JP7344279B2 - ディップ成形用組成物、これを用いた手袋の製造方法、及び手袋 - Google Patents

ディップ成形用組成物、これを用いた手袋の製造方法、及び手袋 Download PDF

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Description

本発明は、ディップ成形用組成物、これを用いた手袋の製造方法、及び手袋に関する。
本発明は、硫黄架橋剤、硫黄系加硫促進剤を使用せず、不飽和カルボン酸由来の構造単位が有するカルボキシル基と、エポキシ化合物を含有するエポキシ架橋剤との架橋構造を含むエラストマーの硬化フィルムからなる手袋、ディップ成形用組成物及び手袋の製造方法に関する。
従来、硫黄及びチアゾール系の硫黄系加硫促進剤で架橋してなるラテックス組成物を用いてディップ成形することにより製造された手袋が種々の工業分野及び医療分野等において幅広く使用されていた。しかし、硫黄架橋剤及び硫黄系加硫促進剤はIV型アレルギーを引き起こすため、これを用いない加硫促進剤フリーの手袋が提案された。加硫促進剤フリーの手袋には、ラテックス重合中に有機架橋性化合物を含ませる自己架橋型(特許文献1)と、ポリカルボジイミドや、エポキシ基を有するエポキシ架橋剤で架橋する外部架橋剤型(特許文献2)とがある。
上記の外部架橋剤型の加硫促進剤フリーの手袋について、エポキシ基を有する化合物からなるエポキシ架橋剤を用いた技術の開発が進んでいる。特許文献2ではXNBR及び2価エポキシ架橋剤を用いた手袋が検討され、また、すでにエポキシ架橋剤を用いた手袋製品が市場に存在しているが、これらの手袋は、いずれも水溶率90%以上の水に溶けやすい2価エポキシ化合物が用いられたものであった。
一方、上記の水溶率90%以上の2価エポキシ架橋剤は、ディップ成形用組成物中で失活しやすく、エポキシ架橋剤を用いた手袋を実際の量産条件下で実製品化するためにはディップ成形用組成物中でのエポキシ架橋剤の経時劣化、すなわちディップ成形用組成物の調製後の使用可能な経過時間であるポットライフ(可使時間)が不充分であることが重大な問題であることが分かってきた。
発明者らは、水に溶けにくい架橋剤の方が、ポットライフが長くなるという考えから、水に不溶のビスフェノールAジグリシジルエーテルの利用を考えた。
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを用いた技術としては、例えば、特許文献3に、当該化合物により比較的低温での急速な硬化や良好な貯蔵寿命を達成する技術が開示されており、試験してみると、ビスフェノールAジグリシジルエーテルはポットライフに優れるが、有機溶剤にも難溶で取扱いが非常に困難なものであり、実生産での使用はできないと考えられた。
特開2010-144163号公報 国際公開第2017/126660号 特開昭62-257926号公報
ディップ成形用組成物を用いたXNBR手袋の量産においては、ディップ成形用組成物を調製してから、大きなマチュレーション(熟成)用タンクで少なくとも1~2日程度マチュレーションを行ったうえで、これを逐次ディッピング槽に注入し、2~3日程度の間にこれを消費することが通常である。そのため、ディップ成形用組成物に含まれるエポキシ架橋剤の劣化を最小限にとどめることが求められる。
本発明では、上記の求めに応じてビスフェノールAジグリシジルエーテルを修飾して溶解性を改善することにより、実生産でも取扱いが可能で、充分なポットライフを持つディップ成形用組成物と、そのディップ成形用組成物を用いた手袋の製造方法と、手袋とを提供することを課題とする。
本発明者らは、ビスフェノールAグリシジルエーテルの母骨格を改変することにより、水にも、MIBKにも溶けやすくすることができることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] (メタ)アクリロニトリル由来の構造単位、不飽和カルボン酸由来の構造単位、及びブタジエン由来の構造単位をポリマー主鎖に含むエラストマーと、エポキシ架橋剤と、水、及びpH調整剤とを少なくとも含むディップ成形用組成物であって、
前記エラストマーにおいて、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位が20~40重量%、不飽和カルボン酸由来の構造単位が1~10重量%、及びブタジエン由来の構造単位が50~75重量%であり、
前記エポキシ架橋剤は、以下の式(1)で表される化合物を含有するものである、ディップ成形用組成物。
Figure 0007344279000001


式(1)において、
及びRは独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであり、このアルキルにおいて、炭素に結合した水素は置換されていてもよく、
環A及びAは、1,4-フェニレン又は1,4-シクロヘキシレンであり、
及びRは独立して、炭素数1~6のアルキレンであり、
m及びnは独立して、0~6であり、
環A及びAが1,4-フェニレンである場合、1≦m+n≦6であり、また、環A及びAが1,4-シクロヘキシレンである場合、0≦m+n≦6である。
[2] 前記エポキシ架橋剤の下記測定方法によるMIBK/水分配率が60%以上である、[1]に記載のディップ成形用組成物。
MIBK/水分配率測定方法:試験管に水5.0g、メチルイソブチルケトン(MIBK)5.0gおよびエポキシ架橋剤0.5gを精秤し、23℃±2℃で3分間攪拌、混合した後、1.0×10Gで10分間遠心分離し、水層とMIBK層に分離させる。次いで、MIBK層を分取、計量し、次式によりMIBK/水分配率を算出する。
MIBK/水分配率(%)=(分配後MIBK層重量(g)-分配前MIBK重量(g))/架橋剤添加重量(g)×100
上記測定を3回行い、平均値をMIBK/水分配率とする。
[3] 前記エポキシ架橋剤のエポキシ当量が200~400g/eq.である、[1]又は[2]に記載のディップ成形用組成物。
[4] 前記式(1)において、R及びRがメチル基である、[1]~[3]のいずれかに記載のディップ成形用組成物。
[5] 前記式(1)において、R及びRが独立して、-CHCH-又は-CHCH(CH3)-である、[1]~[4]のいずれかに記載のディップ成形用組成物。
[6] 前記式(1)において、m+n=2である、[1]~[5]のいずれかに記載のディップ成形用組成物。
[7] ディップ成形用組成物におけるエポキシ架橋剤の含有量が、ディップ成形用組成物に含まれるエラストマーを100重量部としたときに、0.1重量部以上5.0重量部以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のディップ成形用組成物。
[8] 製造工程のマチュレーション工程の開始からディッピング工程開始までの可使時間(ポットライフ)が、3日以上である、[1]~[7]のいずれかに記載のディップ成形用組成物。
[9] (1)手袋成形型を、カルシウムイオンを含む凝固剤液中に浸して、該凝固剤を手袋成形型に付着させる工程、
(2)pH調整剤によりpHを9.0以上に調整した請求項1~7のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物を撹拌しながら分散均一化する工程(マチュレーション工程)、
(3)前記(1)の凝固剤が付着した手袋成形型を、前記(2)の工程を経たディップ成形用組成物に浸漬し、手袋成形型にディップ成形用組成物を凝固させ、膜を形成させるディッピング工程、
(4)手袋成形型上に形成された膜をゲル化し、硬化フィルム前駆体を作る工程であり、21℃から120℃までの温度で20秒以上の条件で放置するゲリング工程、
(5)手袋成形型上に形成された硬化フィルム前駆体から不純物を除去するリーチング工程、
(6)前記リーチング工程の後に、手袋の袖口部分に巻きを作るビーディング工程、
(7)硬化フィルム前駆体を最終的に70℃以上150℃以下で、10分~30分間加熱・乾燥し、硬化フィルムを得る、キュアリング工程、
を含み、上記(3)~(7)の工程を上記の順序で行う、手袋の製造方法。
[10] [9]に記載された製造方法により作製された、手袋。
[11] 前記硬化フィルムの下記試験方法による疲労耐久性が240分以上であり、かつ、下記試験方法による該硬化フィルムの引張強度は20MPa以上である、[10]に記載の手袋。
疲労耐久性試験方法:硬化フィルムから長さ120mmのJIS K6251の1号ダンベル試験片を作製し、試験片の下部を固定して長さ60mmまで人工汗液に浸漬した状態で試験片の上部を引張り、長さ方向に最大195mm、最小147mmの間で12.8秒かけて伸縮させることを繰り返し、試験片が破れるまでの時間を測定する。
引張強度試験方法:硬化フィルムからJIS K6251の5号ダンベル試験片を切り出し、A&D社製のTENSILON万能引張試験機RTC-1310Aを用い、試験速度500mm/分、チャック間距離75mm、標線間距離25mmで、引張強度(MPa)を測定する。
[12] 手袋の厚みが0.04~0.20mmである、[10]又は[11]に記載の手袋。
従来のエポキシ架橋手袋(エポキシ架橋剤を含むディップ成形用組成物を用いて得た手袋)においては、エポキシ架橋剤がディップ成形用組成物中における加水分解により失活するという弱点を持っていたため、エポキシ架橋手袋の特徴である高い疲労耐久性を持つ手袋を製造するためには、1日程度の短い期間に手袋を製造せざるを得なかった。
一方、エポキシ架橋手袋を実用化、量産化するためには、ディップ成形用組成物の実生産でも取扱い可能で、充分なポットライフ(可使時間)として、マチュレーション工程で1~2日、ディッピング工程で2~3日を必要とする。
本発明は、従来想定していなかった水に溶けにくいエポキシ架橋剤をあえて使用しつつ、エポキシ架橋剤の水中での失活を最小限にとどめ、量産に適合する長いポットライフを実現したものであり、上記の解決手段によりビスフェノールAジグリシジルエーテルの溶解性を改善して実生産で利用可能なものにし、これを用いることによって3日以上のポットライフを有するディップ成形用組成物を得ることができた。また、これによって、量産時においても安定して高い疲労耐久性を達成できることを特徴とするエポキシ架橋手袋を製造することを可能にした。
疲労耐久性試験装置の一例を模式的に示した断面図である。 表3の各エポキシ架橋剤のMIBK/水分配率と、各エポキシ基架橋剤を用いたディップ成形用組成物のポットライフとの関係を示す図である。 表3の各エポキシ架橋剤の水溶率と、各エポキシ基架橋剤を用いたディップ成形用組成物のポットライフとの関係を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これら説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
なお、本明細書において、「重量」と「質量」は同じ意味で用いられるので、以下、「重量」に統一して記載する。
また、特に断らない限り、「%」は「重量%」であり、「部」は「重量部」である。
