JP7343736B2 - 中性子測定用ユニット、中性子測定装置、および中性子測定方法 - Google Patents

中性子測定用ユニット、中性子測定装置、および中性子測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、中性子測定用ユニット、中性子測定装置および、中性子測定方法に関する。
次世代の放射線治療法として、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が知られている。BNCTは、ホウ素同位体と中性子線との反応を利用してα線を発生させ、それを照射することによって所定の腫瘍細胞を破壊する治療法である。中性子源では、反応に必要な中性子線とともに、γ線も発生し、いずれも腫瘍細胞に照射される。γ線は、中性子線と生物学的効果比が異なり、また、γ線により所定の腫瘍細胞以外の細胞も破壊してしまう。そのため、BNCTを実施する場合には、照射する中性子線の量を確保しつつ、この中性子線に混在するγ線の量が多くなり過ぎないように、中性子線照射の精度を管理する必要があり、中性子線とγ線とを弁別した測定が行われている(特許文献1)。
特開2018-24863号公報
特許文献1では、酸化アルミニウム、酸化ベリリウムを主成分とする熱蛍光体を用いて中性子線とγ線を測定する方法について開示されている。しかしながら、こうした熱蛍光体は、中性子線とγ線の両方と反応するが、中性子線に対しての感度は低く、BNCTで用いる量の中性子線と十分に反応させることが難しい。人体を対象としたBNCTにおいては、面積50cm以上の領域について、中性子線とγ線とを弁別した測定を行う必要があり、このような測定を一点ずつ行っていると、測定時間が増大し、測定者の被ばくしてしまう虞がある。
測定時間を短縮するため、イメージングプレート、ラジオミックフィルムを用いて、広範囲の領域における中性子線の被照射線量の分布を、一度に捉える方法が提案されている。しかしながら、イメージングプレートは、ダイナミックレンジが、BNCTで求められる感度に対応したものでないため、実際に中性子線の被照射線量の分布を捉えることは難しい。一方、ラジオミックフィルムは、被照射線量ごとの感度にばらつきがあるため、得られる中性子線の被照射線量の分布の精度が低く、また、1回しか使用できないため、使用後には放射性廃棄物となってしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ホウ素中性子捕捉療法において、γ線との弁別を行うことなく、所定の広がりを有する領域に対して、中性子源から照射される中性子線の量を、短時間で測定することを可能とする、中性子測定用ユニット、中性子測定装置、および中性子測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
(1)本発明の一態様に係る中性子測定用ユニットは、カドミウムを含有する板状の中性子コンバータと、板状の熱蛍光体とを、両者の厚み方向を揃えて互いに重なるように備えている。
(2)前記(1)に記載の中性子測定用ユニットにおいて、前記熱蛍光体が、100℃以上の温度で発光強度ピークを示す熱蛍光特性を有していることが好ましい。
(3)前記(1)または(2)のいずれかに記載の中性子測定用ユニットにおいて、前記熱蛍光体が、酸化アルミニウムと酸化ベリリウムのうち、少なくとも一方を含有していることが好ましい。
(4)前記(1)~(3)のいずれか一つに記載の中性子測定用ユニットにおいて、前記中性子コンバータの厚みが、0.3mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
(5)前記(1)~(4)のいずれか一つに記載の中性子測定用ユニットにおいて、前記厚み方向からの平面視において、前記中性子コンバータと前記熱蛍光体とが重なっている領域の面積が、10mm以上であることが好ましい。
(6)前記(1)~(5)のいずれか一つに記載の中性子測定用ユニットにおいて、前記厚み方向における前記中性子コンバータと前記熱蛍光体との距離が、β線の飛程距離以下であることが好ましい。
(7)本発明の一態様に係る中性子測定装置は、前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の中性子測定用ユニットと、前記熱蛍光体を加熱する加熱手段と、加熱された前記熱蛍光体による発光の強度を測定する測定手段と、を備えている。
