JP7344086B2 - 光電変換素子及びその製造方法並びに積層型撮像素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子及びその製造方法並びに積層型撮像素子に関し、特に、可視光全域に感度を有し、光電変換部が結晶セレン膜からなる光電変換素子に関する。
近年、映像システムの高精細化が急速に進み、撮像素子においては画素の微細化に伴い感度の低下が技術課題となっている。そこで、光電変換部に高い吸収特性を有する光電変換素子を適用した積層型撮像デバイスによるカメラの高感度化技術の研究が進められている。
可視光用の高感度カメラを実現するためには、光電変換素子が可視光全域に高い感度(外部量子効率)を有することが求められる。結晶セレン膜はバンドギャップエネルギーが約1.8eVであり、可視光全域に感度を有する材料として有望である。結晶セレン膜を光電変換部に用いた光電変換素子としては、結晶セレン膜と導電性金属酸化物であるITO膜とのショットキー接合を用いたもの、結晶セレン膜と半絶縁性金属酸化物とのpn接合を用いたものなどが報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1)。
そして、pn接合を用いた光電変換素子として、p型である結晶セレン膜とn型であって半絶縁性金属酸化物である酸化ガリウム膜とを接合したpn接合型の光電変換素子が報告されている。この光電変換素子は、酸化ガリウムの大きなバンドギャップエネルギーを利用して、外部電極からの正孔注入をブロックすることにより外部電界印加時の暗電流を低減している。また、酸化ガリウムにスズを添加(ドープ)することで酸化ガリウムのキャリア濃度を増加させ、結晶セレン側に空乏層を効率的に拡げることによって、光電変換素子の低電圧動作を可能としたことが報告されている(非特許文献3、特許文献2)。
特開昭61-67279号公報 特開2015-225886号公報
Tokio Nakada et al., "Efficient ITO/Se Heterojunction Solar cells". Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 23, No. 8, pp. L587-L589 (1984) S. Imura et al., "Low-voltage-operation avalanche photodiode based on n-gallium oxide/p-crystalline selenium heterojunction", Applied Physics Letters, Vol. 104, No. 24, pp. 242101-242101-4 (2014) Kenji Kikuchi et al., "Electrical and optical properties of Ga2O3/CuGaSe2heterojunction photoconductors, Thin Solid Films, Vol. 550, pp. 635-637 (2014)
上記非特許文献3及び特許文献2に開示される光電変換素子(光電変換膜)は、低電圧動作によって光電変換素子の高感度化を企図したものである。本発明者らは、非特許文献3及び特許文献2により提案されたスズドープの酸化ガリウム膜を備える光電変換素子の作製を試みた。すると、従来提案されているスズのドープ量では、逆バイアス電圧印加時の光電変換素子の光電流値が測定の度に不安定であることを本発明者らは実験的に初めて確認した。光電変換素子に逆バイアス電圧印加したときの光電流値が不安定であれば、これを積層型撮像素子に適用すると残像の発生につながる。そこで本発明は、逆バイアス電圧印加時に時間的に安定な光電流値が得られる光電変換素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討し、酸化ガリウムへのスズのドープ量に着想した。そして、従来技術により提案されるスズのドープ量に比べてドープ量を多量とすることにより光電変換素子に逆バイアス電圧印加したときの光電流値を安定化できることを本発明者らは実験的に確認した。この光電変換素子を用いた積層型撮像素子は、残像の影響を有効に抑制できる。本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
本発明による光電変換素子は、スズがドープされた酸化ガリウム膜と、結晶セレン膜と、前記酸化ガリウム膜及び前記結晶セレン膜を接合する接合膜と、を備え、前記酸化ガリウム膜における前記スズの原子百分率が6.0atom%以上9.0atom%以下であることを特徴とする。
