JP7354832B2 - Maldi質量分析用測定試料調製方法、maldi質量分析用測定試料調製装置、及びmaldi質量分析用測定試料調製プログラム - Google Patents

Maldi質量分析用測定試料調製方法、maldi質量分析用測定試料調製装置、及びmaldi質量分析用測定試料調製プログラム Download PDF

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本発明は、MALDI質量分析用測定試料調製方法、MALDI質量分析用測定試料調製装置、MALDI質量分析用測定試料、MALDI質量分析方法、及びMALDI質量分析用測定試料調製プログラムに関する。
質量分析は、対象分子を含む試料をイオン化させ、対象分子由来のイオンを質量電荷比(m/z)により分離検出し、対象分子における化学構造の特定に関する情報を取得できる分析手法である。
質量分析において試料のイオン化は、分析の質を左右するファクターであり、従来から多くの手法が開発されてきた。例えば、MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)やESI(Electrospray ionization)などが挙げられる。これらの手法は、試料の量が微量であってもイオン化が容易であるため、バイオや医療等の技術分野で用いられている。
MALDIでは、試料のイオン化を補助するための物質であるマトリックスを試料に付与した箇所にパルスレーザーを照射することにより、マトリックスとともに試料をイオン化させる。
パルスレーザーとしては、紫外領域の波長を用いる場合が多く、マトリックスの光吸収特性に合わせた波長とするのが好ましい。また、マトリックスは、結晶性の有機低分子であり、試料との共結晶又は混合物とする必要があると言われている。この共結晶の均一さや混合の程度が、分析の感度や精度に影響を与えるものと考えられているため、試料に応じたマトリックスが開発されている。
また、これらのマトリックスを試料に付与する方法についても様々な提案がされている。例えば、マトリックスを蒸着させて微結晶を形成し、さらにマトリックス溶液をスプレー噴霧して微結晶上にマトリックス結晶を成長させる質量分析用試料調製方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、MALDIによる質量分析を行う際、1つの試料に2種以上のマトリックスを配することができるMALDI質量分析用測定試料調製方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、前記マトリックスが配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記マトリックスを前記基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させることを特徴とする。
本発明によると、MALDIによる質量分析を行う際、1つの試料に2種以上のマトリックスを配することができるMALDI質量分析用測定試料調製方法を提供することができる。
図1Aは、粉体形成装置の全体の一例を示す概略図である。 図1Bは、図1Aの液滴形成ユニットにおける液滴形成ヘッドを示す概略図である。 図1Cは、図1Aの液滴形成ユニットのA-A’線断面図である。 図2は、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法で用いることができるレーザビーム照射手段の一例を示す概略図である。 図3Aは、MALDI質量分析用測定試料調製装置のハードウェアの一例を示すブロック図である。 図3Bは、MALDI質量分析用測定試料調製装置の機能の一例を示すブロック図である。 図3Cは、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。 図4Aは、実施例におけるマトリックスプレートAを示す写真である。 図4Bは、実施例におけるマトリックスプレートBを示す写真である。 図5は、実施例において、試料切片をITOコートスライドガラス上に載置したときの写真である。 図6Aは、実施例におけるMALDI質量分析用測定試料の調製を示す概略図である。 図6Bは、実施例におけるMALDI質量分析用測定試料の調製を示す概略図である。 図7Aは、実施例におけるMALDI質量分析の結果として、マトリックスAを用いたときのスペクトルを示すグラフである。 図7Bは、実施例におけるMALDI質量分析の結果として、マトリックスBを用いたときのスペクトルを示すグラフである。 図8Aは、参考例におけるMALDI質量分析の結果として、マトリックスAを用いたときのスペクトルを示すグラフである。 図8Bは、参考例におけるMALDI質量分析の結果として、マトリックスBを用いたときのスペクトルを示すグラフである。 図9Aは、一般的なレーザビームにおける波面(等位相面)の一例を示す概略図である。 図9Bは、一般的なレーザビームにおける光強度分布の一例を示す図である。 図9Cは、一般的なレーザビームにおける位相分布の一例を示す図である。 図10Aは、光渦レーザビームにおける波面(等位相面)の一例を示す概略図である。 図10Bは、光渦レーザビームにおける光強度分布の一例を示す図である。 図10Cは、光渦レーザビームにおける位相分布の一例を示す図である。 図11Aは、一般的なレーザビームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。 図11Bは、光渦レーザビームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。 図12Aは、光渦レーザビームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図である。 図12Bは、中心に光強度0の点を有するレーザビームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図である。 図13Aは、実施例1及び2におけるMALDI質量分析用測定試料の調製方法を示す概念図である。 図13Bは、実施例1におけるMALDI質量分析用測定試料の調製方法を用いた結果を示す光学顕微鏡写真の2値化画像の一例を示す図である。 図14Aは、実施例3におけるMALDI質量分析用測定試料の調製方法を示す概念図である。 図14Bは、実施例3におけるガウスレーザビームを用いたMALDI質量分析用測定試料の調製方法を用いた結果を示す光学顕微鏡写真の2値化画像の一例を示す図である。 図15Aは、光渦レーザビームを用いて転写した試料の顕微鏡画像の一例を示す図である。 図15Bは、ガウスレーザビームを用いて転写した試料の顕微鏡画像の一例を示す図である。
(MALDI質量分析用測定試料調製方法及びMALDI質量分析用測定試料調製装置)
MALDIとは、Matrix Assisted Laser Desorption/Ionizationの略であり、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法といわれている質量分析の一手法である。
