例えば車両後突時に、乗員の頭部に後方に向く荷重が加わると、ヘッドレストは乗員の頭部から受ける荷重に対抗し、乗員の頭を後方から支持する。このとき、乗員の頭部からの荷重によって、支持部材が変形すると、ヘッドレストが適正な位置からずれて、乗員の頭部を十分に支持できなくなる虞がある。
本発明は、以上の背景に鑑み、ヘッドレストが支持部材を介してシートバックフレームに支持されたヘッドレスト支持装置において、支持部材の変形を防止することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両用シート(S)に於けるシートバック(1)の上端に設けられたヘッドレスト支持装置(20、220)であって、左右に延びるピラー基部(25)を備えたヘッドレストピラー(21)と、前記ピラー基部の後側に配置された第1部材(31)、及び、前記第1部材及び前記ピラー基部の前側に設けられ、前記第1部材と協働して前記ピラー基部の軸受孔(48)を形成する第2部材(32)を含む支持部材(22)と、前記ピラー基部の外周面に固定されたピラー側係止部材(50)と、前記ピラー基部の上下一方側に設けられ、前記ピラー側係止部材を選択的に係止するべく、前記支持部材に前後方向に延びる回動軸線を中心とする回動可能に支持された支持部材側係止部材(60)と、一端において、前記支持部材側係止部材の前記上下一方側の端部に結合され、左右一方側に延出し、他端において前記支持部材に結合された付勢部材(64)と、一端において、前記支持部材側係止部材の前記上下一方側の端部に結合され、左右他方側に延出する操作部材(66)とを有し、前記第2部材が前記支持部材側係止部材を前方から覆うと共に前方に膨出する第1膨出部(42A、242A)と、前記操作部材、及び前記付勢部材を前方から覆うと共に前方に膨出する第2膨出部(70、270)とを備え、前記回動軸線の左右において前記第1膨出部及び前記第2膨出部を上下に接続し、前記第1膨出部、及び前記第2膨出部と協働して、前記回動軸線を外囲する左右一対の第1リブ(91)が設けられていることを特徴とする。
この態様によれば、第1膨出部と第2膨出部とを接続する第1リブが設けられることによって、第2部材の剛性が高められる。よって、支持部材の変形を防止することができる。また、第1膨出部、及び第2膨出部、及び左右一対の第1リブによって、回動軸線を外囲される。これにより、支持部材側係止部材の近傍部分において支持部材の剛性を高めることができる。よって、支持部材側係止部材とピラー側係止部材との係合が意図せず、解除されることが防止できる。
上記の態様において、前記第1膨出部と前記第2膨出部との間において、前記第1部材及び前記第2部材を締結すると共に、前記支持部材側係止部材を前記支持部材に対して回動可能に結合させる締結具(81)を含むとよい。
この態様によれば、1つの締結具によって、第1部材及び第2部材を結合させると共に、支持部材側係止部材を支持部材に回動可能に結合させることができるため、ヘッドレスト支持装置の構成が簡素である。
上記の態様において、前記第2部材の前面には、前記第1膨出部から左方に延出する左側第2リブ(92A)と、前記第1膨出部から右方に延出する右側第2リブ(92B)とが設けられているとよい。
この態様によれば、第2部材、特に第1膨出部の剛性が高められる。
上記の態様において、前記左側第2リブ及び前記右側第2リブはそれぞれ、前記第1膨出部及び前記第2膨出部を接続しているとよい。
この態様によれば、第2部材の剛性を高めることができる。
上記の態様において、前記第2部材が前記第1膨出部の左側及び右側において前方に膨出し、前記第1部材と協働してそれぞれ前記軸受孔を形成する左副膨出部(42B、242B)及び右副膨出部(42C、242C)を更に備え、前記第2部材の前面には、前記左副膨出部と前記第2膨出部とを上下に接続する左側第3リブ(93A)と、前記右副膨出部と前記第2膨出部とを接続する右側第3リブ(93B)とが設けられているとよい。
この態様によれば、第2部材の剛性を高めることができる。また、軸受孔に近接する部分に右側第3リブ及び左側第3リブが設けられるため、軸受孔近傍の剛性を高めることができる。
上記の態様において、前記第2膨出部は前記操作部材と前記支持部材側係止部材との結合部分を前方から覆い、前記左右他方側に延出する第2主膨出部(70A)と、前記第2主膨出部から前記左右一方側に延出するとともに前記付勢部材を前方から覆う第2副膨出部(70B)とを含み、前記第2主膨出部の突端面は前記第2副膨出部の突端面よりも前方に位置し、前記第1リブの少なくとも1つは、前記第2副膨出部の前面を通過して、前記第2主膨出部に達しているとよい。
この態様によれば、第2副膨出部の前面を通過して第2主膨出部に達するようにリブが設けられるため、第2副膨出部及び第2主膨出部の剛性を高めることができる。
上記の態様において、左側に位置する前記第1リブ(91A)、前記左側第3リブ、及び前記左側第2リブは前記第2主膨出部又は前記第2副膨出部のいずれか一方に互いに異なる位置において接続され、右側に位置する前記第1リブ(91B)、前記左側第3リブ、及び前記左側第2リブは前記第2主膨出部又は前記第2副膨出部の他方に互いに異なる位置において接続されているとよい。
この態様によれば、第2主膨出部とリブとの接続部分が一か所に集中せず、広範囲に渡って設けられるため、第2主膨出部の剛性を広範囲に渡って向上させることができる。同様に、第2副膨出部とリブとの接続部分が広範囲に渡って設けられるため、第2副膨出部の剛性を広範囲に渡って向上させることができる。
上記の態様において、前記左側第2リブ及び前記左側第3リブは直交し、前記右側第2リブ及び前記右側第3リブは直交しているとよい。
この態様によれば、リブが延在方向に直交する方向の荷重に対して変形し難くなり、第2部材の剛性を高めることができる。
上記の態様において、前記ヘッドレストピラーは前記ピラー基部に対して略垂直かつ互いに略平行に延び、遊端にて前記ヘッドレストを支持する左右一対のピラー本体部を備え、前記支持部材側係止部材は前記ピラー基部の下方に設けられ、前記第1部材は上部において前記シートバックの上端に結合され、前記付勢部材は一端において前記支持部材側係止部材の下部に結合され、前記支持部材側係止部材の前記左右一方側の斜め上方に向けて延出し、前記操作部材は一端において前記支持部材側係止部材の前記下部に結合され、前記支持部材側係止部材の前記左右他方側の斜め上方に向けて延出し、前記第2膨出部は正面視で略V字状をなすとよい。
この態様によれば、支持部材を介して、ヘッドレストをシートバックに回動可能に結合させることができる。付勢部材及び操作部材をそれぞれ斜め上方に延出するように設け、第2膨出部を正面視で略V字状をなすように構成することで、第2部材が上下方向に撓みにくくなり、第2部材の上下方向の剛性を向上させることができる。
