JP7352272B2 - 除振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、除振装置に関する。
非特許文献1には、複数のコイルばね、または座屈後のはり構造やローラー機構等を用いた上下方向の除振装置が記載され、それぞれの装置の理論解析や一部の装置の実験的性能検証結果が記載されている。
非特許文献2には、てこの原理を利用した変位拡大機構、または複数のコイルばね、座屈後のはり構造、ローラー機構、円錐振り子等を用いた上下方向および水平方向の除振装置が記載され、それぞれの概要や特徴が記載されている。
非特許文献3には、形状記憶合金線材のばねを用いた水平方向免震装置の地震応答解析と設計指針が記載されている。ばねとしては、円環ばねと座屈ばねが記載されており、それぞれのばねの復元力特性と、それらを用いた免震装置の免震効果を実験的に検証した結果が記載されている。
S-T Park著、外1名、「負剛性のパラメータ最適化のための方法(Techniques for optimizing parameters of negative stiffness)」、Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Part C: Journal of Mechanical Engineering Science、(英国)、英国機械学会(Institution of Mechanical Engineers)、2007年、第221巻、p.505-511 R.A. Ibrahim著、「非線形振動絶縁器の最近の進展(Recent advances in nonlinear passive vibration isolators) 」、(蘭国)、Journal of Sound and Vibration、エルゼビア(Elsevier)、2008年、第314巻、p.371-452 山下義隆、外3名、「形状記憶合金ばねを用いた免震装置の地震応答解析と設計指針の提案」、日本機械学会論文集(C編)、2007年、第73巻、第727号、p.68-75
非特許文献1に記載の除振装置は、装置の機構(幾何学的配置)を調整することで、負剛性特性を発生させている。この際、水平に配置したばねの上下方向位置を除振対象の静的変位に応じて正確に調整する必要がある。また、正確なピン支持機構を実現する必要があるなど、装置は複雑かつ大型化する場合が多い。
非特許文献2に記載の除振装置は、座屈後のはり構造を利用した装置もあるが、ここでも正確なピン支持機構の実現が必要である。また、その他の装置も含めて装置は複雑かつ大型化する場合が多い。
非特許文献3に記載の免震装置は、座屈後形状記憶合金の復元力の漸軟非線形性を用いて免震を行っている。この際、水平方向変位に対する復元力は常に正の勾配(正剛性)を示しているため、固有振動数の低減化効果、すなわち除振性能は限られたものとなっている。
本発明は、簡易な構造の除振装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、除振対象物に加わる振動を抑制するための第1の弾性体と、
座屈後の静的復元挙動が負剛性特性を示し、前記除振対象物に加わる前記振動を抑制するための第2の弾性体(ただし、前記第2の弾性体の長手方向が前記振動の方向に対して直交するように配置されているものを除く。)と、を備え、前記第2の弾性体が、単一の座屈モードで変形する除振装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2の弾性体が、超弾性特性を有する形状記憶合金である。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2の弾性体が、擬弾性特性を有する形状記憶合金である
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2の弾性体が、チタンとニッケルの合金である。
請求項5に記載の発明は、請求項2~4のいずれか1項に記載の発明において、前記第2の弾性体が、板状の形状記憶合金である。
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記第1の弾性体のばね定数が、前記負剛性を相殺できる大きさに設定されている。
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記振動の方向が上下方向であり、前記除振対象物を上下方向に案内する案内部を備えている。
