JP7343102B2 - 気液溶解装置 - Google Patents
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Description
文献2および文献3との比較でいえば、従来技術は、ノズルからの付勢により気液混相流体を引き込んで重畳的な攪拌を実現するところ、本発明では、簡素な構成によりノズルから気液混相流体を押し込んで重畳的な攪拌を実現する。
なお、気液溶解装置を陸上に設置する場合などは、逃がし孔から流出する、溶存酸素濃度の高められた気液混相流体を、適宜送出先に送出する。たとえば、湖畔や港湾、陸上養魚場の場合はそれぞれホース等で湖畔、港湾、養魚プールから取水し、逃がし孔にもホース等を接続し、湖畔、港湾、養魚プールへ送水する様にする。
略半球とは広義であり、球の中心を通るように切り出した半球だけでなく、半径に垂直に切り出した球面の一部であってもよい。回転楕円体の一部や紡錘形も含まれる。
ノズル体の貫入は円筒の側面側からであることを妨げない。要は最終的にノズル体の噴出口が軸中心にあり、噴出方向が天頂方向であればよい。また、ノズル体による気液混相流体の形成および噴出は、ノズルの先端を先細りとすることにより構造的になしてもよく、供給部からの付勢によりなしてもよい。
供給部がノズル体に供給する水は、装置の配置先の領域の水である。装置直近から取り込むようにしてもよいし、別途チューブ等により所望の場所から吸い込むようにしてもよい。一方、供給部がノズル体に供給する空気は、設置場所の水面上から適宜取り込むもしくは送り込むようにすればよい。また、酸素ボンベから酸素を供給するようにしてもよい。
円環部の断面形状は特に限定されない。凸条を溶接して合着させる態様の他、ドーム体を円筒体に溶接する際の盛り上がったもしくは盛り上げられた溶接痕であってもよい。要は側周にそって下降してくる混相流体を邪魔して、流れを内向き(斜め下方)にする作用のあるものが円環部である。なお、円環が概念できれば、所々が断絶していてもよいものとする。
ノズル体先端と円環部とは、円環部の方が鉛直上方にあり、仰角はノズル体先端にて水平方向から見上げる角度である。60°~30°の範囲であれば、下降してきた気液混相流体が軸中心に集まり、ノズルによって再度ドーム体側に押し込むことができる。
脱気部は、気液分離室の上部にたまってくる気体を取り出すのであれば特に限定されず、たとえば、気液分離室上部に接続したチューブとすることができる。なお、脱気部で気液分離室から取り除かれた気体は、系外排出してもよいし、適宜供給部へ供給し再利用するようにしてもよい。
排出部は、気液分離室の下部にある、溶存酸素濃度の高まった、気泡のない水を排出するのであれば特に限定されない。たとえば、気液分離室を底なしに形成すれば、気液分離室下部が排出部となる。なお、別途チューブにより所望のエリアに水を送水(排水)するようにしてもよい。
図1は、本発明の気液溶解装置を湖に設置した例を示す説明図である。図2は、本発明の気液溶解装置の概略構成例を示した断面図である。図3は、本発明の気液溶解装置の気液溶解室の透過斜視図である。
なお、図では、説明の便宜上縮尺を異ならせ、また、構成の一部を省略して描画している(たとえば、図1では、気液溶解装置の大きさは湖に対してもっと小さい)。
気液溶解室10は、設置姿勢において軸を鉛直方向に向けた、縦長の円筒体11を基調としており、この円筒体11の上部には、半球のドーム12が接合されている。また、円筒体11は有底であって下部側面には複数の孔13があけられており、これらの孔13からは、後述するように、重畳的に攪拌され溶存酸素濃度の高められた気液混相流が流出する。なお、気液溶解室10は、ノズル30の貫入部分と孔13とを除いて密閉した構成である。
ノズル30から排出された気液混相流体は、ドーム12の天頂にあたり、曲面に沿って対称的に下降するが、この流れ、いわば円筒形の流れは円環部14により曲げられ、下に向かって先細りの円錐形の流れとなって軸中心に集まる。そして、この集まってきた流れはノズル30により再度ドーム12に押し込まれる。これにより、重畳的な攪拌および乱流が発生し、気泡の微細化、これに伴う水への接触面積の増大が生じ、かつ、水との接触機会も増大するため、速やかかつ効率的に水の溶存酸素濃度が高まる。