上記の態様において、前記第1部材は前記シートバックの骨格を構成する左右一対のサイドフレームの上端を接続するアッパフレームの前面に結合され、前記第1部材の後面には前記第1部材の剛性を高めるための後面リブが前記回動軸線を外囲するように設けられ、前記後面リブの少なくとも一つが、左右の前記サイドフレームの後面及び前記アッパフレームの後面にそれぞれ結合され、前後方向を向く主面を有するパンフレームの前面に当接しているとよい。
この態様によれば、後面リブを設けることによって、第1部材の剛性を高めることができる。また、パンフレームに後方から荷重が加わったときに、後面リブによってパンフレームが支持される。よって、パンフレームの見かけ上の剛性を高めることができる。また、支持部材側係止部材の近傍部分において支持部材の剛性が高められるため、ピラー基部の回動を係止する支持部材側係止部材を保護することができる。
上記の態様において、前記ヘッドレストピラーは前記ピラー基部に対して略垂直かつ互いに略平行に延び、前記シートバックの上端に結合された左右一対のピラー本体部を備え、前記支持部材側係止部材は前記ピラー基部の上方に設けられ、前記付勢部材は一端において前記支持部材側係止部材の上部に結合され、前記支持部材側係止部材の前記左右一方側の斜め下方に向けて延出し、前記操作部材は一端において前記支持部材側係止部材の前記上部に結合され、前記支持部材側係止部材の前記左右他方側の斜め下方に向けて延出し、前記第2膨出部は正面視で略V字状をなすとよい。
この態様によれば、ヘッドレストをシートバックに対して回動可能に設けることができる。また、第2部材が上下方向に撓みにくくなり、第2部材の上下方向の剛性を向上させることができる。
本発明の一態様は、車両用シートSに於けるシートバック1の上端に設けられたヘッドレスト支持装置であって、左右に延びるピラー基部を備えたヘッドレストピラーと、ピラー基部の後側に配置された第1部材、及び、第1部材及びピラー基部の前側に設けられ、第1部材と協働してピラー基部の軸受孔を形成する第2部材を含む支持部材と、ピラー基部の外周面に固定されたピラー側係止部材と、ピラー基部の上下一方側に設けられ、ピラー側係止部材を選択的に係止するべく、支持部材に前後方向に延びる回動軸線を中心とする回動可能に支持された支持部材側係止部材と、一端において、支持部材側係止部材の上下一方側の端部に結合され、左右一方側に延出し、他端において支持部材に結合された付勢部材と、一端において、支持部材側係止部材の上下一方側の端部に結合され、左右他方側に延出する操作部材とを有し、第2部材が支持部材側係止部材を前方から覆うと共に前方に膨出する第1膨出部と、操作部材、及び付勢部材を前方から覆うと共に前方に膨出する第2膨出部とを備え、回動軸線の左右において第1膨出部及び第2膨出部を上下に接続し、第1膨出部、及び第2膨出部と協働して、回動軸線を外囲する左右一対の第1リブが設けられている態様によれば、第1膨出部と第2膨出部とを接続する第1リブが設けられることによって、第2部材の剛性が高められる。よって、支持部材の変形を防止することができる。また、第1膨出部、及び第2膨出部、及び左右一対の第1リブによって、回動軸線を外囲される。これにより、支持部材側係止部材の近傍部分において支持部材の剛性を高めることができる。よって、支持部材側係止部材とピラー側係止部材との係合が意図せず、解除されることが防止できる。
上記の態様において、第1膨出部と第2膨出部との間において、第1部材及び第2部材を締結すると共に、支持部材側係止部材を支持部材に対して回動可能に結合させる締結具を含む態様によれば、1つの締結具によって、第1部材及び第2部材を結合させると共に、支持部材側係止部材を支持部材に回動可能に結合させることができるため、ヘッドレスト支持装置の構成が簡素である。
上記の態様において、第2部材の前面には、第1膨出部から左方に延出する左側第2リブと、第1膨出部から右方に延出する右側第2リブとが設けられている態様によれば、第2部材、特に第1膨出部の剛性が高められる。
上記の態様において、左側第2リブ及び右側第2リブはそれぞれ、第1膨出部及び第2膨出部を接続している態様によれば、第2部材の剛性を高めることができる。
上記の態様において、第2部材が第1膨出部の左側及び右側において前方に膨出し、第1部材と協働してそれぞれ軸受孔を形成する左副膨出部及び右副膨出部を更に備え、第2部材の前面には、左副膨出部と第2膨出部とを上下に接続する左側第3リブと、右副膨出部と第2膨出部とを接続する右側第3リブとが設けられている態様によれば、第2部材の剛性を高めることができる。また、軸受孔に近接する部分に右側第3リブ及び左側第3リブが設けられるため、軸受孔近傍の剛性を高めることができる。
上記の態様において、第2膨出部は操作部材と支持部材側係止部材との結合部分を前方から覆い、左右他方側に延出する第2主膨出部と、第2主膨出部から左右一方側に延出するとともに付勢部材を前方から覆う第2副膨出部とを含み、第2主膨出部の突端面は第2副膨出部の突端面よりも前方に位置し、第1リブの少なくとも1つは、第2副膨出部の前面を通過して、第2主膨出部に達している態様によれば、第2副膨出部の前面を通過して第2主膨出部に達するようにリブが設けられるため、第2副膨出部及び第2主膨出部の剛性を高めることができる。
上記の態様において、左側に位置する第1リブ、左側第3リブ、及び左側第2リブは第2主膨出部又は第2副膨出部のいずれか一方に互いに異なる位置において接続され、右側に位置する第1リブ、左側第3リブ、及び左側第2リブは第2主膨出部又は第2副膨出部の他方に互いに異なる位置において接続されている態様によれば、第2主膨出部とリブとの接続部分が一か所に集中せず、広範囲に渡って設けられるため、第2主膨出部の剛性を広範囲に渡って向上させることができる。同様に、第2副膨出部とリブとの接続部分が広範囲に渡って設けられるため、第2副膨出部の剛性を広範囲に渡って向上させることができる。
上記の態様において、左側第2リブ及び左側第3リブは直交し、右側第2リブ及び右側第3リブは直交している態様によれば、リブが延在方向に直交する方向の荷重に対して変形し難くなり、第2部材の剛性を高めることができる。
上記の態様において、ヘッドレストピラーはピラー基部に対して略垂直かつ互いに略平行に延び、遊端にてヘッドレストを支持する左右一対のピラー本体部を備え、支持部材側係止部材はピラー基部の下方に設けられ、第1部材は上部においてシートバックの上端に結合され、付勢部材は一端において支持部材側係止部材の下部に結合され、支持部材側係止部材の左右一方側の斜め上方に向けて延出し、操作部材は一端において支持部材側係止部材の下部に結合され、支持部材側係止部材の左右他方側の斜め上方に向けて延出し、第2膨出部は正面視で略V字状をなす態様によれば、支持部材を介して、ヘッドレストをシートバックに回動可能に結合させることができる。付勢部材及び操作部材をそれぞれ斜め上方に延出するように設け、第2膨出部を正面視で略V字状をなすように構成することで、第2部材が上下方向に撓みにくくなり、第2部材の上下方向の剛性を向上させることができる。
