JP7348193B2 - 方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光増感剤および当該光増感剤の活性化に有効な波長の光による細胞照射を用いることにより、mRNAを細胞内、好ましくは細胞のサイトゾル内にインビボで導入する方法、ならびに、例えば治療方法において、ポリペプチドを細胞内に発現させるためのこの方法の使用に関するものである。
mRNAは、予防的および治療的ワクチン接種を含む様々な治療目的の薬物クラスとしての可能性を有している。mRNAに基づく治療は、原理上は、極めて多種多様な疾患の治療、例えば、癌やその他の疾患の免疫療法、再生医療(例えば、CVD、神経変性疾患)、癌(免疫療法以外)、急性感染症、およびその他多くの疾患の治療にも使用することができる。しかしながら、これまでは、機能的mRNAを細胞に送達する上での問題が、これらの目的のためのmRNAの使用の普及を著しく妨げていた。
この問題を克服するため、担体が使用されてきた。合成担体の中でも、mRNA分子の送達に最も一般的に使用されているものが、カチオン性脂質である(FelgnerおよびRingold, 1989, Nature 337, 387-388; Maloneら, 1989, Proc Natl Acad Sci U S A 86, 6077-6081; Luら, 1994, Cancer Gene Ther 1, 245-252; Karikoら, 1999, Gene Ther 6, 1092-1100; Heckerら, 2001, Mol Ther 3, 375-384.)。これに対し、DEAE-デキストラン(上述のMaloneら)、ポリ(L-リジン)(FisherおよびWilson 1997, Biochem J 321 ( Pt 1), 49-58)、デンドリマー(Nairら 1998, Nat Biotechnol 16, 364-369)、およびポリエチレンイミン(Bettingerら 2001, Nucleic Acids Res 29, 3882-389)等のポリカチオン類の使用はわずか数例に過ぎない。mRNA送達に最も有効な脂質ビヒクルとして、リポフェクタミンが採用されている。しかしながら、リポフェクタミンのインビボでの使用において中毒反応が観察され、これにより、この薬剤の臨床応用の可能性が制限されることとなった。
しかしながら、必要な箇所へとmRNAを導く安全で制御されたmRNAのインビボ送達方法が、依然として必要とされている。本発明は、担体に頼らずmRNAをインビボ送達する方法であって、担体の代わりに光化学的内在化方法を使用することにより、目的の部位へのmRNAの制御された徐放を可能にする方法を提供するものである。前記方法によれば、mRNA送達のゴールドスタンダードであるリポフェクタミンの使用と比べて、標的細胞へのより優れたmRNAのインビボ送達を行えることがわかっている。これにより、種々の治療用途に適した方法が提供される。
光化学的内在化(PCI)とは、エンドサイトーシス膜に局在する光増感性化合物の使用によって引き起こされる、エンドサイトーシス膜の光誘発性破壊に基づく手法である(Bergら, 1999, Cancer Res 59, 1180-1183)。光増感性化合物は、光が照射されると、膜を破壊する活性酸素種(ROS)を生成して酸化プロセスを開始する。
PCI法によれば、例えば、照射時間または光増感性物質の投与量を減少させること等によって毒性種の過剰な産生を回避するよう適切に手法が調整された場合に、広範囲の細胞破壊または細胞死を生じることなく細胞のサイトゾルに分子を導入する機構が提供される。光化学的内在化(PCI)の基本的な方法が、国際公開第96/07432号パンフレットおよび国際公開第00/54802号パンフレットに記載されており、これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。このような方法では、内在化させる分子(本発明ではmRNA分子)および光増感剤を細胞と接触させる。前記光増感剤および前記内在化させる分子は、前記細胞内の細胞膜含有サブコンパートメントに取り込まれる、すなわち、これらは形質膜陥入により細胞内小胞(例えば、リソソームまたはエンドソーム)に取り込まれる。前記細胞を適切な波長の光に曝露すると、前記光増感剤が活性化されて、前記細胞内小胞の膜を破壊する活性酸素種を直接的または間接的に生成する。これにより、内在化された分子のサイトゾルへの放出が可能となる。このような方法では、大部分の細胞は、その機能性または生存能力に悪影響を受けないことがわかっている。
PCI手法は、種々の分子、例えば、siRNA分子を、インビトロでサイトゾルに送達するために使用されてきた(Boeら, 2007, Oligonucleotides 17, 166-173; Oliveiraら, 2007, Biochim Biophys Acta 1768, 1211-1217)。インビボでは、腫瘍治療におけるPCIを介した療法の効果について、ブレオマイシン(Bergら, 2005, Clin Cancer Res 11, 8476-8485)、タンパク毒素ゲロニン(Selboら, 2001, Int J Cancer 92, 761-766)、および治療用遺伝子をコードするプラスミド(Ndoyeら, 2006 Mol Ther 13, 1156-1162)を用いた例が文書化されている。数種類の腫瘍に対する治療用途のPCIが開発されており(Selboら, 2010, J. Control. Release, 148(1), 2-12;およびHogset A,ら, 2004, Adv. Drug Deliver. Rev., 56(1), 95-115)、そして現在、この目的のために、活性薬剤としてブレオマイシンを用いた臨床開発がなされている(Sultanら, 2016, Lancet Oncol. 17(9):1217-1229)。
PCIは、オリゴヌクレオチドの送達に使用されている(Hogsetら, 2004, Adv Drug Deliv Rev, 56, 95-115参照)。mRNA等のオリゴヌクレオチドを含む目的の分子の、PCI法を用いた内在化が提案されているが(国際公開第96/07432号パンフレット)、PCIを用いたmRNAの内在化には特有の問題が伴い、通常のPCI技術はmRNAの内在化に有効でないことが試験により判明している。mRNA、ならびにsiRNA等の関連分子のPCIによる内在化がこれまでに行われてきたが、担体を用いてであった(国際公開第2008/007073号パンフレットおよびBoeおよびHovig, 2013, Methods Mol. Biol., 969: 89-100)。
本発明に至る研究において、部位特異的タンパク質産生を生じさせる光誘導性mRNA送達のための、特異的かつ新規なプロトコルが開発された。我々は、mRNAトランスフェクションとPCIとを組み合わせることにより、強力な光誘導性タンパク質産生が達成できることを初めて明らかにした。重要な点は、我々が、時間特異的および部位特異的に制御可能なプロトコルを開発したことである。さらに、この方法によれば、トランスフェクション剤の使用、ならびにこれらの薬剤による副作用が回避される。
本発明の方法は、複雑な方法ではなく、かつ、種々のmRNA分子および標的細胞/標的位置に対して使用することができるため、特に有利である。さらに、必要な効果を達成することが所望される時間および位置においてのみ前記分子が放出されるように、前記分子を放出させるための照射タイミングおよび照射位置を制御することができる。このように、種々の成分に対する細胞の曝露が最小化され、望ましくない副作用が最小限に抑えられる。これは、標的化剤の使用(これによりさらに複雑さが増す)なしには種々の成分の放出タイミングや放出位置を制御できない標準的なmRNA送達技術とは対照的である。
本明細書中の実施例に記載のように、非常に低レベルでの光増感剤の使用(標準プロトコルのおよそ25~25,000分の1)によりmRNA送達を達成する特定のプロトコルを開発した。我々の知る限りにおいて、これは、PCI法を用いたインビボにおける(裸の(naked))mRNAの送達が成功した最初の教示である。
よって、第一の態様において、本発明は、対象における細胞のサイトゾル内にmRNA分子を導入するインビボ方法であって、
i)前記細胞を、mRNA分子と、光増感剤とに接触させることと、
ii)前記細胞に前記光増感剤の活性化に有効な波長の光を照射することとを含み、
前記光増感剤は、0.0001~1μgの量で使用される、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリン、スルホン化テトラフェニルポルフィン、またはジスルホン化もしくはテトラスルホン化アルミニウムフタロシアニンである、方法を提供する。活性化が起こるとすぐに、前記光増感剤を含有する前記細胞内の細胞内区画は、これらの区画に含まれるmRNAをサイトゾルに放出し、前記mRNAは前記サイトゾル内において発現され得る。
本明細書中で言及される前記「mRNA」分子とは、リン酸基および窒素塩基(通常は、アデニン、グアニン、シトシン、またはウラシル)と結合した糖リボースをそれぞれ含有するリボヌクレオチドのポリマーである。例えば、修飾骨格、天然に存在しないヌクレオチド、または、シュードウリジンや2-チオウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、N6-メチルアデノシン等の天然に存在する修飾ヌクレオチドを有する修飾分子が、機能性に影響を受けない場合に限り、半減期を増加させるために使用されてもよい。したがって、「mRNA」という用語は、このような修飾分子を含むものであり、言い換えれば、リボソームと相互作用して翻訳が行われ、コードされた配列が発現されるという同じ機能を呈する、mRNAの誘導体または変異体を包含する。好ましい変異体としては、修飾骨格を使用したもの(上記の通り)、または1以上の天然に存在しない塩基もしくは天然に存在する修飾ヌクレオチド(合成中に導入してもよい)を使用するものが挙げられる。
DNAの場合と同様に、RNAは相補的な水素結合を形成することができ、RNAは、二本鎖(dsRNA)、一本鎖(ssRNA)、または一本鎖オーバーハングを有する二本鎖になり得る。本発明で使用されるmRNAは、一本鎖であることが好ましい。一本鎖分子は、例えば、内部塩基対形成により形成されるヘアピン構造等の二本鎖領域を含む三次構造を形成し得る。好ましくは、前記mRNAは、5’キャップおよび3’ポリAテール(例えば、120~150ヌクレオチドの長さ)を有する。隣接する非翻訳領域は、3’末端および/または5’末端に存在してもよい。好ましくは、前記mRNA分子の長さは、50~10,000ヌクレオチド、より好ましくは50~1000または1000~5000ヌクレオチド、例えば、100~500または1500~2500ヌクレオチドである(センス鎖で考えた場合)。
前記mRNAは、担体または他の分子と会合していない、すなわち、その内在化を助けるための他の成分と結合またはコンジュゲートしておらず、また、そのような他の成分に担持されてもいない。このような会合には、結合、立体捕捉、またはその他の方法の如何を問わず、適切な条件下で分子が互いに会合したままとなるように分子同士を結びつけるあらゆる繋がりが含まれる。よって、トランスフェクション剤や担体は使用しない。この意味において、使用するmRNAは裸の状態である、すなわち、その内在化に影響を与える会合分子を含有しない。本明細書中に記載の方法においてmRNAと共に使用される光増感剤は、前記mRNAのための担体またはトランスフェクション剤を構成しない。
