確な情報を提供しながら、もしくは提供しなくても、この配列内の領域のメチル化密度についての情報を示すことが可能である。
核酸分子中のヌクレオチド遺伝子座のメチル化状態は、核酸分子中の特定の遺伝子座においてメチル化されたヌクレオチドの存在または非存在を指す。たとえば、核酸分子中の7番目のヌクレオチドにおけるシトシンのメチル化状態は、核酸分子中の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドが5-メチルシトシンであるときにメチル化される。同様に、核酸分子中の7番目のヌクレオチドにおけるシトシンのメチル化状態は、核酸分子中の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドがシトシンである(そして5-メチルシトシンではない)ときにメチル化されていない。
メチル化状態は、「メチル化値」(たとえば、メチル化頻度、分画、割合、パーセントなどを表す)によって任意選択で表される、または示されることが可能である。メチル化値は、たとえば、メチル化依存性制限酵素による制限消化後に存在するインタクトな核酸の量を定量化することによって、または亜硫酸水素塩反応後の増幅プロファイルを比較することによって、または亜硫酸水素塩に処置された核酸の配列、及び亜硫酸水素塩に処置されていない核酸の配列を比較することによって、生じることが可能である。その結果、値、たとえば、メチル化値は、メチル化状態を表すため、遺伝子座の複数のコピーにわたるメチル化状態の定量的インジケータとして使用されることが可能である。これは、試料中の配列のメチル化状態を閾値または基準値と比較することが望ましいときの特定の用途のものである。
本明細書に使用される場合、「メチル化頻度」または「メチル化パーセント(%)」は、分子または遺伝子座がメチル化されていない場合の数と比較した、分子または遺伝子座がメチル化される場合の数を指す。
このようなものとして、メチル化状態は、核酸(たとえば、ゲノム配列)のメチル化状態を説明する。加えて、メチル化状態は、メチル化に関連する特定のゲノム遺伝子座における核酸セグメントの特性を指す。これらのような特性は、このDNA配列内のシトシン(C)残基のいずれかがメチル化されるかどうか、メチル化されたC残基(複数可)の位置、核酸のいずれかの特定の領域全体を通してメチル化されたCの頻度またはパーセンテージ、及びたとえば、アレル起源における差異などによるメチル化におけるアレル差異を含むが、これらに限定されない。また用語「メチル化状態(state)」、「メチル化プロファイル」、及び「メチル化状態(status)」は、相対的な濃度、絶対的な濃度、または生物学的試料中の核酸のいずれかの特定の領域全体を通してメチル化されたCもしくはメチル化されていないCのパターンを指す。たとえば、核酸配列内のシトシン(C)残基(複数可)がメチル化される場合、それは、「過剰メチル化された」と称される、または「増加したメチル化」を有すると称されることができるが、DNA配列内のシトシン(C)残基(複数可)がメチル化されていない場合、それは、「低メチル化された」と称される、または「減少したメチル化」を有すると称されることができる。同様に、核酸配列内のシトシン(C)残基(複数化)が別の核酸配列(たとえば、異なる領域からの、または異なる個体からのなど)と比較してメチル化される場合、その配列は、他の核酸配列と比較して、過剰メチル化された、または増加したメチル化を有するとみなされる。代替に、DNA配列内のシトシン(C)残基(複数可)が別の核酸配列(たとえば、異なる領域からの、または異なる個体からのなど)と比較してメチル化されていない場合、その配列は、他の核酸配列と比較して低メチル化された、または減少したメチル化を有するとみなされる。加えて、本明細書に使用される場合、用語「メチル化パターン」は、核酸領域にわたるメチル化されたヌクレオチド、及びメチル化されていないヌクレオチドの集合部位を指す。2個の核酸は、同一の、または同様のメチル化頻度またはメチル化パーセントを有することができるが、メチル化されたヌクレオチド、及びメチル化されていないヌクレオチドの数がこの領域全体を通して同一である、または同様であるが、メチル化されたヌクレオチド、及びメチル化されていないヌクレオチドの位置が異なるときに異なるメチル化パターンを有することができる。配列は、それらがメチル化の、程度(たとえば、一方が他方と比較して増加したメチル化、または減少したメチル化を有する)、頻度、またはパターンにおいて異なるときに、「可変メチル化」と、または「メチル化における差異」を有すると、または「異なるメチル化状態」を有すると称される。用語「可変メチル化」は、がん陰性試料中の核酸メチル化のレベルまたはパターンと比較した、がん陽性試料中の核酸メチル化のレベルまたはパターンにおける差異を指す。手術後のがんの再発を有する患者と、再発を有さない患者との間のベレルまたはパターンにおける差異をも指すことができる。可変メチル化、及びDNAメチル化の特異的なレベルまたはパターンは、たとえば、正確なカットオフまたは予測特性を定義すると、予後及び予測バイオマーカーである。
メチル化状態の頻度を使用して、複数の個体の1つの集団、または単一個体からの1つの試料を説明することが可能である。たとえば、50%のメチル化状態の頻度を有するヌクレオチド遺伝子座は、50%のインスタンスにおいてメチル化され、50%のインスタンスにおいてメチル化されていない。このような頻度を使用して、たとえば、ヌクレオチド遺伝子座または核酸領域が個体集団または核酸集合体中でメチル化される程度を説明することが可能である。したがって、核酸分子の第一集団またはプール中のメチル化が核酸分子の第二集団またはプール中のメチル化と異なるときに、第一集団またはプールのメチル化状態の頻度は、第二集団またはプールのメチル化状態の頻度と異なる。このような頻度を使用して、たとえば、ヌクレオチド遺伝子座または核酸領域が単一個体中でメチル化される程度を説明することも可能である。たとえば、このような頻度を使用して、組織試料からの細胞群がヌクレオチド遺伝子座または核酸領域においてメチル化される、またはメチル化されていない程度を説明することが可能である。
本明細書に使用される場合、「ヌクレオチド遺伝子座」は、核酸分子中のヌクレオチドの位置を指す。メチル化されたヌクレオチドのヌクレオチド遺伝子座は、核酸分子中のメチル化されたヌクレオチドの位置を指す。
典型的に、ヒトDNAのメチル化は、シトシンがグアニンの5’位にある隣接するグアニン及びシトシンを含むジヌクレオチド配列(CpGジヌクレオチド配列とも称される)上で起こる。CpGジヌクレオチド内のほとんどのシトシンは、ヒトゲノム中でメチル化されるが、いくつかは、CpGアイランドとして知られている、特異的CpGジヌクレオチドに富むゲノム領域中でメチル化されないままである(たとえば、Antequera et al.(1990)Cell62:503-514を参照する)。
本明細書に使用される場合、「CpGアイランド」は、全ゲノムDNAと比較して増加した数のCpGジヌクレオチドを含むゲノムDNAのG:Cに富む領域を指す。CpGアイランドは、長さにおいて、少なくとも100、200、またはそれを上回る塩基対であることが可能であり、そこでこの領域のG:C含有量は、少なくとも50%であり、所期の頻度に対する観察されたCpG頻度の比は、0.6であり、いくつかの例において、CpGアイランドは、長さにおいて少なくとも500塩基対であることが可能あり、そこでこの領域のG:C含有量は、少なくとも55%であり、所期の頻度に対する観察されたCpG頻度の比は、0.65である。所期の頻度に対する観察されたCpG頻度は、Gardiner-Garden et al(1987)J.Mol.Biol.196:261-281に提供される方法に従い計算されることが可能である。たとえば、所期の頻度に対する観察されたCpG頻度は、式、R=(A×B)/(C×D)に従い計算されることが可能であり、そこでRは、所期の頻度に対する観察されたCpG頻度の比であり、Aは、分析された配列中のCpGジヌクレオチド数であり、Bは、分析された配列中のヌクレオチドの合計数であり、Cは、分析された配列中のCヌクレオチドの合計数であり、Dは、分析された配列中のGヌクレオチドの合計数である。メチル化状態は、CpGアイランド中で、たとえば、プロモーター領域において典型的に決定される。ヒトゲノム中の他の配列がCpA及びCpTなどのDNAメチル化をする傾向があることを通じて理解されるであろう(Ramsahoye(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA97:5237-5242;Salmon and Kaye(1970)Biochim.Biophys.Acta.204:340-351;Grafstrom(1985)Nucleic Acids Res.13:2827-2842;Nyce(1986)Nucleic Acids Res.14:4353-4367;Woodcock(1987)Biochem.Biophys.Res.Commun.145:888-894を参照する)。
本明細書に使用される場合、核酸分子のメチル化状態の機能として核酸分子のヌクレオチドを修飾する試薬、またはメチル化特異的試薬は、化合物または組成物、または核酸分子のメチル化状態を反映する方式において核酸分子のヌクレオチド配列を変えることが可能である他の薬剤を指す。核酸分子をこのような試薬によって処置する方法は、核酸分子を試薬と接触させることを備えることが可能であり、必要に応じて、ヌクレオチド配列の所望の変化を達成する、追加のステップと結合されることが可能である。核酸分子のヌクレオチド配列におけるこのような変化は、各メチル化されたヌクレオチドが異なるヌクレオチドに修飾される核酸分子をもたらすことが可能である。核酸のヌクレオチド配列におけるこのような変化は、各メチル化されていないヌクレオチドが異なるヌクレオチドに修飾される核酸分子をもたらすことが可能である。核酸のヌクレオチド配列におけるこのような変化は、メチル化されていない選択されたヌクレオチドのそれぞれ(たとえば、メチル化されていないシトシンのそれぞれ)が異なるヌクレオチドに修飾される核酸分子をもたらすことが可能である。核酸のヌクレオチド配列を変えるこのような試薬の使用は、メチル化されたヌクレオチドである各ヌクレオチド(たとえば、メチル化されたシトシンのそれぞれ)が異なるヌクレオチドに修飾される核酸分子をもたらすことが可能である。本明細書に使用される場合、選択されたヌクレオチドを修飾する試薬の使用は、この試薬が他の3個のヌクレオチドを修飾せずに1個のヌクレオチドを修飾するように、核酸分子中の4個の典型的に存在するヌクレオチド(DNAについてのC、G、T、及びA、ならびにRNAについてのC、G、U、及びA)のうちの1個のヌクレオチドを修飾する試薬を指す。1つの例示的な実施形態において、このような試薬は、メチル化されていない選択されたヌクレオチドを修飾し、異なるヌクレオチドを生成する。別の例示的な実施形態では、このような試薬は、メチル化されていないシトシンのヌクレオチドを脱アミノ化することが可能である。例示的な試薬は、亜硫酸水素塩である。
本明細書に使用される場合に、用語「亜硫酸水素塩試薬」は、いくつかの実施形態において、亜硫酸水素塩(bisulfite)、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩(hydrogen sulfite)、またはそれらの組み合わせを含む試薬を指し、たとえばCpGジヌクレオチド配列中などの、メチル化されたシチジンとメチル化されていないシチジンとを区別する。
用語「メチル化アッセイ」は、核酸配列内の1つ以上のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態を決定するためのいずれかのアッセイを指す。
用語「MS AP-PCR」(メチル化感受性任意プライマーポリメラーゼ連鎖反応)は、CGに富むプライマーを使用するゲノムのグローバルスキャンがCpGジヌクレオチドを最も含む可能性が高い領域上に焦点を合わせることを可能にする当該技術分野において認められている科学技術を指し、Gonzalgo et al.(1997)Cancer Research57:594-599に記載されている。
用語「MethyLight(商標)」は、Eads et al.(1999)Cancer Res.59:2302-2306に記載される、当該技術分野において認められている蛍光に基づくリアルタイムPCR技法を指す。
用語「HeavyMethyl(商標)」は、増幅プライマー間のCpG位置を網羅する、または増幅プライマーによって網羅される、メチル化特異的阻害プローブ(本明細書において阻害剤とも称される)が核酸試料のメチル化特異的選択的増幅を可能にするアッセイを指す。
用語「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイは、MethyLight(商標)アッセイの異形であるHeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを指し、その中でMethyLight(商標)アッセイは、増幅プライマー間のCpG位置を網羅するメチル化特異的阻害プローブと組み合わされる。
用語「Ms-SNuPE」(メチル化感受性一塩基プライマー伸長)は、Gonzalgo&Jones(1997)Nucleic Acids Res.25:2529-2531に記載されている、当該技術分野において認められているアッセイを指す。
用語「MSP」(メチル化特異的PCR)は、Herman et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:9821-9826、及び米国特許第5,786,146号に記載されている、当該技術分野において認められているメチル化アッセイを指す。
用語「COBRA」(組み合わされた亜硫酸水素塩制限分析)は、Xiong&Laird(1997)Nucleic Acids Res.25:2532-2534に記載されている、当該技術分野において認められているメチル化アッセイを指す。
用語「MCA」(メチル化CpGアイランド増幅)は、Toyota et al.(1999)Cancer Res.59:2307-12、及びWO00/26401A1に記載されている、メチル化アッセイを指す。
本明細書に使用される場合、「選択されたヌクレオチド」は、核酸分子中に典型的に存在する4個のヌクレオチド(DNAについてのC、G、T、及びA、ならびにRNAについてのC、G、U、及びA)のうちの1個のヌクレオチドを指し、典型的に存在するヌクレオチドのメチル化誘導体(たとえば、Cが選択されたヌクレオチドであるとき、メチル化されたC及びメチル化されていないCの両方は選択されたヌクレオチドの意味に含まれる)を含むことが可能であるが、メチル化され選択されたヌクレオチドは、メチル化された典型的に存在するヌクレオチドを特異的に指し、メチル化されていない選択されたヌクレオチドは、メチル化されていない典型的に存在するヌクレオチドを特異的に指す。
用語「メチル化特異的制限酵素」または「メチル化感受性制限酵素」は、その認識部位のメチル化状態に依存している核酸を選択的に消化する酵素を指す。認識部位がメチル化されていない、またはヘミメチル化される場合に特異的に切断する制限酵素の事例において、この切断は、認識部位がメチル化される場合に有意に低下した効率によって行われない、または行われる。認識部位がメチル化される場合に特異的に切断する制限酵素の事例において、この切断は、認識部位がメチル化されない場合に有意に低下した効率によって行われない、または行われる。好ましくは、メチル化特異的制限酵素であり、この酵素の認識配列は、CGジヌクレオチドを含む(たとえば、CGCGまたはCCCGGGなどの認識配列)。いくつかの実施形態にさらに好ましいのは、このジヌクレオチド中のシトシンが炭素原子C5においてメチル化される場合に切断しない制限酵素である。