上記の態様において、第1部材はシートバックの骨格を構成する左右一対のサイドフレームの上端を接続するアッパフレームの前面に結合され、第1部材の後面には第1部材の剛性を高めるための後面リブが回動軸線を外囲するように設けられ、後面リブの少なくとも一つが、左右のサイドフレームの後面及びアッパフレームの後面にそれぞれ結合され、前後方向を向く主面を有するパンフレームの前面に当接している態様によれば、後面リブを設けることによって、第1部材の剛性を高めることができる。また、パンフレームに後方から荷重が加わったときに、後面リブによってパンフレームが支持される。よって、パンフレームの見かけ上の剛性を高めることができる。また、支持部材側係止部材の近傍部分において支持部材の剛性が高められるため、ピラー基部の回動を係止する支持部材側係止部材を保護することができる。
上記の態様において、ヘッドレストピラーはピラー基部に対して略垂直かつ互いに略平行に延び、シートバックの上端に結合された左右一対のピラー本体部を備え、支持部材側係止部材はピラー基部の上方に設けられ、付勢部材は一端において支持部材側係止部材の上部に結合され、支持部材側係止部材の左右一方側の斜め下方に向けて延出し、操作部材は一端において支持部材側係止部材の上部に結合され、支持部材側係止部材の左右他方側の斜め下方に向けて延出し、第2膨出部は正面視で略V字状をなす態様によれば、ヘッドレストをシートバックに対して回動可能に設けることができる。また、第2部材が上下方向に撓みにくくなり、第2部材の上下方向の剛性を向上させることができる。
<<第1実施形態>>
以下、図面を参照して、本発明のヘッドレスト支持装置の実施形態について説明する。ヘッドレスト支持装置は、車両用シートのシートバックにヘッドレストを取り付けて、シートバックに対してヘッドレストを角度変更可能に支持するために使用される。以下では、車両用シートに着座する乗員を基準として、前後、左右、及び上下の各方向を定めて説明を行う。
図1に示すように、車両用シートSのシートバック1は、骨格としてのシートバックフレーム2に、パッド及び表皮を被せて形成させる。シートバックフレーム2は、前後方向に開口する四角枠型のシートバックフレーム枠部2Aと、シートバックフレーム枠部2Aの背面に設けられた板状のパンフレーム2Bとを含む。シートバックフレーム枠部2Aは、上下に延びる左右一対のサイドフレーム3と、各サイドフレーム3の上端を連結する第1アッパフレーム4と、第1アッパフレーム4の下方において左右のサイドフレーム3を連結する第2アッパフレーム5と、各サイドフレーム3の下部を連結するロアフレーム(不図示)とを含む。左右のサイドフレーム3の上部と第1アッパフレーム4のフレーム本体部4Aとは、屈曲された1つの連続したパイプ部材から形成されている。第1アッパフレーム4のフレーム本体部4Aの左右方向における中央部の前側部分は、前方を向く平面部を形成するように変形されている。
図1~図5に示すように、フレーム本体部4Aの平面部には、左右一対の第1ブラケット7が溶接されている。左右一対の第1ブラケット7は、シートバック1の左右方向における中央を通るセンターラインCを対称軸として対称となる位置に配置されている。図5に示すように、各第1ブラケット7は、前方を向く前側部7Aと、前側部7Aの左右両縁から後方に延びる左右の側部7Bとを有して、断面が後方に開口した溝形をなす。各第1ブラケット7は、左右の側部7Bの後縁において第1アッパフレーム4に結合されている。各第1ブラケット7は、第1アッパフレーム4に対して上方及び下方に延びている。各第1ブラケット7の前側部7Aの上部7Cは、下部7Dに対して前方に張り出している。
図5~図8に示すように、左右一対の第1ブラケット7の間には、第2ブラケット11が掛け渡されている。第2ブラケット11は、前後を向く主面を備えた板状をなし、左右両端が第1ブラケット7の側部7Bに溶接されている。第2ブラケット11は、フレーム本体部4Aから前方に距離をおいて配置されると共に、フレーム本体部4Aの上縁よりも上方に突出している。
図1~図4に示すように、第2アッパフレーム5は、前後を向く主面を備えた板状をなす。第2アッパフレーム5には、剛性を高めるために、適所にビードが形成されている。第2アッパフレーム5の上縁の左右方向における中央部には上方に突出した締結座5Aが形成されている。
図1及び図3に示すように、パンフレーム2Bは略前後方向を向く主面を有し、シートバックフレーム枠部2Aに対応する略方形板状をなしている。パンフレーム2Bは左右両縁においてそれぞれ対応するサイドフレーム3の後面に結合され、上下両縁においてそれぞれ第1アッパフレーム4の後面及びロアフレームの後面にそれぞれ結合されている。本実施形態ではパンフレーム2Bは、略前後方向を向く主面を有する平板状の平板部12Aと、平板部12Aに対して前方に突出する複数のビード部12Bとを含む。ビード部12Bの平板部12Aに対する突出高さは同じになるように設定されている。
ヘッドレスト支持装置20は、ヘッドレストピラー21と、ヘッドレストピラー21を回動可能に支持する支持部材22とを有する。本実施形態では、支持部材22はシートバックフレーム2に結合され、ヘッドレストピラー21はヘッドレスト24に結合される。
図1に示すように、ヘッドレストピラー21は、左右に延びるピラー基部25と、ピラー基部25の左右の端部からピラー基部25に対して略垂直かつ互いに略平行に延びる左右一対のピラー本体部26を備え、全体として略U字形に形成されている。ピラー基部25及び左右のピラー本体部26は、連続した金属棒やパイプ部材を屈曲させることによって形成されている。
図2に示すように、支持部材22は、互いに結合された第1部材31と第2部材32とを有する。第1部材31及び第2部材32は、様々な材料を選択することができるが、本実施形態では樹脂材料から形成されている。第1部材31は支持部材22の後側部分を構成し、第2部材32は支持部材22の前側部分を構成する。第1部材31及び第2部材32は、それぞれの縁部において互いに当接している。第1部材31及び第2部材32は、後述する左右一対の第1結合部34、第2結合部35、左右一対の第3結合部36、及び第4結合部37において互いに結合されている。
図2及び図3に示すように、第1部材31の縁部は、第2部材32の縁部よりも外方に張り出している。第1部材31の縁部には、前方に突出する縁リブ41が延設されている。第2部材32の縁部の端面は、縁リブ41の内側面に当接するように配置される。