(8)本発明の一態様に係る中性子測定方法は、前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の中性子測定装置を用いた中性子測定方法であって、前記中性子測定用ユニットに対し、前記中性子コンバータ側から中性子線を照射し、前記中性子コンバータにおいて前記中性子線を電離放射線に変換させ、前記電離放射線を前記熱蛍光体に吸収させる第一工程と、前記電離放射線を吸収した前記熱蛍光体に対して加熱を行い、所定の温度領域で発光させる第二工程と、前記温度領域における前記発光の強度を積算することにより、前記中性子測定用ユニットに照射された前記中性子線の量を推定する第三工程と、を有する。
本発明によれば、ホウ素中性子捕捉療法において、γ線との弁別を行うことなく、所定の広がりを有する領域に対して、中性子源から照射される中性子線の量を、短時間で測定することを可能とする、中性子測定用ユニット、中性子測定装置、および中性子測定方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る中性子測定用ユニットの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る中性子測定装置の断面図である。 本発明の比較例に係る熱蛍光体のグロー曲線を示すグラフである。 図3のグロー曲線と、本発明の実施例1に係る熱蛍光体のグロー曲線とを、重ねて示すグラフである。 本発明の実施例2に係る中性子測定用ユニットの構成を、模式的に示す平面図である。 実施例2の放射線照射後の熱蛍光体における、強発光部分と弱発光部分の分布を示す画像である。 図6の熱蛍光体の強発光部分と弱発光部分とを、グレー値で比較するグラフである。
以下、本発明を適用した実施形態に係る中性子測定用ユニット、中性子測定装置、および中性子測定方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る中性子測定用ユニット100の斜視図である。中性子測定用ユニット100は、主に、カドミウムを含有する板状の中性子コンバータ101と、板状の熱蛍光体102とで構成されており、両者を、厚み方向Tを揃えて互いに重なるように備えている。
中性子測定用ユニット100では、まず、加速器や原子炉等の中性子源(不図示)から発生した中性子線(熱中性子線)Lおよびγ線Lが、中性子コンバータ101に照射される。続いて、照射された中性子線Lは、中性子コンバータ101内でβ線、γ線、X線等の電離放射線Lに変換され、中性子コンバータ101から放出される。このうち電離放射線Lが、熱蛍光体102に照射されて吸収される。また、中性子コンバータ101に照射されたγ線Lは、中性子コンバータ101内で減衰して放出され、この放出されたγ線Lも、熱蛍光体102に照射されて吸収される。
中性子コンバータ101は、安価で大面積化が容易な材料であるカドミウムの同位体106Cd、108Cd、110Cd、111Cd、112Cd、113Cd、114Cd、116Cdのうち、少なくとも一つを主成分として含有している。中性子コンバータ101は、中性子線がカドミウムに衝突してγ線に変換される確率を高める観点から、中性子反応断面積の大きい110Cd、111Cd、112Cd、113Cdをより多く含んでいることが好ましい。中性子コンバータ101は、カドミウム以外の成分として、例えば、Gd、Li、Bの同位体等を含んでいてもよい。
中性子コンバータの厚み101bは、中性子線をγ線に変換させて放出する確率を高める観点から、0.3mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm程度であればより好ましい。中性子コンバータ101が0.3mmより薄いと、中性線をγ線に変換する媒体としてのカドミニウムの含有量が少ないため、中性子線がカドミウムと衝突する確率が低く、γ線への変換を十分に行うことができない。その結果として、熱蛍光体102で吸収されるγ線の量が少なくなってしまう。一方、中性子コンバータ101が0.5mmより厚いと、変換されたγ線の外部への放出が妨げられ、一部のγ線が中性子コンバータ101内で自己吸収されてしまい、この場合にも、熱蛍光体102で吸収されるγ線の量が少なくなってしまう。