このMALDIを用いた質量分析(以下、「MALDI質量分析」と称する)では、イオン化を補助するための材料であるマトリックスを試料に付与した箇所にパルスレーザーを照射することで、マトリックスとともに試料をイオン化させて質量分析を行う。
このマトリックスは、試料において分析したい成分に応じて使い分けて用いられる。
本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法及びMALDI質量分析用測定試料調製装置は、試料にマトリックスをスプレーガンで塗布する方法、気相噴霧や蒸着で塗布する方法などの従来の方法では、1つの試料に1種のマトリックスしか配することができないという知見に基づくものである。言い換えると、分析したい成分によって最適なマトリックスが存在するが、従来の方法では、分析したい成分が複数あっても、1つの試料において最適なマトリックスを塗り分けることができないという知見に基づくものである。
なお、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、従来の方法では作業者の技量に依存する場合が多いため、マトリックスの結晶径が不均一になりやすく定量性が低いことから、分析の感度や精度に影響を与えてしまう場合があるという知見に基づくものである。
本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、マトリックスが配された側とは反対側の基材の表面にレーザビームを照射することにより、マトリックスを基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させる。
本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法に用いるMALDI質量分析用測定試料調製装置であって、基材の表面にレーザビームを照射する照射手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
これにより、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、試料が1つしかなくても、例えば、タンパク、脂質、ヌクレオチドなどの分析したいターゲットに適したマトリックスをそれぞれの所定位置に配することができる。このため、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、1つの試料に対して分析したいターゲットが複数あっても、分析したいターゲットごとに高感度なイメージング質量分析を行うことができる。
<マトリックスを表面に配した基材>
マトリックスを表面に配した基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、以下では、「マトリックスを表面に配した基材」を「マトリックスプレート」と称する。
マトリックスプレートは、マトリックスと、基材とを有する。
<<マトリックス>>
マトリックスとしては、試料の光分解及び熱分解を抑制し、かつ試料のフラグメンテンテーション(開裂)を抑制することができる材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
マトリックスとしては、公知のマトリックスが挙げられ、例えば、1,8-ジアミノナフタレン(1,8-Diaminonaphthalene)(1,8-DAN)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(2,5-Dihydroxybenzoic acid)(以下、「DHBA」と略記する場合がある)、1,8-アントラセンジカルボン酸ジメチルエステル(1,8-Anthracenedicarboxylic Acid Dimethyl ester)、ロイコキニザリン(Leucoquinizarin)、アントラロビン(Anthrarobin)、1,5-ジアミノナフタレン(1,5-Diaminonaphthalene)(1,5-DAN)、6-アザ-2-チオチミン(6-Aza-2-thiothymine)、1,5-ジアミノアントラキノン(1,5-Diaminoanthraquinone)、1,6-ジアミノピレン(1,6-Diaminopyrene)、3,6-ジアミノカルバゾール(3,6-Diaminocarbazole)、1,8-アントラセンジカルボン酸(1,8-Anthracenedicarboxylic Acid)、ノルハルマン(Norharmane)、1-ピレンプロピルアミンハイドロクロライド(1-Pyrenepropylamine hydrochloride)、9-アミノフルオレンハイドロクロライド(9-Aminofluorene Hydrochloride)、フェルラ酸(Ferulic acid)、ジトラノール(Dithranol)、2-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(2-(4-Hydroxyphenylazo)benzoic acid)(HABA)、trans-2-[3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチル-2-プロペニリデン]マロンニトリル(trans-2-[3-(4-tert-Butylphenyl)-2-methyl-2-propenylidene]malononitrile)(DCTB)、trans-4-フェニル-3-ブテン-2-オン(trans-4-Phenyl-3-buten-2-one)(TPBO)、trans-3-インドールアクリル酸(trans-3-Indoleacrylic acid)(IAA)、1,10-フェナントロリン(1,10-phenanthroline)、5-ニトロー1,10-フェナントロリン(5-Nitro-1,10-phenanthroline)、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(α-Cyano-4-hydroxycinnamic acid)(CHCA)、シナピン酸(Sinapic acid)(SA)、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン(2,4,6-Trihydroxyacetophenone)(THAP)、3-ヒドロキシピコリン酸(3-Hydroxypicolinic acid)(HPA)、アントラニル酸(Anthranilic acid)、ニコチン酸(Nicotinicacid)、3-アミノキノリン(3-Aminoquinoline)、2-ヒドロキシ-5-メトキシ安息香酸(2-Hydroxy-5-methoxybenzoic acid)、2,5-ジメトキシ安息香酸(2,5-Dimethoxybenzoic acid)、4,7-フェナントロリン(4,7-Phenanthroline)、p-クマル酸(p-Coumaric acid)、1-イソキノリノール(1-Isoquinolinol)、2-ピコリン酸(2-Picolinic acid)、1-ピレンブタン酸ヒドラジド(1-Pyrenebutanoic acid, hydrazide)(PBH)、1-ピレンブタン酸(1-Pyrenebutyric acid)(PBA)、1-ピレンメチルアミンハイドロクロライド(1-Pyrenemethylamine hydrochloride)(PMA)、金、銀、白金(プラチナ)、コバルトなどが挙げられる。これらの中でも、針状に結晶化する性質を有するマトリックスが好ましく、例えば、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)が好ましい。
