いくつかの実施形態に係る焙煎器を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る焙煎器について、詳細に説明する。なお、本実施形態では、豆類として、コーヒー豆を焙煎する場合を例にして、具体的に説明する。図1に、本実施形態に係る焙煎器1を模式的に示す。図2に、焙煎器1の一部破断図を示す。図3に焙煎器1の組立図を示す。また、図4に、焙煎器1の平面図を模式的に示す。
図1~図4に示すように、焙煎器1は、筒状の本体部2、本体部2が延伸する方向(第1方向)と交差する方向に延伸する第1側面3に取り付けられた取手部4、取手部4を本体部2に取り付けるための取手固定部材5、及び本体部2の第1側面3と対向する第2側面6を覆う側面蓋7を備えることができる。また、側面蓋7は、本体部2に着脱可能に取り付けることができる。なお、本実施形態では、取手固定部材5は、例えばリベットにより固定することができる。
また、図1~図4を参照すると、本体部2の上面側には、コーヒー豆を出し入れするための第1開口部8が設けられている。また、この第1開口部8を覆うための蓋部9を有することができる。本実施形態では、蓋部9が、本体部2の延伸方向(第1方向)にスライドして、第1開口部8が開又は閉の状態となるように、開閉可能に構成されている。
また、第1開口部8の周縁には、開口カバー10を設けることができる。第1開口部8の周縁に開口カバー10を設けることで、第1開口部8からのコーヒー豆の出し入れをスムーズに行うことができる。
また、取手固定部材5及び/又は側面蓋7には、焙煎時に熱せられた空気を外部に放出するための通気孔11が複数個設けられている。通気孔11の直径は約0.1mm~4mm程度とすることができる。通気孔11の大きさが0.1mmより小さいときは、通気性が得にくい。また、通気孔11の大きさが4mmより大きいときは、コーヒー豆の薄皮(所謂、チャフ)が、通気孔11から外部へ飛散し易くなるので、通気孔11の直径は約0.1mm~4mm程度とするのが好適である。また、本体部2の側面に側面蓋7を取り付けて固定するための蓋固定部材12を設けることができる。
図2に、焙煎器1の一部破断図を示す。図2に示すように、本体部2の底面側のほぼ中央部には、本体部2の延伸方向(第1方向)に延伸し、上側に凸状に突き出た本体突起部15を設けることができる。本体部2の底面は、本体突起部15から側面の方向に向かって、緩やかに湾曲した形状を有することができる。また、本体突起部15の高さは、約3mm~20mm程度とすることができる。また、本体突起部15の全体的な形状は、本体突起部15の先端に近づくにつれて曲率半径が小さくなっており、その断面形状が曲線状になった略富士山形状となっている。より詳しく説明すると、本体突起部15の側面は、本体突起部15の頂部に向かって湾曲するとともに、側面の曲率半径が本体部2の底面側から本体突起部15の先端側端部にかけて連続的に変化するように構成することができる。取手部4を持って、焙煎器1を左右(第1方向と交差する第2方向)に振ったときに、コーヒー豆が、このような略富士山形状の本体突起部15に沿って自転・公転を行ないながら、焙煎される。通常、コーヒー豆は、平たい形状を有しており、焙煎器1を左右(第2方向)に振っただけでは、裏返しになり難い。このため、コーヒー豆の一方の面だけが焙煎されやすい。しかし、本体部2の底面側に本体突起部15を設けることにより、コーヒー豆が本体突起部15に沿って自転・公転を行ないながら移動することができるので、コーヒー豆の表面と裏面の両面が、ムラ無く均一に焙煎することができる。また、本実施形態では、本体部2の底面側のほぼ中央部に、1個の本体突起部15を設けているが、これに限らず、焙煎器の容積に応じて、それぞれが第1方向に延伸する本体突起部15を離間して複数個設けてもよい。