熱蛍光体102は、熱蛍光特性を有する材料を主成分として含むセラミックであり、β線、γ線、X線等の電離放射線のエネルギーを蓄積した状態で熱を加えると、蓄積しているエネルギーの一部を光として放出する。本実施形態での熱蛍光特性としては、所定の温度領域のみにおいて発光するものであることが好ましく、約100℃以上の温度領域で発光強度ピークを示すものであれば、より好ましい。
熱蛍光材料としては、中性子由来の電離放射線に対して高い熱蛍光特性を有するものであることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ベリリウム(BeO)等の酸化物が挙げられる。電離放射線の吸収効率を高める観点から、熱蛍光体102は、酸化アルミニウムと酸化ベリリウムのうち、少なくとも一方を含有していることが好ましい。熱蛍光体102に含有させる材料としては、酸化ベリリウムよりも取り扱いが容易な酸化アルミニウムの方が好ましい。なお、熱蛍光体102に酸化アルミニウムが含有されている場合、さらにクロムが含有されていてもよい。適度なクロムが含有されていると、熱蛍光感度やフェーディング特性が向上する。
特に、酸化アルミニウムは、放射線に対する高い空間分解能を有しており、得られる被照射線の分布の画像を鮮明にすることができる。また、酸化アルミニウムは、吸水性を有していないため、環境因子による影響が少ない水ファントム(水中)で用いることができ、高精度な測定を実現することができる。また、酸化アルミニウムは、熱蛍光特性を有する他の材料に比べて、均一性が高くて単純な構造を有しており、放射化後の半減期が短い材料であるため、繰り返し用いることができ、放射性廃棄物が生成される虞がない。また、酸化アルミニウムは、ダイナミックレンジ(検出できる最大信号と最小信号の比)が広いため、電離放射線を高い効率で吸収することができる。これらの理由により、熱蛍光体が含有する材料としては、酸化アルミニウムが最も好ましい。
熱蛍光体の厚み102bは、0.3mm以上2.0mm以下であることが好ましい。熱蛍光体を発光させる際に、熱蛍光体102の全体あるいは電離放射線を吸収している部分を加熱する必要があり、厚みが2.0mmを超えると昇温時間が長くなってしまい、好ましくない。熱蛍光体の厚み102bが0.3mm未満である場合には、照射された電離放射線のうち一部が吸収されずに透過してしまい、被照射線量に対する発光強度が減少し、堅牢性も低下する。
同じ材料からなる複数の熱蛍光体を繋ぎ合わせた場合、それぞれの主面同士が一面を形成していても、繋ぎ目において被照射状態の変化が生じてしまうため、熱蛍光体102は一体であることが好ましい。
図1では、中性子発生用ユニット100の構成および動作を説明するために、中性子コンバータ101と熱蛍光体102とが大きく離間しているように示しているが、実際には、両者の対向面同士がほぼ密着するように、接近した状態で配置されるものとする。具体的には、両者の厚み方向Tにおける中性子コンバータ101と熱蛍光体102との距離Dは、中性子コンバータ101から放出されるβ線の飛程距離以下であるとする。被照射線量の分布を正しく検出するために、被照射面の全体にわたって、中性子コンバータ101との距離がほぼ均一になるように、中性子コンバータ101と熱蛍光体10とは、対向面同士が略平行になるように配置されていることが好ましい。
図1では、中性子コンバータの一方の主面101aと、熱蛍光体の一方の主面102aとが、互いに同程度の面積を有し、厚み方向Tからの平面視において、ほぼ完全に重なっている場合について例示しているが、本実施形態がこの場合に限定されることはない。すなわち、二つの主面101a、102aの面積は、互いに異なっていてもよく、二つの主面101a、102aの少なくとも一部同士、好ましくは中央を含む少なくとも一部同士が、互いに重なっていればよい。
厚み方向Tからの平面視において、中性子コンバータの主面101aと熱蛍光体の主面102aとが重なっている領域の面積は、10mm以上であることが好ましい。ただし、腫瘍細胞等の所定のターゲットに照射する場合を想定すると、ターゲットが分布する領域より大きい面積を有することが好ましい。人体を対象としたBNCTに適用することを想定する場合、この面積は50cm以上であることが好ましく、200cm以上であればより好ましい。