このMALDI質量分析用測定試料調製方法において、基材を含むマトリックスプレートから飛翔させるマトリックスとしては、上記のような多様なマトリックスのうち1種を選択することができるが、2種以上であることが好ましい。
また、基材を含むマトリックスプレートから飛翔させる2種以上のマトリックスとしては、MALDI質量分析対象の試料において、互いに異なる所定位置に配させることが好ましい。これにより、1つの測定試料において2種以上のマトリックスを塗り分けることができ、1つの測定試料において2種以上のイメージング質量分析を行うことができる点で有利である。
<<基材>>
基材としては、その形状、構造、大きさ、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基材の形状としては、マトリックスを表面に担持し、裏面からレーザビームや光渦レーザビームを照射可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、平板状の基材の形状としては、例えば、スライドガラスなどが挙げられる。
基材の材質としては、レーザビームや光渦レーザビームを透過するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。レーザビームや光渦レーザビームを透過するもののうち、酸化珪素を主成分とする各種ガラスなどの無機材料、透明性の耐熱プラスチック、エラストマーなどの有機材料が、透過率と耐熱性の点で、好ましい。
基材の表面粗さRaとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、レーザビームや光渦レーザビームの屈折散乱を抑制し、マトリックスに付与するエネルギーを低下させない点で、表面及び裏面のどちらも1μm以下であることが好ましい。また、表面粗さRaが好ましい範囲内であると、試料に付着したマトリックスの平均厚みのばらつきを抑制することができ、所望の量のマトリックスを付着させることができる点で有利である。
表面粗さRaは、JIS B0601に従って測定することができ、例えば、共焦点式レーザ顕微鏡(株式会社キーエンス製)や触針式表面形状測定装置(Dektak150、ブルカー・エイエックスエス株式会社製)を用いて測定することができる。
[マトリックスプレートの作製方法]
マトリックスプレートの作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下のような粉体形成装置により結晶化したマトリックスをスライドガラス上に配してマトリックスプレートを作製する方法が挙げられる。
例示するマトリックスプレートを作製する方法としては、まず、溶媒にマトリックスを混合したマトリックス溶液を調製する。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TFA、TFA-アセトニトリル、THF、メタノールなどが挙げられる。
次に、調製したマトリックス溶液を図1A~図1Cで示す粉体形成装置1の原料収容器13に収容する。
図1Aは、粉体形成装置の全体の一例を示す概略図である。図1Bは、図1Aの液滴形成ユニットにおける液滴形成ヘッドを示す概略図である。図1Cは、図1Aの液滴形成ユニットのA-A’線断面図である。
図1Aに示す粉体形成装置1は、主に、液滴形成ユニット10及び乾燥捕集ユニット30を含む。液滴形成ユニット10は、吐出孔によって外部と連通する液噴射領域を有する液室であって所定の条件下のもとで液柱共鳴定在波が発生する液柱共鳴液室内のマトリックス溶液を液滴として吐出孔から噴射する液滴化手段である液滴吐出ヘッド11を複数配列されている。各液滴吐出ヘッド11の両側には液滴吐出ヘッド11から吐出したマトリックス溶液の液滴が乾燥捕集ユニット30側に流出されるように気流発生手段によって発生する気流が通る気流通路12が設けられている。また、液滴形成ユニット10は、マトリックス原料であるマトリックス溶液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているマトリックス溶液14を、液供給管16を通して液滴吐出ヘッド11内の後述する液共通供給路17に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内のマトリックス溶液14を圧送する液循環ポンプ15とを含む。更に、液滴吐出ヘッド11は、図1Bに示すように、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含む。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面にマトリックス液滴21を吐出するマトリックス吐出孔19と、マトリックス吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、高周波電源が接続されている。
また、図1Aに示す乾燥捕集ユニット30は、チャンバ31及びマトリックス捕集部32を含んで構成されている。チャンバ31内では、気流発生手段によって発生する気流と下降気流33が合流した大きな下降気流が形成されている。液滴形成ユニット10の液滴吐出ヘッド11から噴射されたマトリックス液滴21は、重力よってのみではなく、下降気流33によっても下方に向けて搬送されるため、噴射されたマトリックス液滴21が空気抵抗によって減速されることを抑制できる。これにより、マトリックス液滴21を連続的に噴射したときに、前に噴射されたマトリックス液滴21が空気抵抗によって減速し、後に噴射されたマトリックス液滴21が前に噴射されたマトリックス液滴21に追い付くことで、マトリックス液滴21どうしが合着して、マトリックス液滴21の結晶径がばらつくことを防止できる。なお、気流発生手段として、上流部分に送風機を設けて加圧する方法と、マトリックス捕集部32より吸引して減圧する方法のいずれを採用することもできる。また、マトリックス捕集部32には、鉛直方向に平行な軸周りに回転するような回転気流を発生させる回転気流発生装置が配置されている。そして、チャンバ31の下方に配置されている基材201に乾燥・結晶化されたマトリックスの粉体が担持される。
このようにして得られたマトリックスの粉体は、結晶径のばらつきが少ないことから再現性の高い分析が可能となる。また、このマトリックスの粉体は、乾燥により溶媒を揮発させているため、溶媒がほぼ含まれていないことから、従来のスプレー噴霧などによる方法のように、試料にマトリックス溶液を塗布してその溶媒により測定試料の生体組織が破壊されることは少ない。さらに、質量分析を行うことで溶媒が揮発することがほぼないため、このマトリックスの粉体を用いることにより医療現場や臨床試験で行うことができ、分析結果をその場で得られる点で有利である。