好ましくは、前記mRNAはポリペプチドをコードしている、すなわち、翻訳されるとポリペプチドを形成する、十分に連続したコード化コドンを有している。前記ポリペプチドは、翻訳された際にプロセシングおよび/または輸送を可能にするシグナルペプチドを含んでいてもよい。前記ポリペプチドは、単一の機能的部分(functional entity)を含んでいてもよいし、複数の機能的部分を含んでいてもよい。例えば、前記ポリペプチドは、ワクチン接種のために使用され得る1以上のペプチド抗原を含んでいてもよい。前記mRNAは、翻訳の結果が複数のポリペプチドとなるように、複数のポリペプチドをコードしてもよい。前記mRNA分子中には、非コード領域、例えば、終止コドンが存在してもよい。本明細書中で言及する「ポリペプチド」(ペプチドも包含する)は、少なくとも5つの連続したアミノ酸を含む。好ましい態様において、前記ポリペプチドは、少なくとも10、20、または30アミノ酸長であって、かつ3000、2000、1000、700、500、200、または100アミノ酸長未満であり、例えば、10~100、200、500、700、1000、2000、または3000アミノ酸長である。
好ましい態様において、前記ポリペプチドは前記細胞内で発現される。前記mRNAは、一旦前記細胞内に内在化されると、リボソームと結合し、前記細胞の遺伝子発現機構を用いてアミノ酸配列に翻訳される。前記ポリペプチドは、治療分子であることが好ましく、すなわち、例えば、ワクチンポリペプチド、抗体、酵素、サイトカイン、増殖因子、またはペプチドホルモン等、治療特性を有するポリペプチドであることが好ましい。
前記方法は、1つの細胞に複数種類のmRNA分子を導入するために使用し得る。換言すれば、異なる配列のmRNA分子を、同時に細胞に導入することができる。これらのmRNA分子が発現させる分子は、異なる作用を示してもよいし、相互作用してもよい。
mRNAの適切な調製方法は、当該技術分野において公知であり、化学合成、インビトロ転写、mRNA発現ベクター、およびPCR発現カセットが挙げられる。このような技術は当該技術分野で周知である。例えば、Ponら, 2005, Nucleosides Nucleotides Nucleic Acid. 24(5-7), 777-81, Duら, 2006, Biochem. Biophys. Res. Commun. 345(1), 99-105およびKatohら, 2003, Nucleic Acids Res Suppl. (3), 249-50, Sahinら, 2014, Nat. Rev. Drug Discov., 13(10), 759-780を参照されたい。本発明で使用するmRNAは、細胞または組織から単離することもできる。これは、特に、個別化治療を可能にするものであり、例えば、対象における腫瘍から単離されたmRNAを使用することにより、癌免疫療法において、患者特異的腫瘍抗原を発現させることができる。
本発明の方法によれば、mRNA分子のサイトゾルへの転位が行える。しかしながら、細胞と接触する全ての分子の取り込みは実現不可能であることが理解されるであろう。しかしながら、PCIを使用しないバックグラウンドレベルと比較して、有意かつ向上した取り込みが実現可能である。
本発明の方法は、これらの細胞の発現産物においてmRNA分子の効果が明らかとなるくらいに十分なレベルで、mRNA分子の取り込みを可能にすることが好ましい。前記細胞と接触させるmRNAの適切な濃度を、この目的を達成するために調節してもよく、例えば、24時間、48時間、72時間、または96時間(例えば、24~48時間)、細胞と共にインキュベートした後に、例えば、コードされた配列の発現が所望レベルとなるように調節してもよい。前記光増感剤の種類および/または濃度、ならびに照射時間もまた、必要な発現を達成するように調節可能である。
本明細書中で使用する「および/または」は、挙げられている選択肢の一方または両方(またはそれ以上)を指すものであり、例えば、A、B、および/またはCには、i)A、ii)B、iii)C、iv)AおよびB、v)AおよびC、vi)BおよびC、ならびにvii)A、B、およびCという選択肢が含まれる。
発現レベルは、ウエスタンブロット法等の当該技術分野で公知の標準的な技術を用いて細胞内のタンパク質レベルを求めることで測定できる。
発現は、PCIを使用しなかった場合に達成された発現を基準にして評価してもよい。あるmRNA(および/または光増感性物質)濃度で観察されるタンパク質発現レベルを、PCIを行った場合と行わなかった場合とで比較することができる。例えば、前記治療方法を含む本発明の方法は、PCI技術の照射工程を行わずに当該方法を実施した場合に達成されるポリペプチドの発現と比較して、ポリペプチドの発現を、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以上、例えば、少なくとも100%、200%、300%、400%、または500%増強できることが好ましい。特に好ましい態様において、本発明の方法は、PCIを行わずにリポフェクタミンを用いて送達した場合と比較して、発現を少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以上、例えば、少なくとも100%、200%、300%、400%、または500%向上させる。便利なことに、前記コードされたポリペプチドは、前記対象中に1~100μgの量が産生されるように発現される。このような量であれば、ワクチン接種および免疫療法に十分である。前記ポリペプチドを直接的な治療目的、例えば、タンパク質療法に使用する場合には、より多くの量、例えば、1~100mgを生成させてもよい。
「細胞(単数)」または「細胞(複数)」は、体内に存在する。「細胞(単数)」または「細胞(複数)」という用語は、本明細書中では交換可能に用いられている。このように、前記細胞は、対象または生物の体内に提供されるものである、すなわち、インビボ細胞である。「細胞」という用語は、あらゆる真核細胞(昆虫細胞および真菌細胞を含む)を含む。よって、代表的な「細胞」は、あらゆる種類の哺乳動物細胞および非哺乳動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、ならびに原生動物を含む。しかしながら、前記細胞は、哺乳動物由来、例えば、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット由来の細胞であることが好ましく、ヒト由来の細胞であることが最も好ましい。あるいは、前記細胞は、魚の細胞であってもよい。
インビボで使用される場合、「対象」は、哺乳類、爬虫類、鳥、昆虫、または魚を指す。前記対象は、哺乳類、特に霊長類(好ましくはヒト)、飼育動物または伴侶動物、家畜または実験動物であることが好ましい。別の好ましい態様では、前記対象は魚である。よって、好ましい動物として、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ネコ、イヌ、サル、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ウマ、および魚が挙げられる。
本明細書中で使用する「接触」とは、細胞と、光増感剤および/またはmRNAとを、前記細胞内への内在化に適した条件下、例えば、好ましくは、適切な栄養培地中で37℃にて、例えば、25℃~39℃の温度範囲で、互いに物理的に接触させることを指す。好ましい方法では、前記接触は、簡便にインビボで行われる。本発明を実施するための好ましい方法を、前記接触工程のタイミングや選択肢も含めて以下に説明する。
光増感剤とは、適切な波長および強度での照射によって活性化されて活性種を生成する薬剤である。簡便な実施のため、このような薬剤として、細胞内区画、特に、エンドソームまたはリソソームに局在するものを使用してもよい。種々のこのような光増感剤が当該技術分野において公知であり、国際公開第96/07432号パンフレットをはじめとする文献に記載されている。前記文献は、引用により本明細書に組み込まれる。本発明によれば、使用される光増感剤は、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリン、スルホン化テトラフェニルポルフィン、またはジスルホン化もしくはテトラスルホン化アルミニウムフタロシアニンである。
好ましい態様では、前記メソ-テトラフェニルクロリンは、TPCS2a(テトラフェニルクロリンジスルホン酸塩)またはTPBS2a(テトラフェニルバクテリオクロリンジスルホン酸塩)であり、前記スルホン化テトラフェニルポルフィンはTPPSn、例えば、TPPS4またはTPPS2a(テトラフェニルポルフィンスルホン酸塩またはジスルホン酸塩)であり、前記ジスルホン化もしくはテトラスルホン化アルミニウムフタロシアニンは、AlPcS2a(アルミニウムフタロシアニンジスルホン酸塩)である。薬学的に許容可能なこれらの塩を使用してもよい。
TPCS2aおよびTPPS2aが特に好ましく、これらの構造を以下に示している。
前記2つの分子の構造上の相違を、矢印で示している。
任意選択により、前記光増感剤を、前記光増感剤の取り込みを促進または増加させるように作用できる1つ以上の担体分子または1つ以上の標的化分子に、付加、会合、またはコンジュゲートさせてもよい。よって、前記光増感剤を、担体に連結させてもよい。例えば、前記光増感剤は、コンジュゲートの形態、例えば、キトサンベースのコンジュゲートの形態、例えば、国際公開第2013/189663号パンフレットに開示されているコンジュゲートの形態で提供してもよく、国際公開第2013/189663号パンフレットは、引用により本明細書に組み込まれている。
位置特異性は、局所送達および目的の部位の照射による活性化によって達成し得るが、所望される場合には、前記光増感剤を、前記光増感剤分子の所望の細胞または組織への特異的細胞内取り込みを促進する特定の標的化分子と会合または結合させ、これにより、前記光増感剤を特定の細胞(例えば、癌細胞)または組織に標的化してもよい。
例えば、Curiel, 1999, Ann. New York Acad. Sci. 886, 158-171; Bilbaoら, 1998, in Gene Therapy of Cancer (Waldenら, eds., Plenum Press, New York); PengおよびRussell, 1999, Curr. Opin. Biotechnol. 10, 454-457; Wickham, 2000, Gene Ther. 7, 110-114に記載のような、多数の異なる標的化分子を採用することができる。
前記光増感剤を活性化させるための前記細胞の「照射」とは、以下に記載するように、直接的または間接的に光をあてることを指す。よって、細胞は、例えば、光源により直接的に照射されてもよいし、あるいは、例えば、インビボにおいて、細胞が皮膚の表面下にある場合、または、細胞が細胞層の形態にあり、全ての細胞が直接的に、すなわち他の細胞による遮蔽を免れて、照射されるわけではない場合には、間接的に光源に照射されてもよい。好ましい照射方法は、以下に記載の通りである。