本発明によれば、簡易な構造の除振装置を提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係る除振装置の構成図である。 同除振装置が備える形状記憶合金の静的復元力の計測を示す説明図である。 同除振装置が備える形状記憶合金の静的復元力を示すグラフである。 同除振装置の変位又は加速度の伝達率の周波数応答を示すグラフである。 超弾性特性を有する形状記憶合金の材料特性である。 座屈後特性のFEM解析の行程を示す説明図であり、(A)~(E)は、それぞれ、初期状態、ステップ1、ステップ2、ステップ3及びステップ4を示す説明図である。 マルテンサイト誘起ひずみが座屈後特性に及ぼす影響を示すグラフであって、(A)、(B)はそれぞれ、マルテンサイト誘起ひずみが異なる5種類の材料特性モデル及び各材料特性モデルを用いた場合の座屈シミュレーション結果である。 ヤング率が座屈後特性に及ぼす影響を示すグラフであって、(A)、(B)はそれぞれ、ヤング率が異なる4種類の材料特性モデル及び各材料特性モデルを用いた場合の座屈シミュレーション結果である。 プラトー領域における剛性値が座屈後特性に及ぼす影響を示すグラフであって、(A)、(B)はそれぞれ、プラトー領域における剛性値が異なる5種類の材料特性モデル及び各材料特性モデルを用いた場合の座屈シミュレーション結果である。 (A)は、マルテンサイト誘起ひずみεを固定しヤング率Eとプラトー領域における剛性値Epとの差ΔEが同一となる3種類の材料特性モデルであり、(B)は、各材料特性モデルを用いた場合の座屈シミュレーション結果である。 本発明の第2の実施の形態に係る除振装置の構成図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係る除振装置10は、振動源(不図示)が除振対象物12に対して与える上下方向の振動(図1に示す矢印参照)を抑制できる。
除振装置10は、図1に示すように、フレーム20、リニアガイド14、コイルばね16及び形状記憶合金18を備えている。
フレーム20は、リニアガイド14、コイルばね16及び形状記憶合金18を取り付けるための金属製の部材である。
リニアガイド14(案内部の一例)は、除振対象物12を上下方向に案内できる。
なお、案内部はリニアガイド14に限定されるものではない。
コイルばね16(第1の弾性体の一例)は、例えば引張コイルばねである。コイルばね16の一端はフレーム20に取り付けられ、他端は除振対象物12の上面に取り付けられており、除振対象物12に加わる振動を抑制できる。
なお、第1の弾性体はコイルばね16に限定されるものではない。
形状記憶合金18(第2の弾性体の一例)は、振動源によって与えられる振動の方向に伸縮し、圧縮されると座屈変形する板状の形状記憶合金であり、例えばチタン・ニッケル合金(Ti-Ni系形状記憶合金)である。なお、チタン・ニッケル合金は、チタンとニッケルの合金であり、ニッケル・チタン合金などと呼ばれる場合もある。
ただし、形状記憶合金18は、チタン・ニッケル合金に限定されるものではない。形状記憶合金18として、例えば、Ti-Nb系形状記憶合金、Ti-Al系形状記憶合金、Cu-Al系形状記憶合金、Cu-Zn系形状記憶合金、Fe-Mn-Si系形状記憶合金及びFe-Ni-Co-Al系形状記憶合金が挙げられる。
更に言うと、形状記憶合金18は、超弾性特性又は擬弾性特性を有していればよい。
形状記憶合金18は、除振対象物12の重量によって座屈しており、一端はフレーム20に、他端は除振対象物12の下面に取り付けられている。形状記憶合金18は、除振対象物12の側の端部がフレーム20に対して振動方向に変位することによって、除振対象物12に加わる振動を抑制できる。
ここで、図2に示すように、長さ寸法L[mm]の板状の形状記憶合金18に対して、長手方向の圧縮変位(以後、座屈後静的変位という。)x[mm]を与え、静的復元力F[N]を計測すると、図3に示すような計測結果が得られる。図3において、横軸は無次元変位に100を乗じた値x/L×100[%]であり、縦軸は静的復元力F[N]である。この静的復元力は、座屈前後で復元力の勾配(剛性)が大きく異なる。さらに、座屈後、変形して形状が回復するまでの挙動(以後、静的復元挙動という。)がヒステリシス特性を示すことに加え、座屈後に傾きが負勾配となる領域が存在し、負剛性特性を示す。
なお、形状記憶合金18は、同図3に示すように、環境温度(30℃、40℃、50℃、60℃及び70℃)に応じて異なった復元力特性及び負剛性特性を示す。