この光電変換素子において、前記酸化ガリウム膜の膜厚が2nm~100nmであることが好ましい。
また、本発明による光電変換素子は、基板と、第1電極と、前記酸化ガリウム膜と、前記接合膜と、前記結晶セレン膜と、第2電極と、をこの順に備えることが好ましい。
さらに、本発明による光電変換素子の製造方法は、スズがドープされた酸化ガリウム膜を形成する工程と、前記酸化ガリウム膜上に接合膜を形成する工程と、前記接合膜上に結晶セレン膜を形成する工程と、を含み、前記酸化ガリウム膜を形成する工程において、前記酸化ガリウム膜における前記スズの原子百分率が6.0atom%以上9.0atom%以下となるよう、ターゲットを用いて前記酸化ガリウムを成膜することを特徴とする。
また、本発明による積層型撮像素子は、前記光電変換素子を備えることを特徴とする。
本発明によれば、逆バイアス電圧印加時に時間的に安定な光電流値が得られる光電変換素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に従う光電変換素子を説明する模式断面図である。 本発明の好適実施形態に従う光電変換素子を説明する模式断面図である。 予備実験例1において作製した試料1~4の模式断面図である。 予備実験例1において求めたエネルギー図である。 予備実験例1において測定した可視光領域における透過スペクトルである。 予備実験例2において作製した試料5~8の模式断面図である。 実験例1において測定した電圧-光電流特性のグラフである。
以下、図面を参照して本発明に従う光電変換素子及びその製造方法、並びに積層型撮像素子の実施形態を説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、重複する説明を省略する。各図において、説明の便宜上、各構成の縦横の比率を実際の比率から誇張して示している。
(光電変換素子)
図1を参照して、本発明の一実施形態に従う光電変換素子1を説明する。光電変換素子1はスズ(Sn)がドープされた酸化ガリウム膜10と、接合膜20と、結晶セレン膜30と、を少なくとも備える。接合膜20は酸化ガリウム膜10及び結晶セレン膜30を接合し、図1において接合膜20は酸化ガリウム膜10及び結晶セレン膜30により挟持される。そして、酸化ガリウム膜10にはスズがドープされており、酸化ガリウム膜10におけるスズの原子百分率が6.0atom%以上9.0atom%以下である。なお、本明細書におけるスズの原子百分率の値はラザフォード後方散乱分析法(RBS)により測定することができ、後述の実施例では当該ラザフォード後方散乱分析法により測定した値を採用した。以下、各構成の詳細を順次説明する。
<酸化ガリウム膜>
酸化ガリウム膜10は光電変換素子1においてn型半導体として機能する。ここで、スズがドープされた酸化ガリウム膜10におけるスズ(Sn)の原子百分率を6.0atom%以上9.0atom%以下とする。
スズのドープ量を上記範囲に制限する理由について説明する。酸化ガリウム膜10にスズをドープすると、価電子帯のエネルギーを維持したまま、伝導帯のエネルギーが低減して、バンドギャップが小さくなることを本発明者らは実験的に確認した。そのため、スズのドープ量を適正化することにより、酸化ガリウムと結晶セレンとで伝導帯のバンドオフセット(ΔE)を小さくできる。このことが、逆バイアス電圧印加時に時間的に安定な光電流値が得られる理由であると考えられる。そこで、酸化ガリウム膜10におけるスズ含有量を原子百分率で6.0atom%以上とする。また、酸化ガリウム膜10にスズを上記範囲でドープすれば、光電変換素子1の動作電圧を低減できる観点でも好ましい。一方、酸化ガリウム膜10におけるスズ含有量を原子百分率で9.0atom%以下とすれば、スズのドープによる過剰なキャリア生成を抑制して、光電変換素子1の暗電流増加を防止することができる。本発明効果をより確実に得るためには、酸化ガリウム膜10におけるスズ含有量を原子百分率で6.5atom%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは7.0atom%以上である。
酸化ガリウム膜10の膜厚は特に制限されないが、2nm以上100nm以下とすることが好ましい。酸化ガリウム膜10の膜厚が2nm以上であれば、電極からの正孔注入電荷を効率良く阻止することができる。また、酸化ガリウム膜10の膜厚が100nm以下、より好ましくは50nm以下であれば、外部印加電圧が効率良く結晶セレン膜30側に加わることとなる。
<接合膜>