図2を参照すると、本体部2の内側には、蓋部9を支持するための蓋支持部材20が取り付けられている。蓋支持部材20は、本体部2の内側面に沿って勘合させて、着脱可能に設けられている。後で詳述するが、蓋部9は、蓋支持部材20の上面側に配置されて、蓋支持部材20のガイド部21に沿ってスライド可能に設けられている。また、蓋支持部材20の上面側には、本体部2の第1開口部8に対応させた第2開口部22が設けられている。また、蓋支持部材20の側面の端部には、焙煎時に生じるチャフを集めて収納するためのチャフ溜23が形成されている(図10参照)。
また、取手固定部材5の内面側には、ロック機構30を備えることができる。ロック機構30は、焙煎器1を反転させて、豆を取り出すときに、蓋部9が開いた状態を保持するように構成されている。ロック機構30を設けることにより、本体部2から焙煎されたコーヒー豆を第1開口部8、及び第2開口部22を介して外部に取り出しやすくすることができる。
また、図3に、焙煎器1の組立図を概略的に示す。前述したように、焙煎器1は、本体部2、本体部2の第1側面3に取り付けられた取手部4、取手部4を本体部2に取り付けるための取手固定部材5、及び本体部2の第1側面3と対向する第2側面6を覆う側面蓋7を備える。また、本体部2の内側面に沿って勘合させて着脱可能に設けられている蓋支持部材20と、蓋支持部材20の上面側にスライド可能に載置された蓋部9を備えることができる。図3を参照すると、蓋支持部材20を、本体部2の内側面に沿って勘合させるときに、蓋部9は、蓋支持部材20の上面側の蓋設置部40に載置される。これにより、蓋部9は、本体部2と蓋支持部材20との間に配置されて、本体部内にセットされる。前述したように、蓋部9は、蓋支持部材20の上面側の蓋設置部40に載置されて、蓋支持部材20のガイド部21に沿ってスライド可能に設けられている。
また、蓋支持部材20の蓋設置部40には、スライドした蓋部9を所定の位置で固定するための蓋押部41(41a)が設けられている。本実施形態において、蓋押部41aは、蓋設置部40の表面から上側に隆起した凸形状を有することができる。
次に、本体部2の第2側面6を覆う側面蓋7について説明する。図5に、本実施形態に係る焙煎器1の側面蓋7を説明するための図を示す。図5に示すように、側面蓋7には、側面蓋7を取り付けて固定するための蓋固定部材12が取り付けられている。本実施形態では、蓋固定部材12は、ネジ部12aとネジ部12aに勘合する板ナット12bを含むことができる。また、本体部2の上面に、U字形本体溝13が設けられており(図3参照)、側面蓋7の上面であって、本体部2のU字形本体溝13に対応する位置に貫通孔14が設けられている。
側面蓋7は、蓋支持部材20を本体部2に勘合させた後、第2側面6の外周に沿って本体部2に装着される。このとき、本体部2の上面に設けられたU字形本体溝13、及び側面蓋7の上面に設けられた貫通孔14にネジ部12aを挿通し、ネジ部12aに板ナット12bを螺合することで、本体部2に側面蓋7を固定することができる。
次に、本体部2の内部構造について、詳しく説明する。図6に、焙煎器1の側面蓋7を取り除いた状態における、第1方向から本体部2の内側を観た側面図を示す。図6に示すように、筒状の本体部2の内部に、蓋部9を支持するための蓋支持部材20が設けられている。蓋支持部材20の上部には、蓋部9がスライド可能に配置されている。また、取手固定部材5の内面側には、ロック機構30が設けられている。ロック機構30は、蓋部9を開状態で固定するためのロックピン31と、ロックピン31を上下に移動可能に保持するためのピン保持部材32を有することができる。なお、ロック機構30については、後で詳述する。
図6を参照すると、本体部2の内側面に沿って勘合させて、着脱可能に設けられた蓋支持部材20を有することができる。本実施形態では、蓋支持部材20は、例えばアルミニウムのような弾性的に変形する金属材料からなることができる。蓋支持部材20は、頂部側に設けられ、蓋部9を支持するための蓋設置部40と、蓋設置部40の両側に設けられ、本体部2の内面に沿って勘合される側面固定部43を有することができる(図10参照)。蓋設置部40には、スライド可能に設けられた蓋部9をガイドするためのガイド溝42が設けられている。