本明細書に使用される場合に、「異なるヌクレオチド」は、典型的に選択されたヌクレオチドと異なるWatson-Crick塩基対特性を異なるヌクレオチドが有することにより、選択されたヌクレオチドに相補的である典型的に存在するヌクレオチドが異なるヌクレオチドに相補的である典型的に存在するヌクレオチドと同一ではないような、選択されたヌクレオチドと化学的に異なるヌクレオチドを指す。たとえば、Cが選択されたヌクレオチドであるとき、UまたはTは、異なるヌクレオチドであることが可能であり、C対Gの相補性、及びUまたはT対Aの相補性によって例証される。本明細書に使用される場合、選択されたヌクレオチドに相補的である、または異なるヌクレオチドに相補的であるヌクレオチドは、塩基対が高いストリンジェンシー条件下で、4個の典型的に存在するヌクレオチドのうちの3個を含む相補的ヌクレオチドの塩基対より高い親和性を有する、選択されたヌクレオチドまたは異なるヌクレオチドを含むヌクレオチドを指す。相補性の例は、DNA(たとえば、A-T及びC-G)及びRNA(たとえば、A-U及びC-G)におけるWatson-Crick塩基対である。したがって、たとえば、G塩基対は、高いストリンジェンシー条件下で、G、A、またはTに対するG塩基対よりCに対してより高い親和性を有するため、Cが選択されたヌクレオチドであるときに、Gは、選択されたヌクレオチドに相補的なヌクレオチドである。
本明細書に使用される場合、所与のマーカーの「感度」は、新生物と非新生物試料を区別する閾値を上回るDNAメチル化値を報告する試料のパーセンテージを指す。いくつかの実施形態において、陽性は、閾値(たとえば、疾患と関連する範囲)を上回るDNAメチル化値を報告する組織学的に確認された新生物として定義され、偽陰性は、閾値(たとえば、非疾患と関連する範囲)を下回るDNAメチル化値を報告する組織学的に確認された新生物として定義される。したがって、感度の値は、既知の患部試料から得られた所与のマーカーについてのDNAメチル化測定値が疾患関連測定値の範囲内にある確率を示す。本明細書に定義されるように、計算された感度の値の臨床的関連性は、所与のマーカーが臨床状態を有する被検体に適用されるときに、その臨床状態の存在を検出する確率の推定を表す。
本明細書に使用される場合、所与のマーカーの「特異度」は、新生物と非新生物試料を区別する閾値を下回るDNAメチル化値を報告する非新生物試料のパーセンテージを指す。いくつかの実施形態において、陰性は、閾値(たとえば、非疾患と関連する範囲)を下回るDNAメチル化値を報告する組織学的に確認された非新生物試料として定義され、偽陽性は、閾値(たとえば、疾患と関連する範囲)を上回るDNAメチル化値を報告する組織学的に確認された非新生物試料として定義される。したがって、特異度の値は、既知の非新生物試料から得られた所与のマーカーについてのDNAメチル化測定値が非疾患関連測定値の範囲内にある確率を示す。本明細書に定義されるように、計算された特異度の値の臨床的関連性は、所与のマーカーが臨床状態を有さない被検体に適用されるときに、その臨床状態の非存在を検出する確率の推定を表す。
本明細書に使用される場合、用語「AUC」は、「曲線下の面積」についての略称である。特に、それは、受信者操作特性(ROC)曲線下の面積を指す。ROC曲線は、診断検査の異なる可能性があるカットポイントについての偽陽性率に対する真陽性率のプロットである。選択されたカットポイントにより感度と特異度との間のトレードオフを示す(感度におけるいずれかの上昇は特異度における低下を伴う)。ROC曲線下の面積(AUC)は、診断検査の精度についての尺度である(面積が大きいほど良い;最適値は1である;無作為試験は0.5の面積を有する対角線上にあるROC曲線を有する;J.P.Egan.(1975)Signal Detection Theory and ROC Analysis,Academic Press,New York、参照)。
本明細書に使用される場合、用語「新生物」は、「異常な組織塊、この異常な組織塊の増殖が正常な組織の増殖を上回り、これらの正常な組織の増殖と非協調的である」を指す。たとえば、Willis RA,“The Spread of Tumors in the Human Body”,London,Butterworth&Co,1952を参照する。
本明細書に使用される場合、用語「腺腫」は、腺起源の良性腫瘍を指す。これらの増殖は、良性であるが、経時的にそれらは、進行して悪性になる可能性がある。
用語「前がん性」または「新生物発生前」及びそれらの均等物は、悪性形質転換を受けているいずれかの細胞増殖性疾患を指す。
新生物、腺腫、がんなどの「部位」は、新生物、腺腫、がんなどが位置している被検体中の組織、器官、細胞型、解剖学的領域、身体部位などである。
本明細書に使用される場合、「診断」検査の適用は、被検体が所与の疾患または状態を罹患する尤度を決定し、疾患または状態を有する被検体が治療に応答する尤度を決定し、疾患または状態を有する被検体の予後(またはその進行もしくは退行の可能性)を決定し、疾患または状態を有する被検体についての処置の効果を決定する、被検体の疾患状態または状況の検出または同定を備える。たとえば、診断は、新生物を罹患する被検体の存在もしくは尤度、またはこのような被検体が化合物(たとえば、医薬品、たとえば、薬物)もしくは他の処置に順調に応答する尤度を検出するために使用されることが可能である。
用語「マーカー」は、本明細書に使用される場合、たとえば、そのメチル化状態などに基づき、がん細胞を正常な細胞と区別することによってがんを診断することができる、物質(たとえば、核酸または核酸領域)を指す。
用語「単離された」は、「単離されたオリゴヌクレオチド」のように、核酸に関して使用されるときに、その天然の供給源に通常関連付けられる少なくとも1つの混入物の核酸から特定され、分離される核酸配列を指す。単離された核酸は、それが天然にみられる形態または状況にあるものと異なる形態または状況に存在する。対照的に、DNA及びRNAなどの単離されていない核酸は、それらが天然に存在する状態で見出される。単離されていない核酸の例は、隣接する遺伝子に近接して宿主細胞染色体上に見出される所与のDNA配列(たとえば、遺伝子);多数のタンパク質を符号化する複数の他のmRNAを含む混合物として細胞中に見出される、特異的タンパク質を符号化する特異的mRNA配列などのRNA配列を含む。しかしながら、特定のタンパク質を符号化する単離された核酸は、例として、タンパク質を通常発現する細胞中の核酸などを含み、そこで核酸は、天然細胞のものと異なる染色体位置にある、またはその他の点で天然に見出されるものと異なる核酸配列と隣接している。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の形態に存在することができる。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドがタンパク質を発現するために利用されるときに、このオリゴヌクレオチドは、最小のセンス鎖またはコード鎖を含む(すなわち、オリゴヌクレオチドは一本鎖であることができる)が、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含むことができる(すなわち、オリゴヌクレオチドは二本鎖であることができる)。単離された核酸は、その天然または典型的環境からの単離後に、他の核酸または分子と組み合わされることができる。たとえば、単離された核酸は、たとえば、異種発現のために、置かれている宿主細胞中に存在することができる。
用語「精製された」は、それらの天然環境から除去される、単離される、または分離される、核酸配列またはアミノ酸配列のいずれか一方の分子を指す。したがって「単離された核酸配列」は、精製された核酸配列であることができる。「実質的に精製された」分子は、それらが天然に関連している他の成分から、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、及びさらに好ましくは少なくとも90%取り除かれる。本明細書に使用される場合、用語「精製された」または「精製する」は、試料からの混入物の除去をも指す。混入するタンパク質の除去は、試料中の対象となるポリペプチドまたは核酸のパーセントにおける上昇をもたらす。別の例において、組換えポリペプチドを植物、細菌、酵母、または哺乳類の宿主細胞中で発現し、これらのポリペプチドを宿主細胞タンパク質の除去によって精製することにより、組換えポリペプチドのパーセントを試料中で上昇させる。
所与のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド「を含む組成物」という用語は、所与のポリヌクレオチド配列またはポリペプチドを含むいずれかの組成物を広く指す。この組成物は、塩類(たとえば、NaCl)、界面活性剤(たとえば、SDS)、及び他の成分(たとえば、デンハート液、乾燥乳、サケ精子DNAなど)を含有する水溶液を含むことができる。
用語「試料」は、その最も広義に使用される。ある意味において、それは、動物細胞または組織を指すことが可能である。別の意味において、それは、いずれかの供給源から得られた検体または培養物、ならびに生物学的試料及び環境試料を含むことを意味する。生物学的試料は、植物または動物(ヒトを含む)から得られ、流体、固体、組織、及び気体を含むことができる。いくつかの実施形態において、試料は、血漿試料である。いくつかの実施形態において、試料は、前立腺組織試料である。いくつかの実施形態において、試料は、糞便試料である。環境試料は、表面物質、土壌、水、及び工業用試料などの環境物質を含む。これらの例は、本発明に該当する試料の種類を限定すると解釈されるべきではない。
本明細書に使用される場合、いくつかの文脈において使用されるような「遠隔試料」は、細胞、組織、または器官の試料供給源ではない部位から間接的に採取される試料を指す。たとえば、糞便試料中の膵臓に起源をもつ(たとえば、前立腺から直接に取られた試料からではない)試料材料を評価するときに、この試料は、遠隔試料である。
本明細書に使用される場合、用語「患者」または「被検体」は、この科学技術によって提供されるさまざまな検査の対象となる生物を指す。用語「被検体」は、動物、好ましくは、ヒトを含む哺乳類を含む。好ましい実施形態において、被検体は、霊長類である。さらにより好ましい実施形態において、被検体は、ヒトである。
本明細書で使用される、用語「キット」は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイの文脈において、それらのような送達システムは、ある場所から別の場所への反応試薬(たとえば、適切な容器中のオリゴヌクレオチド、酵素など)及び/または支持材料(たとえば、緩衝液、アッセイを行うための書面による説明書など)の保管、輸送、または送達を可能にするシステムを含む。たとえば、キットは、関連する反応試薬及び/または支持材料を収容する1つ以上の封入容器(例えば、箱)を含む。本明細書で使用される、用語「断片化キット」は、各々が全キット構成要素の副次的部分を収容する2つ以上の別個の容器を含む送達システムを指す。容器は、一緒にまたは別個に意図されるレシピエントに送達されることができる。例えば、第1の容器は、アッセイで使用するための酵素を含み、一方、第2の容器は、オリゴヌクレオチドを含み得る。用語「断片化キット」は、連邦食品医薬品化粧品法のセクション520(e)により規定される、分析物特定試薬(ASR)を含むキットを包含することが意図されるが、これらに限定されない。実際、それぞれが全キット構成要素のサブ部分を含有する2つ以上の別個の容器を含むいずれかの送達系は、用語「断片化キット」に含められる。その一方、「複合キット」は、単一容器中に(例えば、所望の構成要素それぞれを収容する単一箱中に)反応アッセイの全ての構成要素を含有する送達系を指す。用語「キット」は、断片化及び複合キットの両方を含む。
技術の体化
本明細書に提供されるのは、前立腺癌スクリーニングについての科学技術であり、特に排他的ではないが、前立腺癌の存在を検出するための方法、組成物、及び関連用途である。
実際、実施例I~VIに記載されるように、本発明についての実施形態を特定する過程中に行われた実験は、非新生物の対照DNAと前立腺由来のDNAのがんを区別するために73箇所の可変メチル化領域(DMR)の新しい1セットを特定した。加えて、前立腺上皮(がん及び正常)中でメチル化されるが、正常な白血球DNA試料中でメチル化されない、新しい10箇所のDMRを特定した。亜硫酸水素塩に変換された腫瘍及び正常DNAを濃縮された、CpGについての次世代シーケンシング研究から、これらの領域の両方のセットを特定した。腫瘍試料は、低悪性度のグリーソン6、及び高悪性度のグリーソン7+のパターンを含んだ。所有権のフィルタ及び分析パイプラインを使用してDMRを選択し、新規のメチル化特異的PCR(MSP)アッセイを使用して独立した組織試料セットにおいて妥当性確認した。これらの73個のバイオマーカーアッセイは、組織中の優れた検出を実証し、広範囲の臨床特異度(いくつかは多くの異なる器官部位にわたるがんのために、他は前立腺癌のみに特異的な)を有する。
これらのような実験は、前立腺癌を良性前立腺組織から区別する、新規の120個のDNAメチル化マーカー(表1)を列挙して、説明する。これら新規の120個のDNAメチル化マーカーから、さらなる実験は、高悪性度の前立腺癌組織(たとえば、グリーソンスコア7+)を良性前立腺組織から区別することができる73個のマーカーを特定した。より具体的に、前立腺癌組織を良性前立腺組織から区別することができた、マーカー及び/またはマーカーパネル(たとえば、ACOXL、AKR1B1_3644、ANXA2、CHST11_2206、FLJ45983、GAS6、GRASP、HAPLN3、HCG4P6、HES5_0822、ITPRIPL1、KCNK4、MAX.chr1.61519554-61519667、MAX.chr2.97193166-97193253、MAX.chr3.193、MAX.chr3.72788028-72788112、RAI1_7469、RASSF2、SERPINB9_3389、SLC4A11、及びTPM4_8047から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定した(実施例I~VIを参照する)。
本発明についての実施形態を開発する過程中に行われた追加の実験は、前立腺癌組織を良性前立腺組織と区別することができるマーカー(たとえば、SERPINB9_3479、FLOT1_1665、HCG4P6_4618、CHST11_2206、MAX.chr12.485、GRASP_0932、GAS6_6425、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971_3164、MAX.chr3.727_8028、HES5_0840、TPM4_8037、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定することを対象とし、前立腺癌組織を良性前立腺組織と区別することができた(実施例VIII;表11を参照する)。
本発明についての実施形態を開発する過程中に行われた追加の実験は、高悪性度の前立腺癌組織(たとえば、グリーソンスコア7+)を低悪性度の前立腺癌組織(たとえば、グリーソンスコア6)から区別することができる、マーカー(たとえば、SERPINB9_3479、GRASP_0932、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定することを対象とし、前立腺癌組織を良性前立腺組織から区別することができた(実施例VIII;表11を参照する)。