また、特に断らない限り、「重量部」は、原則としてエラストマー100重量部に対しての重量部数を示す。
また、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
また、本明細書において、2つ以上の対象を併せて説明する際に用いる「独立して」とは、それらの2つ以上の対象が同じであっても異なっていてもよいという意味で使用される。
また、本明細書において、「疲労耐久性」とは、手袋が、使用者(作業者)の汗により性能が劣化して破断することに対する耐性を意味する。その具体的な評価方法については後述する。
また、疲労耐久性については、通常、手袋の指股部分が破れやすいため、指股部分が90分を超えることを実用上の合格ラインとしているが、本発明においては、陶板上でフィルムを作製し、疲労耐久性を見ているため、手のひら部分に相当する疲労耐久性で見ることになる。手のひら部分と指股部分の疲労耐久性については、下式で変換可能である。
式(手のひら疲労耐久性(分)+21.43)÷2.7928=指股疲労耐久性(分)
よって、本発明における疲労耐久性試験の合格ラインは、後述の試験方法で240分(240分以上)とする。また、本発明においては、引張強度はMPaで表示しており、破断時荷重(N)を試験片の断面積で除した値であり、厚みによる影響を除いた数値であり、合格ラインを通常の薄手手袋(3.2g超~4.5g:膜厚60μm超90μm以下)では、後述の試験方法で20MPa(20MPa以上)としている。
また、「ポットライフ」とは、ディップ成形用組成物の特性を示すものであり、後述する実施例の項でその求め方を説明する。具体的には、「ポットライフ」とは、ディップ成形用組成物の調製から硬化フィルムの作製に供するまでの期間であり、より具体的に本明細書においては、製造工程のマチュレーション工程の開始からディッピング工程開始までの期間であり、かつ、その期間内にディップ成形用組成物を用いれば、得られる硬化フィルムが特定の基準を満たすことができる、使用可能な期間(可使時間)のことである。
<1.ディップ成形用組成物>
本発明の一実施形態であるディップ成形用組成物(以下、単に「ディップ成形用組成物」とも称する。)は、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位、不飽和カルボン酸由来の構造単位、及びブタジエン由来の構造単位をポリマー主鎖に含むエラストマーと、エポキシ架橋剤と、水、及びpH調整剤とを少なくとも含むディップ成形用組成物であって、
前記エラストマーにおいて、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位が20~40重量%、不飽和カルボン酸由来の構造単位が1~10重量%、及びブタジエン由来の構造単位が50~75重量%であり、
前記エポキシ架橋剤は、以下の式(1)で表される化合物を含有するものである、ディップ成形用組成物。
Figure 0007344279000002


式(1)において、
及びRは独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであり、このアルキルにおいて、炭素に結合した水素は置換されていてもよく、
環A及びAは、1,4-フェニレン又は1,4-シクロヘキシレンであり、
及びRは独立して、炭素数1~6のアルキレンであり、
m及びnは独立して、0~6であり、
環A及びAが1,4-フェニレンである場合、1≦m+n≦6であり、また、環A及びAが1,4-シクロヘキシレンである場合、0≦m+n≦6である。
本実施形態のディップ成形用組成物は、特定のエラストマーと、特定のエポキシ架橋剤と、水と、pH調整剤とを少なくとも含み、さらに必要に応じて金属架橋剤等を含むものである。
このディップ成形用組成物は、手袋用のディッピング液としてpH9.0~11.0程度に調整され、各固形分はマチュレーションによって攪拌され、ほぼ均一に分散し、かつ均一化していると考えられるエマルションである。
ディップ成形用組成物は、通常、70重量%以上(好ましくは80~90重量%程度)を水が占めている水系エマルションである。
また、ディップ成形用組成物は、XNBR(カルボキシル化(メタ)アクリロニトリルブタジエンエラストマー)を含有するラテックスであり、XNBRが水系エマルションとして粒子径50~250nm程度の粒子を形成している。粒子内と粒子外では環境が大きく異なり、粒子内はブタジエン残基、(メタ)アクリロニトリル残基、(メタ)アクリル酸から構成される炭化水素を主成分としているため、親油性である。一方、粒子外は、水および水溶性成分(例えばpH調整剤、他)から構成されているため、粒子外は親水性を有している。
粒子外の親水性領域にエポキシ架橋剤が留まるときは、加水分解により失活してしまうことを考えると、水と接触を避けることができる親油性領域に、より多く入ることのできるエポキシ架橋剤の方が失活を免れ、その結果ポットライフを延ばすことができると考えられる。
そこで、各エポキシ架橋剤の水(親水性領域)及び有機溶媒(親油性領域)のどちらに溶けやすいかという分配率とポットライフとの関係を検討することとした。
ラテックスの親油性環境に近く、水溶性の低いメチルイソブチルケトン(MIBK)で各エポキシ架橋剤のMIBK/水分配率を計測した上で、各エポキシ架橋剤で作ったディップ成形用組成物のポットライフと対照したところ、上記推論通りMIBK/水分配率において、MIBK分配率が高いほどディップ成形用組成物のポットライフが長くなる傾向があることがわかった。
この結果、ディップ成形用組成物中において、MIBK/水分配率が60%以上であるエポキシ架橋剤を使うことによって、通常3日以上、より好ましい態様で4日以上の、量産に最低限必要なポットライフを得られることがわかった。
また、ポットライフの長いエポキシ架橋剤であるほど水には溶けにくく、水にも油にも溶けるジエチレングリコール(DEG)等の分散剤を併せて使用することがよいこともわかった。
本実施形態にかかるディップ成形用組成物は、手袋の成形用以外にも、例えば、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕等の医療用品、風船、人形、ボール等の玩具や運動具、加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグ等の工業用品、手術用、家庭用、農業用、漁業用及び工業用の手袋、指サック等のディップ成形品の成形に用いることができる。
次に、ディップ成形用組成物を構成する成分につき説明する。
<1-1.エラストマー>
エラストマーは、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位、不飽和カルボン酸由来の構造単位、及びブタジエン由来の構造単位をポリマー主鎖に少なくとも含む。このエラストマーを、「カルボキシル化(メタ)アクリロニトリルブタジエンエラストマー」又は「XNBR」とも称する。また、エラストマーとしてXNBRを用いて得た手袋を、「XNBR手袋」とも称する。
エラストマー中の各構造単位の比率について、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位、すなわち(メタ)アクリロニトリル残基は20~40重量%であり、不飽和カルボン酸由来の構造単位、すなわち不飽和カルボン酸残基は、1~10重量%であり、また、ブタジエン由来の構造単位、すなわちブタジエン残基は50~75重量%である。これらの構造単位の比率は、簡便には、エラストマーを製造するための使用原料の重量比率から求めることができる。
(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位は、主に手袋に強度を与える要素であり、少な過ぎると強度が不十分となり、多過ぎると耐薬品性は上がるが硬くなり過ぎる。エラストマー中の(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位の比率は、20~40重量%であるが、25~40重量%であることが好ましい。従来のXNBR手袋においては、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位の比率は25~30重量%が通常であったが、近年30重量%以上のXNBRで強度を高くしながら、かつ、伸びもよいXNBRが開発されており、超薄手の手袋を作る際には有効である。(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位の量は、ニトリル基の量を元素分析により求められる窒素原子の量から換算して求めることができる。
不飽和カルボン酸由来の構造単位の量は、適度な架橋構造を有し最終製品である手袋の物性を維持するために、1~10重量%であるが、1~9重量%であることが好ましく、1~6重量%であることがより好ましい。不飽和カルボン酸由来の構造単位の量は、カルボキシル基の逆滴定法、及びカルボキシル基由来のカルボニル基を赤外分光(IR)等により定量することによって、求めることができる。
不飽和カルボン酸由来の構造単位を形成する不飽和カルボン酸の種類は、特に限定はされず、モノカルボン酸でもよいし、ポリカルボン酸でもよい。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。なかでも、アクリル酸及び/又はメタクリル酸(以下「(メタ)アクリル酸」とも称する。)が好ましく使用され、メタクリル酸がより好ましく使用される。
ブタジエン由来の構造単位は、手袋に柔軟性を付与する要素であり、通常50重量%を下回ると柔軟性を失う。エラストマー中のブタジエン由来の構造単位の比率は、50~75重量%であるが、55~70重量%であることが好ましく、58~65重量%であることがより好ましい。
ポリマー主鎖は、実質的に、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位、不飽和カルボン酸由来の構造単位、及びブタジエン由来の構造単位からなることが好ましいが、その他の重合性モノマー由来の構造単位を含んでいてもよい。
その他の重合性モノマー由来の構造単位は、エラストマー中に30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、15重量%以下であることが特に好ましい。
好ましく使用できる重合性モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、ジメチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;及び酢酸ビニル等が挙げられる。これらは、いずれか1種、又は複数種を組み合わせて、任意に用いることができる。
エラストマーは、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、1,3-ブタジエン等のブタジエン、及び必要に応じてその他の重合性モノマーを用い、定法に従い、通常用いられる乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等を使用した乳化重合によって、調製することができる。