接合膜20は酸化ガリウム膜10及び結晶セレン膜30を接合できればその材料は特に制限されないが、テルル(Te)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)からなる群から選択される一種からなることが好ましく、酸化ガリウム膜10及び結晶セレン膜30を確実に接合するためには、テルルを用いることがより好ましい。
接合膜20の膜厚は特に制限されないが、0.1nm以上10nm以下とすることができる。接合膜20の膜厚が0.1nm以上であると、酸化ガリウム膜10と結晶セレン膜30との接着力を効果的に高くでき、好ましい。また、接合膜20の膜厚が10nm以下、より好ましくは3nm以下であると、接合膜20が結晶セレン膜30中への欠陥形成を防止できるため、暗電流増加を抑制することができ、好ましい。なお、接合膜20は、図1に例示的に図示されるように酸化ガリウム膜10と結晶セレン膜30との間の全域に連続して形成されてもよい。しかしながら、酸化ガリウム膜10と結晶セレン膜30との接合が確保されていれば、接合膜20の面内方向の一部に孔を設けて酸化ガリウム膜10と結晶セレン膜30とが接触するよう形成してもよい。
<結晶セレン膜>
結晶セレン膜30は光電変換素子1における光電変換部であって、p型半導体として機能する。結晶セレン膜30の膜厚は特に制限されないが、0.1μm以上であることが好ましい。結晶セレン膜30の膜厚が0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であれば、その膜厚は十分であるため、光電変換素子1は可視光全域で十分な感度を得ることができる。また、結晶セレン膜30の膜厚の上限は特に制限されないが、5μm以下、好ましくは2μm以下であると結晶セレン膜30を効率良く形成することができ、生産性の観点で好ましい。
以上説明したとおり、本発明に従う光電変換素子1では、酸化ガリウム膜10のスズ含有量が6.0atom%以上9.0atom%以下であるため、逆バイアス電圧印加時に時間的に安定な光電流値が得られる。
なお、光電変換素子1における酸化ガリウム膜10の膜厚の好適範囲は上記のとおりであるものの、酸化ガリウム膜10の物性を評価実験するためには、別途膜厚を設定することが好ましい。スズがドープされた酸化ガリウム膜10の透過率を分光光度計などで測定する場合及びバンドギャップを分光エリプソメーターなどで測定する場合では、酸化ガリウム膜10の膜厚を100nm以上とすることが好ましい。また、酸化ガリウム膜10のイオン化エネルギーをX線光電子分光法(XPS)によって測定する場合及び酸化ガリウム膜10中のSn濃度(原子百分率)をラザフォード後方散乱分析法(RBS)によって測定を行う場合には、酸化ガリウム膜10の膜厚を20nm以上とすることが好ましい。これらの評価実験では、基板上に酸化ガリウム膜を直接形成して評価実験を行えばよい。
次に、図2を参照する。本発明の好適実施形態に従う光電変換素子2は、上述した酸化ガリウム膜10、接合膜20及び結晶セレン膜30を含めて、基板40から順に、第1電極50と、酸化ガリウム膜10と、接合膜20と、結晶セレン膜30と、第2電極60と、をこの順に備える。既述の酸化ガリウム膜10、接合膜20及び結晶セレン膜30以外の構成について、以下でさらに説明する。
基板40としては、例えば、ガラス基板、サファイア基板、シリコン基板などを用いることができ、光電変換素子2の用途及び基板40上に形成する第1電極50の材料に応じて適宜選択すればよい。
基板40上に設けられる第1電極50としては、例えばITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化亜鉛スズ)、AZO(アルミニウム添加参加亜鉛)などの透明酸化物導電膜以外にも、Al、Au、Ti、Nb、W、Moなどの金属膜を用いることができる。基板40と反対側に設けられる第2電極60の材料も第1電極と同様であり、両者の材料は異なってもよいし、同じでもよい。また、少なくとも光電変換素子2の受光面側の電極材料を透明材料とすることが好ましい。
(積層型撮像素子)
また、上述した本発明に従う光電変換素子1、2を積層型撮像素子に適用することができる。例えば、信号読み出し回路及び画素電極が設けられたシリコン基板などの半導体基板と、本発明に従う光電変換素子1、2とを接合することで積層型撮像素子を得ることができる。
(光電変換素子の製造方法)