図2~図4に示すように、第1部材31及び第2部材32は、上下方向における中央部において左右幅が最も大きく、下方に向けて左右幅が漸減している。具体的には、第1部材31及び第2部材32の下部は、前方から見て角の1つが他の2つの角に対して下方に配置された三角形状に形成されている。第1部材31及び第2部材32の上部は、前方から見て左右に長い略長方形に形成されている。第1部材31及び第2部材32の上部は、中央部に対して左右幅が小さく形成されている。第1部材31の上部の左右幅は、左右の第1ブラケット7の内側面間の距離よりも小さく形成されている。第1部材31及び第2部材32の中間部の左右幅は、左右の第1ブラケット7の内側面間の距離よりも大きく、かつ左右の第1ブラケット7の外側面間の距離よりも小さく形成されている。
図2、図3及び図7に示すように、第2部材32の中央部と上部との境界部分には縁部に対して前方に膨出した上側膨出部42が設けられている。上側膨出部42が設けられることによって、第1部材31及び第2部材32は中央部と上部との境界部分において前後に離間している。これにより、図6~図8に示すように、第1部材31及び第2部材32の間に上側内部空間43が形成されている。
第1部材31及び第2部材32は中央部と上部との境界部分には、図6及び図8に示すように、ピラー基部25を回動可能に受容する軸受部45が形成されている。軸受部45は、第1部材31の前面31Aから前方に突出した左右一対の第1軸受壁46と、第2部材32の後面に形成された左右一対の第2軸受壁47とを有する。左右の第1軸受壁46及び第2軸受壁47は、支持部材22の左右方向における中央を通るセンターラインCを対称軸として左右対称となる位置に配置されている。左右において互いに対応する第1軸受壁46及び第2軸受壁47は、互いに当接し、その突当面に協働して軸受孔48を形成する。左右の軸受孔48は、左右に延びる軸線を有し、第1軸受壁46及び第2軸受壁47の境界部を左右に貫通している。左右の軸受孔48は、互いに同軸に配置されている。左右の軸受孔48には、ピラー基部25が挿入され、左右方向に延びる軸線を中心として回転可能に支持される。
図6及び図8に示すように、第1軸受壁46の、軸受孔48の後半部を形成する溝46Aの開口端には、可撓性を有する弾性爪46Bがそれぞれ形成されている。弾性爪46Bは、溝46Aに配置されたピラー基部25を係止する。これにより、第2部材32が第1部材31から分離された状態においても、溝46Aにピラー基部25を保持することができる。弾性爪46Bは、ピラー基部25が溝46Aに挿入されるときに変形してピラー基部25の挿入を可能にし、ピラー基部25の溝46Aへの挿入が完了した後に復元してピラー基部25の外周面に摺接する。弾性爪46Bはピラー基部25を回動可能に支持する軸受孔48の一部を構成する。第2軸受壁47の、第1軸受壁46との突当面には、弾性爪46Bを受容する受容溝47Aが形成されている。
図2及び図3に示すように、上側膨出部42は左右の第1軸受壁46の間において、前方に膨出した上側主膨出部42A(第1膨出部)と、上側主膨出部42Aの左側において前方に膨出する上左側副膨出部42B(左副膨出部)と、上側主膨出部42Aの右側において前方に膨出する上右側副膨出部42C(右副膨出部)とを含む。上左側副膨出部42B及び上右側副膨出部42CはセンターラインCを中心として概ね左右対称をなす。上側主膨出部42Aは、上左側副膨出部42B及び上右側副膨出部42Cのいずれよりも前方に膨出している。これにより、上側主膨出部42Aの突端面(前端面)は上左側副膨出部42Bの突端面(前端面)、及び、上右側副膨出部42Cの突端面(前端面)よりも前方に位置している。上側主膨出部42Aと第1部材31との隙間は、上左側副膨出部42B及び第1部材31の間の隙間、及び、上右側副膨出部42C及び第1部材31の間の隙間のいずれよりも大きい。左右の第2軸受壁47はそれぞれ上左側副膨出部42B及び上右側副膨出部42Cの後面に設けられ、上左側副膨出部42B及び上右側副膨出部42Cは第1部材31と協働して軸受部45を構成する。
上左側副膨出部42Bの左側面、及び、上右側副膨出部42Cの右側面にはそれぞれ、図2に示すように、ピラー基部25が通過する切欠部49が形成されている。切欠部49は、左右方向から見て、前後に延び、前端が閉じられている一方、後端が第2部材32の縁部まで延びて開口している。切欠部49の前端は、左右から見て半円形に形成され、ピラー基部25の外周面の一部に沿うように配置されている。切欠部49は、第1部材31の前面31Aと協働して周方向に閉じた孔を形成する。
ピラー基部25の上側主膨出部42Aの後方に位置する部分には、ピラー側係止部材50が設けられている。換言すれば、上側主膨出部42Aはピラー側係止部材50を前方から覆うように設けられている。
ピラー側係止部材50は、主面が左右を向く板部材によって形成され、ピラー基部25に溶接等によって結合されている。図4に示すように、ピラー側係止部材50は、センターラインC上に配置されている。ピラー側係止部材50の外周部には、第1係止溝50A及び第2係止溝50Bが形成されている。第1係止溝50A及び第2係止溝50Bは、それぞれピラー側係止部材50を左右方向に貫通すると共に、ピラー基部25を中心とした径方向外方に向けて開口している。
ピラー側係止部材50には、ピラー基部25と平行に左右に突出するシャフト52が結合されている。シャフト52の一端には、緩衝材53が装着されている。緩衝材53は、ゴム等の可撓性を有する材料から形成され、筒形に形成されてシャフト52の一端に被せられている。第1部材31の前面31Aには、シャフト52の一端と対向する部分に第1衝当部54が前方に向けて突設されている。シャフト52の一端が緩衝材53を介して第1衝当部54に突き当たることによって、ヘッドレストピラー21の後方への回動(左方から見た場合にピラー基部25を中心とした時計回りに回動)の限界位置が定まる。緩衝材53は、シャフト52が第1衝当部54に突き当たるときの衝撃を吸収し、異音の発生を抑制すると共に操作感を向上させる。シャフト52の一端が緩衝材53を介して第1衝当部54に突き当たるとき、ヘッドレストピラー21は起立位置(使用位置)にあり、ピラー本体部26がピラー基部25から上方に延びる。
ヘッドレストピラー21の前方への回動(左方から見た場合にピラー基部25を中心とした反時計回りに回動)の限界位置は、ピラー側係止部材50が第1部材31の前面31Aに設けられた第2衝当部(不図示)に当接することによって定まる。ピラー側係止部材50が第2衝当部に当接するとき、ヘッドレストピラー21は退避位置(不使用位置)にあり、ピラー本体部26がピラー基部25から前方に延びる。このように、ヘッドレストピラー21は、起立位置と退避位置との間で回動可能となっている。