乳化重合時の水は、固形分が30~60重量%である量で含まれることが好ましく、固形分が35~55重量%となる量で含まれることがより好ましい。
エラストマー合成後の乳化重合液を、そのまま、ディップ成形用組成物のエラストマー成分として用いることができる。
乳化剤の種類は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤が使用される。
重合開始剤の種類は、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム等の無機過酸化物;t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等を挙げることができる。
分子量調整剤の種類は、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素が挙げられ、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類が好ましい。
<1-2.エラストマーの特徴>
本発明の実施形態であるディップ成形用組成物にかかるエポキシ架橋剤を用いた手袋に使用するエラストマーの粒子径は特段制限されないが、水系エマルションとして、粒子径50~250nmの粒子を形成していることが好ましい。好適なエラストマーの特徴につき、以下説明する。
<エラストマー鎖の分岐が少なく直鎖状であること>
亜鉛や硫黄に比べて分子量の大きいエポキシ化合物を含むエポキシ架橋剤が、エラストマー鎖内部に侵入しやすくするためには、エラストマー鎖の分岐が少なく、直鎖状であるエラストマーが好適である。分岐の少ないエラストマーは、各ラテックスメーカーにおいてその製造時に各種の工夫がなされているが、概して言えば、重合温度の低いコールドラバー(重合温度5~25℃)の方がホットラバー(重合温度25~50℃)より好ましいと考えられる。
<エラストマーのゲル分率(MEK不溶解分)>
エラストマーのゲル分率(MEK不溶解分)は、エラストマー鎖の分岐の指標となり、分岐が多いエラストマーではゲル分率が高くなる。本発明において、ゲル分率はとくに限定されないが、上記のとおり本実施形態では分岐の少ない直鎖状のエラストマーが好適なので、ゲル分率は少ない方が好ましい。
メチルエチルケトン(MEK)不溶解分の測定では、通常80重量%以下の範囲であり、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、また、特に下限を設けることは要せず、通常0重量%を超え、0.01重量%以上であってもよく、0.05重量%以上であってもよく、0.1重量%以上であってもよい。ただし、MEK不溶解分は、ムーニー粘度のような引張強度との相関性はない。
なお、このことは、エラストマーのアセトン可溶成分が多いエラストマーが好適であるともいえ、これによってエポキシ架橋剤が親油性環境であるエラストマー粒子内に侵入して保護されるので、エラストマーの疲労耐久性も高くなると考えられる。
<エラストマー中の硫黄元素の含有量>
エラストマーにおいて、乳化重合の際に使用する界面活性剤に由来する硫黄元素が少量検出される場合がある。燃焼ガスの中和滴定法により検出される硫黄元素の含有量は、通常エラストマー重量の1重量%以下であり、通常0.1重量%以上である。
硫黄元素の定量は、エラストマー試料0.01gを空気中、1350℃で10~12分間燃焼させて発生する燃焼ガスを、混合指示薬を加えた過酸化水素水に吸収させ、0.01NのNaOH水溶液で中和滴定する方法により行うことができる。
<ムーニー粘度(ML(1+4)(100℃))によるエラストマーの選択>
ディップ成形用組成物は、カルシウムイオン等の金属イオンを含んでいても、含んでいなくともよいが、含んでいる場合(例えば、凝固剤としてカルシウムイオンを含むものを用いた場合)、このような金属イオンは凝固剤として、つまり架橋剤として機能する。例えば、カルシウムイオンによるカルシウム架橋が生じている場合、成型されるフィルムの引張強度は、エラストマーのムーニー粘度(ML(1+4)(100℃))の高さにほぼ比例することが分かっている。エポキシ架橋剤を用いず、カルシウム架橋を主たる架橋剤として用いた場合、通常、ムーニー粘度が80のエラストマーを用いたときは約15MPa、ムーニー粘度が100のエラストマーを用いたときは約20MPaの引張強度になる。したがって、ムーニー粘度が100~150のエラストマーを選択することが好ましい。
ムーニー粘度の上限は、ムーニー粘度そのものの測定限界が220であり、ムーニー粘度が高過ぎると成形加工性の問題が生じるので、概ね220である。一方、ムーニー粘度が低過ぎるエラストマーを用いた場合には引張強度が出ない。
<ディップ成形用組成物の全量に対するエラストマーの含有量>
ディップ成形用組成物は、複数種のエラストマーを組み合わせて含んでいてもよい。ディップ成形用組成物中のエラストマーの含有量は、特に限定されないが、ディップ成形用組成物の全量に対して、15~35重量%であることが好ましく、18~30重量%であることがより好ましい。
<2.エポキシ架橋剤>
エポキシ架橋剤は、以下の式(1)で表される化合物を含有するものである。
Figure 0007344279000003


式(1)において、
及びRは独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、炭素に結合した水素は置換されていてもよく、
環A及びAは、1,4-フェニレン又は1,4-シクロヘキシレンであり、
及びRは独立して、炭素数1~6のアルキレンであり、
m及びnは独立して、0~6であり、
環A及びAが1,4-フェニレンである場合、1≦m+n≦6であり、また、環A及びAが1,4-シクロヘキシレンである場合、0≦m+n≦6である。
本発明において、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも称する。
<2-1.エポキシ化合物の構造>
以下、化合物(1)の構造について説明する。
円形で囲んだA、Aの記号は、それぞれ環A、環Aに対応する。該円を横切る直線は、環上の水素が炭素や酸素などで置き換えられてもよいことを表す。主語が複数である場合に用いる「独立して」とは、それぞれの対象が同じであっても、異なっていてもよいことを意味する。
及びRは独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであるが、ポットライフを向上させる観点から、水素又は炭素数1~3であることが好ましく、水素又は炭素数1(メチル基)であることがより好ましく、炭素数1(メチル基)であることが特に好ましく、特に、R及びRがともに炭素数1(メチル基)であることが最も好ましい。
アルキルの炭素に結合した水素が置換されていてもよい置換基とは、例えば、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基等が挙げられるが、所望の反応を選択的に促進させることができる観点から、置換されていないことが好ましい。
及びRは独立して、炭素数1~6のアルキレンであるが、ポットライフを向上させる観点から、炭素数1~4のアルキレンであることが好ましく、炭素数1~3のアルキレンであることがより好ましく、-CHCH-又は-CHCH(CH)-であることが特に好ましい。
また、R及びRのアルキレンの結合の態様は、特段制限されず、直鎖でも分岐鎖でもよい。
環AおよびAは、1,4-フェニレン又は1,4-シクロヘキシレンである。これらの中でも、ポットライフの観点からは、1,4-シクロヘキシレンが好ましい。一方で、量産時において、エポキシ架橋剤を溶解させるために用い得る溶媒としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)やジエチレングリコール(DEG)が挙げられ、環AおよびAが1,4-フェニレンであるものは、MIBK及びDEGのどちらにも溶解するが、環AおよびAが1,4-シクロヘキシレンであるものは、MIBKには溶解させることができるが、DEGに溶解させることができないという観点からは、1,4フェニレンが好ましい。
m及びnは独立して、0~6であるが、ポットライフを向上させる観点から、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。また、また、環AおよびAが1,4-フェニレンである場合、1≦m+n≦6であるが、ポットライフを向上させる観点から、2≦m+n≦4であることが好ましく、2≦m+n≦3であることがより好ましく、m+n=2であることが特に好ましい。また、環AおよびAが1,4-シクロヘキシレンである場合、0≦m+n≦6であるが、ポットライフを向上させる観点から、0≦m+n≦3であることが好ましい。
上記の範囲を満たすエポキシ架橋物は、親水基が増えるため、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに比較してMIBKにも、水にも溶けやすいと考えられる。
一方、適度な親油性を有するため、親油性のラテックス粒子内に入りやすく、水との反応によるマチュレーション工程における失活を免れて、ポットライフや疲労耐久性に優れると考えられる。
<2-2.エポキシ架橋剤の特性>
<(1)MIBK/水分配率>
本発明者らは、XNBR粒子内の親油性領域でエポキシ架橋剤が失活を免れることに着目し、水よりも親油性領域に入りやすいエポキシ架橋剤を使用することで、ディップ成形用組成物に必要なポットライフを確保できることを見出した。
そして、MIBK/水分配率を基準として、一定のMIBK/水分配率の範囲内のエポキシ架橋剤を使用することでディップ成形用組成物の量産に必要なポットライフを得ることができた。
以下の測定方法により測定したエポキシ架橋剤のMIBK/水分配率は、ポットライフを向上させる観点から、通常60%以上であるが、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。上限については、エポキシ架橋剤の全量がラテックス粒子内に移行してもよいので特に設ける必要はないが、測定値は通常100%未満であり、90%未満となる場合が多い。
MIBK/水分配率測定方法:試験管に水5.0g、メチルイソブチルケトン(MIBK)5.0gおよびエポキシ架橋剤0.5gを精秤し、23℃±2℃で3分間攪拌、混合した後、1.0×10Gで10分間遠心分離し、水層とMIBK層に分離させる。次いで、MIBK層を分取、計量し、次式によりMIBK/水分配率を算出する。
MIBK/水分配率(%)=(分配後MIBK層重量(g)-分配前MIBK重量(g))/架橋剤添加重量(g)×100
上記測定を3回行い、平均値をMIBK/水分配率とする。
<(2)水溶率>
ディッピング法による手袋の量産ラインでは、通常、ディップ成形用組成物(ディップ液)が3~5日の間、変質せず使用可能にすることが必要である。
これは、ディップ液をマチュレーションした上、ディップ槽に逐次投入していく時間でありポットライフ(可使時間)という。