従って、除振装置10は、形状記憶合金18の負剛性を前述のコイルばね16が相殺することによって、上下方向(振動方向)の剛性をゼロに近づけ、システムの固有振動数をより低減できる。上下方向(振動方向)の剛性をゼロに近づけるためにも、コイルばね16のばね定数は、形状記憶合金18の負剛性を相殺できる大きさKに設定されていることが好ましい。なお、ここに言う「相殺」とは、厳密な意味での相殺ではない。即ち、「相殺」とは、設計上又は製造上の誤差が許容され、「実質的な相殺」という意味である(以下、同様)。
付言すると、ばね定数を大きさKに設定することに代えて、形状記憶合金の温度を制御することにより剛性をゼロに近づけることも可能である。
次に、除振装置10の除振性能を示す実施例を示し、本発明の第1の実施の形態に係る除振装置10の効果をより具体的に説明する。
発明者らは、除振装置10の除振性能を確認するため、除振対象物12を支持する除振装置10(図1参照)のフレーム20に対し、加振器(不図示)を用いて外乱(周波数2Hz~100Hzの調和外乱)を与え、フレーム20及び除振対象物12の変位又は加速度をそれぞれ計測することによって、伝達率を算出した。
試験条件は以下の通りである。
(1)除振対象物12の質量:2,494g
(2)形状記憶合金18(株式会社吉見製作所製):ニッケル(55.5wt%)及びチタン(45.5wt%)の合金であって、真直状に形状記憶させた板材(寸法110mm×5.5mm×0.5mm)
(3)コイルばね16のばね定数:0.083N/mm
(4)形状記憶合金18の環境温度:70℃
(5)加振器の加振条件と測定条件:2Hz~100Hzの周波数範囲で1Hz刻みに変位または加速度を測定
外乱の大きさは、加振器の性能による都合上、16Hz未満の周波数領域では0.5mmの変位振幅とし、16Hz以上の周波数領域では5m/sの加速度振幅とした。同じ理由で2Hz未満の特性は測定不能であった。
また、加振前の状態(静止した状態)で、除振対象物12の上下方向の静的変位は約11mm、すなわち形状記憶合金18の座屈後静的変位は約11mmであった。
試験の結果得られた伝達率を図4に示す。同図4の横軸は周波数[Hz]であり、縦軸は変位又は加速度の伝達率[dB]である。
同図4から、このシステムの1次固有振動数は約3Hzであることが分かった。また、1次固有振動数よりも大きい周波数領域においては、伝達率は低下しており、除振されていることが分かった。更に、周波数100Hzまで共振等はなく良好に除振されていることが分かった。
ここで、本試験の効果を更に確認するため、以下の第1の比較試験及び第2の比較試験を実施した。
第1の比較試験においては、数値計算により、前述の本試験と同じ静的変位(約11mm)で除振対象物12を支持するコイルばね(ばね定数は2.22N/m)のみを用いて除振し、固有振動数を求めた。
その結果、固有振動数が約4.75Hzとなったことから、本除振装置10により固有振動数がより低減化されていることが明らかとなった。
第2の比較試験においては、本除振装置10からコイルばね16を取り除いて形状記憶合金18のみで本試験の除振対象物12とは異なる除振対象物を支持し、座屈後復元力が正剛性を示す領域にて固有振動数を測定した。なお、座屈後静的変位は約4mmであり、除振対象物の質量は、2,481gであった。
その結果、固有振動数は約4Hzとなったことから、本除振装置10により固有振動数がより低減化される効果が明らかとなった。
以上説明した除振装置10は、フレーム20を介して振動源から振動が与えられると形状記憶合金18が負剛性特性を示す範囲で振動方向に変位し、除振対象物12に振動が伝わることが抑制される。
従って、本実施の形態に係る除振装置10によれば、形状記憶合金18の負剛性特性を利用した簡易な構造で除振対象物12に加わる振動を抑制できる。
次に、除振装置10が備える形状記憶合金18についてのFEM解析の結果を示し、本発明の第1の実施の形態に係る形状記憶合金18について更に説明する。
発明者らは、第2の弾性体として適用可能な負剛性特性を有する形状記憶合金18を確認するため、FEM解析による座屈シミュレーションを行った。
FEM解析では、長さ50mm、厚さ0.42mm及び幅7.2mmの板状の材料特性モデルMを作成した後、モデルMの材料特性として形状記憶合金の機械的特性データを入力し、座屈解析を行った。今回使用した形状記憶合金の材料特性モデルMは、引張試験を実施すると、図5に示すようなヒステリシスを伴った変形-回復挙動を示す。FEM解析では、このヒステリシスの形状を決定する1)マルテンサイト誘起ひずみε、2)ヤング率E及び3)プラトー領域における剛性値Epを変化させ、それぞれの数値が座屈後特性に及ぼす影響について調べた。