ヘッドレストピラー21と第1部材31との間には、第1部材31に対してヘッドレストピラー21を退避位置に付勢する第1付勢部材56が設けられている。本実施形態では、第1付勢部材56は捩じりコイルばねであり、ピラー基部25に支持されたコイル部と、シャフト52の他端に係止された一端と、第1部材31の前面31Aに係止された他端とを有する。
第1部材31の前面31Aの中央部であって、軸受部45より下方の部分には、支持部材側係止部材60が設けられている。
より詳細には、支持部材側係止部材60は、主面が前後を向く板部材によって形成され、第1部材31及び第2部材32を厚み方向(前後方向)に貫通するボルト81(締結具)の外周部に回動可能に設けられたカラー61に結合されている。より詳細には、図7に示すように、第1部材31、及び第2部材32の第4結合部37に対応する位置にそれぞれ、前後に貫通するボルト挿通孔62A、62Bが設けられている。両ボルト挿通孔62A、62Bには円筒状のカラー61が同軸に嵌め込まれている。ボルト81はカラー61の内孔に後方から挿入され、その前端にナット82が螺着されている。これにより、第1部材31及び第2部材32がボルト81によって締結され、カラー61は第1部材31及び第2部材32に軸線方向に回転可能に支持されている。カラー61は第1部材31及び第2部材32の間において径外方向に円環状に延出する鍔部61Aを備えている。支持部材側係止部材60はその鍔部61Aに結合されている。これにより、支持部材側係止部材60は支持部材22に対して前後方向に延びる回動軸線Xを中心とする回動可能に結合されている。図3に示すように、ボルト81はセンターラインC上に配置されている。
図4及び図7に示すように、支持部材側係止部材60の外周部には、ボルト81を中心とした径方向外方に向けて延びる係止片60Aが設けられている。支持部材側係止部材60は、ボルト81を中心として係止片60Aが第1係止溝50A又は第2係止溝50B内に配置される係止位置と、係止片60Aが第1係止溝50A又は第2係止溝50Bから離脱した解除位置との間で回動可能になっている。第1部材31には、支持部材側係止部材60が係止位置及び解除位置にあるときに当接する衝当部(不図示)が設けられている。支持部材側係止部材60が衝当部に突き当たることによって、第1部材31に対する支持部材側係止部材60の回動範囲が定まっている。
図4に示すように、支持部材側係止部材60と第1部材31との間には、第1部材31に対して支持部材側係止部材60を係止位置に付勢する第2付勢部材64が設けられている。本実施形態では、第2付勢部材64は引っ張りコイルばねであり、支持部材側係止部材60に係止された一端と、第1部材31の前面31Aに係止された他端とを有する。
本実施形態では、第2付勢部材64は一端において支持部材側係止部材60の下部に結合され、支持部材側係止部材60の左斜め上方に向けて延出し、他端において第1部材31の前面31Aに結合されている。
支持部材側係止部材60には、第1操作部材65及び第2操作部材66が結合されている。第1操作部材65は、織布等から形成された帯状部材である。第2操作部材66は、ガイドスリーブ66Aとガイドスリーブ66Aに変位可能に受容されたケーブル66Bとを有するコントロールケーブルである。第1操作部材65及び第2操作部材66のケーブル66Bの一端は、支持部材側係止部材60の外周部に回動可能に結合されている。例えば、支持部材側係止部材60の外周部に支持軸が突設され、支持軸に第1操作部材65及び第2操作部材66のケーブル66Bの一端が回動可能に支持され、支持軸の先端部にプッシュナット等の抜け止め部材が結合されているとよい。
本実施形態では、第2操作部材66、より詳細にはケーブル66Bは一端において支持部材側係止部材60の下部に結合され、支持部材側係止部材60の下部から右斜め上方に向けて延出している。第1操作部材65もまた、第2操作部材66と共に、支持部材側係止部材60の下部に結合されている。
図3に示すように、第2部材32は、第2操作部材66、及び、第2付勢部材64の前側において前方に膨出する下側膨出部70(第2膨出部)を備えている。下側膨出部70は正面視で略V字状をなしている。図6~図8に示すように、下側膨出部70の後面と第1部材31の前面との間には前後方向に隙間が形成され、下側膨出部70と第1部材31との間に第2操作部材66の一端及び第2付勢部材64を収容する下側内部空間71が形成されている。
図3に示すように、下側膨出部70は第2操作部材66及び支持部材側係止部材60の下部の前側に位置し、第2操作部材66及び支持部材側係止部材60の下部を前方から覆う下側主膨出部70A(第2主膨出部)を含む。下側主膨出部70Aは下側膨出部70の下側膨出部70以外の部分(以下、下側副膨出部70B(第2副膨出部))に比べて、前方に膨出し、下側主膨出部70Aの突端面(すなわち、前端面)は下側副膨出部70Bの突端面(前端面)よりも前方に位置している。下側副膨出部70Bは第2付勢部材64の中央部及び上部の前側に位置し、第2付勢部材64の中央部及び上部を前側から覆っている。
図2、及び、図3に示すように、第2部材32、より詳細には下側主膨出部70Aには、第1操作部材65が通過するための開口(不図示)と、第2操作部材66のケーブル66Bが通過するための開口32Cとが形成されている。
開口32Cの一端は、第1操作部材65及びケーブル66Bと支持部材側係止部材60との結合部と対向する部分に配置され、他の部分に対して幅が広く形成されている。これにより、第1操作部材65及びケーブル66Bを支持部材側係止部材60に結合するときに、開口32Cを利用して工具等を支持部材側係止部材60と第1操作部材65及び第2操作部材66との結合部分に到達させることができる。
本実施形態では、第2部材32の前面、より詳細には、下側主膨出部70Aの上部に、ガイドスリーブ66Aの端部に設けられた係止具66Cを係止する係止溝32Eが形成されている。
図1に示すように、第1操作部材65の他端は、サイドフレーム3に結合された環状のガイド部材77を通過した後、シートバック1のパッド及び表皮を通過して、シートバック1の外方に引き出されている。乗員は、第1操作部材65を第2付勢部材64の付勢力に抗して引くことによって、支持部材側係止部材60を係止位置から解除位置に変位させることができる。第2操作部材66のケーブル66Bの他端は、リンク機構79に出力端に接続されている。リンク機構79は、例えばシートクッションに対してシートバック1を回動可能に支持するリクライニング機構に接続されており、リクライニング機構の操作状態に応じて第2操作部材66を操作するように構成されているとよい。例えば、リンク機構79は、リクライニング機構のロック解除が行われたときに、第2操作部材66を第2付勢部材64の付勢力に抗して引き、支持部材側係止部材60を係止位置から解除位置に変位させるように構成されているとよい。リンク機構79は第2アッパフレーム5に支持されている。