エポキシ架橋剤は、ディップ成形用組成物中においてpHが9~11.0のアルカリ性下でOHが触媒となり、以下の式(2)で示すように加水分解が進み、エポキシ化合物が失活してしまう。
Figure 0007344279000004

エポキシ架橋剤は、従来、主にアクリル樹脂等と合わせて使用する2液性の塗料の架橋剤として使用されていた。その使用態様では、2液を混合させてすぐに使用するため、長時間のポットライフを維持する必要はなかった。
エポキシ架橋剤は、主に水溶率90%以上のものは水性塗料用として、90%未満のものは溶剤系塗料用として使用されてきた。実際の製造現場では、水性塗料用のエポキシ架橋剤を用いる場合、エポキシ架橋剤を水と混合してすぐに使用するので、エポキシ架橋剤の弱点である加水分解による失活は問題とならなかった。
一方で、本発明者は、水系エマルションであるディップ成形用組成物に、あえて水に溶けにくいエポキシ架橋剤を使用することで、エポキシ架橋剤の水中での失活を最小限に抑え、ディップ成形用組成物に必要なポットライフを確保できることを見出した。
以下の測定方法により測定した2価エポキシ架橋剤の水溶率は、MIBK/水分配率と負の相関を示す傾向にあり、ポットライフを向上させる観点から、通常70%以下であるが、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましく、また、エポキシ架橋剤の全量がラテックス粒子に移行しても問題ないので特に下限を設けることは要しないが、測定値は通常0%を超えるが、0.01%以上であってもよく、0.05%以上であってもよく、0.1%以上であってもよい。
水溶率測定方法:ビーカーにエポキシ架橋剤を25.0g精秤し、水(25℃)を225g加え、室温(23℃±2℃)で15分間強く撹拌・混合した後、1時間静置しビーカー底部に沈殿した油状物の体積(mL)を測定し、次式により水溶率を算出する。水溶率(%)=(25.0-(油状物の体積(mL)×エポキシ架橋剤の密度(g/mL))/25.0×100
<(3)エポキシ当量>
エポキシ架橋剤のエポキシ当量は、ポットライフ及び疲労耐久性を向上させる観点から、200g/eq.以上、500g/eq.以下であることが好ましく、200g/eq.以上、400g/eq.以下であることがより好ましい。
エポキシ架橋剤のエポキシ当量は、エポキシ架橋剤の平均分子量を平均エポキシ基数で除した値であり、エポキシ基1個当たりの平均重量を示す。この値は、過塩素酸法により計測することができる。
<(4)分子量>
エポキシ架橋剤に含まれるエポキシ化合物の分子量は、水中分散性の観点から、400以上、1000以下であることが好ましく、400以上、800以下であることがより好ましい。
<2-3.エポキシ架橋剤の含有量>
エポキシ架橋剤の含有量は、エラストマー間に充分な架橋構造を導入して疲労耐久性を確保する観点から、ディップ成形用組成物におけるエポキシ架橋剤の含有量が、ディップ成形組成物に含まれるエラストマー100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、0.3重量部以上であることがより好ましく、0.4重量部以上であることが特に好ましい。一方で、添加量が過剰になるとかえってエラストマーの特性を低下させるおそれがあるので5.0重量部以下であることが好ましく、3.0重量部以下であることがより好ましく、1.0重量部以下であることが特に好ましい。
後述の実施例では、エポキシ架橋剤がわずか0.5重量部という少ない量で、厚さ80~90μm程度の薄手手袋の量産に適合したポットライフを実現している。
また、エポキシ架橋剤中のエポキシ化合物の含有量は、100重量%であることが好ましい。
<2-4.エポキシ架橋剤の製造方法>
以下、エポキシ架橋剤の製造方法について説明するが、製造方法は下記の説明の方法に限定されない。また、ビスフェノールA(単に「BPA」とも称する。)を出発物質とした製造方法の例を示すが、目的のエポキシ架橋物の構造となるように、製造条件を適宜変更することができる。
なお、エポキシ架橋剤は、市販品を用いてもよい。
<(1)アルキレンオキシド基の付加>
以下の式(3)で表されるBPAを出発物質とする。
Figure 0007344279000005

まず、上記BPAのフェノール部に、アルキレンオキシド基を付加させる。プロピレンオキシド基又はエチレンオキシド基を付加させた場合の反応例を、以下の式(4)及び(5)に示す。
Figure 0007344279000006

アルキレンオキシド基を付加させる方法は、特段制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、BPAにプロピレンオキシド基を付加させる方法としては、硫酸、塩酸、アルミナ等の酸触媒を用いる方法や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基触媒を用いる方法が挙げられる。
上記の方法を用いて1モルのBPAに2モルのプロピレンオキシド基を付加させる場合、特別な処理を行わないときは、通常、以下の式(6)及び(7)で表される2つの化合物の混合物が得られる。本実施形態では、エポキシ架橋剤として、これらの化合物の混合物を用いることができる。
Figure 0007344279000007
<(2)エポキシの付加>
次に、上記(1)で得られた化合物にエポキシ基を付加させ、目的のエポキシ化合物を得ることができる。エポキシ基を付加させる方法は、特段制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、上記(1)で得られた化合物の水酸基にエピハロヒドリンを、以下の式(8)に示すように反応させる方法が挙げられる。なお、式(8)において、上記(1)で得られた化合物の構造を簡略化し、エピクロロヒドリンを用いた場合について示している。
Figure 0007344279000008
<エポキシ化合物とXNBRのカルボキシル基との架橋反応>
エポキシ化合物とXNBRのカルボキシル基との架橋反応は、以下の式(9)に示す反応により生じる。なお、式(9)において、エポキシ化合物及びXNBRの構造を簡略化した。
Figure 0007344279000009
エポキシ化合物が架橋を形成するのは、XNBR中のカルボキシル基であり、エポキシ化合物で架橋を形成するには、最適の条件として、キュアリング工程において110℃以上で加熱し、エポキシ基の開環反応を起こさせることが挙げられる。
後述する実施例においては、プリキュアリング工程を80℃2分、キュアリング工程を130℃30分行っている。これは、0.5重量部という少量のエポキシ架橋剤で十分に架橋を進行させるための条件である。このような条件で生じたエポキシ架橋は、手袋の性能として要求される実用的な疲労耐久性を満たしていた。
また、ディップ成形用組成物に含まれるXNBR粒子内の親油性環境下で失活を免れていたエポキシ架橋剤は、フィルム前駆体となり、全体が親油環境となったとき、粒子外に突き出たXNBRのカルボキシル基と反応する。
また、環AおよびAが1,4-シクロヘキシレンである化合物は、BPAを予め水素化してから、前述した方法でアルキレンオキシド基を付加することにより製造することができる。水素化することを「水添」とも称する。
BPA水素化させる方法は、特段制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、パラジウム、プラチナ、ラジウム、ルテニウム等をアルミナに担持させた触媒の存在下でBPA溶液に水素を吹き込む方法が挙げられる。
<3.水>
本実施例のディップ組成物の水は、特段制限されず、純水や工業用水を用いることができるが、純水であることが好ましい。
ディップ組成物中の水の含有量は、手袋の厚みを調整する要因であるラテックス濃度を所定の濃度とするため設定され、特段制限されないが、通常70重量%以上、95重量%以下であることが好ましい。
<4.pH調整剤>
ディップ成形用組成物は、後述するマチュレーション工程の段階でアルカリ性に調整しておく必要がある。アルカリ性にする理由の一つは、エラストマー粒子における-COOHを-COO-として外側に配向させることにあり、これによりエポキシ架橋を十分に行うことができるようになる。さらに、酸化亜鉛のような金属架橋剤や、上述した凝固剤としてのカルシウムイオンを含有する場合に生じる金属架橋を行う場合にも、同様の理由から、アルカリ性にすることが好ましい。
好ましいpHの値は9.0以上、11.0以下であり、pHが低くなると-COOHの粒子外への配向が少なくなって架橋が不十分となり、pHが高くなり過ぎるとラテックスの安定性が悪くなる。
pH調整剤としては、アンモニア、アンモニウム化合物や、アミン化合物及びアルカリ金属の水酸化物から得られる一種以上を使用できる。これらの中でも、アルカリ金属の水酸化物を用いることが好ましく、その中でも水酸化カリウム(以下、KOHとも称する。)が最も使用しやすい。後述する実施例では、pH調整剤としてKOHを使用した。
pH調整剤の添加量は、ディップ成形用組成物中のエラストマー100重量部に対して、0.1重量部以上、4.0重量部以下であることが好ましいが、通常、工業的には、1.8重量部以上、2.0重量部以下で使用する。
<5.その他の物質>
本実施例のディップ組成物は、上記のエラストマー、エポキシ架橋剤、水、及びpH調整剤以外の物質(以下、「その他の物質」とも称する。)を含有してもよく、例えば、エポシ架橋剤の分散剤、金属架橋剤、酸化防止剤、顔料、キレート剤、保湿剤等が挙げられる。これらを添加する方法は、慣用の方法でよく、例えば、ミキサー等で混合する方法が挙げられる。
<(1)エポキシ架橋剤の分散剤>
上述したエポキシ架橋剤は、ディップ成形用組成物中において均一な分散状態に保つ必要がある。一般的に、BPAジグリシジルエーテルはラテックス溶液に溶解しにくい。本実施例に係るエポキシ化合物は、BPAジグリシジルエーテルを改質することにより、ラテックス溶液への溶解性や分散性を向上させるものであるが、これらの特性のさらなる向上を目的として、エポキシ架橋剤の分散剤を用いることが好ましい。
本発明者らは、有機溶媒を分散剤として用いてエポキシ架橋剤を溶解した上で、エラストマーへ配合することを考えた。該有機溶媒として、人体に有害でない溶媒を選別した結果、アルコール溶媒が好ましいことが分かった。
本発明者らの検討の結果、アルコール溶媒の中でも、グリセリン等の多価の低級アルコールや、高級アルコールはよい結果が得られず、以下に示すアルコール溶媒をエポキシ架橋剤の分散剤として用いることが好適であることを見出した。実生産においては、エポキシ架橋剤の分散剤は、容器に付着した架橋剤を洗浄回収して使用するのにも有用である。
エポキシ架橋剤の分散剤は、一価の低級アルコール、以下の式(11)で表されるグリコール、式(12)で表されるエーテル、式(13)で表されるエステルからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
HO-(CHCHR-O)x1-H (11)
式(11)中、Rは、水素またはメチル基を表し、x1は1~3の整数を表す。