また、蓋支持部材20の側面固定部43の端部には、焙煎時に生じるコーヒー豆の薄皮(所謂、チャフ)を溜めるためのチャフ溜23が設けられている。本実施形態では、チャフ溜23は、側面固定部43の端部から延伸方向に湾曲した形状を有しており、チャフ溜23には、チャフを保持し、収集するための空隙が形成されている。また、チャフ溜23のチャフを集めるための入り口近傍には、一度収集したチャフが、再びチャフ溜23から出にくいように、庇形状の返し部が設けられている。
図6に示すように、蓋支持部材20は、側面固定部43の端部側が、それぞれ本体部2の内面に接触するように、本体部2内にセットされている。蓋支持部材20の側面固定部43の両端部は接合されておらず、第1方向に延伸する開口(第3開口部44)を有することができる。蓋支持部材20の底面側に第3開口部44を設けることにより、蓋支持部材20を、本体部2内にセットしたときに、側面固定部43が弾性的にわずかに変形させながら端部側を本体部内面に接触させて、本体部2に装着することができる。蓋支持部材20を弾性力で付勢させて本体部に固定することにより、蓋支持部材20が本体部2の内面により支持されてガタツキがないように本体部2に装着することができる。これにより、焙煎器1を横に振ったときでも、蓋支持部材20、あるいは蓋部9が動いて不安定になることを防止することができる。また、蓋支持部材20を本体部2の内側面に沿って勘合させて装着したときに、本体部2の本体突起部15に側面固定部43の端部が当たらないように、側面固定部43の両端部の距離を大きく設定し、蓋支持部材20の第3開口部44内に、本体部2の本体突起部15が位置するように設計されている。
本実施形態では、蓋支持部材20を本体部2内に着脱可能に装着することができる。蓋支持部材20は、本体部2の本体突起部15が設けられた底面以外の内面領域のほとんどを被覆すように、本体部2内に装着されている。これにより、焙煎時に生じるチャフが蓋支持部材20の内面に付着させることができる。さらに、蓋支持部材20の端部側にはチャフ溜23が設けられており、このチャフ溜23にチャフを集めることができる。焙煎後、蓋支持部材20を本体部2から取り外して、洗浄等を行うことにより、付着或いは取集したチャフを簡単に処理することができる。一方、本体部の内面には、チャフが付着することを防止することができるので、常に清潔な状態を保持することができる。
再び図6を参照すると、蓋支持部材20の側面固定部43は、本体部2の側面部とほぼ同じ形状を有することができる。つまり、蓋支持部材20を本体部2内に装着したときに、蓋支持部材20の側面固定部43の外面が、本体部2の内面に沿った状態で装着することができる。これにより、本体部2の上面側に設けられた第1開口部8と蓋支持部材20の上面側に設けられた第2開口部22の相対的な位置をほぼ一致させることができる。
次に、蓋部9の開閉機構について、詳細に説明する。蓋部9の開閉機構について説明するために、図7に、図4のVII-VII線に沿って取られた断面図を示す。図8に、図7のA部を拡大した図を示す。図8において、蓋支持部材20の上面側には、上方に突き出た凸形状の蓋押部41(41a)が、設けられている。
図7、及び図8を参照すると、本体部2内にセットされた蓋支持部材20の頂部側に設けられた蓋設置部40には、蓋部9が搭載されている。蓋部9は、蓋支持部材20の蓋設置部40に設けられたガイド溝42に沿って、本体部2の延伸方向(第1方向)にスライド可能に構成されている。
また、図8を参照すると、蓋支持部材20の上面側には、上方に突き出た凸形状の蓋押部41aが、設けられている。本実施形態では、蓋押部41aは、蓋支持部材20の蓋設置部40の第1方向における前側と後側の2箇所に設けられている。蓋部9が開いた状態において、蓋部9が、後側に設けられた蓋押部41aにより上側に押し上げられることにより、蓋部9の後端側が、本体部2の頂部内表面と蓋押部41aとの間に挟持されて、開いた状態を保持することができる。同様に、蓋部9が閉じた状態において、蓋部9が、前側に設けられた蓋押部41aにより上側に押し上げられることにより、蓋部9の先端側が、本体部2の頂部内表面と蓋押部41aとの間に挟持されて、閉じた状態を保持することができる。これにより、焙煎時に、焙煎器を振った時でも、蓋部9が勝手に開閉することを防止することができる。また、蓋部9は、焙煎器1を前後に振るだけで、簡単に蓋部9が蓋押部41aから離脱し、スライド可能とすることができる。