本実施形態の中性子測定は、次の手順で行うことができる。まず、中性子測定用ユニット100の中性子コンバータ側101に、中性子線Lを照射し、中性子コンバータ101において中性子線Lをβ線、γ線、X線等の電離放射線Lに変換させ、この電離放射線Lを熱蛍光体102に吸収させる(第一工程)。
図2は、本発明の一実施形態に係る中性子測定装置200の断面図である。中性子測定装置200は、主に、図1の中性子測定用ユニット100と、中性子測定用ユニット100を構成する熱蛍光体102の加熱手段103と、熱蛍光体102による発光の強度を測定する測定手段104と、外部からの光を遮蔽する容器(暗箱)105と、を備えている。ここでは、中性子コンバータ101の図示を省略している。加熱手段103は、主に、公知のヒータ103Aと、その温度制御装置103Bとで構成されている。測定手段104は、主に、CCDカメラ等の撮像装置104Aと、その制御および得られた画像の解析を行う制御装置104Bとで構成されている。熱蛍光体102とヒータ103Aとは、暗箱105の内部に収容されている。
上記第一工程の後に、電離放射線Lを吸収した熱蛍光体102を、中性子測定装置200のヒータ103A上に、電離放射線が入射した面(被照射面)が撮像装置104A側を向くように設置する。その状態で、温度制御装置103Bを用いてヒータ103Aを昇温させることにより、この熱蛍光体102に対して加熱を行い、所定の温度領域で発光させる(第二工程)。
続いて、発光状態の熱蛍光体102の画像を撮像装置104Aを用いて取得し、取得した画像を解析装置104Bに送り、そこで当該温度領域における発光の強度を積算し、発光強度に対応する被照射線量を算出することにより、中性子測定用ユニット100に照射された中性子線Lの線量を推定する(第三工程)。ここで算出される被照射線量には余剰γ線の線量が含まれているが、その線量の比率は、100分の1より小さいため、算出される中性子線の線量は、ほぼ中性子由来の電離放射線Lの線量であり、これを、実際に中性子源から照射された中性子線Lの線量と見なすことができる。
以上のように、本実施形態に係る中性子測定用ユニット100によれば、中性子源から発生する中性子線Lの線量の測定を、中性子線そのものではなく、中性子線とカドミウムとの反応を介して得られた電離放射線Lを、熱蛍光体102に吸収させて行う。この中性子線由来の電離放射線(特にβ線)Lは、中性子源から不可避的に発生する余剰γ線Lに比べて、高い効率で熱蛍光体102に吸収される。電離放射線を吸収した熱蛍光体は、所定の温度領域において高い強度の発光を示すことができる。
実施例として後述するように、この中性子線由来の電離放射線Lによる発光強度は、不可避的に発生する余剰γ線Lによる発光強度の約100倍以上となる。そのため、得られた発光強度は、電離放射線Lの寄与によるものと見なすことができる。したがって、得られた発光強度から、余剰γ線Lの寄与を弁別することなく、熱蛍光体102に吸収された電離放射線Lのみの線量を、容易に測定することができる。この測定結果に基づいて、中性子源で発生する放射線のうち、実際に被照射体(ここでは熱蛍光体102)に照射される中性子線Lの線量を算出することができる。
本実施形態の中性子測定用ユニットにより、所定の中性子源から照射される中性子線Lの線量と、熱蛍光体102の被照射面における被照射線量の二次元的な分布について、正確に把握することができる。これにより、生体等の所定の面積を有する領域に対し、中性子線を照射して治療を行うことを想定した、治療計画の検証、中性子線照射の精度管理を適切に行うことが可能となる。
また、治療領域が広範囲に及ぶ場合であっても、中性子コンバータおよび熱蛍光体の被照射面の面積を大きくすることにより、被照射線量の分布情報を同時に取得することができる。したがって、従来のように、治療領域を複数の微小領域に分割し、微小領域ごとに測定を行う場合に比べて、放射線の照射回数を減らすことができ、測定者の被ばく確率を大幅に低減させることができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(比較例)
上記実施形態において中性子コンバータを除いた状態で、中性子源から発生する中性子線およびγ線を、熱蛍光体に対して直接照射した。照射時間は約1.5時間とした。熱蛍光体としては、酸化アルミニウムを約99%、Crを約0.05w%含み、主面(被照射面)の面積が100mm、厚みが0.7mmのものを用いた。