基材の表面に配されたマトリックスの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層、複数の層状、ドット状などが挙げられる。これらの中でも単層及びドット状の少なくともいずれかであることが好ましい。マトリックスの形状が単層及びドット状の少なくともいずれかであると、マトリックスを基材の表面に配することが容易にできる点で有利である。
[マトリックスプレートにレーザビームを照射する方法(レーザビーム照射手段)]
マトリックスプレートにレーザビームを照射する方法(レーザビーム照射手段)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下のようなレーザビーム照射手段により行われる方法が好ましい。
ここで、図2は、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法で用いることができるレーザビーム照射手段の一例を示す概略図である。
図2において、レーザビーム照射手段140は、基材201に担持されているマトリックス202に、レーザビームLを照射し、マトリックス202をレーザビームLのエネルギーにより飛翔させ、スライドガラス302上の試料切片301に付着させる。
レーザビーム照射手段140は、レーザ光源141と、ビーム径変更手段142と、ビーム波長変更手段143と、エネルギー調整フィルタ144と、ビーム走査手段145とを備えている。また、マトリックスプレート200は、基材201と、マトリックス202からなり、測定試料300は、試料切片301と、スライドガラス302からなる。
レーザ光源141は、パルス発振させたレーザビームLを発生させ、ビーム径変更手段142に照射する。
レーザ光源141としては、例えば、固体レーザ、気体レーザ、半導体レーザなどが挙げられる。
ビーム径変更手段142は、レーザ光源141が発生させたレーザビームLの光路におけるレーザ光源141の下流に配置され、レーザビームLの径を変更する。
ビーム径変更手段142としては、例えば、集光レンズなどである。
レーザビームLのビーム径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上100μm以下が好ましい。レーザビームLのビーム径が好ましい範囲内であると、既存のMALDIのビーム径に対応したマトリックスの配置が可能となる点で有利である。
ビーム波長変更手段143は、レーザビームLの光路におけるビーム径変更手段142の下流に配置され、レーザビームLの波長をマトリックス202が吸収可能な波長に変更する。
ビーム波長変更手段としては、レーザビームに円偏光を付与することにより、以下の式(1)で表されるトータルの回転モーメントJL,Sが、|JL,S|≧0となる条件を満たすことができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ビーム波長変更手段としては、例えば、1/4波長板などが挙げられる。1/4波長板の場合には、光学軸を+45°又は-45°以外に設置して光渦レーザビームに楕円状の円偏光(楕円偏光)を付与してもよいが、光学軸を+45°又は-45°に設置してレーザビームに真円状の円偏光を付与し、上記の条件を満たすことが好ましい。これにより、画像形成装置は、光吸収材を安定的に飛翔させ、飛散を抑制した形状で被付着物に付着させる効果を大きくすることができる。
ただし、式(1)において、εは真空中の誘電率であり、ωは光の角周波数であり、Lはトポロジカルチャージであり、Iは下記数式(2)で表されるレーザビームの渦次数に対応する軌道角運動量であり、Sは円偏光に対するスピン角運動量であり、rは円筒座標系の動径である。
ただし、式(2)において、ωは光のビームウエストサイズである。
なお、トポロジカルチャージとは、レーザビームの円筒座標系における方位方向の周期的境界条件から現れる量子数を意味する。また、ビームウエストサイズとは、レーザビームにおけるビーム径の最小値を意味する。
Lは、波長板における螺旋波面の巻数で決まるパラメータである。Sは、波長板における円偏光の向きで決まるパラメータである。なお、L及びSはいずれも整数である。また、L及びSの符号は、それぞれ螺旋の向き(時計回り、反時計回り)を表す。
なお、レーザビームにおけるトータルの回転モーメントをJとすると、J=L+Sと表すことができる。
ビーム波長変更手段143としては、例えば、KTP結晶、BBO結晶、LBO結晶、CLBO結晶などが挙げられる。
エネルギー調整フィルタ144は、レーザビームLの光路におけるビーム波長変更手段143の下流に配置され、レーザビームLを透過させると、マトリックス202を飛翔させるために適正なエネルギーに変更する。エネルギー調整フィルタ144としては、例えば、NDフィルタ、ガラス板などが挙げられる。
ビーム走査手段145は、レーザビームLの光路におけるエネルギー調整フィルタ144の下流に配置され、反射鏡146を備えている。
反射鏡146は、反射鏡駆動手段により図2中矢印Sで示す走査方向に可動し、レーザビームLを基材201が担持するマトリックス202の任意の位置に反射する。
マトリックス202は、エネルギー調整フィルタ144を経たレーザビームLを照射され、レーザビームLの径の範囲におけるエネルギーを受けて飛翔し、試料切片301に付着する。
なお、レーザビームLとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光渦レーザビーム、ガウスレーザビームなどが挙げられる。これらの中でも、そのレーザの特性からマトリックスを飛散させずに試料に転写する条件のロバスト性を向上させることができる点から光渦レーザビームが好ましい。
ここで光渦レーザビームについて説明する。
一般的なレーザビームは、位相が揃っているため、図9Aに示すように平面状の等位相面(波面)を有している。レーザビームのポインティングベクトルの方向が平面状の等位相面の直交方向であることにより、レーザビームの照射方向と同じ方向となるため、レーザビームが光吸収材に照射された場合には、光吸収材に対して照射方向に力が作用する。しかし、レーザビームの断面における光強度分布が、図9Bに示すようにビームの中心が最も強い正規分布(ガウシアン分布)であるため、光吸収材が飛散しやすい。また、位相分布の観察を行うと図9Cに示すように位相差がないことが確認される。
これに対し、光渦レーザビームは、図10Aに示すように螺旋状の等位相面を有している。光渦レーザビームのポインティングベクトルの方向が螺旋状の等位相面に対して直交方向であるため、光渦レーザビームが光吸収材に照射された場合には、直交方向に力が作用する。このため、図10Bに示すように光強度分布がビームの中央が零となる凹んだドーナツ状の分布となり、光渦レーザビームを照射された光吸収材は、ドーナツ状のエネルギーを放射圧として印加される。すると、光渦レーザビームを照射された光吸収材は、光渦レーザビームの照射方向に沿って飛翔し、被付着物に飛散しにくい状態で付着する。また、位相分布の観察を行うと図10Cに示すように位相差が発生していることが確認される。