本発明についての実施形態を開発する過程中に行われた追加の実験は、血液試料(たとえば、血液血漿試料)内の前立腺癌の存在または非存在を検出することができるマーカーを特定することを対象とした。実際、マーカー、及び/またはマーカーパネル(たとえば、max.chr3.193、HES5、SLCO3A1、及びTPM4_8047から選択されるアノテーションを有する染色体領域)を特定し、血液血漿試料内の前立腺癌組織の存在または非存在を検出することができた(実施例I~VIを参照する)。
本明細書における本開示はいくつかの例証された実施形態に言及しているが、これらの実施形態は制限のためではなく例のために提示されていることを理解する。
特定の態様において、本発明の科学技術は、前立腺癌などのがんを同定する、決定する、及び/または分類するための組成物及び方法を提供する。これらの方法は、被検体から単離された生物学的試料(たとえば、糞便試料、前立腺組織試料、血漿試料)中の少なくとも1つのメチル化マーカーのメチル化状態を決定することを備え、その中でマーカーのメチル化状態における変化は、前立腺癌の存在、分類、または部位を示す。特定の実施形態は、前立腺癌の診断(たとえば、スクリーニング)のために使用される可変メチル化領域(DMR、たとえば、DMR1~140、表1及び13を参照する)を含む、マーカーに関する。
本明細書に提供され、表1または3に列挙されるDMR(たとえば、DMR、たとえば、DMR1~140)を含む、少なくとも1つのマーカー、マーカーの領域、またはマーカーの塩基のメチル化分析を分析する実施形態に加えて、この科学技術は、がん、特に前立腺癌の検出に有用性を有するDMRを含む、少なくとも1つのマーカー、マーカーの領域、またはマーカーの塩基を含むマーカーのパネルをも提供する。
この科学技術のいくつかの実施形態は、DMRを含む、少なくとも1つのマーカー、マーカーの領域、またはマーカーの塩基のCpGメチル化状態の分析に基づく。
いくつかの実施形態において、本発明の科学技術は、1つ以上のメチル化アッセイと組み合わせる亜硫酸水素塩技法の使用を提供し、この技法は、DMR(たとえば、DMR1~140、表1及び13を参照する)を含む少なくとも1つのマーカー内のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態を決定する。ゲノムCpGジヌクレオチドは、メチル化される、またはメチル化されていないことが可能である(代替に、それぞれ、メチル化増加及びメチル化減少としても知られている)。しかしながら、本発明のこれらの方法は、遠隔試料(たとえば、血液、器官流出液、または糞便)のバックグラウンド内の、不均一な性質の生物学的試料、たとえば、低濃度の腫瘍細胞、またはそれらからの生物学的材料などの分析に適している。その結果、このような試料内のCpG位置のメチル化状態を分析するときに、あるものは、特定のCpG位置におけるメチル化のレベル(たとえば、パーセント、分画、割合、比率、または程度)を決定するために定量的アッセイを使用することができる。
本発明の科学技術に従い、DMRを含むマーカー中のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態の決定は、前立腺癌などのがんの診断及び特徴付けの両方に有用性を有する。
マーカーの組み合わせ
いくつかの実施形態において、この科学技術は、表1、表3または表13からのDMR(DMR番号1~140)を含むマーカーの組み合わせのメチル化状態を評価することに関する。いくつかの実施形態において、1個より多いマーカーのメチル化状態を評価することは、被検体中の新生物(たとえば、前立腺癌)を同定するためのスクリーンまたは診断の特異度及び/または感度を上昇させる。
さまざまながんは、たとえば、予測の特異度及び感度に関連する統計手法によって同定されるように、マーカーのさまざまな組み合わせによって予測される。この科学技術は、いくつかのがんについての、予測組み合わせ、及び妥当性確認された予測組み合わせを特定するための方法を提供する。
メチル化状態をアッセイする方法
5-メチルシトシンの存在について核酸を分析する、最も頻繁に使用されている方法は、DNA中の5-メチルシトシン、またはそれらの多様性の検出について、Frommer,et al.(Frommer et al.(1992)Proc.Natl. Acad.Sci.USA89:1827-31、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に明示的に援用される)によって記載される亜硫酸水素塩方法に基づく。5-メチルシトシンをマッピングする亜硫酸水素塩方法は、5-メチルシトシンではなく、シトシンが亜硫酸水素塩(hydrogen sulfite)(亜硫酸水素塩(bisulfite)としても知られている)のイオンと反応する知見に基づく。この反応をつぎのステップに従い通常実施する。第一に、シトシンは、亜硫酸水素塩と反応し、スルホン化されたシトシンを形成する。つぎに、スルホン化反応中間体の自発的脱アミノ化は、スルホン化されたウラシルをもたらす。最終的に、このスルホン化されたウラシルは、アルカリ状態下で脱スルホン化され、ウラシルを形成する。ウラシルがアデニンを含む塩基対を形成するが5-メチルシトシンがグアニンを含む塩基対を形成する(したがって、シトシンのように挙動する)ため検出が可能である。これは、たとえば、亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシング(Grigg G,&Clark S,Bioessays(1994)16:431-36;Grigg G,DNA Seq.(1996)6:189-98)、またはたとえば、米国特許第5,786,146号に開示されるようなメチル化特異的PCR(MSP)などによって、メチル化されていないシトシンとメチル化されたシトシンの判別を可能にする。
いくつかの従来の科学技術は、アガロースマトリックス中で分析されるDNAを封入することにより、DNAの拡散及び再生を妨げ(亜硫酸水素塩は一本鎖DNAのみと反応し)、沈殿及び精製ステップを高速透析と置換する(Olek A,et al.(1996)“A modified and improved method for bisulfite based cytosine methylation analysis”Nucleic Acids Res.24:5064-6)ことを備える方法に関連する。したがって、メチル化状態について個々の細胞を分析し、この方法の有用性及び感受性を説明することが可能である。5-メチルシトシンを検出する従来の方法の概要は、Rein,T.,et al.(1998)Nucleic Acids Res.26:2255によって提供される。
亜硫酸水素塩技法は、亜硫酸水素塩処置に続き、既知の核酸の短い、特異的なフラグメントを増幅した後に、シーケンシングによる生成物(Olek&Walter(1997)Nat.Genet.17:275-6)、またはプライマー伸長反応(Gonzalgo&Jones(1997)Nucleic Acids Res.25:2529-31;WO95/00669;米国特許第6,251,594号)のいずれか一方をアッセイして、個々のシトシン位置を分析することを典型的に伴う。いくつかの方法は、酵素消化を使用する(Xiong&Laird(1997)Nucleic Acids Res.25:2532-4)。またハイブリダイゼーションによる検出は、当該技術分野において記載されている(Olek et al.,WO99/28498)。加えて、個々の遺伝子に関するメチル化検出についての亜硫酸水素塩技法の使用は、記載されている(Grigg&Clark(1994)Bioessays16:431-6;Zeschnigk et al.(1997)Hum Mol Genet.6:387-95;Feil et al.(1994)Nucleic Acids Res.22:695;Martin et al.(1995)Gene157:261-4;WO9746705;WO9515373)。
さまざまなメチル化アッセイ手法は、当該技術分野において知られており、本発明の科学技術に従う亜硫酸水素塩処置と併せて使用されることが可能である。これらのアッセイは、核酸配列内の1つの、または複数のCpGジヌクレオチド(たとえば、CpGアイランド)のメチル化状態の決定を可能にする。これらのようなアッセイは、他の技法の中で、亜硫酸水素塩に処置された核酸のシーケンシング、PCR(配列特異的増幅について)、サザンブロット分析、及びメチル化感受性制限酵素の使用を伴う。
たとえば、ゲノムシーケンシングは、亜硫酸水素塩処置を使用することによって、メチル化パターン及び5-メチルシトシン分布の分析のために単純化されている(Frommer et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:1827-1831)。加えて、亜硫酸水素塩に変換されたDNAから増幅されるPCR生成物の制限酵素消化は、たとえば、Sadri&Hornsby(1997)Nucl.Acids Res.24:5058-5059によって記載されるような、またはCOBRA(組み合わされた亜硫酸水素塩制限分析)(Xiong&Laird(1997)Nucleic Acids Res.25:2532-2534)として知られている方法に具現化されるような、メチル化状態を評価する際の用途を見出す。
COBRA(商標)分析は、少量のゲノムDNA中の特異的遺伝子座にDNAメチル化レベルを決定するために有用な定量的メチル化アッセイである(Xiong&Laird,Nucleic Acids Res.25:2532-2534,1997)。簡潔に、制限酵素消化を使用して、亜硫酸水素ナトリウムに処置されたDNAのPCR生成物におけるメチル化依存性配列の差異を明らかにする。メチル化依存性配列の差異は、Frommer et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:1827-1831,1992)により記載される手法に従い標準亜硫酸水素塩処置によってゲノムDNAに最初に導入される。対象となるCpGアイランドに特異的なプライマーを使用して、つぎに亜硫酸水素塩に変換されたDNAのPCR増幅を実施した後に、制限エンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動法、及び特異的にラベル付けされたハイブリダイゼーションプローブを使用する検出を伴う。広範囲のDNAメチル化レベルにわたり直線的に定量的な方式において、消化されたPCR生成物、及び消化されていないPCR生成物の相対的な量によって、元のDNA試料中のメチル化レベルを表す。加えて、この手法は、顕微解剖されたパラフィンに包埋された組織試料から得られるDNAに確実に適用されることが可能である。
COBRA(商標)分析についての典型的な試薬(たとえば、典型的なCOBRA(商標)に基づくキットに見出されることができるような)は、特異的遺伝子座(たとえば、特異的遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列、CpGアイランドなど)についてのPCRプライマー;制限酵素及び適切な緩衝液;遺伝子ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;対照ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;オリゴヌクレオチドプローブについてのキナーゼラベル付けキット;及びラベル付けヌクレオチドを含むことができるが、これらに限定されない。加えて、亜硫酸水素塩変換試薬は、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回復試薬またはキット(たとえば、沈殿、限外ろ過、親和性カラム);脱スルホン化緩衝液;及びDNA回復成分を含むことができる。
好ましくは、「MethyLight(商標)」(蛍光に基づくリアルタイムPCR技法)(Eads et al.,Cancer Res.59:2302-2306,1999)、Ms-SNuPE(商標)(メチル化感受性一塩基プライマー発現)反応(Gonzalgo&Jones,Nucleic Acids Res.25:2529-2531,1997)、メチル化特異的PCR(「MSP」;Herman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:9821-9826,1996;米国特許第5,786,146号)、及びメチル化されたCpGアイランド増幅(「MCA」;Toyota et al.,Cancer Res.59:2307-12,1999)などのアッセイは、単独で、またはこれらの方法のうちの1つ以上と組み合わせて使用される。
「HeavyMethyl(商標)」アッセイ、技法は、亜硫酸水素塩に処置されたDNAのメチル化特異度増幅に基づきメチル化の差異を評価する定量的な方法である。増幅プライマー間のCpG位置を網羅する、または増幅プライマーにより網羅されるメチル化特異的阻害プローブ(「阻害剤」)は、核酸試料のメチル化特異的選択的増幅を可能にする。
用語「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイは、MethyLight(商標)アッセイの多様性であるHeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを指し、その中でMethyLight(商標)アッセイは、増幅プライマー間のCpG位置を網羅するメチル化特異的阻害プローブと組み合わされる。またHeavyMethyl(商標)アッセイは、メチル化特異的増幅プライマーと組み合わせて使用されることができる。
HeavyMethyl(商標)分析についての典型的な試薬(たとえば、典型的なMethyLight(商標)に基づくキットに見出されることができるような)は、特異的遺伝子座についてのPCRプライマー(たとえば、特異的遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列、CpGアイランド、または亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列もしくはCpGアイランドなど);阻害オリゴヌクレオチド;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ならびにTaqポリメラーゼを含むことができるが、これらに限定されない。
MSP(メチル化特異的PCR)は、メチル化感受性制限酵素の使用から独立して、CpGアイランド内のCpG部位の実質的にいずれかの基のメチル化状態を評価することを可能にする(Herman et al.Proc.Natl.Acad.Sci. USA93:9821-9826,1996;米国特許第5,786,146号)。簡潔に、DNAは、メチル化されたシトシンではなく、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換する、亜硫酸水素ナトリウムによって修飾された後に、これらの生成物は、メチル化されたDNA対メチル化されていないDNAに特異的なプライマーによって増幅される。MSPは、少量のDNAのみを必要とし、所与のCpGアイランド遺伝子座の0.1%のメチル化されたアレルに感受性があり、パラフィンに包埋された試料から抽出されるDNA上で実施されることが可能である。MSP分析についての典型的な試薬(たとえば、典型的なMSPに基づくキットに見出されることができるような)は、特異的遺伝子座についてのメチル化されたPCRプライマー及びメチル化されていないPCRプライマー(たとえば、特異的遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列、CpGアイランドなど);最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド、ならびに特異度プローブを含むことができるが、これらに限定されない。