照射後に、加熱した熱蛍光体の発光強度を測定した。図3は、測定によって得られたグロー曲線を示すグラフである。グラフの横軸は温度(℃)を示し、グラフの縦軸は相対熱蛍光強度を示している。
(実施例1)
上記実施形態に沿って中性子測定を行い、中性子源から発生する中性子線およびγ線を、中性子コンバータを介して熱蛍光体に照射した。照射時間は約1.5時間とした。中性子コンバータとしては、天然カドミウム板を使用し、主面(被照射面)の面積が100mm、厚みが0.5mmのものを用いた。熱蛍光体としては、比較例と同じものを用いた。
照射後に、加熱した熱蛍光体の発光強度を測定した。図3は、比較例の測定によって得られたグロー曲線を示すグラフである。図4は、比較例の測定によって得られたグロー曲線と、実施例1の測定によって得られたグロー曲線とを重ねて示すグラフである。
図3のグラフから、比較例の熱蛍光体は、200℃~400℃の温度領域で発光しており、温度が300℃になったときに、発光強度が最大になっていることが分かる。図4のグラフから、実施例1の熱蛍光体も、比較例と同じ温度領域で発光しており、また、同じ温度で発光強度が最大になっている。この結果は、比較例の熱蛍光体と実施例1の熱蛍光体とが、同じ熱蛍光特性を有するものであることを示している。つまり、中性子コンバータの有無以外については、同じ条件で測定されていることが分かる。
一方、発光強度の数値を比較すると、実施例1の熱蛍光体の最大発光強度は、比較例の熱蛍光体の最大発光強度の100倍以上となっている。グロー曲線を、200℃~400℃の範囲で積分して得られる発光量(図3、4のグラフの横軸とグロー曲線とで囲まれた斜線部分に相当)で比較すると、実施例1の発光量と比較例の発光量とでは、さらに高い倍率の違いになっている。これは、熱蛍光体に対する、変換された中性子線由来の電離放射線の被吸収率(吸収されやすさ)が、変換されていない中性子線そのものの被吸収率に比べて、飛躍的に高められているためと考えられる。
したがって、得られた発光強度は、電離放射線の寄与によるものと見なせることが分かるため、得られた発光強度から、余剰γ線の寄与を弁別することなく、熱蛍光体に吸収された電離放射線のみの線量を、容易に測定することができる。この測定結果に基づいて、中性子源で発生する中性子線のうち、実際に被照射体(ここでは熱蛍光体)に照射される中性子線の線量を算出することができる。
(実施例2)
図5は、実施例2に係る中性子測定用ユニットの構成を、模式的に示す平面図である。中性子コンバータ、熱蛍光体としては、実施例1と同じ組成のものを用いた。中性子コンバータの主面101a、熱蛍光体の主面102aの面積を、それぞれ1600mm、6400mmとし、両者の厚み方向からの平面視において、図5に示すように、中性子コンバータ101が、熱蛍光体102の中央部と重なるように配置した。この状態で、20分間の中性子線照射を行った。この場合、熱蛍光体102のうち、中性子コンバータ101と重なっている部分には、中性子場に混在するγ線と、中性子線が中性子コンバータで変換されたγ線やβ線などの電離放射線が照射され、中性子コンバータ101と重なっていない部分には、中性子線と中性子場に混在するγ線が直接照射されることになる。
図6は、放射線照射後の熱蛍光体102のうち、強く発光している部分(強発光部分)102Aと、ほとんど発光が見られない部分(弱発光部分)102Bの分布を示す画像である。図7は、図6の熱蛍光体102のうち直線Cが付されている部分における、強発光部分102Aと弱発光部分102Bの発光強度を、グレー値で比較するグラフである。グラフの横軸は、図6に示す熱蛍光体102の一端からの距離(ピクセル)を示している。グラフの縦軸は、図6の熱蛍光体102の画像におけるグレー値を示している。
図6、7から分かるように、熱蛍光体102のうち、中性子コンバータ101と重なっておらず、直接照射されている部分が、弱発光部分102Bとなっているのに対し、中性子コンバータと重なっており、中性子コンバータを介して照射されている部分は、強発光部分102Aとなっている。中性子コンバータで変換されたγ線やβ線などの電離放射線が、中性子源側から見て、強発光部分102Aより若干外側に広がった範囲に照射されているため、弱発光部分102Bのうち、強発光部分102Aの近傍でも、その分の弱い発光が見られている。この広がって照射されている電離放射線の寄与を除けば、強発光部分102Aの近傍では、ほとんど発光が見られないと考えられる。