図11Aは、一般的なレーザビームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。図11Bは、光渦レーザビームを光吸収材に照射させたときの一例を示す写真である。
図11Aと図11Bとを比較すると、図11Aのほうが図11Bよりも光吸収材が飛散していることが確認できる。このことから、光渦レーザビームを照射された光吸収材は、ドーナツ状のエネルギーを放射圧として印加され、光渦レーザビームの照射方向に沿って飛翔し、被付着物に飛散しにくい状態で付着することがわかる。
光渦レーザビームか否かを判別する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述の位相分布の観察、干渉計測などが挙げられ、干渉計測が一般的である。
干渉計測は、レーザビームプロファイラ(Spiricon社製レーザビームプロファイラ、浜松ホトニクス株式会社製レーザビームプロファイラなど)を用いて観察でき、干渉計測した結果の一例を図12A、図12Bに示す。
図12Aは、光渦レーザビームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図であり、図12Bは、中心に光強度0の点を有するレーザビームにおける干渉計測の結果の一例を示す説明図である。
光渦レーザビームを干渉計測すると、図12Aに示すように、エネルギー分布がドーナツ状であって、図9Cと同様に中心に光強度0の点を持つレーザビームであることが確認できる。
一方、中心に光強度0の点を有する一般的なレーザビームを干渉計測すると、図12Bに示すように、図12Aで示した光渦レーザビームの干渉計測と類似しているが、ドーナツ状部のエネルギー分布が一様ではないことから、光渦レーザビームとの差異が確認できる。
レーザビームLが光渦レーザビームであると、飛翔したマトリックス202は、光渦レーザビームにより付与されたジャイロ効果により周辺への飛散を抑制されつつ試料切片301に付着する点で有利である。
光渦レーザビームに変換するには、例えば、回折光学素子、マルチモードファイバ、液晶位相変調器などを用いることにより行うことができる。
(MALDI質量分析用測定試料)
MALDI質量分析用測定試料としては、MALDI質量分析対象の試料と、試料上に所定位置に配された2種以上のマトリックスとを有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、MALDI質量分析する際には、MALDI質量分析用測定試料は、導電性の基板上に載置する必要がある。
MALDI質量分析用測定試料としては、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に対し、基材からマトリックスを複数回飛翔させて配させることができる。基材からマトリックスを複数回飛翔させて配させることができると、マトリックスの量を調整できる点で有利である。
<試料>
MALDI質量分析対象の試料としては、MALDI質量分析で分析できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結脳組織、動物全身切片、種子、印刷画像などが挙げられる。
(MALDI質量分析方法)
本発明のMALDI質量分析方法は、本発明のMALDI質量分析用測定試料を用いてMALDI質量分析を行う限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
MALDI質量分析方法としては、例えば、MALDI-TOF-MS(株式会社ブルカーダルトニクス製)により行うことができる。
(MALDI質量分析用測定試料調製プログラム)
本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムは、MALDI質量分析対象の試料の位置情報に基づき、MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、マトリックスが配された側とは反対側の基材の表面にレーザビームを照射することにより、マトリックスを基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させる処理をコンピュータに実行させる。
本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムは、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法を実施するために好適に実行される。
つまり、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムは、ハードウェア資源としてのコンピュータ等を用いることにより、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法を実行できる。また、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムは、一又は複数のコンピュータやサーバの少なくともいずれかによって実行されてもよい。
本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムによる処理では、それぞれ異なる種類のマトリックスが配された複数のマトリックスプレートを所定の位置に予め設置し、測定試料を載置したITOコートスライドガラスを所定の位置に固定した状態で行われる。
本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムによる処理は、例えば、図3A及び図3Bに示すようなMALDI質量分析用測定試料調製装置により実行することができる。
図3Aは、MALDI質量分析用測定試料調製装置のハードウェアの一例を示すブロック図である。
図3Aに示すように、このMALDI質量分析用測定試料調製装置100は、マウス110と、CPU120と、ディスプレイ130と、レーザビーム照射手段140と、プレート交換機構150と、記憶手段160とを有する。CPU120は、各部と接続されている。
マウス110は、後述する入力部110aにより「マトリックスの種類」と「レーザビームを照射する測定試料の位置」の情報を対応させた照射データをユーザから受け付ける。また、マウス110は、MALDI質量分析用測定試料調製装置100に対する他の入力を受け付ける。
CPU120は、プロセッサの一種であり、種々の制御や演算を行う処理装置である。CPU120は、記憶手段160などが記憶するファームウェアなどを実行することにより、種々の機能を実現する。CPU120は、後述する制御部120aに対応する。
ディスプレイ130は、後述する出力部130aにより各種指示を受け付ける画面を表示する。
レーザビーム照射手段140は、例えば、図2で示したレーザビーム照射手段と同様であり、後述する出力部130aにより、レーザビームをマトリックスプレートの所定の位置に照射することができる。