また、図9に、蓋押部41の変形例を説明するための図を示す。図9に示したように、蓋押部41(41b)は、図8に示した凸形状の蓋押部41aの代わりに、板状の弾性部材からなることもできる。本実施形態では。蓋押部41bは、アルミニウム、或いはステンレス(例えばSUS304)などの金属から成ることができる。また、弾性部材から成る蓋押部41(41b)は、例えば、リベットにより、蓋支持部材20に固定することができる。
また、本実施形態では、蓋押部41(41a、41b)を蓋支持部材20に設けたが、これに限らず、本体部2の頂部内表面に設けてもよい。
次に、本体部2内にセットされる蓋支持部材20について、詳細に説明する。図10に、焙煎器1の蓋部9、及び蓋支持部材20を模式的に示す。図10(a)は、蓋部9を示し、図10(b)は、蓋支持部材20を示す。
図10を参照すると、蓋支持部材20は、その上面側に、蓋部9を載置するための蓋設置部40が設けられている。また、蓋支持部材20の上面側の蓋設置部40には、本体部2の第1開口部8に対応させた第2開口部22が設けられている。また、蓋設置部40には、第2開口部22を挟んで、第1方向に延伸する凹形状のガイド部21が設けられている。ガイド部21により、蓋部9が、第1方向にスライドする際に、ガイド部21により案内されてスムーズに移動することができる。ガイド部21の段差(深さ)は、蓋部9の厚さに応じて決定される。本実施形態では、蓋部9の厚さは、約1mm~5mm程度とすることができる。これに合わせて、ガイド部21の段差(深さ)を約1.2mm~5.5mm程度とすることができる。このとき、蓋部9と本体部2の内表面との隙間を0.2~0.5mm程度とすることができる。
また、蓋支持部材20の上面側には、蓋部9を開閉するときに、開いた状態、或いは閉じた状態を保持するための蓋押部41(41a、41b)が設けられている。蓋押部41は、上方に突き出た凸形状を有することができる。本実施形態では、蓋押部41(41a、41b)を、蓋支持部材20の上面側の前方側と後方側に、それぞれ2個づつ、所定の間隔を設けて形成されている。
また、蓋支持部材20の前方側には、側面蓋7を本体部2の第2側面6に取り付けて固定するときに、蓋固定部材12のネジ部12aを挿通するための略U字形状の蓋支持部材U溝45が設けられている。
また、蓋支持部材20の後方側には、本体部2の第1側面3にリベットにより取手固定部材5を取り付けるときに、リベットを逃すための切欠部46が設けられている。さらに、蓋支持部材20の後方側には、ロック機構30のスライドピンを挿通させるための略U字形状のピン挿通孔47が設けられている。
また、蓋支持部材20は、蓋設置部40の両側に設けられ、本体部2の内面に沿って勘合される側面固定部43を有することができる。側面固定部43は、その端部側が、それぞれ本体部2の内面に接触するように設計されている。これにより、蓋支持部材20を、本体部2内から繰り返し取り外し、セットしたときでも、本体部2内における蓋支持部材20の高さ方向の位置を、本体部に接触した部分を基準に再現性良く、かつ安定して定めることができる。つまり、蓋支持部材20を、繰り返し取り外して、再セットした場合でも、本体部2内のほぼ同じ位置にセットすることができる。