図2及び図3に示すように、第1部材31及び第2部材32は、第1部材31及び第2部材32の上端部に配置された左右一対の第1結合部34と、第1部材31及び第2部材32の下端部に配置された第2結合部35と、第1部材31及び第2部材32の中央部の左右両端部に配置された左右一対の第3結合部36と、第1部材31及び第2部材32の中央部に配置された第4結合部37を有する。
図7に示すように、第4結合部37では、第1部材31及び第2部材32にそれぞれ形成されたボルト挿通孔62A、62Bに挿入されたカラー61にボルト81が挿通され、ボルト81にナット82が螺着されることによって、第1部材31及び第2部材32が互いに締結される。第4結合部37で結合されることによって、第1部材31及び第2部材32は互いに結合した状態に維持される。支持部材22がシートバックフレーム2に取り付けられる前の状態においては、第1部材31及び第2部材32は第4結合部37において互いに結合されている。第4結合部37は、第1部材31及び第2部材32の中央であり、センターラインC上に配置されている。
各第1結合部34は、第1部材31及び第2部材32の軸受部45よりも上方であって、センターラインCを対称軸として対称となる位置に配置されている。また、各第1結合部34は、それぞれ第1軸受壁46の直上方に配置されている。
図2に示すように、左右の第1結合部34は、第2ブラケット11と対向する位置に配置される。左右の第1結合部34では、第1部材31、第2部材32、及び第2ブラケット11を厚み方向(前後方向)に貫通するボルト挿通孔(不図示)にボルト83が挿通され、ボルト83にナット84が螺着されることによって、第1部材31、第2部材32、及び第2ブラケット11が互いに締結されている。すなわち、ボルト83及びナット84によって、第1部材31、第2部材32、及び第2ブラケット11は共締めされている。左右の第1結合部34は、第1アッパフレーム4よりも上方に配置される。
第2結合部35は、第1部材31及び第2部材32の第4結合部37(支持部材側係止部材60)の下方であって、センターラインC上に配置されている。
第2結合部35は、第2アッパフレーム5の締結座5Aと対向する位置に配置される。第2結合部35では、第1部材31、第2部材32、及び締結座5Aを厚み方向(前後方向)に貫通するボルト挿通孔(不図示)にボルト85が挿通され、ボルト85にナット86が螺着されることによって、第1部材31、第2部材32、及び締結座5Aが互いに締結されている。すなわち、ボルト85及びナット86によって、第1部材31、第2部材32、及び締結座5Aは共締めされている。
各第3結合部36は、第1部材31及び第2部材32の軸受部45よりも下方、かつ第4結合部37よりも上方であって、センターラインCを対称軸として対称となる位置に配置されている。また、各第3結合部36は、左右の第1軸受壁46よりも左右外方に配置されている。
左右の第3結合部36は、第1ブラケット7の下部7Dと対向する位置に配置される。左右の第3結合部36では、第1部材31、第2部材32、及び第1ブラケット7を厚み方向(前後方向)に貫通するボルト挿通孔(不図示)にボルト85が挿通され、ボルト87にナット88が螺着されることによって、第1部材31、第2部材32、及び第1ブラケット7が互いに締結されている。すなわち、ボルト87及びナット88によって、第1部材31、第2部材32、及び第1ブラケット7は共締めされている。左右の第3結合部36は、第1アッパフレーム4よりも下方に配置される。
図3に示すように、第2部材32の前面には上側主膨出部42Aと、下側膨出部70とを上下に接続する第1リブ91が設けられている。第1リブ91はボルト81(第4結合部37)の左側、すなわち回動軸線Xの左側において、上側主膨出部42Aと下側膨出部70とを上下に接続する左側第1リブ91Aと、ボルト81(第4結合部37)の右側、すなわち、回動軸線Xの右側において、上側主膨出部42Aと下側膨出部70とを接続する右側第1リブ91Bとを含む。左側第1リブ91Aは上側膨出部42の下縁左端近傍から左斜め下方に延び、第4結合部37の左側、及び下側副膨出部70Bの前面を通過して、下側主膨出部70Aの上縁に達している。右側第1リブ91Bは上側膨出部42の下縁右端近傍から右斜め下方に延び、第4結合部37の右側を通過して、下側主膨出部70Aの上縁に達している。左側第1リブ91Aと右側第1リブ91Bとの左右方向の距離は下方に向かって増加している。すなわち、左側第1リブ91A及び右側第1リブ91Bは下方に向かうにつれて互いに離れるように配置されている。これにより、左側第1リブ91A及び右側第1リブ91Bが平行、又は、下方に向かって互いに近づくように設けられる場合に比べて、第2部材32のより広い範囲にリブを設けることができる。よって、第2部材32全体の剛性をより高めることができる。
第2部材32の前面には、更に、上側主膨出部42Aから左方に延出する左側第2リブ92Aと、上側主膨出部42Aから右方に延出する右側第2リブ92Bとが設けられている。また、右側第2リブ92Bと左側第2リブ92Aとは側面視(左右方向視)で重なり合う位置にある。本実施形態では、右側第2リブ92Bと左側第2リブ92AとはそれぞれセンターラインCを中心に概ね左右対称をなす。
本実施形態では、右側第2リブ92B及び左側第2リブ92Aはそれぞれ上側主膨出部42Aと下側膨出部70とを接続している。より詳細には、左側第2リブ92Aは上側主膨出部42Aから左方に延出し、第2部材32の左端近傍において屈曲して左斜め下方に延び、下側副膨出部70Bに達している。右側第2リブ92Bは上側主膨出部42Aから右方に延出し、第2部材32の右端近傍において屈曲して右斜め下方に延び、下側主膨出部70Aに達している。
第2部材32の前面にはまた、上左側副膨出部42B及び下側膨出部70を接続する左側第3リブ93Aと、上右側副膨出部42C及び下側膨出部70を接続する右側第3リブ93Bとが設けられている。より詳細には、左側第3リブ93Aは上左側副膨出部42Bから下方に延び、下側副膨出部70Bの上面に達し、下側副膨出部70Bの上下方向略中央まで延びている。右側第3リブ93Bは上右側副膨出部42Cから下方に延び、下側主膨出部70Aに達している。左側第3リブ93Aは左側第2リブ92Aに直交し、右側第3リブ93Bは右側第2リブ92Bに直交している。このように、左側第2リブ92A及び左側第3リブ93Aが直交し、右側第2リブ92B及び右側第3リブ93Bが直交しているため、それぞれのリブ92A、92B、93A,93Bが延在方向に直交する方向の荷重に対して変形し難くなる。よって、第2部材32の剛性を高めることができる。