プレート交換機構150は、後述するプレート交換部150aにより、装置内に格納されている各種のマトリックスが配されているマトリックスプレートを交換する機構である。
記憶手段160は、MALDI質量分析用測定試料調製装置100を動作させる各種プログラムなどを記憶している。
図3Bは、MALDI質量分析用測定試料調製装置の機能の一例を示すブロック図である。
図3Bに示すように、このMALDI質量分析用測定試料調製装置100は、入力部110aと、制御部120aと、出力部130aと、照射部140aと、プレート交換部150aと、記憶部160aとを有する。制御部120aは、各部と接続されている。
入力部110aは、制御部120aの指示に従い、「マトリックスの種類」と「レーザビームを照射する測定試料の位置」の情報を対応させた照射データを、マウス110によりユーザから受け付ける。
照射データの受け付けは、例えば、ITOコートスライドガラス上に載置した測定試料を撮像した画像上に、マトリックスの種類と照射位置を入力するようにしてもよい。
なお、入力部110aは、ユーザからの他の入力を受け付ける。
制御部120aは、入力部110aで受け付けた照射データを記憶部160aに格納する。また、制御部120aは、MALDI質量分析用測定試料調製装置100全体の動作を制御する。
出力部130aは、制御部120aの指示に従い、ディスプレイ130に各種指示を受け付ける画面を表示する。
照射部140aは、制御部120aの指示に従い、レーザビーム照射手段140を動作させ、プレート交換部150aにより配置されたマトリックスプレートにレーザビームを照射させることができる。
プレート交換部150aは、照射データに基づいた制御部120aの指示に従い、マトリックスプレートを交換する。マトリックスプレートは、装置内に複数格納されており、それぞれ異なる種類のマトリックスの粉体がプレート上に配されており、プレート交換機構150により交換される。
記憶部160aは、制御部120aの指示に従い、入力部110aで受け付けた照射データや各種プログラムなどを記憶手段160に記憶させる。
図3Cは、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS101では、入力部110aは、「マトリックスの種類」と「レーザビームを照射する測定試料の位置」の情報を対応させた照射データを、マウス110によりユーザから受け付けると、処理をS102に移行する。
ステップS102では、制御部120aは、照射データに基づいてレーザビーム照射手段140の照射位置を移動させると、処理をS103に移行する。
ステップS103では、照射部140aは、レーザビーム照射手段140により、マトリックスプレートに配されているマトリックスを照射し、マトリックスを試料切片に配すると、処理をS104に移行する。
ステップS104では、制御部120aは、照射データの内容が全て完了したか否かを判定する。制御部120aは、照射データの内容が全て完了したと判定すると本処理を終了し、照射データの内容が全て完了していないと判定すると、処理をS105に移行する。
ステップS105では、制御部120aは、照射データに基づき、マトリックスプレートの交換が必要か否かを判定する。制御部120aは、マトリックスプレートの交換が必要であると判定すると処理をS106に移行し、マトリックスプレートの交換が必要でないと判定すると処理をS102に戻す。
ステップS106では、交換部120は、マトリックスプレートの交換を行うと、処理をS102に戻す。
このように、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムは、MALDI質量分析対象の試料の位置情報に基づき、MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、マトリックスが配された側とは反対側の基材の表面にレーザビームを照射することにより、マトリックスを基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させる処理をコンピュータに実行させる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下では、図2に示したレーザビーム照射手段140により、パルス発振させた光渦レーザビームを2種のマトリックスA及びBにそれぞれ照射して、1つの試料切片に2種のマトリックスのドットを配するようにした実施例及び参考例について説明する。
(実施例1)
[マトリックス溶液の調製]
まず、0.1容積%TFA(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)と0.1容積%TFA-アセトニトリル(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を等量混合して溶媒とし、シナピン酸(Sinapic acid、マトリックスA)の飽和溶液をマトリックス溶液Aとして調製した。
次に、THF(東京化成工業株式会社製)を溶媒としたジトラノール(Dithranol、マトリックスB)10mg/mLをマトリックス溶液Bとして調製した。
[2種のマトリックスプレートの作製]
調製したマトリックス溶液Aを、図1A~図1Cで示した粉体形成技術を用いて1次平均粒子径100μmのマトリックスAの粉体を形成し、基材としてのスライドガラス(S2441、スーパーフロスト ホワイト、松浪硝子工業株式会社製)の表面に平均厚みが100μmになるようにマトリックスAの粉体層を形成し、図4Aの写真に示したマトリックスプレートAを作製した。
マトリックス溶液Aをマトリックス溶液Bに代えた以外はマトリックスプレートAと同様に、1次平均粒子径20μmのマトリックスBの粉体を形成し、基材としてのスライドガラス(S2441、スーパーフロスト ホワイト、松浪硝子工業株式会社製)の表面に平均厚みが100μmになるようにマトリックスBの粉体層を形成し、図4Bの写真に示したマトリックスプレートBを作製した。
[試料切片の作製]
まず、試料としての凍結マウス脳組織(コスモバイオ株式会社から購入)をエッペンチューブに入れてマルチビーズショッカー(MB2000、安井器機株式会社製)で破砕用ビーズを入れて粉砕し、その後、液体窒素でエッペンチューブ全体を-196℃で冷却して再度粉砕した。
次に、エッペンチューブ内の破砕用ビーズを専用マグネットで取り除き、常温で融解した後に卓上遠心機(MCF-2360、株式会社LMS製)でスピンダウンし、液体窒素内で3時間静置して完全に再凍結させた。再凍結させた試料をクライオミクロトームにより切断して平均厚み10μmの試料切片を作製し、ITOコートスライドガラス(MASコート無、100Ω、松浪硝子工業株式会社製)上に図5で示すように載置した。
[レーザビーム照射手段の準備]
レーザビーム照射手段は、図2に示したレーザビーム照射手段140を用いた。