MethyLight(商標)アッセイは、高スループット定量的メチル化アッセイであり、蛍光に基づくリアルタイムPCR(たとえば、TaqMan(登録商標))を利用し、PCRステップ後にさらなる操作を必要としない(Eads et al.,Cancer Res.59:2302-2306,1999)。簡潔に、MethyLight(商標)プロセスは、亜硫酸水素ナトリウム反応において、標準手法に従いメチル化依存性配列の差異の混合されたプールに変換されるゲノムDNAの混合された試料により開始する(亜硫酸水素塩プロセスはメチル化されていないシトシン残基をウラシルに変換する)。つぎに蛍光に基づくPCRは、たとえば、既知のCpGジヌクレオチドに重なるPCRプライマーによって、「偏った」反応において実施される。配列判別は、増幅プロセスのレベル、及び蛍光検知プロセスのレベルの両方に起こる。
MethyLight(商標)アッセイは、核酸、たとえば、ゲノムDNA試料中のメチル化パターンについての定量的試験として使用され、その中で配列判別は、プローブハイブリダイゼーションのレベルで起こる。定量的なバージョンにおいて、PCR反応は、特定の推定メチル化部位に重なる蛍光プローブの存在下でメチル化特異的増幅を提供する。インプットDNA量に対して偏っていない対照は、プライマーもプローブもいかなるCpGジヌクレオチドをも覆わない反応によって提供される。代替に、ゲノムメチル化についての定量的試験は、既知のメチル化部位を網羅しない対照オリゴヌクレオチド(たとえば、HeavyMethyl(商標)及びMSP技法の蛍光に基づくバージョン)、または潜在的メチル化部位を網羅するオリゴヌクレオチドのいずれか一方によって、偏ったPCRプールを探索することにより達成される。
MethyLight(商標)プロセスは、いずれかの適切なプローブ(たとえば、「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycler(登録商標)プローブなど)によって使用される。たとえば、いくつかの用途において、二本鎖ゲノムDNAは、亜硫酸水素ナトリウムによって処置され、たとえば、MSPプライマーなどによってTaqMan(登録商標)プローブ、及び/またはHeavyMethyl阻害剤オリゴヌクレオチド及びTaqMan(登録商標)プローブを使用する、PCR反応の2セットのうちの1セットを受ける。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光「レポーター」及び「クエンチャー」分子によって二重ラベル付けされ、相対的にGC含有量の多い領域に特異的であるように設計されるため、それは、順方向プライマーまたは逆方向プライマーより高い温度の約10℃でPCRサイクル中に融解する。これにより、TaqMan(登録商標)プローブをPCRアニーリング/伸長ステップ中に完全にハイブリダイズしたままにすることが可能である。TaqポリメラーゼがPCR中に新規の鎖を酵素によって合成する場合、それは、最終的にアニールされたTaqMan(登録商標)プローブに達する。つぎにTaqポリメラーゼ5’から3’のエンドヌクレアーゼ活性は、TaqMan(登録商標)プローブを消化することによってこのプローブを置換し、ここでそのクエンチされていないシグナルの定量的検知のために、リアルタイム蛍光検知システムを使用して蛍光レポーター分子を放出させる。
MethyLight(商標)分析についての典型的な試薬(たとえば、典型的なMethyLight(商標)に基づくキットに見出されることができるような)は、特異的遺伝子座についてのPCRプライマー(たとえば、特異的遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列、CpGアイランドなど);TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ならびにTaqポリメラーゼを含むことができるが、これらに限定されない。
QM(商標)(定量的メチル化)アッセイは、ゲノムDNA試料中のメチル化パターンについての代替の定量的試験であり、その中で配列判別は、プローブハイブリダイゼーションのレベルで起こる。この定量的なバージョンにおいて、PCR反応は、特定の推定メチル化部位に重なる蛍光プローブの存在下で偏っていない増幅を提供する。インプットDNA量に対して偏っていない対照は、プライマーもプローブもいかなるCpGジヌクレオチドをも覆わない反応によって提供される。代替に、ゲノムメチル化についての定量的試験は、既知のメチル化部位を網羅しない対照オリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標)及びMSP技法の蛍光に基づくバージョン)、または潜在的メチル化部位を網羅するオリゴヌクレオチドのいずれか一方によって、偏ったPCRプールを探索することにより達成される。
QM(商標)プロセスは、増幅プロセスにおいて、いずれかの適切なプローブ、たとえば、「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycler(登録商標)プローブなどによって使用されることが可能である。たとえば、二本鎖ゲノムDNAは、亜硫酸水素ナトリウムによって処置され、偏っていないプライマー及びTaqMan(登録商標)プローブを受ける。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光「レポーター」及び「クエンチャー」分子によって二重ラベル付けされ、相対的にGC含有量の多い領域に特異的であるように設計されるため、それは、順方向プライマーまたは逆方向プライマーより高い温度の約10℃でPCRサイクル中に融解する。これにより、TaqMan(登録商標)プローブをPCRアニーリング/伸長ステップ中に完全にハイブリダイズしたままにすることが可能である。Taqポリメラーゼが新規の鎖をPCR中で酵素によって合成する場合、それは、最終的にアニールされたTaqMan(登録商標)プローブに達する。つぎにTaqポリメラーゼ5’から3’のエンドヌクレアーゼ活性は、TaqMan(登録商標)プローブを消化することによってこのプローブを置換し、ここでそのクエンチされていないシグナルの定量的検知のために、リアルタイム蛍光検知システムを使用して蛍光レポーター分子を放出させる。QM(商標)分析についての典型的な試薬(たとえば、典型的なQM(商標)に基づくキットに見出されることができるような)は、特異的遺伝子座についてのPCRプライマー(たとえば、特異的遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列、CpGアイランドなど);TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ならびにTaqポリメラーゼを含むことができるが、これらに限定されない。
Ms-SNuPE(商標)技法は、DNAの亜硫酸水素塩処置に基づき特異的CpG部位におけるメチル化の差異を評価した後、一塩基プライマー伸長を伴う定量的方法である(Gonzalgo&Jones,Nucleic Acids Res.25:2529-2531,1997)。簡潔に、5-メチルシトシンを変化させないままで、ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムと反応させ、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換する。つぎに亜硫酸水素塩に変換されたDNAに特異的なPCRプライマーを使用して、所望の標的配列の増幅を実施し、得られた生成物を単離して、対象となるCpG部位におけるメチル化分析についての鋳型として使用する。少量のDNA(たとえば、顕微解剖された病理薄片)を分析することが可能であり、CpG部位におけるメチル化状態を決定するための制限酵素の利用を回避させる。
Ms-SNuPE(商標)分析についての典型的な試薬(たとえば、典型的なMs-SNuPE(商標)に基づくキットに見出されることができるような)は、特異的遺伝子座についてのPCRプライマー(たとえば、特異的遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列、CpGアイランドなど);最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;陽性対照プライマー;特異的遺伝子座についてのMs-SNuPE(商標)プライマー;反応緩衝液(Ms-SNuPE反応についての);ならびにラベル付けされたヌクレオチドを含むことができるが、これらに限定されない。加えて、亜硫酸水素塩変換試薬は、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回復試薬またはキット(たとえば、沈殿、限外ろ過、親和性カラム);脱スルホン化緩衝液;及びDNA回復成分を含むことができる。
Reduced Representation Bisulfite Sequencing(RRBS)は、核酸の亜硫酸水素塩処置によって開始し、すべてのメチル化されていないシトシンをウラシルに変換した後に、制限酵素消化(たとえば、MspIなどのCG配列を含む部位を認識する酵素による)を伴い、アダプターリガンドにカップリングした後にフラグメントのシーケンシングを完了する。制限酵素の選択は、CpG高密度領域についてのフラグメントを濃縮し、分析中に複数の遺伝子位置にマッピングすることができる冗長配列数を減少させる。このようなものとして、RRBSは、シーケンシングについての1サブセットの制限フラグメントを選択することによって(たとえば、調製用ゲル電気泳動を使用するサイズ選択によって)、核酸試料の複雑性を減少させる。全ゲノム亜硫酸水素塩シーケンシングに対抗して、制限酵素消化によって生成されたすべてのフラグメントは、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドについてのDNAメチル化情報を含む。このようなものとして、RRBSは、プロモーター、CpGアイランド、及びこれらの領域中に高頻度の制限酵素切断部位を含む他のゲノム特徴について試料を濃縮させるので、1つ以上のゲノム遺伝子座のメチル化状態を評価するアッセイを提供する。
RRBSについての典型的なプロトコルは、MspIなどの制限酵素によって核酸試料を消化させるステップ、オーバーハング及びAテーリングに充填させるステップ、アダプターを連結するステップ、亜硫酸水素塩変換ステップ、ならびにPCRステップを備える。たとえば、et al.(2005)“Genome-scale DNA methylation mapping of clinical samples at single-nucleotide resolution”Nat Methods 7:133-6;Meissner et al.(2005)“Reduced representation bisulfite sequencing for comparative high-resolution DNA methylation analysis”Nucleic Acids Res.33:5868-77を参照する。
いくつかの実施形態において、定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナル増幅(QuARTS)アッセイを使用して、メチル化状態を評価する。3つの反応は、各QuARTSアッセイにおいて連続して起こり、一次反応における増幅(反応1)及び標的プローブ切断(反応2)、ならびに二次反応におけるFRET切断及び蛍光シグナル発生(反応3)を備える。標的核酸を特異的プライマーにより増幅するときに、フラップ配列を含む特異的検出プローブは、アンプリコンに緩く結合する。標的結合部位における特異的侵襲性オリゴヌクレオチドの存在は、検出プローブとフラップ配列との間で切断することにより、クリベースにフラップ配列を放出させる。フラップ配列は、対応するFRETカセットの非ヘアピン部分に相補的である。その結果、フラップ配列は、侵襲性オリゴヌクレオチドとしてこのFRETカセット上で機能し、FRETカセットフルオロフォアとクエンチャーとの間の切断をもたらし、蛍光シグナルを生成する。この切断反応は、1標的あたり複数のプローブを切断するため、1フラップあたり複数のフルオロフォアを放出し、指数関数的なシグナル増幅を提供することが可能である。QuARTSは、異なる色素を含むFRETカセットを使用することによって、単一反応ウェルにおいて複数の標的を検出することが可能である。たとえば、Zou et al.(2010)“Sensitive quantification of methylated markers with a novel methylation specific technology”Clin Chem56:A199;米国特許出願第12/946,737号、第12/946,745号、第12/946,752号、及び第61/548,639号を参照する。
用語「亜硫酸水素塩試薬」は、亜硫酸水素塩(bisulfite)、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩(hydrogen sulfite)、またはそれらの組み合わせを含む試薬を指し、メチル化されたCpGジヌクレオチド配列とメチル化されていないCpGジヌクレオチド配列とを区別するのに本明細書に開示されるように有用である。この処置の方法は、当該技術分野において知られている(たとえば、PCT/EP2004/011715、その全体が参照により援用される)。限定されないがn-アルキレングリコールもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)などの変性溶媒の存在下で、またはジオキサンもしくはジオキサン誘導体の存在下で亜硫酸水素塩処置を行うことが好ましい。いくつかの実施形態において、変性溶媒は、1%から35%の間の濃度(v/v)で使用される。いくつかの実施形態において、限定されないがクロマン誘導体などのスカベンジャー、たとえば、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸、またはトリヒドロキシ安息香酸(trihydroxybenzone acid)及びそれらの誘導体、たとえば、没食子酸の存在下で亜硫酸水素塩反応を実施する(その全体が参照により援用される、PCT/EP2004/011715を参照する)。30℃から70℃の間の反応温度で亜硫酸水素塩変換を好ましくは実施することにより、この温度は、反応中の短時間に85℃を超えて上昇する(その全体が参照により援用される、PCT/EP2004/011715を参照する)。定量化前に、亜硫酸水素塩に処置されたDNAを好ましくは精製する。これは、限定されないが限外ろ過などの、当該技術分野において知られている、いずれかの手段により、たとえば、Microcon(商標)カラム(Millipore(商標)により製造されている)の手段により行われることができる。この精製は、変更された製造者のプロトコルに従い実施される(たとえば、その全体が参照により援用される、PCT/EP2004/011715を参照する)。
いくつかの実施形態において、処置されたDNAのフラグメントは、本発明に従うプライマーオリゴヌクレオチド(たとえば、表3及び/または5を参照する)のセット及び増幅酵素を使用して増幅される。いくつかのDNAセグメントの増幅を1つの、かつ同一の反応容器中で同時に実施することが可能である。典型的に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、増幅を実施する。アンプリコンは、一般に100から2000塩基対長にある。