座屈後特性の解析の行程は4ステップに分けて行った。
まず初期状態として、図6(A)に示すように、材料下端を固定する。
次のステップ1では、図6(B)に示すように、材料特性モデルMの上端に下方向に0.5mmの変位を与える。ここで、現実では完全な鉛直方向の負荷を与えることはほぼ不可能なため、薄板材料を上下方向に圧縮すると必ず座屈するが、FEM解析では完全な鉛直方向に負荷を加えるため単純な圧縮変形がシミュレートされ、座屈が起こらない。そこで変位を与えることに加え、座屈させるための外乱として、材料特性モデルMの中央部の横方向に10Nの力を加える。
ステップ2では、図6(C)に示すように、外乱のために加えた10Nを取り除く。
ステップ3では、図6(D)に示すように、この材料特性モデルMの10%の長さである5mmの変位を加え座屈させる。
ステップ4では、図6(E)に示すように、その変位を取り除き座屈のシミュレーションを終える。
FEM解析はこのステップ3及びステップ4の最中の材料特性モデルMの上端の変位と下端(固定端)の反力を出力し、変位と力の関係をグラフとして表示をすることで座屈後特性のシミュレーションを行った。なお、ステップ1及びステップ2は外乱が入るため、解析データには反映しなかった。
FEM解析の条件は、表1に示す通りである。
1.マルテンサイト誘起ひずみεを変化させた場合の座屈シミュレーション(FEM解析1)
マルテンサイト誘起ひずみεが異なる5種類の材料特性モデル(図7(A)参照)について、それぞれ座屈シミュレーションを行った。
その結果、図7(B)に示すように、マルテンサイト誘起ひずみεの減少に伴い、座屈中の負剛性の大きさが増加する傾向にあることが分かった。特に、マルテンサイト誘起ひずみεが1.25%と1.5%の場合は負剛性特性を示さず、通常の金属の座屈挙動と同様の特性を示している。これは座屈によって生じる変形においてマルテンサイト変態が全く起こっていないことが原因であると考えられる。
2.ヤング率Eを変化させた場合の座屈シミュレーション(FEM解析2)
ヤング率Eが異なる4種類の材料特性モデル(図8(A)参照)について、それぞれ座屈シミュレーションを行った。
その結果、図8(B)に示すように、ヤング率Eの増加に伴い負剛性領域が増大することが分かった。またヤング率Eが20GPaの場合は、負剛性特性が現れていなかった。これも、座屈変形中のマルテンサイト変態が行われていないことが原因であると考えられる。
3.プラトー領域における剛性値Epを変化させた場合の座屈シミュレーション(FEM解析3)
プラトー領域における剛性値Epが異なる5種類の材料特性モデル(図9(A)参照)について、それぞれ座屈シミュレーションを行った。
その結果、図9(B)に示すように、剛性値Epの減少に伴い座屈中の負剛性の大きさが増加する傾向にあることが分かった。また、今回使用したTi-Ni系形状記憶合金が示す超弾性特性とは異なる、Fe系形状記憶合金が示す擬弾性特性のような挙動(剛性値Epが50GPaの場合の材料特性モデルに近い挙動)においても負剛性特性を発現することが分かった。
4.ヤング率Eとプラトー領域における剛性値Epとの差ΔEを変化させた場合の座屈シミュレーション
発明者らは、前述のFEM解析1~3の結果から、形状記憶合金の座屈中の負剛性特性の発現の条件は、マルテンサイト誘起ひずみεと、ヤング率Eとプラトー領域における剛性値Epとの差ΔE(=E-Ep)の変化であると考えた。
そこで、マルテンサイト誘起ひずみεを0.5%に固定し、ヤング率E及びプラトー領域における剛性値Epはそれぞれ異なるが差ΔEは同一の30GPaとなる3種類の材料特性モデル(図10(A)参照)について、それぞれ座屈シミュレーションを行った。
その結果、図10(B)に示すように、差ΔEを固定すると、負剛性特性の発現応力は変動するものの、変位-力の関係の形状は同一であることがわかった。このことから、形状記憶合金形状記憶合金の座屈中の負剛性の大きさは、マルテンサイト誘起ひずみεの減少及び差ΔE(=E-Ep)の増加により増大することが判明した。
以上説明したFEM解析の結果、超弾性特性を有する形状記憶合金18であれば、Ti-Ni系形状記憶合金以外の形状記憶合金であっても座屈変形中に負剛性特性を示し、第2の弾性体として適用できることが明らかとなった。