O-(CHCHR-O)x2-R (12)
式(12)中、Rは、水素またはメチル基を表し、Rは、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、水素または炭素数1~3の脂肪族炭化水素基を表し、x2は0~3の整数を表す。
O-(CHCHR-O)x3-(C=O)-CH (13)
式(13)中、Rは、水素またはメチル基を表し、Rは、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を表し、x3は0~3の整数を表す。
一価の低級アルコールとしては、メタノール、エタノール等を挙げることができる。
式(11)で表されるグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどを挙げることができる。
式(12)で表されるエーテルのうち、グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。また、式(12)で表されるエーテルとして、x2=0のエーテルも用いることができる。
式(13)で表されるエステルとしては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
上記のエポキシ架橋剤の分散剤を用いる場合は、一種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記分散剤は、予め水と混合せずに使用することが好ましい。
上記の中でも、メタノール、エタノール、ジエチレングリコールを用いることが好ましく、揮発性、引火性の観点からジエチレングリコールを用いることが特に好ましい。
ジエチレングリコールは、親水性の高いグリコール基とエーテル構造を有すると同時に、親油性のある炭化水素構造が含まれ、水にもエラストマーにも溶けやすいので好適であると推測される。
ディップ成形用組成物における、エポキシ架橋剤と分散剤との重量比は、1:4~1:1であることが好ましい。
ディップ成形用組成物を調製する際に、水溶率が低いエポキシ架橋剤を用いる場合には、予めそのエポキシ架橋剤をエポキシ架橋剤の分散剤に溶解させた上で、ディップ成形用組成物の他の構成成分と混合することが好ましい。
<(2)その他の分散剤>
上記のエポキシ架橋剤の分散剤以外に、ディップ組成物中の原料を分散させるための分散剤を含有することができる。
分散剤としては、アニオン界面活性剤が好ましく、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸エステル、高分子化アルキルアリールスルホネート、高分子化スルホン化ナフタレン、高分子化ナフタレン/ホルムアルデヒド縮合重合体等が挙げられ、好ましくはスルホン酸塩が使用される。
分散剤には、市販品を使用することができる。例えば、BASF社製「Tamol NN9104」などを用いることができる。その使用量は、ディップ成形用組成物中のエラストマー100重量部に対し、0.5重量部以上、2.0重量部以下であることが好ましい。
<(3)金属架橋剤>
本実施例では、上記のエポキシ架橋剤によるエポキシ架橋以外の架橋を適用してもよく、例えば、金属架橋を適用することが挙げられる。
カルシウムを架橋剤として用いた場合、カルシウムが人の汗を模した人工汗液中ですぐに溶出しやすいので引張強度が低下しやすい。また、カルシウムイオンは、他の金属架橋剤である酸化亜鉛またはアルミニウム錯体に比べイオン半径が大きく有機溶媒の非透過性が不十分である。そのため、亜鉛架橋またはアルミニウム架橋によって一部のカルシウム架橋を置換しておくことは有効であると考えられる。また、酸化亜鉛またはアルミニウム錯体の量を増やすことによって引張強度、耐薬性をコントロールすることができる。特に架橋後のアルミニウムは、人工汗液のような汗を模した溶液中に非常に溶出しにくいという利点がある。
金属架橋させるための金属架橋剤として用いられる多価金属化合物は、エラストマー中の未反応のカルボキシル基等の官能基間をイオン架橋するものである。多価金属化合物としては、通常、二価金属酸化物である酸化亜鉛が用いられる。また、三価金属であるアルミニウムは、これを錯体にすることで架橋剤に用いることができる。アルミニウムは、イオン半径が上記の中で最も小さく、耐薬性、引張強度を出すには最適であるが、あまり多く添加すると手袋が硬くなり過ぎるので、その取り扱いは難しい。
金属架橋剤の添加量は、ディップ成形用組成物中のエラストマー100重量部に対して、通常0.2重量部以上、4.0重量部以下であり、0.4重量部以上、3.0重量部以下であることが好ましい。実用上の観点からは、0.9重量部以上、1.5重量部以下とすることができる。これらの含有量の範囲は、特に、二価金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、及び/またはアルミニウム錯体を用いる場合に好ましいといえる。
アルミニウムを架橋剤として使用するためには、コンパウンドするときに、中性~弱塩基性の溶液でXNBRラテックスに加える必要がある。
しかし、アルミニウム塩の水溶液は中性~弱塩基性の時は水酸化アルミニウムのゲルとなってしまい、架橋剤として用いることができない。それを解決するために、配位子として多塩基性ヒドロキシカルボン酸を用いた手法が考えられる。ここでの多塩基性ヒドロキシカルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの水溶液が利用できる。この中では、手袋の引張強度、疲労耐久性の点からはリンゴ酸が、アルミニウム水溶液の安定性の点からは、クエン酸を配位子として用いることが好ましい。
また、凝固剤としてカルシウムイオンを含むものを用いた場合、カルシウムによるイオン結合が生じる。
カルシウムは、人の汗を模した人工汗液中ですぐに溶出しやすいので引張強度が低下しやすい。また、カルシウムイオンは、他の金属架橋剤である酸化亜鉛またはアルミニウム錯体に比べイオン半径が大きく有機溶媒の非透過性が不十分である。そのため、亜鉛架橋またはアルミニウム架橋によって一部のカルシウム架橋を置換しておくことは有効であると考えられる。また、酸化亜鉛またはアルミニウム錯体の量を増やすことによって引張強度、耐薬性をコントロールすることができる。特にアルミニウムは、人工汗液中で最も溶出しにくいという利点がある。
<(4)その他の成分>
酸化防止剤として、ヒンダードフェノールタイプの酸化防止剤、例えば、WingstayLを用いることができる。
顔料としては、例えば二酸化チタンが使用される。
キレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等を使用することができる。
<6.手袋の製造方法>
本発明の別の実施形態である手袋は、以下の製造方法により好ましく製造することができる。
(1)手袋成形型を、カルシウムイオンを含む凝固剤液中に浸して、該凝固剤を手袋成形型に付着させる工程(凝固剤付着工程)、
(2)pH調整剤によりpHを9.0以上に調整した上記の実施形態に係るディップ成形用組成物を撹拌しながら分散均一化する工程(マチュレーション工程)、
(3)前記(1)の凝固剤が付着した手袋成形型を、前記(2)の工程を経たディップ成形用組成物に浸漬し、手袋成形型にディップ成形用組成物を凝固させ、膜を形成させる工程(ディッピング工程)、
(4)手袋成形型上に形成された膜をゲル化し、硬化フィルム前駆体を作る工程であり、21℃から120℃までの温度で20秒以上の条件で放置する工程(ゲリング工程)、
(5)手袋成形型上に形成された硬化フィルム前駆体から不純物を除去する工程(リーチング工程)、
(6)前記リーチング工程の後に、手袋の袖口部分に巻きを作る工程(ビーディング工程)、
(7)硬化フィルム前駆体を最終的に70℃以上、150℃以下で、10分~30分間加熱・乾燥し、硬化フィルムを得る、工程(キュアリング工程)、
を含み、上記(3)~(7)の工程を上記の順序で行う手袋の製造方法である。
また、上記(6)と(7)の工程の間に、前記硬化フィルム前駆体を(7)の工程の温度よりも低温で加熱・乾燥する工程(プリキュアリング工程)をさらに含んでもよい。
また、上記の製造方法において、上記(3)(4)の工程を2回繰り返す、いわゆるダブルディッピングによる手袋の製造方法も含む。
本明細書において、硬化フィルム前駆体とは、ディッピング工程で凝固剤により手袋成形型上に凝集されたエラストマーから構成される膜であり、続くゲリング工程において該膜中にカルシウムが分散してある程度ゲル化された膜であって、最終的なキュアリングを行う以前のものを指す。
以下、各工程ごとに詳細を説明する。
<(1)凝固剤付着工程>
(a)手袋成形型を、凝固剤及びゲル化剤としてCa2+イオンを5~40重量%、好ましくは8~35重量%含む凝固剤溶液中に浸す。ここで、手袋成形型の表面に凝固剤等を付着させる時間は適宜定められ、通常、10~20秒間である。凝固剤としては、カルシウムの硝酸塩又は塩化物が用いられる。エラストマーを析出させる効果を有する他の無機塩を用いてもよい。中でも、硝酸カルシウムを用いることが好ましい。この凝固剤は、通常、5~40重量%含む水溶液として使用される。
また、凝固剤を含む溶液は離型剤としてステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、鉱油、又はエステル系油等を0.5~2重量%、例えば1重量%程度含むことが好ましい。
(b)凝固剤溶液が付着した手袋成形型を炉内温度110℃~140℃のオーブンに1~3分入れ、乾燥させ手袋成形型の表面全体又は一部に凝固剤を付着させる。この時注意すべきは、乾燥後の手型の表面温度は60℃程度になっており、これが以降の反応に影響する。
(c)カルシウムは、手袋成形型の表面に膜を形成するための凝固剤機能としてばかりでなく、最終的に完成した手袋の相当部分の架橋機能に寄与している。後で添加される金属架橋剤は、このカルシウムの架橋機能の弱点を補強するためのものともいえる。
<(2)マチュレーション工程>
(a)ディップ成形用組成物のpH調整剤の項目で説明したように、本発明の実施形態にかかるディップ成形用組成物をpH9.0以上に調整し、攪拌する工程である。この工程により、ディップ成形用組成物中の成分が分散・均一化すると考えられる。
(b)実際の手袋の製造工程においては、通常大規模なタンクで本工程を行うため、マチュレーションにも24時間程度かかることがある。これをディップ槽に流し、ディッピングしていくがディップ槽の水位が下がるのに応じて継ぎ足していく。そのため、エポキシ架橋剤は好ましくは5日程度、最低でも3日程度は失活しないようにしておく必要がある。
ディップ槽においては、使用時間に従いpHが下がる傾向があるが工場によっては調整するところもある。
<(3)ディッピング工程>
前記マチュレーション工程で、攪拌・均一化させた上記の実施形態に係るディップ成形用組成物(ディップ液)をディップ槽に流し入れ、このディップ槽中に上記凝固剤付着工程で凝固剤を付着、乾燥した後の手袋成形型を通常、1~60秒間、25~35℃の温度条件下で浸漬する工程である。