この方法の別の実施形態において、メチル化特異的プライマーオリゴヌクレオチドの使用により、DMR(たとえば、表1及び13に提供されるようなDMR1~140)を含むマーカー内の、またはこのマーカー付近のCpG位置のメチル化状態を検出することができる。この技法(MSP)は、Hermanの米国特許第6,265,171号に記載されている。亜硫酸水素塩に処置されたDNAの増幅のためのメチル化状態特異的プライマーの使用は、メチル化された核酸とメチル化されていない核酸との間の分化を可能にする。MSPプライマー対は、亜硫酸水素塩に処置されたCpGジヌクレオチドにハイブリダイズする、少なくとも1つのプライマーを含む。したがって、これらのプライマーの配列は、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含む。メチル化されていないDNAに特異的なMSPプライマーは、CpG中のC位の位置に「T」を含む。
増幅により得られたこれらのフラグメントは、直接的に、または間接的に検出可能なラベルを運搬することが可能である。いくつかの実施形態において、これらのラベルは、質量分析計において検出されることが可能である典型的な質量を有する、蛍光ラベル、放射性核種、または脱離可能な分子フラグメントである。これらのラベルが質量ラベルである場合、いくつかの実施形態は、ラベル付けされたアンプリコンが単一の正または負の有効電荷を有し、質量分析計におけるより良い検出可能性を可能にすることを提供する。たとえば、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI)によって、またはエレクトロンスプレー質量分析(ESI)を使用して、この検出を実施して、可視化することができる。
これらのアッセイ科学技術に適しているDNAを単離する方法は、当該技術分野において知られている。特に、いくつかの実施形態は、その全体が参照により本明細書に援用される、米国特許出願第13/470,251号(“Isolation of Nucleic Acids”)に記載されるような核酸の単離を備える。
方法
この科学技術のいくつかの実施形態において、つぎのステップ:
1)DMR(たとえば、表1及び13に提供されるような、たとえば、DMR1~140)を含む少なくとも1つのマーカー内のメチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを区別する、少なくとも1つの試薬、または一連の試薬と、被検体から得られる核酸(たとえば、糞便試料または前立腺組織または血漿試料などの体液から単離される、たとえば、ゲノムDNA)を接触させるステップ、及び
2)前立腺癌を検出するステップ(たとえば、80%以上の感度、及び80%以上の特異度によって提供される)、
を含む方法を提供する。
この科学技術のいくつかの実施形態において、つぎのステップ:
1)ACOXL、AKR1B1_3644、ANXA2、CHST11_2206、FLJ45983、GAS6、GRASP、HAPLN3、HCG4P6、HES5_0822、ITPRIPL1、KCNK4、MAX.chr1.61519554-61519667、MAX.chr2.97193166-97193253、MAX.chr3.193、MAX.chr3.72788028-72788112、RAI1_7469、RASSF2、SERPINB9_3389、SLC4A11、及びTPM4_8047からなる群から選択されるアノテーションを有する染色体領域から選択される少なくとも1つのマーカー内の、メチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを区別する、少なくとも1つの試薬、または一連の試薬と、被検体から得られる核酸(たとえば、糞便試料または前立腺組織などの体液から単離される、たとえば、ゲノムDNA)を接触させるステップ、ならびに
2)前立腺癌を検出するステップ(たとえば、80%以上の感度、及び80%以上の特異度によって提供される)、
を含む方法を提供する。
この科学技術のいくつかの実施形態において、つぎのステップ:
1)SERPINB9_3479、FLOT1_1665、HCG4P6_4618、CHST11_2206、MAX.chr12.485、GRASP_0932、GAS6_6425、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971_3164、MAX.chr3.727_8028、HES5_0840、TPM4_8037、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487からなる群から選択されるアノテーションを有する染色体領域から選択される少なくとも1つのマーカー内のメチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを区別する、少なくとも1つの試薬、または一連の試薬と、被検体から得られる核酸(たとえば、糞便試料または前立腺組織などの体液から単離される、たとえば、ゲノムDNA)を接触させるステップ、及び
2)前立腺癌を検出するステップ(たとえば、80%以上の感度、及び80%以上の特異度によって提供される)、
を含む方法を提供する。
この科学技術のいくつかの実施形態において、つぎのステップ:
1)max.chr3.193、HES5、SLCO3A1、及びTPM4_8047からなる群から選択されるアノテーションを有する染色体領域から選択される少なくとも1つのマーカー内の、メチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを区別する、少なくとも1つの試薬、または一連の試薬と、被検体から得られる核酸(たとえば、血漿試料から単離される、たとえば、ゲノムDNA)を接触させるステップ、ならびに
2)前立腺癌を検出するステップ(たとえば、80%以上の感度、及び80%以上の特異度によって提供される)、
を含む方法を提供する。
好ましくは、感度は、約70%から約100%、または約80%から約90%、または約80%から約85%である。好ましくは、特異度は、約70%から約100%、または約80%から約90%、または約80%から約85%である。
ゲノムDNAは、市販のキットの使用を備える、いずれかの手段により単離されることができる。簡潔に、対象となるDNAが細胞膜により被包される、生物学的試料は、酵素的、化学的または機械的手段によって破壊され、溶解されなければならない。つぎにDNA溶液は、たとえば、プロテイナーゼKによる消化などで、タンパク質、及び他の混入物を除去されることができる。つぎにゲノムDNAは、この溶液から回収される。これは、塩析、有機抽出、または固相支持体へのDNAの結合を含む、多様な方法によって実施されることができる。方法の選択は、時間、費用、及び必要とされるDNA量を含む、いくつかの要因に影響される。新生物物質または新生物発生前物質、たとえば、細胞株、組織スライド、組織診、パラフィンに包埋された組織、体液、糞便、前立腺組織、結腸流出物、尿、血漿、血清、全血、単離された血液細胞、血液から単離される細胞、及びそれらの組み合わせを含む、すべての臨床試料タイプは、本発明の方法における用途に適している。
この科学技術は、試料を調製して、試験のために核酸を提供するために使用される方法に限定されない。たとえば、いくつかの実施形態において、DNAは、たとえば、米国特許出願第61/485386号に、または関連方法によって詳述されるように、直接遺伝子捕捉を使用して、糞便試料から、または血液から、または血漿試料から単離される。
つぎにゲノムDNA試料は、DMR(たとえば、表1及び13に提供されるような、たとえば、DMR1~140)を含む少なくとも1つのマーカー内のメチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを区別する、少なくとも1つの試薬、または一連の試薬によって処置される。
いくつかの実施形態において、試薬は、5’位でメチル化されていないシトシン塩基をウラシル、チミン、またはハイブリダイゼーション挙動の点でシトシンと異なる別の塩基に変換させる。しかしながら、いくつかの実施形態において、試薬は、メチル化感受性制限酵素であることができる。
いくつかの実施形態において、ゲノムDNA試料は、5’位でメチル化されていないシトシン塩基をウラシル、チミン、またはハイブリダイゼーション挙動の点でシトシンと異なる別の塩基に変換するような方式で処置される。いくつかの実施形態において、この処置は、亜硫酸水素塩(bisulfite)(亜硫酸水素塩(hydrogen sulfite)、二亜硫酸塩)により実施された後に、アルカリ加水分解を伴う。
つぎに処置された核酸を分析し、標的遺伝子配列(DMR、たとえば、表1及び13に提供されるような、DMR1~140から選択される少なくとも1つのDMRを含むマーカーからの、少なくとも1つの遺伝子、ゲノム配列、またはヌクレオチド)のメチル化状態を決定する。本明細書に列挙される分析方法、たとえば、本明細書に記載されるようなQuARTS及びMSPを含む、当該技術分野において知られているものから、分析方法を選択することができる。
異常メチル化、より具体的に、DMR(たとえば、表1及び13に提供されるような、たとえば、DMR1~140)を含むマーカーの過剰メチル化は、前立腺癌と関連する。
この科学技術は、前立腺癌と関連するいずれかの試料の分析に関する。たとえば、いくつかの実施形態において、試料は、患者から得られる組織及び/または生物学的流体を含む。いくつかの実施形態において、試料は、分泌物を含む。いくつかの実施形態において、この試料は、血液、血清、血漿、胃分泌物、膵液、胃腸管組織診試料、前立腺組織診から顕微解剖される細胞、及び/または糞便から回収される前立腺細胞を含む。いくつかの実施形態において、被検体はヒトである。試料は、前立腺、肝臓、胆管、膵臓、胃、結腸、直腸、食道、小腸、虫垂、十二指腸、ポリープ、胆嚢、肛門、及び/または腹膜からの、細胞、分泌物、または組織を含むことができる。いくつかの実施形態において、試料は、細胞の流体、腹水、尿、糞便、膵液、内視鏡検査中に得られる流体、血液、粘液、または唾液を含む。いくつかの実施形態において、試料は、糞便試料である。
これらのような試料は、当業者に明らかであるような、当該技術分野において知られている、いずれかの数の手段によって得られることが可能である。たとえば、尿及び糞便試料は、容易に達成可能であるが、血液、腹水、血清、または膵液試料は、たとえば、ニードル及びシリンジを使用することによって、非経口的に得られることが可能である。無細胞の試料、または実質的に無細胞の試料は、遠心分離及びろ過を含むが、これらに限定されない、当業者に知られているさまざまな技法を試料が受けることによって得られることが可能である。非侵襲的技法を使用して、試料を得ることが一般的に好まれるが、組織ホモジネート、組織切片、及び生検検体などの試料を得ることが依然として好ましい。
いくつかの実施形態において、この科学技術は、患者(たとえば、前立腺癌を有する、早期前立腺癌を有する、または前立腺癌を患う可能性がある患者)を処置する方法に関し、この方法は、本明細書に提供されるような1つ以上のDMRのメチル化状態を決定し、このメチル化状態を決定する結果に基づき患者に処置を投与する。この処置は、医薬化合物、ワクチン、手術の実施、患者の撮像、別の試験の実施の投与であることができる。好ましくは、この用途は、臨床スクリーニングの方法、予後評価の方法、治療の結果を監視する方法、特定の療法処置に応答する可能性が最も高い患者を特定する方法、患者または被検体を撮像する方法、ならびに薬物スクリーニング及び開発方法にある。
この科学技術のいくつかの実施形態において、被検体中の前立腺癌を診断する方法を提供する。本明細書に使用される場合に、用語「診断すること」及び「診断」は、被検体が所与の疾患もしくは状態に苦しんでいるかどうかを、または将来的に所与の疾患もしくは状態を患う可能性があるかどうかを、当業者が推定して、判定さえもすることが可能である方法を指す。当業者は、1つ以上の診断指標、たとえば、バイオマーカー(たとえば、本明細書に開示されるようなDMR)などに基づき診断を行うことが多く、このバイオマーカーのメチル化状態は、状態の存在、重症度、または非存在を示す。
診断に加えて、臨床的ながん予後は、がんの攻撃性、及び腫瘍再発の尤度を決定し、最も効果的な治療を計画することに関する。さらに正確な予後を行うことが可能である場合、またはがんを患う潜在的なリスクを評価することが可能である場合でさえ、適切な治療、及びいくつかの例において患者にそれほど過酷ではない治療を選択することが可能である。がんバイオマーカーの評価(たとえば、メチル化状態を決定する)は、良好な予後を有する被検体、及び/または治療を必要としないがんを患うリスクの低い被検体、またはがんを患う可能性がさらに高い被検体から治療の限られた被検体、またはさらに集中的な処置から利益を受ける可能性があるがんの再発を受ける被検体に分けるために有用である。
このようなものとして、「診断を行うこと」、または「診断すること」は、本明細書に使用される場合、がんを患うリスクを決定すること、または予後を決定することをさらに含み、これらは、本明細書に開示される診断バイオマーカー(たとえば、DMR)の測定値に基づき、臨床転帰(医学的処置の有り無しで)を予測するか、適切な処置(または処置が有効であるかどうか)を選択するか、または現在の処置を監視して処置を可能性として変更するかのために提供されることが可能である。さらに、開示された本発明の主題のいくつかの実施形態において、経時的なバイオマーカーの複数の決定は、診断及び/または予後を促進するために行われることが可能である。バイオマーカーにおける経時的な変化を使用して、臨床回帰を予測する、前立腺癌の進行を監視する、及び/またはがんを対象とする適切な治療の有効性を監視することが可能である。例についてのこのような実施形態において、あるものは、有効な治療経過中に経時的に生物学的試料において、本明細書に開示される1つ以上のバイオマーカー(たとえば、DMR)(そして監視される場合に可能性として1つ以上の追加のバイオマーカー(複数可))のメチル化状態における変化がわかることを期待することができる。
開示された本発明の主題は、いくつかの実施形態において、被検体中のがんの予防または処置を開始するか、継続するかどうかを判定する方法をさらに提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、ある期間にわたり被検体から一連の生物学的試料を提供すること;一連の生物学的試料を分析して生物学的試料のそれぞれにおいて本明細書に開示される少なくとも1つのバイオマーカーのメチル化状態を決定すること;及び生物学的試料のそれぞれにおいてバイオマーカーのうちの1つ以上のメチル化状態におけるいずれかの測定可能な変化を比較することを備える。ある期間にわたるバイオマーカーのメチル化状態におけるいずれかの変化を使用して、がんを患うリスクを予測すること、臨床回帰を予測すること、がんの予防または治療を開始するか、継続するかどうか、また現在の治療ががんを効率的に処置しているかどうかを判定することが可能である。たとえば、第一時点は、処置の開始前に選択されることが可能であり、第二時点は、処置開始後のある時点で選択されることが可能である。メチル化状態を異なる時点から取られる試料のそれぞれにおいて測定し、定性的な、及び/または定量的な差異に留意することが可能である。異なる試料からのバイオマーカーレベルのメチル化状態における変化を、被検体における、前立腺癌リスク、予後、治療有効性を決定すること、及び/またはがんの進行と相関させることが可能である。