また、円環部14の突き出し高さhは、円筒体11の内半径rに対してh/r=3/100としている。
この関係とすることにより、いわばわずかな突き出し(盛り上げ・盛り上がり)という簡便な構成により、効果的な溶存酸素濃度向上が実現できる。
θ<30°であると、ノズル30の位置が高く、軸中心に向けて全周から斜めに下ってくる気液混相流体の流れが、先端31より下で合流するなど、押し込みの効率が悪くなるからである。
60°<θであると、ノズル30の位置が低く、再び円錐形に流れが広がっていくことに加え、押し込んだ(押し返した)気液混相流体部分もドーム12が遠く拡散しがちになり、こちらも効率が悪くなるからである。
(h/r)<(2/100)であると、気液混相流体を内側への曲げる量が少なく、気液混相流体のドーム12に沿った下降流を効率的にノズル30の先端31に向ける効果が小さくなるからである。
(6/100)<(h/r)であると、円環部14下にいわゆる死に水が生じ、気液溶解室10の事実上の容量減を招来するようになるからである。
また、円環部14の位置は円筒体11とドーム12との接合部でなく、それより下の位置でもよい。
隔壁体23は上部が円錐形に絞り込まれ、上部の開口端24から、気泡と溶存酸素濃度が高められた水とを流出させる。ここで、隔壁体23と気液分離室20がともに円筒形で軸対称であるため、自然と旋回流が生じ、気泡は軸中心上方に向けて集積され、そのまま気体放出口21に導かれ脱気される。一方、いわば整流により分離された水(溶存濃度の高まった水)は下降して、排水孔22から流出して湖に戻される。
このように気液分離室20は、隔壁体23と貯留作用により、効果的に気体と液体とを分離して系外排出する。
次に、本発明の実験例を説明する。ここでは、円環部14の有無による溶存酸素濃度の上昇について説明する。
気液溶解装置1は、円筒体11の内半径20cm×高さ55cm、ドーム12は半径20cmの半球であり、接合部に幅3mm×高さ3mmの概ね断面が正方形である円環部14を設けたものとした。仰角は50°とした。
2 うき
3 おもり
10 気液溶解室
11 円筒体
12 ドーム
13 孔
14 円環部
15 突出端
20 気液分離室
21 気体放出口
22 排水孔
23 隔壁体
24 開口端
30 ノズル
31 先端
40 ポンプ
41 取水口
42 送気部
Claims (4)
- 水面下又は陸上に配置し、水の溶存酸素濃度を高める気液溶解装置であって、
下部に気液混相流体を逃がす逃がし孔が設けてあり軸が鉛直となるように配向された円筒体と、円筒体上部に接合した略半球であるドーム体と、を有する気液溶解室と、
気液溶解室に貫入し軸中心からドーム体の天頂に向けて気液混相流体を噴出させるノズル体と、
ノズル体に、酸素または空気と、配置先の水と、を供給する供給部と、
を具備し、
円筒体内周に水平に突き出して一周する円環部が形成され、
ノズル体と円環部を、ノズル体先端と円環部の突出端とを結ぶ仰角が60°~30°である位置関係としたことを特徴とする気液溶解装置。 - 円筒体の内半径に対する円環部の突出高さの比を2/100~6/100としたことを特徴とする請求項1に記載の気液溶解装置。
- 気液溶解室を収容し、逃がし孔からの気液混相流体を貯留して液体を気体から分離する気液分離室と、
気液分離室で分離された気体を脱気する脱気部と、
気液分離室で分離された気体溶存濃度を高めた液体を排出する排出部と、
を具備したことを特徴とする請求項1または2に記載の気液溶解装置。 - ノズル体先端位置を気液溶解室の軸中心に沿って可変としたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の気液溶解装置。
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