具体的には、レーザビーム源(YAG)は、YAG結晶を励起させてレーザ発振させるYAGレーザを用いた。このレーザビーム源を用いて、発生させたレーザビームにおける波長を1,064nm、ビーム径を1.25mm×1.23mm、パルス幅を2ナノ秒、パルス周波数を20Hzとした1パルスのレーザビームを発生させた。発生させた1パルスのレーザビームを、ビーム径変更部材としての集光レンズ(シグマ光機社製、YAGレーザ集光レンズ)に照射して、マトリックスに照射させたときのビーム径を80μm×80μmであるようにした。前記ビーム径変更部材を経た前記レーザビームを、前記ビーム波長変更素子として用いたLBO結晶(CESTEC社製)に照射して、前記波長が1,064nmから532nmに変更した後、さらにLBO結晶で1,064nmのレーザビームと532nmのレーザビームを使って、和周波数発生を行う波長変更手段を用いて355nmのレーザビームに変更した。次に、前記波長変更手段で変更したレーザビームを、螺旋位相板(ルミネックス社製、Vortexフェイズプレート)に通過させて光渦レーザビームに変換させた。次に、螺旋位相板により変換させた光渦レーザビームを、螺旋位相板の下流に配置されている1/4波長板(QWP;株式会社光学技研製)に通過させた。このとき、式(1)で表されるトータルの回転モーメントJが2であるように、螺旋位相板と1/4波長板の光学軸を+45°に設定した。変換させた光渦レーザビームを、エネルギー調整フィルタ(シグマ光機株式会社製、NDフィルタ)に通過させることにより、マトリックスに照射させたときのレーザ出力を調整し、50μJ/ドットとした。
[MALDI質量分析用測定試料の作製]
まず、マトリックスプレートAに表面に形成したマトリックスAの粉体層をITOコートスライドガラス上の試料切片と対向させ、マトリックスプレートAの裏面からレーザビーム照射手段により光渦レーザビームを垂直に照射できるように設置した。なお、試料切片とマトリックスAの粉体層との間隙を500μmとした。
次に、図6Aに示すように、マトリックスプレートAの裏面から光渦レーザビームを垂直に照射して、マトリックスAの粉体をマトリックスプレートAから飛翔させて試料切片の所定位置に配させた。
続いて、マトリックスプレートAからマトリックスプレートBに交換した後、図6Bに示すように、マトリックスプレートBの裏面から光渦レーザビームを垂直に照射して、マトリックスBの粉体をマトリックスプレートBから飛翔させ、マトリックスAが配されていない試料切片の所定位置に配させた。このように、MALDI質量分析用測定試料を作製した。図13Aは、実施例1における光渦レーザビームを用いたMALDI質量分析用測定試料の調製方法を示す概念図である。また、図13Bは、実施例1におけるMALDI質量分析用測定試料の調製方法を用いた結果を示す光学顕微鏡写真の2値化画像の一例を示す図である。図13A及び図13Bに示すように、光渦レーザビームを用いた場合には、マトリックスBをほぼ照射範囲と同等の範囲の面積で転写することができた。
[MALDI質量分析]
2種のマトリックスの粉体を配したMALDI質量分析用測定試料をMALDI-TOF-MS(株式会社ブルカーダルトニクス製)を用いてMALDI質量分析を行った。
MALDI質量分析は、正イオン検出モードで、検出する質量電荷比(m/z)の範囲を250~600とし、直径約1mmのスポット内部に縦20点×横20点のデータ点を作成し取得したスペクトルを平均化した。
MALDI質量分析の結果として、マトリックスA(シナピン酸)を用いたスペクトルを図7Aに、マトリックスB(ジトラノール)を用いたスペクトルを図7Bに示す。
図7A及び図7Bに示すように、同一のMALDI質量分析用測定試料において、マトリックスの種類による検出成分が異なる結果を得られた。従来のスプレー噴霧や蒸着などによるマトリックスの塗布方法では、1つの試料切片で1種のマトリックスしか用いることができないため、このような結果を得ることができない。また、ジトラノールによる検出強度は、シナピン酸による検出強度の60倍程度あり、同一試料で一つのマトリックスを使用する場合、シナピン酸による検出は困難である。
(実施例2)
実施例1において、使用するレーザビーム源の波長を532nmに変更し、和周波数発生を行う波長変更手段を用いて355nmのレーザビームに変更した以外は、実施例1と同様にして、MALDI質量分析用測定試料の作製を行った。
その結果、実施例1における装置において、前記レーザビーム波長変更素子として用いたLBO結晶(CESTEC社製)により前記レーザビームの波長を1,064nmから532nmに変更する機構を省略し、実施例1と同様に試料の作製を行うことができた。
(実施例3)
実施例1において、螺旋位相板(ルミネックス社製、Vortexフェイズプレート)に通過させずにガウスレーザビームを用いた以外は、実施例1と同様にしてMALDI質量分析用測定試料の作製を行った。
図14Aは、実施例3におけるガウスレーザビームを用いたMALDI質量分析用測定試料の調製方法示す概念図である。また、図14Bは、実施例3におけるガウスレーザビームを用いたMALDI質量分析用測定試料の調製方法を用いた結果を示す光学顕微鏡写真の2値化画像の一例を示す図である。図14A及び図14Bに示すように、ガウスレーザビームを用いた場合においても、問題なくMALDI質量分析用測定試料を作製することができた。
なお、図15Aに示すように、光渦レーザビームを用いた場合には、図15Bに示すガウスレーザビームを用いた場合に比べて、飛び散りを抑制してマトリックスを狙いの箇所に転写することに優れていることが分かった。そのため、転写するマトリックスの間隔を狭くし、多種のマトリックスを高密度で転写することができる。
(参考例)
実施例1において、同一の試料切片ではなく別個の試料切片にそれぞれマトリックスプレートA及びBを用いてそれぞれMALDI質量分析用測定試料を作製した以外は、実施例1と同様にして、MALDI質量分析を行い、マトリックスA(シナピン酸)を用いたスペクトルを図8Aに示し、マトリックスB(ジトラノール)を用いたスペクトルを図8Bに示す。
図8A及び図8Bに示すように、実施例の図7A及び図7Bと同様の結果が得られた。つまり、本発明のMALDI質量分析方法では、1つの試料切片に2種以上のマトリックスを配することができるため、試料が1つしか存在せず、かつ2種以上のマトリックスでMALDI質量分析を行いたい場合であっても、各マトリックスによるMALDI質量分析結果をそれぞれ得ることができる。
このように、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、1つの試料に2種以上のマトリックスを配することができることから、試料が1つしかなくても、例えば、タンパク、脂質、ヌクレオチドなどの分析したいターゲットをそれぞれ高感度で測定できる。このため、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、1つの試料に対して分析したいターゲットが複数あっても、分析したいターゲットごとに高感度なイメージング質量分析を行うことができる。これにより、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、ドラッグデリバリーの分析などにも好適に活用することができる。