好ましい実施形態において、本発明のこれらの方法及び組成物は、早期における、たとえば、疾患の症状が現れる前の、疾患の処置または診断のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明のこれらの方法及び組成物は、臨床病期における疾患の処置または診断のためのものである。
記述されるように、いくつかの実施形態において、1つ以上の診断または予後バイオマーカーの複数の決定を行うことが可能であり、このマーカーにおける経時的な変化を使用して、診断または予後を決定することが可能である。たとえば、診断マーカーを初回に、そして再度2回目に判定することが可能である。これらのような実施形態において、初回から二回目へのマーカーにおける増加は、がんの特定のタイプもしくは重症度の診断、または所与の予後であることが可能である。同様に、初回から二回目へのマーカーにおける減少は、がんの特定のタイプもしくは重症度、または所与の予後を示すことが可能である。さらに、1つ以上のマーカーの変化の程度は、がんの重症度、及び将来の有害事象に関連することが可能である。当業者は、ある特定の実施形態において、同一のバイオマーカーの比較測定を複数の時点で行うことが可能であり、また所与のバイオマーカーを一番目の時点、及び第二バイオマーカーを二番目の時点で測定することが可能であり、これらのマーカーの比較が診断情報を提供することが可能であることを理解する。
本明細書に使用されるように、語句「予後を決定すること」は、当業者が被検体における状態の経過または転帰を予測することが可能である方法を指す。用語「予後」は、100%の精度を有する状態の経過または転帰を予測する能力、または所与の経過または転帰がバイオマーカー(たとえば、DMR)のメチル化状態に基づき起こる予測可能な多少の可能性である能力さえ指さない。代替に、当業者は、この状態を示さないこれらの個体と比較されるときに、用語「予後」はある特定の経過または転帰が起こる;すなわち、経過または転帰が所与の状態を示す被検体にさらに起こりそうな、上昇した確率を指すことを理解するであろう。たとえば、この状態を示さない(たとえば、1つ以上のDMRの正常なメチル化状態を有する)個体において、所与の転帰の変化(たとえば、前立腺癌に苦しんでいる)は、非常に低い可能性がある。
いくつかの実施形態において、統計分析は、予後指標を有害転帰への素因と関連付ける。たとえば、いくつかの実施形態において、がんを有さない患者から得られる正常な対照試料中のものと異なるメチル化状態は、統計的な有意性のレベルにより決定されるように、被検体がこの対照試料中のメチル化状態にさらに類似するレベルを有する被検体よりがんに苦しむ可能性がさらに高いことを示すことが可能である。加えて、ベースライン(たとえば、「正常な」)レベルからのメチル化状態における変化は、被検体の予後を反映していることが可能であり、メチル化状態における変化の程度は、有害事象の重症度に関連することが可能である。統計的有意性は、2つ以上の母集団を比較して信頼区間及び/またはp値を決定することによって決定されることが多い。たとえば、その全体が参照により本明細書に援用される、Dowdy and Wearden,Statistics for Research,John Wiley&Sons,New York,1983を参照する。本発明の主題の例示的な信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%、及び99.99%であり、例示的なp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、及び0.0001である。
他の実施形態において、本明細書に開示される予後または診断バイオマーカー(たとえば、DMR)のメチル化状態における変化の閾値程度を確立することが可能であり、生物学的試料中のこのバイオマーカーのメチル化状態における変化の程度を、メチル化状態における変化の閾値程度と単純比較する。本明細書に提供されるバイオマーカーについてのメチル化状態における好ましい閾値変化は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約50%、約75%、約100%、及び約150%である。さらに他の実施形態において、「計算図表」を確立することが可能であり、この計算図表によって、予後または診断指標(バイオマーカー、またはバイオマーカーの組み合わせ)のメチル化状態は、所与の転帰に対して関連した性質に直接に関係する。当業者は、このような計算図表の用途に精通しており、母集団の平均値ではなく、個々の試料の測定値を参照するので、この測定値における不確かさがマーカー濃度における不確かさと同一であることを理解することと、2つの数値を関連させる。
いくつかの実施形態において、生物学的試料から得られる結果を対照試料から得られる結果と比較することが可能であるように、生物学的試料と同時に対照試料を分析する。加えて、標準曲線を提供することが可能であり、この標準曲線と、生物学的試料についてのアッセイ結果を比較することができることを企図する。これらのような標準曲線は、アッセイ単位の関数、たとえば、蛍光ラベルを使用する場合、蛍光シグナル強度の関数としてバイオマーカーのメチル化状態を提示する。複数のドナーから取られた試料を使用して、正常な組織中の1つ以上のバイオマーカーの対照メチル化状態についての標準曲線、及び化生を有するドナーから、または前立腺癌を有するドナーから取られた組織中の1つ以上のバイオマーカーの「アットリスク」レベルについての標準曲線を提供することが可能である。この方法のある特定の実施形態において、被検体は、被検体から得られる生物学的試料中に、本明細書に提供される1つ以上のDMRの異常なメチル化状態を特定することに基づき、化生を有すると特定される。この方法の他の実施形態において、被検体から得られる生物学的試料中のこれらのようなバイオマーカーのうちの1つ以上の異常なメチル化状態の検出は、がんを有すると特定される被検体をもたらす。
1つの試験試料内の追加のマーカーと別々に、または同時にマーカーの分析を実施することが可能である。たとえば、複数の試料の効率的処理のために、またより高い診断及び/または予後精度を潜在的に提供するために、1つの試験にいくつかのマーカーを組み合わせることが可能である。加えて、当業者は、同一の被検体から複数の試料を試験する(たとえば、連続した時点で)価値を認識する。このような連続した試料の試験により、経時的なマーカーのメチル化状態における変化の特定が可能であることができる。メチル化状態における変化、及びメチル化状態における変化の非存在は、この事象の発生からのおよその時間、回収可能な組織の存在及び量、薬物療法の適合性、さまざまな療法の有効性、ならびに将来の事象のリスクを含む、被検体の転帰の特定を明らかにすることを含むが、これらに限定されない、疾患状態についての有用な情報を提供することが可能である。
多様な物理的形式において、バイオマーカーの分析を実施することが可能である。たとえば、マイクロタイタープレートまたは自動化の用途を用いて、多数の試験試料の処理を容易にすることが可能である。代替に、単一試料形式を開発し、時宜を得た様式において、たとえば、移動式輸送または救急室の状況において、即時処置及び診断を容易にすることが可能である。
いくつかの実施形態において、前立腺癌を有すると被検体が診断される場合、対照メチル化状態と比較するときに、試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのメチル化状態に測定可能な差異がある。逆に、メチル化状態における変化が生物学的試料中で特定されないときに、被検体は、前立腺癌を有さない、がんについてのリスクがない、またはがんのリスクが低いと特定されることが可能である。この点について、がん、またはがんのリスクを有する被検体は、実質的にがん、またはがんのリスクが低いから実質的にない被検体と区別されることが可能である。前立腺癌を患うリスクを有する、これらの被検体は、内視鏡検査を含む、さらに集中的な、及び/または定期的なスクリーニングスケジュールに置かれることが可能である。一方、リスクの低いから実質的にないこれらの被検体は、将来のスクリーニング、たとえば、前立腺癌のリスクがこれらの被検体内に現れたことを示す、本発明の科学技術に従い行われるスクリーニングなどのようなときまで、内視鏡検査を受けることを回避することができる。
上述されるように、本発明の科学技術の方法の実施形態により、1つ以上のバイオマーカーのメチル化状態における変化を検出することは、定性的決定であることが可能である、またはそれは、定量的決定であることが可能である。このようなものとして、前立腺癌を有する、または前立腺癌を患うリスクがある被検体を診断するステップは、ある一定の閾値測定を行うこと、たとえば、生物学的試料中の1つ以上のバイオマーカーのメチル化状態が所定の対照メチル化状態と異なることを示す。この方法のいくつかの実施形態において、対照メチル化状態は、バイオマーカーのいずれかの検出可能なメチル化状態である。生物学的試料と同時に対照試料を試験する方法の他の実施形態において、所定のメチル化状態は、対照試料中のメチル化状態である。この方法の他の実施形態において、所定のメチル化状態は、標準曲線に基づく、及び/または標準曲線によって特定される。この方法の他の実施形態において、所定のメチル化状態は、特異的な状態、または状態の範囲である。このようなものとして、当業者にあきらかである許容可能な限度内で、実施される方法、及び所望の特異度などの実施形態に部分的に基づき、所定のメチル化状態を選択することが可能である。
さらに診断方法に関して、好ましい被検体は、脊椎動物被検体である。好ましい脊椎動物は、温血動物であり、好ましい温血動物は、哺乳類である。好ましい哺乳類は、最も好ましくはヒトである。本明細書に使用される場合、用語「被検体」は、ヒト及び動物被検体の両方を含む。したがって、獣医療法用途を本明細書に提供する。このようなものとして、本発明の科学技術は、ヒトなどの哺乳類、及びアムールトラなどの絶滅の危機に瀕しているために重要な、ヒトによる消費のために農場で育てられる動物などの経済的に重要なこれらの哺乳類、及び/またはペットとして、または動物園に飼われている動物など、ヒトにとって社会的に重要な動物の診断のために提供される。これらのような動物の例は、ネコ及びイヌなどの肉食動物;ブタ(pig)、ブタ(hog)、及びイノシシを含むブタ(swine);ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、及びラクダなどの反芻動物及び/または有蹄動物;ならびにウマを含むが、これらに限定されない。したがって、また提供されるのは、家畜化されたブタ、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬を含む)、及び同様のものを含むが、これらに限定されない、家畜の診断及び処置である。開示された本発明の主題は、前立腺癌を被検体中で診断するシステムをさらに含む。このシステムを、たとえば、市販のキットとして提供することが可能であり、このキットを使用して、生物学的試料が採取される被検体中の、前立腺癌のリスクをスクリーニングする、または前立腺癌を診断することが可能である。本発明の科学技術に従い提供される例示的なシステムは、表1及び3に提供されるようなDMRのメチル化状態を評価することを備える。
実施例I
この例は、実施例II、III、IV、V及びVIについての材料及び方法を提供する。
実施例II、III、IV、V及びVIは、メチル化されたDNAマーカーが前立腺組織(たとえば、がん性の前立腺組織、及び/または非がん性の前立腺組織)を非前立腺組織(たとえば、白血球細胞)と判別することが可能であること、メチル化されたDNAマーカーががん性前立腺組織を非がん性前立腺組織と判別することが可能であること、メチル化されたDNAマーカーが非常に高悪性度のがん性前立腺組織(たとえば、7.0以上(たとえば、7、8、9、10)のグリーソンスコア)を低悪性度のがん性前立腺組織(たとえば、7未満(たとえば、6)のグリーソンスコア)と判別することが可能であること、及びメチル化されたDNAマーカーがPCaを血液試料中で検出することが可能であることを実証する。
これらの実験は、5段階を含んだ。第一に、Reduced Representation Bisulfite Sequencing(RRBS)(たとえば、Gu H,et al.,Nat Methods2010;7:133-6を参照する)を、前立腺癌(PCa)組織(グリーソンスコア6及び7+の両方)から、正常な前立腺から、そして健常な志願者からのバフィーコート試料から抽出されたDNA上で使用して、DNAメチル化マーカーの発見を実施した。第二に、可変メチル化領域(DMR)の判別は、厳密なろ過基準によって特定され、これらの配列を使用してリアルタイムメチル化特異的PCRアッセイ(qMSP)を開発した。つぎにこれらのアッセイを元の試料セットに適用し、結果の再現性(技術的妥当性確認)を確保した。第三に、独立したアーカイブ症例、及び対照組織から抽出されたDNA上でのqMSP生物学的妥当性確認のために、最もよく実施する候補のマーカーを選択した。第四に、候補のマーカー配列を汎がんRRBSシーケンシングデータセットにわたるインシリコと比較し、各マーカーについて部位特異的メチル化の程度を計測した。第五に、盲検下独立血漿試料中で試験して、臨床培地中でのPCa検出を評価するために、1セットの高性能のPCaマーカーを選択した。
研究の被検体及び試料
本研究は、Mayo Clinic Institutional Review Board(Rochester,MN)によって承認された。新鮮凍結(FF)組織、血漿、及びバフィーコート試料は、IRBに承認された患者バイオバンクによって提供された。腫瘍組織切片は、診断を確認し、新生物細胞充実性を推定するために、専門のGI病理学者によって再々度検討された。つぎに、これらの切片にマクロダイセクションを行った。QiaAmp Mini kit(Qiagen,Valencia CA)を使用してゲノムDNAを精製した後に、AMPure XPキット(Beckman Coulter,Brea CA)によって再精製した。
Reduced Representation Bisulfite Sequencingライブラリの調製
各試料のDNAの150ngを26ulのTe緩衝液(5.77ng/ul)中で希釈した。これは、1倍の最終濃度のCutSmart緩衝液(New England Biolabs)中で1ul(20単位)のMspIにより一晩、消化された。3’オーバーハングを末端修復し、2ul(10単位)のKlenow DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を含む、0.6ulの100mM dATP、0.06ulの100mM dCTP、及び0.06ulのdGTPの混合物によってAにテーリングを生じた。生成物を20分間30度で、20分間37度でインキュベートし、そして4度で保持した。末端修復後に、2倍のAgencourt Ampure XPビーズ(Beckman Coulter)によって生成物を精製し、2回70%のEtOHによって洗浄し、20ulの水中に溶出させた。16度で一晩インキュベートされた、1倍のT4リガーゼ緩衝液中で1ulのT4リガーゼ(400単位)を使用して、Illuminaアダプターをこの生成物に連結した。この生成物は、65度で20分間処置され、酵素を熱失活させた。連結後、2倍のAgencourt Ampure XPビーズ(Beckman Coulter)によって生成物を精製し、2回70%のEtOHによって洗浄し、47ulの水中で溶出させた。45ulの生成物は、それらのプロトコルに記載されるように、EZ-96DNAメチル化キット(Zymo Research)によって、亜硫酸水素塩で変換された。変換された生成物を2倍のAgencourt Ampure XPビーズ(Beckman Coulter)によって精製し、2回70%のEtOHによって洗浄し、22ulの水中で溶出させた。50ulの総容積中に、16ulの亜硫酸水素塩に変換された生成物(prodict)、1ul(2.5単位)のPfuTurbo Cx hotstart DNAポリメラーゼ、0.5ulのdNTP(それぞれ25mM)、6ulのIlluminaインデックス(それぞれ2.5uM)、及び1倍のPfuTurbo Cx hotstart DNAポリメラーゼ緩衝液を使用して、PCRを介してIlluminaインデックスを加えた。生成物は、0.7倍でAmpure XPを使用して、上澄みを採取した後に、1.2倍でAmpure XPを伴い、ビーズに結合したものを貯蔵したことにより選択された、デュアルサイズであった。最終生成物を40ul中に溶出させた。Pico Green(Molecular Probes)によってDNA分子量の収率を決定し、Tecan蛍光光度計上で測定した。High Sensitivity DNAチップによってAgilent2100(Agilent)上でDNAサイズを決定した。生成物のモル濃度を計算し、これらの試料を10nMに対して4試料/プールで等モルにプールした。