前記方法は、これから記載するように簡便に実施し得る。前記光増感剤のために担体を使用する場合、適切な条件下および濃度で前記2つの成分を単に混合してこれらの成分を相互作用させることによって、前記担体を前記光増感剤に会合、結合、またはコンジュゲートさせることができる。この接触工程を行う条件、ならびに前記担体および前記光増感剤のそれぞれの適切な濃度は、当業者が通常の試験を行うことによって容易に決定することができる。
本発明の方法では、前記mRNA分子および前記光増感剤(任意に担体および/または標的化分子と共に)は、同時に、別々に、または逐次的に前記細胞に適用され、これにより、前記光増感剤および前記mRNA分子が、形質膜陥入、あるいは他の方法により、エンドソーム、リソソーム、または他の細胞内の膜制限区画に転位される。
前記mRNA分子および前記光増感性化合物は、一緒に細胞に適用されてもよいし、逐次的に細胞に適用されてもよい。前記mRNAを、前記光増感剤と同時に前記細胞に投与すると簡便である(ただし、これらは別々に、例えば、逐次的に投与してもよい)。前記mRNA分子および前記光増感剤は、前記細胞によって、同一の細胞内区画に取り込まれてもよいし、異なる細胞内区画に取り込まれてもよい(例えば、前記mRNA分子および前記光増感剤は共転位されてもよい)。
次に、前記細胞内区画の膜の破壊と、これに続く前記mRNA(前記光増感剤と同じ区画に位置し得る)の前記サイトゾルへの放出とを順に引き起こす前記光増感剤を活性化するのに適した波長の光に前記細胞を曝露することにより、前記mRNAが放出される。このように、これらの方法では、前記細胞を光に曝露する最終工程で、前記mRNAが前記光増感剤と同じ細胞内区画から放出され、サイトゾル内に存在するようになる。
国際公開第02/44396号パンフレット(引用により本明細書に組み込まれる)には、例えば、光増感剤の細胞との接触および照射による活性化を、内在化させる分子(この場合はmRNA)を細胞と接触させる前に行うように工程の順序を変更できる方法が記載されている。このように適合された方法は、照射時においては、前記内在化させる分子が前記光増感剤と同じ細胞のサブコンパートメントに存在している必要がないという事実を利用したものである。
よって、好ましい実施形態では、前記光増感剤および前記mRNA分子は、前記細胞に一緒に適用されるか、あるいは、前記光増感剤は、前記mRNA分子とは別に適用される。結果的に、前記光増感剤および前記mRNA分子が前記細胞により同じ細胞内区画に取り込まれてもよく、その後、前記照射が行われてもよい。これは、「ライトアフター」法と呼ばれている。
別の実施形態では、前記方法は、前記細胞と光増感剤とを接触させ、前記細胞と導入されるmRNA分子とを接触させ、前記細胞に前記光増感剤の活性化に有効な波長の光を照射することで実施でき、前記照射は、前記光増感剤を含む細胞内区画への前記mRNA分子の細胞内取り込み前、好ましくは、任意の細胞内区画への前記mRNA分子の細胞内取り込み前に実施される。
前記照射は、前記mRNA分子および前記光増感剤が光曝露時に同一の細胞内区画内に局在するか否かにかかわらず、前記mRNA分子の細胞内区画への細胞内取り込み後に行うことができる。しかしながら、好ましい一実施形態では、照射は、内在化させる分子(mRNA分子)の細胞内取り込みの前に行われる。これは、いわゆる「ライトビフォー」法である。
本明細書中で使用する「内在化」は、分子のサイトゾル送達を指す。よって、この場合、「内在化」は、細胞内/膜結合区画から細胞のサイトゾルへの分子の放出工程を含む。
本明細書中で使用する「細胞内取り込み」または「転位」とは、内在化の一工程であって、細胞膜の外側の分子が細胞内に取り込まれ、これにより外側に位置する前記細胞膜に対して内側に見出されること、例えば、エンドサイトーシスまたは他の適切な取り込み機構によって、例えば、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、エンドソーム等の細胞内膜制限区画の内部に位置するか、または会合するように細胞に取り込まれることを指す。
前記細胞を前記光増感剤および前記mRNA分子と接触させる工程は、任意の簡便な方法または所望の方法で実施されてもよい。上述のように、これらの薬剤は、一緒に細胞に適用されてもよいし、別々に細胞に適用されてもよいし、同時に細胞に適用されてもよいし、逐次的に細胞に適用されてもよい。
前記光増感剤は、前記細胞と、適切な濃度および適切な時間接触させられるが、このような濃度および時間は、当業者が通常の技術を用いて容易に決定することができ、かつ、使用する特定の光増感剤、投与方法、標的細胞の種類および位置、治療の経過、患者/対象の年齢および体重、医療適用、治療する身体または身体領域等の要素に左右され、また、自由意思による選択に応じて変更または調節してもよい。前記光増感剤の濃度は、ひとたび前記光増感剤の前記細胞内への取り込み、例えば、その細胞内区画の1つ以上への取り込みまたは会合が起こり、照射によって活性化されると、1つ以上の細胞構造が破壊される、例えば、1つ以上の細胞内区画が溶解または破壊されるようなものでなければならない。
前記光増感剤の使用量は、0.0001μg~1μg(または0.5μg)、好ましくは0.001μg(または0.0001μg)~0.1μgである。他の好ましい範囲としては、0.0001μg~0.01μgが挙げられる。これは、PCIに通常用いられる量、25μg等よりもかなり少ない。図3から、1μgを超える量の使用はmRNA送達に悪影響を及ぼし、実際に、それらはコントロールと比べてマイナス効果を有することがわかる。投与量は、投与方法や光照射量に応じて選択し得る。例えば、皮内投与では、0.0001μg~0.05μgの投与量を選択してもよい(例えば、0.001μg~0.01μg)。腫瘍内送達には、上記と同じか、もしくはより高い投与量を用いてもよく、例えば、0.001μg~1.0μg(例えば、0.01μg~0.2μg)の投与量を選択してもよい。上記の投与量は、小さな局所領域(1立方センチ未満)への局所送達に使用し得る。より大きな領域を処理する場合には、前記投与量は、それに応じて調整すればよい。
前記光増感剤は、0.005μg/ml~200μg/ml、好ましくは0.05μg/ml~20μg/mlの濃度の溶液として提供すれば便利である。この濃度は局所送達に適している。
同様の考察が前記mRNAにもあてはまる。前記mRNAは、好ましくは0.1μg~100μg、例えば、1μg~10μgの量で使用される。投与量は、上述の通り、投与方法に応じて選択し得る。上記の投与量は、小さな局所領域(1立方センチ未満)への局所送達に使用し得る。より大きな領域を処理する場合には、前記投与量は、それに応じて調整すればよい。前記RNAは、5μg/ml~5000μg/ml、好ましくは50μg/ml~500μg/mlの濃度の溶液として提供すれば便利である。この濃度は局所送達に適している。
適切な濃度は、検討対象のmRNA分子および光増感剤、検討対象の細胞、ならびに前記細胞内で達成しようとする最終濃度も考慮して決定すべきである。接触時間を長くすると、通常、検討対象の分子の取り込みが増加する。しかしながら、インキュベーション時間を短縮する、例えば、30分間~1時間とすることによっても、分子の取り込みの特異性を向上させることができる。よって、いずれの方法についても、接触時間を選択する際には、PCI処理の特異性を十分に維持しつつ、分子の十分な取り込みを達成するという、適切なバランスをとらなければならない。
前記細胞を前記光増感剤と共にインキュベートする時間(すなわち、「接触」時間)は、数分間から数時間の範囲内、例えば、30分間~4時間の範囲内、好ましくは45分間から90分間の範囲内で変化させることができる。あるいは、2時間まで、5時間まで、10時間まで、12時間まで、18時間まで、または24時間まで等、より長いインキュベーションを用いてもよい。インキュベーション時間は、前記光増感剤が適切な細胞によって、例えば、前記細胞の細胞内区画に取り込まれるような時間に設定すべきである。
前記mRNA分子は、適切な濃度で、かつ適切な時間にわたって、細胞と接触させる。適切な濃度は、上述の通りである。接触時間は、前記光増感剤に関して上述した通りである。
上述のように、接触は、前記光増感剤を添加し、照射を行なった数時間後に開始してもよいことが判明している。しかしながら、照射に先立って、前記mRNAおよび前記光増感剤を同時に前記細胞と上記の接触時間接触させることが便利である。
前記mRNA分子および前記光増感剤をインビボで前記標的細胞と接触させる適切なインキュベーション時間(または接触時間)の達成は、投与方法ならびに前記mRNA分子および前記光増感剤の種類等の要素に左右される。例えば、前記mRNA分子を治療対象の腫瘍、組織、または臓器に注入する場合、注入点の近くの細胞は、前記注入点からより離れた位置にある、より低い濃度のmRNA分子とより遅い時点で接触すると思われる細胞よりも、より迅速にmRNA分子と接触してmRNA分子を取り込む傾向がある。
加えて、対象の細胞からある程度離れたところで投与されたmRNA分子は、標的細胞に到達するまでにある程度の時間を要することがあり、よって、十分量または最適量のmRNA分子を標的細胞または標的組織に蓄積させるためには、投与後より長い時間、例えば、数時間または数日を要する場合がある。もちろん、前記光増感剤の細胞への取り込みに要する投与時間についても、同様の考察が当てはまる。よって、インビボで個々の細胞に要する投与時間は、これらのパラメータおよび他のパラメータに応じて変動しやすい。
それでもなお、インビボでの状況は前記方法をインビトロで使用する場合と比べて複雑ではあるものの、前記分子が前記標的細胞と接触する時点は、次の通りでなくてはならないというのが基本概念である:照射を行う前に、前記標的細胞による適切な量の前記光増感剤の取り込みが完了しており、かつ、(i)照射前または照射中に、前記mRNA分子の同一または異なる細胞内区画への取り込みが完了しているか、または前記標的細胞と十分接触させた後に取り込まれる予定である、あるいは(ii)照射後に、前記mRNA分子を、前記細胞への取り込みを可能にするのに十分な時間、前記細胞と接触させる。前記光増感剤の活性化の影響を受ける細胞内区画(例えば、当該薬剤が存在する区画)に前記mRNA分子が取り込まれるのであれば、前記mRNA分子の取り込みは、照射の前または後とすることができる。簡便な実施のため、インビボ適用のための局所投与を企図しており、よって、先に示した接触時間が適切である。疑義を避けるために記載すると、接触時間とは、前記薬剤が標的細胞と直接接触している時間を指す。前記薬剤が前記標的細胞に到達するまでの時間があるため、投与時を、接触時よりも前としてもよい。局所投与を使用する場合、投与の直後または少し後に直接接触が開始する。
前記細胞または前記対象の照明は、本明細書中で定義する方法に使用する種々の成分の投与のおよそ30分間~48時間後に行ってもよい。インビボ方法のために局所投与を使用する場合、照明は、例えば、投与の30分間~4時間後(接触がすぐに始まるため)に行ってもよく、一方、局所投与を使用しないインビボ方法では、前記対象内の前記標的細胞との接触が即座に起こらない(投与経路による)場合、投与後により長い時間、例えば、投与後に30分間~24(または48)時間を要する場合がある。好ましい実施形態では、接触時間と投与から照射までの時間は同じである、すなわち、投与直後に接触が開始する。