この工程で凝固剤に含まれるカルシウムイオンにより、ディップ成形用組成物に含まれるエラストマーを手袋成形型の表面に凝集させて膜を形成させる。
<(4)ゲリング工程>
(a)ゲリングは、ディッピング工程で手袋成形型上に形成された膜をゲル化させて、次のリーチング工程の水洗でラテックスが流出するのを防ぐもので、通常、室温21℃~120℃近くの温度範囲内で20秒間以上、手袋成形型をディップ槽から上げて放置しておけばよい。時間の上限を設けることは特に要しない。
(b)一般量産においてエポキシ架橋剤を使用する際のゲリング条件は、すでに手袋成形型がある程度の温度を有していることや、工場内の周囲温度が50℃程度である場合が多いことなどから定められたものである。さらに、ゲリング工程の温度の上限については、品質を上げるため、あえて加熱するケースも想定したものである。
また、ゲリング工程の時間については、通常30秒~5分を挙げることができ、別の態様では1~3分程度を挙げることができる。上限は、生産効率上の要請によるものである。
<(5)リーチング工程>
(a)リーチング工程は、硬化フィルム前駆体の表面に析出したカルシウム等の後のキュアリングに支障となる余剰な薬剤や不純物を水洗除去する工程である。通常は、手袋成形型を30~70℃の温水に1~5分程度くぐらせている。
(b)金属架橋剤として酸化亜鉛及び/又はアルミニウム錯体をディップ成形用組成物が含む場合、リーチング工程のもう1つの役割は、それまでアルカリ性に調整していた硬化フィルム前駆体を水洗して中性に近づけ、硬化フィルム前駆体中に含まれている酸化亜鉛又はアルミニウム錯イオンをZn2+、Al3+にし、後のキュアリング工程で金属架橋を形成できるようにすることである。
<(6)ビーディング工程>
リーチング工程が終了した硬化フィルム前駆体の手袋の袖口端部を巻き上げて適当な太さのリングを作り、補強する工程である。リーチング工程後の湿潤状態で行うと、ロール部分の接着性がよい。
<(7)プリキュアリング工程>
(a)前記ビーディング工程の後、硬化フィルム前駆体を後のキュアリング工程よりも低温で加熱・乾燥する工程である。通常、この工程では60~90℃で30秒間~5分間程度、加熱・乾燥を行う。プリキュアリング工程を経ずに高温のキュアリング工程を行うと、水分が急激に蒸発し、手袋に水膨れのような凸部ができて、品質を損なうことがあるが、本工程を経ずにキュアリング工程に移行してもよい。
(b)本工程を経ずに、キュアリング工程の最終温度まで温度を上げることもあるが、キュアリングを複数の乾燥炉で行いその一段目の乾燥炉の温度を若干低くした場合、この一段目の乾燥はプリキュアリング工程に該当する。
<(8)キュアリング工程>
(a)キュアリング工程は、高温で加熱・乾燥し、最終的に架橋を完成させ、手袋としての硬化フィルムにする工程である。エポキシ架橋剤による手袋は、高温でないと架橋が不十分となるので、通常100~150℃で10~30分、好ましくは15~30分程、加熱・乾燥させる。ただし、本発明の実施形態では離水性の高いXNBRを使用するので、90℃、さらに70℃程度まで温度を下げても架橋が形成される。したがって、キュアリング工程の温度は、70~150℃を挙げることができる。キュアリング工程の好ましい温度としては、100~140℃を挙げることができる。
(b)このキュアリング工程において、手袋の架橋は完成するが、この架橋はXNBRのカルボキシル基とカルシウム、エポキシ架橋剤と、金属架橋剤として酸化亜鉛及び/またはアルミニウム錯体を添加する場合には、亜鉛および/またはアルミニウムとの架橋、から形成されている。
<(9)ダブルディッピング>
手袋の製造方法について、上記ではいわゆるシングルディッピングの説明を行った。これに対し、ディッピング工程とゲリング工程を2回以上行うことがあり、これを通常ダブルディッピングという。
ダブルディッピングは、厚手手袋(膜厚200~300μm程度)を製造するときや、薄手手袋の製造方法においても、ピンホールの生成防止等の目的で行われる。
ダブルディッピングの注意点としては、2回目のディッピング工程において、XNBRを凝集させるために、1回目のゲリング工程において、カルシウムを十分膜表面にまで析出させておくためのゲリング工程の十分な時間を必要とすることが挙げられる。
従来のエポキシ架橋剤を用いた手袋の製造にあたっては、小さなマチュレーションタンクで短時間にマチュレーションを行い、すぐにディッピングを行い、エポキシ架橋剤を用いた手袋を製造せざるを得なかった。
これに対し、本発明においては、MIBK/水分配率が60%以上の2価エポキシ架橋剤を使用したディップ成形用組成物が、3日以上のポットライフ(マチュレーション工程からディッピング工程終了までの可使時間)を持つので、現状の量産における上記製造方法によって少ないエポキシ架橋剤の添加量で、高い疲労耐久性を持ち、かつ必要な引張強度を持つ手袋を量産できるようになった。
<7.手袋>
<(1)手袋の構造>
本発明の別の実施形態である手袋の第1の態様は、上記の手袋の製造方法により製造された手袋である。
また、本発明の別の実施形態である手袋の第2の態様は、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位、不飽和カルボン酸由来の構造単位及びブタジエン由来の構造単位をポリマー主鎖に含むエラストマーの硬化フィルムからなる手袋であって、前記エラストマーは不飽和カルボン酸由来の構造単位が有するカルボキシル基と、改変BPAを母骨格とするMIBK/水分配率が60%以上の2価エポキシ架橋剤との架橋構造、及び凝固剤由来のカルシウムとカルボキシル基との架橋構造も有している。
この手袋は、好ましくは上述の本実施形態のディップ成形用組成物を用いて製造することができる。エラストマーは、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位が20~40重量%、不飽和カルボン酸由来の構造単位が1~10重量%、及びブタジエン由来の構造単位が50~75重量%であることが好ましい。
また、上記の実施形態である手袋の第3態様は、上記の架橋構造に加え、エラストマーのカルボキシル基と、亜鉛および/またはアルミニウムとの架橋構造を持つものである。
上記の手袋の第2の態様は、特に厚手(膜厚200~300μm)の手袋を製造する場合や、エポキシ架橋剤の添加量が多い場合に有効である。これらの場合には、金属架橋剤を使用しなくても引張強度、疲労耐久性等を出せるからである。
上記の手袋の第3の態様は、カルシウム架橋の弱点を、亜鉛および/またはアルミニウム架橋で補ったものである。カルシウム架橋は、初期性能としての強度は維持できるものの、塩水中でのカルシウムの溶出による強度低下を起こしやすく、薬品を透過しやすいという欠点を亜鉛および/またはアルミニウム架橋で補うことができる。
また、上記の手袋の第1~3の態様は、特に疲労耐久性が要求される0.04~0.20mm(好ましくは0.04~0.15mm)(超薄手~薄手)の手袋に好ましく利用することができる。
<(2)本発明の実施形態にかかる手袋の特徴>
(a)本発明の実施形態にかかる手袋は、他の加硫促進剤フリーの手袋と同じく、従来のXNBR手袋のように硫黄及び加硫促進剤を実質的に含まないので、IV型アレルギーを生じさせないことが最大の特徴である。ただし、エラストマー製造時の界面活性剤等に硫黄が含まれているため、ごく微量の硫黄は検出されることがある。
(b)一般に、手袋の物性としては、引張強度、伸び率、疲労耐久性をみるのが通常である。本発明では、手袋の通常の合格基準として、引張強度について、現在市場に出ている実製品の下限値である20MPaを設定している。
手袋の伸びについては、後述する引張試験時の破断時伸び率が500~750%、100%モジュラス(伸び100%時における引張応力)が、3~10MPaの範囲内、破断時の引張応力が、20MPa以上、疲労耐久性については指股部分で90分以上(手のひらでは240分以上に相当)が合格基準である。上述した合格ラインは、この手のひらの合格基準を採用したものである。また、破断時の引張応力について、特に上限を設ける必要はないが、使用するエラストマーの性能限界から、通常80MPa以下である。また、疲労耐久性は、その数値が大きいほど優れており、特に上限を設ける必要はなく、1500分計測を続けても破断しない場合もある。
上記の実施形態は、ディップ成形用組成物のポットライフに3~5日間必要とする量産時においても満たすものである。さらに、本発明の実施形態にかかる手袋は、その他の2価エポキシ架橋剤を使用した手袋と比較しても高い疲労耐久性を持つものである。
疲労耐久性は、長さ120mmのJIS K6251の1号ダンベル試験片を硬化フィルムから作製し、その下部を固定して長さ60mmまで人工汗液に浸漬した状態で試験片の上部を引張り、長さ方向に最大195mm、最小147mmの間で、伸長と緩和を繰り返して、試験片が破れるまでの時間で示されるものである。伸長(195mm)と緩和(147mm)は、緩和状態で11秒間保持したのち、1.8秒間で195mmに伸長させて147mmに戻す、というサイクル(1サイクル12.8秒)を繰り返すことにより行うことができる。
より詳細には、ゴム製品の引張試験等を実施する場合と同様にダンベル形状の試験片を用いて、図1に示すような装置を用いて疲労耐久性試験を行うことができる。図1(a)に示すとおり、試験片の下端部をクランプで固定して、60mmまでを人工汗液に浸漬する。試験片の上端部を挟み、空気圧ピストンを用いて図1(b)の緩和状態→図1(c)の伸長状態→図1(b)の緩和状態となるように上下に伸縮させ、この図1(b)→図1(c)→図1(b)の伸び縮みを1サイクルとして、破れるまでのサイクル数と時間を測定することにより評価する。試験片が破れると、光電センサーが反応して装置が止まる仕組みになっている。
引張強度(MPa)は、硬化フィルムからJIS K6251の5号ダンベル試験片を切り出し、A&D社製のTENSILON万能引張試験機RTC-1310Aを用い、試験速度500mm/分、チャック間距離75mm、標線間距離25mmで測定される。
(d)上記の手袋の第3の形態の製造に用いるディップ成形用組成物には、さらに亜鉛および/またはアルミニウム等の金属架橋剤を添加しているが、これによって装着時の人の汗による強度低下を防ぎ、薬品非透過性を強化した手袋が得られる。
(e)本発明の実施形態における1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含み、MIBK/水分配率が60%以上のエポキシ架橋剤を使用して作った手袋は、従来のエポキシ架橋剤のポットライフが短いという課題を解決したと同時に、その他のポットライフの短い2価のエポキシ架橋剤による手袋と比較しても高い疲労耐久性を持つ手袋である。
<1.実施方法>
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「重量%」であり、「部」は「重量部」である。
また、以下の説明において「重量部」は、原則としてエラストマー100重量部に対しての重量部数を示す。
各添加剤の重量部数は固形分量によるものであり、エポキシ架橋剤の重量部数については架橋剤の総重量によるものである。