超並列シーケンシング及びバイオインフォマティクス
ランダム化されたレーン割り当てに従い、これらの試料をフローセル上にロードした。Mayo Clinic Medical Genome Facilityにおける次世代シーケンシングコアによってIllumina HiSeq2000上でシーケンシングを実施した。リードは、101サイクルに対して一方向であった。各フローセルレーンは、1億から1億2000万のリードを生成し、これは、アライメントを取った配列について30から50倍のシーケンシング深度の中央値カバレッジに十分であった。標準Illuminaパイプラインソフトウェアは、塩基を呼び出し、fastqフォーマット中でリードを生成した。配列リード評価及びクリーンアップ、基準ゲノムに対するアラインメント、メチル化状態抽出、ならびにCpG報告及びアノテーションのためにSAAP-RRBS(Reduced Representation Bisulfite Sequencing用の流線解析及びアノテーションパイプライン)を使用した。低カバレッジ(≦10)を有するCpGを除外した。第三級分析は、情報価値のない、または低い試料カバレッジのCpGを除外することからなり、スライドさせる100bpのウインドウ内で、低いバックグラウンド及び高密度のクラスターを含むメチル化されたCpG領域を特定する。リード深度基準は、症例と対照との間の%メチル化における10%の差異を検出する、所望の統計学上の能力に基づいた。統計的有意性は、リード計数に基づき、1DMRあたりのメチル化パーセンテージのロジスティック回帰によって決定された。個々の被検体にわたるリード深度を変えることを説明するために、過分散ロジスティック回帰モデルを使用し、そこで分散パラメータは、あてはめられたモデルから残差のピアソンのカイ二乗統計量を使用して推定された。DMRは、それらの有意性レベルに従いランク付けされ、さらに対照群中の%メチル化ががんにおいて≦1%及び≧10%であった場合を考察した。ほとんどの臓器部位において、これは、数百個の可能性のある候補をもたらした。利用された追加のフィルタは、受信者動作特性曲線(AUC)、%メチル化症例/対照倍率変化(FC)、及びDMR(及び対照におけるそれらの欠如)全体を通じてCpGの陽性試料間の同時メチル化の下での範囲であった。
技術的かつ生物学的組織妥当性確認
上記に列挙された基準によって決定されるような、PCa発見データセットから120箇所の最も見込みのあるDMRについて、メチル化特異的PCR(MSP)マーカーアッセイを開発した。ソフトウェア(Methprimer-University of California,San Francisco CA)または手動のいずれか一方によって、プライマーを設計した。これらのアッセイをSYBR Green qPCRによって、亜硫酸水素塩に変換された対照(メチル化されたゲノムDNA及びメチル化されていないゲノムDNA)、変換されていない対照、及び非鋳型対照上で厳密に試験し、最適化した。陰性対照と交差反応させたアッセイを再設計したか、廃棄したかのいずれかであった。加えて、融解曲線分析を実施し、特異的増幅が起こっていたことを確実にした。技術的妥当性確認フェーズについて、RRBS発見に使用された同一試料をqMSPによって再試験した。メチル化盲検であるように設計された、β-アクチンアッセイを、合計のDNAコピーを表す共通因子として使用した。ロジスティック回帰によって、このデータを分析し、バックグラウンド結果に対するAUC及びシグナルを発見値と比較した。約27%のマーカーは、期待以下であり、除去された。qMSPによって、独立した組織試料の伸長セット上で、残り(N=72)を試験した。これらの結果をロジスティックに分析し、転帰測定基準は、AUC、FC、及びロバストな症例の試料の%メチル化であった。
臓器全体の妥当性確認
最良のメチル化マーカーが前立腺外で実施した方法を評価するために、以前に配列決定された他の主ながん(結腸、膵臓、食道、肝臓、及び胃の)と比較して、前立腺試料にわたる妥当性確認DMRについてのシーケンシングリードを使用して、比較に基づくCpGの%メチル化マトリックスを構築した。マーカーの最終パネルを選択し、1)生体組織妥当性確認フェーズにおける全体的な性能、及び2)他のがんにわたるこれらのマーカーの部位特異的特性、に基づき血漿中で試験した。血液中のPCaを最も良く検出するために、非PCa DNAの過剰量を与え、汎用がんシグナル及び前立腺特異的がんシグナルの両方を示したロバストなマーカーパネルを選択した。
QuARTアッセイ設計及び血漿妥当性確認
以下の自動化シリカビーズ方法(たとえば、米国特許出願第15/335,111号を参照する)によって、3~4mLの預けられ、凍結された血漿からDNAを抽出した:
つぎにDNAは、以下の方法を使用して、亜硫酸水素塩に変換され、精製された:
つぎに試料(10uL)をQuARTs-X(たとえば、米国特許出願第15/335,096号を参照する)フォーマットにおいて、DMR配列から開発されたプライマー及びプローブを使用して、ABIリアルタイムPCR機器上で操作した。対象となるマーカー配列を含むプラスミドをGenscriptから得て、1X QuART試薬中で15ul反応あたり1コピーの公称濃度へ希釈した。この反応混合物を96ウェルのそれぞれに分配し、LightCycler上で45サイクル循環させ、データを収集した。試料を含むか、含まないかのいずれか一方の要求をウェルに与えた。ポアソン確率変数を1に設定し、平均成功率の値を試行錯誤によりに入力し、これらの値を使用して、その値についての累積確率を計算した。累積確率がシグナルを含むウェルのパーセントに等しいとき、正しい平均成功率、この場合コピー数は、見出された。これらのプラスミドを希釈し、アッセイ標準物質として使用した。
11サイクルの増幅を受ける12個までの標的に対してプライマーによって実施された、試料の前増幅プレートを最初に作製することによって、QuARTs-Xを実施した。つぎに、この生成物を1:9に希釈して、三段反応において3個の標的のみを含む後のQuART反応についての鋳型として使用した。鎖数を計算するために使用された標準物質は、前増幅を受けなかった。鎖ではなく、試料を前増幅することによって、アッセイの感度を上昇させた。
回帰分割(rPart)によって、結果を分析した。ロジスティック回帰を使用して、単一リスクスコアに複数のメチル化マーカーを組み合わせることは、標準的な技法である。しかしながら、ロジスティックモデル内のマーカー間での高次相互作用を見出す、及び/またはモデル化することは、困難である。これは、これらのような効果が存在するときに、マーカーのパネルの予測能力を制限する。回帰分割木(rPart)は、マーカーパネルの予測精度を最大にするような方式で、マーカー間に高次相互作用を見出すことが可能である決定木アプローチである。
実施例II.
本実施例は、RRBS結果及び技術的妥当性確認結果を説明する。
PCaは、多数の判別DMRをもたらし、これらの多くは、以前に特定されていなかった。正常な前立腺とPCa試料のメチル化を比較して、AUC>0.85、FC>20、及びp値<0.05のカットオフを満たした256箇所の領域を特定した。これらの領域のうちの22箇所は、1のAUCを有した。PCa及び正常な前立腺のメチル化を、そのバフィーコート試料と比較するときに、1895箇所の領域は、カットオフを上回り、827箇所が完全なAUCスコアを有した。両方の比較においてFCは、それぞれ、数百及び数千に伸長した。グリーソン7+のPCa(高悪性度、処置はがんを示した)対グリーソン6のPCa(ほとんどの場合に低悪性度、処置は通常必要とされない)を区別した、可能性のあるDMRを探索した。最高FC=72を有する、FC>2(7+/6)に関して、129箇所のDMRを観察した。
バイオマーカー開発過程における第二段階は、最初の発見段階において比較的に小さな試料サイズから生じる不確かさに対処することであった。より少ない数のDMRまたはマーカー候補上で異なる科学技術のプラットフォームを使用して、同一の試料を再試験することは、この目的に向けた最初のステップであった。SYBR Greenを使用するリアルタイムまたは定量的メチル化特異的PCR(qMSP)は、高い分析的な感度及び特異度を有する使い易い方法である。
管理可能な数の領域(N=120)を得るまでカットオフを上昇させたことによって、すべての3つの比較から上位の候補を取ったことにより、DMRを選択した(表1を参照する)。
またDMR配列は、鎖毎に基づき、対処されたCpG全体を通して有意な共メチル化(co-methylation)、または隣接したメチル化を示さなければならなかった。qMSP及び他の増幅に基づく方法は、すべての対処されたCpGがメチル化され(症例において)、メチル化されていない(対照において)ときに、最も良く機能する。鎖(亜硫酸水素塩に処置された普遍的にメチル化されたゲノムDNA)、及び対照試料(亜硫酸水素塩に処置されたメチル化されていないゲノムDNA、変換されていないゲノムDNAなど)上でQC試験した後に、99箇所の領域は、十分な直線性、特異性、及びロバスト性によって実施され、第1相の試料を再試験するために使用された。ほとんどのアッセイについてロジスティックに分析された結果は、シーケンシング段階からの数に導出された%メチル化と比較可能であった。すべての試料中の全DNA鎖は、100を超え、平均は、1000番代内であった。Zマーカー(たとえば、米国特許出願第14/966,617号を参照する)は、正常なバフィーコート試料と比較して、1のAUC、及び非常に高いFCを示し続けた。Zマーカー候補についてのがん対良性の割合を調査したときに、ほぼ半分は1対1であり、残りは、2から10の間(中央のZ)の割合を有した。がんマーカー対良性マーカーの、34個は、0.95から1の範囲の中でAUCを含んだ。すべては、バフィーコート試料に関して陰性であった。第1相の結果において、グリーソン7+のがんをグリーソン6のがんから区別したマーカーは、一般に、妥当性確認試験において、それらの性能を継続させた。26個のマーカーは、2個を上回る、最高で292個のFCを有した。
表2は、表1において特定されたDMRについて、1)6以上のグリーソンスコアを有する前立腺細胞対良性前立腺細胞についての曲線下の面積(AUC)、2)6以上のグリーソンスコアを有する前立腺細胞対良性前立腺細胞についての倍率変化(FC)、及び3)6以上のグリーソンスコアを有する前立腺細胞対バフィー(標準)についての倍率変化(FC)を示す。
実施例III.
独立したアーカイブ症例及び対照組織から抽出されたDNA上でのqMSP生物学的妥当性確認のために、実施例IIに記載される実験を通して特定された、最も良く実施した候補のマーカーを選択した。
第2相試験から、73個のマーカーを選択し(表3を参照する)、独立した1セットの前立腺組織(N=35の正常な前立腺、19個のグリーソンスコア6、31個のグリーソンスコア7+)、及び正常なバフィーコート(N=36)試料上で実施した。主にがん対良性セットにおいてサブ0.85AUC、またはZマーカーセットにおいて完全とは程遠い陽性メチル化のいずれか一方を有した27個のマーカーを除去した。グリーソン7+対グリーソン6のマーカーの大部分を繰り越した。前の通りに、qMSPによってすべての試料をアッセイした。73アッセイに対する、グリーソンスコア7+の前立腺組織対正常な良性前立腺組織についてのDMRゲノム座標及びAUCを表3に列挙し、それぞれのプライマー配列を表4に提供する。
AUCは、全体的に優れていたが、より早期の妥当性確認において、この伸長した独立的なセットにおいて期待されたものほどではなかった。表3に示されるように、20個のマーカーは、AUC値(グリーソン7+対正常な前立腺)を0.95~0.99の範囲、及びFC17~164内で有した。バフィーコート試料中の%メチル化は、単一の外れ値があったGRASPを除き無視できた。
臨床的な経過観察データが前立腺症例について利用可能であったので、エピジェネティックなマーカー候補の予後態様を探求することが決定された。回帰分割(rPart)、ロジスティックモデル内のマーカー間の高次相互作用を発見する、及び/またはモデル化するための数学的な方法を使用して、5個の予後マーカー(FAM78A、WNT3A、GAS6、LOC100129726、及びMAX.chr3.727)を選択した。リスクグルーピングは、グリーソンスコア付け(p<0.0001)と比較して無増悪生存期間を予測する際に有意な予後内容を加えられた、メチル化されたDNAマーカーによって定義されたが、グリーソンスコア付けは、メチル化されたDNAマーカーリスクグルーピング(p=0.2174)と比較して追加の値を含まなかった。
実施例IV.
前立腺組織内のPCaの7を上回るグリーソンスコア対6のグリーソンスコア間で区別することができるマーカーを特定する、追加の実験を行った。これらのような実験は、QuARTs-X(定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナルアッセイ)を利用した(たとえば、米国特許出願第15/335,096号を参照する)。表5は、前立腺組織内で、PCaグリーソン7+対グリーソン6についての、100%でのマーカー感度、及び倍率変化を示す(オリゴ配列は表6に提供される)。
実施例V.
実験を行い、その中で候補のマーカー配列を汎がんRRBSシーケンシングデータセットにわたるインシリコと比較し、各マーカーについて部位特異的メチル化の程度を計測した。
人体解剖学的形態内の腫瘍部位を正確に予測する、DNAメチル化シグネチャーを示している。器官部位関連特異度をより良く定義するために、複数のがん及び臓器組織にわたる73個のDMR/マーカーのそれぞれについてメチル化値を導出された、RRBSのインシリコCpGx試料マトリックスを構築した。これらは、前立腺、肝臓、大腸、膵臓、肺、食道、胃、及び胆管の組織を含んだ。臓器部位間の定量的メチル化の差異、及びDMR全体を通して隣接したメチル化の程度(パターン認識によって定義される)によって位置特異度をモデル化することが可能であった。表7に示されるように、8個のマーカーは、前立腺癌のみの特異度を実証した一方で、11個のマーカーは、すべてのがん及び組織に普遍的であった。それらの間には、前立腺/肝臓、前立腺/結腸/肝臓などのような同程度または異なる程度で特異度のクラスターがあった。1サブセットの前立腺マーカーは、他のがんのアラインメントを取ったリード中の欠損DMR配列が原因で定義されていないままである。
実施例VI.