したがって、強発光部分102Aでの発光量は、実質的に、弱発光部分102Bでの発光量の数100倍以上も大きくなっており、十分に検出可能な量となっているため、これに基づいて、照射される中性子線の線量を高い精度で推定することができる。熱蛍光体の各位置の被照射線量は、被照射面積によらず、一回の中性子線照射で測定することができるため、被照射線量の分布情報を短時間で得ることができる。
これらの結果から、所定の広がりを有する領域において、熱蛍光体の発光を利用した中性子線の検出を行う場合、中性子コンバータを介さないで照射する従来の方法に比べて、中性子コンバータ介して照射する本発明の方法が極めて有効であることが分かる。
100・・・中性子測定用ユニット
101・・・中性子コンバータ
101a・・・中性子コンバータの主面
101b・・・中性子コンバータの厚み
102・・・熱蛍光体
102a・・・熱蛍光体の主面
102b・・・熱蛍光体の厚み
102A・・・強発光部分
102B・・・弱発光部分
103・・・加熱手段
103A・・・ヒータ
103B・・・温度制御装置
104・・・測定手段
104A・・・撮像装置
104B・・・制御装置
105・・・暗箱
200・・・中性子測定装置
D・・・中性子コンバータと熱蛍光体との距離
・・・中性子線
、L・・・γ線
・・・電離放射線
T・・・中性子コンバータ、熱蛍光体の厚み方向

Claims (8)

  1. カドミウムを含有し、照射された中性子線を電離放射線とγ線に変換する板状の中性子コンバータと、前記中性子コンバータから放出された前記電離放射線と前記γ線を吸収する板状の熱蛍光体とを、両者の厚み方向を揃えて互いに重なるように備えていることを特徴とする中性子測定用ユニット。
  2. 前記熱蛍光体が、100℃以上の温度で発光強度ピークを示す熱蛍光特性を有していることを特徴とする請求項1に記載の中性子測定用ユニット。
  3. 前記熱蛍光体が、酸化アルミニウムと酸化ベリリウムのうち、少なくとも一方を含有していることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の中性子測定用ユニット。
  4. 前記中性子コンバータの厚みが、0.3mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の中性子測定用ユニット。
  5. 前記厚み方向からの平面視において、前記中性子コンバータと前記熱蛍光体とが重なっている領域の面積が、10mm2以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の中性子測定用ユニット。
  6. 前記厚み方向における前記中性子コンバータと前記熱蛍光体との距離が、β線の飛程距離以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の中性子測定用ユニット。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の中性子測定用ユニットと、
    前記熱蛍光体を加熱する加熱手段と、
    加熱された前記熱蛍光体による発光の強度を測定する測定手段と、を備えていることを特徴とする中性子測定装置。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の中性子測定用ユニットを用いた中性子測定方法であって、
    前記中性子測定用ユニットに対し、前記中性子コンバータ側に中性子線を照射し、前記中性子コンバータにおいて前記中性子線を電離放射線に変換させ、前記電離放射線を前記熱蛍光体に吸収させる第一工程と、
    前記電離放射線を吸収した前記熱蛍光体に対して加熱を行い、所定の温度領域で発光させる第二工程と、
    前記温度領域における前記発光の強度を積算することにより、前記中性子測定用ユニットに照射された前記中性子線の量を推定する第三工程と、を有することを特徴とする中性子測定方法。
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