前記光増感剤を活性化するための光照射工程は、当該技術分野で周知の技術および手順に従って行えばよい。前記照明の照射量、波長、および持続時間は、前記光増感剤の活性化、すなわち、反応種の生成に十分なものでなければならない。好適な光源は、当該技術分野で周知である。
使用する光の波長は、使用する光増感剤に応じて選択される。前記光増感剤の活性化に有効な波長の光は、前記光増感剤がその光に曝されると活性酸素種の産生を誘発することができる。好適な人工光源は当該技術分野で周知であり、例えば、青色(400~475nm)または赤色(620~750nm)の波長の光を使用するものである。TPCS2aには、例えば、400~500nm、より好ましくは400~450nm、例えば、400~435nmもしくは420~435nm、さらに好ましくはおよそ435nm、または435nmの波長を使用することができる。あるいは、例えば、腫瘍組織に対しては、光のより深い浸透を確保するため、赤色光を使用してもよい。この場合、620~750nm、例えば640~660nmの波長を使用することができる。適切な場合には、光増感性物質、例えば、ポルフィリンまたはクロリンを、緑色光によって活性化してもよく、例えば、光増感性物質であるKillerRed(Evrogen社、モスクワ、ロシア)を緑色光によって活性化してもよい。
好適な光源は当該技術分野において周知であり、例えば、PCI Biotech AS社のLumiSource(登録商標)ランプが挙げられる。あるいは、出力電力を60mWまで調整可能で、400~435nmの発光スペクトルを有するLEDベースの照明装置を使用してもよい。赤色光に関しては、好適な照明源はPCI Biotech AS社の652nmレーザシステムSN576003ダイオードレーザであるが、任意の好適な赤色光源を使用することができる。
適切な光照射量は、当業者であれば選択可能であり、ここでもまた、前記光増感剤、および前記標的細胞または標的組織における前記光増感剤の蓄積量によって左右される。例えば、光増感性物質であるフォトフリンおよびプロトポルフィリン前駆体である5-アミノレブリン酸を用いて行う癌の光線力学療法で使用される典型的な光照射量は、過温症を回避するため、200mW/cm2未満のフルエンス範囲で50~150J/cm2の範囲である。可視スペクトルの赤色領域における吸光係数がより高い光増感剤を使用する場合は、より低い光照射量が通常使用される。しかしながら、光増感性物質の蓄積量がより少ない非癌性組織の治療用途では、癌治療目的の場合と比べて、必要とされる光の総量が実質的に多くなる場合がある。さらに、細胞生存率を維持すべきであれば、過剰レベルの毒性種の生成は回避すべきであり、これに応じて関連するパラメータを調整してもよい。
適切な光照射量は、当業者であれば選択可能であり、ここでもまた、使用する光増感剤、および前記標的細胞または標的組織における前記光増感剤の蓄積量によって左右される。可視スペクトルの吸光係数がより高い(例えば、赤色領域における吸光係数、あるいは、青色光を用いる場合は青色領域における吸光係数;使用する光増感性物質による)光増感剤を用いる場合は、より低い光照射量が通常使用される。例えば、出力電力を60mWまで調整可能で、400~435nmまた420~435nmの発光スペクトルを有するLEDベースの照明装置を採用する場合、0.05~20mW/cm2のフルエンス範囲、例えば、2.0mW/cm2のフルエンスにおいて、0.24~7.2J/cm2の範囲の光照射量を使用し得る。あるいは、例えば、LumiSource(登録商標)ランプを採用する場合、0.1~20mW/cm2のフルエンス範囲(例えば、Lumisource(登録商標)提供の13mW/cm2)において、0.1~6J/cm2の範囲の光照射量が適切である。赤色光については、0.1~5mW/cm2のフルエンス範囲、例えば、0.81mW/cm2のフルエンスにおいて、0.03~8J/cm2の光照射量、例えば、0.03~4J/cm2の光照射量、例えば、0.3J/cm2の光照射量を使用し得る。
光源および照射時間は、細胞に対し、13mW/cm2のフルエンス率で、0.01~50J/cm2の範囲の光照射量(0.1~10J/cm2等、例えば、0.4~5J/cm2)で照射が行われるように選択すれば簡便である。
本発明の方法において、前記細胞を光に曝す時間は、変動してもよい。前記mRNA分子のサイトゾルへの内在化の効率は、光への曝露を最大限(それを超えると細胞の損傷、ひいては細胞死が増加する)まで増加させるにしたがって増加する。
照射工程時間の好ましい長さは、標的、光増感剤、標的細胞また標的組織における光増感剤の蓄積量、および光増感剤の吸収スペクトルと光源の発光スペクトル間の重複等の要素によって左右される。一般に、照射工程時間の長さは、数分間~数時間程度であり、例えば、好ましくは最大60分間であり、例えば、15秒間~60分間、好ましくは0.5~12分間、好ましくは4~6分間である。
本発明の方法は、光化学処理であることによって、すなわち、前記光増感剤の活性化に伴う毒性種の生成によって、ある程度の細胞致死を必然的に伴う場合がある。意図した用途によっては、この細胞死は重要でない場合があり、実際、用途によっては(例えば、癌治療)有利な場合もある。しかしながら、前記mRNAの翻訳およびコードされたポリペプチドの発現を可能にするために、細胞死は回避することが好ましい。本発明の方法は、前記光増感剤の濃度との相関から光照射量を選択することにより、生存細胞の分数(fraction)すなわち割合を調節するように変更してもよい。ここでも、このような技術は当該技術分野で公知である。
生存細胞が望ましい用途においては、実質的に全ての細胞、またはその大多数(例えば、前記細胞の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、または90%)が死滅しないようにする。PCI処理後の細胞生存率は、MTS試験等、当該技術分野で公知の標準的な技術によって測定することができる。
光増感性物質の活性化によって誘発される細胞死の量にかかわらず、mRNA分子が細胞内で効果を発揮するためには、PCI効果が発現される個々の細胞のうちのいくつかが、光化学処理のみによって死滅しないように光照射量を調節することが重要である(ただし、これらの細胞は、前記細胞内に導入された分子が細胞毒性効果を有する場合には、これら分子によって後から死滅させられる場合がある)。
細胞毒性効果は、例えば、本発明の方法によって腫瘍細胞中に内在化され、細胞傷害性分子を発現するmRNA分子を使用することによって達成し得る。
本発明の方法は、例えば、タンパク質療法、免疫療法、および遺伝子療法において、特定の遺伝子産物の発現をはじめとする種々の目的のためにインビボで使用される。
よって、本発明は、本明細書中で先に定義した方法でmRNA分子を細胞に導入することによって対象の細胞にポリペプチドを発現させるインビボ方法であって、前記mRNA分子が前記ポリペプチドをコードする方法を提供する。
これらの方法は、細胞の発現プロファイルを変化させるため、もしくは特定の遺伝子の発現の影響を決定するため、および/または治療目的のために使用し得る。
本発明の方法はまた、ポリペプチドの発現によって、例えば、直接的または間接的に作用する治療分子を提供する1以上の遺伝子の発現によって恩恵を受ける、疾患、障害、または感染の治療に使用し得る。かかる分子は、直接作用して治療結果をもたらしてもよいし、あるいは、例えば、免疫応答を生じさせるか、または遺伝子発現の変化を助け、これにより対象に遺伝子療法を提供することで、間接的に作用してもよい。これに関しては、より詳細に以下に説明する。このような治療分子としては、疾患、感染、または障害を治療するために適切な部位に標的化し得る治療用抗体(またはその抗原結合フラグメント)が挙げられる。前記治療分子は、酵素または代謝に必要な他の機能性分子、例えば、増殖因子、サイトカイン、またはペプチドホルモンであってもよい。あるいは、阻害剤または細胞死誘発分子、例えば、細胞傷害性分子を使用してもよい。便利なことに、発現されたポリペプチドは、例えば、予防的または治療的ワクチン接種において、免疫応答を引き起こす抗原分子を提供し得る。前記免疫応答は、病原体感染、例えば、細菌感染またはウイルス感染に対して、あるいは体内の異常細胞、例えば、癌細胞に対して生じ得る。よって、前記ポリペプチドは、癌ワクチン、細菌抗原、またはウイルス抗原等の抗原性分子であってもよい。本発明の好ましい用途について、より詳細に以下に説明する。
本発明は、前記治療用途に適した組成物を提供する。よって、本発明は、mRNA分子および光増感剤を含む医薬組成物であって、前記光増感剤が、0.0001~1μgの量で提供される、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリン、スルホン化テトラフェニルポルフィン、またはジスルホン化もしくはテトラスルホン化アルミニウムフタロシアニンである医薬組成物を提供する。さらに、治療に使用するための前記組成物も提供される。前記光増感剤および/または前記mRNAは、本明細書中で先に定義した通りであることが好ましい。医薬組成物は、前記有効成分に加え、1以上の薬学的に許容可能な希釈剤、担体、または賦形剤を含む。
あるいは、前記mRNAおよび前記光増感剤は、これらの投与または適用を異なる機構またはタイミングで行えるよう、別個の溶液または組成物に含有させてもよい。本明細書中で使用する「同時投与」および「同時適用」という用語は、同時に使用するという意味ではなく(タイミングに関しても、同じ組成物中という意味合いでも)、これらの両成分を同一の方法に使用することを意味するものである。
別の態様として、本発明は、本明細書中に記載のmRNA分子および光増感剤を含むキットを提供する。前記キット(または製品)は、医学的処置において、同時に、別々に、または逐次的に使用するためのものであることが好ましい。
本発明はさらに、mRNA分子がコードするポリペプチドを発現させることによって行う対象における疾患、障害、または感染の治療または予防に使用するためのmRNA分子および光増感剤であって、前記光増感剤が、0.0001~1μgの量で使用される、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリン、スルホン化テトラフェニルポルフィン、またはジスルホン化もしくはテトラスルホン化アルミニウムフタロシアニンであるmRNA分子および光増感剤を提供する。前記光増感剤および/または前記mRNAは、本明細書中で先に定義した通りであることが好ましい。
意図した治療または予防は、本明細書中で先に記載した方法を用いて行うことが好ましい。
本発明の別の記載では、本発明は、mRNA分子がコードするポリペプチドを発現させることによって行う対象における疾患、障害、または感染の治療または予防のための医薬品の調製におけるmRNA分子および光増感剤の使用であって、前記光増感剤が、0.0001~1μgの量で使用される、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリン、スルホン化テトラフェニルポルフィン、またはジスルホン化もしくはテトラスルホン化アルミニウムフタロシアニンである使用を提供する。前記光増感剤および/または前記mRNAは、本明細書中で定義した通りであることが好ましい。前記細胞は、本明細書中に記載の方法に供することが好ましい。