蓋支持部材20の側面固定部43の両端部は接合されておらず、第1方向に延伸する開口(第3開口部44)を有することができる。蓋支持部材20の底面側に第3開口部を設けることにより、蓋支持部材20が弾性的に変形することができる。これにより、蓋支持部材20を、本体部2内にセットしたときに、側面固定部が弾性的にわずかに変形させながら端部側を本体部内面に接触させて、本体部2に装着することができる。蓋支持部材20を弾性力で付勢させて本体部に固定することにより、蓋支持部材20が本体部2の内面により支持されてガタツキがないように本体部2に装着することができる。これにより、焙煎器1を横に振ったときでも、蓋支持部材20、あるいは蓋部9が動いて不安定になることを防止することができる。
蓋支持部材20は、本体部2の本体突起部15が設けられた底面以外の内面領域のほとんどを被覆すように、本体部2内に装着されている。これにより、焙煎時に生じるチャフが蓋支持部材20の内面に付着させることができる。
さらに、蓋支持部材20の側面固定部43の端部には、焙煎時に生じるコーヒー豆の薄皮(所謂、チャフ)を溜めるためのチャフ溜23が設けられている。本実施形態では、チャフ溜23は、蓋支持部材20の延伸方向(第1方向)に延伸して設けられている。また、チャフ溜23は、側面固定部43の端部から、第1方向と交差する第2方向への延伸方向に湾曲した形状を有している。また、チャフ溜23には、チャフを保持し、収集するための空隙が形成されている。また、チャフ溜23のチャフを集めるための入り口近傍には、一度収集したチャフが、再びチャフ溜23から出にくいように、庇形状の返し部が設けられている。
メモ:チャフ溜23のチャフを集めるための入り口近傍において、湾曲したチャフ溜23の端部と側面固定部43の内表面との間の距離が、焙煎するコーヒー豆の大きさよりも小さく設定されている。これにより、チャフ溜23にチャフを集めると共に、コーヒー豆が入り込まないようにすることができる。湾曲したチャフ溜23の端部と側面固定部43の内表面との間の距離は、例えば約4mm程度とすることができる。
このように、蓋支持部材20は、本体部2内に着脱可能に装着することができ、さらに、側面固定部43の端部には、コーヒー豆の薄皮(所謂、チャフ)を溜めるためのチャフ溜23が設けられている。焙煎後、蓋支持部材20を本体部2から取り外して、洗浄等を行うことにより、蓋支持部材20の表面に付着したチャフ、或いは、チャフ溜23内に取集したチャフを簡単に処理することができる。一方、本体部の内面には、チャフが付着することを防止することができるので、常に清潔な状態を保持することができる。
また、蓋支持部材20の側面固定部43は、本体部2の側面部とほぼ同じ形状を有することができる。つまり、蓋支持部材20を本体部2内に装着したときに、蓋支持部材20の側面固定部43の外面が、本体部2の内面に沿った状態で装着することができる。これにより、本体部2の上面側に設けられた第1開口部8と蓋支持部材20の上面側に設けられた第2開口部22の相対的な位置をほぼ一致させることができる。
次に、焙煎後に焙煎されたコーヒー豆を取り出すときに、蓋部9が閉まることなく、開放状態として保持するためのロック機構30について、詳細に説明する。図11に、蓋部のロック機構30を説明するための図を示す。図12に、蓋部9のロック機構30の動作を説明するための図を示す。なお、図12(a)及び(b)は、図4のVII-VII線に沿って取られた断面図であり、蓋部9が開いた状態を示している。また、図12(a)は、蓋部9が開いた状態を示し、図12(b)は、図12(a)に示した蓋部9が開いた状態で、焙煎器をひっくり返した状態を説明するための図である。
図6を参照すると、蓋部のロック機構30は、取手固定部材5の内表面に取り付けられている。また、図11を参照すると、ロック機構30は、蓋部9を開状態で固定するためのロックピン31と、ロックピン31を上下に移動可能に保持するためのピン保持部材32を有することができる。本実施形態において、ロックピン31は、断面が略円形の棒状であることができる。ロックピン31の先端部が、蓋部9に設けた凹形状のピン受部に嵌り、蓋部9がロックされるように構成されている。また、ピン保持部材32は、ロックピン31を挿通し保持するための円筒部を有し、円筒部の孔の内径の大きさが、ロックピン31の外径の大きさより僅かに大きくなるように設計されている。これにより、この円筒部の孔に挿通されたロックピン31が上下にスムーズに移動することができる。