図1を参照して、本発明に従う光電変換素子1の製造方法の実施形態を説明する。光電変換素子1の製造方法は、スズがドープされた酸化ガリウム膜10を形成する工程と、酸化ガリウム膜10上に接合膜20を形成する工程と、接合膜20上に結晶セレン膜30を形成する工程と、を含む。そして、酸化ガリウム膜10を形成する工程において、酸化ガリウム膜10におけるスズの原子百分率が6.0atom%以上9.0atom%以下となるよう、ターゲットを用いて酸化ガリウムを成膜して酸化ガリウム膜10を形成する。以下、各工程を図2に図示した任意構成を含めて順次説明する。なお、同一の構成要素に同一の参照番号を付しており、各構成要素の材料、膜厚等の説明は既述のとおりであり、重複する説明を省略する。
<酸化ガリウム膜の形成工程>
図2を参照すると、酸化ガリウム膜10は第1電極50上に形成されている。酸化ガリウム膜10を形成するためには、まず、基板40上に第1電極50を形成すればよい。第1電極は真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。次に、第1電極50上に酸化ガリウム膜10を、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法、真空蒸着法などを用いて形成する。
ここで、上述のとおり、酸化ガリウム膜10におけるスズの原子百分率が6.0atom%以上9.0atom%以下となるよう、スズ含有の酸化ガリウムからなるターゲットを用いて酸化ガリウムを成膜し、酸化ガリウム膜10を得る。例えば、金属スズ又は酸化スズ含有の酸化ガリウムからなる単一のターゲットを用いて酸化ガリウム膜10を形成することができる。なお、酸化ガリウム膜10におけるスズ含有量は、ターゲット中のスズ含有量に概ね比例するものの線形ではない。そのため、出力条件(RFパワーなど)及び雰囲気ガス条件(酸素分圧など)並びにターゲットのスズ含有量に応じて得られる成膜後の酸化ガリウム膜10におけるスズ含有量は定まる。また、スズ含有の酸化ガリウムからなる単一のターゲットに替えて、スズの金属ターゲット又は酸化スズ焼結体のターゲットと、酸化ガリウムからなるターゲットとを共スパッタリングするなどしても、所望のスズ含有量の酸化ガリウム膜10を形成することができる。
<接合膜の形成工程>
上記の酸化ガリウム膜10を形成した後、酸化ガリウム膜10上に接合膜20を形成する。接合膜20を形成するためには、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いればよい。
<結晶セレン膜の形成工程>
そして、接合膜20上に結晶セレン膜30を形成する。結晶セレン膜30を形成するためには、まず、接合膜20上にアモルファスセレン膜を形成する。アモルファスセレン膜を形成するためには、真空蒸着法、スパッタリング法などを持ちればよい。その後、例えば、100℃~220℃の温度で30秒~1時間熱処理することにより、アモルファスセレン膜を結晶化して結晶セレン膜30を得ることができる。上記熱処理温度及び熱処理時間は一例であり、この条件に限られないが、上記範囲内とすることで結晶性の良好な結晶セレン膜30を得ることができ、好ましい。さらに、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて結晶セレン膜30上に第2電極60を形成することもできる。
なお、各工程における成膜時の雰囲気は特に制限されることはなく、一般的な成膜条件を用いることができる。また、酸化ガリウム膜10の結晶性を高めるためには、酸素雰囲気下で形成することも好ましい。この目的において、酸素分圧を8.0×10-3Pa以上1.0×10-1Pa以下とすることが好ましく7.5×10-3Pa以上3.0×10-2Pa以下とすることがより好ましい。
以上の任意工程を含む各工程を経ることにより、本発明に従う光電変換素子を製造することができ、この光電変換素子は逆バイアス電圧印加時に時間的に安定な光電流値が得られる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。まず、予備実験例1では、スズ含有量の異なる酸化ガリウムターゲットを用いて酸化ガリウム膜を形成し、得られた酸化ガリウム膜におけるスズ含有量を評価しつつ、当該酸化ガリウム膜のバンドギャップエネルギー及び透過率を評価した。予備実験例2では、予備実験例1及び実験例1とは異なる材料の基板を用いても酸化ガリウム膜を形成できることを確認した。実験例1では、本発明条件を満足することにより本発明効果が得られることを確認し、その原因について考察した。
(予備実験例1)
図3に、予備実験例1において作製した評価膜の模式断面図を示す。説明の便宜状、図3の符号は図1及び図2で用いた構成要素を参照する。
<試料1>