任意選択で、前記医薬品は、前記mRNA分子および前記光増感剤の一方のみを含有してもよく、前記医薬品は、前記医薬品中に存在しない前記mRNA分子または前記光増感剤を、前記疾患、障害、または感染を治療または予防する際、前記患者(または対象)に投与する方法に使用し得る。
本発明のさらに別の説明において、本発明は、対象における疾患、障害、または感染を治療または予防する方法であって、本明細書中に定義する方法により、前記対象の1つ以上の細胞にインビボでmRNA分子を導入することを含む方法を提供する。
本明細書中で定義する「治療」とは、治療前の症状と比較して、治療中の疾患、障害、または感染の1つ以上の症状を軽減、緩和、または除去することをいう。「予防」(または予防する(preventing)、もしくは予防的(prophylaxis))とは、疾患、障害、または感染の症状の発症を遅らせる、または防止することをいう。予防は絶対的なものであってもよいし、あるいは、一部の個体や細胞にのみ、または限られた期間のみ有効なものであってもよい。
治療または予防の対象の疾患、障害、または感染は、1以上のポリペプチドの発現の恩恵を受けるいかなる状態であってもよい。例えば、内在性ポリペプチドが必要なレベルで発現していないか、欠乏している、つまり、より高いレベルとすることが治療に有効となる(例えば、代謝プロセスの修正またはワクチン接種のため)場合、すなわち、例えば、ワクチン接種のためや、細胞傷害性分子のように細胞死をもたらすためなど、治療目的で外因性ポリペプチドを使用することが有効である場合には、そのような状態において、前記ポリペプチドは低発現であっても、あるいは発現していなくともよい。別の態様においては、以下に記載するように、前記治療は遺伝子療法であってもよい。いくつかの例において、前記遺伝子療法は、前記対象における欠陥または欠失した同等の遺伝子を置換する遺伝子を提供し得る。発現されたポリペプチドは、治療的な方法で直接作用してもよいし(例えば、細胞傷害性分子)、あるいは、治療的応答、例えば、治療的免疫応答を惹起してもよい。治療対象として特に好ましい疾患、障害、または感染としては、癌、循環器系疾患、自己免疫性疾患、嚢胞性線維症、ハンチントン病、アルツハイマー病、およびパーキンソン病等の神経変性疾患、インフルエンザ、肝炎(例えば、B型およびC型)、HIV、およびヘルペス等のウイルス感染症、結核、ハンセン病、クラミジア、リステリア、レジオネラ、およびコレラ等の、細胞内細菌または細胞外細菌による感染症、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌(Streptococcus spp.)、髄膜炎菌、および化膿性連鎖球菌による感染症、例えば、マラリアおよびリーシュマニア症における、寄生虫による感染症、ならびに本明細書中に記載する他の疾患、障害、または感染が挙げられる。
インビボでの使用は、タンパク質療法、免疫療法、および遺伝子療法に分類される。
タンパク質療法では、前記mRNAは、例えば、遺伝性突然変異または発現低下により患者において欠失しているタンパク質、または治療効果を有すると考えられるタンパク質を産生するために使用される。一代替例として、前記タンパク質を、例えば、酵素、ペプチドホルモン、サイトカイン、増殖因子、血液凝固因子(出血性疾患において)、または他の重要なタンパク質とすることができる。この場合、前記欠失タンパク質をコードするmRNAは、体内(例えば、皮膚、筋肉、肝臓等)における好適な細胞に送達され、その結果、前記細胞が前記欠失タンパク質を産生するが、前記欠失タンパク質は、当該産生細胞の内部に作用する(例えば、前記mRNAが細胞内酵素をコードしている場合)か、局所に作用する(例えば、特定の組織で増殖因子を産生する)か、あるいは全身に作用する(例えば、欠失血液凝固因子やペプチドホルモンを産生する)。
第2の代替例では、前記タンパク質は、治療効果を有するタンパク質としてもよく、ただし前記タンパク質は、必ずしも天然に存在するものでなくともよい。例えば、前記mRNAは、感染因子に対する1以上の抗体をコードしてもよい。この場合、前記mRNAが体内(前記抗体タンパク質を産生し、それを血流に分泌することが可能な任意の組織)に送達されると、体は前記感染因子に対する抗体を迅速に(4~6時間)合成し、感染症の発症を速やかに停止させる。このような療法は、特定の感染因子に非常に特異的であり、例えば抗生物質耐性等の問題の影響は受けないであろう。この方法は、病原体、例えば、ウイルス、細菌(特に細胞外細菌だが、細胞内細菌も含む)、および寄生虫に起因する急性感染症を治療するために(体の免疫系が治療を引き継ぐまで)使用することが好ましい。本方法はまた、インフルエンザ、肝炎(例えば、B型およびC型)、HIV、およびヘルペス等のウイルス感染症;結核、ハンセン病、クラミジア、リステリア、レジオネラ、およびコレラ等の細菌(細胞外細菌または細胞内細菌)による感染症、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌(Streptococcus spp.)、髄膜炎菌、および化膿性連鎖球菌による感染症、ならびにその他いくつかの感染症;例えば、マラリアおよびリーシュマニア症における、寄生虫による感染症を含む、種々の疾患、障害、または感染を治療するための体の免疫応答を補うために使用してもよい。
前記抗体は、抗体タンパク質が有用であることがわかっている治療にも使用し得る。そのような治療には、癌だけでなく、自己免疫性疾患(関節リウマチ、炎症性腸疾患等)等の他の疾患群の治療が含まれる。
他の天然に存在しない治療用タンパク質としては、例えば癌を治療するための、細胞傷害性分子が挙げられる。
第3の代替例では、前記mRNAを、再生目的、例えば、所望の方法で標的組織の再構築を助けるタンパク質の局所産生を誘発するために使用し得る。よって、例えば、創傷の適切な治癒を促進する因子(例えば、増殖因子)または梗塞後の心臓等の虚血組織における新たな血管の形成を誘発する因子をコードするmRNAを使用し得る。別の例として、例えば、傍分泌因子のパルス産生を生じさせ、これにより、前駆細胞を、有益な応答、例えば心臓梗塞後の心筋および血管の再生、を生じさせるのに有用な方法で分化するよう誘導するためのmRNAの使用が挙げられる(Zangiら, 2013, Nat. Biotechnol., 31 (10), 898-907)。同様の原理を、例えば、神経組織の損傷の修復(例えば、身体的損傷や脳血栓症に起因するもの、アルツハイマー病またはパーキンソン病におけるもの)、眼における組織の再生、およびその他多くの種類の組織損傷に使用し得る。
特に好ましい実施形態では、治療すべき疾患は癌である。この場合、タンパク質療法は、多数の方法で達成し得る(以下に記載のように、免疫療法を併用もしくは代替使用してもよい)。例えば、mRNAは、抗腫瘍免疫応答を調節するタンパク質、例えば、チェックポイント阻害剤(例えば、mRNAにコードされるモノクローナル抗体)、免疫細胞上の共刺激分子を活性化するリガンド(例えば、CD40リガンド)、あるいは、抗腫瘍免疫応答が増強するように傍分泌的に作用することによって、例えば、腫瘍浸潤性マクロファージに作用することによって、腫瘍微小環境を調節する因子等を、局所的または全身的に発現させるために使用することが可能である。
免疫療法では、発現されたポリペプチドは、治療的免疫応答を生じさせるために使用される。これは、予防的または治療的ワクチン接種法を含み得る。このような方法は、感染性疾患の治療に使用し得る。例えば、感染因子との接触に先立って関連する抗原を使用し、その後の接触に対する適応免疫を生成する予防的ワクチン接種を使用してもよい。好ましい標的感染症は、典型的には、T細胞応答が重要な疾患である。前記疾患の例としては、インフルエンザ、肝炎(例えば、B型およびC型)、HIV、およびヘルペス等のウイルス感染症;結核、ハンセン病、クラミジア、リステリア、レジオネラ、およびコレラ等の細菌(細胞内細菌または細胞外細菌)による感染症、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌(Streptococcus spp.)、髄膜炎菌、および化膿性連鎖球菌による感染症、ならびにその他いくつかの感染症;例えば、マラリアおよびリーシュマニア症における、寄生虫による感染症が挙げられる。予防的免疫応答および本発明の方法で使用されるコード化mRNAが生成されるように、適切な抗原を選択する。
治療的ワクチン接種、すなわち、mRNAの内在化後に発現された抗原に対する免疫応答を生じさせることによる感染した対象の治療も企図されている。この場合、好ましい標的疾患は、ウイルス、細菌(通常、細胞内細菌であるが細胞外細菌も含む)、および寄生虫による慢性感染であり、予防的ワクチン接種に関して先に記載したもの等が挙げられる。
特に注目したのは、癌治療における免疫療法の使用である。本明細書中で先に記載した通り、これには、予防的ワクチン接種および治療的ワクチン接種の両方が含まれる。
遺伝子療法が使用される場合もある。本明細書中に記載の遺伝子療法とは、対象において、1以上の遺伝子の導入または改変を行う方法、あるいは対象における1以上の遺伝子の発現を改変する方法と考えられる。よって、例としては、前記mRNAは、対象のゲノムの改変を助けるポリペプチドをコードしてもよい。よって、例えば、標的細胞における染色体DNAの配列特異的修飾に有用な酵素をコードするmRNAを、例えば、変異遺伝子を修正するため、または疾患を引き起こす変異遺伝子の非変異バージョンのコピーを挿入するために使用することができる。このような酵素の例として、Cas9(CRISPR技術)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼmRNA(TALEN mRNA)、および部位特異的リコンビナーゼが挙げられる。必要に応じ、場合によっては、前記mRNAは、例えば、DNA配列を挿入して突然変異を「修正」するために「ドナーDNA」と共に使用されるが、別の場合には、前記mRNAは、例えば、遺伝子を不活性化するために単独で用いることもできる。好ましい態様において、前記方法は、ハンチントン病(Huntingdon's disease)、嚢胞性線維症、および他の遺伝性疾患を治療するために使用し得る。
上述のように、特に好ましい態様において、前記方法は、免疫応答を発生させるために、特に、ワクチン接種を行うために使用される。本明細書中に記載の免疫応答とは、インビボにおける生体防御系のあらゆる反応をさす。本明細書中に記載の「ワクチン接種」とは、疾患、障害、または感染の発症(または悪化)に対する予防的または治療的な免疫応答を誘発するための抗原(または抗原を含む分子)の使用を指し、ここで、前記疾患、障害、または感染は、その抗原の異常な発現または存在と関連している。前記疾患は、好ましくは癌である。一実施形態において、ワクチン接種は、例えば、癌の治療、または本明細書中に記載のような、寄生虫性、細菌性、もしくはウイルス性の慢性感染症の治療において、治療効果を発揮する。別の実施形態では、前記ワクチン接種は、例えば、癌を予防するため、または、治療的ワクチン接種による初期癌の治療後に発生するさらなる癌を減少させるために予防効果を発揮する。さらに別の実施形態では、例えば、本明細書中で先に記載した感染、例えば、肝炎もしくはHIV感染等のウイルス感染、マラリアのような寄生虫感染、または細菌感染(例えば、結核)に対する免疫応答を生じさせる場合には、前記ワクチン接種は、その性質上、予防的である。
ワクチン接種の方法において、前記mRNAは、ワクチン接種の目的に適した抗原分子を発現させる。