実験を行い、盲検下独立血漿試料中で試験して、臨床培地中でのPCa検出を評価するために、1セットの高性能のPCaマーカーを選択した。
マルチプレックスQuARTs-X(定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナルアッセイ)の開発のために、複雑な生物学的培地(たとえば、血液の血漿)、他のがん血漿研究によって頻繁に使用される試験プラットフォーム中で分析物検出に適している性能測定基準の最良な組み合わせを示した、25個のDMR/マーカー(表8を参照する)を選択した。DMR配列のユニークさについての最初のインシリコ試験、設計フィルタ、及びプールされた血漿対照についてのQC試験後、Mayo前立腺癌バイオバンクから遡及的に採取され凍結された血漿試料について試験するために、17個の設計を進展させた。9回の三段反応及び1回の二段反応を展開し、これらの反応のそれぞれは、対照β-アクチンアッセイに含まれ、メチル化によって影響されなかった。また、2つの追加プロセスの対照を試験した。QuARTs-Xアッセイを表8に列挙する(プライマー及びプローブ情報について表6を参照する)。最終的なマーカー鎖(コピー)をβ-アクチン対照に規格化し、%メチル化として表した。上位4個のマーカーは、max.chr3.193、HES5、SLCO3A1、及びTPM4_8047であった。rPartモデル化と併せて、血液試料中のPCaを検出するための感度及び特異度は、それぞれ78%及び91%であった。
実施例VII.
前立腺癌についての治療決定は、主観的であり、精度を欠く、グリーソングレードによって導かれることが多い。発見及び早期妥当性確認において、メチル化されたDNAマーカー(MDM)を予後関連によって特定した(実施例Iを参照する)。さらに実験を行い、前立腺全摘除術(RP)後、>12年経過観察によって、独立した群からのアーカイブ組織を使用して、生化学的な再発を予測する際に、新規のMDMの値を評価した。
前立腺全摘除術(RP)を2004年に受けた737名の男性からの、446名をランダムに選択し、そして155名は、品質基準を満たした。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックを利用した。専門家の病理学者は、最新のグリーソン基準及びマクロダイセクション用にマーク付けされた腫瘍を使用して、すべての検体を盲検様式で再々度調査した。QiaAmp FFPE組織キット(Qiagen)を使用して、ゲノムDNAを精製し、Picogreen蛍光によって定量化した。FFPE DNAが高度に分解される可能性があったため、100bpのβ-アクチン増幅アッセイによって、増幅可能なゲノム等価物について試料を試験した。つぎにDNAは、亜硫酸水素ナトリウムによって処置され、精製された(Zymo Research)。
23個のMDMを選択し、試料を試験した。73個のMDMを使用した、独立した組織妥当性確認結果について、再帰分割分析(rPART)を実施することによって、23個のMDMに達した。その試験(実施例1)において使用されたすべての患者は、彼らの臨床記録中に転帰データを含んだ。具体的に、実験は、1000個のブートストラップ試料のrPART(インシリコ)を実施し、モデル化木において最も頻繁に現れるMDMを探した。つぎにこれらを頻度(高から低)によってランク付けし、上位のMDMを選択した(表10を参照する)。普遍的メチル化標準物質の希釈物、ならびに適切な陰性対照及び陽性対照に対して以前のように、盲検でMSPアッセイを実施した。未処理の計数を各試料についての全体のβ-アクチン計数に対して正規化した。再発は、PSA>0.4ng/mLとして定義された。再発リスクを割り当てるために、回帰分割木モデルによって上位のMDMを選択し、四分位によって群化した(M1(最低)からM4(最高))。MDMの予後値、及びグリーソングレード群(GGG)を評価し、RP後の転帰とそれらの一致に基づき比較した。再発率を予測するために最適な、以下のマーカー、WNT3A、LOC100129726、FNBP1、GSDMD、ITPRIPL1、Chr1.61519554、及びChr17.77786040を特定した。
実施例VIII.
追加の実験を行い、1)前立腺組織内のPCaの、7を上回るグリーソンスコア対6のグリーソンスコアと、2)6を上回るPCaのグリーソンスコア対非がん性前立腺組織とを区別することができるマーカーを特定した。これらのような実験は、QuARTs-X(定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナルアッセイ)を利用した(たとえば、米国特許出願第15/335,096号を参照する)。
DNA抽出
既知の臨床情報を有する、凍結DNA組織試料をMayo Clinicリポジトリから取得した。QiagenからのDNeasy Blood&Tissueキットを使用して、製造者のプロトコルに従い、DNAを組織から抽出した。約100ngの抽出されたDNAを、亜硫酸水素塩変換反応に進展させた。
DNAの亜硫酸水素塩変換及び精製のために以下の手順を伴った。
1.10μLの阻害溶液をディープウェルプレート(DWP)中の各ウェルに加える。
2.各試料の80μLをDWP中に加える。
3.30~40μLに設定されたピペットによるピペッティングによって、慎重に混合し、泡立つのを回避する。
4.1分間、3000xgでDWPを密封し、遠心分離した。
5.42℃で20分間インキュベートする。
6.各ウェルに120μLのBIS SLNを加える。
7.8分冷却する。
8.最初の3分中に混合しながら、65℃で75分間インキュベートする。
9.750μLのBND SLNを加える。
10.シリカビーズ(BND BDS)の予備混合、そしてDWPのウェルへの50μLのシリカビーズ(BND BDS)の追加。
11.30℃、1,200rpmで30分間、ヒーター振盪機上で混合する。
12.5分間、プレートマグネット上でビーズを結合させた後に、溶液を吸引し、破棄する。
13.1mLの洗浄緩衝液(CNV WSH)を加えた後に、プレートをヒーター振盪機へ移動させ、1,200rpmで3分間混合する。
14.5分間、プレートマグネット上でビーズを結合させた後に、溶液を吸引し、破棄する。
15.0.25mLの洗浄緩衝液(CNV WSH)を加えた後に、プレートをヒーター振盪機へ移動させ、1,200rpmで3分間混合する。
16.2分間、マグネット上でビーズを結合させた後に、溶液を吸引し、破棄する。
17.0.2mLの脱スルホン化緩衝液(DES SLN)を追加し、1,200rpmで7分間、30℃で混合する。
18.2分間、マグネット上でビーズを結合させた後に、溶液を吸引し、破棄する。
19.0.25mLの洗浄緩衝液(CNV WSH)を加えた後に、プレートをヒーター振盪機へ移動させ、1,200rpmで3分間混合する。
20.2分間、マグネット上でビーズを結合させた後に、溶液を吸引し、破棄する。
21.0.25mLの洗浄緩衝液(CNV WSH)を加えた後に、プレートをヒーター振盪機へ移動させ、1,200rpmで3分間混合する。
22.2分間、マグネット上でビーズを結合させた後に、溶液を吸引し、破棄する。
23.ヒーター振盪機へ移動させ、1,200rpmで混合しながら70℃で15分間インキュベートすることによって、プレートを乾燥させることを可能にする。
24.DWP中のすべての試料にわたり、80μLの溶出緩衝液(ELU BFR)を加える。
25.1,200rpmで混合しながら、65℃で25分間インキュベートする。
26.溶出液を96ウェルプレートへ手動で移動させ、ホイルシールによってプレートを密封した後に、-80℃で保管する。
27.回収可能/移動可能な容積は、約65μLである。
メチル化されたDNA検出及び定量化のためのQuARTS-X
マルチプレックスPCR(mPCR)セットアップ:
1-対象となる各メチル化されたマーカーについての順方向プライマー及び逆方向プライマーをそれぞれ750nMの最終濃度まで含む10倍のプライマー混合物を調製する。10mMのTris-HCl、pH 8、0.1mMのEDTAを希釈液として使用する。
2-100mMのMOPSを、pH7.5、75mMのMgCl2、0.08%のTween20、0.08%のIGEPAL CA-630、2.5mMのdNTPを含む、10倍のmPCR緩衝液を調製する。
3-以下のようにmPCRマスターミックスを調製する:
4-DNAを解凍し、プレートを遠心沈殿させる。
5-25μLのマスターミックスを96ウェルのABI Veritiプレートに加える。
6-各試料の50μLを各ウェルに移動させ、上下に数回、ピペッティングすることによって各試料を混合する。
7-アルミニウムホイルシールによってプレートを密封する。
8-加熱蓋サーマルサイクラー中に置き、以下のプロファイル「QX12サイクル」を使用するサイクルに進む:
9-インキュベーションの完了後、アンプリコンの1から10倍希釈を以下のように実施した:
a.ディープウェルプレートを取得し、180μLの10mMのTris-HCl、pH8、0.1mMのEDTAを各ウェルに移動させる。
b.96ウェルスタンプによって増幅されたプレートのホイルシール中に穴を慎重に開ける。
c.新しいチップ、及び50μLに対して200μLのピペッターセット(エアロゾルを生成しない)を使用して、ピペッティングを繰り返すことによって、75μLの増幅された試料を混合する(混合のために振盪機を使用しない)。
d.新しいチップ、及び20μLに対して20μLのピペッターセット(エアロゾルを生成しない)を使用して、20μLの増幅された試料をそれぞれ予め充填されたウェルに加える。
e.新しいチップ、及び100μLに対して200μLのピペッターセット(エアロゾルを生成しない)を使用して、ピペッティングを繰り返すことによって、希釈された試料を混合する(混合のために振盪機を使用しない)。
f.希釈されたプレートをプラスチックシールによって密封する。
g.1,000rpmで1分間、希釈されたプレートを遠心分離する。
h.希釈されていない、いずれかの残りのmPCR生成物を新しいアルミニウムホイルシールによって密封する。-80℃で置く。
手動QuARTSアッセイセットアップ:
1-魚DNA希釈液(20ng/μL)を解凍し、このアッセイに必要とされるプラスミドキャリブレーターを希釈するために使用する。以下の表を希釈指針として使用する:
2-マーカーA、B、及びCについてつぎの表を使用して、10倍の三重QuARTSオリゴ混合物を調製する:
3-つぎの表を使用して、QuARTSマスターミックスを調製する:
4-96ウェルのABIプレートを使用して、20μLのQuARTSマスターミックスをそれぞれのウェルにピペッティングする。
5-10μLの適切なキャリブレーターまたは希釈されたmPCR試料を加える。
6-プレートをABI透明プラスチックシールによって密封する。
7-1分間、3000rpmを使用して、プレートを遠心分離する。
8-つぎのサーマルプロトコル「Quarts 5+40」を実施するようにプログラミングされるABIサーマルサイクラー中に、プレートを置いた後に、この機器を起動させる。
A.自動化されたQuARTSセットアップ:
1-1チューブの魚DNAの希釈液(20ng/μL)、2チューブの1.62倍のオリゴ混合物を解凍し、調製されたキャリブレーターシリーズをHamilton STARlet Deck上に置くために必要とする。
2-Hamilton STARlet Deck上に載せる前に、すべての試薬をボルテックスし、遠心分離する。
3-試料を含むディープウェルプレートをマグネット上に載せる。
4-以下の図に示されるように、50μLのCOREチップのフルトレイをデッキ上に置く。
5-以下の図に示されるように、少なくとも1ロウ全部のデッキ上に1000μLのCOREチップを置く。
6-バーコードを機械の正面に向けながら(後部左隅中のA1ウェルに関して)、以下の図面に示されるように、空のABI96ウェルプレートをSTARletデッキ上に載せる。
7-画面上のデッキレイアウト及びソフトウェアのインストラクションに従い、示されたキャリア位置中に試薬を載せる(以下の第二図を参照する)。
8-以下の図に示されるように、2個のキャップのないバーコードを付けられた空のチューブをデッキ上に載せる。
9-Hamilton上で「QuARTSONLYV4.0_BA_20160127」方法を実行する。
10-この方法を完了すると、96ウェルQuARTSプレートを取り除き、透明プラスチックカバーによって密封する。
11-1分間、3000rpmを使用して、プレートを遠心分離する。
12-つぎに、以下のサーマルプロトコルを実施するようにプログラミングされるABIサーマルサイクラー中にプレートを置いた後に、この機器:「Quarts5+40」を起動させる。
結果
これらの実験は、
1)特異的メチル化DNAマーカー(SERPINB9_3479、GRASP_0932、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487)は、非常に高悪性度のがん性前立腺組織(たとえば7.0以上(たとえば、7、8、9、10)のグリーソンスコア)を低悪性度のがん性前立腺組織(たとえば、7未満(たとえば、6)のグリーソンスコア)と区別すること、ならびに、
2)特異的メチル化DNAマーカー(SERPINB9_3479、FLOT1_1665、HCG4P6_4618、CHST11_2206、MAX.chr12.485、GRASP_0932、GAS6_6425、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971_3164、MAX.chr3.727_8028、HES5_0840、TPM4_8037、SLCO3A1_6187、ITPRIPL1_1244、AKR1B1_3644、RASGRF2_6325、ZNF655_6075、PAMR1_7364、ST6GALNAC2_1113、CCNJL_9070、KCNB2_9128、IGFBP7_6412、及びWNT3A_5487)は、がん性前立腺組織(たとえば、6.0以上(たとえば、6、7、8、9、10)のグリーソンスコアを非がん性前立腺組織と区別すること、
を特定した。
表11は、正常組織についての%メチル化、6のグリーソンスコアを有する前立腺組織についての%メチル化、及び7~10の間のグリーソンスコアを有する前立腺組織についての%メチル化を示す(表12にオリゴ配列を提供する;表13にDMR情報を提供する)。
100%カットオフを用いる、このデータについてACTBと比較した%メチル化のロジスティック回帰分析適合度を使用し、AUC=0.99を有する、2個のマーカー、FLOT1及びMAX.Chr3.193を使用して98.5%の感度で正常なものからのがんの予測を可能にした。6対6+の予測のために、データのACTBと比較した9個のマーカー(AUC=0.96)の%メチル化のロジスティック回帰分析適合度により、91.7%の特異度において92.8%の感度でグリーソン6+を予測した。マーカーは、GRASP、GAS6、MAX.chr3.193、MAX.chr2.971、TPM4、ITPRIPL2、AKR1B1、ZNF655、WNT3Aであった。
上記明細書に記載した全ての刊行物及び特許は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に援用される。記載される本科学技術の組成物、方法、及び用途の種々の修正形態及び変形形態は、記載されるような本科学技術の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者には明白である。本科学技術を特定の例示的な実施形態に関連して記載してきたが、特許請求の範囲に記載されるような本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、薬理学、生化学、医学、または関連分野における当業者に明らかである本発明を実施するために記載された方式のさまざまな修正形態は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。