次に、ロック機構30の動作について説明する。図12(a)は、焙煎が終了した直後の状態を示している。コーヒー豆を取り出すために、蓋部9が右側にスライドして、本体部2の第1開口部8が開いた状態となっている。このとき、ロックピン31は、下側に配置されて、蓋部9が左右の方向(第1方向)にスライド可能となっている(アンロック状態)。なお、本実施形態では、蓋部9は、蓋押部41と本体部2の間に挟持されて押圧された状態となっており、所定の力を左右に加えることで、左右にスライド可能となっている。
次に、図12(b)に示すように、コーヒー豆を取り出すために、焙煎器1(本体部2)を反転させる。このとき、図12(b)において、ロックピン31が、下方に落下し、蓋部9に設けた凹形状のピン受部に嵌り、蓋部9がロックされる(ロック状態)。豆を取り出すときに、蓋部9が開いた状態を保持するように構成されているので、本体部2から焙煎されたコーヒー豆を第1開口部8、及び第2開口部22を介して外部に取り出しやすくすることができる。また、焙煎器1をもとの状態(蓋部が上の状態)に戻すと、再びピンが下側(底面側)に下がって、ロック状態が解除される
次に、蓋部9の形状について、詳細に説明する。図13に、蓋部9を模式的に示す。なお、図13(a)は、平面図を示し、図13(b)は、図13(a)のXIII-XIII線に沿って取られた断面図を示す。図13を参照すると、蓋部9は、蓋支持部材20の頂部側に設けられた蓋設置部40に載置されて、スライド可能な形状を有している。本実施形態では、略平板形状を有し、蓋部9が開の状態(図12(a)参照)において、第1開口部8を覆わないようにするために、第1開口部8の周縁形状に沿った形状を有する切り欠き部を有することができる。また、蓋部9を蓋支持部材20に載置したときに、ロック機構30側には、ロックピン31が嵌る凹形状のピン受部が設けられている。
また、図14に蓋部9の変形例を模式的に示す。なお、図14(a)は、平面図を示し、図14(b)は、図14(a)のXIV-XIV線に沿って取られた断面図を示す。図14を参照すると、蓋部9の切り欠き部を設けた端部側に、ツマミ部を設けることができる。蓋部9を蓋支持部材20に載置したときに、ツマミ部は、本体部2の第1開口部8を介して外側まで延伸しており、ツマミ部を操作することで、蓋部9を開閉することもできる。蓋部9は、本体部2を左右方向(第1方向)に振ることで、開閉することができるが、ツマミ部を操作することで、補助的に開閉することができる。
次に、本体部2の変形例について、詳細に説明する。図15は、本体部2の底面側に設けられている突起部の変形例を説明するための図である。なお、図15は、焙煎器1の側面蓋7を取り除いた状態における、第1方向から本体部2の内側を観た側面図を示している。図15に示すように、本体部2の底面側のほぼ中央部には、本体突起部115が設けられている。なお、本体突起部115以外の構成については、図1又は図6と同様であるので、説明を省略する。
図15において、本体突起部115は、本体部2の両側面部から中央部に向かう延伸方向(第2方向)に湾曲した湾曲部50を有することができる。本実施形態において、本体突起部115の湾曲部50は、本体部の両側面部から延伸して、本体部2の底面側のほぼ中央部において湾曲しながら互いに接するように構成されている。また、本体突起部115の湾曲部50の先端部は、中央部から外側に向かって、わずかに張り出した庇形状を有することができる。なお、本体突起部115は、本体部2の延伸方向(第1方向)に延伸している。