多数のこのような抗原または抗原ワクチン成分が当該技術分野において公知であり、あらゆる種類の細菌性抗原またはウイルス抗原、さらに言えば、原生動物または高等生物を含むあらゆる病原種の抗原または抗原成分がこれらに含まれる。従来、ワクチンの抗原成分は、生物全体(生物は生きているか、死んでいるか、あるいは弱毒化されている)を含む、すなわち、全細胞ワクチンであったが、これに加えて、サブユニットワクチン、すなわち、生物の特定の抗原成分、例えば、タンパク質またはペプチド、さらには炭水化物をベースとするワクチンが広く研究され、文献で報告されている。このような「サブユニット」ベースのワクチン成分は、いずれも本発明の発現ポリペプチドとして使用することができる。
しかしながら、本発明は、例えば、5~500アミノ酸からなるペプチド(例えば、10~250アミノ酸からなるペプチド、15~75アミノ酸または8~25アミノ酸からなるペプチド等)のペプチドワクチンの分野において特に有用である。
膨大な数のペプチドワクチンの候補が、例えば、AIDS/HIV感染またはインフルエンザ、イヌパルボウイルス、ウシ白血病ウイルス、肝炎等のウイルス性疾患およびウイルス感染の治療に関し、文献に提案されている(例えば、Phanuphakら, 1997, Asian Pac. J. Allergy. Immunol., 15(1), 41-8; Naruse, 1994, 北海道医学雑誌, 69(4), 811-20; Casalら, 1995, J. Virol., 69(11), 7274-7; Belyakovら, 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95(4), 1709-14; Naruseら, 1994, Proc. Natl. Sci. USA, 91(20), 9588-92; Kabeyaら, 1996, Vaccine, 14(12), 1118-22; Itohら, 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83(23) 9174-8参照)。他の生物または種由来のペプチド抗原を実際に用いてもよいように、同様に細菌ペプチドを用いてもよい。
病原生物由来の抗原に加えて、癌、または多発性硬化症等の他の疾患に対するワクチンとして、ペプチドを用いることが提案されている。例えば、変異型癌遺伝子ペプチドは、抗原として作用して細胞障害性Tリンパ球を刺激する癌ワクチンとして大いに有望である(Schirrmacher, 1995, Journal of Cancer Research and Clinical Oncology, 121, 443-451; Curtis, 1997, Cancer Chemotherapy and Biological Response Modifiers, 17, 316-327)。また、合成ペプチドワクチンも、転移性黒色腫の治療において検討されており(Rosenbergら, 1998, Nat. Med., 4(3), 321-7)、個々の患者の腫瘍において変異したペプチドエピトープに基づいて個別化されたmRNAベースのワクチンは、癌治療において極めて有望であることがわかっている(Sahinら, 2017, Nature, 257, 222-226)。多発性硬化症の治療用のT細胞受容体ペプチドワクチンについては、Wilsonら, 1997, J. Neuroimmunol., 76(1-2), 15-28に記載されている。本発明の発現ポリペプチドとしては、このようなペプチドワクチン成分のいずれを用いてもよく、また実際、前記文献中でペプチドワクチンとして記載または提案されているペプチドのいずれを用いてもよい。ワクチン接種に使用されるmRNAは、単一のペプチド抗原をコードしてもよいし、あるいは、例えば、上述のSahin et al,2017に記載されているように、1つのポリペプチドに翻訳される異なる数種類のペプチド抗原をコードしてもよい。
本明細書に記載の薬剤または細胞をインビボで投与するために、当該技術分野において一般的または標準的な任意の投与方法を使用することができ、例えば、経口、非経口(例えば、筋肉内、経皮(transdermal)、皮下、経皮(percutaneous)、腹腔内、髄腔内、または静脈内)、腸内、口腔内、直腸内、または局部的投与により、体の内部および外部の表面等に投与することができる。本発明は、前記光増感剤または前記mRNA分子(またはこれを含む細胞)を局所化し得る細胞を含む任意の組織に対して使用することができ、かかる組織には、固体組織に加えて、体液箇所も含まれる。光増感性物質が標的細胞に取り込まれ、光を適切に送達することができさえすれば、あらゆる組織を処理することが可能である。細胞を投与する場合には、方法は、光の送達能による制約を受けない。好ましい投与方法は、皮内、腫瘍内、皮下、筋肉内、または局部的投与もしくは注入であり、特に皮内投与または腫瘍内投与である。好ましくは、投与は局部的投与(本明細書では局所投与ともいう)である。
よって、本発明の組成物は、製薬の技術分野において公知の技術および手順に従って、例えば、1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を使用して、任意の便利な方法によって製剤化し得る。本明細書中で使用する「薬学的に許容可能」とは、組成物の他の成分と相溶性がある成分であり、かつ、受け手にとって生理的に許容可能な成分を指す。前記組成物および担体または賦形剤材料の性質、投与量等は、自由意思による選択や所望の投与経路、治療目的等に応じて、通常の手順で選択し得る。同様に、投与量もまた、通常の手順で決定し得、分子の性質、治療目的、患者の年齢、投与方法等に応じて決定し得る。光増感剤に関しては、照射時に膜を破壊する効力/能力も考慮すべきである。
所望の結果を得るため、すなわち、疾患、障害、または感染の治療または予防を達成するために、前記方法またはその一部を繰り返し行ってもよい。よって、前記方法全体を、適切な間隔をおいて複数回(例えば、2回、3回、またはそれ以上)実施してもよいし、あるいは前記方法の一部を繰り返し行ってもよく、例えば、本明細書中に定義するmRNAおよび/または光増感剤のさらなる投与、あるいは追加の照射工程を行ってもよい。例えば、前記方法またはその一部を、最初の実施後、数日中に再び実施してもよく、例えば、5日から60日(例えば、7日、14日、15日、21日、22日、42日、または51日)まで、例えば、7日から20日、好ましくは14日、または数週間、例えば、1週間から5週間(例えば、1週間、2週間、3週間、または4週間)までに実施してもよい。前記方法の全てまたは一部は、適切な間隔をおいて複数回繰り返してもよく、例えば、2週間毎すなわち14日毎に複数回繰り返してもよい。好ましい実施形態では、前記方法は、少なくとも1回繰り返される。別の実施形態では、前記方法は、2回繰り返される。
次に、本発明を、以下に記載する非限定的な実施例において、以下の図面を参照しながらより詳細に説明する。
図1は、mRNAの皮内送達に対するPCIの効果を示す。実施例1Aの動物6における生物発光イメージングの結果を示している。2μgのルシフェラーゼmRNA(TriLink L-6107、5meC、Ψ)および0.003μgのTPCS2aの混合物を、前記動物の部位AおよびD(左上および右下の円)に注入し、さらに、mRNAのみを2μg、部位BおよびC(右上および左下の円)に注入した。注入の1時間後に、全ての注入部位を、LumiSource照明装置で6分間照明した。前記照明の4時間後に、IVIS装置を用いた生物発光のイメージングによって、ルシフェラーゼの発現を分析した。a.注入部位と関心領域を示すマウスの画像、b.異なる関心領域における生物発光の定量;黒の横線は平均値を示す。 図2は、実施例1Aの全ての処理部位におけるルシフェラーゼ発現の比較を示す。動物に対し、2μgのルシフェラーゼmRNA(TriLink L-6107、5meC、Ψ)を、単体で、または0.003μgのTPCS2aと組み合わせて、表1に示す通りに注入した。動物に対し、IVIS装置でルシフェラーゼ生物発光のイメージングを行い、異なるROIにおける生物発光を「方法」の項に記載の方法で定量した。平均値±平均値の標準誤差(n=12)を示す。 図3は、異なる光増感性物質投与量の効果を示す。3μgのmRNAと、異なる量のTPCS2a(図中に示す;例えば、PCI10は、TPCS2a投与量10μgでのPCIを意味する)とを混合し、「方法」の項に記載の方法でマウスの皮膚に注入した。注入の60分後に、前記マウスに青色光を6分間(通常)または3分間(図示の通り)照明した。前記動物にルシフェリンを注入し、IVIS装置でイメージングした。各動物について、mRNA+TPCS2aを受け取った部位の発光を、mRNAのみを受け取った部位の発光と比較し、各動物のTPCS2a注入部位における発光の増加倍率(FI)を算出した。 図4は、異なる光照射量の効果を示している。2μgのmRNAと0.003μgのTPCS2aを混合し、マウスの皮膚に注入した。注入の60分後、前記マウスを0.5分間または4分間照明した。当該動物にルシフェリンを注入し、IVIS装置でイメージングした。前記注入部位周辺の規定されたROI内の発光を、IVIS装置で定量化した。各動物について、mRNA+TPCS2aを受け取った部位の発光を、mRNAのみを受け取った部位の発光と比較し、TPCS2a注入部位における発光の増加倍率(FI)を算出した。 図5は、リポフェクタミンを用いた場合と比較した、mRNAの皮内送達に対するPCI法の有効性を示す。動物に対し、表3に示す通りの処理を行った。動物に対し、IVIS装置でルシフェラーゼ生物発光のイメージングを行い、異なるROIにおける生物発光を記載の方法で定量した。平均値±平均値の標準誤差を示す。「PCI 0,003」については、n=4、「LipoのみmRNA」についてはn=6であった。 図6は、腫瘍内へのmRNA送達に対するPCIの効果を示す。TC-1腫瘍を有する動物を、実施例2および表4に示す通りに処理した。照明の20時間後、腫瘍を切除してホモジナイズし、ルシフェラーゼ活性(RLU)およびタンパク質濃度を腫瘍ホモジネート中で測定した。結果を、各群(n=3)のRLU中央値/タンパク質1mgで示している。 図7は、mRNAの腫瘍内送達に対するPCIの効果を示す。MC-38腫瘍を有する動物を、実施例3および表5に示すように処理した。照明の20時間後、腫瘍を切除してホモジナイズし、ルシフェラーゼ活性およびタンパク質濃度を腫瘍ホモジネート中で測定した。A.単発性腫瘍におけるルシフェラーゼmRNAの腫瘍内送達の結果を示す。B.各実験群について、ルシフェラーゼmRNAの腫瘍内送達の結果を平均値±SEMとして示す。
<実施例1:インビボでのmRNAの皮内送達>
マウスの皮膚への裸のmRNAのインビボ送達を調べるため、実験を行った。
(材料および方法)