左側第1リブ91A、左側第2リブ92A、及び左側第3リブ93Aはそれぞれ下側主膨出部70Aに互いに異なる位置で接続されている。下側主膨出部70Aとリブ91A~93Aとの接続部分が一か所に集中せず、広範囲に渡って設けられるため、下側主膨出部70Aの剛性を広範囲に渡って向上させることができる。同様に、右側第1リブ91B、右側第2リブ92B、及び、右側第3リブ93Bは、下側副膨出部70Bに互いに異なる位置で接続されている。これにより、下側副膨出部70Bとリブ91B~93Bとの接続部分が広範囲に渡って設けられるため、下側副膨出部70Bの剛性を広範囲に渡って向上させることができる。
図5に示すように、第1部材31の後面31Bには、後方に突出する後面リブ100が設けられている。後面リブ100は、左右に延在する第1~第3横リブ101~103と、上下に延在する左右一対の縦リブ104と、複数の当接リブ105とを含む。このように、第1~第3横リブ101~103、左右一対の縦リブ104、及び当接リブ105が設けられることによって、第1部材31の剛性が高められている。
第1横リブ101は、第1アッパフレーム4のフレーム本体部4Aの下縁と、第4結合部37との間に配置されている。第2及び第3横リブ102、103は、第4結合部37と第2結合部35との間に、上下に間隔をおいて配置されている。左右一対の縦リブ104は、第4結合部37を左右から挟むように配置され、それぞれの上端が第1横リブ101に結合され、下端が第2アッパフレーム5の上縁まで延びている。第2及び第3横リブ102、103と、左右の縦リブ104とは、互いに交差している。
図5に示すように、第4結合部37は、第1及び第2横リブ101、102と、左右の縦リブ104とによって外囲されている。これにより、第1部材31の第4結合部37近傍の剛性が高められる。
第1横リブ101の左右両端は、左右の第1ブラケット7まで延びている。複数の当接リブ105は、第1部材31の後面31B上を第1横リブ101の上側の側面から上方に延在している。各当接リブ105の突出端縁は、第1アッパフレーム4の外形と相補的な形状に形成されており、第1アッパフレーム4の外面と当接している。例えば、各当接リブ105は、上側ほど後方への突出長さが漸減している。
図9に示すように、パンフレーム2Bには、複数(本実施形態では3つ)のビード部12Bがそれぞれ第2横リブ102、及び第3横リブ103の後方に設けられている。第2横リブ102及び第3横リブ103はそれぞれビード部12Bの前方を通過し、第1横リブ101は平板部12Aの前方を通過している。第1横リブ101、第2横リブ102、及び第3横リブ103の突出量は、パンフレーム2Bの前面の形状に合わせて、調節されている。より具体的には、図6~図8に示すように、第2横リブ102及び第3横リブ103の後面がそれぞれビード部12Bの前面に当接し、第1横リブ101の後面が平板部12Aの前面に当接するように、横リブ101~103の突出量がそれぞれ調整されている。そのため、第2横リブ102及び第3横リブ103の突出量は第1横リブ101の突出量よりも小さくなっている。このように、横リブ101~103がパンフレーム2Bの前面に当接しているため、パンフレーム2Bが横リブ101~103によって前側から支持される。これにより、パンフレーム2Bが後方からの荷重によって変形し難くなり、パンフレーム2Bの実効的な剛性が高められている。また、第1横リブ101、第2横リブ102、及び第3横リブ103の突出量がパンフレーム2Bの前面の形状に合わせて、調節されているため、パンフレーム2Bの実効的な剛性がより広範囲で高められる。
また、縦リブ104の両方、又は、いずれか一方がパンフレーム2Bの前面に当接していてもよい。これにより、横リブ101~103と同様に、パンフレーム2Bの実効的な剛性が高められている。
図1に示すように、左右のピラー本体部26の先端部は、ヘッドレスト24内に挿入され、ヘッドレスト24と結合している。ヘッドレスト24は、例えば、支持体と、支持体に被せられたパッド及び表皮と、支持体に設けられ、左右のピラー本体部26を受容する筒状のピラー保持部とを有するとよい。ピラー保持部は、ピラー本体部26に係合し、ピラー保持部に対するピラー本体部26の挿入長さを調節するロック部材を有してもよい。
以上のように構成したヘッドレスト支持装置20の効果について説明する。上側主膨出部42A(第1膨出部)と下側膨出部70(第2膨出部)とを接続する第1リブ91が設けられることによって、第2部材32の剛性が高められている。これにより、例えば、後突時等において、乗員の頭部がヘッドレスト24に衝突して支持部材22に荷重が加わったときに、支持部材22、特に第2部材32がその荷重によって変形することを防止できる。
また、上側主膨出部42A(第1膨出部)、及び下側膨出部70(第2膨出部)、左側第1リブ91A、及び右側第1リブ91Bによって、第4結合部37(回動軸線X)が外囲される。これにより、第2部材32の支持部材側係止部材60の近傍部分の剛性が高められる。よって、ピラー基部25を係止し、ピラー基部25の回動を規制する支持部材側係止部材60の脱落を防止することができる。これにより、後突時等において、支持部材側係止部材60とピラー側係止部材50との係合が意図せず、解除されることが防止できる。これにより、後突時等において、ピラー基部25の回動をより確実に規制することができ、ヘッドレスト24の移動を防止することができる。
また、図2及び図3に示すように、左側第1リブ91Aが下側副膨出部70Bの前面を通過して下側主膨出部70Aに達するように設けられることによって、第2部材32の下側副膨出部70B及び下側主膨出部70Aの剛性がそれぞれ高められる。これにより、第2部材32の上下方向に撓み変形し難くなり、支持部材22の変形がより防止できる。
また、図7に示すように、ボルト81は第1部材31及び第2部材32を結合させ。カラー61を第1部材31及び第2部材32に回動可能に結合させる。カラー61には支持部材側係止部材60が結合されて、支持部材側係止部材60は支持部材22に回動可能に結合される。よって、第1部材31及び第2部材32を締結するための締結具、及び、支持部材側係止部材60を支持部材22に結合させるための締結具の2つの締結具を必要とすることがなく、ヘッドレスト支持装置20の構成が簡素である。更に、第4結合部37の左右に第1リブ91が設けられることによって、第2部材32の第4結合部37の左右両側において剛性を高めることができる。これにより、第2部材32の第4結合部37近傍の変形を防止することができ、ボルト81の脱落が防止できる。