本体部2の底面側に本体突起部115を設けることにより、コーヒー豆が、湾曲部50の内面に沿って回転しやすくなる。このため、コーヒー豆を焙煎する際に、取手部4を持って、焙煎器1を左右(第1方向と交差する第2方向)に振ることにより、コーヒー豆が湾曲部に沿って自転・公転を行ないながら移動することができる。通常、コーヒー豆は、平たい形状を有しており、焙煎器1を左右(第2方向)に振っただけでは、裏返しになり難い。このため、コーヒー豆の一方の面だけが焙煎されやすい。しかし、本体部2の底面側に本体突起部115を設けることにより、コーヒー豆が湾曲部に沿って自転・公転を行ないながら移動することができるので、コーヒー豆の表面と裏面の両面が、ムラ無く均一に焙煎することができる。また、本実施形態では、本体部2の底面側のほぼ中央部に、1個の本体突起部115を設けているが、これに限らず、焙煎器の容積に応じて、それぞれが第1方向に延伸する本体突起部115を離間して複数個設けてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る焙煎器201について、詳細に説明する。図16に、本実施形態に係る焙煎器201を模式的に示す。また、図17に、第2の実施形態に係る焙煎器の組立図を模式的に示す。
図16、及び図17に示すように、第2の実施形態に係る焙煎器201は、筒状の本体部202、本体部202が延伸する方向(第1方向)と交差する方向に延伸する第1側面203に取り付けられた取手部204、取手部204を本体部202に取り付けるための取手固定部材205、及び本体部202の第1側面203と対向する第2側面206を覆う側面蓋207を備えることができる。また、側面蓋207は、本体部202に着脱可能に取り付けることができる。なお、本実施形態では、取手固定部材205は、例えばリベットにより固定することができる。
また、本体部202の上面側には、コーヒー豆を出し入れするための第1開口部208が設けられている。また、この第1開口部208を覆うための蓋部209を有することができる。本実施形態では、本体部202の上面側に、蓋部209を載置し支持するための蓋設置部240、及び蓋部209をガイドするためのガイド部221が設けられている(図17参照)。
また、蓋部209は、本体部202の上面側の蓋設置部240に載置された状態で、蓋支持部材220が、本体部202の外側面を覆うように、本体部202の外側から嵌め込まれている。このとき、蓋部209は、本体部202と蓋支持部材220との間に配置されている。蓋支持部材220は、本体部202の外側面に沿って勘合させて、着脱可能に設けられている。蓋部209は、本体部202の上面側の蓋設置部240に配置されて、本体部202のガイド部221に沿ってスライド可能に設けられている。また、蓋支持部材220の上面側には、本体部202の第1開口部208に対応させた第2開口部222が設けられている。
また、本体部202の蓋設置部240には、スライドした蓋部を所定の位置で固定するための蓋押部241が設けられている。本実施形態において、蓋押部241は、蓋設置部240の表面から上側に隆起した凸形状を有することができる。
蓋押部241は、図16に示した凸形状の蓋押部241aの代わりに、板状の弾性部材からなることもできる。蓋押部241を構成する弾性部材としては、アルミニウム、或いはステンレス(例えばSUS304)などの金属から成ることができる。
また、本実施形態では、蓋押部241を本体部202に設けたが、これに限らず、蓋部209の表面と対向する蓋支持部材220の頂部内表面に設けてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、蓋部209のロック機構230を、取手固定部材205の内表面に取り付けることができる。
また、取手部204、取手固定部材205、及び側面蓋207は、第1実施形態の焙煎器1の取手部4、取手固定部材5、及び側面蓋7と同様のものを利用することができる。また、本体部202の上面側に、蓋部209を載置し支持するための蓋設置部240、及び蓋部209をガイドするためのガイド部221が設けられ、また、蓋支持部材220が、本体部202の外側面を覆うように、本体部202の外側から嵌め込まれている以外は、第1の実施形態と同様の構成を有するので、説明を省略する。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。