ガラスからなる基板40上に、RFスパッタリング法により膜厚100nmの酸化ガリウム膜10を形成した。スパッタリング時の基板温度は室温にして成膜を行った。使用したターゲットは、スズが40atom%添加されたスズ添加酸化ガリウムターゲットである。成膜時の酸素分圧を1.5×10-2Paとし、RFパワー100Wで酸化ガリウム膜10を形成し、試料1を得た。
<試料2>
試料1で用いたスズ添加酸化ガリウムターゲット中のスズ添加量が40atom%であったところ、スズ添加量を低減したスズ添加酸化ガリウムターゲットを用いて酸化ガリウム膜10を形成したこと以外は、試料1と同様にして試料2を得た。
<試料3>
試料1で用いたスズ添加酸化ガリウムターゲット中のスズ添加量が40atom%であったところ、スズ添加量を試料2で用いたものよりもさらに低減し、試料1の添加量の半分(すなわち、20atom%)としたスズ添加酸化ガリウムターゲットを用いて酸化ガリウム膜10を形成したこと以外は、試料1と同様にして試料3を得た。
<試料4>
試料1で用いたスズ添加酸化ガリウムターゲット中のスズ添加量が40atom%であったところ、スズがノンドープの酸化ガリウムターゲットを用いて酸化ガリウム膜10を形成したこと以外は、試料1と同様にして試料4を得た。
<評価>
試料1~4のそれぞれについて、分光エリプソメーターを用いて各試料のバンドギャップエネルギーを求めたところ、4.6eV(試料1)、4.7eV(試料2)、4.8eV(試料3)、4.9eV(試料4)であり、スズ添加量が増加するに従いバンドギャップエネルギーは小さくなることがわかった。さらに、X線光電子分光法(XPS)によって各試料のイオン化エネルギーを測定した結果、いずれのイオン化エネルギーも7.6eVであった。これらの結果を図4のエネルギー図にまとめた(図の簡素化のため試料2を割愛した)。なお図4には、結晶セレン及びITOのエネルギーも図示した。スズ添加量が増加すると、価電子帯のエネルギーは変化せずにバンドギャップエネルギーが小さくなる。つまり、伝導帯のエネルギーがスズの添加量に応じて高くなることを図4は示している。
次に、分光透過率測定器を用いて、試料1~4のそれぞれの透過率スペクトルを測定した。結果を図5に示す。スズ添加量の増加に従いバンドギャップエネルギーが小さくなるため、可視光領域における透過率も低下していくことが確認される。
さらに、試料1~4のそれぞれの酸化ガリウム膜10におけるSn含有量をラザフォード後方散乱分析法(RBS)によって測定したところ、Sn含有量は原子百分率でそれぞれ8.7atom%(試料1)、6.1atom%(試料2)、4.0atom%(試料3)、0atom%(試料4:ノンドープ)であった。
(予備実験例2)
図6に、予備実験例2において作製した評価膜の模式断面図を示す。説明の便宜状、図3の符号は図1及び図2で用いた構成要素を参照する。
<試料5>
シリコンからなる基板40上に、スパッタリング法により膜厚30nmのITO膜からなる第1電極50(透明導電膜)を形成した。次に、第1電極50上に、RFスパッタリング法により膜厚100nmの酸化ガリウム膜10を形成した。前述の予備実験例1ではガラスからなる基板40上に酸化ガリウム膜10を形成したところ、これをITOからなる第1電極50に替えた以外は、試料1と成膜条件は同様であり、用いたスパッタリングターゲットも同様である。
<試料6~8>
試料5で用いたスパッタリングターゲットを、それぞれ試料2~4で用いたのと同様のスパッタリングターゲットに替えた以外は、試料5と作製条件を同様にして試料6~8に係る評価膜を得た。
試料6~8のいずれにおいても、ITO膜上に酸化ガリウム膜を形成できたことを確認した。
(実験例1)
符号について既述の図2を参照して、実験例1の詳細を説明する。
<試料11(発明例)>
ガラスからなる基板40上に、スパッタリング法により膜厚10nmのITO膜からなる第1電極50を形成した。次に、スパッタリング法により膜厚20nmの酸化ガリウム膜10を形成した。使用したターゲットは前述の試料1で用いたものと同様であり、成膜条件も試料1の作製条件と同様とした。次に、真空蒸着法により膜厚1nmのテルル膜からなる接合膜20を形成した。続いて、接合膜20上に真空蒸着法により、膜厚0.3μmのアモルファスセレン膜を形成した。その後、第1電極50、酸化ガリウム膜10、接合膜20及び上記アモルファスセレン膜を成膜した基板40の全体を、200℃で1分間熱処理し、上記アモルファスセレン膜から同膜厚(0.3μm)の結晶セレン膜30を得た。最後に、スパッタリング法により膜厚30nmのITO膜からなる第2電極60を形成し、試料11に係る光電変換素子2を得た。
<試料12(発明例)、試料13~14(比較例)>