また、第2部材32に右側第2リブ92B及び左側第2リブ92Aが設けられることによって、第2部材32、特に上側主膨出部42Aの剛性が高められる。右側第2リブ92B及び左側第2リブ92Aはそれぞれ左右方向に延在するように形成されているため、第2部材32の左右方向の撓み変形が防止できる。更に、右側第2リブ92B及び左側第2リブ92Aが左右対称をなすように形成されているため、支持部材22の意匠性が高められる。右側第2リブ92B及び左側第2リブ92Aはそれぞれ上側主膨出部42A及び下側膨出部70を接続している。これにより、上側主膨出部42A、右側第2リブ92B、下側膨出部70、及び左側第2リブ92Aが環状に接続され、上側主膨出部42A及び下側膨出部70が第2部材32の内側に変形し難くなり、第2部材32の剛性をより高めることができる。
また、第2部材32に右側第3リブ93B及び左側第3リブ93Aが設けられることによって、第2部材32の剛性を高めることができる。また、軸受孔48に近接する部分に右側第3リブ93B及び左側第3リブ93Aが設けられるため、第2部材32の軸受孔48に近接する部分の剛性を高めることができる。これにより、ヘッドレスト24の脱落をより効果的に防止することができる。
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係るヘッドレスト支持装置220は、第1実施形態に比べて、ヘッドレストピラー21の姿勢、及び、支持部材22の構成が異なる。以下では、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付すとともに、適宜、説明を省略する。
図10に示すように、第2実施形態に係るヘッドレスト支持装置220のヘッドレストピラー21は、第1実施形態に比べて上下反転された状態で、シートバック1に結合されている。より詳細には、ヘッドレストピラー21は、ピラー本体部26がピラー基部25に対して略垂直且つ互いに平行に下方に向かって延びるように配置されている。ピラー本体部26はそれぞれ、第1アッパフレーム4に左右に対をなすように設けられた筒状のステー221に挿入されて結合されている。これにより、ピラー本体部26はシートバック1の上端に結合され、ヘッドレストピラー21はシートバック1に支持される。ピラー基部25には第1実施形態と同様に外周面にピラー側係止部材50が設けられている。
支持部材22が第1実施形態に対して上下対称をなすように構成され、左右方向を軸線とする回動可能にピラー基部25に結合されている。
図10及び図11に示すように、支持部材22は、第1実施形態と同様に、ピラー基部25の後方に配置された第1部材31と、第1部材31の前側に設けられ、第1部材31と協働してピラー基部25を受容する軸受部45を構成する第2部材32(図10参照)とを含む。支持部材側係止部材60は、ピラー基部25の上方に設けられた第4結合部37において、第1部材31及び第2部材32を締結するボルト81を外囲するように設けられたカラー(不図示)に結合されている。これにより、支持部材側係止部材60は支持部材22に前後方向を軸線とする回動可能に支持されている。支持部材側係止部材60は、ピラー側係止部材50を選択的に係止し、左右方向を軸線とするピラー基部25に対する支持部材22の回転を規制する。
支持部材22にはヘッドレスト24が結合している。本実施形態では、ヘッドレスト24は支持部材22を覆うパッド部材(不図示)と、パッド部材の表面を覆う表皮材(不図示)とを含み、パッド部材が支持部材22に接着されることによって、ヘッドレスト24は支持部材22に結合されている。
第1実施形態と同様に、支持部材側係止部材60には第2付勢部材64と第2操作部材66が結合されている。第2付勢部材64は一端において支持部材側係止部材60の上部に結合され、左斜め下方に向けて延出し、他端において第1部材31の前面31Aに結合されている。第2操作部材66は一端において支持部材側係止部材60の上部に結合され、右斜め下方に向けて延出している。
第2部材32は、支持部材側係止部材60を前方から覆うと共に前方に膨出する下側主膨出部242A(第1膨出部。第1実施形態の上側主膨出部42Aに対応)と、第2付勢部材64と第2操作部材66とを前方から覆うと共に前方に膨出する上側膨出部270(第2膨出部。第1実施形態の下側膨出部70に対応)とを備えている。上側膨出部270は正面視で略逆V字状をなす。第1リブ91(左側第1リブ91A、及び右側第1リブ91B)はそれぞれ第4結合部37の左右において下側主膨出部242A及び上側膨出部270を上下に接続し、下側主膨出部242A及び上側膨出部270と協働して第4結合部37、すなわち回動軸線Xを外囲している。第2部材32には第1実施形態と同様に、下側主膨出部242Aから左方に延出する左側第2リブ92A、及び右方に延出する右側第2リブ92Bとが設けられている。
第2部材32は下側主膨出部242Aの左側及び右側において前方に膨出し、第1部材31と協働してそれぞれ軸受孔48を形成する下左側副膨出部242B及び下右側副膨出部242Cを更に備えている。第2部材32の前面には、下左側副膨出部242Bと上側膨出部270とを上下に接続する左側第3リブ93Aと、下右側副膨出部242Cと上側膨出部270とを接続する右側第3リブ93Bとが設けられている。
以上のように構成したヘッドレスト支持装置220の効果について説明する。ヘッドレストピラー21は第1アッパフレーム4に結合され、ヘッドレスト24は支持部材22を介してヘッドレストピラー21のピラー基部25に回動可能に結合される。これにより、ヘッドレスト24はシートバック1に対して左右方向を軸線とする回動可能に支持される。
また、第2部材32には上側膨出部270が略逆V字状に設けられ、第1リブ91が上下に延在するように設けられることによって、第2部材32の上下方向の剛性を向上させることができる。また、第1実施形態と同様に、下側主膨出部242A、上側膨出部270、左側第1リブ91A、及び右側第1リブ91Bによって第4結合部37(回動軸線X)が外囲されるため、第2部材32の第4結合部37近傍の剛性を高めることができる。これにより、後突時等において、ピラー基部25の回動をより確実に規制することができ、ヘッドレスト24の移動を防止することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、第2付勢部材64が支持部材側係止部材60の下部から左斜め上方に延出し、第2操作部材66が支持部材側係止部材60の下部から右斜め上方に延出するように構成されていたがこの態様には限定されない。第2付勢部材64が支持部材側係止部材60の下部から左右一方側に向かって斜め上方に延出し、第2操作部材66が支持部材側係止部材60の下部から左右他方側に向かって斜め上方に延出するように構成されていればよい。より具体的には、車両用シートSは、上記実施形態を左右反転させたものであってよく、第2付勢部材64が支持部材側係止部材60の下部から右斜め上方に延出し、第2操作部材66が支持部材側係止部材60の下部から左斜め上方に延出するように構成されていてもよい。