また、擬弾性特性を有する形状記憶合金18も座屈変形中に負剛性特性を示し、第2の弾性体として適用できることが明らかとなった。
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る除振装置50について説明する。第1の実施の形態に係る除振装置10と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
本実施の形態に係る除振装置50は、図11に示すように、リニアガイド52、除振マウント54、コイルばね56a、56b及び形状記憶合金58を備えている。
リニアガイド(案内部の一例)52は、フレーム60に固定されている。
除振マウント54は、除振対象物62を下側に固定するための部材である。除振マウント54は、リニアガイド52によって、上下方向に案内される。
コイルばね(第1の弾性体の一例)56a、56bは、それぞれ例えば引張コイルばねであり、除振対象物62に加わる振動を抑制できる。コイルばね56a、56bは間隔を空けて配置され、それぞれ一端はフレーム60に取り付けられ、他端は除振マウント54に取り付けられている。
コイルばね56a、56bの合成ばね定数は、形状記憶合金58の負剛性を相殺できる大きさに設定されている。
形状記憶合金58(第2の弾性体の一例)は、板状の形状記憶合金であり、例えばチタン・ニッケル合金である。
形状記憶合金58は座屈した状態でコイルばね56a、56bの間に配置されており、一端はフレーム60に、他端は除振マウント54に取り付けられている。形状記憶合金58は、除振マウント54の側の端部がフレーム60に対して振動方向に変位することによって除振対象物62に加わる振動を抑制できる。
形状記憶合金58の静的復元挙動については、前述の図3に示した通りである。
以上説明した除振装置50は、フレーム60を介して振動源64から振動が与えられると形状記憶合金58が負剛性特性を示す範囲で振動方向に変位し、除振対象物62に振動が伝わることが抑制される。
すなわち、除振装置50は、形状記憶合金58の負剛性をコイルばね56a、56bが相殺することによって、振動方向の剛性をゼロに近づけ、システムの固有振動数をより低減するように機能する。
従って、本実施の形態に係る除振装置50によれば、形状記憶合金58の負剛性特性を利用した簡易な構造で除振対象物62に加わる振動を抑制できる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
前述の実施の形態において、振動源による振動方向は上下方向であったが、この振動方向は限定されるものではなく、例えば水平方向であってもよい。
また、第2の弾性体は、板状の形状記憶合金に限定されるものではなく、座屈後の静的復元挙動が負剛性特性を示すものであれば、任意の弾性体でよい。
10 除振装置
12 除振対象物
14 リニアガイド
16 コイルばね
18 形状記憶合金
20 フレーム
50 除振装置
52 リニアガイド
54 除振マウント
56a、56b コイルばね
58 形状記憶合金
60 フレーム
62 除振対象物
64 振動源
M 材料特性モデル

Claims (7)

  1. 除振対象物に加わる振動を抑制するための第1の弾性体と、
    座屈後の静的復元挙動が負剛性特性を示し、前記除振対象物に加わる前記振動を抑制するための第2の弾性体(ただし、前記第2の弾性体の長手方向が前記振動の方向に対して直交するように配置されているものを除く。)と、を備え、
    前記第2の弾性体が、単一の座屈モードで変形する除振装置。
  2. 請求項1記載の除振装置において、
    前記第2の弾性体が、超弾性特性を有する形状記憶合金である除振装置。
  3. 請求項1記載の除振装置において、
    前記第2の弾性体が、擬弾性特性を有する形状記憶合金である除振装置。
  4. 請求項1記載の除振装置において、
    前記第2の弾性体が、チタンとニッケルの合金である除振装置。
  5. 請求項2~4のいずれか1記載の除振装置において、
    前記第2の弾性体が、板状の形状記憶合金である除振装置。
  6. 請求項5記載の除振装置において、
    前記第1の弾性体のばね定数が、前記形状記憶合金の負剛性特性を相殺できる大きさに設定されている除振装置。
  7. 請求項6記載の除振装置において、
    前記振動の方向が上下方向であり、
    前記除振対象物を上下方向に案内する案内部を備えた除振装置。
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