ホタルルシフェラーゼmRNA(長さ1921ヌクレオチド;修飾塩基5-メチルシチジン(5meC)およびシュードウリジン(Ψ)を有するL-6107;未修飾mRNAであるL-6307;修飾塩基5-メトキシウリジン(5moU)を有し、キャップ構造であるTrilink CleanCapTM修飾を有するL-7202、Trilink Biotechnologies社、サンディエゴ、米国より購入)およびTPCS2a(Amphinex(登録商標)、PCI Biotech AS社、ノルウェー)を20μl体積のPBSに混合し、得られた混合物を、時間0でマウスの皮膚に注入した。実験毎に異なる投与量を使用し、コントロール試料では、TPCS2aは使用しなかった。マウス1匹当たり4部位(A~D)に注入を行い(図1および下記のダイアグラムおよび表を参照)、mRNA/TPCS2a注入の60分後に、注入部位全体を照明した。この設定では、TPCS2aを受け取っていない各動物の2つの部位が、各動物の内部標準として機能する。これにより、個々の動物間に存在しうる相違、例えば、ルシフェリンの注入および分布における相違を、生物発光イメージングの前に補正することが可能となるため有用である。
注入部位を、LumiSource照明装置からの青色光(435nm付近にピークを有する波長400~540nmの光)で照明した。
照明の4~6時間後または20~24時間後に、前記注入部位におけるルシフェラーゼ活性を、IVIS装置(IVIS Spectrum、モデル124375R、Perkin Elmer社)において生物発光イメージングによって分析した。ルシフェリン注入の20分後に写真を撮影し、各注入部位周囲の規定された関心領域(ROI)における生物発光を定量化した。IVISによるイメージングは、以下の手順で行った。
i)3mgのD-ルシフェリン(15mg/ml保存液を200μl)を、前記マウスに腹腔内注入した。
ii)およそ10分後、ゾレチル(Zoletil)(10~15mg/kgキシラシン(xylasin)、5~10mg/kgブトルファノール、15~20mg/kgゾレチル(ゾラゼパムおよびチレタミンを含む))を皮下注入することによって、マウスを麻酔した。
iii)D-ルシフェリン注入の20分後、マウスをIVIS装置に入れ、発光の自動露出(Andorカメラ IS0825R4582;iKon Living Image バージョン:4.5.2.18424;ビニング係数:8;励起フィルタ:ブロック;発光フィルタ:開放;F値:1)により写真を撮影した。
iv)各注入部位を覆うROIにおける生物発光を測定し、ルシフェラーゼ発現を定量化した。代表的な実験(実施例1)の詳細な設定は、表1に示している。
[実施例1A:PCIはmRNAの送達を増強させる]
mRNAとTPCS2aを、「方法」の項に記載の方法で動物に注入し、下記のダイアグラムに示す部位を、表1に示す通り処理した。
表1:実施例1Aにおける実験の設定。各動物の異なる注入部位を、上のダイアグラムに示している。
Figure 0007348193000003
(結果)
図1aは、代表的な動物(表1の動物6)における4つの注入部位の生物発光イメージングを示す。PCI処理した部位(部位AおよびD)は、mRNAのみを受け取ったコントロール部位(BおよびC)よりも、有意に強い発光を示したことがわかる。このことは、ROI(パネルb)における発光の定量化にも反映されており、この動物では、PCI処理部位の平均生物発光は、mRNAのみの部位の平均生物発光の5倍を上回っていることを示している。
図2は、実施例1Aにおける全ての動物について、mRNAのみおよびPCI処理部位(それぞれについて12箇所)の平均値を示している。PCIの採用により、平均して、mRNA送達が約3倍増強したことがわかる。
[実施例1B:異なる光増感性物質投与量でのmRNA送達]
実施例1Bでは、mRNAの皮内送達について、TPCS2a投与量との反応関係をさらに詳細に調査するために実験を行った。
3μgのmRNAと、異なる量のTPCS2a(0.0003μg~10μgの範囲)とを混合し、「方法」の項に記載の方法でマウスの皮膚に注入した。注入の60分後に、前記マウスにLumiSource照光装置から発せられる青色光を6分間(通常)または3分間(1件)照明した。「方法」の項に記載の方法により、動物にルシフェリンを注入し、IVIS装置でイメージングした。注入部位周辺の規定された関心領域における発光を、IVIS装置で評価した。各動物について、mRNA+TPCS2aを受け取った部位の発光を、mRNAのみを受け取った部位の発光と比較し、各動物のTPCS2a注入部位における発光の増加倍率(FI)を、次の式により算出した。
FI=発光mRNA+TPCS2a/発光mRNAのみ
(結果)
図3からわかるように、青色光を6分間照明した場合、0.3μgを超えるTPCS2a投与量でのPCIは、mRNA送達に対して強力な有害作用を及ぼし、ルシフェラーゼ発現の大幅な低下が観察された(PCI10、PCI3、およびPCI1)。0.3μg~0.03μgのTPCS2a投与量では、mRNA単独の場合と比べて、ルシフェラーゼ発現に有意な変化は認められなかったが、投与量が0.01μg以下の場合には、mRNA送達の有意な増強が観察された。この結果は、実施例1Aにおいて0.003μgの投与量で認められた結果と一致していた。0.003μgの投与量では、2つの異なる光照射量で試験を行ったが、6分間および3分間の照明のいずれにおいても、同程度のmRNA送達の増強がなされたことが明らかである。さらに、TPCS2a投与量がさらに低い0.0003μgの場合でも、PCIによってmRNA送達が向上したことがわかる。
[実施例1C:異なる光照射量でのmRNA送達]
0.003μgのTPCS2aを使用したPCIを用いたmRNA送達について、光照射量との関係を調べるために実験を行った。使用したルシフェラーゼmRNAは、TriLink社のL-6307 FLuc未修飾mRNAであり、1回当たりの注入量を2μgとした。mRNAおよびTPCS2aを混合し、マウス1匹当たり4つの部位(「方法」の項および表2に示す通り)において、時間0で皮内に注入した。mRNA/TPCS2a注入の60分後に、LumiSource照明装置からの青色光で注入部位を照明した。0.5分間または4分間の照明時間を使用し、mRNA送達の有効性を、「方法」の項に記載の方法で、インビボ蛍光イメージングによって評価した。前記注入部位周辺の規定されたROI内の発光を、IVIS装置で定量化した。各動物について、mRNA+TPCS2aを受け取った部位の発光を、mRNAのみを受け取った部位の発光と比較し、TPCS2a注入部位における発光の増加倍率(FI)を、次の式により算出した。
FI=FI=発光mRNA+TPCS2a/発光mRNAのみ
表2:実施例1Cにおける実験の設定
Figure 0007348193000004
(結果)
図4からわかるように、TPCS2aの投与量0.003μgでは、PCIにより、0.5分間および4分間のいずれの照明時間でもmRNAの送達が増強された。照射時間6分間の場合に得られた結果(実施例1Aおよび1B)と併せて考慮すると、この光増感性物質投与量では、PCIは、かなり広範な光照射量にわたり、すなわち、LumiSourceからの既知の光出力である約13mW/cm2から算出して、少なくとも0.4~5J/cm2の青色光の範囲で、mRNAの送達を誘導可能であることがわかる。
[実施例1D:リポフェクタミンを用いたmRNA送達とPCIとの比較]
リポフェクタミンは、mRNAおよびその他の核酸の送達に一般的に使用されている非常に効率的なトランスフェクション剤であり、インビボでのmRNA送達にも使用されてきた(上述のZangi et al.,2013)。しかしながら、インビボでのリポフェクタミンの使用において数種類の中毒反応が観察され、これにより、このトランスフェクション剤の臨床利用の可能性が制限されることとなった。本実施例では、裸のmRNAを用いたPCIによるインビボmRNA送達を、リポフェクタミンを用いて達成されたインビボmRNA送達と比較した。実験は、下記の通りに行った。
-TriLink社製の修飾ルシフェラーゼmRNA(L-7202 CleanCap(商標)FLuc mRNA、5moU修飾)を、1回当たりの注入量2μgで使用した。
-mRNAを、表3に示す通りに、リポフェクタミン(Thermo Fisher Scientific社、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)またはTPCS2aと混合し、得られた混合物を、マウスの皮膚に、1匹当たり4部位に時間0で注入した(注入量20μl)。一部の動物には、リポフェクタミン/mRNA/TPCS2a注入の60分後に、青色光(LumiSource装置)を6分間照明した(表3参照)。
-照明を行った時点の4時間後に、ルシフェラーゼ生物発光のIVISイメージングによりmRNA翻訳を検出し、関心領域における生物発光を定量化した(「方法」を参照)。
表3:実施例1Dにおける実験の設定
Figure 0007348193000005
(結果)
図5から、mRNAの皮内送達について、TPCS2aを0.003μg用いたPCIによれば、mRNA翻訳が、リポフェクタミンを用いて達成されたものと比べてほぼ4倍に向上したことがわかる。
<実施例2:赤色光照明によるインビボでの腫瘍内mRNA送達>
マウスのTC-1腫瘍(HPV誘発腫瘍のモデル)へのインビボにおける裸のmRNAの送達を調べるために実験を行った。
(材料および方法)
これらの実験では、HPV誘発癌に関するTC-1腫瘍モデルを使用した。mRNA送達は、照明の翌日に採取した腫瘍から得たホモジネートに対し、ルシフェラーゼ酵素アッセイを行うことにより評価した。波長652nmの赤色レーザ光照明を使用した。実験は、下記の通りに行った。
-TriLink社製のルシフェラーゼmRNA(L-7202 CleanCap(商標)FLuc mRNA(5moU)、注入1回当たり3μg)をTPCS2aと混合し、20μlの注入量で腫瘍に注入した。
-mRNA/TPCS2a注入の60分後に、前記腫瘍を異なる照射量の赤色レーザ光(652nm)で12.5~500秒間照明した。
-照明の翌日に、腫瘍を全て除去し、後から行うルシフェラーゼ用酵素アッセイ(Luciferase Assay System、Promega社、Cat#E1500)のために凍結した。
-試料中のタンパク質含有量を、RC DC Protein Assayキット(BioRad社)のアッセイにより測定し、各試料中の活性ルシフェラーゼの相対量を、タンパク質1mg当たりの相対発光量(RLU:任意単位)として算出した。
当該実験の詳細な設定を表4に示す。
表4:実施例2における実験の設定
Figure 0007348193000006
(結果)
図6から、TPCS2aの投与量0.1μgでは、PCIにより、mRNAの送達および翻訳の強力な増強が誘導されたことがわかる。この効果は、試験した全ての照射線量(0.1~4J/cm2)で観察されたが、見たところ、2J/cm2付近が最適のようである。また、比較すると、TPCS2aを0.1μg添加し腫瘍を照明しなかった場合(mRNA+0.1μg TPCS2a群)には、mRNA送達は、mRNAのみを使用した場合と比べて有意に増強することはなかったようである。
<実施例3:青色光照明によるインビボでのmRNAの腫瘍内送達>
マウスにおける結腸腺癌腫瘍(MC-38腫瘍)へのインビボでの裸のmRNA送達を調べるために実験を行った。
(材料および方法)
ルシフェラーゼコード化修飾mRNAを用いて実験を行い、照射の20時間後に採取した腫瘍を用い、腫瘍抽出物に対する酵素ルシフェラーゼアッセイにより、効果を分析した。各動物の2つの腫瘍(AおよびB)に対して、別々に注入および分析を行った。
(材料)
TPCS2a光増感性物質(PCI Biotech AS社)を用いた。
TriLink社製の修飾ルシフェラーゼmRNA(T14-GU03A)を、注入1回当たり3μg使用した。