試料11で用いたスパッタリングターゲットを、それぞれ試料2~4で用いたのと同様のスパッタリングターゲットに替えた以外は、試料11と作製条件を同様にして試料12~14に係る光電変換素子2を得た。
試料11~14のそれぞれの酸化ガリウム膜10におけるSn含有量は、試料1~4と同様に原子百分率でそれぞれ8.7atom%(試料11)、6.1atom%(試料12)、4.0atom%(試料13)、0atom%(試料14)であると考えられる。
<評価>
試料11~14のそれぞれの光電変換素子に第2電極60が正極となるように逆バイアス電圧を印加した際の電圧-光電流特性を測定した。なお、電圧-光電流特性の測定にあたり、光強度2.5μW/cm、波長550nmの光源を用いた。また、この特性評価試験を繰り返し行い、光電流の立ち上がりが最も遅かったものと、最も速かったものとのそれぞれで差が無くなるまで電圧-光電流特性を測定した。結果を図7のグラフに示し、光電流の立ち上がりが最も遅かったものと、最も速かったものとの光電流値をそれぞれ示している。また、図7(B)は、図7(A)における0~1Vの部分を拡大したグラフである。このグラフからわかるように、ノンドープ酸化ガリウムを使用して酸化ガリウム膜10を形成した場合は光電流の立ち上がりが遅く、スズ添加量の増加に従って低電圧で立ち上がるようになることがわかる。これは、結晶セレンに対してノンドープ酸化ガリウムのキャリア濃度が低く、結晶セレン側に空乏層が効率良く拡がらないのに対して、スズを添加することで酸化ガリウムのキャリア濃度が高まり、効率良く結晶セレン側に空乏層が拡がるためと考えられる。
また、ノンドープ酸化ガリウムを用いた場合、測定回数ごとに光電流値が変化して時間的な変動が見られるものの、酸化ガリウムへのスズ添加量の増加に伴い光電流値の時間変動が低減し、素子が時間的に安定して動作するようになることが確認される。これは、前掲の図4のエネルギー図からも分かるように、酸化ガリウムへのスズ添加量を増加させると、酸化ガリウムと結晶セレンとの伝導帯のバンドオフセット(ΔE)が小さくなるため、光生成された電子が外部電極に流れやすくなるためと考えられる。図7より、本発明条件のスズ含有量を満足する試料11(スズ含有量:8.7atom%)では光電流値の時間変動がほとんどなく、試料12(スズ含有量:6.1atom%)でも光電流値の時間変動が十分に抑制できていることが確認される。
したがって、本発明に従う光電変換素子は、逆バイアス電圧印加時に時間的に安定な光電流値が得られ、さらに低電圧で動作し、かつ、残像による影響がないため、高感度撮像デバイスの作製が可能となる。
本発明によれば、逆バイアス電圧印加時に時間的に安定な光電流値が得られる光電変換素子を提供することができるため、特に高感度の積層型撮像素子において有用である。
1、2 光電変換素子
10 酸化ガリウム膜
20 接合膜
30 結晶セレン膜
40 基板
50 第1電極
60 第2電極

Claims (6)

  1. スズがドープされた酸化ガリウム膜と、
    結晶セレン膜と、
    前記酸化ガリウム膜及び前記結晶セレン膜を接合する接合膜と、を備え、
    前記酸化ガリウム膜における前記スズの原子百分率が6.0atom%以上9.0atom%以下であることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記酸化ガリウム膜の膜厚が2nm~100nmである、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 基板と、第1電極と、前記酸化ガリウム膜と、前記接合膜と、前記結晶セレン膜と、第2電極と、をこの順に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. スズがドープされた酸化ガリウム膜を形成する工程と、
    前記酸化ガリウム膜上に接合膜を形成する工程と、
    前記接合膜上に結晶セレン膜を形成する工程と、を含み、
    前記酸化ガリウム膜を形成する工程において、前記酸化ガリウム膜における前記スズの原子百分率が6.0atom%以上9.0atom%以下となるよう、ターゲットを用いて前記酸化ガリウムを成膜することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  5. 前記酸化ガリウム膜を形成する工程において、前記酸化ガリウム膜を室温で形成する、請求項4に記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする積層型撮像素子。
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