以上説明したように、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、マトリックスが配された側とは反対側の基材の表面にレーザビームを照射することにより、マトリックスを基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させる。これにより、本発明のMALDI質量分析用測定試料調製方法は、MALDIによる質量分析を行う際、1つの試料に2種以上のマトリックスを配することができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、前記マトリックスが配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記マトリックスを前記基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させることを特徴とするMALDI質量分析用測定試料調製方法である。
<2> 前記基材から飛翔させる前記マトリックスが2種以上である、前記<1>に記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法である。
<3> 前記基材から飛翔させる2種以上の前記マトリックスが、前記MALDI質量分析対象の試料における、互いに異なる所定位置に配させる、前記<2>に記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法である。
<4> 前記MALDI質量分析対象の試料の所定位置に対し、前記基材から前記マトリックスを複数回飛翔させて配させる、前記<1>から<3>のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法である。
<5> 前記レーザビームが、光渦レーザビームである、前記<1>から<4>のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法である。
<6> 前記レーザビームの照射径が5μm以上100μm以下である、前記<1>から<5>のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法である。
<7> 前記基材の表面に配された前記マトリックスが、層状及びドット状の少なくともいずれかである、前記<1>から<6>のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法に用いるMALDI質量分析用測定試料調製装置であって、
前記基材の表面にレーザビームを照射する照射手段を有することを特徴とするMALDI質量分析用測定試料調製装置である。
<9> MALDI質量分析対象の試料と、前記試料上に所定位置に配された2種以上のマトリックスとを有することを特徴とするMALDI質量分析用測定試料である。
<10> 前記<9>に記載のMALDI質量分析用測定試料を用いてMALDI質量分析を行うことを特徴とするMALDI質量分析方法である。
<11> MALDI質量分析対象の試料の位置情報に基づき、
MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、前記マトリックスが配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記マトリックスを前記基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とするMALDI質量分析用測定試料調製プログラムである。
前記<1>から<7>のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法、前記<8>に記載のMALDI質量分析用測定試料調製装置、前記<9>に記載のMALDI質量分析用測定試料、前記<10>に記載のMALDI質量分析方法、及び前記<11>に記載のMALDI質量分析用測定試料調製プログラムによれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
100 MALDI質量分析用測定試料調製装置
140 レーザビーム照射手段
200 マトリックスプレート
201 基材
202 マトリックス
301 試料切片(試料)
L レーザビーム
特開2014-206389号公報

Claims (9)

  1. MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、前記マトリックスが配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記マトリックスを前記基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させることを特徴とするMALDI質量分析用測定試料調製方法。
  2. 前記基材から飛翔させる前記マトリックスが2種以上である、請求項1に記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法。
  3. 前記基材から飛翔させる2種以上の前記マトリックスが、前記MALDI質量分析対象の試料における、互いに異なる所定位置に配させる、請求項2に記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法。
  4. 前記MALDI質量分析対象の試料の所定位置に対し、前記基材から前記マトリックスを複数回飛翔させて配させる、請求項1から3のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法。
  5. 前記レーザビームが、光渦レーザビームである、請求項1から4のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法。
  6. 前記レーザビームの照射径が5μm以上100μm以下である、請求項1から5のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法。
  7. 前記基材の表面に配された前記マトリックスが、層状及びドット状の少なくともいずれかである、請求項1から6のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のMALDI質量分析用測定試料調製方法に用いるMALDI質量分析用測定試料調製装置であって、
    前記基材の表面にレーザビームを照射する照射手段を有することを特徴とするMALDI質量分析用測定試料調製装置。
  9. MALDI質量分析対象の試料の位置情報に基づき、
    MALDI質量分析用測定試料の調製に用いるマトリックスを表面に配した基材における、前記マトリックスが配された側とは反対側の前記基材の表面にレーザビームを照射することにより、前記マトリックスを前記基材から飛翔させ、MALDI質量分析対象の試料の所定位置に配させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とするMALDI質量分析用測定試料調製プログラム。
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