また、ポットライフはディップ成形用組成物の調製時にエポキシ架橋剤を添加してから、手型にディップ成形用組成物を付着させるまでの時間を基準に求めるものである。また、ディップ成形用組成物に使用したXNBRとエポキシ架橋剤の種類については、各表に記載している。
<(1)使用したXNBR>
本実験例で用いたXNBRは、下記の特性を有するNL120H(韓国LGケム社製)を使用した。
・固形分量: 45重量%
・残基量: アクリロニトリル28重量%、メタクリル酸4.7重量%
・ムーニー粘度(ML(1+4)100℃): 105
・MBK不溶解分量: 5.7重量%
本実験例で用いたXNBRの特性は、次のようにして測定した。
<アクリロニトリル(AN)残基量及び不飽和カルボン酸(MMA)残基量>
上記各エラストマーを乾燥して、フィルムを作製した。該フィルムをFT-IRで測定し、アクリロニトリル基に由来する吸収波数2237cm-1とカルボン酸基に由来する吸収波数1699cm-1における吸光度(Abs)を求め、アクリロニトリル(AN)残基量及び不飽和カルボン酸(MMA)残基量を求めた。
アクリロニトリル残基量(%)は、予め作成した検量線から求めた。検量線は、各エラストマーに内部標準物質としてポリアクリル酸を加えた、アクリロニトリル基量が既知の試料から作成したものである。不飽和カルボン酸残基量は、下記式から求めた。
不飽和カルボン酸残基量(重量%)=[Abs(1699cm-1)/Abs(2237cm-1)]/0.2661
上式において、係数0.2661は、不飽和カルボン酸基量とアクリロニトリル基量の割合が既知の、複数の試料から検量線を作成して求めた換算値である。
<ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)>
硝酸カルシウムと炭酸カルシウムとの4:1混合物の飽和水溶液200mlを室温にて攪拌した状態で、各エラストマーラテックスをピペットにより滴下し、固形ゴムを析出させた。得られた固形ゴムを取り出し、イオン交換水約1Lでの攪拌洗浄を10回繰り返した後、固形ゴムを搾って脱水し、真空乾燥(60℃、72時間)して、測定用ゴム試料を調製した。得られた測定用ゴムを、ロール温度50℃、ロール間隙約0.5mmの6インチロールに、ゴムがまとまるまで数回通したものを用い、JIS K6300-1:2001「未加硫ゴム-物理特性、第1部ムーニー粘度計による粘度およびスコ-チタイムの求め方」に準拠して、100℃にて大径回転体を用いて測定した。
<MEK不溶解分量>
MEK(メチルエチルケトン)不溶解(ゲル)成分は、次のように測定した。0.2gのXNBRラテックス乾燥物試料を、重量を測定したメッシュ籠(80メッシュ)に入れて、籠ごと100mLビーカー内のMEK溶媒80mL中に浸漬し、パラフィルムでビーカーに蓋をして、24時間、ドラフト内で静置した。その後、メッシュ籠をビーカーから取り出し、ドラフト内にて宙吊りにして1時間乾燥させた。これを、105℃で1時間減圧乾燥したのち、重量を測定し、籠の重量を差し引いて、XNBRラテックス乾燥物の浸漬後重量とした。
MEK不溶解成分の含有率(不溶解分量)は、次の式から算出した。
不溶解成分含有率(重量%)=(浸漬後重量g/浸漬前重量g)×100
なお、XNBRラテックス乾燥物試料は、次のようにして作製した。すなわち、500mLのボトル中で、回転速度500rpmでXNBRラテックスを30分間攪拌したのち、180×115mmのステンレスバットに14gの該ラテックスを量り取り、23℃±2℃、湿度50±10RH%で5日間乾燥させてキャストフィルムとし、該フィルムを5mm四方にカットして、XNBRラテックス乾燥物試料とした。
<(2)使用したエポキシ架橋剤>
実施例において使用したエポキシ架橋剤の構造は、下記の表1のとおりである。なお、製造者に記載の「共栄社」は共栄社化学(株)であり、「ナガセ」はナガセケムテックス(株)であり、「日本触媒」は(株)日本触媒である。
Figure 0007344279000010
実施例において使用したエポキシ架橋剤の特性は、下記の表2のとおりである。
Figure 0007344279000011
なお、エポキシ当量は各社カタログ値によるものであり、MDR013~016については計算値である。
<MIBK/水分配率>
メチルイソブチルケトン(MIBK)/水分配率(%)は、ラテックス液中と類似した環境でエポキシ架橋剤がどれほどMIBK層へ移動するかを確認するために計測した値である。
有機層としてMIBKを用いたのは、ラテックスの物性がメチルエチルケトン(MEK)と類似しているため、MEKと性質が近く、かつ水への溶解性がMEKより低く、層の分離がはっきりできると考えられたためである。
MIBK/水分配率は以下の手順で測定可能である。
(1)ホールねじ口試験管(マルエム社製φ16.5×105×φ10.0 12mL NR-10H)に純水5.0g、メチルイソブチルケトン(MIBK)5.0gを正確に秤量し、架橋剤試料0.5gを加え室温(23±2℃)で攪拌(3分間)し、よく混合させる。
(2)遠心分離機(株式会社コクサン製、卓上遠心分離機H-103N)に3000rpm、10分の条件(1.0×103G)でかけ、水層とMIBK層に分離させる。
(3)分離したMIBK層をパスツールピペットで、ディスポカップに分取、計量する。
(4)次式でMIBK/水分配率を算出する。
MIBK/水分配率(%)=(分配後MIBK層重量(g)-分配前MIBK重量(g))/(架橋剤添加重量(g))×100
(5)この計測を3回行い、平均値を算出し、MIBK/水分配率の数値とした。なお、手順(2)の攪拌時には、ボルテックスミキサー(Scientifi Industries, Inc454.製、スタンダードモデル、VORTEX-GENIE 2 Mixer)を使用した。
<水溶率>
水溶率(%)は、各エポキシ架橋剤の水溶性をみるために計測した値である。水溶率は以下の手順で測定可能である。
(1)ビーカーに架橋剤組成物を25.0g精秤する。
(2)25℃の水を225g加えて、マグネティックスターラーで15分間、室温で強く撹拌する。
(3)室温で1時間静置後に底部に沈殿した油状物の体積(mL)を測定する。
(4)次式で水溶率を算出する。
水溶率(%)=(25.0(g)-(油状物の体積(mL)×架橋剤組成物の密度(g/mL))/25.0×100
比較例1のBPAジグリシジルエーテル(BPA328)は、流動性のない化合物で、水には全く溶けない(水溶率0%)。MIBK/水分配率は30%であるが、MIBKに分配されなかった部分は器壁に付着した状態となり、MIBKに難溶であった。また、ジエチレングリコール(DEG)への溶解も確認したところ、DEGには不溶であった。また、本実験例は小スケールの実験装置で行っているので、フィルムの作製が可能だが、実生産用の大スケールの設備では、取扱いが困難であり、ディップ組成物への分散ができず使用できないと考えられる。
これに対し、実施例1~4のBPAにプロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイドを付加した架橋剤は、流動性がよく、MIBK及びDEGに可溶であり、水にもわずかに溶けた。MIBK/水分配率は78%(実施例4)~86%(実施例1)の範囲であった。
実施例5の水添BPAジグリシジルエーテル(エポライト4000)は、実施例1~4の架橋剤に比べると流動性が悪くハチミツ状であり、MIBKには溶けるがDEGには溶けにくいことが分かった。したがって、実生産における使用では、プロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイド付加物の方が好ましい。
<(3)硬化フィルムの作製と評価>
[硬化フィルムの作製]
<ディップ成形用組成物の調製>
表1に記載のXNBR溶液250gに、水100gを加えて希釈し攪拌を開始した。その後、5重量%水酸化カリウム水溶液を使用して予備的にpH9.2~9.3に調整した。
表2に示す各種エポキシ架橋剤0.5重量部を、水溶率が90%未満のものはジエチレングリコール0.5重量部と混合してから、90%以上のものは混合せずそのまま加えた。
さらに、酸化防止剤0.2重量部(Farben Technique(M)社製、「CVOX-50」(固形分53%))、酸化亜鉛1.0重量部(Farben Technique(M)社製、商品名「CZnO-50」)及び酸化チタン1.5重量部(Farben Technique(M)社製、「PW-601」(固形分71%))を添加し、終夜(16時間)撹拌混合した。その後、5重量%水酸化カリウム水溶液を使用してpHを10~10.5に調整した後、ディップ成形用組成物の固形分濃度を、水を加えて22%に調整し、使用するまでビーカー内で撹拌を続けた。
なお、固形分濃度は凝固液のカルシウム濃度と組み合わせ、フィルムの膜厚を調整するためのもので、この場合の固形分濃度22%は、凝固液のカルシウム濃度20%とによってフィルムの膜厚を80μmに調整できる。
本実施例における1日目のフィルムは、エポキシ架橋剤を加えてから24時間後にディッピングしたフィルムである。
なお、実施例によって上記条件の一部を変更するときは、実施例ごとにその条件を記載する。
<凝固液の調製>
ハンツマン社(Huntsman Corporation)製の界面活性剤「Teric 320」0.56gを水42.0gに溶解した液に、離型剤としてCRESTAGE INDUSTRY社製「S-9」(固形分濃度25.46%)19.6gを、あらかじめ計量しておいた水30gの一部を用いて約2倍に希釈した後にゆっくり加えた。容器に残ったS-9を残った水で洗い流しながら全量を加え、3~4時間撹拌し、S-9分散液を作製する。
別のビーカーに硝酸カルシウム四水和物143.9gを水153.0gに溶解させたものを用意し、撹拌しながら、先に調製したS-9分散液を硝酸カルシウム水溶液に加えた。
5%アンモニア水でpHを8.5~9.5に調整し、最終的に硝酸カルシウムが無水物として20%、S-9が1.2%の固形分濃度となるように水を加え、500gの凝固液を得た。得られた凝固液は、使用するまで1Lビーカーで撹拌を継続した。
<陶板への凝固剤付着>
上記凝固液を撹拌しながら50℃程度に加温し、200メッシュのナイロンフィルターでろ過した後、浸漬用容器に入れ、洗浄後70℃に温めた陶製の板(200×80×3mm、以下「陶板」とも称する。)を浸漬した。具体的には、陶板の先端が凝固液の液面に接触してから、陶板の先端から18cmの位置までを4秒かけて浸漬させ、浸漬したまま4秒間保持し、3秒間かけて抜き取った。速やかに陶板表面に付着した凝固液を振り落し、陶板表面を乾燥させた。乾燥後の陶板は、ディップ成形用組成物(ラテックス)浸漬に備えて、再び70℃まで温めた。
<硬化フィルムの製造>
表1のXNBRと表2の各エポキシ架橋剤を用いて、ディップ成形用組成物(ラテックス)へのエポキシ架橋剤の投入から一定の間隔24時間(1日)ごとに区切った経過時間ごとに硬化フィルムを作製した。
具体的には、ディップ成形用組成物を室温のまま200メッシュナイロンフィルターでろ過した後、浸漬用容器に入れ、上記の凝固液を付着させた70℃の陶板を浸漬した。