C57BL/6系統の雌マウス(Charles River社)を用いた。動物の識別、ならびに飼育容器、順化、環境、食事、および水の条件は、オスロ大学病院であるラジウム病院(The Radium Hospital)の現行の動物施設における標準取り扱い手順書(Standard Operating Procedures)に従った。
投与開始時の週齢および体重:5~6週、18~20g
MC-38腫瘍細胞(結腸腺癌)を、Kerafast社(ボストン、米国)から入手した。
(実験手順)
前記動物に対し、MC-38細胞を500000個/腫瘍となるように接種した。動物1匹当たり、2つの腫瘍とした。mRNA注入時における腫瘍の大きさは、60~150mm3であった。動物を腫瘍容積によって無作為化し、腫瘍性潰瘍の動物は除外した。
mRNAをTPCS2aと混合し、得られた混合物(25μl)を、時間0で腫瘍に注入した。純粋な(裸の)mRNAの注入を、同時点で行った。前記注入は、ガス麻酔(セボフルラン)下で行った。前記注入の目的は、腫瘍の中心部を避けて、腫瘍の外側1/3の中心部に溶液を沈着させることであった。インスリンシリンジを用いて、25μlの処理液を送達した。
PCI群における腫瘍を、mRNA/TPCS2a注入の60分後に、表5に示す通りに照明した(LumiSourceからの青色光)。mRNA投与の翌日(すなわち、照明の約20時間後)に動物を屠殺し、腫瘍を全て除去し、後から行うホモジナイズおよびルシフェラーゼ用酵素アッセイ(Luciferase Assay System、Promega社、Cat#E1500)のために凍結した。ホモジナイズ後、腫瘍抽出物中のタンパク質量をRC-DC Protein Assay(Bio-Rad Hercules社、カリフォルニア州、米国)を用いて測定し、腫瘍1mg当たりのルシフェラーゼ酵素活性を算出した。
実験群は、下記表5に示す通りである。
表5:実施例3における実験の設定
Figure 0007348193000007
(結果)
図7Aからわかるように、腫瘍ホモジネートにおけるルシフェラーゼ酵素活性の強力な増加が示す通り、PCI技術の採用により、MC38腫瘍におけるルシフェラーゼmRNA送達が実質的に増強された。図7Bは、異なる実験群についての平均値を示しており、これらの平均値は、PCIを使用しないmRNAの送達と比較して、約3倍(0.003/6min群)から約10倍(0.01/6min群)のPCI誘導性のmRNA送達の向上があったことを示している。

Claims (41)

  1. mRNA分子がコードするポリペプチドを発現させることによって行う対象における疾患、障害、または感染の治療または予防にmRNA分子とともに使用するための光増感剤を含む医薬品であって、
    前記mRNAは裸の状態であり、その内在化を助けるための他の成分に結合、コンジュゲート又は担持されておらず、
    前記光増感剤が、0.0001~1μgの量で使用される、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリンまたはスルホン化テトラフェニルポルフィンである、医薬品。
  2. a)前記光増感剤が、TPCS2aまたは薬学的に許容可能なその塩であり、
    b)前記光増感剤が、0.001~0.1μgの量で使用されるものであり、及び/又は、
    c)前記光増感剤が、0.005~200μg/ml又は0.05~20μg/mlの濃度で使用されるものである、請求項1に記載の医薬品。
  3. a)前記mRNA分子の長さが、50~10,000ヌクレオチドであり、
    b)前記mRNAが、0.1~100μgの量で使用されるものであり、及び/又は、
    c)前記mRNAが5~5000μg/mlの濃度で使用されるものである、請求項1又は2に記載の医薬品。
  4. 前記mRNAが前記対象における1つ以上の細胞内で発現するものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬品。
  5. a)前記mRNAによって発現されるポリペプチドが治療用分子であり、及び/又は、
    b)前記mRNAによって発現されるポリペプチドが抗体、ワクチンポリペプチド、または細胞傷害性分子である、請求項4に記載の医薬品。
  6. 前記対象における1つ以上の細胞は前記mRNA分子および前記光増感剤と接触し、前記細胞に前記光増感剤の活性化に有効な波長の光が照射される、請求項1から5のいずれかに記載の医薬品。
  7. 前記細胞が、哺乳動物の細胞または魚の細胞である、請求項6に記載の医薬品。
  8. 前記光が、400~475nm、400~435nm、620~750nm、又は640~660nmの波長を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬品。
  9. 前記接触が、30分間から4時間、45分間から90分間、又は60分間行われる、請求項6から8のいずれか一項に記載の医薬品。
  10. 前記細胞が、15秒間~60分間、0.5~12分間、又は4~6分間照射される、請求項6から9のいずれか一項に記載の医薬品。
  11. 前記細胞が、0.01~50J/cm2の光照射量で照射される、請求項6から10のいずれか一項に記載の医薬品。
  12. 前記細胞は、前記mRNAおよび前記光増感剤に、同時に、別々に、または逐次的に接触するものである、請求項6から11のいずれか一項に記載の医薬品。
  13. a)前記対象が哺乳動物または魚であり、
    b)前記哺乳動物がサル、ネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットであり、又は、
    c)前記哺乳動物がヒトである、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬品。
  14. 前記mRNAおよび/または前記光増感剤が、a)局所投与、又はb)皮内投与または腫瘍内投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬品。
  15. mRNA分子および光増感剤を含む医薬組成物であって、
    前記mRNAは裸の状態であり、その内在化を助けるための他の成分に結合、コンジュゲート又は担持されておらず、
    前記光増感剤が、0.0001~1μgの量で提供される、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリンまたはスルホン化テトラフェニルポルフィンである、医薬組成物。
  16. 前記光増感剤が請求項2に定義されたものであり、かつ/または、前記mRNAが請求項3から5のいずれか一項に定義されたものである、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. mRNA分子がコードするポリペプチドを発現させることによって対象における疾患、障害、または感染の治療または予防に使用するための、請求項15又は16に記載の医薬組成物。
  18. 前記対象における1つ以上の細胞は前記mRNA分子および前記光増感剤と接触し、前記細胞に前記光増感剤の活性化に有効な波長の光が照射される、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 前記細胞、前記光、前記接触、前記照射、前記対象、および/または投与が請求項7から14のいずれか一項に定義されたものであるである、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. mRNA分子がコードするポリペプチドを発現させることによって行う対象における疾患、障害、または感染の治療または予防のための医薬品の調製におけるmRNA分子および光増感剤の使用であって、
    前記医薬品は、前記mRNA分子及び前記光増感剤を含み、
    前記mRNAは裸の状態であり、その内在化を助けるための他の成分に結合、コンジュゲート又は担持されておらず、
    前記光増感剤が、0.0001~1μgの量で使用される、スルホン化メソ-テトラフェニルクロリンまたはスルホン化テトラフェニルポルフィンである、使用。
  21. 前記光増感剤が請求項2に定義されたものであり、かつ/または、前記mRNAが請求項3から5のいずれかに定義されたものである、請求項20に記載の使用。
  22. 前記対象における1つ以上の細胞は前記mRNA分子および前記光増感剤と接触し、前記細胞に前記光増感剤の活性化に有効な波長の光が照射される、請求項20又は21に記載の使用。
  23. 前記細胞、前記光、前記接触、前記照射、前記対象、および/または投与が請求項7から14のいずれか一項に定義されたものである、請求項20から22のいずれかに記載の使用。
  24. 前記疾患、障害、または感染が1以上のポリペプチドの発現の恩恵を受けるものである、請求項1から14のいずれかに記載の医薬品。
  25. 前記疾患、障害、または感染が1以上のポリペプチドの発現の恩恵を受けるものである、請求項17から19のいずれかに記載の医薬組成物。
  26. 前記疾患、障害、または感染が1以上のポリペプチドの発現の恩恵を受けるものである、請求項20から23のいずれかに記載の使用。
  27. タンパク質療法、免疫療法、または遺伝子療法に用いるための、請求項24に記載の医薬品。
  28. タンパク質療法、免疫療法、または遺伝子療法に用いるための、請求項25に記載の医薬組成物。
  29. タンパク質療法、免疫療法、または遺伝子療法に用いるための、請求項26に記載の使用。
  30. 前記発現されたポリペプチドに対して免疫応答が生じる、請求項24又は27に記載の医薬品。
  31. 前記発現されたポリペプチドに対して免疫応答が生じる、請求項25又は28に記載の医薬組成物。
  32. 前記発現されたポリペプチドに対して免疫応答が生じる、請求項26又は29に記載の使用。
  33. 前記治療または前記予防が、予防的ワクチン接種または治療的ワクチン接種を介して行われる、請求項24、27又は30に記載の医薬品。
  34. 前記治療または前記予防が、予防的ワクチン接種または治療的ワクチン接種を介して行われる、請求項25、28又は31に記載の医薬組成物。
  35. 前記治療または前記予防が、予防的ワクチン接種または治療的ワクチン接種を介して行われる、請求項26、29又は32に記載の使用。
  36. 前記疾患が癌であるか、あるいは前記感染がウイルス感染または細菌感染である、請求項24、27、30又は33に記載の医薬品。
  37. 前記疾患が癌であるか、あるいは前記感染がウイルス感染または細菌感染である、請求項25、28、31又は34に記載の医薬組成物。
  38. 前記疾患が癌であるか、あるいは前記感染がウイルス感染または細菌感染である、請求項26、29、32又は35に記載の使用。
  39. 前記mRNAおよび前記光増感剤が皮内投与または腫瘍内投与される、請求項24、27、30、33又は36に記載の医薬品。
  40. 前記mRNAおよび前記光増感剤が皮内投与または腫瘍内投与される、請求項25、28、31、34又は37に記載の医薬組成物。
  41. 前記mRNAおよび前記光増感剤が皮内投与または腫瘍内投与される、請求項26、29、32、35又は38に記載の使用。
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