具体的には陶板を6秒かけて浸漬し、4秒間保持し、3秒間かけて抜き取った。ラテックスが垂れなくなるまで空中で保持し、先端に付着したラテックス滴を軽く振り落した。
陶板上に凝集し膜を形成した、硬化フィルム前駆体を80℃2分間で乾燥させ(ゲリング工程)、50℃の温水で2分間リーチングした。
その後70℃で5分間乾燥させ、130℃で30分間熱硬化させた。
得られた硬化フィルムを陶板からきれいに剥がし、物性試験に供するまで、23℃±2℃、湿度50%±10%の環境で保管した。
なお、実施例によって上記条件の一部を変更するときは、その実施例ごとにその条件を記載する
[硬化フィルムの評価]
<引張強度、引張伸び率>
硬化フィルムからJIS K6251の5号ダンベル試験片を切り出し、A&D社製のTENSILON万能引張試験機RTC-1310Aを用い、試験速度500mm/分、チャック間距離75mm、標線間距離25mmで、引張強度(MPa)を測定した。引張伸び率は、以下の式に基づき求めた。
引張伸び率(%)=100×(引張試験での破断時の標線間距離-標線間距離)/標線間距離
<疲労耐久性>
硬化フィルムからJIS K6251の1号ダンベル試験片を切り出し、これを、人工汗液(1リットル中に塩化ナトリウム20g、塩化アンモニウム17.5g、乳酸17.05g、酢酸5.01gを含み、水酸化ナトリウム水溶液によりpH4.7に調整)中に浸漬して、上述の耐久性試験装置を用いて疲労耐久性を評価した。
すなわち、長さ120mmのダンベル試験片の2端部からそれぞれ15mmの箇所を固定チャック及び可動チャックで挟み、固定チャック側の試験片の下から60mmまでを人工汗液中に浸漬した。可動チャックを、147mm(123%)となるミニマムポジション(緩和状態)に移動させて11秒間保持したのち、試験片の長さが195mm(163%)となるマックスポジション(伸長状態)と、再びミニマムポジション(緩和状態)に1.8秒間かけて移動させ、これを1サイクルとしてサイクル試験を行った。1サイクルの時間は12.8秒間であり、試験片が破れるまでのサイクル数を乗じて、疲労耐久性の時間(分)を得た。
<2.実験例>
本実験例は、各エポキシ架橋剤の水溶率またはMIBK/水分配率とディップ成形用組成物のポットライフの相関性を検証したものである。
なお、ディップ成形用組成物のポットライフについては、以下の手順で求めた。ポットライフは「日」単位である。各エポキシ架橋剤を用いて、ディップ成形用組成物を調製し、攪拌しながら蔵置し、1日経過ごとに硬化フィルムを作製した。ディップ成形用組成物の蔵置経過日数に関しては、硬化フィルムの疲労耐久性の合格ラインである240分を下回る日(最終合格日の翌日)まで計測した。その最終合格日までの蔵置経過日数をポットライフとする。本実験例では、最長の蔵置経過日数として7日まで実験を行った。
ポットライフが3日以上のディップ成形用組成物を用いた場合、各硬化フィルムの1日目と最終合格日でのそれぞれのディップ成形用組成物を用いて作製した硬化フィルムは、合格基準である引張強度20MPa以上、破断時伸び率500~750%、100%モジュラス3~10MPaの範囲に入っていた。
本実験例において、XNBRはNL120Hを使用し、エポキシ架橋剤は0.5重量部でフィルム膜厚は80μmで統一し、上記の硬化フィルムの作製方法にしたがってフィルムを作製し、性能を評価した。なお、水溶率90%未満のエポキシ架橋剤(実施例の架橋剤はすべて含まれる)について分散剤としてジエチレングリコールを使用している。
疲労耐久性の数値は、フィルムn=2またはn=3の平均値である。以下の表3にその実験結果を示す。
Figure 0007344279000012
図2及び3は、表3の実験のポットライフとMIBK/水分配率、水溶率の関係を示したグラフである。
また、図2及び3において、実施例1~5及び比較例1~5を、それぞれ、E1~5及びC1~5と表記する。
表3に示すように、実験例1の結果をみると、本実施形態に係るエポキシ架橋剤を用いた実施例1~5では、ポットライフが3日以上となる。比較例1のBPAジグリシジルエーテル(BPA328)も3日のポットライフが得られるが、前述のように、MIBKやDEGへの溶解性の観点から、工場の大スケールの設備で使用には不適である。比較例2~4のポットライフについては、MIBK/水分配率が57%と比較的高い比較例2で2日、5%以下の比較例4、5では2日に達しなかった。
実施例において3日以上のポットライフが得られたのは、エポキシ架橋剤が適度の親油性を有し、ラテックス粒子内に入りやすく、水との反応による失活が少なかったためと考えられる。実施例1~5の中でも、ポットライフには3~7日の開きがある。実施例1~3の比較から、疲労耐久性の観点からは、BPAに付加させるプロピレンオキサイドの数が少ない方が好ましいことが分かった。MIBK/水分配率が高いほど、また水溶率が低いほどポットライフが伸びる傾向にあるので、上記の理由はラテックス粒子への入りやすさにあると考えられる。
また、実施例3及び4の比較から、疲労耐久性の観点からは、BPAに付加させるアルキレンオキサイドは、プロピレンオキサイドよりもエチレンオキサイドの方が好ましいことが分かった。本実験では架橋剤添加量を重量ベースで合わせているので、エポキシ当量の小さい実施例4の架橋剤の方がモル数ベースでは添加量が多かったためであると考える。
図2は、ポットライフとエポキシ架橋剤のMIBK/水分配率との関係を図示したものである。図2中の太線の四角で囲まれた範囲は、すべての実施例がMIBK/水分配率60~100%、かつ、ポットライフ3日以上の範囲にあることを示す。また、図3は、エポキシ架橋剤の水溶率とポットライフの関係を図示したものである。図3中の太線の四角で囲まれた範囲は、すべての実施例が水溶率0~60%、かつ、ポットライフ3日以上の範囲にあることを示す。
以上の結果をまとめると、BPAジグリシジルエーテルの難溶性は、プロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイドの付加、または水添でBPAを修飾した結果改善された。これらの架橋剤を含むディップ成形用組成物は、3日以上のポットライフを有するので、手袋の実生産に好ましく使用できるものであることが示された。

Claims (8)

  1. (メタ)アクリロニトリル由来の構造単位、不飽和カルボン酸由来の構造単位、及びブタジエン由来の構造単位をポリマー主鎖に含むエラストマーと、エポキシ架橋剤と、水、及びpH調整剤とを少なくとも含むディップ成形用組成物であって、
    さらに、酸化亜鉛を含み、
    前記エラストマー100重量部に対して、前記エポキシ架橋剤の含有量が0.4重量部以上、1.0重量部以下であり、前記酸化亜鉛の含有量が0.4重量部以上、1.5重量部以下であり、
    前記エラストマーにおいて、(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位が20~40重量%、不飽和カルボン酸由来の構造単位が1~10重量%、及びブタジエン由来の構造単位が50~75重量%であり、
    pHが9.0以上、11.0以下であり、
    前記エポキシ架橋剤は、以下の式(1)で表される化合物を含有するものである、ディップ成形用組成物。
    Figure 0007344279000013


    式(1)において、
    及びRは独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであり、このアルキルにおいて、炭素に結合した水素は置換されていてもよく、
    環A及びAは、1,4-フェニレン又は1,4-シクロヘキシレンであり、
    及びRは独立して、炭素数1~6のアルキレンであり、
    m及びnは独立して、0~6であり、
    環A及びAが1,4-フェニレンである場合、1≦m+n≦6であり、また、環A
    及びAが1,4-シクロヘキシレンである場合、0≦m+n≦6である。
  2. 前記エポキシ架橋剤の下記測定方法によるMIBK/水分配率が60%以上である、請求項1に記載のディップ成形用組成物。
    MIBK/水分配率測定方法:試験管に水5.0g、メチルイソブチルケトン(MIBK)5.0gおよびエポキシ架橋剤0.5gを精秤し、23℃±2℃で3分間攪拌、混合した後、1.0×10Gで10分間遠心分離し、水層とMIBK層に分離させる。次いで、MIBK層を分取、計量し、次式によりMIBK/水分配率を算出する。
    MIBK/水分配率(%)=(分配後MIBK層重量(g)-分配前MIBK重量(g))/架橋剤添加重量(g)×100
    上記測定を3回行い、平均値をMIBK/水分配率とする。
  3. 前記エポキシ架橋剤のエポキシ当量が200~400g/eq.である、請求項1又は2に記載のディップ成形用組成物。
  4. 前記式(1)において、R及びRがメチル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物。
  5. 前記式(1)において、R及びRが独立して、-CHCH-又は-CHCH(CH)-である、請求項1~4のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物。
  6. 前記式(1)において、m+n=2である、請求項1~5のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物。
  7. 製造工程のマチュレーション工程開始からディッピング工程開始までの可使時間(ポットライフ)が、3日以上である、請求項1~のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物。
  8. (1)手袋成形型を、カルシウムイオンを含む凝固剤液中に浸して、該凝固剤を手袋成形型に付着させる工程、
    (2)pH調整剤によりpHを9.0以上、11.0以下に調整した請求項1~7のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物を撹拌しながら分散均一化する工程(マチュレーション工程)、
    (3)前記(1)の凝固剤が付着した手袋成形型を、前記(2)の工程を経たディップ成形用組成物に浸漬し、手袋成形型にディップ成形用組成物を凝固させ、膜を形成させるディッピング工程、
    (4)手袋成形型上に形成された膜をゲル化し、硬化フィルム前駆体を作る工程であり、21℃から120℃までの温度で20秒以上の条件で放置するゲリング工程、
    (5)手袋成形型上に形成された硬化フィルム前駆体から不純物を除去するリーチング工程、
    (6)前記リーチング工程の後に、手袋の袖口部分に巻きを作るビーディング工程、
    (7)硬化フィルム前駆体を最終的に70℃以上150℃以下で、10分~30分間加熱・乾燥し、硬化フィルムを得る、キュアリング工程、
    を含み、上記(3)~(7)の工程を上記の順序で行う、手袋の製造方法。
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